JP4134880B2 - 内燃機関のイオン電流検出装置 - Google Patents

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Description

本発明は、内燃機関のイオン電流検出装置に関するものである。
従来より、内燃機関において混合気が燃焼する際には燃焼イオンが発生することに着目し、点火に伴う燃焼毎に点火プラグの対向電極間に流れるイオン電流を検出するイオン電流検出装置が各種提案されている。そして、この検出したイオン電流に基づいて失火判定や、ノッキング等の異常燃焼判定や、燃焼ラフネス等の燃焼状態判定などが実施されるようになっている。
イオン電流検出装置では、イオン電流の検出信号(以下、イオン電流信号ともいう)に重畳するノイズによりイオン電流の検出精度が低下することが懸念されており、ノイズ対策技術も各種提案されている。イオン電流信号に重畳する代表的なノイズとしては残留磁気ノイズやスパイクノイズ(異常帯電ノイズ)が知られており、残留磁気ノイズは、点火プラグの火花放電終了直後において点火コイルの二次側の浮遊容量に残った電荷がLC共振により振動減衰する過程で発生する。また、スパイクノイズは、点火プラグの碍子部に帯電した電荷がグランド側に放電する過程で発生する。その他に、点火プラグを発生要因とするノイズとして、点火プラグの碍子部の容量成分と、碍子部周囲の金属ハウジングとの間の空隙部が有する抵抗成分とにより生じるCRダレノイズがある。
例えば特許文献1のノッキング検出装置では、イオン電流信号から抽出したノッキング信号とノイズ信号との出力比を算出し、その出力比に基づいて残留磁気ノイズやスパイクノイズといった特定のノイズが発生しているか否かを判定することとしている。また、失火判定装置としてイオン電流信号の信号ピーク値に基づいて失火判定を実施する装置においては、信号ピーク値が所定のしきい値以下であれば、そのイオン電流信号がノイズであると判定するようにしている。
しかしながら、既存の技術は、基本的にその時々の信号レベル(ピークホールド値)に応じてノイズ判定を行うものとなっており、各種存在するノイズに適正に対処できるものではなかった。故に、より精密にノイズ判定を行いたいという要望下においては更なる改善が求められている。
因みに、本願発明者らによれば、点火プラグの型式やメーカ毎の設計製造方法差などによりCRダレノイズやスパイクノイズの発生に差異があること、本来指定されていない別の型式の点火プラグや規格外れの点火プラグなどの異種プラグを使用した場合においてノイズ問題が顕著になることが確認されている。また近年では、内燃機関の高出力化などを図るべく吸排気弁の多弁化や挟み角度の縮小化が進められ、かかる実状において点火プラグの長さを延長した、いわゆるロングリーチプラグが採用されつつある。このロングリーチプラグの場合、碍子部や金属ハウジングが長くなることにより、前記CRダレノイズ等の問題がより顕著になることも確認されている。
特開2000−145605号公報
本発明は、イオン電流信号に含まれるノイズの影響を適正に排除し、ひいてはイオン電流の検出精度を高めることができる内燃機関のイオン電流検出装置を提供することを主たる目的とするものである。
請求項1に記載の発明では、燃料の燃焼時に発生するイオン電流が検出され、該イオン電流の検出信号(イオン電流信号)が所定のしきい値以上となる信号出力時間が検出されると共に、イオン電流の信号ピーク値が検出される。そして、前記信号出力時間と前記信号ピーク値とをパラメータとして燃焼イオンの発生に関する燃焼イオン特性と前記検出信号に重畳するノイズの発生に関するノイズ特性とを表すイオン電流信号特性データを用い、その都度の前記信号出力時間と前記信号ピーク値とが、前記ノイズ特性を基に定められる失火判定域にある場合に失火が発生したと判定される。
イオン電流信号に含まれる各種ノイズはその発生要因毎に出力特性が概ね決まっている。この場合、燃焼イオン特性とノイズ特性とは、イオン電流信号の信号出力時間と信号ピーク値とをパラメータとするイオン電流信号特性データとしてデータ化することができ、このイオン電流信号特性データを用いることでノイズ成分を好適に特定することができる。それ故本発明によれば、ノイズ形態に合わせてイオン電流信号の有効判定を行うことができ、ノイズの影響を排除して正しくイオン電流を検出することができるようになる。またこのとき、イオン電流信号特性データは容易にマップ化でき、そのマップデータを用いる構成とすれば、前記有効判定の処理について簡易化を図ることができる。
また、その都度の前記信号出力時間と前記信号ピーク値とが、前記ノイズ特性を基に定められる失火判定域にある場合に失火が発生したと判定される。この場合、前述の通りノイズ成分を排除して正しくイオン電流を検出することができるため、失火の判定精度も向上する。
請求項に記載の発明では、前記イオン信号判定手段によりその時の前記信号出力時間と前記信号ピーク値とが前記失火判定域にあると判定された時、その時該当する信号出力時間と信号ピーク値との少なくとも何れかが無効化され、履歴データに残されないため、イオン電流の信号出力時間と信号ピーク値との履歴データに基づいて内燃機関の燃焼状態を判定する場合において、燃焼状態を精度良く判定することができるようになる。
請求項に記載の発明では、燃料の燃焼時に点火プラグの対向電極間を通じて流れるイオン電流が検出され、該イオン電流の検出信号(イオン電流信号)が所定のしきい値以上となる信号出力時間が検出されると共に、イオン電流の信号ピーク値が検出される。そして、前記信号出力時間と前記信号ピーク値とをパラメータとして燃焼イオン特性とノイズ特性とを表すイオン電流信号特性データを用い、その都度の前記信号出力時間と前記信号ピーク値とが、前記ノイズ特性を基に定められるノイズ特定域にあるかどうかによりノイズが特定される。
