JP4116832B2 - スリーブ軸部材と軸状部材との組立方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、スリーブ軸部材と軸状部材との組立方法(組立体を製造する方法)に係り、自動変速機の組立てにおいて、オイルポンプアッシーをインプットアッシーに挿入する組立体に用いて好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、自動変速機の組立にあって、図4又は図5に示すように、ポンプ本体1にポンプカバー2及びステータサポート3を一体に組付けたポンプアッシーAを、入力軸5に入力クラッチ6及びその油圧サーボ7等を一体組付けたインプットアッシーBに組付けて、ポンプ・インプットアッシー(組立体)が組立(製造)られる。
【0003】
この際、ステータサポート3からなるスリーブ軸が、入力軸5からなる軸状部材に挿入される。上記ステータサポート3の内周面には、その奥側一端部にニードルベアリング10が装着されていると共に前側端部にブッシュ11が装着されている。また、上記入力軸の外周面には、その油孔12a,12bにポンプカバー2に形成した油孔から作動油を供給すべく環状の溝13が形成されており、更に該環状溝を挟んで形成されたシール凹溝15,16にシールリング17,18が装着されている。なお、入力軸5は、シールリング17,18を有する奥側が、ブッシュ11の支持面を有する先端側より大径になっており、従ってブッシュ11の内周面寸法d1 より入力軸5の奥側の外径寸法d2 が大きくなっている(d1 <d2 )。
【0004】
従って、自動変速機が組立てられた状態では、ステータサポート3が、その前端部のスプライン3aにより、トルクコンバータのステータを連結・支持するワンウェイクラッチのインナレースに連結して、該インナレースの反力し支持しており、またオイルポンプ本体1内のポンプ回転体がスリーブ軸(図示せず)を介してトルクコンバータのポンプインペラーに連結して、オイルポンプを駆動する。また、入力軸5は、前記ニードルベアリング10及びブッシュ11を介して、ステータサポート3に回転自在に支持されており、該入力軸先端のスプライン5aにトルクコンバータのタービンランナーが係合して、該入力軸5に、エンジン回転がトルクコンバータを介して伝達される。
【0005】
また、ポンプ本体1又は2に形成された油孔ケースからのオイルが、入力軸5に形成された環状溝13を介して油孔12a,12bに導かれ、油圧サーボ7等に導かれており、この際シール凹溝15,16に装着されたシールリング17,18がステータサポート3の内周面に接触して、上記環状溝13からのオイル漏洩を防止している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記スリーブ軸からなるステータサポート3を軸状部材である入力軸5に挿入して、ポンプアッシーAがインプットアッシーBに組付けられる。この際、該挿入中において、ステータサポート3の内周面と入力軸5の外周面との先端端部に隙間を生じ、ポンプアッシーAとインプットアッシーBの軸線が傾くことがあり、該傾ぎにより、ポンプアッシーAの後端部とインプットアッシーBの奥側部分とが干渉してカジリを生ずることがある。
【0007】
具体的には、図4に示す自動変速機にあっては、ブッシュ11の後端が入力軸外周面に当接し、該当接部Xを回転中心として、入力軸5に対してステータサポート3が傾ぎ、ニードルベアリング10の後端Yがシールリング17付近に干渉する。また、図5に示す自動変速機にあっては、入力軸5のスプライン5a先端部分にステータサポート3のブッシュ奥側部分の円筒部3eが当接し、該当接部Xを回転中心として、入力軸5に対してステータサポート3が傾ぎ、ニードルベアリング10の後端部分Yがシールリング17付近に干渉する。この状態で、ポンプアッシーAをインプットアッシーBに更に挿入すると、先側シールリング17(更には後側オイル18)を傷付け、エア送出し等によるシールリングの漏れ検査等により該自動変速機が出荷不可となる。
