JP4132860B2 - 光子検出器とそれを用いた量子通信装置及び量子計算機 - Google Patents

光子検出器とそれを用いた量子通信装置及び量子計算機 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光子検出器とそれを用いた量子通信装置及び量子計算機に係り、特に、主要な構成要素である光子検出器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、量子計算機は、量子力学の原理を利用したアルゴリズムにより、従来の計算機では現実的な時間内に計算することが不可能な問題を解くことができるということが示され、暗号解読、情報検索、シミュレーションなどの計算機利用技術に大きな影響を与えることが期待されている。また、量子暗号のような「物理暗号」は、物理法則が暗号の安全性を保証するため、計算機の能力の限界に依存しない究極の安全性保証が可能になる。このような量子計算機や量子暗号は、将来の情報産業における技術的基盤の一つとなることが期待できる。
【0003】
そこで、量子計算機や、量子暗号をはじめとする量子通信を実現するための情報媒体として、光子を利用することが検討されている。光子は、環境の影響を受け難いため、量子計算・量子通信に必要な量子相関を長時間、長距離に渡って保存することができる。しかし、光子を利用するためには光子を高効率で検出する光子検出器が必要である。同時に、光子が入射していないのに信号を出力してしまうダークカウントが大きいと、誤りが大きくなり利用できない。
【0004】
このように光子検出器は、高効率の検出と低ダークカウントという2つの要求を満たす必要がある。
【0005】
近年、アバランシェフォトダイオードを用いて、ブレークダウン電圧以上のバイアス電圧を印加することによって高効率の光子検出が行われてきた。特に、可視光の光子に対してはシリコンを材料とするアバランシェフォトダイオードによって、高効率、低ダークカウントの光子検出器が実現されている。ところが、ファイバの損失が低く、通信に適した波長帯である1.3μmや1.55μmの光を検出するInGaAsやInPを材料とするアバランシェフォトダイオードでは、キャリアの熱励起によるダークカウントが大きいため、バイアス電圧をパルス状に印加し、バイアス電圧の時間内に入射した光子の吸収で生じたキャリアのみを検出することにより、キャリアの熱励起の影響を抑えてダークカウントを小さくすることが行われている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ダークカウントを減らすためには、バイアス電圧が印加される時間を小さくすることが有効である。しかしながら、アバランシェフォトダイオードの静電容量のためにパルスの立ち上がりと立ち下がりで大きなスパイクが生じるため、パルス時間の短縮には制限がある。また、スパイク電圧より大きな光子検出信号を得るために検出閾値を大きくする必要があり、検出閾値以下の信号は捨てられるため高効率化に限界があった。
【0007】
そこで、例えば米国特許6218657号には、ベスーン(Bethune,D.S.)らによって、同軸ケーブルをアバランシェフォトダイオードに並列に接続することが開示されている。
【0008】
この技術によると、同軸ケーブルの他端からの反射電圧でアバランシェフォトダイオードの端子間に生じるスパイク電圧を打ち消しているので、パルス時間の短縮によるダークカウントの低減において、一応の効果を奏している。
【0009】
しかしながら、上述の方法は、同軸ケーブルの長さが122cmと長いため、装置の小型化に不向きである。また、同軸ケーブルの長さを正確に切断する必要がある。さらに、同軸ケーブルの損失や接続損失のために反射電圧は、アバランシェフォトダイオードの端子間に生じるスパイク電圧より小さくなるため、スパイクの完全な打ち消しは不可能である。
【0010】
本発明は、上記状況に鑑みて、アバランシェフォトダイオードにパルス状のバイアス電圧を印加したときに生じるスパイク電圧を除去する、小型化が可能で、かつ制御が容易な手段を用いて低ダークカウント、高効率の光子検出器とそれを用いた量子通信装置及び量子計算機を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために、