点火プラグの対向電極をイオン電流検出電極として用いる場合には、当該点火プラグにおけるスパイクノイズ(異常帯電ノイズ)やCRダレノイズがイオン電流信号に重畳することが考えられる。この場合、各種ノイズはその発生要因毎に出力特性が概ね決まっており、燃焼イオン特性とノイズ特性とは、イオン電流信号の信号出力時間と信号ピーク値とをパラメータとするイオン電流信号特性データとしてデータ化することができる。従って、前記イオン電流信号特性データを用いることでノイズ成分を好適に特定することができる。それ故本発明によれば、ノイズの特定が可能となり、ひいては当該ノイズの影響を排除して正しくイオン電流を検出することができるようになる。またこのとき、イオン電流信号特性データは容易にマップ化でき、そのマップデータを用いる構成とすれば、ノイズ判定の処理について簡易化を図ることができる。
請求項に記載の発明では、燃料の燃焼時に点火プラグの対向電極間を通じて流れるイオン電流が検出され、該イオン電流の検出信号(イオン電流信号)が所定のしきい値以上となる信号出力時間が検出されると共に、イオン電流の信号ピーク値が検出される。そして、前記信号出力時間と前記信号ピーク値とをパラメータとして燃焼イオン特性とノイズ特性とを表すイオン電流信号特性データを用い、その都度の前記信号出力時間と前記信号ピーク値とが、前記ノイズ特性を基に定められる失火判定域にある場合に失火が発生したと判定される。また、同じくイオン電流信号特性データを用い、その都度の前記信号出力時間と前記信号ピーク値とが、前記失火判定域内において前記ノイズ特性を基に定められるノイズ特定域にあるかどうかによりノイズが特定される。
前述の通り点火プラグの対向電極をイオン電流検出電極として用いる場合には、当該点火プラグにおけるスパイクノイズ(異常帯電ノイズ)やCRダレノイズがイオン電流信号に重畳することが考えられる。この場合、各種ノイズはその発生要因毎に出力特性が概ね決まっており、燃焼イオン特性とノイズ特性とは、イオン電流信号の信号出力時間と信号ピーク値とをパラメータとするイオン電流信号特性データとしてデータ化することができる。従って、前記イオン電流信号特性データを用いることでノイズ成分を好適に特定することができる。それ故本発明によれば、ノイズの特定が可能となり、ひいては当該ノイズの影響を排除して正しくイオン電流を検出することができるようになる。またこのとき、イオン電流信号特性データは容易にマップ化でき、そのマップデータを用いる構成とすれば、失火判定やノイズ判定の処理について簡易化を図ることができる。
また、従来この種の失火判定装置では、失火判定とノイズ判定とを区別せずに一様な判定を行う(すなわち、失火発生=ノイズとする)ものが存在するが、上記請求項の構成によれば、失火判定域内に設定したノイズ特定域にてノイズを特定するため、失火判定した際においてノイズ判定を併せて実施することができる。
請求項に記載の発明では、失火判定域にあると判定された信号出力時間と信号ピーク値とが無効化され、履歴データに残されないため、イオン電流の信号出力時間と信号ピーク値との履歴データに基づいて内燃機関の燃焼状態を判定する場合において、燃焼状態を精度良く判定することができるようになる。
請求項に記載の発明では、その時のイオン電流の検出信号がノイズ特定域にある旨判定された時に、該判定結果に基づいてその時内燃機関に装着されている点火プラグが異種プラグであると判定される。要するに、プラグ型式やプラグメーカが異なる、又はプラグ特性が規格外となるなどの異種プラグが内燃機関に装着されている場合、多重スパイクノイズやCRダレノイズが発生するため、当該ノイズ判定時には異種プラグであると判定する。こうして異種プラグ判定を行うことにより、プラグ装着の状況を細かく把握できるようになる。
請求項に記載の発明では、点火プラグが異種プラグであると判定された時それを表すダイアグ情報を記憶する一方、その異種プラグ判定だけでは前記失火フェイルセーフ処置を実施しないようにした。異種プラグを装着していても必ずしも失火異常になるとは限らず、失火フェイルセーフ処置を必要としない場合もあり得る。請求項の構成によれば、実際には失火異常となっていないのに、不要なフェイルセーフ処置が実施されるといった不都合が回避できる。具体的には、失火フェイルセーフ処置は故障警告灯(ダイアグランプ)を点灯させるなどして失火異常発生をドライバ等に報知する処置等であり、失火異常となっていないのに故障警告灯が点灯されて修理工場等での点検や修理が行われるという不都合が回避できる。特に請求項等の発明によれば、失火判定の精度が向上していることから、異種プラグ判定時に直ちに失火フェイルセーフ処置を実施する必然性も無いと言える。
請求項に記載の発明では、前記ノイズ特定手段は、燃料カット時であることを条件にノイズの特定を実施する。燃料カット時には、燃焼イオンが発生しないため、イオン電流信号はノイズ成分のみとなる。従って、より確実にノイズの特定が実施できる。
請求項に記載の発明では、内燃機関の回転状態に基づいてノイズ種別が特定される。つまり、内燃機関の高回転時か低回転時かでどのノイズが顕著に検出できるかが異なり、例示すると、多重スパイクノイズに関しては、信号出力時間が比較的短く且つ信号ピーク値が比較的高いため、内燃機関の低回転時に好適に特定できる。また、CRダレノイズに関しては、信号出力時間が比較的長く且つ信号ピーク値が比較的低いため、内燃機関の高回転時に好適に特定できる。従って請求項によれば、多重スパイクノイズやCRダレノイズの特定を適正に実施することができるようになる。