【0008】
そこで、本発明は、簡単な冶具により、軸状部材とスリーブ状部との傾ぎを防止して、常に正確に嵌挿して組付けることを可能とし、もって上述課題を解決した組立方法(組立体の製造方法)並びにそれに用いる冶具を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る本発明は、先端部分の内周面に同一径の所定軸方向長さ(l)からなる第1の部位(11)と奥側部分に前記第1の部位より径寸法の大きい内周面からなる第4の部位(10)とを有するスリーブ軸部材(3)を、先端側部分に第2の部位(20a又は5b)及び奥側部分に前記第1の部位より径寸法の大きい外周面からなる第3の部位(17)を有する軸状部材(5)に、上記第2の部位から第3の部位に向けて挿入して組付ける組立方法において、
前記スリーブ軸部材(3)の上記第1の部位(11)に嵌合し得る寸法からなりかつ外周面が同一径からなると共に軸方向に所定長さを有する円筒状のガイド部(23)(31)と、前記軸状部材(5)の第2の部位(20a)(5b)に装着される寸法からなる装着部(25)(30)と、を有する冶具(221)(222)を、該装着部を前記第2の部位に装着することにより前記軸状部材(5)の先端に取付け、
この状態で、前記冶具のガイド部(23)(31)が前記第1の部位(11)に所定軸方向長さで接触して、前記スリーブ軸部材(3)の前記軸状部材(5)に対する傾ぎを規制しつつ、前記第4の部位(10)に前記第3の部位(17)を嵌挿して、前記スリーブ軸部材(3)を前記軸状部材(5)に挿入してなる、
ことを特徴とするスリーブ軸部材と軸状部材の組立方法にある。
【0010】
請求項2に係る本発明は、前記第1の部位は、前記軸状部材(3)を支持すべく前記スリーブ軸部材(3)の内周面に配置された軸受部材(11)であり、
該軸受部材に、前記冶具(221 )(222 )のガイド部(23)(31)が嵌合されてなる、
請求項1記載のスリーブ軸部材と軸状部材の組立方法にある。
【0011】
請求項3に係る本発明は、前記スリーブ軸部材は、ポンプ本体(1)、ポンプカバー(2)及びステータサポート(3)が一体に組付けられているポンプアッシー(A)であり、
前記軸状部材は、入力軸(5)を有するインプットアッシー(B)であり、
前記第1の部位は、前記ステータサポート(3)の先端部分に装着された軸受部材(11)である、
請求項1又は2記載のポンプ・インプットアッシーの組立方法にある。
【0012】
請求項4に係る本発明は(例えば図1参照)、前記第2の部位は、前記入力軸(5)の先端面に開口しかつ該入力軸の中心線に沿って形成される油孔(20,20a)である、
請求項3記載のポンプ・インプットアッシーの組立方法にある。
【0013】
請求項5に係る本発明は(例えば図2参照)、前記第2の部位は、前記入力軸(5)の先端に突出して、オイルシールの接触面となる円筒突部(5b)である、
請求項3記載のポンプ・インプットアッシーの組立方法にある。
【0015】
請求項6に係る本発明は(例えば図1参照)、請求項4記載のポンプ・インプットアッシーの組立方法であって、
前記治具(22 1 )は、前記ステータサポート(3)の軸受部材(11)に嵌合し得る外径寸法を有する円筒状のガイド部(23)と、前記油孔(20,20a)に嵌合し得る外径寸法を有する軸形状の装着部(25)と、を有し、
前記ガイド部(23)と前記装着部(25)とが同芯状に一体に形成されてなる。
【0016】
請求項7に係る本発明は(例えば図2参照)、請求項5記載のポンプ・インプットアッシーの組立方法であって、
