JP2001516203A - エクソダスケモカイン物質及び方法 - Google Patents

エクソダスケモカイン物質及び方法

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JP2001516203A JP52280098A JP52280098A JP2001516203A JP 2001516203 A JP2001516203 A JP 2001516203A JP 52280098 A JP52280098 A JP 52280098A JP 52280098 A JP52280098 A JP 52280098A JP 2001516203 A JP2001516203 A JP 2001516203A
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、エクソダスと命名された、ヒトマクロファージ由来のC−Cケモカインをコードする、精製及び単離されたポリヌクレオチド配列を提供する。さらに本発明によって提供されるのは、精製及び単離されたケモカインタンパク質、その断片及びポリペプチド類似体、それに対する抗体、ならびにその組換え製造のための材料及び方法である。これらの産物は、治療、診断及び医学画像への適用において有用である。

Description

【発明の詳細な説明】 エクソダスケモカイン物質及び方法 本出願は、概してケモカインに関し、さらに詳細には、エクソダスと命名され たヒトC−Cケモカイン及びその類似体をコードする、精製及び単離されたポリ ヌクレオチドと、当該ポリヌクレオチドによりコードされる、精製及び単離され たケモカインポリペプチドと、これらのポリペプチドの組換え製造のための材料 及び方法と、そしてこれらポリペプチドの医療用途、特に化学療法の際の骨髄保 護(myeloprotection)における用途、骨髄増殖性疾患の処置における用途、及 び後天性免疫不全症候群(AIDS)に対する用途に関するものである。 発明の背景 ケモカイン(「インタークライン(intercline)」及び「SISサイトカイン 」としても知られている)は、先ず白血球の遊走及び活性化を調節し、それによ って免疫系の促進及び調節を補助する、分泌小タンパク質(およそ70〜100 アミノ酸、8〜12キロダルトンのサイズ)のスーパーファミリーで構成されてい る。「ケモカイン」の名称は、走化性サイトカインの語に由来しており、これら のタンパク質が白血球の走化性を促進する能力を言及したものである。事実、ケ モカインは病理組織への炎症細胞に対する主要な誘引物質を含んでいると考えら れる。[総括的に、Baggioliniら、Advances in Immunology、55巻、97〜179頁( 1994);Oppenheim、The Chemokines、Lindleyら編、183〜186頁、Plenum Press ,NY(1993)]。ケモカインは一般に白血球によって分泌されるが、いくつかのケ モカインは多くの 組織において発現される。Baggioliniら(前出)、表II。あるケモカインは、白 血球に加えて内皮細胞及び繊維芽細胞などの様々な細胞をも活性化または誘引す る。 これまでに同定されたケモカインは、一般に、互いに20〜70%のアミノ酸同一 性を呈しており、4つの高く保存されたシステイン残基を含んでいる。これらシ ステイン残基の最初の2つの相対的な位置に基いて、さらにケモカインは2つの サブファミリーに分類されている。ヒトクロモソーム4に位置する遺伝子によっ てコードされる「C−X−C」あるいは「α」サブファミリーでは、最初の2つ のシステインが1つのアミノ酸によって分かたれている。ヒトクロモソーム17 に位置づけされている遺伝子によってコードされる「C−C」あるいは「β」サ ブファミリーでは、最初の2つのシステインが隣接している。種々のケモカイン のX線結晶解析及びNMRによる実験の結果、各ファミリーで、第1及び第3シ ステインが第1のジスルフィド架橋を形成し、そして第2及び第4のシステイン が第2のシステイン第2のジスルフィド架橋を形成しており、これらがタンパク 質の天然のコンフォメーションに強く影響していることが示唆されている。ヒト だけで、各ケモカインサブファミリーにつきおよそ10の別個の配列が報告され ている。双方のサブファミリーケモカインは、20から25アミノ酸の特徴的な リーダー配列をを有している。 C−X−Cケモカインは、IL−8、GROα/β/γ、血小板塩基性タンパク 質、血小板因子4(PF4)、好中球活性化ペプチド−2(NAP−2)、マク ロファージ走化性及び活性化因子(MCAF)、IP−10、その他を含み、ど れか2つのアミノ酸配列を比較するとおよそ25から60%の相同性を共有している (互いに84〜88%同一であるGROα/β/γのメンバ ーを除く)。サブファミリーのメンバーのほとんど(IP−10及び血小板因子 4を除く)は、最初の2つのシステイン残基の上流に共通のE−L−Rトリペプ チドモチーフを共有している。C−X−Cケモカインは、一般に好中球の強力な 刺激剤であり、速やかなる形状変化、走化性、レスピラトリーバースト、及び脱 顆粒を惹き起こす。IL−8を含む特定のC−X−CケモカインのN−末端アミ ノ酸配列の特異的な切除は、活性の顕著な減少に結びつく。 マクロファージ炎症性タンパク質MIP−1α[Nakaoら、Mol.Cell Biol.、1 0巻、3646頁(1990)]及びMIP−1β[Brownら、J.Immunol.、142巻、679頁(1 989)]、単球走化性タンパク質MCP−1[Matsushimaら、J.Exp.Med.、169巻 、1485頁(1989)]、MCP−2[Van Dammeら、J.Exp.Med.、176巻、59頁(1992) 及びChangら、Int.Immunol.、1巻、388頁(1989)]、及びMCP−3[Van Damme ら(前出)]、RANTES[Schallら、J.Immunol.、141巻、1018頁(1988)] 、I−309[Millerら、J.Immunol.、143巻、2907頁(1989)]エオタキシン[R othenbergら、J.Exp.Med.、181巻、1211〜1216頁(1995)]、その他を含むC−C ケモカインは、互いに25〜70%のアミノ酸同一性を共有している。C−Cケモカ インは、一般に単球、リンパ球、好塩基球及び好酸球を活性化するが、好中球の 活性化は行わない。報告されたC−Cケモカインのほとんどは単球を活性化して 、カルシウムの流動と走化性が惹き起こされる。さらに選択的な効果が、リンパ 球、例えばRANTESに最も強く応答するT−リンパ球などに認められる。 C−Cケモカインは、構造上の相同性と活性の類似に従って、さらに細分化す ることができる。MIP−1α、MIP−1β及びRANTESは、ファミリー の他のメンバーとよりも密接 な相同性と生物学的活性の範囲とを有している。C−Cケモカインファミリーに 含まれる他のサブファミリーは、単球走化性タンパク質(MCP)であり、これ はC−Cケモカインファミリーの他のメンバーとよりも相互の構造的類似性が高 く、優先的に単球を刺激して遊走し、炎症性刺激に対する応答を行う。 欠失及び置換類似体の研究により、重要な受容体結合領域は先ずケモカインの アミノ末端残基にあり、次に第2システイン残基に続くループにある第2領域で あるらしいことが明らかになっている。これらの一般的な機能のための要件は、 あらゆるケモカインに共通であるらしい。[Clark-Lewisら、J.Leukocyte Bio. 、57巻、703頁(1995)] ケモカイン受容体は、7つの膜貫通ドメイン・ロドプシン様Gタンパク質結合 受容体である。IL−8に対して特性を有する受容体は、Holmesら、Science、2 53巻、1278〜83頁(1991)によってクローニングされており、一方IL−8、GR O及びNAP−2を認識する類似の受容体(77%の同一性)が、Murphy及びTiff any、Science、253巻、1280〜83頁(1991)によってクローニングされている。C −Cケモカイン受容体のうち5つが今日までにクローニングされている。すなわ ち、MIP−1α及びRANTESを認識するC−Cケモカイン受容体−1(C CR−1)[Neoteら、Cell 72巻、415〜425頁(1993)]、MIP−1α、RAN TES及びMCP−1に対する受容体(CCR−4)[Powerら、J.Biol.Chem. 、270巻、19495〜19500頁(1995)]、MCP−1受容体(CCR−2B)[Charo ら、Proc.Natl.Acad.Sci.、91巻、2752〜56頁(1994)]エオタキシン受容体(C CR−3)[Combadiereら、J.Biol.Chem.、270巻、16491〜16494頁(1995)]、 ならびにMIP−1α、MIP−1β及びRANTESに対する受容体(CCR −5)[Raportら、 J.Biol.Chem.、271巻、17161〜17166頁(1996)]である。 これらの受容体は、多機能性の傾向があり、数多くの相違するケモカインに結 合しうる。受容体自体がヒトの疾患において役割を果たしているかもしれない。 例えば、ヒト赤血球細胞上のDuffy抗原(赤血球ケモカイン受容体としても知ら れている)は、IL−8、NAP−2、GROα、RANTES、MCP−1を 含むケモカインに強固に結合するが、マラリア誘起寄生体であるPlasmodium kno wlesiに対する侵入受容体(invasion receptor)である。2つのヘルペスウイル ス(herpesviridae)である、Herpesvirus saimiri及びヒトサイトメガロウイル スもまた、機能性を有するケモカイン受容体相同体をコードしているらしい。[ Ahujaら、Immunol.Today、15巻、281〜(1994);Murphy、Ann.Rev.Immunol.、12 巻、593〜633頁(1994);Horuk、TIPS、15巻、159頁(1994)] それらのプロ炎症性活性のゆえに、ケモカインは慢性関節リウマチ、心筋梗塞 、及び成人呼吸窮迫症候群などの炎症組織破壊を包含する多岐にわたる疾患にお いて役割を果たすものと考えられている。多くのケモカインの役割、特にC−X −CケモカインIL−8は、様々な病理状態において報告されている。概説とし て、Baggioliniら(前出)、表VIIを参照されたい。例えば、いくつかの研究に て、リウマチ性疾患、変形性関節症、及び通風に罹患した患者の炎症関節の滑液 に高レベルのIL−8が観察されている。乾癬もまた、IL−8の過剰生産と関 わっている。 病理状態におけるC−Cケモカインの役割もまた、報告されている。例えば、 MCP−1の濃度は、他の関節疾患に罹患している患者よりも慢性関節リウマチ に罹患している患者の滑液の方が高い。単核食細胞のMCP−1依存性の流入は 、特発性 肺線維症の発症における重要な事象でありうる。アテローム性動脈硬化領域内へ の単球の動員におけるC−Cケモカインの役割は、現在のところ大いに興味ある ところであって、MCP−1発現の増大がマクロファージに富む動脈壁に検出さ れているが、正常な動脈組織では検出されていない。MCPは、血管新生の誘導 及び腫瘍成長または転移にも関係しているかもしれない。悪性細胞におけるMC P−1の発現が、in vivoでこのような細胞が腫瘍を形成する能力を抑制するこ とが示されている。(米国特許第5,179,078号を参照のこと、引用することで、 この特許の開示内容を本明細書の一部とする) 他のケモカイン活性には、骨髄前駆細胞の増殖を阻害する能力が包含される。 組換えMIP−1αは、幹細胞及び前駆細胞の骨髄造血を抑制することが示され ており(MIP−1βはそうではない)、多分化能前駆細胞の、成長因子により 刺激される増殖(顆粒球−赤血球−マクロファージー巨核球のコロニー形成単位 、CFU−GEMM)ならびに赤血球のバースト形成単位の(BFU−E)及び 顆粒球−マクロファージ前駆細胞のコロニー形成単位(CFU−GM)の副次集 団(subpopulation)を抑制するその能力において選択的であるらしい。[Broxm eyerら、Blood、76巻、1110〜1116頁(1990)]これらの効果は、細胞毒性効果で はなく、どちらかといえば細胞周期阻止である。MIP−2α、IL−8、PF 4及びMCAFもまた、造血幹/前駆細胞増殖の抑制剤であることが報告されて いる。[Broxmeyerら、J.Immunol.、150巻、3448〜3458頁(1993);Broxmeyerら 、Ann.Hematol.、71巻、235〜246頁(1995)]これらのケモカインは、骨髄性前駆 体のレベルで直接作用するらしい。いくつかの報告により、MIP−1αが化学 療法剤の細胞毒性効果から多分化能造血細胞を保護する潜在力 を有することが示されている。[Dunlopら、Blood、79巻、2221〜2225頁(1992) 及びLordら、Blood、79巻、2605〜2609頁(1992)]報告によれば、Cytoxan(商標 名、Bristol-Myers Squibb Oncology社販売のシクロホスファミド)を骨髄保護 剤として、MIP−1α類似体(名称はBB10010、British Biotechnolog y)の使用についての臨床試験が進行中である。 近年、いくつかのC−Cケモカイン(MIP−1α、MIP−1β及びRAN TES)がヒト免疫不全ウイルス(HIV)の生産を阻害するという報告が種々 なされている。[Cocchiら、Science、270巻、1811頁(1996);Fauci、Nature、3 78巻、561頁(1996)]1つの研究で、HIVに曝されながらもHIV陰性のまま である個体のCD4+リンパ球がこれらC−Cケモカインを極めて高レベルで発 現していることが報告されている。[Paxtonら、Nature Med.、2巻、412頁(1996 )]この阻害に対する可能な機構は、ケモカイン受容体ファミリーのメンバーと してのHIV共受容体の単離及び同定によって示唆されている。RANTES、 MIP−1α及びMIP−1βに結合するCCR−5受容体は、ほとんどの向マ クロファージ性HIV株に対する主要な共受容体として同定されている[Dengら 、Nature、381巻、661頁(1996);Dragicら、Nature、381巻、667頁(1996);Alkh atibら、Science、272巻、1955頁(1996)]。副次的(occasional)初代HIV− 1向マクロファージ性株は、CCR−3及びCCR−2B受容体にin vitroで相 互作用することが報告されている[Choeら、Cell、85巻、1135頁(1996);Doranz ら、Cell、85巻、1149頁(1996)]。