JP4118137B2 - 露光用マスク、半導体装置の製造方法及び欠陥修正要否判定装置 - Google Patents

露光用マスク、半導体装置の製造方法及び欠陥修正要否判定装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、露光用マスクの製造方法、その露光用マスクを用いた半導体装置の製造方法、及び露光用マスクの欠陥修正要否判定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の露光用マスクの検査方法について説明する。露光用マスクに形成されたマスクパターンを、透過光や反射光を用いる光学的パターン検査装置で光学的に走査し、マスクパターンデータを取得する。マスクパターンを形成するための描画データと、取得されたマスクパターンデータとを照合する。1枚の露光用マスクに形成された同一のマスクパターン同士を比較したり、同一マスクパターンが形成されている2枚の露光用マスクのマスクパターンデータ同士を比較したりする手法が用いられる場合もある。
【0003】
比較される2つのデータに異なる部分があると、その部分を欠陥と認識し、欠陥部分の座標や、パターンの大きさ、種類等を記憶装置に記憶する。欠陥が検出された露光用マスクは、欠陥部分を表示装置に表示してマスクパターンを観察することにより、良否の判定が行われる。
【0004】
マスクパターンが微細であるか、または良否の判定が困難である場合には、シミュレーション顕微鏡等を用いて、実際の露光条件と同じ条件で、ウエハ上における空間像を生成し、光強度分布を測定する。この測定結果に基づいて露光用マスクの良否を判定する。
【0005】
図6を参照して、従来のマスクパターンの良否判定方法及びその課題について説明する。
図6(A)に、MOSFETのゲート電極を形成するための2本のマスクパターン100及び101の平面図を示す。1本のマスクパターン101の端部に、パターンの一部が欠けた欠陥102が発生している。
【0006】
図6(B)に、2本のマスクパターン100及び101のウエハ表面における空間像100A及び101Aの平面図を示す。欠陥を有しないマスクパターン100の空間像100Aの両端は、活性領域110の外周に掛かっている。欠陥102を含んでいるマスクパターン101の空間像101Aについては、欠陥102の発生している端部がやや後退している。ただし、後退している端部も、活性領域110の外周に掛かっている。このため、マスクパターン101の欠陥102は、修正不要と判定される。
【0007】
図6(C)に、図6(B)の空間像100A及び101Aに基づいて形成されるレジストパターン100B及び101Bの平面図を示す。空間像101Aの先端の後退に対応して、レジストパターン101Bの先端も後退している。レジスト材料、現像条件、ベーキング条件等によっては、この後退量が増大する。
【0008】
図6(D)に、図6(C)に示したレジストパターン100B及び101Bをエッチングマスクとして形成したゲートパターン100C及び101Cの平面図を示す。MOSFETのゲート長を短くするために、一定のオーバエッチングを行うことにより、レジストパターンの幅よりも細いゲートパターンを形成するトリミング技術が採用される場合がある。
【0009】
トリミング技術を採用すると、ゲートパターンの幅がレジストパターンの幅よりも狭くなると同時に、そのゲートパターンの端部が、レジストパターンの端部よりも後退する。このため、図6(C)に示したレジストパターン101Bの端部が活性領域110の外周に掛かっている場合であっても、それに対応するゲートパターン101Cの端部が活性領域110の内部まで後退してしまう。このため、この半導体装置は不良となる。
【0010】
このように、トリミング技術が採用される場合には、図6(B)に示した空間像に基づいて修正不要と判定された場合であっても、実際の半導体装置が不良になってしまう。
【0011】
