JP4121685B2 - 懸賞用マーク入りキャップ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、キャップの頂部内面側に懸賞用の印刷マークが施された懸賞用マーク入りキャップに関し、特に、合成樹脂と金属薄板からなる複合材製キャップによる懸賞用マーク入りキャップに関する。
【0002】
【従来の技術】
ガラス瓶やプラスチック容器や金属缶等において、内容物の取出口を大きく開口させた広口(開口部の内径35mm以上)の容器は、従来から食品等の容器として広く使用されており、そのような広口容器用で嵌め込み式の樹脂製キャップについて、金属製キャップと同様のガスバリヤー性(耐気体透過性)を持たせるために、キャップの頂部外面側を金属部材で被覆した密閉キャップというものが、特開平6−122463号公報により既に公知となっている。
【0003】
一方、キャップで密閉される容器入りの商品において、販売促進のための懸賞の当たり外れを示す懸賞用の印刷マークを、キャップが冠着された状態では外から見えず、開栓するとその場で当たり外れが判るように、キャップの頂部内面(裏面)側に施しておくということが従来から行われている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記のようにキャップの頂部内面側に懸賞用の印刷マークを施す場合、金属製のキャップでは、金属板の頂部内面となる面に予め直接印刷しておくことができるのに対して、樹脂製のキャップでは、頂部内面に直接印刷することが困難なことから、別途に用意した印刷済みのシール等を貼着することになるが、何れの場合にしても、キャップで密閉する容器が飲料等の液体を内容物とするものである場合には、直接印刷であるか印刷シールの貼着であるかに関わらず、印刷インキが内容物の液体に溶出する虞がある。
【0005】
一方、ガスバリヤー性が劣る樹脂製のキャップでは、キャップが嵌め込み式であるか否かに関わらず、上記のように頂面の外面側を金属部材で被覆したりすることでガスバリヤー性を向上させることができ、特に、広口容器の場合には、容器の開口面積が大きい分だけキャップのガスバリヤー性の影響が顕著なものとなって、キャップのガスバリヤー性が劣ることで容器内に密封された内容物の賞味期間が短くなることから、上記のようなガスバリヤー性を向上させる手段が必要となってくる。
【0006】
しかしながら、上記の引用公報に開示されているガスバリヤー性を改善した密閉キャップの構造を検討してみると、天面(頂部)と側壁(スカート部)を形成する軟質合成樹脂部材に対して金属部材を取り付け、それとは別の硬質合成樹脂部材により、天面(頂部)外周縁部から下向きに側壁(スカート部)を外側から覆っていることから、軟質合成樹脂部材とは別に硬質合成樹脂部材を製造して、それを軟質合成樹脂部材に嵌め込む工程が必要となり、生産コストが高いものとなっている。
【0007】
本発明は、上記のようなそれぞれの問題の解消を課題とするものであり、具体的には、樹脂製キャップの頂部外面が金属薄板製のシェルで被覆されている複合材製のキャップについて、簡単に低コストで生産することができ、しかも、販売促進のための懸賞用マークを、内容物の液体に印刷インキを溶出させるようなことなく、キャップの頂部内面側に施すことができるようにすることを課題とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記のような課題を解決するために、合成樹脂材により一体成形されたキャップの頂部外面が金属薄板製のシェルにより被覆されている複合材製のキャップについて、金属シェルを、円形の頂板の周縁から下方に垂下する短い円筒部を有するものとして、金属シェルの円筒部の下部をキャップのスカート部上端部分で合成樹脂に埋設して、キャップを容器の口頸部に冠着させた状態で、金属シェルの円筒部の下端を容器の口頸部の上端位置よりも下方にまで垂下させ、 金属シェルの円筒部の下端部分を、その円筒面から内方向又は外方向に0.2〜0.8mm突出するように曲げると共に、印刷による懸賞用マークを、合成樹脂材により透視可能に覆われた状態で、金属シェルの頂板内面に施すことを特徴とするものである。
【0009】