前記治具(22 2 )は、前記ステータサポート(3)の軸受部材(11)に嵌合し得る外径寸法を有する円筒状のガイド部(31)と、前記円筒突部(5b)に嵌合し得る凹部状の装着部(30)と、を有し、
前記ガイド部(31)と前記装着部(30)とが同芯状に一体に形成されてなる。
【0017】
請求項8に係る本発明は、請求項6又は7記載のポンプ・インプットアッシーの組立方法であって、上記冶具(22 1 ,22 2 )は、表面にクロームメッキを施してなる。
【0018】
なお、上記カッコ内の符号は、図面と対照するためのものであるが、これにより特許請求の範囲の構成に何等影響を及ぼすものではない。
【0019】
【発明の効果】
請求項1に係る本発明によると、軸状部材先端部に冶具を装着して、該冶具のガイド部が、第1の部位に所定長さで接触して、スリーブ軸部材の軸状部材に対する傾ぎを規制したので、スリーブ軸部材を軸状部材に挿入して組付ける際、相互の干渉を防止してカジリをなくすことができ、製造中の歩留りを向上することができる。
【0020】
請求項2に係る本発明によると、冶具のガイド部が嵌合する第1の部位が、軸状部材を支持する軸受部材からなるので、該第1の部位は、スリーブ軸部材及び軸部材に対して高いセンタリング精度を有すると共に軸方向に所定長さを有しており、挿入に際しての軸状部材に対するスリーブ軸部材の傾ぎを確実に防止できる。
【0021】
請求項3に係る本発明によると、自動変速機の組立てにおいて、ポンプアッシーとインプットアッシーの組付けは、大型で重量部品同士の組付けであると共に、挿入ストロークが長く、相互の傾ぎにより干渉し易く、例えば入力軸に形成して油孔連通用の環状凹溝からのオイルの漏洩を防止するシールリングがセンタサポート一端の軸受部材(ニードルベアリング)と干渉して該シールリングを傷付け易いが、所定長さを有しかつセンタリング精度の高い、センタサポート先端部分の軸受部材(例えばブッシュ)にガイド部を接触するので、上記傾ぎによる干渉を防止して、製品の歩留りを向上することができる。
【0022】
請求項4に係る本発明によると、入力軸先端中心部には油孔が形成されており、該油孔は、入力軸の機械加工時にセンタピンが当接する部分で、入力軸に対して高いセンタリング(同芯)精度を有する部位であり、該部位を、冶具の装着箇所とし利用することにより、冶具のセンタリング精度を保持して、高い信頼性にてポンプアッシーとインプットアッシーとの組立てを行うことができる。
【0023】
請求項5に係る本発明によると、入力軸先端の円筒突部は、オイルシールに接触する部位であって研磨加工により仕上げられたセンタリング(同芯)精度の高い部位であり、該部位を、冶具の装着箇所として利用することにより、高い信頼性にてポンプアッシーとインプットアッシーとの組立てを行うことができる。
【0025】
請求項6及び7に係る本発明によると、自動変速機の種類に応じて、入力軸の先端部分にあってかつ高いセンタリング精度を有する部位に適合する装着部からなり、かつ該装着部及びガイド部からなる冶具は簡単な構成からなり、各自動変速機に応じた適宜な冶具を提供して、ポンプアッシーとインプットアッシーの組立てを容易かつ正確に行うことができる。
【0026】
請求項8に係る本発明によると、冶具の表面は、クロームメッキにより硬くかつ滑らかに形成されているので、本冶具を繰返し使用しても摩耗することが少なく、高い精度を長期に亘って維持できると共に、表面が滑らかであるため、冶具の軸状部材(入力軸、インプットアッシー)への取付け、取外し、及びスリーブ軸部材(ポンプアッシー)の挿入も容易であり、軸状部材及びスリーブ状部材を傷付けることも減少することができる。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、図1ないし図3に沿って、本発明の実施の形態について説明する。なお、図1に示す自動変速機のポンプ・インプットアッシー(組立体)は、先に述べた図4のものと略々同様であり、また図2に示すポンプ・インプットアッシー(組立体)は、同じく図5のものと略々同様であり、先に説明した部分は、同一符号を付して説明を省略する。
