JP4127489B2 - 鼻腔用吸収性物品 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、鼻腔からの排泄液を吸収でき、特に鼻腔内に挿入しても呼吸が楽にできる鼻腔用吸収性物品に関する。
【0002】
【従来の技術】
鼻腔内からの排泄液を吸収し、または鼻腔内への花粉や粉塵などの空気中浮遊固形物の吸入を防止するために、鼻腔内に挿入して使用される栓型の鼻用フィルターがある。
【0003】
特開平11−342214号公報にはこの種の鼻用フィルターが開示されている。前記公報に開示された鼻用フィルターは、不織布が中空の略円錐形状に賦型されて形成された2つのフィルター本体と、アーチ状の連結部材とで構成されている。前記2つのフィルター本体のそれぞれの下縁部には前記連結部材の側縁部が接合されており、前記2つのフィルター本体は前記連結部材を介して連結されている。
【0004】
また前記公報には、不織布から形成された平面形状の基材の一部が略円錐形状に隆起して、中空部を有する2つのフィルター本体が形成された構造の鼻用フィルターが開示されている。
【0005】
これらの鼻用フィルターは、略円錐形状に形成された2つの前記フィルター本体が、略円錐形状に形成されたフィルター本体の頂部方向から左右それぞれの鼻腔に挿入されて使用される。空気中浮遊固形物は呼吸時に前記フィルター本体で濾過されるため、鼻腔内へ吸入されることを防止できる。このとき、前記フィルター本体は、頂部近傍を構成する部分の不織布の繊維密度が側壁を構成する部分の不織布の繊維密度よりも小さく構成されているため、前記フィルター本体が鼻腔内に挿入されて呼吸をするときに通気抵抗を少なくでき、呼吸時の息苦しさを少なくすることができる。
【0006】
また前記公報には、1つのフィルター本体と、このフィルター本体の下縁部に設けられた鉤状の固定手段とで構成された鼻用フィルターも開示されている。この鼻用フィルターは、前記フィルター本体を鼻腔内に挿入した後、前記固定手段を鼻の外面に引っ掛けることによって鼻腔に固定できるため、鼻腔内に安定してした状態で使用できるものである。
【0007】
さらに前記公報には、フィルター本体が液を吸収保持する機能を発揮する素材で形成された鼻用フィルター、およびフィルター本体が2枚重ねられ、この2つの鼻用フィルターの間にパルプなどにより形成された吸収体が挿入された構造の鼻用フィルターも開示されている。これらの鼻用フィルターは、空気中浮遊固形物が前記フィルター本体で濾過されることに加えて、鼻腔内から排泄される鼻汁などの分泌液を前記吸収体によって吸収することができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前記公報に開示された鼻用フィルターは、フィルター本体の頂部近傍を構成する不織布の繊維密度を小さくして通気性の向上を図ってはいるが、頂部近傍は開放されている構造ではない。そのため、前記フィルター本体を鼻腔内に挿入して呼吸をしたときに、前記フィルター本体の通気抵抗によって生じる息苦しさを完全に無くすことはできない。
【0009】
また、前記フィルター本体は開放されている構造ではないため、前記フィルター本体を鼻腔内に挿入したまま会話をすると、声質が変化して聞き取り難いものとなる。
【0010】
また前記鼻用フィルターは、空気中浮遊固形物が前記フィルター本体で濾過されて捕捉されるが、前記フィルター本体は不織布によって構成されているため、不織布の繊維間に形成された空隙によって形成されている孔が実質的に小さい。そのため空気中浮遊固形物は前記フィルター本体の内層奥部には入り込み難く、主に、前記フィルター本体の表面や、前記フィルター本体を構成する不織布の表面に近い浅い層内に捕捉される。したがって、前記フィルター本体が目詰まりし易く、使用後の短時間で呼吸時の息苦しさが増大し易い。
【0011】
また、フィルター本体が2枚重ねられ、この2つの鼻用フィルターの間にパルプなどにより形成された吸収体が挿入された構造の鼻用フィルターの場合も、分泌液が前記フィルター本体や、前記吸収体に吸収保持された場合に、前記フィルター本体や吸収体を構成する不織布やパルプなどの繊維間で前記排泄液が固化して、繊維間に形成されている空隙が塞がるため、使用後に息苦しさが増大し易い。
【0012】
また、前記フィルター本体の直径は使用者の鼻腔の直径に合わせて変化させることができないため、フィルター本体の直径と鼻腔の直径とが適切な関係にない場合には、フィルター本体がずれたり、違和感が大きすぎたりして、快適な使用感を得られない。
【0013】
さらに、フィルター本体が2つ設けられている構造の鼻用フィルターでは使用時に前記連結部や前記基材が外部から目立ち易く、鉤状の固定手段が設けられている鼻用フィルターでは使用時に前記固定手段が外部から目立ち易い。したがって、これらの鼻用フィルターは使用時の美観に劣るものであった。
【0014】
本発明は前記従来の課題を解決するものであり、空気中浮遊固形物や鼻腔内からの排泄液による目詰まりを起し難く、呼吸時の息苦しさを少なくして快適に使用できるとともに、使用時の美観に優れた鼻腔用吸収性物品を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明は、液を吸収保持する機能を発揮する本体を有し、前記本体が中空部を有する管状の状態で鼻腔に挿入されて使用される鼻腔用吸収性物品において、
前記中空部が呼気および吸気の通路として機能しており、
前記中空部の内側に、空気中浮遊固形物を濾過する機能を発揮する繊維が交絡して構成されたフィルター部が設けられ、
前記フィルター部を構成する素材が帯電していることを特徴とするものである。
【0016】
