JP4118080B2 - 金属基板研磨用粒子および研磨材 - Google Patents
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Description
【発明の技術分野】
本発明は、平均粒子径5〜300nmの無機酸化物粒子からなる研磨用粒子および該研磨用粒子を含んでなる金属基板研磨材に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】
コンピューター、各種電子機器には各種の集積回路が用いられており、これらの小型化、高性能化に伴い回路の高密度化と高性能化が求められている。
この中で、例えば半導体集積回路は、従来、半導体集積回路の集積度を高めるために多層配線が用いられており、このような多層配線は、通常、シリコンなどの基板上に、第1絶縁膜としての熱酸化膜を形成した後、アルミニウム膜などからなる第1配線層を形成し、この上にCVD法あるいはプラズマCVD法等によって、シリカ膜、窒化ケイ素膜などの層間絶縁膜を被着させ、この層間絶縁膜上に、該層間絶縁膜を平坦化するためのシリカ絶縁膜をSOG法により形成し、このシリカ絶縁膜上に必要に応じてさらに第2絶縁膜を被着させた後、第2配線層を形成することによって、製造されている。
上記アルミニウム膜からなる配線は、多層配線を形成する際のスパッタリング時にアルミニウム等の配線が酸化されて抵抗値が増大して導電不良を起こすことがあった。また、配線幅を小さくすることができないためにより高密度の集積回路を形成するには限界があった。さらに、近年クロック線やデータバス線のような長距離配線では、チップサイズ増大に伴い配線抵抗が増大し電気信号の伝播遅延時間(RC遅延時間=抵抗×容量)の増大が問題となっている。このため配線をより低抵抗の材料に置き換えていく必要が生じている。
【0003】
従来のAlやAl合金による配線に代えてCu配線を行うことも提案されており、例えば、基板上の絶縁膜に予め配線溝を形成した後、電解メッキ法、CVD法等によりCu配線を形成する方法が公知である。
この銅等の配線パターン形成においては、ドライエッチプロセスによる加工が困難なため、化学機械研磨方法(以下、CMPと言うこともある。)を用いたダマシンプロセスが適用されており、基板上の絶縁膜に予め配線溝を形成し、電解メッキ法やCVD法等により銅を配線溝に埋め込んだ後、CMPにより上端面を研磨し、平坦化して配線を形成している。例えば、シリコンウェハー等の基材上に配線層間膜(絶縁膜)を成膜し、その配線層間膜(絶縁膜)上に金属配線用の溝パターンを形成し、必要に応じてスパッタリング法などによってTaN等のバリアメタル層を形成し、ついで金属配線用の銅をCVD法等により成膜する。ここで、TaN等のバリアメタル層を設けた場合には層間絶縁膜への銅や不純物などの拡散や浸食に伴う層間絶縁膜の絶縁性の低下などを防止することができ、また層間絶縁膜と銅の接着性を高めることができる。
【0004】
次いで、配線溝内以外に成膜された不要な銅及びバリアメタル(犠牲層ということがある。)をCMPにより研磨して除去するとともに上部表面を可能な限り平坦化して、溝内にのみ金属膜を残して銅の配線・回路パターンを形成する。
CMPは、一般的に回転機構を有する円形プラテン上に研磨パッドを搭載し、研磨パッドの中心上部から研磨材を滴下供給した状態で被研磨材を回転させ、加重を掛けながら研磨パッドに接触させることによって、共面の上部部分の銅及びバリアメタルを研磨して除去するものである。
被研磨材の表面には下地の絶縁膜に形成した配線用の溝パターンに起因した段差(凹凸)が存在するので、主に凸部を研磨除去しながら共面まで研磨し、平坦な研磨面とすることが求められている。
【0005】
CMPで使用される研磨材には、通常、研磨用粒子としてヒュームドシリカやヒュームドアルミナ等、平均粒子径が200nm程度の球状粒子が用いられており、このような研磨用粒子と共に、被研磨材の種類により、金属の研磨速度を高めるために過酸化水素などの酸化剤や、金属の腐食や酸化を抑制するためにベンゾトリアゾール(BTA)や、更に、酸または塩基からなるpH調整剤等が添加されている。