〔1〕光子検出器において、アバランシェフォトダイオードにブレークダウン電圧以上の逆方向バイアス電圧をパルス状に印加し、このバイアス電圧が印加されている時間内に入射した光子を検出する素子において、2つのアバランシェフォトダイオードの一方のアバランシェフォトダイオード(11)には正のバイアス電圧を、もう一方のアバランシェフォトダイオード(12)には負のバイアス電圧を印加するように直流電源を接続し、該アバランシェフォトダイオードの出力の差を信号出力とすることを特徴とする。
【0012】
〔2〕上記〔1〕記載の光子検出器において、信号出力が正の閾値電圧を持ち、この閾値電圧以上の信号が入力されたときパルスを出力する第1の弁別器と、負の閾値電圧を持ち、この閾値電圧以下の信号が入力されたときパルスを出力する第2の弁別器によって、前記2つのアバランシェフォトダイオードのうちいずれのアバランシェフォトダイオードに前記光子が入射したかを判別することを特徴とする。
【0013】
〔3〕上記〔2〕記載の光子検出器において、前記光子を偏光分離器に入射し、この偏光分離器の2つの出力をそれぞれ前記2つのアバランシェフォトダイオードの入力として入射した前記光子の偏光状態を判別することを特徴とする。
【0014】
〔4〕上記〔2〕記載の光子検出器において、前記光子をビームスプリッターに入射し、このビームスプリッターの2つの出力をそれぞれ前記2つのアバランシェフォトダイオードの入力として入射した前記光子の干渉状態を判別することを特徴とする。
【0015】
〔5〕上記〔1〕記載の光子検出器において、前記2つのアバランシェフォトダイオードのうちの1つが通常のダイオードに置き換えられていることを特徴とする。
【0016】
〔6〕上記〔1〕から上記〔5〕のいずれか1項に記載の光子検出器において、2つのパルス電圧のうち少なくとも一方の印加時刻と印加電圧を調整する装置を備えていることを特徴とする。
【0017】
〔7〕量子通信装置であって、前記光子の検出に上記〔1〕から上記〔6〕のいずれか1項に記載の光子検出器を用いることを特徴とする。
【0018】
〔8〕量子計算機であって、前記光子の検出に上記〔1〕から上記〔6〕のいずれか1項に記載の光子検出器を用いることを特徴とする。
【0019】
本発明による光子検出器は、アバランシェフォトダイオードにブレークダウン電圧以上の逆方向バイアス電圧をパルス状に印加し、バイアス電圧が印加されている時間内に入射した光子を検出するという構成に対し、2つのアバランシェフォトダイオードに同時にバイアス電圧を印加し、アバランシェフォトダイオードの出力電圧の差を信号出力とすることを特徴としている。
【0020】
さらに、本発明によれば、偏光分離器またはビームスプリッターの出力を2つのアバランシェフォトダイオードにそれぞれ入射することを特徴とする光子の偏光状態または干渉状態の測定器が得られる。
【0021】
このような構成によれば、2つのアバランシェフォトダイオードにパルス状にバイアス電圧を印加することによって生じるスパイク電圧は、アバランシェフォトダイオードの出力電圧の差を信号出力とすることで打ち消される。
【0022】
従って、短いパルス電圧を印加しても信号出力に現れるスパイク電圧は小さく、閾値電圧を小さくできるので高効率な光子検出器が実現できるという効果が得られる。
【0023】
また、2つのアバランシェフォトダイオードから同時に熱雑音による誤検出のパルスが生じたときにも信号は打ち消されるので、ダークカウントも小さくなるという効果が得られる。
【0024】
また、本発明のもうひとつの光子検出器は、アバランシェフォトダイオードの1つが通常のダイオードに置き換えられていることを特徴とする。
【0025】
このような構成にしたことによって、光子検出だけを目的とした場合にはアバランシェフォトダイオードよりも安価なダイオードを用いることができる。
【0026】
さらに、本発明の光子検出器は2つのパルス電圧のうち少なくとも一方の印加時刻と印加電圧を調整する装置を備えていることを特徴とする。
【0027】
このように構成することによって、ダイオードの特性の違いや実装時の配線方法の違いによって生じる、2つのダイオードの端子のスパイク電圧の大きさや発生時刻の差を小さくする効果を奏する。同軸ケーブルを用いる方法と異なって、半導体を用いた電子回路で実現できるため、小型でかつ制御が容易である。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図を参照しながら説明する。
【0029】
図1は本発明の実施例を示す光子検出器の構成図、図2は本発明の光子検出器にパルス電圧が加えられたときの電圧応答波形を示す図であり、図2(a)は第1のアバランシェフォトダイオードの出力電圧、図2(b)は第2のアバランシェフォトダイオードの出力電圧、図2(c)は第1のアバランシェフォトダイオードの出力電圧と第2のアバランシェフォトダイオードの出力電圧の差で与えられる信号出力電圧をそれぞれ示している。