「フシン(fusin)現在、C−X−Cケモカ イン受容体CXCR−4として知られている)」と命名されたケモカイン受容体 は、HIVの向T細胞 株に対する受容体として同定されている[Fengら、Science 272巻、872頁(1996) ]。これらのHIV共受容体は、ケモカイン受容体ファミリーに含まれており、 ヒト標的細胞へのHIVの融合及び進入のための、CD4との共受容体であると 考えられる。 従って、この重要な分子ファミリーの病理状態における役割をさらに解明する ために、そしてケモカイン誘導産物を利用した、かかる状態のための改善された 処置法を開発するために、さらなるC−Cケモカインの同定及び特徴付けが希求 され続けている現状にある。 本発明にとって興味深いのは、1996年2月29日に公開された国際公開第WO 9 6/05856号であり、これには、ヒト胆嚢及び9週齢ヒト胎盤組織にそれぞれ由来 するcDNAライブラリーからの、ヒトケモカインベータ−4(Ckβ−4)と ヒトケモカインベータ−10(Ckβ−10)と命名された2種のケモカインの 同定が報告されている。Ckβ−4は本明細書中に記載されるエクソダスケモカ インと、DNA及びアミノ酸配列の双方で非常に類似している(相違点は、Ck β−4が、成熟エクソダスケモカインの第4残基の後ろにさらにアラニンを含む ことと、エクソダスの22アミノ酸のリーダー配列に比してCkβ−4の報告さ れた推定リーダー配列は24アミノ酸であることである)。ケモカインCkβ− 4またはCkβ−10のいずれの生物学的活性も、調べられていない。特に、公 開公報には、HIV感染の病因におけるこれらケモカインの潜在的役割について 言及されておらず、さらに骨髄増殖性疾患を処置するためのこれらケモカインの 使用が特に記載されるものでもない。 さらに興味深いのは、他のC−Cケモカイン、すなわち、エクソダス/MIP −3α−LARCと密接に関連しているらし く、31%のアミノ酸同一性を示し、独特の同じAsp-Cys-Cys-Leuモチーフが第 1の2つのシステインの近傍に認められる、エクソダス−2と命名された別のC −Cケモカインのクローニングである。[Hromasら、J.Immunol.、159巻、2554 〜2558頁(1997)] C−Cサブファミリーのケモカインは、例えば、感染、炎症の部位や、C−C ケモカイン受容体分子を含む他の部位を画像化するための、医学画像における用 途を有することが示されている。例えば、Kunkelらの米国特許第5,413,778号( 引用することにより本明細書に組み入れる)を参照されたい。このような方法に は、当該技術分野で知られた技術(例えば、米国特許第4,965,392号及び5,037,6 30号(これらは引用することにより本明細書に組み入れる)を参照のこと)を使 用した、C−Cケモカインへの標識試薬(例えば、放射活性同位体)の化学的接 着、医薬上容認された担体に含まれる標識付けされたケモカインの被験者への投 与、標識付けされたケモカインの標的部位への蓄積の許容、そして標的部位にお けるin vivoでの標識付けされたケモカインの画像化が包含される。医学画像手 段の利用しうる集積を増加させるための、さらなる新しいC−Cケモカインに対 する必要性が現存している。 さらに一般的に、走化性及び炎症のメディエータとしてのケモカインの重要性 のゆえに、炎症及び免疫応答のモジュレーションを容易ならしめるためのケモカ インファミリーの新しいメンバーの同定及び単離の必要性がある。例えば、免疫 応答を促進する物質は、創傷の治癒や、肺炎などの感染性疾患からの回復速度を 促進しうる。ケモカインのプロ炎症性効果を阻害する物質は、関節炎、クローン 病、及び他の自己免疫疾患などの、炎症により媒介される病態を処置するために 有用であるかもし れない。 加うるに、ケモカイン発現と、炎症状態及び病態との間の立証された相関によ り、ケモカインの用途として、さらにケモカインと特異的免疫反応性を有する抗 体物質として、診断及び予知の指標が提供され、かような診断及び予知の指標を 容易ならしめるために新しいケモカインを同定及び単離することに対する必要性 が現存している。 如上のすべての理由により、新しく発見されたケモカインの組換え製造の方法 の必要性が現存し、この方法は、ケモカイン及び/またはケモカイン阻害剤が関 わる臨床適用法を容易ならしめるものである。 発明の要約 本発明は、エクソダスと命名されたヒトC−Cケモカイン、ならびにその断片 及び類似体をコードする精製及び単離されたポリヌクレオチド;精製及び単離さ れたエクソダスポリペプチド、その断片及び類似体;これらポリペプチド、その 断片及び類似体の組換え製造のための材料及び方法;かかるエクソダスポリペプ チド及び類似体に対する抗体;これらポリペプチド、断片、類似体、または抗体 を含む医薬組成物;ならびにこれらポリペプチド、断片、類似体、または抗体を 用いた、予防及び治療的処置を包含する処置を提供することによって前記の1以 上の要求を満たすものである。 エクソダスは、リンパ球及び単球において優先的に発現され、そして炎症性刺 激により顕著にアップレギュレーションを受けるC−Cケモカインファミリーの 一員である。エクソダスをコードするcDNAの推定アミノ酸配列は、95アミノ酸 の鎖長であり、このうち最初の22のN−末端残基がシグナル配列を構 成する。本明細書にて立証されたような、エクソダスの生物学的活性から、数多 くの相異なる臨床適用法にエクソダスが有用となりうることが期待される。他の C−Cケモカインと同様に、エクソダスは単核細胞の走化性を刺激する。重要な ことには、エクソダスは、造血前駆細胞増殖を阻害し、さらに感染細胞における HIVの生産をも阻害する。 本発明によって提供されるものの詳細は以下の通りである:配列番号:2で示 されるエクソダスアミノ酸配列をコードする、精製されたポリヌクレオチド(す なわち、DNA及びRNA、双方ともセンス及びアンチセンス鎖)、特に配列番 号:1で示されるヌクレオチド配列の、エクソダスタンパク質をコードする部分 (ヌクレオチド第43〜327位)からなるヌクレオチド配列を含むDNA;配 列番号:2で示されるアミノ酸第1〜73位をコードする、精製されたポリヌク レオチド、特に配列番号:1の第109〜327位のヌクレオチドからなるヌク レオチド配列を含むDNA;ならびに(a)配列番号:1のDNAのヌクレオチ ド第43〜327位;(b)配列番号:1のDNAのヌクレオチド第43〜32 7位の相補鎖に、ストリンジェント条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチ ド、または遺伝コードの縮重がなければストリンジェント条件下でハイブリダイ ズすると考えられるポリヌクレオチド;及び(c)配列番号:1のDNAのヌク レオチド第43〜327位と同じエクソダスポリペプチドをコードするポリヌク レオチドよりなる群から選択される、全長のエクソダスをコードする、精製され たポリヌクレオチド。本発明はさらに、かかるポリペプチドを含むベクター、特 にエクソダスをコードするDNAが発現制御DNA配列に作動可能に連結されて いる発現ベクター、かかるポリヌクレオチドで安定に形質転換またはトランスフ ェクトされ た宿主細胞、ならびにこれらの宿主細胞を培養し、そして当該宿主細胞またはそ の栄養培地からエクソダスを単離することによってエクソダスを製造するための 、対応する方法も提供するものである。さらに本発明は、精製されたエクソダス ポリペプチド、特に配列番号:2で示されるアミノ酸配列を含むポリペプチド、 または配列番号:2のアミノ酸第1〜73位を含むポリペプチドを提供する。本 発明の別の特徴によって、モノクローナル抗体を含む、エクソダスに特異的反応 性を有する抗体及びかかるモノクローナル抗体を生産するハイブリドーマ細胞系 が提供される。 本発明のさらに別の特徴によれば、HIV増殖を阻害するに有効な量のエクソ ダスタンパク質産物を被験者に投与する(特に、被験者がHIVに曝されるおそ れがあるか、HIVに曝されているか、またはHIVに感染している場合)こと による、HIV感染に対する耐性の増強方法が提供される。本発明のこの特徴に より、HIV増殖を阻害するに有効な量のエクソダスタンパク質産物を、HIV に感染した被験者に投与する工程を含む、HIV感染の処置の方法が提供される 。本発明のさらなる特徴によれば、骨髄前駆細胞増殖を抑制するに有効な量のエ クソダスタンパク質産物投与する(特に、被験者が化学療法または放射線療法を 受けている場合)工程を含む、細胞毒性効果から骨髄前駆細胞を保護する方法が 提供される。また別の本発明の特徴によれば、悪性骨髄前駆細胞増殖を抑制する に有効な量でエクソダスタンパク質産物を投与する工程を含む、骨髄増殖性疾患 の処置方法が提供される。以下に、本発明をさらに詳細に説明する。 本発明は、エクソダスをコードする、精製及び単離されたポリヌクレオチド( すなわち、DNA、RNA、双方ともセンス 及びアンチセンス鎖)を提供する。本発明の好ましいDNA配列には、ゲノミッ ク及びcDNA配列ならびに化学的に合成されたDNA配列が包含される。 このエクソダスケモカインをコードするcDNAのヌクレオチド配列を、5’及び 3’非コード配列を含めて配列番号:1に示す。ヌクレオチド第43〜327位 が、配列番号:1のこのDNAのエクソダスタンパク質をコードする部分を含み 、そして本発明の好ましいDNAは、配列番号:1の第109〜327位のヌク レオチドを含むものであって、これはシグナル配列を含まない、成熟、分泌エク ソダスタンパク質と推定されるコード配列を含んでいる。 ケモカインエクソダスのアミノ酸配列を、配列番号:2に示す。本発明の好ま しいポリヌクレオチドには、前記のごときポリヌクレオチドに加えて、配列番号 :2で示されるアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチド、そして遺伝コード の既知の縮重だけのために前段落に記載したポリヌクレオチドと相違するポリヌ クレオチドが包含される。 同様に、配列番号:2の22アミノ酸(−22位から−1位)は、切断されて 成熟エクソダスケモカインを生じるシグナルペプチドを構成しており、好ましい ポリヌクレオチドには、配列番号:2のアミノ酸第1〜73位をコードするポリ ヌクレオチドが包含される。かくして、好ましいポリヌクレオチドは、配列番号 :2のアミノ酸第1〜73位を含むアミノ酸配列を有するポリペプチドをコード する、精製されたポリヌクレオチドである。 本発明のポリヌクレオチドに対する用途には、ヒトエクソダスをコードするゲ ノミックDNA(その遺伝子は、C−Cケモカイン遺伝子に特徴的な3つのエク ソン/2つのイントロン構 造を有していると考えられる(Baggioliniら(前出)を参照のこと))を同定及 び単離するため;エクソダスと相同なタンパク質をコードする非ヒト遺伝子を同 定及び単離するため;エクソダスと類似性を有するヒト及び非ヒトケモカインを 同定するため;ならびにエクソダスを発現する細胞、及びこのタンパク質が発現 される条件を同定するための、ハイブリダイゼーションプローブとしての用途が 挙げられる。 しかして、別の特徴において、本発明は、配列番号:1のDNAの、エクソダ スをコードする部分の相補鎖とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする 精製されたポリヌクレオチドを提供する。同様に、本発明は、遺伝コードの縮重 (redundancy)がなければ配列番号:1のDNAのエクソダスをコードする部分 の相補鎖とストリンジェントな条件下でハイブリダイズすると考えられる、精製 されたポリヌクレオチドを提供する。ストリンジェントなハイブリダイゼーショ ン条件の例は、以下の通りである。すなわち、42℃にて、5X SSC、20mM NaPO4、 pH6.8、50%ホルムアミドでハイブリダイゼーションを行い、そして42℃にて、0 .2X SSCで洗浄する。ハイブリダイズされるべき配列の長さ及びGCヌクレオチ ド塩基含量に基づいてこれらの条件を経験的に変更することが望ましいこと、そ してかかる変更を決定するための標準の常則があることが、当業者には理解され る。[例えば、Sambrookら、Molecular Cloning:a Laboratory Manual、第2版 、Cold Spring Harbor、ニューヨーク、Cold Spring Harbor Laboratory(1989) を参照されたい。] 別の特徴において、本発明は、本発明のDNA(これまでに述べたDNAのい ずれかを含む)を組み込んだプラスミド及びウイルスDNAベクターを包含する 。好ましいベクターには、 組み込まれたエクソダスをコードするcDNAが、内在性または異種発現調節配列に 作動可能に連結された発現ベクターが含まれる。このような発現ベクターは、エ クソダスをコードするDNA配列に作動可能に連結された、ポリペプチドをコー ドするDNA配列をさらに含んでもよく、このベクターを発現させて、興味の対 象たるエクソダスポリペプチドを含む融合タンパク質を得ることができる。 別の特徴において、本発明には、本発明のDNAまたはベクターで安定にトラ ンスフェクトまたは形質転換された原核性または真核性宿主細胞が包含される。 好ましい宿主細胞において、本発明のDNAまたはベクターによってコードされ るエクソダスポリペプチドが発現される。本発明のDNA、ベクター、及び宿主 細胞は、例えば、本発明のエクソダスポリペプチドの大量組換え製造のための方 法において有用である。かかる方法はそれ自体が、本発明の要旨である。例えば 、本発明は、好適な栄養培地中で本発明の宿主細胞が生育され、そしてエクソダ スタンパク質がその細胞または培地から単離される、エクソダスの製造のための 方法を包含する。 さらに別の特徴において、本発明は、精製及び単離されたエクソダスポリペプ チドを包含する。好ましいペプチドは、配列番号:2のアミノ酸第1〜73位を 含むアミノ酸配列を有する、精製されたケモカインポリペプチドである。本発明 のポリペプチドは、天然の供給源がら精製されうるが、好ましくは、本発明のD NA、ベクター、及び/または宿主細胞を用いた組換え法によって製造されるも のであり、あるいは、化学合成される。本発明の精製されたポリペプチドは、グ リコシル化(例えば、O−結合もしくはN−結合)されていても、またはグリコ シル化されていなくても、水溶性でももしくは不溶性でも、酸化、 還元されているなど、選択された宿主細胞、組換え法、単離法、プロセッシング 、保存用緩衝液等によって、種々可能である。