燃機関の運転状態と前記イオン電流信号特性データとの関係が予め規定されており、燃焼イオン特性上の機関回転数とノイズ特性上の機関回転数との差が大きくなる所定の機関運転状態下でノイズ種別が特定される。例えば、多重スパイクノイズは信号出力時間が比較的短いため、内燃機関の低回転時において燃焼イオン特性との差が大きくなり、CRダレノイズは信号出力時間が比較的長いため、内燃機関の高回転時において燃焼イオン特性との差が大きくなる。こうした関係を用いれば、多重スパイクノイズやCRダレノイズの特定を適正に実施することができるようになる。
請求項10に記載の発明では、前記イオン電流信号特性データに基づき、信号出力時間をパラメータとして信号ピーク値の判定レベルが設定されると共に信号ピーク値をパラメータとして信号出力時間の判定レベルが設定され、その都度の信号出力時間及び信号ピーク値を前記各判定レベルとそれぞれ比較することによりイオン電流の検出信号が判定される。つまりこの場合、各判定レベルとの比較により、イオン電流信号の有効判定(請求項1)や、ノイズの特定(請求項3,4)や、失火判定(請求項)が実施される。
請求項11に記載の発明では、前記信号出力時間と前記信号ピーク値とよりなるイオン電流信号特性データに基づいてイオン電流信号の判定を実施する第1判定と、前記信号出力時間を使わず前記信号ピーク値に基づいてイオン電流信号の判定を実施する第2判定とが切り替えて実施される。2つの判定手法が適宜切り替えられて実施されるため、その都度の状況に合わせた適切な判定が実現できる。例えば、点火プラグがくすぶっている場合には、プラグ漏れ電流により信号出力時間が正しく検出できないため、第1判定に代えて第2判定を実施する。
請求項12に記載の発明では、1燃焼に付随して複数の信号出力時間が検出されるとき、その中で最長となる時間が信号出力時間とされるため、最長時間よりも短い信号出力時間は失火判定等を実施する上で無視される。この場合、失火の誤判定等が抑制され、その信頼性が向上する。
請求項13に記載の発明では、ラッチ時間検出機能とAD変換機能とを有するマイクロコンピュータ等の信号処理ユニットにより信号処理が一括して実施されるため、複雑なハード回路構成が不要となり、信号処理回路を実現する上で低コスト化や小型化を図ることができる。
以下、本発明を具体化した一実施の形態を図面に従って説明する。本実施の形態は、車両用ガソリン噴射エンジンの点火システムとして具体化されるものであり、同点火システムではエンジン制御用の電子制御装置(以下、ECUという)を中心に点火時期制御等が
実施される。
まず、図1に基づいて点火制御系及びイオン電流検出系の回路構成を説明する。点火コイル11の一次コイル11aの一端は電源(+B)側に接続され、該一次コイル11aの他端は点火制御用のトランジスタ12のコレクタに接続されている。トランジスタ12のエミッタは接地され、ベースには、後述するECU30より点火信号が印加される。トランジスタ12は点火制御用スイッチング素子として機能するものであり、勿論他のスイッチング素子であっても良い。
また、点火コイル11の二次コイル11bの一端は点火プラグ14に接続され、該二次コイル11bの他端は2つのツェナーダイオード15,16を介して接地されている。2つのツェナーダイオード15,16は互いに逆向きに直列接続され、一方のツェナーダイオード15にコンデンサ17が並列に接続され、他方のツェナーダイオード16にイオン電流検出抵抗18が並列に接続されている。コンデンサ17とイオン電流検出抵抗18との間の電位がイオン電流信号としてECU30に出力される。これらツェナーダイオード15,16、コンデンサ17及びイオン電流検出抵抗18等により、イオン電流検出手段としてのイオン電流検出回路19が構成されている。
エンジン運転中は、ECU30から出力される点火信号の立ち上がり/立ち下がりでトランジスタ12がオン/オフする。トランジスタ12がオンすると、電源(+B)から一次コイル11aに一次電流が流れ、その後、トランジスタ12がオフすると、一次コイル11aの一次電流が遮断されて二次コイル11bに高電圧が電磁誘導され、この高電圧によって点火プラグ14の対向電極間に火花放電が発生する。この際、火花放電電流は図のA方向に(すなわち、点火プラグ14の接地電極から中心電極に)流れ、二次コイル11bを経てコンデンサ17に充電されると共に、ツェナーダイオード15,16を経てグランド側に流れる。コンデンサ17の充電後は、ツェナーダイオード15のツェナー電圧によって規制されるコンデンサ17の充電電圧を電源として、後述するようにイオン電流が検出される。
点火終了後は、コンデンサ17の充電電圧によって点火プラグ14の対向電極間に電圧が印加されるため、エンジン燃焼室内で混合気が燃焼する際に発生するイオン電流は、火花放電電流とは反対に図のB方向に(すなわち、点火プラグ14の中心電極から接地電極に)流れ、更にグランド側からイオン電流検出抵抗18を通ってコンデンサ17に流れる。この際、イオン電流検出抵抗18に流れるイオン電流の変化に応じてイオン電流信号が変化し、そのイオン電流信号がECU30に取り込まれる。
ECU30内には、信号処理ブロック31とメイン制御ブロック32と信号比較部33とが設けられている。前記イオン電流検出回路19より出力されるイオン電流信号は、信号比較部33に入力される一方、そのまま信号処理ブロック31に入力される。信号比較部33では、イオン電流信号と所定のしきい値電圧Vthとが比較され、イオン電流信号の電位がしきい値電圧Vthを上回れば信号比較部33から信号処理ブロック31にHレベルのラッチ信号が出力され、逆にイオン電流信号の電位がしきい値電圧Vthを下回れば信号比較部33から信号処理ブロック31にLレベルのラッチ信号が出力される。
信号処理ブロック31では、ラッチ信号がHとなるラッチ時間(後述する信号出力時間Ti)が検出されると共に、一定の時間周期でイオン電流信号がAD変換処理される。図3は、燃焼時におけるイオン電流信号の変化を示すタイムチャートであり、図中の黒丸はイオン電流信号のAD変換タイミングを示す。イオン電流信号の変化に伴い、図示の如くラッチ信号が生成される。