しかしながら、研磨材中の酸化剤の酸化力または添加量によっては、所定の研磨を終えた後になお酸化層が残ることがあり、このため配線抵抗が増加したり、配線遅延を生じるなどの問題があった。更に、酸化層に異物や不純物が付着して残存するなどの問題も指摘されている。
【0006】
【発明の目的】
本発明の目的は、金属配線層等、金属基板を研磨するための研磨材中に酸化剤を配合せずとも十分な研磨速度、優れた研磨精度で研磨することができ、しかも、研磨後の金属基板に酸化層を実質的に残すことなく研磨可能な研磨用粒子および該金属基板研磨用粒子を含んでなる研磨材を提供することにある。
【0007】
【発明の概要】
本発明の金属基板研磨用粒子は、平均粒子径5〜300nmの無機酸化物粒子が、金属基板に対する酸化能を有する成分を含有してなることを特徴とするものである。
前記金属基板に対する酸化能を有する成分は、過酸化水素、過酢酸、尿素−過酸化水素、過酸化尿素、ペルオキソチタン酸から選ばれる1種または2種以上であることが好ましい。
前記酸化能を有する成分は、少なくとも前記無機酸化物粒子の外部表面に存在することが好ましい。
前記無機酸化物は、SiO2 、Al2 O3 、ZrO2 、SnO2 、ZnO、CeO2 、TiO2 、MnOから選ばれる1種または2種以上の無機酸化物であることが好ましい。
前記金属基板を構成する金属がCu、Al、Ti、TiN、Ta、TaN、Wから選ばれる1種または2種以上を主成分とする金属であることが好ましい。
本発明の研磨材は、前記金属基板研磨用粒子を含んでなることを特徴とするものである。
【0008】
【発明の具体的説明】
以下、本発明について具体的に説明する。
1.金属基板研磨用粒子
本発明の金属基板研磨用粒子を構成する無機酸化物粒子の平均粒子径は、5〜300nm、さらには10〜200nmの範囲にあることが好ましい。前記平均粒子径が5nm未満の場合は、金属基板研磨用粒子分散液あるいは研磨材の安定性が不充分になることがあり、また粒子が小さ過ぎて充分な研磨速度が得られないことがある。前記平均粒子径が300nmを越えると後述する粒子表面に存在する金属基板に対する酸化能を有する成分の量が少なくなり金属基板を充分酸化できないために研磨速度が低下することがあり、また充分な酸化能が得られたとしても金属基板表面にスクラッチが生成し、充分な平滑性が得られないことがある。このため、要求される研磨速度、研磨精度等を考慮して研磨用粒子の平均粒子径を選択することが好ましい。
前記無機酸化物は、SiO2 、Al2 O3 、ZrO2 、SnO2 、ZnO、CeO2 、TiO2 、MnOから選ばれる1種または2種以上の無機酸化物であることが好ましい。これらの酸化物からなる無機酸化物粒子、特にシリカ粒子は、優れた研磨性能を有するとともに、次に述べる酸化能を有する成分を吸着したり、粒子表面に担持することができる。
【0009】
金属基板に対する酸化能を有する成分としては、金属基板を酸化することができ、少なくとも無機酸化物粒子の外部表面に吸着するなどして存在し、研磨材の分散媒中に過度に溶出することがなければ特に制限はない。当該酸化能を有する成分として、過酸化水素、過酢酸、尿素−過酸化水素、過酸化尿素、ペルオキソチタン酸およびこれらの混合物が好適に用いられ、特に、ペルオキソチタン酸およびその混合物が好ましい。
【0010】
ペルオキソチタン酸とは過酸化水和チタンのことをいい、チタン化合物の水溶液、または水和酸化チタンのゾルまたはゲルに過酸化水素を加え、加熱することによって調製される。水和酸化チタンのゾルまたはゲルは、チタン化合物の水溶液に酸またはアルカリを加えて加水分解し、必用に応じて洗浄し、加熱、熟成することによって得られる。使用されるチタン化合物としては特に制限はないが、ハロゲン化チタン、硫酸チタニル等のチタン塩、テトラアルコキシチタン等のチタンアルコキシド、水素化チタン等のチタン化合物を用いることができる。ペルオキソチタン酸を用いた場合の金属基板の酸化は、次の化学反応式によって放出される酸素によるものと考えられる。
Ti−O−O−H → Ti−O−H +(O)
【0011】
