JP4130644B2 - 流量計測装置 - Google Patents

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本発明は、流体の流量または流速を簡易な手法で正確に計測する流量計測装置に関する。
簡易な計測装置を用いて簡易な手法で液体や気体などの流体の流速を正確に計測する技術として、ピトー管を用いた流速計測方法、オリフィスやベンチュリ管を用いた流量計測方法などが知られている。
ピトー管は、計測対象の流体の総圧(全圧)と静圧との差である動圧を求め、その動圧の2倍の値を流体の密度で除した値の平方根に、そのピトー管に固有のいわゆるピトー管係数kを乗じて較正(校正または補正)を行うことによって、流体の流速値(流速の計測値)を求める、というもので、種々の広範囲な分野に用いられている。ピトー管係数kは、ピトー管が導通路や風洞などのいわゆるシュラウドに覆われた状態で(シュラウドの中で)用いられてその中を通る流体の流速や流量を計測する場合には、そのときの壁面からピトー管が配置されている位置までの距離によって影響を受けることが知られている。
さらに具体的には、例えば風洞実験の際に正確な流速を計測する必要性から行われた種々の実験等によって、ピトー管係数kは壁面に近付くほど小さな値になり、例えば風洞の中心部の位置のように壁面からの距離が十分に長くなるほど、1に近付くことが知られている。また、ピトー管の長手方向の先端には、いわゆる総圧孔(総圧孔とも呼ぶ)が設けられている。そして静圧孔が、そのピトー管の円筒状の側面に設けられている場合が多い。その静圧孔は、設けられている位置が、ピトー管の先端から短い距離しか離れていないほど、そのピトー管の先端での流れの加減速の影響を受けてしまう。このため、静圧孔は、例えばピトー管の直径の10倍以上の距離を隔てた位置などのような、ピトー管の先端から十分に長い距離を隔てた位置に設けることが望ましいことが知られている。
また、オリフィスやベンチュリ管を用いた流量計測方法では、オリフィスまたはベンチュリ管を用いて、計測対象の流れに対して故意に増速減圧等を生じせしめ、その前後での圧力差から流量を求めるようにしている。この場合も、流量係数αをあらかじめ実験等で求めておき、そのαを用いて理論流量値を補正して、流量計測値を得るようにしている。その流量係数αは、例えばJIS規格のオリフィスでは、管路入口付近に設ける場合にはα=0.60、中間または出口に設けるときにはα=0.60〜0.80程度の値に設定すればよいことが実験的に知られている。さらに具体的な数値については、そのオリフィスごとで適宜に実験等に基づいて設定することが可能である。ベンチュリ管の場合も、オリフィスの場合とほぼ同様である。
ところで、上記のような従来のピトー管では、あらかじめ定められた一方向の流れについての流速または流量を計測することはできるが、それとは逆方向の流れについては計測することはできなかった。また、オリフィスもしくはベンチュリ管についても、実用上、あらかじめ定められた一方向の流れしか計測することができなかった。
また、特に従来のピトー管の場合、総圧孔が流れに対して正対するように設けられているので、例えば計測対象の流体にミスト(結露のような水滴や油脂滴等)や塵埃が混在していると、それが総圧孔を塞いでしまうなどして、正確な計測を続行することの妨げとなる場合があった。
そこで、本発明者は、導通路を流れる計測対象の流体の流れに正対して開口し、その位置で流体の流れによって生じる、いわゆる総圧を計測する総圧孔と、その流体の流れに正対する向きとは逆向きに、流れの下流側を向くように開口し、その開口位置での流体の圧力を後流圧として計測する後流圧孔が設けられている双圧管を用いて、その双圧管によって測定される総圧と後流圧との差圧に基づいて、計測対象の流体の流量値を計測する、という流量計測装置および流量計測方法を提案した。この流量計測装置および流量計測方法によれば、計測対象の流体にミスト(結露のような水滴や油脂滴等)や塵埃が混在していても、それが総圧孔を塞いでしまうといった虞を解消して、常に正確な流量計測を続行することができる。
この流量計測装置および流量計測方法によれば、双圧管が前後対称であることから、導通路における正逆どちらの流れでも対称的に正確に流量の計測を行うことができる。
ところが、この流量計測装置および流量計測方法は、それが新しいものであるが故に、実用に際しては、どのような補正係数や補正方法を用いれば、より正確な流量計測が可能となるのかが、全く確認されていなかった。また、従来のピトー管からの類推に基づいて双圧管における補正係数について考察してみても、双圧管は、長手方向が計測対象の流れに対してほぼ平行に配置される従来のピトー管とはその使用形態が上記のように全く異なっている。このため、従来のピトー管からの類推に基づいて補正の手法を類推することは、極めて困難である。また、従来のピトー管は一般に、上記のように風洞実験などで流速値を計測するために用いられる場合が多いので、風洞の壁面からの距離に対応して補正係数を設定するという手法を適用可能であるかもしれない、という可能性については、すぐにでも思い至り得る。しかし、そのような可能性に基づいて考えても、双圧管の場合、導通路の管路断面の中央部に総圧孔や後流圧孔を設けることが望ましい、といったことなどは考察され得るが、具体的にどのような手法で、換言すればどのようなファクタに基づいて、補正係数を定めればよいのかは、全く不明であった。
