JP4123000B2 - 一方向クラッチ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ローラ式の一方向クラッチに関する。
【0002】
【従来の技術】
ローラ式の一方向クラッチとして、例えば内輪部材の外周面の円周数ヶ所に平坦なカム面を設け、この内輪部材に対して円周数ヶ所にポケットを有する保持器を周方向不動に外嵌し、このポケット内にローラとばねとを収納配置したものがある(特許文献1参照)。
【0003】
保持器は、周方向で隣り合うポケット間に、各ポケットを仕切る柱部が設けられている。この柱部の径方向内径面は、内輪部材の隣り合うカム面の交差部に対して合致する形状となっており、この柱部の径方向内径面を前記交差部に対して密着させている。なお、ポケット内部には、所定量のグリースなどの潤滑剤が入れられているが、この潤滑剤は、ローラのロック動作やフリー動作に伴いポケット内で周方向両端へ押しやられるおそれがある。そこで、従来では、カム面に潤滑剤溜まりを設けるようにしている。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−90751号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来例では、ポケット内での潤滑剤の偏りを防止することができないので、潤滑剤溜まりに対して潤滑剤が溜まりにくいとも考えられる。また、潤滑剤が潤滑剤溜まりに保持されることなく、保持器柱部付近まで押しやられて滞留し、潤滑に寄与しなくなるおそれがある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の一方向クラッチは、内輪部材と外輪部材とを同期回転させるロック状態と相対回転させるフリー状態とに切り替える一方向クラッチであって、前記内輪部材の外周面の円周数ヶ所に設けられる平坦なカム面と前記外輪部材の内周面との間で周方向一方へ向けて漸次狭くなるくさび状空間を形成し、このくさび状空間と同数のポケットを有する保持器を該ポケットを前記カム面に対応して配置するように前記内輪部材に対して周方向不動になる状態で外嵌し、前記ポケット内にローラとこのローラをくさび状空間の狭い側へ付勢するばねとをそれぞれ1つずつ周方向隣り合わせに配置しており、前記保持器は、その周方向で隣り合うポケットを仕切る柱部を有し、この柱部の径方向内径面が前記内輪部材の周方向で隣り合うカム面同士が交差する交差部に対して合致する状態であてがわれており、前記内輪部材の周方向で隣り合うカム面同士が交差する交差部における軸方向での幅内の中間箇所に、前記各ポケット内に収納される潤滑剤を隣り合うポケット間で流通可能とする溝が設けられている。
【0007】
この場合、各ローラがロック位置とフリー位置との間を転動することに伴い、各ポケット内で潤滑剤が周方向両端へ押しやられたときに、この潤滑剤が内輪の溝を介して隣の各ポケットへと押し出されて、内輪部材および外輪部材とローラとの接触部分へ積極的に供給されるようになる。
【0008】
ところで、上記各溝の両端は、前記各カム面上においてローラの転動範囲に届かない位置に配置することができる。この場合、ローラと内輪のカム面との接触面積が小さくならないので、溝を設けても耐荷重性を確保できる。また、溝の開口側エッジに対してローラが接触しなくなるので、ローラの外周面に付着している潤滑膜がかきとられるようなことがない。
【0009】
本発明に係る一方向クラッチは、例えば自動車のエンジンのクランクシャフトからベルトを回転駆動される補機のプーリに対して組み込むことができる。前記補機とは、自動車のオルタネータ、エアコンディショナ用コンプレッサ、ウォーターポンプ、冷却ファンなどが挙げられる。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1から図5に本発明の一実施形態を示している。図例の一方向クラッチは、内輪1、外輪2、保持器3、ローラ4、ばね5を備え、内輪1に対する外輪2の回転方向に応じて、ローラ4がくさび状空間の狭いほうへ押しやられてロックして内・外輪1,2を同期回転させて動力伝達を許容する状態や、ローラ4がくさび状空間の広いほうで転動して内・外輪1,2を相対回転させて動力伝達を遮断する状態に切り替わるようになっている。