メイン制御ブロック32では、その都度のエンジン運転状態に基づいて点火時期制御が実施される。すなわち、メイン制御ブロック32にはその都度のエンジン運転状態を表す各種センサ信号が入力され、該メイン制御ブロック32で前記センサ信号に基づいて点火信号が生成される。この点火信号により、前述したようにトランジスタ12がオン/オフされ、その際火花放電により正常に着火されると、燃焼室内に導入された混合気が燃焼に供される。また、メイン制御ブロック32では、イオン電流信号の状態に基づいて失火判定やノイズ判定が適宜行われるようになっている。なお、信号処理ブロック31やメイン制御ブロック32はマイクロコンピュータ等の演算装置により実現される。
ここで、点火プラグ14の要部構成を図2の半断面図を用いて説明する。
点火プラグ14は、金属製のハウジング41、絶縁碍子42、電極部材(中心電極43、接地電極44)、抵抗体45及びステム46等を主要な構成とするものであり、ハウジング41により絶縁碍子42の支持及び点火プラグ14のエンジンへの取り付けが行われ、絶縁碍子42によりハウジング41と中心電極43とが絶縁される構成となっている。なお、ハウジング41にはその外周にネジ部41aが設けられており、このネジ部41aにより本点火プラグ14がエンジンのシリンダヘッド等に装着される。
絶縁碍子42にはその中心に貫通孔48が設けられており、その貫通孔48に中心電極43、抵抗体45及びステム46が収容保持されている。中心電極43と抵抗体45との間、抵抗体45とステム46との間には導電性ガラスからなるガラスシール層49a,49bがそれぞれ設けられている。中心電極43は絶縁碍子42の先端部(図の下端部)より一部突出している。図示を略すが、ステム46の上端部には端子が接続されている。
絶縁碍子42は軸線方向に見てその外径が大小異なるように形成されており、ここでは、絶縁碍子42を上段部42a、中段部42b及び下段部42cに大別して説明を行うこととする。この場合、中段部42bは微小クリアランス(例えば0.1mm程度)にてハウジング41に対向する部位であり、その上端テーパ部(上段部42aとの連結部)及び下端テーパ部(下段部42cとの連結部)にはそれぞれ金属パッキン51,52が配設されている。そして、ハウジング41の上端部が全周にわたってカシメ変形されることで、ハウジング41内に絶縁碍子42が固定されるようになっている。下段部42cは中段部42bよりも細く、先端に近づくほどより細くなるよう構成されている。ハウジング41の図の下端部には、中心電極43と所定の放電ギャップを隔てるようにして接地電極44が溶接固定されている。
次に、イオン電流信号に基づいて実施される失火判定処理の概要を図4のタイムチャートを用いて説明する。図4において、(a)は点火信号を、(b)は失火検出区間を、(c)は正常燃焼した時の燃焼時イオン電流信号を、(d)は失火時における失火時イオン電流信号(その1)を、(e)は失火時における失火時イオン電流信号(その2)を、それぞれ示す。ここでははじめに、(c)の燃焼時イオン電流信号を用いて正常燃焼時の動作を説明する。
点火信号の立ち上がりに伴う通電開始時には通電ノイズが発生する。その後、点火信号の立ち下がりに伴い点火プラグ14の対向電極間に高電圧が印加され、点火プラグ14の対向電極間で火花放電が発生する。
点火プラグ14の火花放電直後には、点火コイル11の二次側の浮遊容量に残った電荷がLC共振により振動減衰し、イオン電流信号にLC共振波形の残留磁気ノイズが重畳する。その後、点火プラグ14の火花放電により着火し火炎が拡散する過程で燃焼室内に燃焼イオンが発生するため、LC共振後に点火プラグ14の対向電極間にイオン電流が流れ
始める。
失火検出区間では、イオン電流信号が所定のしきい値電圧Vth以上となる時間(以下、これを信号出力時間Tiという)が求められると共に、同イオン電流信号が最大となる電流値(以下、これを信号ピーク値Ipという)が求められる。そして、この信号出力時間Tiと信号ピーク値Ipとに基づいて失火判定が行われる。
これに対し、図4(d)に示す失火時イオン電流信号(その1)では、失火時であるため燃焼イオンは発生せず、スパイクノイズ(異常帯電ノイズ)が発生している。これにより、イオン電流信号にスパイクノイズ波形が現れる。スパイクノイズは、点火プラグ14に帯電した電荷が放電によりグランド側にリークする過程で単発的又は連続的に発生するスパイク状のノイズである。
また、図4(e)に示す失火時イオン電流信号(その2)では、火花放電に伴い残留磁気ノイズが発生した後、それに引き続いてCRダレノイズが発生しており、イオン電流信号にCRダレノイズ波形が現れる。このCRダレノイズは、点火プラグ14において絶縁碍子42の中段部42b(図2参照)の容量成分(C1)と抵抗成分(Rp)とに起因して発生するノイズであり、電気的構成からすると、図1に示すように容量C1と抵抗Rpとが直列接続されることで生じると考えられる。すなわち、絶縁碍子42の中段部42bでは、ハウジング41と絶縁碍子42間のクリアランスが通常約0.1mmと小さいために、中心電極43で電圧変動が発生する時、前記クリアランスにより形成される空気層を通じて容量C1とグランド(ハウジング)間が一時的に導通状態になる。Rpは導通状態時の空気層の抵抗成分である。放電終了時には、容量C1の電荷分が抵抗Rpを介して時定数を持って遅れて抜けるため、残留磁気ノイズ発生後に信号ダレが発生する。