特許文献1に、ウエハプロセスにおける各種条件、例えばレジストのベーキング条件、レジスト組成、プラズマエッチング条件等を加味して、ウエハ上に形成されるパターンをシミュレーションで予測し、露光用マスクの良否を判定する技術が開示されている。
【0012】
【特許文献1】
特表2001−516898号公報
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
ウエハプロセスの各種条件を加味してウエハ上のパターンを予測する方法では、予測精度が低い場合に適切な欠陥修正要否の判定を行うことが困難になる。
【0014】
本発明の目的は、露光用マスクの欠陥修正要否の判定を、より正確に行うことが可能な露光用マスクの製造方法を提供することである。
本発明の他の目的は、上記露光用マスクを用いて半導体装置を製造する方法を提供することである。
【0015】
本発明のさらに他の目的は、上記露光用マスクの製造方法に使用されうる欠陥修正要否判定装置を提供することである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明の一観点によると、マスクパターンの形成された露光用マスクを通して、ウエハ上に該マスクパターンの空間像が形成される条件で、該ウエハ上に形成されたレジスト膜を露光し、レジストパターンを形成するための露光用マスクの製造方法であって、(a)前記マスクパターンのウエハ表面における空間像の寸法を、ある範囲内で変化させたときの該空間像の寸法と、該空間像によって形成されたレジストパターンをエッチングマスクとして前記ウエハをエッチングして形成されるパターンの寸法との対応関係を、予め求めておく工程と、(b)マスクブランクに、マスクパターンを形成する工程と、(c)前記工程(b)で形成されたマスクパターンの、ウエハ表面における空間像を得る工程と、(d)前記工程(c)で得られた空間像からウエハ上に形成されるパターンの寸法を、前記工程(a)で求められた対応関係に基づいて予測する工程と、(e)前記工程(d)で予測されたパターン寸法の予測値が許容範囲に収まっているか否かを判定する工程とを有する露光用マスクの製造方法が提供される。
【0017】
本発明の他の観点によると、マスクパターンが形成された露光用マスクを通して、ウエハ上の感光性レジスト膜を露光する際の、該ウエハ上における前記マスクパターンの空間像データを生成する空間像データ生成手段と、前記マスクパターンの、ウエハ表面における空間像の寸法をある範囲内で変化させたときの該空間像の寸法と、該空間像によって形成されたレジストパターンをエッチングマスクとして前記ウエハをエッチングして形成されるパターンの寸法との対応関係を記憶する対応関係記憶手段と、ウエハ上に形成すべきパターンの寸法の許容範囲を記憶する許容範囲記憶手段と、前記空間像データ生成手段で生成された空間像の寸法と、前記対応関係記憶手段に記憶されている対応関係とから、ウエハ上に形成されるパターンの寸法を予測し、予測された寸法が、前記許容範囲記憶手段に記憶されている許容範囲に収まっているか否かを判定する制御手段とを有する欠陥修正要否判定装置が提供される。
【0018】
空間像の寸法と、ウエハ上に形成されるパターンの寸法との対応関係を予め求めておくことにより、欠陥を有するマスクパターンの空間像の寸法から、ウエハ上に形成されるパターンの寸法を高精度に予測することができる。パタン寸法の予測値に基づいて、欠陥修正要否を判定することにより、判定精度を高めることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
図1及び図2を参照して、本発明の第1の実施例による露光用マスクの製造方法について説明する。第1の実施例では、一例として、半導体ウエハ上に形成された層間絶縁膜に、レジストシュリンク技術を用いて直径120nmのビアホールを形成するためのKrFエキシマレーザ用マスクのマスクパターンの作製方法について説明する。
【0020】
