JP4127197B2 - 硫酸カルシウムスケールの抑制方法 - Google Patents

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本発明は、紙製造工程で発生する硫酸カルシウムを主成分とするスケールを抑制できる方法と、該硫酸カルシウムスケールに起因する紙面欠陥を抑制する方法に関するものである。
製紙工程においては古くから各種スケール析出によるトラブルが散見されてきたが、近年の古紙配合率の増加、また抄紙白水循環系のクローズド化等により、白水中に様々な有機物や無機物が蓄積し、抄紙系内でスケールが以前よりも発生しやすい状況となっている。
このスケールに起因するトラブルには、操業面の問題と紙品質面の問題とがある。操業面では、例えば次のような問題が挙げられる。ワイヤーパートでは、ワイヤーにスケールが沈着するとワイヤーの目が詰まり、脱水不良を引き起こす。プレスパートでは、フェルトにスケールが付着して脱水不良となる。ドライヤーパートでは、湿紙から多くの水分が除去されるため、湿紙が直接接触するシリンダードライヤーやその周辺のロール、またカンバスなどでのスケールの析出が最も顕著である。カレンダーパートでは処理時にスケールが原因で紙に穴欠陥(紙裂け)を生じる。これらのスケールが原因で断紙となり、抄紙の効率を低下させる。紙品質面では、例えば次のような問題が挙げられる。原料調成工程内、抄紙機ウェットエンド、プレスパート、ドライヤーパートで発生したスケールが紙に抄き込まれ異物となり、印刷時の印刷不良を引き起こす。また、このスケール異物が原因で紙に穴があいたり、紙が裂ける。
このようなトラブルを引き起こす種々のスケールの中でも、硫酸カルシウムスケールが近年大きく取り上げられているが、その理由は次のように考えられる。製紙業界においては資源の有効利用の観点から古紙の利用が増加している。この古紙から得られる脱墨パルプ中には、塗工顔料や填料として使用された炭酸カルシウムが多く含まれている。一方、酸性抄紙においてはサイズ剤の定着等を目的として硫酸バンドが抄紙原料に添加されている。また、中性抄紙においても硫酸バンドを少量添加する方法が広く採用されている。この酸性物質である硫酸バンドにより前記の炭酸カルシウムが溶解する結果、紙料中にはカルシウムイオンと硫酸イオンが高濃度で存在することになる。このカルシウムイオンと硫酸イオンが過飽和状態になると硫酸カルシウムが生成し、これが成長してスケールとなる。また、白水循環系のクローズド化は、これらの溶存イオンを更に濃縮することになり、硫酸カルシウムスケールの生成を促進している。
このようなカルシウム系スケールを防止するための従来の手段としては次のようなものを挙げることができる。古紙から脱墨パルプを製造する工程で発生するシリカ、カルシウム、アルミニウム等を成分とするスケールの生成を防止することを目的として、クエン酸および/またはその塩を含有するスケール防止剤とスケール防止方法が開示されている(特許文献1参照)。抄紙工程または原料調成工程における硫酸カルシウムまたは硫酸バリウムスケールの生成を防止することを目的として、硫酸および/または硫酸バンド添加後の抄紙工程水または原料調成工程水のpHに応じて、該スケール物質と同一または類似の結晶を添加する方法が開示されている(特許文献2参照)。中性抄紙工程においてシュウ酸カルシウムスケールの生成を抑制することを目的として、ポリ−α−ヒドロキシアクリル酸およびそのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン塩にうち1種または2種以上を有効成分とするスケール抑制剤とスケール抑制方法が登録されている(特許文献3参照)。紙パルプ製造工程における炭酸カルシウム主体のスケール、炭酸カルシウム−シリカ・珪酸塩複合スケールを抑制することを目的として、(1)(a)2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸およびその水溶性塩から選ばれる1種以上と、(b)エチレン性不飽和カルボン酸およびその無水塩、水溶性塩から選ばれる1種以上を構成単位とする水溶性共重合体と、(2)ホスホン酸類およびその水溶性塩の1種以上を、(1):(2)=3:7〜7:3で添加する抑制方法が開示されている(特許文献4参照)。