JP4128143B2 - 複数の化学物質の濃度の測定方法並びに複数のイオン種の濃度の測定方法及びそのためのセンサー - Google Patents

複数の化学物質の濃度の測定方法並びに複数のイオン種の濃度の測定方法及びそのためのセンサー Download PDF

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Description

本発明は、複数の化学物質の濃度を同時に測定する方法に関する。また、本発明は、複数のイオン種の濃度の測定方法及びそのためのセンサーに関する。
従来より、化学物質の濃度の測定は、該化学物質の濃度に応じて変化する物理量、例えば、溶液の吸光度等を出力として測定することにより行われている。測定すべき化学物質濃度と、出力との相関関係を求めるために、既知の種々の濃度に対する出力を測定し、横軸に濃度、縦軸に吸光度等の出力をとって検量線を作成する。そして、未知濃度の被検試料について出力を測定し、その出力に対応する濃度を前記検量線から読み取ることにより濃度測定が行われている。
しかしながら、往々にして、ある濃度範囲では、検量線の傾きが0に近くなる場合がある。このような場合には、1つの出力に対応する濃度が種々存在し、出力を測定しても、それに対応する濃度を1つに定めることができない。また、1種類の出力(例えば特定波長における吸光度)に対して影響を与える複数の化学物質が被検試料中に含まれている場合、その出力を測定しても、これら複数の化学物質の寄与の割合が不明なため、単一の化合物存在時のそれぞれの化合物について作成された検量線に基づいて各化学物質の濃度を測定することは不可能である。
また、重金属イオン濃度は、環境基準が設けられており、重金属イオン濃度を測定することは社会的に要求されている。従来より、金属イオン濃度の簡便な測定法として、蛍光性のイオノフォア(フルオロイオノフォア)を用いる方法が知られている。この方法では、蛍光性イオノフォアにより、目的とする金属イオンをトラップし、それによって生じる蛍光の変化を測定することにより目的とする金属イオンを定量するものである。
しかしながら、特定の金属に対して高い選択性を有するイオノフォアは少ないので、複数の金属イオンに対してそれぞれ高選択性を有する複数のイオノフォアを用いて複数の金属イオンを同時に定量することは困難である。かといって、従来の方法において、中程度の選択性を有するイオノフォアを用いて金属イオンの定量を行うと、1つのイオノフォアにトラップされる金属イオン種が複数存在するため、各金属イオンの定量を正確に行うことはできない。
本発明の目的は、測定すべき化学物質が複数存在することに起因して及び/又は測定すべき化学物質の検量線の傾きが0に近くなることに起因して、従来の検量線を用いた方法では測定することが困難な場合であっても、複数の化学物質の濃度を同時に測定することができる、複数の化学物質の濃度の測定方法を提供することである。また、本発明の目的は、中程度の選択性を有するイオノフォアを用いた場合であっても、複数のイオン種の濃度を正確に測定することができる、複数のイオン種の濃度の測定方法及びそのためのセンサーを提供することである。
本願発明者らは、鋭意研究の結果、測定すべき複数の化学物質濃度とそれに対応する出力を、複数の濃度においてそれぞれ測定し、これをフィードフォワードの階層型ニューラルネットワークに学習させ、次いでネットワークインバージョンにより、測定された出力を出すと予測される数値の集合である解候補を求め、測定すべき複数の化学物質濃度の解候補が重複する数値を求めることにより、複数の化学物質の濃度を同時に測定することができることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、測定すべき複数の化学物質濃度に対応した出力が測定可能な系において、既知濃度の前記複数の化学物質に対応する出力を、複数の濃度においてそれぞれ測定する工程と、その結果をバックプロパゲーション法で学習させる工程と、被検試料について出力を測定する工程と、次いでネットワークインバージョンにより、測定された出力を出すと予測される数値の集合である解候補を求める工程と、測定すべき複数の化学物質濃度の解候補が重複する各数値を該複数の化学物質濃度として求めることを含む、複数の化学物質濃度の測定方法を提供する。
また、本願発明者らは、鋭意研究の結果、測定すべき複数のイオン種濃度とそれに対応する出力を、複数の濃度においてそれぞれ測定し、これをフィードフォワードの階層型ニューラルネットワークに学習させ、次いでネットワークインバージョンにより、測定された出力を出すと予測される数値の集合である解候補を求め、測定すべき複数のイオン種濃度の解候補が重複する数値を求めることにより、複数のイオン種の濃度を同時に測定することができることを見出し、本発明を完成した。
すなわちまた、本発明は、測定すべき複数のイオンの少なくともいずれかをトラップし得るトラッピング構造部分と、該トラッピング構造部分に結合され、イオンが該トラッピング構造部分にトラップされることによりシグナルを出力する出力構造部分とを少なくとも含む複数のイオノフォアを、既知濃度の測定すべき複数のイオンと接触させ、出力を測定する工程と、その結果をバックプロパゲーション法で学習させる工程と、被検試料について出力を測定する工程と、次いでネットワークインバージョンにより、測定された出力を出すと予測される数値の集合である解候補を求める工程と、測定すべき複数の化学物質濃度の解候補が重複する各数値を該複数の化学物質濃度として求めることを含む、複数のイオン種の濃度の測定方法を提供する。
