JP4124965B2 - ゲル透過クロマトグラフィーを用いる重合体分布の分子量及び固有粘度の決定システム及び方法 - Google Patents
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Description
発明の分野
本発明は、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)計装装置からのデータの分析に関し、詳細には、データを分析して絶対分子量及び固有粘度を決定するコンピュータ・システム及び方法に関する。
【0002】
発明の背景
合成重合体の分子構造は、その最終用途、及び、硬度、引張り強さ、絞り性(drawability)、弾性係数及び溶融粘度のような、そのプロセス特性を決定する。合成重合体の分子構造を規定する最も重要な決定要素は、それらの繰り返し単位、それらの分子量分布(MWD)及びそれらの分子トポロジー(分岐化)の化学的性質である。
【0003】
ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)による重合体サンプルの分離及びそれに続く検出は、人が高分子サンプルの分子量分布(MWD)及び固有粘度法則(IVL)を決定するのを可能にする。IVLは、サンプルの分岐特性を明らかにすることができる。GPCに対して用いられる別の用語は、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)システムである。
【0004】
GPC分離において、本質的にその分子量ではなく分子の実効サイズが、その溶出容量を決定する。例えば、2つの重合体は、同じ分子量を有し得るが、しかし組成又は分岐トポロジーにおいて異なり得る。そのような相違は、異なる溶出容量を導くことができる。こうして、溶出容量は、単独で、サンプルの分子量分布を絶対的意味ではなく相対的な意味で決定する。
【0005】
分離に続いて、1つ以上の検出器は、溶離剤の流れの物理的特性を記録する。それはこれらのデータの数学的分析であり、その数学的分析からサンプルのMWD及びIVLを得ることができる。
【0006】
既知の分子量(MW)の狭い標準、即ち分子の中の全ての原子の原子量の和が利用可能であり、かつこれらの標準がサンプルと同じ重合体材料であるとき、分子量較正は、直接実行すべきである。狭い標準の注入は、クロマトグラフィー・カラム・セットのMW較正曲線(logMW対溶出容量)を決定する。これらの状況の下で、(屈折率(RI)検出器のような)単一の濃度検出器のみがMWDを決定することが必要とされる。
【0007】
そのような標準が利用可能でない場合、二重検出手法が、サンプルのMWDを検出するのに用いられることができる。第1の典型的な二重検出システムは、屈折率(RI)及び光散乱(LS)検出を用いる。第2の既知のシステムは、RI及び粘性(V)検出を用いる。そのような双方のシステムからのデータを用いて、サンプルのMWDを決定することができる。
【0008】
RI−V検出システムは、その固有粘度法則(IVL)のプロットを通して重合体の分子トポロジーの追加の決定を可能にする。サンプルのIVLは、その分子量の関数としてのその固有粘度である。固有粘度は、サンプルの比粘度(粘度計により測定される)のその濃度(濃度検出器により測定される)に対する比である。
【0009】
RI−V検出のケースにおいては、重合体較正標準は、MWD及びIVLを決定するため必要とされるが、繰り返し単位は、重合体サンプルの化学的性質と同じ化学的性質を有することを必要とする。RI−LS検出方法は、追加の較正標準を必要としない。
【0010】
両方のシステムに対して、RI検出器は、ピーク濃度プロフィールを測定するため用いられる。RI検出器の代わりに、適切に較正されたUV/Vの吸光度検出器、気化光散乱検出器(EVS)、又は赤外線(IR)検出器が同じ機能を実行するため代用され得る。
【0011】
LS及びV検出器は、通常「分子量感応」検出器と呼ばれる。そのような検出器は、サンプルの濃度と、その分子量をある数でべき乗したものとの積に応答する。
【0012】
濃度検出器と分子量感応検出器の組合わせは、典型的な分析から利用可能な情報内容を著しく増大させる。しかし、その利用可能な情報の増大は、データ分析の複雑さを拡大する。両方のシステムに対して、アルゴリズム方法は、サンプルのMWDを得るため検出器応答を分析するのに必要とされる。RI−Vシステムにおいて、追加のアルゴリズム方法は、サンプルのIVLを決定するため必要とされる。
【0013】
MWD及びIVLの正確さ及び精度は、それぞれのクロマトグラフィー・システムから得られるデータの質に依存するばかりでなく、またデータ分析方法論の詳細にも依存する。こうして、データ分析方法は、重合体のGPC分析における本質的要素となる。
【0014】
等分に離間した時間間隔で、分離されたサンプルがカラムから溶出し、検出器の流れセルを通るとき、各検出器は、分離されたサンプルの特性の測定値を記録する。狭い時間領域にわたり平均化された各測定値は、サンプルの分子量分布における狭い領域に対応する。単一の時間間隔に記録された測定値に対応する分子量領域は、「スライス(slice)」と呼ばれる。
【0015】
スライスは、そのスライス番号、その溶出時間、又はその溶出容量により参照され得る。典型的には、溶出容量は、スライスの溶出時間にポンプの公称流量を乗算することにより得られる。特定のスライスは、通常、一般性を失うことなく、そのスライス番号又は溶出容量により言及される。
【0016】
RI検出器、LS検出器及びV検出器を用いてそれぞれ、各スライスiに対して濃度ci、レイリー比Ri及び比粘度sp,iを測定する。
1対のクロマトグラフ・プロフィールが2つの検出器から得られる場合、それぞれの応答の比が有用な量を得るため形成されることができる。例えば、ci及びRiがi番目のスライスから濃度及びレイリー比の測定値である場合、比i=Ri/ciは、そのスライスの分子量に比例する。ci及びsp,iが濃度及び比粘度のスライス測定値である場合、比[]i=sp,i/ciは、スライスの固有粘度に等しい。
【0017】
MWD及びIVLの双方は、ピーク領域全体にわたり測定されることが必要である。典型的には、これは、これらの比に対して、パラメータ化された滑らかなモデルをスライス番号又は溶出容量の関数として適合させることにより達成される。比の対数log(Ri/ci)及びlog(sp,i/ci)の双方は溶出容量のほぼ線形関数である傾向をもち、そこで溶出容量の関数としての低次多項式は通常これらの量に適合される。
【0018】
主要問題は、検出器応答の中に存在する雑音がスライス測定値から計算された量の中に誤差を導入することである。GPCに用いられる既知の各検出器は、非理想的性質をそれらの応答の中に含む。典型的には、これらの非理想的性質は、2つのカテゴリー、即ち基線ドリフト及び確率的検出器雑音に分けられる。検出器雑音はまた、システム雑音と呼ばれる。熱的に安定化されたクロマトグラフにおける基線ドリフトは、基線訂正処置により正確に補償される。
【0019】
検出器雑音は、測定プロセスの既約成分である。この雑音の源は、基線における揺らぎとして見られ、幾つかの基本的現象の結果である。1つは、RI検出器及びLS検出器におけるような光源のショット雑音である。他の源は、全ての検出器の中の増幅器に関連した熱雑音、ポンプ流量の揺らぎ、及び熱変動である。微粒子、汚染物質及びあわもまた、追加の雑音成分を信号に追加する。
【0020】
これらの影響の正味の結果は、各スライス測定値に加えられる確率的雑音の中に現れる。そのような追加の雑音は、ゼロ平均、及び明確に定義された標準偏差を有する。雑音の標準偏差は、一般に、異なる検出器に対して異なるであろうが、しかし各検出器の雑音は、分離全体を通して一定である。
【0021】
スライス測定値の中の検出器雑音により誘発された誤差の影響は、量log(Ri/ci)及びlog(sp,i/ci)に誤差を導入することである。ciは分母であるので、これらの量における雑音は、濃度プロフィールにおける応答が低減するにつれ増大する。対数の故に、これらの量における雑音はまた、分子量感応検出器の応答が低減するにつれ増大する。こうして、log(Ri/ci)及びlog(sp,i/ci)における雑音は、クロマトグラフ・ピークの端部(前縁及び後縁)において著しく増大する。
【0022】
更に、ピーク端部近くで、応答における雑音は、比が負の値を有するようにさせる。負数の対数は定義されない。そのようなスライス・データを排除するのは結果を偏らせる。応答比の対数を扱うこの問題は、P.Tackx及びF.Fosscher著の最近の論文「多角度レーザ光散乱と結合されたサイズ排除クロマトグラフィーにおけるランダム雑音レベルに起因したシステム偏差(Systematic Deviations due to Random Noise Levels in Size Exclusion Choromatography Coupled With Multi Angel Laser Light Scattering)」(1997年、Anal.Comm.34、295−297頁)に十分記載されている。
【0023】
検出器の雑音の存在が与えられた場合、滑らかなモデルをlog(Ri/ci)及びlog(sp,i/ci)に対して完全なピーク・プロフィールにわたって適合させる仕方に関する問題が残っている。
【0024】
本発明以前においては、ピーク端部において、量log(Ri/ci)及びlog(sp,i/ci)が雑音により支配されているように見えた故に、量log(Ri/ci)及びlog(sp,i/ci)が有用な情報を含まなかったと決めてかかっていた。従って、モデルの最小2乗適合は、比の信号対雑音比(SNR)が高いピークの「心臓部(heart)」に限定された。ユーザは、モデルが適合される領域とモデル適合から排除すべき領域との間の境界画定を手動で決定することを要求された。
