JP4118015B2 - 超電導磁石装置及びこれを用いた磁気共鳴イメージング装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気共鳴イメージング装置(以下、MRI装置という)に適した超電導磁石装置に係り、特に傾斜磁場コイルで発生する振動や床から伝わる外部からの振動に対し、磁場変動を起こしにくい超電導磁石装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
以下、本発明に関係するMRI装置用超電導磁石装置の従来例について、図7〜図9を用いて説明する。図7は従来の超電導磁石装置の構造例を示す全体斜視図、図8は図7の計測空間(均一磁場領域)の中心における横断面図、図9は図7の縦断面図である。図7において、超電導磁石装置1は計測空間5の上下に対向して配置された真空容器9を備え、この真空容器9内に内包された静磁場発生源である超電導コイル2によって計測空間5に垂直方向の均一な静磁場が生成されている。静磁場発生源2を内包する真空容器9の外周部には、漏洩磁場を低減するための鉄板17と鉄柱18とから成る磁気シールドが配設されている。図7において、座標系として、計測空間5の中心を原点とし、垂直方向にZ軸、左右方向にX軸、前後方向(奥行方向)にY軸を設定する。
【0003】
図8、図9を用いて装置の構造の詳細について説明する。図8は、計測空間5の中心(原点)0を通り、Z軸に垂直な平面で切断した横断面図である。図8において、磁気シールドの2本の鉄柱18と、上下の真空容器9を接続する第2の連結管14は、計測空間5の中心0に対し、奥側で、かつ左右方向に離れた位置に配設され、計測空間5の中心0からみて、前方及び左右方向は開放されている。図9は図8のE−O−Fを切断線とする縦断面図で、左側半分がY軸方向(前方からZ軸まで)のもので、右側半分がZ軸から右側に第2の連結管14及び鉄柱18を通るものである。
【0004】
図9において、静磁場発生源である2組の超電導コイル2が計測空間5を間に挟んで上下方向に対向して対称に配設され、計測空間5に上下方向の高強度で均一な静磁場を発生する。このため、計測空間5は均一磁場発生領域ともいわれる。超電導コイル2は液体ヘリウムなどの冷媒4に浸漬され、支持体によって支持されて、上下の冷却容器6に収納されている。冷却容器6は超電導コイル2を超電導状態になるまで冷却し、維持する。上下の冷却容器6はその間に配設された第1の連結管11によって所定の距離を保持して支持される。冷却容器6の外側には、通常冷凍機(図示せず。装置の上部に配設される)によって極低温に冷却された第1の熱シールド7と、その外側に位置する第2の熱シールド8が配設され、冷媒4の蒸発を抑えている。更に、上下の第1、第2の熱シールド7、8、はその間に配設された第3、第4の連結管12、13によって所定の距離を保持して支持されるとともに、熱的に連結されている。上下の冷却容器6、第1の熱シールド7、第2の熱シールド8は真空断熱の目的で、上下の真空容器9内に収納されている。上下の真空容器9も、その間に配設された第2の連結管14によって所定の距離を保持して支持される。
【0005】
更に、上下の冷却容器6は上下の真空容器9に第1の支持棒20によって複数箇所支持されている。断熱のため、第1の支持棒20には熱伝導率の極めて低い非磁性の材料、例えばガラス繊維補強エポキシ樹脂などの繊維補強合成樹脂材料が使用されている。この第1の支持棒20の数及び断面積は強度的には多い方がよいが、冷却容器6への熱侵入を抑制する面からはできるだけ少ない方が望ましい。
【0006】
上記の超電導コイル2の冷却構造において、第3、第4の連結管12、13の構成材料として、アルミニウムなどの高熱伝導率の材料を用いることにより、冷凍機を上下の真空容器9のそれぞれに1台ずつ設ける必要がなくなり、システム全体に1台の冷凍機で間に合わせることができる。また、第2の連結管14については、図8では計測空間5の左右に1本ずつ配設されているが、この本数はこれに限定されず、2本以上ずつの場合も、また左右非対称の場合もある。
【0007】
一方、静磁場発生源である超電導コイル2によって発生された磁束によって、装置の外部に漏洩磁場が広がるため、これを低減する目的で真空容器9の外周部に鉄などの強磁性体から成る磁気シールドが配設されている。具体的には、上下の真空容器9の上下を板状体の鉄板17で囲み、更に上下の鉄板17を柱状の鉄柱18によって磁気的に接続している。上下の真空容器9は、それぞれ上下の鉄板17に複数箇所、例えば4箇所、ボルトなどの第2の支持棒21にて固定され、支持されている。このように静磁場発生源2の周囲を鉄などの強磁性体で囲むことにより、装置外部に発生する漏洩磁束に対して磁路(磁束帰路)が形成されるので、漏洩磁場が計測空間5から離れた遠方にまで広がることを抑制できる。本例で用いられる強磁性体としては、磁気的に強磁性を示すものであれば鉄以外の材質も選択可能であるが、磁気的特性、機械的強度、コストなどを考慮すると、一般には鉄の使用が望ましいので鉄が使用されている。
