以下、図面を参照して本発明を詳細に説明する。
以下、図面を参照しつつ、次の流れに沿って本発明の実施形態を詳細に説明する。
1.機械的構成
1.1 インクタンク
1.2 変形例
1.3 インクタンク取り付け部
1.4 記録装置
2.制御系の構成
2.1 全体構成
2.2 接続部の構成
2.3 制御手順
3.他の実施形態
1. 機械的構成
1.1 インクタンク(図1〜図5)
図1(a)、(b)および(c)は、それぞれ、本発明の第1の実施形態に係る液体収納容器であるインクタンクの側面図、正面図および底面図、図2はその側断面図である。なお、本説明において、インクタンクの正面とは、ユーザに向き合うことでその操作(着脱操作等)およびユーザへの情報提供(後述するLEDの発光)を可能とする面を言う。
図1において、本実施形態のインクタンク1は正面側の下部に支持された支持部材3を有している。支持部材3はインクタンク1の外装と一体に、樹脂により形成されており、後述するタンクホルダへの装着操作等を行う際に被支持部を中心に変位可能な構成である。インクタンク1の背面側および正面側には、タンクホルダ側の係止部にそれぞれ係合可能な第1係合部5および第2係合部6(本例では支持部材3に一体化されている)が設けられ、これらの係合によってインクタンク1のタンクホルダへの装着状態が確保される。この装着時の動作については図15により後述する。
インクタンク1の底面には、タンクホルダへの装着時に、後述する記録ヘッドのインク導入口と結合してインク供給を行うためのインク供給口7が設けられている。この底面と正面とが交わる部分にあって、支持部材3の支持部分の底面側には、本実施形態の主要部をなす基体が設けられている。基体の形状としてはチップ形状でも板状であっても良いが、以下では基板100として説明する。
図2はインクタンク1の側断面図である。インクタンク1の内部は、支持部材3および基板100が設けられる正面側に位置するインク収納室11と、背面側に位置してインク供給口7に連通する負圧発生部材収納室12とに分割されており、両者は連通口13を介して接続されている。インク収納室11にはインクがそのまま貯留される一方、負圧発生部材収納室12には、インクを含浸保持するスポンジや繊維集合体等のインク吸収体15(以下、便宜的に多孔質部材と示す)が設けられている。この多孔質部材15は、記録ヘッドのインク吐出用のノズル部に形成されるメニスカスの保持力と平衡してインク吐出部からのインク漏れを防止するに十分で、かつ記録ヘッドのインク吐出動作が可能な範囲にある適切な負圧を発生するためのものである。
負圧発生部材収納室12の上面には、記録ヘッドへのインク供給に伴って増大する負圧を緩和し、これを好ましい所定範囲に維持すべく外気を導入するための大気連通部12Aが設けられている。
また、図2のインクタンク1は、後述の基板が配設されたインクタンク1の本体を用意してから、内部にインクを注入することで製造することができる。その方法を実施するためのインクの注入口は、例えばインク収納室11の上面に形成しておくことができる。そして、インク注入後に、注入口を封止部材11Aによって封止することができる。
インクタンク1の使用が開始され、インクが消費されはじめた以降、例えば収納するインク残量が実質的になくなってから、封止部材11Aを取り外し、またはこれを破壊することで注入口を再形成し、注射器等を用いてインクを注入することも可能である。そして、必要に応じ封止部材11Aまたはその代替部材で注入口を封止することも可能である。あるいは、そのような当初形成されていた注入口を利用する代わりに、例えばインク収納室11の上面の別の部位に開口を形成し、この開口を通してインクを注入してから、必要に応じてこれを封止することも可能である。例えば収納するインク残量が実質的になくなったインクタンクに対しそれらのようにしてインクを注入することも、本発明に係るインクタンク製造方法の実施に含まれる。
さらに、インク供給口7に対しては、製造されたインクタンク1の物流時や保管時等におけるインク漏出を防止するための封止部材7Aが着脱可能である。この封止部材7Aはキャップやテープ状の部材など、所定の封止性能が発揮され、かつ記録ヘッドへインクタンクの取り付けを行う際に取り外し可能なものであればいかなる形態でもよい。また、使用開始後において記録ヘッドからインクタンクを取り外した場合に、封止部材7Aまたはその代替部材でインク供給口7の封止を行うようにすることもできる。
なお、インクタンク1の内部構成は、このような多孔質部材の収納室とインクをそのまま貯留する収納室とに分かれた形態に限られない。例えば、多孔質部材がインクタンク内部空間の実質的に全体に充填されるものでもよい。また、負圧発生手段として多孔質部材を用いるのではなく、容積を拡張する方向に張力を発生するゴム等の弾性材料で形成した袋状部材内にインクをそのまま充填し、この袋状部材が発生する張力によって内部のインクに負圧を作用するようにしたものでもよい。さらには、インク収容空間の少なくとも一部を可撓性部材で構成し、その空間内にインクだけを収容するとともに、可撓性部材にばね力を作用させることで負圧を発生させるようにしたものでもよい。これらの場合も上述と同様のインク注入を行うことでインクタンクを製造することが可能である。また、これらの場合、記録ヘッドへのインク供給に伴って増大するインク収容空間内の負圧を緩和し、これを好ましい所定範囲に維持すべくインク収容空間内に外気を導入するための大気連通部が一般に設けられる。そこで、その大気連通部位を利用してインク注入を行うようにすることもできる。
インク収納室11の底部には、インクタンク1の装置への装着時において装置側に設けられたインク残量検出用センサ(後述)と対向可能な部位に、被検出部17が設けられている。本実施形態において、インク残量検出用センサは発光部および受光部を有する光センサである。また、被検出部17は、透明もしくは半透明な材質からなり、かつインク非収納時には適切に発光部からの光を反射させて受光部(後述)に戻すことができるように形状,角度等が定められた斜面部を有したプリズム状のものである。
図3〜図5を用い、本実施形態の主要部である基板100の構成および機能について説明する。ここで、図3(a)および(b)は本発明の第1の実施形態に係るインクタンクに配置される基板の機能の概略を説明するための模式的側面図である。図4(a)および(b)は、それぞれ、図3の主要部の拡大図およびそのIVb方向断面の矢視図である。図5(a)および(b)は、それぞれ、第1の実施形態に係るインクタンクに取り付けられる制御基板100の一例を示す側面図および正面図である。
記録ヘッド105’を備えた記録ヘッドユニット105に一体化されているホルダ150の第1係止部155および第2係止部156に対し、インクタンク1の第1係合部5および第2係合部6がそれぞれ係合する。これにより、インクタンク1がホルダ150に装着され、固定される。またこのとき、ホルダ150に設けられた接点(以下コネクタと称す)152と、インクタンクに設けられた基板100の外側に向かって位置する面に設けられた接点としての電極パッド102(図5(b))とが接触し、電気的接続が可能となる。
インクタンク1の内側に向かって位置する基板100の面には、LEDなど可視光を発生する第1発光部101と、この発光部を制御する制御素子103とが設けられている。制御素子103は、コネクタ152よりパッド102を介して供給される電気信号により、第1発光部101の発光の制御を行う。なお、図5(a)は、制御素子103を基板100に実装した後に、保護用の封止剤でこれを被覆した状態を示している。また、インクタンクが収納しているインクの色やインク残量などの情報を記憶させておくメモリ素子を搭載する場合にも、これを同じ位置に実装して封止剤で被覆することができる。