上記酸化能を有する成分の含有量は、無機酸化物粒子の種類や物理性状によっても異なるが、金属基板研磨用粒子中に0. 1〜20重量%、特に1〜20重量%の範囲にあることが好ましい。この含有量が0. 1重量%未満の場合は、酸化能力が低く、充分な研磨速度が得られにくい。他方、含有量が20重量%を越えては無機酸化物粒子への吸着、担持が困難となったり、また当該成分の種類によっては、研磨材中で研磨用粒子から分散媒中に脱離する虞がある。
【0012】
なお、上記酸化能を有する成分の研磨材分散媒への溶出濃度と、必用に応じて該分散媒中に添加できる酸化剤の濃度は、0. 1重量%以下、さらに0. 05重量%以下であることが好ましい。研磨材分散媒中の酸化剤の濃度が0. 1重量%を越えると金属基板に酸化層が残存して配線抵抗が増加したり、配線遅延を生じることがある。本発明の研磨用粒子または研磨材では、研磨材分散媒中の酸化剤の濃度が0. 1重量%以下となる範囲で酸化剤を添加すれば、金属基板に酸化層が残存することなく研磨速度を維持、向上させることができる。
前記酸化能を有する成分は、特に、無機酸化物粒子の外部表面に存在することが好ましく、外部表面に存在することにより、金属基板と接触時に効率的に金属基板を酸化することができる。
【0013】
2.金属基板研磨用粒子の製造方法
上記金属基板研磨用粒子の製造方法としては、前記無機酸化物粒子の外部表面に前記酸化能を有する成分を吸着または担持することができれば特に制限はない。例えば、過酸化水素、過酢酸、尿素−過酸化水素、過酸化尿素、ペルオキソチタン酸等の溶液に前記無機酸化物粒子を分散させ、これらの成分を粒子に吸着させて製造することができる。
【0014】
3.研磨材
本発明の研磨材は前記した研磨用粒子を水系分散媒に分散しさせたものである。水系分散媒とは、水分散媒の他、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール類や、エーテル類、エステル類、ケトン類など水溶性の有機溶媒と水の混合溶媒をいう。
研磨材中の研磨用粒子の濃度は2〜50重量%、特に5〜30重量%の範囲にあることが好ましい。研磨用粒子の濃度が2重量%未満の場合は、研磨用粒子の濃度が低すぎて充分な研磨速度が得られないことがある。研磨用粒子の濃度が50重量%を越えると、研磨材の安定性が不充分となり、また研磨材を供給する工程で乾燥物が生成して付着することがあり、これがスクラッチ発生の原因となることがある。
【0015】
本発明の研磨材には、金属基板の研磨速度を向上すべく、さらに被研磨材の種類に応じて前記した従来公知の酸化剤、即ち、過酸化水素、過酢酸、過酸化尿素などおよびこれらの混合物を添加して用いることができる。
また、複数種の成分からなる金属基板の研磨速度を調整するために硫酸、硝酸、リン酸、フッ酸等の酸、あるいはこれら酸のナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩およびこれらの混合物などを添加して用いることができる。
その他の添加剤として、例えば、金属基板表面に不動態層あるいは溶解抑制層を形成して基材の浸食を防止するためにイミダゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾチアゾールなどを用いることができる。
また、上記不動態層を攪乱するためにクエン酸、乳酸、酢酸、シュウ酸などの錯体形成材を用いることもできる。
研磨材スラリーの分散性や安定性を向上させるためにカチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性系の界面活性剤を適宜選択して添加することができる。
さらに、上記各添加剤の効果を高める等のため、酸または塩基を添加して研磨材スラリーのpHを約2〜11、好ましくは4〜9、さらに好ましくは5〜8に調節してもよい。
【0016】
本発明において研磨対象となる金属基板を構成する金属種としては、Cu、Al、Ti、TiN、Ta、TaN、Wから選ばれる1種または2種以上を主成分とする金属であることが好ましい。更に、これら金属の複数が積層した金属基板であってもよい。また、金属基板を構成する主成分以外の金属成分としては、前記主成分と合金を形成し得る成分、例えばZn、Sn、Al、Pb、Ni、Co等を用いることができる。