【0008】
他方、図8に示す如く、上下の真空容器9を接続する第2の連結管14及び鉄柱18は、X軸上に配置されておらず、計測空間5の上下方向の中心軸であるZ軸より奥側(後方)に配置されている。すなわち、上下の真空容器9はZ軸より奥側で第2の連結管14により支持され、鉄板17はZ軸より奥側で鉄柱18と磁気的に接続されている。このため、X軸上には第2の連結管14も鉄柱18も存在せず、装置外部から計測空間5に挿入された被検体に対して、術者は装置の左右方向から自由にアクセスすることができる。この結果、術者はIV−MR(インターベンショナル−MR)などを含む種々の処置をより容易に行うことができる。また、計測空間5の中に入った被検体にとって、前方及び左右方向の視野が広がったことにより、開放感が大きくなるため、安心して検査が受けられるという効果が生まれている。
【0009】
更に、MRI装置として機能を発揮するためには、図示の超電導磁石装置1の計測空間5を挟んで上下方向に傾斜磁場コイル23や高周波コイル24などが配設され、超電導磁石装置1の外部には被検体を寝載して計測空間5に挿入するためテーブル装置、超電導磁石装置1や傾斜磁場コイル23や高周波コイル24などに電力を供給する電源装置、MRI装置全体を制御する制御装置、被検体から得たMR信号に基づきMR画像を再構成する画像再構成装置などが付加される。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上記の従来例の如く構成された超電導磁石装置1では、冷却容器9を第1の支持棒20にて真空容器9に支持しているが、この第1の支持棒20に対して熱的特性のみ考慮され、振動特性については考慮されていなかった。このため、装置外部からの振動や傾斜磁場コイルの振動などの伝播により冷却容器6が振動し、その結果、超電導コイル2が振動し、計測空間5の静磁場が変化し、MR画像の劣化をもたらすという問題が生じていた。
【0011】
超電導コイル2の振動による計測空間5の静磁場の変化は、上下の超電導コイル2間の距離が変化した場合に生じている。従来例では、これらの振動に対し考慮されていないため、超電導コイル2間の距離が開いたり、閉じたりする振動が誘起しやすく、超電導コイル2は振動に対し敏感になっていた。
【0012】
以上のことに鑑み、本発明では、外部から振動が伝播しても、計測空間5の静磁場の変化を起こし難い冷却容器6の支持手段を備えた超電導磁石装置を提供し、これを使用したMRI装置にて安定したMR画像を得ることを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の超電導磁石装置は、有限領域を挟んで上下方向に対向して配置され、超電導特性を有する物質から構成され、前記有限の領域内に上下方向に向かう均一な静磁場を発生させるための電流を流す2組の静磁場発生素子群から成る静磁場発生源と、前記静磁場発生素子群を内包して保持し、冷媒により超電導特性を示す温度にまで冷却し維持する上下の冷却容器と、該上下の冷却容器を連結する第1の連結手段と、前記上下の冷却容器を内包し低温部を持つ冷凍機にて冷凍した上下の熱シールド層と、前記上下の冷却容器と前記上下の熱シールド層を内包し、真空断熱する上下の真空容器と、該真空容器を連結し、前記第1の連結手段を内包する第2の連結手段とを含む超電導磁石装置において、前記上下の冷却容器は前記真空容器に複数の支持部材によって支持され、かつ前記静磁場発生源、前記冷媒、前記冷却容器、前記第1の連結手段及び冷却付帯物の全重量の重心(以下、冷却容器全体としての重心と略称する)を基準にした前記支持部材の位置の前後、左右、上下方向の座標と前記支持部材のばね定数との積の和が前記冷却容器全体としての重心の前後、左右、上下の各方向においてほぼ0となるように支持されている(請求項1)。
【0014】
この構成では、上下の静磁場発生源を内包する上下の冷却容器を上下の真空容器に支持する複数の支持部材が、冷却容器全体としての重心の前後、左右、上下方向の両側において、各支持部材のばね定数と冷却容器全体としての重心との間隔との積の和がほぼ同じになるように配置されているので、冷却容器全体としての重心の前後、左右、上下方向の両側において、冷却容器の支持系の支持剛性のバランスがとれており、上下の冷却容器は外部からの加振に対しほぼ同じ振動をする。その結果、冷却容器に内包される上下の静磁場発生源の相対的位置も外部からの加振に対し殆ど変化しないので、上下の静磁場発生源によって形成される静磁場の磁場強度及び磁場均一度も殆ど変化せずに維持される。
【0015】