このため、本発明者は、双圧管を用いた流量計測について種々の実験を行って、実際に双圧管を用いて計測された圧力差に基づいた理論計算によって算出される(つまり補正係数=1として算出される)流量計測値には、流量の真値に対してどのような誤差が生じるものかを確認した。その結果、従来の一般的なピトー管の場合に生じる誤差とは全く異なった様相を示すことが確認された。また、双圧管の補正係数の設定方法として、オリフィスやベンチュリ管を用いた流量計測の場合の補正係数の手法が適用できないものかとも考えたが、それらも適用できなかった。これは、換言すれば、双圧管を用いた流量計測における補正係数の設定方法は、従来のピトー管やオリフィスやベンチュリ管を用いた流量計測の場合から類推または転用することはできない、ということが確認された、ということである。従ってまた、双圧管を用いた流量計測における補正係数の適切な設定手法を見出すことが必要であるが、それは未だ解決されていない問題として残されている、ということである。
また、従来のピトー管も含めて、計測対象の流体に対する総圧孔の迎角が、ある程度以上の大きな角度に亘って変化すると(つまり総圧孔に対して流れが斜めになると)、流量または流速の計測精度が著しく損なわれてしまう虞があることが種々の実験により確認された。
すなわち、流量計測を行う場合には、一般に、総圧孔を有するピトー管または双圧管は流体の流れに対して正対するように導通路中に固定して配置されるので、流れに対する総圧孔の迎角が変化することは有り得ないように考えられる。しかし、実際には、導通路中の流れに著しい乱流や渦等が発生した場合、それに起因して、実質的な流れに対する総圧孔の迎角が、ある程度以上の大きな角度に亘って変化してしまうという虞がある。
また、ピトー管や双圧管を流速計測に適用する場合、流れに対する総圧孔の迎角が大幅に変化する場合がある。例えば、ここで航空機の対気速度を計測するためにピトー管や双圧管を用いることを想定してみる。航空機は一般に迎角を変化させることで揚力を調節する場合が多いので、大気中を飛行している航空機に設置されたピトー管や双圧管における総圧孔の迎角は、例えば±30度あるいはそれ以上のような大幅な角度に亘って変化する場合がある。このように流れに対する総圧孔の迎角が、ある程度以上に変化した場合には、それに起因して、ピトー管や双圧管による流速や対気速度の正確な計測が困難になるという虞があった。
本発明はこのような問題を解決するためになされたもので、その目的は、双圧管を用いた流量計測における補正係数の適切な設定手法を見出して、その補正係数の設定を用いた簡易な装置を用いた簡易な方法によって正確な流量計測を行うこと、および流れに対する迎角が変化しても正確な流量計測を行うことを可能とする、流量計測装置を提供することにある。
本発明による第1の流量計測装置は、導通路を流れる計測対象の流体の流れに正対する向きに総圧孔が設けられており、前記総圧孔で前記流体の流れによって生じる総圧を計測すると共に、前記流体の流れに正対する向きとは逆向きの位置に後流圧孔が設けられており、前記後流圧孔で前記流体の流れによって生じる後流圧を計測する双圧管と、前記総圧と前記後流圧とに対応した出力を行う圧力センサと、前記圧力センサからの出力に基づいて求められる前記総圧と前記後流圧との差圧の値の2倍を前記流体の密度で除した値の平方根を演算してなる値に、前記導通路の流管としての総断面積から前記双圧管によって遮られる断面積を差し引いた実質的開口面積の値を前記総断面積で除してなる前記導通路の実質的開口率の逆数を乗算する演算を含む補正を行って、前記流体の流量値を算出する流量値演算回路とを備えている。
本発明による第1の流量計測装置では、導通路を流れる計測対象の流体の流れに正対する向きに総圧孔が設けられていると共に、流体の流れに正対する向きとは逆向きの位置に後流圧孔が設けられている双圧管を用いて、計測対象の流体の流量の計測値を得るにあたり、総圧孔によって流体の流れに正対して生じる総圧と、後流圧孔によって流体の流れに対して下流向きで生じる後流圧とを計測し、その両者の差圧の値の2倍を流体の密度で除した値の平方根を演算してなる値に、導通路の流管としての総断面積から双圧管によって遮られる断面積を差し引いた実質的開口面積の値を総断面積で除してなる導通路の実質的開口率の逆数を、補正係数として乗算するという補正を行うことで、より精確な流量計測値が得られる。
本発明による第2の流量計測装置は、導通路中に配置され、当該導通路を流れる計測対象の流体の流れの静圧を計測する静圧孔と、前記流体の流れに正対する向きとは逆の下流側に向いて開口するように設けられて当該開口位置での前記流体の後流圧を計測する後流圧孔とを設けてなる後流差圧計測管と、前記後流差圧計測管によって計測される前記静圧と前記後流圧との差圧に対応した出力を行う圧力センサと、前記導通路の流管としての総断面積から前記後流差圧計測管によって遮られる断面積を差し引いた実質的開口面積の値を前記総断面積で除してなる前記導通路の実質的開口率の逆数を、前記圧力センサからの出力に基づいて求められる前記差圧の値の2倍を前記流体の密度で除した値の平方根を演算してなる値に乗算する演算を含む補正を行って、前記流体の流量値を算出する流量値演算回路とを備えている。
本発明による第2の流量計測装置では、静圧孔で計測された静圧と後流圧孔で計測された圧力との差圧を用いて、その後流差圧計測管に関する理論計算を行って流体の理論流量値を算出する。そしてその理論流量値に対して、導通路の流管としての総断面積から後流差圧計測管によって遮られる断面積を差し引いた実質的開口面積の値を総断面積で除してなる導通路の実質的開口率の逆数を補正係数として乗算する演算を含む補正を行うことで、より精確な流量計測値が得られる。
なお、上記の第1の流量計測装置または第2の流量計測装置において、圧力センサは、総圧孔で計測された総圧または静圧孔で計測された静圧と、後流圧孔で計測された後流圧との、それぞれに個別に対応した出力を行う機能を備えるなどして、流量値演算回路は、上記の補正として、静圧と後流圧との比率または総圧と後流圧との比率を流体の理論密度(または静止時の流体の密度の値)に乗算することで、密度の補正を行う機能を、さらに含むようにしてもよい。このようにすることにより、上記のような基本的な補正係数を用いた補正を行って計測誤差を低減することにさらに加えて、密度の誤差に起因した計測誤差を低減して、最終的に得られる流量値の計測精度をさらに高いものとすることが可能となる。