ここで、上述したように、インクタンク1の底面および正面をなす両面が交わる部分にあって、支持部材3の支持部分の下方には、本実施形態の主要部をなす基板100が配設されている。この配設部位において、インクタンク1には両面をつなぐ斜面が形成されている。従って、第1発光部101が発光すると、その一部は斜面に沿ってインクタンク1の正面側から外に向かって投光される。
かかる配置とした基板100を用いることで、記録装置(ひいてはこれが接続されるコンピュータなどのホスト装置)だけでなく、ユーザに対しても、第1発光部101を兼用してインクタンク1に係る所定の情報を直接提示することが可能となる。すなわち、図3(a)に示すように、ホルダ150を搭載するキャリッジの走査範囲の端部にあって図の右上方向に投光される光を受容する位置に受光部を配置し、その部位にキャリッジが位置したときに第1発光部101の発光を制御する。これにより、記録装置側は受光部の受光内容からインクタンク1に係る所定の情報を認識することが可能となる。また、例えば走査範囲の中央にキャリッジを位置させて第1発光部101の発光を制御することで、図3(b)に示すように、ユーザはその発光状態を目視することによりインクタンク1に係る所定の情報を認識することが可能となる。
インクタンク(液体収容容器)1の所定の情報とは、インクタンク1の装着状態の良否(すなわち装着が完全であるか否か)、装着位置の適否(インク色に対応して予め定められているホルダ上の装着位置に正しく装着されているか否か)である。さらにはインク残量の有無(十分なインク量が残っているか否か)などである。そして、発光の有無や発光の状態(点滅など)によりそれらの情報の提示が可能となるのである。発光の制御およびそれに伴う情報提示の態様については、制御系の構成の説明の項において詳述する。
上記基板100ないし第1発光部101の配置および動作に好ましい構成としては、図4(a)および(b)に示すものが挙げられる。すなわち、第1発光部101および制御素子103が設けられている基板100の面に対向するインクタンク1の部分には、少なくとも光軸(矢印)に沿って空間1Aを形成しておくことが望ましい。これは、第1発光部101により発光された光が第1受光部210やユーザの視界に円滑に到達するようにする目的である。また、同じ目的のために、支持部材3の配設位置および形状を適切に定めることで、光軸が遮断されないようにする。さらに、ホルダ150には光軸を確保するための穴(もしくは光透過性の部分)150Hが設けられている。
1.2 変形例(図6〜図13)
以上述べた構成は例示であって、第1発光部101を兼用して記録装置およびユーザに対しインクタンク1に係る所定の情報を提示することが可能であれば、適宜の変形を行うことができる。この項ではそのいくつかについて説明する。
図6(a)および(b)は、それぞれ、第1の実施形態に係るインクタンクに取り付けられる制御基板の変形例を示す側面図および正面図である。この例は、光が特に第1受光部210およびユーザの目の位置に向う方向に指向するようにしたものである。このためには、第1発光部101の姿勢を適切に定めた配置を行うほか、当該指向を行わせるための部材(レンズ等)を設けることができる。
図7(a)および(b)に示す例は、インクタンク1の内側に向かって位置する基板100の面には第1発光部101のみが位置するようになし、制御素子103を電極パッド102とともに基板100の外側に向かって位置する面に設けたものである。この結果、第1発光部101が発する光は制御素子103に遮られることがないので、基板100の面に沿って斜め上方だけでなく斜め下方にも向かうものとなる。
図8はかかる構成の制御基板が配設されたインクタンクの使用態様を説明するための側面図である。この図から明らかなように、第1発光部101はユーザが目視可能な図の右上方向だけでなく、左下方向にも投光する。そこでこの左下方向に向かう光軸上に第1受光部210を配置することで、記録装置側がインクタンク1に係る所定の情報を受け取ることが可能となる。
図9は図7の制御基板が配設されたインクタンクの使用態様の他の例を説明するための側面図である。この例は、インクタンク1の装置への装着時において、プリズム状の被検出部17に対向可能に、光センサ形態のインク残量検出用センサ117を記録装置に設ける場合に適している。すなわち、インク残量検出用センサ117は発光部117Aおよび受光部117Bを有し、インクタンク1のインク室11のインク残量が少ない状態では、発光部117Aからの光がプリズム状被検出部17で反射されて受光部117Bに戻される。これにより、装置はその状態を認識できる。本例はこの受光部117Bを第1発光部101からの光の受光部に兼用し、インクタンク1の装着の有無や適否をも装置が認識することができるようにしたものである。
図10(a)および(b)に示す例は、インクタンク1の内側に向かって位置する基板100の面に制御素子103を配置する一方、第1発光部101を電極パッド102とともに基板100の外側に向かって位置する面に設けたものである。この結果、第1発光部101が発する光は基板100の面から外側に向かう方向にも進行するものとなる。
図11はかかる構成の制御基板が配設されたインクタンクの使用態様を説明するための側面図である。この図から明らかなように、第1発光部101はユーザが目視可能な図の右上方向だけでなく、右下方向にも投光する。そこでこの右下方向に向かう光軸上に第1受光部210を配置することで、記録装置側がインクタンク1に係る所定の情報を受け取ることが可能となる。
以上の各構成においては、ユーザの目や受光部に向かう光軸が積極的に確保されるように、光軸を遮る部材の位置や形状を適切に定めたり、開口や透光性の部分を設けたりすることが好ましい。しかしこれによらずとも、ユーザの目や受光部に光を導く構成を採ることは可能である。
図12(a)および(b)は、そのための構成例を示すものであり、第1発光部101が発する光を所要の位置に向けて導くための光ファイバなどの導光性部材154を配設してある。すなわち、かかる導光性部材154によって、第1受光部210(図12(a))およびユーザの目(図12(b))に対し、インクタンク1に係る所定の情報を伝達することが可能となる。
以上は主として、制御基板の第1発光部101に関連した諸構成例であるが、パッド102に対しても適切な配置を行うことができる。
図13(a)および(b)は、それぞれ、インクタンクに取り付けられる制御基板のさらに他の例を示す側面図および正面図である。上述の諸例では複数の電極パッド102を基板100の面に整列させて設けたが(例えば図5(b))、本例はこれら複数の電極パッド102を基板100の面に分散して(図では千鳥状に)配置している。この配置が有利な点は、コネクタ152との当接状態において基板に掛かる荷重を分散することで、比較的高い当接圧力を得る場合にも基板100の歪みを抑制できることである。
1.3 インクタンク取り付け部(図14〜図16)
図14は第1の実施形態に係るインクタンクが着脱可能に構成された記録ヘッドユニットの一例を示す斜視図、図15(a)〜(c)はインクタンクを記録ヘッドユニットに装着する際の動作を説明するための図である。
記録ヘッドユニット105は、概して、複数(図では4個)のインクタンクを着脱可能に保持するホルダ150と、底面側に配置される記録ヘッド105’(図14では不図示)とからなっている。そしてインクタンクをホルダ150に装着することで、ホルダ底部に位置する記録ヘッド側のインク導入口107とインクタンク側のインク供給口7とが結合し、両者間のインク連通路が形成される。