【0030】
図1において、11,12はアバランシェフォトダイオード、13,16はバイアスティー、14,17は直流電圧源、15,18はパルス発生器、19は負荷抵抗である。
【0031】
図1に示すように、光子検出を行うアバランシェフォトダイオード11とアバランシェフォトダイオード12が直列に接続され、その接続点は負荷抵抗19を通して接地される。アバランシェフォトダイオード11のカソードは、バイアスティー13を通じて正の直流電圧源14とパルス発生器15に接続され、アバランシェフォトダイオード12はバイアスティー16を通じて負の直流電圧源17とパルス発生器18に接続される。
【0032】
バイアスティー13,16は直流とパルスを合流させ、直流電圧源とパルス発生器が互いに影響を受けないようにするものである。パルス発生器15は正のパルス電圧を、パルス発生器18は負のパルス電圧を、それぞれ発生させる。
【0033】
直流電圧源14,17の電圧はアバランシェフォトダイオード11,12のブレークダウン電圧より小さくし、パルス発生器からのパルス電圧の印加により、ブレークダウン電圧を越えるように設定する。パルス発生器15,18からのパルス電圧が加わったとき、パルス発生器15とパルス発生器18が発生させるパルスの発生時刻、時間幅、振幅はほぼ等しくなるようにする。ダイオードの特性の違いや実装時の配線方法の違いによって生じる、2つのダイオードの端子のスパイク電圧の大きさや発生時刻の差を補償するため、発生時刻、時間幅、振幅を調整できるようにする。
【0034】
そして、本発明に従って、出力がアバランシェフォトダイオード11とアバランシェフォトダイオード12の差になるよう、アバランシェフォトダイオード11,12の接続点の負荷抵抗19の両端を出力とする。
【0035】
かかる構成の光子検出器においては、パルス電圧が加えられたとき、負荷抵抗19の両端には、図2(a)に示すように、アバランシェフォトダイオード11の寄生容量によるスパイク電圧と、図2(b)に示すように、アバランシェフォトダイオード12の寄生容量によるスパイク電圧が生じる。2つのスパイク電圧は大きさが同じで極性が異なるため、打ち消し合い、図2(c)に示すように、出力には現れない。
【0036】
一方、どちらかのアバランシェフォトダイオードで光子が検出された場合に生じる信号電圧はそのまま出力に現れる。アバランシェフォトダイオード11で光子が検出されたときには正の、アバランシェフォトダイオード12で光子が検出されたときには負の信号電圧が生じるため、信号電圧の正負でどちらのアバランシェフォトダイオードで光子が検出されたかを知ることができる。
【0037】
従って、スパイク電圧が現れないため信号検出の閾値を小さくすることができ、量子効率を大きくできるという効果がもたらされる。
【0038】
また、信号電圧の閾値が小さいためアバランシェフォトダイオードに印加するパルス電圧を小さくできる。このことはパルス発生器の構成を容易にするばかりでなく、さらに、光子検出でアバランシェフォトダイオードの中に作られる電子の数を小さくできるため、電子が増倍層内の欠陥に捕獲される確率を小さくすることができ、光子検出後の捕獲電子の再放出によるダークカウントや不感時間が減少するという効果も同時にもたらされる。
【0039】
本実施例の光子検出器は2つの光子入射端子を持つ。この入射端子をそれぞれビームスプリッターまたは偏光ビームスプリッターの出力に接続することによって量子ビットの測定に用いることができる。
【0040】
このことを図3および図4を用いて説明する。
【0041】
図3は干渉計を用いた量子暗号鍵配布装置の構成を示したものである。なお、ここで、量子暗号鍵配布とは、伝えるべき暗号文そのものではなく、暗号文を作成したり解読したりするときに用いる鍵となる乱数の列を送信者と受信者の間で、他人に知られないように共有するものである。量子暗号鍵配布は、量子力学の原理を用いることにより他者による盗聴を検知することで、無条件の安全性を実現できる。
【0042】
この量子暗号鍵配布を実現するために、乱数の1ビットを送るのに光子を1個だけ使う。ビット値“0”と“1”を表すために、光子の偏光の向きや干渉計で分割された光子の間の位相差を用いる。盗聴者がいない場合、受信者が正しい測定をしたときには送信者と受信者の間で共有されるビット値には誤りが生じない。
【0043】
