JP4133943B2 - 圧力センサの故障検出装置 - Google Patents

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Description

本発明は、圧力センサの故障検出装置に関するものであり、特に、ノズルの目詰まり監視用の3個以上の圧力センサについて、故障の生じた圧力センサを効率よく自動的に検出することが可能な圧力センサの故障検出装置に関するものである。
従来の圧力センサの故障検出装置としては、例えば、自動車の吸気通路内のエアクリーナとスロットルバルブとの間に介装された圧力センサの故障を検出する装置であって、圧力センサの出力値の変化量が吸入空気量検出手段(エアフローセンサ)の出力値の変化量に見合った変化を示さない場合に、その圧力センサを故障と判定するようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、他の従来の圧力センサの故障検出装置として、例えば、圧力に応じて電気信号を出力する圧力センサとしての圧力検出用回路と、該圧力検出用回路に比較して高い感度で圧力に応じて電気信号を出力する故障検出用回路と、前記圧力検出用回路と故障検出用回路の各出力に基づいて前記圧力検出用回路の故障判定を行う故障判定手段とを備え、該故障判定手段は、前記両回路の出力を比較して圧力検出用回路の出力変化が検知された場合に、その圧力検出用回路を故障と判定するようにしたものが知られている(例えば、特許文献2参照)。
特開2003−56395号公報(第3頁、図1)。 特開2001−183254号公報(第2頁、図2)。
特許文献1に記載されている従来技術は、単一の圧力センサについての故障検出装置であり、その被検圧力センサの近傍に吸入空気量検出手段(エアフローセンサ)の配設を必要としている。
また、特許文献2に記載されている従来技術は、上記と同様に、単一の圧力センサについての故障検出装置であり、その被検圧力センサに対し、高感度で圧力に応じて電気信号を出力する故障検出用回路の併設を必要としている。
ところで、アスファルト乳剤散布用のノズルは、アスファルト乳剤を路面に均一に散布する必要から、複数個が設けられており、各ノズルの目詰まり監視用の圧力センサは、配設スペースにそれほど余裕のないノズル本体の部分にそれぞれ1個ずつが装備されている。このため、このノズル本体の部分に、さらに吸入空気量検出手段(エアフローセンサ)や高感度の故障検出用回路等を装備させることは困難である。また、各ノズルの目詰まり監視用の圧力センサは、散布装置の稼働中に常に正常に動作して、各ノズルの目詰まりを確実に監視しうるものが求められる。したがって、このような圧力センサの故障を検出する装置としては、高感度の故障検出用回路等の併設を必要とせずに、3個以上の複数の圧力センサについて、故障の生じた圧力センサを効率よく自動的に検出できるものが求められる。
そこで、ノズルの目詰まり監視用の3個以上の圧力センサについて、故障の生じた圧力センサを効率よく自動的に検出するために解決すべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明はこの課題を解決することを目的とする。
本発明は上記目的を達成するために提案されたものであり、請求項1記載の発明は、複数のノズル本体にそれぞれアスファルト乳剤散布用のノズルが備えられ、該ノズルによるアスファルト乳剤の散布停止時に、前記ノズル本体の内部に圧縮エアを供給するとともに該圧縮エアの供給停止後の前記ノズル本体の内部の圧力変化を圧力センサで検出し、該検出された圧力変化特性から前記ノズルの目詰まりを監視する構成における前記圧力センサの故障を検出する圧力センサの故障検出装置であって、前記ノズルによるアスファルト乳剤の散布停止時に、3個以上の前記ノズル本体の内部に圧縮エアを供給し、当該各ノズル本体に対応した3個以上の被検圧力センサで前記各ノズル本体の内部の圧力を検出するとともに前記各被検圧力センサの検出値の平均値を算出し、前記被検圧力センサの検出値と前記平均値との偏差が、予め定められた判定基準値以上の場合に当該被検圧力センサを故障と判定するように構成してなる圧力センサの故障検出装置を提供する。