この吸収性物品では、液の吸収保持機能を発揮する本体を有しており、この本体が管状の状態で鼻腔に挿入されて使用されるものである。鼻腔から排泄される鼻汁などの分泌液は前記本体によって吸収され保持される。したがって、分泌液が鼻腔外へ流出するのを防止することができる。また前記効果に加えて、前記本体は鼻腔に挿入された時の状態が中空部を有する管状であるため、呼吸時の呼気および吸気は前記中空部を通過することが可能である。したがって、前記本体を鼻腔に挿入しても呼吸を妨げず、息苦しさが極めて少ない。前記鼻腔用吸収性物品は、前記本体が管状に形成された状態で使用者に供給されるものであっても良いが、前記本体がシート状で使用者に供給され、使用時に使用者がシート状の前記本体を巻き付けて管状に形成するものであっても良い。
【0019】
本発明では、前記フィルター部が繊維が交絡して形成されているので、空気中浮遊固形物を捕捉し易くなる。
【0021】
前記フィルター部を構成する素材が帯電しているので、前記フィルター部の空気中浮遊固形物の捕捉効果を大きくすることができる。
【0025】
また、前記本体には前記本体から伸び出る固定手段が設けられ、前記固定手段は表面に感圧接着剤層を有しており、前記本体が鼻腔内に挿入された状態で前記固定手段が鼻腔外に固定されるものとすることができる。このように前記本体には表面に感圧接着剤層を有する固定手段が設けられているので、鼻腔に挿入された前記本体のずれを防止することができる。さらに前記固定手段をフィルムで構成すると、前記固定手段が目立ち難く、美観を損わないものとすることができる。
また、前記固定手段の両側縁部に、一対の前記本体が設けられているものとして構成することができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の実施の形態である鼻腔用吸収性物品の第1の実施の形態の第1の例を示す斜視図、図2(A)(B)は、図1に示す鼻腔用吸収性物品の構造を説明するための斜視図である。
【0027】
図1に示す鼻腔用吸収性物品1は、主に鼻腔の内壁などから分泌される鼻汁などの分泌液を鼻腔の内部において吸収し、前記分泌液が鼻腔外に流出することを防止するために使用されるものである。さらには鼻腔内に入り込もうとする花粉や埃を吸着することも可能である。
【0028】
前記鼻腔用吸収性物品は、鼻腔に挿入され、液を吸収保持する機能を発揮する本体2と、前記本体2を鼻腔内に固定させて位置ずれを防止する機能を発揮する固定手段3とから構成される。
【0029】
前記本体2は上面2aおよび底面2bを有し、中空部2cを有する円筒形状に構成されている。前記中空部2cは一定の直径寸法を維持した状態で前記底面2bから前記上面2aに向って延びており、上端および下端は前記上面2aおよび底面2bにそれぞれ開口している。
【0030】
前記本体2の直径寸法D1は8〜15mmの範囲であることが好ましい。前記寸法D1が8mm未満であると本体2を鼻腔に挿入したときに位置ずれし易くなり、15mmよりも大きいと鼻腔に挿入し難く、また挿入した後にも違和感を与えるため、良好な装着感を得ることができない。
【0031】
前記本体2の高さ寸法L1は3〜40mmの範囲であることが好ましい。前記寸法L1が3mm未満であると前記分泌液の吸収保持量が少なくなり、40mmよりも大きいと良好な装着感を得ることができない。したがって、前記分泌液の吸収保持量を十分なものとするとともに装着感を損わないためには、前記寸法L1が5〜20mmの範囲であることがさらに好ましい。
【0032】
前記本体2の前記中空部2cの内径寸法D2は2mm以上であることが好ましい。後記するように、前記中空部2cは前記本体2を鼻腔に挿入した際に呼気および吸気の通路部として機能するが、前記中空部2cの直径が前記寸法以上とすると、本体2を鼻腔に挿入した際に、呼吸を妨げることとならず、快適に使用できる。
【0033】
前記本体2の外面2dには、鼻腔壁と前記外面2dとの位置ずれを防止するため、感圧粘着剤を塗付することができる。この感圧粘着剤は水溶性の材料を主成分として生成されたゲルを使用できる。例えば、ポリアクリル酸とポリアクリル酸ナトリウムとの共重合体、水酸化アルミニウム、酒石酸、グリセリンおよび水を混合して攪拌することによって製造されたものを使用することができる。また前記水溶性のゲルに代えて、非水溶性の材料を主成分として生成されたゲルを使用することもできる。例えば、スチレンとイソプレンとのブロック共重合体{…(スチレン重合体)−(イソプレン重合体)−(スチレン重合体)…の構造を持つ}にパラフィン油および粘着付与剤を加熱溶融して製造される材料を使用できる。
【0034】
この感圧粘着剤は、粘度を「Pa・s」の単位で表わしたときの数値の対数が4.0〜7.0の範囲内であることが好ましい。前記感圧粘着剤の粘度が前記範囲よりも小さいと前記本体2が位置ずれし易くなり、前記範囲より大きいと前記本体2の鼻腔内への挿入や取り外しが難しく、使用し難いものとなる。
【0035】
また前記構成に加えて、前記感圧粘着剤に保湿効果を付与するための成分を含有することもできる。このように構成すると前記本体2を鼻腔に挿入したときに、鼻腔内壁に与える違和感を少なくすることができる。
【0036】
また前記構成に代えて、前記外面2dにパラフィンオイル、エステル系オイル、シリコン系オイル、グリセリンなどの潤滑剤を塗付し、潤滑機能を付与することもできる。このように構成すると、前記本体2の挿入や取り外しを行ない易くできる。この場合、前記本体2が樹脂から構成されたものである場合には、樹脂を前記潤滑剤によって架橋することが好ましい。このように架橋すると、本体2の表面から前記潤滑剤が剥奪することを防止できる。
【0037】
さらに、前記本体2に界面活性剤を塗付しても良い。このように構成すると、分泌液を前記本体2に吸収し易くなる。ここで、界面活性剤の種類は特に限定されず、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤もしくは非イオン性界面活性剤のいずれを使用しても良い。
【0038】
前記固定手段3は、前記本体2の前記底面2bから延出するように設けられている。この固定手段3は一定の幅寸法を有する帯状であり、可撓性を有している。固定手段3の裏面(前記底面2b側)には感圧接着剤層が積層されており(図示せず)、さらに前記感圧接着剤層を覆うように離型シートが貼り付けられている(図示せず)。
【0039】
