JP4133572B2 - 負荷同定装置、負荷同定方法及び制御系設計支援方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、制御系設計シミュレーション全般、複写機の感光体ドラム駆動部等の駆動系の負荷測定等に適用して好適な負荷同定装置、負荷同定方法及び制御系設計支援方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
駆動部を有する制御系の設計では、予め導き出しておいた負荷特性などのモデルを活用する場合がある。例えば、特開平8−220197号公報のモータ負荷特性同定装置では、モータ電流からモータトルクを検出し、モータトルクとモータ速度よりモータトルクからモータ速度までの伝達関数を同定し、2慣性系の各種パラメータを同定する装置と、その同定結果からモータ制御装置の制御パラメータを調整する装置についての技術が開示されている。また、特開平11−182638号公報の円筒回転体駆動系の伝達ベルト設計支援方法では、ベルトを介して円筒回転体を駆動させる機構の設計支援方法が開示され、ここでは、回転体の偏心量や慣性モーメントより外乱トルクや摩擦負荷を得ている。
【特許文献1】
特開平8−220197号公報
【特許文献2】
特開平11−182638号公報
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、特許文献1のモータ負荷特性同定装置では、機構系は2慣性系に限定し、2慣性系モデルの伝達関数と実機の応答との誤差が最小となる様に最小2乗法を用いて、伝達関数のパラメータを算出している。また、同定の対象となる機構系のパラメータは、同定する前では不明なものとして扱っている。この技術は2慣性の伝達関数で表現される機構系のパラメータを同定するものである。実施例には負荷トルクを時間関数としてモデル化するという負荷トルクに関する記載はあるが、負荷トルクの具体的なモデル化方法は記載されていない。したがって、この方法は、機構系のパラメータと負荷トルクを完全に分離できないため、機構系に偏心があった場合、負荷トルクの変動が伝達関数のパラメータとして同定されてしまう可能性があり、同定結果に誤差が含まれてしまう可能性がある。また、特許文献2の円筒回転体駆動系の伝達ベルト設計支援方法は機構設計データを基にした設計支援(シミュレーション解析)に用いる手法であり、実機の負荷特性を設計支援へ反映させるものではない。また、実機では数学モデル上で考慮された外乱トルクや摩擦負荷以外のモデル化が困難な負荷特性が存在する。シミュレーション解析を行なうためには、数学モデルを設計する必要がある。数学モデルは、機構モデル、制御系モデル、負荷特性モデルから構築されているものとすると、機構モデルおよび制御系モデルの設計は、比較的容易である。例えば機構モデルを設計する方法としては、特許文献2の円筒回転体駆動系の伝達ベルト設計支援方法のように機構設計データを基にする方法、もしくは、実機の周波数応答解析結果からモデル化する方法等がある。しかし、特許文献2の円筒回転体駆動系の伝達ベルト設計支援方法における方法で負荷特性をモデル化することは容易ではない。
【0004】
例えば回転体であれば、回転角度によって負荷特性が変化すると、それは位置決め時間のばらつきとなって現れる。このような位置決め時間のばらつきが問題となるような機構や応答の傾向をつかむ段階であって高精度な解析まで必要としないようなシミュレーション解析では、製作された実機の負荷特性モデルを容易に求め、解析へ反映したいという要求がある。一般的な位置決め装置等の機構系の負荷特性において、位置決め精度へ大きく影響する部分は低い周波数領域であるため、複雑な伝達特性を解析し、高い周波数領域までモデル化することは、上記要求に対してはオーバスペックであり、労力および演算負荷を増加させることになる。
そこで、本発明は、上述の問題点を解決するためになされたもので、簡単な構成で容易に負荷特性を同定しモデル化することができる負荷同定装置、負荷同定方法及び制御系設計支援方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上述の問題点を解決するために、請求項1記載の発明では、モータと、前記モータによって駆動される機構部と、前記モータの回転角度もしくは位置、前記機構部の回転角度もしくは位置を検出する位置検出手段のうちの少なくともいずれか一つと、速度信号を算出する速度演算手段と、前記速度信号を使用し前記モータもしくは前記機構部を所定の速度もしくは角速度で駆動させる制御部とを備えた駆動装置において、前記モータに加わる負荷モデルを同定する負荷同定装置であって、前記モータの電流を検出する電流検出部と、前記電流検出部が検出した電流値とモータ定数からモータ負荷値を算出するモータ負荷演算部と、前記モータ負荷値に対して周波数解析を行う周波数解析部と、前記周波数解析部が解析した結果より周波数を抽出する周波数抽出部と、抽出した周波数ごとに時間関数に変換する時間関数変換部とを備え、算出された各時間関数の和を前記モータに加わる負荷として同定する負荷同定装置を最も主要な特徴とする。
請求項2記載の発明では、同定する負荷の帯域を制限するフィルタ演算部を備えた負荷同定装置を主要な特徴とする。
請求項3記載の発明では、同定された時間関数の負荷を位置と速度によって、位置関数の負荷とする位置関数変換部を備えた負荷同定装置を主要な特徴とする。
請求項4記載の発明では、取得データを記憶する所定時間の長さを、前記機構部の1回転以上もしくは、1走査以上の時間とするデータ記憶部を備えた負荷同定装置を主要な特徴とする。
請求項5記載の発明では、前記フィルタ演算部のカットオフ周波数を前記モータと前記機構部からなる伝達系の機械共振周波数以下とした負荷同定装置を主要な特徴とする。
【0006】