この構成によれば、圧力センサの感圧部にアスファルト乳剤の固着等が生じると検出感度が劣化することがある。この検出感度の劣化により当該被検圧力センサの検出値が低下又は上昇した場合、この検出値の低下量又は上昇量が、3個以上の被検圧力センサの検出値の平均値に与える影響は、被検圧力センサ数の減少に応じて大きくなる。したがって、検出感度が劣化した被検圧力センサの検出値と前記平均値との偏差に対する影響も、被検圧力センサ数の減少に応じて大きくなる。このため、判定基準値は、被検圧力センサ数が減少しても、前記偏差が検出誤差内に埋もれず且つ、少々の偏差で故障と判定しないような所要の値に予め定められる。そして、被検圧力センサの検出値と各被検圧力センサの検出値の平均値との偏差が、上記のように定められた判定基準値以上の場合に当該被検圧力センサは故障と判定される。
請求項2記載の発明は、上記各圧力センサは、感圧部に形成された少なくとも4個のゲージ抵抗で構成されたブリッジ回路と、該ブリッジ回路の出力を増幅するアンプとを備え、圧力センサ内の断線又は前記アンプの故障等により当該圧力センサの検出値が所定の閾値以下の場合、及び外力等による前記感圧部の変形により前記圧力センサの検出値が他の所定の閾値以上の場合における各圧力センサは、上記判定基準値以上の場合の故障とはそれぞれ別モードの故障と判定されて、前記各圧力センサの検出値は、上記平均値を算出するための各被検圧力センサの検出値から除かれる圧力センサの故障検出装置を提供する。
この構成によれば、内部の断線又はアンプの故障等が生じた圧力センサの出力は、ほぼゼロとなる。このような圧力センサは、その出力が所定の閾値以下となることで、別モードの故障として除かれる。また、感圧部(ダイヤフラム部)がアスファルト乳剤の供給圧等の外力(サージ圧)で大きく変形したようなときや感圧部へのアスファルト乳剤の固着の程度が大きいとき等には、その圧力センサの出力は異常値を示すことがある。このような圧力センサは、その出力が他の所定の閾値以上となることで、他の別モードの故障として除かれる。これにより、請求項1記載の発明における故障判定に誤差を招くことがなくなる。
請求項1記載の発明は、ノズルによるアスファルト乳剤の散布停止時に、3個以上のノズル本体の内部に圧縮エアを供給し、当該各ノズル本体に対応した3個以上の被検圧力センサで前記各ノズル本体の内部の圧力を検出するとともに前記各被検圧力センサの検出値の平均値を算出し、前記被検圧力センサの検出値と前記平均値との偏差が、予め定められた判定基準値以上の場合に当該被検圧力センサを故障と判定するように構成したので、ノズルの目詰まり監視用の3個以上の圧力センサについて、故障の生じた圧力センサを効率よく自動的に検出することができるという利点がある。
請求項2記載の発明は、上記各圧力センサは、感圧部に形成された少なくとも4個のゲージ抵抗で構成されたブリッジ回路と、該ブリッジ回路の出力を増幅するアンプとを備え、圧力センサ内の断線又は前記アンプの故障等により当該圧力センサの検出値が所定の閾値以下の場合、及び外力等による前記感圧部の変形により前記圧力センサの検出値が他の所定の閾値以上の場合における各圧力センサは、上記判定基準値以上の場合の故障とはそれぞれ別モードの故障と判定されて、前記各圧力センサの検出値は、上記平均値を算出するための各被検圧力センサの検出値から除かれるようにしたので、上記請求項1記載の発明の効果に加えてさらに、ノズルの目詰まり監視用圧力センサに特有の故障を正確に検出することができるという利点がある。
