JP4116087B2 - 新規マウスcxcケモカインレセプター - Google Patents

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Description

技術分野
本発明は、新規マウスCXCケモカインレセプター、及びマウスケモカインレセプター遺伝子に関する。さらに詳しくは、該遺伝子にコードされるポリペプチド、該遺伝子を含有する発現ベクター、該発現ベクターを導入した形質転換体、前記ポリペプチドに対する単クローン抗体に関する。さらには前記形質転換体を用いる前記ポリペプチドの生産方法に関する。さらには、ケモカインのアゴニスト又はアンタゴニストのスクリーニング方法、及びAIDS発症阻害剤又はHIV−1感染阻害剤のスクリーニング方法に関する。
背景技術
細菌またはウイルスによる感染、物理的または化学的な外傷、自己免疫疾患、アレルギー疾患などが原因で組織障害が起こると、発赤、浮腫、発熱、疼痛などの兆候を伴う炎症反応が惹起され、炎症局所に末梢血白血球の集積および浸潤が観察される。白血球は、疾患によって炎症部位に浸出する種類が異なっている。通常の細菌感染、免疫複合体の沈着、外傷などの急性炎症では主に好中球が、結核菌感染、チフス菌感染、および遅延型過敏症では主に単球が、ウイルス感染では主にリンパ球が集積および浸潤し、そして好酸球および好塩基球は即時型アレルギーまたは寄生虫感染に伴って浸出する(Baggioloni,M.ら、Immunol.Today,15,127-133(1994)。近年、遊走する白血球に対してある程度の選択性を有し、特徴的な4つのシステイン残基を有するポリペプチドの走化因子が発見された。これらは、アミノ酸配列に相同性があり、生物活性にも関連性のあるファミリーであるため、ケモカイン(Chemokine; Chemoattractant and cytokine activity)と命名されている(Lindley,I.J.D.ら、Immunol.Today,14-24(1993))。
ケモカインの4つのシステイン残基は、第1と第3の残基間および第2と第4の残基間でそれぞれジスルフィド結合している。第1と第2とのシステイン残基間に別のアミノ酸を1つ含むか否かで生物活性に特徴が認められるので、それぞれのサブファミリーをCXCケモカインおよびCCケモカインと呼んで区別している(Baggioloni,M.ら、Adv.Immunol.,55,97-179(1994))。
これまでに発見されたCXCケモカインは、PBSF/SDF-1、IL-8(Yoshimura,T.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.84,9233-9237(1987)),NAP-2(Walz,A,ら、Biochem.Biophys.Res.Commun.,159,969-975(1989)),NAP-4,GRO α(Richmondo,A.ら、J.Cell.Biochem.,36,185-198(1988)),GRO β(Haskill,S.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.87,77732−7736(1990)),GRO γ(Haskill,S.ら、(1990)前出)、GCP-2(Proos t,P.ら、J.Immunol.,150,1000-1010(1993),ENA-78(Wayz,A.ら、J.Exp.Med.,174,1355-1362(1991)),PF-4(Deuel,T.F.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.74,2256-2258(1977))、ヒトCXCR4/fusin/HUMSTSR(Feng,Y.ら、Science,272.872-877(1996))、及びIP-10(Dewald,B.ら、Immunol,Lett.,32,81-84(1992)である。
そしてCCケモカインは、MCP-1((Yoshimura,T.ら、J.Immunol.,142,1956-1962(1989),MCP-2(Chang,H.C.ら、Int.Immunol.,1,388-397(1989)),MCP-3(Van Damme,J.ら、J.Exp.Med.,176,59-65(1992)),MIP-1 α(Obaku,K.ら、J.Biochem.,99,885-894(1986)),MIP-1β(Lipes,M.A.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,85,9704-9708(1988)),RANTES(Schall,T.ら、J.Immunol.,141,1018-1025(1988),I-309(Miller,M.D.ら、J.Immunol.,143,2907-2916(1989))およびエオタキシン(Jose,P.ら、J.Exp.Med.,179,881-887(1994))である。
ほとんどのCXCケモカインは好中球を遊走させて単球を遊走させない。また、ほとんどのCCケモカインは単球を遊走させて好中球を遊走させない。また、他の白血球である好酸球、好塩基球、リンパ球については、それぞれ一部のCXCおよびCCケモカインに遊走活性が報告されている。ヒトリンパ球の遊走活性としては、CCケモカインのRANTES、MIP-1 α、MCP-1、そしてCXCケモカインであるIL-8において認められているが、いずれもリンパ球に特異的な走化因子ではない。
マウスPBSF/SDF-1は、元来マウス骨髄間質細胞株PA6より分泌されるマウスB前駆細胞増殖促進因子として同定されたCXCケモカインであり、そのアミノ酸配列も報告されている(図1)(Nagasawa,T.らProc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,91,2305-2309(1994))。また最近ヒトTリンパ球に対しても強い遊走活性をもつことが明らかとなっている(Bleul,C.ら、J.Exp.Med.,184,1101-1110)。
ケモカインのレセプターについても、種々の研究が行われており、IL-8に特異的なレセプターであるIL-8RA,IL-8およびその他のCXCケモカインのレセプターであるIL-8RB,MIP-1 αおよびRANTESに特異的なレセプターであるCC CKR1,MCP-1に特異的なレセプターであるCC CKR2A、MCP-1およびMCP-3に特異的なCC CKR2B,エオタキシン、MCP-3、RANTESに特異的なレセプターであるCC CKR3(Combadiere,C.ら、J.Biol.,270,16491-16494(1995),またMIP-1 α,MIP-1 β,RANTESに特異的なレセプターであるCC CKR5が報告されている。また、最近ヒトCXCケモカインであるSDF-1レセプターとしてCXCR4/fusin/HUMSTSRが同定された。
また、上記のケモカインレセプターのうちCC CKR5,CC CKR2B,CC CKR3およびCXCR4/fusin/HUMSTSRは細胞膜上に存在するタンパク質であるCD4と協調してHIV-1のレセプターとしての作用をもつこと、さらにそれぞれのレセプターのリガンドによりそれらのレセプターを介するHIV-1の感染が阻害されることが明らかとなっている。
AIDSの病因ウイルスであるHIV-1の感染とAIDSの発症には性質の異なる2種のHIV-1が関与している。主に単球、マクロファージ、Tリンパ球に感染する単球指向性HIV-1は感染および潜伏感染期間中のヒト体内でのウイルスの増殖に関与し、主にTリンパ球に感染するT細胞株指向性HIV−1はTリンパ球数の減少とAIDSの発症に関与している。上記の2種のHIV-1が細胞に感染するには、2つのレセプターが必要である。1つは細胞膜タンパク質の一種のであるCD4タンパク質であり、上記の2種のHIV-1で共通するレセプターである。もう1つはCD4タンパク質と協調してレセプターとしての活性をもつcoreceptorと呼ばれるタンパク質であり、上記の2種のHIV-1のそれぞれに特異的なレセプターである。
最近、単球指向性HIV−1の主なcoreceptorはCCケモカインレセプターであるCC CKR5であり、T細胞株指向性HIV−1のcoreceptorはCXCケモカインレセプターであるヒトCXCR4/fusin/HUMSTSRであることが明らかとなった。更に、CC CKR5のリガンドであるMIP−1α、MIP−1β、RANTESで単球指向性HIV−1の感染が、ヒトCXCR4/fusin/HUMSTSRのリガンドであるヒトPBSF/SDF-1でT細胞株指向性HIV−1の感染がそれぞれ阻害される事が明らかとなり、上記のケモカインレセプターがHIV−1感染阻害剤の標的となりうることが示唆された。
一方、T細胞株指向性HIV−1の感染にヒトCXCR4/fusin/HUMSTSRのどのドメイン必要であるかは、現在のところ同定されていない。CXCケモカインレセプターであるヒトCXCR4/fusin/HUMSTSRは7回膜貫通型レセプターであり、4つの細胞外ドメインにより形成される立体構造がリガンドまたはHIV−1との結合に重要であると考えられる。ヒトCXCR4/fusin/HUMSTSRの機能ドメインを同定するにはレセプターとしての立体構造が保たれるようなCXCR4/fusin/HUMSTSR変異体を作製する事が必要である。ヒトCXCR4/fusin/HUMSTSRの機能ドメインを同定することは、HIV−1感染阻害剤の開発に極めて有用である。
また、HIV-1の種特異性の原因となるメカニズムを解明する事は、ウィルスの感染に必要な細胞内因子を明らかにするのと同様、HIV-1感染のモデル動物を開発するために重要である。マウスは、扱いやすく、低コストで、性質が詳細に明らかとなっている優れた実験動物であるが、HIV-1に感染するという報告はない。
マウス細胞にはHIV-1ウィルス感染に関していくつかの障壁が存在している。最初の障壁は、マウス細胞へのウィルスの結合の段階に存在する。ヒトCD4はHIV-1に結合するが、マウスCD4はHIV-1に結合しない。しかし、これまでの研究から、in vitroにおいてT細胞株を含むマウス細胞株の細胞表面にヒトCD4を発現させると、HIVの細胞への吸着は起こるがエントリは起こらない事が明らかになっている。この結果から、ヒトCD4を発現するマウス細胞はウィルスのエントリを支持しない事が明らかとなり、CD4以外にも(ウィルスのエントリの時に起こる)膜融合に必要で、かつヒト特異的な受容体が存在しており、その分子はマウス細胞には欠如している事が示唆されていた。
HIV-1は株によりCD4陽性細胞に対する感染能力に差異が認められる。ある株は単球に感染するため単球或いはマクロファージ指向性株(M-tropic)に分類され、その他の株はT細胞株に感染するためT細胞株指向性株(T-tropic)に分類されている。
