JP4133075B2 - 多変数プロセス制御システム群及び多変数プロセス制御方法 - Google Patents

多変数プロセス制御システム群及び多変数プロセス制御方法 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、化学プロセス等のプロセスを対象として多変数プロセス制御を行なうシステム群及び方法に関する。更に詳しくは、複数のプロセス間の影響関係を考慮しながら、これら複数のプロセスの各々に対して多変数プロセス制御を行なう多変数プロセス制御システム群及び多変数プロセス制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、化学プロセス等のプロセスを対象として多変数制御を実施する際には、影響関係のある全てのプロセスやそれらに関連する変数を単一の制御システムに組み込むことによって、プロセス間の影響関係を考慮した多変数プロセス制御を実現するのが一般的である。
【0003】
しかし、対象とする複数のプロセス間に影響関係が存在するにもかかわらず、様々な理由により単一の制御システムを構築できない場合がある。例えば、これらのプロセスが地理的な要因等により個別に管理されている場合等である。この様な場合には、これらのプロセスそれぞれに対して別個の制御システムを構築せざるを得なかった。
【0004】
この様に各プロセスに対して個別に制御システムを構築した場合、これだけでは複数のプロセスが互いに及ぼす影響を考慮することができず、制御システム間の干渉等によってシステムの制御挙動が極めて不安定になることが多い。特に、プロセス間の影響の度合いが大きいほど、制御挙動の不安定化が顕著になるという問題がある。
【0005】
こうした問題に対処するため、従来は、各プロセスに対応して個別に設けられた複数の制御システム(下位システム)に対して、これらの制御システムを統合するためのシステム(上位システム)を更に構築して、全体を一つの大きなメタシステムとして構成することにより対処してきた。
【0006】
図3は、相互に関連するプロセスを実施する2つのプラントA,Bを対象として、従来の制御システム(メタシステム)を適用した場合の制御系全体の構成を模式的に示す図である。図3に示す様に、従来の制御システム(メタシステム)CSは、2つのプラントA,Bに対応して設けられる2つの制御システム10,20(下位システム)と、これらの制御システム10,20を統合する制御システム30(上位システム)とを備える。
【0007】
制御システム(下位システム)10,20はそれぞれ、対応するプラントA,Bのプラント機器13,23の運転状況を監視・制御するDCS(Distributed Control System)12,22と、DCS12,22で監視されたプラント機器13,23の運転状況等に関するデータを用いて多変数プロセス制御演算を実施することにより、プラント機器13,23の制御条件を決定する制御演算装置11,21とからなる。そして、制御演算装置11,21で得られたプラント機器13,23の制御条件に関する情報を用いて、DCS12,22が対応するプラント機器13,23を制御することにより、制御システム10,20が各々、対応するプラントA,Bの多変数プロセス制御を行なう様になっている。
【0008】
一方、制御システム30(上位システム)は、制御システム10,20の上位に設けられ、制御演算装置11,21による多変数プロセス制御演算の結果をプラントA,B間の影響関係を考慮した値となる様に調整し、制御システム10,20を統合するものである。ここで設けられる上位システムとしては、例えば、リアルタイムの最適化システム等を用いて各制御システムの設定値を決定するシステムが一般的である。
【0009】
こうした構成を有する従来の制御システム(メタシステム)CSでは、DCS12により監視された(符号14)プラントAの運転状況等に関するデータ(データain)が制御演算装置11へ入力され(符号15)、これに基づいて多変数制御(a)の演算が行なわれる。同様に、DCS22により監視された(符号24)プラントBの運転状況等に関するデータ(データbin)が、制御演算装置21へ入力され(符号25)、これに基づいて多変数制御(b)の演算が行なわれる。これらのデータain及びbinは、制御演算装置11,12でそれぞれ多変数制御(a)および多変数制御(b)の状態を付加された上で、データain’、データbin’として制御システム30に入力される(符号16,26)。
【0010】