前記固定手段3の色は特に限定されるものではないが、無色透明または肌色であることが好ましい。後記するように、前記固定手段3は前記本体2を鼻腔に固定するために使用者の鼻の外面に貼付されるものであるが、固定手段3の色を前記のようにすると、外部から前記固定手段3が目立たず、装着時の美観を損うことがない。
【0040】
前記固定手段3の幅寸法W1は3〜8mmの範囲であることが好ましく、長さ寸法L2は5〜15mmの範囲であることが好ましい。前記幅寸法W1および前記長さ寸法L2がそれぞれ前記範囲未満であると固定力に欠け、前記範囲よりも大きいと使用者に違和感を与え、良好な着用感を得ることができない。
【0041】
前記固定手段3は透湿機能を発揮することが好ましく、透湿度は800から8000g/m2であることが好ましい。前記固定手段3が透湿機能を発揮するものとして構成すると、鼻に貼付した際にムレを防止することができる。ここで本明細者において「透湿機能」とは水蒸気を透過させる機能を意味するものである。
【0042】
また本明細書において「透湿度」とは、JIS L 1099に準じた以下に述べる方法によって測定した測定値を意味する。
【0043】
この測定方向は、まず、透湿カップを約40℃の温度に温める。この透湿カップは、上面に開口部を有し、側面および底面を有する円筒状の容器部と、この容器部の上縁部から前記容器部の半径方向外側に向って一定の幅寸法を有して円周方向に連続して設けられた耳部で構成されている。そして、前記耳部には後述するちょうナットが螺着できる複数の雌螺子部が形成されている。この透湿カップは、前記容器部の内径寸法が60mmであり、また前記耳部の縁部から対向する縁部までの直径が90mmである。また、前記底面の下面から前記耳部の上面までの高さ寸法h1は28mmであり、前記底面の上面から前記耳部の下面までの高さ寸法はh2は22mmである。
【0044】
次に、前記透湿カップの前記容器部内に、吸湿剤として塩化カルシウム約33グラムを入れ、前記透湿カップに振動を与えて均一に装填した後、前記塩化カルシウムの表面を平にならす。
【0045】
次に、前記固定手段3を直径約70mmの大きさに切断し、これを試験片とする。そして、この試験片を前記透湿カップの前記耳部の上部に設置する。この際、前記試験片の中心を前記透湿カップの中心に合わせるように設置する。また、装填された前記吸収剤の上面と前記試験片の下面との距離が3mmになるようにする。
【0046】
次に、パッキンを前記試料の上部に載置する。前記パッキンは、前記耳部と同一形状であり、中心領域に平面形状が円形の欠損部を有するいわゆるドーナツ形状に形成されている。また前記パッキンは前記耳部とほぼ同一の寸法に形成されている。したがって、前記欠損部の直径寸法は前記容器部の内径寸法とほぼ同じである。
【0047】
前記パッキンには、前記パッキンを前記耳部の上面にそれぞれの縁部を重ねた状態で載置したときに、前記耳部に形成された前記雌螺子部と相対する位置にこの雌螺子部の直径寸法とほぼ同一の直径寸法を有する穴部を有している。前記パッキンを前記試料の上から載置する際は、前記雌螺子部に前記パッキンの穴部がほぼ重なる位置関係で載置する。
【0048】
次に、座金として機能するリングを前記パッキンの上部に載置する。このリングは、前記パッキンと同一の形状で構成されており、前記パッキンと同様に複数の穴部が形成されている。また、前記パッキンと同一の寸法で形成されている。前記リングを前記パッキンの上部に載置する際には、前記リングに形成された穴部が、前記耳部に形成された前記雌螺子部および前記パッキンに形成された前記穴部に重なるように前記パッキンの上部に載置する。そして、前記雌螺子部、前記パッキンの穴部および前記リングの穴部をちょうナットで挿通し、ちょうナットを螺着することによって、前記試験片が前記耳部と前記パッキンとの間に固定される。この際、前記試験片は前記耳部の内側、すなわち前記容器部の上面と相対する領域が透湿領域を構成し、この透湿領域の上面が大気に露出しているとともに、下面が前記吸収剤に対向している。
【0049】
次に、前記耳部、前記試験片、前記パッキンおよび前記リングが固定された状態で、ぞれぞれの側面にビニールテープを貼着してシールする。このように、吸収材が装填されて記試験片が装着された状態の透湿カップを試験体とする。
【0050】
次に、前記試験体を、温度40±2℃、相対湿度90±5℃に調整された恒温・恒湿装置内に置く。この際、前記試験片の約1cm上部の位置における風速が0.8m/sを超えない位置に置く。
【0051】
そして、前記試験体を前記恒温・恒湿装置内に1時間放置した後、前記恒温・恒湿装置内から前記試験体を取り出し、直ちに前記試験体の質量を測定し、この質量をa1とする。
【0052】
前記質量a1を測定後、再び前記試験体を前記恒温・恒湿装置内に置く。この際、前記試験体を置く位置は、前記質量a1を測定する際に置いた位置と同じ位置に置く。
【0053】
そして、前記試験体を前記恒温・恒湿装置内に1時間放置した後、前記恒温・恒湿装置内から前記試験体を取り出し、直ちに前記試験体の質量を測定し、この質量をa2とする。
【0054】
次に、PA1=10×(a2−a1)/SA1の式によって算出した値PA1を透湿度とする。ここで、PA1は透湿度(g/m2・h)であり、(a2−a1)は前記試験体の1時間当りの質量の変化量(mg/h)であり、SA1は前記透湿領域の面積(cm2)を意味する。
【0055】
前記固定手段3の固着力は、1.0〜5.0Nであることが好ましい。ここで本明細書における「固着力」とは、JIS Z 0237に準じた以下に述べる方法によって測定した測定値を意味する。
【0056】
まず、前記固定手段3を、幅15mm×長さ250mmに切断し、これを試験片とする。
【0057】
