JP4119873B2 - 燃焼装置 - Google Patents
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特許文献1記載の燃焼装置は、多段燃焼法を用いたものである。多段燃焼法とは、燃料を燃焼させるバーナ部に供給する空気を絞ることによって、燃焼によるNOXの発生を抑えるとともに燃焼ガスを還元雰囲気として、燃焼によって発生したNOXを還元し、さらにその後流で燃焼ガスに空気を投入することで燃焼ガス中の未燃分を完全燃焼させる方法である。
このように燃焼によって生じるNOXの量を低減することで環境負荷を低減することができ、燃焼ガス中の未燃分を低減することで燃料の利用効率を向上させて燃焼装置の運転コストを低減することができる。
多段燃焼法では、一般に、バーナ部の直上位置に空気を投入する、OFA(Over Fire Air)という手法が用いられる。
しかし、炉の設置スペースや設備コスト等の制限から、炉自体の大きさには限度がある。このため、NOXを滞留させるための領域(以下還元領域とする)の大きさには制限があり、発生したNOXを十分に還元することは困難であった。
一方、還元領域を拡大すると、その分だけ完全燃焼用の空気を投入する位置が後流側に移動するので、空気を投入された燃焼ガスの炉内滞留時間が短くなって未燃分が完全燃焼しにくくなり、排ガス中の未燃分が増加してしまう。
さらに、燃焼ガスに単純に空気を投入した場合、燃焼ガス中に含まれるアンモニアやシアン等の中間生成物がNOXに転換してしまい、急激にNOXの量が増加してしまう場合がある。
すなわち、本発明にかかる燃焼装置は、燃焼部で燃料を燃焼させて燃焼ガスを得る燃焼装置であって、前記燃焼部内に前記燃焼ガスの流れる方向での位置の異なる複数箇所からそれぞれ300°C以上の高温低酸素濃度ガスを供給する高温低酸素濃度ガス供給装置を有している。
これにより、燃焼ガスは、高温の還元雰囲気とされて燃焼ガスの還元が十分に行われかつ酸素投入によるNOXの急激な発生が抑えられた状態のまま、含まれている未燃分が酸素と反応して燃焼することとなり、未燃分が低減される。
ここで、高温低酸素濃度ガス供給装置が供給する高温低酸素濃度ガスの酸素濃度は、燃焼ガスが還元雰囲気となる濃度で、かつ燃焼ガス中の未燃分を燃焼させるのに十分なだけの濃度(例えば0%を越え10%以下)に設定される。
[第一参考例]
以下、本発明の第一参考例について、図1及び図2を用いて説明する。
本参考例では、微粉炭炊きボイラに係る例について示す。
微粉炭炊きボイラ1は、炉本体2に、燃料である微粉炭の燃焼が行われる燃焼部3と、燃焼部3で発生した燃焼ガスから熱を回収する対流伝熱部4とが設けられた燃焼装置である。
対流伝熱部4内には、燃焼部3から対流伝熱部4内に流入した燃焼ガスの熱を回収する熱交換器16が設置されている。
また、対流伝熱部4には、対流伝熱部4内へ酸素含有ガスを供給する酸素供給装置21が設けられていて、炉本体2内の燃焼部3のバーナ11の直上位置から対流伝熱部4までの領域が、燃焼ガスを還元する還元領域Dとされている。
また、吐出部22としては、例えば対流伝熱部4の天井部4aから、対流伝熱部4内での燃焼ガスの流れに略直交する方向(すなわち略鉛直方向)に沿って炉本体2に挿入されるパイプが用いられている。図2に示すように、これら吐出部22は、燃焼ガスの流れに略直交する仮想平面上で、その挿入方向とは略直交する方向に複数本並列に配置されている。これら吐出部22では、全ての吐出口23が、炉本体2内での燃焼ガスの流れる方向と交差する方向に向けて開口している。
このように調製された燃焼ガスは、熱対流によって燃焼部3内を上昇してゆき、還元領域D内で還元させられた後に、対流伝熱部4に送り込まれる。
対流伝熱部4では、熱交換器16によって燃焼ガスの熱が回収されるとともに、酸素供給装置21によって燃焼ガスに酸素が供給されて、燃焼ガス中の未燃分が燃焼させられる。
そして、対流伝熱部4では酸素含有ガスが供給されることによって還元領域Dを通過した燃焼ガス中の未燃分が燃焼し、これによって発生した熱も、対流伝熱部によって回収することができる。