【0025】
しかしながら、MWD及びIVLをピーク全体にわたり決定するため、これらの量の値が、それにも拘わらず、ピーク端部において必要とされた。従来の操作は、モデル結果をピーク端部へ外挿することであった。Tackx及びFosscherが指摘するように、そのような外挿から得られた結果は、適合領域及び外挿方法の選定に対して著しく敏感である。
【0026】
発明の概要
本発明は、重合体サンプルの分子量分布(MWD)及び固有粘度法則(IVL)を決定するため検出器から取得されたデータに対して適用されることができる正確なデータ分析方法を提供する。
【0027】
本発明に従って、1対のクロマトグラフ・プロフィールが、2つの検出器から得られ、そして1組の応答が別の組みの応答の関数であるモデルと比較される。例えば、ci及びRiがi番目のスライスに対する濃度及びレイリー比の測定値である場合、量Riは、ciから得られたRiのモデルと比較される。ci及びsp,iがi番目のスライスからの濃度及び比粘度の測定値である場合、量sp,iは、ciから得られたsp,iのモデルと比較される。従って、この方法は、プロフィールの比及びこれらの比の対数を取る必要性を排除し、それによりピーク端部における領域を含む、ピーク・プロフィール全体にわたり作られたスライス測定値の使用を可能にする。
【0028】
本発明の第1の実施形態において、GPC又はSEC分離の技術及び2つ以上の検出器を用いて重合体サンプルのMWD及びIVを決定する正確な方法が提供される。
【0029】
本発明の第1の実施形態の第1の実施は、第1の検出器信号を取り出す最小2乗最小化を用いる方法を含み、そしてサンプル特性を表すパラメータ化されたモデル曲線を用いて初期モデル曲線を構成する。次いで、最小2乗最小化が、初期モデル曲線及び第2の検出器信号に関して実行され、最良モデル曲線及びパラメータを生成する。
【0030】
第1の実施形態の第2の実施は、2つ以上の検出器を用いるサンプルの分子量較正曲線を決定する方法を含む。濃度検出器からのデータが処理されてスライスが生成され、そしてlogM(対数分子量)対溶出容量を表すパラメータ化されたモデル曲線を用いた初期モデル曲線が、発生される。この初期モデル曲線は、濃度検出器からのスライスのレイリー比を表すため用いられる。光散乱(LS)検出器からの第2のデータが処理されてスライスのレイリー比が生成される。次いで、最小2乗最小化が、初期モデル曲線及び第2の検出器データからのスライスのレイリー比に関して実行され、最良モデル曲線及びパラメータをもたらす。次いで、サンプル分子量分布(MWD)が計算される。
【0031】
本発明の第1の実施形態の第3の実施は、2つ以上の検出器を用いたサンプルの固有粘度対溶出容量を決定する方法を含む。濃度検出器からのデータが処理されてスライスが生成され、そしてlog[]対溶出容量を表すパラメータ化されたモデル曲線を用いた初期モデル曲線が、発生される。この初期モデル曲線は、濃度検出器からのスライスの比粘度を表す。粘度計(V)検出器からの第2のデータが処理されてスライスの比粘度が生成される。次いで、最小2乗最小化が、初期モデル曲線及び第2の検出器データからのスライスの比粘度に関して実行され、log[]対溶出容量を表す最良モデル曲線をもたらす。
【0032】
本発明の第2の実施形態において、2つ以上の検出器からのデータを用いたサンプルのMWD及びIVLの同時決定が実行される。濃度検出器からのデータが処理されてスライスが生成される。初期モデル曲線が、このデータを用いて、またサンプルに対するlog[]対logMを表すパラメータ化されたモデル曲線を用いて、更に汎用較正曲線からのスライスの流体力学容量を用いて構成される。この初期モデル曲線は、スライスの比粘度を濃度検出器応答の関数として表す。粘度計(V)検出器からの第2のデータが処理されてそれぞれのスライスの比粘度が生成される。次いで、最小2乗最小化が、初期モデル曲線、及び第2の検出器データからのそれぞれのスライスの比粘度に関して実行され、log[]対logMを表す最良モデル曲線をもたらす。この最良モデル曲線から、IVL及びMWDが決定される。
【0033】
本発明の第3の実施形態は、比及び対数の使用を排除するため最小2乗最小化適合の再形成を含み、それによりその適合が全てのデータをピーク全体にわたり含むのを可能にする。
【0034】
本発明の第4の実施形態は、比較された量における雑音がピーク領域の全体にわたり変わる重み付けされた最小2乗最小化適合を用いることを含み、それにより最小2乗適合が、ピーク領域の全体にわたり実行されることができる。
【0035】
本発明の利点は、それが無信号、例えば、いずれかの検出器、又は両方の検出器からの、ゼロの周りで揺らぐ基線応答を含む領域の包含を可能にすることである。本発明の別の利点は、考慮下の2つのシステムにより決定されるように、サンプルのMWDの正確さと精度の改善をもたらす。更に、最小2乗問題は、雑音の多いデータの比又は比の対数を取ることを避けるため定式化される。また、本発明は、測定値誤差に対して、特にピークの端部において、かなり敏感でない。本発明は、第2の実施形態に対してIVLの正確さ及び精度の改善を与える。
【0036】
本発明の更に別の利点は、IV法則及び分子量較正が全てのスライス・データに対する単一の適合から推定されることである。追加の適合を実行することから生じるシステム誤差が回避されるように、複数回の適合及び外挿を実行する必要性が回避される。
【0037】
本発明の前述及び他の特徴及び利点は、添付図面と関係した、例示的実施形態の以下の詳細な説明からより十分に理解されるであろう。
【0038】
詳細な説明
本発明に従った分子量分布を分析するための例示的ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)システムが、図1に図示されている。溶媒貯留槽10は、溶媒ポンプ12により送出される溶媒を与える。注入弁13において、重合体サンプル14は、溶媒の流れの中に導入される。次いで、溶媒は、重合体サンプル14と共に、クロマトグラフ・ベッドを含む1組のカラム16を通る。次いで、溶媒は、検出器18を通り、そこにおける1つ又は幾つかの検出器は、その溶媒を分析し、重合体連鎖の存在及び特性を決定する。この情報は、矢印22により示されるように、データ・プロセッサ20に供給される。次いで、不用溶媒は、容器24に収集される。
【0039】
GPCカラム16は、細孔のある大きさの分布を持つ充填ビーズ(クロマトグラフ・ベッド)を含む。そのようなシステムの例示的実施形態は、両方ともWaters Corporation(マサチューセッツ州(01757)34 Maple Street Milford)により製造されたWaters150CV+GPC粘度計クロマトグラフィー・システム及びスティレーゲル(Styragel)カラムである。
【0040】
サンプル14を流体流れの中に注入することにより、サンプル14はカラム・セット16の中へ押し込まれる。細孔は、大きい分子を排除し、小さい分子を保持する。大きい分子は、比較的小さい実効容量を有するカラム・セットを知覚する。小さい分子は、比較的大きい実効容量を有するカラム・セットを知覚する。従って、大きい分子は最初に溶出し、小さい分子は遅く溶出する。検出器18は、カラム・セット16に続き、溶離剤の物理的特性を測定する。
【0041】
図2のデータ・プロセッサ20は、データベース26及びプロセッサ28を含む。データベース26は、磁気ディスク、テープ及び光磁気ディスクのような長期間記憶装置を含む。この例示的実施形態におけるデータベース26は、関係型データベースである。プロセッサ28は、情報を処理し生成するためデータベース26に記憶されているデータにアクセスし、その情報は、データベース26に戻すよう記憶され、又はワークステーション30に表示され、又はプリントされ(図示せず)得る。データ・プロセッサ20はまた、A/D(アナログ/ディジタル)変換回路、サンプル及びホールド回路及び他の装置(図示せず)を含む、データ22を処理し変換するための装置を含んでよい。
【0042】
例示的実施形態において、データ・プロセッサは、マイクロソフト・ウインドウズ(登録商標)95又はウインドウズNTを実行するインテル・ペンティアム(登録商標)ベースのパーソナル・コンピュータのような汎用コンピュータである。処理アプリケーション・ソフトウエアは、マサチューセッツ州MilfordのWaters Coporationにより製造されたミレニアム32(Millennium32)(登録商標)である。ミレニアム32は、クロマトグラフィー操作者が装置を制御し、検出器から得られたデータを取得し、記憶し、検索するのを可能にするクロマトグラフィー情報及びシステム・マネジャである。それはまた、クロマトグラフィー操作者がそのデータを処理し、処理された結果を図形及び表形式で記憶し、検索し、表示し、及びプリントするのを可能にする。
【0043】
ミレニアム32ソフトウエア製品は、幾つかの構成要素を含む。1つのソフトウエア構成要素は、装置(溶媒ポンプ12、自動注入器13及び検出器18)を制御し、データを(主に検出器から)取得する。別の構成要素は、情報を記憶し供給するオラクルのデータベースであるデータベース26である。
【0044】
別の構成要素は、情報を処理し、情報をデータから抽出し、それをレポートに与えるアプリケーション・ソフトウエアである。レポート発生器は、ユーザがレポートを作成し、管理し、プリントするのを可能にする。グラフィック・ユーザ・インタフェース(GUI)は、ユーザがモニタ30からの全てのこれらのサブシステム及び構成要素と対話するのを可能にする。本発明の例示的実施形態は、ミレニアム32のデータ処理構成要素内で実施される。
【0045】