【0011】
上記内輪1は、その外周面の円周数ヶ所に例えば平坦なカム面6…が設けられており、それにより内輪1の外周面が多角形になっている。
【0012】
上記外輪2は、内外周面ともに円筒形に形成されており、内輪1の外周に所定間隔を離して同心状に配設される。この外輪2の内周面と上記内輪1の外周面との間の対向環状空間の円周数ヶ所には、上記カム面6の存在によって周方向一方に径方向間隔が狭くなるくさび状空間が形成されることになる。
【0013】
上記保持器3は、ポリアミド66などの合成樹脂材で形成されており、その円周数ヶ所、つまり内輪1のカム面6に対応する位置に径方向内外に貫通するポケット7が設けられている。この保持器3は、その内周面が内輪1の外周面と部分的に合致する形状とされており、内輪1に対して外嵌することにより周方向不動に固定される。具体的に、保持器3は、そのポケット7それぞれを仕切る柱部8を有し、この柱部8の径方向内径面が内輪1の各カム面6それぞれの交差部9である内輪最大外径部に対して合致する状態であてがわれている。この実施形態では、交差部9がほぼV字形に尖った形状になっており、また、柱部8の径方向内径面も、交差部9に対して合致するようにV字形に凹んだ形状になっている。
【0014】
ローラ4は、保持器3のポケット7個々に1つずつ周方向に転動可能に収納された状態で、上記くさび状空間に配置されている。
【0015】
ばね5は、保持器3のポケット7個々に1つずつローラ4と周方向隣り合わせに圧縮状態で収納された状態で上記くさび状空間に配置されており、ローラ4をくさび状空間の狭い側へ弾発付勢する。このばね5は、楕円筒形に巻回されたものであり、保持器3の柱部8の内壁面に設けられる突起10に対して取り付けられているとともに、ポケット7内において伸縮方向がローラ4の中心軸線に対して直交しかつ一端側がローラ4の軸方向中間領域に対して当接される。
【0016】
この実施形態では、周方向で隣り合うポケット7間においてグリースなどの潤滑剤15を流通可能とするように工夫している。
【0017】
つまり、内輪1の各カム面6それぞれの交差部9には、溝16が一方のカム面6から隣り合うカム面6へまたがるように設けられている。この溝16は、各ポケット7内に収納される潤滑剤15を隣り合うポケット7間で流通可能とするものである。
【0018】
詳しくは、まず、ポケット7の周方向長さは、上記くさび状空間においてローラ4がかみ込むロック位置(図4および図5の実線)から空転し始めるフリー位置(図4および図5の二点鎖線)までの転動範囲Lよりも大きな寸法に設定されている。そして、溝16の両端は、上記ローラ4の転動範囲Lに届かない位置でかつ可及的に近い位置に設けられている。そもそも、ローラ4の転動範囲Lは、カム面6上において周方向一方へ片寄せているために、溝16の深さが各ポケット7のローラ4側から隣の各ポケット7のばね5側へ向けて漸次浅くなっており、結果的に溝16が周方向一方へ傾いたようになっている。
【0019】
次に、図1を用いて上記一方向クラッチの動作を説明する。外輪2の回転方向が内輪1に対して時計回りの場合、くさび状空間の狭い側に位置するローラ4が内・外輪1,2間に食い込んでロック状態となるので、外輪2と内輪1が一体化して同期回転する。つまり、外輪2から内輪1への動力伝達が行われる。その一方で、外輪2の回転方向が内輪1に対して反時計回りの場合、ローラ4がくさび状空間の広い側へ転動させられて、空転するフリー状態になるので、外輪2と内輪1が相対回転して外輪2から内輪1への動力伝達が遮断されることになる。