HIV-1感染が進行するに従って、感染初期に多く認められる単球指向性のウイルスは、T細胞株指向性のウイルスに置き換わっていく。1996年に、7回膜貫通型でG蛋白質結合性受容体であるCXCR4/fusinがヒトCD4陽性細胞へのT細胞株指向性HIV-1のエントリに必須であることが示された。この結果は、ウィルスエントリの受容体としての機能に関してCXCR4に種特異性があるかどうかを検討する事を本発明者らに促した。
発明の開示
本発明者らは、CXCケモカインの一種のマウスPBSF/SDF-1の受容体としてマウスCXCR4を単離し、それがヒトCXCR4とアミノ酸配列が90%一致している事をここに明らかにした。本発明者らは、ヒトCD4とマウスCXCR4をトランスフェクトした細胞を樹立し、HIV-1の受容体であるヒトCXCR4がマウス細胞に存在するHIV-1エントリに対する障壁であるかどうかを検討した。
したがって本発明の目的は、AIDSの治療薬及びHIV-1の感染の作用機序等の研究に有用な、新規なマウスCXCケモカインレセプター遺伝子、該遺伝子にコードされるポリペプチド、該遺伝子の発現ベクター、該発現ベクターを有する形質転換体、該ポリペプチドに対する単クローン抗体、該ポリペプチドの生産方法、さらには該ポリペプチドのアゴニスト又はアンタゴニストの、及びHIV-1感染阻害剤のスクリーニング方法を提供することにある。
そこで本発明者らは前記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、マウスPBSF/SDF-1依存的に増殖が促進されるマウスB前駆細胞株DW34より新規マウスケモカインレセプター遺伝子のクローニングに成功した。さらに、マウスCXCR4とヒトCD4細胞を発現する細胞はT細胞株指向性HIV-1株由来のenv蛋白質を発現する細胞と融合する事、また、それらの細胞はT細胞株指向性HIV-1株に感染する事を見出した。これらの結果は、CXCR4がマウス細胞に存在するT細胞株指向性HIV-1のエントリに対する種特異的な障壁ではないと結論付けられるものである。また、env領域もしくはV3領域を単球指向性HIV-1のものに置換したT細胞株指向性HIV-1のキメラウイルスクローンは、マウスCXCR4とヒトCD4細胞を発現する細胞に感染しない事からHIV-1のエンベロープ蛋白質のV3ループがマウスCXCR4を介するHIV-1のエントリーに必要である事を明らかにした。かかる知見に基づいて、本発明を完成させた。
即ち、本発明の要旨は、
〔1〕 配列表の配列番号:17に記載のアミノ酸配列の全部又は一部からなるポリペプチド、又は該ポリペプチドを含むポリペプチドであって、マウスPBSF/SDF-1と結合可能なレセプター活性を有するポリペプチドをコードするDNA、
〔2〕 配列表の配列番号:17に記載のアミノ酸配列の全部又は一部のアミノ酸配列において、1以上のアミノ酸残基の欠失、付加、挿入又は置換の少なくとも一つが生じ、かつマウスPBSF/SDF-1と結合可能なレセプター活性を有するポリペプチドをコードするDNA、
〔3〕 配列表の配列番号:1に記載の塩基配列の全部又は一部からなるDNA、又は該DNAを含むDNAであって、マウスPBSF/SDF-1と結合可能なレセプター活性を有するポリペプチドをコードするDNA、
〔4〕 配列表の配列番号:1に記載の塩基配列の全部又は一部のDNA、又は該DNAを含むDNAであって、1以上の塩基の欠失、付加、挿入又は置換の少なくとも一つが生じ、マウスPBSF/SDF-1と結合可能なレセプター活性を有するポリペプチドをコードするDNA、
〔5〕 前記〔1〕〜〔4〕いずれか記載のDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAであって、マウスPBSF/SDF-1と結合可能なレセプター活性を有するポリペプチドをコードするDNA、
〔6〕 前記〔1〕〜〔5〕いずれか記載のDNAによりコードされるポリペプチドであって、マウスPBSF/SDF-1と結合可能なレセプター活性を有するポリペプチド、
〔7〕 配列表の配列番号:17に記載のアミノ酸配列の全部又は一部からなるポリペプチド、又は該ポリペプチドを含むポリペプチドであって、マウスPBSF/SDF-1と結合可能なレセプター活性を有するポリペプチド、
〔8〕 配列表の配列番号:17に記載のアミノ酸配列の全部又は一部のアミノ酸配列において、1以上のアミノ酸残基の欠失、付加、挿入又は置換の少なくとも一つが生じ、かつマウスPBSF/SDF-1と結合可能なレセプター活性を有するポリペプチド、
〔9〕 マウスB前駆細胞株DW34に由来する、前記〔6〕〜〔8〕いずれか記載のポリペプチド、
〔10〕 前記〔1〕〜〔5〕いずれか記載のDNAを含む発現ベクター、
〔11〕 前記〔10〕記載の発現ベクターを宿主に導入して得られる形質転換体、
〔12〕 宿主が哺乳類細胞株である前記〔11〕記載の形質転換体、
〔13〕 前記〔11〕又は〔12〕記載の形質転換体を、前記〔10〕記載の発現ベクターの発現可能な条件下で培養することを特徴とする、マウスPBSF/SDF-1と結合可能なレセプター活性を有するポリペプチドの生産方法、
〔14〕 前記〔6〕〜〔9〕いずれか記載のポリペプチドに対する単クローン抗体、
〔15〕 マウスPBSF/SDF-1を含有し、AIDS発症阻害剤又はHIV−1感染阻害剤として用いられる医薬組成物、
〔16〕 前記〔6〕〜〔9〕いずれか記載のポリペプチド及びヒトCD4タンパク質を発現する細胞、
〔17〕 (a)前記〔6〕〜〔9〕いずれか記載のポリペプチドを発現する細胞又は前記〔16〕記載の細胞;ヒトT細胞株指向性HIV−1;及びスクリーニングの対象となる物質を混合してインキュベートを行う工程、及び
(b)該細胞におけるHIV-1の局在性を分析する工程、
を含んでなることを特徴とする、AIDS発症阻害剤又はHIV−1感染阻害剤をスクリーニングする方法、
〔18〕 HIV-1の局在性を分析する工程を、ヒトT細胞株指向性HIV−1に対するモノクローナル抗体を用いて行う、前記〔17〕記載の方法、
〔19〕 (a)前記〔6〕〜〔9〕いずれか記載のポリペプチドを発現する細胞又は前記〔16〕記載の細胞;HIV−1エンベロープタンパク質を発現する細胞;及びスクリーニングの対象となる物質を混合してインキュベートを行う工程、及び
(b)HIV−1エンベロープタンパク質を発現する細胞と該細胞との融合性を測定する工程、
を含んでなることを特徴とする、AIDS発症阻害剤又はHIV−1感染阻害剤をスクリーニングする方法、
〔20〕 (a)前記〔6〕〜〔9〕いずれか記載のポリペプチドを発現する細胞又は前記〔16〕記載の細胞;マウス又はヒトPBSF/SDF-1;及びスクリーニングの対象となる物質を混合してインキュベートを行う工程、及び
(b)該細胞内のカルシウムイオン濃度を測定する、及び/又は発現したポリペプチドと該マウス又はヒトPBSF/SDF-1との結合活性を測定することを特徴とする、AIDS発症阻害剤若しくはHIV−1感染阻害剤、又は該PBSF/SDF-1のアゴニスト若しくはアンタゴニストをスクリーニングする方法、
〔21〕 該アンタゴニストが造血幹細胞遊離促進剤である前記〔20〕記載の方法、
〔22〕 前記〔6〕〜〔9〕いずれか記載のポリペプチドを発現する細胞又は前記〔16〕記載の細胞を含む、AIDS発症又はHIV−1感染を検出するためのキット、
〔23〕 (a)前記〔6〕〜〔9〕いずれか記載のポリペプチドを発現する細胞又は前記〔16〕記載の細胞、及びHIV−1に感染していることが疑われる患者の血清、血球又は血液を混合してインキュベートを行う工程、及び
(b)該細胞におけるHIV-1の局在性を分析する、又はHIV−1感染細胞と該細胞との融合性を測定する工程、
を含んでなることを特徴とする、AIDS発症又はHIV−1感染を検出する方法、に関するものである。
【図面の簡単な説明】
図1は、マウスPBSF/SDF-1のcDNA塩基配列、及び該塩基配列にコードされるマウスPBSF/SDF-1のアミノ酸配列を示す図である。
図2は、実施例2のノーザンブロッティング法による電気泳動の結果を示す図である。Aはマウス組織のmRNAについての結果を示し、Bはマウス胎児のmRNAについての結果を示す。
図3は、実施例6の結果を示す図である。図中、横軸は経過時間を示し、縦軸は蛍光強度の比(〔340nmにおける蛍光強度〕/〔380nmにおける蛍光強度〕)を示す。使用した細胞はケモカインレセプターが発現していないCHO細胞である。
図4は、実施例6の結果を示す図である。図中、横軸は経過時間を示し、縦軸は蛍光強度の比(〔340nmにおける蛍光強度〕/〔380nmにおける蛍光強度〕)を示す。使用した細胞はヒトケモカインレセプターCC CKR2Bが発現したCHO細胞である。
図5は、実施例6の結果を示す図である。図中、横軸は経過時間を示し、縦軸は蛍光強度の比(〔340nmにおける蛍光強度〕/〔380nmにおける蛍光強度〕)を示す。使用した細胞はマウスケモカイン(PBSF/SDF−1)のレセプター(マウスCXCR4)が発現したCHO細胞である。
図6は、実施例6の結果を示す図である。図中、横軸は経過時間を示し、縦軸は蛍光強度の比(〔340nmにおける蛍光強度〕/〔380nmにおける蛍光強度〕)を示す。使用した細胞はヒトケモカインレセプターCXCR4/fusin/HUMSTSRが発現したCHO細胞である。
図7は、実施例6の結果を示す図である。図中、横軸は経過時間を示し、縦軸は蛍光強度の比(〔340nmにおける蛍光強度〕/〔380nmにおける蛍光強度〕)を示す。使用した細胞はマウスCXCR4が発現したCHO細胞である。
図8は、マウスCXCR4がヒトT細胞株指向性HIV-1のenv蛋白質を介する膜融合を支持することを示す図である。ターゲット細胞であるNIH3T3にはヒトCD4、T7 polymerase、β-galのω-subunitを発現する組み換えワクシニアウイルスを感染させた。感染後、それらの細胞にマウスCXCR4、ヒトCXCR4、ヒトCCR5をトランスフェクトした。エフェクター細胞であるHeLaS3にはNL 432或いはSF162由来のenv蛋白質とβ-galのα-subunitを発現する組み換えワクシニアウイルスを感染させた。それらの細胞を細胞融合させた後にβ-galアッセイに用いた。
図9は、マウスCXCR4がヒトT細胞株指向性HIV-1ウイルスの感染を支持することを示す図である。SW480(A)細胞に、それぞれヒトCD4とケモカイン受容体(マウスCXCR4、ヒトCXCR4、ヒトCCR5、ヒトCCR2b)をトランスフェクトし、HIV-1のNL432株、IIIB株、SF162株をそれぞれ感染させた後に細胞溶解物をβ-galアッセイに用いた。