2つのカテゴリーの検出器は、ミレニアム32に対して信号入力22を与えることができる。一方のカテゴリーは、Watersにより製造された検出器から構成され、他方のカテゴリーは、第三者の検出器を含む。Watersの検出器からの出力は、IEEE−488インタフェースを介して通信する(IEEE−488は、プログラマブル装置(Programmable Instrumentation)用IEEE基準ディジタル・インタフェース、即ちANSI/IEEE基準488−1987である。)。検出器からの信号は、IEEE−488ケーブル上のアナログ形式である。IEEE−488ケーブルは、当該技術において既知のように、PCマザーボード上のISAスロットにプラグ・インされた印刷回路板を介してミレニアム32に接続する。この印刷回路板は、BusLACEと呼ばれるWaters製品である。BusLACEは、信号をディジタル化し、PCと通信する。IEEE−488インタフェースは、デイジーチェーン・ネットワークとして実施され、それにより複数の検出器モジュール及び装置がBusLACE上の1つのIEEE−488コネクタにプラグ・インすることができる。
【0046】
第三者検出器18からの出力22は、アナログ形式であると仮定する。検出器出力信号は、遮蔽されたケーブル内に包囲された1対のワイヤ上に印加される。遮蔽されたケーブルは、SAT/IN(衛星入力)と呼ばれるWaters電子機器ハードウエアの1つに接続する。SAT/INは、アナログ入力を2つの装置から取り込み、そしてアナログ入力信号をディジタル化する。SAT/INの出力はRS−232線であり、そのRS−232線は入力をBusLACEへ与える。こうして、BusLACEは、2つの全く異なるタイプの入力、即ちWatersハードウエアからのIEEE−488信号、及び第三者検出器からのRS−232信号を受け入れる。
【0047】
検出器18は、屈折率(RI)検出器、光散乱(LS)検出器、及び粘度計(V)検出器を含む。
RI検出器は、溶液の屈折率に応答する。この検出器の出力が与えられた場合、検出器の基線応答を差し引きかつサンプルに対して屈折率の増分dn/dcで除算することにより、i番目のスライスに対するサンプルの濃度プロフィールciが与えられる。
【0048】
RI検出器を用いて、ピークの濃度プロフィールを測定する。適切に較正されたUV/Vis吸収検出器又は蒸発光散乱検出器(EVS)は、同じ機能を実行するためRIkeの代わりに代用され得る。濃度検出器として働き得るいずれの検出器は、RI検出器の代わりに用いることができ、本発明の範囲内である。一例のRI検出器は、Waters CorporationからのWaters150CV+GPC粘度計クロマトグラフィー・システムである。
【0049】
LS検出器は、光を散乱することによりサンプルに応答する。検出器の基線応答を差し引きかつ検出器較正処置を適用することにより、各スライスに対して、サンプルRiに起因する過剰レイリー比が与えられる。一例のLS検出器は、カリフォルニア州Santa BarbaraのWyatt Technology Corp.からのミニDAWN3角度レーザ光拡散検出器である。
【0050】
粘度計(V)検出器は、サンプルに溶媒を加えたものの粘度に応答する。検出器の基線応答を差し引きかつ基線の粘度で除算することにより、各スライスに対するサンプルの比粘度sp,iが与えられる。一例のV検出器は、Waters CorporationからのWaters150CV+GPC粘度計クロマトグラフィー・システムに組み込まれている検出器である。
【0051】
LS検出器及びV検出器は、通常、検出器の応答がサンプルの分子量のある関数により乗算されたサンプルの濃度に比例する点で、「分子量感応」検出器と呼ばれる。光散乱のケースにおいて、LS検出器は、濃度と分子量の積に応答する。粘性(V)検出のケースにおいて、粘度計は、分子量の累乗により乗算された濃度に応答する。
【0052】
従って、各スライスに対して、検出器は、そのスライスに対して、濃度ci、過剰レイリー比Ri及び比粘度sp,iを与える。
重合体サンプル14は、連鎖長の分布を含む。サンプルのMWDは、分子量の単位間隔当たりの相対質量(又は濃度)により表されることができる。重合体の合成を支配する動力学のため、これらの分布は、通常、図3に図示されるように、MWの対数の単位当たりの相対質量により表される。水平軸はlogMWであり、垂直軸は任意である。前述のように、分布のlogMWにおける狭いがしかし限定された間隔は、スライスと呼ばれる。
【0053】
説明のため、図3に示されるシミュレートされたMWD 35が用いられるであろう。カラムに注入された質量が与えられたとすると、このプロフィールは、正規化され、dm/d(logM)、即ちMWの単位対数間隔当たりの質量を与える。
【0054】
図5は、カラム・セットの分子量較正曲線をプロットし、それはMWの対数対溶出容量である。図5におけるx軸は溶出容量であり、y軸はlogMWである。高い分子量端Voにおける漸近線は排除された合計容量を表し、低い分子量端Vtにおける漸近線は合計カラム容量を表す。
【0055】
この線は、細孔サイズ分布によりセットされたカラムに関する限界を表す漸近線を高いMW及び低いMWにおいて有する。各漸近線は、高い分子量端Voにおいてビーズにより排除された容量を表し、そして低い分子量端Vtにおいて合計カラム容量を表す。理想的には、VoとVtとの間に、logMW対溶出容量のプロットが殆ど線形である溶出領域がある。この較正曲線はサンプルに依存し、そして、それはまた、溶媒、カラム及び温度の選定に依存する。
【0056】
MWDに適用される図5のカラム較正は、図6にプロットされるように、サンプルがカラム・セットから溶出するときのサンプルの濃度対溶出容量39又はc(V)を与える。x軸は溶出容量であり、y軸は濃度である。
【0057】
各重合体サンプルは、dn/dc、即ちサンプル濃度の単位変化当たりの溶液の屈折率の変化により表される屈折率増分を持つ。濃度プロフィールに屈折率増分dn/dcを乗算することにより、図7における屈折率対溶液容量のプロット40が与えられる。これは、RI検出器応答のシミュレーションである。
【0058】
過剰レイリー比は、入射光の波長λが重合体連鎖のサイズに匹敵するかそれより大きいとき、重合体連鎖により散乱された入射光の割合を表す。強度Ioの偏光されてない光の入射ビーム、低いサンプル濃度c、低い散乱角θ及び小さい粒子サイズを仮定する。溶液の単位容量の中のサンプルが光をビームに関して方向θの方に散乱させると仮定する。サンプルにより散乱されかつ距離rで受け取られた光の強度のその部分I(θ)は、次式により与えられる。
【0059】
【数1】
【0060】
ここで、K*は、次式のように、数値的かつ物理的定数によって表される光学的定数である。
【0061】
【数2】
【0062】
ここで、NAはアボガドロ数であり、noは溶媒の屈折率である。
装置のジオメトリーに依存するよう定義される過剰レイリー比は、次式により与えられる。
【0063】
【数3】
【0064】
従って、小さい角度においては、スライスiに対して、式(1)は次式のようになる。
【0065】
【数4】
式(4)Ri=ciMiK*
そのため、過剰レイリー比は、単純に、スライスの濃度ci、分子量Mi及び光学的定数K*の積である。
【0066】
過剰レイリー比対溶出容量42がまた図7に図示されている。レイリー比は、図6の濃度プロフィールにおける各スライスにMiK*を乗算することにより得られる。これは、LS検出器により測定されたプロフィールのシミュレーションである。
【0067】
比粘度spは、サンプルが粘度計の中に存在することに起因する粘度の部分的増分である。一定流量では、毛管Pの両端間の圧力降下は、毛管を流れる液体の粘度に比例する。Poが溶媒のみに起因する圧力降下である場合、溶液の中に重合体を含むスライスの比粘度spは、次式により定義される。
【0068】
【数5】
【0069】
ここで、Pは重合体プラス溶媒の溶液に起因する圧力降下である。この式は、spが重合体を溶媒に追加することにより生じた粘度の増大の尺度となることを示す。
【0070】
各スライスは固有粘度[]を有する。固有粘度(IV)は、低い濃度の制限内においてスライスの比粘度spをその濃度cで除算した比として定義される。
【0071】
【数6】
【0072】
GPC分離において、濃度は、スライスに対する固有粘度が次のようにスライス比であるよう取られる程十分低い。
【0073】
【数7】
【0074】
重合体の固有粘度は、その分子量と共に変わる。固有粘度法則(IVL)は、サンプルの固有粘度の対数がその分子量の対数に依存することを表す。
分岐していない重合体に対して、IVの対数は、一般に、連鎖の分子量の対数に比例する。経験的なマルク−ホウインク(Mark−Houwink)固有粘度法則は、この線形関係を次式のように表す。
【0075】
【数8】
式(8)log[η]i=logK+αlogMi
この式は、マルク−ホウインク定数K及びαのパラメータにより表されている。
【0076】
重合体は分岐することができる。ジム(Zimm)及びストックメイヤー(Stockmeyer)は、長い連鎖で分岐した重合体の物理的モデルを開発し、それは1949年、Chem.Phys.17、1301−1314頁においてZimm,B.及びStockmeyer,W.により表され、それは本明細書に援用されている。この研究から出発して、長い連鎖の分岐している重合体に対する固有粘度を表すモデルが開発され、それはジム−ストックメイヤー(ZS)法則と呼ばれる。
【0077】
ZS法則において、分布の固有粘度は、4つのパラメータK、α及びλにより表される。
ZS法則は、低分子量で、重合体は本質的に分岐しないと仮定する。この体制においては、固有粘度法則は漸近的に直線である。低分子量での固有粘度法則の漸近的勾配は、マルク−ホウインク定数K及びαにより表される。
【0078】