金属基板がこのような成分からなるものであれば、本発明の研磨用粒子により金属基板の表面を選択的に酸化することができ、充分な研磨速度が得られると共に金属基板に酸化層が残存して配線抵抗が増加したり、配線遅延を生じることがない。
【0017】
【発明の効果】
本発明の金属基板研磨用粒子によれば、粒子に含まれる酸化能を有する成分により金属基板を酸化して研磨速度を高めることができる。また、当該酸化能を有する成分は研磨材の分散媒中に溶出することが少ないので、分散媒中における酸化剤の濃度が0. 1重量%を越えることがなく、このため金属基板に過度の酸化層が残存することがない。従って、金属基板の配線抵抗が増加したり、配線遅延を生じることもない。
本発明の研磨材によれば、前記した金属基板研磨用粒子が含まれているので、金属基板に過度の酸化層が残存することがなく、配線抵抗が増加したり、配線遅延を生じることがない。また、研磨後の金属基板の表面は平坦性に優れ、スクラッチがなく平滑であり、効率的に積層した集積回路を形成することができる。
【0018】
【実施例】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0019】
【実施例1】
研磨用粒子(A)分散液の調製
シリカゾル(触媒化成工業(株)製:SI−45P、平均粒子径45nm、SiO2 濃度40重量%)80. 0gに超純水720gを加えて希釈し、SiO2 濃度4重量%の微粒子分散液800gを調製した。この分散液のpHを陽イオン交換樹脂で4. 0に調整し、50℃に昇温した後、これにチタンラクテート(松本製薬(株)製:オルガチックスTC−310、TiO2 濃度30. 7重量%)26. 1gとイソプロピルアルコール(IPA)23. 9gとの混合溶液を30分間で添加してチタンラクテートを加水分解し、微粒子表面にチタン水和物を析出させ、50℃で4時間撹拌して熟成した。ついで、ロータリーエバポレーターにてアルコール類を除去して固形分濃度15重量%に調整した後、濃度35重量%の過酸化水素水29. 1gを加え、最終固形分濃度が10重量%となるように水を加えて研磨用粒子(A)分散液400gを調製した。研磨用粒子(A)と同分散液の性状を表1に示す。
研磨材(A)の調製
上記で得た固形分濃度10重量%の研磨用粒子(A)分散液に、クエン酸および超純水を加え、固形分濃度2重量%、クエン酸濃度0. 5重量%の研磨材(A)を調製した。
【0020】
研磨用基板
絶縁膜として、窒化ケイ素からなる絶縁膜(厚さ0. 2μm)の表面に、シリカからなる絶縁膜(厚さ0. 4μm)が積層され、さらに窒化ケイ素からなる絶縁膜(厚さ0. 2μm)が順次形成されたシリコンウェーハー(8インチウェーハー)基板上にポジ型フォトレジストを塗布し、0. 3μmのラインアンドスペースの露光処理を行った。テトラメチルアンモニウムハイドライド(TMAH)の現像液で露光部分を除去した後、CF4 とCHF3 の混合ガスを用いて、下層の絶縁膜にパターンを形成し、ついでO2 プラズマによりレジストを除去し、幅が0. 3μmで、深さが0. 6μmの配線溝を形成した。
次に、配線溝を形成した基板にCVD法で薄層の銅(Cu)を製膜し、さらに電解メッキ法で製膜を行い絶縁膜上の銅層(犠牲層)の合計厚さが0. 2μmの銅の製膜を行い、研磨用基板を準備した。
【0021】
研磨試験
上記研磨用基板を、研磨装置(ナノファクター(株)製:NF300)にセットし、基板荷重5psi、テーブル回転速度50rpm、スピンドル速度60rpmで、上記研磨材(A)を60ml/分の供給速度で供給し、絶縁膜上の犠牲層(厚さが0. 2μm)が無くなるまで研磨を行った。
研磨前後の厚みを求めて研磨速度を算出し、また研磨後の基板の平滑性および酸化層の有無を評価し、結果を表2に示した。なお平滑性および酸化層有無は、研磨後の表面を光学顕微鏡で観察し、以下の評価基準で評価した。
<平滑性の評価基準>
○:研磨前の傷、筋等が殆ど無くなり、表面が平滑である。
△:研磨前の傷、筋等が半分以下に減少し、表面が平滑である。
×:研磨前の傷、筋等が僅かに減少しているが、表面は粗い。