あるいは、エクソダスポリペプチ ドは、IL−8[Clark-Lewisら、J.Biol.Chem.、266巻、23128〜34頁(1991)] 及びMCP−1などの他のケモカインの製造のために首尾良く用いられている技 術を使用して、化学的ペプチド合成によって調製してもよい。 本発明はまた、エクソダスポリペプチド断片をも企図し、これは1以上のN− 末端またはC−末端アミノ酸残基が欠失し、且つC−Cケモカインに特徴的な1 以上の生物学的活性が維持されているものである。 本発明の別の特徴には、本発明のエクソダスから1以上のアミノ酸残基が付加 、欠失、または置換され、且つC−Cケモカインに特徴的な1以上の生物学的活 性を維持している、エクソダスポリペプチド類似体が含まれる。かかる類似体は 、例えば、前記の医学画像診断法または下記の処置方法のために有用である。こ れらは、実施例7に後述する技術を含め、当該技術分野における既知の組換えま たは合成法のいずれかによって調製するとよい。 類似体の例には、最も密接に関連しているケモカインとの相同性の増加をもた らすように設計された、エクソダスアミノ酸配列の置換体が含まれる。C−Cケ モカインファミリーとの相同性の増加をもたらすように設計される置換には、成 熟タンパク質配列の第31位のアラニンをスレオニンに置換、または第26位の フェニルアラニンをチロシンに置換することが包含される。MIP−1α、MI P−1β、及びRANTESとの相同性の増加をもたらすと考えられる他の置換 には、エクソダスの残基第1〜8位を、MIP−1αの残基第1〜10位に、ま たはRANTESの残基第1〜9位に置換すること、第11位のロイシンをフェ ニルアラニンに置換すること、第12位のグリシンをセリンに置換すること、第 25位のグリシンをグルタミン酸に置換すること、第36位のグルタミン酸をセ リンに置換すること、第46位のセリンをグルタミンに置換すること、第60位 のイソロイシンをチロシンに置換すること、そして第67位のセリンをアスパラ ギン酸に置換することが含まれる。これらの置換は、単独またはあらゆる組み合 わせて行うことができ、そして、骨髄抑制またはHIV生産の阻害におけるエク ソダスの活性の増強に対する可能性を有することが期待される。 特定の位置でのアミノ酸の特性を増強するように設計された他の置換(例えば 、アミノ酸が疎水性ならば、置換はより疎水性となるようにすべきである)すな わち、第6位のアスパラギンをアスパラギン酸に置換すること、第18位のロイ シンをイソロイシンに置換すること、第29位のグルタミンをグルタミン酸に置 換すること、第38位のアスパラギンをアスパラギン酸に置換すること、第50 位のバリンをイソロイシンに置換すること、そして第56位のグルタミンをグル タミン酸に置換することなどは、エクソダスの活性も増強するかもしれない。こ れらの置換は、単独またはあらゆる組合せで行うことができる。 エクソダスの生物学的活性を欠くが、C−Cケモカインの受容体(1または複 数)への結合を競合的または非競合的に阻害することができる類似体が、本発明 の関連する特徴に含まれる。かかる類似体は、例えば、宿主での内在性エクソダ スまたは他のC−Cケモカインの生物学的活性を阻害するための治療用組成物ま たは治療法において有用である。このようなエクソダスポリペプチド類似体は、 特に、受容体へのエクソダスの呈示において重要と考えられるケモカイン受容体 及び/または他の分 子(例えば、ヘパリン、グリコサミノグリカン、赤血球ケモカイン受容体)の結 合特性をモジュレートすることが特に企図されたものである。 関連する特徴において、本発明によって、かようなエクソダスポリペプチド類 似体をコードする、精製及び単離されたポリヌクレオチド(このポリヌクレオチ ドは、例えば、エクソダスポリペプチド類似体を組換え製造するために有用であ る)、かかるポリヌクレオチドを組み込んだプラスミド及びウイルスベクター、 ならびにかかるDNAまたはベクターで安定に形質転換された原核性または真核 性の宿主細胞が提供される。 別の特徴において、本発明のエクソダスポリペプチド及びポリペプチド類似体 と特異的免疫反応性を有する抗体物質(例えば、モノクローナル及びポリクロー ナル抗体、単鎖抗体、キメラまたはヒト化抗体等)が、本発明に包含される。さ らに本発明には、本発明の抗体物質を生産するハイブリドーマ細胞系が包含され る。かかる抗体は、例えば、本発明のポリペプチドの精製用、例えば周知のEL ISA技術を用いた、液体または組織試料中のエクソダスの検出または定量的測 定用、そして受容体(1または複数)へのエクソダスの結合のモジュレーション 用などのために有用である。あるケモカイン抗体(例えば、抗IL−8抗体)は 、劇的な抗炎症効果を有することが示されている。 本発明の組換えエクソダスポリペプチド及びポリペプチド類似体は、エクソダ スの受容体(1または複数)を発現している細胞を同定するために、そして受容 体(1または複数)をコードするポリヌクレオチドを単離するための標準的な発 現クローニング技術において、結合反応における抗体の替わりに利用することが できる。例えば、後述の実施例16、ならびにHolmes ら(前出)及びCharoら(前出)にそれぞれ記載されるIL−8及びMCP−1 受容体のクローニングを参照されたい。かかるエクソダスポリペプチド、エクソ ダスポリペプチド類似体、及びエクソダス受容体ポリペプチドは、エクソダスケ モカイン活性のモジュレーションのため、ならびにポリペプチド及び化学的(例 えば、小分子)エクソダスアゴニスト及びアンタゴニストの同定のために有用で ある。 本明細書において用いられる場合。「エクソダスタンパク質産物」の語には、 エクソダスポリペプチド、その断片、または類似体が含まれ、これには、国際公 開第WO 96/05856号(前出)に記載されている、エクソダスに関連する生物学的 活性を保持するケモカインCkβ−4などのような、エクソダスの選択的(alte rnative)にスプライシングされた変異体が含まれている。本発明者らは、Ck β−4に認められる余分なアラニン(エクソダスの第4残基の後)が、イントロ ン−エクソンの境界に該当することを立証している。この領域を越えて配列決定 を行うと、これらの2つのフォームのエクソダスは、選択的スプライシングによ って生じることが示される。 本発明はまた、創傷または感染性疾患に罹患している哺乳動物における免疫応 答を増強するための方法で使用するための、エクソダスタンパク質産物を含む医 薬組成物をも企図する。さらに企図されるのは、関節炎、クローン病、または他 の自己免疫疾患などの、炎症によって媒介される病理状態における炎症を低減す るための方法における使用を目的とする、エクソダスタンパク質産物またはそれ に対する抗体を含む医薬組成物である。さらに企図されるのは、アテローム性動 脈硬化、血管新生または腫瘍成長もしくは転移を低減するのに使用するための医 薬組成物である。 特に企図されるのは、造血幹細胞または前駆細胞の増殖を抑制するのに使用す るための医薬組成物である。かかる骨髄抑制は、化学療法または放射線療法の際 の細胞毒性効果に対して、幹/前駆細胞を保護しうる。さらにまた企図されるの は、骨髄前駆細胞増殖を抑制するための医薬製造を目的とするエクソダスタンパ ク質産物の使用であり、当該医薬は、化学療法または放射線療法を受けている被 験者に投与するのに特に望ましい。 さらに特に企図されるのは、骨髄増殖性疾患の処置に使用するための医薬組成 物と、骨髄増殖性疾患を処置するための医薬製造を目的とするエクソダスタンパ ク質産物の使用である。 さらに特に企図されるのは、近時にHIVに曝されたが、未だ試験をしていな いが、または標準的な診断法によればHIV陽性であることが確認された患者( 例えば、HIV陽性の母親からの新生児、HIV陽性の血液に曝された医療従事 者等)、HIVに曝されるおそれのある患者、またはすでにHIVに感染してい る患者、すなわち、HIV陽性患者を処置するのに使用するための医薬組成物で ある。さらに企図されるのは、HIV増殖を阻害するための医薬製造を目的とす るエクソダスタンパク質産物の使用であり、当該医薬は、HIVに曝されるおそ れのある、またはHIVに曝された、またはHIVに感染した被験者への投与の ために特に好ましい。さらにまた企図されるのは、HIV感染を処置するための 医薬製造を目的とする、エクソダスタンパク質産物の使用である。 かかる医薬組成物は、エクソダスタンパク質産物、またはそれに対する抗体を 、生理学的に容認しうる希釈剤または担体と共に含み、そして、臨床適用法に応 じて、例えば抗炎症剤または抗HIV剤などといった適切な他の治療剤を随意に 含んでもよい。エクソダスタンパク質産物の投与量は、処置すべき病理 状態に応じて、1μg〜100mg/kg体重、好ましくは5〜100μg/kg体重の範囲で変 動する。かかる医薬組成物は、処置すべき状態に応じて、皮下、筋肉内、静脈内 、肺内、経皮、髄腔内、経口、または座剤での投与を含む、様々な経路によって 投与することができる。 処置に当たっている医者が決定するとおりに、エクソダスタンパク質産物の用 量は増減してよく、処置期間を短縮または延長してもよい。投与の頻度は、薬剤 の薬物動態パラメータ及び投与経路に応じるものである。至適な医薬処方は、投 与経路及び所望の投与量に応じて当業者により決定されよう。例えば、Remingto n's Pharmaceutical Sciences、18版(1990、Mark Publishing Co.、Easton、ペ ンシルバニア州18042)の第1435〜1712頁を参照されたい(この開示内容は、引 用することによって本明細書に組み入れる)。かかる処方は、投与される薬剤の 物理的状態、安定性、in vivoでの遊離速度、及びin vivoでのクリアランス速度 を左右するかもしれない。 当業者であれば、良好な医薬実務及び個々の患者の臨床状態によって決定付け られる、有効な投与量、及びそれに伴うレジュメを容易に至適化するであろう。 投与方法に関わらず、特定の用量は、体重、体表面積または器官のサイズに従っ て計算されるとよい。前記した各々の処方に関わる処置のための適切な投与量を 決定するために必要な計算のさらなる改善が、特に本明細書に開示される投与量 の情報やアッセイ、そして前記のヒト臨床試験において観察される薬物動態デー タに鑑み、当業者によって日常的に過度の実験を必要とせずに行われる。適切な 投与量は、適切な用量応答データに関連した血液レベル量を決定するための確立 されたアッセイを使用することによって確認されるとよい。最終的な投薬のレジ ュメは、薬物の作用を修飾 する様々な因子(例えば、薬物の比活性、損傷の重篤さ及び患者の応答性、患者 の年齢、状態、体重、性及び食事、何らかの感染の重篤さ、投与時間及び他の臨 床的因子)を考慮して、担当医によって決定される。研究の遂行に伴い、様々な 疾患及び状態の処置のための適切な投与レベルに関するさらなる情報が明らかに なるであろう。 前記のエクソダス物質及び方法は、様々な臨床適用法において使用されうる。 第1に、ケモカインは単球及びマクロファージを誘引及び活性化する(Baggioli niら(前出))ので、病原となる炎症環境におけるエクソダスの発現は、患部に さらなる単球及びマクロファージもしくは他の白血球を補充することによって、 既存の白血球を活性化することによって、または患部への白血球の残存を誘導す ることによって疾患を増悪させるかもしれない。しかして、エクソダスの化学誘 引活性の阻害により、有害な炎症プロセスを緩和できることが期待される。重要 なことには、かかる取り組みの潜在的な恩恵が、好中球を誘引及び活性化するC −X−CケモカインであるIL−8に関する実験において直接的に立証されてい るのである。IL−8に対して作製された抗体は、好中球により媒介される炎症 性疾患を阻害する傑出した能力を有している[Haradaら、J.Leukoc.Biol.、56巻 、559頁(1994)]。エクソダスの阻害は、単球またはマクロファージが役割を果 たすと推定される疾患(例えば、クローン病、慢性関節リウマチ、アテローム性 動脈硬化、心筋梗塞、または急性呼吸窮迫症候群(ARDS))において同様の 効果を有することが予測される。 あるいは、ケモカインは創傷治癒及び血管新生において正の効果を有すること も示されているので、エクソダスの効果を増強することが疾患に有利な役割を果 たすかもしれない。しかし て、外来のエクソダスタンパク質産物またはエクソダスアゴニストは、かかる疾 患からの回復を増進するのに有益であるかもしれない。 エクソダスタンパク質産物またはエクソダスアゴニストは、C−Cケモカイン TCA3が有するマウスにおける腫瘍形成を阻害する能力(Laningら(前出)) によって示唆されるごとく、腫瘍の処置において臨床的に重要であることが解明 するかもしれない。エクソダスは、例えば、様々な非特異的エフェクター細胞を 腫瘍部位に誘引及び活性化する、または特異的な抗腫瘍免疫性を刺激することに よって、直接的または間接的に腫瘍形成を阻害するように作用するかもしれない 。 加えて、本明細書にて示されるエクソダスについての骨髄抑制効果は、化学療 法または放射線療法を受けている患者に対し、当該患者の骨髄性幹細胞または骨 髄性前駆細胞への有害な効果を減少させて、実質的な恩恵を生じさせうる。例え ば、細胞周期に特異的な化学療法剤の投与前または投与中(例えば、1日前、直 前、または同時)に、エクソダスタンパク質産物で処置することで、その薬剤の 細胞毒性効果から骨髄を保護しうる。かような細胞周期に特異的な化学療法剤に は、ビンブラスチン、エトポシド、ダウノルビシン、ドキソルビシン、イダルビ シン、メトトレキセート、ヒドロキシウレア、フルオロウラシル、シトシンアラ ビノシド、メルカプトプリン、チオグアニン、ペントスタチン、フルダラビン、 及び2−クロロデオキシアデノシン(2−CDA)が含まれる。前記したとおり 、MIP−1α類似体(BB10010、British Biotechnology)は、Cytoxan (商標名)療法(シクロホスファミド、Bristol-Myers Squibb Oncology社製) における骨髄保護剤として、現在臨床試験中である。 本明細書に示されるように、エクソダスがサイトカイン依存性の骨髄性細胞系 の増殖を阻害する能力によって、エクソダスタンパク質産物が骨髄増殖性疾患( 慢性骨髄性白血病、本態性血小板増加症、骨髄線維症、及び真性赤血球増加症を 含むが、これらに限定されない)を処置するにも有用であることが示される。こ の目的のためのエクソダスタンパク質産物の投与は、インターフェロンなどの、 他の化学療法剤または他のサイトカインの投与と併用してもよい。 