請求項6記載の発明では、モータと、前記モータによって駆動される機構部と、前記モータの回転角度もしくは位置、前記機構部の回転角度もしくは位置を検出する位置検出手段のうちの少なくともいずれか一つと、速度信号を算出する速度演算手段と、前記速度信号を使用し前記モータもしくは前記機構部を所定の速度もしくは角速度で駆動させる制御部とを備えた駆動装置において、前記モータに加わる負荷モデルを同定する負荷同定方法であって、前記モータの電流を検出する電流検出部が検出した電流値とモータ定数からモータ負荷値を算出するモータ負荷演算工程と、前記モータ負荷値に対して周波数解析を行う周波数解析工程と、前記周波数解析部が解析した結果より周波数成分を抽出する周波数抽出工程と、抽出した周波数成分ごとに時間関数に変換する時間関数変換工程とによって、算出された各時間関数の和を前記モータに加わる負荷として同定する負荷同定方法を主要な特徴とする。
請求項7記載の発明では、同定する負荷の帯域を制限するフィルタ演算工程を備えた負荷同定方法を主要な特徴とする。
請求項8記載の発明では、同定された時間関数の負荷を位置と速度によって、位置関数の負荷とする位置関数変換工程を備えた負荷同定方法を主要な特徴とする。
請求項9記載の発明では、取得データを記憶する所定時間の長さを、前記機構部の1回転以上もしくは、1走査以上の時間とするデータ記憶工程を備えた負荷同定方法を主要な特徴とする。
請求項10記載の発明では、前記フィルタ演算工程でのカットオフ周波数を前記モータと前記機構部からなる伝達系の機械共振周波数以下とした負荷同定方法を主要な特徴とする。
【0007】
請求項11記載の発明では、モータと、前記モータによって駆動される機構部と、前記モータの回転角度もしくは位置、前記機構部の回転角度もしくは位置を検出する位置検出手段のうちの少なくともいずれか一つと、速度信号を算出する速度演算手段と、前記速度信号を使用し前記モータもしくは前記機構部を所定の速度もしくは角速度で駆動させる制御部とを備えた駆動装置を数学モデルとし、数値演算によって前記駆動装置の応答解析を行う制御系設計支援方法において、請求項3記載の負荷同定装置もしくは請求項8記載の負荷同定方法で求めた周波数成分ごとの位置関数の負荷を前記数学モデルの前記モータに加わる外乱モデルとし、前記数学モデルの前記モータの回転角度もしくは位置、前記機構部の回転角度もしくは位置のいずれか一つによって、外乱が変化するようにした制御系設計支援方法を主要な特徴とする。
請求項12記載の発明では、モータと、前記モータによって駆動される機構部と、前記モータの回転角度もしくは位置、前記機構部の回転角度もしくは位置を検出する位置検出手段のうちの少なくともいずれか一つと、速度信号を算出する速度演算手段と、前記速度信号を使用し前記モータもしくは前記機構部を所定の速度もしくは角速度で駆動させる制御部とを備えた駆動装置を数学モデルとし、数値演算によって前記駆動装置の応答解析を行う制御系設計支援方法において、請求項3記載の負荷同定装置もしくは請求項8記載の負荷同定方法で求めた周波数成分ごとの位置関数の負荷を使用し、あらかじめ前記数学モデルの前記モータの回転角度もしくは位置、前記機構部の回転角度もしくは位置のいずれか一つに対応する負荷データテーブルを作成し、これを前記数学モデルの前記モータに加わる外乱モデルとし、前記数学モデルの前記モータの回転角度もしくは位置、前記機構部の回転角度もしくは位置のいずれか一つによって前記負荷データテーブルの値を選択することによって外乱が変化するようにした制御系設計支援方法を主要な特徴とする。
【0008】
請求項13記載の発明では、モータと、前記モータによって駆動される機構部と、前記モータの回転角度もしくは位置、前記機構部の回転角度もしくは位置を検出する位置検出手段のうちの少なくともいずれか一つと、速度信号を算出する速度演算手段と、前記速度信号を使用し前記モータもしくは前記機構部を所定の速度もしくは角速度で駆動させる制御部とを備えた駆動装置を数学モデルとし、数値演算によって前記駆動装置の応答解析を行う制御系設計支援方法において、請求項1記載の負荷同定装置もしくは請求項6記載の負荷同定方法で求めた周波数成分ごとの時間関数の負荷を前記数学モデルの前記モータに加わる外乱モデルとし、前記数学モデルの時間変化に応じて、外乱が変化するようにした制御系設計支援方法を主要な特徴とする。
請求項14記載の発明では、モータと、前記モータによって駆動される機構部と、前記モータの回転角度もしくは位置、前記機構部の回転角度もしくは位置を検出する位置検出手段のうちの少なくともいずれか一つと、速度信号を算出する速度演算手段と、前記速度信号を使用し前記モータもしくは前記機構部を所定の速度もしくは角速度で駆動させる制御部とを備えた駆動装置を数学モデルとし、数値演算によって前記駆動装置の応答解析を行う制御系設計支援方法において、請求項3記載の負荷同定装置もしくは請求項8記載の負荷同定方法で求めた周波数成分ごとの時間関数の負荷を使用し、あらかじめ時間に対応する負荷データテーブルを作成し、これを前記数学モデルの前記モータに加わる外乱モデルとし、前記数学モデルの時間変化によって前記負荷データテーブルの値を選択することによって外乱が変化するようにした制御系設計支援方法を主要な特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、図面により本発明の実施の形態である負荷同定装置、負荷同定方法及び制御系設計支援方法について詳細に説明する。図1に実施の形態としての負荷同定装置の構成を示す。負荷同定装置は大きく分けて2つの部分から成っている。一方は測定対象の機構を含む駆動装置であり、もう一方は測定系である。駆動装置としては、機構部5がベルト6を介してモータ4によって駆動される2慣性系を対象とし、負荷トルクを測定する例を説明するが、このような機構構成はインクジェットプリンタの副走査や複写機の感光体ドラムの駆動系等、多くの機器、装置に用いられているものである。また、上述のような機構を、速度制御する場合、モータもしくは機構部の回転角度をエンコーダによって検出し、その値から速度を算出し、フィードバック制御を行なうことは一般的である。