<酸化層有無の評価基準>
◎:表面が全面にわたって鮮明な金属光沢を有している。
○:鮮明さはないが、表面が全面にわたって金属光沢を有している。
△:表面の一部に腐食様箇所(酸化層)が認められる。
×:表面の全面に腐食様箇所(酸化層)が認められる。
【0022】
【実施例2】
研磨用粒子(B)分散液の調製
シリカゾル(触媒化成工業(株)製:SI−45P、平均粒子径45nm、SiO2 濃度40重量%)85gに超純水715gを加えて希釈し、SiO2 濃度4.25重量%の微粒子分散液800gを調製した。この分散液のpHを陽イオン交換樹脂にて4. 0に調整し、50℃に昇温した後、これにチタンラクテート(松本製薬(株)製:オルガチックスTC−310、TiO2 濃度30. 7重量%)19. 5gとイソプロピルアルコール(IPA)30. 5gとの混合溶液を30分間で添加してチタンラクテートを加水分解し微粒子の表面にチタン水和物を析出させ、50℃で4時間撹拌して熟成した。ついで、ロータリーエバポレーターにてアルコール類を除去して固形分濃度15重量%に調整した後、濃度35重量%の過酸化水素水21. 9gを加え、最終固形分濃度が10重量%となるように水を加えて研磨用粒子(B)分散液400gを調製した。
研磨材(B)の調製
研磨用粒子(B)分散液を用いた以外は実施例1と同様にして研磨材(B)を調製し、被研磨基板を研磨し、研磨後の基板の平滑性、酸化層の有無の観察、研磨速度の測定を行い、結果を表2に示した。
【0023】
【実施例3】
研磨用粒子(C)分散液の調製
シリカゾル(触媒化成工業(株)製:SI−45P、平均粒子径45nm、SiO2 濃度40重量%)90gに超純水810gを加えて希釈し、SiO2 濃度4.5重量%の微粒子分散液800gを調製した。この分散液のpHを陽イオン交換樹脂にて4. 0に調整し、50℃に昇温した後、これにチタンラクテート(松本製薬(株)製:オルガチックスTC−310、TiO2 濃度30. 7重量%)13. 0gとイソプロピルアルコール(IPA)37. 0gとの混合溶液を30分間で添加してチタンラクテートを加水分解し微粒子の表面にチタン水和物を析出させ、50℃で4時間撹拌して熟成した。ついで、ロータリーエバポレーターにてアルコール類を除去して固形分濃度15重量%に調整した後、濃度35重量%の過酸化水素水14. 6gを加え、最終固形分濃度が10重量%となるように水を加えて研磨用粒子(C)分散液400gを調製した。
研磨材(C)の調製
研磨用粒子(C)分散液を用いた以外は実施例1と同様にして研磨材(C)を調製し、被研磨基板を研磨し、研磨後の基板の平滑性、酸化層の有無の観察、研磨速度の測定を行い、結果を表2に示した。
【0024】
【実施例4】
研磨用粒子(D)分散液の調製
実施例1において、無機酸化物粒子としてテトラメトキシシランを加水分解して得たシリカ粒子(平均粒子径24nm)の水分散ゾル(SiO2 濃度20重量%)160gに超純水640gを加えて希釈した、SiO2 濃度4重量%の微粒子分散液800gを用いた以外は実施例1と同様にして、固形分濃度が10重量%の研磨用粒子(D)分散液400gを調製した。
研磨材(D)の調製
研磨用粒子(D)分散液を用いた以外は実施例1と同様にして研磨材(D)を調製し、被研磨基板を研磨し、研磨後の基板の平滑性、酸化層の有無の観察、研磨速度の測定を行い、結果を表2に示した。
【0025】
【実施例5】
研磨用粒子(E)分散液の調製
実施例4において、シリカ粒子(平均粒子径24nm)の水分散ゾル(SiO2 濃度20重量%)170g、超純水630g、チタンラクテート(松本製薬(株)製:オルガチックスTC−310、TiO2 濃度30. 7重量%)19. 5gとイソプロピルアルコール(IPA)30. 5gとの混合溶液を用いた以外は実施例4と同様にして、固形分濃度が10重量%の研磨用粒子(E)分散液400gを調製した。
研磨材(E)の調製
研磨用粒子(E)分散液を用いた以外は実施例1と同様にして研磨材(E)を調製し、被研磨基板を研磨し、研磨後の基板の平滑性、酸化層の有無の観察、研磨速度の測定を行い、結果を表2に示した。
【0026】
【実施例6】
研磨用粒子(F)分散液の調製