上記のような構成の懸賞用マーク入りキャップによれば、金属シェルの下端を容器口頸部の上端位置よりも下方にまで垂下させていることにより、キャップにおいてガスバリヤー性が必要な部分を金属シェルにより略完全にカバーすることができて、キャップのガスバリヤー性を充分に確保することができると共に、金属シェルの下端部分を内方向又は外方向に0.2〜0.8mm突出するように曲げていることにより、キャップが落下衝撃等を受けた場合でも、金属シェルが樹脂キャップから抜け落ちて分離するようなことはない。また、そのような複合材製キャップの金属シェルの頂板内面に懸賞用マークを施していることで、直接印刷により懸賞用マークを付与することが可能となり、しかも、金属シェルの頂板内面に施された懸賞用マークを、合成樹脂材により透視可能に覆っていることで、印刷インキを内容物の液体に溶出させるようなことなく、また、容器の口頸部からキャップを取り外すことによって、キャップの裏面側に懸賞用マークを見ることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の懸賞用マーク入りキャップの一実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、本実施形態の懸賞用マーク入りキャップについて、図1は、キャップの右半分を断面として側面視で示し、図2は、キャップを下方(裏面側)から見た状態を示し、図3は、キャップの断面の一部を拡大して示すものである。
【0011】
本実施形態のキャップ1は、ピルファープルーフ性を備えたネジキャップ(スクリューキャップ)であり、広口で再封鎖可能な金属缶(広口リシール缶)のネジ付き口頸部に対して螺合により冠着されるものであって、同じ材質の合成樹脂材により一体成形された樹脂キャップ2と、その頂部外面を被覆する金属薄板製のシェル3とからなる複合材製のキャップである。
【0012】
キャップ1の樹脂キャップ2では、頂部21の周縁から下方に垂下してスカート部22が形成されており、スカート部22と所定の間隔を置いて同心的に、円筒状のインナープラグ23が頂部21の内面(下面)から垂設されていて、スカート部22の上端部内面とインナープラグ23の外面の間に、図3に示すように、缶の口頸部4の上端カール部41が挿入されることとなる。
【0013】
樹脂キャップ2のスカート部22には、その内面側に、缶の口頸部4に形成されたネジ42と螺合するネジ24が形成され、その外面側に、キャップ1を指で掴んで回す時の滑り止めとなるローレット(多数の細かい縦溝と縦リブ)25が形成されていて、スカート部22の下方には、不正使用を示す(開封されたかどうかを示す)ためのピルファープルーフ(タンパーエビデンス)機構が一体的に形成されている。
【0014】
ピルファープルーフ機構は、スカート部22の下端に、破断容易な弱化部となる連結部26を介して、缶の口頸部4の下部に係止されるバンド部27を形成したものであり、図3に示すように、缶の口頸部4の下部に上側が傾斜して下側が段部となった環状の突起43が形成されているのに対して、バンド部27の内面には、下側が傾斜して上側が段部となった環状の突起27bが形成されていて、キャップ1を缶の口頸部4に螺着すると、バンド部27の突起27bが口頸部4の突起43を乗り越えて、両方の突起27b,43の段部同士が係合できるようになっている。
【0015】
また、スカート部22の下端とバンド部27の上端のそれぞれには、対向する凹部22aと凸部27aが形成されており、この凹部22aと凸部27aは、常態では噛み合うことなく、キャップ1の螺着によりバンド部27の突起27bが口頸部4の突起43を乗り越える際に、その抵抗力により連結部26が屈曲するように弾性変形してスカート部22とバンド部27の間隔が狭まったときに、凹部22aと凸部27aが噛み合って、スカート部22とバンド部27がキャップの円周方向で連係するようになっている。
【0016】
このようなピルファープルーフ機構によれば、キャップ1を装着する際には、バンド部27の突起27bが口頸部4の突起43を乗り越えるときに、凹部22aと凸部27aを介してスカート部22とバンド部27がキャップの円周方向で連係するため、キャップ1の回動が連結部26の切断力として働くことはなく、そのため、弱化部となる連結部26を切断され易いものにしても、キャップ1の装着時に連結部26が切断されることはない。
【0017】
一方、キャップ1を開封する際には、バンド部27が口頸部4の突起43に係合している状態で、スカート部22が上方に移動することから、凹部22aと凸部27aは噛み合わず、スカート部22とバンド部27が凹部22aと凸部27aを介して連係することはないため、キャップ1の回動が連結部26の切断力として働き、弱化部となる連結部26を切断され易いものとしておくことで、その分だけキャップ1の開封時に弱い力で連結部26を切断することができるようになる。
【0018】
上記のようなピルファープルーフ機構が一体成形された樹脂キャップ2に対して、円形の頂板31の周縁から下方に短い円筒部32を垂下させた金属薄板製のシェル3が、樹脂キャップ2の頂部21の外面側を被覆するように一体的に設けられており、金属シェル3の内面と樹脂キャップ2の外面は一体的に接着され、金属シェル3の円筒部32の下部は、樹脂キャップ2のスカート部22の上端部分に埋設されている。