この駆動装置では、機構部5の回転軸の同軸上に回転角度を検出する位置検出手段としてエンコーダ7が取付けられ、エンコーダ7の出力を速度演算手段としての速度演算部8へ入力し速度信号を得る。ここでは、回転系であるため速度信号は角速度信号となる。速度演算部8では、エンコーダパルス間隔を基準クロックでカウントしたり、基準演算周期の間に入ってくるパルス数をカウントし1サンプリング前のパルス数との差分を計算したりすることによって、速度信号を演算する。演算された角速度信号と目標角速度1は比較され速度偏差が算出される。速度偏差は、制御部(速度制御コントローラ)である補償器2に入力される。補償器2では、速度偏差に位相補償等を行ない操作量である電流指令値を出力する。出力された電流指令値はモータドライバ3へ入力される。モータドライバ3は、電流指令値に応じてモータへ電流を流す。このような速度フィードバック系によって機構部は、等速制御される。なお、モータドライバ3が電圧駆動型アンプでも構築可能であるが、ここでは、制御系の性能向上と簡単化のために、モータドライバ3に電流制御型アンプを使用することを前提とする。
【0010】
次に、測定系の構成を説明する。電流検出部9はホール素子等を使用し被接触である電流センサや電流プローブ、回路中に入れた電流検出抵抗等によって構築される。この例では、検出した電流を記憶するデータ記憶部としての電流値記憶部10を備えており、電流値記憶部10はデータレコーダやディジタルストレージオシロスコープ等の所定サンプリング周波数で所定時間のデータを取得できる計測器、もしくは、A/D変換器が取付けられ所定サンプリング周波数で所定時間のデータを取得し、記憶できるPC(パーソナルコンピュータ)やDSPボードやCPUボード等の演算装置によって構築される。現在、演算処理系は一般的にデジタル処理されるため、図中のモータ負荷演算部としてのモータ負荷トルク演算部11、フィルタ演算部12、フーリエ解析部13、周波数抽出部14、時間関数変換部15は、周波数解析部を含むPCやDSPボードCPUボード等の演算装置によって構築される。
続いて、測定系の動作説明をする。等速制御されるときのモータ電流は電流検出部9で検出され、所定サンプリング周波数で所定時間分のデータとして、電流値記憶部10に記憶される。所定サンプリング周波数と所定時間は、解析したい周波数帯域や分解能によって変化する。少なくとも解析したい周波数帯域の2倍以上にサンプリング周波数を設定する必要がある。電流値記憶部10に蓄えられたデータは、モータ負荷トルク演算部11へ送られ(1)式の演算によってモータ負荷トルクに変換される。モータトルクは電流値に比例することより(1)式は成立する。
【数1】
(1)式においてKT:モータのトルク定数、I(t):モータ電流、dT(t):モータ負荷トルク、(t)は時間関数であることを示す。
このときモータ負荷トルクは図8のように検出される。本発明では等速制御を行なっているため、負荷トルクに変動がない場合は、モータ電流は一定となるはずであるが、実際には周波数成分を持っているため図8のようにトルク変動が検出できる。次に、モータ負荷トルクはフィルタ演算部12において所定のフィルタ処理が行なわれる。
【0011】
フィルタ演算処理の一例として離散系のIIRフィルタを説明する。サンプリング時間tsで離散化すなわちデータ取得された場合、状態空間方程式(2)と、出力方程式(3)の演算を行うことによって実現できる。
【数2】
【数3】
(2)式及び(3)式においてad、bd、cd、ddはtsで離散化後のフィルタ定数を表し、x(n)はnサンプリング時の状態変数、u(n)はnサンプリング時の入力、y(n)はnサンプリング時の出力である。
次に、フィルタ処理後のモータ負荷トルク値は、フーリエ解析部13へ送られ、フーリエ変換が行なわれる。フーリエ変換による解は複素数であるため、各周波数におけるゲインと位相情報は(4)式、(5)式として取得される。
【数4】
【数5】
ここで、Reは解析結果の実数部、Imは解析結果の虚数部である。
このときの解析結果は、図9となる。図9の上図がゲイン、下図が位相である。次に、解析結果は周波数抽出部14に送られ、ゲインが所定値以上となる周波数成分が抽出される。抽出結果は、図10である。抽出された周波数成分は時間関数変換部15において、抽出された周波数ごとのゲイン、位相より、余弦関数の形で時間関数に変換される。この抽出された全周波数の余弦関数の和が同定された負荷トルクモデル(数6)となる。同定された負荷トルクモデル(数7)は(6)式として表現される。
【数6】
【数7】
抽出されたn+1個の周波数ω(rad/s)と、そのときの位相φ(rad)、各周波数におけるトルクの片振幅r(Nm)、時間t(sec)より(6)式は表されている。なお、添え字iはi番目の抽出周波数であることを意味する。また、抽出された周波数にはDC成分すなわちω=0(rad/s)の値も含まれる。このように構成された負荷同定装置では、簡単な構成で容易にモータ負荷モデルを同定することができる。
【0012】
次に、上述した負荷同定装置とは一部異なる構成を採用した場合の負荷同定装置について図2を用いて説明する。なお、測定対象の機構を含む駆動装置とフーリエ解析部13以降の測定系の構成は上述の負荷同定装置と同一であるため、異なる部分のみ説明する。電流検出部9はホール素子等を使用し被接触である電流センサや電流プローブ、回路中に入れた電流検出抵抗等によって構成される。フィルタ演算部16とモータ負荷トルク演算部17はオペアンプ等のアナログ回路で構築される。データ記憶部としての負荷トルク記憶部18は、データレコーダやディジタルストレージオシロスコープ等の所定サンプリング周波数で所定時間のデータを取得できる計測器、もしくは、A/D変換器が取付けられ所定サンプリング周波数で所定時間のデータを取得し、記憶できるPC(パーソナルコンピュータ)やDSPボードやCPUボード等の演算装置によって構築される。
フーリエ解析部13、周波数抽出部14、時間関数変換部15は、PCやDSPボードCPUボード等の演算装置によって構築される。また、フィルタ演算部16から時間関数変換部15の間の構成をA/D変換器が取付けられ所定サンプリング周波数で所定時間のデータを取得し、記憶できるPC(パーソナルコンピュータ)やDSPボードやCPUボード等の演算装置によって構築し、電流検出部9以外の計測系をディジタル化することも可能である。