さらに、本発明は、上記本発明の方法に用いられる上記複数のイオノフォアが単一の膜に固定化されて成る膜センサーを提供する。
本発明により、従来の方法では困難であった、複数の化学物質の濃度の同時測定が可能になった。従って、本発明は、化学分析の分野を始め、濃度測定が必要とする広範囲の分野において大いに貢献するものと考えられる。
また、本発明により、中程度の選択性を有するイオノフォアを用いた場合であっても、複数のイオン種の濃度を正確に測定することができる、複数のイオン種の濃度の測定方法が提供された。さらに、本発明により、複数のイオノフォアが固定化され、上記本発明の方法に利用可能な膜センサーが提供された。本発明により、重金属イオン等のイオンを簡便に定量することができる。
本発明の方法により濃度が測定される化学物質は、何ら限定されるものではなく、その濃度に対応した出力が測定可能ないずれの化学物質であってもよい。例えば、下記実施例では、重金属イオンの濃度を測定しているが、他の化学物質の濃度測定にも適用できることは言うまでもない。また、化学物質は、液相中に含まれるものに限定されるものではなく、気相中や固相中に含まれるもの、また、生物体に含まれるもの等であってもよい。
測定すべき複数の化学物質の濃度に対応する、測定可能な出力は、特に限定されるものではなく、例えば溶液の吸光度、濁度、光透過率、電気伝導度、電流、電圧、蛍光強度、放射能、旋光度等の種々の物理量を例示することができる。
上記出力は、化学物質の濃度に応じて直接的に変化するものであってもよい(例えば、測定すべき化学物質が色素である場合の吸光度、測定すべき化学物質がイオンである場合の電気伝導度、測定すべき化学物質が旋光性物質である場合の旋光度等)し、測定すべき化学物質を指示薬やプローブと反応させ、その反応物の濃度に依存して変化するものであってもよい(例えば、測定すべき化学物質と結合することにより発色又は色が変化する指示薬と反応させた後の吸光度、蛍光標識したプローブと結合させた後の蛍光強度等)。
測定する出力の種類の数は、特に限定されないが、あまりに少ないと、各化学物質の濃度を正確に測定することが難しくなり、また、あまりに多いと処理が複雑になるので、測定対象となる化学物質の種類と同数の種類の出力を測定することが好ましい。例えば、下記実施例では、3種類の重金属イオンの濃度を測定しているが、測定した出力は、3つの異なる波長における吸光度である。この場合、各化学物質の濃度の与える影響が、他の化学物質の濃度の与える影響よりも大きくなると思われる種類の出力を各化学物質についてそれぞれ選択することが好ましい。もっとも、そのような出力の種類を予想することが困難な場合であっても、任意に選択した種類の出力と濃度の関係を後述のようにバックプロパゲーション法で学習させることにより、相当正確な濃度測定が可能になる。
本発明の方法の第1工程では、各化学物質の濃度が既知の場合の、各出力の値を、各化学物質の濃度を種々変えて測定する。
次に、測定された各出力の値と、各化学物質の濃度を、コンピューターを用いてバックプロパゲーション法(逆誤差伝搬法(back propagation)、以下、「BP」と言うことがある)で学習させる。BPは、階層型ニューラルネットワークの学習法の一つで周知のアルゴリズムである。BPは、例えば、「基礎と実践 ニューラルネットワーク」、コロナ社、臼井 支朗、岩田 彰など、「ニューロコンピューティング入門」、森北出版、坂和 正敏、田中 雅博及び「ニューロ・ファジィ・遺伝的アルゴリズム」、産業図書、萩原 将文等の教科書的な書物に解説されている、当業者にとって周知の基本的なアルゴリズムであり、下記実施例にもプログラムの具体例が記載されている。
次に、被検試料について出力を測定する。次いでコンピューターを用い、ネットワークインバージョンにより、測定された、被検試料からの出力を出すと予測される数値の集合である解候補を求める。ネットワークインバージョンもニューラルネットワークの1種のアルゴリズムであり、上記の書物に記載されている周知のものである。また、下記実施例にもプログラムの具体例が記載されている。
次に、測定すべき複数の化学物質濃度の解候補が重複する数値を求める。求めた各数値が、求める各化学物質の濃度である。なお、解候補が重複する数値は一点に定まらず、ある程度の範囲をもった数値範囲となることもあるが、それでも各化学物質の濃度は、この数値範囲の中に存在するので、相当正確な濃度測定が可能になる。なお、解候補が重複する数値が数値範囲となった場合には、近似的に、その中心を測定値としてもよい。
一方、本発明の複数のイオン種の濃度の測定方法に用いられるイオノフォアは、測定すべき複数のイオンの少なくともいずれかをトラップし得るトラッピング構造部分と、該トラッピング構造部分に結合され、イオンがトラッピング構造部分にトラップされることによりシグナルを出力する出力構造部分とを少なくとも含む。
イオンをトラップし得るトラッピング構造部分は、測定すべきイオン種をトラップすることができる構造であればいかなる構造でもよい。好ましい例として、イオンを包接するヘテロ分子構造を挙げることができる。ここで、「ヘテロ分子構造」とは、炭素原子の以外に酸素、窒素、イオウ又はリン原子等の電子供与性のヘテロ原子を含む構造を意味する。ヘテロ分子構造は環状構造であっても非環状構造であってもよい。環状構造の好ましい例として、クラウンエーテル及びヘテロクラウンエーテルを挙げることができ、特にヘテロクラウンエーテルが好ましい。ここで、ヘテロクラウンエーテルとは、クラウンエーテル中の複数の酸素原子の少なくとも1個が窒素原子やイオウ原子等の他の電子供与性の原子に置き換わったものを意味する。クラウンエーテル及びヘテロクラウンエーテルのサイズは特に限定されず、測定すべきイオン種に応じて適宜選択できるが、通常、12員〜24員程度が適当であり、好ましくは15員〜18員である。ただし、これらに限定されるものではなく、後述する式[A]で示されるものでは3員ないし63員が可能である。なお、トラップされるイオン種は、特に限定されず、各種金属イオンやアンモニウムイオン、有機イオン等であり、好ましくは金属イオン、特に重金属イオンである。