制御システム30では、プラントAとプラントBとの間の影響を相互に考慮した多変数制御(a’+b’)の演算が実施され、プラントA及びプラントBのそれぞれの制御条件に関する情報aout’、bout’が求められる。得られたプラントA及びプラントBのそれぞれの制御条件に関する情報aout’、bout’は、それぞれ制御演算装置11,21へと与えられる(符号17,27)。
【0011】
制御演算装置11では、与えられた制御条件に関する情報aout’とデータainとに基づいて再び多変数制御(a)の演算を実施し、得られた制御条件に関する情報aoutをDCS12へ与える(符号18)。一方、制御演算装置21では、与えられた制御条件に関する情報bout’とデータbinとに基づいて再び多変数制御(b)の演算を実施し、得られた制御条件に関する情報boutをDCS22へ与える(符号28)。DCS12,22は、それぞれ与えられた制御条件に関する情報aout,boutに基づいて、対応するプラントの制御を行なう(符号19,29)。
【0012】
しかしながら、図3の構成に代表される従来の制御システムの構成では、複数の制御システムの上位に新たなシステムを導入する必要があるため、新たに電子計算機やソフトウェア等の設備が必要となり、システム全体の開発費用が増大するという問題があった。更に、複数の制御システムの統合処理を単一の上位システムに依存し、個々の制御システムの多変数制御(a),(b)の演算結果を上位の制御システムの多変数制御(a’+b’)の演算結果に基づき調整しているので、整合性や信頼性の点で問題があった。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
以上の背景から、複数のプロセスに対応して個別に制御システムを構築する場合でも、これらの制御システムを統合するための上位システムを使用することなく、即ち、新たに電子計算機やソフトウェア等の設備を必要とすることなく、高い整合性や信頼性の下で、複数のプロセス間の影響関係を考慮した多変数プロセス制御を実現できる技術が求められてきた。
【0014】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものである。すなわち、本発明の目的は、複数のプロセスに対応して個別に制御システムを構築する場合でも、これらの制御システムを統合するための上位システムを使用することなく、即ち、新たに電子計算機やソフトウェア等の設備を必要とすることなく、高い整合性や信頼性の下で、複数のプロセス間の影響関係を考慮した多変数プロセス制御を行なうことが可能なシステム及び方法を提供することに存する。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、複数のプロセスの制御に必要な全ての要素を、プロセス毎に構築された制御システムの各々に与え、全ての制御システムで同一の多変数プロセス制御演算を行なわせるとともに、各制御システムにおいて対応するプロセスに関する演算結果のみを用いて実際の制御を行なうことにより、これらの制御システムを統合するための上位システムを使用することなく、複数のプロセス間の影響関係を考慮した多変数プロセス制御を実現することが可能となり、上記課題が効果的に解決されることを見出して、本発明を完成するに至った。
【0016】
即ち、本発明の趣旨は、影響関係を有する複数のプロセスに対して、プロセス間の影響関係を考慮しながら多変数プロセス制御を行なうシステム群であって、前記複数のプロセスに対応して設けられ、各々が対応するプロセスに対して多変数プロセス制御を行なう、複数の制御システムからなるとともに、該複数の制御システムの各々が、対応するプロセスの動作状態を監視する監視手段と、当該制御システムの該監視手段により監視された対応するプロセスの動作状態に関する情報、及び、他の制御システムの該監視手段により監視された他のプロセスの動作状態に関する情報に基づいて、前記複数のプロセスを対象とした多変数プロセス制御演算を実施することにより、前記複数のプロセスの制御条件を算出する演算手段と、該演算手段により算出された前記複数のプロセスの制御条件に関する情報のうち、対応するプロセスの制御条件に関する情報を取得し、この制御条件に基づいて対応するプロセスの動作を制御する制御手段とを備え、該演算手段は全ての制御システムにおいて同一の演算を行なうことを特徴とする、多変数プロセス制御システム群に存する。
【0017】