記録ヘッド105’としては、ノズルを構成する液路内に電気熱変換素子を設け、これに記録信号となる電気パルスを与えることによりインクに熱エネルギを付与するものを用いることができる。これは、熱エネルギの付与に伴うインクの相変化により生じる発泡(沸騰)時の圧力をインクの吐出に利用するものである。そして、後述するキャリッジ203に設けられた信号伝達用の電気接点部(不図示)と記録ヘッドユニット105側の電気接点部157とのコンタクトが行われ、配線部158を介して記録ヘッド105’の電気熱変換素子駆動回路への記録信号の伝達が行われる。また、電気接点部157からはコネクタ152に至る配線部159も延設されている。
インクタンク1を記録ヘッドユニット105に装着する場合には、ホルダ150の上方でインクタンク1を取り扱う(図15(a))。そして、インクタンク背面側に設けられた突起状の第1係合部5を、ホルダ背面側に設けられた貫通孔状の第1係止部155に挿通した状態でホルダ底面上に載置する(図15(b))。この状態でインクタンク1の正面側上端を矢印Pに示すように押下すると、インクタンク1は第1係合部5および第1係止部155の係合部分を回動支点として矢印R方向に回動し、インクタンク正面側が下方に変位してゆく。この過程で、インクタンク正面側の支持部材3に設けられた第2係合部5の側面がホルダ正面側に設けられた第2係止部156に押されながら、支持部材3も矢印Q方向に変位してゆく。
そして第2係合部5の上面が第2係止部156の下方に至ると、支持部材3は自身の弾性力によってQ’方向に変位し、第2係合部5が第2係止部156によって係止される。この状態(図15(c))では、第2係止部155が支持部材3を介してインクタンク1を水平方向に弾性的に付勢し、インクタンク1の背面がホルダ150の背面に当接する。 また、インクタンク1上方への変位は、第1係合部5が係合した第1係止部155および第2係合部6が係合した第2係止部156によって抑制される。これがインクタンク1の装着完了状態であり、このときインク供給口7およびインク導入口107、またパッド102およびコネクタ152が接合した状態となる。
「てこ」の作動にたとえると、図15(b)に示すような装着動作の過程では、第1係合部5および第1係止部155の係合部分が支点、インクタンク1の正面側が力点となる。インク供給口7およびインク導入口107の結合部分は作用点となって、これは力点と支点との間、好ましくは支点近くに位置する。従って、インク供給口7はインクタンク1の回動に伴って大きな力でインク導入口107に押し付けられる。両者の結合部分には通常、インク連通性の確保やインク漏洩の防止を目的としてフィルタ,吸収体,パッキンなど比較的可撓性に富む弾性部材が配設されている。
従って、本例のような構成配置および装着動作を採用し、比較的大なる力をもってそれら部材を弾性変形させた状態とすることは、それらの配設目的に照らして好ましいことである。また、装着動作が完了すると、第1係合部5が係合した第1係止部155および第2係合部6が係合した第2係止部156によってインクタンク1の浮き上がりが阻止される。従ってそれら弾性部材の復元が抑制されるので、それらの部材は適切に弾性変形した状態に保持される。
一方、接点としてのパッド102およびコネクタ152は金属など比較的剛性の高い導電部材であり、これらの間には良好な電気接続性が確保されるべきである。一方、過大な力をもってそれらを当接させることは、損傷防止や耐久性の観点から好ましくない。本例ではまず、支点から極力離れた部位、すなわちインクタンクの正面近傍にそれらを配置することで、当接力を好ましく小とする。
このためには、インクタンク底面上、正面直近の部位に基板のパッドを配置することが考えられる。これとは逆に、インクタンク正面に基板のパッドを配置することも考えられる。しかしいずれの場合でも、第1受光部210およびユーザの目に適切に投光するための第1発光部101の基板上の配置に制約が生じる。また、インクタンク底面上、正面直近の部位に基板を配置する場合、インクタンク1の装着完了直前の状態においてパッド102およびコネクタ152は正対しつつ接近し、そのまま接合することになる。両者の表面の状態によらず良好な電気的接続が行われるようにするためには、大きな装着力を及ぼさなければならず、この結果パッドおよびコネクタに過剰な力が作用する恐れがある。また、万一、インク供給口7およびインク導入口107の結合部分からの漏洩が生じた場合、漏洩インクがインクタンク底面を伝ってパッドおよびコネクタの接続部分まで至る恐れもある。インクタンク正面に基板を配置する場合には、インクタンクの装置本体からの離脱が困難になる可能性がある。
これに対し、本例では、インクタンク1の底面および正面をなす両面が交わる部分にあって、両面をつなぐ斜面に基板100を配置している。ここで、装着完了直前においてパッド102がコネクタ152に当接した状態での、この当接部分のみでの力の釣り合いを考える。このとき、鉛直方向下方に作用する装着力に釣り合ってコネクタ152がパッド102に及ぼす反力(鉛直方向上向きの力)は、コネクタ152およびパッド102間の実際の当接圧(斜面に垂直な方向の力)の分力となる。従って、ユーザが装着完了位置に向けてインクタンクを押下するとき、基板およびコネクタ間の電気的接続を行わせるためのインクタンク装着力の増加分も少なく、ユーザの操作性を著しく低下させることもない。
また、装着完了位置(第1係合部5と第1係止部155、および第2係合部6と第2係止部156が係合する位置)に向けてインクタンク1を押圧すると、その押圧力によって基板100の平面に平行な方向の分力も生じる。この分力は、パッド102にコネクタ152上を摺動させる力である。よって、両者間での良好な電気接続性も確保された装着完了状態を得ることができる。また、この状態では電気的接続部分がインクタンク底面から高い部位に位置するので、漏洩インクが伝わってくる恐れも極めて少ない。さらに、第1受光部210およびユーザの目への第1発光部101の光軸も確保できることになる。
すなわち、本例のような電気的接続部分の構成配置は、ます第1投光部101を第1受光部およびユーザの目への投光に兼用する際の投光経路の確保にとって好ましい。また、それだけでなく、インクタンク装着力の大きさ、電気的接触状態の確保、および漏洩インクからの保護など、種々の点を勘案した適切なものと言い得るのである。
本発明の第1実施形態または変形例に係るインクタンクの取り付け部分の構成は、図14に示したものに限られない。
図16を用いてこれを説明する。同図(a)はインクタンクからインクの供給を受けて記録動作を実行する記録ヘッドユニットの他の構成例及びこれを組み込むキャリッジの斜視図、(b)は両者を結合した状態を示す斜視図である。
この例に係る記録ヘッドユニット405は、インクタンク全体を固定保持する上例のようなホルダ150と異なり、図16(a)に示すように、インクタンク正面側に対応したホルダ部分およびここに配設されていた第2係止部およびコネクタなどを有していない。その他は上例とほぼ同様であり、底面上にはインク供給口7に接続されるインク導入口107を、また背面側には第1係止部155を、さらにその裏面には信号伝達用の電気接点部(不図示)を有している。
一方、シャフト417に沿って移動可能なキャリッジ415には、図16(b)に示すように、記録ヘッドユニット405を装着・固定するためのレバー419及び記録ヘッド側電気接点部と接続されている電気接点部418がもうけられている。またそのほか、インクタンク正面側の構成に対応したホルダ部分も設けられている。すなわち、第2係止部156、コネクタ152およびコネクタへの配線部159はキャリッジ側に配設されている。
かかる構成にあって、図16(b)に示すように記録ヘッドユニット405をキャリッジ415に装着した状態とすればインクタンクの取り付け部分の全体が構成される。つまり図15と同様の装着動作を経て、インク供給口7およびインク導入口107の接合並びにパッド102およびコネクタ152の接続が行われて装着動作が完了する。
1.4 記録装置(図17〜図18)