好ましいクラウンエーテル又はヘテロクラウンエーテルの例として、下記一般式[A]で示すものを挙げることができる。
Figure 0004128143
(ただし、X、Y及びZは互いに独立に酸素、窒素、イオウ又はリン原子を表し、複数のYが含まれる場合には、各Yは同一であっても異なっていてもよく、複数のZが含まれる場合には、各Zは同一であっても異なっていてもよく、n及びmは互いに独立に0ないし10の整数を示す。)
上記一般式[A]で表されるヘテロクラウンエーテルの好ましい例として下記式[I]又は[II]で表されるものを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
Figure 0004128143
Figure 0004128143
なお、本発明の方法には複数のイオノフォアが用いられるが、各イオノフォア中のトラッピング構造部分のイオン種に対する選択性が異なっていることが好ましい。従って、通常、異なるイオン種のサイズは同一ではないので、各イオノフォア中の環状構造のサイズはそれぞれ異なっていることが好ましい。
上記トラッピング構造部分には、イオンが該トラッピング構造部分にトラップされることによりシグナルを出力する出力構造部分が結合されている。出力構造部分は、測定可能ないずれかのシグナルを発することができる構造であればいかなる構造のものでもよく、また、シグナルの種類も限定されない。好ましい出力構造部分の例として、蛍光性原子団、吸光性原子団や発色性原子団を挙げることができ、蛍光性原子団が特に好ましい。
一般に、蛍光性原子団がトラッピング構造部分に結合されている場合、トラッピング構造部分にイオンが結合することにより、蛍光強度等の蛍光特性が変化するので、公知の種々の蛍光性原子団を採用することができる。例えば、ローダミン、フルオレセイン、ナフタレン、アントラセン、ピレン、クマリン、キノリン、スチルベン、ベンゾチオゾール及びピラゾリン等並びにこれらの基本骨格を有する誘導体を挙げることができるが、本発明において採用される蛍光性原子団はこれらに限定されるものではない。
蛍光性原子団の好ましい例として、下記式[III]ないし[VI]に示される基を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
Figure 0004128143
Figure 0004128143
Figure 0004128143
Figure 0004128143
各イオノフォアに含まれる蛍光性原子団は、同一の励起波長で励起可能で異なる最大蛍光波長を有するものであることが好ましい。同一の励起波長で励起可能であれば、測定時の操作が簡便になり好ましい。また、最大蛍光波長が異なっている方が、後述するニューラルネットワークを用いた処理によってより正確な測定結果が得られ易くなる。もっとも、本発明の方法は、同一波長で励起する場合に限定されるものではなく、異なる波長で励起する場合も包含される。
本発明の方法に用いるイオノフォアの種類の数は、特に限定されないが、測定すべきイオン種の数に比べて余りに少ないと正確な測定が困難となり、また、余りに多いと後述するコンピューターによる処理が複雑になるので、測定すべきイオン種の数と同数であることが好ましいが、それ未満であってもよい。この場合、各イオノフォアに対して最も親和性の高いイオンがそれぞれ異なるようなイオノフォアの組合せを採用することが好ましい。
本発明の方法は、各イオノフォアを溶液の状態で用いて行うことも可能であるが、各イオノフォアを単一の膜に固定化して用いるようにすると、取り扱いが簡便で、水系での利用も容易になるので好ましい。膜には、上記トラッピング構造部分又は出力構造部分を直接結合してもよいが、スペーサー構造を介して膜に固定化することが好ましい(膜に複数のイオノフォアが固定化されたものを本明細書において「膜センサー」と呼ぶことがある)。スペーサー構造は、トラッピング構造部分又は出力構造部分のいずれに結合してもよい。スペーサー構造は、何ら限定されるものではなく、例えば、炭素数3〜20程度、好ましくは4〜8程度のアルキル基や、膜への結合を容易にするために、このアルキル基の末端に二重結合を導入したアルケニル基、このアルキル基の末端にカルボキシル基、アミノ基又はハロゲン等を結合したカルボキシアルキル基、アミノアルキル基及びハロアルキル基等を例示することができる。特に、スペーサーの末端に二重結合を有するアルケニル基を有するイオノフォアは、ビニル系モノマーを重合して膜を形成する際にこれと共重合させて膜に共有結合することができるので好ましい。
好ましいイオノフォアの具体例として、下記に示す構造を有するKM-F001、KM-F003、KM-F002及びKM-F004を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
Figure 0004128143
Figure 0004128143
Figure 0004128143
Figure 0004128143