また、本発明の別の趣旨は、影響関係を有する複数のプロセスに対して、プロセス間の影響関係を考慮しながら多変数プロセス制御を行なう方法であって、前記複数のプロセスに対応して複数の多変数プロセス制御システムを設けるとともに、該複数の多変数プロセス制御システムの各々に、対応するプロセスの動作状態を監視する監視ステップと、当該制御システムによる該監視ステップで監視された対応するプロセスの動作状態に関する情報、及び、他の制御システムによる該監視ステップで監視された他のプロセスの動作状態に関する情報に基づいて、前記複数のプロセスを対象とした多変数プロセス制御演算を実施することにより、前記複数のプロセスの制御条件を算出する演算ステップと、該演算ステップにより算出された前記複数のプロセスの制御条件に関する情報のうち、対応するプロセスの制御条件に関する情報を取得し、この制御条件に基づいて対応するプロセスの動作を制御する制御ステップとを実行させることにより、対応するプロセスに対する多変数プロセス制御を行なわせ、かつ全ての制御システムにおける該演算ステップに、同一の演算を行わせることを特徴とする、複数プロセスの多変数プロセス制御方法に存する。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明に係る多変数プロセス制御システム群は、影響関係を有する複数のプロセスに対して、これらのプロセス間の影響関係を考慮しながら多変数プロセス制御を行なうものである。
【0019】
ここで、プロセスとは、化学品等の製品の工場等における生産工程や処理工程など、各種産業において実施される一連の過程のことをいう。具体例としては、エチレンプラントにおいて行なわれるエチレンの製造工程等が挙げられる。また、プロセス制御とは、対象となるプロセスの動作状態を所望の状態に維持するための制御である。制御システムとは、この様なプロセス制御を行なうために必要な一連のシステムである。
【0020】
プロセス制御は、プロセスの現在及び過去の動作状態に関する情報等に基づいて演算を実行し、プロセスの将来の動作状態を所望の状態とするために今後プロセスに与えるべき制御量等を決定することにより行なわれる。また、多変数プロセス制御は、上述のプロセス制御の一態様であって、プロセスの現在及び過去の動作状態に関する情報等を入力変数とし、プロセスに今後与える制御量等を出力変数として演算を行ない、複数の入力変数から複数の出力変数を決定することにより、プロセス制御を行なうものである。
【0021】
また、二つのプロセスが影響関係を有するとは、一のプロセスの動作状態及び/又は制御量が、他のプロセスの動作状態及び/又は制御量に影響を与えている関係にあることをいう。ここで、二つのプロセス間に成立する影響関係としては、二つのプロセスが相互に影響を及ぼし合う関係(即ち、双方向的な影響関係)と、一方のプロセスから他方のプロセスに対してのみ影響を及ぼす関係(即ち、一方向的な影響関係)とが存在する。更に、三以上のプロセスが影響関係を有するとは、これらのうち任意の二のプロセスが直接的に影響関係を有するか、又は他のプロセスを介して間接的に影響関係を有することをいう。
【0022】
以下、本発明の一実施形態として、一般的な化学プラントにおけるプロセスを対象に多変数プロセス制御を行なう場合を例として、本発明を説明する。
【0023】
図1は、相互に関連するプロセスを実施する2つのプラントA,Bを対象として、本発明の一実施形態に係る多変数プロセス制御システム群を適用した場合の制御系全体の構成を模式的に示す図である。図1に示すように、本実施形態の多変数プロセス制御システム群Sは、プラントA,Bにそれぞれ対応する2つの制御システム100,200を備えて構成される。これらの制御システム100,200は、各々、対応するプラントA,Bについての多変数プロセス制御を行なうもので、プラントA,Bの機器103,203の監視・制御を行なうDCS(Distributed Control System)102,202と、多変数プロセス制御の制御演算を行なう制御演算装置101,201とを備えて構成される。
【0024】
まず、DCS102,202は、各々、対応するプラント機器103,203の動作状態を監視するとともに、監視されたプラント機器103,203の動作状況に関する情報を出力する(すなわち、DCS102,202は、監視手段として機能することになる)。
【0025】
ここで、DCS102により監視されたプラントAの機器103に関する情報ainは、プラントAの制御システム100の制御演算装置101へ入力される(符号112)とともに、プラントBの制御システム200の制御演算装置201へも入力される(符号113)。同様に、DCS202により監視されたプラントBの機器203に関する情報binは、プラントBの制御システム200の制御演算装置201へ入力される(符号212)とともに、プラントAの制御システム100の制御演算装置101へ入力される(符号213)。言い換えれば、プラントAの制御システム100の制御演算装置101に入力される情報と、プラントBにおける制御システム200の制御演算装置201に入力される情報は、何れもain+binであって、基本的に同一となる。