高分子量において、分岐が優勢であるとき、固有粘度法則の漸近的勾配は、αより小さく、(α−/2)により与えられ、それは重合体の形状係数である。それに対する値は、重合体/溶媒系により決定される。例えば、それは、TCBにおける分岐したポリエチレンに対してほぼ0.9である。それに対する値は、0.5から1.5までの範囲に分布する。
【0079】
重合体が分岐する分子量は、分岐確率により表される確率的プロセスである。値λは、1ダルトン当たりの分岐確率として定義される。λに対する典型的な値は1ダルトン当たり0.00001である。
【0080】
各スライスiに対するZS法則の固有粘度は、そのスライスの分子量Miの関数であり、パラメータK、α、λに依存し、次式のとおりである。
【0081】
【数9】
【0082】
ZS法則は、2つの有り得るタイプの分岐した重合体、即ち、3分岐点及び4分岐点を表すため実施される。
3分岐点に対する係数はc1=9/4及びc2=7である。4分岐点に対する係数はc1=3/4及びc2=6である。図4は、ジム−ストックメイヤーIV法則を図示する。3つの固有粘度法則がプロットされ、それらは、マルク−ホウインク法則36、ジム−ストックメイヤー法則37及び多項式法則38である。
【0083】
第3の固有粘度法則(多項式)は、単純に、多項拡張に基づくサンプルの固有粘度の経験的記述である。この「法則」は、次のようにマルク−ホウインク法則の拡張と見なすことができる。
【0084】
【数10】
【0085】
ここで、Nは多項式の次数であり、K及びαはマルク−ホウインク定数である。
比粘度は、図6の濃度プロフィールにおける各スライスにそのスライスに対する固有粘度法則(IVL)を乗算することによりシミュレートされる。そのスライスに対するIVは、図4にプロットされた、IVL曲線37から得られる。図7は、粘度計の検出器から得られるであろう比粘度対溶出容量のこのシミュレーション、即ちプロット44をプロットする。
【0086】
従って、図7は、図6に表された濃度プロフィールに対する装置応答に基づく検出器プロフィールを図示する。シミュレーションを完成させるため、検出器雑音の適当なレベルが、シミュレートされた各信号に対して加えられねばならない。図8は、各検出器応答に基線雑音を加えた後のプロフィールを図示する。RI検出器40′、LS検出器42′及びV検出器44′の各応答が示されている。図7及び図8において、それぞれのプロフィールは、正規化され、プロットにおける明確さのため同じピーク高さを有する。
【0087】
カラム・セット及び溶媒を所与のサンプルと共に含む、所与のクロマトグラフ・システムに対して、保持容量は、連鎖の分子量の単調減少関数である。logMW対溶出容量のプロットは、サンプルに対する分子量較正と称される。
【0088】
理想的には、この曲線は、それが全てのサンプルに対して適用するであろうという意味で汎用であろう。不都合にも、この曲線は、サンプルに依存(並びに、溶媒及びカラム・セットに依存)する。
【0089】
所与のカラム、溶媒及びサンプルの組合わせからMW較正曲線を決定する演繹的手段はない。実際に、MW較正曲線は、収集されたデータを採用する較正手順により決定されねばならない。
【0090】
RI−LS検出に対するMW較正の基礎は、各スライスに対するレイリー比、分子量及び濃度間の関係である。この関係は、ゼロ角度及び低サンプル濃度での拡散の限界においてのみ考慮される必要がある。この限界において、これらのパラメータ間の関係は、次式のとおりである。
【0091】
【数11】
【0092】
より一般的なレイリー拡散法則は、拡散角度に関する過剰レイリー比、分子の回転半径、及び第2のビリアル係数への依存性を含む。本発明の方法は、このより単純な表現(式)か、又はより複雑な表現(式)かのいずれかに対して適用する。
【0093】
式(11)により表される関係の意味は、RI検出器及びLS検出器の応答(曲線40及び42、又は40′及び42′)のみがサンプルの分子量較正曲線を得るため必要とされることである。
【0094】
検出器雑音が存在しない場合、RI及びLSのプロフィールは、図7におけるように、雑音が無く、サンプルのMW較正及びMWDは、直接得られるであろう。式(11)に続いて、各スライスiに対して42、即ちRiのLS応答は、40、即ちそれぞれのRI応答ciにより除算されるであろう。その結果生じる比をK*により除算することにより、そのスライスに対する分子量Miの測定値が得られる。logMi対溶出容量のプロットは、サンプルの分子量較正曲線を正確に決定し、それは、図5においてプロットされた曲線に正確に対応するであろう。RI応答により表される濃度分布40と組み合わされて、図3に示されるシミュレートされた正確なMWDが再生されるであろう。
【0095】
検出器雑音が常にRI及びLSのプロフィールに存在するので、先の方法は、ピークの中央領域においてのみ許容可能である結果を与えるであろう。図8に図示されている現実の状況を参照すると、各スライスiに対して、42′、即ち雑音に影響されたLS応答Riが40′、即ちそれぞれの雑音に影響されたRI応答ciで除算される。各スライス−比はK*で除算され、そしてlogMi対溶出容量のプロットは、図9に46としてプロットされている。
【0096】
従って、図9は、式(11)の直接適用を通して図8のRL−SLスライス・データから得られた分子量較正曲線46を図示する。雑音の存在は、このlogMの推定に影響を及ぼすのは明らかであり、そのlogMは、ピークの端部領域における高い振幅を有して揺らぐ。
【0097】
これらのスライスにより決定された数を、分布の端部におけるMWの推定として直接用いることは明らかな誤りであろう。例えば、分子量較正は、溶出容量が増加するにつれ単調に増加しなければならない。
【0098】
従来技術においては、MWDを推定するため、用いられた手法は、各スライスに対して比の対数、
【0099】
【数12】
logMi=log(Ri/(K*ci))
を最初形成することである。第2のステップは、低次の多項式曲線をlogMi対溶出容量に適合させることである。適合された低次の多項式はこの分離に対するカラム・セットのMW較正に対して正確に表すと仮定する。低次の多項式以外の他の滑らかな曲線を用いることができる。
【0100】
従来技術において、最小2乗適合処置は次のとおり表されることができる。
【0101】
【数13】
【0102】
ここで、右辺の左の項は、RI検出器応答とLS検出器応答の組合わせから各スライスに対して推量された分子量である。右の項は、一例として用いられる多項モデルであり、その形状は、パラメータ値P0,…,PMにより特定される。
ここで、その項は、
【0103】
【数14】
【0104】
であり、値iは、溶出容量スライスの指標である。関数Fi(P0,…,PM)は、スライスiに対する分子量の対数である。従って、
【0105】
【数15】
logMi=Fi(P0,…,PM)
及びこの関係は、分子量較正曲線をスライスiの関数として表す。
【0106】
記号Mは、本明細書において2つの意味で用いられている。スライスに言及するとき、M又はMiは、分子量を表す。しかし、多項モデル曲線に言及するとき、Mは、その展開式における最高次の指数であり、モデル曲線は、M+1個の調整可能なパラメータP0,…,PMにより特定されるであろう。汎用モデル曲線に言及するとき、Mは、そのモデル曲線を特定するため必要とされる調整可能なパラメータの最大数であり、従ってモデル曲線は、P1,…,PMのパラメータにより表されるであろう。記号Pは、文脈に応じてパラメータP0,…,PM、又はP1,…,PMの組を表すであろう。
【0107】
関数Fi(P0,…,PM)は、独立のスライス指標iの関数として表される。Fは、そのような溶出容量又は溶出時間のような、スライス指標に比例する値によって等価的に表されることができる。
【0108】
式(13)において、加算がスライスのi=1からNまで実行される。但し、Nはスライス数である。M+1個のパラメータP0,…,PMは、X32を最小化するP0,…,PMのそれらの値を見つける適切な最適化アルゴリズムにより調整される。この手段により、モデル曲線を決定する最小2乗解法、
【0109】
【数16】
【0110】
が、得られる。
RI−LS検出に対して、この最小2乗適合の定式化は、3つの周知の問題を有し、それらの全ては、ピークの端部で生じ、そして検出器の雑音がRi及びciデータの中に存在するためである。最初の問題は、この雑音のため、Ri又はciが端部で負に揺らぐことがあり、そのため比が負であり得る。対数は、負の量に対して定義されない。第2に、項log((Ri/ci)×(1/K*))において誘発される雑音は、対数がその独立変数(argument)の線形関数でないので、平均値に関して対称でない。第3に、項log((Ri/ci)×(1/K*))において誘発される雑音が、ピーク端部において大きくなる。
【0111】
従来技術において、これらの制限は、曲線
【0112】
【数17】
【0113】
が適合される領域を限定することにより対処されてきた。適合領域は、一般的に、ピークの心臓部をまたがるよう選定されている。次いで、この適合からの結果は、端部へ外挿される。しかし、多項式モデルの外挿は、一般的に、信頼できない結果を与える。更に、多項式適合のための領域、及び外挿される領域を特定する仕方が明瞭でない。適合の結果は、この適合領域の選定に対して非常に敏感である。
【0114】
本発明に従った方法は、最尤法の理論に基づいており、その最尤法は、本明細書に援用されるB.R.Martin著「物理学者のための統計学(Statistics for Physicists)」(1971年、Academic Press,London及びNew York)の85−89頁に記載されているように、多変量モデルにおけるパラメータの最適推定を与える。
【0115】