動作を説明すると、電流検出部によって検出された電流値は、フィルタ演算部16で所定のフィルタ処理を施し、モータ負荷トルク演算部17において(1)式の演算を行ない、電流値をモータ負荷トルクに変換する。モータ負荷トルクは、所定のサンプリング周波数で所定時間分のデータとして、負荷トルク記憶部18に記憶される。以降、前記装置構成と同様な動作により負荷トルクモデル(数6)は同定される。このように構成された負荷同定装置では、簡単な構成で容易にモータ負荷モデルを同定することができる。
【0013】
ここで、フィルタ演算部12,16について説明する。フィルタ演算部12,16ではドライバのスイッチングノイズ、モータのブラシノイズ、回路のノイズ等の負荷同定には不要な高域のノイズカットのため、もしくは同定される負荷の帯域を制限するためにローパスフィルタとして設定される。動作は、上述の(2)、(3)式の演算を行うことによって行われる。ローパスフィルタによって帯域を制限することによって、サンプリング周波数で取得したデータ数を間引くことも可能であり、データの容量を減少させることも可能となる。また、図2の構成である場合、フィルタ演算部16をアナログ回路で構築することも可能であるため、デジタル演算の負荷を低減することが可能である。このようにフィルタ演算部12,16を備えることで、ノイズや不必要な帯域のデータを除去することができる。
【0014】
次に、時間関数変換部15で得た時間関数の負荷モデルを位置関数に変換するように構成した場合の負荷同定装置について図3を用いて説明する。なお、図3においてフーリエ解析部13より前の構成は図1もしくは図2と同様なため、図示は省略する。図3に示すように、時間関数変換部15で同定された時間関数の負荷トルクモデル(数6)は、位置関数変換部19において位置と速度を用いた位置関数
【数8】
に変換される。ここでは、検出角度、目標角速度を機構の位置x、速度vに変換し、等速であると限定するとt=x/vなので、(6)式は(7)式として変換される。
【数9】
(7)式において(x)は位置関数であることを示す。
また、位置関数変換部19は上述の時間関数変換部15と同様に、PC(パーソナルコンピュータ)やDSPボードやCPUボード等の演算装置によって構築される。変換された結果を図11に示す。この図ではモデル化前の時間関数の負荷トルクdT(t)を位置関数dT(x)に変換したものもあわせて示してある。このように構成された負荷同定装置では、同定した負荷モデルを制御系設計の支援手段などへ展開しやすい形式に変換することができる。
【0015】
次に、取得データを記憶する所定時間の長さを、機構部の1回転以上としたときの負荷同定装置について説明する。図1もしくは図2記載の測定対象の機構を含む駆動装置の場合、電流値記憶部10(図1)、もしくは負荷トルク記憶部18(図2)においてデータを記憶する時間tlengthを、目標角速度をωref(rad/s)とすると、(8)式で求まる機構部の1回転に要する時間よりも長くする。これによって、機構部が持つ低周波の負荷成分まで抽出可能となる。
【数10】
このように構成された負荷同定装置では、機構部が持つ低周波の負荷成分まで抽出することができる。
次に、フィルタ演算部12,16のカットオフ周波数をモータ4と機構部5からなる伝達系の機械共振周波数以下としたときの負荷同定装置について説明する。図1のフィルタ演算部12もしくは図2のフィルタ演算部16におけるローパスフィルタのカットオフ周波数を、モータ4とベルト6と機構部5からなる伝達系の機械共振周波数よりも低い周波数に設定する。この実施の形態では、機械共振の影響が負荷トルクモデルに現れないようにするため、機械共振周波数ωmとすると、カットオフ周波数ωLPFを(9)式のように1/5〜1/10倍とする。
【数11】
ωLPF = (0.25〜0.1)×ωm (9)
このように構成された負荷同定装置では、カットオフ周波数をモータおよび機構系からなる伝達系の機械共振周波数よりも低い周波数に限定するフィルタ演算部を備えることによって、同定した負荷モデルが機械共振周波数以下となるため、同定モデルをモータ軸換算した形で入力可能となり、制御系設計支援上の機構系数学モデルが簡単化できる。
【0016】
次に、実施の形態としての負荷同定方法について説明する。駆動装置は図1、図2のものと同等である。そして、図1の負荷同定装置と同様に、A/D変換器を備えたPC(パーソナルコンピュータ)やDSPボードやCPUボード等の演算装置によって所定サンプリング周波数でデータを取得し、負荷トルクモデル(数6)の同定を行う。図1の装置構成と図4のフローチャートで動作を説明すると、等速制御されるときのモータ電流は電流検出部9で検出され、所定サンプリング周波数で所定時間分のデータとして、A/D変換器より演算装置に取込まれ、電流値記憶工程S1でRAMやHDD等に記憶される。電流値記憶工程S1で蓄えられたデータは、モータ負荷トルク演算工程S2へ送られ(1)式の演算によってモータ負荷トルクに変換される。
次に、モータ負荷トルクはフィルタ演算工程S3において所定のフィルタ処理が行なわれる。高域のノイズカットと測定帯域の制限を目的とするローパスフィルタ処理である。フィルタ演算処理がIIRフィルタである場合、状態空間方程式(2)式と、出力方程式(3)式の演算を行うことによって実現できる。次に、フィルタ処理後のモータ負荷トルク値は、フーリエ解析工程S4へ送られ、フーリエ変換が行なわれる。次に、解析結果は周波数抽出工程S5に送られ、ゲインが所定値以上となる周波数成分が抽出される。抽出された周波数成分は時間関数変換工程S6において、抽出された周波数ごとのゲイン、位相より、余弦関数の形で時間関数に変換される。この抽出された全周波数の余弦関数の和が同定された負荷トルクモデルとなる。同定された負荷トルクモデル(数6)は(6)式として表現される。このように構成された負荷同定方法では、簡単な手法で容易にモータ負荷トルクモデルを同定することができる。
【0017】