膜に結合するイオノフォアの量は、特に限定されるものではなく、被検試料中の測定対象となるイオン種の予想される濃度に応じて、ルーチンな実験に基づき適宜設定することができるが、通常、膜の重量に対して0.1%〜10%程度が適当であり、好ましくは0.5%〜5%程度である。
本発明の方法に用いられるイオノフォアは、トラッピング構造部分及び出力構造部分並びに膜に固定化する場合のスペーサー構造として、それぞれ周知の構造を用いることができ、また、市販品を利用することもでき、これらを結合するだけで得られるので、常法により容易に製造することができる。
本発明の方法の第1工程では、複数のイオノフォアを、既知濃度の測定すべき複数のイオンと接触させ、各イオノフォアからの出力の値を、各イオン種の濃度を種々変えて測定する。測定対象としては、例えば出力構造部分が蛍光性原子団の場合には、所定の励起波長で励起した場合の蛍光スペクトル等である。蛍光スペクトルから、ピークの波長や変曲点の波長から複数の波長(スペクトルの代表点)を選択し、その波長における蛍光強度を第1工程における出力として後述のニューラルネットワーク処理に用いる。
なお、第1工程に用いるイオノフォアの終濃度は、特に限定されるものではなく、被検試料中の測定対象となるイオン種の予想される濃度に応じて、ルーチンな実験に基づき適宜設定することができるが、各イオノフォアについて、通常、10-3〜10-7 mol/l、好ましくは10-4〜10-6 mol/l程度である。上記した膜センサーを用いる場合には、膜センサーに結合されているイオノフォアの量及び被検試料の量からイオノフォアの終濃度を計算する。他の反応条件は、各イオン種とイオノフォアの性質に応じて適宜設定できるが、通常、反応温度は室温でよく、反応時間は1分間ないし1時間程度でよい。
次に、測定された各出力の値と、各化学物質の濃度を、コンピューターを用いてBPで学習させる。BPは、上記した通り、階層型ニューラルネットワークの学習法の一つで周知のアルゴリズムであり、上記した教科書的な書物に解説されている、当業者にとって周知の基本的なアルゴリズムであり、下記実施例にもプログラムの具体例が記載されている。
次に、被検試料について出力を測定する。次いでコンピューターを用い、ネットワークインバージョンにより、測定された、被検試料からの出力を出すと予測される数値の集合である解候補を求める。上記の通り、ネットワークインバージョンもニューラルネットワークの1種のアルゴリズムであり、上記の書物に記載されている周知のものである。また、下記実施例にもプログラムの具体例が記載されている。
次に、測定すべき複数のイオン種濃度の解候補が重複する数値を求める。求めた各数値が、求める各イオン種の濃度である。なお、解候補が重複する数値は一点に定まらず、ある程度の範囲をもった数値範囲となることもあるが、それでも各イオン種の濃度は、この数値範囲の中に存在するので、相当正確な濃度測定が可能になる。なお、解候補が重複する数値が数値範囲となった場合には、近似的に、その中心を測定値としてもよい。
実施例
以下、本発明を実施例に基づきより具体的に説明する。
実施例1 溶液中のZn2+、Cd2+及びHg2+の濃度の測定
(1) イオン標準溶液の調製
酢酸亜鉛二水和物、酢酸カドミウム二水和物及び酢酸水銀のそれぞれについて、下記表1に示す濃度の水溶液を調製した。簡便のため、以下の説明では、各濃度を略号で示すことがある。この略号も表1に併せて示す。
Figure 0004128143
なお、以下の説明において、各イオン標準溶液を表す場合、そのイオンの金属の元素記号の後に、そのイオン標準溶液の濃度の略号を付して示すことがある。例えば、濃度1.00 x 10-4 mol/lの水銀イオン標準溶液を「Hg6」、濃度1.60 x 10-5 mol/lの亜鉛イオン標準溶液を「Zn4」のように表すことがある。また、3種類のイオン標準溶液の混合物を、例えば「Zn1Cd1Hg3」のように表すことがある。
上記各イオン水溶液は具体的には次のようにして調製した。始めに酢酸亜鉛及び酢酸カドミウムについて、緩衝溶液で最も濃い濃度の標準溶液(Zn6、Cd6の20倍の濃度の溶液)を100 mlメスフラスコで調製し、その溶液をホールピペットで40 ml計り取り100 mlメスフラスコでメスアップをおこなった。これによりZn5、Cd5のそれぞれの溶液を調製した。この希釈操作を繰り返し、酢酸亜鉛溶液、酢酸カドミウム溶液の標準溶液を調製した。一方、酢酸水銀溶液については、Hg6の8倍の濃度の溶液を200 mlメスフラスコを用い調製し、希釈の際は80 mlをホールピペットで計量することにより溶液調製を行った。上記の操作により、イオン標準溶液を、イオン3種類についてそれぞれ6種類、合計18種類のイオン標準溶液を調製した。
(2) イオンサンプルの調製
(1)で調製したイオン標準溶液を、酢酸亜鉛溶液と酢酸カドミウム溶液については1 mlホールピペットで計り取り、酢酸水銀溶液については2.5 mlホールピペットで計り取り、25 mlメスフラスコで調製した。3種類のイオン標準溶液の組合せにより、6 x 6 x 6 = 216種類の混合イオン溶液、及び各イオンを単独で含む、6 + 6 + 6 = 18種類のイオン溶液を調製した。
(3) 測定用サンプルの調製
金属イオンとキレート結合して発色又は変色する指示薬色素として、メチルチモールブルー(以下、「MTB」)、ムレキシドアンモニウム塩(以下、「MAS」)及び4,7-ジヒドロキシ-1,10-フェナントロリンナトリウム塩(以下、「DHP」)を用いた。これらの色素の1種類を単独に含む各色素溶液中の色素の濃度は、MTBが1.20 x 10-4 mol/l、MASが1.51 x 10-4 mol/l、DHPが3.78 x 10-5 mol/lであった。