図17は、以上説明したインクタンクを装着して記録を行うインクジェットプリンタ200の外観を示す図であり、図18は、図17に示す本体カバー201を開放した状態を示す斜視図である。
図17に示すように、本実施形態のプリンタ200は、記録ヘッドおよびインクタンクを搭載したキャリッジが走査のための移動をして記録を行う機構など、プリンタの主要部分をなすプリンタ本体を備えている。プリンタ本体は、本体カバー201およびその他のケース部分によって覆われている。また本実施形態のプリンタ200は、プリンタ本体の前後にそれぞれ設けられる排紙トレイ203と、自動給紙装置(ASF)202とを備えている。また、本体カバーを閉じた状態および開いた状態の両方で本プリンタの状態を表示するための表示器、電源スイッチおよびリセットスイッチを備えた操作部213が設けられている。
本体カバー201を開放した状態では、図18に示すように、ユーザは、記録ヘッドユニット105およびインクタンク1K、1Y、1M、1Cを搭載したキャリッジ205が移動する範囲およびその周辺を見ることができる。以下では、これらのインクタンク1K、1Y、1M、1Cを同一の符号「1」で示す場合もある。実際は、本体カバー201を開けると、キャリッジ205が自動的に同図に示すほぼ中央の位置(以下、「タンク交換位置」ともいう)へ移動するシーケンスが実行され、ユーザは、このタンク交換位置でそれぞれのインクタンクの交換操作などを行うことができる。
本実施形態のプリンタは、記録ヘッドユニット105に各色のインクに対応したチップ形態の記録ヘッド(不図示)が設けられている。そして、これら各色の記録ヘッドがキャリッジ205の移動によって用紙などの記録媒体に対して走査を行い、この走査の間に記録媒体にインクを吐出して記録を行うものである。すなわち、キャリッジ205は、その移動方向に延在するガイド軸207と摺動可能に係合するとともに、キャリッジモータおよびその駆動力伝達機構によって、上述の移動をすることができる。そして、K、Y、M、Cのインクに対応したそれぞれの記録ヘッドでは、フレキシブルケーブル206を介して本体側の制御回路から送られる吐出データに基づいてインク吐出が行われる。また、紙送りローラや排紙ローラなどの紙送り機構が設けられ、自動給紙装置202から給紙された記録媒体(不図示)を排紙トレイ203まで搬送することができる。また、キャリッジ205には、インクタンクホルダを一体に備えた記録ヘッドユニット105が着脱自在に装着され、一方、この記録ヘッドユニット105に対してそれぞれのインクタンク1がカートリッジの形態にて着脱自在に装着される。すなわち、キャリッジ205に記録ヘッドユニット105を装着し、さらに記録ヘッドユニット105にインクタンク1を装着することが可能であり、本実施形態ではインクタンク1は記録ヘッドユニット105を介してキャリッジ205に着脱可能である。また、記録ヘッドユニット105にインクタンク1を装着することで、本発明液体供給システムの一実施形態が構成される。
記録動作では、記録ヘッドが上記の移動によって走査しその間にそれぞれの記録ヘッドから記録媒体にインクを吐出して記録ヘッドにおける吐出口に対応した幅の領域に記録を行う。そして、この走査と次の走査の間に、上記紙送り機構によって上記幅に応じた所定量の紙送りを行うことにより、記録媒体に対して順次記録を行ってゆく。また、上記のキャリッジ移動による記録ヘッドの移動範囲の端部には、各記録ヘッドについてその吐出口が配設された面を覆うキャップなどの吐出回復ユニットが設けられている。これにより、記録ヘッドは所定の時間間隔で回復ユニットが設けられた位置へ移動して、予備吐出などの回復処理を行う。
各インクタンク1のタンクホルダ部を備えた記録ヘッドユニット105には、前述したように、各インクタンクに対応してコネクタが設けられており、それぞれのコネクタは装着されるインクタンク1に設けられている基板のパッドと接触する。これにより、それぞれのLED101について、図25〜図27にて後述されるシーケンスに従った点灯ないし点滅の制御が可能となる。
具体的には、上記のタンク交換位置では、それぞれのインクタンク1についてインク残量が少なくなったとき、その該当するインクタンク1のLED101を点灯もしくは点滅させる。また、キャリッジの移動範囲において、上述の回復ユニットが設けられた位置と反対側の端部付近には、受光素子を有した第1受光部210が設けられている。こそして、キャリッジ205の移動に伴ってそれぞれのインクタンク1のLED101がこの受光部210を通過する際にLED101を発光させる。これにより、その光を受光したときのキャリッジ205の位置に基づいてキャリッジ205におけるそれぞれのインクタンク1の位置を検出することができる。さらに、LEDの点灯などの制御の他の例として、上記タンク交換位置で、インクタンク1が正しく装着されたときにそのタンクのLED101を点灯させる制御を行う。これらの制御は、記録ヘッドのインク吐出などの制御と同様、フレキシブルケーブル206を介して本体側の制御回路からそれぞれのインクタンクに対して制御データ(制御信号)が送られることによって実行される。
2. 制御系の構成
2.1 全体構成(図19)
図19は、上述したインクジェットプリンタの制御系の構成例を示すブロック図である。この図では、プリンタ本体におけるPCB(プリント配線基板)形態の制御回路とそれによって制御される、インクタンクのLEDの発光などに関する構成を主に示している。
図19において、制御回路300は本プリンタに関するデータ処理および動作制御を実行する。具体的には、CPU301は、ROM303に格納されているプログラムに従い、図25〜図28にて後述される処理などを実行する。また、RAM302は、CPU301による処理実行の際に、ワークエリアとして用いられる。
図19において模式的に示されるように、キャリッジ205に搭載された記録ヘッドユニット105は、記録ヘッド105K、105Y、105M、105Cを備えている。記録ヘッド105K、105Y、105M、105Cには、それぞれ、ブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各インクを吐出するための複数の吐出口が形成されている。そして、記録ヘッドユニット105のホルダには、これらの記録ヘッドに対応してインクタンク1K、1Y、1M、1Cが着脱自在に搭載される。
それぞれのインクタンク1には、前述したように、LED101、その表示制御回路、および、接触端子であるパッドなどが設けられた基板100が取り付けられている。そして、インクタンク1が記録ヘッドユニット105に正しく装着されたとき、上記基板100上のパッドが記録ヘッドユニット105においてインクタンク1にそれぞれ対応して設けられたコネクタと接触する。また、キャリッジ205に設けられたコネクタ(不図示)と本体側の制御回路300とはフレキシブルケーブル206を介して信号接続する。さらに、キャリッジ205に記録ヘッドユニット105が装着されることにより、キャリッジ205の上記コネクタと記録ヘッドユニット105の上記コネクタとが信号接続する。以上の接続構成により、本体側の制御回路300とそれぞれのインクタンク1との間で信号の授受を行うことが可能となる。これにより、制御回路300は、図25〜図27にて後述されるシーケンスに従った点灯ないし点滅の制御を行うことができる。
記録ヘッド105K、105Y、105M、105Cにおけるそれぞれのインク吐出の制御についても同様に行われる。すなわち、フレキシブルケーブル206、キャリッジ205のコネクタ、および記録ヘッドユニットのコネクタを介してそれぞれの記録ヘッドに設けられた駆動回路などが、本体側の制御回路300と信号接続される。これにより、制御回路300はそれぞれの記録ヘッドにおけるインク吐出などを制御することができる。