図1(A)に、欠陥を有しないマスクパターン1を示す。遮光領域2(図1(A)においてハッチを付した領域)内に、正方形の透過領域からなるマスクパターン1が形成されている。遮光領域2には、例えばクロム(Cr)等の遮光膜が配置されている。
【0021】
図1(B)に、ウエハ表面におけるレジストパターン1の空間像1Bを示す。直径200nmの円形の空間像が得られる。ポジ型レジスト膜の表面に、図1(B)に示した空間像を形成し、現像を行うと、レジスト膜に直径200nmの円形の開口が形成される。
【0022】
図1(C)に、ホールシュリンク技術を適用した後のレジストパターンを示す。現像直後の開口が縮小され、直径120nmの開口1Cが得られる。ホールシュリンクは、例えば、レジスト膜の表面に溶剤を塗布してベーキングすることにより行うことができる。ホールシュリンク技術適用後のレジスト膜をエッチングマスクとして、層間絶縁膜をエッチングすることにより、直径120nmのビアホールを形成することができる。
【0023】
ビアホールの半径は、100nmから60nmに縮小している。この縮小量40nmは、一般的にプロセスシフト値と呼ばれる。
図2に、ホールシュリンク技術適用前のレジスト膜の開口の直径と、ホールシュリンク技術適用後の開口の直径との対応関係を示す。この対応関係は、ホールシュリンク技術適用前に、種々の大きさの開口を形成しておき、これらの開口に対してホールシュリンク技術を適用して小径化させ、小径化後の開口の直径を測定することにより求められる。なお、ホールシュリンク技術適用前の開口の直径は、図1(B)に示した空間像の直径とほぼ等しく、ホールシュリンク技術適用後の開口の直径は、実際に層間絶縁膜に形成されるビアホールの直径とほぼ等しい。このため、空間像の直径とビアホールの直径との対応関係を求めておくことも可能である。
【0024】
図2の横軸及び縦軸は、それぞれホールシュリンク技術適用前及び適用後における開口の直径を単位「nm」で表す。ホールシュリンク技術適用前の開口の直径が200nmのとき、ホールシュリンク技術適用後の開口の直径が120nmになる。シュリンク前の開口の直径が大きくなると、シュリンク後の開口の直径も大きくなるが、その関係は比例関係ではない。このため、実験によらず、シミュレーションのみでシュリンク後の開口の直径を高精度に予測することは困難である。本実施例においては、実際に種々の直径の開口をシュリンクさせてシュリンク後の開口の直径を測定している。このため、両者の高精度の対応関係を得ることができる。
【0025】
図2に示した対応関係に基づいて、空間像の寸法と、ウエハ上のパターンの寸法との高精度の対応関係を求めることができる。以下に説明する実施例では、図2に示した対応関係に基づいて得られた空間像の寸法と、ウエハ上のパターンの寸法との対応関係が利用される。
【0026】
図1(D)に、透過領域からなるマスクパターン5に、透過領域の内側に向かって遮光領域が突出した欠陥6が形成されている例を示す。図1(E)に、欠陥6を有するマスクパターン5の空間像5Bを示す。欠陥6を有するため、空間像5Bの直径が、欠陥がない場合の空間像の直径200nmよりも小さくなる。例えば、空間像5Bの直径が180nmになる。図1(F)に、直径180nmの開口5Bに対してホールシュリンク技術を適用した後の開口5Cを示す。開口5Cの直径は、約100nmになる。
【0027】
図1(G)に、透過領域からなるマスクパターン8に、遮光領域側に向かって透過領域が突出した欠陥9が形成されている例を示す。図1(H)に、欠陥9を有するマスクパターン8の空間像8Bを示す。欠陥9を有するため、空間像8Bの直径が、欠陥がない場合の空間像の直径200nmよりも大きくなる。例えば、空間像8Bの直径が220nmになる。図1(I)に、直径220nmの開口8Bに対してホールシュリンク技術を適用した後の開口8Cを示す。開口8Cの直径は、約150nmになる。
【0028】
シュリンク後の開口の直径の目標値が120nmであり、寸法の許容誤差が±10%であるとすると、開口の直径の許容範囲は108〜132nmになる。図1(F)及び図1(I)に示した開口5C及び8Cの直径は、この許容範囲から外れているため、図1(D)及び図1(G)に示したマスクパターン5及び8は、修正する必要がある。
