JP4133643B2 - 寸法測定用干渉計 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は寸法測定用干渉計、特に一台の干渉計で種々の被測定物の寸法を非接触に測定することのできる機構の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
干渉計は一般に高価であるため、一台の干渉計で種々の被測定物の寸法、例えばブロックゲージ等の端度器の長さ、および精密球等の球体の直径の測定が行えることが望ましい。
しかしながら、一般的なマイケルソン型の干渉計による端度器の長さの測定では、端度器を補助プレートに密着する必要があり、これを球体の直径の測定に用いるのは不可能である。
【0003】
また一般的な干渉計による球体の直径の測定では、寸法を測る際の参照(基準点)となるエタロンを使用しなければならない。このため、従来は、端度器の長さ、および球体の直径は、それぞれ別の干渉計で測定せざるを得なかった。
すなわち、従来、球体の直径の測定は、非特許文献1、非特許文献2等の方法によって行われている。
【0004】
非特許文献1は、球体の直径を光波干渉法を用いてエタロンの長さと比較するものである。すなわち、予め間隔が正確に測られているエタロンの中に被測定球を置き、エタロンと被測定球の間の2つの間隙を干渉測定する。これをエタロンの長さから差引くことにより、球体の直径を得ている。
非特許文献2は、エタロンを被測定球に対して光軸方向に走査し、干渉縞を解析せずに、中心における干渉次数εを直接求めるものである。
【0005】
これらの測定に用いられる干渉計では、いずれも被測定球とエタロンとの比較測定により行われていた。そのため、被測定球の測定を行う前にエタロンの長さを光波干渉測定することが必要である。またエタロン自体の長さが長時間にわたって安定であることが求められる。
一方、従来、端度器の寸法の測定は、通常、多数の端度器を連続して測定することが求められるが、エタロンを使用すると、端度器の連続測定には向かない。
【0006】
さらに高精度の干渉光の読み取りのために、干渉縞走査による変調を行うには、エタロン自体を走査しなければならない。エタロンは被測定物よりも大きいため、走査機構が大きく高価になってしまう。
そのため、従来より、エタロンを使用しない球体の直径測定用干渉計が望まれていた。
また従来は、端度器を補助プレートに密着せずに測定が行える干渉計も開発されている(非特許文献3)。これはエタロンを用いずに干渉測定が行えるが、球体の直径の測定は考慮されていない。
【0007】
【非特許文献1】
清野昭一「計量研究所報告,vol.33、Supplement(No.118)」、1984年2月、p.109−115
【非特許文献2】
藤井賢一「計量研究所報告,vol.47、Supplement(No.194)」、1997年1月、p.75−94
【非特許文献3】
Y.Ishi et. al.「Metlorogia、35、2」、1998年、p.67−73
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
前述のように、従来より、一台の干渉計で、端度器の長さも、球体の直径も、非接触に測定することのできる技術の開発が望まれていた。
しかしながら、従来は、前述のような問題を解決することのできる適切な技術が存在しなかった。このため、従来は、一台で、端度器の長さも、球体の直径も、非接触に測定することのできる干渉計は実用化されていなかった。
本発明は前記従来技術の課題に鑑みなされたものであり、その目的は、一台の干渉計で種々の被測定物の寸法を非接触に測定することのできる寸法測定用干渉計を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明において特徴的なことは、環状配置の光照射手段を備えた干渉計に対し、ピッチの狭い同心円状の中心干渉縞を光学的に十分に拡大することのできる結像手段、及び暗い中心干渉縞も読み取りのできる光観測手段を組み合わせたことである。
まず本発明者は、数ある干渉計の中から、非接触に、種々の被測定物の寸法を測定するために最適な干渉計の選定を行った結果、環状配置の光照射手段を備えた干渉計を採用した。
【0010】
次に本発明者は、球体の測定では、端度器の測定に比較し、干渉縞のピッチが狭い、また干渉縞が暗いため、干渉縞が読み取り難い点に着目した。
すなわち、本発明者によれば、球体の測定では、測定面の形状が球面のため、干渉縞のピッチが、平面の干渉縞のピッチに比較し狭くなり、干渉縞が読み取り難いことがわかった。
【0011】
また本発明者によれば、球体の測定では、測定面の形状が球面のため、測定面よりの反射光は、測定面が平面のものに比較し、光軸にほぼ平行な方向とは異なる方向に反射光が生じやすい。またハーフミラーに戻る光の量にロスが生じ易くなる。これが平面鏡である参照鏡と合成されても、形成される干渉縞が暗い、干渉縞の明暗がくっきりしないので、干渉縞が読み取り難いことがわかった。
そこで、本発明者は、環状配置の光照射手段を備えた干渉計に対し、ピッチの狭い同心円状の中心干渉縞を光学的に十分に拡大することのできる結像系、及び暗い中心干渉縞も読み取りのできる光観測装置を組み合わせることによりはじめて、一台の干渉計で、端度器の寸法も、球体の寸法も、非接触に測定することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
請求項1
すなわち、前記目的を達成するために本発明にかかる寸法測定用干渉計は、寸法の概略値が既知の被測定物の光波干渉測定により得られた干渉縞に基づいて、該被測定物の寸法を求める寸法測定用干渉計であって、
一の光源と、分割手段と、光照射手段と、周囲光合成手段と、中心光合成手段と、周囲光観測手段と、中心光観測手段と、周囲光結像手段と、中心光結像手段と、を備え、
前記被測定物の寸法の概略値、前記周囲光観測手段により得られた周囲干渉縞、及び前記中心光観測手段により得られた中心干渉縞に基づいて、該被測定物の寸法を求めることを特徴とする。
【0013】
ここで、前記光源は、前記被測定物の大きさに基づいて定められた径をもつ可干渉光を出射する。
また前記分割手段は、前記光源よりの可干渉光を測定光と参照光とに分割する。
また光照射手段は、環状に配置され、前記被測定物の測定軸と一致した光軸をもち、前記分割手段よりの測定光を、該被測定物及びその脇に対し、該測定軸の両側より照射する。
【0014】
前記周囲光合成手段は、前記被測定物の脇を通過してきた周囲測定光と前記参照光とを合成し周囲干渉光を形成する。
前記中心光合成手段は、前記被測定物で反射してきた中心測定光と前記参照光とを合成し中心干渉光を形成する。
前記周囲光観測手段は、前記周囲光合成手段により形成された周囲干渉光が受光部に結像され、これを周囲干渉縞として観測する。
前記中心光観測手段は、前記中心光合成手段により形成された中心干渉光が受光部に結像され、これを中心干渉縞として観測する。
【0015】
前記周囲光結像手段は、前記周囲光観測手段で観察される周囲干渉縞の像が該周囲光観測手段の受光部に合わせた大きさとなるように、前記周囲光合成手段により形成された周囲干渉光を、該周囲光観測手段の受光部の大きさに合わせた倍率にして、該周囲光観測手段の受光部に結像させる。
前記中心光結像手段は、前記中心光観測手段で観察される中心干渉縞の像が該中心光観測手段の受光部に合わせた大きさとなるように、前記中心光合成手段により形成された中心干渉光を、該中心光観測手段の受光部の大きさに合わせた倍率にして、該中心光観測手段の受光部に結像させる。
【0016】
[光源]
なお、ここにいう被測定物の大きさに基づいて定められた径をもつとは、可干渉光の光軸と直交する方向の大きさが、被測定物の測定軸と直交する方向の断面のうち、最大の大きさをもつ断面よりも大きいことをいう。
【0017】
[光照射手段]
ここにいう分割手段よりの測定光を、該被測定物及びその脇に対し、該測定軸の両側より照射するとは、測定光を被測定物及びその脇に対し片側ごと、交互に照射する場合、測定光を被測定物及びその脇に対し両側より同時に照射する場合を含めていう。
【0018】
[被測定物]
本発明の寸法の概略値が既知の被測定物としては、ブロックゲージ等の端度器、精密球等の球体等が一例として挙げられる。
【0019】
球体の測定
なお、本発明において、前記被測定物として、直径の概略値が既知の球体の直径を求める際は、前記周囲光観測手段は、前記球体周囲の干渉縞である平行線状の周囲干渉縞を該球体に対応する円状の像部分と共に観測し、
前記中心光観測手段は、前記球体の干渉縞である同心円状の中心干渉縞を、前記測定軸の両側についてそれぞれ観測し、
前記周囲光観測手段により得られた平行線状の周囲干渉縞、及び前記中心光観測手段により得られた同心円状の中心干渉縞に基づいて、前記球体の直径を求めることが好適である。
【0020】
請求項3
また本発明においては、前記分割手段、前記周囲光合成手段及び前記中心光合成手段は、一の分割合成用ハーフミラーを含み、
前記中心干渉光は、第一中心干渉光と、第二中心干渉光と、を含み、
また第一中心干渉縞の観測又は第二中心干渉縞の観測を選択するためのシャッターを含み、
前記光照射手段は、前記分割合成用ハーフミラーよりの測定光を二分割する頂点用ハーフミラーと、前記被測定物の測定軸と一致した光軸を有し、且つ所定離隔距離をおいて配置された第一照射用反射鏡及び第二照射用反射鏡と、を環状に構成し、
前記第一照射用反射鏡は、前記頂点用ハーフミラーよりの測定光の中心光である第一中心測定光を前記被測定物の第一照射側より入射させて反射光を戻し、且つその周囲光である第一周囲測定光を、該被測定物の脇を通過させて前記第二照射用反射鏡に入射させ、
前記第二照射用反射鏡は、前記頂点用ハーフミラーよりの測定光の中心光である第二中心測定光を該被測定物の第二照射側より入射させて反射光を戻し、且つその周囲光である第二周囲測定光を、該被測定物の脇を通過させて前記第一照射用反射鏡に入射させ、
また前記第一照射用反射鏡及び前記頂点用ハーフミラーは、前記被測定物の脇を通過してきた前記第二照射用反射鏡よりの第二周囲測定光を、前記分割合成用ハーフミラーに戻し、
また前記第二照射用反射鏡及び前記頂点用ハーフミラーは、前記被測定物の脇を通過してきた前記第一照射用反射鏡よりの第一周囲測定光を、前記分割合成用ハーフミラーに戻し、
前記分割合成用ハーフミラーは、前記頂点用ハーフミラーよりの第一周囲測定光、第二周囲測定光及び前記参照光とを合成し、周囲干渉光を形成し、
また前記分割合成用ハーフミラーは、前記シャッターによる選択により、前記頂点用ハーフミラーよりの第一中心測定光及び前記参照光とを合成し第一中心干渉光を形成し、又は前記頂点用ハーフミラーよりの第二中心測定光及び該参照光とを合成し第二中心干渉光を形成し、
前記周囲光観測手段は、前記分割合成用ハーフミラーで得られた周囲干渉光を周囲干渉縞として観測し、
前記中心光観測手段は、前記シャッターによる選択により、前記分割合成用ハーフミラーで得られた第一中心干渉光を第一中心干渉縞として観測し、又は該分割合成用ハーフミラーで得られた第二中心干渉光を第二中心干渉縞として観測することが好適である。
【0021】
請求項4
なお、本発明において、前記被測定物の寸法Lを下記数3に基づいて求めることが好適である。
【数3】
被測定物の寸法L=λ(N+2ε−ε−ε)/2
ここで、λは、前記光源よりの可干渉光の波長、