シリカゾル(触媒化成工業(株)製:SI−45P、平均粒子径45nm、SiO2 濃度40重量%)95gに超純水705gを加えて希釈し、SiO2 濃度4.75重量%の微粒子分散液800gを調製した。ついで、陽イオン交換樹脂にて分散液をpH4. 0に調整した後、50℃に昇温した。
ペルオキソチタン酸の調製
別途、19. 0gの四塩化チタンをイソプロピルアルコールで希釈して、TiO2 換算で1. 0重量%含有するアルコール溶液を得た。このアルコール溶液を撹拌しながら、濃度15重量%のアンモニア水を添加し、pH9.5の白色スラリーを得た。このスラリーを濾過洗浄し、TiO2 換算で、10.2重量%の水和酸化チタンゲルのケーキを得た。このケーキと濃度35重量%の過酸化水素水29. 1gと超純水16. 0gとを混合した後、80℃に加熱して溶解し、ペルオキソチタン酸の水溶液を調製した。
このペルオキソチタン酸の水溶液123. 5gを、上記50℃に昇温した微粒子分散液に10分間で添加し、50℃で4時間撹拌して熟成した。ついで、ロータリーエバポレーターにて濃縮し、固形分濃度が10重量%の研磨用粒子(F)分散液400gを調製した。
研磨材(F)の調製
研磨用粒子(F)分散液を用いた以外は実施例1と同様にして研磨材(F)を調製し、被研磨基板を研磨し、研磨後の基板の平滑性、酸化層の有無の観察、研磨速度の測定を行い、結果を表2に示した。
【0027】
【実施例7】
研磨材(G)の調製
研磨用粒子(F)分散液500gに、分散媒中の過酸化水素の濃度が0. 05重量%となるように濃度35重量%の過酸化水素水0. 71gを加えて研磨材(G) を調製し、被研磨基板を研磨し、研磨後の基板の平滑性、酸化層の有無の観察、研磨速度の測定を行い、結果を表2に示した。
【0028】
【比較例1】
研磨材(H)の調製
シリカゾル(触媒化成工業(株)製:SI−45P、平均粒子径45nm、SiO2 濃度40重量%)100gに、過酸化水素水、クエン酸および超純水を加え、SiO2 濃度2重量%、過酸化水素濃度5重量%、クエン酸濃度0. 5重量%の研磨材(H)を調製した。ついで、この研磨材(H)を用いた以外は実施例1と同様にして被研磨基板を研磨し、研磨後の基板の平滑性、酸化層の有無の観察、研磨速度の測定を行い、結果を表2に示した。
【0029】
【比較例2】
研磨材(I)の調製
比較例1において、無機酸化物粒子としてテトラメトキシシランを加水分解して得たシリカ粒子(平均粒子径24nm)の水分散ゾル(SiO2 濃度20重量%)200gを用いた以外は比較例1と同様にして、研磨材(I) を調製した。ついで、この研磨材(I)を用いた以外は実施例1と同様にして被研磨基板を研磨し、研磨後の基板の平滑性、酸化層の有無の観察、研磨速度の測定を行い、結果を表2に示した。
【0030】
【表1】
【0031】
【表2】
Claims (6)
- 平均粒子径5〜300nmの無機酸化物粒子が、過酸化水素、過酢酸、尿素−過酸化水素、過酸化尿素、ペルオキソチタン酸から選ばれる1種または2種以上の金属基板に対する酸化能を有する成分を吸着または担持してなり、前記酸化能を有する成分の含有量が金属基板研磨用粒子中に0 . 1〜20重量%の範囲にあることを特徴とする金属基板研磨用粒子。
- 前記金属基板に対する酸化能を有する成分が、ペルオキソチタン酸およびその混合物である請求項1記載の金属基板研磨用粒子。
- 前記酸化能を有する成分が、少なくとも前記無機酸化物粒子の外部表面に存在する請求項1または請求項2記載の金属基板研磨用粒子。
- 前記無機酸化物が、SiO2 、Al2 O3 、ZrO2 、SnO2 、ZnO、CeO2 、TiO2 、MnOから選ばれる1種または2種以上の無機酸化物である請求項1〜請求項3のいずれかに記載の金属基板研磨用粒子。
- 前記金属基板を構成する金属がCu、Al、Ti、TiN、Ta、TaN、Wから選ばれる1種または2種以上を主成分とする金属である請求項1〜請求項4のいずれか記載の金属基板研磨用粒子。
- 請求項1〜請求項5のいずれか記載の金属基板研磨用粒子を含んでなる研磨材。
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