ノズルの目詰まり監視用の3個以上の圧力センサについて、故障の生じた圧力センサを効率よく自動的に検出するという目的を、複数のノズル本体にそれぞれアスファルト乳剤散布用のノズルが備えられ、該ノズルによるアスファルト乳剤の散布停止時に、前記ノズル本体の内部に圧縮エアを供給するとともに該圧縮エアの供給停止後の前記ノズル本体の内部の圧力変化を、感圧部に形成された少なくとも4個のゲージ抵抗で構成されたブリッジ回路と、該ブリッジ回路の出力を増幅するアンプとを備えた圧力センサで検出し、該検出された圧力変化特性から前記ノズルの目詰まりを監視する構成における前記圧力センサの故障を検出する圧力センサの故障検出装置であって、前記ノズルによるアスファルト乳剤の散布停止時に、3個以上の前記ノズル本体の内部に圧縮エアを供給し、当該各ノズル本体に対応した3個以上の被検圧力センサで前記各ノズル本体の内部の圧力を検出するとともに該被検圧力センサの検出値のうち、所定の閾値以下の場合と他の所定の閾値以上の場合とを除いた各被検圧力センサの検出値により平均値を算出し、前記被検圧力センサの検出値と前記平均値との偏差が、予め定められた判定基準値以上の場合に当該被検圧力センサを故障と判定するように構成することにより実現した。
以下、本発明の実施例を図面に従って詳述する。図1は、圧力センサの故障検出装置の系統図、図2は、圧力センサの回路図、図3は、圧縮エアの供給タイミング等を示すタイミングチャートである。
まず、本実施例に係る圧力センサの故障検出装置の構成を説明する。図1に示すように、アスファルト乳剤散布用のノズル1は、乳剤バルブ2と一体に構成され、該乳剤バルブ2における支持筒の部分がスプレーバー3を上下方向に貫通して固定され、ノズル1と乳剤バルブ2とは、この支持筒の部分でスプレーバー3に取り付けられている。スプレーバー3の内部と支持筒の内部とは、支持筒に開口された通孔を介して連通している。前記支持筒の下端に、ノズル1におけるノズル本体4が固定されている。ノズル本体4の側部には、洗浄用エア供給口と共用となる逆止め弁5aを備えた目詰まりチェック用エア供給口5が取付けられ、該目詰まりチェック用エア供給口5とほぼ対向した部位にノズル本体4の内部の圧力を検出する圧力センサ6が取付けられている。
圧力センサ6は、図2に示すように、感圧部(ダイヤフラム部)の中央部と周辺部にそれぞれ2個ずつ形成された少なくとも4個のゲージ抵抗7a,7b,7c,7dからなるブリッジ回路と、該ブリッジ回路の出力を増幅するアンプ8とで構成されている。該アンプ8の出力端子が、圧力センサ6のセンサ出力端子9となる。圧力センサ6には、ブリッジ回路への直流電圧供給端子10a,10bが設けられている。圧力センサ6は、防水に優れ、急激な圧力変化及び高温流体でも測定可能なアスファルト乳剤対応型の構造になっている。
前記乳剤バルブ2は、支持筒の上部にエアシリンダ11が固定され、該エアシリンダ11には、後述するエアタンクからのエア配管aが接続されている。前記支持筒内に挿通された弁軸12の下端部には逆円錐形の弁体13aが備えられ、該弁軸12の上端部は、エアシリンダ11内に上下動自在に設けられたピストンに連結されている。
そして、常時は、エアシリンダ11内に収納されたコイルスプリングにより、前記ピストンを介して弁軸12が下方に付勢され、弁体13aが弁座13bに圧接されて、乳剤バルブ2は閉状態となっている。一方、エアシリンダ11内に圧縮エアが供給されると、前記ピストンが上方に押し上げられ、弁軸12を介して弁体13aが上昇し、該弁体13aと弁座13bとの間に隙間が形成されて乳剤バルブ2は開状態に転じる。この結果、スプレーバー3の内部とノズル本体4の内部とが連通し、アスファルト乳剤が、スプレーバー3からノズル本体4の内部に供給されて、その供給圧によりノズル1から散布される。
上記アスファルト乳剤の供給系統は、アスファルト乳剤が収容された乳剤タンク14からの乳剤配管nがフィルタ15及び乳剤ポンプ16を介してスプレーバー3の一端に接続されている。ノズル1からのアスファルト乳剤の散布量は、前記乳剤ポンプ16の回転数を変えることにより、所望の散布量に調整することができる。
前記スプレーバー3は、その長手方向が舗装機械の幅方向に沿うように、当該舗装機械の下部に配設されており、該スプレーバー3には、その長手方向に所定間隔を開けて、ノズル1及び乳剤バルブ2の複数組が取付けられている。なお、図1は、一本だけのスプレーバー3を示しているが、通常は、一対のスプレーバー3,3が、舗装機械の進行方向に位置をずらして設けられ且つ、該一対のスプレーバー3,3は、舗装機械の幅方向に相対的に移動可能とされて、伸縮自在のスプレーバーとして機能するように構成されている。