しかし、盗聴者が途中で光子を測定したとき、盗聴者は正しい測定の方法を知らないので、その結果には必ず間違いが含まれ、受信者の測定結果にもその誤りが現れる。そこで、受信者は送られてきたビットをいくつか選んで送信者に確認する。ここで間違いが見つかれば盗聴者がいたことが結論できる。盗聴者が見つかった乱数列は捨てて、盗聴されていないことが確認できたものだけを暗号鍵として使うことにより安全な暗号鍵が共有される。
【0044】
ここで、具体例について説明すると、図3に示すように、送信者A側では単一光子光源31と干渉計32を持ち、受信者Bは干渉計33と本実施例の光子検出器34を持つ。干渉計32,33はそれぞれビームスプリッターと位相変調器から構成される。
【0045】
そこで、送信者Aの単一光子光源31から干渉計32に入射した光子は、第1のビームスプリッター321で2つの光路322,323に分けられる。一方の光路323はもう一方の光路322よりも長くしておく。光路長の差は光子のパルスの長さより大きくする。また、どちらか一方の光路、ここでは光路322には位相変調器324を挿入し、分割された光子の間に位相差がつけられる。2つの光路322,323は第2のビームスプリッター325で合成された後出力される。送信者Aの干渉計32からの出力は、光路差に対応した時間差をもち、位相変調器で変調された大きさの位相差を持つパルス状の光子の確率振幅になる。
【0046】
一方、受信者B側では同様な干渉計33を用意し、送信者Aから送られてきた光を入射する。入射した光子は送信者A側の場合と同様に第1のビームスプリッター331で2つの光路332,333に分けられる。一方の光路332はもう一方の光路333より長くしておく。光路長の差は送信者A側の干渉計32のものと等しくする。これにより、分割された光子パルスは再び時間的に重なる。どちらか一方の光路、ここでは光路333に挿入された位相変調器334によって位相差が作られる。2つの光路332,333は第2のビームスプリッター335で合成された後出力される。
【0047】
第1のビームスプリッター331で分割された光子パルスは再びここで時間的に重なるため干渉し、送信者A側と受信者B側の位相変調器324,334でつくられた位相差の合計が2nπのとき、受信者B側の干渉計33の一方の出力336からのみ光子が出力され、2n+1πのときもう一つの出力337からのみ光子が出力される。
【0048】
すなわち、送信者Aは自分の干渉計32の位相変調器324の位相を、送信するビット値が“0”のときは0またはπ/2に、ビット値が“1”のときはπまたは3π/2にそれぞれ設定して送信する。受信者Bは自分の干渉計33の位相変調器334の位相を0またはπ/2として光子検出を行う。送信者Aが0またはπを送ったときは受信者Bの位相変調器334の設定が0のとき、送信者Aがπ/2または3π/2を送ったときは受信者Bの位相変調器334の設定がπ/2のときを正しい測定とする。
【0049】
受信者Bが正しい測定を行った場合、送信者Aのビット値が“0”のときは受信者Bの干渉計33の出力336に、送信者Aのビット値が“1”のときは受信者Bの干渉計33の出力337に光子が現れる。このため、光子検出器34でどちらのアバランシェフォトダイオードが光子を検出したかを信号電圧の正負によって判別回路35で判別すれば、受信者Bは送信されたビット値を再現することができ、送信者Aと受信者Bは同じビット値を共有できる。
【0050】
図4は偏光を用いた量子暗号鍵配布装置の構成を示したものである。
【0051】
この図に示すように、送信者Aは単一光子光源31と偏光変調器42を持ち、受信者Bは偏光変調器43と偏光ビームスプリッター44と本実施例の光子検出器34を持つ。送信者Aは直線偏光を送るものとし、偏光変調器42によって自分の送信する光子の偏光の角度を、ビット値が“0”のときは0度または45度に、ビット値が“1”のときは90度または135度にそれぞれ設定して送信する。
【0052】
一方、受信者Bは送られてきた光子の偏光を偏光変調器43によって回転させないか、または、45度回転させ、偏光ビームスプリッター44の、0度と90度の2つの出力に接続された光子検出器34で、どちらのアバランシェフォトダイオードが光子を検出したかを信号電圧の正負で判別回路35を用いて判別することで光子の偏光を測定する。このとき、0度をビット値“0”、90度をビット値“1”とする。
【0053】
送信者Aが0度または90度を送ったときには受信者Bの偏光変調器の設定が0度のとき、送信者Aが45度または135度を送ったときは受信者Bの偏光変調器の設定が45度のときを正しい設定とする。受信者Bは正しい測定を行ったとき送信されたビット値を再現することができ、送信者Aと受信者Bは同じビット値を共有できる。
