JP4129374B2 - 画像符号化方法および画像復号化方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像の動きを予測して画像信号を圧縮符号化する画像符号化装置、画像復号化装置、画像符号化方法、画像復号化方法およびそれをソフトウェアで実施するためのプログラムが記録された記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、マルチメディアアプリケーションの発展に伴い、画像・音声・テキストなど、あらゆるメディアの情報を統一的に扱うことが一般的になってきた。この時、全てのメディアをディジタル化することにより、統一的にメディアを扱うことが可能になる。しかしながら、ディジタル化された画像は膨大なデータ量を持つため、蓄積・伝送のためには、画像の情報圧縮技術が不可欠である。一方で、圧縮した画像データを相互運用するためには、圧縮技術の標準化も重要である。画像圧縮技術の標準規格としては、ITU‐T(国際電気通信連合 電気通信標準化部門)のH.261、H.263、ISO(国際標準化機構)のMPEG(Moving Picture Experts Group)-1、MPEG-2、MPEG-4などがある。
【0003】
図17は、動画像における動き補償の概念を示す図である。ただし、参照画像信号Ref内の被写体Carと、入力された画像信号Img内の被写体CurCarとは同一の被写体とする。また、画像信号Img内の破線で表現された被写体は、参照画像信号Ref内での被写体の位置を示す。画像符号化装置が画像信号Img内の画素ブロックCurBlkを符号化する場合には、予測画像信号Predとして、参照画像信号Ref内の同じ被写体CurCarの画像であって、被写体CurCarの画像において同一位置に相当する位置の画像を表している予測画像ブロックPredBlkの画素を使用すれば予測効率が高くなる。すなわち、参照画像信号Ref内の同じ被写体CurCarの画像を画像信号Img内の被写体CurCarと同じ位置に移動して、画素値の差分を求めれば、画素値の差分の絶対値が小さくなり、データ量の振幅が小さくなるため圧縮が容易になる。予測画像ブロックPredBlkの画素位置から画素ブロックCurBlkの画素位置への写像に必要な情報を、動きパラメータ信号MotionParamと呼ぶ。この動きパラメータ信号MotionParamとして、例えば、MPEG-1、2、4、H.261、H.263では、ブロックの平行移動を表現した動きベクトルが使用される。
【0004】
図18は、従来の画像符号化装置100の構成を示すブロック図である。画像符号化装置100は、差分器101、画像符号化部102、可変長符号化部103、画像復号化部104、加算器105、画像メモリ106、画素ブロック取得部107、スイッチ108、スイッチ109、画素補間部110、動き推定部111および画素補間使用判定部112を備える。まず、画像符号化装置100は、外部から画像信号Imgを入力する。次に、差分器101は、外部から入力された画像信号Imgと、参照画像信号Refから得られた予測画像信号Predとの画素値の差分である差分画像信号Resを出力する。予測画像信号Predは、既に符号化されたフレームであって、画像復号化部104において復号化され、場合に応じて画素補間部110によって補間され、動き推定部111からの動きベクトルに基づいてブロックごとに切り出された画像である。画像符号化部102は、差分画像信号Resを符号化して、差分画像符号化信号CodedResを出力する。画面内符号化の場合には、画面間の動き補償を行わないので、予測画像の画素値は"0"と考える。可変長符号化部103は、差分画像符号化信号CodedResと動きパラメータ信号MotionParamとを可変長符号化し、1つの符号化信号Bitstreamとして画像符号化装置100の外部へ出力する。画像復号化部104は、動き予測の参照画像として使用するため、差分画像符号化信号CodedResを復号化して、復号差分画像信号ReconResを出力する。加算器105は、復号差分画像信号ReconResと予測画像信号Predとの画素値を加算し、復号画像信号Reconとして出力する。復号画像信号Reconは画像メモリ106に格納され、以降のフレームを符号化する際に参照画像として使用される。画像メモリ106は、加算器105から出力された符号化済みのフレームの何枚かを予測用の参照画像信号Refとして保持している。
【0005】
画素ブロック取得部107は、画像メモリ106に保持されている参照フレームとなるフレームから、動き推定部111からの動きベクトルに従って画素ブロックBlkを切り出し、スイッチ108に出力する。スイッチ108は、画素補間使用判定部112からの補間判定信号UsePolatorに従って端子"1"と端子"2"とを切り替える。端子"1"は、スイッチ109の端子"1"と接続され、端子"2"は、画素補間部110に接続されている。画素補間部110は、動きベクトルによって示されるブロックの移動量が整数画素単位より小さい単位の移動量を含んでいる場合、それに対応する位置の画素値を生成し、スイッチ109の端子"2"に出力する。スイッチ109は、画素補間使用判定部112からの補間判定信号UsePolatorに従って端子"1"と端子"2"とを切り替えて接続する。動き推定部111は、外部から入力された画像信号Imgと参照画像信号Refとから、動きパラメータ信号MotionParamを求める。画素補間使用判定部112は、動き推定部111によって求められた動きパラメータ信号MotionParamに応じて、参照画像信号Refから予測画像信号Predを生成する際に画素補間を行うか否かを判定する。
【0006】
すなわち、図17に示した被写体の動きによっては、整数画素単位より小さい単位の動きで予測を行うと予測効果が高い場合があるからで、一般に、整数画素単位より小さい単位の動きを伴う予測画像の画素値の計算には画素補間を使用する。この画素補間は、参照画像の画素値に対して線形フィルタによるフィルタリングを行うことにより実行される。この線形フィルタのタップ数を増やせば良好な周波数特性を持つフィルタを実現でき、予測効果が高くなるが処理量は大きくなる。一方、フィルタのタップ数が少ないとフィルタの周波数特性は悪くなり、予測効果は低くなるが処理量は小さくなる。
【0007】
画素補間使用判定部112は、動きパラメータ信号MotionParamから予測画像の生成に画素補間を行うべきか否かを判断する。具体的には、画素補間使用判定部112は、動きパラメータ信号MotionParamが、整数画素単位より小さい単位の移動量を含んでいる場合には画素補間を使用すると判断し、値"1"の画素補間使用制御信号UsePolatorを出力する。動きパラメータ信号MotionParamが、整数画素単位の動きを示している場合には画素補間を使用すべきでないと判断し、値"0"の画素補間使用制御信号UsePolatorを出力する。画素補間使用制御信号UsePolatorが"0"の場合には、スイッチ108とスイッチ109とは端子"1"側に切り替わり、画素補間使用制御信号UsePolatorが"1"の場合にはスイッチ108とスイッチ109とは端子"2"側に切り替わるとする。スイッチ108とスイッチ109とが端子"2"に接続された場合には画素補間部110を使用し、画素ブロックBlkを画素補間して予測画像信号Predとする。スイッチ108とスイッチ109とが"0"ならば、画素補間は行われず、画素ブロックBlkをそのまま予測画像信号Predとして使用する。
【0008】
図19は、従来の画像復号化装置200の構成を示すブロック図である。まず、画像復号化装置200は外部から符号化信号Bitstreamを入力する。次に可変長復号化部201により、符号化信号Bitstreamを可変長復号化し、差分画像符号化信号CodedResと動きパラメータ信号MotionParamとに分離する。画像復号化部202は、差分画像符号化信号CodedResを復号し、復号差分画像信号ReconResとして出力する。加算器203は、予測画像信号Predと復号差分画像信号ReconResとを加算し、復号画像信号Reconとして出力する。また、復号画像信号Reconの何枚かを参照画像Refとして画像メモリ204に格納しておく。画素ブロック取得部207は、参照画像信号Ref内で動きパラメータ信号MotionParamが示す位置から画素集合を取得する(但し、補間処理のため実際の予測ブロックより大きな領域が取得される場合がある)。
【0009】