Nは、前記被測定物の寸法の概略値に基づいて求められた整数、
εは、前記周囲光観測手段で得られた周囲干渉縞に基づいて求められた0以上、1よりも小さい実数、
εは、前記中心光観測手段で得られた第一中心干渉縞に基づいて求められた0以上、1よりも小さい実数、
εは、前記中心光観測手段で得られた第二中心干渉縞に基づいて求められた0以上、1よりも小さい実数。
【0022】
請求項5
また本発明においては、前記光源よりの可干渉光を第一分割光と第二分割光に分割する頂点用ハーフミラーを含み、
また前記光照射手段は、前記頂点用ハーフミラーと共に環状を構成し、前記被測定物の測定軸と一致した光軸を有し、且つ所定離隔距離をおいて配置された第一照射用ハーフミラー及び第二照射用ハーフミラーを含み、
前記周囲光観測手段は、前記第一照射用ハーフミラーで形成された第一周囲干渉光を第一周囲干渉縞として観測する第一周囲光観測部、及び前記第二照射用ハーフミラーで形成された第二周囲干渉光を第二周囲干渉縞として観測する第二周囲光観測部を含み、
前記中心光観測手段は、前記第一照射用ハーフミラーで形成された第一中心干渉光を第一中心干渉縞として観測する第一中心光観測部、及び前記第二照射用ハーフミラーで形成された第二中心干渉光を第二中心干渉縞として観測する第二中心光観測部を含み、
前記周囲光結像手段は、前記第一照射用ハーフミラーで形成された第一周囲干渉光を前記第一周囲光観測部の受光部の大きさに合わせた倍率にして結像させる第一周囲光結像部、及び前記第二照射用ハーフミラーで形成された第二周囲干渉光を前記第二周囲光観測部の受光部の大きさに合わせた倍率にして結像させる第二周囲光結像部を含み、
前記中心光結像手段は、前記第一照射用ハーフミラーで形成された第一中心干渉光を前記第一中心光観測部の受光部の大きさに合わせた倍率にして結像させる第一中心光結像部、及び前記第二照射用ハーフミラーで形成された第二中心干渉光を前記第二中心光観測部の受光部の大きさに合わせた倍率にして結像させる第二中心光結像部を含み、
前記第一照射用ハーフミラーは、前記頂点用ハーフミラーよりの第一分割光を前記被測定物の測定軸方向に出射し、その中心光である第一中心測定光を該被測定物の第一照射側より入射させて反射光を戻し、且つその周囲光である第一周囲測定光を、該被測定物の脇を通過させて前記第二照射用ハーフミラーに入射させ、
前記第二照射用ハーフミラーは、前記頂点用ハーフミラーよりの第二分割光を前記被測定物の測定軸方向に出射し、その中心光である第二中心測定光を該被測定物の第二照射側より入射させて反射光を戻し、且つその周囲光である第二周囲測定光を、該被測定物の脇を通過させて前記第一照射用ハーフミラーに入射させ、
また前記第一照射用ハーフミラーは、前記被測定物の脇を通過してきた第二照射用ハーフミラーよりの第二周囲測定光と該第一照射用ハーフミラーによる第一参照光とを合成し第一周囲干渉光を形成し、且つ該頂点用ハーフミラーよりの第一分割光を該被測定物の第一照射側より照射して得られた第一中心測定光と該第一参照光とを合成し第一中心干渉光を形成し、
また前記第二照射用ハーフミラーは、前記被測定物の脇を通過してきた第一照射用ハーフミラーよりの第一周囲測定光と該第二照射用ハーフミラーによる第二参照光とを合成し第二周囲干渉光を形成し、且つ該頂点用ハーフミラーよりの第二分割光を該被測定物の第二照射側より照射して得られた第二中心測定光と該第二参照光とを合成し第二中心干渉光を形成し、
前記第一周囲光観測部は、前記第一照射用ハーフミラー、及び前記第一周囲光結像部よりの第一周囲干渉光を第一周囲干渉縞として観測し、
前記第一中心光観測部は、前記第一照射用ハーフミラー、及び前記第一中心光結像部よりの第一中心干渉光を第一中心干渉縞として観測し、
前記第二周囲光観測部は、前記第二照射用ハーフミラー、及び前記第二周囲光結像部よりの第二周囲干渉光を第二周囲干渉縞として観測し、
前記第二中心光観測部は、前記第二照射用ハーフミラー、及び前記第二中心光結像部よりの第二中心干渉光を第二中心干渉縞として観測することが好適である。
【0023】
請求項6
なお、本発明において、前記被測定物の寸法Lを下記数4に基づいて求めることが好適である。
【数4】
被測定物の寸法L=λ(N+ε+ε−ε−ε)/2
ここで、λは、前記可干渉光の波長、
Nは、前記被測定物の寸法の概略値に基づいて定められた整数、
εは、前記第一周囲光観測部で得られた第一周囲干渉縞に基づいて求められた0以上、1よりも小さい実数、
εは、前記第二周囲光観測部で得られた第二周囲干渉縞に基づいて求められた0以上、1よりも小さい実数、
εは、前記第一中心光観測部で得られた第一中心干渉縞に基づいて求められた0以上、1よりも小さい実数。
εは、前記第二中心光観測部で得られた第二中心干渉縞に基づいて求められた0以上、1よりも小さい実数。
【0024】
結像手段
なお、本発明において、前記中心光結像手段は、中心側集光レンズと、中心側結像レンズと、を備え、
また前記周囲光結像手段は、周囲側集光レンズと、周囲側結像レンズと、を備えることが好適である。
ここで、前記中心側集光レンズは、前記中心光合成手段よりの平行な中心干渉光を集光する。
【0025】
また前記中心側結像レンズは、前記中心側集光レンズよりの中心干渉光を前記中心光観測手段の受光部の大きさに合わせた倍率にして該中心光観測手段の受光部に結像させる。
前記周囲側集光レンズは、前記周囲光合成手段よりの平行な周囲干渉光を集光する。
前記周囲側結像レンズは、前記周囲側集光レンズよりの周囲干渉光を前記周囲光観測手段の受光部の大きさに合わせた倍率にして該周囲光観察手段の受光部に結像させる。
【0026】
また本発明において、少なくとも前記中心結像系は、スペーシャルフィルタを備えることが好適である。
ここで、前記スペーシャルフィルタは、前記中心側集光レンズと前記中心側結像レンズ間の光軸上で該中心側集光レンズの焦点位置に設けられ、該中心側集光レンズよりの光のうち、該光軸に平行な光のみを該中心側結像レンズ側に通過させる。
ここにいう少なくとも前記中心結像系は、スペーシャルフィルタを備えるとは、前記中心光結像手段のみにスペーシャルフィルタを設ける場合と、さらに周囲光結像手段にもスペーシャルフィルタを設ける場合を含めていう。
【0027】
光観測手段
また本発明において、前記光観測手段は、暗い中心干渉縞も良好に読み取ることのできる点に優れたバルブ機能付き写真機、高感度CCDカメラ、及びCMOSカメラよりなる群より選ばれることが好適である。
バルブ機能付き写真機とは、長時間露光、つまり干渉縞の明るさに基づいて定められた時間の露光を行い、暗い干渉縞であっても縞の明暗をしっかり解析することのできるたくさんの光を集める機能をもつ写真機をいう。
【0028】
高感度CCDカメラとは、撮像素子として高感度CCD、つまり暗い干渉縞であっても縞の明暗をしっかり解析することのできる、たくさんの光を集めることのできるCCD(電荷結像素子)を使うカメラをいう。
CMOSカメラは、CMOS(相補性金属酸化膜半導体)構造をもつカメラをいう。
【0029】
【発明の実施の形態】
本発明において特徴的なことは、一台の干渉計で、種々の被測定物の寸法を非接触に測定するために、環状配置の光照射手段を備えた干渉計に対して、ピッチの狭い中心干渉縞を光学的に十分に拡大することのできる結像手段と、暗い中心干渉縞もしっかり読み取ることのできる光観測手段を組み合わせたことである。
以下、図面に基づいて本発明の好適な一実施形態について説明する。
【0030】
第一実施形態
図1には本発明の第一実施形態にかかる寸法測定用干渉計の概略構成が示されている。なお、本実施形態では、寸法測定用干渉計として非密着型の端度器測定用干渉計を用いて、精密球の直径を測定する例について説明する。
本実施形態においては、光照射手段として、三角形(環状)の頂点に配置された一のハーフミラー、及びその他の頂点に配置された二の反射鏡を用いている。
すなわち、同図に示す寸法測定用干渉計10は、光源12と、分割合成用ハーフミラー(分割手段,周囲光合成手段,中心光合成手段)14と、光照射手段16と、周囲光観測装置(周囲光観測手段)18と、中心光観測装置(中心光観測手段)20と、中心光結像系(中心光結像手段)22と、コンピュータ26を備える。
【0031】
ここで、前記光源12は、例えばレーザ光源28と、レンズシステム29を備える。レンズシステム29は、ビームエキスパンダ30と、コリメータ32を備える。レーザ光源28よりの波長λをもつレーザ光(可干渉光)は、ビームエキスパンダ30により被測定球(被測定物)34の大きさに基づいて定められた径に拡大された後、コリメータ32により平行光とされる。これをレーザ光36とする。
また前記分割手段としての分割合成用ハーフミラー14は、光源12よりのレーザ光36を測定光38と参照光40とに分割する。
【0032】
また光照射手段16は、例えば頂点用ハーフミラー42、第一照射用反射鏡44、及び第二照射用反射鏡46を三角形(環状)に配置する。第一照射用反射鏡44、及び第二照射用反射鏡46は、被測定球34の測定軸と一致した光軸を有し、且つ所定離隔距離をおいて配置されている。
光照射手段16は、分割合成用ハーフミラー14よりの測定光38を、被測定球34及びその脇に対し、該測定軸の両側より照射する。
【0033】
前記周囲光合成手段としての分割合成用ハーフミラー14は、被測定球34の脇を通過してきた周囲測定光と参照鏡48で反射してきた参照光40を合成し、周囲干渉光50を形成する。
前記中心光合成手段としての分割合成用ハーフミラー14は、被測定球34で反射してきた中心測定光と参照鏡48で反射してきた参照光40を合成し、中心干渉光52を形成する。
【0034】
前記周囲光観測装置18は、例えば暗い干渉縞も読み取ることのできる高感度CCDカメラ等を含み、分割合成用ハーフミラー14により形成された周囲干渉光50を、平行線状の周囲干渉縞として観測する。
前記中心光観測装置20は、例えば暗い中心干渉縞も読み取ることのできる高感度CCDカメラ等を含み、分割合成用ハーフミラー14により形成された中心干渉光52を、同心円状の中心干渉縞として観測する。
前記中心光結像系22は、例えば中心側集光レンズ53と、中心側結像レンズ54を備える。
【0035】
そして、中心光結像系22は、中心光観測装置20で観察される中心干渉縞の像が中心光観測装置20の受光部に合わせた大きさとなるように、分割合成用ハーフミラー14により形成された中心干渉光52を、中心光観測装置20の受光部の大きさに合わせた倍率にして、中心光観測装置20の受光部に結像させる。
本実施形態において、中心側集光レンズ53は、後置ハーフミラー55よりの平行な中心干渉光52を集光する。
中心側結像レンズ54は、中心側集光レンズ53よりの中心干渉光52を中心光観測装置20の受光部の大きさに合わせた倍率に拡大して、中心光観測装置20の受光部に結像させる。
【0036】
コンピュータ26は、メモリ56と、CPU58を備える。CPU58は画像処理部60と、寸法取得部62を備える。
このコンピュータ26は、メモリ56に予め得ておいた被測定球34の直径(寸法)Lの予備値(概略値)、周囲光観測装置18により得られた平行線状の周囲干渉縞、及び中心光観測装置20により得られた同心円状の中心干渉縞に基づいて、被測定球34の直径Lを求める。
なお、本実施形態においては、周囲光結像系(周囲光結像手段)63を備える。
【0037】
周囲光結像系63は、後置ハーフミラー55と周囲光観察装置18間の光路中に設けられる。