(2)で調製した各イオンサンプル135 μlと、上記色素溶液135 μlとを混合し、室温で少なくとも20分間反応させた後、溶液の吸光度を測定した。
(4) 測定波長の選択
先ず、予備実験として、Zn1Cd1Hg3、Zn2Cd1Hg3、Zn3Cd1Hg3、Zn4Cd1Hg3、Zn5Cd1Hg3及びZn6Cd1Hg3の6種類のイオンサンプルについて、波長300 nm〜700 nmの領域で吸収スペクトルを測定した。結果を図1に示す。なお、図1中、波長600 nmにおけるピークの低い方から順に、Zn1Cd1Hg3、Zn2Cd1Hg3、Zn3Cd1Hg3、Zn4Cd1Hg3、Zn5Cd1Hg3、Zn6Cd1Hg3の結果を示す。今後の実験における測定波長(スペクトルの代表点)として、ピークが存在する440 nm(以下、この波長を「wl0」)、変曲点が存在する555 nm(以下、この波長を「wl1」)、ピークが存在する600 nm(以下、この波長を「wl2」)の3つの波長を選択した。
(5) BPによる学習
(2)に記載した合計234種類のイオンサンプル及びイオンフリーのもの(イオンを含まないそれぞれの1種類の色素を含む溶液)について、波長wl0、wl1及びwl2における吸光度を測定した。測定結果を、BPに学習させた。なお、この際、イオン濃度(x)はそのまま用いるのではなく、下記式(1)により計算される、正規化後の値yを用いた。
Figure 0004128143
式(1)に従って正規化した後の各濃度の値は、下記表2に示す通りである。
Figure 0004128143
BPを用いて、上記正規化後のイオン濃度xから吸光度yという関係を学習させた。この入出力関係をfとし、
y = f(x)
と表すこととする。学習に用いた学習データは下記表3に示す通りである。
Figure 0004128143
また、学習に用いたBPのパラメータを下記表4に示す。
Figure 0004128143
ただし、学習回数t回目の学習係数εiは、下記式(2)で求めた。
Figure 0004128143
なお、C言語で記述したBPのプログラムを図2ないし図6に示す。BPは、このプログラムをUnix(登録商標)系のコンピューターで実行させた。
(6) ネットワークインバージョン
次に、ネットワークインバージョンを用いて、実験結果である吸光度y*を出力する入力x*を予測する。このアルゴリズムは次のように表される。
(i) 初期化
ランダムなxoldを初期入力とする。
(ii) 繰り返し
以下のことを繰り返す。
(a) 既学習のBPを用いてy=f(xold)を求める。
(b) 下記式(3)からEを求める。
Figure 0004128143
(c) 下記式(4)により新しいxを求める。
Figure 0004128143
(d) 一定回数ならば、xold = xnewとして、(a)に戻る。
以上の(a)〜(d)を、様々な初期入力xを用いて繰り返すことにより、y*を出力する矛盾しない解集合x*を求めることができる。しかしながら、1つの色素からの結果だけでは、濃度が一意に定まらない場合が多い。そこで、各色素からの解集合を重ね合わせることにより、解候補となるイオン濃度を絞り込んでいくことが可能である。本実施例では、正規化後の距離が0.0003以下の時に重なっているとみなして、解候補とした。
なお、本実施例で用いた、C言語で記述したネットワークインバージョンのプログラムを図7ないし図10に示す。BPは、このプログラムをUnix(登録商標)系のコンピューターで実行させた。
(7) インバージョンの結果
(6)に記載したネットワークインバージョンにより、Zn3Cd4Hg3のイオンサンプルを便宜的に被検試料とした場合の、各色素においてその吸光度を出力すると予測される入力濃度集合を求めた。
結果を図11に示す。なお、図11中の各数値は、正規化後の濃度を示す。
図11に示される各色素の入力濃度集合が重複する部分を求めると、図12のX印で示される、ほぼ1箇所に集約されている。従って、それらの点の中心を求め、測定結果とした。結果を表5に示す。
Figure 0004128143
以上のように、各色素単独の場合の解候補は一点に集約されないが、3つの色素の解候補集合の重複部分はほぼ1点に集約され、3種類のイオンの濃度が小さな誤差範囲内で測定できることがわかる。
参考例1 蛍光性イオノフォアKM-002及びKM-003の製造
上記した蛍光性イオノフォアKM-002及びKM-003の製造は、それぞれ市販のヘテロクラウンエーテル、蛍光原子団、アルケニル化合物を製造した。用いた市販品を以下に示す(化合物名の後に販売会社とカタログ番号を示す)。
(1) アルケニルに関して
5-ヘキセン-1-オール TCI社 FIC01
パラ-トルエンスフホニルクロライド Wako社 204-05722
(2) ヘテロクラウンエーテルに関して
4,13-ヂアザ-18-クラウン-6-エーテル TCI-EP社 D2323
Kryptofix 21 Merck-schuchardt社 811720
(3) アントラセン色素に関して
9-クロロメチルアントラセン TCI社 C1046
(4) ナフチルイミド色素に関して
4-ブロモ-1.8-ナフタリック無水和物 TCI社 B0858
メチルアミン 40%水溶液 TCI社 M0137
上記各市販品を用い、下記スキームに従って、常法によりKM-F002及びKM-F003を製造した。
Figure 0004128143
Figure 0004128143