次に、試験板を作成する。まず、幅約50mm×長さ約125mmに切断されたSUS304鋼板の表面に、280番(JIS R 6253)の耐水研磨紙を幅方向に摩擦して傷を付ける。そして、前記鋼板の表面を、前記傷が完全に消えるまで、前記耐水研磨紙により前記鋼板の長さ方向に沿って均一に研磨する。そして、前記のように研磨した鋼板の表面に、ヘキサン、ガソリン、エタノール、イソプロピルアルコール、トルエンなどの溶剤を塗付した後、脱離繊維がなく、且つ前記溶剤に可溶な添加物を含まない布やティッシュペーパなどで前記鋼板の表面を拭いて、前記鋼板の表面を清浄にする。そして、塗付した前記溶剤が乾燥した後、再度、前記溶剤の塗付および清浄作業を行なう。この溶剤塗付および清浄作業を3回以上行ない、前記鋼板の表面が目視にて清浄になったと認められるまで、繰り返して行なう。そして、表面が清浄にされた前記鋼板を試験板とする。
【0058】
次に、前記試験片の感圧接着剤層を前記試験板の表面に対向させ、前記試験片を前記試験板の表面に固着する。この際、前記試験片と前記試験板のそれぞれの前端部の位置を合わせ、且つ前記試験片を前記試験板の幅方向における中央部に位置させるように固着する。この時、前記試験片の長さ寸法が前記試験板の長さ寸法よりも長いため、前記試験片の後端部領域は前記試験板の後端部から外方に延出する。
【0059】
次に、前記試験板の表面に固着させた前記試験片の上面にローラを300/minの速度で1往復させて、前記試験片を前記試験板の表面に圧着させる。前記ローラは表面が厚さ約6mmのゴム層で覆われたものであり、ローラの表面のスプリング硬さが80±5Hs、幅約45mm、前記ゴム層を含む直径が約95mm、質量2000±50グラムのものである。前記ローラを前記試験片上に往復させるには、圧縮装置を利用して自動で行なうこと、または手動で行なうことのどちらでも良いが、前記往復の際に、前記ローラの質量のみが前記試験片に作用することが必用である。
【0060】
次に、試験片が圧着された試験板を引張り試験機の取付け冶具に固定し、前記試験板の後端部から延出している前記試験片の後端部領域を前端部方向に向けて約25mmの長さ寸法だけ引き剥がした後、試験片の後端部領域を前記引張り試験機の上部つかみ部に挟む。そして、前記25mmの長さ寸法だけ引き剥がした時に、剥がされた部分と前記試験板に圧着されている部分の境界部を始点として、300±30mm/minの速度で試験片を前記試験板の表面から引き剥がす。
【0061】
この際、前記試験片を前記始点から20mmの長さ寸法引き剥がす毎に前記引き剥がしに要した力(N)を測定し、80mmまでこの測定を行なって、4つの測定値を得る。これらの測定を3つの試験片について行ない、合計12個の測定値の平均値を、前記固着力とする。
【0062】
図2(A)(B)に示すように、前記鼻腔用吸収性物品1は1枚のシート10およびテープ11によって形成されている。前記シート10は、前縁10a,後縁10bおよび両側縁10c、10dを有し、平面形状が長方形である一枚の不織布で構成されている。前記テープは一定の幅寸法を有する帯状の1枚の樹脂フィルムで構成されている。
【0063】
このシート10の長さ方向を2分する中心線O−O線上の位置において、前記シート10の側縁10cの近傍上面に前記テープ11の一部が重ねられ、この重ねられた部分を接合領域12として、両者が接着などの手段により接合されている。
【0064】
前記鼻腔用吸収性物品1は以下のようにして製造される。すなわち、図2(B)に示すように、前記シート10の前縁10aを上面(前記テープ11が接合されている側の面)に向う方向に曲げる。次に、前縁10aを所定の直径寸法を有する中空部が形成されるようにして前記シート10の上面に接触させ、図示矢印方向に向って前記シート10を円筒体状に巻き回す。この際、前記テープ11の前記接合領域12が前記シート10によって形成された円筒体の内部に位置し、それ以外の領域は円筒体の底面から延出するように巻き回される。
【0065】
このようにして前記シート10を巻き回して行き、前記シート10の後縁10bを円筒体の表面に接着などの手段により接合し、円筒体の形成が完成する。したがって、前記シート10の側縁10cが前記円筒体の底面を構成し、前記側縁10dが円筒体の上面を構成する。
【0066】
前記のようにして形成された円筒体が図1に示す鼻腔用吸収性物品1の本体2を構成する。このとき、前記円筒体の底面、すなわち前記シート10の前記側縁10cが本体2の底面2bを構成し、前記円筒体の上面、すなわち前記シート10の前記側縁10dが本体2の上面2aを構成する。一方、前記テープ11の前記円筒体の底面から延出している部分が固定手段3を構成する。
【0067】
その後、前記固定手段3の裏面に感圧接着剤層が積層され、さらにその感圧接着剤層を覆うように離型紙が貼付される。ただし、テープが前記シート10に接合される前に、前記感圧接着剤層の積層および離型紙の貼付が施されており、感圧接着剤層と離型紙が形成された状態のテープが前記シート10に接合されるものであっても良い。
【0068】
前記本体2を構成する材料、すなわち前記シート10は、例えばパルプや再生セルロースなどの親水性繊維を材料とし、スパンボンド法、スパンレース法、エアスルー法などによって形成された各種不織布を使用できる。また前記材料に代えて、親水性を有する材料または親水性を有しない素材に親水処理を施した材料によって形成されたネットや多孔質フィルムが使用できる。また前記材料に加えて、これら材料を複数組み合せたものも使用できる。
【0069】
ここで本発明は、前記本体2がシートが巻き回されて形成されるものに限らず、前記本体2が連続気泡フォームなどのブロック体によって一体的に形成されているものであっても良い。この場合、例えばポリウレタンを素材とした連続気泡フォームなどの多孔質体を使用できる。この場合、前記多孔質体に形成されている孔の平均直径寸法は500μm以上であることが好ましい。孔の直径寸法が前記以上であると、鼻腔からの分泌液が粘性を有していても、前記本体2で前記分泌液を吸収し易くなる。
【0070】
前記固定手段3を構成する材料、すなわち前記テープ11は、樹脂から形成されたフィルムが使用でき、例えばポリウレタン樹脂から形成されたフィルムや、ポリエチレン樹脂から形成されたフィルムなどを使用できる。
【0071】
次に、前記鼻腔用吸収性物品1の使用方法について説明する。