画素補間使用判定部212は、動きパラメータ信号MotionParamから、予測画像の取得に画素補間を使用すべきか否かを判断する。例えば、MPEG-1、2、4のように画素ブロックの並行移動を示す動きベクトルの場合には、動きベクトルが整数で割り切れるか否かで、画素補間を使用すべきか否かを判断できる。画素補間使用判定部212は、画素補間を使用すべきであると判断した時は、値"1"の画素補間使用制御信号UsePolatorを、画素補間を使用すべきでないと判断した時は、値"0"の画素補間使用制御信号UsePolatorを出力する。画素補間使用制御信号UsePolatorが"0"の場合にはスイッチ208とスイッチ209とは端子"1"側に切り替わり、画素補間使用制御信号UsePolatorが"1"の場合にはスイッチ208とスイッチ209とは端子"2"側に切り替わる。スイッチ208とスイッチ209とが"2"ならば、画素補間部209による画素補間を使用し、画素ブロックBlkを画素補間して予測画像信号Predとする。スイッチ208とスイッチ209とが端子"1"ならば、画素補間は行わず、画素ブロックBlkをそのまま予測画像信号Predとして使用する。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、携帯電話機やPDA(Personal Digital Assistant)などの携帯機器では、バッテリなどを電源として長時間使用できるように消費電力を抑えるため、処理能力が低い演算器しか使用することができず、処理量が小さい画素補間方法しか使用できない場合がある。一方、画像によっては、高い符号化効率を実現するために、処理量が大きいにもかかわらず、予測効果が高い画素補間方法を使用したい場合もある。動画像の符号化方式が、これらの要求に柔軟に対応できれば、運用範囲が広がり有益である。
上記課題に鑑みて、本発明は、符号化される画像信号に応じて、異なる画素補間方法を選択することができる画像符号化方法および画像復号化方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明の画像符号化方法は、復号化済み画像に対して画素補間を行って、入力画像との差分である差分画像を算出するための予測画像を生成し、前記差分画像を符号化する画像符号化方法であって、復号化手段が、入力される符号化信号を復号化する復号化ステップと、保持手段が、前記復号化ステップで復号化された復号化済み画像を保持する保持ステップと、エッジ重要度判定手段が、前記復号化済み画像の特徴を検出し、エッジ情報の重要度を判定するエッジ重要度判定ステップと、選択手段が、前記エッジ重要度判定ステップによりエッジ情報が重要であると判定された場合、複数の画素補間方法の中からタップ数が多い画素補間方法を選択する選択ステップと、予測画像生成手段が、選択された画素補間方法を使用して、前記予測画像を生成する予測画像生成ステップと、符号化信号生成手段が、複数の画素補間方法の中からどの画素補間方法が選択されたかを示す情報を前記符号化信号に含ませる符号化信号生成ステップとを含むことを特徴とする。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の具体的な実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0020】
(実施の形態1)
図1は、本発明の画像符号化装置400の構成を示すブロック図である。なお、図18に示した従来の画像符号化装置100における各構成要素と同じ動作をする構成要素および信号については、同じ参照符号を付し説明を省略する。
【0021】
画像符号化装置400は、外部から入力されるピクチャ種別信号PicTypeに応じて、選択的に精度の異なる画素補間を行う画像符号化装置であって、差分器101、画像符号化部102、可変長符号化部103、画像復号化部104、加算器105、画像メモリ106、画素ブロック取得部107、スイッチ108、スイッチ109、スイッチ401、スイッチ402、画素補間部A403、画素補間部B404、動き推定部111および画素補間使用判定部112を備える。画像符号化装置400は、ピクチャ種別信号PicTypeを含んだ画像信号Imgを外部から入力する。スイッチ401およびスイッチ402にピクチャ種別信号PicTypeとして、例えば、通常、他のフレームに参照されることのない、Bピクチャを示す"1"が入力された場合には、スイッチ401およびスイッチ402は端子"1"側に切り替わり、画素補間部A403による画素補間が行われる。すなわち、スイッチ401およびスイッチ402がそれぞれ端子"1"に接続されている際に、画素ブロック信号Blkに対して画素補間部A403による画素補間が適用される。画素補間部A403では、フィルタタップ数の少ない例えば、タップ数"4"の簡素化された補間方法が用いられる。ピクチャ種別信号PicTypeとして、例えば、他のフレームに参照されるPピクチャを示す"2"が入力された場合には、すなわち、Bピクチャを示す"1"以外の値が入力された場合には、スイッチ401およびスイッチ402が端子"2"側に切り替わり、画素ブロック信号Blkに対して画素補間部B404による画素補間が適用される。画素補間部B404では、フィルタタップ数の多い例えば、タップ数が"8"の精度の高い補間方法が用いられる。このように画素補間された画素ブロックBlkは、予測画像信号Predとして差分器101に入力される。
【0022】
なお、Bピクチャは同時に2つの画像を参照して予測画像を生成するため、参照する各画像で画素補間が必要になる。従って、1つの画像のみを参照するPピクチャと比べて画素補間の演算量が2倍となるため、Bピクチャで簡素化された補間方法を使用することは、各ピクチャで必要な演算量を平滑化できる点でも有効である。従って、他のフレームで参照されるBピクチャにおいても、簡素化された補間方法を使用することは有益である。
【0023】
また、ピクチャ種別信号PicTypeの値"2"、"1"、"0"は説明の便宜上定義した値で、複数の画素補間方法を区別できる値であれば、どのような値でもよい。使用した画素補間方法を示すピクチャ種別信号PicTypeを画像復号化装置に通知することにより、画像復号化装置では画像符号化装置が使用した画素補間部と同一の画素補間方法を使用することができる。
【0024】
図2は、本発明の画像復号化装置500の構成を示すブロック図である。なお、同図において、図19に示した画像復号化装置200と同様の構成要素についてはすでに説明しているので、同一の符号を付し説明を省略する。画像復号化装置500は、ピクチャの種別ごとに異なる画素補間方法が使用された符号化信号Bitstreamを復号化する画像復号化装置であって、可変長復号化部201、画像復号化部202、加算器203、画像メモリ204、画素ブロック取得部207、スイッチ208、スイッチ209、画素補間使用判定部212、スイッチ501、スイッチ502、画素補間部A503および画素補間部B504を備える。画像復号化装置500において、可変長符号化部505は、外部から入力された符号化信号Bitstreamを可変長復号化して、可変長復号化された符号化信号Bitstreamから、ピクチャ種別信号PicTypeと差分画像符号化信号CodedResと動きパラメータ信号MotionParamとを分離し、ピクチャ種別信号PicTypeをスイッチ501およびスイッチ502へ、動きパラメータ信号MotionParamを画素補間使用判定部212および画素ブロック取得部207へ、差分画像符号化信号CodedResを画像復号化部202へ、それぞれ出力する。スイッチ501およびスイッチ502にピクチャ種別信号PicTypeとして、例えば、他のフレームに参照されることのないBピクチャを示す"1"が入力された場合には、スイッチ501およびスイッチ502は端子"1"側に切り替わり、画素補間部A503による画素補間が行われる。すなわち、スイッチ501およびスイッチ502がそれぞれ端子"1"に接続されている際に、画素ブロック信号Blkに対して画素補間部A503による画素補間が適用される。画素補間部A503では、フィルタタップ数の少ない例えば、タップ数"4"の簡素化された補間方法が用いられる。ピクチャ種別信号PicTypeとして、例えば、他のフレームに参照されるPピクチャを示す"2"が入力された場合には、すなわち、Bピクチャを示す"1"以外の値が入力された場合には、スイッチ501およびスイッチ502が端子"2"側に切り替わり、画素ブロック信号Blkに対して画素補間部B504による画素補間が適用される。画素補間部B504では、フィルタタップ数の多い例えば、タップ数が"8"の精度の高い補間方法が用いられる。
なお、Bピクチャは同時に2つの画像を参照して予測画像を生成するため、参照する各画像で画素補間が必要になる。従って、1つの画像のみを参照するPピクチャと比べて画素補間の演算量が2倍となるため、Bピクチャで簡素化された補間方法を使用することは、各ピクチャで必要な演算量を平滑化できる点でも有効である。従って、他のフレームで参照されるBピクチャにおいても、簡素化された補間方法を使用することは有益である。
また、画像符号化装置でP、Bピクチャとも同じ画素補間フィルタを使用したビットストリームを復号する場合でも、画像復号化装置500では、Bピクチャのみ簡素化された画素補間フィルタを使用することができる。この場合、Bピクチャの画素補間フィルタは画像符号化装置で使用した画素補間フィルタとは異なるためBピクチャでは画質劣化が発生するが、Bピクチャは他のピクチャから参照されることは少ないため、Pピクチャで画質劣化が発生した場合に較べて、以降のピクチャに対して画質劣化が伝播することが少ない。