Figure 0004128143
実施例2 溶液中のZn2+、Cd2+の濃度の測定
(1) イオン標準溶液の調製
硝酸亜鉛六水和物及び硝酸カドミウム四水和物のそれぞれについて、下記表に示す濃度のアセトニトリル溶液を調製した。簡便のため、以下の説明では、各濃度を略号で示すことがある。この略号も表6に併せて示す。
Figure 0004128143
なお、以下の説明において、各イオン標準溶液を表す場合、そのイオンの金属の元素記号の後に、そのイオン標準溶液の濃度の略号を付して示すことがある。例えば、濃度3.20 x 10-5 mol/lの亜鉛イオン標準溶液を「Zn6」、濃度1.15 x 10-5 mol/lのカドミウムイオン標準溶液を「Cd4」のように表すことがある。また、2種類のイオン標準溶液の混合物を、例えば「Zn3Cd4」のように表すことがある。
上記各イオンアセトニトリル溶液は具体的には次のようにして調製した。
(i)先ず、Zn6、Cd6の50倍の濃度の溶液を50mlメスフラスコで調製した。
(ii) (i)の溶液をホールピペットで10ml計り取り、50mlメスフラスコで希釈した(Zn6、Cd6)。
(iii) (ii)の溶液を15mlホールピペットで2回で30ml計り取り、50mlメスフラスコで希釈した(Zn5、Cd5)。
(iv) (iii)を繰り返し、Zn1、Cd1まで調製した。
(2) イオンサンプルの調製
(i) (1)で調製したイオン標準溶液を、Zn、Cdそれぞれ2.0 mlホールピペットで計量し、10mlメスフラスコで希釈した。
(ii) (i)の作業をZn 6種類、Cd 6種類の組合せで行い、合計36種類の溶液を調製した。
(3) 測定用サンプルの調製
(i) イオノフォアとしては、上記したKM-F002及びKM-F003を用いた。4.00 x 10-5 mol/lのKM-F002及び3.96 x 10-5 mol/lのKM-F003のアセトニトリル溶液を調製した。
なお、KM-F002及びKM-F003は、アセトニトリル溶液(濃度1.0 x 10-5 M)中で吸光度測定を行ったところ(図13)、共に390 nm付近で励起可能であることがわかった。また、蛍光光度測定をしたところ、最大蛍光波長はKM-F002では413 nm、KM-F003では517 nmとなり、重なることはなかった。
(ii) (2)で調製したイオンサンプルと、(3)(i)で調製したイオノフォア溶液を各1mlずつ混合し、測定用サンプルとした。また、イオンフリーのもの(イオンを含まないKM-F002及びKM-F003を含むアセトニトリル溶液)も調製した。従って、測定用サンプルは、Zn1〜Zn6とCd1〜Cd6の合計6 x 6 = 36点、及びイオンフリー1点の合計37点を下記のニューラルネットワークの学習に用いた。
(4) 測定波長の選択
先ず、全ての測定用サンプル及びいずれか一方のイオン濃度を0にしたサンプルについて、波長400 nm〜650nmの領域で蛍光スペクトルを測定した。代表例としてZn1でCd濃度を変えた場合と、Cd6でZn濃度を変えた場合とをそれぞれ図14及び図15に示す。なお、図14及び図15中、波長420 nmにおけるピークの高い方から高濃度のイオン溶液の結果を示す。ピーク又は変曲点の存在する波長から、今後の実験における測定波長(スペクトルの代表点)として、波長480nm未満から2点(代表点1(422nm)、代表点3(440nm)、波長480nm以上から2点(代表点2(517nm)、代表点4(530nm))を選んだ。
(5) BPによる学習
上記合計37種類のイオンサンプルについて、代表点1〜4における蛍光強度を読み取り、結果を、BPに学習させた。なお、この際、イオン濃度(x)はそのまま用いるのではなく、下記式(5)により計算される、正規化後の値yを用いた。
Figure 0004128143
式(1)に従って正規化した後の各濃度の値は、下記表7に示す通りである。
Figure 0004128143
BPを用いて、上記正規化後のイオン濃度xから蛍光強度yという関係を学習させた。この入出力関係をfとし、
y = f(x)
と表すこととする。学習に用いた学習データは下記表8及び表9に示す通りである。これらのセットを学習に用いた。
Figure 0004128143
Figure 0004128143
また、学習に用いたBPのパラメータを下記表10に示す。
Figure 0004128143
ただし、学習回数t回目の学習係数εiは、下記式(6)で求めた。
Figure 0004128143
なお、C言語で記述したBPのプログラムを図16ないし図19に示す。BPは、このプログラムをUnix(登録商標)系のコンピューターで実行させた。
(6) ネットワークインバージョン
次に、ネットワークインバージョンを用いて、実験結果である蛍光強度y*を出力する入力x*を予測する。このアルゴリズムは次のように表される。
(i) 初期化
ランダムなxoldを初期入力とする。
(ii) 繰り返し
以下のことを繰り返す。
(a) 既学習のBPを用いてy=f(xold)を求める。
(b) 下記式(7)からEを求める。
Figure 0004128143
(c) 下記式(8)により新しいxを求める。
Figure 0004128143
(d) 一定回数ならば、xold = xnewとして、(a)に戻る。