まず、使用者は前記本体2を前記上面2aから鼻腔に挿入する。次に、前記本体2が鼻腔に挿入された状態で、前記固定手段3に貼付されている離型紙を剥がし、感圧接着剤層を露出させ、この感圧接着剤層で前記固定手段3を鼻の外面に固定する。前記本体2は鼻腔内に挿入された状態で前記固定手段3を介して固定されるため、前記本体2の位置ずれを防止できる。このとき、前記固定手段3は前記のとおり無色透明または肌色であり、しかも樹脂フィルムから形成されているため厚さが薄い。したがって、前記固定手段3が目立たず、装着時の美観が良好である。
【0072】
鼻腔に挿入された本体2は、前記したとおり液を吸収保持する機能を発揮するものであるため、前記鼻腔の内壁などからの分泌液は前記本体2によって吸収され、保持される。したがって、分泌液が鼻腔の外に流出することを防止できる。
【0073】
前記本体2には前記中空部2cが形成されている。この中空部2cは、前記本体2が鼻腔に挿入されたときに、使用者の呼気および吸気の通路部として機能する。したがって、使用者の呼吸が妨げられることがないため、使用者は本体2が鼻腔に挿入されていることによる息苦しさを感じることがなく、快適に使用することができる。また前記効果に加え、前記本体2が鼻腔に挿入された状態のまま会話をしても、使用者の声質が変ることがない。
【0074】
また、前記中空部2cを通過して鼻腔内へ入り込もうとする花粉や埃を前記中空部2cにおいて、不織布の表面に吸着させることも可能である。
【0075】
前記鼻腔用吸収性物品1を使用した後には、前記固定手段3を鼻の外面から剥がし、この固定手段3の端部を指で掴んで下方に引くことによって、前記本体2を鼻腔から簡単に取り外すことができる。
【0076】
図3は本発明の第1の実施の形態の第2の例の鼻腔用吸収性物品を示した斜視図である。図3に示す鼻腔用吸収性物品101は図1に示した鼻腔用吸収性物品1と同様の構造部分を有して構成されているものである。したがって、図3においては、鼻腔用吸収性物品101の構造のうち、前記鼻腔用吸収性物品1と同様の構造部分には同様の符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0077】
図3に示す鼻腔用吸収性物品101は、1つの固定手段3を挟んで、この固定手段の両側に本体2が2つ設けられている。
【0078】
前記固定手段3は一方の本体2の底面2bから、他方の本体2の底面2bに渡って設けられており、この固定手段3の側縁部には2つの本体2,2が設けられている。すなわち、2つの前記本体2,2は前記固定手段3を介して連結され、一体的に構成されている。固定手段3の裏面(前記底面2b側)には感圧接着剤層が積層されており(図示せず)、さらに前記感圧接着剤層を覆うように離型シートが貼り付けられている(図示せず)。
【0079】
図4に示すように、前記鼻腔用吸収性物品101は、同一形状で同一の大きさである2枚のシート110Aおよび110Bと、一定の幅寸法を有する帯状のテープ11によって形成されている。
【0080】
このシート110Aは、前縁110Aa、後縁110Abおよび両側縁110Ac,110Adを有し、シート110Bは、前縁110Ba、後縁110Bbおよび両側縁110Bc,110Bdを有しており、ともに平面形状が長方形の不織布からなるものである。
【0081】
前記両シート110Aおよび110Bは、それぞれの前縁110Aa,110Baとそれぞれの後縁110Ab,110Bbとが同一直線上になる位置関係で、110Aの側縁110Acと110Bの側縁110Bdとが所定の距離を空けて対向して配置される。
【0082】
このシート110Aおよび110Bの長さ方向を2分する中心線O−O線上の位置において、前記シート110Aの側縁110Acの近傍上面に前記テープの一部が重ねられ、この重ねられた部分を接合領域112として前記シート110Aと前記テープ11とが接合される。同様に、前記O−O線上の位置において、前記シート110Bの側縁110Bdの近傍上面に前記テープの一部が重ねられ、この重ねられた部分を接合領域112として前記シート110Bと前記テープ11とが接合される。したがって、前記シート110Aと前記シート110Bとは、前記テープ11によって互いに連結された状態である。
【0083】
前記シート110Aおよび110Bはともに巻き回されて、2つの円筒体が形成される。このとき、前記シート110Aおよび110Bの巻き回しは、図2(B)に示したのと同様にして行われる。
【0084】
このようにして形成された2つの円筒体が、図4に示す鼻腔用吸収性物品101の本体2,2を構成する。このとき、前記シート110Aの前記側縁110Acおよび前記シート110Bの前記側縁110Bdが、それぞれ前記円筒体の底面、すなわち前記本体2,2の底面2b,2bを構成する。
【0085】
また、前記シート110Aの前記側縁110Adおよび前記シート110Bの前記側縁110Bcが、それぞれ前記円筒体の上面、すなわち前記本体2,2の上面2a,2aを構成する。
【0086】
一方、前記テープ11の前記円筒体の底面から延出している部分が固定手段3を構成する。
【0087】
その後、前記固定手段3の裏面に感圧接着剤層および離型紙が設けられるが、テープが前記シート110Aおよび110Bに接合される前に、前記感圧接着剤層の積層および離型紙の貼付が施されていても良い。
【0088】
ここで、前記鼻腔用吸収性物品101においても、前記本体2,2が連続気泡フォームなどのブロック体によって一体的に形成されているものとして構成できる。
【0089】
また、前記鼻腔用吸収性物品101の前記本体2,2、および前記固定手段3の材料としては、図1に示した前記鼻腔用吸収性物品1と同様のものを使用できる。
【0090】
前記鼻腔用吸収性物品101は、2つの本体2,2が前記固定手段3によって連結されて一体的に構成されている。したがって、1つの鼻腔用吸収性物品101で左右の両鼻腔に対応できるとともに、前記固定手段3の一部を指で掴んで下方に引張ることにより、鼻腔に挿入された2つの前記本体2を同時に取り外すことができ、便利である。