次に、負荷同定装置を図2の構成とした場合の負荷同定方法について説明する。駆動装置は図1、図2のものと同等である。そして、図2の負荷同定装置と同様に、検出された電流値からモータ負荷トルクに換算するアナログ演算部を備え、A/D変換器を備えたPC(パーソナルコンピュータ)やDSPボードやCPUボード等の演算装置によって所定サンプリング周波数でデータを取得し、負荷トルクモデルの同定を行う。図2の装置構成と図5のフローチャートで動作を説明すると、等速制御されるときのモータ電流は電流検出部9で検出される。検出された電流値は、アナログ演算部のフィルタ演算工程S7で所定のフィルタ処理が行なわれる。高域のノイズカットと測定帯域の制限を目的とするローパスフィルタ処理である。
次に、モータ負荷トルク演算工程S8へ送られ(1)式の演算によってモータ負荷トルクに変換される。モータ負荷トルクは電圧信号であるため所定サンプリング周波数でA/D変換器より演算装置に取込まれ、負荷トルク記憶工程S9でRAMやHDD等に記憶される。S10においてデータが所定時間分取得されたか判断する。データ取得が完了していない場合は、負荷トルク記憶工程S9へ戻りA/D変換器よりデータを取得し記憶する。S10においてデータ取得が完了したと判断した場合、フーリエ解析S4へ進む、以下の動作は図4のS4以下の動作と同一である。このように構成された負荷同定方法では、簡単な手法で容易にモータ負荷トルクモデルを同定することができる。
ところで、図4のフィルタ演算工程S3もしくは図5のフィルタ演算工程S7ではドライバのスイッチングノイズ、モータのブラシノイズ、回路のノイズ等の負荷同定には不要な高域のノイズカットのため、もしくは同定される負荷の帯域を制限するためにローパスフィルタとしての設定が施されている。動作は、図4のフィルタ演算工程S3もしくは図5のフィルタ演算工程S7において、上述の(2)式、(3)式の演算を行うことによって行われる。ローパスフィルタによって帯域を制限することによって、サンプリング周波数で取得したデータ数を間引くことも可能であり、データの容量を減少させることも可能となる。このようにフィルタ演算工程S3、S7を備えることで、ノイズや不必要な帯域のデータを除去することができる。
【0018】
次に、同定された時間関数の負荷を位置と速度によって、位置関数の負荷とする位置関数変換工程を備えた場合の負荷同定方法について図6のフローチャートを用いて説明する。なお、図6の時間関数変換工程S6以前の工程は図4もしくは図5の時間関数変換工程S6以前の工程と同様なため、その説明は省略する。図4もしくは図5の負荷同定方法で同定された時間関数の負荷トルクモデル(数6)は、位置関数変換工程S11において位置と速度を用いた位置関数(数8)に変換される。位置関数変換工程S11では(6)式を(7)式へ変換する処理が行われる。このように構成された負荷同定方法では、同定した負荷トルクモデルを制御系設計の支援手段などへ展開しやすい形式に変換することができる。
次に、取得データを記憶する所定時間の長さを、機構部の1回転以上としたときの負荷同定方法について説明する。図1もしくは図2の駆動装置の場合、図4の負荷同定方法における電流値記憶工程S1、もしくは図5の負荷同定方法における負荷トルク記憶工程S9においてデータを記憶する時間tlengthを、目標角速度をωref(rad/s)とすると、(8)式で求まる機構部の1回転に要する時間よりも長くする。このように構成された負荷同定方法では、機構部が持つ低周波の負荷成分まで抽出することができる。
【0019】
次に、図4のフィルタ演算工程S3もしくは図5のフィルタ演算工程S7におけるカットオフ周波数をモータ4とベルト6と機構部5からなる伝達系の機械共振周波数よりも低い周波数に設定した場合の負荷同定方法について説明する。こここでは、機械共振の影響が負荷トルクモデルに現れないようにするため、機械共振周波数ωmとすると、カットオフ周波数ωLPFを1/5〜1/10倍とする。(9)式のフィルタ演算を図4のフィルタ演算工程S3、もしくは図5のフィルタ演算工程S7で行う。このように構成された負荷同定方法では、カットオフ周波数をモータおよび機構系からなる伝達系の機械共振周波数よりも低い周波数に限定するフィルタ演算工程とすることによって、同定した負荷モデルが機械共振周波数以下となるため、同定モデルをモータ軸換算した形で入力可能となり、制御系設計支援上の機構系数学モデルが簡単化できる。
なお、上述した負荷同定装置及び負荷同定方法では、負荷同定装置および負荷同定方法単体に限定して構成・動作を説明しているが、これら負荷同定装置及び負荷同定方法を実際の装置、例えば、ステージ制御装置、ロボット、複写機、プリンタの駆動機構等に組み込み、起動直後などの所定のタイミングで負荷同定を行い、同定された負荷が設計時に想定されている負荷よりも大きい場合は、装置異常とする装置異常判別や、同定された負荷による制御パラメータ変更手段に使用することが可能である。
【0020】
次に、実施の形態としての制御系設計支援方法について説明する。この制御系設計支援方法は数学モデルにおけるモータの回転角度もしくは位置、機構部の回転角度もしくは位置のいずれか一つによって、外乱が変化するようにした場合である。図1もしくは図2で説明した測定対象の機構を含む駆動装置は図7に示されるような制御系設計支援方法の速度制御系数学モデルとして演算装置上で構築される。モータと機構部からなる数学モデル23は電流値が入力され機構部の回転角度を出力する。出力された回転角度は、速度演算部モデル24へ入力され角速度信号が出力される。角速度信号は、目標角速度モデル20と比較され速度偏差が算出される。この速度偏差は、速度制御コントローラモデルである補償器モデル21に入力される。
補償器モデル21では、速度偏差に位相補償等を行ない操作量である電流指令値を出力する。出力された電流指令値はモータドライバモデル22へ入力される。モータドライバモデル22は、前記電流指令値に応じてモータと機構部からなる数学モデル23へ電流を流す。このような速度制御系数学モデルを使用し、速度制御の応答シミュレーションを行う。この速度制御系数学モデルに、上述の負荷同定装置および負荷同定方法で同定され、(7)式で表される位置関数の負荷トルクモデル(数6)を反映する。位置関数の負荷トルクモデル(数6)25へ機構部の位置が入力される。ここでは、機構部の出力は回転角度であるが、(7)式に合わせて位置へ変換して入力される。位置関数の負荷トルクモデル(数6)25は位置に応じた負荷トルクを出力する。出力された負荷トルクを電流変換部26で負荷トルク相当の電流値Id(x)に変換し、電流値の形で比較器27により速度制御系数学モデルに印加する。