【0054】
なお、以上の実施例では2つのアバランシェフォトダイオードを用いているが、光子の有無を検出するだけでよく、2つの光子入射端子が必要でないときは、アバランシェフォトダイオードのうちの1つを通常のダイオードに置き換えることができる。その場合、アバランシェフォトダイオードより価格の低いダイオードを用いることにより、低価格の光子検出器が実現できる。
【0055】
また、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
【0056】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明によれば、アバランシェフォトダイオードにブレークダウン電圧以上の逆方向バイアス電圧をパルス状に印加し、バイアス電圧が印加されている時間内に入射した光子を検出する素子において、2つのアバランシェフォトダイオードにバイアス電圧を印加し、アバランシェフォトダイオードの出力電圧の差を信号出力するという基本構成に基づき、アバランシェフォトダイオードにパルス状のバイアス電圧を印加したときに生じるスパイク電圧を除去する、小型化が可能でかつ制御が容易な手段を用いて低ダークカウント、高効率の光子検出器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例を示す光子検出器の構成図である。
【図2】 本発明の実施例の光子検出器にパルス電圧が加えられたときの電圧応答波形を示す図である。
【図3】 本発明の実施例を示す干渉計を用いた量子暗号鍵配布装置の構成図である。
【図4】 本発明の実施例を示す偏光を用いた量子暗号鍵配布装置の構成図である。
【符号の説明】
11,12 アバランシェフォトダイオード
13,16 バイアスティー
14,17 直流電圧源
15,18 パルス発生器
19 負荷抵抗
31 単一光子光源
32,33 干渉計
321,331 第1のビームスプリッター
322,323,332,333 光路
324,334 位相変調器
325,335 第2のビームスプリッター
336,337 出力
34 光子検出器
35 判別回路
42,43 偏光変調器
44 偏光ビームスプリッター

Claims (8)

  1. アバランシェフォトダイオードにブレークダウン電圧以上の逆方向バイアス電圧をパルス状に印加し、該バイアス電圧が印加されている時間内に入射した光子を検出する素子において、2つのアバランシェフォトダイオードの一方のアバランシェフォトダイオードには正のバイアス電圧を、もう一方のアバランシェフォトダイオードには負のバイアス電圧を印加するように直流電源を接続し、該アバランシェフォトダイオードの出力の差を信号出力とすることを特徴とする光子検出器。
  2. 信号出力が正の閾値電圧を持ち、該閾値電圧以上の信号が入力されたときパルスを出力する第1の弁別器と、負の閾値電圧を持ち、該閾値電圧以下の信号が入力されたときパルスを出力する第2の弁別器によって前記2つのアバランシェフォトダイオードのうちいずれのアバランシェフォトダイオードに前記光子が入射したかを判別することを特徴とする請求項1記載の光子検出器。
  3. 前記光子を偏光分離器に入射し、該偏光分離器の2つの出力をそれぞれ前記2つのアバランシェフォトダイオードの入力として入射した前記光子の偏光状態を判別することを特徴とする請求項2記載の光子検出器。
  4. 前記光子をビームスプリッターに入射し、該ビームスプリッターの2つの出力をそれぞれ前記2つのアバランシェフォトダイオードの入力として入射した前記光子の干渉状態を判別することを特徴とする請求項2記載の光子検出器。
  5. 前記2つのアバランシェフォトダイオードのうちの1つが通常のダイオードに置き換えられていることを特徴とする請求項1記載の光子検出器。
  6. 2つのパルス電圧のうち少なくとも一方の印加時刻と印加電圧を調整する装置を備えていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の光子検出器。
  7. 前記光子の検出に請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の光子検出器を用いることを特徴とする量子通信装置。
  8. 前記光子の検出に請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の光子検出器を用いることを特徴とする量子計算機。
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