【0091】
なお、前記鼻腔用吸収性物品1,101は前記本体2が円筒状の形態で消費者のもとへ供給されるものである。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、図2(A)若しくは図4に示す状態、すなわち本体2が長方形のシート10,110A,110Bの状態で消費者のもとへ供給されるものであっても良い。このようにすると、使用者は前記本体2を自分の鼻腔の大きさに適合した直径寸法を有する円筒体とすることができるため、より快適な使用感を得易くなる。また前記効果に加えて、使用者がシート10,110A,110Bを巻き回し終えたとき、前記シート10,110A,110Bの後縁10b,110Ab,110Bbを円筒体の表面に接合しない状態で本体2を構成することができる。このように前記本体2を構成すると、本体2が直径寸法が大きくなる方向に拡張するため、鼻腔に挿入された本体2が鼻腔を拡張する。したがって、鼻腔粘膜の充血などにより鼻腔が狭窄して鼻詰まりが生じている場合には、この鼻詰まりを軽減することが可能となる。
【0092】
図5は本発明の第2の実施の形態の第1の例の鼻腔用吸収性物品201を示した斜視図、図6は図5のVI―VI線の断面図である。
【0093】
図5および図6に示す鼻腔用吸収性物品201のうち図1に示す鼻腔用吸収性物品と同様の構成部分には、同様の符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0094】
前記鼻腔用吸収性物品201は、鼻腔に挿入される本体202と、固定手段3とから構成されている。
【0095】
前記本体202は上面202aおよび底面202bを有し、中空部202cを有する円筒形状に構成されている。前記中空部202cは一定の直径寸法を維持した状態で前記底面202bから前記上面202aに向って延びており、上端および下端は前記上面202aおよび底面202bにそれぞれ開口している。
【0096】
前記本体202は、外側に位置する吸収部203と、その内側に位置するフィルター部204とで構成されている。
【0097】
前記吸収部203は液を吸収し、吸収した液を保持する機能を発揮するものであり、鼻腔から分泌された液を吸収保持できるものである。
【0098】
前記フィルター部204は繊維から形成された不織布によって構成されている。このフィルター部204は、基層204aと、フィルター層204bとから構成されている。このフィルター部204を構成する不織布は表面が起毛処理されており、この処理によって生じた起毛部分が前記フィルター層204bを構成し、繊維が起毛されていない部分が前記基層204aを構成している。
【0099】
前記フィルター層204bは前記中空部202cの内面に位置するように設けられており、微細な複数の繊維によって構成されているため、前記本体202を鼻腔に挿入して呼吸をすると、前記中空部202cを通過する空気中に存在する粉塵や花粉などの浮遊固形物は前記フィルター層204bを構成する繊維と繊維との間に捕捉される。したがって、空気中の浮遊固形物が鼻腔の粘膜に付着することを防止する機能をさらに高めることができる。
【0100】
図7に示すように、前記鼻腔用吸収性物品201は2枚のシート210,213およびテープ11によって形成されている。
【0101】
前記シート210および213は、ともに前縁210a,213aと、後縁210b,213b、および両側縁210c,210d、213c,213dを有し、平面形状が長方形の不織布で構成されている。
【0102】
前記シート210は、例えばパルプや再生セルロースなどの親水性繊維を材料とし、スパンボンド法、スパンレース法、エアスルー法などによって形成された各種不織布や、親水性を有する材料または親水性を有しない素材に親水処理を施した材料によって形成されたネットや多孔質フィルムが使用できる。
【0103】
前記シート213は表面が起毛処理されており、所定の長さ寸法を有する繊維が起毛している。このシート213は、例えばポリプロピレンやポリエチレンなどを素材とする繊維から形成された、ニードルパンチ不織布やスパンレース不織布を使用できる。
【0104】
前記シート210および213は同一の大きさで同一形状であり、図7に示すようにシート210の上部にシート213が重ねられている。
【0105】
前記シート210の長さ方向を2分する中心線O−O線上の位置において、前記シート213の側縁213cの近傍上面に前記テープ11の一部が重ねられ、この重ねられた部分を接合領域212として、両者が接着などの手段により接合されている。そして、さらにこの上に、前記シート213が重ねられ、ホットメルト型接着剤による接着などの手段により、前記シート210および213とが接合される。ただし、前記シート210または213の少なくとも一方が熱溶着可能な素材から形成される場合には、ヒートシールや超音波接合などの手段によって前記両シート210および213とを接合しても良い。
【0106】
前記鼻腔用吸収物品201は以下のようにして製造される。すなわち、図7に示すように、前記シート210の上に前記シート213が重ねられた状態で、それぞれの前縁210aおよび213aを上面(前記テープ11が接合されている側の面)に向う方向に曲げて中空部を有する円筒状にする。したがって、このとき前記シート213の表面に形成された起毛がこの中空部の内側に位置するようになる。
【0107】
そして、前記シート210と213の前縁210a,213aと、後縁210b,213bとを接着などの手段により接合して円筒体を形成させる。
【0108】
したがって、前記シート210および213の側縁210c,213cが前記円筒体の底面を構成し、前記側縁210d,213dが円筒体の上面を構成する。
【0109】
前記のようにして形成された円筒体が図5に示す鼻腔用吸収性物品201の本体202を構成する。このとき、前記シート210が前記吸収部203を構成し、前記シート213が前記フィルター部を構成する。また、前記円筒体の底面、すなわち前記シート210および213の前記側縁210c,213cが本体202の底面202bを構成し、前記円筒体の上面、すなわち前記シート210および213の前記側縁210d,213dが本体202の上面202aを構成する。