周囲光結像系63は、周囲光観測装置18で観察される周囲干渉縞の像が周囲光観測装置18の受光部に合わせた大きさとなるように、分割合成用ハーフミラー14よりの周囲干渉光50を、周囲光観測装置18の受光部の大きさに合わせた倍率にして、周囲光観測装置18の受光部に結像させる。
本実施形態において、周囲光結像系63は、例えば周囲側集光レンズ64と、周囲側結像レンズ66等よりなる。
【0038】
前記周囲側集光レンズ64は、分割合成用ハーフミラー14よりの平行な周囲干渉光50を集光する。
前記周囲側結像レンズ66は、周囲側集光レンズ64よりの周囲干渉光50を周囲光観測装置18の受光部の大きさに合わせた倍率にして、周囲光観察装置18の受光部に結像させる。
また本実施形態において、後置ハーフミラー55は、位相の反転が起らないものを用いている。
【0039】
また本実施形態においては、光を反射しない材質で構成され、測定光の中心光を遮蔽し、かつ該測定光の周囲光は遮蔽しない大きさをもつ、第一シャッター68及び第二シャッター70を備える。第一シャッター68は、第一照射用反射鏡44と被測定球34間の光路中に対し、挿入ないし退避自在に設けられている。第二シャッター70は、第二照射用反射鏡46と被測定球34間の光路中に対し、挿入ないし退避自在に設けられている。
【0040】
また第一シャッター68、第二シャッター70は、駆動回路72を介してコンピュータ26に接続されている。そして、第一測定の際に、コンピュータ26は、駆動回路72を介して第一シャッター68を開き、第二シャッター70を閉じている。一方、第二測定の際に、コンピュータ26は、駆動回路72を介して第一シャッター68を閉じ、第二シャッター70を開いている。
【0041】
すなわち、第一の測定では、第一照射用反射鏡44と被測定球34間の光路中より、第一シャッター68を退避している。かつ第二照射用反射鏡46と被測定球34間の光路中に、第二シャッター70を挿入している。
一方、第二の測定では、第一照射用反射鏡44と被測定球34間の光路中に、第一シャッター68を挿入している。かつ第二照射用反射鏡46と被測定球34間の光路中より、第二シャッター70を退避している。
【0042】
第一実施形態の作用
本実施形態にかかる寸法測定用干渉計10は概略以上のように構成され、以下にその作用について説明する。
【0043】
[光学測定]
レーザ光源28よりのレーザ光は、ビームエキスパンダ30により、被測定球34の直径の概略値よりも大径の所望のビーム径をもつレーザ光に拡大され、さらに後段のコリメータ32により平行なレーザ光36とされ、分割合成用ハーフミラー14に入射する。
分割合成用ハーフミラー14は、光源12よりのレーザ光36を、測定光38と参照光40とに分割する。分割合成用ハーフミラー14よりの参照光40は参照鏡48に向かう。測定光38は光照射手段16を構成する頂点用ハーフミラー42に向かう。
【0044】
頂点用ハーフミラー42は、分割合成用ハーフミラー14よりの測定光38を、第一測定光74と第二測定光76とに二分割する。第一測定光74は第一照射用反射鏡44に入射する。第二測定光76は第二照射用反射鏡46に入射する。
第一照射用反射鏡44は、頂点用ハーフミラー42よりの第一測定光74を、被測定球34及びその脇に対し、第一照射側より照射する。
第二照射用反射鏡46は、頂点用ハーフミラー42よりの第二測定光76を、被測定球34及びその脇に対し、第二照射側より照射している。
【0045】
本実施形態において、第一照射用反射鏡44は、頂点用ハーフミラー42よりの第一測定光74の中心光である第一中心測定光を、被測定物34の第一照射側より入射させて反射光を戻している。且つ第一照射用反射鏡44は、第一測定光74の周囲光である第一周囲測定光を、被測定物34の脇を通過させて第二照射用反射鏡46に入射させる。
前記第二照射用反射鏡46は、頂点用ハーフミラー42よりの第二測定光76の中心光である第二中心測定光を、被測定物34の第二照射側より入射させて反射光を戻している。且つ第二照射用反射鏡46は、第二測定光76の周囲光である第二周囲測定光を、被測定物34の脇を通過させて第一照射用反射鏡44に入射させる。
【0046】
また本実施形態において、被測定物34の脇を通過してきた第一照射用反射鏡44よりの第一周囲測定光は、第二照射用反射鏡46、頂点用ハーフミラー42を順に介して、分割合成用ハーフミラー14に戻る。
また被測定物34の脇を通過してきた第二照射用反射鏡38よりの第二周囲測定光は、第一照射用反射鏡44、頂点用ハーフミラー42を順に介して、分割合成用ハーフミラー14に戻る。
分割合成用ハーフミラー14は、参照鏡48で反射してきた参照光40と、被測定球34の脇を通過してきた周囲測定光とを合成し、周囲干渉光50を形成させる。
【0047】
すなわち、分割合成用ハーフミラー14は、頂点用ハーフミラー42よりの第一周囲測定光、頂点用ハーフミラー42よりの第二周囲測定光、及び参照鏡48で反射してきた参照光40を合成し、周囲干渉光を形成させる。
また分割合成用ハーフミラー14は、参照鏡48で反射してきた参照光40と、被測定球34で反射してきた中心測定光とを合成し、中心干渉光52を形成させる。
【0048】
すなわち、分割合成用ハーフミラー14は、頂点用ハーフミラー42よりの第一中心測定光と、参照鏡48で反射してきた参照光40とを合成し、第一中心干渉光を形成させる。また分割合成用ハーフミラー14は、頂点用ハーフミラー42よりの第二中心測定光と、参照鏡48で反射してきた参照光40とを合成し、第二中心干渉光を形成させる。
分割合成用ハーフミラー14よりの干渉光は、後置ハーフミラー55により二分割され、その一方は周囲光結像系63を介して周囲光観測装置18に入射される。他方は中心光結像系22を介して中心光観測装置20に入射される。
周囲光観測装置18は、分割合成用ハーフミラー14で得られた周囲干渉光50を、平行線状の周囲干渉縞として観測する(ビームの周囲を観測する)。
【0049】
ここで、周囲光結像系63は、周囲光観測装置18で観察される周囲干渉縞の像が周囲光観測装置18の受光部に合わせた大きさとなるように、分割合成用ハーフミラー14よりの周囲干渉光50を、周囲光観測装置18の受光部の大きさに合わせた倍率にして、周囲光観測装置18の受光部に結像させる。
中心光観測装置20は、分割合成用ハーフミラー14で得られた第一中心干渉光を、同心円状の第一中心干渉縞として観測する(ビームの中心を観測する)。
また中心光観測装置20は、分割合成用ハーフミラー14で得られた第二中心干渉光を、同心円状の第二中心干渉縞として観測する(ビームの中心を観測する)。
【0050】
ここで、本実施形態においては、中心光結像系22は、中心光観測装置20で観察される第一中心干渉縞の像が中心光観測装置20の受光部に合わせた大きさとなるように、分割合成用ハーフミラー14により形成された第一中心干渉光52を、中心光観測装置20の受光部の大きさに合わせた倍率にして、中心光観測装置20の受光部に結像させる。
また本実施形態においては、中心光結像系22は、中心光観測装置20で観察される第二中心干渉縞の像が中心光観測装置20の受光部に合わせた大きさとなるように、分割合成用ハーフミラー14により形成された第二中心干渉光52を、中心光観測装置20の受光部の大きさに合わせた倍率にして、中心光観測装置20の受光部に結像させる。
【0051】
[干渉縞解析]
そして、画像処理部60は、周囲光観測装置18により得られた平行線状の周囲干渉縞、中心光観測装置20により得られた同心円状の第一中心干渉縞、及び第二中心干渉縞の解析を行う。
【0052】
[寸法取得]
次に寸法取得部62は、画像処理部60による干渉縞の解析結果、及びメモリ56に予め得ておいた被測定球34の直径Lの予備値に基づいて、被測定球34の直径Lを求める。
【0053】
第一実施形態の詳細な作用
以下に、本実施形態の作用について、より詳しく説明する。
まず本実施形態においては、環状配置の光照射手段を備えた干渉計に対して、ピッチの狭い同心円状の中心干渉縞を光学的に十分に拡大することのできる中心光結像系と、暗い中心干渉縞も読み取ることのできる光観測装置を組み合わせている。
【0054】
この結果、本実施形態においては、エタロンを用いず、また非接触に一台の干渉計で、端度器の長さも、精密球の直径も、測定することができる。
すなわち、分割合成用ハーフミラー14よりの測定光38は、頂点用ハーフミラー42で、第一測定光74と第二測定光76に分けられ、次のような測定光となる。
【0055】
[第一中心測定光]
すなわち、頂点用ハーフミラー42から第一照射用反射鏡44に向かう第一測定光74の中心付近である第一中心測定光は、第一照射用反射鏡44により反射され、被測定球34により反射され、再び第一照射用反射鏡44に向かう。
そして、この第一中心測定光は、さらに第一照射用反射鏡44により反射され、頂点用ハーフミラー42を透過し、分割合成用ハーフミラー14により反射され、後置ハーフミラー55を透過し、中心光結像系22を通り、中心光観測装置20に入射される。
このような第一中心測定光をビームBとする。
【0056】
[第一周囲測定光]
頂点用ハーフミラー42から第一照射用反射鏡44に向かう第一測定光74の周囲である第一周囲測定光は、第一照射用反射鏡44により反射され、被測定球34の脇を通り、第二照射用反射鏡46に向かう。
そして、この第一周囲測定光は、さらに第二照射用反射鏡46により反射され、頂点用ハーフミラー42により反射され、分割合成用ハーフミラー14により反射され、後置ハーフミラー55により反射され、周囲光結像系63を通り、周囲光観測装置18に入射される。
このような第一周囲測定光をビームBとする。
【0057】
[第二中心測定光]
頂点用ハーフミラー42から第二照射用反射鏡46に向かう第二測定光76の中心付近である第二中心測定光は、第二照射用反射鏡46により反射され、被測定球34により反射され、再び第二照射用反射鏡46に向かう。
そして、この第二中心測定光は、第二照射用反射鏡46により反射され、頂点用ハーフミラー42により反射され、分割合成用ハーフミラー14により反射され、後置ハーフミラー55を透過し、中心光結像系22を通り、中心光観測装置20に入射される。
このような第二中心測定光をビームBとする。
【0058】
[第二周囲測定光]
頂点用ハーフミラー42から第二照射用反射鏡46に向かう第二測定光76の周囲の第二周囲測定光は、第二照射用反射鏡46により反射され、被測定球34の脇を通り、第一照射用反射鏡44に向かう。
そして、第二周囲測定光は、さらに第一照射用反射鏡44により反射され、頂点用ハーフミラー42を透過し、分割合成用ハーフミラー14により反射され、後置ハーフミラー55により反射され、周囲光結像系63を通り、周囲光観測装置18に入射される。
このような第二周囲測定光をビームBとする。
【0059】
[参照光]
また分割合成用ハーフミラー14よりの参照光40は、次のような参照光40となる。
すなわち、分割合成用ハーフミラー14から参照鏡48に向かう参照光40は、参照鏡48により反射され、分割合成用ハーフミラー14を透過し、後置ハーフミラー55で二つに分けられる。
【0060】
一方の参照光40は、周囲光結像系63を通り、周囲光観測装置18に入射される。このような参照光40をビームBとする。
他方の参照光40は、中心光結像系22を通り、中心光観測装置20に入射される。このような参照光40をビームBとする。
【0061】
[光照射手段の環状配置]