【0029】
以下、実施例による露光用マスクの製造工程を順番に説明する。まず、マスクブランクに多数のマスクパターンを形成する。多数のマスクパターンを観察することにより、欠陥を有するマスクパターンを抽出する。欠陥を有すると判定されたマスクパターン(例えば、図1(D)及び(G)に示したマスクパターン)について、空間像(例えば、図1(E)及び(H)に示した空間像)を求める。空間像は、シミュレーション顕微鏡を用いて、実際の露光条件と同一の条件で空間像を生成し、この光強度分布を測定することにより求めることができる。なお、数値シミュレーションにより空間像を求めることも可能である。
【0030】
次に、図2に基づいて予め求められている空間像の寸法と、ウエハ上のパターンの寸法との対応関係に、欠陥を有するマスクパターンの空間像の寸法を適用することにより、ウエハに形成されるパターンの寸法を予測する。図2の対応関係は、実際の実験から得られたものであるため、高精度に寸法の予測を行うことができる。
【0031】
寸法の予測結果が、当該パターンの寸法の許容範囲に収まっている場合には、そのマスクパターンの欠陥は修正不要である。寸法の予測結果が許容範囲から外れている場合には、そのマスクパターンの欠陥は修正必要であると判定される。
【0032】
次に、修正必要と判定された欠陥の修復を行う。図1(D)に示したように、透過領域であるべき部分に遮光膜が残っている欠陥は、欠陥部分にレーザビームを照射して余分な遮光膜を除去することにより修復される。図1(G)に示したように、遮光領域であるべき部分の遮光膜が除去されて透過領域になっている欠陥は、欠陥部分にカーボンの収束イオンビームを入射させてカーボン膜を堆積させることにより修復される。
【0033】
上記第1の実施例では、実際にウエハ上に形成されるパターンの寸法を予測して、欠陥修正の要否を判定している。図1(E)及び図1(H)に示した空間像の寸法に基づいて欠陥修正の要否を判定すると、この2つの場合は、目的とする空間像の寸法の±10%内に収まっているため、修正不要と判定されてしまう。図1(F)及び図1(I)に示したウエハ上に形成されるパターンの予測寸法に基づいて欠陥修正の要否を判定することにより、修正すべき欠陥を修正不要と誤って判定することを防止できる。
【0034】
次に、図3を参照して、本発明の第2の実施例による露光用マスクの製造方法について説明する。第2の実施例では、一例として、半導体ウエハ上にトリミング技術を用いてゲート長60nmのゲート電極を形成するためのKrFエキシマレーザ用マスクのマスクパターンを作製する方法について説明する。
【0035】
図3(A)に、欠陥を有しないマスクパターン11を示す。透過領域12内に、長方形の遮光領域からなる2本のマスクパターン11が形成されている。遮光領域には、例えばクロム(Cr)等の遮光膜が配置されている。
【0036】
図3(B)に、ウエハ表面におけるレジストパターン11の空間像11Bを示す。幅100nmの帯状の空間像が得られる。空間像11Bの端部は、角がとれて丸くなっている。ポジ型レジスト膜の表面に、図3(B)に示した空間像を形成し、現像を行うと、幅100nmの帯状のレジストパターンが形成される。
【0037】
図3(C)に、トリミング技術を適用した後のゲート電極11Cを示す。エッチングマスクとして使用されるレジストパターンの幅は100nmであるが、片側20nmのトリミングを行うことにより、幅60nmのゲート電極11Cが形成される。例えば、エッチングが等方性になる条件でオーバエッチングを行うことによりトリミングを行うことができる。このトリミング量は、一般的にプロセスシフト値と呼ばれる。
【0038】
種々の幅の空間像について、実際にゲート電極を形成し、トリミング後のゲート電極の幅を測定する。この測定結果から、空間像の幅とトリミング後のゲート電極の幅との対応関係が求められる。この対応関係は、第1の実施例における図2の対応関係に相当する。