キャリッジ205の移動範囲の一方の端部近傍に設けられる第1受光部210は、インクタンク1のLED101からの発光を受けて、それに応じた信号を制御回路300へ出力する。制御回路300は、後述のように、この信号に基づき、それぞれのインクタンク1のキャリッジ205における位置を判断することができる。また、キャリッジ205の移動経路に沿ってエンコーダスケール209が設けられるともに、キャリッジ205にはエンコーダセンサ211が設けられる。このセンサの検出信号はフレキシブルケーブル206を介して制御回路300に入力し、これにより、キャリッジ205の移動位置を知ることができる。この位置情報は、各記録ヘッド吐出制御に用いられるとともに、図25などにて後述される、インクタンク位置を検出する光照合処理において用いられる。さらに、キャリッジ205の移動範囲における所定の位置の近傍に設けられる第2発光/受光部214は、発光素子と受光素子とを有し、キャリッジ205に搭載されるそれぞれのインクタンク1のインク残量に係る信号を制御回路300に出力する。そして、制御回路300は、この信号に基づき、インク残量を検出することができる。
2.2 接続部の構成(図20〜図24)
図20は、フレキシブルケーブル206における、インクタンク1との信号接続のための信号配線の構成を、各インクタンクの基板100との関係で示す図である。
図20に示すように、インクタンク1に対する信号配線は、4本の信号線からなり、また、4つのインクタンク1に共通の信号配線(所謂バス接続)である。すなわち、それぞれのインクタンク1に対する信号配線は、インクタンクにおけるLED101の発光およびその駆動などを行う機能素子群103の動作などの電力供給にかかる電源信号線「VDD」およびアース信号線「GND」を含む。また、後述されるように、制御回路300から、LED101の点灯、点滅などの処理に関する制御信号(制御データ)などを送るための信号線「DATA」およびそのクロック信号線「CLK」を含んでいる。本実施例においては4本の信号線による説明を行うが、本発明はこれに限定されるものでなく例えばアース信号を別構成で達成することにより「GND」線を省略することも可能である。また「CLK」と「DATA」の信号線を共有して一本で構成することも可能である。
一方、各インクタンク1の基板100には、これら4本の信号線の信号によって動作する制御部103およびそれによって動作するLED101が設けられている。
図21はこれら制御部などが設けられた基板の詳細を示す回路図である。同図に示すように、制御部103は、入出力制御回路(I/O CTRL)103A、メモリーアレイ103BおよびLEDドライバ103Cを有して構成される。入出力制御回路103Aは、本体側の制御回路300からフレキシブルケーブル206を介して送られてくる制御データに応じて、LED101の表示駆動やメモリーアレイ103Bに対するデータの書き込みおよび読み出しを制御する。メモリーアレイ103Bは、本実施形態ではEEPROMの形態のものであり、インク残量、収納するインクの色情報の他、そのインクタンクの固有番号や製造ロット番号などの製造情報等のインクタンク個体情報を記憶することができる。なお、色情報は、インクタンクに収納されるインクに関連する情報の一形態であって、インクタンクの出荷時または製造時に、その収納しているインクの色に対応して、メモリーアレイ103Bの所定のアドレスに書き込まれる。例えばこの色情報は、図23、図24にて後述されるように、インクタンクの識別情報(個体情報)として用いられる。この識別情報により、インクタンクを特定してメモリーアレイ103Bに対するデータの書き込みやメモリーアレイ103Bからデータの読み出しを行い、また、そのインクタンクのLED101の点灯、消灯を制御することが可能となる。メモリーアレイ103Bに書き込まれ、また、読み出されるデータには、例えば、インク残量のデータがある。本実施形態のインクタンクには、前述したようにその底部にプリズムが設けられ、インクの残量が少なくなったときはこのプリズムを介して光学的にその旨を検出することができる。本実施形態では、これに加え、制御回路300は、吐出データに基づいて記録ヘッドごとの吐出数をカウントし、それに基づいてインクタンクごとのインク残量を計算する。そして、この残量情報をそれぞれ対応するインクタンクのメモリーアレイ103Bに書き込み、また、読み出す処理を行う。これにより、メモリーアレイ103Bはその時点のインク残量の情報を保持することができる。この情報は、例えば、上記プリズムを用いたインク残量検出と併用したより精度の高い残量検出に用いられたり、装着されたインクタンクが新しいものか、あるいは一度用いられて再装着されたものであるかなどを判断するために用いられたりする。
LEDドライバ103Cは、入出力制御回路103Aから出力される信号がオンのときLED101に電源電圧を印加するよう動作し、これにより、LED101を発光させる。従って、入出力制御回路103Aから出力される信号がオンの状態にあるとき、LED101は点灯状態となり、上記信号がオフの状態にあるとき、LED101は消灯状態となる。
図22は、図21に示した基板100の構成の変形例を示す回路図である。この変形例が図21に示す例と異なる点は、LED101に対して電源電圧を印加する構成において、電源がインクタンクの基板100内部に設けられたVDD電源パターンから供給されるものである。制御部103は半導体基板上にまとめて作りこまれることが一般的であり、この半導体基板上の接続端子をLED接続端子のみとした構成である。接続端子数少なくすることで、半導体基板の占有面積に大きく影響するので、半導体基板のコストダウンにつながるものである。
図23は、上述したメモリーアレイ103Bに対するデータの書き込みおよび読み出しの動作をそれぞれ説明するためのタイミングチャートであり、図24は、LED101の点灯および消灯の動作をそれぞれ説明するタイミングチャートである。
図23に示すように、メモリーアレイ103Bへの書き込み時には、本体側の制御回路300から、インクタンク1の制御部103における入出力制御回路103Aに対し、信号線DATA(図12)を介して次の各データ信号が送られてくる。すなわち、「開始コード+色情報」、「制御コード」、「アドレスコード」、「データコード」の各データ信号が、クロック信号CLKに同期してこの順で送られてくる。「開始コード+色情報」は、その「開始コード」信号によって、一連のデータ信号の始まりを意味し、また、「色情報」信号によってこの一連のデータ信号の対象となっているインクタンクを特定する。なお、ここでのインクの「色」とはY、M、C等のインク色だけでなく濃度の異なるインクをも含むものである。
「色情報」は、同図に示すように、インクの色「K」、「C」、「M」、「Y」に対応したコードを有している。入出力制御回路103Aは、このコードが示す色情報とメモリーアレイ103Bに格納されている自身の色情報とを比較する。そして、一致しているときにのみ、それ以降のデータ信号を取り込む処理を行い、一致しないときは、それ以降のデータ信号の取り込みを無視する処理を行う。これにより、図20に示した共通の信号線「DATA」を介して、本体側からデータ信号をそれぞれのインクタンクに共通に送っても、それに上述の色情報を含めることによってインクタンクを特定することができる。従って、書き込み、読み出し、LEDの点灯、消灯など、その後のデータ信号に基づく処理を、その特定したインクタンクに関してのみ行うことが可能となる。この結果、4つのインクタンクに対して共通の(1本の)データ信号線を介して送信されるデータによってデータの書き込みなどのほか、LEDの点灯、消灯の制御を行うことができ、これらの制御に要する信号線の数を本発明のように少なくすることが可能となる。なお、このような共通の(1本の)データ信号線を用いる構成は、インクタンクの数に限定されずに同じものとすることができることは、以上の説明からも明らかである。