また、上記の流量値演算回路は、上記の補正として、圧力センサからの出力に基づいて流体のレイノルズ数を演算し、その演算されたレイノルズ数に対応した補正を行う機能を、さらに含むようにしてもよい。このようにレイノルズ数に対応した補正をさらに行うことにより、上記のような基本的な補正係数を用いた補正を行って計測誤差を低減することにさらに加えて、計測対象の流体のレイノルズ数に対応した補正を行って、最終的に得られる流量値の計測精度をさらに高いものとすることが可能となる。
ここで、計測対象の流体のレイノルズ数を、測定された差圧などから算出し、そのレイノルズ数が臨界レイノルズ数(一般にRe(th)=2000)未満の場合には、その演算されたレイノルズ数を用いた補正を行うようにすることも可能である。
また、計測対象の流体のレイノルズ数を、測定された差圧などから算出し、そのレイノルズ数が臨界レイノルズ数以上の場合には、導通路および双圧管または後流差圧計測管に対応して予め定められた補正定数を用いた補正を行うようにすることも可能である。
あるいは、計測対象の流体のレイノルズ数を、測定された差圧などから算出し、そのレイノルズ数が臨界レイノルズ数未満の場合には、その演算されたレイノルズ数を用いた補正を行うが、臨界レイノルズ数以上の場合には、導通路および双圧管または後流差圧計測管に対応して予め定められた補正定数を用いた補正を行うようにすることも可能である。
すなわち、計測対象の流体のレイノルズ数が臨界レイノルズ数未満の場合には、流量計測値がそのときのレイノルズ数によって強い影響を受けて真値に対する大幅な誤差が生じる傾向にあるので、そのときのレイノルズ数に対応して補正係数を大幅に変更することが必要である。また計測対象の流体のレイノルズ数が臨界レイノルズ数以上の場合には、レイノルズ数が変化しても流量計測値はそのときのレイノルズ数によってほとんど影響を受けない傾向にあるので、この場合には補正係数として双圧管または後流差圧計測管および導通路の寸法(流れに関与する代表寸法)などによってほぼ一義的に定まる定数を用いることが可能である。
ここで、後流差圧計測管は、外形が円筒状で、内部がシリンダ状の空洞を成し、当該円筒状の側面には、前記後流圧孔が前記空洞と連通するように設けられており、前記後流圧孔が前記流体の流れに正対する向きとは逆の下流側に向くように、前記導通路の側壁の外側から当該導通路の内側へと前記流体の流れを横切って挿通されて、前記流れの方向から見て前記円筒状の下流側の前記開口位置で前記流体の後流圧を計測し、他方、前記導通路の側壁と前記円筒状の側面との間には前記静圧孔として所定寸法の間隙が設けられて、前記静圧孔によって前記流体の静圧を計測し、前記後流圧を前記後流圧孔から前記空洞を通して前記圧力センサへと伝達すると共に、前記静圧を前記静圧孔から前記圧力センサへと伝達するように設定されているようにすることは望ましい一態様である。このような態様とすることにより、後流差圧計測管の構造を簡易なものとすることができる。
本発明の流量計測装置によれば、双圧管を用いた流量計測における補正係数の適切な設定手法を見出して、その補正係数の設定を用いた簡易な装置を用いた簡易な方法によって正確な流量計測を行うこと、および流れに対する迎角が変化しても正確な流量計測を行うことが可能になる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る流量計測装置の概要構成を表す図である。この流量計測装置は、双圧管1と、圧力センサ2と、流量値演算回路3とから、その主要部が構成されている。
双圧管1は、その外形が円筒状で、導通路(導通管)4の中に流体の流れを横切るように横断して設けられるものである。その円筒状の側面には、導通路4を流れる計測対象の流体(気体または液体)の正方向の流れ(ここでは、便宜上の一例として、図1で左から右へと流体が流れる方向を正方向と呼ぶものとする)に正対する向きに総圧孔11が設けられている。その総圧孔11で、流体の流れによって生じる総圧が計測される。また、前述の正方向の流体の流れに正対する向きとは逆向きに、流れの下流側を向いて開口してなる後流圧孔12が設けられている。この後流圧孔12では、この後流圧孔12自体が設けられている位置で流体の流れによって生じる圧力が、後流圧として計測される。
この双圧管1における総圧孔11で拾われた総圧P1は、この双圧管1内に設けられた第1の経路111を通って圧力センサ2へと伝達される。他方、後流圧孔12で拾われた後流圧P2は、この双圧管1内に設けられた第2の経路121を通って圧力センサ2へと伝達される。なお、総圧孔11および後流圧孔12は、流れが逆向きになったときには、その果たす機能がそれまでとは逆になる。
圧力センサ2は、双圧管1から伝達されて来た総圧P1および後流圧P2に対応した電圧または電気信号を出力する。図4は、この圧力センサ2からの差圧出力と流量値(真値Qo)との相関の実例を表したものである。この実例では、流量値Qoに対応して差圧出力が2次関数的に変化している。このように、差圧出力と流量とは、明確な1対1対応の関数関係にある。
流量値演算回路3は、圧力センサ2からの出力に基づいて求められる総圧P1と後流圧P2との差圧ΔP(=P1−P2)の値の2倍(2ΔP)を、計測対象の流体の密度ρで除した値(2ΔP/ρ)の平方根√(2ΔP/ρ)を演算してなる値に、導通路4の流管としての総断面積Dから双圧管1によって遮られる断面積dを差し引いた実質的開口面積(D−d)の値を総断面積Dで除してなる導通路4の実質的開口率Kd(Kd=D/(D−d))の逆数(1/Kd=(D−d)/D)を乗算する。