また、本発明の超電導磁石装置は、有限の領域を挟んで上下方向に対向して配置され、超電導特性を有する物質から構成され、前記有限の領域内に上下方向に向かう均一な静磁場を発生させるための電流を流す2組の静磁場発生素子群からなる静磁場発生源と、前記静磁場発生素子群を内包して保持し、冷媒により超電導特性を示す温度にまで冷却し維持する上下の冷却容器と、該上下の冷却容器を連結する第1の連結手段と、前記上下の冷却容器を内包し低温部を持つ冷凍機にて冷凍した上下の熱シールド層と、前記上下の冷却容器と前記上下の熱シールド層を内包し、真空断熱する上下の真空容器と、該上下の真空容器を連結し、前記第1の連結手段を内包する第2の連結手段とを含む超電導磁石装置において、前記上下の冷却容器が前記上下の真空容器に複数の支持部材によって支持され、かつ各支持部材のばね定数がほぼ同一であり、各支持部材にかかる荷重がほぼ同一となるように各支持部材が配置されている(請求項2)。
【0016】
この構成では、上下の冷却容器を支持する支持部材のばね定数がほぼ同じで、各支持部材にかかる荷重がほぼ同じになるように、各支持部材が配置されているので、上下の冷却容器に加わる外部加振に対して各支持部材はほぼ同様な振動を行うため、上下の冷却容器の相対的位置は殆ど変化しない。この結果、冷却容器に内包される静磁場発生源によって計測空間に形成される静磁場の磁場強度及び磁場均一度は殆ど変化せずに維持される。また、この構成では、冷却容器全体としての重心が構成要素に含まれていないので、この重心の位置を考慮しないで済む利点がある。
【0017】
また、本発明の超電導磁石装置では、前記上下の冷却容器が前記上下の真空容器に複数の支持部材によって支持され、かつ各支持部材のばね定数がほぼ同一であり、各支持部材が前記上下の冷却容器の幾何学的中心位置を基準にして上下、左右、前後の各方向において幾何学的にほぼ対称に配置されている。この構成では、上下の冷却容器を支持する支持部材がその中心に対し幾何学的にほぼ対称に配置されているので、各支持部材にかかる荷重はほぼ同じとなり、上記請求項2と同じ構成となり、これとほぼ同じ効果が得られる。
【0018】
また、本発明の超電導磁石装置は、有限の領域を挟んで上下方向に対向して配置され、超電導特性を有する物質から構成され、前記有限の領域内に上下方向に向かう均一な静磁場を発生させるための電流を流す2組の静磁場発生素子群からなる静磁場発生源と、前記静磁場発生素子群を内包して保持し、冷媒により超電導特性を示す温度にまで冷却し維持する上下の冷却容器と、該上下の冷却容器を連結する第1の連結手段と、前記上下の冷却容器を内包し、低温部を持つ冷凍機にて冷凍した上下の熱シールド層と、前記上下の冷却容器と前記上下の熱シールド層を内包し、真空断熱する上下の真空容器と、該上下の真空容器を連結し、前記第1の連結手段を内包する第2の連結手段とを含む超電導磁石装置において、前記上下の冷却容器が前記上下の真空容器に複数の支持部材によって支持され、かつ各支持部材にかかる荷重を各支持部材のばね定数で割った商がほぼ同一となるように各支持部材が配置されている(請求項3)。
【0019】
この構成では、上下の冷却容器を支持する複数の支持部材について、各支持部材にかかる荷重を各支持部材のばね定数で割った商がほぼ同一となるように各支持部材が配置されているので、各支持部材はほぼ同様な振動を行うことになる。この結果、上下の冷却容器に加わる外部加振に対して、各支持部材はほぼ同様な振動を行うことになるため、上下の冷却容器の相対的な位置は殆ど変化せず、冷却容器に内包される静磁場発生源によって計測空間に形成される静磁場も殆ど変化せず安定に維持される。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を添付図面に沿って説明する。
図1に本発明に係る超電導磁石装置の第1の実施例の全体構造図を、図2に本発明に係る超電導磁石装置の第1の実施例の冷却容器の支持構造図を示す。本実施例は、装置外部からの振動や傾斜磁場コイルからの振動などが、静磁場発生源である超電導コイルを収納した冷却容器へ伝播しても、計測空間の静磁場の変化を起し難い冷却容器の支持構造に関するものである。図1は、本発明に係る超電導磁石装置の第1の実施例の冷却容器の支持構造を含めた全体構造の縦断面図である。本実施例の全体斜視図、計測空間における横断面図は、前記従来例の図7、図8とほぼ同様であるので、以下の説明ではこれを参照することにする。
【0021】
本実施例の超電導磁石装置50では、図1において、計測空間5を挟んで上下方向に対向して静磁場発生源である超電導コイル2が2組配設され、計測空間5に垂直方向の高強度で均一な静磁場が生成される。この超電導コイル2は、超電導特性を示す温度まで冷却するため、液体ヘリウムなどの冷媒4を内包する冷却容器6内に収納され、支持されている。上下の冷却容器6は、その間に配設された第1の連結管11によって、所定の距離を保持して支持される。冷却容器6の外側には、通常2層の熱シールド(第1の熱シールドと第2の熱シールド。いずれも図示せず)が配設され、冷媒4の蒸発を抑制している。また、上下に配設されたこれらの第1の熱シールド及び第2の熱シールドの間にもそれぞれ連結管(第3の連結管と第4の連結管。いずれも図示せず)が配設されている。これらの第3、第4の連結管によって、第1の熱シールド、第2の熱シールドはそれぞれ熱的に接続されている。冷却容器6と2層の熱シールドの外側には、これらを真空断熱するための上下の真空容器9が配設されている。上下の真空容器9の間には、これらを所定の距離を保持して支持する第2の連結管14が配設されている。冷却容器6を囲む第1の熱シールドを極低温に冷却するための冷凍機15が装置の上部に配設されている。また、超電導コイル2によって発生された磁束によって装置50の外部に広がる漏洩磁場を低減するために、真空容器9の外周部には鉄板17及び鉄柱18から成る磁気シールドが配設されている。