【0026】
制御演算装置101,201は、こうしてDCS102及びDCS202の双方から入力されたプラント機器103,203の双方の動作状況に関する情報ain+binに基づいて、プラントA及びプラントBの双方を対象とした多変数プロセス制御(a+b)の制御演算を実施することにより、これらのプラント機器103,203の各々に関する制御条件に関する情報aout+boutを算出する(すなわち、制御演算装置101,201は、演算手段として機能することになる。)。言い換えれば、プラントAの制御システム100の制御演算装置101が行なう制御演算(a+b)の内容と、プラントBの制御システム200の制御演算装置201が行なう制御演算(a+b)の内容とは、基本的に同一となる。また、こうしてプラントA,Bの双方の制御演算装置101,201により行なわれた演算の結果は、何れもaout+boutと、プラント機器103の制御条件に関する情報aoutとプラント機器203の制御条件に関する情報boutの双方を含んだものとなる。
【0027】
しかし、制御演算装置101,201は、それぞれ対応するプラントA,BのDCS102,202のみに対して、対応する制御条件に関する情報aout,boutのみを出力する(符号121、221)。即ち、プラントAの制御演算装置101は、算出されたプラント機器103,203の双方の制御条件aout+boutのうち、プラント機器103の制御条件に関する情報aoutのみを選択的に、プラントAのDCS102に対して出力する一方で、プラントBの制御演算装置201は、算出されたプラント機器103,203の双方の制御条件に関する情報aout+boutのうち、プラント機器203の制御条件に関する情報boutのみを選択的に、プラントBのDCS202に対して出力する。逆に言えば、プラントAの制御演算装置101で算出されたプラントBの機器203の制御条件に関する情報bout,及び、プラントBの制御演算装置201で算出されたプラントAの機器103の制御条件に関する情報aoutは、プラントA,Bの何れに対しても出力されることはない。
【0028】
一方、プラントA,BのDCS102,202は、各々、対応する制御演算装置101,201から選択的に入力されたプラント機器103,203の制御条件に関する情報aout,boutに基づいて、対応するプラント機器103,203の動作を制御する(符号122、222)。すなわち、DCS102,202は制御手段としても機能することになる。
【0029】
以上、説明したように、本実施形態の多変数プロセス制御システム群Sによれば、複数のプラントA,Bにおいて行なわれる複数のプロセスについて、全てのプロセスの制御に必要な情報をプロセス毎に構築された制御システム100,200の各々に与え、全ての制御システム100,200で同一の多変数プロセス制御演算を行なわせるとともに、各制御システム100,200において対応するプロセスに関する演算結果のみを用いて実際の制御を行なっているので、制御システム100,200間に制御演算結果の不整合を生じることなく、高い信頼性の下でプロセス間の影響関係を考慮した多変数プロセス制御を実現することが可能となる。また、これらの制御システム100,200を統合するための上位システムを必要としないので、新たな電子計算機やソフトウェア等の設備が不要であり、システム全体の開発費用や管理・運用費用を抑えることができる。
【0030】
なお、あるプラントA,Bの機器103,203や制御システム100,200が整備や故障等の理由で稼動できない場合でも、他のプラントA,Bの機器103,203や制御システム100,200を独立して稼動可能とするために、各制御システム100,200に、他の制御システム100,200との間の情報の入出力を制御する手段(入出力許可・禁止手段)を設けてもよい。
【0031】
入出力の許可・禁止の切り替えは、プラントA,Bの運用管理者の判断に応じて手動で行なえるように構成してもよいが、各プラントA,Bの機器103,203や制御システム100,200が稼動状態か否か(又は、稼動可能な状態か否か)を検知する手段を更に設けて、この検知手段により検知されたプラント機器103,203や制御システム100,200の稼動状態(又は稼動可能状態)に応じて、自動で切り替える様に構成しても良い。
【0032】
こうした構成によって、あるプラントA,Bの機器103,203や制御システム100,200が整備や故障等の理由で稼動できない場合でも、そのプラントA,Bと他のプラントA,Bとの間の情報の入出力が自動又は手動で切り離されるので、他のプラントA,Bについての多変数プロセス制御を独立して実施することができ、ひいては、他のプラントA,Bの機器103,203や制御システム100,200を独立して稼動することが可能となる。