本願発明者らによれば、点火プラグ14の型式やメーカ毎の設計製造方法差などによりCRダレノイズ発生に差異があることが確認されており、本来指定されていない別の型式の点火プラグ14や規格外れの点火プラグ14などの異種プラグを使用した場合においてCRダレノイズが発生することが分かっている。本実施の形態は、CRダレノイズによる失火の誤判定などを防止する目的で、そのノイズ対策を講じるものである。また、前述したスパイクノイズについても同様に、異種プラグを用いることで当該スパイクノイズが連続的に発生して多重スパイクノイズとなり、失火の誤判定を招く可能性があることが確認されており、それについても対策を講じる。併せて、異種ノイズ判定も行うこととしている。
図5には、CRダレノイズの発生時におけるイオン電流信号の信号出力時間と信号ピーク値との関係を調査した結果を示す。同結果において、各サンプル1〜3は概ね同様の特性を呈し、CRダレノイズに関して信号ピーク値が高い時ほど、信号出力時間が長くなるようになっている。
ECU30(信号処理ブロック31)では、イオン電流信号に基づいて信号出力時間Tiと信号ピーク値Ipとを算出することとしており、その算出方法を説明する。特にここでは、燃焼時のイオン電流信号に単発的なスパイクノイズ等が重畳した場合に、そのノイズの影響を受けずに正確に信号出力時間Tiや信号ピーク値Ipが算出できる手法について説明する。図6は、スパイクノイズ等のノイズ波形を示す図面である。
はじめに、スパイクノイズや残留磁気ノイズは何れも点火系の二次側の浮遊容量C2とインダクタンスL2等からなる直列共振回路を介してイオン電流信号に重畳するため、スパイクノイズや残留磁気ノイズの基本周波数fは共に次の(1)式で求められる。
Figure 0004134880
通常の回路構成では、上記ノイズの基本周波数fは4kHz付近となる。故に、ノイズ周期Tnは約250μsとなる。
この場合、イオン電流信号のAD変換周期Tadを、Tad<(1/2)*Tnの関係が成立するように設定することとし、具体的には、Tad=100μsとする。そして、イオン電流信号の連続する前後3つのAD値(ADi,ADi-1,ADi-2)を用い、その
3つのAD値のうち最小値を、今回有効とするAD(i)値とする。具体的には次の(2
)式による。
AD(i)=min(ADi,ADi-1,ADi-2) …(2)
図6で確認すると、連続する3つのAD値のうち、上位2つのAD値を排除し、最下位のAD値を採用することにより、スパイクノイズ等の正側ピーク分の影響を受けずにAD(i)値を得ることができるようになる。
また、次の(3)式を用い、時系列的に多数算出されたAD(i)値からその最大値を
信号ピーク値Ip(i)として算出する。
Ip(i)=max(AD(i),Ip(i-1)) …(3)
更に、図3に示すように、ラッチ信号がHレベルとなる(すなわち、イオン電流信号の電位がしきい値電圧Vth以上となる)ラッチ時間Tr(i-1),Tr(i)から、最長のものを信号出力時間Ti(i)として算出する。具体的には次の(4)式による。
Ti(i)=max(Tr(i),Ti(i-1)) …(4)
以上により、燃焼時のイオン電流信号に単発的なスパイクノイズ等が重畳しても、そのノイズの影響を受けずに正確に信号出力時間Tiや信号ピーク値Ipが算出できるようになる。
一方、ECU30(メイン制御ブロック32)では、上記の如く算出した信号出力時間Tiと信号ピーク値Ipとに基づいて失火判定と異種プラグ判定とを実施する。図7は、信号出力時間Tiと信号ピーク値Ipとをパラメータとするイオン電流信号特性を示しており、同特性上には燃焼イオン特性とノイズ特性とが表され、それら燃焼イオン特性とノイズ特性とに基づいて失火判定域とノイズ特定域とが区画設定されている。
図7のA領域は、正常に燃焼イオンが発生する場合の燃焼イオン特性に対応した領域であり、かかる場合には、信号出力時間Ti、信号ピーク値Ipは概ね同様にA領域内の数値となる。なおこのとき、TiやIpが領域A内のどの程度の数値になるかはエンジン運転状態によって決まり、例えば、アイドル時などの低回転時にはTiは比較的長く、Ipは比較的小さい数値となり、高回転時にはTiは比較的短く、Ipは比較的大きい数値となる。
また、図7のB〜D領域はノイズ特性に対応した領域であり、B領域は残留磁気ノイズに対応した領域、C領域はスパイクノイズに対応した領域、D領域はCRダレノイズに対応した領域となっている。
各ノイズ出力を燃焼イオンとして誤検出すると、失火が誤判定される等の不都合が生じることから、本実施の形態では、各ノイズ領域を含むようにして失火判定域を区画設定することとしており、図7では、一点鎖線で示す境界線Lを基準に失火判定域を区画設定している。また、失火判定域内に、スパイクノイズやCRダレノイズを特定するためのノイ
ズ特定域を区画設定している(図7中、点線で区画した領域)。この場合、信号ピーク値Ipの判定レベルを一定値としている従来一般の装置と比較すると、信号ピーク値Ipの判定レベルを複数段階に設定することで失火判定域を一部拡張し、その拡張部分にノイズ特定域を設けている点が大きく相違する。なお図7では、信号ピーク値Ipの判定レベルと信号出力時間Tiの判定レベルとを共に3段階に設定している。なお、失火判定域外の領域は、イオン電流信号を有効とする有効領域でもあり、Ip、Tiが当該領域にあることでイオン電流信号の有効判定が可能となる。
次に、ECU30による実際の処理内容を図8〜図10のフローチャートに基づいて説明する。
図8は、ECU30における信号処理ブロック31の信号処理ルーチンを示すフローチャートである。この信号処理ルーチンは、例えばAD変換周期(本実施の形態では100μs)に合わせて実行され、本ルーチンにより、イオン電流信号の信号ピーク値Ipと信号出力時間Tiとが算出される。
図8において、先ずステップS101では、メイン制御ブロック32から送られてきた失火検出区間指示値を読み込み、続くステップS102では、今現在、失火検出区間にあるか否かを判別する。また、ステップS103では、イオン電流信号のADi値(今回A