図10は、マウスCXCR4がヒトT細胞株指向性HIV-1ウイルスの感染を支持することを示す図である。HOS細胞(B)に、それぞれヒトCD4とケモカイン受容体(マウスCXCR4、ヒトCXCR4、ヒトCCR5、ヒトCCR2b)をトランスフェクトし、HIV-1のNL432株、IIIB株、SF162株をそれぞれ感染させた後に細胞溶解物をβ-galアッセイに用いた。
図11は、マウスCXCR4がヒトT細胞株指向性HIV-1ウイルスの感染を支持することを示す図である。U87MG細胞(C)に、それぞれヒトCD4とケモカイン受容体(マウスCXCR4、ヒトCXCR4、ヒトCCR5、ヒトCCR2b)をトランスフェクトし、HIV-1のNL432株、IIIB株、SF162株をそれぞれ感染させた後に細胞溶解物をβ-galアッセイに用いた。
図12はキメラプロウィルスクローンの構造を示す模式図である。SF162のenv或いはV3ループを、ヒトT細胞株指向性HIV-1であるNL432のプロウィルスDNAに組み込んだ(E:EcoRI、Ba:BamHI、St:StuI、Nh:NheI)。
図13は、エンベロープ蛋白gp120のV3ループが、マウスCXCR4を介するHIV-1エントリに必須であることを示す図である。ヒトCD4と図中に示す受容体を発現するSW480細胞に、HIV-1のNL432株、SF162株及びキメラプロウィルスクローンであるNL432env-162、NL432V3-162を感染させた。
発明を実施するための最良の形態
1.本発明のDNAについて
本発明のDNAは、マウスの新規CXCケモカインレセプターであるマウスPBSF/SDF-1のレセプター(マウスCXCR4)をコードするDNAであれば特に限定されないが、具体的には、以下のDNAが例示される。
1)配列表の配列番号:17に記載のアミノ酸配列の全部又は一部からなるポリペプチド、又は該ポリペプチドを含むポリペプチドであって、マウスPBSF/SDF-1と結合可能なレセプター活性を有するポリペプチドをコードするDNA。
2)配列表の配列番号:17に記載のアミノ酸配列の全部又は一部のアミノ酸配列において、1以上のアミノ酸残基の欠失、付加、挿入又は置換の少なくとも一つが生じ、かつマウスPBSF/SDF-1と結合可能なレセプター活性を有するポリペプチドをコードするDNA。
3)配列表の配列番号:1に記載の塩基配列の全部又は一部からなるDNA、又は該DNAを含むDNAであって、マウスPBSF/SDF-1と結合可能なレセプター活性を有するポリペプチドをコードするDNA。
4)配列表の配列番号:1に記載の塩基配列の全部又は一部のDNA、又は該DNAを含むDNAであって、1以上の塩基の欠失、付加、挿入又は置換の少なくとも一つが生じ、マウスPBSF/SDF-1と結合可能なレセプター活性を有するポリペプチドをコードするDNA。
5)前記1)〜4)いずれか記載のDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAであって、マウスPBSF/SDF-1と結合可能なレセプター活性を有するポリペプチドをコードするDNA。
また、2)において、「1以上のアミノ酸残基の欠失、付加、挿入又は置換」とは、特に限定されるものではなく、例えば1個又は数個のアミノ酸残基の欠失、付加、挿入又は置換をいう。ここで数個とは、例えば10個以下の個数をいう。さらに、4)において、本発明のDNAの塩基の欠失、付加、挿入又は置換の程度は1以上であるが、好ましくは1〜数個が好ましい。ここで数個とは、例えば10個以下の個数をいう。また、発現されるポリペプチドの機能又は活性が実質的に同じ程度であるならば、化学的または生化学的な改変、あるいは非天然または誘導体化されたアミノ酸残基や塩基を含んでいてもよい。
本発明のDNAの単離は、既知のケモカインレセプター間でホモロジーを有する塩基配列をPCRにより増幅し、該増幅断片をプローブとしてマウスのcDNAライブラリー等をスクリーニングすることにより行うことができる。
なお、本発明において用い得る実験手法は、一般的な分子生物学的実験手法(DNAの電気泳動、電気泳動により分離したDNAをゲル中から回収する方法、ライゲーション、宿主の形質転換、組換え宿主の培養、プラスミドDNAの調製、DNAの制限酵素による切断、DNAの放射標識など)は、例えばMolecular Cloning第2版(ManiatisらCold Spring Harbor Laboratory,New York(1989))に記載されているような、当業者に公知の方法が採用される。
PCRに用いるプライマーとしては、報告されているヒトケモカインレセプターで保存されているアミノ酸配列に基づいて、例えば、第2膜貫通領域のアミノ酸配列をコードするDNA配列に対する正方向の縮重プライマーの5’側に適切な制限酵素部位を付加したもの、および第7膜貫通領域のアミノ酸配列をコードするDNA配列に対する逆方向の縮重プライマーの5’側に適切な制限酵素部位を付加したものが挙げられる。かかるプライマーはDNA合成機を用いて合成することができる。
また、cDNAのクローニングに用いられるマウスmRNAは、マウスB前駆細胞株DW34(京都大学の西川教授より供与)等の細胞から、市販のmRNA精製用キットを用いて精製し得る。
また、マウスCXCR4のcDNA由来のDNA断片等を用いて、マウスゲノムDNAのクローニングを行うこともできる。
得られるcDNAの塩基配列やゲノムDNAの塩基配列を、例えば、GenBank/EMBL/DDBJ DNA配列データベースに対して核酸ホモロジー検索を行うことにより、得られるcDNAがケモカインレセプターをコードしているかどうかを推定することができる。配列表の配列番号:1に、得られるcDNAの塩基配列を示す。また、配列表の配列番号:1の第120位〜第1196位の塩基配列が最長のオープンリーディングフレームであることから、このオープンリーディングフレームの塩基配列に基づいて推定したアミノ酸配列(配列表の配列番号:17)について、Genbank、EMBL、DDBJなどのデータベースに対してDNASIS(日立)、BLST(Altschul,F.ら,J.Mol.Biol.,215,403-410)などのプログラムを用いて、ホモロジー検索を行い、本発明のDNAにコードされるポリペプチドについてさらに検討を加えることができる。
その結果、配列表の配列番号:17に記載されるアミノ酸配列を有するポリペプチドは、ケモカインレセプターに特徴的な7つの膜貫通ドメインを含む三量体Gタンパク質結合型レセプターであると推定された。また、既知のCXCケモカインレセプターのアミノ酸配列と比較した結果、ヒトCXCR4/fusin/HUMSTSRが最も類似している事が明らかとなった(相同率90%)。
また、本発明のDNAを発現させた細胞は、ケモカイン(マウスPBSF/SDF-1)に対するレセプター活性、細胞内カルシウム濃度上昇活性のいずれをも有していたことから、本発明のDNAは新規のマウスケモカインレセプターをコードしていることが分かり、該DNAにコードされるタンパク質をマウスCXCR4と命名する。
「ケモカイン」とは、前記のように白血球が炎症反応局所への走化性を示すための誘因物質のうち、遊走する白血球に対してある程度の選択性を有し、特徴的な4つのシステイン残基を有するポリペプチドのファミリーをいう。これらはアミノ酸配列および生物活性に関連性がある。ケモカインの4つのシステイン残基は、第1と第3の残基間および第2と第4の残基間でそれぞれジスルフィド結合している。第1と第2のシステイン残基間に別のアミノ酸を1つ含むケモカインを「CXCケモカイン」、別のアミノ酸を含まないケモカインを「CCケモカイン」、として区別している。一般に、CCケモカインは単球を遊走させて好中球を遊走させず、CXCケモカインは好中球を遊走させて単球を遊走させないことが知られている。
「ケモカインレセプター」とは上記ケモカインに特異的に結合する細胞膜タンパク質ファミリーをいう。ケモカインレセプターはアミノ酸配列や構造上の関連がある。ケモカインレセプターはすべてロドプシンファミリーに特徴的な7つの膜貫通ドメインと三量体Gタンパク質との結合ドメインを有している。ケモカインレセプターはリガンドに対する特異性から2つのサブグループに分類される。上記ケモカインのうちCXCケモカインに特異的に結合するものを「CXCケモカインレセプター」としてCCケモカインに特異的に結合する「CCケモカインレセプター」と区別している。一般にケモカインレセプターはそれぞれのリガンドと結合した時に、細胞内カルシウム濃度を上昇させる作用を有している。また最近、ケモカインレセプターにはケモカインのレセプターとしての活性を持つだけでなく、細胞膜上に存在するCD4と呼ばれる分子と協調してHIV-1のレセプターとしての活性を有するものがあることが明らかとなっている。
本明細書において、マウスPBSF/SDF-1に対するレセプター活性は、例えば次のようにして測定することができる。
マウスCXCR4のリガンドであるPBSF/SDF-1ペプチドを、例えば、ボルトンハンター試薬などを用いて125Iで標識したり、アルカリホスファターゼなどの酵素で標識する。標識されたPBSF/SDF-1ペプチドを、レセプター活性を有するポリペプチドを発現する細胞の懸濁液に添加し、一定の温度でインキュベートする。洗浄後、細胞に結合したPBSF/SDF-1ペプチドの量を、標識量を測定することによりレセプター活性を測定し得る。ここで用いられる細胞としては、例えば、マウスB前駆細胞株DW34、ヒト胎児腎細胞株293細胞、またはマウスCXCR4を発現するように操作を行ったチャイニーズハムスター卵巣由来細胞株CHO細胞等が挙げられる。
また、本発明のポリペプチドはリガンドと結合したときに細胞内カルシウムイオン濃度を上昇させる活性を有するものが好ましい。かかる活性は、例えば次のようにして測定することができる。
上記の活性の測定対象であるポリペプチドを発現する細胞を緩衝液で洗浄した後、適当な緩衝液(例えば、HBSS(20mM Hepes、pH7.4中に、125mM NaCl、5mM KCl、1mM MgCl2、0.5mM グルコース及び0.1%BSAを含む)等)に懸濁し、さらに細胞内カルシウムイオンにより影響を受けるような蛍光試薬を加え、インキュベートすることで細胞を標識し得る。標識した細胞を緩衝液で洗浄した後、適当な緩衝液に懸濁し、リガンドとなるケモカインを加えたときの蛍光強度の変化から、活性を測定することができる。
例えば、蛍光試薬としてfura-PE3AM(テキサス フルオレッセンス ラボラトリー)を用いる場合、励起波長が340nmと380nm、蛍光波長が510nm、レスポンスが0.5秒の条件で測定する。そして、〔励起波長380nmでの蛍光強度〕に対する〔励起波長340nmでの蛍光強度〕の比を求める。ケモカインの添加により測定対象の細胞において細胞内カルシウムイオン濃度が上昇した場合、該蛍光強度の比の上昇が認められる。また、種類の異なるケモカインを添加することにより、リガンドに対するレセプターの特異性を確認することもできる。