ノズル開閉用の圧縮エアの供給系統は、複数個の乳剤バルブ2…のそれぞれに対応した複数個の乳剤用エアバルブ17…が設けられ、エアタンク18からの各エア配管aが各乳剤用エアバルブ17を介して、対応した各乳剤バルブ2のエアシリンダ11に接続されている。複数個の乳剤用エアバルブ17…には、それぞれに対応した乳剤用開閉スイッチ19が付設されている。
また、目詰まりチェック用の圧縮エアの供給系統は、複数個のノズル1…のそれぞれに対応した複数個のチェック用エアバルブ20…が設けられ、エアタンク18からの各エア配管bが各チェック用エアバルブ20を介して、対応した各ノズル1の目詰まりチェック用エア供給口5に接続されている。
上記各系統を制御するための制御系統には、制御装置21及び乳剤バルブコントローラ22が設けられている。制御装置21には、プロセッサ23、該プロセッサ23への入力部24、該プロセッサ23からの出力部25及びA/D変換器26が備えられている。一方、乳剤バルブコントローラ22には、前記複数個の乳剤用開閉スイッチ19…のそれぞれ対応にした操作スイッチと乳剤スイッチ接点27とが設けられている。
乳剤バルブコントローラ22における前記操作スイッチを選択的に操作することにより、乳剤用開閉スイッチ19を選択的にオン動作させることができる。また、各乳剤用開閉スイッチ19…をオン動作させた上で、乳剤スイッチ接点27をオン操作することにより、常閉リレー接点28及び各乳剤用開閉スイッチ19…を介して各乳剤用エアバルブ17…のソレノイドに駆動電圧29aを供給し、当該各乳剤用エアバルブ17…を開いて、各乳剤バルブ2…を開動作させることができる。これとともに、前記乳剤スイッチ接点27のオン操作により、駆動電圧29aが散布オン信号として入力部24を介してプロセッサ23に入力される。前記常閉リレー接点28は、プロセッサ23からの散布オフ信号が、出力部25を介して与えられたときオフに転じる。
また、制御装置21には、プロセッサ23からのエア注入信号が、出力部25を介して与えられたときオンに転じる常開リレー接点30が設けられている。該常開リレー接点30がオンに転じたとき、各チェック用エアバルブ20のソレノイドに駆動電圧29bが供給されて当該各チェック用エアバルブ20…が開かれる。この各チェック用エアバルブ20…の開動作により、各ノズル本体4…にエアタンク18から圧縮エアが供給されて、各ノズル1…の目詰まりチェック又は各圧力センサ6…の故障検出が行われる。
プロセッサ23は、上記のように、各乳剤バルブ2…の開動作時間及び開動作周期、並びに各チェック用エアバルブ20…の開動作時間及び開動作周期を任意に設定することができる。即ち、プロセッサ23は、各ノズル1…によるアスファルト乳剤の連続散布又は間欠散布、並びに該アスファルト乳剤の散布に影響を与えない範囲で、各ノズル1…の目詰まりチェック又は各圧力センサ6…の故障検出を行わせることができる。
さらに、前記制御装置21におけるA/D変換器26には、前記各圧力センサ6からのセンサ出力線31…が接続されている。そして、ノズル本体4の内部への圧縮エアの供給停止直後の当該ノズル本体4の内部の圧力変化を圧力センサ6で検出し、該検出された圧力変化特性から、プロセッサ23により、ノズル1の目詰まり発生の有無が検知される。この目詰まり発生の有無は、例えば、正常なノズル1と目詰まり発生の生じたノズル1との両圧力変化特性の差を、プロセッサ23で判断させることにより行われる。この各ノズル1の目詰まり発生の有無は、出力部25を介して舗装機械の運転席に設けた表示ランプ32…に表示されてオペレータにリアルタイムで情報が提供される。
また、前記ノズル本体4の内部へ圧縮エアが供給されている間に、3個以上の圧力センサ6…で前記各ノズル本体4の内部の圧力を検出し、プロセッサ23により、前記圧力センサ6…の検出値のうち、後述する所定の閾値以下の場合と他の所定の閾値以上の場合とを除いた各圧力センサ6…の検出値から平均値を算出し、前記圧力センサ6…の検出値と前記平均値との偏差が、予め定められた判定基準値以上の場合に当該圧力センサ6を故障と判定する故障検出処理が行われる。故障検出処理の結果は、前記表示ランプ32を利用して、例えば、次のようにして行われる。即ち、検出値が所定の閾値以下の故障モード「1」は、表示ランプ32を1回フリッカする。検出値が所定の閾値以上の故障モード「2」は、表示ランプ32を2回フリッカする。検出値と前記平均値との偏差が予め定められた判定基準値以上の場合で、前記故障モード「1」及び「2」を除いた故障モード「3」は、表示ランプ32を3回フリッカするというような表示法である。