本実施形態の「制御コード」は、図23に示すように、後述するLEDの点灯、消灯制御に用いられる「OFF」、「ON」のコードと、メモリーアレイに対する読み出しおよび書き込みを示すそれぞれ「READ」および「WRITE」のコードを有している。本書き込み動作では、「WRITE」のコードがインクタンクを特定する上記「色情報」のコードの後に続くことになる。次の「アドレスコード」は、書き込み先であるメモリーアレイのアドレスを示し、最後の「データコード」は書き込む内容を表している。
なお、「制御コード」が表す内容は上記の例に限られないことはもちろんであり、例えば、ベリファイコマンド、連続読み出しコマンドなどに関する制御コードを加えて用いることもできる。
読み出しでは、上記の書き込みの場合とデータ信号の構成は同じである。また、「開始コード+色情報」のコードは、上記の書き込みの場合と同様、総てのインクタンクの入出力制御回路103Aによって取り込まれ、それ以降のデータ信号は「色情報」が一致したインクタンクの入出力制御回路103Aだけが取り込む。異なる点は、アドレスコードによってアドレスを指定した後、最初のクロック(図23では13クロック目)の立ち上がりに同期して、読み出したデータの出力が行われる。複数のインクタンクのデータ信号端子が、このような共通の(1本の)データ信号線に接続されていても、読み出したデータが他の入力信号とぶつからないように入出力制御回路103Aが調停を行っているのである。
LED101の点灯または消灯では、図24に示すように、上記と同様、先ず、「開始コード+色情報」のデータ信号が、本体側から信号線DATAを介して入出力制御回路103Aに送られてくる。上述したように、「色情報」によってインクタンクが特定され、その後に送られてくる「制御コード」に基づくLED101の点灯、消灯は特定されたインクタンクのみで行われる。点灯、消灯にかかる「制御コード」は、図23にて上述したように、「ON」または「OFF」のコードがあり、「ON」によってLED101の点灯が行われ、「OFF」によって消灯が行われる。すなわち、制御コードが「ON」のとき、入出力制御回路103Aは、図22にて前述したように、LEDドライバ103Cに対してオン信号を出力し、それ以降もその出力状態を維持する。逆に、制御コードが「OFF」のとき、入出力制御回路103Aは、LEDドライバ103Cに対してオフ信号を出力し、それ以降もその出力状態を維持する。なお、LED101の点灯または消灯の実際のタイミングは、図24に示す各データ信号についてクロックCLKの7クロック目以降に行われる。
同図に示す例では、最初、同図の最左端のデータ信号にあるように、ブラックKのインクタンクが特定されて、インクKのタンクのLED101が点灯されている。次に、2番目のデータ信号の「色情報」はマゼンタインクMを指定するものであり、「制御コード」は点灯を指示するものであるから、インクKのタンクのLED101が点灯したまま、インクMのタンクのLED101も点灯する。そして、3番目のデータ信号は、インクKのタンクについて、「制御コード」が消灯を指示するものであるから、インクKのタンクについてのみそのLED101が消灯する。
LEDの点滅制御は、上記の説明からも分かるように、本体側の制御回路300が、点灯と消灯の「制御コード」をそれぞれ含むデータ信号をそのインクタンクを特定して送ることによって可能となる。その場合に、その信号を送る周期を定めることによって、点滅の周期を制御することができる。
2.3 制御手順(図25〜図31)
図25は、以上説明した本実施形態の構成に基づくインクタンクの着脱に関する制御手順を示すフローチャートであり、特に、本体側の制御回路300による各インクタンク1のLED101の点灯、消灯の制御を示すものである。
図25に示す処理は、ユーザが本実施形態のプリンタの本体カバー201を開いたとき、所定のセンサによってこれを検知して起動される処理である。本処理が起動されると、先ず、ステップS101で、インクタンク着脱処理を実行する。
図26は、このインクタンク着脱処理の詳細を示すフローチャートである。同図に示すように、着脱処理では、先ず、ステップS201で、キャリッジ205を移動するとともにそのとき搭載されているそれぞれのインクタンクについて状態情報(インクタンクの個体情報報)を取得する。取得される状態情報としてはそのときのインク残量などであり、これらがそのインクタンクの固有番号とともに、メモリーアレイ103Bから読み出される。そして、ステップS202で、キャリッジ205が図18にて説明したインクタンク交換位置に到達したか否かを判断する。
キャリッジ205がインクタンク交換位置に到達したと判断すると、ステップS203でインクタンク装着確認制御を行う。
図27は、この装着確認制御の詳細を示すフローチャートである。先ず、ステップS301で、キャリッジ205に搭載されるインクタンクの数を示すパラメータNを設定するとともに、このインクタンクの数に応じてLEDの発光を確認するためのフラグF(k)を初期化する。本実施形態では、Nとして、K、C、M、Yのインクタンクの数で4が設定される。これに従い、F(1)、k=1〜4、の4つのフラグが用意され、これらが総て初期化されてその内容が“0”とされる。
次に、ステップS302で上記フラグのインクタンクの装着判定順序に関る変数Aを1に設定し、ステップS303で、A番目のインクタンクについて装着確認制御を行う。この制御は、ユーザがインクタンクを記録ヘッドユニット105のホルダ150に正しい位置に装着されたことを確認するためのものである。すなわち、前述したホルダ150のコンタクト152とインクタンクのコンタクト102とが接触していると、本体側の制御回路300は、前述したように、まずインクタンクの個体情報である色情報によってインクタンクを指定する。そして、その指定したタンクのメモリアレイ103Bに格納されている色情報を順次読み出す。ここで、上記特定するための色情報は、それまでに既に読み出されているものについては、用いないことはもちろんである。さらに、本制御では、この読み出した色情報が、本処理が起動された後、それまでに読み出された色情報と異なるものか否かの判断も行う。
そして、ステップS304では、読み出した色情報がそれまでに読み出されたものと異なるとき、その色情報のインクタンクがA番目のインクタンクとして装着されたと判断する。それ以外の場合は、A番目のインクタンクが装着されていないと判断する。尚、ここで説明するA番目というのは単にインクタンクの判定を行う順番を説明するものであり、インクタンクの装着位置を示す順番ではない。A番目のインクタンクが装着されていると判断したときは、ステップS305で、そのフラグF(A)、すなわち、用意された4つのフラグF(k)、k=1〜4のうち、k=Aに該当するフラグ(A)の内容を“1”とする。これにより、図24にて上述したようにして、該当する色情報のインクタンク1のLED101が点灯する。装着されていないと判断したときは、ステップS311で、そのフラグF(A)の内容を“0”とする。
次に、ステップS306で、変数Aを1インクリメントし、ステップS307で、この変数AがステップS301で設定したN(本実施形態のプリンタの場合はN=4)より大きいか否かを判断する。ここで、変数AがN以下であると判断したときは、ステップS303以降の処理を繰り返す。また、変数AがNより大きいと判断したときは、4つのインクタンク総てについて装着確認制御が終了したとして、ステップS308で、本体カバー201が開放された状態か否かを、上記のセンサの出力に基づいて判断する。すなわち、本体カバーが閉じた状態であるときは、ユーザが、例えば、インクタンクのいくつかを未装着あるいは装着が不完全なままカバーを閉じた可能性があるとして、ステップS312で異常状態のステータスを図26の処理ルーチンへ返して本処理を終了する。