本実施形態においては、測定光を被測定球及びその脇に照射する、環状配置の光照射手段を備えた干渉計を用いることにより、光照射手段の頂点用ハーフミラーの位置を、寸法を測る際の、測定軸の第一照射側、測定軸の第二照射側に共通の基準点とすることができる。
このため、本実施形態においては、寸法を測る際の基準点となるエタロンを用いることなく、次のようにして非接触に被測定球の直径を測定することができる。
つまり本実施形態においては、コンピュータ26が駆動回路72を介してシャッター68,70の開閉を切り換えて、以下に示すような第一の測定と、第二の測定を行う。
【0062】
[第一の測定]
すなわち、第一の測定では、図2(A)に示されるように第一シャッター68を開き、かつ第二シャッター70を閉じている。
このとき、周囲光観測装置18では、第一周囲測定光(ビームB)、第二周囲測定光(ビームB)、及び参照光(ビームB)で形成される周囲干渉光50が、平行線状の周囲干渉縞78(図3参照)として観測される。
中心光観測装置20では、第一中心測定光(ビームB)及び参照光(ビームB)で形成される中心干渉光(第一中心干渉光)52が、同心円状の第一中心干渉縞80a(図4参照)として観測される。
【0063】
[第二の測定]
また第二の測定では、図2(B)に示されるように第一シャッター68を閉じ、かつ第二シャッター70を開いている。
このとき、周囲光観測装置18では、第一周囲測定光(ビームB)、第二周囲測定光(ビームB)及び参照光(ビームB)で形成される周囲干渉光50が、平行線状の周囲干渉縞78(図3参照)として観測される。
中心光観測装置20では、第二中心測定光(ビームB)及び参照光(ビームB)で形成される中心干渉光(第二中心干渉光)52が、同心円状の第二中心干渉縞80b(図4参照)として観測される。
【0064】
[中心干渉縞]
ここで、通常、球体の干渉縞は、同心円状であるため、干渉縞のピッチが狭くて読み取りにくい。また通常、球体の干渉縞は、ピッチが狭いうえに、暗い、明暗がくっきりしないため、さらに読み取りにくい。
そこで、本実施形態においては、中心光結像系22により、中心光観測装置20で観察される中心干渉縞の像が中心光観測装置20の受光部に合わせた大きさとなるように、後置ハーフミラー55よりの中心干渉光を中心光観測装置20の受光部の大きさに合わせた倍率にして、中心光観測装置20の受光部に結像させる。しかも、中心光観測装置20は、暗い中心干渉縞も読み取ることのできる高感度のものを用いている。
【0065】
この結果、本実施形態においては、中心光結像系22により、取り出された中心干渉光を、中心光観測装置20の受光部の大きさに合わせて、光学的に拡大して中心光観測装置20に結像させているので、中心光観測装置20に、通常の球体の干渉縞に比較し、ピッチの広い同心円状の中心干渉縞が結像される。
このため、中心光観測装置20では、通常の球体の干渉縞に比較し、ピッチの広い同心円状の中心干渉縞が撮像される。
したがって、コンピュータ26の画像処理部60は、このようにして得られた干渉縞画像に基づいて、干渉縞の間隔の読み取り等の、干渉縞の画像解析を、より容易に及び正確に行うことができる。
【0066】
しかも、中心光観測装置20は、暗い中心干渉縞も読み取ることのできる高感度のものを用いているので、中心光観測装置20に結像された中心干渉縞が暗くても、中心光観測装置20により、明るい、明暗のくっきりした中心干渉縞画像をコンピュータ26に得ることができる。
したがって、コンピュータ26の寸法取得部62は、このようにして得られた干渉縞画像に基づいて、干渉縞の間隔の読み取り等の干渉縞解析を、より容易に及び正確に行うことができる。
【0067】
[周囲干渉縞]
また周囲光結像系63により、周囲光観測装置18で観察される周囲干渉縞の像が周囲光観測装置18の受光部に合わせた大きさとなるように、後置ハーフミラー55よりの周囲干渉光50を周囲光観測装置18の受光部の大きさに合わせた倍率にして、周囲光観測装置18の受光部に結像させる。
すなわち、周囲光結像系63は、周囲光観測装置18で観察される被測定球に対応する円状の像が、その周囲の干渉縞である平行線状周囲干渉縞の像に比較し大きくなり過ぎないように、つまり周囲光観測装置18で平行線状の周囲干渉縞を確実に観測することができるような倍率にしている。
【0068】
しかも、周囲光観測装置18は、前記中心光観測装置20と同様、暗い干渉縞も読み取ることのできる高感度のものを用いている。
このため、周囲光観測装置18に結像される周囲干渉縞が暗くても、周囲光観測装置18よりの周囲干渉縞の画像データに基づいて、周囲干渉縞をしっかりと読み取ることができる。
前述のようにして得られたピッチの広い、明るい、明暗のくっきりした干渉縞画像を解析することにより、容易に及び正確に干渉縞の解析が行える。
【0069】
コンピュータ26は、このような干渉縞の解析結果に基づいて、以下のようにして被測定球34の直径Lを、より正確に及び容易に求めることができる。
すなわち、第一中心測定光(ビームB)、第一周囲測定光(ビームB)、第二中心測定光(ビームB)、第二周囲測定光(ビームB)、及び参照光(ビームB),(ビームB)の光路長をそれぞれL、L、L、L、L、Lとすると、下記数5〜数7のように書ける。
【0070】
【数5】
(L+L)/2−L=λ(N+ε
【数6】
(L−L)=λ(N+ε
【数7】
(L−L)=λ(N+ε
これらはそれぞれ周囲干渉縞78、第一中心干渉縞80a、および第二中心干渉縞80bから与えられる。
ここで、λは、レーザ光源28よりのレーザ光36の実験室中の波長、
、NおよびNは、ある整数である。ε、εおよびεは、0以上、1よりも小さい実数である。
したがって、被測定球34の直径Lは、下記数8〜数10と与えられる。
【数8】
=(L+L)/2−L−(L−L)/2−(L−L)/2
【数9】
=λ(2N−N−N+2ε−ε−ε)/2
【数10】
=λ(N+2ε−ε−ε)/2
【0071】
[整数N]
ここで、Nは、ある整数であり、被測定球34の直径の概略値が既知であれば、求まる。
【0072】
[実数ε]
実数εは次のようにして求めることができる。
例えば周囲干渉縞78が図3のようであれば、εは被測定球(球体に対応する円状の像部分)34の中心を通り、干渉縞と平行な直線と干渉縞の明るい縞との距離b、および周囲干渉縞78の明るい縞の間隔aを用いて、b/aで与えられる。
このとき、距離bは、参照鏡48を僅かに分割合成用ハーフミラー14の方向へ動かしたときに周囲干渉縞78が動く方向を正にとる。
【0073】
[実数ε,ε]
実数ε,εは、次のようにして求めることができる。
例えば第一中心干渉縞80aが図4のようであれば、εは、縞の中心から明るい縞までの距離をr、r、r、…rとしたとき、下記数11を満たすように、最小二乗法を用いてA,Bおよびεを決めることにより求まる。
【0074】
【数11】
Figure 0004133643
εについても、第二中心干渉縞80bに対して、前述のような第一中心干渉縞80aと同様の手順を行うことにより、求めることができる。
したがって、前記数10に基づいて、被測定球34の直径Lが、正確に及び容易に得ることができる。
【0075】
以上のように本実施形態にかかる寸法測定用干渉計によれば、環状配置の光照射手段としての、頂点用ハーフミラー、第一照射用反射鏡、及び第二照射用反射鏡を備えた寸法測定用干渉計に対して、前述のようなピッチの狭い同心円状の中心干渉縞を十分に拡大することのできる中心光結像系、及び暗い中心干渉縞も読み取ることのできる光観測装置を設けることとした。
この結果、本実施形態においては、エタロンを用いず、精密球の直径を、干渉計により、非接触に測定することができる。
【0076】
しかも、本実施形態においては、本実施形態においては、一台の干渉計で、端度器の長さも、精密球の直径も、非接触に測定することができる。
すなわち、本実施形態においては、精密球の寸法を測定する例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、この寸法測定用干渉計10で、端度器の寸法も、非接触に測定することができる。
【0077】
結像系
本実施形態においては、一台の干渉計で精密球の直径も、端度器の長さも、より容易に測定するため、結像系の選定は非常に重要である。
【0078】
[中心光結像系]
本実施形態においては、中心光結像系22として、図5(A)に示されるような光学系が用いられる。
同図に示す中心光結像系22において、前記中心側集光レンズ53は、長い焦点距離をもち、後置ハーフミラー55よりの平行光を集光する。中心側集光レンズ53に入射する光は平行光なので、中心側集光レンズ53の焦点では光が一点に集まる。
さらに被測定球34の縁の像を鮮明に得るには、中心側集光レンズ53と同様のレンズをもう1枚設ける、あるいは中心側結像レンズ54を設けることが好ましい。本実施形態においては、中心側集光レンズ53の後段に、中心側結像レンズ54を設けている。
【0079】
ここで、中心側結像レンズ54は、その配置位置、焦点距離等が適切に設計されており、被測定球34の表面の位置の像が、中心光観測装置20の受光部81に作られるようにしている。
なお、中心光結像系22では、回折等の影響により、中心側結像レンズ54を配置しないと、中心光観測装置20で十分な中心干渉縞の観測が行えないことがあるので、中心側結像レンズ54の配置は非常に重要である。
【0080】
[周囲光結像系]
また本実施形態においては、周囲光結像系63として、図5(B)に示されるような光学系が用いられる。
同図に示す周囲光結像系63において、周囲側集光レンズ64は、長い焦点距離をもち、後置ハーフミラー55よりの平行光を集光する。周囲側集光レンズ64に入射する光は平行光なので、周囲側集光レンズ64の焦点では光が一点に集まる。
【0081】
さらに被測定球34の縁の像を鮮明に得るには、周囲側集光レンズ64と同様のレンズをもう1枚設ける、あるいは周囲側結像レンズ66を設けることが好ましい。本実施形態においては、周囲側集光レンズ64の後段に周囲側結像レンズ66を設けている。
ここで、前記周囲側結像レンズ66は、その配置位置、焦点距離等が適切に設計されている。この結果、周囲側結像レンズ66により、被測定球34の大きさよりも充分に大きな範囲の像が周囲光観察装置18の受光部82に作られる。
なお、前記中心光結像系22と、前記周囲光結像系63は、その像の倍率が異なる設計とすることが重要である。
【0082】
例えば直径5cmの被測定球34の場合、同心円状の干渉縞10本は、例えば被測定球34の表面の面積にして、わずか0.8mm×0.8mmの範囲に生じる。
このため中心光結像系22は、同図(A)に示すように被測定球34の表面0.8mm×0.8mmの範囲の像を中心光観測装置20の受光面81上に作るように設計する、つまり受光部81に合う大きさに作るように設計する必要がある。
一方、周囲光結像系63は、同図(B)に示すように被測定球34の大きさ5cmよりも充分に大きな範囲、例えば被測定球34の付近8cm×8cmの範囲の像を周囲光観測装置18の受光部82上に作らなければならない。
【0083】
[スペーシャルフィルタ]
前述のように中心側集光レンズ53に入射する光は平行光なので、この中心側集光レンズ53の焦点では光が一点に集まる。
本実施形態においては、中心側集光レンズ53の焦点位置にスペーシャルフィルタ83のピンホール83aを配置し、該スペーシャルフィルタ83により、中心側集光レンズ53よりの光のうち、光軸と平行な光のみを取り出すことが非常に好ましい。