以上の(a)〜(d)を、様々な初期入力xを用いて繰り返すことにより、y*を出力する矛盾しない解集合x*を求めることができる。しかしながら、1つの色素からの結果だけでは、濃度が一意に定まらない場合が多い。そこで、各色素からの解集合を重ね合わせることにより、解候補となるイオン濃度を絞り込んでいくことが可能である。本実施例では、正規化後の距離が0.0003以下の時に重なっているとみなして、解候補とした。また、スペクトルの代表点は、学習データの中で最大値が0.9、最小値が0.1となるよう線形に下記式に基づき正規化を行った。
(スペクトルの値−最小値)/(最大値−最小値)x 0.8 + 0.1
なお、本実施例で用いた、C言語で記述したネットワークインバージョンのプログラムを図20ないし図23に示す。BPは、このプログラムをUnix(登録商標)系のコンピューターで実行させた。
(7) インバージョンの結果
(6)に記載したネットワークインバージョンにより、Zn2Cd2のイオンサンプルを便宜的に被検試料とした場合の、各色素においてその蛍光強度を出力すると予測される入力濃度集合を求めた。
結果を図24に示す。なお、図24中の各数値は、正規化後の濃度を示す。
図24に示される各色素の入力濃度集合が重複する部分を求めると、狭い範囲に集約されている。従って、それらの点の中心を求め、測定結果とした。結果を表11に示す。
Figure 0004128143
以上のように、各イオノフォア単独の場合の解候補は一点に集約されないが、2つのイオノフォアの解候補集合の重複部分は狭い範囲に集約され、2種類のイオンの濃度が小さな誤差範囲内で測定できることがわかる。
実施例3 膜センサーの作製及び性能
(1) 膜センサーの作製
KM-F002及びKM-F003をアクリル系樹脂から成る膜に固定化するために、下記表12に示す組成物を調製した。
Figure 0004128143
PEDMA:ポリエチレングリコールジメタクリレート(n=9)
HEMA: 2-ヒドロキシエチルメタクリレート
BME: ベンゾイソメチルエーテル
表12に示す組成を有する膜溶液を薄膜状態にし、紫外線を当てて光共重合させた。この方法を図25に基づき説明する。膜溶液をシラン化したガラス10に数滴滴下し、その上にシラン化した石英ガラス12を置いた。ガラス板10と石英ガラス板12の間隔は、カバーガラス14を挿入して約0.18 mmとした。次いで、この全体を透明な無菌パックに入れ、窒素の注入、排気を5回繰り返し、窒素置換を行った。窒素置換した無菌パック上から紫外線ランプ16を3時間照射して膜化した。この紫外線ランプの紫外線強度は、15cmの距離に置いて1600μW/cm2であった。光共重合を行う際、石英ガラス板12側から紫外線が当たるようにし、試料とランプの間隔は約10cmとした。重合反応終了後、水及びアセトニトリルに浸し、ガラス板10から膜を剥離した。
(2) 膜センサーの性能
(1)で作製した膜センサーによるイオン応答を次のようにして測定した。硝酸亜鉛六水和物又は硝酸カドミウム四水和物のアセトニトリル溶液を調製した。濃度は、それぞれ1 x 10-3、1 x 10-4、1 x 10-5 mol/lであった。各イオン溶液に上記膜センサーを浸し、日立分光光度計F-4500においてフローセルを用い、測定溶液をインジェクションした後、720秒〜750秒後の蛍光強度を測定し、平均値に基づいて検量線を作成した。フローセルの模式図を図26に示す。図26中、18はフローセル、20は励起光、22は蛍光、24は膜センサー、26は石英ウィンドウ、28はOリングを示す。また、得られた検量線を図27及び図28に示す。
図27及び図28に示されるように、得られた検量線では、亜鉛イオン及びカドミウムイオンのそれぞれに対して、濃度依存的に蛍光強度が変化しているので、膜センサーとして利用可能であり、実施例1と同様なニューラルネットワーク処理を行うことによりこれらのイオン濃度の測定に利用可能である。
図1は、本発明の実施例において測定した、6種類のイオンサンプルの波長300 nm〜700 nmの領域における吸収スペクトル及びスペクトルの3つの代表点を示す図である。 図2は、本発明の実施例に用いた、C言語で記述したBPのプログラムを示す図である。 図3は、図2の続きを示す図である。 図4は、図3の続きを示す図である。 図5は、図4の続きを示す図である。 図6は、図5の続きを示す図である。 図7は、本発明の実施例に用いた、C言語で記述したネットワークインバージョンのプログラムを示す図である。 図8は、図7の続きを示す図である。 図9は、図8の続きを示す図である。 図10は、図9の続きを示す図である。 図11は、本発明の実施例において、ネットワークインバージョンにより、Zn3Cd4Hg3のイオンサンプルを便宜的に測定対象とした場合の、各色素においてその吸光度を出力すると予測される入力濃度集合を示す図である。 図12は、図11に示す各色素の入力濃度集合が重複する部分を示す図である。 図13は、本発明の実施例において用いた、イオノフォアKM-F002及びKM-F003の吸光スペクトルを示す図である。 図14は、本発明の実施例において測定された、種々のイオン濃度の溶液の蛍光強度スペクトルを示す図である。 図15は、本発明の実施例において測定された、種々のイオン濃度の溶液の蛍光強度スペクトルを示す図である。 図16は、本発明の実施例に用いた、C言語で記述したバックプロパゲーション(BP)法のプログラムを示す図である。 図17は、図16の続きを示す図である。 図18は、図17の続きを示す図である。 図19は、図18の続きを示す図である。 図20は、本発明の実施例に用いた、C言語で記述したネットワークインバージョンのプログラムを示す図である。 図21は、図20の続きを示す図である。 図22は、図21の続きを示す図である。 図23は、図22の続きを示す図である。 図24は、本発明の実施例において、ネットワークインバージョンにより、Zn2Cd2のイオンサンプルを便宜的に測定対象とした場合の、各イオノフォアにおいてその蛍光強度を出力すると予測される入力濃度集合を示す図である。 図25は、本発明の実施例において行った、膜センサーの作製方法を説明するための模式図である。 図26は、本発明の実施例で用いたフローセルの模式図を示す。 図27は、本発明の実施例で作製した膜センサーによる、亜鉛イオン濃度と蛍光強度との関係を示す検量線である。 図28は、本発明の実施例で作製した膜センサーによる、カドミウムイオン濃度と蛍光強度との関係を示す検量線である。