多変量曲線を、確率的雑音を含むデータに適合させることは、データの統計的分析における共通問題である。最尤法の理論は、バイアスされてなくかつデータの中の雑音に対して最小感度を有するパラメータ値を見つける仕方を示す。理論の一部は、後述のようにRI−LS及びRI−Vデータの分析に適用される。
【0116】
RI検出器、LS検出器及びV検出器の中の確率的雑音は、最も共通のタイプの装置雑音に対応し、その最も共通のタイプの装置雑音は、加法的であり、ゼロ平均を有し、そして標準偏差のパラメータにより表されるガウス分布により表される。これらの統計学により表される雑音に対して、重み付けされた最小2乗適合に基づく推定手順は一般的に最適である。
【0117】
本発明に従った重み付けされた最小2乗方法において、最初のステップは、1組のデータdiで始まり、そこでiは1からNまで移動し、但しNは測定値の合計数である。そのデータは、モデルDi(Pi,…,PM)で表され、ここでM個のパラメータPは、モデル値Diを表す。モデル値Diは、データ値diを説明することができる多項式曲線のような関数から導出される。各データdiは、ゼロ平均で標準偏差σiのガウス分布を有する雑音だけモデルから偏移する。
【0118】
パラメータPの最適(雑音に対する感応が最小である)推定は、X2に対する以下の式を最小にするそれらのパラメータ値を見つけることにより得られる。
【0119】
【数18】
【0120】
量2は、2組の量dとDの差の関数である。量2は、2組の量dとDの2点間の差の2乗の和である。加算における各項は、dに対する値とDに対する値の2乗差であり、そしてそこにおいてこの差は、標準偏差σiの2乗により重み付けされる。
【0121】
σiに対する正しい推定を得るため、相対雑音値のみが重要である。例えば、全ての項は、同じ雑音分散を持つ場合、全ての項に対してσi=1をセット(重み付けされない最小2乗)することは、パラメータに対して正しい値を依然生じるであろう。
【0122】
次いで、最小2乗適合は、量2を最小にするそれらのパラメータPを見つけることにより実行される。量2を最小にするPのそれらの値は、最小2乗の意味においてデータを最良に適合させるDのモデルを表す。
【0123】
最小2乗適合が実行されるため、アルゴリズムを用いて、量2を最小にするパラメータP1,…,PMを見つけなければならない。いずれの最小化手順におけるように、P1,…,PMに対する最終値は、量2の中の最小が実際に見つけられる限り、最小化を実行するため採用されるアルゴリズムの詳細に依存しないであろう。
【0124】
一般的に、そのような最小化手順は、初期パラメータ値が見つけられ、かつ量2に対する初期値が計算されることを要求する。次いで、これらのパラメータは、量2の最小が見つけられるまで繰り返し調整される。
【0125】
以下に説明される量2の定式化において、初期パラメータ値の決定は、種々の標準方法により達成されることができる。そのような方法は、期待された最終パラメータ値の近似値を求めるため知られている値の手動推定、パラメータの典型的な値の採用、又は分析されるべきデータのサブセットから初期パラメータ値を決定する別個のアルゴリズムの実行を含む。
【0126】
以下に説明される定式化において、パラメータの後続の反復調整は、種々の標準偏差により達成されることができる。N個の変数の関数の最小を見つける方法は、ニュートン−レフソン(Newton−Raphson)、レーベンベルグ−マルカッド(Levenberg−Marquadt)、単体(simplex)、勾配探索(gradient search)、及び力任せ探索(brute force search)を含む。そのような反復調整手順は、本明細書に援用されている、S.A.Teukolsky、W.T.Vetterling及びB.P.Flannery(Univ.of Cambridge)著「C、科学的計算技術、第2版(C,the Art of Scientific Computing,Second Edition)」(1992年、W.H.Press発行)の394−455頁に記載されている。
【0127】
従来技術において、RI−LSデータに対する最小2乗適合手順は、次のように表される。
【0128】
【数19】
【0129】
量2に対する上記の式は、最小2乗最小化であり、それは、一瞥では最適推定の理論に基づいているように見える。しかしながら、そうではない。
従来技術において、データ・モデルは正しい。なぜなら、多項式
【0130】
【数20】
【0131】
が一般的に分子較正曲線の適切な表示であるからである。しかし、雑音モデルは正しくない。
log((Ri/ci)×(1/K*))における測定誤差は、非ガウス的(non−Gaussian)であり、そしてゼロに関して非対称である。また、各項の雑音分散が異なるにも拘わらず、重み付け係数がない。
【0132】
従来技術の方法において、重み付けされない最小2乗は、パラメータの推定において、過剰雑音を含む項の影響を増大させかつ良好な信号対雑音を有する項の影響を低減する効果を有する。
【0133】
最小2乗モデル適合の全ての実行は、2組の量を比較しなければならない。式(14)において、比較される量は、データ点d及びデータ点Dのモデルである。RL−LS検出において、比較するための3組のスライス依存量が存在する。これらは、LS検出器により測定されたレイリー比Ri、RI検出器により測定された濃度ci、及びスライスの分子量対溶出容量に対するモデル
【0134】
【数21】
【0135】
である。
最小2乗最小化の定式化の2つの連続的改良をここで説明する。最小2乗最小化の第2の定式化は、最適推定理論と一致する。全ての定式化は、従来技術におけるように、測定された同じデータ値、及びデータの同じパラメータ化されたモデルを用いるが、しかし最小2乗適合を実行する際に異なる量を比較する。異なる量を比較することは、雑音モデルに変化をもたらす。
【0136】
第1の改善は、式(15)における両方の項を累乗化することにより対数を除去する。次いで、最小2乗比較が修正され、次のようになる。
【0137】
【数22】
【0138】
この再構成は、対数に起因する偏りを除去し、Riの負の値を含むことを可能にする。しかしながら、ciが分母にあるので、ピーク端部におけるciの小さい値は、この比に大きな揺らぎを生じさせるであろう。
【0139】
第2の改善は、両方の項にciを乗算して、比較するための新しい量に到達する。
【0140】
【数23】
【0141】
この再構成は、ciに対する値が小さいことを可能にする。
濃度ci、光学的定数K*及び多項式モデルFの積は、レイリー比Riと比較される。Ri及びciの誤差がゼロ平均を有すると仮定され、かつガウス分布されるので、式(18)の右辺の各項の誤差はまた、ゼロ平均でありかつガウス分布するであろう。
【0142】
式(18)の定式化において、Riに対する測定値がゼロと一致していてかつ実際に雑音に起因する負の値を有する点を含む、適合における全てのプロフィール・データを含むことができる。これは、分布の端部におけるデータを用いる問題を解決する。従って、上記式を用いて、端部を含む、ピーク領域全体にわたりデータに対して適合させることができる。
【0143】
ゼロに近いRiに対して値を適合させることができることは、RI−SLデータの適合において重要な利点を表す。ゼロに近いそのようなデータの包含は、モデル適合に制約を加えるのを助ける情報を加える。負に行く揺らぎの包含は、実際に、従来技術の方法で用いられなかった適合に対して有効な情報を与える。
【0144】
式(18)におけるモデルFiは、多項展開として表される。しかしながら、本発明は、この多項展開の代わりにいずれのパラメータ化された滑らかなモデル曲線を組み込むことができる。
【0145】
式(18)は、重み付けされない最小2乗に対応する。一般的に、RL−LSシステムにおいて、RI測定値の中の雑音は、RIプロフィールにおけるピーク先端の信号対雑音比(SNR)がLSプロフィールのピーク先端におけるSNRより高いという意味でLS測定値の中の雑音より小さい。LS測定値のみが雑音が多く、かつRI測定値が本質的に無視し得る雑音を有すると仮定される場合、重み付けされない最小2乗は、パラメータPの最適かつ最尤推定を生じる。
【0146】
図10は、シミュレートされた分離に対するlog((Ri/ci)×(1/K*))対各スライス番号を曲線50としてプロットする。モデル
【0147】
【数24】
【0148】
を計算した2つの異なる方法が、スライス・データ上に重ね合わされている。1つは、式(18)の最小2乗定式化においてx2を最小にすることによるもので、曲線52を与える。他方は、式(15)の最小2乗定式化においてx2を最小にすることによるもので、曲線54を与える。曲線56は、図5にプロットされた曲線56の中央部分に対応する真のlogM較正曲線である。例示的方法により生成された曲線適合は、分布の端部での雑音に無感応である。従来技術の方法により生成された曲線適合は、分布の端部で雑音が優勢である。
【0149】
測定された量ciは、雑音を含むものである。注目したように、最小2乗定式化は、次のようにそれを含むよう一般化することができる。
【0150】
【数25】
【0151】
ここで、iは次のように両方の項からの分散を考慮することができる。
【0152】
【数26】
【0153】
ここで、i及びiは、LS検出器及びRI検出器と関連した誤差の標準偏差である。括弧の中の項は、これらの雑音源の相対的寄与を調整し、それによりそれらは、分子の分散に一致する。ここで、σiに対する値は、LS検出器及びRI検出器における組み合わされた誤差を表す。この定式化は、正確に、パラメータP0,…,PMの最適推定を与えかつ最尤理論に一致する定式化である。
【0154】
たとえciが著しい雑音を含んでいても、重み付けされない最小2乗、即ち式(18)を依然用いることができる。重み付けされない最小2乗を用いる場合、適合の中の全てのデータは、依然含まれることができる。パラメータ値の推定は、依然偏移されていない。重み付け関数の省略は、プロフィールにおける検出器雑音の存在に対してやや増大した感度をもたらすであろう。