電流変換部26では(10)式によって変換を行なう。
【数12】
ここでは、簡単化のためモータと機構部を一体のモデルとして考え、負荷トルクを負荷トルク相当の電流値に変換して印加したが、モータと機構部が分割されたモデルである場合、モータ出力トルクへ負荷トルクを印加するモデルとしても良い。このように構成された制御系設計支援方法では、比較的低い領域の負荷特性抽出に注力し同定した負荷モデルをモータへ加わる負荷外乱とし、数学モデルの位置情報によって負荷を変動させることができる。
【0021】
次に、あらかじめ数学モデルのモータの回転角度もしくは位置、機構部の回転角度もしくは位置のいずれか一つに対応する負荷データテーブルを作成し、これを数学モデルのモータに加わる外乱モデルとし、数学モデルのモータの回転角度もしくは位置、機構部の回転角度もしくは位置のいずれか一つによって負荷データテーブルの値を選択することによって外乱が変化するようにした場合の制御系設計支援方法について説明する。この制御系設計支援方法では、同定された(7)式の負荷トルクモデル(数6)をあらかじめ計算し、位置データと負荷トルクデータを対応させた負荷トルクデータテーブルとして用意する。その負荷トルクデータテーブルを請求項11の負荷トルクモデル(数6)25として使用し、入力される位置に応じた負荷トルクを出力する。このように構成された制御系設計支援方法では、負荷モデルをデータテーブル化しているので、負荷トルクモデル(数6)25における(7)式の演算が不要となるためシミュレーションの演算負荷を低減することができる。
【0022】
次に、図1、図2の負荷同定装置もしくは図4、図5の負荷同定方法で求めた周波数成分ごとの時間関数の負荷を数学モデルのモータに加わる外乱モデルとし、数学モデルの時間変化に応じて、外乱が変化するようにした場合の制御系設計支援方法について図12を用いて説明する。図1もしくは図2で説明した測定対象の機構を含む駆動装置は図12に示されるような制御系設計支援方法の速度制御系数学モデルとして演算装置上で構築される。モータと機構部からなる数学モデル23は電流値が入力され機構部の回転角度を出力する。出力された回転角度は、速度演算部モデル24へ入力され角速度信号が出力される。角速度信号は、目標角速度モデル20と比較され速度偏差が算出される。速度偏差は、速度制御コントローラモデルである補償器モデル21に入力される。
補償器モデル21では、速度偏差に位相補償等を行ない操作量である電流指令値を出力する。出力された電流指令値はモータドライバモデル22へ入力される。モータドライバモデル22は、電流指令値に応じてモータと機構部からなる数学モデル23へ電流を流す。このような速度制御系数学モデルを使用し、速度制御の応答シミュレーションを行なう。この速度制御系数学モデルに、上述の負荷同定装置および負荷同定方法で同定され、(6)式で表される時間関数の負荷トルクモデル(数6)を反映する。時間関数の負荷トルクモデル(数6)29へシミュレーションの時間28が入力される。時間関数の負荷トルクモデル(数6)29はシミュレーション時間に応じた負荷トルクを出力する。出力された負荷トルクを電流変換部26で負荷トルク相当の電流値Id(x)に変換し、電流値の形で比較器27により前記速度制御系数学モデルに印加する。電流変換部26では前記(10)式によって変換を行なう。
このように構成された制御系設計支援方法では、比較的低い領域の負荷特性抽出に注力し同定した負荷モデルをモータへ加わる負荷外乱とし、数学モデルの時間情報によって負荷を変動させることができる。なお、ここでは、簡単化のためモータと機構部を一体のモデルとして考え、負荷トルクを負荷トルク相当の電流値に変換して印加したが、モータと機構部が分割されたモデルである場合、モータ出力トルクへ負荷トルクを印加するモデルとしても良い。
【0023】
次に、図3の負荷同定装置もしくは図8の負荷同定方法で求めた周波数成分ごとの時間関数の負荷を使用し、あらかじめ時間に対応する負荷データテーブルを作成し、これを数学モデルのモータに加わる外乱モデルとし、数学モデルの時間変化によって負荷データテーブルの値を選択することによって外乱が変化するようにした場合の制御系設計支援方法について説明する。この制御系設計支援方法では、同定された(6)式の負荷トルクモデル(数6)をあらかじめ計算し、時間データと負荷トルクデータを対応させた負荷トルクデータテーブルとして用意する。その負荷トルクデータテーブルを図12の負荷トルクモデル(数6)29として使用し、入力されるシミュレーション時間28に応じた負荷トルクを出力する。このように構成された制御系設計支援方法では、負荷モデルをデータテーブル化したので、負荷トルクモデル(数6)29における(6)式の演算が不要となるためシミュレーションの演算負荷を低減することができる。
なお、ここで示した実施の形態としての負荷同定装置、負荷同定方法、制御系設計支援方法では、回転モータを使用した駆動装置に基づいて説明したが、モータをリニアモータとした場合は、モータ軸に加わる負荷トルクではなくリニアモータの可動子に加わる負荷力とし、回転角度・角回転数を位置・速度として対応させることによって適用できる。
【0024】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1によれば、モータ負荷値に対して周波数解析を行う周波数解析部と、周波数解析部が解析した結果より周波数を抽出する周波数抽出部と、抽出した周波数ごとに時間関数に変換する時間関数変換部とを備え、算出された各時間関数の和をモータに加わる負荷として同定するようにしたので、機構の構成に関係無く、簡単な構成で容易にモータ負荷モデルを同定できる負荷同定装置を提供することができる。