また、マウスCXCR4のmRNAの存在の確認は、通常の特異的なmRNAの検出法を用いて行い得る。例えば、mRNAはアンチセンスRNAまたはcDNAをプローブとして用いた、ノーザンブロット分析またはインサイチュハイブリダイゼーション法により検出し得る。又は、mRNAはまたmRNAを逆転写酵素でcDNAに変換した後、適当なプライマーの組み合わせによるPCR法によっても検出し得る。
2.本発明のポリペプチドについて
本発明のポリペプチドとしては、例えば以下のものが挙げられる。
1)本発明のDNAによりコードされるポリペプチドであって、マウスPBSF/SDF-1と結合可能なレセプター活性を有するポリペプチド。
2)配列表の配列番号:17に記載のアミノ酸配列の全部又は一部からなるポリペプチド、又は該ポリペプチドを含むポリペプチドであって、マウスPBSF/SDF-1と結合可能なレセプター活性を有するポリペプチド。
3)配列表の配列番号:17に記載のアミノ酸配列の全部又は一部のアミノ酸配列において、1以上のアミノ酸残基の欠失、付加、挿入又は置換の少なくとも一つが生じ、かつマウスPBSF/SDF-1と結合可能なレセプター活性を有するポリペプチド。
4)マウスB前駆細胞株DW34に由来する、前記1)〜3)いずれかのポリペプチド。
3)の態様において、本発明のポリペプチドのアミノ酸残基の欠失、付加、挿入又は置換の程度は1以上であり、マウスPBSF/SDF-1と結合可能なレセプター活性を有する限り、変異の個数は特に限定されない。例えば、1〜数個が例示される。ここで数個とは、例えば10個以下の個数をいう。また、ポリペプチドの機能又は活性が実質的に同じ程度であるならば、化学的または生化学的な改変、あるいは非天然または誘導体化されたアミノ酸残基を含んでいてもよい。
また、本発明のポリペプチドは、マウスB前駆細胞株DW34に由来するものが好ましい。
また、本発明のポリペプチドの存在の確認は、通常の特異的なタンパク質の検出法を用いて行い得る。例えば、マウスCXCR4に特異的な抗体を用いる通常の免疫沈降法またはウエスタンブロット法、FACSによる解析により確認し得る。
3.本発明の発現ベクター及び形質転換体について
本発明の発現ベクターは、例えば、pEFBOS、pCAGGStkNeo、pMXなどの公知のベクターに、本発明のDNAを組み込むことにより得ることができる。
また、本発明の形質転換体は、本発明の発現ベクターを所望の宿主に導入することにより得ることができる。宿主としては特に限定されないが、哺乳類細胞株が好ましい。哺乳類細胞株としては、例えば、マウスB前駆細胞株、ヒト胎児腎細胞株、チャイニーズハムスター卵巣由来細胞株等が挙げられ、ハムスター卵巣由来細胞株が好ましい。発現ベクターを宿主に導入する方法としては、例えば、リン酸カルシウム法、DEAEデキストラン法、エレクトロポレーション法等の公知の方法を用いれば良い。
また、上記の形質転換体を、上記の発現ベクターの発現可能な条件下で培養することにより、マウスPBSF/SDF-1と結合可能なレセプター活性を有するポリペプチドを生産することができる。このようにして生産されるポリペプチドは、通常のカラムクロマトグラフィー又は本発明の抗体を用いたアフィニティークロマトグラフィー等の方法により、容易に精製することができる。
4.本発明の単クローン抗体について
本発明の単クローン抗体としては、本発明のマウスCXCR4ポリペプチドに対するもの、及び該ポリペプチドとヒトCXCR4/fusin/HUMSTSRとの融合タンパク質に対するものが挙げられる。
かかる単クローン抗体は、例えば次のようにして作製することができる。
免疫原として、本発明のポリペプチドのアミノ酸配列の一部に基づいて通常のペプチド合成機で合成した合成ペプチドを、又はマウスCXCR4を発現するベクターで形質転換した細菌、酵母、動物細胞、昆虫細胞などにより産生されたマウスCXCR4を細胞のまま、或いは通常のタンパク質化学的方法で精製して得られるタンパク質を用いる。かかる免疫原を用いて、マウス、ラット、ハムスター、ウサギなどの動物を免疫し、脾臓またはリンパ節から細胞を取り出し、ミエローマ細胞と融合させて、KoehlerおよびMilsteinの方法(Nature,256,495-497(1975))またはその改良法であるUedaらの方法(Proc.Natl.Acad.Sci.USA,79,4386-4390(1982))に従ってハイブリドーマを作製する。かかるハイブリドーマは単クローン抗体を産生させ得る。
より具体的には、例えば、以下の工程によりマウスCXCR4の単クローン抗体を得ることができる。
(a)マウスCXCR4タンパク質によりマウスを免疫する工程、
(b)免疫マウスの脾臓を摘出して脾臓細胞を分離する工程、
(c)分離された脾臓細胞とマウスミエローマ細胞とを、融合促進剤(例えば、ポリエチレングリコール)の存在下で、上記のKoehlerらに記載の方法によって融合する工程、
(d)非融合ミエローマ細胞が成長しない選択培地で得られたハイブリドーマ細胞を培養する工程、
(e)ELISA法および免疫電気移転法などにより所望の抗体を産生するハイブリドーマ細胞を選択し、限界希釈法などによりクローニングする工程、および
(f)抗マウスマウスCXCR4の単クローン抗体を回収する工程。
また、マウスCXCR4とヒトCXCR4/fusin/HUMSTSRとの融合タンパク質に対する単クローン抗体も本発明に含まれる。
このような単クローン抗体は、マウスCXCR4とヒトCXCR4/fusin/HUMSTSRとの融合タンパク質を得、このタンパク質やそのペプチドを免疫原として、上記の方法等により得ることができる。
5.本発明の医薬組成物及び細胞について
本発明の医薬組成物は、マウスPBSF/SDF−1を含有し、AIDS発症阻害剤またはHIV−1感染阻害剤として用いられるものである。
本発明の医薬組成物は、経口的又は非経口的に投与することができる。すなわち、通常用いられる投与形態、例えば錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤等として経口投与することができ、あるいは液剤、乳剤、懸濁液剤、リポソーム剤などとして筋肉内注射又は皮下注射することができ、また、坐剤として直腸投与することもできる。このような剤形は、医薬として許容される通常の担体、賦型剤、結合剤、安定剤、緩衝剤、溶解補助剤、等張剤等と本発明の有効成分を配合することにより製造することができる。
投与量、投与回数は、患者の症状、症歴、年齢、体重、投与形態等によって異なるが、例えば成人に経口投与する場合、通常、1日当たり5〜500mg、好ましくは10〜100mgの範囲で適宜調節して、1回又は数回に分けて投与することができる。
また、本発明の細胞は、上記の本発明のポリペプチドを発現する細胞、又は該ポリペプチド及びヒトCD4タンパク質の両者を発現する細胞である。
かかる細胞は、例えば次のようにして得ることができる。即ち、マウスCXCR4をコードするポリヌクレオチドを組み込んだベクターを得る。ベクターとしては、pEFBOS、pCAGGS、pMX等の公知のものが使用できる。次いで、発現用の細胞に上記のポリヌクレオチドを組み込んだベクターを導入することにより、本発明の細胞を得ることができる。発現用の細胞としては、チャイニーズハムスター卵巣由来細胞株、CHO細胞、ヒト結腸癌細胞株、SW480細胞、ヒト骨芽肉腫細胞株、HOS細胞、ヒトグリア芽細胞株、U87MG細胞等が挙げられる。また、ベクターの導入方法としては、例えば、リン酸カルシウム法やLipofectin(GibcoBRL社)、Lipofectamine(GibcoBRL社)を用いる方法が挙げられる。
マウスCXCR4はHIV−1のco-receptorとなることが見出されたことから、本発明の細胞は、AIDS発症阻害剤やHIV−1感染阻害剤、PBSF/SDF−1のアゴニストやアンタゴニストのスクリーニングやAIDS発症またはHIV−1感染の検出等に用いることができる。
6.本発明のスクリーニング方法について
本発明のスクリーニング方法には、AIDS発症阻害剤、HIV−1感染阻害剤、及びマウス又はヒトPBSF/SDF−1のアゴニストやアンタゴニストをスクリーニングする方法がある。具体的には次の通りである。
1)(a)上記に記載の本発明の細胞;ヒトT細胞株指向性HIV−1;及びスクリーニングの対象となる物質を混合してインキュベートを行う工程、及び
(b)該細胞におけるHIV-1の局在性を分析する工程、
を含んでなることを特徴とする、AIDS発症阻害剤又はHIV−1感染阻害剤をスクリーニングする方法。
2)(a)上記に記載の本発明の細胞;HIV−1エンベロープタンパク質を発現する細胞;及びスクリーニングの対象となる物質を混合してインキュベートを行う工程、及び
(b)HIV−1エンベロープタンパク質を発現する細胞と該細胞との融合性を測定する工程、
を含んでなることを特徴とする、AIDS発症阻害剤又はHIV−1感染阻害剤をスクリーニングする方法。
3)(a)上記に記載の本発明の細胞;マウス又はヒトPBSF/SDF-1;及びスクリーニングの対象となる物質を混合してインキュベートを行う工程、及び
(b)該細胞内のカルシウムイオン濃度を測定する、及び/又は発現したポリペプチドと該マウス又はヒトPBSF/SDF-1との結合活性を測定することを特徴とする、AIDS発症阻害剤若しくはHIV−1感染阻害剤、又は該PBSF/SDF-1のアゴニスト若しくはアンタゴニストをスクリーニングする方法。
また、ヒトT細胞株指向性HIV−1としては、例えばHIV−1 IIIB株(熊本大学の原田教授より供与)やHIV−1 NL432株(徳島大学の足立教授より供与)が挙げられる。
1)について
HIV-1の局在性を分析する工程としては、ヒトT細胞株指向性HIV−1に対するモノクローナル抗体を用いて行うことがより好ましい。
かかるモノクローナル抗体を用いての分析方法としては特に限定されるものではなく、通常用いられる公知の方法が挙げられる。
また、HIV-1の局在性を分析する方法としては、以下に述べる酵素法も用いることができる。
即ち、この方法で用いられる「本発明の細胞」としては、ヒトCD4タンパク質とco-receptorを発現する細胞(例えば、SW480、U87MG、HOS等)であって、HIV−1の遺伝子発現プロモーターであるLTRの下流に酵素(例えばβ−ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、CAT等)の遺伝子が導入されたものが好ましく用いられる。HIV−1がかかる細胞に感染すると、ウイルスのタンパク質の一種であるtatタンパク質が発現し、それがLTRを活性化させる。したがって、細胞溶解物中に含まれる酵素活性を測定することにより、感染量を定量できる。