【0028】
図1に示すインプットアッシーBは、軸状部材である入力軸5を有しており、該入力軸5はその先端部分から油孔20が形成されている。該油孔20は、ロックアップ制御バルブに連通しており、該油孔のオイルの流れ方向により、トルクコンバータのロックアップクラッチを断・接切換えするものであるが、該油孔20の先端20aは入力軸5の先端面に開口しており、かつ該油孔先端20a部分(第2の部位)は、入力軸5の機械加工時にセンタピンが嵌合してセンタリングを取るものであり、正確に入力軸の中心位置に形成されている。
【0029】
また、ポンプアッシーAは、スリーブ軸であるステータサポート3を有しており、該ステータサポート3の内周面先端部分3cには、ブッシュ11が嵌合・装着されていると共に、奥側部分にニードルベアリング(第4の部位)10が嵌合・装着されている。該ブッシュ(第1の部位)11は、軸方向に所定長さlを有しており、組立てられた状態にあっては、入力軸3を回転自在に支持する軸受部材であり、その内周面のセンタリング精度(同芯精度)が正確に取られている。なお、上記入力軸5は、前述した図4と同様に、シールリング17,18を有する奥側部分(第3の部位)の外側寸法(d2)がステータサポート3の内周面に装着されたブッシュ(軸受部材;第1の部位)11の内径寸法d1より大きく設定されている(図4参照)。従って、ポンプアッシーAは、インプットアッシーBに対して入力軸5の先端側のみ挿入可能である。
【0030】
そして、本冶具221 は、円筒状所定長さLを有するガイド(頭)部23及び該頭部の後端に突出する装着(軸)部25を有しており、全体で段付き円筒形状からなる。上記頭部23及び軸部25は、高い軸精度で同芯状に一体形成されており、頭(ガイド)部23の外径は、前記ブッシュ11に小さな公差にて嵌合する寸法に設定されており、また軸(装着)部25の外径は、前記油孔先端部20aに小さな公差にて嵌合する寸法に設定されている。また、頭部23の先端隅部23aは大きなアールにより形成されており、軸部25の後端隅部25aはテーパ面が形成されており、また頭部の後端段付隅部25bにも小さなテーパ面が形成されている。
【0031】
ついで、上記冶具221 を用いた、ポンプアッシーAとインプットアッシーBとの組付け方法(ポンプ・インプットアッシーの製造方法)について説明する。
【0032】
まず、冶具221 の軸(装着)部25を、インプットアッシーBの入力軸5の中央油孔先端部20aに嵌合する。この際、油孔20が入力軸5に対して高いセンタリング精度で形成されており、かつ冶具22の軸部25を頭(ガイド)部23に対して高いセンタリング精度で形成されているので、入力軸5と冶具22の頭部23とは、高いセンタリング精度が保持される。
【0033】
この状態で、冶具221 側をポンプアッシーAのニードルベアリング10側のスリーブ孔3dに受け入れて、ステータサポート3を、冶具221 を装着した入力軸5に挿入する。そして、図1に示す、冶具頭(ガイド)部23がブッシュ11にガイドされた状態になると、ステータサポート3先端部のニードルベアリング10の先端部Yが、入力軸5の膨出した部分に位置する前側シールリング17に近接した位置となり、図4に示したものでは、該ニードルベアリング10の先端部Yがシールリング17に干渉してかじる虞れがある。
【0034】