更に、画像符号化装置で使用した画素補間フィルタと同じフィルタを画像復号装置500に実装されていない場合には、画像符号化装置で使用された画素補間フィルタのタップ数以下で最も近いタップ数を持つ画素補間フィルタを替わりに使用することもできる。この場合、画像符号化装置で使用した画素補間フィルタと異なる画素補間フィルタを使用することになるため、画質劣化が発生するが、ビットストリームの復号を継続することができる。
【0025】
図3(a)は、1/2画素フィルタにおいて、既存の画素からi軸方向に1/2画素ずれた位置にある画素の画素値を計算する方法の一例を示す図である。図3(b)は、1/2画素フィルタにおいて、既存の画素からj軸方向に1/2画素ずれた位置にある画素の画素値を計算する方法の一例を示す図である。図3(a)および図3(b)において、○は整数位置の画素を示し、×は小数位置の画素を示している。また、同図において、i,jは整数である。I(x,y)は、座標(x,y)における画素値を示している。1/2画素フィルタは、○で示される整数位置の画素における画素値から、×で示される実際には画素が存在しない小数位置の画素の画素値を計算するソフトウェアおよび集積回路などによって実現される。図3(a)では、座標(i−0.5,j)の位置にある画素の画素値I(i−0.5,j)を求める場合について説明する。例えば、タップ数N(Nは偶数の自然数)が"2"の場合、座標(i−0.5,j)の位置にある画素に対して、i軸方向の両側に隣接する2つの画素の画素値I(i−1,j)および画素値I(i,j)が用いられる。画素値I(i−0.5,j)は、i軸方向の画素値の積和である式1を用いて、以下のように表される。
【数1】
Figure 0004129374
【0026】
式1において、aはフィルタ係数を示し、trunc(n)はnに対する小数以下切捨てを示している。このように、式1において適当なフィルタ係数aを選んでおくことによって、1/2画素である(i−0.5,j)の位置にある画素の画素値I(i−0.5,j)が、その両側の画素におけるN個の画素値の平均値として求められる。また、例えば、タップ数Nが"4"の場合、(i−0.5,j)の位置にある画素に対して、i軸方向の両側に隣接する2つの画素の画素値I(i−1,j)および画素値I(i,j)の他に、さらにi軸方向の両側に隣接する画素の画素値I(i−2,j)および画素値I(i+1,j)が用いられる。同様に、タップ数Nが"6"、"8"と増加した場合には、式1のNに、それらの値を代入することによって容易に求めることができる。
【0027】
図3(b)では、座標(i,j−0.5)の位置にある画素の画素値I(i,j−0.5)を求める場合について説明する。すなわち、予測画像が参照画像のj軸方向に小数画素分移動する場合である。例えば、タップ数M(Mは偶数の自然数)が"2"の場合、座標(i,j−0.5)の位置にある画素に対して、j軸方向の両側に隣接する2つの画素の画素値I(i,j−1)および画素値I(i,j)が用いられる。この画素値I(i,j−0.5)は、j軸方向の画素値の積和である式2を用いて、以下のように表される。
【数2】
Figure 0004129374
【0028】
式2において、aはフィルタ係数を示している。この場合も、タップ数が"4"、"6"、"8"と増加した場合には、式2のMに、この値を代入することによって、座標(i,j−0.5)の位置の画素について画素値を求めることができる。
また、図示しないが、予測画像が参照画像のi軸方向にもj軸方向にもそれぞれ1/2画素分移動する場合には、座標(i−0.5,j−0.5)における予測画像の画素値I(i−0.5,j−0.5)は、i軸方向とj軸方向との画素値の積和である式3を用いて以下のように表される。
【数3】
Figure 0004129374
【0029】
以上の式から分かるように、画素補間部Aおよび画素補間部Bを実現する画素フィルタは、フィルタタップ数が多いほど、予測精度が高くなる反面、演算処理量が多くなり、画像符号化装置の処理負荷が重くなる。
【0030】
上記のように、画像符号化装置400および画像復号化装置500の画素補間部には、異なる予測性能・処理量の画素補間部を複数個、使用することができる。異なる予測性能・処理量の画素補間部を使用することには次の利点がある。簡単に説明するため、画素補間部Aは画素補間部Bに比べて処理量が少なく、画素補間部Bは画素補間部Aに比べて予測効率が高いとする。本発明の画像符号化装置が出力する符号化信号を復号化する画像復号化装置として、画素補間部Aのみを備えた画像復号化装置と画素補間部Aと画素補間部Bとの双方を備えた画像復号化装置の2種類の画像符号化装置を考える。
【0031】
前者の画像符号化装置は要求される処理量が小さく、処理能力が低い機器に適している。後者の画像復号化装置は処理量が大きい機器に適している。後者の画像復号化装置は、画素補間部Aおよび画素補間部Bのいずれの画素補間部を使用した符号化信号も復号化することが可能であり、前者の画像復号化装置に対して上位互換性を持つことができる。上記の説明のように画像復号化装置に応じて適切な予測性能・処理量の画素補間部を選択することにより、幅広い種類の機器に符号化方式を適用することができる。
【0032】
また、画像復号化装置の処理能力に応じた符号化信号の生成という用途以外にも、画像符号化装置の処理能力に応じて画素補間部を切り替えることができる。例えば、符号化する画像サイズやフレームレートが大きい場合には、符号化処理全体に要する処理量が大きくなる。従って、符号化する画像サイズやフレームレートが一定値以下の場合には画素補間部Bを使用し、符号化する画像サイズやフレームレートが一定値以上の場合には、要求される処理能力が低い、すなわち処理負荷が小さい画素補間部Aを使用して、符号化処理全体に要する処理量が高くならないようにすることができる。
【0033】
また、複数の処理を同時に実行するタイムシェアリングシステム上で画像符号化を実現する場合には、他の処理の影響で画像符号化に費やせる処理量が動的に変化する可能性がある。そこで、画像符号化に費やせる処理量が一定以上の場合には処理量が多い画素補間部Bを使用し、画像符号化に費やせる処理量が一定以下の場合には処理量がより少ない画素補間部Aを使用することができる。
【0034】
また、特定の性質の画像に適した画素補間部を複数備えて、画像の性質に応じてフレーム単位に画素補間部を切り替えてもよい。例えば、文字などエッジ情報が重要な場合にはエッジの保存性に優れた画素補間部を使用する。複数の画素補間部の切り替えが可能になれば、画像の性質に適切な画素補間方法を選択できるため、より予測効率を向上できる。
【0035】
更に、Bピクチャ等のように同時に2つの画像を参照して予測画像を生成する場合は、参照する各画像で画素補間が必要になり、1つの画像のみを参照するPピクチャと比べて画素補間の演算量が2倍となるため、Bピクチャのみで簡素化された補間方法を使用すれば、各ピクチャで必要な演算量を平滑化できるため、実時間で動作するソフトウェアでの実現が容易になる。
【0036】
図4(a)は、動画像を表す各フレームのピクチャ種別と画素補間の方法との関係を示す図である。図4(b)は、本発明の画像符号化装置400および画像復号化装置500における補間方法選択の手順を示すフローチャートである。図4(a)に示すように、画像符号化装置400には、各フレームがIピクチャであるか、Bピクチャであるか、Pピクチャであるかを示すピクチャ種別信号PicTypeが外部から与えられる。Iピクチャでは、画面内符号化を行うので、予測画像の画素値は"0"である。従って、画素補間使用判定部112はスイッチ108とスイッチ109とを端子"1"に切り替えて、画素補間そのものを行わない。また、Bピクチャでは、ピクチャ種別信号PicTypeの値に従ってスイッチ401とスイッチ402とが端子"1"に切り替えられ、画素補間部A403による簡易的な画素補間Aが用いられる。また、Pピクチャでは、ピクチャ種別信号PicTypeの値に従って、スイッチ401とスイッチ402とが端子"2"に切り替えられ、画素補間部B404による高精度の画素補間Bが用いられる。
【0037】
すなわち、画像符号化装置400では、ピクチャ種別信号PicTypeの値に応じてスイッチ401とスイッチ402とを切り替えることにより、図4(b)のフローチャートに示される選択処理を行っている。スイッチ401とスイッチ402とは、入力されるピクチャ種別信号PicTypeの値がBピクチャを示す値であるか否かを判定し(S701)、Bピクチャを示す値であれば、それぞれが端子"1"を接続することによって画素補間部A403による補間方法Aを選択する(S702)。また、ピクチャ種別信号PicTypeの値がBピクチャを示す値でない場合には、それぞれが端子"2"を接続することによって画素補間部B404による補間方法Bを選択する(S703)。画像符号化装置400では、上記ステップS701からS703の処理を、入力される画像信号Imgのフレームごとに繰り返す。
【0038】