2)について
HIV−1エンベロープタンパク質を発現する細胞としては、例えばHeLaS3にHIV−1エンベロープタンパク質の遺伝子を導入したものが挙げられ、さらに例えばβ−ガラクトシダーゼのサブユニット(α又はωのいずれか一方)の遺伝子を導入したものが好適に用いられる。また、「本発明の細胞」としては、例えばNIH3T3に、ヒトCD4タンパク質とco-receptorを導入したものであって、さらに例えばβ−ガラクトシダーゼのサブユニット(α又はωのいずれか一方であって、HIV−1エンベロープタンパク質を発現する細胞に導入されたものとは異なるもの)の遺伝子を導入したものが好適に用いられる。HIV−1エンベロープタンパク質を発現する細胞と本発明の細胞とが細胞融合した場合、β−ガラクトシダーゼのα−サブユニットとω−サブユニットが会合し、活性型のβ−ガラクトシダーゼとなる。したがって、両細胞を混合して培養した後に、細胞溶解物中に含まれるガラクトシダーゼ活性を測定することにより、細胞融合量が測定できる。
3)について
(a)工程においてインキュベートが行われた結果、細胞内カルシウムイオン濃度を上昇させる活性が認められた場合、対象物質はアゴニストの可能性がある。また、細胞内カルシウムイオン濃度を上昇させる活性は認められないものの、対象物質とレセプターとの結合が認められた場合、対象物質はアンタゴニストの可能性がある。また、マウスPBSF/SDF-1の細胞内カルシウムイオン濃度を上昇させる活性及び/又はレセプターとの結合活性に影響を及ぼす場合、すなわち活性を阻害する場合、対象物質はアンタゴニストの可能性がある。また、該アンタゴニストとしては、造血幹細胞遊離促進剤が例示される。
7.検出キット及び検出方法について
本発明のAIDS発症又はHIV−1感染を検出するためのキットは、本発明の細胞を含むことを特徴とする。
かかるキットを用いることにより、簡単にAIDS発症又はHIV−1感染を検出することができる。本発明のキットは、以下に示す本発明の検出方法を利用して検出を行うためのものである。
また、本発明のAIDS発症又はHIV−1感染を検出する方法は、
(a)上記に記載の本発明の細胞、及びHIV−1に感染していることが疑われる患者の血清、血球又は血液を混合してインキュベートを行う工程、及び
(b)該細胞におけるHIV-1の局在性を分析する、又はHIV−1感染細胞と該細胞との融合性を測定する工程、を含んでなることを特徴とするものである。
法。
ここで、HIV-1の局在性を分析する方法としては、本発明のAIDS発症阻害剤又はHIV−1感染阻害剤において用いられる方法が挙げられる。また、HIV−1感染細胞と該細胞との融合性を測定する方法としては、本発明のAIDS発症阻害剤又はHIV−1感染阻害剤において用いられる方法が挙げられる。なお、(b)におけるHIV−1感染細胞とは、HIV−1に感染していることが疑われる患者の血球であって、HIV−1に感染しているものである。
8.本発明の有用性について
本発明のマウスCXCR4とヒトCXCR4/fusin/HUMSTSRは共に、マウスPBSF/SDF-1に反応する。マウスとヒトのPBSF/SDF-1は71アミノ酸のうち1つのアミノ酸の差異しか認められないので、マウスCXCR4はヒトPBSF/SDF-1にも結合すると期待される。ヒトPBSF/SDF-1はCXCR4/fusin/HUMSTSRを介するT細胞株指向性HIV−1の感染を阻害するので、本発明のマウスCXCR4タンパク質に対する抗体、およびマウスCXCR4とヒトCXCR4/fusin/HUMSTSRとの細胞外ドメインを互いに置換して得られるT細胞株指向性HIV−1との結合部位を有するキメラタンパク質に対する抗体は、HIV-1の感染阻害剤、すなわちAIDSの治療薬として用いられ得る。
また本発明により提供されるマウスCXCR4タンパク質およびマウスCXCR4とヒトCXCR4/fusin/HUMSTSRとの細胞外ドメインを互いに置換したキメラタンパク質のアゴニスト、アンタゴニストをスクリーニングする方法により、アゴニスト、アンタゴニストを得、HIV-1の感染阻害剤、すなわちAIDSの治療薬として用いられ得る。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。
実施例1(マウスCXCR4のcDNAのクローニング)
(1)プライマーの合成
既知のケモカインレセプターのアミノ酸配列に基づいて、第2膜貫通領域のアミノ酸配列をコードするDNA配列に対する正方向の縮重プライマーC2F2-2(配列表の配列番号:5)、第7膜貫通領域のアミノ酸配列をコードするDNA配列に対する逆方向の縮重プライマーC4R1(配列表の配列番号:6)を、DNA合成機(Cyclone Plus,日本ミリポア)を用いて合成した。
(2)マウスB前駆細胞株DW34からのmRNAの精製
マウスB前駆細胞株DW34をRPMI 1640培地に懸濁し、一週間培養した後、ダルベッコPBS(-)(ニッスイ)で洗浄し、mRNA精製キット(ファルマシア)を用いてmRNAを精製した。
(3)マウスCXCR4のcDNA断片のクローニング
マウスB前駆細胞株DW34から精製したmRNAの200ngについて、Ready-To-Go T-Primed First-Strandキット(ファルマシア)を用いて一本鎖cDNAを合成した。この一本鎖cDNAを鋳型とし、プライマーとしてC2F2-2およびC4R1を、耐熱性DNAポリメラーゼとしてTaqを用いて、PCR反応(94℃で0.5分間、55℃で0.5分間、72℃で1分間の条件で30サイクル)を行った。得られた反応液を、低融点アガロースゲル電気泳動で分離し、目的のサイズ(約690bp)のDNAバンドを切り出し、Wizard PCR Preps DNA精製システム(プロメガ)を用いてDNA断片を精製した。得られたDNA断片をpT7Blueベクターに、DNAライゲーションキット(タカラ)を用いて挿入した。この挿入DNAの塩基配列を、PRISM Ready Reactionシーケンスキット(Applied Biosystems社)およびDNAシーケンサー(Applied Biosystems社)を用いて決定した。得られたマウスCXCR4のcDNA配列を、配列表の配列番号:2に示す。上記のようにして得られたマウスCXCR4のcDNA配列を基に配列表の配列番号:7および配列表の配列番号:8に示すプライマーを合成し、Marathon cDNA Amplificationキット(Clontech社)を用い、上記のようにして得たDW34細胞のcDNAを鋳型にして5’末端を含むcDNAクローンを得た。得られたマウスCXCR4のcDNA配列を、配列表の配列番号:3に示す。
実施例2(マウスCXCR4の各組織における発現)
(1)プローブの作製
マウスCXCR4のマウス各組織における発現を検討するために、まず、以下のようにプローブを作製した。マウスCXCR4の遺伝子の塩基配列に基づいて、第2膜貫通領域部分に対応する正方向のDNA配列(配列表の配列番号:15)および第7膜貫通領域部分に対応する逆方向のDNA配列(配列表の配列番号:16)をプライマーとして合成し、次のPCRに用いた。上記実施例1の(3)項で得られた塩基配列のcDNAを鋳型とし、Taqポリメラーゼを用いて、94℃で1分間、55℃で1分間、72℃で2分間の条件で30サイクルのPCR反応を行った。PCR反応物をアガロースゲル電気泳動で分離し、目的のサイズ(690bp)のDNAバンドを切り出し、Wizard PCR Preps DNA精製システムを用いてDNA断片を精製した。得られたDNA断片50ngを、Prime-It IIランダムプライマーラベリングキット(ストラタジーン)を用いて32P標識し、プローブとして用いた。
(2)マウス組織およびマウス胎児のノーザンブロット分析
種々のマウス組織のmRNA、及び生後7日目、11日目、15日目、17日目のマウス胎児のmRNAを電気泳動で分離してトランスファーしたメンブラン、並びに上記(1)項で得たプローブを用いて、ハイブリダイゼーションを行った。メンブランの洗浄は、0.05%SDSを含む2xSSCに浸して、室温で15分間を2回行った後、さらに0.1%SDSを含む0.1xSSCに浸して50℃で20分間を2回行った。このメンブランの放射線をオートラジオグラフィーで検出した。この結果を図2のA(マウス組織)及びB(マウス胎児)に示す。バンドの濃さから明らかなように、胸腺、リンパ節、脾臓に強いシグナルが得られ、脳、小腸、胃、腎臓で弱いシグナルが得られた。またマウス胎児の全てで強いシグナルが得られた。
実施例3(マウスCXCR4のゲノムDNAのクローニング)
(A)プローブの作製
上記実施例1の(3)項で得られたマウスCXCR4のcDNAの塩基配列に基づいて、適切な正方向および逆方向のプライマーを合成し、次のPCRに用いた。上記実施例1(3)項で得られたcDNAから二本鎖DNAを得、この二本鎖DNAを鋳型とし、Taqポリメラーゼを用いてPCR反応を行い、アガロース電気泳動で分離し、目的のサイズ(約690bp)のDNAバンドを切り出し、DNA断片を精製した。得られたDNA断片50ngを、Prime-It IIランダムプライマーラベリングキット(ストラタジーン)を用いて32P標識し、プローブとして用いた。
(B)マウスゲノムライブラリーのクローニング
まず、ファージベクターλFIXIIに組み込んだ129/SvJマウス肝臓ゲノムライブラリーを大腸菌に感染させ、一次スクリーニングとして、プレートに播いてプラークを形成させた後、ナイロンメンブラン(デュポン社)にトランスファーした。このメンブランをプレハイブリダイゼーション液(5×SSPE(0.9M NaCl、0.05Mリン酸ナトリウムpH7.7、0.005M Na2 EDTA)、50%ホルムアミド、5×デンハルト液、50μg/mlサケ精子DNA、0.1%SDS)に浸してプレハイブリダイゼーションした後、上記(A)項で得られたプローブとハイブリダイゼーション液(5×SSPE、50%ホルムアミド、1×デンハルト液、10%デキストラン硫酸二ナトリウム、50μg/mlサケ精子DNA、0.1%SDS)に浸して42℃15時間ハイブリダイズさせた。メンブレンを洗浄した後、放射活性を検出し、シグナルを生じる陽性のプラークを選択し、逐次希釈して二次および三次のスクリーニングを行ない、2個のシングルクローンを選択した。