D値)が更新されたか否かを判別する。そして、失火検出区間であり、且つADi値の更
新が完了していることを条件に、ステップS104で、今回有効とするAD(i)値を算
出すると共に信号ピーク値Ipを算出する。その詳細は説明済みであり、ここでは説明を省略する。
その後、ステップS105では、イオン電流信号の信号出力時間Tiが更新されたか、すなわちラッチ信号の立ち下がりに伴い今回新たにTi値が算出されたか否かを判別する。そして、Ti値が更新されたことを条件に、ステップS106で、信号出力時間Tiを算出する。その詳細は説明済みであり、ここでは説明を省略する。
その後、ステップS107では失火検出区間の終了を確認する。失火検出区間終了であれば、ステップS108で、前記算出した信号ピーク値Ipと信号出力時間Tiとをメイン制御ブロック32に送り、最後にステップS109で、ADi値やAD(i)値等の初
期化処理を実施する。
図9は、ECU30におけるメイン制御ブロック32の失火判定ルーチンを示すフローチャートである。この失火判定ルーチンは例えば所定時間周期(本実施の形態では2ms)で実行され、本ルーチンにより、失火判定及び異種プラグ判定が実施される。
図9において、先ずステップS201では、信号処理ブロック31から送られてきた信号ピーク値Ipと信号出力時間Tiとを読み込む。その後、ステップS202では、点火プラグ14がくすぶっていないか否かを判別する。このプラグくすぶりの判定は任意の手法によればよいが、例えば漏れ電流の計測値に基づいて実施する。点火プラグ14がくすぶっている場合には、漏れ電流等により信号出力時間Tiが正しく算出できないことから、信号出力時間Tiを使わず信号ピーク値Ipによって失火判定を実施する(ステップS203)。信号ピーク値Ipによる失火判定手法は従来通りの判定手法であり、その説明は省略する。プラグくすぶり時には、後述する異種プラグ判定も実施しない。
点火プラグ14がくすぶっていない場合にはステップS204以降に進む。ステップS204では、前記読み込んだ信号ピーク値Ipと信号出力時間Tiとにより失火判定を実施する。このとき、前記図7のイオン電流信号特性をマップ化したデータを用い、信号ピ
ーク値Ipと信号出力時間Tiとがイオン電流信号特性上の失火判定域にあるか否かを判別する。そして、失火判定域になければ、燃焼イオンが正常に計測されたのであるため、着火したと判定してそのまま本ルーチンを終了する。これに対して、失火判定域にあれば、燃焼イオンが正常に計測されず、失火したと判定して後続のステップS205に進む。その後、水温条件、エンジン運転条件等の失火判定条件が成立していれば(ステップS205がYES)、ステップS206で失火フラグをオンする。
その後、ステップS207では、異種プラグ判定条件が成立しているか否かを判別する。異種プラグ判定条件には、燃料カット状態であることが含まれる。その他、低回転域であることを異種プラグ判定条件に盛り込んでも良い。異種プラグ判定条件が成立していれば、ステップS208に進み、前記信号ピーク値Ipと信号出力時間Tiとにより異種プラグ判定を実施する。このとき、前記図7のイオン電流信号特性をマップ化したデータを用い、信号ピーク値Ipと信号出力時間Tiとがノイズ特定域にあるか否かを判別する。そして、ノイズ特定域にあれば、今回のイオン電流信号がノイズ出力によるものであると判断する。ノイズ出力であることは、すなわち異種プラグ装着によるものであると推測できることからその旨判定する。
ステップS208がYESであれば、続くステップS209で異種プラグフラグをオンする。最後に、ステップS210では、信号ピーク値Ipと信号出力時間Tiの今回値、すなわち失火発生時のIp値、Ti値を共に0にクリアする。
前記図9の失火判定ルーチンでは、失火発生であると判定した際にその時の信号出力時間Ti及び信号ピーク値Ipを0にクリア、すなわち無効化するようにしている。これは以下の理由による。ECU30においては、信号出力時間Tiや信号ピーク値Ipの履歴データから燃焼ラフネス等を算出し、これにより燃焼状態の判定を行うようにしている。このとき、ノイズ出力時のTi,Ipデータが使われると、燃焼状態判定の精度が低下してしまうが、ノイズ出力データを無効化することにより、燃焼状態判定の精度を維持することができる。
図10は、ECU30におけるメイン制御ブロック32のダイアグ処理ルーチンを示すフローチャートである。このダイアグ処理ルーチンは例えば所定時間周期(本実施の形態では2ms)で実行され、本ルーチンにより、ダイアグコード情報の格納等が実施される。
図10において、先ずステップS301では、失火異常(故障発生)と判定すべきか否かを判別する。具体例として、失火フラグに基づいて失火率を算出し、その失火率の算出結果から、全点火のうち所定比率(例えば3%)で失火が発生していれば失火異常であると判定する。失火異常である場合、ステップS302に進み、失火ダイアグコードをEEPROMやスタンバイRAM等のバックアップ用メモリに記憶したり、フェイルセーフ処理の1つとして失火表示ランプ(ダイアグランプ)の点灯処理を実施したりする。
また、ステップS303では、異種プラグと判定すべきか否かを判別する。具体例として、異種プラグフラグがセットされる頻度に基づいて異種プラグ判定を実施する。異種プラグであると判定した場合、ステップS304に進み、異種プラグダイアグコードをEEPROMやスタンバイRAM等のバックアップ用メモリに記憶する。但し、異種プラグを装着していても必ずしも失火異常になるとは限らないため、異種プラグの判定時には、失火判定時とは異なり、ダイアグランプの点灯処理は実施しない。