【0155】
式(18)における量の追加の再構成は、最小2乗定式化が
【0156】
【数27】
【0157】
を比較するように実行されることができる。RI測定値の中の雑音がLS測定値の中の雑音より大きいとき、この再構成は、重み付けされない最小2乗を用いて、パラメータPの最適推定を与える。
【0158】
次に考慮すべきことは、屈折率検出器及び粘度計(RI−V)による検出である。RI−V検出の目的は、サンプルのMWD及びそのIVLを決定することである。これらの決定は、両方とも汎用較正の仮定を利用する。
【0159】
サンプルのMWDを決定するため、我々は、最初に、サンプルの分子量較正曲線、即ち分子量の対数であるlogMi対スライス番号又は溶出容量を決定しなければならない。サンプルのIVL、即ちlog[]i対logMiを決定するため、我々は、最初に、log[]i即ち固有粘度対溶出容量を決定しなければならない。log[]iをlogMiと組み合わせることにより、サンプルの固有粘度法則が与えられる。
【0160】
粘度計はサンプルの比粘度を決定し、そしてRI検出器は各スライスにおけるサンプルの濃度を決定する。スライスの固有粘度は、その比粘度のその濃度に対する比である。固有粘度は、広いサンプル分布における各スライスに対して次のように計算される。
【0161】
【数28】
式(21) [η]i=ηsp,i/ci
ここで、下つき文字iはi番目のデータ・スライスを意味し、そして[]iはスライスiの固有粘度であり、sp,iは比粘度であり、ciはスライスの濃度である。
【0162】
ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)分離において、その分離は、重合体連鎖とクロマトグラフ・ベッドとの間のサイズに依存するが質量に依存しない相互作用による影響を受ける。Benoit[J.Polym.Sci.,PartB,5,753(1967年)の中のZ.Grubistic、R.Rempp及びH.Benoit論文(これは本明細書に援用されている。)]により導入された汎用較正(Universal Calibration)の仮定は、連鎖の溶出容量は連鎖の流体力学容量にのみ依存するということである。流体力学容量は、化学種(species)の分子量にその固有粘度を掛けた積であるよう定義される。スライス量に関して表すと、この関係は次のとおりである。
【0163】
【数29】
式(22) Hi=Mi[ηi]
この定義の物理的重要さは、固有粘度の定義を代用して次式を得ることにより認められることができる。
【0164】
【数30】
【0165】
それは、分子の化学種の数密度である。従って、流体力学容量は、固有粘度とは対照的に、連鎖当たりの粘度を測定する。なお、固有粘度は、単位濃度当たりの粘度を測定する。
【0166】
各スライスに対する流体力学容量は、既知の分子量の狭い重合体標準の使用により得られる。RI−V検出は、各標準に対する流体力学容量を決定する。標準の流体力学容量対溶出容量をプロットすることができ、そして重合体曲線がこのデータに適合され、流体力学容量較正曲線を決定する。この曲線は、狭い標準により架けられた(spanned)各スライス又は溶出容量に対するカラムの流体力学容量を与える。この曲線は、カラム・セットの汎用較正か、又は流体力学容量較正曲線かのいずれかと称される。
【0167】
汎用較正の仮定は、粘度計及びRI検出器から得られた応答を用いて、サンプルの分布の絶対分子量分布を計算する方法に導く。汎用較正曲線(universal calibration curve)からの各スライスに対する流体力学容量、及び各スライスから得られた固有粘度の値が与えられると、我々は、単純に上記定義から各スライスの分子量を計算することができる。
【0168】
【数31】
【0169】
log[]i及びlogMiを決定するための式(21)及び式(24)の直接的適用は、ピーク先端上に中心付けされたピークのその部分に対してのみ可能である。光散乱のケースにおけるように、これらの量の中の雑音は、ピーク端部で著しく増大する。それは、量log[]i及びlogMiは双方、量log(sp,i/ci)に依存し、それは雑音の影響を受けた検出器応答の対数を取ることを要するからである。
【0170】
特に、式(24)の比からの分子量の計算は、通常、分布の端部で物理的に意味のある値を生成しないであろう。即ち、スライス比から計算された分子量に対する値は、溶出容量の増大と共に単調に低減しないであろう。プロフィールの開始点及び終了点の近くで、それらは、各スライスに対する[]iの計算における検出器雑音の影響のため負となるよう計算することができる。
【0171】
しかしながら、logMi及びlog[]iの双方は、ピーク端部を含む、ピーク領域全体にわたって測定されることが必要である。再び、RI−LSのケースにおけるように、これは、通常、パラメータ化された滑らかなモデルをlogMi及びlog[]iに対してスライス番号の関数又は溶出容量の関数として適合させることにより達成される。量logMi及びlog[]iの双方が溶出容量のほぼ線形関数である傾向であるので、溶出容量の関数としての低次の多項式は、通常これらの量に適合される。
【0172】
従来技術の操作のデータ分析が、各スライスに対して測定された固有粘度の対数対溶出容量のためのモデル曲線を決定する方法がここで説明される。次の形式の式が用いられる。
【0173】
【数32】
【0174】
ここで、log[]iは、固有粘度をスライスi及びM個のパラメータP0,…,PMの関数として表すモデル曲線であり、従って次式のとおりである。
【0175】
【数33】
【0176】
パラメータP0,…,PMは、量2に対する値を最小にするよう調整される。典型的には、
【0177】
【数34】
log[]i=log[(;P0,…,PM)]
に対する形式は、低次の多項式であり、従って次式のとおりである。
【0178】
【数35】
【0179】
しかしながら、本発明は、この多項展開の代わりにいずれのパラメータ化された滑らかなモデル曲線を組み込むことができる。
加算における各項は、スライス値の対数とモデル曲線から得られた固有粘度との間の比較である。この最小化は、固有粘度対スライス番号又は溶出容量を表すパラメータの推定値を得る。
【0180】
このモデル曲線を適合させる際に、RL−LS分析において扱われたのと同じ問題に直面する。再び、低次の多項式が、雑音の影響を受けた検出器応答の比の対数に適合される。log(sp,/ci)における雑音は端部で著しく増大し、そして負の量の対数は定義されない。端部での検出器雑音の影響のため、この方法は、ピークの心臓部のみに適用することができる。モデルが適合される領域間の境界画定を決定することはユーザ次第である。従来技術において、ピーク端部における固有粘度法則は、このモデルからの外挿により得られる。
【0181】
固有粘度対スライス番号を見つけるための実施形態において、本発明は、各スライスに対する比粘度の測定された値に対して比粘度のモデルをスライス番号又は溶出値の関数として適合させることにより最小2乗最小化を再定式化する。従って、最小化されるべき量2は次式のとおりである。
【0182】
【数36】
【0183】
再び、IV曲線のためのモデルは式(26)の形式である。この式は、sp,iを積[]iciと比較することにより最小2乗最小化を実行する。特に、この式は、固有粘度法則に対し、各スライスに対して、各スライスにおける被測定濃度の積に対する各スライスの被測定比粘度をモデル又は適合タイプと比較する。
【0184】
この式に到達すると、正確に同じ論理が、光散乱に対して行われたように最小2乗式を再定式化するのに用いられる。対数は指数化され、そして各項はciにより乗算される。
【0185】
ciにおける雑音が最小である場合、式(28)における重み付けされない式は、パラメータPiに対して最適推定を与える。測定されたスライス値ciがかなりの雑音を含む場合、好適な式は次のとおりである。
【0186】
【数37】
【0187】
この式はまた最尤理論に合致する。
これらの式の利点は、RI−LSのケースにおけるのと同じである。分子の中の量ηsp,i−[η]iciの中の雑音は、ピーク・プロフィール全体にわたりほぼ一定である。対照的に、量
【0188】
【数38】
【0189】
の中の雑音は、ピーク端部において大きい。再び、この新しい方法は、ピーク全体にわたり、即ちピークの心臓部及びピーク端部における分布の固有粘度を決定することができる。
【0190】
一旦log[]iに対するモデルが決定されると、ピーク全体にわたる各スライスに対する分子量は、式(24)から決定されることができる。各スライスに対して、式(24)が用いられ、式(28)又は式(29)を介して、本発明のモデル適合から得られる固有粘度に対する、汎用較正曲線から得られる流体力学容量の比としてMiを表す。式(24)の両方のHi及び[]iが滑らかなモデルから導出されるので、Miに対するその結果生じた値もまた、検出器応答の中の雑音による影響を著しくは受けないであろう。
【0191】
本発明は、RI−Vシステムにより得られたデータの分析からMiの代替の決定を可能にする。この実施形態は、再び、各スライスに対して、比粘度のモデルを、スライス番号又は溶出容量の関数として、比粘度の被測定値に対して適合させる最小2乗最小化を採用する。しかし、ここで、比粘度のモデルは、各スライスに対するスライス値ci、流体力学容量Hi及び対数分子量に対するモデルに依存する。最小化されるべき量2は、次式のものである。
【0192】
【数39】
【0193】
ここで、再び、logMiはパラメータ化された滑らかなモデルにより表され、それは、典型的には、次のように、低次の多項式である。
【0194】
【数40】
【0195】