クローニングしたファージDNAについて種々の制限酵素で切断してアガロース電気泳動で分離し、バンドのパターンが同じものは同一クローンとし、同様のハイブリダイゼーションを繰り返して、できるだけ小さいサイズの陽性バンドを与えるように、制限酵素で切断した。選択した陽性DNA断片を、pBluescripts KSIIベクターに挿入し、ジデオキシ法により塩基配列を決定した。得られたマウスCXCR4遺伝子のDNA配列を、配列表の配列番号:4に示す。また、配列表の配列番号:3に示される塩基配列と、配列表の配列番号:4に示される塩基配列から、最長のオープンリーディングフレームを含む塩基配列を見出し、この塩基配列を配列表の配列番号:1に示す。そして、この配列表の配列番号:1に示される塩基配列を、GenBank/EMBL/DDBJ DNA配列データベースに対して核酸ホモロジー検索を行った。この検索の結果、得られたクローンは、新規のマウスケモカインレセプターをコードするDNAであることが明らかになり、これをマウスCXCR4と命名した。
実施例4(マウスCXCR4のアミノ酸配列のホモロジー解析)
マウスCXCR4の塩基配列に基づいて推定したアミノ酸配列(配列表の配列番号:17)は、ケモカインレセプターに特徴的な7つの膜貫通ドメインを含む三量体Gタンパク質結合型レセプターであると推定された。そのアミノ酸配列を、既知のCXCケモカインレセプターの配列と比較した(データベースとしてGenBank、EMBL、DDBJを用い、BLASTにて解析した)。その結果、ヒトCXCR4/fusin/HUMSTSRが最も類似しており(相同率90%)、サルCXCR4、ウシCXCR4とはそれぞれ89%、86%の相同率であり、ラットIL-8RB、ウサギIL-8RA、ウサギIL-8RBとはそれぞれ49%、47%、45%の相同率であった。
実施例5(マウスCXCR4ならびにヒトCXCR4/fusin/HUMSTSRの発現)
(1)マウスCXCR4、ヒトCCCKR2BおよびヒトCXCR4/fusin/HUMSTSR発現ベクターの作製
既報のヒトケモカインレセプターであるCC CKR2Bの遺伝子ならびにCXCR4/fusin/HUMSTSRの遺伝子をクローニングするために、ヒト単球細胞株THP-1のcDNAを用いて以下のようにPCR反応を行った。THP-1細胞のcDNA 500ngを鋳型として用い、配列表の配列番号:11および配列番号:12に示すプライマーをヒトCXCR4/fusin/HUMSTSRの増幅のために、そして、配列表の配列番号:9および配列表の配列番号:10に示すプライマーをCC CKR2Bの増幅のために、それぞれ500ngを用いた。反応を行うための酵素としてはTaqポリメラーゼ(宝酒造社)を用いた。反応を、94℃、3分で1サイクル行った後、94℃で1分間、55℃で2分間、72℃で3分間の条件で35サイクル行い、さらに72℃で3分間の反応を行った。この反応で得られたヒトCXCR4/fusin/HUMSTSRおよびCC CKR2Bの遺伝子断片を、それぞれpCRII(Invitrogen社)のTAクローニング部位へ組み込んだ。このようにして得られたプラスミドを、それぞれpCRIICXCR4およびpCRIICC CKR2Bと命名した。次に、得られたpCRIICXCR4およびpCRIICC CKR2Bプラスミドを、それぞれNotIおよびXboI(ともに宝酒造社)で消化した後、pCAGGStkNeoのNotI/XboI部位に組み込んだ。このようにして得られたプラスミドを、それぞれpCANCXCR4およびpCANCC CKR2Bと命名した。
マウスCXCR4の遺伝子をクローニングするために、上記実施例1の(3)項で得られた配列表の配列番号:3で示されるマウスB前駆細胞株DW34の一本鎖cDNAを鋳型にPCR法を行った。cDNA 100ngを鋳型として用い、配列表の配列番号:13および配列表の配列番号:14に示すプライマーを用いた。反応を行うための酵素としてはExTaq(宝酒造社)を用いた。反応を、94℃で3分間、1サイクル行った後、94℃で1分間、55℃で1分間、72℃で2分間の条件で20サイクル行い、さらに72℃で5分間の反応を行った。得られたマウスCXCR4遺伝子断片をNotIとXhoI(宝酒造社)で消化した後、pCAGGStkNeoのNotI/XboI部位に組み込んだ。このようにして得られたプラスミドを、pCANmPBSFRと命名した。
(2)CHO細胞でのマウスCXCR4、ヒトCXCR4/fusin/HUMSTSR、ヒトCC CKR2Bの発現
CHO細胞を直径10cmの細胞培養のシャーレー(岩城硝子社)で、37℃、10%炭酸ガス存在下で1日培養した。上記(1)項で得た3種のケモカインレセプターの発現ベクター(pCANmPBSFR、pCANCXCR4およびpCANCC CKR2B)のDNAそれぞれ30μgを蒸留水25μlに溶解した後、250mM塩化カルシウム(ナカライテスク社)500μlを添加した。DNAおよび塩化カルシウムの混合液に2×BBS溶液(50mM BES(SIGMA),280mM塩化ナトリウム(ナカライテスク社)、および1.5mMリン酸水素二ナトリウム(ナカライテスク社))500μlを添加した後、室温で25分間静置した。このように調製したDNA溶液をCHO細胞を培養しているシャーレーに滴下し、35℃、3%炭酸ガス存在下で20時間培養し、細胞にDNAを導入した。DNA導入した細胞を、3mlのPBS(+)で2回洗浄した後、10mlの10%溶液FCSを含むα-MEM(GIBCO社)を添加し、37℃、5%炭酸ガス存在下で1日培養した。
次いで、10%FCSを含むα-MEM(GIBCO社)培地に2mg/ml GENETICIN(和光純薬工業社)を添加した培地に懸濁し、5×103個/シャーレーで直径10cmの細胞培養のシャーレー(岩城硝子社)に分注した。37℃、10%炭酸ガス存在下で培養を続け、GENETICIN耐性の細胞をマウスCXCR4、ヒトCXCR4/fusin/HUMSTSRおよびCC CKR2B発現CHO細胞株として細胞内カルシウム濃度測定用に用いた。以下の実施例6に示すように、CC CKR2Bについては、特異的リガンドであるMCP-1の添加による細胞内カルシウム濃度上昇活性があっため、レセプターの発現が確認された。また、マウスCXCR4とヒトCXCR4/fusin/HUMSTSRの発現については、CC CKR2Bと同じ細胞株を用いて同様の形質転換および培養を行ったことから、同様に発現していると考えられる。
実施例6(マウスCXCR4の生物活性)
上記実施例5の(2)項で得たマウスCXCR4ならびにヒトケモカインレセプター(CXCR4/fusin/HUMSTSRおよびCC CKR2B)が発現しているCHO細胞を、ダルベッコPBS(-)で洗浄した後、HBSS緩衝液(20mM Hepes,pH7.4中に、125mM Nacl,5mM KC1,1mM MgCl2,0.5mMグルコース、および0.1%BSAを含む)に5×106個/mlで懸濁し、さらにfura-PE3AM(テキサス フルオレッセンス ラボラトリー)を2.5μMになるように加え、37℃で30分間インキュベートした。HBSS緩衝液で洗浄した後、各CCケモカインレセプター発現細胞を同緩衝液に5×106個/mlで懸濁した。得られたケモカインレセプター発現細胞懸濁液各500μlに、ケモカイン(マウスPBSF/SDF-1またはヒトMCP-1)をそれぞれ100nMになるように加えたときの蛍光度の変化を、蛍光分光光度計(LS50B,PERKIN ELMER)を用いて、励起波長340nmと380nm,蛍光波長510nm,レスポンス0.5秒で測定した。その結果を、時間経過と340nmと380nmとの蛍光強度の比で図3〜図6に示す。
マウスPBSF/SDF-1刺激では、マウスCXCR4及びヒトCXCR4/fusin/HUMSTSR発現細胞で蛍光強度の比の上昇が認められ、CCケモカインレセプターであるCC CKR2B発現細胞では蛍光強度の比の上昇は認められなかった。なお、レセプターに対する陽性コントロールであるMCP-1ペプチドによる刺激では、CC CKR2B発現細胞で蛍光強度の比の上昇が認められた。したがって、マウスPBSF/SDF-1は、本発明のマウスCXCR4およびヒトCXCR4/fusin/HUMSTSR発現CHO細胞に対して、特異的に細胞内カルシウムイオン濃度を上昇させる活性を有することがわかった。また図7に示すようにマウスCXCR4発現細胞では、マウスPBSF/SDF-1の連続しての添加により蛍光強度の比が変化しない脱感作が認められた。脱感作は陰性コントロールであるヒトMCP-1の添加では認められなかった。この結果より、本発明のレセプターは、マウスPBSF/SDF-1のレセプターである事が明らかとなった。
実施例7
材料と方法
細胞株:マウスNIH3T3細胞、ヒト小腸上皮由来のSW480細胞、ヒトグリア細胞由来のU87MGは、10% FCSを含むDMEMで培養した。ヒトHeLaS3細胞は10% FCSを含むRPMI1640で培養した。ヒト骨芽細胞由来のHOS細胞は1%不必須アミノ酸(Gibco社)と10% FCSを含むEagle MEMで培養した。
ウイルス:HIV-1のNL432株は、足立教授(徳島大学)より供与された。IIIB株は、原田教授(熊本大学)より供与された。SF162株は、J.A.Levy教授(カリフォルニア、サンフランシスコ大学)より供与された。HIV-1のキメラウイルスクローン、NL432env-162とNL432V3-162は、井阪(塩野義製薬)より供与された。遺伝子組み換えワクシニアウイルス、Vac.Env(NL432 env)、Vac.Env162(SF162 env)、Vac T4(CD4)は、塩田教授(東京大学)より供与された。LO-T7(T7 polymerase)は、M.Kohara(都立臨床研)より供与された。
細胞へのトランスフェクション:NIH3T3細胞を1ウェルあたり5x104細胞の細胞密度で24ウェルプレートで一晩培養し、Lipofectamine(Gibco社)を用いてpBluescriptに組み込んだケモカイン受容体遺伝子をトランスフェクトした。トランスフェクト開始後4時間目に細胞をPBSで洗浄し、培養液を添加した後37℃で一晩培養して融合アッセイに使用した。SW480細胞とHOS細胞は、5x105細胞の細胞密度で6センチメートルプレートで一晩培養した。SW480細胞にはpEF-BOSに組み込んだ受容体遺伝子を5μg、CD4を発現するベクターであるT4-Neoを7.5μg、LTR(EcoRV)-β-Gal-Neoを2.5μgのプラスミド混合物を改良型リン酸カルシウム法によりトランスフェクトした。ヒトCD4とLTR-Galを恒常的に発現するHOS細胞には、同じ方法でpEF-BOSに組み込んだ受容体遺伝子を15μgトランスフェクトした。細胞は3% CO2存在下で35℃一晩培養し、PBS(-)で洗浄後に0.5mM EDTAを含むPBSを用いて回収した後、12ウェルプレートにまいて37℃で一晩培養して感染アッセイに用いた。
細胞融合アッセイ:細胞融合を定量化するために我々は、β-galactosidase(β-gal)のα-complementationを利用した改良型細胞融合アッセイを使用した(志田等、論文作成中)。