請求項2によれば、同定する負荷の帯域を制限するフィルタ演算部を備えているので、ノイズや不必要な帯域のデータを除去可能な負荷同定装置を提供することができる。
請求項3によれば、同定された時間関数の負荷を位置と速度によって、位置関数の負荷とする位置関数変換部を備えているので、同定した負荷モデルを制御系設計の支援手段などへ展開しやすい形式に変換できる負荷同定装置を提供することができる。
請求項4によれば、データ記憶部において取得データを記憶する所定時間の長さを、機構部の1回転以上もしくは、1走査以上の時間とするようにしたので、機構部が持つ低周波の負荷成分まで抽出可能な負荷同定装置を提供することができる。
請求項5によれば、カットオフ周波数をモータおよび機構系からなる伝達系の機械共振周波数よりも低い周波数に限定するフィルタ演算部を備えることによって、同定した負荷モデルが前記機械共振周波数以下となるため、同定モデルをモータ軸換算した形で入力可能となり、制御系設計支援上の機構系数学モデルが簡単化できる負荷同定装置を提供することができる。
請求項6によれば、モータ負荷値に対して周波数解析を行う周波数解析工程と、周波数解析部が解析した結果より周波数を抽出する周波数抽出工程と、抽出した周波数ごとに時間関数に変換する時間関数変換工程とを備え、算出された各時間関数の和をモータに加わる負荷として同定するようにしたので、機構の構成に関係無く、簡単な手法で容易にモータ負荷トルクモデル(数6)を同定することができる負荷同定方法を提供することができる。
【0025】
請求項7によれば、同定する負荷の帯域を制限するフィルタ演算工程を備えているので、ノイズや不必要な帯域のデータを除去可能な負荷同定方法を提供することができる。
請求項8によれば、同定された時間関数の負荷を位置と速度によって、位置関数の負荷とする位置関数変換工程を備えているので、同定した負荷モデルを制御系設計の支援手段などへ展開しやすい形式に変換できる負荷同定方法を提供することができる。
請求項9によれば、データ記憶工程において取得データを記憶する所定時間の長さを、機構部の1回転以上もしくは、1走査以上の時間とするようにしたので、機構部が持つ低周波の負荷成分まで抽出可能な負荷同定装置を提供することができる。
請求項10によれば、カットオフ周波数をモータおよび機構系からなる伝達系の機械共振周波数よりも低い周波数に限定するフィルタ演算工程とすることによって、同定した負荷モデルが前記機械共振周波数以下となるため、同定モデルをモータ軸換算した形で入力可能となり、制御系設計支援上の機構系数学モデルが簡単化できる負荷同定方法を提供することができる。
請求項11によれば、比較的低い領域の負荷特性抽出に注力し同定した負荷モデルをモータへ加わる負荷外乱とし、数学モデルの位置情報によって負荷を変動させることが可能な設計支援方法を提供することができる。
請求項12によれば、負荷モデルをデータテーブル化し、機構部の回転角度もしくは位置によってデータテーブルの値を選択することによって演算負荷を低減可能な設計支援方法を提供することができる。
請求項13によれば、比較的低い領域の負荷特性抽出に注力し同定した負荷モデルをモータへ加わる負荷外乱とし、数学モデルの時間情報によって負荷を変動させることが可能な設計支援方法を提供することができる。
請求項14によれば、時間関数の負荷を使用し、負荷モデルをデータテーブル化することによって演算負荷を低減可能な設計支援方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】負荷同定装置の構成を示す図である。
【図2】図1の負荷同定装置とは一部異なる構成を採用した場合の負荷同定装置を示す図である。
【図3】時間関数の負荷モデルを位置関数に変換するように構成した場合の負荷同定装置を示す図である。
【図4】負荷同定方法(図1の負荷同定装置を用いて説明した場合)を示す図である。
【図5】負荷同定方法(図2の負荷同定装置を用いて説明した場合)を示す図である。
【図6】位置関数変換工程を備えた場合の負荷同定方法を説明する図である。
【図7】数学モデルにおけるモータの回転角度もしくは位置、機構部の回転角度もしくは位置のいずれか一つによって、外乱が変化するようにした場合の制御系設計支援方法を説明する図である。
【図8】検出されたモータ負荷トルクを示す図である。
【図9】解析結果を示す図である。
【図10】抽出結果を示す図である。
【図11】変換結果を示す図である。
【図12】周波数成分ごとの時間関数の負荷を数学モデルのモータに加わる外乱モデルとし、数学モデルの時間変化に応じて、外乱が変化するようにした場合の制御系設計支援方法を説明する図である。
【符号の説明】
1 目標角速度、2 補償器、3 モータドライバ、4 モータ、5 機構部、6 ベルト、7 エンコーダ、8 速度演算部、9 電流検出部、10 電流値記憶部、11,17 モータ負荷トルク演算部、12,16 フィルタ演算部、13 フーリエ解析部、14 周波数抽出部、15 時間関数変換部、18 負荷トルク記憶部、19 位置関数変換部、20 目標角速度モデル、21 補償器モデル、22 モータドライバモデル、23 数学モデル、24 速度演算部モデル、25 負荷トルクモデル、26 電流変換部、27 比較器、28 時間、29 負荷トルクモデル
Claims (14)
- モータと、前記モータによって駆動される機構部と、前記モータの回転角度もしくは位置、前記機構部の回転角度もしくは位置を検出する位置検出手段のうちの少なくともいずれか一つと、速度信号を算出する速度演算手段と、前記速度信号を使用し前記モータもしくは前記機構部を所定の速度もしくは角速度で駆動させる制御部とを備えた駆動装置において、前記モータに加わる負荷モデルを同定する負荷同定装置であって、
前記モータの電流を検出する電流検出部と、
前記電流検出部が検出した電流値とモータ定数からモータ負荷値を算出するモータ負荷演算部と、
前記モータ負荷値に対して周波数解析を行う周波数解析部と、
前記周波数解析部が解析した結果より周波数を抽出する周波数抽出部と、
抽出した周波数ごとに時間関数に変換する時間関数変換部とを備え、