上記のように、画像符号化装置400によれば、本来、画像符号化処理のための処理負荷が比較的大きいBピクチャに対して、より処理負荷が小さい画素補間部を選択するので、処理能力が比較的低い画像符号化装置でも画素補間を行うことができる。また、他のフレームに参照されにくいBピクチャに対して、より精度の低い画素補間部を選択するので、より精度の低い画素補間部を選択したことによる影響が他のフレームに及ぶことを小さく留めるすることができる。さらに、通常、画像信号に含まれているピクチャ種別信号PicTypeに基づいて画素補間部を選択するので、符号化信号Bitstream内に、どのフレームに対してどの画素補間部を示す情報を含ませる必要がなく、その分、可変長符号化部の処理量を低減することができる。また、本来、画像符号化装置の処理負荷が比較的少ないPピクチャに対しては、処理負荷は大きくなるが、より予測精度の高い画素補間部を選択するので、処理能力が比較的低い画像符号化装置でも、より予測精度の高い画素補間を行うことができる。また、他のフレームに参照されるPピクチャに対しては、より予測精度の高い画素補間を行うことができるので、画質の劣化を最低限に防止することができる。
【0039】
図5は、フレーム単位で画素補間方法を切り替える画像符号化装置800の構成を示すブロック図である。図5において、図18の画像符号化装置100および図1の画像符号化装置400と同様の構成要素および信号には同じ符号を付し、説明を省略する。画像符号化装置800は、差分器101、画像符号化部102、画像復号化部104、加算器105、画像メモリ106、画素ブロック取得部107、スイッチ108、スイッチ109、動き推定部111、画素補間使用判定部112、画素補間部A403、画素補間部B404、画素補間切り替え位置判定部801、スイッチ802、可変長符号化部803、スイッチ804およびスイッチ805を備える。画素補間切り替え位置判定部801は、入力された画像信号Imgから画素補間部A403と画素補間部B404とを切り替える単位(フレーム、スライス、マクロブロック、ブロックなど)を検出した場合には、画素補間切り替え制御信号SetPolatorType"1"を出力することにより、スイッチ802をオン(導通状態)にする。
【0040】
ここでは、例えば、画像信号Imgのフレームを、画素補間方法の切り替え単位としてスイッチ802を切り替える。スイッチ802は、切り替え単位となる各フレームの先頭において、ごく短い時間帯だけ、画素補間種別信号PolatorTypeをスイッチ804およびスイッチ805に導通させ、前記切り替え単位の他の時間帯では、画素補間種別信号PolatorTypeがスイッチ804およびスイッチ805に入力されるのを遮断する機能を有している。これは、切り替え単位の符号化途中で画素補間部A403と画素補間部B404とが切り替わってしまうことを防止するためである。スイッチ802は、各フレームの先頭を切り替えのタイミングとして画素補間切り替え制御信号SetPolatorType"1"によりオンにされると、一定時間、端子を閉じて、外部から入力される画素補間種別信号PolatorTypeをスイッチ804およびスイッチ805に導通する。この画素補間種別信号PolatorTypeは、画像符号化装置800内の図示しない送信バッファ内のデータ残量などを目安として測定された、画像符号化装置800の処理負荷に応じて、または画像復号化装置に想定される復号化能力に応じて、画素補間の種別を選択するために外部から入力される信号である。スイッチ802は、前記一定時間を経過すると端子を開いてオフになり、再び画素補間切り替え制御信号SetPolatorType"1"が入力されるとオンになるという動作をする。また、スイッチ804とスイッチ805とは、一旦、スイッチ802を介して外部から画素補間種別信号PolatorTypeが入力されると、次に異なる値の画素補間種別信号PolatorTypeが入力されるまで、当該画素補間種別信号PolatorTypeの値によって示される接続端子を接続したままの状態を保持する。
【0041】
例えば、あるフレームの先頭でスイッチ802が導通された短い時間帯に入力された画素補間種別信号PolatorTypeの値が"1"であったとすると、スイッチ804とスイッチ805とは、それぞれ端子"1"を接続し、その状態を保持する。この後、次のフレームの先頭でスイッチ802が導通された短い時間帯に入力された画素補間種別信号PolatorTypeの値が"0"であったとすると、スイッチ804とスイッチ805とは、それぞれ端子"2"に接続し、その状態を保持する。これにより、フレームの先頭においてのみ画素補間方法の切り替えが起こり、フレームの符号化途中で画素補間方法が切り替わることを防止することができる。
【0042】
切り替え判定を用いた画素補間では、予測精度の異なる複数の画素補間部を備え、フレーム毎に、複数の画素補間方法のうちから処理量の制限を越えない範囲で予測効率が最適なフィルタを選択的に実行することにより行う。また、切り替え判定を用いた他の画素補間として、各フレームの符号化途中で画像符号化装置の処理能力が足りなくなった場合に、次のフレームで処理量が少ない画素補間方法に切り替えるとしてもよい。その結果、画素補間種別信号PolatorTypeにより、新たな画素補間部が選択される。
【0043】
図6は、画像符号化装置800における補間方法選択の手順を示すフローチャートである。具体的には、画像符号化装置800では、画素補間切り替え制御信号SetPolatorTypeの値に応じてスイッチ802を接続し、スイッチ802が接続されている間に外部から入力される画素補間種別信号PolatorTypeの値に応じてスイッチ804とスイッチ805とを切り替えることにより、図6のフローチャートに示される選択処理を行っている。画像符号化装置800は、各フレームの先頭を示すフレームヘッダなどを画像信号Imgから検出し(S901)、画素補間切り替え位置判定部801から例えば、画素補間切り替え制御信号SetPolatorType"1"を出力してスイッチ802をオンにする(S902)。画像符号化装置800は、スイッチ802がオンになっている間に入力された画素補間種別信号PolatorTypeの値が"1"であるか否かを判定し(S903)、"1"であれば、スイッチ804とスイッチ805とをそれぞれ端子"1"に接続させ画素補間部A403による補間方法Aを選択する(S904)。画素補間種別信号PolatorTypeの値が"1"でなければ、スイッチ804とスイッチ805とをそれぞれ端子"2"に接続させ画素補間部B404による補間方法Bを選択する(S905)。画像符号化装置800は、上記ステップS901からS905までの処理を、入力される画像信号Imgのフレームごとに繰り返す。
【0044】
画像符号化装置800は、さらに、可変長符号化部803において、画素補間種別の切り替え単位をフレームとした場合、画像符号化装置800の出力である符号化信号Bitstreamのフレームごとに、例えば、符号化信号Bitstreamの各フレームヘッダに画素補間種別信号PolatorTypeの値を記録して出力する。図7(a)は、本発明の符号化信号Bitstreamのストリーム構成を示す図である。図7(b)は、フレームを単位として画素補間の方法を切り替える場合の符号化信号Bitstreamのストリーム構成を示す図である。本発明の符号化信号の特徴は、画素補間種別信号PolatorTypeを符号化信号Bitstreamに含むことである。このストリーム構成により、本発明の符号化信号Bitstreamを復号化する画像復号化装置では、画素補間種別信号を調べることにより、符号化に使用した画素補間部と同一の画素補間方法を使用することができる。
【0045】
図7(a)に示した符号化信号Bitstreamでは、符号化信号Bitstream全体に付されるヘッダ1001の中(例えば、斜線部)に、各フレームの画素補間に用いられた補間方法を示す画素補間種別信号PolatorTypeの値が記述されている。また、図7(b)に示した符号化信号Bitstreamでは、フレームごとに設けられるフレームヘッダ1002の中(例えば、斜線部)に、当該フレームの画素補間に用いられた補間方法を示す画素補間種別信号PolatorTypeの値が記述される。このように、画素補間種別信号PolatorTypeを符号化信号Bitstreamの先頭部分であるヘッダ1001や、ランダムアクセスポイントの先頭となるフレームヘッダ1002などに格納することによって、画像復号化装置では、ヘッダ1001もしくはランダムアクセスポイントから符号化信号Bitstreamを入力することにより、当該フレームの復号化前にそのフレームの画素補間種別を特定することができる。
【0046】
なお、ここではフレーム単位で画素補間部を切り替えると説明したが、フレーム単位だけでなく、フレームより小さい画像領域単位(1画素以上が集合した領域であればよい、例えば、MPEGのスライス・マクロブロック・ブロックなど)で画素補間部を切り替えてもよい。例えば、スライスを切り替え単位とする場合には、各スライスに対応する画素補間種別信号PolatorTypeの値を、符号化信号Bitstream全体に対して付されるヘッダに記述してもよいし、フレームごとにまとめてフレームヘッダに記述してもよい。また、それぞれのスライスに対応するスライスヘッダに、各スライスの画素補間種別信号の値を記述しておいてもよい。また、マクロブロックまたはブロックを画素補間方法の切り替え単位とする場合には、各マクロブロックまたは各ブロックの画素補間種別信号の値をスライスごとにまとめて、スライスヘッダに記述しておけばよい。