そしてさらに、計測対象の流体の静圧(P0)と総圧(P1 )との比率(P1 /P0)を静止時の流体の密度の値ρ0に乗算する演算を行うことで((P1 /P0)・ρ0=ρ1 )、流体の密度の値ρを補正する。その補正を施された密度の値ρ1 を、流量計測値(Q)を算出するための演算に用いる。
また、さらには、圧力センサ2からの出力に基づいて流体のレイノルズ数(Re)を演算し、その演算されたレイノルズ数に対応した補正を行う。さらに詳細には、圧力センサ2からの出力に基づいて演算される圧力差または総圧などによって推定される計測対象の流体のレイノルズ数が、臨界レイノルズ数(一般にRe-th=2000)未満の場合には(Re<Re-th)、その演算されたレイノルズ数を用いた補正を行うが、臨界レイノルズ数以上の場合には(Re≧Re-th)、導通路4および双圧管1に対応して予め定められた補正定数を用いた補正を行う。
すなわち、このレイノルズ数に対応した補正のための補正係数をF(Re)(;ここにFはReの関数)とすると、それは、レイノルズ数が臨界レイノルズ数未満の場合には、例えば図2,図3に示したような単調減少関数となる。なお、図2は、導通路4の直径が16[mm]であり、双圧管1の直径が3[mm],4[mm],6[mm]の場合についての実験結果を示しており、図3は、導通路4の直径が20[mm]で、双圧管1の直径が3[mm],4[mm],8[mm]の場合についての実験結果を示している。
また、レイノルズ数が臨界レイノルズ数以上の場合には、F(Re)はほぼ定数となることが、図2,図3から明確に分かる。より具体的には、図2,図3に示した実例によれば、導通路4の直径が16[mm]の場合にはF(Re)=約0.65、導通路4の直径が20[mm]の場合にはF(Re)=約1.01となっている。
以上のような補正を含めて、流量計測値Qを算出するために流量値演算回路3で行われる演算は、図1の流量値演算回路3のブロック内に示したような数式で書き表されるものとなる。すなわち、ここにもその演算式を書き記すと、Q=F(Re)・(1/Kd)・√{(P0/P1)・ΔP/ρ0})である。このような補正を含んだ演算によって、誤差の少ない流量計測値(Q)を算出することができる。
流量値演算回路3は、導通路4の流管としての総断面積および双圧管1によって遮られる断面積の情報を入力するための入力装置5を備えている。そしてそれらの情報が入力されると、臨界レイノルズ数以上の場合に用いられる補正定数(F(Re))を自動的に演算して更新する機能を、さらに備えている。
このような機能によって、流量値演算回路3は、異なった寸法や仕様の導通路4や双圧管1を用いた流量計測を行う場合などにも、そのとき用いられる導通路4や双圧管1によって定まるレイノルズ数に対応した補正係数を自動的に適切な値に設定変更して、常に正確な流量計測値(Q)を算出することができる。
また、流量値演算回路3は、導通路4の流管としての総断面積および双圧管1によって遮られる断面積の情報が入力されると、その情報に基づいて、実質的開口率の逆数(1/Kd)を自動的に演算して更新する機能を、さらに備えている。
このような機能によって、流量値演算回路3は、異なった寸法や仕様の導通路4や双圧管1を用いた流量計測を行う場合などにも、そのとき用いられる導通路4や双圧管1に対応して自動的に適切な補正係数(Kd)に変更して、常に正確な流量計測値(Q)を得ることができる。
次に、上記のような補正係数を設定するために本発明者が行った種々の実験の経緯および結果について説明する。
(1) 導通路4の直径(流路の直径とも呼ぶ)Dは変更せずに双圧管1の直径dのみを大きくすると、同じ流量(真値Qo)を流した状態でも差圧ΔPが増大することが判明した。
(2) 双圧管1の直径dは変更せずに導通路4の直径を大きくすると、安定した精度での計測可能レンジが拡大した。
(3) 導通路4の直径Dおよび双圧管1の直径dは変更せずに流体の圧力(静止圧または総圧)を大きくすると、差圧ΔPが減少した。
これらの実験結果に基づいて、種々の考察を行った。上記の(2)の「双圧管1の直径dは変更せずに導通路4の直径を大きくすると、安定した精度での計測可能レンジが拡大した」のは、流路の断面積の増大に伴って、導通路4の許容流量が増大したことと、流体のレイノルズ数が大きくなったためであると推測された。
ここで、補正係数をqと置いて、上記の(1)のように導通路4の直径Dは変更せずに双圧管1の直径dのみを大きくすると、同じ流量(Qo)を流した状態でも差圧ΔPが増大する。このとき、補正係数をqとおくと、導通路4の実質的開口率(開口面積比)Kdと補正係数qとの間には反比例の相関関係(Kd・q=const.)が成り立つことが判明した。例えば、導通路4の直径を16[mm]で一定として、双圧管1の直径がφ=6[mm],4[mm],3[mm]の、それぞれの場合について、そのときの流量の真値Qoとの誤差を補正することができる補正係数qの平均値を実験結果に基づいて算出した。その結果、補正係数qの平均値は、前記の双圧管1の直径の大きい順に、0.257,0.204,0.190となった。
他方、その各双圧管1の直径ごとでの実質的開口率Kd=D/(D−d)は、前記の双圧管1の直径の大きい順に、0.534,0.685,0.763であった。そこで、各双圧管1の直径φごとで実質的開口率Kdと補正係数qとを乗算して確認したところ、その乗算結果の値はほぼ一定となった。
このことから、Kd・q=const.であり、従って補正係数qは、q=c/Kd(ここに左式のcは定数)となることが分かった。これは、導通路4の実質的開口率が、双圧管1の設置で減少するために、その小さくなった導通路4の実質的開口面積に対応して流体の流速が増加され、その結果、差圧が増大することによるものであると考えられる。このような実験および考察に基づいて、上記ような補正方法を本発明者は発明するに至ったのである。