なお、異種プラグが装着されていると判定された時には、ノック制御や点火時期制御等はそのまま継続されるが、異種プラグ装着時用の補正値を用意しておき、その補正値を用
いた制御に切り替えるようにしても良い。
以上詳述した本実施の形態によれば、以下の優れた効果が得られる。
信号出力時間Tiと信号ピーク値Ipとをパラメータとするイオン電流信号特性データ(図7)を用い、その都度の信号出力時間Tiと信号ピーク値Ipとが、失火判定域にあるかどうかを判定するとともに、失火判定域内に設定したノイズ特定域にあるかどうかによりノイズを特定するようにしたため、ノイズの特定が好適に実施でき、当該ノイズの影響を排除して正しくイオン電流を検出することができるようになる。この場合、イオン電流信号特性データ(図7)上で、失火判定域内にノイズ特定域を設定したため、失火判定した際においてノイズ判定を併せて実施することができる。
また、前記イオン電流信号特性データ(図7)を用いることにより、その時の装着プラグが異種プラグであること、すなわち管理されていない点火プラグであることを判定できる。故に、プラグ装着の状況を細かく把握できるようになる。
また、イオン電流信号特性をマップ化し、そのマップデータを用いて、失火判定や異種プラグ判定を実施する構成としたため、これらの判定処理について簡易化を図ることができる。
なお、本発明は上記実施の形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施しても良い。
上記実施の形態では図9の失火判定ルーチンにおいて、点火プラグ14がくすぶっているか否かにより、信号ピーク値Ipによる失火判定(ステップS203:第2判定)と、信号出力時間Ti及び信号ピーク値Ipによる失火判定(ステップS204以降:第1判定)とを切り替えて実施する構成としたが、それ以外に、エンジン運転条件で前記2つの失火判定手法を使い分ける構成としても良い。
また、点火プラグ14のくすぶり判定を行わず、くずぶりの有無にかかわらず信号出力時間Ti及び信号ピーク値Ipによる失火判定を実施する構成としても良い。但しこの場合、プラグくすぶり時には、プラグ漏れ電流によりイオン電流の信号レベルがシフトするため、漏れ電流分の補正を併せて実施することが望ましい。因みに、漏れ電流は、燃焼イオン消滅後の漏れ電流検出区間にて計測される。
異種プラグであるとの推測がなされた時(すなわち図9のフローで異種プラグフラグがオンした時)に、ノイズ種別を判定する構成としても良い。例えば、図7のイオン電流信号特性において、どのノイズ領域にあるかでノイズ種別を判定する。また、エンジンの回転状態に基づいてノイズ種別を特定しても良い。つまり、エンジンの高回転時か低回転時かでどのノイズが顕著に検出できるかが異なり、エンジンの低回転時においてノイズ発生が判定(異種プラグ判定)されれば多重スパイクノイズであると特定でき、エンジンの高回転時においてノイズ発生が判定(異種プラグ判定)されればCRダレノイズであると特定できる。
上記実施の形態では、イオン電流信号特性をマップ化したデータを用いて失火判定や異種プラグ判定を実施したが、これを以下のように変更しても良い。イオン電流信号特性データに基づき、信号出力時間Tiをパラメータとして信号ピーク値Ipの判定レベルを設定すると共に信号ピーク値Ipをパラメータとして信号出力時間Tiの判定レベルを設定し、その都度の信号出力時間Ti及び信号ピーク値Ipを前記各判定レベルとそれぞれ比較することにより失火判定や異種プラグ判定を実施する。かかる場合、エンジン運転状態
に応じて、信号出力時間Ti、信号ピーク値Ipの各判定レベルを調整することも可能である。
信号出力時間Tiを算出するためのラッチ信号しきい値(図1の信号比較部33のしきい値電圧Vth)にヒステリシスを設ける構成としても良い。これにより、ラッチ信号の過剰なH/L切替を防止する。また、エンジン運転状態(エンジン負荷、エンジン回転数等)や点火プラグ14の状態(くすぶり状態など)に応じて、しきい値電圧Vthを可変設定しても良い。
点火プラグの碍子部やハウジングの長さを延長した、いわゆるロングリーチプラグを採用してイオン電流検出装置を実現しても良い。ロングリーチプラグの場合、碍子部や金属ハウジングが長くなることにより、前述したCRダレノイズ等の問題がより顕著になると考えられるが、かかる場合であっても前記同様優れた効果を得ることができる。
イオン電流計測電極として、点火プラグの対向電極以外を用いることも可能である。要は、燃焼室内に一対の電極を設け、その電極間に流れるイオン電流が計測できる構成であればよい。その意味で、点火プラグを持たないエンジン、例えばディーゼルエンジンにも本発明が適用できる。
発明の実施の形態における点火制御システムの概略を示す構成図である。 点火プラグの構成を示す半断面図である。 イオン電流信号の波形図である。 点火時におけるイオン電流信号の波形図である。 CRダレノイズ特性を示す図である。 イオン電流信号のAD変換タイミングを示す波形図である。 イオン電流信号特性を示す図である。 信号処理ルーチンを示すフローチャートである。 失火判定ルーチンを示すフローチャートである。 ダイアグ処理ルーチンを示すフローチャートである。
符号の説明
11…点火コイル、11a…一次コイル、11b…二次コイル、14…点火プラグ、19…イオン電流検出回路、30…ECU、31…信号処理ブロック、32…メイン制御ブロック、43…中心電極、44…接地電極。

Claims (13)

  1. 燃料の燃焼時に発生するイオン電流を検出するイオン電流検出手段と、
    イオン電流の検出信号を所定のしきい値と比較し、当該検出信号がしきい値以上となる信号出力時間を検出する信号出力時間検出手段と、
    前記イオン電流の信号ピーク値を検出する信号ピーク値検出手段と、