さらに、C−CケモカインであるRANTES、MIP−1α及びMIP−1 βは、ヒト免疫不全ウイルスHIV−1の複製を抑制することが示されており[ Cocchiら、Science、270巻、1811〜1815頁(1995)]、それらがAIDSの予防ま たは処置での療法剤たる可能性を有することを含意している。本明細書にて示さ れるようにエクソダスがHIV増殖を阻害する能力は、AIDS患者の処置のた めに、AIDSの発症及び進行の抑止において、またはHIVに曝された後のH IV感染に対する耐性の促進においても、エクソダスタンパク質産物が有益であ ることを示唆している。本格的なAIDSは、HIV感染の直後に顕示されるの でなく、患者が健康なままであるがウイルス血症を呈する時期が様々な期間にわ たって存在する。このウイルス血症は、継続的なウイルスの複製及び血液細胞の 再感染の繰り返しによって維持される。ある研究から、血漿ウイルス負荷の測定 (さらにCD4リンパ球計数)により、AIDSの後の危険性あるいは死亡を予 測することができることが見出されている。[Ho、Science、272巻、1124〜1125 頁(1996)]従って、ウイルス複製の継続的な周期の妨害の結果、予後の改善が惹 起こされうるのである。 加うるに、ケモカイン発現と、炎症状態及び病態との間の立 証された相関により、エクソダスタンパク質産物の用途として、エクソダスと特 異的免疫反応性を有する抗体物質を含めて、診断及び予知の指標が提供される。 かかるエクソダス物質は、炎症状態及び病態の診断及び予知判断のため、そして かかる状態及び病態に関わる領域の医学画像術のための方法において有用である 。 本発明の数多くの特徴及び利点は、現在のところ好ましい本発明の実施態様を 記載した、以下の発明の詳細な説明を考慮すれば、当業者に明らかになるであろ う。 図面の簡単な説明 図1は、単核細胞の走化性に対する、様々な濃度のエクソダスの効果を示す。 図2は、マウスにおける造血に対する、未処置及びACN−処置エクソダスの 効果を示す。 図3は、マウスにおける造血前駆細胞の細胞周期に対する、エクソダス単独ま たはMCP−1もしくはMIG併用による効果を示す。 図4は、骨髄性細胞系MO7Eの増殖に対するエクソダスの効果を示す。 図5は、骨髄性細胞系TF−1の増殖に対するエクソダスの効果を示す。 図6は、骨髄性細胞系MO7Eの増殖に対する、精製された合成エクソダスの 効果を示す。 図7は、HIV感染後の単核細胞によるHIV p24タンパク質の遊離に対 するエクソダスの効果を示す。 図8は、HIV感染後の単核細胞によるHIV p24タンパク質の遊離に対 する、精製された合成エクソダスタンパク質産 物の効果を示す。 発明の詳細な説明 本発明は、エクソダスをコードするcDNA配列の同定及びエクソダスの活性の特 徴付けに基づくものである。 ケモカインエクソダスの完全なcDNAは、821ヌクレオチドの鎖長である。第 786位にコンセンサスポリアデニル化部位が存在する。3’非翻訳配列は、多 くのサイトカイン遺伝子にてmRNAの安定性をメディエートする、多数のAAAU配列 を有している。これらの配列は、メッセンジャーの分解を促進し、ケモカインを 含め、多くのサイトカインの転写物の半減期が短いことに寄与している。43ヌ クレオチドの、短い5’非翻訳領域がある。 エクソダスの推定アミノ酸配列には、95アミノ酸が含まれる。これは、C− Cケモカインファミリーに一貫したものであり、このファミリーのメンバーの鎖 長は91から99の範囲にある。エクソダスの最初の22アミノ酸は、強い疎水 性のシグナルペプチドを構成している。このファミリーを画定する、ジスルフィ ド結合に関与する4つのシステインもまた、エクソダスに保存されている。エク ソダスは、アミノ酸レベルでMIP−1α及びRANTESに最も密接に関連し ており、26〜28%の同一性があって、保存的な変化を考慮すれば約75%の 類似性がある。エクソダスは特に、RANTESのアミノ酸第24〜46位、そ して第58〜75位に類似しており、これらの部位間には、非保存的変化はわず か6つしかない。 エクソダスは他のヒトC−Cケモカインの保存されたアミノ酸の特徴の多くを 有しているものの、特筆すべき様々な独特の、エクソダスの特徴がある。エクソ ダスは、高い塩基性のカルボ キシ末端を有し、RANTESよりもMCPサブファミリーに、より一致してい る。加えて、エクソダスは第47位及び51位にそれぞれ保存された、チロシン 及びスレオニン(RANTESを含め他のヒトC−Cケモカインすべてに存在し ている)を欠失している。これら2つの高度に保存されたアミノ酸は、受容体に 接触すると予測されないので、C−Cケモカイン活性において役割を果たしてい るか否かは明らかではない。 本発明の様々な特徴及び利点は、以下の実施例を考慮すれば理解されるであろ う。実施例1には、エクソダスcDNAの同定を記載する。実施例2には、様々なヒ ト細胞系及び組織におけるエクソダス遺伝子発現のパターンを調べる実験を記載 する。実施例3には、哺乳動物細胞におけるエクソダス遺伝子の組換え発現を記 載する。実施例4には、哺乳動物細胞におけるエクソダス遺伝子の組換え発現の ための別の方法、及び得られたタンパク質の精製を記載する。実施例5には、原 核細胞におけるエクソダス遺伝子の発現及び得られたタンパク質の精製のための プロトコルを示す。実施例6には、酵母または無脊椎動物細胞におけるエクソダ スの組換え製造のためのプロトコルを示す。実施例7には、ペプチド合成または 組換え製造法による、エクソダス及びエクソダス類似体の製造を記載する。実施 例8には、エクソダスと特異的に免疫反応性を有するモノクローナル抗体を作製 するためのプロトコルを示す。実施例9には、in vitroでの単球の走化性に対す るエクソダスの効果を述べる。実施例10には、骨髄性前駆細胞、骨髄性細胞系 及び慢性骨髄性白血病前駆細胞の増殖に対するエクソダスの効果を述べる。実施 例11には、HIV p24タンパク質生産に対するエクソダスの効果を述べる 。実施例12、13、14及び15には、化学誘引及び白血球活性化、腫瘍生長 阻害、ならびに腹腔内また は皮下注射後の白血球活性化のin vivoでのアッセイを示す。実施例16には、 エクソダス受容体のクローニングを記載する。 実施例1 エクソダスをコードするcDNA配列の同定 Takedaら、Human Mol.Genetics、2巻、1793〜1798頁(1993)に記載のとおりに 、解剖された正常成人膵臓島細胞からメッセンジャーRNAを調製し、そしてXh oI部位を含むプライマーを使用してオリゴ(dT)プライミングにより第1のcD NA鎖を合成した。第2のcDNA鎖合成及び平滑化の後に、そのcDNAにEcoRIアダプ ターを連結し、次にこれをサイズ分画して、1000塩基対を下回るサイズの産物を 除去した。XhoI消化の後、産物をラムダZAPIIへとクローニングし、そしてXl-1- Blue MRF’細胞(Stratagene社、La Jolla、カリホルニア州)にて増幅した。製 造元の指示書に従い、pBluescript SK-を取り出すことによりライブラリーをプ ラスミドに変換した。これらの無作為に単離された膵臓島細胞cDNAの1000の部分 配列をシングルパス自動化配列決定によって調べた。これらの配列はGenBankに 寄託され(Takedaら(前出))、National Center for Biotechnology Informat ion(NCBI)データベースの他の配列と比較された。比較のために使用され たcDNA配列の平均鎖長はおよそ200塩基対であった。この成果はTakedaら(前 出)に公開されている。 Takedaらの研究に続いて、エクソダスをコードするクローンが、以下のように これら1000の膵臓島発現配列タグ(EST)のなかから同定された。NCBIの BLASTサービスを使用した、これらのESTに対するコンセンサスケモカイ ン配列の比較により、クローンのうち1つがC−Cケモカインファミリ ーに遠い相同性を保持していることが明らかになった。ケモカインファミリーへ のかかる相同性は、手動ジデオキシ2本鎖配列決定によって元の自動化パスから 種々配列エラーを同定して、コード領域及び読み取り枠を適正に特徴付けした後 には増大していた。このクローンは、元はTakedaらによってHBC2850と命名され 、他の既知のケモカインのいずれとも同一ではなかった。このクローンのcDNAは 821ヌクレオチドからなり、これはケモカインタンパク質の読み取り枠全体を 含んでいる。このケモカインは、エクソダスと命名された。 エクソダスcDNA配列(配列番号:1に示される)とTakedaらのEST配列との 間の差異は、以下の通りである(ヌクレオチド番号付けは配列番号:1に従う) 。すなわち、ヌクレオチド64(エクソダスでは「C」)で、ESTヌクレオチ ドは「N」;ヌクレオチド71(エクソダスでは「C」)で、ESTヌクレオチド は「N」;ヌクレオチド130と131の間で、ESTは読み取り枠にシフトを 生じさせる余分な「G」塩基を含む;ヌクレオチド150と151の間でEST は読み取り枠にシフトを生じさせる余分な「T」塩基を含む;ヌクレオチド19 3(エクソダスでは「C」)で、ESTヌクレオチドは「N」;ヌクレオチド19 6(エクソダスでは「C」)で、ESTヌクレオチドは「N」;ヌクレオチド27 1(エクソダスでは「A」)で、ESTヌクレオチドは「N」;そしてヌクレオチ ド309(エクソダスでは「T」)で、ESTヌクレオチドは「GC」であった。 実施例2 細胞系及び組織におけるエクソダス遺伝子発現パターン エクソダスmRNA発現のパターンを、様々なヒト組織及び細 胞系から抽出したmRNAのノザンブロッティングで調べた。使用したプローブは、 アガロースゲル電気泳動によって単離され、製造元(BMB、Indianapolis、イ ンディアナ州)の指示書に従ってランダムプライミングにより32P−dCTP及 び32P−dTTP(DuPont-NEN、Boston、メリーランド州)でラベルされた 、エクソダスの完全なコード領域を含むcDNAであった。 A.ヒト組織におけるエクソダス遺伝子発現 製造元の指示書に従つて、RNA STAT−60(Tel-Test B Inc.、Priend swood、テキサス州)を使用して細胞系及び培養単球からRNAを単離した。総 RNA(20μg)を、0.8%ホルムアルデヒドアガロースゲルにて分画し、ニト ロセルロースに転写し、ストリンジェント条件下にハイブリダイズ及び洗浄した 。−80℃で、増感スクリーンと共に1日間、フィルムに露光した。 Human Multiple Tissue Northern blotとHuman Immune System Multiple Tiss ue Northern(Clontech、Palo Alto、カリホルニア州)も、製造元の指示書に従 ってストリンジェント条件下にエクソダスcDNAでプローブ探査し、洗浄した。オ ートラジオグラフは、前記の通り、1〜4日間露光した。 エクソダスは非常に限定された発現パターンを有すると思われた。エクソダス は、TMR322神経芽細胞腫、MDA乳癌、K562赤白血病、Jurkat T細 胞白血病、HL60前骨髄球性白血病、レチノイン酸で顆粒球に分化したHL6 0細胞、3T3胎児線維芽細胞または293胎児腎細胞を含む、試験をした数多 くの細胞系にて発現されていなかった。商用に調製された、様々な正常ヒト組織 のノザンブロットをエクソダス発現について分析すると、肺に発現が検出され、 心臓、脳、胎盤、成人肝、 骨格筋、腎臓、膵臓、脾臓または骨髄には検出されなかった。転写物のサイズは 、およそ0.9kBであり、ポリAテイルが付加されているとすると、報告されたcDNA のサイズと一致していた。 しかしながら、商用に調製されたリンパ様組織のノザンブロットをエクソダス 発現について調べた場合、様々な異なるリンパ様器官で高度に発現されているこ とが見出された。エクソダスは、末梢リンパ節、虫垂、末梢血単核細胞、及び胎 児肝にて高度に発現されていた。胸腺での発現はそれ程高くなく、脾臓または髄 では検出可能な発現は認められなかった。 この発現パターンは、多くのケモカインで典型的なものである。エクソダスは 、主としてリンパ様組織、特にリンパ節、虫垂、及び末梢血にて発現していた。 このノザンブロット分析にて使用されたリンパ様組織は、なんらかの免疫学的刺 激によって活性化されていて、しかして通常レベルよりもエクソダスの発現が高 くなっている可能性がある。末梢血とは逆に骨髄におけるエクソダスの発現が乏 しいのは、骨髄が主として未成熟の骨髄球及び赤血球前駆細胞で構成されている のに対し、末梢血にははるかに成熟した単核細胞があるという事実に起因してい るのかもしれない。 B.炎症性刺激後のエクソダス遺伝子発現 多くのケモカインの発現は炎症性刺激により単核細胞にて誘導されるので、L PS、TNF−α、またはPMAを様々な細胞系に曝した後のエクソダスの発現 をノザンブロットによって分析した。 単球細胞系THP−1は、American Type Culture Collection(Rockville、 メリーランド州)より入手した。細胞は、10%胎児ウシ血清(FCS、Hyclone Laboratories,Inc.、 Logan、ユタ州)、25mM HEPES、100U/mlペニシリン及び100μg/mlストレプ トマイシン(組織培養抗生物質、Life Technologies、Gaithersburg、メリーラ ンド州)を追加したRPMI1640培地(Biowhitaker、Walkersville、メリ ーランド州)にて維持した。刺激実験のためにホルボールエステル(PMA、Si gma、St.Louis、ミズーリ州)の存在下に1ml当たり1,000,000細胞数の密度で細 胞を培養した。 不死化したヒト臍静脈内皮細胞系I−HUVECは、オレゴン大学のDr.Jay N elsonより入手し、10%FCS(Hyclone)、400μg/mlG418(Life Technolo gies、Grand Islands、ニューヨーク州)、1u/mlヘパリン(Sigma)、及び30μg /ml内皮細胞成長因子(Collaborative Biochemical Products、Bedford、メリー ランド州)を追加したRPMI1640培地にて、70〜80%の周密度まで培養し 、次いで様々な期間、腫瘍壊死因子−α(TNF−α、Peprotech、ニュージャ ージー州)の存在下または非存在下に培養した。 末梢血単核細胞は、Histopaque gradient(Sigma)で精製し、そしてプラスチ ック接着により単離した。単球は、マクロファージへの分化を許容するように培 地を2日毎に交換しつつ、6日間培養した。細胞は、様々な期間、100ng/mlのリ ポ多糖(LPS、Sigma)で刺激した。 