このように、第1の実施の形態に係る流量計測装置によれば、双圧管1を用いて測定された差圧の値の2倍を流体の密度で除した値の平方根を演算してなる値に、導通路4の流管としての総断面積から双圧管1によって遮られる断面積を差し引いた実質的開口面積の値を総断面積で除してなる導通路4の実質的開口率の逆数を補正係数として乗算する、という補正を行うことで、計測対象の流体の流量計測値を得るようにしたので、その補正係数を用いた的確な補正を行うことができ、それによって正確な流量の計測値を得ることができる。
[第2の実施の形態]
双圧管1の代りに、図5、図6に示すような後流差圧計測管20を用いることが可能である。この後流差圧計測管20は、外形が円筒状の本体21と、フランジ部22とから、その主要部が構成されている。
本体21は、外形がほぼ円筒状で、内部がシリンダ状の空洞23を成している。その本体21の側面の長手方向ほぼ中央に、後流圧孔24が設けられている。
後流圧孔24は、この本体21の内部の空洞23と連通するように設けられている。そして計測対象の流体の流れに正対する向きとは逆向きに、つまり流れの下流側に向くように配置され、その位置での流体の後流圧P2を拾う。
フランジ部22は、本体21の根元(一端)に設けられている。その第1主面26には、本体21を中心としてその両脇の点対称な位置にそれぞれ支持ピン27a,27bが配設されている。導通路4の側壁の表面上には、静圧孔28を中心としてその両脇にそれぞれ嵌合孔29a,29bが刻設されている。そして支持ピン27a,27bはそれぞれ、その先端から所定の長さに亘る部分が嵌合孔29a,29bに嵌合される。ここで、本体21を中心として点対称に支持ピン27a,27bが配設されているので、導通路4中の流体の流れが逆方向になる場合には、それに合わせて後流差圧計測管20の前後方向を180度逆向きにして再配置し、後流圧孔24をいつでも流れの下流側に向かせることができるようになっている。
この後流差圧計測管20は、本体2を導通路4の側壁の外側からその内側へと、静圧孔28の中心を通って遊間状態で挿通させることで、その本体2が流体の流れを横切った状態で保持されるように、導通路4に組み付けられる。このとき、後流圧孔24が流体の流れの下流側に向くようにする。こうして後流差圧計測管20が導通路4に組み付けられることで、フランジ部22は、導通路4の側壁の外向きの面(表面)上に、支持ピン27a,27bによって所定の間隙を隔てて浮かせて配置された状態となる。
蓋体部30は、導通路4上の側壁の表面上に、フランジ部22を覆うと共に導通路4の側壁との間での気密を保つようにして固定されている。この蓋体部30の内側には凹部31が設けられており、この凹部31内にフランジ部22が収容される。フランジ部22の第2主面34と凹部31の天面35との間隙には、Oリング36が介挿されて、その輪の内側と外側とが互いに気密状態で隔離されている。また、この蓋体部30には、第1の導圧経路32と第2の導圧経路33とが設けられている。
計測対象の流体の静圧P0は、本体21と静圧孔28との間の隙間を実質的な静圧孔として、そこからさらに導通路4の側壁の表面とフランジ部22の第1主面26との間隙〜フランジ部22と蓋体部30の凹部31との間隙〜第1の導圧経路32を通って、圧力センサ2(図1と同様のものであるため図5では図示省略)へと伝達される。また、後流圧孔24で拾われた後流圧P2は、空洞23〜Oリング36の輪の内側〜第2の導圧経路33を通って、圧力センサ2へと伝達される。ここで、フランジ部22と導通路4との間の隙間を確保するための構造的手段としては、支持ピン以外にも、例えばOリングを介挿することなども可能であることは言うまでもない。あるいは、静圧孔28を、本体21自体のフランジ部22に近い根元の部分の側面に穿設してもよい。
圧力センサ2は、第1の実施の形態の場合と同様に、後流差圧計測管20によって計測された静圧P0と後流圧P2との差圧ΔP(=P2−P0)に対応した出力を行う。
流量値演算回路3は、差圧ΔPに基づいて、流量計測値(Q)を算出する。具体的には、圧力センサ2からの出力に基づいて求められるP0とP2との差圧ΔP(=P2−P0)の値(但し、この値としてはP2−P0の絶対値を採ることは言うまでもない)の2倍(2ΔP)を計測対象の流体の密度ρで除した値(2ΔP/ρ)の平方根√(2ΔP/ρ)の値を演算する。そして、導通路4の流管としての総断面積Dから後流差圧計測管20(より具体的にはその本体21)によって遮られる断面積dを差し引いた実質的開口面積(D−d)の値を総断面積Dで除すことで、導通路4の実質的開口率Kd(Kd=D/(D−d))の逆数(1/Kd=(D−d)/D)を乗算する。そしてさらに、計測対象の流体の静圧(P0)と後流圧(P2)との比率(P2/P0)を静止時の流体の密度の値ρ0に乗算する演算を行うことで((P2/P0)・ρ0=ρ1)、流体の密度の値ρを補正する。その補正を施された密度の値ρ1 を、流量計測値(Q)を算出するための演算に用いる。
また、さらには、圧力センサ2からの出力に基づいて流体のレイノルズ数(Re)を演算し、その演算されたレイノルズ数に対応した補正を行う。
ここで、この流量値演算回路3は、導通路4の流管としての総断面積および後流差圧計測管20によって遮られる断面積の情報を入力するための入力装置5を備えている。そしてそれらの情報が入力されると、臨界レイノルズ数以上の場合に用いられる補正定数(F(Re))を自動的に演算して更新する機能を、さらに備えている。