ステップS308で、本体カバー201が開いた状態であると判断したときは、4つのフラグF(k)、k=1〜4、の総てについてその内容が“1”か否か、すなわち、総てのインクタンクについて、LED101の点灯がされたか否かを判断する。いずれかのインクタンクのLED101が点灯していないと判断したときは、ステップS302以降の処理を繰り返す。すなわち、ユーザが、LED101が点灯していないインクタンクについて、装着し、または装着動作をやり直し、そのインクタンクのLEDが点灯するまで、上記の処理を繰り返す。
総てのインクタンクのLEDが点灯されたと判断したときは、ステップS310で正常終了動作を行い、本処理を終了し、処理は図26に示す処理ルーチンに戻る。図28(a)は、総てのインクタンクについて正しく装着され、それぞれのLEDが点灯した状態を示す図である。
再び、図26を参照すると、ステップS203のインクタンク装着確認制御を上記のように実行した後、ステップS204で、その制御正常終了したか否か、すなわち、正常にインクタンクが装着されたか否かを判断する。装着が正常と判断したときは、ステップS205で操作部213の表示器(図17、図18)を、例えばグリーンに点灯し、ステップS206で正常終了して図25に示す処理ルーチンに戻る。また、装着が異常と判断したときは、ステップS207で操作部213の表示器を、例えば、オレンジで点滅し、ステップS208で異常終了して図25に示す処理ルーチンに戻る。記録装置を制御するホストPCが接続されている場合は、同時にPCモニタを通して装着異常表示を行うこともできる。
図25において、ステップS101のインクタンク着脱処理を終了すると、ステップS102で、上記着脱処理が正常終了したか否かを判断する。異常終了であると判断したときは、ステップS108で、ユーザが本体カバー201を開けるのを待ち、カバー201が開けられたことによってステップS101の処理が起動され、図26にて説明した処理を繰り返す。
ステップS102で、着脱処理が正常に終了したと判断したときは、ステップS103で、ユーザが本体カバー201を閉じるのを待ち、ステップS104でカバー201が閉じられたか否かを判断する。ここで、本体カバーが閉じられたと判断したときは、ステップS105の光照合処理に移行する。この際、図28(b)に示すように、本体カバー201が閉じられたことを検出すると、キャリッジ205は光照合のための位置へ移動するとともに、点灯されているそれぞれのインクタンクのLED101を消灯する。
光照合処理は、正常に装着されたインクタンクそれぞれが正しい位置に装着されているか否かを判断する処理である。本実施形態では、インクタンクの装着位置について、例えば、インクタンクと装着位置の形状を他のインクのインクタンクが装着できないような形状とし、それぞれの色のインクタンクに対応して装着位置を定めるような構成を採用していない。このことから、それぞれの色のインクタンクについて本来の位置でないところに誤って装着される可能性がある。このため、本光照合処理を行い、誤って装着されている場合は、ユーザにその旨を知らせるものである。これにより、特に、インクタンクの形状を色ごとに異ならせることなく、インクタンクの製造の効率化や低コスト化を図ることができる。
図29(a)〜(d)および図30(a)〜(d)は、この光照合処理を説明する図である。
図29(a)に示すように、先ず、第1受光部210に対して、図中左側から右側へ移動キャリッジ205を開始する。そして、最初に、イエローインクのインクタンク1Yが装着されるべき位置のインクタンクが第1受光部210に対向する位置で、インクタンク1YのLED101を発光させる処理を行う。この処理は、実際は、図24にて説明したように、点灯し、所定時間後に消灯するまでを含む。このことは、本照合処理を通じて同様に行われる。インクタンク本来の正しい位置に装着されているとき、第1受光部210はLED101の発光を受光することができ、制御回路300は、その装着位置にはインクタンク1Yが正しく装着されていると判断する。
キャリッジ205を移動しつつ、同様にして、図29(b)に示すように、マゼンタインクのインクタンク1Mが装着されるべき位置のインクタンクが第1受光部210に対向する位置で、インクタンク1MのLED101を発光させる。同図に示す例は、インクタンク1Mが正しい位置に装着されていて第1受光部210はその発光を受光することを示している。順次、図29(b)〜(d)に示すように、判断する装着位置を変えながら発光を行って行く。これらの図は、正しい位置に装着されている例を示している。
これに対し、図30(b)に示すように、マゼンタインクのインクタンク1Mが装着されるべき位置にシアンインクのインクタンク1Cが誤って装着されているときを考える。この場合は、第1受光部210に対向しているインクタンク1CのLED101は発光せず、別の位置に搭載されているインクタンク1MのLED101が発光する。この結果、このタイミングでは、第1受光部210は受光できないことから、制御回路300は、その装着位置にはインクタンク1M以外のインクタンクが装着されていると判断する。これに対応して、図30(c)に示すように、シアンインクのインクタンク1Cが装着されるべき位置にマゼンタインクのインクタンク1Mが誤って装着されており、第1受光部210に対向しているインクタンク1MのLED101は発光しない。そして、別の位置に搭載されているインクタンク1CのLED101が発光する。
以上説明した光照合処理を行うことにより、制御回路300は本来の位置に装着されていないインクタンクを特定することができる。また、装着されるべき位置に正しいインクタンクが装着されていなかった場合には、その装着位置において、他の3色のインクタンクを順に発光させる制御を行うことで、その装着位置に誤って何色のインクタンクが装着されてしまったかを特定することもできる。
図25において、上述したステップS105の光照合処理の後、ステップS106でこの処理が正常終了したか否かを判断する。光照合が正常終了したと判断したときは、ステップS107で、操作部213の表示器を例えばグリーンに点灯して、本処理を終了する。一方、正常の終了でないと判断したときは、ステップS109で操作部213の表示器を例えばオレンジで点滅する。そして、ステップS110で、ステップS105で特定した、本来の正しい位置に装着されていないインクタンクのLED101を、例えば点滅あるいは点灯する。これにより、ステップS108で、ユーザが本体カバー201を開けたとき、本来の正しい位置に装着されていないインクタンクを知ることができ、正しい位置への再装着を促すことができる。
図31は、本実施形態にかかる記録処理を示すフローチャートである。本処理では、先ず、ステップS401で、インク残量確認処理を行う。この処理は、これから記録しようとしているジョブについて、記録データからその記録量を求め、この量とそれぞれのインクタンクの残量とを比較して、上記ジョブの記録に十分な量があるか否かを確認する処理である。なお、この処理では、上記のインク残量は、制御回路300でそのときの残量としてカウントして求めたものを用いることができる。
ステップS402では、上記の確認処理に基づいて記録に必要なインク量があるか否かを判断する。十分なインク量があるときは、ステップS403で記録動作を行い、ステップS404で操作部213の表示器をグリーンに点灯して正常終了を行う。一方、ステップS402で十分なインク量がないと判断したときは、ステップS405で、操作部213の表示器をオレンジに点滅するとともに、ステップS406で、インク残量が少ないインクタンク1のLED101を点滅または点灯させて、異常終了する。記録装置を制御するホストPCが接続されている場合は、同時にPCモニタを通してインク残量表示を行うこともできる。
3.他の実施形態(図32〜図40)