【0047】
以上説明したように、本発明の画像符号化装置に入力される画素補間種別信号PolatorTypeの値を、画像復号化装置の処理能力に応じた画素補間部を選択するよう設定しておくことにより、本発明の画像符号化装置が出力する符号化信号を再生する画像復号化装置の処理能力に応じた符号化信号を作成することが可能になる。また、画像符号化装置の処理能力に応じて画素補間部を選択することができる。
【0048】
なお、既存の画像符号化方式には、予測画像信号の位置に応じて、その位置の画素値を生成する画素補間方法を切り替える符号化方式がある。例えば、1/2画素位置の画素値を生成する場合には1/2画素位置用の画素補間方法を選択し、1/4画素位置の画素値を生成する場合には1/4画素位置用の画素補間方法を選択するような符号化方式である。しかし、それらの符号化方式は、所望の画素位置について、いずれか一方の画素補間方法を選択せざるを得ないことに対して、本発明の符号化方式では、予測画像信号の同一位置の画素値の計算につき複数の画素補間部を備えるので、同一画素位置の画素値の計算に対して複数の画素補間方法を自由に選択することができるという点で異なる。本発明の画像符号化方式に、異なる画素位置に対して複数の画素補間方法を切り替える上記の方法を組み合わせることもできる。この場合、異なる画素位置に対してそれぞれの画素値を計算する複数の画素補間部を備えるとともに、同一画素位置に対して予測精度の異なる画素値を計算する複数の画素補間部を備えるものとする。
【0049】
なお、上記実施の形態においては、2つの画素補間部を備えた画像符号化装置について説明したが、3つ以上の画素補間部を備えるとしてもよい。その場合には、3つ以上の画素補間部のいずれか1つを選択して使用し、使用した画素補間部の種別を示す画素補間種別信号を符号化信号に含めればよい。
【0050】
図8は、本実施の形態の他の画像復号化装置1100の構成を示すブロック図である。図8において、図2に示した画像復号化装置500と同じ動作をする構成要素および信号については、すでに説明しているので、同じ符号を付し説明を省略する。画像復号化装置1100は、画像復号化部202、加算器203、画像メモリ204、画素ブロック取得部207、スイッチ208、スイッチ209、画素補間使用判定部212、画素補間部A503、画素補間部B504、可変長復号化部1101、画素補間種別変換部1102、スイッチ1103およびスイッチ1104を備える。画像復号化装置1100には、図5に示した画像符号化装置800によって出力された符号化信号Bitstream2が入力される。すなわち、画像復号化装置1100に入力される符号化信号Bitstream2には、画素補間種別信号PolatorType1が記述されている。画像復号化装置1100は、符号化信号Bitstream2中の画素補間種別信号PolatorType1で示された画素補間部が画像復号化装置1100に備えられていない場合には、画像符号化装置1100が備えている画素補間部のいずれかを代わりに用いることを特徴とする。
【0051】
画像復号化装置1100は、画素補間種別信号PolatorType1の値"1"と"2"とが示す2種類の画素補間部すなわち、画素補間部A503(フィルタタップ数N=4)および画素補間部B504(フィルタタップ数N=8)しか備えていないとする。画像復号化装置1100において、可変長復号化部1101は、符号化信号Bitstream2を可変長復号化し、差分画像符号化信号CodedResと動きパラメータ信号MotionParamと画素補間種別信号PolatorType1とに分離する。画素補間種別変換部1102は、画素補間種別信号PolatorType1によって指定されうる画素補間部の種別と、当該各画素補間部の特性を示すパラメータと、実装の有無とを示す、あらかじめ作成された補間種別表を内部に保持している。画素補間種別変換部1102は、当該補間種別表に基づいて、画素補間種別信号PolatorType1の値で示される画素補間部が画像復号化装置1100に実装されているか否かを判断する。
【0052】
図9は、図8に示した画素補間種別変換部1102に保持されている補間種別表1200の一例を示す図である。図のように、補間種別表1200には、画素補間種別信号PolatorType1の値で示される各画素補間部の実装の有無1201と、画素補間種別信号PolatorType1の値1201および画素補間種別信号PolatorType1の値で示される各画素補間部の特性を表したフィルタタップ数(N)1203が記述されている。画素補間種別変換部1102は、画素補間種別信号PolatorType1の値が、画像復号化装置1100に実装されていない画素補間部C(フィルタタップ数N=16)を示す値、例えば"3"であった場合には、実装されている画素補間部のうちで、補間種別表1200に記述されているフィルタタップ数(N)1203が画素補間種別信号PolatorType1で示された画素補間部Cに最も近い画素補間部B504(フィルタタップ数N=8)を選択し、画素補間種別信号PolatorType1の値を、例えば"2"の値に変換して、画素補間種別信号PolatorType2として出力する。この変換処理によって画像復号化装置1100では、符号化時に使用された画素補間部とは異なる画素補間部を用いるので画質劣化を生じることは否めないが、差分画像符号化信号CodedResと動きパラメータ信号MotionParamとの復号化処理は可能であるため、復号化された映像の概観(プレビュー)が可能になる。画素補間種別信号PolatorType2として"1"が入力された場合には、スイッチ1103と、スイッチ1104とは端子"1"側に切り替わり、復号画像信号Reconに対して画素補間部A503が使用される。画素補間種別信号PolatorType2として"2"が入力された場合には、スイッチ1103と、スイッチ1104とが端子"2"側に切り替わり、復号画像信号Reconに対して画素補間部B504が使用される。
【0053】
以上説明したように、本発明の画像復号化装置1100によれば、画像復号化装置1100に実装されていない画素補間部を示す画素補間種別信号PolatorType2が含まれている符号化信号Bitstreamが入力された場合でも、入力符号化信号Bitstreamを支障なく復号化することができるという効果がある。なお、画像復号化装置1100が有する画素補間部が1つの場合には強制的にその画素補間部を使用することにより、入力符号化信号Bitstreamを復号化することができる。また、本実施の形態の画像復号化装置1100では、2個の画素補間部を備えているが3個以上の画素補間部があっても同様の処理が可能である。なお、実施の形態1で示したように、画素補間種別がフレーム単位、あるいは、フレームより小さい画像領域の単位で切り替わる場合には、画像復号化装置1100は画素補間種別が変更された時点で画素補間部を切り替えるものとする。なお、ここでは、複数の画素補間部の特性をフィルタタップ数で表したが、必ずしもフィルタタップ数である必要はなく、他のパラメータであってもよい。更に、画像復号化装置1100が画像符号化装置で使用される可能性がある画素補間フィルタを全て備えていることが明らかである場合には、画像復号化装置1100の画素補間種別変換部1102はなくてもよい。この場合には、画素補間種別信号PolatorType1をそのまま画素補間種別信号PolatorType2として使用する。
【0054】
(実施の形態2)
図10は、本発明の実施の形態2に係る画像符号化装置1300の構成を示すブロック図である。なお、図18、図1および図5に示した画像符号化装置100、画像符号化装置400および画像符号化装置800における各構成要素と同じ動作をする構成要素および信号については、同じ参照符号を付し説明を省略する。画像符号化装置1300は、符号化の対象となるフレームが他のフレームに参照されないフレームである場合は、画素補間における処理量がより小さい画素補間部を使用し、他のフレームで参照フレームとして使用される場合には、予測効率は高いが処理量が大きい画素補間部を使用する画像符号化装置であって、差分器101、画像符号化部102、画像復号化部104、加算器105、画像メモリ106、画素ブロック取得部107、スイッチ108、スイッチ109、画素補間使用判定部112、スイッチ1301、スイッチ1302、可変長符号化部1303、スイッチ1304および動き推定部1305を備える。動き推定部1305には、外部から、符号化対象フレームが後に参照フレームとして使用かれるか否かを示す参照指示信号AvairableRefが入力される。参照指示信号AvairableRefは、画像符号化装置1300のオペレータが図示しないキーボードなどの入力部を用いて入力した設定に基づいて外部から入力される信号であって、値が"0"のとき、当該符号化対象フレームが参照フレームとして使用されないことを示し、値が"1"のとき、当該符号化対象フレームが後に参照フレームとして使用されることを示している。