このような機能によって、流量値演算回路3は、異なった寸法や仕様の導通路4や後流差圧計測管20を用いた流量計測を行う場合などにも、そのとき用いられる導通路4や後流差圧計測管20によって定まるレイノルズ数に対応した補正係数を自動的に適切な値に設定変更して、常に正確な流量計測値(Q)を算出することができる。
また、この流量値演算回路3は、導通路4の流管としての総断面積および後流差圧計測管20によって遮られる断面積の情報が入力されると、その情報に基づいて、実質的開口率の逆数(1/Kd)を自動的に演算して更新する機能を、さらに備えている。
このような機能によって、流量値演算回路3は、異なった寸法や仕様の導通路4や後流差圧計測管20を用いた流量計測を行う場合などにも、そのとき用いられる導通路4や後流差圧計測管20に対応して自動的に適切な補正係数(Kd)に変更して、常に正確な流量計測値(Q)を得ることができる。
なお、上記の補正、および自動的更新機能に関する基本的な演算ロジック等は、第1の実施の形態で説明したものと同様である。但し、その演算に用いられる具体的な定数や係数の値については、この第2の実施の形態の場合と第1の実施の形態の場合とで、それぞれに適した値が選択されて用いられることは言うまでもない。
このように、第2の実施の形態に係る流量計測装置では、静圧孔28で計測された静圧P0と後流圧孔24で計測された後流圧P2との差圧ΔPを用いて、その後流差圧計測管20に関する理論計算を行って流体の理論流量値を算出する。そしてその理論流量値に対して、導通路4の実質的開口率Kdに対応した補正を行うことで、正確な流量計測値Qを得ることができる。
しかも、流量計測に用いられる後流差圧計測管20は、上記のように、極めて簡易な構造のものであり、延いてはこの流量計測装置全体としての製造コストや部品コストの低廉化、および機械的な故障や不良等の発生確率の低減化を、達成することが可能となる。
また、後述するように、上記の後流差圧計測管20によれば、流れに対する後流圧孔24の迎角が30度以上のように大幅に変化しても、常に精確な流量計測を行うことが可能となる。
そのような流れに対する圧力孔の迎角θと、それに対して圧力孔によって測定される差圧ΔPとの関係について、本発明者は種々の実験を行った。
そこで、次に、その実験結果およびそれに基づいて考察される新知見について説明する。
図7は、計測対象の流れに対する圧力孔の迎角θを変化させて行く実験に用いた実験装置の構成の主要部を模式的に表したものである。この実験では、流れ71は導通路4による管路に対して常に平行に流れているものとする。また、その流れ71に対して完全に正対する方向を、迎角θ=0度として、そのθ=0からの圧力孔70の偏角(正対方向とのなす角)を、圧力孔70の流れ71に対する迎角θと定義する。また、圧力孔70は、後流差圧計測管20と同様の本体21に、後流圧孔24と同様の大きさおよび形状で設けられているものとした。
具体的には、この実験で用いた本体21の管径は4[mm]、圧力孔70の直径は3[mm]、導通路4の内径(管路直径)は10[mm]とした。流れ71の流量は、標準状態で、50〜95NL(リットル)/min(分)]とし、レイノルズ数を2500〜5000とした。差圧ΔPとしては、流れ71の静圧P0と、圧力孔70で計測された後流圧P2との圧力差を採った。この差圧ΔPについては、θ=90度のときに圧力センサから出力される電圧を基準値の1として、それに対する比率を取ることで無次元化した。このような実験装置を用いて、本体21をその円筒の軸を中心として回転させて行くことで、圧力孔70の迎角θを0度から180度まで変化させた。
このような実験を行ったところ、図8に示すような結果が得られた。まず、迎角θが0〜30度の範囲内のときには、差圧ΔPを安定して計測することが可能であった。
ところが、迎角θを30〜90度の範囲内にすると、圧力センサ2からの出力が(つまり差圧ΔPの計測が)時間的または計測回ごとで極めて不安定となり、かつその計測値の大きさも、θ=0〜30度の場合と比較して顕著に低下した。特にθ=60度〜90度の範囲のときには、差圧ΔPの計測値がほぼ0の付近でランダムに上下して極めて不安定となり、実質的に計測不能となってしまった。これは、迎角θが60〜90度になると、後流圧孔24付近の流れに著しい剥離や渦や乱流等の攪乱現象が発生し、それが著しい外乱となって後流圧P2の状態を極めて不安定なものにしてしまうためであろうと推定される。いずれにしても、このように迎角θが30〜90度の範囲内の角度になると、差圧ΔPの精確な計測が実質的に不可能になるということが確認された。
そして、迎角θが90度になると、差圧ΔPはそれまでの正圧(静圧P0をゲージ圧=0としたときの、ゲージ圧が正である圧力値)から、負圧(同様に静圧P0に対するゲージ圧が負である圧力値)へと逆転した。また、このとき、差圧ΔPの計測値の大きさ(絶対値)が、最大になった。
そして迎角θを90度よりもさらに大きくして行くと、差圧ΔPの計測値の大きさ(絶対値)は緩やかに小さくなって行ったが、このθ=90〜180度の範囲内では、常に極めて安定的に差圧ΔPの計測を行うことができた。すなわち、図8にも明らかなように、迎角θの変化に対して、差圧ΔPの変化は、不連続点や特異点などがなく、連続性の極めて良好で緩やかなものとなった。また、このθ=90〜180度の範囲内では、θ=0〜30度の場合よりも常に大きな値(絶対値同士で比較して)が計測された。
このような迎角θを変化させて行く実験を、流れ71の流量Qを53[L/min]、62[L/min]、70[L/min]、78[L/min]、85[L/min]、93[L/min]とした各場合について、それぞれ試行したところ、図8に示したように、上記の6通りの流量の全ての場合で、無次元化した差圧ΔPの計測結果(6本の曲線の全て)は、ほぼ1本の関数曲線上に重なる結果となった。