再び、式(30)の利点は、RI−LSのケースにおけるのと同じである。再び、重み付け関数は、適当な場合この定式化の中に組み込まれることができ、これらの定式化は、最適推定の理論と一致する。
【0196】
一旦分子量対スライス番号に対するモデルが得られると、サンプルのMWDを見つけることができる。一旦分子量対スライス番号に対するモデルが得られ、かつ固有粘度対スライス番号に対するモデルが見つけられると、固有粘度法則、即ちlog[]i対logMiが分かる。
【0197】
次いで、固有粘度に対する物理的に動機づけられたモデルは、log[]i対logMiに対するモデル値に適合されることができる。そのようなモデルの例は、マルク−ホウインク法則及びジム−ストックメイヤー法則、即ち式(8)及び式(9)である。そのような法則をlog[]i対logMiに対するモデル値に適合させる利点は、これらのモデルを表すパラメータが調査中の重合体サンプルを有効に特徴付けることである。例えば、マルク−ホウインク・モデルは、分岐された重合体の低分子量領域の一部に適合されて、その領域に対するK及びαを得ることができる。ジム−ストックメイヤー(ZS)モデルは、log[]i対logMiに対するスライス値に対して、分岐された重合体の完全なピークにわたり適合されて、低分子量領域に対するK及びα、並びに重合体サンプルに対する分岐確率α及び形状係数を得ることができる。
【0198】
たとえ本発明の適用が従来技術の方法と比較してlog[]i対logMiに対する改善した値を生成するにしても、固有粘度法則の物理的パラメータの決定は、これらの方法における残りの欠点を蒙ることがある。固有粘度法則を表すパラメータに対する値は、log[]i及びlogMiの両方対スライス溶出容量を表すため仮定されたモデルの形式に依存する。これらの多項式(又は他の仮定された)モデルが、log[]i及びlogMi対溶出容量の依存性を表すのに不正確である場合、固有粘度法則を表すパラメータの精度は、対応した不正確さを蒙るであろう。
【0199】
この不正確さの原因は検出器雑音のためでない。むしろ、それは、log[]i及びlogMi対スライス溶出容量を表すため用いられたモデル曲線の形式における誤差から生じている。これらのモデルがカラムに対する分子量較正曲線並びに重合体の固有特性を説明しなければならないということに注目することは価値がある。
【0200】
本発明の次の実施形態は、データ分析領域の全体にわたり同時に2つの関係を解決することにより固有粘度法則のパラメータを決定する方へ指向している。この方法において、IV法則は、スライス・データから直接決定され、追加の補助的モデルの仮定を必要としない。
【0201】
解決されるべき2つの関係は、次のとおりである。
1.被測定比粘度の比粘度予測値との最小2乗比較であって、それは固有粘度モデル法則と濃度のスライス測定値との積である。最小2乗比較は、次のとおりである。
【0202】
【数41】
【0203】
ここで、χ2は、各スライスに対して計算された差の2乗の和である。この式において、固有粘度法則は分子量の対数の関数であり、固有粘度の形式は次のとおりである。
【0204】
【数42】
【0205】
MW較正がここでは分からないので、この式の最小は、追加の情報なしに見つけることができない。この追加の情報は、解決されるべき第2の関係により与えられ、それは次のものである。
【0206】
2.各スライスiに対する、流体力学容量、固有粘度及び分子量間の基本的関係。
【0207】
【数43】
式(34) Hi≡Mi[η]i
再び、固有粘度法則は式(33)により表される。
【0208】
式(34)を用いて、式(33)におけるMiの依存性、即ちサンプルのIVLを排除する。従って、IVLの明示的形式が与えられる場合、本発明の重要な部分は、IVLを再度表すことを含み、それにより[]iは、パラメータP1,…,PM及び流体力学容量Hiのみに依存する。
【0209】
この代数的置換は、以下の線形IVLのケースにおいて明示的に証明されるであろう。式(9)及び式(10)において表されるような、より複雑なIVLのケースにおいて、単純な代数的置換は、[]iをHiの関数として閉じた形式で決定するのに十分でない。式(33)、P1,…,PM及びHiに対する値が与えられる場合、式(34)は、数値的方法を用いて解けて、[]iに対する値を与えることができる。これらの数値的方法(根決定による式の解法)は、本明細書に援用されているS.A.Teukolsky、W.T.Vetterling及びB.P.Flannery(Univ. of Cambridge)著「C、科学計算技術における数値レシピ(Numerical Recipes in C,The Art of Scientific Computing)」(第2版)(1992年、W.H.Press発行)の347〜393頁に記載されている。
【0210】
従って、式(32)は、ここで被測定量sp,i、ci、Hi及びパラメータP1,…,PMのみに明示的に依存する。式(32)の最終公式においてlogMを明示的に参照しない。また、従来技術とは対照的に、溶出容量を独立変数として参照してない。従って、IVLのパラメータは、被測定検出器応答に対する単一の適合により決定される。
【0211】
最小化後に、各スライスに対して[]iに対する適合された値が得られる。この値、及びHi及びMiに対する既知の値は、基本的関係、即ち
【0212】
【数44】
Hi≡Mi[η]i
からの直接計算から決定される。それにより、サンプルのMWDが得られる。再び、追加の適合が要求されない。
【0213】
図11は、外挿に依拠する従来技術方法により決定されるIV法則、及び本発明の例示的方法により決定されるIV法則をプロットする。4つの曲線、即ち、スライスから決定されたIV法則60、本発明の例示的方法から決定されたIV法則62、従来技術の方法により決定されたIV法則64、及び図3における基準に対するサンプルのMWD 35が重ねられている。
【0214】
光散乱のケースにおけるように、最小2乗問題は、ここで、雑音の多いデータの比の比又は対数を取ることを避けるため、定式化される。各項における雑音が同じ大きさであり、そのため重み付けされない最小2乗の使用は適切である。適合は、ピーク領域における基線を訂正されたデータの全てに対して実行されることができる。被測定値sp,i及びciは、ゼロ近くであり、そしてこれらの応答をゼロの周りで揺らぐようにさせる雑音を含み得る。
【0215】
量2の定式化のための本発明において、ゼロ応答と一致する測定値の包含は、K及びαのようなIVLを表すパラメータに関する制約を改善する。従って、本発明は、特にピークの端部において、測定誤差に対してかなり敏感でない。
【0216】
更に、2つの式を同時に適合させる利点は、IV法則及び分子量較正が全てのスライス・データに対する単一の適合から推定されることを意味する。複数の適合及び外挿の実行はもはや必要でない。従来技術において、追加の適合は、特別のカラム依存の適合タイプが仮定されねばならなかったので、系統的誤差の潜在的原因である。
【0217】
IV法則が線形であるケースにおいて、式(8)
【0218】
【数45】
log[η]=logK+αlogM
は、
【0219】
【数46】
[η]=KMα
と再び表される。そこで、流体力学容量と分子量との関係は、
【0220】
【数47】
H=KMα+1
である。
【0221】
従って、我々は、Miを排除し、IVLを次のとおり表す。
【0222】
【数48】
【0223】
次いで、最小化されるべき式は次のとおりである。
【0224】
【数49】
【0225】
この最終の形式において、量2は、被測定スライス値sp,i、Hi及びci、及びパラメータK及びαのみで表される。溶出容量に対する明示的参照はなされない。
【0226】
量2を最小化するK及びαの値が、ある適当な最小化アルゴリズムにより見つけられると仮定すると、各スライスの分子量は、次の関係
【0227】
【数50】
Mi=(Hi/K)1/(1+α)
から得られ、そしてスライスに対して[]iのためのモデル値が、式(35)から得られる。
【0228】
例示的実施形態において、本発明は、式(8)、式(9)及び式(10)に表される定式化を用いて実行され、それらの式は、対数の固有粘度法則に対する3つの適合タイプを定義する。分子量の対数の線形関数、長い連鎖分岐を表すジム−ストックメイヤー法則、及びより高次の多項式関数が存在する。
【0229】
図12は、以下に詳細に説明されるような本発明の例示的実施形態により実行されるステップを図示する。第1の検出器から得られるデータ100(例えば、濃度検出器からのスライス・データ)は、サンプル特性を表すパラメータ化されたモデル曲線103と組み合わされて、モデル曲線を構成する(ステップ104)。データ102は、第2の検出器から得られる(例えば、分子量に感応する検出器からのスライス・データ)。最小2乗最小化アルゴリズムが、実行される(ステップ108)。最小2乗最小化アルゴリズムの詳細が以下に記載される。その結果は、最適化モデル曲線及びパラメータである(ステップ110)。
【0230】
図13は、以下に詳細に説明されるようにRI−LS検出からサンプルの分子量分布(MWD)を推定する、一実施形態のためのステップを図示する。データは、(RI検出器のような)濃度感応検出器18aから得られる。そのデータは処理され、スライスの濃度を得る(ステップ105)。logM対溶出容量を表すパラメータ化されたモデル(式(13))103aは、濃度スライス105と共に用いられて、次の式によりスライスのレイリー比を表すモデル曲線を構成する(ステップ104a)。
【0231】
【数51】
【0232】
(LS検出器のような)分子量感応検出器18bからの第2のデータが、スライスの中に処理され、そしてレイリー比が、各スライスに対して決定される(ステップ112)。最小2乗最小化アルゴリズムが、式(18)又は式(19)を用いて実行され(ステップ108)、図10における曲線52により示されるように、logM対溶出容量を表す最適化モデル曲線をもたらす。次いで、サンプルの分子量分布が生成される(図13のステップ120)。