【0033】
また、何れかのプラント(例えばAとする)の制御システム100が整備や故障等の理由で稼動できないものの、そのプラントAの機器103は正常であり、稼動可能な状態である場合には、他方のプラントBの制御システム200において得られた先のプラントAについての制御演算結果を制御システム100が取得して、プラントAの機器103の運転を行なうことができる様に構成することも可能である。これによって、対応する制御システム100,200が稼動できなくなったプラントA,Bでも、他のプラントB,Aにおいて行なわれる多変数プロセス制御演算の結果に基づき、対応する機器103,203を稼動することが可能となる。
【0034】
なお、以上説明した実施形態では、互いに影響を及ぼす2つのプロセスを対象とする場合について説明したが、3つ以上のプロセスについても、それらの間に影響関係があるものであれば、同様に本発明の適用対象とすることが可能である。また、二つのプロセス間の影響関係としては、上述の様に、これらのプロセスが本実施形態の様に相互に影響を及ぼし合う関係(即ち、双方向的な影響関係)と、一方のプロセスから他方のプロセスに対してのみ影響を及ぼす関係(即ち、一方向的な影響関係)とが挙げられるが、何れに対しても本発明は容易に適用できる。また、対象となるプロセスが3つ以上の場合には、複数対のプロセス間の影響関係を考えることができるが、これらの全てが双方向的な影響関係であっても、全てが一方向的な影響関係であっても、または双方向的な影響関係と一方向的な影響関係とが混在していても、本発明は同様に適用可能である。
【0035】
本発明が好適に適用される複数のプロセスの例としては、コンビナートでの蒸気バランスの制御、水素、メタン、エタン、エチレン、プロピレン、プロパン、ベンゼンなどの基礎石化製品のバランス制御、複数の発電所での発電量制御、燃料ガス、オイル、工業用水、純水、窒素などのユーティリティのバランス制御、その他同一物を生産する複数プロセスでの生産物の品質制御など、使用物及び生産物が複数のプロセスに跨り、相互監視を必要とするプロセス群が挙げられる。
【0036】
【実施例】
以下、実施例として、本発明の制御システム群をコンビナートの蒸気バランスに適用した例を挙げて説明する。
図2は、実施例の多変数プロセス制御システム群の適用対象となるコンビナートの蒸気タービン及び蒸気ラインの構成を模式的に表わす図である。図2に示す蒸気タービン及び蒸気ラインは、2つの別々のプラントA,Bに属するもので、各圧力の蒸気ラインヘッダー、抽気復水タービン、及びタービンとヘッダーとを接続する接続ラインから成る。なお、各蒸気ヘッダーは、本制御システムへの出入り、及びそれらの流量に対する制約が設定されている。
【0037】
蒸気ヘッダーは、高圧蒸気ヘッダー501、中圧蒸気ヘッダー502、低圧蒸気ヘッダー503、及び各蒸気の凝縮水ヘッダー504からなり、タービンは、プラントAに属するタービン301及び302と、プラントBに属するタービン401及び402とからなる。タービン301は、高圧蒸気を使用し(符号311)、抽気として低圧蒸気が抜き出される(符号321)。タービン302は、高圧蒸気を使用し(符号312)、抽気として低圧蒸気が抜き出される(符号322)。タービン401は、高圧蒸気を使用し(符号411)、抽気として中圧蒸気が抜き出される(符号421)。タービン402は、中圧蒸気を使用し(符号412)、抽気として低圧蒸気が抜き出される(符号422)。また、全てのタービンは復水として、凝縮水を排出する(符号331,332,431,432)。
【0038】
図2に示す蒸気タービン及び蒸気ラインの構成では、プラントA及びプラントB以外のプラントの蒸気使用量により、これらのプロセス制御を行なう制御システムへの各圧力蒸気の出入り流量の制約が変化する。そのため、コストを最小とするタービンの抽気量もそれに応じて変化する。
【0039】
従来のプロセス制御の場合、プラントAでは、タービン301の抽気量321及びタービン302の抽気量322を、それぞれのタービン301、302の制約として考慮した制御、また、プラントBでは、タービン401の抽気量421及びタービン402の抽気量422を、それぞれのタービン401、402の制約として考慮した制御しか行なうことができず、他のプラントのタービン廻りの情報及び蒸気ヘッダーの出入りの情報を考慮して、各蒸気ヘッダーの出入り流量を制御することはほぼ不可能であった。
【0040】