【0022】
図1において、冷却容器6は真空容器9内にて、複数個の第1の支持棒30によって、真空容器9の内壁に支持されている。また、真空容器9自体も、複数個の第2の支持棒21によって、磁気シールドの鉄板17に支持されている。本実施例は、冷却容器6の真空容器9への支持する際の支持構造に関するもので、この支持構造は装置50の外部からの振動が伝播した場合に、振動の影響が超電導コイル2が形成する静磁場に対し、磁場変化を起こし難いものとしている。
【0023】
冷却容器6は通常アルミニウムなどの非磁性で、高熱伝導率の材料で構成されている。第1の支持棒30としては、冷却容器6への熱侵入を最小限度に抑えるために、熱伝導率の極めて小さい材料で構成され、その断面積を小さくなるように、また個数も少なくなるように制限されることになる。これらの観点から、第1の支持棒30の材料として、例えばガラス繊維補強エポキシ樹脂などの繊維補強合成樹脂が用いられる。
【0024】
図2は、本実施例の要部である上下の冷却容器6の支持構造図である。図2(a)は、冷却容器6の支持構造全体の斜視図を示している。本実施例では、上下の冷却容器6はそれぞれ3本ずつの第1の支持棒30にて真空容器9の内壁に支持されている。上下の冷却容器6には、それぞれ静磁場発生源である超電導コイル2が内包され、両冷却容器6の間は2本の第1の連結管11によって接続されている。更に、図2には図示していないが、上側の冷却容器6の上部には図1に示すように冷凍機15が接続されている。冷凍機15は、通常超電導磁石装置50の上部にて支持されている場合が多いが、その支持の仕方によっては、冷凍機15の重量の一部分又は大部分が上側の冷却容器6にかかってくる場合がある。このため、冷却容器6の振動問題を扱う場合には、冷凍機15などの冷却容器6の冷却のために使用される付帯物(以下、冷却用付帯物と呼ぶ)の重量のうち、実質的に冷却容器6にかかる重量(以下、冷却用付帯物実効重量と称する)についても考慮する必要がある。
【0025】
図2(b)は、図2(a)の平面図である。図2(b)において、第1の連結管11で接続された冷却容器6は3本ずつの第1の支持棒30によって真空容器9の内壁に支持されている。本実施例では、3本の支持棒30a、30b、30cはばね定数が同一となるように断面積と長さが同じになっている。冷却容器6全体としての重心Sは、上下の冷却容器6の重量に第1の連結管11の重量や冷却用付帯物実効重量が付加されるため、Z軸からX軸上に沿って少し右側に寄った位置にある。本実施例では、冷却容器6全体としての重心Sに対して3本の第1の支持棒30a、30b、30cによる支持剛性がバランスするように冷却容器6を支持している。幾何学的に見て、冷却容器6全体としての重心SはX−Z平面にあるため、第1の支持棒30a、30b、30cの支持剛性のバランスはX軸方向及びY軸方向についてとればよい。先ず、X軸方向については、第1の支持棒30が重心Sより左側に1本、右側に2本配置されているので、重心Sと左側の第1の支持棒30aとの間隔をA、重心Sと右側の第1の支持棒30b、30cとの間隔(右側の2本の第1の支持棒30b、30cは同じX座標の位置にある)をBとすると、A:B=2:1となるような位置に3本の第1の支持棒30a、30b、30cを配置することで、X軸方向の支持剛性のバランスがとられる。Y軸方向については、左側の第1の支持棒30aがX軸上にあるため、手前側の第1の支持棒30bとX軸との間隔Cと奥側の第1の支持棒30cとX軸との間隔Dが同じ(C=D)となるように2本の第1の支持棒30b、30cを配置することでY軸方向の支持剛性のバランスがとられる。上記の説明では、上側の冷却容器6の支持構造を重点的に説明したが、下側の冷却容器6についてもこれと同様に支持する。
【0026】
本実施例は、冷却容器6全体としての重心Sを基準として、第1の支持棒30の重心からの距離(ここでは、X、Y、Z座標)とその断面積との積が、重心Sに対して、X、Y、Zの各軸方向で同じになるようにして、冷却容器6の支持系の支持剛性のバランスをとった例である。なお、支持剛性については、本来ばね定数と距離との積で取り扱うのが一般的であるが、ばね定数は材料及び断面形状が同じ場合には断面積に比例するため、本実施例では簡単のためばね定数の代りに断面積で説明した。本実施例においては、冷却容器6を支持する第1の支持棒30の材料及び断面形状は通常同じものとなるので、上記の断面積で説明したことは、ばね定数と言い換えても成立する。