【0039】
図3(D)に、遮光領域からなる2本の長方形状のマスクパターン15のうち一方のマスクパターンの長辺から、透過領域側に向かって遮光領域が突出した欠陥16が形成されている例を示す。図3(E)に、欠陥16を有するマスクパターン15の空間像15Bを示す。欠陥16に対応する位置に、突出部16Bが現れている。突出部16Bの突出量が10nmのとき、この部分の空間像の幅は110nmになる。図3(F)に、図3(E)に示した空間像により形成したレジストパターンをエッチングマスクとして用いて形成したゲート電極15Cを示す。空間像15Bの突出部16Bに対応する位置に、突出部16Cが形成されている。片側20nmのトリミングを行うと、突出部16Cの位置におけるゲート電極の幅が70nmになる。
【0040】
図3(G)に、遮光領域からなる2本の長方形状のマスクパターン18のうち一方のマスクパターンの長辺から内側に向かって窪んだ欠陥19が形成されている例を示す。図3(H)に、欠陥19を有するマスクパターン18の空間像18Bを示す。欠陥19に対応する位置に窪み部19Bが現れている。窪み部19Bの窪み量が10nmのとき、この部分の空間像の幅は90nmになる。図3(I)に、図3(H)に示した空間像により形成したレジストパターンをエッチングマスクとして用いて形成したゲート電極18Cを示す。空間像18Bの窪み部19Bに対応する位置に、窪み部19Cが形成されている。片側20nmのトリミングを行うと、窪み部19Cの位置におけるゲート電極18Cの幅が50nmになる。
【0041】
トリミング後のゲート電極の幅の目標値が60nmであり、寸法の許容誤差が±10%であるとすると、ゲート電極の幅の許容範囲は54〜66nmになる。図3(F)及び図3(I)に示したゲート電極の幅はこの許容範囲から外れるため、図3(D)及び図3(G)に示したマスクパターン15及び18は、修正する必要がある。
【0042】
図3(E)及び(H)に示した空間像15B及び18Bの欠陥に対応する部分の幅は、図3(B)に示した正常な空間像の幅の±10%の範囲内に収まっている。このため、空間像の幅に基づいて欠陥修正の要否を判定すると、図3(D)及び(G)に示した欠陥16及び19が、共に修正不要と判定されてしまう。
【0043】
第2の実施例の場合には、ゲートパターンの空間像の幅と、その空間像で形成されるトリミング後のゲート電極の幅との対応関係が、予め求められている。この対応関係により、ゲートパターンの空間像の幅から、トリミング後のゲート電極の幅を。高精度に予測することが可能になる。予測されたゲート電極の幅に基づいて、マスクパターンの欠陥の修正要否が判定されるため、判定の精度を高めることができる。
【0044】
上記第1の実施例では、ビアホールを形成するためのマスクパターン、第2の実施例では、ゲート電極を形成するためのマスクパターンを例にとって、欠陥修正要否の判定方法を説明したが、この判定方法は、その他のマスクパターンの欠陥の判定にも適用することが可能である。
【0045】
一般的には、マスクパターンのウエハ表面における空間像の寸法を、ある範囲内で変化させたときの空間像の寸法と、空間像によって形成されたレジストパターンをエッチングマスクとしてウエハをエッチングして形成されるパターンの寸法との対応関係を、予め求めておけばよい。この対応関係により、空間像の寸法からウエハ上のパターンの寸法を高精度に予測することができる。
【0046】
次に、第3の実施例による露光用マスクの製造方法について説明する。上記第1及び第2の実施例では、ホールシュリンク技術やトリミング技術を用いて、空間像の寸法をシフトさせたパターンをウエハ上に形成した。第3の実施例では、このようなプロセスシフト技術が採用される場合に限定されない。
【0047】