本発明を適用すると、プラントAの制御システムでは、プラントAのタービン廻りの情報、例えばタービンの負荷や主蒸気流量などの情報に加えて、プラントBのタービン廻りの情報及び蒸気ヘッダーの出入りの情報を得て、これらの情報に基づいて多変数プロセス制御演算を行なうことにより、プラントA及びプラントBの双方のタービン抽気量についての演算結果を得るとともに、そのうちプラントAについての演算結果のみを用いてプラントAのタービンの抽気量を操作する。
【0041】
一方、プラントBの制御システムでも、プラントAのタービン廻りの情報に加えて、プラントBのタービン廻りの情報及び蒸気ヘッダーの出入りの情報を得て、これらの情報に基づいて多変数プロセス制御演算を行なうことにより、プラントA及びプラントBのタービン抽気量の演算結果を得るとともに、そのうちプラントBについての演算結果のみを用いてプラントBのタービンの抽気量を操作する。
【0042】
すなわち、プラントA及びプラントBの各々の制御システムに与えられる情報及び各々の制御システムで行なわれる演算内容は全く同一であるため、プラントA及びプラントBのそれぞれの制御システムの演算結果は全く同一となる。この同一の演算結果から、プラントAの制御システムはプラントAのタービンの抽気量のみを取り出して操作を実行し、また、プラントBの制御システムはプラントBのタービンの抽気量のみを取り出して操作を実行する。よって、各プラントA,Bにおいて、他方のプラントで蒸気ヘッダーの出入り流量が変化した場合でも、その変化による影響を反映させながら、タービンの抽気量を制御するが可能となる。
【0043】
【発明の効果】
本発明によれば、影響関係を有する複数のプロセスを対象に多変数プロセス制御を行なうに当たって、全てのプロセスの制御に必要な情報をプロセス毎に構築された制御システムの各々に与え、全ての制御システムで同一の多変数プロセス制御演算を実施させるとともに、各制御システムでは対応するプロセスに関する演算結果のみを用いて実際の制御を行なっているので、制御システム間に制御演算結果の不整合を生じることなく、高い信頼性の下でプロセス間の影響関係を考慮した多変数プロセス制御を実現することが可能となる。また、これらの制御システムを統合するための上位システムを必要としないので、新たな電子計算機やソフトウェア等の設備が不要であり、システム群全体の開発費用や管理・運用費用を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る多変数プロセス制御システム群を、相互に関連するプロセスを実施する2つのプラントA,Bに対して適用した場合の、制御系全体の構成を模式的に示す図である。
【図2】実施例の多変数プロセス制御システム群の適用対象となるコンビナートの蒸気タービン及び蒸気ラインの構成を模式的に表わす図である。
【図3】従来の多変数プロセス制御システム(メタシステム)を、相互に関連するプロセスを実施する2つのプラントA,Bに対して適用した場合の、制御系全体の構成を模式的に示す図である。
【符号の説明】
CS 従来の多変数プロセス制御システム(メタシステム)
10 プラントA 制御システム
11 プラントA 制御演算装置
12 プラントA DCS
13 プラントA プラント機器
14 プラントA プラント機器からDCSへの入力
15 プラントA DCSから制御演算装置への入力
16 プラントA 制御演算装置から上位制御システムへの入力
17 プラントA 上位制御システムから制御演算装置への出力
18 プラントA 制御演算装置からDCSへの出力
19 プラントA DCSからプラント機器への出力
20 プラントB 制御システム
21 プラントB 制御演算装置
22 プラントB DCS
23 プラントB プラント機器
24 プラントB プラント機器からDCSへの入力
25 プラントB DCSから制御演算装置への入力
26 プラントB 制御演算装置から上位制御システムへの入力
27 プラントB 上位制御システムから制御演算装置への出力
28 プラントB 制御演算装置からDCSへの出力
29 プラントB DCSからプラント機器への出力
30 上位制御システム
S 本発明の一実施形態に係る多変数プロセス制御システム群
100 プラントA 制御システム
101 プラントA 制御演算装置(演算手段)
102 プラントA DCS(監視手段・制御手段)
103 プラントA プラント機器
111 プラントA プラント機器からDCSへの入力
112 プラントA DCSから制御演算装置への入力
113 プラントA DCSからプラントBの制御演算装置への入力
121 プラントA 制御演算装置からDCSへの出力
122 プラントA DCSからプラント機器への出力
100 プラントB 制御システム
201 プラントB 制御演算装置(演算手段)
202 プラントB DCS(監視手段・制御手段)
203 プラントB プラント機器