【0027】
本実施例の如く、上下の冷却容器6を支持する上下の第1の支持棒30の支持剛性を冷却容器6全体としての重心Sを基準として、X軸、Y軸、Z軸の各方向についてバランスさせることにより、上下の冷却容器6は装置50の外部からの加振に対し、ほぼ同じ振動を起こすことになり、その振動の振幅及び位相はほぼ同じとなるので、上下の冷却容器6に収容されている上下の超電導コイル2の相対的位置は殆ど変化しないことになる。その結果、上下の超電導コイル2が計測空間5に形成する静磁場の磁場強度及び磁場均一度は殆ど変化しない。
【0028】
本実施例の場合の超電導コイル2の上下方向の振動の様子を従来例の超電導コイル2の振動の様子とを比較したものを図3に示す。図3は、両者の振動の様子を概念的に示したものである。図3(a)は本実施例の場合の一例を、図3(b)は従来例の場合の一例を示しており、両図とも、計測空間5に対し、上下の超電導コイル2がどのように振動しているかを示している。図3(b)に示した従来例の場合には、冷却容器6の支持剛性のバランスがとれていないため、上側の超電導コイル2aと下側の超電導コイル2bとではばらばらの振動をすることになり、Z軸の左側と右側で振動の振幅と位相が異なる。すなわち、位相は両側で反転し、振幅は右側で大きくなっている。この振動の結果、超電導コイル2によって計測空間5内に形成される静磁場の磁場均一度はZ軸の右側で大きく変化することになる。これに対し、図3(a)に示した本実施例の場合には、冷却容器6の支持剛性のバランスがとれているため、上側の超電導コイル2aと下側の超電導コイル2bはほぼ同じ振動をする。すなわち、Z軸の左側と右側で振動の振幅と位相はほぼ同じになる。この結果、超電導コイル2a、2bによって計測空間5内に形成される静磁場の磁場均一度は殆ど変化せず、安定に保持される。以上の理由から、本発明の超電導磁石装置50を適用したMRI装置では、高画質のMR画像を得ることができる。
【0029】
図4に、本発明に係る超電導磁石装置の第2の実施例の冷却容器の支持構造図を示す。図4は、図2(b)と同様に冷却容器の部分の平面図を示したものである。本実施例は、第1の実施例と同様に上下の冷却容器6を3本ずつの第1の支持棒31a、31b、31cにて支持している例であるが、X軸方向の冷却容器6全体としての重心Sの左側と右側で第1の支持棒31の断面積が異なるものである。ただし、冷却容器6の支持は、X−Z平面に対しては対称になっている。図4において、重心Sの左側には断面積Xの第1の支持棒31aが1本配設され、重心Sの右側には2本の断面積Yの第1の支持棒31b、31cが配設されている。左側の第1の支持棒31a及び右側の第1の支持棒31b、31cと重心Sとの間隔をそれぞれA、Bとし、手前側の第1の支持棒31b及び奥側の第1の支持棒31cと重心Sとの間隔をそれぞれC、Dとすると、第1の支持棒31a、31b、31cを、X軸方向についてはAX:BY=2:1になるような位置に、Y軸方向についてはC=Dになるような位置に配置することで、それぞれ支持剛性のバランスがとれる。本実施例の場合も、第1の実施例と同様に、第1の支持棒31の重心Sからの距離とその断面積との積が重心Sに対して同じになるようにして、支持剛性のバランスをとっているので、第1の実施例と同じ効果が得られる。
【0030】
図5に、本発明に係る超電導磁石装置の第3の実施例の冷却容器の支持構造図を示す。図5(a)は、図2(a)と同様、冷却容器6の支持構造全体の斜視図を示している。また、図5(b)は、図5(a)の平面図を示している。本実施例では、上下の冷却容器6をそれぞれ4本ずつの第1の支持棒32で支持している例である。本実施例においても、図5(b)に示す如く、第1の実施例と同様に、第1の連結管11の重量や冷却用付帯物実効重量の影響により、冷却容器6全体としての重心SはX軸上に沿ってZ軸から少し右側に寄った位置にある。図5(b)において、本実施例では、重心Sの左側に2本の第1の支持棒32a、32bが、重心Sの右側に2本の第1の支持棒32c、32dが配設されており、全ての第1の支持棒32aから32dの断面積は同一になっている。4本の第1の支持棒32a〜32dの配置に関しては、X軸方向では左側の2本の第1の支持棒32a、32bと重心Sとの間隔は同一で、これをAとし、右側の2本の第1の支持棒32c、32dと重心Sとの間隔は同じで、これをBとし、Y軸方向では手前側の2本の第1の支持棒32a、32cと重心Sとの間隔は同一で、これをCとし、奥側の2本の第1の支持棒32b、32dと重心Sとの間隔は同一で、これをDとしている。このように第1の支持棒32を配置したとき、X軸方向についてはA:B=1:1とすることにより支持剛性のバランスがとれ、Y軸方向についてはC:D=1:1とすることにより支持剛性のバランスがとれる。本実施例の場合も、上下の冷却容器6を支持する支持系の支持剛性のバランスがとれているので、第1の実施例と同様な効果が得られる。
【0031】