【0055】
これに対応して、スイッチ1301およびスイッチ1302は、参照指示信号AvairableRefの値が"0"のとき、すなわち、他のフレームに参照されない符号化対象フレームに対しては、それぞれ端子"1"を接続し、処理量がより小さい画素補間部A403を選択する。また、参照指示信号AvairableRefの値が"1"のとき、すなわち、後に参照フレームとして使用される符号化対象フレームに対しては、それぞれ端子"2"を接続し、予測効率は高いけれども処理量はより大きい画素補間部B404を選択する。また、スイッチ1304は、参照指示信号AvairableRefの値が"0"のときオフになり、当該フレームの復号差分画像信号ReconResは、画像メモリ106に格納されない。逆に、参照指示信号AvairableRefの値が"1"のとき、スイッチ1304はオンになり、当該フレームの復号差分画像信号ReconResが画像メモリ106に格納される。可変長符号化部1303は、画像符号化装置1300の出力である、図7に示したストリーム構成を有する符号化信号Bitstream3のフレームごとに、例えば、符号化信号Bitstream3の各フレームヘッダに参照指示信号AvairableRefの値を記録して出力する。
【0056】
図11は、図10に示した画像符号化装置1300の出力である符号化信号Bitstream3を復号化する画像復号化装置1400の構成を示すブロック図である。同図において、図19、図2および図8に示した画像復号化装置200、画像復号化装置500および画像復号化装置1100における各構成要素と同じ動作をする構成要素および信号については、すでに説明しているので、同じ参照符号を付し説明を省略する。画像復号化装置1400は、前述の参照指示信号AvairableRefを含んだ符号化信号Bitstream3を復号化する画像復号化装置であって、画像復号化部202、加算器203、画像メモリ204、画素ブロック取得部207、スイッチ208、スイッチ209、画素補間使用判定部212、可変長復号化部1401、スイッチ1402、スイッチ1403およびスイッチ1404を備える。可変長復号化部1401は、入力された符号化信号Bitstream3を可変長復号化し、差分画像符号化信号CodedResと動きパラメータ信号MotionParamと参照指示信号AvairableRefとに分離する。分離された参照指示信号AvairableRefは、スイッチ1402とスイッチ1403とスイッチ1404とに入力される。スイッチ1404は、参照指示信号AvairableRefの値が"0"のとき、すなわち、当該フレームの復号画像信号Reconが参照フレームとして使用されない場合、オフになる。したがって、当該フレームの復号画像信号Reconは、画像メモリ204に格納されない。逆に、参照指示信号AvairableRefの値が"1"のとき、すなわち、当該フレームの復号画像信号Reconが参照フレームとなる場合、オンになる。したがって、当該フレームの復号画像信号Reconが画像メモリ204に格納される。また、スイッチ1402とスイッチ1403とは、参照指示信号AvairableRefの値が"0"のとき、すなわち、当該フレームの復号画像信号Reconが参照フレームとして使用されない場合、それぞれ端子"1"を接続し、画素補間の処理量の少ない画素補間部A503を選択する。逆に、参照指示信号AvairableRefの値が"1"のとき、それぞれ端子"2"を接続し、画素補間の処理量は多くなるが予測効率の高い画素補間部B504を選択する。
【0057】
以上のように、本実施の形態の画像符号化装置1300および画像復号化装置1400では、他のフレームに参照される符号化対象フレームにおいて処理量の少ない画素補間方法を使用すると、処理量の少ない画素補間方法の予測精度の低さによる画質の劣化が他のフレームの画質にも影響することになるが、他のフレームに参照されない符号化対象フレームについてだけ、処理量の少ない画素補間方法を使用するので、予測精度の低さによる符号化対象フレームの画質の劣化が他のフレームに影響を与えることなく、画像符号化装置1300および画像復号化装置における画素補間のための処理負荷を軽減することができる。従って、画像符号化装置1300および画像復号化装置としては、予測精度の劣化を最小限に留めつつ、画像符号化処理における処理負荷を大きく低減することができる。
【0058】
なお、本実施の形態の画像復号化装置1400では、スイッチ1404を設け、他のフレームに参照されないフレームの復号画像信号Reconが画像メモリ204に格納されないようにしたが、すでに説明した本発明の他の画像復号化装置においても、スイッチ1404を備えるようにしてもよい。
【0059】
また、上記実施の形態1および実施の形態2では、画素補間部A403と画素補間部B404とをスイッチで切り替えて使用すると説明したが、本発明はこれに限定されず、画素補間部A403と画素補間部B404とを、複数の動作モードで動作する1つの画素補間部に置き換えてもよい。この画素補間部は、例えば、目的とする予測精度または処理負荷に応じて、複数の演算方法または複数の演算式に従って演算を行う1つの画素フィルタであって、外部から与えられるパラメータに従って1つの動作モード(演算方法または演算式)が決定されるものとする。
(実施の形態3)
さらに、上記各実施の形態で示した画像符号化方法または画像復号化方法の構成を実現するためのプログラムを、フレキシブルディスク等の記録媒体に記録するようにすることにより、上記各実施の形態で示した処理を、独立したコンピュータシステムにおいて簡単に実施することが可能となる。
【0060】
図12は、上記実施の形態1から実施の形態3の画像符号化方法または画像復号化方法のプログラムを格納したフレキシブルディスクを用いて、コンピュータシステムにより実施する場合の説明図である。
図12(b)は、フレキシブルディスクの正面からみた外観、断面構造、及びフレキシブルディスクを示し、図12(a)は、記録媒体本体であるフレキシブルディスクの物理フォーマットの例を示している。フレキシブルディスクFDはケースF内に内蔵され、該ディスクの表面には、同心円状に外周からは内周に向かって複数のトラックTrが形成され、各トラックは角度方向に16のセクタSeに分割されている。従って、上記プログラムを格納したフレキシブルディスクでは、上記フレキシブルディスクFD上に割り当てられた領域に、上記プログラムとしての画像符号化方法が記録されている。
【0061】
また、図12(c)は、フレキシブルディスクFDに上記プログラムの記録再生を行うための構成を示す。上記プログラムをフレキシブルディスクFDに記録する場合は、コンピュータシステムCsから上記プログラムとしての画像符号化方法または画像復号化方法をフレキシブルディスクドライブFDDを介して書き込む。また、フレキシブルディスク内のプログラムにより上記画像符号化方法をコンピュータシステム中に構築する場合は、フレキシブルディスクドライブによりプログラムをフレキシブルディスクから読み出し、コンピュータシステムに転送する。
【0062】
なお、上記説明では、記録媒体としてフレキシブルディスクを用いて説明を行ったが、光ディスクを用いても同様に行うことができる。また、記録媒体はこれに限らず、ICカード、ROMカセット等、プログラムを記録できるものであれば同様に実施することができる。
【0063】
図13から図16は、上記実施の形態で示した符号化処理または復号化処理を行う機器、およびこの機器を用いたシステムを説明する図である。
図13は、コンテンツ配信サービスを実現するコンテンツ供給システムex100の全体構成を示すブロック図である。通信サービスの提供エリアを所望の大きさに分割し、各セル内にそれぞれ固定無線局である基地局ex107〜ex110が設置されている。このコンテンツ供給システムex100は、例えば、インターネットex101にインターネットサービスプロバイダex102および電話網ex104を介して、コンピュータex111、PDA(personal digital assistant)ex112、カメラex113、携帯電話ex114が接続される。しかし、コンテンツ供給システムex100は図13のような組合せに限定されず、いずれかを組み合わせて接続するようにしてもよい。また、固定無線局である基地局ex107〜ex110を介さずに、電話網ex104に直接接続されてもよい。
【0064】
カメラex113はデジタルビデオカメラ等の動画撮影が可能な機器である。また、携帯電話は、PDC(Personal Digital Communications)方式、CDMA(Code Division Multiple Access)方式、W−CDMA(Wideband-Code Division Multiple Access)方式、若しくはGSM(Global System for Mobile Communications)方式の携帯電話機、またはPHS(Personal Handyphone System)等であり、いずれでも構わない。
【0065】