末梢血単核細胞をLPSに8または12時間曝した場合に、エクソダス発現は 高度に誘導された。また、請静脈内皮細胞をTNF−αにわずか3時間曝しただ けで、エクソダス発現は高度に誘導された。重要なことには、エクソダス発現は 、炎症性刺激が存続する限り高値を維持した。単球白血球細胞系THP−1をP MAで処置すると、やはりエクソダスの発現は誘導され、PMAに曝した後48 時間でピークに達して、その後わず かづつ減衰した。 これらの結果、炎症性刺激がなければエクソダスはあまり発現されないことが 示唆された。しかしながら、かかる刺激がなされると、エクソダスは速やかに且 つ安定にアップレギュレートされた。刺激自体の特性も限定されるものでないら しく、LPS、TNF−α、及びPMAがすべてエクソダスをアップレギュレー トしていた。しかして、エクソダスの製造は、成熟リンパ食細胞の機能(特に炎 症性刺激後)であるらしく、未成熟骨髄性細胞の機能ではないらしいと考えられ る。 実施例3 COS細胞における組換えエクソダスの製造 COS細胞にエクソダスcDNAを一過性にトランスフェクトすることによって、 組換えエクソダスを製造した。全長のエクソダスcDNAを、pECE[Ellisら、C ell、45巻、721頁(1986)]のSV−40で駆動する発現ベクターへと、共通の制 限酵素部位を用いてセンス方向にサブクローニングした。対数増殖期のCOS細 胞(American Type Culture Collection(ATCC)No.CRL 1651)を、10%FC S(Hyclone)ならびに100U/mlペニシリン及び100μg/mlストレプトマイシン( 組織培養抗生物質、Life Technologies、Gaithersburg、メリーランド州)を含 むDMEMに、100mm培養ディッシュ当たり、1,000,000細胞数の密度で播種し、 そして終夜インキュベートした。製造元(Life Technologies、Bethesda、メリ ーランド州)の指示書に従い、リポフェクチンを用いてCOS細胞をトランスフ ェクトするために、精製されたpECE−エクソダスプラスミドDNAをプレー ト当たり20μg用いた。精製されたpECEプラスミド(エクソダスDNAを含 まない)を、対照として利用すべく 同様にCOS細胞にトランスフェクトした。レポーター遺伝子ベータ−ガラクシ ダーゼを含む発現ベクター(SV40ベータ−Gal、Pharmacia、Piscataway、ニ ュージャージー州)を、トランスフェクトの効率確認のための対照として共トラ ンスフェクトした。72時間後に、COS細胞培養の上清を0.2μmフィルターを 通して濾過し、そして-70℃に保存した。上清を回収後、細胞溶解液を作製して ベータ−ガラクトシダーゼ活性をRosenthal、Meth.Enzymol.、152巻、704頁(198 7)に以前報告された通りにアッセイした。pECE及びpEVE−エクソダスの トランスフェクションを実施する際に、ベータ−ガラクトシダーゼ活性によって 判定された双方のトランスフェクション効率の差は、互いに10%以内であった。 実施例4 CHO細胞における組換えエクソダスの製造及びその精製 エクソダスcDNA(配列番号:1に示される)の第30〜330位の塩基(5’ 非コード配列の13塩基対及び3’非コード配列の3塩基対を含んでいる)を増 幅するためにPCRを用いた。PCRプライマーの配列は、 5'-GGCGAAGCTTTGAGCTAAAAACCATG(配列番号:3)及び 5'-GCGGGAATTCTTACATGTTCTTGACT(配列番号:4)であった。 クローニングを容易ならしめるため、これらのプライマーは、HindIII及びEcoRI 制限酵素部位をそれぞれ含んでいる(斜字にて示す)。断片をベクターpDC1 (1995年11月16日出願の共有で係属中の米国特許出願第08/558,658号に記載、こ れは引用することにより本明細書に組み入れる)へとクローニングした。このベ クターは、インサートの発現を促進するため、クローニング部位に隣接してCM V直接初期プロモーターを、そして細 菌及び哺乳動物細胞でのプラスミドの選択を許容するため、それぞれ細菌ベータ −ラクタマーゼ遺伝子及びネズミジヒドロ葉酸リダクターゼ(DHFR)遺伝子 (Sambrookら(前出))も含む、pBR322誘導物である。エクソダスインサ ートを含む構築体は、PvuI(BMB、Indianapolis、インディアナ州)で制限酵 素消化する(ベクター配列内で切断する)ことにより線状化した。線状化された プラスミドは、エタノールで沈殿させ、HBS(20mM HEPES−NaOH、pH7.0 、137mM NaCl、5mM KCl、0.7mM Na2HPO4、6mMデキストロース)に再度溶解した 。エレクトロポレーションのために、CHO細胞系DG44[Urlabら、Cell、3 3巻、405頁(1983)]の107細胞数を洗浄し、1ml PBSに再懸濁して、10マイク ログラムの線状化プラスミドと混合し、そして0.4cmのエレクトロポレーション キュベットに移した。懸濁液は、Biorad Gene Pulser(Richmond、カリホルニア 州)を用い、290ボルト、960μファラドにてエレクトロポレーションを行った。 形質転換体は、10%の透析されたFCS(Hyclone、Logan、ユタ州)を含有し、 ヒポキサンチン及びチミジンを含まないDMEM/F12培地(Gibco)にて生育 することにより選択した。数百の形質転換されたコロニーからの細胞を集めて、 20nMのメトトレキセート(Sigma、St.Louis、ミズーリ州)を含むDMEM/F1 2培地に再度播種した。今回生存したコロニーを単離し、殖やして、個々のコロ ニーを得た。エクソダス発現のレベルは、以下のように定量した。 クローンを、10%の透析されたFCSを含有するDMEM/F12培地にて4 日間生育し、その時点で培地を交換した。細胞を1%の透析されたFCSを含有 するDMEM/F12培地にて4日間生長させた。その上清をヘパリンセファロ ースCL−6 B(Pharmacia、Piscataway、ニュージャージー州)のカラムに付した。カラム を0.2M NaClを含む20mM Tris、pH7.5で洗浄し、そして0.6M NaClを含む20mM Tri s、pH7.5で溶出した。溶出されたエクソダスは、18%Trisグリシンゲル(NOVEX 、San Diego、カリホルニア州)を用いたSDS−PAGEによって分画し、P VDF膜(Millipore、Bedford、メリーランド州)に転写した。およそ7kDに移 動するエクソダスのバンドは、エクソダスに対して特異的なウサギ抗血清を用い て検出することにより確認した(以下の実施例8に記載の通りに調製)。 エクソダスケモカインを最も高レベルで発現しているクローンを、タンパク質 の大量生産用に殖やしてもよい。その結果得られる組換えエクソダスは、以下の ように上清から作製及び精製される。およそ7kDに移動するエクソダスのバンド を切り出し、そして自動化配列決定装置(Applied Biosystems、Model 473A、Fo ster City、カリホルニア州)にてN−末端を配列決定する。 さらなる精製工程として、ヘパリンセファロースカラムから溶出されたエクソ ダスは、1.6M NaClとして、HI-Propyl 40ミクロン樹脂(J.T.Baker、Phillip sberg、ニュージャージー州)のカラムに付する。カラムを1.6M NaClを含む20mM Tris、pH7.5で洗浄し、そして20mM Tris、pH7.5でエクソダスを溶出する。 溶出されたエクソダスの完全性は、タンパク質配列により予測されるアミノ酸 の割合を確認するためのアミノ酸分析、及び予測されるサイズを確認するための 質量分光測光法によって確認する。 実施例5 細菌における組換えエクソダスの製造 細菌におけるエクソダスの組換え発現及び得られた産物の精製のためのプロト コルの例を以下に述べる。 タンパク質の成熟型をコードするDNA配列をPCRにより増殖し、そしてベ クターpGEX−3X(Pharmacia、Piscataway、ニュージャージー州)へとク ローニングする。pGEXベクターは、このベクターによりコードされるグルタ チオン-S-トランスフェラーゼ(GST)と、ベクターのクローニング部位に挿 入されるDNA断片によりコードされるタンパク質を含む融合タンパク質を製造 するように設計されている。PCR用のプライマーは、配列番号:4と、5'-TAT CGG ATC CTG GTT CCG CGT GAA TCA GAA GCA AGC AAC T-3'であり、BamHI制限酵 素部位、トロンビン切断部位[Chang、Eur.J.Biochem.、151巻、217頁(1985)] 、及び配列番号:1のヌクレオチド第109〜127位を含む。この結果得られ るPCR産物はBamHI及びEcoRIで消化され、そしてBamHI及びEcoRIで消化された pGEX−3Xプラスミドに挿入される。 トロンビンまたは因子Xa(Pharmacia、Piscataway)ニュージャージ-州)を 用いて組み換え融合タンパク質を処置することによって、融合タンパク質を切断 でき、GST部分からケモカインを遊離させることができると考えられる。pG EX−3X/エクソダス構築体を、大腸菌XL−1 Blue細胞(Stratagene、La J olla、カリホルニア州)へと形質転換させ、個々の形質転換体を単離及び生育し た。個々の形質転換体由来のプラスミドDNAを精製して、自動配列決定装置を 用いて部分的に配列決定し、適切な方向に所望のエクソダス遺伝子のインサート が存在することを確認する。 GST/エクソダス融合タンパク質の誘導は、形質転換された XL−1 Blueを、37℃にてLB培地(カルベニシリンを追加)で600nmの波長で の吸光度が0.4になるまで生育し、その後0.5mMイソプロピルβ-D-チオガラクト ピラノシド(Sigma Chemical Co.、St.Louis、ミズーリ州)の存在下にさらに 4時間インキュベートすることによって成し遂げられる。 細菌の中で不溶性の封入体として製造されると考えられる融合タンパク質は、 以下の通りに精製するとよい。細胞は、遠心分離によって回収し、0.15M NaCl、 10mM Tris、pH8、1mM EDTAで洗浄し、そして0.1mg/mlのリゾチーム(Sigma Chem ical Co.)で室温にて15分間処置する。溶解液を超音波処理によって清澄化し 、そして12,000x gにて10分間、細胞の破片をペレット化する。融合タンパク 質を含むペレットは、50mM Tris、pH8及び10mM EDTAに再懸濁し、50%グリセロ ールの上に積層して、6000x gにて30分間遠心分離を行う。ペレットをMg++及 びCa++不含の標準リン酸緩衝性生理食塩水(PBS)に再懸濁する。融合タンパ ク質を、その再懸濁されたペレットを変性SDS−ポリアクリルアミドゲルにて 分画することにより(Sambrookら(前出))、さらに精製する。ゲルを0.4M KCl に浸してタンパク質を可視化し、これを切り出してSDSを含まないゲル泳動用 緩衝液にて電気的に溶出する。 GST/エクソダス融合タンパク質が可溶性タンパク質として細菌において製造 されていれば、GST Purification Module(Pharmacia Biotech)を使用して 精製するとよい。 融合タンパク質は、成熟エクソダスタンパク質からGSTを切断するために、 トロンビン消化に付すとよい。消化反応液(20〜4011μg融合タンパク質、20〜3 0単位ヒトトロンビン(4000U/mg、Sigma)を含む0.5ml PBS)は、室温にて1 6〜48時間インキュベートし、反応産物を分画するために変性 SDS−PAGEゲルに付す。タンパク質のバンドを可視化するために0.4M KCl にゲルを浸す。エクソダスの予測される分子量に対応するタンパク質のバンドの 同一性は、自動化配列決定装置(Applied Biosystems Model 473A、Foster City 、カリホルニア州)を使用して部分的なアミノ酸配列分析によって確認するとよ い。 あるいは、予測される成熟エクソダスタンパク質をコードするDNA配列を、 所望のプロモーターと、任意にリーダー配列を含むプラスミドにクローニングし てもよい[例えば、Betterら、Science、240巻、1041〜43頁(1988)]。この構築 体の配列は、自動化配列決定によって確認するとよい。次いでプラスミドを大腸 菌株MC1061へと、CaCl2インキュベーション及び細菌の熱ショック処理を 用いた標準法(Sambrookら(前出))を使用して形質転換する。形質転換された 細菌は、カルベニシリンを追加したLB培地にて生育し、そして発現されたタン パク質の生産は、好適な培地における生育により誘導される。存在する場合には 、リーダー配列は成熟エクソダスタンパク質の分泌に功を奏し、そして分泌時に 切断されるはずである。 分泌された組換えタンパク質は、実施例4にて前記した方法によって、または 例えば換え生産されたRANTESケモカイン[Kunaら、J.Immunol.、149巻、6 36〜642頁(1992)]、MGSAケモカイン[Horukら、J.Biol.Chem.、268巻、541 〜46頁(1993)]、及びIP−10ケモカイン(昆虫細胞にて発現)[Sarrisら、 J.Exp.Med.、178巻、1127〜1132頁(1993)]の精製についてこれまでに報告され た方法を適用することによって細菌培養物から精製される。 実施例6 酵母または無脊椎細胞におけるエクソダスの組換え製造 酵母または無脊椎細胞におけるエクソダスの組換え発現、及び得られる組換え タンパク質の精製についてのプロトコルの例を以下に記載する。 エクソダスcDNAのコード領域を、PCRによって増幅する。酵母のプレ−プロ −アルファリーダー配列をコードするDNAを、アルファメーティング因子の遺 伝子及び、この遺伝子のヌクレオチド第255〜235位に相補的なプライマー を含む1つのプライマーを使用したPCR反応にて酵母ゲノミックDNAから増 幅する[Kurjan及びHerskowitz、Cell、30巻、933〜943頁(1982)]。そのプレ− プロ−アルファリーダーをコードする配列及びエクソダスをコードする配列断片 は、成熟エクソダスポリペプチドに融合されたプレ−プロ−アルファ因子からな る融合タンパク質の発現をプロモーターが駆動するよう、酵母アルコールデヒド ロゲナーゼ(ADH2)プロモーターを含むプラスミドへ連結する。Rose及びBr oach、Meth.Enzymol.