Claims (23)

  1. 測定すべき複数の化学物質濃度に対応した出力が測定可能な系において、既知濃度の前記複数の化学物質に対応する出力を、複数の濃度においてそれぞれ測定する工程と、その結果をバックプロパゲーション法で学習させる工程と、被検試料について出力を測定する工程と、次いでネットワークインバージョンにより、測定された出力を出すと予測される数値の集合である解候補を求める工程と、測定すべき複数の化学物質濃度の解候補が重複する各数値を該複数の化学物質濃度として求めることを含む、複数の化学物質濃度の測定方法。
  2. 前記出力は、各化学物質の濃度に依存して変化する物理量である請求項1記載の方法。
  3. 前記物理量は、吸光度である請求項2記載の方法。
  4. 前記複数の化学物質は、それぞれ異なる色素を生じる指示薬と結合する性質を有し、測定すべき化学物質と指示薬とを反応させた反応液の吸光度を前記出力として測定する請求項3記載の方法。
  5. 前記出力は、測定すべき化学物質の種類と同数の複数種類の出力である請求項1ないし4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 前記出力は、異なる複数の波長における吸光度である請求項5記載の方法。
  7. 測定すべき複数のイオンの少なくともいずれかをトラップし得るトラッピング構造部分と、該トラッピング構造部分に結合され、イオンが該トラッピング構造部分にトラップされることによりシグナルを出力する出力構造部分とを少なくとも含む複数のイオノフォアを、既知濃度の測定すべき複数のイオンと接触させ、出力を測定する工程と、その結果をバックプロパゲーション法で学習させる工程と、被検試料について出力を測定する工程と、次いでネットワークインバージョンにより、測定された出力を出すと予測される数値の集合である解候補を求める工程と、測定すべき複数の化学物質濃度の解候補が重複する各数値を該複数の化学物質濃度として求めることを含む、複数のイオン種の濃度の測定方法。
  8. 前記出力構造部分が、吸光性原子団又は蛍光性原子団である請求項7記載の方法。
  9. 各イオノフォアの蛍光性原子団が、同一の励起波長で励起可能で異なる最大蛍光波長を有する請求項8記載の方法。
  10. 前記トラッピング構造部分が、イオンを包接するヘテロ分子構造を有する請求項7ないし9のいずれか1項に記載の方法。
  11. 前記トラッピング構造部分が環状構造を有する請求項10記載の方法。
  12. 前記環状構造がクラウンエーテル又はヘテロクラウンエーテルである請求項11記載の方法。
  13. 前記クラウンエーテル又はヘテロクラウンエーテルが15員環ないし18員環である請求項12記載の方法。
  14. 各イオノフォア中のクラウンエーテル又はヘテロクラウンエーテルのサイズが異なっている請求項12又は13記載の方法。
  15. 前記環状構造が下記一般式[A]で表される請求項11ないし13のいずれか1項に記載の方法。
    Figure 0004128143
    (ただし、X、Y及びZは互いに独立に酸素、窒素、イオウ又はリン原子を表し、複数のYが含まれる場合には、各Yは同一であっても異なっていてもよく、複数のZが含まれる場合には、各Zは同一であっても異なっていてもよく、n及びmは互いに独立に0ないし10の整数を示す。)
  16. 前記環状構造が、下記式[I]又は[II]で示される構造を有する請求項15記載の方法。
    Figure 0004128143
    Figure 0004128143
  17. 前記蛍光性原子団が、下記式[III]又は[IV]で表される基である請求項8ないし16のいずれか1項記載の方法。
    Figure 0004128143
    Figure 0004128143
  18. 前記イオノフォアの種類の数が、測定すべきイオン種の数と同数又はそれ未満である請求項7ないし16のいずれか1項に記載の方法。
  19. 測定すべきイオン種が、金属イオンである請求項7ないし18のいずれか1項に記載の方法。
  20. 前記複数のイオノフォアが、単一の膜に固定化されてなる膜センサーを用いて行われる請求項7ないし19のいずれか1項に記載の方法。
  21. 前記イオノフォアは、スペーサー構造を介して前記膜に固定化されている請求項20記載の方法。
  22. 測定すべき複数のイオンの少なくともいずれかをトラップし得るトラッピング構造部分と、該トラッピング構造部分に結合され、イオンが該トラッピング構造部分にトラップされることによりシグナルを出力する出力構造部分とを少なくとも含む複数のイオノフォアが単一の膜に固定化されて成る膜センサー。
  23. 前記イオノフォアは、前記環状構造に結合されたスペーサー構造を介して前記膜に固定化されている請求項22記載の膜センサー。
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