古紙脱墨パルプ製造工程における炭酸カルシウムスケールおよび炭酸カルシウムを主体とした珪酸塩複合スケールの抑制を目的として、(1)エチレン性不飽和カルボン酸およびその無水物、水溶性塩から選ばれる1種以上を構成単位とする水溶性重合体と、(2)ホスホン酸類およびその水溶性塩の1種以上を、(1):(2)=1:9〜6:4としたスケール抑制剤と抑制方法が開示されている(特許文献5参照)。カルシウム系スケールの防止を目的として、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸またはその塩と、2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸またはその塩との配合比が1:9〜9:1であるスケール防止剤とスケール防止方法が開示されている(特許文献6参照)。製紙工場のパルプ蒸解工程、漂白工程、古紙脱墨工程等におけるカルシウムスケールを抑制することを目的として、ホスホン酸および/またはホスホン酸塩と低分子水溶性ポリマーとを添加する方法が開示されている(特許文献7参照)。しかし、これらの従来技術では、硫酸カルシウムを主成分とするスケールの生成を十分には抑制できない問題があった。
また、その他の硫酸カルシウムスケールを防止するための薬品としては、シリンダードライヤー等に塗布するキレート剤があるが、薬品コストが高くなる問題がある。また、ドライヤーシリンダー上に析出した硫酸カルシウムスケールは、ドライヤーシリンダーに取り付けられたドクターと呼ばれるブレードによって掻き落とすことが可能であるが、完全には掻き落とすことができないという問題がある。
特開平08-092888号公報 特開2000-234295号公報 特許第3100589号明細書 特開2002-105891号公報 特開2002-146689号公報 特開2002-292398号公報 特開2003-053389号公報
本発明の課題は、抄紙機で発生する硫酸カルシウムを主成分とするスケールを抑制できる方法の提供と、該硫酸カルシウムスケールに起因する紙面欠陥を抑制できる方法の提供にある。
完成原料中に少なくとも脱墨パルプおよび/または機械パルプを含有し、該完成原料の濾液の、カルシウムイオン濃度(mol/l)と硫酸イオン濃度の積(mol/l)が6.0×10-5以上、かつカチオン要求量が50μeq/l以上である抄紙機において、該完成原料に、(1)下記の群から選ばれる少なくとも1種類の無機系凝結剤をブレンンドミキサーへ添加し、次いで(2)下記の群から選ばれる少なくとも1種類の電荷密度3meq/g以上の有機高分子系凝結剤を前記無機系凝集剤を添加した後で、かつ抄紙機ストックインレット前までに添加する。
(1)無機系凝結剤:硫酸バンド、ポリ塩化アルミニウム
(2)有機高分子系凝結剤:ポリエチレンイミン、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライドとアクリルアミドの共重合体、エピクロロヒドリンとジメチルアミンの共重合体、ポリアミン
本発明のスケール抑制方法により、硫酸カルシウムスケールの生成を抑制でき、原料調成工程や抄紙工程の操業が安定すると同時に、紙中の異物低減や紙面欠陥低減などにより紙品質が向上する。
本発明者らは、少なくとも古紙脱墨パルプ(以下、DIPと記す)および/または機械パルプ(以下、MPと記す)を原料パルプとした、新聞印刷用紙、更紙、電話帳用紙等の紙を抄造している抄紙機で発生する硫酸カルシウムを主成分とするスケールの発生と、このスケールを原因物質とする紙面欠陥の発生について鋭意検討した。