β-galのα-subunitとenv蛋白質は、遺伝子組み換えワクシニアウイルスによりエフェクター細胞であるHeLaS3細胞(24ウェルプレート、1x105細胞/ウェル)に導入した。
ヒトCD4、β-galのω-subunit、T7 RNA polymeraseは、遺伝子組み換えワクシニアウイルスによりターゲット細胞であるNIH3T3細胞(24ウェルプレート5x104細胞/ウェル)に導入し、ケモカイン受容体はLipofectamineを用いてターゲット細胞にトランスフェクトした。トランスフェクト後16時間目に、エフェクター細胞とターゲット細胞を0.5mM CaCl2を含むPBSで洗浄し、ワクシニアウイルスにより引き起こされる非特異的な細胞融合を抑制するために抗ワクシニアウイルス抗体である2D5で処理した。エフェクター細胞を3mM CaCl2を含むHanksの緩衝液(pH7.6)に懸濁し、24ウェルプレート中でターゲット細胞に重層した後、融合を開始するために1,300rpmで5分間遠心した。
遠心後に細胞を5% CO2存在下で37℃12時間培養した。細胞融合が起きた場合、融合細胞の細胞質に含まれるβ-galのα-subunitとω-subunitが会合し、α-complementationにより活性型β-gal酵素になるので、培養液を除いた後に、β-galの基質であるchlorophenolred-b-D-galactopyranoside(Boehringer Mannheim)を8mMと、45mM 2-メルカプトエタノール、1mM MgCl2、100mM Hepes pH8.0、0.5% NP40、DNAse I 0.1mg/mlを含む溶液を1ウェルにつき200μl添加し、37℃で30分間反応後、反応を停止するために2% SDSを1ウェルにつき200μl添加した。反応液中のβ-gal活性を定量するため波長590nmにおける吸光度を測定した。
感染アッセイ:ヒトCD4と受容体を発現するヒトSW480或いはHOS細胞を12ウェルプレートで培養した。各ウェルに、HIV-1ウイルスを含む培養液(reverse transcriptase(RT)活性は、SF162が2x106 RT/mL、NL432env162、NL432V3-162、IIIBが5x106 RT/mL、NL432が3x106 RT/mL)を添加し、5% CO2存在下、37℃で2時間培養した後、1ウェルあたり2.5mlの培養液を添加した。感染後4日目にReporter lysis buffer(Promega)を1ウェルあたり400μl添加し、-80℃で凍結後に融解した。融解したサンプルをエッペンドルフチューブへ移し、4℃、5分間12,000rpmで遠心した後、上清に含まれるβ-gal活性を発光β-gal検出キット(Clontech社)で測定した。
結果
まず第一に、我々は、マウスCXCR4がHIV-1のenvを介した膜融合を支持するかどうかを検討するために、env蛋白質を発現するエフェクター細胞(HeLaS3細胞)とヒトCD4と受容体を発現するターゲット細胞(NIH3T3細胞)との融合によりβ-Galの活性化が起こるアッセイシステムを用いて実験した。このアッセイでは、エフェクター細胞であるHeLaS3細胞には遺伝子組み換えワクシニアウイルスを感染させてβ-Galのα-subunitとHIV-1のenv蛋白質を発現させ、ターゲット細胞であるNIH3T3細胞には遺伝子組み換えワクシニアウイルスを感染させて、β-Galのω-subunit、T7 polymerase、ヒトCD4を発現させた。ウイルス感染後にNIH3T3細胞には更にヒトCXCR4、ヒトCCR5或いは、マウスCXCR4を含むプラスミドをトランスフェクトした。一晩培養後に、エフェクター細胞とターゲット細胞を混合して培養した。細胞融合が起こると、融合細胞の細胞質に含まれるβ-Galのα-subunitとω-Subunitが会合し、β-Galが活性化する。図8に示すように、T細胞株指向性HIV-1であるNL432由来のenv蛋白質を発現するHeLaS3細胞はヒトCXCR4とヒトCD4を発現するNIH 3T3細胞とは融合するが、ヒトCCR5とヒトCD4を発現するNIH 3T3細胞とは融合しなかった。
驚いた事に、NL432由来のenv蛋白質を発現するHeLaS3細胞はマウスCXCR4とヒトCD4を発現する細胞にも同様に融合した。単球指向性HIV-1であるSF162由来のenv蛋白質を発現するHeLaS3細胞はヒトCCR5とヒトCD4を発現するNIH 3T3細胞とは融合するが、ヒト或いはマウスCXCR4とヒトCD4を発現するNIH 3T3細胞とは融合しなかった。
第二に我々は、マウスCXCR4を発現した細胞にウイルスが感染するかを検討した。ヒトCXCR4とCD4を発現したマウス細胞ではNIH3T3細胞も含めHIV-1の複製効率が低いので、ヒト小腸上皮細胞由来のSW480細胞、骨芽細胞由来のHOS細胞、グリア細胞由来のU87MG細胞の3種のヒト細胞株をウィルス感染のターゲット細胞として使用した。それらの細胞にはHIV-1のLTRをプロモーターとして持つレポーター遺伝子(lacZ)をトランスフェクトした。ウイルスが細胞に感染すると、HIV-1由来の転写活性化因子であるTat蛋白が発現され、LTRに作用してlacZの発現を誘導する。それらの細胞に、更にヒトCD4とケモカイン受容体をトランスフェクトした後に、T細胞株指向性ウイルス株(NL432、IIIB)或いは、単球指向性ウイルス株(SF162)を感染させた。図9に示すように、NL432とIIIBはマウスCXCR4とヒトCD4を発現するSW480にもヒトCXCR4とヒトCD4を発現するSW480にも同様に感染した。この結果は、上記の融合アッセイの結果と一致するものであった。しかし、ヒトCCR2bやCCR5をCXCR4の代わりに発現した場合はそれらのウイルスは感染しなかった。
一方SF162は、ヒトCCR5とヒトCD4を発現するSW480には感染したが、マウスCXCR4とヒトCD4を発現する細胞やヒトCXCR4とヒトCD4を発現する細胞には感染しなかった。また、HOS細胞やU87MG細胞をSW480細胞の代わりに用いても同様の結果であった(図10と図11)。すなわち、マウスCXCR4は、T細胞株指向性HIV-1のターゲット細胞へのエントリーを支持する事、そして、ヒト細胞におけるプロウィルスのDNAの合成、ゲノムDNAへの組み込み、ウイルスの発現に影響しない事が示唆された。
ところで、ヒトCXCR4を介するHIV-1のエントリは、env蛋白のV3ループに対する単クローン抗体によって阻害されることが明らかとなっている。そこで、我々はマウスCXCR4の機能がヒトCXCR4と同様であることを確認するために、(T細胞株指向性ウイルス株の)env蛋白(gp120)のV3ループがマウスCXCR4を介するHIV-1エントリにも必要であるかを検討した。そのために、ヒトCD4とケモカイン受容体を発現するSW480細胞に、NL432とSF162のキメラウィルスのクローンであるNL432env-162或いはNL432V3-162を感染させた。図12に示すように、NL432env-162はT細胞株指向性ウイルス株NL432のenv領域を単球指向性HIV-1であるSF162のものに置換したプロウィルスクローンであり、NL432V3-162は、NL432のenvのV3ループをSF162のものに置換したプロウィルスクローンである。NL432はマウスCXCR4とヒトCD4を発現するSW480に感染したが、NL432env-162及びNL432V3-162はそれらの細胞に感染しなかった(図13)。
一方、NL432env-162とNL432V3-162は、ヒトCCR5とヒトCD4を発現するSW480細胞には感染した(図13)。これらの結果から、NL432のenvのV3ループがマウスCXCR4でもヒトCXCR4の場合と同様にウィルスのエントリーに必要であることが明らかになった。
論議
以上の研究より、マウスCXCR4がT細胞株指向性HIV-1のenvを介する細胞膜融合とT細胞株指向性HIV-1の感染を支持する事が明らかとなった。これらの結果はマウスCXCR4がHIV-1の感染に対する種特異的な障壁ではないことを示唆するものである。これまでの研究で、ヒトCD4をNIH3T3やT細胞クローン3DTなどのマウスのリンパ球或いは非リンパ球細胞株に発現しても、HIV-1は吸着は起こるがエントリは起こらない事が明らかとなっていた。この結果の解釈の1つは、ヒトCD4を発現させたマウス細胞表面にCXCR4が発現していないというものである。実際、マウスPBSF/SDF-1刺激は、NIH3T3細胞の細胞内カルシウム濃度の変化を誘導しない。しかし、マウスCXCR4は、CD4とCD8が共に陽性の胸腺細胞や、CD4或いはCD8のいずれかが陽性の胸腺細胞には発現している。従って、実験に用いられた3DT細胞がCXCR4を発現しているかどうかを決定することが(上記の解釈が正しいかを検証する上で)重要である。
最近の研究で単球指向性HIV-1の受容体であるヒトCCR5のマウス相同体(マウスCCR5)はHIV-1のエントリーを支持しない事が明らかとなった。この結果は単球指向性HIV-1に対する受容体とT細胞株指向性HIV-1に対する受容体とで種特異性が異なることを示唆している。この差異は、CCR5を含む他のケモカイン受容体と比較してCXCR4は種間でアミノ酸配列が高度に保存されている事が原因であるかもしれない。マウスCXCR4のアミノ酸配列はヒトCXCR4と90%一致しているが、CCR5やCXCR2では、マウスとヒトでそれぞれ82%、71%しか一致していない。CXCR4の種間における高度な保存は、CCR5のリガンドであるMIP-1 α,MIP-β,RANTESなど他のケモカインと比較すると、CXCR4のリガンドであるPBSF/SDF-1はユニークな機能を持つという事実を反映している。PBSF/SDF-1以外のケモカインは炎症における白血球の遊走に関与していると考えられているのに対し、PBSF/SDF-1は、造血や心臓形成など生体発生に必須な機能を持っている。
これまでの研究と、ヒトCD4とケモカイン受容体を発現したマウス細胞株NIH3T3はHIV-1エントリを支持するものの、ヒトの細胞と比較してウイルス粒子の産生効率が低いという事実から、マウス細胞にはHIV-1の複製に必要な細胞内分子が欠損していると考えられる。しかし、種特異的な障壁の原因となる分子のヒト遺伝子を導入したトランスジェニックマウスを作製することによってHIV-1感染のモデルマウスを開発できるであろう。我々の結果は、ヒトCXCR4遺伝子をHIV-1感染のモデルマウスに導入する必要はない事を明らかにした。またCXCR4の生理的な発現の方がAIDS発症に至る単球指向性HIV-1からT細胞株指向性HIV-1への移行の開始や進行を研究するのに適しているので、HIV-1感染の全過程をシュミレートするための動物モデルを開発する上で有益な情報を提供した。