本実施の形態にあっては、冶具221 を装着した入力軸5は、ブッシュ11の後端部と冶具頭部23との当接部Xを回転中心として、ポンプアッシーAが入力軸5に対して図面時計方向に回転しようとするが、該冶具221 の頭(ガイド)部23がブッシュ11に所定長さlに亘って小さな公差にて正確に嵌合・ガイドされるので、ブッシュ11の先端部Zが冶具頭部23に当接し、該当接部Zが回転規制位置となって、上記回転を規制する。この際、前述したように、ブッシュ11の内周面は、ステータサポート3、特にニードルベアリング10及び入力軸5に対して高いセンタリング精度が保持されており、かつ冶具頭部23の外周面は、前述したように、入力軸5に対して高いセンタリング精度を保持すると共に、ブッシュ11に対して小さな噛合い公差を有するので、入力軸3の傾ぎは極めて僅かに規制されて、上記ニードルベアリング10の先端Yが、シールリングして干渉することを確実に防止される。
【0035】
従って、ステータサポート3は、干渉することなく滑らかに入力軸5に挿入され、ポンプカバー2のボス後端面2aがスラストベアリング27に当接し、かつニードルベアリング10及びブッシュ11が入力軸5の接触部分C,Dに位置するように組付けられる。そして、該組付けられた後、本冶具221 は、入力軸3から取り外され、次のインプットアッシーBに装着される。
【0036】
ついで、先に説明した図5に示す自動変速機に対応する本発明の実施の形態について、図2に沿って説明する。図2に示すインプットアッシーBは、軸状部材である入力軸5を有しており、該入力軸5は、そのスプライン5aの更に先端部分に円筒突部5bが形成されている。該円筒突部(第2の部位)5bは、スプライン5aに係合するランナハブに装着されたオイルシールに密接して、前述したように油孔20からのロックアップコントロール用油圧を区画するためのものであり、その外周面は、研磨されて高いセンタリング精度に仕上げられている。一方、先の実施の形態と同様に、ポンプアッシーAは、スリーブ軸であるステータサポート3を有しており、該サポートの内周面先端部分には、高いセンタリング精度からなるブッシュ(第1の部位)11が嵌合・装着されていると共に、奥側部分にニードルベアリング(第4の部位)10が嵌合・装着されている。なお、上記入力軸5は、前述した図5と同様に、シールリング17,18を有する奥側部分(第3の部位)の外側寸法(d2)がステータサポート3の内周面に装着されたブッシュ(軸受部材;第1の部位)11の内径寸法d1より大きく設定されている(図5参照)。従って、ポンプアッシーAは、インプットアッシーBに対して入力軸5の先端側のみ挿入可能である。
【0037】
そして、本冶具222 は、外周面が同一径からなる円筒形状からなり、一端部に円筒状の装着(凹)部30が形成されている。上記円筒形状外周面31がガイド部となり、その外径は、前記ブッシュ11の内周面に小さな公差にて嵌合する寸法に設定されており、また上記円筒状の凹部30は一端面に開口しかつ他端部が底部となっており、その内周面30a外径は、前記円筒突部5bに小さな公差にて嵌合する寸法に設定されている。
【0038】
図3は、上記冶具222 を示す一部断面した正面図であり、円筒形状外周面31は軸方向に所定長さLからなるガイド部を構成し、かつ高い仕上げ精度からなり、また円筒状凹(装着)部30の内周面30aも、同様に高い仕上げ精度からなり、かつ上記外周面31及び凹部内周面30aは、高いセンタリング精度に仕上げられている。更に、上記外周面31の先端部分(凹部30の開口部と反対側)には、円形の浅いサグリ孔32が両側面に形成されており、また円筒形状先端隅部31aは大きなアール形状により丸く形成されている。
【0039】
ついで、上記冶具222 を用いた、ポンプアッシーAとインプットアッシーBとの組付け方法について説明する。
【0040】
まず、冶具222 の円筒状凹部30を、インプットアッシーBの入力軸5の円筒突部5bに嵌合する。この際、該円筒突部5bは、研磨加工されて高いセンタリング精度を有し、かつ冶具222 の凹部も同様に研磨(ミガキ)加工された高いセンタリング精度を有しており、従って冶具222 のガイド部外周面31は、入力軸5に対して高いセンタリング精度を有すると共にその表面は高い仕上げ加工からなる。