その結果、完成原料の濾液中のカルシウムイオン濃度(mol/l)と硫酸イオンの濃度(mol/l)の積が硫酸カルシウムの溶解度積以上である過飽和状態の場合に硫酸カルシウムスケールの発生が激しいこと、カルシウムイオンはDIPに含有されている炭酸カルシウムが紙製造の調成工程等で添加される硫酸や硫酸バンドと反応・溶解して主に生成すること、硫酸イオンは調成工程等で添加される硫酸や硫酸バンドに由来すること、完成原料の濾液のカチオン要求量が高いと抄紙機乾燥工程のシリンダードライヤー表面での硫酸カルシウム析出が激しいこと、この時、機械パルプ由来の樹脂分が介在するとこの硫酸カルシウムスケールが湿紙へ脱落し、紙面欠陥の原因となりやすいこと、複数の抄紙機で測定したところカチオン要求量は50〜1,000meq/l程度で変動していること、等を見出し、本発明を完成するに至った。なお、完成原料とは、原料パルプ、填料、製紙助剤(硫酸バンドを除く)などを所定の配合比で混合した、抄紙直前の原料のことを意味する。
本発明における完成原料中の原料パルプは、少なくともDIPおよび/またはMPを含有するものであれば良いが、全パルプに対するDIPとMPの含有率の和が70〜100%(固形分重量)である完成原料が好ましい。DIPの原料古紙の種類は、新聞印刷用紙、更紙、電話帳用紙などの抄造に通常使用されている古紙であれば特に限定は無い。
このDIP中には、中性新聞用紙、チラシ、雑誌古紙などに由来する炭酸カルシウムが多く含有されている。MPにも特に限定は無く、SGP、CGP、TMP、CTMPなどを挙げられる。このMP中には木材由来の樹脂分が多く含まれている。新聞印刷用紙、更紙、電話帳用紙などを抄造している抄紙機では、通常、白水が高度に循環使用されているため、DIP100%の紙の抄造時にも、循環白水中にはMP由来の樹脂粒子が存在し、硫酸カルシウムスケールを原因物質とする紙面欠陥が起きる。また同様に、MP100%の紙の抄造時でも、循環白水中にはDIP由来の炭酸カルシウムやカルシウムイオンなどが存在し、硫酸カルシウムスケールのトラブルが起きる。
また、該完成原料の濾液に溶存しているカルシウムイオンの濃度(mol/l)と硫酸イオンの濃度(mol/l)の積が、硫酸カルシウムの溶解度積である6.0×10-5以上であり、かつ該濾液のカチオン要求量が50μeq/l以上である抄紙機に、本発明のスケール抑制方法を適用する。該完成原料は、酸性抄紙用でも中性抄紙用の原料でもかまわない。
この場合、カルシウムイオン濃度は100ppm(2.5×10-3mol/l)以上であることが好ましく、200ppm(5.0×10-3mol/l)以上となると硫酸カルシウムスケールが発生しやすいので特に好ましい。
カルシウムイオン濃度(mol/l)と硫酸イオン濃度(mol/l)の積が6.0×10-5未満は過飽和状態ではないので、硫酸カルシウムのスケール発生自体が少なく、本発明のスケール抑制方法を適用しても意味がない。カルシウムイオン濃度と硫酸イオン濃度の積の上限は無い。カチオン要求量が50μeq/l未満では、硫酸カルシウムスケールの原因となる硫酸カルシウム粒子や、硫酸カルシウムスケールに介在して抄造中の紙へのスケール脱落の原因物質となる樹脂粒子が、湿紙中に比較的強固に定着されるので、硫酸カルシウムスケール生成も少なく、該スケールの紙への脱落も少ないので、本発明のスケール抑制方法を適用しても意味がない。
まず無機系凝結剤を添加し、次いで有機高分子系凝結剤を添加して、カチオン要求量を低減するが、下記で定義するカチオン要求量低減率を50%以上にすることが好ましく、75%以上がより好ましい。また同時に、有機高分子系凝結剤添加後の紙料濾液のカチオン要求量が−20〜100μeq/lになるように調節することが好ましく、−10〜50μeq/lがより好ましく、0〜20μeq/lが更に好ましい。
カチオン要求量低減率(%)=
(無機系凝結剤添加前カチオン要求量−有機高分子系凝結剤添加後カチオン要求量)×100
本発明で添加する無機系凝結剤は、硫酸バンド、ポリ塩化アルミニウムの少なくとも1種類である。ブレンドミキサーで原料パルプ、填料、製紙助剤などが混合され、完成原料となる。従って、無機系凝結剤を完成原料に十分に混合する観点から、ブレンンドミキサーへ添加する。添加量はパルプに対して0.1〜5.0重量%(アルミナ換算で8%有姿の重量)が好ましく、硫酸イオンの生成を抑える観点から、0.1〜3.0重量%がより好ましく、0.1〜2.0重量%が更に好ましい。