【0019】
なお、本実施形態では、樹脂キャップ2に埋設された金属シェル3の円筒部32の下端は、図3に示すように、キャップ1を缶の口頸部4に螺着した状態において、該口頸部4の上端位置(カール部41の上端)よりも下方にまで垂下されており、この円筒部32の下端は、外方に突出する鍔部33として、円筒部32の外径よりも外方向に0.2〜0.8mm突出するように曲げられている。(なお、この鍔部33は、円筒部32の内径よりも内方向に0.2〜0.8mm突出するように曲げても良い。)
【0020】
この樹脂キャップ2と金属シェル3は、溶融樹脂が注入される金型内に金属シェル3を予めセット(インサート)した状態で、樹脂キャップ2を金型内で一体成形する、所謂インサート成型により一体的に結合されているものであって、樹脂キャップ2と一体的に結合された金属シェル3の頂板31には、その中央部分の裏面(内面)側に、懸賞の当たり外れを示すための懸賞用マーク35が印刷されており、この懸賞用マーク35の印刷インキ層を樹脂キャップ2の頂部21が薄く覆っていて、該頂部21の合成樹脂材を透して懸賞用マーク35が見えるようになっている。
【0021】
上記のような本実施形態のキャップ1について、更に具体例によって詳しく説明すると、例えば、頂板31の内面側に懸賞用マーク35が印刷された金属シェル3を金型内にセットし、合成樹脂としてポリプロピレンを樹脂温度230℃、射出圧60〜65kg/cm2 、成形サイクル28秒でインジェクション成形することにより、金属シェル3の頂板31の内面側では合成樹脂材が懸賞用マーク35を薄く覆うように、金属シェル3と樹脂キャップ2が一体成形されている。なお、上記のような樹脂キャップ2の成形法については、インジェクション成形に限らず、コンプレッション成形によっても成形可能である。
【0022】
金型内にセットされる金属シェル3については、例えば、厚さ0.20mmの3004材アルミニウム合金板に対し、外面塗装として、ポリエステル系樹脂〔大日本インキ工業(P−926−2)〕を60mg/dm2 塗装して170℃×10分焼き付け、また、この内面側となる面にアルキッド樹脂を主成分とする印刷インキにより懸賞用マーク35を印刷して、190℃×10分焼き付けてから、更に、内面塗装として、ポリプロピレン(PP)分散エポキシ−フェノール〔大東ペイント(ダイトロン#5378PP−2)〕を60mg/dm2 塗装し、焼き付けた後、所定の形状にプレス成形したものである。
【0023】
なお、樹脂キャップ2の材料となる合成樹脂については、容器の用途に応じてポリプロピレン(PP)よりも耐熱性の劣るポリエチレン(PE)を使用することも可能であり、また、金属シェル3の材料となる金属薄板についても、アルミニウム合金板に限らず、錫メッキ鋼板,亜鉛メッキ鋼板,ニッケルメッキ鋼板等の表面処理鋼板を使用することも可能である。
【0024】
金属シェル3の内面塗装については、エポキシ樹脂成分と、フェノール樹脂,尿素樹脂,メラミン樹脂及び熱硬化型アクリル樹脂からなる群より選ばれた少なくとも1種の熱硬化性樹脂との組み合わせからなる合成樹脂を主成分として、それに樹脂キャップ2の合成樹脂と同種の合成樹脂を分散させた塗料を使用することにより、金属シェル3の内面側と樹脂キャップ2との接着性を良くすることができる。
【0025】
すなわち、樹脂キャップ2の材料がポリプロピレンである場合には、主成分となる樹脂の中にポリプロピレン又はカルボキシル変性ポリプロピレンの粉末を分散させた塗料を使用するのが好ましく、また、樹脂キャップ2の材料がポリエチレンである場合には、主成分となる樹脂の中にポリエチレン又はカルボキシル変性ポリエチレンの粉末を分散させた塗料を使用することが好ましい。
【0026】
以上に述べたような本実施形態の懸賞用マーク入りキャップ1によれば、キャップ1の頂部外面を金属シェル3により被覆していることで、充分なガスバリヤー性(耐気体透過性)を確保することができると共に、金属薄板製のシェル3とのインサート成型により同じ合成樹脂材で樹脂キャップ2を一体成形していることによって、金属部材と合成樹脂の複合材によるキャップを、通常の樹脂製キャップと同様に簡単に製造することができて、生産コストを低く抑えることができる。
【0027】
また、懸賞用マーク35を金属シェル3の頂板31の内面側に直接印刷していることで、別途の印刷シール等を必要とすることなく、キャップ1の頂部内面(裏面)側に懸賞用マーク35を簡単に付与することができ、しかも、この懸賞用マーク35を、合成樹脂材(樹脂キャップ2の頂部21の中央薄肉部)により透視可能に覆っていることで、懸賞用マーク35の印刷インキを容器内の液体に溶出させるようなことなく、また、キャップ1がピルファープルーフ機構を具備しているので、キャップ1を開封して初めて消費者はキャップ1の裏面側に懸賞用マーク35を見ることができる。