次に、図3を用いて、上述のように構成された圧力センサの故障検出装置の作用を説明する。図3はアスファルト乳剤の間欠散布時におけるノズル本体4の内部の圧力変化を、正常な圧力センサ6で検出した例を示している。図3(a)は、間欠散布信号、同図(b)は、目詰まり無しのときのアスファルト乳剤の散布圧力(0.1〜0.2MPa)、同図(c)は、散布停止のタイミングで圧縮エア(0.6〜0.7MPa)を供給したとき、ノズル1の目詰まりのあり、なしにかかわらず圧力が上昇eする様子を示している。
本実施例の圧力センサの故障検出装置は、上記図3(c)に示すように、アスファルト乳剤の散布停止のタイミングで、プロセッサ23からのエア注入信号により、各チェック用エアバルブ20…を開いて、各チェック用エア供給口5…から3個以上のノズル本体4…の内部に、圧力が0.6〜0.7MPa程度の圧縮エアが供給される。そして、該供給時から一定時間(0.2秒程度)後の当該圧縮エアが供給されている間に、前記3個以上のノズル本体4…に対応した3個以上の圧力センサ6…で前記各ノズル本体4…の内部の圧力が検出され、その各検出値がプロセッサ23に取り込まれて、次のような故障検出処理が行われる。
いま、ノズル本体4の内部の圧力0〜3MPaを1〜5Vに変換して出力する電気出力型の被検圧力センサ6の数をNo.1からNo.5までの5個とし、この5個の圧力センサ6…の検出値例を表1に示す。なお、圧力値0.6〜0.7MPaに相当する圧力センサ6の検出値は、約1.8Vである。
Figure 0004133943
圧力センサ6は、前述したように、感圧部の中央部と周辺部にそれぞれ2個ずつ形成された少なくとも4個のゲージ抵抗7a,7b,7c,7dからなるブリッジ回路と、該ブリッジ回路の出力を増幅するアンプ8とで構成されている。このような構成において、センサ内部に断線又はアンプ8に故障等が生じると、該圧力センサ6の出力は、ほぼゼロとなる。このような圧力センサ6は、その出力が所定の閾値、例えば0.5V以下となることで、故障モード「1」の圧力センサと判定されて平均値算出の対象から除かれる。
また、圧力センサ6は、感圧部(ダイヤフラム部)がアスファルト乳剤の供給圧等の外力(サージ圧)で大きく変形したようなときや感圧部へのアスファルト乳剤の固着の程度が大きいとき等には、その圧力センサ6の出力は異常値を示すことがある。このような圧力センサ6は、その出力が他の所定の閾値、例えば3.0V以上となることで、故障モード「2」の圧力センサと判定されて、前記と同様に、平均値算出の対象から除かれる。
次いで、上記故障モード「1」及び「2」の圧力センサを除いた各圧力センサ6…の検出値により平均値が算出される。表1の検出値例では、前記故障モード「1」及び「2」に該当するものはないので、No.1からNo.5までの5個の検出値についての平均値が算出される。表1の例では、5個の検出値の平均値は、1.66Vである。そして、No.1からNo.5の各圧力センサ6の検出値と前記平均値との各偏差が求められ、この偏差が予め定められた判定基準値以上の場合に当該圧力センサ6は、故障モード「3」と判定される。
この判定基準値の設定法について述べる。圧力センサ6の感圧部(ダイヤフラム部)にアスファルト乳剤の固着等が生じると、前記のように、検出感度が劣化するが、前記故障モード「2」に至らない程度の劣化の場合、その検出値の低下量又は上昇量Aが、3個以上の圧力センサ6…の検出値の平均値に与える影響は、圧力センサ6の個数をNとすると、A/Nとなって、圧力センサ6の個数Nの減少に応じて大きくなる。したがって、検出感度が劣化した被検圧力センサの検出値と前記平均値との偏差への影響についても、圧力センサ6の個数Nの減少に応じて大きくなる。