【0041】
この状態で、冶具222 側をポンプアッシーのニードルベアリング10側のスリーブ孔3dに受け入れて、ステータサポート3を、冶具222 を装着した入力軸5に挿入する。そして、図2に示す状態になると、ステータサポート3先端部のニードルベアリング10の先端部Yが、入力軸5の膨出した部分に位置する前側シールリング17に近接した位置となり、図5に示したものでは、該ニードルベアリング先端部Yがシールリング17にも干渉してかじる虞れを生じる。
【0042】
本実施の形態にあっては、冶具222 を装着した入力軸5は、所定長さlからなるブッシュ11の後端部と冶具ガイド部外周面31との当接部Xを回転中心として、ポンプアッシーAが入力軸5に対して図面時計方向に回転しようとするが、ブッシュ11の先端部Zが冶具ガイド部外周面31に当接し、該当接部Zが回転規制位置となって、上記回転を規制する。この際、前述したように、ブッシュ11の内周面は、ステータサポート3、特にニードルベアリング10及び入力軸5に対して高いセンタリング精度が保持されており、かつ冶具222 外周面31は、前述したように、入力軸5に対して高いセンタリング精度を保持すると共に、ブッシュ11に対して小さな噛合い公差を有するので、入力軸5の傾ぎは極めて僅かに規制されて、上記ニードルベアリング10の先端Yが、シールリングして干渉することを確実に防止される。
【0043】
従って、ステータサポート3は、干渉することなく滑らかに入力軸5に挿入され、ポンプアッシーAは、インプットアッシーBの本来の位置に組付けられる。そして、組付けられた後、本冶具222 は、入力軸5から取外されて、次の組付けに用いられる。この際、冶具222 の表面は滑らかに形成され、かつ油も付着して極めて滑りやすい状態となっているが、両面のサグリ孔32により滑り止めされて容易に入力軸5から取外され、かつ次の入力軸に装着できる。なお、上記図2の状態にあって、サグリ孔32は、ステータサポート3の外側に位置しており、上記ポンプアッシーAのインプットアッシーBに対する傾ぎ規制に対して影響を及ぼすことはない。
【0044】
上述した冶具221 ,222 は、例えばS45Cを焼入れ・焼戻し、更に表面にハードクロームメッキが約20[μm]の厚さに施されており、その表面は、極めて硬く、例えばビッカース硬さ約600[Hv]に形成されており、かつ極めて滑らかに形成されている。従って、本冶具は、入力軸5等の表面硬さ(例えば250[Hv])より硬く、該冶具を用いる際、入力軸5に嵌合したり、ポンプアッシーBに接触しても、冶具は傷付くことなく、高い精度を維持することができる。なお、冶具表面は、滑らかになっているので、該冶具の入力軸5への嵌合又はステータサポート3の挿入に際して、該冶具がこれら入力軸又はステータサポートを傷付けることもない。また、反対に、入力軸3先端部分(冶具が嵌合する部分20a,5b)の硬さより、冶具の硬さを小さくして、入力軸等を傷付けないようにしてもよい。
【0045】
なお、上述した実施の形態は、スリーブ軸部材であるステータサポート3先端に設けたブッシュ(軸受部材;第1の部位)11の軸方向長さlが、冶具221 ,222 のガイド部23,31に全面的に接触し、上記ブッシュ(第1の部位)の長さlが傾きを規制する嵌合長(所定長さ)となるが、これに限らず、第1の部位の長さよりガイド部の長さを短くして、該ガイド部の軸方向長さが、上記嵌合長(所定長さ)となってもよく、また第1の部位とガイド部のオーバラップ部分の長さが、上記嵌合長(所定長さ)になってもよい。また、上記実施の形態は、ポンプアッシーのインプットアッシーへの組付けについて説明したが、自動変速機における他のスリーブ軸部材を軸状部材に組付ける際にも同様に適用でき、更に自動変速機以外のスリーブ軸部材と軸状部材の組付けにも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示す正面断面図。