本発明で添加する有機高分子系凝結剤は、電荷密度3meq/g以上である。中でも10meq/l以上が好ましい。分子量は5万〜300万が好ましく、5万〜100万がより好ましく、5万〜70万が更に好ましい。電荷密度が3meq/g未満の場合、紙料のカチオン要求量を所定値まで上げるためには添加量を高くしなければならず、コストが高くなり、また紙の地合が悪化するなどの問題がある。分子量5万未満では凝集力が弱く、硫酸カルシウム粒子や樹脂粒子の湿紙への定着が不十分である結果、本発明の効果が低い。分子量が100万を超えると凝集力が強過ぎるため紙の紙合が悪化する。紙合を良好に維持するためには低添加量としなければならず、この場合、本発明の効果が低い。
有機高分子系凝結剤は、ポリエチレンイミン、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライドとアクリルアミドの共重合体、エピクロロヒドリンとジメチルアミンの共重合体、ポリアミンから選ばれる少なくとも1種類である。有機高分子系凝結剤の添加量は、前記のカチオン要求量低減率と、有機高分子系凝結剤添加後の紙料濾液のカチオン要求量が満足されるように添加量を調整する。従って、有機高分子系凝結剤の添加量は無機系凝結剤の添加量に左右されるが、0.001〜0.2重量%(対パルプ、有機高分子系凝結剤固形分)であることが好ましく、0.01〜0.1重量%がより好ましい。0.001重量%以下では効果が不十分であり、0.2重量%を超えると紙の地合が悪化するし、コスト的にも不利である。有機高分子系凝結剤は、無機系凝集剤を添加した後で、かつ抄紙機ストックインレット前までに添加される。
本発明により硫酸カルシウムスケールが抑制されるメカニズムの詳細は明らかではないが、本発明者らは以下のように推定している。無機系凝結剤と有機高分子系凝結剤の添加により、硫酸カルシウム粒子の湿紙への定着が促進され、硫酸カルシウム粒子の粗大化と硫酸カルシウムスケールの成長を抑えると同時に、乾燥工程のシリンダードライヤー表面などへの硫酸カルシウムスケールの付着が阻害される。一方、無機系凝結剤と有機高分子系凝結剤の添加により、樹脂粒子の湿紙への定着も促進され、シリンダードライヤー表面などで硫酸カルシウムスケールが形成されたとしても、該スケールに介在する樹脂分が少ないため、紙表面への該スケールの脱落が抑制され、紙面欠陥が少なくなる。
なお、この紙面欠陥とは完全な穴欠陥であり、紙に抄き込まれた硫酸カルシウムや乾燥工程で析出した硫酸カルシウムがカレンダーの2本のロール間を通過する際に引っかかり発生するものであり、紙面欠陥部に硫酸カルシウムが付着していることを本発明者らは分析により確認している。
以下に実施例を挙げて本説明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。
(1)抄紙機
新聞用紙、更紙、電話帳用紙などを抄造している実際の抄紙機で実験を行った。抄紙機はツインワイヤー型である。以下に示す実施例、比較例についてそれぞれ約1ヶ月間操業を行った。実験中、新聞印刷用紙抄造時のパルプ配合率はDIP/MP/その他のパルプ=60〜100/30〜0/10〜0(固形分重量比)であった。更紙、電話帳用紙、その他を抄造している時のパルプ配合率はDIP/MP/その他のパルプ=0〜50/100〜20/0〜30(固形分重量比)であった。抄速は、800〜1100m/分であった。
(2)測定方法
・カチオン要求量:完成原料と、有機高分子系凝結剤添加後の紙料について、200メッシュの網で濾過し、この濾液について流動電流法により、カチオン要求量を測定した。測定にはMuetekPCD-03(Muetek社製)を用いた。
・カルシウムイオン濃度、硫酸イオン濃度:完成原料をNo.5B濾紙で濾過し、この濾液についてCuvette Test法でカルシウムイオン濃度を測定した。測定にはLASA30(Dr. Bruno Lange GmbH & Co.KG社製)を用いた。
(3)紙面欠陥数
抄紙機に設置されている欠陥検出器を用い、穴大きさが直径1mm以上のものを検出し、1日当たりの紙面欠陥数の平均値を算出した。
[実施例1]