【0020】
このように、各ローラ4がロック位置とフリー位置との間を転動することに伴い、各ポケット7内で潤滑剤15が周方向両端へ押しやられるが、この潤滑剤15は内輪1の溝16を介して隣の各ポケット7へと押し出されて、内輪1および外輪2とローラ4との接触部分に積極的に供給されるようになる。つまり、潤滑剤15は内輪1上を周方向に流動するため、従来例のようにポケット7内の隅の柱部8付近に潤滑剤15が偏ることを防止できる。したがって、内・外輪1,2とローラ4との接触部分の潤滑性を向上させることができるので、内・外輪1,2およびローラ4の耐摩耗性、ならびにクラッチ動作の長期安定化を達成できるようになる。
【0021】
以下、本発明の他の実施形態を説明する。まず、図6および図7に示すように、溝16を交差部9の軸方向両側に2つ設けるようにしてもよい。また、溝16の断面形状を凹形としているが、例えば凹曲面形状など任意とすることができる。さらに、ばね5は、円筒コイルバネや、皿ばねなど、ローラ4に対して弾発付勢力を付与するものであればよい。また、内輪1の外径を円形とし、外輪2の内周面の円周数ヶ所に径方向外向きに凹むカム面を設けた構造の一方向クラッチに関しても本発明を適用できる。この場合、潤滑剤を隣り合うポケット間で流通可能とする溝は、外輪2の周方向で隣り合うカム面の交差部に形成される。
【0022】
【発明の効果】
本発明では、ローラの転動動作に伴い各ポケット内に存在する潤滑剤を隣のポケットへ流動させるようにしているので、内輪部材および外輪部材とローラとの接触部分に潤滑剤を積極的に供給できて、しかも、従来例のようにポケット内の隅に潤滑剤が偏ることを防止できるようになる。そのため、内輪部材および外輪部材とローラとの接触部分の潤滑性が良好となるので、内・外輪部材の摩耗を抑制でき、クラッチ動作の長期安定化ならびに長寿命化に貢献できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る一方向クラッチの上半分を断面にした側面図
【図2】図1の内輪と保持器を示す分解斜視図
【図3】図1の(3)−(3)線断面の矢視図
【図4】図3の(4)−(4)線断面の矢視図
【図5】保持器のポケット部分の平面展開図
【図6】本発明の他の実施形態に係り内輪単体を示す斜視図
【図7】図6の実施形態で、図5に対応する図
【符号の説明】
1 内輪 2 外輪
3 保持器 4 ローラ
5 ばね 6 カム面
7 保持器のポケット 8 保持器の柱部
9 内輪の交差部 15 潤滑剤
16 内輪の溝
Claims (2)
- 内輪部材と外輪部材とを同期回転させるロック状態と相対回転させるフリー状態とに切り替える一方向クラッチであって、
前記内輪部材の外周面の円周数ヶ所に設けられる平坦なカム面と前記外輪部材の内周面との間で周方向一方へ向けて漸次狭くなるくさび状空間を形成し、このくさび状空間と同数のポケットを有する保持器を該ポケットを前記カム面に対応して配置するように前記内輪部材に対して周方向不動になる状態で外嵌し、前記ポケット内にローラとこのローラをくさび状空間の狭い側へ付勢するばねとをそれぞれ1つずつ周方向隣り合わせに配置しており、
前記保持器は、その周方向で隣り合うポケットを仕切る柱部を有し、
この柱部の径方向内径面が前記内輪部材の周方向で隣り合うカム面同士が交差する交差部に対して合致する状態であてがわれており、
前記内輪部材の周方向で隣り合うカム面同士が交差する交差部における軸方向での幅内の中間箇所に、前記各ポケット内に収納される潤滑剤を隣り合うポケット間で流通可能とする溝が設けられている、ことを特徴とする一方向クラッチ。 - 前記各溝の両端は、前記各カム面上においてローラの転動範囲に届かない位置に配置されている、ことを特徴とする請求項1の一方向クラッチ。
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