産業上の利用可能性
本発明により、AIDSの治療薬及びHIV−1の感染の作用機序等の研究に有用な、新規なマウスCXCケモカインレセプター遺伝子、該遺伝子にコードされるポリペプチド、該ポリペプチドの発現ベクター、該発現ベクターを導入した形質転換体、前記ポリペプチドに対する単クローン抗体、さらには前記形質転換体を用いる前記ポリペプチドの生産方法、さらには、前記レセプターのアゴニスト又はアンタゴニストのスクリーニング方法、及びHIV−1感染阻害剤のスクリーニング方法の提供が可能となった。
配列表
配列番号:1
配列の長さ:1877
配列の型:核酸
鎖の数:二本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:cDNA to mRNA
起源
生物名:マウス
配列:
Figure 0004116087
Figure 0004116087
Figure 0004116087
Figure 0004116087
配列番号:2
配列の長さ:690
配列の型:核酸
鎖の数:二本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:cDNA to mRNA
起源
生物名:マウス
配列:
Figure 0004116087
Figure 0004116087
配列番号:3
配列の長さ:685
配列の型:核酸
鎖の数:二本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:cDNA to mRNA
起源
生物名:マウス
配列:
Figure 0004116087
Figure 0004116087
配列番号:4
配列の長さ:1694
配列の型:核酸
鎖の数:二本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:Genomic DNA
起源
生物名:マウス
配列:
Figure 0004116087
Figure 0004116087
Figure 0004116087
Figure 0004116087
配列番号:5
配列の長さ:20
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸(合成DNA)
配列の特徴:13、15(イノシン)
配列:
Figure 0004116087
配列番号:6
配列の長さ:26
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸(合成DNA)
配列の特徴:8、9、17(イノシン)
配列:
Figure 0004116087
配列番号:7
配列の長さ:25
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸(合成DNA)
配列:
Figure 0004116087
配列番号:8
配列の長さ:27
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸(合成DNA)
配列:
Figure 0004116087
配列番号:9
配列の長さ:30
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸(合成DNA)
配列:
Figure 0004116087
配列番号:10
配列の長さ:30
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸(合成DNA)
配列:
Figure 0004116087
配列番号:11
配列の長さ:29
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸(合成DNA)
配列:
Figure 0004116087
配列番号:12
配列の長さ:32
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸(合成DNA)
配列:
Figure 0004116087
配列番号:13
配列の長さ:27
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸(合成DNA)
配列:
Figure 0004116087
配列番号:14
配列の長さ:27
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸(合成DNA)
配列:
Figure 0004116087
配列番号:15
配列の長さ:20
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸(合成DNA)
配列:
Figure 0004116087
配列番号:16
配列の長さ:27
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:他の核酸(合成DNA)
配列:
Figure 0004116087
配列番号:17
配列の長さ:359
配列の型:アミノ酸
トポロジー:直鎖状
配列の種類:タンパク質
起源
生物名:マウス
配列:
Figure 0004116087
Figure 0004116087

Claims (6)

  1. (a)
    (1)配列表の配列番号:17に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするDNA
    (2)配列表の配列番号:1に記載の塩基配列からなるDNA、及び
    (3)配列表の配列番号:1に記載の塩基配列において、1又は10個以下の個数の塩基の欠失、付加、挿入又は置換の少なくとも一つが生じ、マウスPBSF/SDF-1と結合可能なレセプター活性を有するポリペプチドをコードするDNA、
    からなる群より選ばれるDNAによりコードされるポリペプチドであって、マウスPBSF/SDF-1と結合可能なレセプター活性を有するポリペプチド及びヒトCD4タンパク質を発現する細胞;ヒトT細胞株指向性HIV−1;及びスクリーニングの対象となる物質を混合してインキュベートを行う工程、及び
    (b)該細胞におけるHIV-1の局在化を分析する工程、
    を含んでなることを特徴とする、AIDS発症阻害剤又はHIV−1感染阻害剤をスクリーニングする方法。
  2. HIV−1の局在性を分析する工程を、ヒト細胞株指向性HIV−1に対するモノクローナル抗体を用いて行う、請求項1記載の方法。
  3. (a)
    (1)配列表の配列番号:17に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするDNA
    (2)配列表の配列番号:1に記載の塩基配列からなるDNA、及び
    (3)配列表の配列番号:1に記載の塩基配列において、1又は10個以下の個数の塩基の欠失、付加、挿入又は置換の少なくとも一つが生じ、マウスPBSF/SDF-1と結合可能なレセプター活性を有するポリペプチドをコードするDNA、
    からなる群より選ばれるDNAによりコードされるポリペプチドであって、マウスPBSF/SDF-1と結合可能なレセプター活性を有するポリペプチド及びヒトCD4タンパク質を発現する細胞;HIV−1エンベロープタンパク質を発現する細胞;及びスクリーニングの対象となる物質を混合してインキュベートを行う工程、及び
    (b)HIV−1エンベロープタンパク質を発現する細胞と該細胞との融合性を測定する工程、
    を含んでなることを特徴とする、AIDS発症阻害剤又はHIV−1感染阻害剤をスクリーニングする方法。
  4. (a)
    (1)配列表の配列番号:17に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするDNA
    (2)配列表の配列番号:1に記載の塩基配列からなるDNA、及び
    (3)配列表の配列番号:1に記載の塩基配列において、1又は10個以下の個数の塩基の欠失、付加、挿入又は置換の少なくとも一つが生じ、マウスPBSF/SDF-1と結合可能なレセプター活性を有するポリペプチドをコードするDNA、
    からなる群より選ばれるDNAによりコードされるポリペプチドであって、マウスPBSF/SDF-1と結合可能なレセプター活性を有するポリペプチド及びヒトCD4タンパク質を発現する細胞;マウス又はヒトPBSF/SDF-1;及びスクリーニングの対象となる物質を混合してインキュベートを行う工程、及び
    (b)該細胞内のカルシウムイオン濃度を測定する、及び/又は発現したポリペプチドと該マウス又はヒトPBSF/SDF-1との結合活性を測定する工程、
    を含んでなることを特徴とする、該PBSF/SDF-1のアゴニスト若しくはアンタゴニストをスクリーニングする方法。
  5. (1)配列表の配列番号:17に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするDNA
    (2)配列表の配列番号:1に記載の塩基配列からなるDNA、及び
    (3)配列表の配列番号:1に記載の塩基配列において、1又は10個以下の個数の塩基の欠失、付加、挿入又は置換の少なくとも一つが生じ、マウスPBSF/SDF-1と結合可能なレセプター活性を有するポリペプチドをコードするDNA、
    からなる群より選ばれるDNAによりコードされるポリペプチドであって、マウスPBSF/SDF-1と結合可能なレセプター活性を有するポリペプチド及びヒトCD4タンパク質を発現する細胞を含む、HIV−1感染を検出するためのキット。
  6. (a)
    (1)配列表の配列番号:17に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするDNA
    (2)配列表の配列番号:1に記載の塩基配列からなるDNA、及び
    (3)配列表の配列番号:1に記載の塩基配列において、1又は10個以下の個数の塩基の欠失、付加、挿入又は置換の少なくとも一つが生じ、マウスPBSF/SDF-1と結合可能なレセプター活性を有するポリペプチドをコードするDNA、
    からなる群より選ばれるDNAによりコードされるポリペプチドであって、マウスPBSF/SDF-1と結合可能なレセプター活性を有するポリペプチド及びヒトCD4タンパク質を発現する細胞、及びHIV−1に感染していることが疑われる患者の血清、血球又は血液を混合してインキュベートを行う工程、及び
    (b)該細胞におけるHIV−1の局在性を分析する、又はHIV−1感染細胞と該細胞との融合性を測定する工程、
    を含んでなることを特徴とする、HIV−1感染を検出する方法。
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