このため、本発明では3個以上の圧力センサ6の個数Nの減少数、即ち、故障個数が、N/3個以下の場合について適用し、判定基準値は、被検圧力センサ数NがN/3個以下の範囲で減少しても、前記偏差が検出誤差内に埋もれず且つ、少々の偏差で故障と判定しないような所要の値に予め定められる。表1の例では、判定基準値は、0.4V(0.3MPa相当)に定められる。したがって、偏差>0.4Vに相当するのは、No.2の圧力センサ6であるので、このNo.2の圧力センサ6が故障モード「3」と判定される。故障判定の結果は、前記のように、故障の圧力センサに対応した表示ランプ32を、故障モードに応じてフリッカさせることで、オペレータにリアルタイムで故障情報が提供される。
アスファルト乳剤を連続的に散布する際の圧力センサ6の故障検出を説明する。このときの故障検出は、アスファルト乳剤の連続散布中に、例えば0.7秒間の一瞬間だけ乳剤散布を停止して実行する。即ち、この0.7秒間の間に、3個以上のノズル本体4の内部に、圧縮エアを供給し、該供給時から一定時間(0.2秒程度)後の当該圧縮エアが供給されている間に、前記3個以上のノズル本体4…に対応した3個以上の圧力センサ6…で前記各ノズル本体4…の内部の圧力を検出し、その各検出値をプロセッサ23に取り込んで、故障検出処理を行う。前記連続散布中における0.7秒間の乳剤散布停止時間は、通常の間欠散布における散布停止時間よりも短い時間であり、アスファルト乳剤の散布量に対する影響を十分に抑制することが可能な時間である。
上述したように、本実施例に係る圧力センサの故障検出装置においては、ノズルの目詰まり監視用の3個以上の圧力センサ6…について、故障の生じた圧力センサ6を効率よく自動的に検出することができる。
なお、本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り種々の改変をなすことができ、そして、本発明が該改変されたものにも及ぶことは当然である。
図は本発明の実施の形態を示すものである。
本実施例に係る圧力センサの故障検出装置の系統図。 上記実施例における圧力センサの回路図。 上記実施例における圧縮エアの供給タイミング等を示すタイミングチャート。
符号の説明
1 ノズル
2 乳剤バルブ
4 ノズル本体
5 目詰まりチェック用エア供給口
6 圧力センサ
7a〜7d ゲージ抵抗
8 アンプ
14 乳剤タンク
18 エアタンク
21 制御装置
22 乳剤バルブコントローラ
23 プロセッサ
32 表示ランプ

Claims (2)

  1. 複数のノズル本体にそれぞれアスファルト乳剤散布用のノズルが備えられ、該ノズルによるアスファルト乳剤の散布停止時に、前記ノズル本体の内部に圧縮エアを供給するとともに該圧縮エアの供給停止後の前記ノズル本体の内部の圧力変化を圧力センサで検出し、該検出された圧力変化特性から前記ノズルの目詰まりを監視する構成における前記圧力センサの故障を検出する圧力センサの故障検出装置であって、
    前記ノズルによるアスファルト乳剤の散布停止時に、3個以上の前記ノズル本体の内部に圧縮エアを供給し、当該各ノズル本体に対応した3個以上の被検圧力センサで前記各ノズル本体の内部の圧力を検出するとともに前記各被検圧力センサの検出値の平均値を算出し、前記被検圧力センサの検出値と前記平均値との偏差が、予め定められた判定基準値以上の場合に当該被検圧力センサを故障と判定するように構成してなることを特徴とする圧力センサの故障検出装置。
  2. 上記各圧力センサは、感圧部に形成された少なくとも4個のゲージ抵抗で構成されたブリッジ回路と、該ブリッジ回路の出力を増幅するアンプとを備え、圧力センサ内の断線又は前記アンプの故障等により当該圧力センサの検出値が所定の閾値以下の場合、及び外力等による前記感圧部の変形により前記圧力センサの検出値が他の所定の閾値以上の場合における各圧力センサは、上記判定基準値以上の場合の故障とはそれぞれ別モードの故障と判定されて、前記各圧力センサの検出値は、上記平均値を算出するための各被検圧力センサの検出値から除かれることを特徴とする請求項1記載の圧力センサの故障検出装置。
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