また、この微粉炭炊きボイラ1において、酸素供給装置21が、炉本体2内に少なくとも一部が挿入される吐出部22を有しており、吐出部22の炉本体2内に挿入される部分には、酸素含有ガスを吐出する吐出口23が複数設けられている。
これにより、吐出部22の各吐出口23から周囲に向けて酸素含有ガスが吐出されて、対流伝熱部4内で燃焼ガスと酸素含有ガスとが速やかに混合されるので、炉本体2内での燃焼ガスの滞留時間が短くても燃焼ガス中の未燃分が効果的に燃焼する。すなわち、炉本体2を大型化することなしに、未燃分を効果的に低減することができる。
これにより、燃焼ガスの流れには、その流れに略直交する方向の各部(すなわち燃焼ガスの流れの酸素供給部分における断面全体)に速やかに酸素含有ガスが供給されて、燃焼ガスと酸素含有ガスとがより均一に混合されることとなり、燃焼ガス中の未燃分の燃焼がさらに促進される。
次に、本発明の第二参考例について、図3を用いて説明する。
本参考例にかかる微粉炭炊きボイラ41は、第一参考例で示した微粉炭炊きボイラ1において、対流伝熱部4を、燃焼部3の上端よりも低位置に設けたことを主たる特徴とするものである。以下、第一参考例で示した微粉炭炊きボイラ1と同様または同一の部分については同じ符号を用いて示し、詳細な説明を省略する。
また、この微粉炭炊きボイラ41では、対流伝熱部4に酸素供給装置21を設置する代わりに、下降流路42の下端近傍に、酸素供給装置43が設置されている。
酸素供給装置43は、前記の調製装置24によって調製された前記酸素含有ガスを、下降流路42の側壁42aの下端近傍に設けられた吐出口43aから炉本体2内に吐出するものである。
この微粉炭炊きボイラ41では、還元領域Dは、燃焼部3の主燃焼領域Bの上端から燃焼部3の上端を経由して下降流路42と対流伝熱部4の酸素供給装置21の設置位置までとされている。
さらに、燃焼ガスは、燃焼部3の上端から下降流路42を介して対流伝熱部4に供給されるので、燃焼部3の上端に対流伝熱部4を連結した場合に比べて燃焼ガスの流通経路が長い。このため、燃焼ガスの滞留時間が長くなり、NOX及び未燃分が低減される。
このように、この微粉炭炊きボイラ41によれば、設備コストの大幅な増加を招くことなく、排気ガス中に含まれるNOX及び未燃分を低減することができる。
次に、本発明の一実施形態について、図4及び図5を用いて説明する。
本実施形態にかかる微粉炭炊きボイラ51は、第一参考例にかかる微粉炭炊きボイラ1において、対流伝熱部4に酸素供給装置21を設ける代わりに、燃焼部3に高温低酸素濃度ガス供給装置52を設置したことを主たる特徴とするものである。
これら高温低酸素濃度ガス供給口53は、燃焼部3の壁面3bの同一高さとなる位置に、それぞれ燃焼部3の中心軸に向けた状態にして複数配置されている。また、これら高温低酸素濃度ガス供給口53の組は、上下方向に沿って複数組配列されており、各組ごとに燃焼部3の中心軸回りの位置がずらされている。
これにより、燃焼ガスは、高温の還元雰囲気とされて燃焼ガスの還元が十分に行われかつ酸素投入によるNOXの急激な発生が抑えられた状態のまま、含まれている未燃分が酸素と反応して燃焼することとなり、未燃分が低減される。
ここで、高温低酸素濃度ガス供給装置52が供給する高温低酸素濃度ガスの酸素濃度は、燃焼ガスが還元雰囲気となる濃度で、かつ燃焼ガス中の未燃分を燃焼させるのに十分なだけの濃度(例えば0%を越え10%以下)に設定される。
2 炉本体
3 燃焼部
4 対流伝熱部
21,43 酸素供給装置
22 吐出部
23 吐出口
52 高温低酸素濃度ガス供給装置
D 還元領域
Claims (1)
- 燃焼部で燃料を燃焼させて燃焼ガスを得る燃焼装置であって、
前記燃焼部内に前記燃焼ガスの流れる方向での位置の異なる複数箇所からそれぞれ300°C以上の高温低酸素濃度ガスを供給する高温低酸素濃度ガス供給装置を有しており、
前記高温低酸素濃度ガス供給装置による前記燃焼部への前記高温低酸素濃度ガスの吐出方向、もしくは吐出位置と吐出方向との両方が、前記燃焼部の前記燃焼ガスの流れる方向での位置ごとに異なっていることを特徴とする燃焼装置。
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