【0233】
図14は、以下に詳細に説明される、サンプル固有粘度をRI−V検出から推定する実施形態のためのステップを図示する。データは、(RI検出器のような)濃度感応検出器18aから得られる。そのデータはスライスの濃度として処理される(ステップ105)。log[]対溶出容量(式(27))を表すパラメータ化されたモデル103bを濃度スライス105と共に用いて、スライスの比粘度を表すモデル曲線を次式によりステップ104bにおいて構成する。
【0234】
【数52】
【0235】
粘度検出器18cからの第2のデータは、スライスに対する比粘度を用いて処理される(ステップ116)。最小2乗最小化が、式(28)又は式(29)を用いて実行される(ステップ108)。log[]対溶出容量(式(27))の最適化モデルが生成される(ステップ110b)。
【0236】
図15は、以下に詳細に説明される、本発明に従ったRI−V検出からサンプルの固有粘度及び分子量分布を同時に推定する別の実施形態に従って実行されるステップを図示する。データは、(RI検出器のような)濃度感応検出器18aから得られる。そのデータは、スライスの濃度として処理される(ステップ105)。log[]対logM(IVL)を表すパラメータ化されたモデル103c、式(33)をスライスの濃度と共に用いて、初期モデル曲線を構成する(ステップ104c)。また、モデル曲線を構成するため、汎用較正曲線から得られたスライスの流体力学容量が用いられる(ステップ119)。ステップ104cで生成された初期モデル曲線は、スライス・データの固有粘度を表す制約を含む。
【0237】
粘度検出器18cからの第2のデータが処理され、スライスに対する比粘度を得る(ステップ116)。最小2乗最小化(ステップ108)が、構成された初期モデル曲線104c、及びスライス・データの比粘度116に関して実行される(式(32))。log[]対logMを表すモデル曲線が、生成される(ステップ110c)(式(33))。この曲線110cから、logM対溶出容量を表すモデル曲線が、
【0238】
【数53】
式(39) logMi=logHi−log[η]i
に従って生成され(ステップ110a)、次いでサンプルの分子量分布が生成される(ステップ120)。最後に、また曲線110cから、log[]対溶出容量のモデル曲線が生成される(ステップ110b)。
【0239】
図16は、図12から図15の最小2乗最小化ステップをより詳細に図示する。(濃度検出器18aからのスライス・データから生成された)初期モデル曲線104は、式(18)、(19)、(28)、(29)、(30)、(32)及び(36)を含む複数の式を用いて量2を計算ことにより、検出器18bからのスライス・データ102と比較される。前述したように、モデル・パラメータは、調整され(ステップ126)、そして量2は、再び、その量2が最小化されるまで計算される(ステップ124)。この点で、最適化モデル曲線及び最適化モデル・パラメータが決定される(ステップ110)。
【0240】
RI検出器、V検出器及びLS検出器の特定の例が本明細書において記載されたが、他のモデルのような、及び/又は他の製造業者からの他の検出器を実施できることが認められるであろう。
【0241】
本発明は、その例示的実施形態に関して示されかつ説明されたが、種々の他の変形、省略、及び追加がその形式及び細部において本発明の趣旨及び範囲から離れることなくなし得るであろう。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明を含むシステムにより分析されるべきデータを与えるゲル透過クロマトグラフィー・システムの全体図である。
【図2】 図2は、本発明に従った、データを分析する例示的コンピュータ・システムである。
【図3】 図3は、質量がカラム上に注入された場合のサンプルのシミュレートされたMWDであってdm/d(logM)を与えるため正規化されたMWDのグラフ、即ちMWの単位対数間隔当たりの質量のグラフである。
【図4】 図4は、3つの固有粘度法則のプロットを示すグラフである。
【図5】 図5は、サンプル分子量較正曲線である。
【図6】 図6は、サンプル濃度対溶出容量を示すグラフである。
【図7】 図7は、図6に示される濃度プロフィールに対する計器応答に基づく検出器プロフィールを図示する。
【図8】 図8は、検出器雑音を含む、図7の検出器応答を図示する。
【図9】 図9は、スライス・データ対溶出容量から得られた分子量較正曲線を図示する。
【図10】 図10は、例示的実施形態から得られた分子量較正を従来技術の方法と比較して図示する。
【図11】 図11は、例示的実施形態に従ったRI−V検出から決定されたサンプルのIV法則を従来技術の方法と比較して示す。
【図12】 図12は、本発明の一実施形態に従って実行されるステップの全体図である。
【図13】 図13は、図12の実施形態に従ったRI−LS検出からサンプルの分子量分布(MWD)を推定するため実行されるステップの全体図である。
【図14】 図14は、図12の実施形態に従ったRI−V検出からサンプルの固有粘度対溶出容量を推定するため実行されるステップの全体図である。
【図15】 図15は、本発明に従ったRI−V検出からサンプルの固有粘度法則及び分子量分布を推定するための別の実施形態に従って実行されるステップの全体図である。
【図16】 図16は、図12から図15に示される実施形態により利用される最小2乗適合ステップの全体図である。
Claims (12)
- ゲル透過クロマトグラフィー装置を用いて処理されたサンプルの分子量分布(MWD)をコンピュータ・システム上で決定する方法において、
前記サンプルを検出する濃度感応検出器から第1のデータを取得するステップと、
サンプル特性を表すパラメータ化された初期モデル曲線を得るステップと、
前記第1のデータ及び前記パラメータ化された初期モデル曲線から初期モデル曲線を構成するステップと、
前記サンプルを検出する分子量感応検出器から第2のデータを取得するステップと、
前記パラメータ化された初期モデル曲線及び前記第2のデータから、パラメータ化された最適化モデル曲線及び最適化パラメータを決定して、前記クロマトグラフィー装置に分子量較正を与えるステップと、
前記クロマトグラフィー装置を用いて前記サンプルの濃度プロフィールを取得し、かつ前記分子量較正及び前記濃度プロフィールを用いて、前記MWDを決定するステップと
を備える方法。 - 前記分子量感応検出器が光散乱(LS)検出器を含む請求項1記載の方法。
- ゲル透過クロマトグラフィーにより処理されたサンプルの固有粘度対溶出容量をコンピュータ・システム上で決定する方法において、
前記サンプルを検出する第1の検出器から第1のデータを取得するステップと、
固有粘度の対数対溶出容量を表すパラメータ化された初期モデル曲線を得るステップと、
前記第1のデータ及び前記パラメータ化された初期モデル曲線から比粘度の初期モデル曲線を構成するステップと、
前記サンプルを検出する分子量感応検出器から第2のデータを取得するステップと、
前記パラメータ化された初期モデル曲線及び前記第2のデータから、固有粘度の対数対溶出容量の最適化モデル曲線であるパラメータ化された最適化モデル曲線及び最適化パラメータを決定するステップと
を備える方法。 - 前記分子量感応検出器が粘度計(V)検出器を含む請求項3記載の方法。
- ゲル透過クロマトグラフィーにより処理されたサンプルの分子量分布(MWD)及び固有粘度法則(IVL)をコンピュータ・システム上で同時に決定する方法において、
前記サンプルを検出する濃度感応検出器から第1のデータを取得するステップと、
固有粘度の対数対分子量の対数を表すパラメータ化された初期モデル曲線を得るステップと、
汎用較正曲線からスライスの流体力学容量を得るステップと、
前記第1のデータ、前記パラメータ化された初期モデル曲線及び前記スライスの流体力学容量から比粘度の初期モデル曲線を構成するステップと、
前記サンプルを検出する分子量感応検出器から第2のデータを取得するステップと、
前記パラメータ化された初期モデル曲線及び前記第2のデータから、固有粘度の対数対分子量の対数のパラメータ化された最適化モデル曲線及び最適化パラメータを決定するステップと、
前記パラメータ化された最適化モデル曲線及び最適化パラメータからIVLを決定するステップと、
固有粘度の対数対分子量の対数の最適化モデル曲線としてIVLを決定するステップと、
前記IVLから得られた分子量較正情報を得るステップと、
前記分子量較正情報から前記MWDを決定するステップと
を備える方法。 - 前記初期モデル曲線が、前記サンプルのレイリー比対溶出容量を表す請求項1記載の方法。
- 前記パラメータ化された初期モデル曲線を得る前記ステップは、前記分子量較正を溶出容量の関数として表す曲線を得るステップを含む請求項1記載の方法。
- 前記パラメータ化された最適化モデル曲線及び最適化パラメータを決定する前記ステップは、前記初期モデル曲線及び前記第2のデータに関して最小2乗最小化適合を実行するステップを備える請求項1記載の方法。
- 前記濃度プロフィールが、前記濃度感応検出器を用いて得られる請求項1記載の方法。
- 固有粘度の対数対溶出容量の前記最適化モデル曲線を決定する前記ステップは、前記初期モデル曲線及び前記第2のデータに関して最小2乗最小化適合を実行するステップを含む請求項3記載の方法。
- 固有粘度の対数対分子量の対数の前記最適化モデル曲線としてIVLを決定する前記ステップは、最小2乗を実行するステップを含む請求項5記載の方法。
- 前記濃度感応検出器が粘度計(V)検出器を含む請求項5記載の方法。
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