このような実験結果から、圧力孔70の流れ71に対する迎角θを90度から180度の範囲内に設定すること、つまり後流差圧計測管20のように後流圧孔24を流れ71の下流側に向けること(換言すればθを90〜180度の範囲内に設定すること)により、流れ71の流量Qの計測を、迎角θの変化に起因して妨げられることなく、常に安定的に行うことが可能となることが確認された。
また、上記のような後流圧孔24による計測機能の特質を流量計測に生かすことで、層流から乱流まで、導通路中(管路中)での流れの乱れに因る悪影響を受けることなく、常に安定的に精確な流量計測を実現できることが確認された。
また、図9に示すように、静圧P0を変化させることで、等価的に流体のガス密度を変化させて、その各々の場合での差圧ΔPと流量Qとの関係について確認する実験を行った。具体的には、静圧P0を、0.1[MPa],0.2[MPa],0.4[MPa]としたそれぞれの場合について、理論値と実験値(測定値)とを、各々調べた。その結果、どの場合でも、理論値と実験値とが極めて明確に合致することが確認された。また、静圧P0が高くなるほど、つまりガス密度が高くなるほど、同じ流量Qに対する差圧ΔPは小さな値となることが確認された。このことから、第2の実施の形態に係る流量計測装置においても、第1の実施の形態に係る流量計測装置と同様の演算ロジックを用いて補正係数Kdによる流量計測値の補正を行うことが可能であることが確認された。
ここで、上記のような後流差圧計測管20の、迎角θによらず安定した計測が可能であるという、計測機能上の特質を生かして、その後流差圧計測管20を流速計測に適用することも可能である。すなわち、例えば図10に一例を示したように、後流差圧計測管20を、航空機の胴体側面9から外側へと突出するように設けて、後流圧孔24によって後流圧P2を計測すると共に静圧孔28によって静圧P0を計測し、後流圧P2と静圧P0との差圧ΔPに基づいて、その航空機の対気速度を計測することなども可能である。ここで、後流差圧計測管20の管部分の外形は、円筒状のみには限定されないことは勿論である。例えば、上記のように移動体の対気速度計測や、流速計測などに適用する場合には、後流差圧計測管20の受ける空気抵抗や衝撃波等を緩和するために、図10に示したような偏平な筒状などに形成してもよい。
このように、後流差圧計測管20を例えば航空機に適用することにより、その航空機が姿勢変化やダイナミックなマニューバを行う際などに、迎角θを例えば±30度以上のように大幅に変化させても、不安定な計測状態に陥ったり計測不能の状態になったりすることなく、常に精確にその航空機の対気速度を計測することが可能となる。このような大幅な迎角θの変化に対して常に安定した流速の計測を行うことは、総圧孔が流れに対して正対する向きに設けられていた従来の一般的なピトー管では、不可能または極めて困難なものであった。
ところで、この後流差圧計測管20を流速計測に用いる場合には、実際上、圧力センサ2から差圧ΔPに対応して出力される電圧に基づいて流体の流速値Vを計測する流速値演算回路(図示省略)が必要となる。
その流速値演算計測回路では、基本的な流速値の演算ロジックとして、圧力センサ2からの出力に基づいて求められるP0とP2との差圧P2−P0の絶対値(すなわちΔP=−(P2−P0))の2倍(2ΔP)を、計測対象の流体の密度ρで除し、その値(2ΔP/ρ)の平方根√(2ΔP/ρ)の値を演算することで、流速計測値(V)が算出される。なお、場合によっては、その基本的演算ロジックによって算出されたVに対して、所定の補正値kを乗算することで、流速計測値の精度をさらに向上させるようにしてもよいことは勿論である。
なお、非定常流発生器を用いて、計測対象の流体に対して強制的に非定常流を生じさせた状態で、従来の一般的なピトー管による流量計測と、この第2の実施の形態に係る後流差圧計測管20による流量計測とを比較する実験を行った。その結果、図11,図12に示すような結果が得られた。
具体的には、計測環境として、計測対象の流体の静圧をP0=0.3[MPa]とし、5[Hz]の非定常流を発生させた状態で、流量計測を行う実験を行った。その結果、図11(a)に示したように、θ=0である従来の一般的なピトー管を用いて計測された波形には、非定常流発生器(図示省略)によって発生した非定常流の波形に対して、10%あるいはそれ以上の最大振幅のずれが生じた。それと比較して、図11(b)に示したように、後流差圧計測管20によって計測された波形では、非定常流発生器によって発生した非定常流の波形に対して、3〜4%あるいはそれ未満の振幅のずれしか生じなかった。これにより、計測された差圧ΔPの波形は、従来の一般的なピトー管の場合には鈍い波形となるのに比べて、後流差圧計測管20の場合には、非定常流発生器によって発生した非定常流の波形とほぼ同位相で明確な(大きな)振幅を有する波形となることが確認された。
また、計測環境として、計測対象の流体の静圧をP0=0.4[MPa]とし、20[Hz]の非定常流を発生させた状態で、流量計測を行う実験を行った。その結果、図12(a),(b)に示したように、従来の一般的なピトー管による計測結果と後流差圧計測管20による計測結果との違いは、図11に示した場合よりもさらに顕著なものとなった。すなわち、図12(a)に示したように、θ=0である従来の一般的なピトー管を用いて計測された波形には、非定常流発生器によって発生した非定常流の波形に対して、50%あるいはそれ以上の最大振幅のずれが生じた。それと比較して、図12(b)に示したように、後流差圧計測管20によって計測された波形では、非定常流発生器によって発生した非定常流の波形に対して、10%あるいはそれ未満の振幅のずれしか生じなかった。これにより、計測された差圧ΔPの波形は、従来の一般的なピトー管の場合には明らかに鈍くて乱れた波形となるのに比べて、後流差圧計測管20の場合には、非定常流発生器によって発生した非定常流の波形とほぼ同位相で、かつしっかりと明確な振幅を有する波形となることが確認された。このように、第2の実施の形態に係る流量計測装置によれば、計測対象の流体に例えば脈動のような非定常流が発生している状態であっても、従来の一般的なピトー管を用いた計測よりもさらに確実に正確な流量計測を実現することができる。