【0110】
また、前記円筒体の中空部が前記本体202の中空部202cを構成し、中空部202cの内面には、前記シート213の起毛によってフィルター層204bが形成される。
【0111】
一方、前記テープ11の前記円筒体の底面から延出している部分が固定手段3を構成する。
【0112】
その後、前記固定手段3の裏面に感圧接着剤層および離型紙が設けられるが、テープが前記シート213に接合される前に、前記感圧接着剤層の積層および離型紙の貼付が施されていても良い。
【0113】
人間の鼻繊毛の長さ寸法は5〜7μmであるため、前記シート213の表面に形成された起毛の長さ寸法も5〜7μmの範囲内であることが好ましい。
【0114】
また前記構成に加えて、この起毛は帯電処理によりエレクトレット化されていることが好ましい。このように、起毛がエレクトレット化されているものとして構成すると、起毛に保持された電荷によって発生するクーロン力によって、空気中の浮遊固形物を効果的に捕捉することが可能となる。ここで本明細書において「エレクトレット化」とは、繊維をほぼ永久的に荷電した状態にすることを意味する。このエレクトレット化は、コロナ放電によって発生した電流を前記シート213に当てることによって行なうことができる。
【0115】
また前記構成に代えて、前記起毛の表面に、粘着性物質が塗付されているものとして構成することもできる。このように構成すると、空気中の浮遊固形物が前記粘着性物質に接着され、前記起毛の表面で捕捉され易くなる。
【0116】
前記粘着性物質は、基材として、ポリアクリル酸エステル、セルロース、ポリビニルアルコール、ポリグルタミン酸やポリリジンなどのポリアミノ酸、ゼラチン、スチレンの重合体と他の重合体とのブロック共重合体、天然ゴムやエラストマーなどを使用し、前記基材の種類に応じて、液状ポリブテン、鉱油、液状ポリイソブチレン、液状ポリアクリル酸エステルなどの公知の軟化剤や、ロジンやポリテルペンなどの公知の粘着付与剤や、その他の添加剤を添加したものを使用できる。
【0117】
前記鼻腔用吸収性物品201では、前記吸収部203の他、前記フィルター部204の基層204aでも鼻腔からの分泌液を吸収することができ、前記フィルター層204bでは空気中の浮遊固形物を捕捉することができる。
【0118】
ここで、前記鼻腔用吸収性物品201は、本体202が基層204aを構成するシート210と、フィルター部204を構成するシート213とが重ねられて構成されるものを例にして説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば前記本体202が前記シート213のみで構成することもできる。
【0119】
なお、前記鼻腔用吸収性物品201は、図1に示した鼻腔用吸収性物品1と同様に、前記本体202を構成する吸収部203が連続気泡フォームなどのブロック体によって一体的に形成されているものであっても良い。
【0120】
図8は本発明の第2の実施の形態の第2の例の鼻腔用吸収性物品301を示した斜視図、図9は図8のIX―IX線の断面図である。
【0121】
図8および図9に示す鼻腔用吸収性物品301のうち、図1に示す鼻腔用吸収性物品と同様の構成部分には、同様の符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0122】
前記鼻腔用吸収性物品301は、鼻腔に挿入される本体302と、固定手段3とから構成されている。
【0123】
前記本体302は、上面302aおよび底面302bと、一定の直径寸法を維持した状態で前記底面302bから前記上面302aに向って延びる中空部302cを有する円筒形状に構成されている。
【0124】
前記本体302は、外側に位置する吸収部303と、その内側に位置するフィルター部304とで構成されている。
【0125】
前記吸収部303は液を吸収保持する機能を発揮するものであり、鼻腔から分泌された液を吸収保持できるものである。
【0126】
前記フィルター部304は多数の繊維によって構成されている。前記フィルター部304は前記中空部302cの内面のほぼ全面にわたって設けられており、微細な複数の繊維が交絡して構成されている。したがって、実質的な濾過面積を大きくすることができるため、空気中に存在する浮遊固形物を多量に濾過することができる。
【0127】
図10に示すように、前記鼻腔用吸収性物品301は1枚のシート310、ウェブ320およびテープ11によって形成されている。
【0128】
前記シート310は、平面形状が長方形の不織布で構成されている。このシート310は、例えばパルプや再生セルロースなどの親水性繊維を材料とし、スパンボンド法、スパンレース法、エアスルー法などによって形成された各種不織布や、親水性を有する材料または親水性を有しない素材に親水処理を施した材料によって形成されたネットや多孔質フィルムが使用できる。
【0129】
前記ウェブ320は、繊維をシート状に敷き並べて構成される。ここで、後記するように、前記ウェブ320は中空部302cの内面に配置され、フィルター部304として形成されるものであるが、前記ウェブ320を構成する繊維が親水性を有すると、前記フィルター部304が鼻腔からの分泌液を多量に吸収し易くなり、前記フィルター部304を呼気および吸気が通過する際に通気抵抗が大きくなるため、使用者が呼吸時に息苦しさを感じ易くなる。したがって、前記繊維は親水性を有しない素材から形成されることが好ましい。前記親水性を有しない素材としては、例えばポリプロピレンやポリエチレンから形成された繊維が挙げられる。前記ウェブを構成する繊維の繊度は2.2dtex以下であることが好ましく、さらに好ましくは0.06〜1.7dtexである。またこれに加えて、前記繊維の長さは0.5〜5mmの範囲内であることが好ましい。ただし本発明はこれに限定されるものではなく、前記ウェブ320を構成する繊維が、前記ウェブ320の前縁320aから後縁320bまで連続しているものであっても良い。