    前記信号出力時間と前記信号ピーク値とをパラメータとして燃焼イオンの発生に関する燃焼イオン特性と前記検出信号に重畳するノイズの発生に関するノイズ特性とを表すイオン電流信号特性データを用い、その都度の前記信号出力時間と前記信号ピーク値とが、前記ノイズ特性を基に定められる失火判定域にある場合に失火が発生したと判定するイオン信号判定手段と、
    を備えたことを特徴とする内燃機関のイオン電流検出装置。
  2. 前記信号出力時間と前記信号ピーク値との履歴データを記憶保持し、該履歴データに基づいて内燃機関の燃焼状態を判定する燃焼状態判定装置に適用され、前記イオン信号判定手段によりその時の前記信号出力時間と前記信号ピーク値とが前記失火判定域にあると判定された時、その時該当する信号出力時間と信号ピーク値との少なくとも何れかを前記履歴データに残さないようにするデータ無効化手段を備えた請求項1記載の内燃機関のイオン電流検出装置。
  3. 内燃機関の燃焼室に設けられた点火プラグと、
    燃料の燃焼時に前記点火プラグの対向電極間を通じて流れるイオン電流を検出するイオン電流検出手段と、
    イオン電流の検出信号を所定のしきい値と比較し、当該検出信号がしきい値以上となる信号出力時間を検出する信号出力時間検出手段と、
    前記イオン電流の信号ピーク値を検出する信号ピーク値検出手段と、
    前記信号出力時間と前記信号ピーク値とをパラメータとして燃焼イオンの発生に関する燃焼イオン特性と前記検出信号に重畳するノイズの発生に関するノイズ特性とを表すイオン電流信号特性データを用い、その都度の前記信号出力時間と前記信号ピーク値とが、前記ノイズ特性を基に定められるノイズ特定域にある場合にノイズが発生したと特定するノイズ特定手段と、
    を備えたことを特徴とする内燃機関のイオン電流検出装置。
  4. 内燃機関の燃焼室に設けられた点火プラグと、
    燃料の燃焼時に前記点火プラグの対向電極間を通じて流れるイオン電流を検出するイオン電流検出手段と、
    イオン電流の検出信号を所定のしきい値と比較し、当該検出信号がしきい値以上となる信号出力時間を検出する信号出力時間検出手段と、
    前記イオン電流の信号ピーク値を検出する信号ピーク値検出手段と、
    前記信号出力時間と前記信号ピーク値とをパラメータとして燃焼イオンの発生に関する燃焼イオン特性と前記検出信号に重畳するノイズの発生に関するノイズ特性とを表すイオン電流信号特性データを用い、その都度の前記信号出力時間と前記信号ピーク値とが、前記ノイズ特性を基に定められる失火判定域にある場合に失火が発生したと判定する失火判定手段と、
    同じくイオン電流信号特性データを用い、その都度の前記信号出力時間と前記信号ピーク値とが、前記失火判定域内において前記ノイズ特性を基に定められるノイズ特定域にあるかどうかによりノイズを特定するノイズ特定手段と、
    を備えたことを特徴とする内燃機関のイオン電流検出装置。
  5. 前記信号出力時間と前記信号ピーク値との履歴データを記憶保持し、該履歴データに基づいて内燃機関の燃焼状態を判定する燃焼状態判定装置に適用され、前記失火判定手段により失火判定域にあると判定された信号出力時間と信号ピーク値とを前記履歴データに残さないようにするデータ無効化手段を備えた請求項4記載の内燃機関のイオン電流検出装置。
  6. 前記ノイズ特定手段によりその時のイオン電流の検出信号がノイズ特定域にある旨判定された時、該判定結果に基づいてその時内燃機関に装着されている点火プラグを異種プラグであると判定する請求項3乃至5の何れかに記載の内燃機関のイオン電流検出装置。
  7. 失火が多発した時に失火異常であると判定し、その失火異常時にそれに対応する失火フェイルセーフ処置を実施する内燃機関用制御装置に適用され、前記点火プラグが異種プラグであると判定された時それを表すダイアグ情報を記憶する一方、その異種プラグ判定だけでは前記失火フェイルセーフ処置を実施しない請求項6記載の内燃機関のイオン電流検出装置。
  8. 前記ノイズ特定手段は、燃料カット時であることを条件にノイズの特定を実施する請求項3乃至7の何れかに記載の内燃機関のイオン電流検出装置。
  9. 前記ノイズ特定手段は、内燃機関の回転状態に基づいてノイズ種別を特定する請求項4乃至10の何れかに記載の内燃機関のイオン電流検出装置。
  10. 前記イオン電流信号特性データに基づき、前記信号出力時間をパラメータとして前記信号ピーク値の判定レベルを設定すると共に前記信号ピーク値をパラメータとして前記信号出力時間の判定レベルを設定する判定レベル設定手段を備え、その都度の信号出力時間及び信号ピーク値を前記各判定レベルとそれぞれ比較することによりイオン電流信号の判定を実施する請求項1乃至9の何れかに記載の内燃機関のイオン電流検出装置。
  11. 前記信号出力時間と前記信号ピーク値とよりなるイオン電流信号特性データに基づいてイオン電流信号の判定を実施する第1判定と、前記信号出力時間を使わず前記信号ピーク値に基づいてイオン電流信号の判定を実施する第2判定とを切り替えて実施可能とした請求項1乃至10の何れかに記載の内燃機関のイオン電流検出装置。
  12. 前記信号出力時間検出手段は、1燃焼に付随して複数の信号出力時間が検出されるとき、その中で最長となる時間を信号出力時間とする請求項1乃至11の何れかに記載の内燃機関のイオン電流検出装置。
  13. 前記信号出力時間を検出するためのラッチ時間検出機能と、前記信号ピーク値を検出するためのAD変換機能とを有するマイクロコンピュータ等の信号処理ユニットにより信号処理させる構成とした請求項1乃至12の何れかに記載の内燃機関のイオン電流検出装置。
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