なお、上記の第1および第2の実施の形態では、計測対象の流体として、気体を想定したが、液体を計測対象とすることも可能であることは勿論である。
本発明の第1の実施の形態に係る流量計測装置の概要構成を示す一部省略断面図である。 レイノルズ数と補正係数との関係の一例を示す表図である。 図2とは異なる流路径でのレイノルズ数と補正係数との関係の一例を示す表図である。 圧力センサからの差圧出力と流量値真値との相関の実例を示す表図である。 後流差圧計測管を導通路に設置した状態を示す断面図である。 後流差圧計測管の外観を示す斜視図である。 計測対象の流れに対する圧力孔の迎角θを変化させる実験装置の主要な構成を示す模式図である。 迎角θと差圧ΔPとの関係についての実験結果を示す表図である。 静圧P0を変化させたときの流量Qと差圧ΔPとの関係を示す表図である。 航空機用の流速計測装置の一部として用いられる後流差圧計測管の外観を示す斜視図である。 流体に対して強制的に非定常流を生じさせて流量計測を行った場合の実験結果の一例を示す表図である。 流体に対して強制的に非定常流を生じさせて流量計測をおこなった場合の実験結果の他の一例を示す表図である。
符号の説明
1…双圧管、2…圧力センサ、3…流量値演算回路、4…導通路、5…入力装置、11…総圧孔、12…後流圧孔、20…後流差圧計測管、21…本体、22…フランジ部、23…空洞、24…後流圧孔、28…静圧孔、30…蓋体部、32…第1の導圧経路、33…第2の導圧経路

Claims (7)

  1. 導通路を流れる計測対象の流体の流れに正対する向きに総圧孔が設けられており、前記総圧孔で前記流体の流れによって生じる総圧を計測すると共に、前記流体の流れに正対する向きとは逆向きの位置に後流圧孔が設けられており、前記後流圧孔で前記流体の流れによって生じる後流圧を計測する双圧管と、
    前記双圧管によって計測される前記総圧と前記後流圧とに対応した出力を行う圧力センサと、
    前記圧力センサからの出力に基づいて求められる前記総圧と前記後流圧との差圧の値の2倍を前記流体の密度で除した値の平方根を演算してなる値に、前記導通路の流管としての総断面積から前記双圧管によって遮られる断面積を差し引いた実質的開口面積の値を前記総断面積で除してなる前記導通路の実質的開口率の逆数を、乗算する演算を含む補正を行って、前記流体の流量値を算出する流量値演算回路と
    を備えたことを特徴とする流量計測装置。
  2. 導通路中に配置され、当該導通路を流れる計測対象の流体の流れの静圧を計測する静圧孔と、前記流体の流れに正対する向きとは逆の下流側に向いて開口するように設けられて当該開口位置での前記流体の後流圧を計測する後流圧孔とを設けてなる後流差圧計測管と、
    前記後流差圧計測管によって計測される前記静圧と前記後流圧との差圧に対応した出力を行う圧力センサと、
    前記導通路の流管としての総断面積から前記後流差圧計測管によって遮られる断面積を差し引いた実質的開口面積の値を前記総断面積で除してなる前記導通路の実質的開口率の逆数を、前記圧力センサからの出力に基づいて求められる前記差圧の値の2倍を前記流体の密度で除した値の平方根を演算してなる値に、乗算する演算を含む補正を行って、前記流体の流量値を算出する流量値演算回路と
    を備えたことを特徴とする流量計測装置。
  3. 前記流量値演算回路は、前記総圧と前記後流圧または前記静圧と前記後流圧との比率を、前記流体の密度に乗算することで、前記密度の補正を行う機能を、さらに備えている
    ことを特徴とする請求項1または2記載の流量計測装置。
  4. 前記流量値演算回路は、前記圧力センサからの出力に基づいて前記流体のレイノルズ数を演算し、当該レイノルズ数に対応した補正を行う機能を、さらに備えている
    ことを特徴とする請求項1ないし3のうちいずれか1項に記載の流量計測装置。
  5. 前記流量値演算回路は、前記補正として、前記圧力センサからの出力に基づいて演算されたレイノルズ数が臨界レイノルズ数未満の場合には、前記演算されたレイノルズ数を用いた補正を行う
    ことを特徴とする請求項4記載の流量計測装置。
  6. 前記流量値演算回路は、前記補正として、前記圧力センサからの出力に基づいて演算されたレイノルズ数が臨界レイノルズ数以上の場合には、予め定められた補正定数を用いた補正を行う
    ことを特徴とする請求項4または5記載の流量計測装置。
  7. 前記後流差圧計測管は、外形が円筒状で、内部がシリンダ状の空洞を成し、当該円筒状の側面には、前記後流圧孔が前記空洞と連通するように設けられており、前記後流圧孔が前記流体の流れに正対する向きとは逆の下流側に向くように、前記導通路の側壁の外側から当該導通路の内側へと前記流体の流れを横切って挿通されて、前記流れの方向から見て前記円筒状の下流側の前記開口位置で前記流体の後流圧を計測し、他方、前記導通路の側壁と前記円筒状の側面との間には前記静圧孔として所定寸法の間隙が設けられて、前記静圧孔によって前記流体の静圧を計測し、前記後流圧を前記後流圧孔から前記空洞を通して前記圧力センサへと伝達すると共に、前記静圧を前記静圧孔から前記圧力センサへと伝達するように、設定されている
    ことを特徴とする請求項2記載の流量計測装置。
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