すなわち、図6(A)に示すように中心側集光レンズ53よりの光軸と平行な光は、スペーシャルフィルタ83のピンホール83aの一点に集光するので、スペーシャルフィルタ83のピンホール83aを通過し、中心側結像レンズ54に入射する。
【0084】
一方、同図(B)に示すようにミラー等のふちで生じた回折光等の、本来、測定すべきでない迷光は、光軸と平行でないので、ピンホイール83aの位置には集光しないので、スペーシャルフィルタ83のピンホール83aを通過することができない。
このように本実施形態においては、スペーシャルフィルタ83を迷光の除去のために用いることが非常に好ましい。
【0085】
この結果、本実施形態においては、前記結像系、特に中心結像系22を用いることにより、一台の寸法測定用干渉計10による、端度器の長さ、球体の直径の非接触測定が、より確実に行える。
なお、前記構成では、スペーシャルフィルタ83を中心光結像系22に設けた例について説明したが、周囲光結像系63においても、光軸と平行な周囲干渉光を取り出すために前記スペーシャルフィルタ83を設けることが好ましい。
【0086】
光観測装置
本実施形態においては、一台の干渉計(例えば端度器の長さ測定用干渉計)で、精密球の直径も、より確実に非接触に測定するためには、前記結像系の選定と同様、光観測装置の選定も、非常に重要である。
干渉縞の観測方法としては、PD(光ダイオード)による観測や、スクリーンでの目視観測が一般的に用いられるが、精密球の直径の測定には適さない。
【0087】
すなわち、本発明者によれば、被測定球の直径の概略値5cm、10本の干渉縞を観測する場合、同心円状の中心干渉縞の単位面積あたりの光の強さは、周囲干渉縞のそれを1とすると、約1/1000となり、周囲干渉縞と同等の明るさで中心干渉縞を観測することが重要であるが、難しい。
そこで、本実施形態においては、一台の干渉計10による、端度器の長さ、球体の直径の非接触測定をより確実に行うために、光観測装置としては、一例であるが最低被写体照度が0.3ルクス程度、好ましくは最低被写体照度が0.001ルクス程度のバルブ機能付き写真機、高感度CCDカメラ、CMOSカメラよりなる群より選ばれることが好適である。
【0088】
このために本実施形態においては、特に中心光観測装置20として、高感度CCDカメラを用いている。
この結果、一台の寸法測定用干渉計10による、端度器の長さ、球体の直径の非接触測定が、より確実に行える。また本実施形態においては、光学素子の点数が少ないので、寸法測定用干渉計10の小型化が図られる。
【0089】
第二実施形態
図7には本発明の第二実施形態にかかる寸法測定用干渉計の概略構成が示されている。なお、前記第一実施形態と対応する部分には符号100を加えて示し説明を省略する。
同図に示す寸法測定用干渉計110は、光照射手段116としての、頂点用ハーフミラー142、第一照射用ハーフミラー184及び第二照射用ハーフミラー186を三角形の各頂点(環状)に配置している。第一照射用ハーフミラー184及び第二照射用ハーフミラー186は、被測定球134の測定軸と一致した光軸を有し、且つ所定離隔距離をおいて配置されている。
【0090】
また光源112と光照射手段116間の光路中に、前置反射鏡188を設けている。
そして、頂点用ハーフミラー142は、前置反射鏡188よりのレーザ光136を第一分割光190と第二分割光192に分割する。
第一照射用ハーフミラー184の後段には、第一参照鏡148aと、第一後置ハーフミラー155aが設けられる。第一後置ハーフミラー155a後段の透過側に第一周囲光結像系163aと、第一周囲光観測装置118aを備える。第一後置ハーフミラー155a後段の反射側に第一中心光結像系(第一中心光結像部)122aと、第一中心光観測装置(第一中心光観測部)120aを備える。
【0091】
ここで、第一周囲光結像系163aは、光軸にほぼ平行な第一周囲干渉光(ビームの周囲)150aのみを取り出す。
第一周囲光観測装置118aは、第一照射用ハーフミラー184で形成された第一周囲干渉光150aを第一周囲光結像系163aを介して第一周囲干渉縞として観測する。
【0092】
第一中心光結像系122aは、第一中心光観測装置120aで観察される第一中心干渉縞の像が第一中心光観測装置120aの受光部に合わせた大きさとなるように、第一照射用ハーフミラー184で形成された第一中心干渉光152aを、第一中心光観測装置120aの受光部の大きさに合わせた倍率にして、第一中心光観測装置120aの受光部に結像させる。
本実施形態において、第一中心側集光レンズ153aは、第一照射用ハーフミラー184よりの光のうち、平行な第一中心干渉光152aを集光する。第一中心側結像レンズ154aは、第一中心側集光レンズ153aよりの第一中心干渉光152aを第一中心光観測装置120aの受光部の大きさに合わせた倍率に拡大して、第一中心光観測装置120aの受光部に結像させる。
【0093】
第一中心光観測装置120aは、第一中心光結像系122aにより、第一中心光観測装置120aの受光部の大きさに合わせた倍率に拡大された第一中心干渉光152aが入射される。
第二照射用ハーフミラー186の後段には、第二参照鏡148bと、第二後置ハーフミラー155bが設けられる。第二後置ハーフミラー155b後段の透過側に第二周囲光結像系163bと、第二周囲光観測装置118bを備える。第二後置ハーフミラー155b後段の反射側に第二中心光結像系(第二中心光結像部)122bと、第二中心光観測装置(第二中心光観測部)120bを備える。
【0094】
ここで、第二周囲光結像系163bは、第二照射用ハーフミラー186で形成された光のうち、光軸にほぼ平行な第二周囲干渉光(ビームの周囲)150bのみを取り出す。
第二周囲光観測装置118bは、第二照射用ハーフミラー186で形成された第二周囲干渉光150bを第二周囲光結像系163bを介して第二周囲干渉縞として観測する。
【0095】
第二中心光結像系122bは、第二中心光観測装置120bで観察される第二中心干渉縞の像が第二中心光観測装置120bの受光部に合わせた大きさとなるように、第二照射用ハーフミラー186で形成された第二中心干渉光152bを、第二中心光観測装置120bの受光部の大きさに合わせた倍率にして、第二中心光観測装置120bの受光部に結像させる。
【0096】
本実施形態において、第二中心側集光レンズ153bは、第二照射用ハーフミラー186よりの光のうち、平行な第二中心干渉光152bを集光する。第二中心側結像レンズ154bは、第二中心側集光レンズ153bよりの第二中心干渉光152bを第二中心光観測装置120bの受光部の大きさに合わせた倍率に拡大して、第二中心光観測装置120bの受光部に結像させる。
第二中心光観測装置120bは、第二中心光結像系122bにより、第二中心光観測装置120bの受光部の大きさに合わせた倍率に拡大された第二中心干渉光152bが入射される。
【0097】
第二実施形態の作用
本実施形態にかかる寸法測定用干渉計110は概略以上のように構成され、以下にその作用について説明する。
すなわち、頂点用ハーフミラー142は、光源112よりのレーザ光136を第一分割光190と第二分割光192とに分割する。第一分割光190は第一照射用ハーフミラー184に向かう。第二分割光192は第二照射用ハーフミラー186に向かう。
【0098】
第一照射用ハーフミラー184は、第一測定光174を被測定球134の測定軸方向に出射し、その中心光である第一中心測定光を被測定球134の右側(第一照射側)より入射させて反射光を戻す。かつ第一照射用ハーフミラー184は、第一測定光174の周囲光である第一周囲測定光を、被測定球134の脇を通過させて第二照射用ハーフミラー186に入射させる。
第二照射用ハーフミラー186は、第二測定光176を被測定球134の測定軸方向に出射し、その中心光である第二中心測定光を被測定球134の左側(第二照射側)より入射させて反射光を戻す。かつ第二照射用ハーフミラー186は、第二測定光176の周囲光である第二周囲測定光を、被測定球134の脇を通過させて第一照射用ハーフミラー184に入射させる。
【0099】
また第一照射用ハーフミラー184は、被測定球134の脇を通過してきた第二照射用ハーフミラー186よりの第二周囲測定光と、第一参照鏡148aで反射してきた第一参照光140aとを合成して第一周囲干渉光150aを形成させる。これを第一後置ハーフミラー155a、第一周囲光結像系163aを介して第一周囲光観測装置118aに入射させる。
また第一照射用ハーフミラー184は、第一測定光174を被測定球134の右側より照射して得られた第一中心測定光と、第一参照鏡148aで反射してきた第一参照光140aとを合成し、第一中心干渉光152aを形成する。
【0100】
さらに第一照射用ハーフミラー184は、第一中心干渉光152aを第一後置ハーフミラー155a、第一中心光結像系122aを介して第一中心光観測装置120aに入射させる。
第一周囲光観測装置118aは、第一照射用ハーフミラー184よりの第一周囲干渉光150aを第一周囲干渉縞として観測する。
また第一中心光観測装置120aは、第一照射用ハーフミラー184、第一後置ハーフミラー155aよりの第一中心干渉光152aを第一中心干渉縞として観測する。
【0101】
第二照射用ハーフミラー186は、被測定球134の脇を通過してきた第一照射用ハーフミラー184よりの第一周囲測定光と、第二参照鏡148bで反射してきた第二参照光140bとを合成して第二周囲干渉光150bを形成させる。これを第二後置ハーフミラー155b、第二周囲光結像系163bを介して第二周囲光観測装置118bに入射させる。
また第二照射用ハーフミラー186は、第二測定光176を被測定球134の左側より照射して得られた第二中心測定光と、第二参照鏡148bで反射してきた第二参照光140bとを合成し、第二中心干渉光152bを形成する。
【0102】
さらに第二照射用ハーフミラー186は、第二中心干渉光152bを第二後置ハーフミラー155b、第二中心光結像系122bを介して第二中心光観測装置120bに入射させる。
第二周囲光観測装置118bは、第二後置ハーフミラー155b、第二周囲光結像系163bよりの第二周囲干渉光150bを第二周囲干渉縞として観測する。
第二中心光観測装置120bは、第二後置ハーフミラー155b、第二中心光結像系122bよりの第二中心干渉光152bを第二中心干渉縞として観測する。
【0103】
そして、コンピュータ126は、被測定球134の直径の予備値、第一周囲光観測装置118aで観測された第一周囲干渉縞、第二周囲光観測装置118bで観測された第二周囲干渉縞、第一中心光観測装置120aで観測された第一中心干渉縞、及び第二中心光観測装置120bで観測された第二中心干渉縞に基づいて、被測定球134の直径Lを求める。
【0104】
第二実施形態の詳細な作用
以下に、本実施形態の作用について、より詳しく説明する。
すなわち、頂点用ハーフミラー142から第一照射用ハーフミラー184に向かう第一分割光190は、第一照射用ハーフミラー184で第一測定光174と第一参照光140aに分けられる。また頂点用ハーフミラー142から第二照射用ハーフミラー186に向かう第二分割光192は、第二照射用ハーフミラー186で第二測定光176と第二参照光140bに分けられる。
そして、次のような測定光、参照光となる。
【0105】
[第一中心測定光]