【0028】
さらに、本実施形態では、樹脂キャップ2のスカート部の上端部分に埋設されている金属シェル3の円筒部32の下端を、キャップ1を容器(広口リシール缶)の口頸部4に螺着させた状態において、該口頸部4の上端位置よりも下方にまで垂下させていることにより、キャップ1においてガスバリヤー性が必要な部分を金属シェル3により略完全にカバーすることができて、キャップ1のガスバリヤー性が一層向上されたものとなっている。
【0029】
また、本実施形態では、樹脂キャップ2に埋設されている金属シェル3の円筒部32の下端部分を、樹脂キャップ2の一部と充分に噛み合い、且つ、スカート部22の外面より突出しないように、該円筒部32の外径から外方向に0.2〜0.8mm突出する(或いは、内径から内方向に0.2〜0.8mm突出する)ような鍔部33として曲げていることにより、鍔部33と樹脂キャップ2の一部とが噛み合った状態となるので、キャップ1が落下衝撃等を受けた場合でも、金属シェル3が樹脂キャップ2から抜け落ちて分離するようなことはない。
【0030】
以上、本発明の懸賞用マーク入りキャップの一実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に示した具体例に限定されるものではなく、その具体的な構造については、例えば、金属シェルが薄肉であれば、金属シェルの円筒部にシワを付けることにより、樹脂キャップとの接触面積を増して、金属シェルが樹脂キャップから分離し難いようにしても良く、また、ピルファープルーフバンドについては、容器口頸部の突起に係合させるために、内面側に突起を設けるのではなく、実開平5−95862号公報に記載されているようなバンド部の下端を内側に折り曲げて係合させるようにしても良い。
【0031】
また、上記の実施形態に示したような広口リシール缶用のネジキャップに限らず、他の容器(広口容器に限らない)に使用されるその他のキャップ(ネジ式のキャップに限らず、嵌め込み式のキャップであっても良い)としても実施可能であって、嵌め込み式のキャップの場合には、ピルファープルーフ機構として、ピルファープルーフバンドの一部に摘み部を形成し、この摘み部を利用してピルファープルーフバンドを引き裂くようにしても良い。さらに、金属シェルの頂板内面に施される懸賞用マークについても、上記の実施形態に示したような直接印刷に限らず、印刷シールの貼着等によって実施することも可能である等、適宜設計変更可能なものであることは言うまでもない。
【0032】
【発明の効果】
以上説明したような本発明の懸賞用マーク入りキャップによれば、樹脂製キャップの頂部外面を金属薄板製のシェルで被覆することにより、キャップのガスバリヤー性を充分に確保することができ、しかも、そのような複合材製のキャップを簡単に低コストで生産することができると共に、販売促進のための懸賞用マークを、内容物の液体に印刷インキを溶出させるようなことなく、キャップの頂部内面側に施すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の懸賞用マーク入りキャップの一実施形態に係る広口容器(広口リシール缶)用キャップについて、右半分を断面として示す部分断面側面図。
【図2】図1に示したキャップの下面図。
【図3】図1に示したキャップの一部の断面を拡大して示す断面図。
【符号の説明】
1 キャップ
2 樹脂キャップ(合成樹脂材)
3 金属シェル(金属薄板製のシェル)
4 広口リシール缶(広口容器)の口頸部
22 (キャップの)スカート部
31 (金属シェルの)頂板
32 (金属シェルの)円筒部
33 鍔(金属シェルの円筒部の下端)
35 懸賞用マーク
Claims (1)
- 合成樹脂材により一体成形されたキャップの頂部外面が金属薄板製のシェルにより被覆されている複合材製のキャップであって、金属シェルが、円形の頂板の周縁から下方に垂下する短い円筒部を有するものであり、金属シェルの円筒部の下部がキャップのスカート部上端部分で合成樹脂に埋設されており、キャップが容器の口頸部に冠着された状態で、金属シェルの円筒部の下端が容器の口頸部の上端位置よりも下方にまで垂下されていて、 金属シェルの円筒部の下端部分が、その円筒面から内方向又は外方向に0.2〜0.8mm突出するように曲げられていると共に、印刷による懸賞用マークが、合成樹脂材により透視可能に覆われた状態で、金属シェルの頂板内面に施されていることを特徴とする懸賞用マーク入りキャップ。
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