実施例1の実験期間中、完成原料の濾液中のカルシウムイオン濃度(mol/l)と硫酸イオン濃度(mol/l)の積は6.0×10-5以上であり、カチオン要求量は50μeq/l以上であった。無機系凝結剤として硫酸バンドをブレンドミキサーへ添加し、有機高分子系凝結剤としてジアリルジメチルアンモニウムクロライドとアクリルアミドの共重合体(電荷密度3meq/g、分子量300万)をブレンドミキサー出口に添加した。実験期間中、硫酸バンド添加率は2.0〜5.0重量%(アルミナ換算濃度8%品有姿)で推移し、有機高分子系凝結剤添加率は0.02〜0.06重量%(対パルプ固形分重量)で推移した。実験期間中に検出した紙面欠陥を表1に示した。また、完成原料のカチオン要求量、完成原料濾液中のカルシウムイオン濃度(mol/l)、硫酸イオン濃度(mol/l)、両イオン濃度の積、有機高分子系凝結剤添加後の紙料のカチオン要求量およびカチオン要求量低減率の推移の1例を、それぞれ図1、図2、図3、図4、図5、図6に示した。実験期間中に検出した紙面欠陥を表1に示した。
[実施例2]
実施例2の実験期間中、完成原料の濾液中のカルシウムイオン濃度(mol/l)と硫酸イオン濃度(mol/l)の積は6.0×10-5以上であり、カチオン要求量は50μeq/l以上であった。無機系凝結剤としてポリ塩化アルミニウムをブレンドミキサーへ添加し、有機高分子系凝結剤としてポリジアリルジメチルアンモニウムクロライドとアクリルアミドの共重合体(電荷密度3meq/g、分子量300万)をブレンドミキサー出口に添加した。実験期間中、ポリ塩化アルミニウム添加率は対パルプ1.6〜4.0重量%(アルミナ換算濃度10%品有姿)で推移し、有機高分子系凝結剤添加率は0.02〜0.06重量%(対パルプ固形分重量)で推移した。実験期間中に検出した紙面欠陥を表1に示した。
[実施例3]
実施例3の実験期間中、完成原料の濾液中のカルシウムイオン濃度(mol/l)と硫酸イオン濃度(mol/l)の積は6.0×10-5以上であり、カチオン要求量は50μeq/l以上であった。無機系凝結剤として硫酸バンドをブレンドミキサーへ添加し、有機高分子系凝集剤としてポリエチレンイミン(電荷密度10meq/g、分子量70万)をブレンドミキサー出口に添加した。実験期間中、硫酸バンド添加率は2.0〜5.0重量%(アルミナ換算濃度8%品有姿)で推移し、有機高分子系凝結剤添加率は0.05〜0.07重量%(対パルプ固形分重量)で推移した。実験期間中に検出した紙面欠陥を表1に示した。
[実施例4]
実施例4の実験期間中、完成原料の濾液中のカルシウムイオン濃度(mol/l)と硫酸イオン濃度(mol/l)の積は6.0×10-5以上であり、カチオン要求量は50μeq/l以上であった。無機系凝結剤として硫酸バンドをブレンドミキサーへ添加し、有機高分子系凝集剤としてポリエチレンイミン(電荷密度20meq/g、分子量10万)をブレンドミキサー出口に添加した。実験期間中、硫酸バンド添加率は2.0〜5.0重量%(アルミナ換算濃度8%品有姿)で推移し、有機高分子系凝結剤添加率は0.07〜0.10重量%(対パルプ固形分重量)で推移した。実験期間中に検出した紙面欠陥を表1に示した。
[実施例5]
実施例5の実験期間中、完成原料の濾液中のカルシウムイオン濃度(mol/l)と硫酸イオン濃度(mol/l)の積は6.0×10-5以上であり、カチオン要求量は50μeq/l以上であった。無機系凝結剤として硫酸バンドをブレンドミキサーへ添加し、有機高分子系凝集剤としてエピクロロヒドリンとジメチルアミンの共重合物(電荷密度5.0meq/g、分子量100万)をブレンドミキサー出口に添加した。実験期間中、硫酸バンド添加率は2.0〜5.0重量%(アルミナ換算濃度8%品有姿)で推移し、有機高分子系凝結剤添加率は0.03〜0.07重量%(対パルプ固形分重量)で推移した。実験期間中に検出した紙面欠陥を表1に示した。
[実施例6]