図6に、本発明に係る超電導磁石装置の第4の実施例の冷却容器の支持構造図を示す。図6は、図5(b)と同様に、冷却容器の部分の平面図を示したものである。本実施例は、第3の実施例と同様に、上下の冷却容器6を4本ずつの第1の支持棒33にて支持している例であるが、X軸方向の重心Sの左側と右側とで、第1の支持棒33の断面積が異なるものである。図6において、冷却容器6全体としての重心Sの左側に配設された2本の第1の支持棒33a、33bの断面積をX、重心Sの右側に配設された2本の第1の支持棒33c、33dの断面積をYとする。また、X軸方向の左側の第1の支持棒33a、33bと重心Sとの間隔は同じで、これをAとし、右側の第1の支持棒33c、33dと重心Sとの間隔は同じで、これをBとし、Y軸方向の手前側の第1の支持棒33a、33cと重心Sとの間隔は同じで、これをCとし、奥側の第1の支持棒33b、33dと重心Sとの間隔は同じで、これをDとする。このように第1の支持棒33を配置したとき、X軸方向については重心Sの両側で第1の支持棒33の断面積X、Yが異なるため、断面積と間隔の積AXとBYをAX:BY=1:1とすることにより、支持剛性のバランスがとれ、Y軸方向については重心Sを通るX−Z平面の両側で第1の支持棒33の断面積が同じであるため、C=Dとすることにより、支持剛性のバランスがとれる。本実施例の場合も、上下の冷却容器6を支持する支持系の支持剛性のバランスがとれているので、第1の実施例と同様な効果が得られる。
【0032】
上記の本発明に係る超電導磁石装置50の第1〜第4の実施例では、上下の冷却容器6を3本又は4本の第1の支持棒30、31で支持する場合について説明したが、本発明は5本以上の第1の支持棒にて上下の冷却容器6を支持する場合にも適用することができる。また、第1の支持棒の配置に関しても、重心とその左側と右側の第1の支持棒との間隔が同じでない場合、重心Sとその手前側と奥側の第1の支持棒との間隔が同じでない場合などにも適用することができる。このような場合には、冷却容器6全体としての重心Sを基準にして、新しいZ−Y−Z座標系を設定し、この新しいX−Y−Z座標系の上で、各軸方向での第1の支持棒の断面積と座標との積の和が0になれば、各軸方向での支持剛性のバランスがとれていることになる。すなわち、上下の冷却容器6をそれぞれn本の第1の支持棒で支持する場合、i番目の第1の支持棒の位置の新しいX、Y座標を(xi、yi)、断面積をAiとしたとき、X軸方向については[数1]、Y軸方向については[数2]の条件が満たされるときに、それぞれの軸方向の支持剛性のバランスがとれる。
【数1】
【数2】
【0033】
以上の説明においては、上下の冷却容器6を支持する第1の支持棒30、31の材料や断面形状が同じで、断面積がその長さ方向に関して一様であるものとみなしてきた。また、第1の支持棒30、31の支持剛性を表す代表特性として、ばね定数の代りに断面積で代表させてきた。しかし、実際の場合には、第1の支持棒の断面形状が異なる場合、例えば第1の支持棒の断面として円形のものと多角形のものが混在する場合や、第1の支持棒の長さ方向で断面積が一様なものと位置によって変化するものとが混在する場合などがあり、断面積とばね定数が単純な比例関係にない場合がある。
【0034】
このような場合には、冷却容器6の支持系の支持剛性のバランスをとるためには、第1の支持棒の代表特性としてばね定数をとらなければならない。従って、支持剛性のバランスをとるためには、第1の支持棒のばね定数とその位置の座標との積をとりその和が各軸方向で0となるようにする必要がある。すなわち、上下の冷却容器6をそれぞれn本の第1の支持棒で支持する場合、i番目の第1の支持棒の位置の新しいX、Y座標を(xi、yi)、ばね定数をBiとしたとき、X軸方向については[数3]、Y軸方向については[数4]の条件が満たされるときに、それぞれの軸方向の支持剛性のバランスがとれる。
【数3】
【数4】
【0035】
次に、本発明に係る超電導磁石装置の第5の実施例について説明する。本実施例の冷却容器の支持構造図は、図2(第1の実施例)及び図5(第3の実施例)とほぼ同様である。図2は、3本ずつの第1の支持棒で冷却容器6を支持する場合、図5は4本ずつの第1の支持棒32で冷却容器6を支持する場合である。以下、図2を参照しながら、前者の側について説明する。図2(a)、図2(b)において、本実施例の超電導磁石装置では、上下の冷却容器6は3本ずつのばね定数のほぼ等しい第1の支持棒30によって支持され、かつ冷却容器6全体としての重心Sを基準にして、各々の第1の支持棒30は幾何学的に略対称な位置に配置されている。例えば、図2(b)において、3本の第1の支持棒30の配置される位置は二等辺三角形の頂点となる。このように第1の支持棒30を配置することにより、各々の第1の支持棒30にかかる荷重はほぼ等しいものとなる。すなわち、本実施例では、上記の如く第1の支持棒30を配置して、全ての第1の支持棒30に荷重が均等にかかるようにするものである。
【0036】