第3の実施例で作製する露光用マスクは、マスクパターンの配置が密な領域と、それよりもマスクパターンの配置が疎な領域とを含んでいる。密な領域におけるマスクパターンの空間像の寸法とウエハ上に形成されるパターンの寸法との対応を示す第1の対応関係、及び疎な領域におけるマスクパターンの空間像の寸法とウエハ上に形成されるパターンの寸法との対応を示す第2の対応関係を予め求めておく。これらの対応関係は、寸法をある範囲内で変化させた複数のマスクパターンを用いて、実際にウエハ上に対応するパターンを形成し、空間像の寸法と、実際にウエハ上に形成されたパターンの寸法とを測定することにより求めることができる。
【0048】
マスクブランクに、マスクパターンを形成し、欠陥の有無を検査する。欠陥があると判定されたマスクパターンの空間像を求める。マスクパターンが密な領域に配置されている場合には、第1の対応関係に基づいて、空間像の寸法から、ウエハ上に形成されるパターンの寸法を予測する。マスクパターンが疎な領域に配置されている場合には、第2の対応関係に基づいて、空間像の寸法から、ウエハ上に形成されるパターンの寸法を予測する。
【0049】
一般に、パターンの密な領域におけるエッチング速度と、疎な領域におけるエッチング速度とは異なる。このため、マスクパターンに発生した欠陥の影響の度合いも異なる。第3の実施例では、密な領域と疎な領域とで、別々に空間像の寸法とウエハ上のパターンの寸法との対応関係を求めておき、パターンの寸法を予測する。このため、エッチング速度の相違による予測誤差を排除し、より正確なパターン寸法の予測を行うことができる。
【0050】
次に、図4を参照して、第4の実施例による露光用マスクの製造方法について説明する。
図4(A)に、マスクパターンの一例を示す。図の横方向に延在する直線状のマスクパターン30、及び図の縦方向に延在するマスクパターン31が配置されている。マスクパターン31の先端とマスクパターン31との間に、微小な間隔D1が画定されている。
【0051】
図4(B)に、マスクパターンの他の例を示す。1本の仮想直線に沿って、複数の直線状のパターン32A、32B、及び32Cが一列に配列し、相互に隣り合うパターンの間に微小な間隔D2が画定されている。
【0052】
図4(C)に、空間像における微小な間隔と、ウエハ上に形成されるパターンの間隔との対応関係の一例を示す。この対応関係は、間隔D1やD2をある範囲内で変化させて複数のマスクパターンを形成し、このマスクパターンを用いて実際にウエハ上にパターンを形成することにより求めることができる。
【0053】
マスクパターンに欠陥が発生したことにより、空間像における間隔D1やD2が所望の値からずれてしまった場合、図4(C)に示した対応関係を用いてウエハ上のパターンの間隔を予測することができる。この予測値に基づいて、欠陥修正の要否を判断する。
【0054】
一般的には、空間像における間隔D1やD2がずれてしまったとき、ウエハ上のパターンの対応する間隔が、空間像におけるずれ量に比例して変動するとは限らない。このため、ウエハ上のパターンの間隔がどの程度になるかを予測することは困難である。第4の実施例のように、空間像における間隔と、それに対応するウエハ上のパターンの間隔とを予め実測しておくことにより、ウエハ上のパターンの間隔を、高精度に予測することができる。
【0055】
予測されたウエハ上のパターンの間隔に基づいて、欠陥の修正要否を判定することにより、判定精度を高めることができる。
次に、上記第1〜第4の実施例による方法で製造した露光用マスクを用いて半導体装置を製造する方法について説明する。
【0056】
まず、半導体ウエハの表面上に感光性レジスト膜を形成する。第1〜第4の実施例のいずれかの方法で作製された露光用マスクを通して、感光性レジスト膜を露光し、現像する。これにより、半導体ウエハ上にレジストパターンが形成される。
【0057】
レジストパターンをエッチングマスクとして、半導体ウエハの表層部をエッチング加工する。このエッチングに、上記第2の実施例で説明したように、トリミング技術が適用される場合がある。また、上記第1の実施例で説明したように、レジストパターンを形成した後、ホールシュリンク技術が適用される場合もある。