、185巻、234〜279頁、D.Goeddel編、Academic Press Inc. 、San Diego、カリホルニア州(1990)に教示されるように、ベクターはさらに、 クローニング部位の下流にADH2転写ターミネーター、酵母「2-ミクロン」複 製起点、酵母leu-2d遺伝子、酵母REP1及びREP2遺伝子、大腸菌ベータ− ラクタマーゼ遺伝子、ならびに大腸菌の複製起点を含む。ベータ−ラクタマーゼ 及びleu-2d遺伝子はそれぞれ、細菌及び酵母における選択性を提供する。leu-2d 遺伝子はまた、酵母におけるプラスミドのコピー数を増やし、発現レベルをより 高く誘導する。REP1及びREP2遺伝子は、プラスミドコピー数の調節に関 わるタンパク質をコードしている。 前節に記載したDNA構築体を、既知の方法(例えば、酢酸 リチウム処理[Stearnsら、Methods.Enz.(前出)、280〜297頁])を使用して 酵母細胞に形質転換する。ADH2プロモーターは、生育培地中のグルコースの 枯渇に伴って誘導される[Priceら、Gene、55巻、287頁(1987)]。プレ−プロ− アルファ配列は、細胞からの融合タンパク質の分泌をもたらす。併せて、酵母K EX2タンパク質は、成熟エクソダスケモカインからプレ−プロ配列を切断する [Bitterら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、81巻、5330〜5334頁(1984)]。 あるいは、例えばPichia Expression System(Invitrogen、San Diego、カリ ホルニア州)などの市販の発現系を使用して、製造元の指示書に従ってエクソダ スを組換え法により発現させる。この系もまた、分泌を行うのはプレ−プロ−ア ルファ配列によっているが、インサートの転写はメタノールによる誘導により、 アルコールオキシダーゼ(AOX1)プロモーターによって駆動される。 分泌された組換えエクソダスは、例えば細菌及び哺乳動物細胞の上清からエク ソダスを精製するために使用された方法(前記実施例4及び5を参照)によって 、酵母生育培地から精製される。 あるいは、エクソダスをコードするcDNAは、バキュロウイルス発現ベクターp VL1393(PharMingen、San Diego、カリホルニア州)へとクローニングさ れる。このエクソダス含有ベクターは次いで、製造元(PharMingen)の指示書に 従って使用し、sF9タンパク質を含まない培地中でSpodoptera frugiperda細 胞に感染させ、組換えタンパク質が製造される。タンパク質は、ヘパリン−セフ ァロースカラム(Pharmacia、Piscataway、ニュージャージー州)と連続分子サ イズ分画カラム(Amicon、Beverly、メリーランド州)を使用して培地から精 製及び濃縮され、PBSに再懸濁される。SDS−PAGE分析により単一バン ドが示され、タンパク質のサイズを確認して、さらにそのN−末端配列をPorton 2090 Peptide SequencerでのEdman配列決定によって確認する。 実施例7 エクソダス類似体の製造 上記実施例に記載されるような組換え技術を使用して、エクソダスポリペプチ ド類似体を調製することができる。さらに詳細には、エクソダスをコードするポ リヌクレオチドを、例えば部位特異的突然変異及びポリメラーゼ連鎖反応などの 周知技術を使用して興味の対象たるポリペプチド類似体をコードするように、エ クソダスをコードするポリヌクレオチドを修飾する。概して前出のSambrookらの 第15章を参照されたい。修飾されたポリヌクレオチドは組換え法により発現さ れ、そして組換えポリペプチド類似体は、前記実施例に記載のとおりに精製され る。 エクソダス活性にとって重要な残基は、例えば他のC−Cケモカインとの相同 性により、そして元のエクソダスアミノ酸残基についてのアラニンの置換により 同定される。システインはしばしば、ジスルフィド結合形成能のためにタンパク 質の機能的完全性に対して重要である。エクソダスの4つのシステインのいずれ がが酵素活性のために重要であるか否かを調べるために、各システインをそれぞ れにセリンに変異させる。 他の類似体の例には、ケモカインと最も密接に関連するケモカインとの相同性 の増大をもたらすように設計された、エクソダスアミノ酸配列の置換体が包含さ れる。C−Cケモカインファミリーとの相同性の増大をもたらすように設計され た置換に は、成熟タンパク質の配列の第31位のアラニンのスレオニンへの置換、または 第26位のフェニルアラニンのチロシンへの置換が包含される。MIP−1α、 MIP−1β及びRANTESとの相同性の増大をもたらすと考えられる他の置 換には、エクソダスの第1〜8位の残基をMIP−1αの第1〜10位の残基ま たはRANTESの第1〜9位の残基で置換すること、第11位のロイシンをフ ェニルアラニンに置換すること、第12位のグリシンをセリンに置換すること、 第25位のグリシンをグルタミン酸に置換すること、第36位のグルタミン酸を セリンに置換すること、第46位のセリンをグルタミンに置換すること、第60 位のイソロイシンをチロシンに置換すること、第67位のセリンをアスパラギン 酸に置換することが包含される。これらの置換は、単独または組み合わせて、そ して骨髄抑制またはHIV生産の阻害におけるエクソダスの活性を増強する能力 を有することが期待されるようになされるとよい。 特定の位置でのアミノ酸の特性を増強するように設計された他の置換(例えば 、アミノ酸が疎水性ならば置換はより疎水性となるようにすべきである)、すな わち、第6位のアスパラギンをアスパラギン酸に置換すること、第18位のロイ シンをイソロイシンに置換すること、第29位のグルタミンをグルタミン酸に置 換すること、第38位のアスパラギンをアスパラギン酸に置換すること、第50 位のバリンをイソロイシンに置換すること、そして第56位のグルタミンをグル タミン酸に置換することなども、エクソダスの活性も増強するかもしれない。こ れらの置換は、単独またはあらゆる組合せで行うことができる。 例えば、様々な時間をかけてエクソヌクレアーゼIIIでエクソダスをコードす る配列の3’端を消化し、そして短くなったコード配列を、すべての3つの読み 取り枠での終始コドンをコー ドするプラスミドDNAに連結することによってC−末端欠失体を調製する。N −末端欠失体も同様に、コード配列の5’端を消化し、次いでプロモーター配列 及びプロモーター部位のすぐ上流に開始のメチオニンを含むプラスミドへ、消化 された断片を連結することによって調製される。これらのN−末端欠失類似体は 、融合タンパク質として発現されてもよい。 または、エクソダスポリペプチド類似体は、IL−8[Clark-Lewisら、J.Bio l.Chem.、266巻、128〜34頁(1991)]及びMCP−1などの他のケモカインの製 造のために首尾よく使用されている技術を使用した化学合成法によって調製する こともできる。このような方法は、迅速であり、ケモカインのような短い配列の ためには信頼度が高く、そして新規の非天然アミノ酸及び他の化学的修飾の選択 的導入を許容するので、有利である。 炎症プロセスに関わる1以上の細胞型(例えばTリンパ球、単球、マクロファ ージ、好塩基球、好酸球、好中球、肥満細胞、内皮細胞、上皮細胞等)に対する 、エクソダス類似体の特性は、数多くの他のケモカイン同様の特性をアッセイす るための使用されてきている当該技術分野において認められた技術によってアッ セイされる。骨髄増殖及びHIV生産の阻害に対するエクソダス類似体の特性は 、実施例10及び11に従ってアッセイしてもよい。 実施例8 エクソダスに対する抗体の調製 エクソダスケモカインは、本質的に実施例7に記載したとおりに、化学的に合 成した。保存のためには、1%ウシ血清アルブミン(Sigma、St.Louis、ミズー リ州)を含有するRPMI培 地にてエクソダスを希釈した。エクソダスは続いて、ヘパリンセファロースCL −6Bカラム(Pharmacia、Piscataway、ニュージャージー州)に通すことによ って培地から精製した。カラムを0.2M NaCl及び20mM Tris、pH7.5の溶液で洗浄 し、次いで0.6M NaCl及び20mM Tris、pH7.5を用いてケモカインを溶出した。 ポリクローナル抗血清を作製するために、ウサギの免疫付与用に50μgのエク ソダスをフロインド完全アジュバント中に懸濁した。21日の間隔で、50μgの エクソダスを追加抗原刺激用にフロインド不完全アジュバントに懸濁した。これ らの好血清は、ウェスタンブロットで、化学的に合成したエクソダス及びCHO 細胞由来のエクソダス(実施例4に記載のとおりに調製)を認識した。 エクソダスに対するモノクローナル抗体を作製するために、実施例3〜7まで のいずれかに記載のとおりにして得られた組換えエクソダス(例えばフロインド 完全アジュバントに10〜20μgを懸濁)をマウスに定期的に注射する。PBSに 含まれるエクソダスの融合前追加抗原刺激をマウスに付し、4日後にマウスを屠 殺して脾臓を摘出する。脾臓は10mlの無血清RPMI1640に入れ、2mM L- グルタミン、1mMピルビン酸ナトリウム、100単位/mlペニシリン、及び100μg/m lストレプトマイシンを添加した無血清のRPMI1640(RPMI)(Gibco 、カナダ)の中に浸漬した2枚のガラス顕微鏡スライドの磨りガラス状の(frost ed)端部の間で脾臓を擦り潰すことによって、単一細胞の懸濁液を形成する。細 胞懸濁液を、70メッシュのNitex細胞濾過器(Becton Dickinson、Parsippany) ニュージャージー州)を通して濾過し、そして、200gで5分間遠心分離して、 濾過物を2度洗浄し、そのペレットを、20mlの無血清RPMI 中に再懸濁する。3匹の未処置Balb/cマウスから摘出した胸腺細胞を同様に調製 して、対照として使用する。NS−1ミエローマ細胞を、11%の胎児ウシ血清( FBS)(Hyclone Laboratories,Inc.、Logan、ユタ州)を含むRPMI中にて融 合の前に対数増殖期に3日間保持しておき、200gで5分間遠心分離して、ペレッ トを前段落に記載の通りに2回洗浄する。 1x108細胞数の脾臓細胞を、2.0x107細胞数のNS-1細胞と合わせ、遠心分離して その上清は吸引する。チューブのタッピングにより細胞ペレットを変位させ、37 ℃のPEG1500(75mM Hepes、pH8.0中、50%)、(Boehringer Mannh eim)1mlを、1分間にわたってかき混ぜながら加え、続いて、無血清RPMI 7m lを7分間かけて加える。さらに8mlのRPMIを添加し、200gで10分間細胞を 遠心分離する。上清を廃棄した後、ペレットは、15%FBS、100μMヒポキサン チンナトリウム、0.4μMアミノプテリン、16μMチミジン(HAT)(Gibco)、25単 位/ml IL-6(Boehringer Mannheim)及び1.5x106細胞数の胸腺細胞/mlを含む、200 mlのRPMI中に再懸濁し、そして、96ウェルの組織培養プレート(Corning、Co rning New York)10枚に播種する。 融合後2、4及び6日目に、融合プレートウェルから100μlの培地を取り、そ して新鮮な培地に交換する。第8日目に、ELISAによって融合をスクリーニ ングし、以下の通りにエクソダスへのマウスIgG結合の存在について調べる。 Immulon 4プレート(Dynatech、Cambridge、マサチューセッツ州)を、25mM Tri s、pH7.5で希釈した、ウェル当たり100ngのエクソダスで被覆する。被覆溶液を 吸引し、ウェル当たり200μlのブロッキング緩衝液[CMF−PBS中に希釈し た0.5%サカナヒフゼラチン(Sigma)]を添加して、37℃にて30分間インキュ ベートする。プレートを、0.05% Tween 20を含むPBS(PBST)で3回洗 浄し、次いで、50μlの培養上清50μlを添加する。37℃にて30分間インキュベ ートした後、前記の通りに洗浄し、PBSTで1:3500に希釈したセイヨウワサビペ ルオキシダーゼ接合ヤギ抗マウスIgG(fc)(Jackson Immuno Research、West Groveペンシルバニア州)を50μl加える。プレートを前記の通りにインキュベー トし、PBSTで4回洗浄し、そして100mMクエン酸塩、pH4.5中、1mg/mlのo-フ ェニレンジアミン(Sigma)及び0.1μl/mlの30%H2O2からなる基質100μlを添加 する。呈色反応は、15%H2SO4を50μl加えて5分後に停止させる。プレートリー ダー(Dynatech)で、A490を読み取る。 選択された融合ウェルは、96ウェルプレートで2度希釈し、そして5日後にウ ェル当たりのコロニー数を目視評点することによってクローニングする。ハイブ リドーマによって生産されるモノクローナル抗体は、Isostripシステム(Boehri nger Mannheim、Indianapolis、インデイアナ州)を使用してアイソタイプ判定 する。 実施例9 単球走化性に対するエクソダスの効果 エクソダスの活性を、以前にMartinetら、J.Immunol.Meth.、174巻、209頁、1 994及びKellerら、J.Immunol.Meth.、1巻、165頁、1972にて報告されたとおり に走化性アッセイにて評価した。健常のボランティアから20mlの末梢血を、10ml のヘパリン化チューブに採集した。血液をPBSで1:1に希釈し、次いで10mlの Histopaque(Sigma)を下積層した。400gで25分間遠心分離した後、界面にある 細胞を集めてPBSで2度洗浄した。100U/mlのペニシリン及び100μg/mlのスト レプトマイシン (組織培養抗生物質、Life Technologies)を含むDMEM(Life Technologies 、Gaithersburg、メリーランド州)に細胞を106/mlにて再懸濁した。滅菌したウ シ血清アルブミン(Sigma)を、0.2mg/mlの最終濃度となるように添加した。 この細胞懸濁液100μlを各トランスウェル・インサート(Costar)に加えた。 抗生物質及び0.2%BSAを含み、純粋な合成エクソダスを含むかまたは含んで いないDMEMを、24ウェルプレートの下方のウェルに添加した。すべてのエク ソダス濃度につき、3重に実験した。トランスウェル・インサートを下方のウェ ルに入れ、そして37℃にて90分間インキュベートした。インキュベーション期 間の完逐時にインサートを取り出し、そしてフィルターの上部をゴム製ポリスマ ン(rubber policeman)で刷掃して接着細胞を除去した。