本実施例を第1の実施例と比較してみることにする。第1の実施例の場合には、冷却容器6全体としての重心Sを基準にして、同じばね定数を持つ第1の支持棒30を対称性をもたせて配置しているため、各々の第1の支持棒30にかかる荷重はほぼ等しくなっている。これに対して、本実施例では、ほぼ同じばね定数を持つ第1の支持棒30をほぼ同じ荷重がかかるように配置しているものである。振動特性上の見地で見た場合、両者の第1の支持棒はほぼ同じばね定数を持ち、ほぼ同じ荷重を受けることになるので、ほぼ同じ振動特性を示すことになる。従って、本実施例の場合にも、第1の実施例と同様な効果が得られる。また、第1の支持棒を、図5に示した第3の実施例の如く、4本以上に増やした場合も同様である。また、本実施例の場合、冷却容器6全体としての重心Sの位置を特定することなしに、第1の支持棒の位置を決めることができる利点もある。
【0037】
次に、本発明に係る超電導磁石装置の第6の実施例について説明する。本実施例の冷却容器の支持構造図は図4(第2の実施例で、3本ずつの第1の支持棒31で冷却容器を支持する場合)及び図6(第4の実施例で、4本ずつの第1の支持棒33まで冷却容器を支持する場合)とほぼ同様である。以下、図4を参照しながら、3本ずつの第1の支持棒31にて上下の冷却容器6を支持する場合について説明する。図4において、本実施例の超電導磁石装置では、上下の冷却容器6は3本ずつのばね定数の異なる第1の支持棒31によって支持されている。ここで、本実施例の場合、各々の第1の支持棒31にかかる荷重が各々の第1の支持棒31のばね定数に比例するように配置する。このように第1の支持棒31を配置することにより、各々の第1の支持棒31の荷重とばね定数の商はほぼ一定となる。
【0038】
本実施例を第2の実施例と比較してみることにする。第2の実施例の場合には、冷却容器6全体としての重心Sを基準にして、Y軸方向については同じ断面積すなわちばね定数を持つ第1の支持棒31b、31cを対称性を持たせて配置し、X軸方向については異なる断面積すなわちばね定数を持つ第1の支持棒31aと31b、31cを、断面積(ばね定数)と重心Sとの間隔との積の和が重心Sの左側と右側とて等しくなるように配置している。このように配置することにより、各々の第1の支持棒31a〜31cには断面積(ばね定数)に比例した荷重がかかっている。これに対し、本実施例では、上下の冷却容器6を支持する異なるばね定数(断面積に比例する)を持つ第1の支持棒31a〜31cを、それぞればね定数に比例した荷重がかかるように配置し、各々の第1の支持棒31a〜31cで荷重とばね定数との商がほぼ一定になるようにしている。振動特性上、両者の第1の支持棒は、荷重とばね定数との比が同じとなるので、ほぼ同じ振動特性を示すことになる。従って、本実施例の場合にも、第2の実施例と同様な効果が得られる。また、第1の支持棒を4本以上に増やした場合も同様である。また、本実施例の場合も、冷却容器6全体としての重心Sの位置を特定することなしに、第1の支持棒の位置を決めることができる利点がある。
【0039】
【発明の効果】
以上説明した如く、本発明によれば、超電導磁石装置の計測空間を挟んで上下に配置された超電導コイルを収容する上下の冷却容器が上下の真空容器に複数の支持部材によって支持され、かつ冷却容器全体としての重心を基準にして、各支持部材の前後、左右、上下方向の座標とばね定数との積の和がそれぞれ0となるように各支持部材が支持されているので、各支持部材の支持剛性が冷却容器全体としての重心を基準にして、前後、左右、上下の各方向について両側でバランスをとることができ、上下の冷却容器に加わる装置の外部からの加振に対し、上下の冷却容器はほぼ同じ振動を起こすことになる。その結果、上下の冷却容器に収容されている上下の超電導コイルの相対的位置は殆ど変化しないため、上下の超電導コイルによって計測空間に形成される静磁場の磁場強度及び磁場均一度は殆ど変化せず、安定に維持される(請求項1)。
【0040】
また、本発明によれば、上下の冷却容器を支持する複数の支持部材が、それぞれほぼ同一のばね定数を持ち、それぞれにかかる荷重がほぼ同一となるように配置されているので、上下の冷却容器に加わる外部加振に対して、各支持部材はほぼ同様な振動を行うため、上下の冷却容器の相対的位置は殆ど変化せず、計測空間の静磁場は安定に維持される(請求項2)。
【0041】
また、本発明によれば、上下の冷却容器を支持する複数の支持部材について、各支持部材にかかる荷重を各支持部材のばね定数で割った商が、ほぼ同一となるように、各支持部材が配置されているので、上下の冷却容器に加わる外部加振に対して、各支持部材はほぼ同様な振動を行うため、上下の冷却容器の相対的位置は殆ど変化せず、計測空間の静磁場は安定に維持される(請求項3)。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る超電導磁石装置の第1の実施例の全体構造図。
【図2】本発明に係る超電導磁石装置の第1の実施例の冷却容器の支持構造図。