【図2】本発明の第2の実施の形態を示す正面断面図。
【図3】第2の実施の形態に用いる冶具を示す一部断面した正面図。
【図4】上記第1の実施の形態に対応する従来の技術を示す正面断面図。
【図5】上記第2の実施の形態に対応する従来の技術を示す正面断面図。
【符号の説明】
1 ポンプ本体
2 ポンプカバー
3 スリーブ軸部材(ステータサポート)
5 軸状部材(入力軸)
5b 第2の部位(円筒突部)
10 第4の部位(ニードルベアリング,軸受部材)
11 第1の部位(軸受部材、ブッシュ)
17,18 第3の部位(シールリング)
20,20a 第2の部位(油孔)
221 ,222 冶具
23 ガイド部(頭部)
25 装着部(軸部)
30 装着部(凹部)
31 ガイド部
X 回転中心
Y 干渉(の虞れがある)位置
Z 回転規制位置
Claims (8)
- 先端部分の内周面に同一径の所定軸方向長さからなる第1の部位と奥側部分に前記第1の部位より径寸法の大きい内周面からなる第4の部位とを有するスリーブ軸部材を、先端側部分に第2の部位及び奥側部分に前記第1の部位より径寸法の大きい外周面からなる第3の部位を有する軸状部材に、上記第2の部位から第3の部位に向けて挿入して組付ける組立方法において、
前記スリーブ軸部材の上記第1の部位に嵌合し得る寸法からなりかつ外周面が同一径からなると共に軸方向に所定長さを有する円筒状のガイド部と、前記軸状部材の第2の部位に装着される寸法からなる装着部と、を有する冶具を、該装着部を前記第2の部位に装着することにより前記軸状部材の先端に取付け、
この状態で、前記冶具のガイド部が前記第1の部位に所定軸方向長さで接触して、前記スリーブ軸部材の前記軸状部材に対する傾ぎを規制しつつ、前記第4の部位に前記第3の部位を嵌挿して、前記スリーブ軸部材を前記軸状部材に挿入してなる、
ことを特徴とするスリーブ軸部材と軸状部材の組立方法。 - 前記第1の部位は、前記軸状部材を支持すべく前記スリーブ軸部材の内周面に配置された軸受部材であり、
該軸受部材に、前記冶具のガイド部が嵌合されてなる、
請求項1記載のスリーブ軸部材と軸状部材の組立方法。 - 前記スリーブ軸部材は、ポンプ本体、ポンプカバー及びステータサポートが一体に組付けられているポンプアッシーであり、
前記軸状部材は、入力軸を有するインプットアッシーであり、
前記第1の部位は、前記ステータサポートの先端部分に装着された軸受部材である、
請求項1又は2記載のポンプ・インプットアッシーの組立方法。 - 前記第2の部位は、前記入力軸の先端面に開口しかつ該入力軸の中心線に沿って形成される油孔である、
請求項3記載のポンプ・インプットアッシーの組立方法。 - 前記第2の部位は、前記入力軸の先端に突出して、オイルシールの接触面となる円筒突部である、
請求項3記載のポンプ・インプットアッシーの組立方法。 - 前記治具は、前記ステータサポートの軸受部材に嵌合し得る外径寸法を有する円筒状の前記ガイド部と、前記油孔に嵌合し得る外径寸法を有する軸形状の前記装着部と、を有し、
前記ガイド部と前記装着部とが同芯状に一体に形成されてなる、
請求項4記載のポンプ・インプットアッシーの組立方法。 - 前記治具は、前記ステータサポートの軸受部材に嵌合し得る外径寸法を有する円筒状の前記ガイド部と、前記円筒突部に嵌合し得る凹部状の装着部と、を有し、
前記ガイド部と前記装着部とが同芯状に一体に形成されてなる、
請求項5記載のポンプ・インプットアッシーの組立方法。 - 前記治具が、表面にクロームメッキを施してなる、
請求項6又は7記載のポンプ・インプットアッシーの組立方法。
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