第一照射用ハーフミラー184から被測定球134に向かう第一測定光174の中心付近である第一中心測定光は、被測定球134により反射され、再び第一照射用ハーフミラー184に向かう。そして、第一中心測定光は、第一照射用ハーフミラー184を透過し、第一後置ハーフミラー155aで反射し、第一中心光結像系122aを介して第一中心光観測装置120aに入射される。このような第一中心測定光をビームBとする。
【0106】
[第一周囲測定光]
第一照射用ハーフミラー184から被測定球134に向かう第一測定光174の周囲部分である第一周囲測定光は、被測定球134の脇を通過し、第二照射用ハーフミラー186を透過する。さらに第二後置ハーフミラー155bを透過し、第二周囲光結像系163bを通り、第二周囲光観測装置118bに入射される。このような第一周囲測定光をビームBとする。
【0107】
[第二中心測定光]
第二照射用ハーフミラー186から被測定球134に向かう第二測定光176の中心付近である第二中心測定光は、被測定球134により反射され、再び第二照射用ハーフミラー186に戻る。そして、この第二中心測定光は、第二照射用ハーフミラー186を透過し、第二後置ハーフミラー155bで反射され、第二中心光結像系122bを通り、第二中心光観測装置120bに入射される。このような第二中心測定光をビームBとする。
【0108】
[第二周囲測定光]
第二照射用ハーフミラー186から被測定球134に向かう第二測定光176の周囲部分である第二周囲測定光は、被測定球134の脇を通り、第一照射用ハーフミラー184を透過する。さらに第一後置ハーフミラー155aを透過し、第一周囲光結像系163aを通り、第一周囲光観測装置118aに入射される。このような第二周囲測定光をビームBとする。
【0109】
[第一参照光]
第一照射用ハーフミラー184から第一参照鏡148aに向かう第一参照光140aは、第一参照鏡148aで反射され、第一照射用ハーフミラー184で反射される。
第一参照光140aは、第一後置ハーフミラー155aで二つに分けられ、一方は第一周囲光結像系163aを通り、第一周囲光観測装置118aに入射される。このような第一参照光140aをビームBとする。
また、他方の第一参照光140aは、第一後置ハーフミラー155aで反射され、第一中心光結像系122aを通り、第一中心光観測装置120aに入射される。このような第一参照光140aをビームBとする。
【0110】
[第二参照光]
第二照射用ハーフミラー186から第二参照鏡148bに向かう第二参照光140bは、第二参照鏡148bにより反射され、第二照射用ハーフミラー186で反射される。
第二参照光140bは、第二後置ハーフミラー155bで二つに分けられ、一方は第二周囲光結像系163bを通り、第二周囲光観測装置118bに入射される。このような第二参照光140bをビームBとする。
【0111】
また、他方の第二参照光140bは、第二後置ハーフミラー155bで反射され、第二中心光結像系122bを通り、第二中心光観測装置120bに入射される。このような第二参照光140bをビームBとする。
この結果、第一中心光観測装置120aでは、第一中心測定光(ビームB)と、第一参照鏡148aで反射してきた第一参照光(ビームB)で形成された第一中心干渉光152aが、第一中心干渉縞180a(図9参照)として観測される。
【0112】
また第二中心光観測装置120bでは、第二中心測定光(ビームB)と、第二参照鏡148bで反射してきた第二参照光(ビームB)で形成された第二中心干渉光152bが、第二中心干渉縞180b(図9参照)として観測される。
ここで、通常、球体の干渉縞は、同心円状であるため、干渉縞のピッチが狭くて読み取りにくい。また通常、球体の干渉縞は、ピッチが狭いうえに、暗い、明暗がくっきりしないため、さらに読み取りにくい。
【0113】
そこで、本実施形態においては、照射用ハーフミラーよりの中心干渉光152a,152bを、中心光結像系122a,122bにより、中心光観測装置120a,120bの受光部の大きさに基づいて定められた中心干渉縞像の倍率に拡大して、該中心光観測装置120a,120bの受光部に結像させる。しかも、中心光観測装置120a,120bは、暗い中心干渉縞も読み取ることのできる高感度のものを用いている。
【0114】
この結果、本実施形態においては、中心光結像系122a,122bにより、取り出された中心干渉光152a,152bを光学的に拡大して中心光観測装置120a,120bに結像させているので、中心光観測装置120a,120bに、通常の球体の干渉縞に比較し、ピッチの広い同心円状の中心干渉縞が結像される。このため、中心光観測装置120a,120bでは、通常の球体の干渉縞に比較し、ピッチの広い同心円状の中心干渉縞が撮像される。
【0115】
したがって、コンピュータ126は、このようにして得られた干渉縞画像に基づいて、干渉縞の間隔の読み取り等の干渉縞の画像解析を、より容易に及び正確に行うことができる。しかも、中心光観測装置120a,120bは、暗い中心干渉縞も読み取ることのできる高感度のものを用いているので、中心光観測装置120a,120bに結像された中心干渉縞が暗くても、中心光観測装置120a,120bにより、明るい、明暗のくっきりした中心干渉縞画像をコンピュータ126に得ることができる。
コンピュータ126は、このようにして得られた干渉縞画像に基づいて、干渉縞の間隔の読み取り等の干渉縞解析を、より容易に及び正確に行うことができる。
【0116】
第一周囲光観測装置118aでは、第二周囲測定光(ビームB)と、第一参照鏡148aで反射してきた第一参照光(ビームB)で形成される第一周囲干渉光150aが、第一周囲干渉縞178a(図10参照)として観測される。
第二周囲光観測装置118bでは、第一周囲測定光(ビームB)と、第二参照鏡148bで反射してきた第二参照光(ビームB)で形成される第二周囲干渉光150bが、第二周囲干渉縞178b(図10参照)として観測される。
【0117】
ここで、本実施形態においては、第一照射用ハーフミラー184よりの第一周囲干渉光150aは、第一周囲光結像系163aにより、第一周囲光観測装置118aの受光部の大きさに基づいて定められた倍率にして、該第一周囲光観測装置118aの受光部に結像される。
また本実施形態においては、第二照射用ハーフミラー186よりの第二周囲干渉光150bは、第二周囲光結像系163bにより、第二周囲光観測装置118bの受光部の大きさに基づいて定められた倍率にして、該第二周囲光観測装置118bの受光部に結像される。
【0118】
しかも、第一周囲光観測装置118a,第二周囲光観測装置118bは、暗い干渉縞も読み取ることのできる高感度のものを用いている。
このため、第一周囲光観測装置118a,第二周囲光観測装置118bに結像される周囲干渉縞が暗くても、第一周囲光観測装置118a,第二周囲光観測装置118bよりの周囲干渉縞に基づいて、周囲干渉縞をしっかりと読み取ることができる。
【0119】
前述のようにして得られたピッチの広い、明るい、明暗のくっきりした干渉縞画像を解析することにより、このような工夫のない干渉縞を解析するものに比較し、容易に及び正確に干渉縞の解析が行える。
このような干渉縞の解析結果に基づいて、以下のようにして被測定球134の直径Lを、より正確に及び容易に求めることができる。
すなわち、第一中心測定光(ビームB)、第一周囲測定光(ビームB)、第二中心測定光(ビームB)、第二周囲測定光(ビームB)、第一参照光(ビームB),(ビームB)、および第二参照光(ビームB),(ビームB)の光路長をそれぞれL、L、L、L、L、L、L、Lとすると、下記数12〜数15のように書ける。
【0120】
【数12】
−L=λ(N+ε
【数13】
−L=λ(N+ε
【数14】
−L=λ(N+ε
【数15】
−L=λ(N+ε
これらは、第一周囲干渉縞178a、第一中心干渉縞180a、第二周囲干渉縞178b、および第二中心干渉縞180bから与えられる。
ここで、λは、レーザ光源128よりのレーザ光136の実験室中の波長、
、N、NおよびNは、ある整数、
ε、ε、εおよびεは0以上、1よりも小さい実数である。
したがって、被測定球134の直径Lは、下記数16〜数18と与えられる。
【数16】
={(L−L)+(L−L)−(L−L)−(L−L)}/2
【数17】
=λ(N+N−N−N+ε+ε−ε−ε)/2
【数18】
=λ(N+ε+ε−ε−ε)/2
【0121】
[整数N]
ここで、Nは、ある整数であり、被測定球134の直径が概略値が既知であれば、求まる。
【0122】
[実数ε,ε]
実数ε,εは、次のようにして求めることができる。
すなわち、図10に示した第一周囲干渉縞178aおよび第二周囲干渉縞178bは、前記第一実施形態の周囲干渉縞と同様な平行線状の干渉縞(図3参照)であり、実数εおよびεは、前記第一実施形態の周囲干渉縞(図3中、周囲干渉縞78)での実数εと同じ手順で求めることができる。
【0123】
[実数ε,ε]
実数ε,εは、次のようにして求めることができる。
すなわち、図9に示した第一中心干渉縞180aおよび第二中心干渉縞180bは、前記第一実施形態の中心干渉縞(図4参照)と同様な同心円状の干渉縞であり、実数εおよびεは、前記第一実施形態の第一中心干渉縞(図4中、80a)での実数εと同じ手順で求めることができる。
したがって、前記数18に基づいて、被測定球134の直径Lが、正確に及び容易に求めることができる。
【0124】
以上のように本実施形態にかかる寸法測定用干渉計によれば、光照射手段として頂点用ハーフミラー、第一照射用ハーフミラー及び第二照射用ハーフミラーを用いているが、前記第一実施形態と同様、環状配置の光照射手段を備えた干渉計に対して、前述のようなピッチの狭い同心円状の中心干渉縞を十分に拡大することのできる中心結像系と、暗い中心干渉縞も読み取ることのできる光観測装置を設けることとした。
この結果、本実施形態においても、前記第一実施形態と同様、エタロンを用いず、精密球の直径を、光波干渉測定により、非接触に測定することができる。
【0125】
端度器の寸法測定
前記構成では、寸法測定用干渉計110を用いて精密球の直径を非接触に測定した例について説明したが、端度器の長さも非接触に測定することができる。
すなわち、前記精密球の測定では、中心光観測装置及び周囲光観測装置により得られた干渉縞画像に基づいて直径を求めたが、端度器の測定では、以下に示されるような、周囲光観測装置により得られる干渉縞画像に基づいて長さを求めることができる。
【0126】
図11には、前記図7に示した寸法測定用干渉計110に端度器が設けられた状態が示されている。なお、同図では、端度器として断面長方形のブロックゲージを想定し、寸法の概略値(予備値)が既知のブロックゲージの相対向する端面間の寸法を測定する例について説明する。
同図に示す寸法測定用干渉計110は、ブロックゲージ(端度器)194の測長軸と一致した光軸を有し、且つ所定離隔距離をおいて第一照射用ハーフミラー184、及び第二照射用ハーフミラー186が配置されている。
【0127】
また第一周囲光観測装置118aは、第一照射用ハーフミラー184で形成された干渉光の位相差(ε−ε)を観測する。第二周囲光観測装置118bは、第二照射用ハーフミラー186で形成された干渉光の位相差(ε−ε)を観測する。
なお、ブロックゲージ194の長さの測定では、第一中心光観測装置120a,第二中心光観測装置120bよりの干渉縞画像データを用いずに、第一周囲光観測装置118a、第二周囲光観測装置118bよりの干渉縞画像データのみを用いている。