【図3】第1の実施例の超電導コイルの振動と従来例のものとの比較。
【図4】本発明に係る超電導磁石装置の第2の実施例の冷却容器の支持構造図。
【図5】本発明に係る超電導磁石装置の第3の実施例の冷却容器の支持構造図。
【図6】本発明に係る超電導磁石装置の第4の実施例の冷却容器の支持構造図。
【図7】従来の超電導磁石装置の構造例を示す全体斜視図。
【図8】図7の計測空間における横断面図。
【図9】図7の縦断面図。
【符号の説明】
1、50…超電導磁石装置
2、2a、2b…超電導コイル(静磁場発生源)
4…冷媒(液体ヘリウム)
5…計測空間(均一磁場領域)
6…冷却容器(液体ヘリウム容器)
7…第1の熱シールド
8…第2の熱シールド
9…真空容器
11…第1の連結管
12…第3の連結管
13…第4の連結管
14…第2の連結管
15…冷凍機
17…鉄板
18…鉄柱
20、30、30a、30b、30c、31、31a、31b、31c、32、32a、32b、32c、32d、33、33a、33b、33c、33d…第1の支持棒
21…第2の支持棒
23…傾斜磁場コイル
24…高周波コイル
S…冷却容器全体としての重心
Claims (5)
- 有限の領域を挟んで上下方向に対向して配置され、超電導特性を有する物質から構成され、前記有限の領域内に上下方向に向かう均一な静磁場を発生させるための電流を流す2組の静磁場発生素子群からなる静磁場発生源と、前記静磁場発生素子群を内包して保持し、冷媒により超電導特性を示す温度にまで冷却し維持する上下の冷却容器と、該上下の冷却容器を連結する第1の連結手段と、前記上下の冷却容器を内包し低温部を持つ冷凍機にて冷凍した上下の熱シールド層と、前記上下の冷却容器と前記上下の熱シールド層を内包し、真空断熱する上下の真空容器と、該上下の真空容器を連結し、前記第1の連結手段を内包する第2の連結手段とを含む超電導磁石装置において、前記上下の冷却容器は前記真空容器に複数の支持部材によって支持され、かつ前記静磁場発生源、前記冷媒、前記冷却容器、前記第1の連結手段及び冷却用付帯物の全重量の重心(以下、冷却容器全体としての重心と略称する)を基準にした前記支持部材の位置の前後、左右、上下方向の座標と前記支持部材のばね定数との積の和が前記冷却容器全体としての重心の前後、左右、上下の各方向においてほぼ0となるように支持されていることを特徴とする超電導磁石装置。
- 有限の領域を挟んで上下方向に対向して配置され、超電導特性を有する物質から構成され、前記有限の領域内に上下方向に向かう均一な静磁場を発生させるための電流を流す2組の静磁場発生素子群からなる静磁場発生源と、前記静磁場発生素子群を内包して保持し、冷媒により超電導特性を示す温度にまで冷却し維持する上下の冷却容器と、該上下の冷却容器を連結する第1の連結手段と、前記上下の冷却容器を内包し低温部を持つ冷凍機にて冷凍した上下の熱シールド層と、前記上下の冷却容器と前記上下の熱シールド層を内包し、真空断熱する上下の真空容器と、該上下の真空容器を連結し、前記第1の連結手段を内包する第2の連結手段とを含む超電導磁石装置において、前記上下の冷却容器が前記上下の真空容器に複数の支持部材によって支持され、かつ各支持部材のばね定数がほぼ同一であり、各支持部材にかかる荷重がほぼ同一となるように各支持部材が配置されていることを特徴とする超電導磁石装置。
- 有限の領域を挟んで上下方向に対向して配置され、超電導特性を有する物質から構成され、前記有限の領域内に上下方向に向かう均一な静磁場を発生させるための電流を流す2組の静磁場発生素子群からなる静磁場発生源と、前記静磁場発生素子群を内包して保持し、冷媒により超電導特性を示す温度にまで冷却し維持する上下の冷却容器と、該上下の冷却容器を連結する第1の連結手段と、前記上下の冷却容器を内包し、低温部を持つ冷凍機にて冷凍した上下の熱シールド層と、前記上下の冷却容器と前記上下の熱シールド層を内包し、真空断熱する上下の真空容器と、該上下の真空容器を連結し、前記第1の連結手段を内包する第2の連結手段とを含む超電導磁石装置において、前記上下の冷却容器が前記上下の真空容器に複数の支持部材によって支持され、かつ各支持部材にかかる荷重を各支持部材のばね定数で割った商がほぼ同一となるように各支持部材が配置されていることを特徴とする超電導磁石装置。
- 請求項1乃至3のいずれか一項に記載の超電導磁石装置において、
前記支持部材は、前記上下の冷却容器の各々にそれぞれ3つ以上配置され、その少なくとも1つは、前記連結手段の近傍に配置されることを特徴とする超電導磁石装置。 - 超電導磁石装置、傾斜磁場発生装置、高周波磁場発生装置をそれぞれ上下方向に対向して配置した磁気共鳴イメージング装置において、前記超電導磁石装置は請求項1乃至4のいづれかを用いたことを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
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