【0058】
図5に、上記実施例を実行するための欠陥修正要否判定装置のブロック図を示す。欠陥修正要否判定装置は、シミュレーション顕微鏡40、欠陥検出装置43、空間像データ記憶装置41、対応関係データ記憶装置42、欠陥データ記憶装置44、予測値データ記憶装置45、許容範囲データ記憶装置46、及び制御装置47を含んで構成される。
【0059】
シミュレーション顕微鏡40は、検査対象の露光用マスクのマスクパターンの空間像を生成する。生成された空間像を数値化した空間像データが、空間像データ記憶装置41に記憶される。
【0060】
欠陥検出装置43は、検査対象の露光用マスクのマスクパターンを光学的に観察して数値データ化し、元の描画データと比較する。両者に相違点があれば、その部分が欠陥と判定され、欠陥の位置情報、欠陥を有するパターンの種類等を含む欠陥データが、欠陥データ記憶手段44に記憶される。
【0061】
検査対象の露光用マスクのマスクパターンの空間像の寸法と、実際にウエハ上に形成されるパターンの寸法との対応関係、例えば図2に示した対応関係が、対応関係データ記憶装置42に記憶されている。
【0062】
制御装置47が、欠陥データ記憶装置44から欠陥の位置情報を読み取る。この欠陥を含むマスクパターンの空間像データを、空間像データ記憶装置41から入手する。入手された空間像データから、空間像の寸法を求める。求められた寸法を、対応関係データ記憶装置42に記憶されている対応関係に適用し、実際にウエハ上に形成されるパターンの寸法を予測する。予測された寸法を、予測値データ記憶装置45に記憶させる。
【0063】
許容範囲データ記憶装置46に、ウエハ上に形成すべきパターンのパターンデータ、及びウエハ上に形成されるパターンの寸法の許容範囲が記憶されている。制御装置47は、予測値が許容範囲に収まっているか否かを判定する。予測値が許容範囲に収まっている場合には、当該欠陥は修正不要と判断される。予測値が許容範囲から外れている場合には、当該欠陥は修正必要と判断される。
【0064】
以上実施例に沿って本発明を説明したが、本発明はこれらに制限されるものではない。例えば、種々の変更、改良、組み合わせ等が可能なことは当業者に自明であろう。
【0065】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、露光用マスクのマスクパターンの欠陥の修正要否の判定精度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1の実施例による露光用マスクの製造方法を説明するためのマスクパターン、空間像、及びレジストパターン(ウエハ上のパターン)を示す平面図である。
【図2】 第1の実施例で用いられるホールシュリンク前の開口径とホールシュリンク後の開口径との関係を示すグラフである。
【図3】 第2の実施例による露光用マスクの製造方法を説明するためのマスクパターン、空間像、及びウエハ上のパターンを示す平面図である。
【図4】 第4の実施例による方法で形成される露光用マスクのマスクパターンを示す平面図、及び空間像における間隔とウエハ上のパターンの間隔との関係を示すグラフである。
【図5】 欠陥修正要否判定装置のブロック図である。
【図6】 (A)は、欠陥を有するマスクパターンの平面図、(B)はその空間像の平面図、(C)は、その空間像に対応するレジストパターンの平面図、及び(D)は、そのレジストパターンを用いて形成したウエハ上のパターンの平面図である。
【符号の説明】
1、5、8、11、15、18、30、31、32A〜32C マスクパターン1B、5B、8B、11B、15B、18B 空間像
1C、5C、8C ホールシュリンク後の開口
2 遮光領域
6、9、16、19 欠陥
11C、15C、18C ウエハ上のゲート電極
40 シミュレーション顕微鏡
41 空間像データ記憶装置
42 対応関係データ記憶装置
43 欠陥検出装置
44 欠陥データ記憶装置
45 予測値データ記憶装置
46 許容範囲データ記憶装置