次いで、インサート全 体をWright-Giemsaで染色した。インサートの下面に接着した細胞と、下方ウェ ルに移動した細胞とを3高力場(3 high power fields)のもとに計数し、そし て相加して総移動細胞数を求めた。 精製された合成エクソダスは、5、50及び500ng/mlの濃度で試験した。比較の ため、MIP−1αを833ng/mlの濃度で用いた。対照群は、ケモカインが含まれ ないものであった。その結果を図1に示す。数値は、3重にて行った2つの実験 の平均値、±標準誤差を表している。星印は、非対スチューデントt-検定を用い た、p<0.05での対照との統計的有意差を表す。 これらの結果から、エクソダスはトランスウェル移動により測定した場合に、 正常のヒト末梢血単核細胞の走化性を刺激することが示される。エクソダスを最 も高濃度に用いた場合に、MIP−1αの最高有効濃度よりもさらに高い効率で 走化性が刺激された。 第4残基の後にさらにアニリンを含むエクソダスであるエクソダスタンパク質 産物を用いても、同様の結果が得られた。 実施例10 骨髄性細胞の増殖に対するエクソダスの効果 A.骨髄性前駆細胞に対する効果 造血コロニー形成に対するエクソダスタンパク質産物の効果を、本質的には例 えばBroxmeterら、Blood、76巻、1110頁(1990)に以前報告されたとおりにアッセ イした。インフォームド・コンセントを得た後に、ヒト提供者から骨髄細胞を採 集した。コロニー形成単位顆粒球/マクロファージ(CFU−GM)、コロニー 形成単位顆粒球/赤血球/マクロファージ/巨核球(CFU−GEMM)または 幼若化単位−赤血球(BFU−E)分析のために、30%FCS(Hyclone)、組 換えヒトエリスロポエチン(EPO、1U/ml、Amgen、Thousand Oaks、カリホル ニア州)、組換えヒトインターロイキン−3(IL−3、100U/ml、Immunex、Se attle、ワシントン州)、及び組換えヒト幹細胞因子(SCF、50ng/ml、Amgen )を追加した、1%メチルセルロースを含むイスコフ変法必須培地(Biowhitaker 、Walkersville、メリーランド州)で、低密度のヒト骨髄細胞を5x104/mlにて播 種した。培養物を14日間、5%CO2及び低酸素圧(5%)下にインキュベートし 、次に盲検的に倒立顕微鏡を使用してコロニー形成について評点した。実施例3 にて前記したとおりに調製したエクソダスを含有する、様々な量のCOS細胞上 清を、このアッセイにおいて試験し、MIP−1α(R&D Systems、Minneapo lis、ミネソタ州)についても50ng/mlで行った。その結果を以下の表1に示すが 、これにはプレート当たりの造血前駆細胞コロニーの平均数、±標準偏差を示し て いる。 *p<0.005(他の数値は、p<0.05で対照またはpECEと有意差なし) COS細胞上清に含まれるエクソダスは、量依存的に造血前 駆細胞コロニー形成を阻害し、これはMIP−1αの最高使用量よりわずかに有 効な効果であった。COS細胞培地単独と、空のpECE発現ベクターで形質転 換しておいたCOS細胞からの培地との間に、統計的な差は認められなかった。 50ng/mlの組換えヒトMIP−1α(この量で生物学的効果は頭打ちになる)で は、CFU−GM(対照培地の43%)、BFU−E(対照の66%)、及びCFU −GEMM(対照の50%)のいずれにも統計的に有意差のある減少が認められた 。これらの実験で最も高い濃度で組換えエクソダスを用いた場合にも、やはりC FU−GM(対照の42%)、BFU−E(対照の48%)、及びCFU−GEMM (対照の48%)のいずれでも統計的に有意な減少が認められた。 エクソダスによる阻害は量依存的であり、コロニー形成阻害アッセイによって 測定すると、最も高い3つのレベルのエクソダスによって、造血前駆細胞の増殖 の阻害が示された。しかしながら、使用された最も低濃度のエクソダスでは、か かる阻害は示されなかった。MIP−1αと同様に、エクソダスは多重線型に前 駆細胞を阻害した。 精製された合成エクソダスも、このアッセイにおいて試験した。その結果を以 下の表2に示すが、これには、プレート当たりの造血前駆細胞コロニーの平均数 、±標準偏差を示している。 25ng/mlに至るまでの3種すべての濃度のエクソダスのコロニー形成の減少は 統計的に有意(スチューデントT検定)であった(p<0.005)。精製された合 成エクソダスは、COS細胞上清中のエクソダスと同様の挙動を示す。いずれの 供給源からのエクソダスも、MIP−1αよりも劣ることがあるにしても少なく とも造血骨髄前駆細胞増殖を阻害するのに有効である。 第4残基の後にさらにアニリンを含むエクソダスである、精製された合成エク ソダスタンパク質産物を用いてコロニー形成アッセイによって測定しても、造血 前駆細胞の増殖の阻害を示す同様の結果が得られた。 これらの結果から、エクソダスタンパク質産物は造血前駆細胞の増殖を阻害す ることが示される。事実、エクソダスタンパク質産物はMIP−1αと同程度に 有効であった。このことは、エクソダスタンパク質産物が周期特異的な化学保護 剤として有用であろうことを示唆するものである。 さらなる実験により、マウスにおける造血に対するin vivoのエクソダスタン パク質産物の効果が確認された。実験は、本質的にBroxmeyerら、Ann.Hematol. 、71巻、235〜246頁(1995)に記載の通りに、未処置の純粋な合成エクソダス、及 びMantelら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、90巻、2232〜2236頁(1993)に記載のと おり30%アセトニトリル/1%トリフルオロ酢酸(ACN)溶液で処置したエクソ ダスを使用して行った。マルチマーとして溶液中に存在しているケモカインに対 し、ACNでの処置はモノマーの形成を促進し、このモノマーがin vivoでの活 性型であって、しかしてケモカイン活性が増強されるのである。ACNで処置さ れたケモカインは、未処置ケモカインよりも200倍低い濃度で活性を有しうる。 概略説明すると、未処置またはACNで処置されたエクソダ スの溶液を、0.001から50ng/mlエクソダスの間の様々な濃度に調製した。ACN 処置または未処置の希釈液を、ACNが毒性でないことを示すための対照として 用いた。正常なC3H/HeJマウスに各溶液を0.2mlの用量で静脈内注射し、 24時間後に屠殺した。未分離の骨髄細胞を大腿骨から取り、そして、CFU− GM評価のためには10容量%ヤマゴボウ(pokeweed)マイトジェン・マウス脾臓 細胞馴化培地(PWMSCM)を含む寒天か、またはBFU−E/CFU−GE MMの評価のためにはヒトエリスロポエチン(Epogen(商標名)、Amgen、Thous and Oaks、カリホルニア州)、PWMSCM及びヘミン(Eastman Kodak Co、Ro chester、ニューヨーク州)を含むメチルセルロースかのいずれかに播種した。5 %CO2及び5%O2にて、ESPEC N2-O2-CO2インキュベーターBNP−210( Taboi ESPEC Corp.、South Plainfield、ニュージャージー州)で加湿下に 7日間インキュベートした後に、コロニー数を定量した。結果を図2に示す。 その結果より、25ng/mlのエクソダス0.2mlを単回注射した場合に、未処置エク ソダスはCFU−GMコロニー形成を対照の平均56%に減少させることが示され た。ACNで処理されたエクソダスは、0.1ng/mlのエクソダス0.2mlを単量注射 した場合に、CFU−GMコロニー形成を対照の平均53%に減少させた。ACN 処置または未処置エクソダスの双方によって誘導されるin vivoのCFU−GM 形成の阻害は、p<0.05にて統計的に有意なものであった。 別の実験で、造血前駆細胞のin vivoの循環に対する未処置エクソダスの効果 を、本質的にBroxmeyerら、Ann.Hematol.(前出)及びMantelら、Proc.Natl.Aca d.Sci.USA(前出)に記載の通りに、トリチウム化チミジン殺傷アッセイを用い て評価した。 概説すると、マウスを様々な濃度の未処置エクソダス(0.5、1もしくは0.1ng/ml )単独、または他の未処置ケモカインと組み合わせて(0.01もしくは0.1ng/mlの MCP−1またはMIGと共に、0.01もしくは0.1ng/mlのエクソダス)で処置し た。24時間後にマウスを屠殺し、そしてトリチウム化チミジン殺傷アッセイ用 に骨髄を集めた。S期の細胞周期にある細胞が優先的にチミジンを取り込むので 、細胞はトリチウム化チミジンの取り込みによって殺傷され、S期にない細胞は 傷つけられない。トリチウム化チミジンで処置しなかった細胞の対照コロニー数 に基づいて殺傷された細胞数を計算することによって、S期にある細胞の数を概 算する。数値は、S期にある前駆細胞の百分率として表され、大腿骨当たりの前 駆細胞の総数に対して標準化される。CFU−GMについての結果を図3に示す 。 その結果より、マウス1匹当たり10ngのエクソダスを単回注射すると、S期に あるCFU−GMの平均対照値56%に比較して、細胞周期のS期にあるCFU− GM前駆細胞の百分率が平均4%に有意に低下することが示された。加えて、エ クソダスにより誘導されたCFU−GMに対する細胞周期進行の阻害は、MCP −1及びMIG処置と相乗的なものであった。非常に低濃度のエクソダスをMI GまたはMCP−1と共に注射すると、S期にあるCFU−GMがさらに大幅に 減少した。従って、ケモカインの併用により、さらに強力な造血の阻害がなされ うる。 これらの結果より、エクソダスは骨髄前駆細胞の細胞周期の進行を一時的に停 止させることができ、しかしてS期細胞に毒性を有する化学療法に対して骨髄を 保護するために使用することができる。 B.骨髄性細胞系に対する効果 サイトカイン依存性の骨髄性細胞系の増殖に対するエクソダスタンパク質産物 の効果も調べた。ヒト骨髄性細胞系TF−1及びMO7E[Avanziら、Brit.J.H aematol.、69巻、359頁(1988)]は、最高度に増殖するためにGM−CSF及び SCFを必要とする。サイトカイン依存性の幼若(primitive)急性骨髄性白血 病細胞系TF−1及びMO7E(双方ともインディアナ大学、インディアナ州の Broxmeyer博士から供与された)を、10%FCS及び100U/mlペニシリン及び100 μg/mlストレプトマイシン(組織培養抗生物質、Life Technologies、Gaithers- burg、メリーランド州)を含むRPMI1640にて培養した。この培地には、 正常な対数増殖期とするために、顆粒球−マクロファージコロニー刺激因子(G M−CSF、100U/ml、Immunex、Seattle、ワシントン州)及び幹細胞因子(S CF、50ng/ml、Amgen、Thousand Oaks、カリホルニア州)が追加された。 実施例3に記載の通りに調製されたCOS細胞上清中のエクソダスを、最終希 釈率1/10にて試験した。GM−CSF及びSCFの存在下に対数増殖期のMO 7EにCOS細胞上清を添加すると、その後72時間にわたる増殖が対照の10.4 %に減じられた。やはり継続的にGM−CSF及びSCFに曝された、対数増殖 期のTF−1細胞にCOS細胞上清を添加すると、増殖が完全に阻害された。エ クソダスで処置した細胞は、トリパンブルー排除(exclusion)によって評価し た場合に全ての時点で95%を越える生存率を有していたので(対照細胞と同等) 、エクソダスが毒性作用を奏しているのではなかった。 精製された合成エクソダスは、図6に示す通り、MO7E細胞の増殖も完全に 阻害した。各データポイントは、4つの別々の実験の平均である。星印は、対合 t-検定を使用した場合に、 p<0.05で統計的に有意であることを表す。やはりエクソダスの添加で生存が変 化することはなかった。 これらの結果から、エクソダスは慢性骨髄性白血病などの骨髄増殖性疾患を処 置するうえで有用であろうことが示唆される。 C.慢性骨髄性白血病前駆細胞に対する効果 慢性骨髄性白血病(CML)における前駆細胞増殖に対するエクソダス(「エ クソダス−1」とも称する)の効果を、Hromasら、Blood、89巻、3315〜3322頁( 1997)に記載されるごときコロニー形成アッセイを使用して評価した。概説する と、骨髄細胞を、慢性期の6名のCML患者から集めた。30%胎児ウシ血清、1U /mLのヒトエリスロポエチン(Epogen(商標名)、Amgen)、100U/mLのヒトイン ターロイキン−3(Genetics Institute)及び50ng/mLのヒト幹細胞因子(Amgen )を追加した、1%メチルセルロースを含むイスコフ変法ダルベッコ培地で、100 ng/mlのエクソダスの存在または非存在下、及び100ng/mlのMIP−1αの存在 下または非存在下に、低密度の骨髄細胞を5x104細胞数/mLにて播種した。培養物 を14日間、5%CO2及び低酸素圧(5%)下にインキュベートし、次に倒立顕微 鏡を使用してCFU−GM、CFU−GEMM及びBFU−Eについて評点した 。エクソダスまたはMIP−1αで処置した培養物についてのコロニー数を対照 のコロニー数と比較して、対照CFUまたはBFUの百分率として表現した。得 られたデータを以下の表3に示す。 *非対スチューデントt-検定を用い、有意差あり(p<0.05) これらのデータによって、慢性期にあるCMLの6名の患者において、エクソ ダスが顕著に前駆細胞のコロニー形成を阻害したことが証明される。エクソダス は、増殖の抑制においてMIP−1αよりも随分有効であり、MIP−1αが活 性化しない受容体によってエクソダスの効果が媒介されることが示唆されている 。 CML前駆細胞は、BCR−ABL融合オンコタンパク質(増殖を刺激する、 構成性に活性化されている細胞質チロシンキナーゼ)を過剰発現している。事実 、細胞培養におけるBCR−ABLの強制過剰発現は、NIH 3T3細胞を含 む多くの細胞型における形質転換である。3名の慢性期CML患者からの前駆細 胞の細胞周期進行に対するエクソダスの効果を、さらに前記のトリチウム化殺傷 アッセイを使用して調べた。CML前駆細胞のエクソダス処置によって、平均で 、CFU−GMの 55±5%、BFU−Eの45±13%、及びCFU−GEMMの50±10%、細胞周期 の進行が停止された。このように、エクソダスの阻害シグナルは、CML前駆細 胞におけるBCR−ABLの果敢な増殖シグナルを凌ぐことができた。 これらの結果、エクソダスは造血を抑制し、そして慢性期のCMLを処置する ために有効でありうることが示唆される。 