【0130】
このウェブ320は繊維どうしが交絡している嵩高のものであり、例えば高圧水流によって繊維に衝撃を与えることや、ニードリングによって、ウェブ320を構成する繊維どうしを交絡させることができる。ただし、前記ウェブ320を構成する繊維が前縁320aから後縁320bまで連続しているものである場合は、後記するようにウェブ320を円筒状に巻き付けたときに、前記各繊維の中間部が互いに交絡し易いため、前記繊維どうしを交絡させるための処理を行なわなくても良い。
【0131】
前記シート310およびウェブ313は、ともに前縁310a,320aと、後縁310b,320b、および両側縁310c,320d、313c,320dを有し、平面形状が長方形の不織布で構成されている。
【0132】
前記シート310およびウェブ320は、ほぼ同一の大きさ、形状を有しており、図10に示すようにシート210の上部にシート213が重ねられている。
【0133】
前記シート310および前記ウェブ320の長さ方向を2分する中心線O−O線上の位置において、前記シート310の側縁310cの近傍上面に前記テープ11の一部が重ねられ、この重ねられた部分を接合領域212として、両者が接着などの手段により接合されている。そして、さらにこの上に、前記ウェブ320が重ねられ、ホットメルト型接着剤による接着、ヒートシールや超音波接合などの手段によって前記シート310と前記ウェブ320とが接合されている。
【0134】
次に、前記シート310の上に前記ウェブ320が重ねられた状態で、それぞれの前縁310aおよび320aを上面(図示矢印A方向)に向う方向に曲げ、図5に示した前記鼻腔用吸収性物品201の場合と同様にして、中空部を有する円筒状にする。したがって、このとき前記ウェブ320がこの中空部の内側に位置するようになる。
【0135】
そして、前記シート310と前記ウェブ320の前縁310a,320aと、後縁310b,320bとを接着などの手段により接合して円筒体を形成させる。
【0136】
前記のようにして形成された円筒体が図8に示す鼻腔用吸収性物品301の本体302を構成する。
【0137】
また、前記円筒体の中空部が前記本体302の中空部302cを構成し、中空部302cの内面には、前記ウェブ320によってフィルター部304が形成される。前記ウェブ320は繊維が多数交絡して構成されているため、前記フィルター部304では、空気中浮遊固形物の捕捉効果が大きなものとなる。
【0138】
一方、前記テープ11の前記円筒体の底面から延出している部分が固定手段3を構成する。
【0139】
その後、前記固定手段3の裏面に感圧接着剤層および離型紙が設けられるが、テープが前記シート213に接合される前に、前記感圧接着剤層の積層および離型紙の貼付が施されていても良い。
【0140】
なお前記構成に加えて、前記鼻腔用吸収性物品201と同様に、前記フィルター部304を構成する繊維がエレクトレット化されているものや、この繊維の表面に粘着性物質が塗付されているものとして構成しても良い。
【0141】
なお、前記鼻腔用吸収性物品301も、図1に示した鼻腔用吸収性物品1と同様に、前記本体302を構成する吸収部303が連続気泡フォームなどのブロック体によって一体的に形成されているものであっても良い。
【0142】
【発明の効果】
本発明の鼻腔用吸収性物品は、鼻腔に挿入される本体に液吸収保持機能を発揮する吸収部を有し、この内側に呼気および吸気の通路部として機能する中空部が設けられている。したがって、鼻腔からの分泌液を鼻腔外に流出する前に確実に吸収保持できるとともに、呼吸時の息苦しさが少なく快適な使用が可能である。また、前記本体は鼻腔に挿入され、しかも前記本体を固定するための固定手段が薄いフィルム状であるため、使用時の美観に優れている。
【0143】
さらに、前記中空部の内面にフィルター部が設けられているものでは、前記各効果に加えて、空気中の浮遊固形物を前記フィルター部で効果的に捕捉することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態である鼻腔用吸収性物品の第1の実施の形態の第1の例を示す斜視図、
【図2】(A)(B)は、図1に示す鼻腔用吸収性物品の構造を説明するための斜視図、
【図3】本発明の第1の実施の形態の第2の例の鼻腔用吸収性物品を示した斜視図、
【図4】図3に示す鼻腔用吸収性物品の構造を説明するための斜視図、
【図5】本発明の第2の実施の形態の第1の例の鼻腔用吸収性物品を示した斜視図、
【図6】図6は図5のVI―VI線の断面図、
【図7】図5に示す鼻腔用吸収性物品の構造を説明するための斜視図、
【図8】本発明の第2の実施の形態の第2の例の鼻腔用吸収性物品を示した斜視図、
【図9】図8のIX―IX線の断面図、
【図10】図8に示す鼻腔用吸収性物品の構造を説明するための斜視図、
【符号の説明】
1,101,201,301 鼻腔用吸収性物品
2,202,302 本体
2c,202c,302c 中空部
3 固定手段
203,303 吸収部
204,304 フィルター部
204a 基層
204b フィルター層
Claims (3)
- 液を吸収保持する機能を発揮する本体を有し、前記本体が中空部を有する管状の状態で鼻腔に挿入されて使用される鼻腔用吸収性物品において、
前記中空部が呼気および吸気の通路として機能しており、
前記中空部の内側に、空気中浮遊固形物を濾過する機能を発揮する繊維が交絡して構成されたフィルター部が設けられ、
前記フィルター部を構成する素材が帯電していることを特徴とする鼻腔用吸収性物品。 - 前記本体には前記本体から伸び出る固定手段が設けられ、前記固定手段は表面に感圧接着剤層を有しており、前記本体が鼻腔内に挿入された状態で前記固定手段が鼻腔外に固定される請求項1に記載の鼻腔用吸収性物品。
- 前記固定手段の両側縁部に、一対の前記本体が設けられている請求項2に記載の鼻腔用吸収性物品。
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