また、ストリーミングサーバex103は、カメラex113から基地局ex109、電話網ex104を通じて接続されており、カメラex113を用いてユーザが送信する符号化処理されたデータに基づいたライブ配信等が可能になる。撮影したデータの符号化処理はカメラex113で行っても、データの送信処理をするサーバ等で行ってもよい。また、カメラ116で撮影した動画データはコンピュータex111を介してストリーミングサーバex103に送信されてもよい。カメラex116はデジタルカメラ等の静止画、動画が撮影可能な機器である。この場合、動画データの符号化はカメラex116で行ってもコンピュータex111で行ってもどちらでもよい。また、符号化処理はコンピュータex111やカメラex116が有するLSIex117において処理することになる。なお、画像符号化・復号化用のソフトウェアをコンピュータex111等で読み取り可能な記録媒体である何らかの蓄積メディア(CD−ROM、フレキシブルディスク、ハードディスクなど)に組み込んでもよい。さらに、カメラ付きの携帯電話ex115で動画データを送信してもよい。このときの動画データは携帯電話ex115が有するLSIで符号化処理されたデータである。
【0066】
図14は、携帯電話ex115の一例を示す図である。携帯電話ex115は、基地局ex110との間で電波を送受信するためのアンテナex201、CCDカメラ等の映像、静止画を撮ることが可能なカメラ部ex203、カメラ部ex203で撮影した映像、アンテナex201で受信した映像等が復号化されたデータを表示する液晶ディスプレイ等の表示部ex202、操作キー群から構成される本体部ex204、音声出力をするためのスピーカ等の音声出力部ex208、音声入力をするためのマイク等の音声入力部ex205、撮影した動画もしくは静止画のデータ、受信したメールのデータ、動画のデータもしくは静止画のデータ等、符号化されたデータまたは復号化されたデータを保存するための記憶メディアex207、携帯電話ex115に記憶メディアex207を装着可能とするためのスロット部ex206を有している。記憶メディアex207はSDカード等のプラスチックケース内に電気的に書換えや消去が可能な不揮発性メモリであるEEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)の一種であるフラッシュメモリ素子を格納したものである。
【0067】
このコンテンツ供給システムex100では、ユーザがカメラex113、カメラex116等で撮影しているコンテンツ(例えば、音楽ライブを撮影した映像等)を上記実施の形態同様に符号化処理してストリーミングサーバex103に送信する一方で、ストリーミングサーバex103は要求のあったクライアントに対して上記コンテンツデータをストリーム配信する。クライアントとしては、上記符号化処理されたデータを復号化することが可能な、コンピュータex111、PDAex112、カメラex113、携帯電話ex114等がある。このようにすることでコンテンツ供給システムex100は、符号化されたデータをクライアントにおいて受信して再生することができ、さらにクライアントにおいてリアルタイムで受信して復号化し、再生することにより、個人放送をも実現可能になるシステムである。
【0068】
さらに、携帯電話ex115について図15を用いて説明する。図15は、携帯電話ex115の構成を示すブロック図である。携帯電話ex115は表示部ex202及び本体部ex204の各部を統括的に制御するようになされた主制御部ex311に対して、電源回路部ex310、操作入力制御部ex304、画像符号化部ex312、カメラインターフェース部ex303、LCD(Liquid Crystal Display)制御部ex302、画像復号化部ex309、多重分離部ex308、記録再生部ex307、変復調回路部ex306及び音声処理部ex305が同期バスex313を介して互いに接続されている。電源回路部ex310は、ユーザの操作により終話及び電源キーがオン状態にされると、バッテリパックから各部に対して電力を供給することによりカメラ付ディジタル携帯電話ex115を動作可能な状態に起動する。携帯電話ex115は、CPU、ROM及びRAM等でなる主制御部ex311の制御に基づいて、音声通話モード時に音声入力部ex205で集音した音声信号を音声処理部ex305によってディジタル音声データに変換し、これを変復調回路部ex306でスペクトラム拡散処理し、送受信回路部ex301でディジタルアナログ変換処理及び周波数変換処理を施した後にアンテナex201を介して送信する。また携帯電話機ex115は、音声通話モード時にアンテナex201で受信した受信信号を増幅して周波数変換処理及びアナログディジタル変換処理を施し、変復調回路部ex306でスペクトラム逆拡散処理し、音声処理部ex305によってアナログ音声信号に変換した後、これを音声出力部208を介して出力する。さらに、データ通信モード時に電子メールを送信する場合、本体部ex204の操作キーの操作によって入力された電子メールのテキストデータは操作入力制御部ex304を介して主制御部ex311に送出される。主制御部ex311は、テキストデータを変復調回路部ex306でスペクトラム拡散処理し、送受信回路部ex301でディジタルアナログ変換処理及び周波数変換処理を施した後にアンテナex201を介して基地局ex110へ送信する。
【0069】
データ通信モード時に画像データを送信する場合、カメラ部ex203で撮像された画像データをカメラインターフェース部ex303を介して画像符号化部ex312に供給する。また、画像データを送信しない場合には、カメラ部ex203で撮像した画像データをカメラインターフェース部ex303及びLCD制御部ex302を介して表示部ex202に直接表示することも可能である。
【0070】
画像符号化部ex312は、カメラ部ex203から供給された画像データを上記実施の形態で示した符号化方法によって圧縮符号化することにより符号化画像データに変換し、これを多重分離部ex308に送出する。また、このとき同時に携帯電話機ex115は、カメラ部ex203で撮像中に音声入力部ex205で集音した音声を音声処理部ex305を介してディジタルの音声データとして多重分離部ex308に送出する。
【0071】
多重分離部ex308は、画像符号化部ex312から供給された符号化画像データと音声処理部ex305から供給された音声データとを所定の方式で多重化し、その結果得られる多重化データを変復調回路部ex306でスペクトラム拡散処理し、送受信回路部ex301でディジタルアナログ変換処理及び周波数変換処理を施した後にアンテナex201を介して送信する。
【0072】
データ通信モード時にホームページ等にリンクされた動画像ファイルのデータを受信する場合、アンテナex201を介して基地局ex110から受信した受信信号を変復調回路部ex306でスペクトラム逆拡散処理し、その結果得られる多重化データを多重分離部ex308に送出する。
【0073】
また、アンテナex201を介して受信された多重化データを復号化するには、多重分離部ex308は、多重化データを分離することにより符号化画像データと音声データとに分け、同期バスex313を介して当該符号化画像データを画像復号化部ex309に供給すると共に当該音声データを音声処理部ex305に供給する。
【0074】
次に、画像復号化部ex309は、符号化画像データを上記実施の形態で示した符号化方法に対応した復号化方法で復号することにより再生動画像データを生成し、これをLCD制御部ex302を介して表示部ex202に供給し、これにより、例えばホームページにリンクされた動画像ファイルに含まれる動画データが表示される。このとき同時に音声処理部ex305は、音声データをアナログ音声信号に変換した後、これを音声出力部ex208に供給し、これにより、例えばホームページにリンクされた動画像ファイルに含まる音声データが再生される。
なお、上記システムの例に限られず、最近は衛星、地上波によるディジタル放送が話題となっており、図16に示すようにディジタル放送用システムにも上記実施の形態の少なくとも符号化方法または復号化方法いずれかを組み込むことができる。具体的には、放送局ex409では映像情報の符号化ビットストリームが電波を介して通信または放送衛星ex410に伝送される。これを受けた放送衛星ex410は、放送用の電波を発信し、この電波を衛星放送受信設備をもつ家庭のアンテナex406で受信し、テレビ受信機ex401またはセットトップボックスex407などの装置により符号化ビットストリームを復号化してこれを再生する。また、記録媒体である蓄積メディアex402に記録した符号化ビットストリームを読み取り、復号化する再生装置ex403にも上記実施の形態で示した復号化方法を実装することが可能である。この場合、再生された映像信号はモニタex404に表示される。また、ケーブルテレビ用のケーブルex405または衛星/地上波放送のアンテナex406に接続されたセットトップボックスex407内に復号化装置を実装し、これをテレビモニタex408で再生する構成も考えられる。このときセットトップボックスではなく、テレビ内に符号化装置を組み込んでも良い。また、アンテナex411を有する車ex412で衛星ex410からまたは基地局ex107等から信号を受信し、車ex412が有するカーナビゲーションex413等の表示装置に動画を再生することも可能である。