【0128】
ブロックゲージ194の長さの測定では、第一周囲光観測装置118aでの基準干渉縞及び測定干渉縞の観測と、第二周囲光観測装置118bでの基準干渉縞及び測定干渉縞の観測を同時に行っている。
すなわち、レーザ光源128よりのレーザ光136は、その一部がブロックゲージ194の端部に入射し、且つその残りがブロックゲージ194の脇を通過し第一照射用ハーフミラー184、ないし第二照射用ハーフミラー186に入射するように、ビームエキスパンダ130により、ブロックゲージ194の測定端面よりも大きい径に拡大された後に、コリメータ132により平行光とされ、頂点用ハーフミラー142に入射されている。
【0129】
図12に示すように頂点用ハーフミラー142は、前置反射鏡よりのレーザ光136を第一分割光190と第二分割光192とに二分割する。第一分割光190を第一照射用ハーフミラー184に入射させる。第二分割光192を第二照射用ハーフミラー186に入射させる。
第一照射用ハーフミラー184は、頂点用ハーフミラー142よりの第一分割光190を第一測定光174と第一参照光140aに二分割する。第一測定光174をブロックゲージ194の図中右方に向けて出射する。第一参照光140aを第一参照鏡148aに入射させる。第一照射用ハーフミラー184によりブロックゲージ194の図中右方に向けて照射された第一測定光174の中心光、つまり第一中心測定光174bは、ブロックゲージ194の右端194aに入射する。第一測定光174の周囲光、つまり第一周囲測定光174aは、ブロックゲージ194の右端194aに入射することなく、その脇を通過して、第二照射用ハーフミラー186に入射する。
【0130】
一方、頂点用ハーフミラー142により分割された第二分割光192は、第二照射用ハーフミラー186に入射する。この第二照射用ハーフミラー186は、頂点用ハーフミラー142よりの第二分割光192を第二測定光176と第二参照光140bに二分割する。第二測定光176をブロックゲージ194の図中左方に向けて照射し、第二参照光140bを第二参照鏡148bに入射させる。第二照射用ハーフミラー186によりブロックゲージ194の図中左方に向けて出射された第二測定光176の中心光、つまり第二中心測定光176bは、ブロックゲージ194の左端194bに入射する。第二測定光176の周囲光、つまり第二周囲測定光176aはブロックゲージ194の左端194bに入射することなくその脇を通過して、第一照射用ハーフミラー184に入射する。
そして、第一周囲光観測装置118aでは、前記位相差(ε−ε)が観測される。
【0131】
すなわち、第一照射用ハーフミラー184により第一参照鏡148aに向けて出射された第一参照光140aは、第一参照鏡148aで反射し、再度第一照射用ハーフミラー184に戻る。
このため、第一照射用ハーフミラー184では、ブロックゲージ194の脇を通過してきた第二照射用ハーフミラー186よりの第二周囲測定光176a(光路L)と第一参照鏡148aよりの第一参照光とを重ね合わせて干渉させる。この第一基準干渉光は第一周囲光観測装置118aで第一基準干渉縞として観測される。
【0132】
この観測と同時に、第一照射用ハーフミラー184では、第一照射用ハーフミラー184によりブロックゲージ194の右端194aに向けて出射され、該右端194aで反射し、再度第一照射用ハーフミラー184に戻った第一中心測定光174a(光路L)と、第一参照鏡148aよりの第一参照光140aとを重ね合わせて干渉させる。この第一測定干渉光は第一周囲光観測装置118aに入射され、第一周囲光観測装置118aで第一測定干渉縞として、前記第一基準干渉縞と同時に観測される。
【0133】
一方、第二周囲光観測装置118bでは、前記位相差(ε−ε)が観測される。
すなわち、第二照射用ハーフミラー186により、第二参照鏡148bに向けて照射された第二参照光140bは、第二参照鏡148bで反射し、再度第二照射用ハーフミラー186に戻る。
このため、第二照射用ハーフミラー186では、ブロックゲージ194の脇を通過してきた第一照射用ハーフミラー184よりの第一周囲測定光174a(光路L)と第二参照鏡148bよりの第二参照光140bを重ね合わせて干渉させる。この第二基準干渉光は、第二周囲光観測装置118bに入射され、第二周囲光観測装置118bで第二基準干渉縞として観測される。
【0134】
この観測と同時に、第二照射用ハーフミラー186では、第二照射用ハーフミラー186によりブロックゲージ194の左端194bに向けて出射され、該左端194bで反射し、再度第二照射用ハーフミラー186に戻った第二中心測定光176b(光路L)と、第二参照鏡148bよりの第二参照光140bとを重ね合わせて干渉させる。この第二測定干渉光は、第二周囲光観測装置118bに入射され、第二周囲光観測装置118bで第二測定干渉縞として、前記第二基準干渉縞と同時に観測される。
【0135】
このようにして得られた第一周囲光観測装置118aでの各干渉縞、及び第二周囲光観測装置118bでの各干渉縞に基づいて、ブロックゲージ194の寸法Lを求めることができる。
すなわち、第一周囲光観測装置118aで観測された第一基準干渉縞196と第一測定干渉縞198との位相差(b/a)を読み取る(図13(A)参照)。その読取結果は、前記位相差(ε−ε)としてコンピュータ126に取得される。
【0136】
また第二周囲光観測装置118bで観測された第二基準干渉縞200と第二測定干渉縞202との位相差(b/a)を同時に読み取る(図13(B)参照)。その読取結果は、前記位相差(ε−ε)としてコンピュータ126に取得される。
コンピュータ126は、このようにして得られた位相差(ε−ε),(ε−ε)等に基づいて、例えば合致法を用いてブロックゲージ194の端面194a,194b間の寸法Lを下記数19に基づいて求める。
【0137】
【数19】
=(λ/2)・{N−N+N−N+(ε−ε)+(ε−ε)}
ただし、λ:レーザ光源128よりのレーザ光136の波長、
〜N:下記各光路長Lを波長λで割ったときの商の自然数、
:頂点用ハーフミラー142から第一照射用ハーフミラー184、ブロックゲージ194の右端194a、第一照射用ハーフミラー184までの光路長、
:頂点用ハーフミラー142から第二照射用ハーフミラー186、ブロックゲージ194の脇、第一照射用ハーフミラー184までの光路長、
:頂点用ハーフミラー142から第二照射用ハーフミラー186、ブロックゲージ194の左端194b、第二照射用ハーフミラー186までの光路長、
:頂点用ハーフミラー142から第一照射用ハーフミラー184、ブロックゲージ194の脇、第二照射用ハーフミラー186まで光路長、
(ε−ε): 第一周囲光観測装置118aで観測された各干渉縞のずれ(b/a)に基づいて求めた位相差情報、
(ε−ε):第二周囲光観測装置118bで観測された各干渉縞のずれ(b/a)に基づいて求めた位相差情報。
【0138】
このようにブロックゲージ194の長さLの測定では、第一周囲光観測装置118aでの基準干渉縞及び測定干渉縞の観測と、第二周囲光観測装置118bでの基準干渉縞及び測定干渉縞の観測を同時に行っている。
したがって、本実施形態においては、従来方式に比較し、つまりシャッターを切り換えてブロックゲージの右端と左端の測定を交互に行うものに比較し、測定回数を大幅に低減することができる。また測定時間の大幅な短縮化と、操作性の向上を図ることもできる。
【0139】
また本実施形態においては、ブロックゲージの測定の際に、必要な全ての干渉縞を同時に得ることができるから、特にブロックゲージの測定の際に有利である。 すなわち、干渉計の光学素子は、堅牢に固定されているものの、周囲の温度変化による膨張等のために時間の経過と共に僅かに動くことがある。本実施形態にかかる寸法測定用干渉計においては、高い精度が求められるため、たとえナノメートルオーダの光学素子の変動であっても測定誤差となり得るので、短時間に測定を行うことが重要だからである。
【0140】
【発明の効果】
以上のように本発明にかかる寸法測定用干渉計によれば、環状に配置された光照射手段と、ピッチの狭い同心円状の中心干渉縞を十分に拡大することのできる中心結像手段と、暗い中心干渉縞も読み取ることのできる光観測手段を備えることとしたので、従来極めて困難であった、一台の干渉計による種々の被測定物の寸法測定が非接触に行える。
また本発明においては、中心光結像手段として、平行な中心干渉光を集光する中心側集光レンズと、該中心干渉光を中心光観測手段の受光部の大きさに合わせた倍率にして結像させる中心側結像レンズを備えることにより、前記寸法測定が、より確実に行える。
また本発明においては、中心光結像手段は、集光レンズよりの光のうち、光軸に平行な光のみを結像レンズ側に通過させるスペーシャルフィルタを備えることにより、前記寸法測定が、より確実に行える。
また本発明においては、バルブ機能付き写真機、高感度CCDカメラ、CMOSカメラよりなる群より選ばれた光観測手段を用いることにより、前記寸法測定が、より確実に行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一実施形態にかかる寸法測定用干渉計の概略構成の説明図である。
【図2】図1に示した寸法測定用干渉計での光の流れの説明図である。
【図3】図1に示した寸法測定用干渉計により得られた平行線状の周囲干渉縞の説明図である。
【図4】図1に示した寸法測定用干渉計により得られた同心円状の中心干渉縞の説明図である。
【図5】同図(A)は中心光観測系の説明図、同図(B)は周囲光観測系の説明図である。
【図6】本実施形態にかかる寸法測定用干渉計の結像系において好適に用いられるスペーシャルフィルタの作用の説明図である。
【図7】本発明の第二実施形態にかかる寸法測定用干渉計の概略構成の説明図である。
【図8】図7に示した寸法測定用干渉計での光の流れの説明図である。
【図9】図7に示した寸法測定用干渉計により得られた同心円状の周囲干渉縞の説明図である。
【図10】図7に示した寸法測定用干渉計により得られた平行線状の中心干渉縞の説明図である。
【図11】図7に示した寸法測定用干渉計による端度器の長さ測定時の説明図である。
【図12】図11に示した端度器の長さ測定時の光の流れの説明図である。
【図13】図11に示した端度器の長さ測定時に得られた干渉縞の説明図である。
【符号の説明】
10,110 寸法測定用干渉計
12,112 光源
14 分割合成用ハーフミラー(分割手段,周囲光合成手段,中心光合成手段)
16,116 光照射手段
18,118a,118b 周囲光観測装置(周囲光観測手段)
20,120a,120b 中心光観測装置(中心光観測手段)
22,122a,122b 中心光結像系(中心光結像手段)
184 第一照射用ハーフミラー(分割手段,周囲光合成手段,中心光合成手段)
186 第二照射用ハーフミラー(分割手段,周囲光合成手段,中心光合成手段)

Claims (9)

  1. 寸法の概略値が既知の被測定物の光波干渉測定により得られた干渉縞に基づいて、該被測定物の寸法を求める寸法測定用干渉計であって、
    前記被測定物の大きさに基づいて定められた径をもつ可干渉光を出射する一の光源と、
    前記光源よりの可干渉光を測定光と参照光とに分割する分割手段と、
    環状に配置され、前記被測定物の測定軸と一致した光軸をもち、前記分割手段よりの測定光を、該被測定物及びその脇に対し、該測定軸の両側より照射する光照射手段と、