47 制御装置

Claims (5)

  1. マスクパターンの形成された露光用マスクを通して、ウエハ上に該マスクパターンの空間像が形成される条件で、該ウエハ上に形成されたレジスト膜を露光し、レジストパターンを形成するための露光用マスクの製造方法であって、
    (a)前記マスクパターンのウエハ表面における空間像の寸法を、ある範囲内で変化させたときの該空間像の寸法と、該空間像によって形成されたレジストパターンをエッチングマスクとして前記ウエハをエッチングして形成されるパターンの寸法との対応関係を、予め求めておく工程と、
    (b)マスクブランクに、マスクパターンを形成する工程と、
    (c)前記工程(b)で形成されたマスクパターンの、ウエハ表面における空間像を得る工程と、
    (d)前記工程(c)で得られた空間像からウエハ上に形成されるパターンの寸法を、前記工程(a)で求められた対応関係に基づいて予測する工程と、
    (e)前記工程(d)で予測されたパターン寸法の予測値が許容範囲に収まっているか否かを判定する工程と
    を有する露光用マスクの製造方法。
  2. 前記マスクパターンが、ウエハ上のレジスト膜に転写されたレジストパターンから、プロセスシフト値に基づいてパターン寸法をシフトさせたパターンを該ウエハ上に形成するためのものであり、
    前記工程(a)で求められる対応関係は、前記ウエハ上におけるマスクパターンの空間像の寸法と、前記プロセスシフト値に基づいてパターン寸法をシフトさせる条件の下で、該ウエハ上に形成されるパターンの寸法との対応を表している請求項1に記載の露光用マスクの製造方法。
  3. 前記露光用マスクが、マスクパターンの配置が密な領域と疎な領域とを含み、
    前記工程(a)で求められる対応関係が、前記密な領域におけるマスクパターンの空間像の寸法とウエハ上に形成されるパターンの寸法との対応を示す第1の対応関係、及び前記疎な領域におけるマスクパターンの空間像の寸法とウエハ上に形成されるパターンの寸法との対応を示す第2の対応関係を含み、
    前記工程(d)において、前記密な領域内のウエハ上に形成されるパターンの寸法を、前記第1の対応関係に基づいて予測し、前記疎な領域内のウエハ上に形成されるパターンの寸法を、前記第2の対応関係に基づいて予測する請求項1に記載の露光用マスクの製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の露光用マスクの製造方法により製造された露光用マスクを準備する工程と、
    半導体ウエハの表面上に感光性レジスト膜を形成する工程と、
    前記露光用マスクを通して、前記感光性レジスト膜を露光し、現像することによりレジストパターンを形成する工程と、
    前記レジストパターンをエッチングマスクとして、前記半導体ウエハの表層部をエッチング加工する工程と
    を有する半導体装置の製造方法。
  5. マスクパターンが形成された露光用マスクを通して、ウエハ上の感光性レジスト膜を露光する際の、該ウエハ上における前記マスクパターンの空間像データを生成する空間像データ生成手段と、
    前記マスクパターンの、ウエハ表面における空間像の寸法をある範囲内で変化させたときの該空間像の寸法と、該空間像によって形成されたレジストパターンをエッチングマスクとして前記ウエハをエッチングして形成されるパターンの寸法との対応関係を記憶する対応関係記憶手段と、
    ウエハ上に形成すべきパターンの寸法の許容範囲を記憶する許容範囲記憶手段と、
    前記空間像データ生成手段で生成された空間像の寸法と、前記対応関係記憶手段に記憶されている対応関係とから、ウエハ上に形成されるパターンの寸法を予測し、予測された寸法が、前記許容範囲記憶手段に記憶されている許容範囲に収まっているか否かを判定する制御手段と
    を有する欠陥修正要否判定装置。
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