算出された各時間関数の和を前記モータに加わる負荷として同定することを特徴とする負荷同定装置。 - 請求項1に記載の負荷同定装置において、同定する負荷の帯域を制限するフィルタ演算部を備えたことを特徴とする負荷同定装置。
- 請求項1又は請求項2に記載の負荷同定装置において、同定された時間関数の負荷を位置と速度によって、位置関数の負荷とする位置関数変換部を備えたことを特徴とする負荷同定装置。
- 請求項1又は請求項2に記載の負荷同定装置において、取得データを記憶する所定時間の長さを、前記機構部の1回転以上もしくは、1走査以上の時間とするデータ記憶部を備えたことを特徴とする負荷同定装置。
- 請求項2に記載の負荷同定装置において、前記フィルタ演算部のカットオフ周波数を前記モータと前記機構部からなる伝達系の機械共振周波数以下としたことを特徴とする負荷同定装置。
- モータと、前記モータによって駆動される機構部と、前記モータの回転角度もしくは位置、前記機構部の回転角度もしくは位置を検出する位置検出手段のうちの少なくともいずれか一つと、速度信号を算出する速度演算手段と、前記速度信号を使用し前記モータもしくは前記機構部を所定の速度もしくは角速度で駆動させる制御部とを備えた駆動装置において、前記モータに加わる負荷モデルを同定する負荷同定方法であって、
前記モータの電流を検出する電流検出部が検出した電流値とモータ定数からモータ負荷値を算出するモータ負荷演算工程と、
前記モータ負荷値に対して周波数解析を行う周波数解析工程と、
前記周波数解析部が解析した結果より周波数成分を抽出する周波数抽出工程と、
抽出した周波数成分ごとに時間関数に変換する時間関数変換工程とによって、算出された各時間関数の和を前記モータに加わる負荷として同定することを特徴とする負荷同定方法。 - 請求項6に記載の負荷同定方法において、同定する負荷の帯域を制限するフィルタ演算工程を備えたことを特徴とする負荷同定方法。
- 請求項6又は請求項7に記載の負荷同定方法において、同定された時間関数の負荷を位置と速度によって、位置関数の負荷とする位置関数変換工程を備えたことを特徴とする負荷同定方法。
- 請求項6又は請求項7に記載の負荷同定方法において、取得データを記憶する所定時間の長さを、前記機構部の1回転以上もしくは、1走査以上の時間とするデータ記憶工程を備えたことを特徴とする負荷同定方法。
- 請求項7に記載の負荷同定方法において、前記フィルタ演算工程でのカットオフ周波数を前記モータと前記機構部からなる伝達系の機械共振周波数以下としたことを特徴とする負荷同定方法。
- モータと、前記モータによって駆動される機構部と、前記モータの回転角度もしくは位置、前記機構部の回転角度もしくは位置を検出する位置検出手段のうちの少なくともいずれか一つと、速度信号を算出する速度演算手段と、前記速度信号を使用し前記モータもしくは前記機構部を所定の速度もしくは角速度で駆動させる制御部とを備えた駆動装置を数学モデルとし、数値演算によって前記駆動装置の応答解析を行う制御系設計支援方法において、
請求項3記載の負荷同定装置もしくは請求項8記載の負荷同定方法で求めた周波数成分ごとの位置関数の負荷を前記数学モデルの前記モータに加わる外乱モデルとし、前記数学モデルの前記モータの回転角度もしくは位置、前記機構部の回転角度もしくは位置のいずれか一つによって、外乱が変化するようにしたことを特徴とする制御系設計支援方法。 - モータと、前記モータによって駆動される機構部と、前記モータの回転角度もしくは位置、前記機構部の回転角度もしくは位置を検出する位置検出手段のうちの少なくともいずれか一つと、速度信号を算出する速度演算手段と、前記速度信号を使用し前記モータもしくは前記機構部を所定の速度もしくは角速度で駆動させる制御部とを備えた駆動装置を数学モデルとし、数値演算によって前記駆動装置の応答解析を行う制御系設計支援方法において、
請求項3記載の負荷同定装置もしくは請求項8記載の負荷同定方法で求めた周波数成分ごとの位置関数の負荷を使用し、あらかじめ前記数学モデルの前記モータの回転角度もしくは位置、前記機構部の回転角度もしくは位置のいずれか一つに対応する負荷データテーブルを作成し、これを前記数学モデルの前記モータに加わる外乱モデルとし、前記数学モデルの前記モータの回転角度もしくは位置、前記機構部の回転角度もしくは位置のいずれか一つによって前記負荷データテーブルの値を選択することによって外乱が変化するようにしたことを特徴とする制御系設計支援方法。 - モータと、前記モータによって駆動される機構部と、前記モータの回転角度もしくは位置、前記機構部の回転角度もしくは位置を検出する位置検出手段のうちの少なくともいずれか一つと、速度信号を算出する速度演算手段と、前記速度信号を使用し前記モータもしくは前記機構部を所定の速度もしくは角速度で駆動させる制御部とを備えた駆動装置を数学モデルとし、数値演算によって前記駆動装置の応答解析を行う制御系設計支援方法において、
請求項1記載の負荷同定装置もしくは請求項6記載の負荷同定方法で求めた周波数成分ごとの時間関数の負荷を前記数学モデルの前記モータに加わる外乱モデルとし、前記数学モデルの時間変化に応じて、外乱が変化するようにしたことを特徴とする制御系設計支援方法。 - モータと、前記モータによって駆動される機構部と、前記モータの回転角度もしくは位置、前記機構部の回転角度もしくは位置を検出する位置検出手段のうちの少なくともいずれか一つと、速度信号を算出する速度演算手段と、前記速度信号を使用し前記モータもしくは前記機構部を所定の速度もしくは角速度で駆動させる制御部とを備えた駆動装置を数学モデルとし、数値演算によって前記駆動装置の応答解析を行う制御系設計支援方法において、
請求項3記載の負荷同定装置もしくは請求項8記載の負荷同定方法で求めた周波数成分ごとの時間関数の負荷を使用し、あらかじめ時間に対応する負荷データテーブルを作成し、これを前記数学モデルの前記モータに加わる外乱モデルとし、前記数学モデルの時間変化によって前記負荷データテーブルの値を選択することによって外乱が変化するようにしたことを特徴とする制御系設計支援方法。
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