実施例6の実験期間中、完成原料の濾液中のカルシウムイオン濃度(mol/l)と硫酸イオン濃度(mol/l)の積は6.0×10-5以上であり、カチオン要求量は50μeq/l以上であった。無機系凝結剤として硫酸バンドをブレンドミキサーへ添加し、有機高分子系凝集剤としてポリアミン(電荷密度7.6meq/g、分子量50万)をブレンドミキサー出口に添加した。実験期間中、硫酸バンド添加率は2.0〜5.0重量%(アルミナ換算濃度8%品有姿)で推移し、有機高分子系凝結剤添加率は0.02〜0.07重量%(対パルプ固形分重量)で推移した。実験期間中に検出した紙面欠陥を表1に示した。
[比較例1]
比較例1の実験期間中、完成原料の濾液中のカルシウムイオン濃度(mol/l)と硫酸イオン濃度(mol/l)の積は6.0×10-5以上であり、カチオン要求量は50μeq/l以上であった。無機系凝結剤として硫酸バンドをブレンドミキサーへ添加し、有機高分子系凝集剤無添加とした。実験期間中、硫酸バンド添加率は5.0重量%(アルミナ換算濃度8%品有姿)一定とした。実験期間中に検出した紙面欠陥を表1に示した。
[比較例2]
比較例2の実験期間中、完成原料の濾液中のカルシウムイオン濃度(mol/l)と硫酸イオン濃度(mol/l)の積は6.0×10-5以上であり、カチオン要求量は50μeq/l以上であった。無機系凝結剤を無添加とし、有機高分子系凝集剤としてジアリルジメチルアンモニウムクロライドとアクリルアミドの共重合体(電荷密度3meq/g、分子量300万)をブレンドミキサー出口に添加した。実験期間中、有機高分子系凝結剤添加率は0.06重量%(対パルプ固形分重量)一定とした。実験期間中に検出した紙面欠陥を表1に示した。
Figure 0004127197
実施例1〜6では、無機系凝結剤と有機高分子系凝結剤との添加により、カチオン要求量が50%以上低減され、かつ無機系凝結剤と有機高分子系凝結剤を添加した紙料のカチオン要求量が-20〜100μeq/lの範囲内にあり、比較例1、2に比較して、紙面欠陥数が大幅に低下していることがわかる。なお比較例1、2では、紙裂け欠陥が多発し、生産性、操業性が大きく悪化した。また乾燥工程のドライヤーシリンダーでドクターが設置されていない場所では、硫酸カルシウムの析出が顕著であり、マシンを停機し、除去作業を行う必要があった。
実施例1における完成原料のカチオン要求量の推移例である。 実施例1における完成原料濾液中のカルシウムイオン濃度の推移例である。 実施例1における完成原料濾液中の硫酸イオン濃度の推移例である。 実施例1における完成原料濾液中のカルシウムイオン濃度(mol/l)と硫酸イオン濃度(mol/l)の積の推移例である。 実施例1における有機高分子系凝結剤添加後の紙料のカチオン要求量の推移例である。 実施例1におけるカチオン要求量低減率の推移例である。

Claims (2)

  1. 紙製造工程における硫酸カルシウムを主成分とするスケールの発生を抑制する方法であって、完成原料中に少なくとも脱墨パルプおよび/または機械パルプを含有し、該完成原料の濾液の、カルシウムイオン濃度(mol/l)と硫酸イオンの濃度(mol/l)の積が6.0×10-5以上、かつカチオン要求量が50μeq/l以上である抄紙機において、該完成原料に、(1)下記の群から選ばれる少なくとも1種類の無機系凝結剤をブレンンドミキサーへ添加し、次いで(2)下記の群から選ばれる少なくとも1種類の電荷密度3meq/g以上の有機高分子系凝結剤を前記無機系凝集剤を添加した後で、かつ抄紙機ストックインレット前までに添加することを特徴とするスケール抑制方法。
    (1)無機系凝結剤:硫酸バンド、ポリ塩化アルミニウム
    (2)有機高分子系凝結剤:ポリエチレンイミン、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライドとアクリルアミドの共重合体、エピクロロヒドリンとジメチルアミンの共重合体、ポリアミン
  2. 無機系凝結剤と有機高分子系凝結剤の添加により、カチオン要求量低減率が50%以上であり、かつ無機系凝結剤と有機高分子系凝結剤を添加した紙料のカチオン要求量が−20〜100μeq/lであることを特徴とする請求項1記載のスケール抑制方法。
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