実施例11 HIV増殖に対するエクソダスの効果 p24タンパク質のHIV生産により測定した場合に、HIV増殖をエクソダ スタンパク質産物が阻害する能力を、Cocchiら、Science、270巻、1811頁(1996) に以前報告された通り、標準p24 ELISAアッセイを用いて調べた。健常 なボランティアのヒトの末梢血単核細胞を、Ficoll勾配にて単離した。これらの 細胞を、10%FCS(Hyclone)ならびに100U/mlペニシリン及び100μg/mlスト レプトマイシン(組織培養抗生物質、Life Technologies、Gaithersburg、メリ ーランド州)を含む、RPMI1640中の1ng/mlのPHA(Sigma、St.Louis 、ミズーリ州)で37℃にて48時間活性化し、完全培地で洗浄して、次に37℃に て完全培地中で1時間、TCID50=5000のHIV株BAL(ATCCより)ま たはA018−H112−2(ATCCより)で感染させた。次いで過剰のウイ ルスを除去するために培地で細胞を3回洗浄し、そして組換えヒトIL−2(10 ng/ml、Boehringer-Mannheim、Indianapolis、インディアナ州)と、組換えエク ソダスまたは対照としてpECEでトランスフェクトされたCOS細胞上清を含 む完全培地にて、1つの試験当たり5x105細胞数/0.3mlとなるように再懸濁した 。6日間培養した後、酵素結合免疫吸収アッセイ (ELISA、Abbott Laboratories、Chicago、イリノイ州)を使用して、細胞 を含まない上清をHIV p24の含量について評価した。実験は、3重試験に て実施した。 最終的な希釈率1:2のエクソダス含有COS細胞上清(すなわち、各ウェルの 合計0.3ml中にCOS細胞上清を0.15ml)、最終的な希釈率1:4のエクソダス含 有COS細胞上清、625ng/ml及び1250ng/mlのMIP−1α(図7の、それぞれ 第1バー及び第2バー)ならびにpECE COS細胞上清(エクソダスを含ま ない)を、感染後6日目に測定した。結果を図7に示す。PMAによって刺激さ れた正常ヒト末梢血単核細胞は、HIVの2種の株で多重感染され、エクソダス は双方の株にてHIV増殖を有意に阻害することができた。使用したうちで最高 濃度のエクソダスにて、HIV株BALの増殖は対照の39%に減じられ、一方H IV株A018の増殖は対照の27%に減じられた。この阻害の程度はエクソダス の濃度を低減すると低下した。加えて、これら実験の陽性対照として使用したM IP−1αで認められたものと、前記阻害は合致していた。対照の細胞とエクソ ダスで処置した細胞との生存に差がなかったので、エクソダスによる阻害は細胞 毒性に起因するのではなかった。 1μg/mlの濃度の、精製された合成エクソダスタンパク質産物(第4残基の後 にさらにアニリンを含むエクソダス)と、1μg/mlの濃度のMIP−1αについ ての、同様の結果を図8に示す。結果は、感染後3、6及び9日のものを示す。 感染後9日目に、エクソダスの阻害効果は同じ濃度のMIP−1αで認められる 効果と同様であった。この予備的実験において、1μg/mLより低い濃度ではエク ソダスタンパク質産物の効果は認められなかった。 これらの結果より、エクソダスタンパク質産物はHIVの増 殖を阻害し、従って、HIV感染に対する抵抗性を増強する方法及びHIV感染 を処置する方法において有用であろうことが示唆される。 実施例12 ヒト単球/マクロファージ及びヒト好中球に対する、 エクソダスの化学誘引及び細胞活性化特性のアッセイ ヒト単球/マクロファージまたはヒト好中球へのエクソダスの効果を、例えば 、ネズミTCA3で誘導される好中球及びマクロファージの活性化を評価するた めの、Deviら、J.Immunol.、153巻、5376〜5383頁(1995)により報告された方法 によって評価する。かかる実験にて測定される活性化の指標には、インテグリン の活性化に起因するフィブリノゲンへの接着の増大、走化性、活性チッ素中間体 の誘導、レスピラトリー・バースト(超酸化物及び過酸化水素の生産)、ならび にサイトカラシンの存在下でのリゾチーム及びエラスターゼのエキソサイトーシ スが包含される。Deviらによって論じられたように、これらの活性は炎症に対す る白血球の応答の様々な段階に相関している。この白血球応答(Springerら、Ce ll、76巻、301〜314頁(1994)に概説)には、血管の内皮細胞への白血球の接着、 内皮層を通過しての移動、ケモカインの供給源に向かっての走化性、及び炎症メ ディエータの部位特異的遊離が包含される。これらのいずれかの段階でのエクソ ダスの関与によって、炎症応答をモジュレートすることによる臨床的介入のため の重要な標的が提供されるのである。 実施例13 エクソダスIn Vivo腫瘍成長阻害アッセイ エクソダスの腫瘍成長阻害特性を、例えば、Laningら、J.Immunol.、153巻、4 625〜4635頁(1994)により報告された、ネズミTCA3の腫瘍成長阻害特性をア ッセイするためのプロトコルの変法によってアッセイする。エクソダスをコード するcDNAを、ミエローマ由来の細胞系J558(American Type Culture Collec tion、Rockville、メリーランド州)へとエレクトロポレーションによってトラ ンスフェクトする。トランスフェクト体は、実施例8にて詳説したような、エク ソダスに対して作製されたモノクローナル抗体を使用して、ELISA(酵素結 合免疫吸収アッセイ)などの標準的技術により、エクソダスの製造についてスク リーニングする。エクソダスを製造するクローン由来の1千万の細胞数の集塊を 、BALB/cマウスの右下4分の1区(quadrant)へ皮下注射する。比較のた め、トランスフェクトしていない1千万個の細胞を対照のマウスに注射する。2 つの群における腫瘍形成の速度及び頻度を比較し、腫瘍の成長阻害へのエクソダ スの有効性を調べる。腫瘍細胞に続いて関係する細胞浸潤の性質を、組織学的手 段によって同定する。加うるに、組換えエクソダス(20ng)を、トランスフェク トしていないJ558細胞と混合し、そしてかかる細胞に由来する腫瘍へ注射( 1日当たり20ng)して、腫瘍細胞へ外来的に投与されたエクソダスの効果をアッ セイする。 実施例14 腹腔内注射アッセイ in vivoでエクソダスに応答する細胞を、Luoら、J.Immunol.、153巻、4616〜4 624頁(1994)により報告されたように、マウスの腹腔内へ精製エクソダスを1〜10 0ng注射することによって判定する。注射した後に、末梢血及び腹腔から白血球 を単離して、 Diff Quickキット(Baxter、McGraw、イリノイ州)を用いて染色することにより 同定する。異なる細胞型の出現の動態を評価するために、様々な時間で白血球の 外形(profile)を測定する。別の実験で、エクソダスに対して作製された中和 抗体(実施例8)をエクソダスと共に注射して、白血球の浸潤がエクソダスの活 性に起因することを確認する。 実施例15 In vivo活性アッセイ−皮下注射 エクソダスの化学誘引特性を、例えば、Meurerら、J.Exp.Med.、178巻、1913 〜1921頁(1993)により報告されたプロトコルを適用することによって、in vivo でアッセイする。組換えエクソダス(1箇所当たり10〜500pmol)を、好適な哺 乳動物、例えばイヌまたはウサギの皮内に注射する。4時間から24時間までに 、注射した部位における細胞浸潤を組織学的方法によって評価する。エクソダス の存在は、エクソダスに対して作製した抗体を使用する免疫細胞化学によって確 認する。細胞浸潤の性質は、BaxterのDiff Quickキットで染色することによって 同定する。 実施例16 エクソダス受容体のクローニング エクソダス受容体をコードするDNAを、IL−8受容体遺伝子の単離(Holm esら(前出))、及びMCP−1受容体遺伝子の単離(Charoら(前出))につ いて以前報告された方法を適用することによってクローニングする。 cDNAライブラリーを、好ましくは走化性及び活性化によってエクソダスに応答 する細胞から調製する。エクソダスに対す る受容体を高レベルで発現している細胞型を同定するために、放射線ラベルした エクソダスも使用することができる。MIP−1αもしくはRANTESに応答 しない細胞、またはこれらのリガンドに応答して異なるパターンの受容体減感を 示す細胞が、特に好ましい。cDNAライブラリーの、トランスフェクトされたクロ ーンのプールを、オートラジオグラフィーによって放射線ラベルされたエクソダ スの結合についてスクリーニングする。陽性のプールを連続的に亜分画して、個 々の陽性クローンが得られるまで再スクリーニングする。 あるいは、PCRプライマーの配列が既知ケモカイン受容体の配列の保存され た領域に基づくものである、縮重PCRストラテジーを使用してもよい。エクソ ダス受容体を単離する可能性を高めるために、反応に使用する鋳型DNAは、エ クソダスに応答性を有する細胞型に由来するcDNAであるとよい。 本発明を、特定の実施態様に関して記載しているが、当業者にあっては変更及 び修飾が想起されるであろうことが理解される。従って、本発明は請求の範囲に よってしか限定を受けるべきではない。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C07K 14/52 C12N 1/15 16/24 1/19 C12N 1/15 1/21 1/19 C12P 21/02 C 1/21 21/08 5/10 C12N 15/00 ZNAA C12P 21/02 5/00 A 21/08 A61K 37/02 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF ,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE, SN,TD,TG),AP(GH,KE,LS,MW,S D,SZ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG ,KZ,MD,RU,TJ,TM),AL,AM,AT ,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,CA, CH,CN,CU,CZ,DE,DK,EE,ES,F I,GB,GE,HU,IL,IS,JP,KE,KG ,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT, LU,LV,MD,MG,MK,MN,MW,MX,N O,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG ,SI,SK,TJ,TM,TR,TT,UA,UG, UZ,VN

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.配列番号:2に示されるエクソダスのアミノ酸配列をコードする、精製さ れたポリヌクレオチド。 2.前記ポリヌクレオチドがDNAである請求の範囲第1項記載のポリヌクレ オチド。 3.前記DNAが、配列番号:1の第43〜327位のヌクレオチドよりなる ヌクレオチド配列を含む請求の範囲第2項記載のポリヌクレオチド。 4.配列番号:2の第1〜73位のアミノ酸をコードする、精製されたポリヌ クレオチド。 5.前記ポリヌクレオチドがDNAである請求の範囲第4項記載のポリヌクレ オチド。 6.前記DNAが、配列番号:1の第109〜327位のヌクレオチドよりな るヌクレオチド配列を含む請求の範囲第5項記載のポリヌクレオチド。 7.請求の範囲第2、3、5または6項記載のDNAを含むベクター。 8.発現ベクターであり、前記DNAが、発現制御DNA配列と作動可能に連 結されている請求の範囲第7項記載のベクター。 9.請求の範囲第2、3、5または6項記載のDNAで、工クソダスの発現が 許容されるように安定に形質転換またはトランスフェクトされた宿主細胞。 10.エクソダスを製造するための方法であって、以下の工程すなわち、請求の 範囲第9項記載の宿主細胞を栄養培地にて培養し、そして該宿主細胞または該栄 養培地からエクソダスを単離する工程を含む方法。 11.請求の範囲第10項記載の方法によって製造された、精製されたポリペプ チド。 12.配列番号:2に示されるエクソダスのアミノ酸配列を含む、精製されたポ リペプチド。 13.配列番号:2に示されるエクソダスのアミノ酸配列第1〜73位を含む、 精製されたポリペプチド。 14.請求の範囲第15項記載のポリペプチドと特異的な反応性を有するモノク ローナル抗体を生産するハイブリドーマ細胞系。 15.請求の範囲第14項記載のハイブリドーマによって生産されるモノクロー ナル抗体。 16.HIVの増殖を阻害するに有効な量のエクソダスタンパク質産物を、被験 者に投与する工程を含む、ヒト免疫不全ウイ ルス(HIV)感染への耐性の増強方法。 17.前記被験者が、HIVに曝されるおそれがあるか、HIVに曝されている か、またはHIVに感染している請求の範囲第16項記載の方法。 18.ヒト免疫不全ウイルス(HIV)の増殖を阻害するに有効な量のエクソダ スタンパク質産物を、HIVに感染した被験者に投与する工程を含む、HIV感 染の処置方法。 19.HIV感染の予防または治療処置用の医薬の調製における、エクソダスタ ンパク質産物の用途。 20.前記医薬が、HIV増殖を阻害する請求の範囲第19項記載の用途。 21.骨髄前駆細胞の増殖を抑制するに有効な量のエクソダスタンパク質産物を 被験者に投与する工程を含む、骨髄前駆細胞を細胞毒性効果から保護する方法。 22.前記被験者が、化学療法または放射線療法を受けている、請求の範囲第2 1項記載の方法。 23.骨髄前駆細胞増殖の抑制用の医薬の調製におけるエクソダスタンパク質産 物の用途。 24.前記医薬が、化学療法または放射線療法を受けている被験者に投与される 、請求の範囲第23項記載の用途。 25.悪性骨髄前駆細胞増殖を抑制するに有効な量のエクソダスタンパク質産物 を、骨髄増殖性疾患に罹患している被験者に投与する工程を含む、骨髄増殖性疾 患の処置方法。 26.前記骨髄増殖性疾患が、慢性骨髄性白血病、本態性血小板増加症、骨髄線 維症、または真性赤血球増加症である、請求の範囲第25項記載の方法。 27.骨髄増殖性疾患の処置用の医薬の調製におけるエクソダスタンパク質産物 の用途。 28.前記骨髄増殖性疾患が、慢性骨髄性白血病、本態性血小板増加症、骨髄線 維症、または真性赤血球増加症である、請求の範囲第27項記載の用途。
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