    前記被測定物の脇を通過してきた周囲測定光と前記参照光とを合成し、周囲干渉光を形成する周囲光合成手段と、
    前記被測定物で反射してきた中心測定光と前記参照光とを合成し、中心干渉光を形成する中心光合成手段と、
    前記周囲光合成手段により形成された周囲干渉光が受光部に結像され、これを周囲干渉縞として観測する周囲光観測手段と、
    前記中心光合成手段により形成された中心干渉光が受光部に結像され、これを中心干渉縞として観測する中心光観測手段と、
    前記周囲光観測手段で観察される周囲干渉縞の像が該周囲光観測手段の受光部に合わせた大きさとなるように、前記周囲光合成手段により形成された周囲干渉光を、該周囲光観測手段の受光部の大きさに合わせた倍率にして、該周囲光観測手段の受光部に結像させる周囲光結像手段と、
    前記中心光観測手段で観察される中心干渉縞の像が該中心光観測手段の受光部に合わせた大きさとなるように、前記中心光合成手段により形成された中心干渉光を、該中心光観測手段の受光部の大きさに合わせた倍率にして、該中心光観測手段の受光部に結像させる中心光結像手段と、
    を備え、
    前記被測定物の寸法の概略値、前記周囲光観測手段により得られた周囲干渉縞、及び前記中心光観測手段により得られた中心干渉縞に基づいて、該被測定物の寸法を求めることを特徴とする寸法測定用干渉計。
  2. 請求項1記載の寸法測定用干渉計において、
    前記被測定物として、直径の概略値が既知の球体の直径を求める際は、
    前記周囲光観測手段は、前記球体周囲の干渉縞である平行線状の周囲干渉縞を該球体に対応する円状の像部分と共に観測し、
    前記中心光観測手段は、前記球体の干渉縞である同心円状の中心干渉縞を、前記測定軸の両側についてそれぞれ観測し、
    前記周囲光観測手段により得られた平行線状の周囲干渉縞、及び前記中心光観測手段により得られた同心円状の中心干渉縞に基づいて、前記球体の直径を求めることを特徴とする寸法測定用干渉計。
  3. 請求項1又は2記載の寸法測定用干渉計において、
    前記分割手段、前記周囲光合成手段及び前記中心光合成手段は、一の分割合成用ハーフミラーを含み、
    前記中心干渉光は、第一中心干渉光と、第二中心干渉光と、を含み、
    また第一中心干渉縞の観測又は第二中心干渉縞の観測を選択するためのシャッターを含み、
    前記光照射手段は、前記分割合成用ハーフミラーよりの測定光を二分割する頂点用ハーフミラーと、前記被測定物の測定軸と一致した光軸を有し、且つ所定離隔距離をおいて配置された第一照射用反射鏡及び第二照射用反射鏡と、を環状に構成し、
    前記第一照射用反射鏡は、前記頂点用ハーフミラーよりの測定光の中心光である第一中心測定光を前記被測定物の第一照射側より入射させて反射光を戻し、且つその周囲光である第一周囲測定光を、該被測定物の脇を通過させて前記第二照射用反射鏡に入射させ、
    前記第二照射用反射鏡は、前記頂点用ハーフミラーよりの測定光の中心光である第二中心測定光を該被測定物の第二照射側より入射させて反射光を戻し、且つその周囲光である第二周囲測定光を、該被測定物の脇を通過させて前記第一照射用反射鏡に入射させ、
    また前記第一照射用反射鏡及び前記頂点用ハーフミラーは、前記被測定物の脇を通過してきた前記第二照射用反射鏡よりの第二周囲測定光を、前記分割合成用ハーフミラーに戻し、
    また前記第二照射用反射鏡及び前記頂点用ハーフミラーは、前記被測定物の脇を通過してきた前記第一照射用反射鏡よりの第一周囲測定光を、前記分割合成用ハーフミラーに戻し、
    前記分割合成用ハーフミラーは、前記頂点用ハーフミラーよりの第一周囲測定光、第二周囲測定光及び前記参照光とを合成し、周囲干渉光を形成し、
    また前記分割合成用ハーフミラーは、前記シャッターによる選択により、前記頂点用ハーフミラーよりの第一中心測定光及び前記参照光とを合成し第一中心干渉光を形成し、又は前記頂点用ハーフミラーよりの第二中心測定光及び該参照光とを合成し第二中心干渉光を形成し、
    前記周囲光観測手段は、前記分割合成用ハーフミラーで得られた周囲干渉光を周囲干渉縞として観測し、
    前記中心光観測手段は、前記シャッターによる選択により、前記分割合成用ハーフミラーで得られた第一中心干渉光を第一中心干渉縞として観測し、又は該分割合成用ハーフミラーで得られた第二中心干渉光を第二中心干渉縞として観測することを特徴とする寸法測定用干渉計。
  4. 請求項3記載の寸法測定用干渉計において、
    前記被測定物の寸法Lを下記数1に基づいて求めることを特徴とする寸法測定用干渉計。
    Figure 0004133643
    ここで、λは、前記光源よりの可干渉光の波長、
    Nは、前記被測定物の寸法の概略値に基づいて求められた整数、
    εは、前記周囲光観測手段で得られた周囲干渉縞に基づいて求められた0以上、1よりも小さい実数、
    εは、前記中心光観測手段で得られた第一中心干渉縞に基づいて求められた0以上、1よりも小さい実数、
    εは、前記中心光観測手段で得られた第二中心干渉縞に基づいて求められた0以上、1よりも小さい実数。
  5. 請求項1又は2記載の寸法測定用干渉計において、
    前記光源よりの可干渉光を第一分割光と第二分割光に分割する頂点用ハーフミラーを含み、
    また前記光照射手段は、前記頂点用ハーフミラーと共に環状を構成し、前記被測定物の測定軸と一致した光軸を有し、且つ所定離隔距離をおいて配置された第一照射用ハーフミラー及び第二照射用ハーフミラーを含み、
    前記周囲光観測手段は、前記第一照射用ハーフミラーで形成された第一周囲干渉光を第一周囲干渉縞として観測する第一周囲光観測部、及び前記第二照射用ハーフミラーで形成された第二周囲干渉光を第二周囲干渉縞として観測する第二周囲光観測部を含み、
    前記中心光観測手段は、前記第一照射用ハーフミラーで形成された第一中心干渉光を第一中心干渉縞として観測する第一中心光観測部、及び前記第二照射用ハーフミラーで形成された第二中心干渉光を第二中心干渉縞として観測する第二中心光観測部を含み、
    前記周囲光結像手段は、前記第一照射用ハーフミラーで形成された第一周囲干渉光を前記第一周囲光観測部の受光部の大きさに合わせた倍率にして結像させる第一周囲光結像部、及び前記第二照射用ハーフミラーで形成された第二周囲干渉光を前記第二周囲光観測部の受光部の大きさに合わせた倍率にして結像させる第二周囲光結像部を含み、
    前記中心光結像手段は、前記第一照射用ハーフミラーで形成された第一中心干渉光を前記第一中心光観測部の受光部の大きさに合わせた倍率にして結像させる第一中心光結像部、及び前記第二照射用ハーフミラーで形成された第二中心干渉光を前記第二中心光観測部の受光部の大きさに合わせた倍率にして結像させる第二中心光結像部を含み、
    前記第一照射用ハーフミラーは、前記頂点用ハーフミラーよりの第一分割光を前記被測定物の測定軸方向に出射し、その中心光である第一中心測定光を該被測定物の第一照射側より入射させて反射光を戻し、且つその周囲光である第一周囲測定光を、該被測定物の脇を通過させて前記第二照射用ハーフミラーに入射させ、
    前記第二照射用ハーフミラーは、前記頂点用ハーフミラーよりの第二分割光を前記被測定物の測定軸方向に出射し、その中心光である第二中心測定光を該被測定物の第二照射側より入射させて反射光を戻し、且つその周囲光である第二周囲測定光を、該被測定物の脇を通過させて前記第一照射用ハーフミラーに入射させ、
    また前記第一照射用ハーフミラーは、前記被測定物の脇を通過してきた第二照射用ハーフミラーよりの第二周囲測定光と該第一照射用ハーフミラーによる第一参照光とを合成し第一周囲干渉光を形成し、且つ該頂点用ハーフミラーよりの第一分割光を該被測定物の第一照射側より照射して得られた第一中心測定光と該第一参照光とを合成し第一中心干渉光を形成し、
    また前記第二照射用ハーフミラーは、前記被測定物の脇を通過してきた第一照射用ハーフミラーよりの第一周囲測定光と該第二照射用ハーフミラーによる第二参照光とを合成し第二周囲干渉光を形成し、且つ該頂点用ハーフミラーよりの第二分割光を該被測定物の第二照射側より照射して得られた第二中心測定光と該第二参照光とを合成し第二中心干渉光を形成し、
    前記第一周囲光観測部は、前記第一照射用ハーフミラー、及び前記第一周囲光結像部よりの第一周囲干渉光を第一周囲干渉縞として観測し、
    前記第一中心光観測部は、前記第一照射用ハーフミラー、及び前記第一中心光結像部よりの第一中心干渉光を第一中心干渉縞として観測し、
    前記第二周囲光観測部は、前記第二照射用ハーフミラー、及び前記第二周囲光結像部よりの第二周囲干渉光を第二周囲干渉縞として観測し、
    前記第二中心光観測部は、前記第二照射用ハーフミラー、及び前記第二中心光結像部よりの第二中心干渉光を第二中心干渉縞として観測することを特徴とする寸法測定用干渉計。
  6. 請求項5記載の寸法測定用干渉計において、
    前記被測定物の寸法Lを下記数2に基づいて求めることを特徴とする寸法測定用干渉計。
    Figure 0004133643
    ここで、λは、前記光源よりの可干渉光の波長、
    Nは、前記被測定物の寸法の概略値に基づいて定められた整数、
    εは、前記第一周囲光観測部で得られた第一周囲干渉縞に基づいて求められた0以上、1よりも小さい実数、
    εは、前記第二周囲光観測部で得られた第二周囲干渉縞に基づいて求められた0以上、1よりも小さい実数、
    εは、前記第一中心光観測部で得られた第一中心干渉縞に基づいて求められた0以上、1よりも小さい実数、
    εは、前記第二中心光観測部で得られた第二中心干渉縞に基づいて求められた0以上、1よりも小さい実数。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の寸法測定用干渉計において、
    前記中心光結像手段は、前記中心光合成手段よりの平行な中心干渉光を集光する中心側集光レンズと、
    前記中心側集光レンズよりの中心干渉光を前記中心光観測手段の受光部の大きさに合わせた倍率にして該中心光観測手段の受光部に結像させる中心側結像レンズと、
    を備え、
    また前記周囲光結像手段は、前記周囲光合成手段よりの平行な周囲干渉光を集光する周囲側集光レンズと、
    前記周囲側集光レンズよりの周囲干渉光を前記周囲光観測手段の受光部の大きさに合わせた倍率にして該周囲光観察手段の受光部に結像させる周囲側結像レンズと、
    を備えたことを特徴とする寸法測定用干渉計。
  8. 請求項7記載の寸法測定用干渉計において、
    少なくとも前記中心光結像手段は、前記中心側集光レンズと前記中心側結像レンズ間の光軸上で該中心側集光レンズの焦点位置に設けられ、該中心側集光レンズよりの光のうち、該光軸に平行な光のみを該中心側結像レンズ側に通過させるスペーシャルフィルタを備えたことを特徴とする寸法測定用干渉計。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の寸法測定用干渉計において、
    前記光観測手段は、バルブ機能付き写真機、高感度CCDカメラ、CMOSカメラよりなる群より選ばれることを特徴とする寸法測定用干渉計。
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