211 プラントB プラント機器からDCSへの入力
212 プラントB DCSから制御演算装置への入力
213 プラントB DCSからプラントAの制御演算装置への入力
221 プラントB 制御演算装置からDCSへの出力
222 プラントB DCSからプラント機器への出力
301 プラントA タービン1
302 プラントA タービン2
311 プラントA タービン1主蒸気
312 プラントA タービン2主蒸気
321 プラントA タービン1抽気
322 プラントA タービン2抽気
331 プラントA タービン1復水
332 プラントA タービン2復水
401 プラントB タービン1
402 プラントB タービン2
411 プラントB タービン1主蒸気
412 プラントB タービン2主蒸気
421 プラントB タービン1抽気
422 プラントB タービン2抽気
431 プラントB タービン1復水
432 プラントB タービン2復水
501 高圧蒸気ヘッダー
502 中圧蒸気ヘッダー
503 低圧蒸気ヘッダー
504 凝縮水ヘッダー

Claims (4)

  1. 影響関係を有する複数のプロセスに対して、これらのプロセス間の影響関係を考慮しながら多変数プロセス制御を行なう制御システム群であって、
    前記複数のプロセスに対応して設けられ、各々が対応するプロセスの多変数プロセス制御を行なう、複数の制御システムからなるとともに、
    該複数の制御システムの各々が、
    対応するプロセスの動作状態を監視する監視手段と、
    当該制御システムの該監視手段により監視された対応するプロセスの動作状態に関する情報、及び、他の制御システムの該監視手段により監視された他のプロセスの動作状態に関する情報に基づいて、前記複数のプロセスを対象とした多変数プロセス制御演算を実施することにより、前記複数のプロセスの制御条件を算出する演算手段と、
    該演算手段により算出された前記複数のプロセスの制御条件に関する情報のうち、対応するプロセスの制御条件に関する情報を取得し、この制御条件に基づいて対応するプロセスの動作を制御する制御手段とを備え
    該演算手段は全ての制御システムにおいて同一の演算を行なう
    ことを特徴とする、多変数プロセス制御システム群。
  2. 該複数の制御システムの各々が、更に、
    当該制御システムの該監視手段により監視された対応するプロセスの動作状態に関する情報の、他の制御システムの該演算手段への出力を許可又は禁止するとともに、他の制御システムの該監視手段により監視された他のプロセスの動作状態に関する情報の、当該制御システムの該演算手段への入力を許可又は禁止する入出力許可・禁止手段を備える
    ことを特徴とする、請求項1記載の多変数プロセス制御システム群。
  3. 影響関係を有する複数のプロセスに対して、これらのプロセス間の影響関係を考慮しながら多変数プロセス制御を行なう方法であって、
    前記複数のプロセスに対応して、各々が対応するプロセスの多変数プロセス制御を行なう、複数の制御システムを設けるとともに、
    該複数の制御システムの各々に、
    対応するプロセスの動作状態を監視する監視ステップと、
    当該制御システムによる該監視ステップで監視された対応するプロセスの動作状態に関する情報、及び、他の制御システムによる該監視ステップで監視された他のプロセスの動作状態に関する情報に基づいて、前記複数のプロセスを対象とした多変数プロセス制御演算を実施することにより、前記複数のプロセスの制御条件を算出する演算ステップと、
    該演算ステップにより算出された前記複数のプロセスの制御条件に関する情報のうち、対応するプロセスの制御条件に関する情報を取得し、この制御条件に基づいて対応するプロセスの動作を制御する制御ステップと
    を実行させることにより、対応するプロセスの多変数プロセス制御を行なわせ
    かつ全ての制御システムにおける該演算ステップに、同一の演算を行わせ
    ことを特徴とする、複数プロセスの多変数プロセス制御方法。
  4. 該複数の制御システムの各々において、更に、
    当該制御システムの該監視手段により監視された、対応するプロセスの動作状態に関する情報の、他の制御システムの該演算手段への出力を許可又は禁止するとともに、他の制御システムの該監視手段により監視された、他のプロセスの動作状態に関する情報の、当該制御システムの該演算手段への入力を許可又は禁止する、入出力許可・禁止ステップを備える
    ことを特徴とする、請求項3記載の複数プロセスの多変数プロセス制御方法。
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