【0075】
なお、カーナビゲーションex413の構成は例えば図15に示す構成のうち、カメラ部ex203とカメラインターフェース部ex303を除いた構成が考えられ、同様なことがコンピュータex111やテレビ受信機ex401等でも考えられる。また、上記携帯電話ex114等の端末は、符号化器・復号化器を両方持つ送受信型の端末の他に、符号化器のみの送信端末、復号化器のみの受信端末の3通りの実装形式が考えられる。
【0076】
このように、本明細書に示した符号化方法、復号化方法を実装することにより本実施の形態で示したいずれの装置・システムに関しても実現可能になる。
【0077】
以上のように、本発明に係る画像符号化装置および画像復号化装置は、画像を伝送する携帯電話機に備えられる画像符号化装置および画像復号化装置として、また、カーナビゲーションシステムに備えられる画像符号化装置および画像復号化装置として有用である。また、本発明の画像符号化方法および画像復号化方法を実行するプログラムおよびそれを記録した記録媒体として有用である。さらに、本発明の画像符号化装置によって生成される符号化信号を記録した記録媒体として有用である。
【0078】
【発明の効果】
上記目的を達成するために本発明の画像符号化方法は、予測画像の生成に画素補間を伴う画像符号化方法であって、複数の画素補間方法から1つの画素補間方法を選択する選択ステップと、選択された画素補間方法を用いて対象画素位置の画素値を生成する画素値生成ステップとを含むことを特徴とする。
従って、本発明の画像符号化装置によれば、複数の画素補間方法から1つの画素補間方法を選択することにより、画像符号化装置の処理能力や符号化信号を受信する画像復号化装置の処理能力に応じた符号化信号を作成することが可能になる。
【0079】
また、上記目的を達成するために本発明の画像復号化方法は、復号化済み画像に対して画素補間を行い予測画像を生成する画像復号化方法であって、入力される符号化信号を復号化して得られる復号化画像が、前記符号化信号を復号化して得られる他の復号化画像に参照されない画像である場合、複数の画素補間方法の中から処理負荷の軽い画素補間方法を選択する選択ステップと、選択された画素補間方法を使用して、前記予測画像を生成する予測画像生成ステップとを含むことを特徴とする。
【0080】
従って、本発明の画像復号化装置によれば、他の画像に参照されない画像につき、処理負荷の軽い画素補間方法を選択するので、当該画像を用いて生成される予測画像につき処理負荷の軽い画素補間方法を用いて画素値を生成したことによる画質の劣化が他の画像に影響することなく、全体として、画像復号化処理における処理負荷を軽減することができる。
【0081】
更に、上記目的を達成するために本発明の画像符号化方法および画像復号化方法は、予測画像に対して画素補間を行う画像復号化方法であって、予測で参照する画像数が複数である場合、複数の画素補間方法の中から処理負荷の軽い画素補間方法を選択する選択ステップと、選択された画素補間方法を使用して、前記予測画像の画素値を生成する画素値生成ステップとを含むことを特徴とする。
【0082】
従って、本発明の画像符号化装置および画像復号化装置によれば、予測で参照する画像数が複数であり特に処理負荷の重い予測を行う場合に、処理負荷の軽い画素補間方法を選択するので、当該画像の画像符号化および画像復号化の負荷処理が軽減でき、全体として、画像符号化および画像復号化処理における処理負荷を平坦化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の画像符号化装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の画像復号化装置の構成を示すブロック図である。
【図3】図3(a)は、1/2画素フィルタにおいて、既存の画素からi軸方向に1/2画素ずれた位置にある画素の画素値を計算する方法の一例を示す図である。図3(b)は、1/2画素フィルタにおいて、既存の画素からj軸方向に1/2画素ずれた位置にある画素の画素値を計算する方法の一例を示す図である。
【図4】図4(a)は、動画像を表す各フレームのピクチャ種別と画素補間の方法との関係を示す図である。図4(b)は、本発明の画像符号化装置および画像復号化装置における補間方法選択の手順を示すフローチャートである。
【図5】フレーム単位で画素補間方法を切り替える画像符号化装置の構成を示すブロック図である。
【図6】画像符号化装置における補間方法選択の手順を示すフローチャートである。
【図7】図7(a)は、本発明の符号化信号Bitstreamのストリーム構成を示す図である。図7(b)は、フレームを単位として画素補間の方法を切り替える場合の符号化信号Bitstreamのストリーム構成を示す図である。
【図8】本実施の形態の他の画像復号化装置の構成を示すブロック図である。
【図9】図8に示した画素補間種別変換部に保持されている補間種別表の一例を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態2に係る画像符号化装置の構成を示すブロック図である。
【図11】図10に示した画像符号化装置の出力である符号化信号Bitstream3を復号化する画像復号化装置の構成を示すブロック図である。
【図12】図12(a)は、記録媒体本体であるフレキシブルディスクの物理フォーマットの例を示す図である。図12(b)は、フレキシブルディスクの正面からみた外観、断面構造、及びフレキシブルディスクを示す図である。図12(c)は、フレキシブルディスクFDに上記プログラムの記録再生を行うための構成を示す図である。
【図13】コンテンツ配信サービスを実現するコンテンツ供給システムの全体構成を示すブロック図である。
【図14】携帯電話の外観の一例を示す図である。
【図15】携帯電話の構成を示すブロック図である。
【図16】上記実施の形態で示した符号化処理または復号化処理を行う機器、およびこの機器を用いたシステムを説明する図である。
【図17】動画像における動き補償の概念を示す図である。
【図18】従来の画像符号化装置の構成を示すブロック図である。
【図19】従来の画像復号化装置の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
101 差分器
102 画像符号化部
103 可変長符号化部
104 画像復号化部
105 加算器
106 画像メモリ
107 画素ブロック取得部
108 スイッチ
109 スイッチ
111 動き推定部
112 画素補間使用判定部
403 画素補間部A
404 画素補間部B
Img 画像信号
Res 差分画像信号
CodedRes 差分画像符号化信号
Bitstream 符号化信号
ReconRes 復号差分画像信号
Recon 復号画像信号
Ref 参照画像信号
Blk 画素ブロック
UsePolator 画素補間使用制御信号
Pred 予測画像信号
MotionParam 動きパラメータ信号
PicType ピクチャ種別信号

Claims (5)

  1. 復号化済み画像に対して画素補間を行って、入力画像との差分である差分画像を算出するための予測画像を生成し、前記差分画像を符号化する画像符号化方法であって、
    復号化手段が、入力される符号化信号を復号化する復号化ステップと、
    保持手段が、前記復号化ステップで復号化された復号化済み画像を保持する保持ステップと、
    エッジ重要度判定手段が、前記復号化済み画像の特徴を検出し、エッジ情報の重要度を判定するエッジ重要度判定ステップと、
    選択手段が、前記エッジ重要度判定ステップによりエッジ情報が重要であると判定された場合、複数の画素補間方法の中からタップ数が多い画素補間方法を選択する選択ステップと、
    予測画像生成手段が、選択された画素補間方法を使用して、前記予測画像を生成する予測画像生成ステップと、
    符号化信号生成手段が、複数の画素補間方法の中からどの画素補間方法が選択されたかを示す情報を前記符号化信号に含ませる符号化信号生成ステップと
    を含むことを特徴とする画像符号化方法。
  2. 前記エッジ重要度判定ステップは、前記復号化済み画像に文字が含まれているか否かを判定の基準とする
    ことを特徴とする請求項1記載の画像符号化方法。
  3. 前記複数の画素補間方法は、前記予測画像の精度が異なる
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の画像符号化方法。
  4. 前記選択ステップでは、入力される画像のフレームごとに、1つの画素補間方法を選択する
    ことを特徴とする請求項1記載の画像符号化方法。
  5. 前記選択ステップでは、入力される画像のスライスごとに、1つの画素補間方法を選択する
    ことを特徴とする請求項1記載の画像符号化方法。
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