上述の第1の実施形態では、インクタンク背面側にある第1係合部5をホルダ奥側の第1係止部155に挿通し、インクタンク正面側を押下しつつ挿通部分を回動支点としてインクタンク1を回動させながら装着動作を行う構成であった。これにとって好ましい基板100の配設位置は上述のように回動支点から離れた正面側に位置し、またこれに伴って、第1受光部210およびユーザの目に投光するのに兼用される第1発光部101も基板100に一体化した構成とした。
しかし、基板にとって好ましい配設位置と発光部に求められる配設位置とが、インクタンクやその取り付け部の構成に応じて異なる場合があり、その場合には基板および発光部をそれぞれ適宜の位置に配設し得る。すなわち、両者は必ずしも一体化されたものでなくてもよい。
図32(a)〜(c)は、本発明の他の実施形態に係るインクタンクおよびその取り付け部の構成例およびその装着動作を説明するための図である。
図32(a)において、本実施形態のインクタンク501には、正面上部にLEDなどの発光部601、上面奥側にパッド602が設けられた基板600が配置されている。従って、発光部601が発光すると、正面側から投光される。そこで、キャリッジの走査範囲の端部にあって図の左方向に投光される光を受容する位置に受光部620を配置し、その部位にキャリッジが位置したときに発光部601の発光を制御する。これにより、記録装置側は受光部の受光内容からインクタンク501に係る所定の情報を認識することが可能となる。また、例えば走査範囲の中央にキャリッジを位置させて発光部601の発光を制御することで、ユーザはその発光状態を目視することによりインクタンク501に係る所定の情報を認識することが可能となる。
記録ヘッドユニット605は、図32(c)に示すように、複数(図では2個)のインクタンクを着脱可能に保持するホルダ650と、底面側に配置される記録ヘッド605’とからなっている。そしてインクタンク501をホルダ650に装着することで、ホルダ底部に位置する記録ヘッド側のインク導入口607とインクタンク底部に位置するインク供給口507とが結合し、両者間のインク連通路が形成される。ホルダ650は、インクタンク501を装着する際の回動中心となる係合部655を正面側に、装着完了位置にインクタンク501を係止する係止部656を背面側上部に有している。また、係止部656近傍には、基板500のパッド502と接続されるコネクタ652が設けられている。
インクタンク501を記録ヘッドユニット605に装着する場合には、ホルダ650の正面からインクタンク501を取り扱う。そして、図32(b)に示すように、インクタンク背面下縁部をホルダ650の背面に押し当て、インクタンク正面の部位をホルダ650の係合部655に係合させた状態とする。この状態でインクタンク501の正面上部を背面方向に押圧すると、インクタンク501は係合部655を中心に矢印方向に回動しながらホルダ内に装着されて行く。図32(a)および(c)はインクタンク501の装着完了状態であり、このときインク供給口507およびインク導入口607、またパッド602およびコネクタ652が接合した状態となる。また、パッド602およびコネクタ652は、装着時の回動中心から極力離れた部位に位置しており、インクタンク501の装着完了直前において両者が当接し、両者間での良好な電気接続性が確保された装着完了状態を得ることができる。
なお、ホルダ650側の係合部655および係止部656、あるいはこれらに対応したインクタンク501側の構成は適宜定めることができる。また、図示の例では基板600がインクタンク501の上面に平行な面として設けられているが、第1の実施形態のように斜面に配置することも可能であるのは勿論である。さらに、ホルダ650および関連した構成部材をヘッドユニットが有する構成としなくてもよい。
図33は図32の構成の変形例を示す斜視図であり、ここではインクタンク501および記録ヘッド605’を一体に構成してなる2本の記録ヘッドユニット(液体収納カートリッジ)が示されている。本実施形態において、一方はブラックインク用、他方はイエロー、マゼンタおよびシアンインク用のカートリッジである。
このような構成に対応して、上記ホルダ650と同様の構成をキャリッジに設ければよい。また、本例においては、正面側に位置する発光部601の制御回路はヘッドユニットの適宜の部位に設けた基板上に構成されたものでもよい。しかし、記録ヘッド605’に一体化された駆動回路基板に制御回路を形成しておき、不図示の配線を介して発光部601への接続を行うこともできる。この場合、記録ヘッド605’の駆動回路および発光部601の制御回路は、配線部657さらには不図示の電気接点部を介して、キャリッジ側電気接点部に接続される。
図34は、上述した他の実施形態にかかる構造を有したインクタンクを搭載して記録を行うプリンタを示す斜視図であり、本体カバーを開いた状態で示すものである。同図において、図17、図18等で説明した要素と同様の要素には同一の符号を付してその説明は省略する。
図34に示すように、ブラックインクを収納したインクタンク501Kとシアン、マゼンタ、イエローの各インクを収納する収納室を一体に形成したインクタンク501CMYがそれぞれ、キャリッジ205上の記録ヘッドユニット605のホルダに装着される。そして、各インクタンクにおいて、上述したように、LED601は基板とは別体に設けられ、インクタンクが装着された状態(のインクタンク交換位置)で、ユーザは正面にこれらLED601を見ることができる。また、このLEDの位置に対応して、受光部210が、キャリッジ205の移動範囲の一方の端部近傍に設けられている。
図35(a)および(b)は、それぞれ、本発明のさらに他の実施形態に係るインクタンクの模式的側面図および正面図であり、第1の実施形態に係るインクタンクにおいて基板および発光部を別の位置に配設した例である。
本例では、インクタンク正面上部にLEDなどの発光部101およびこれを搭載する基板100−2が設けられている。そして、上述と同様にキャリッジ側のコネクタ152との良好な接続およびインクからの保護にとって好ましい斜面部に配設した基板100と、基板100−2ないし発光部101とを、配線部159−2を介して接続して、電気信号の授受を行うようにしている。なお、3Hは配線部159−2をインクタンク筐体に沿わせて配置するために支持部材3の根元部分に設けた穴である。
本例において、発光部101が発光すると、正面側から投光される。そこで、キャリッジの走査範囲の端部にあって図の右方向に投光される光を受容する位置に受光部210を配置し、その部位にキャリッジが位置したときに発光部101の発光を制御する。これにより、記録装置側は受光部の受光内容からインクタンク1に係る所定の情報を認識することが可能となる。また、例えば走査範囲の中央にキャリッジを位置させて発光部101の発光を制御することで、図の括弧部分に示すように、ユーザはその発光状態をより容易に目視して、インクタンク1に係る所定の情報を認識することが可能となる。
図36は図35の実施形態の変形例に係るインクタンクの模式的側面図である。本例では支持部材3の、特にユーザが操作する部分である操作部3Mの裏面側のインクタンク正面位置に、発光部101およびこれを搭載する基板100−2が設けられている。この例でも上例と同様の動作を行い、同様の効果を得ることができる。さらに本例では、例えば走査範囲の中央にキャリッジを位置させて発光部101の発光させたとき、支持部材3の操作部3Mにも光が照射されるので、ユーザはインクタンク交換その他の所要の操作をより直感的に理解することが可能となる。なお、操作部3Mの照射状態をより視認し易くするために、操作部3Mには適当量の光を透過または散乱させる部分が付加されていてもよい。
図37はさらに他の変形例に係るインクタンクの模式的側面図である。本例は、支持部材3の操作部3Mの正面側に発光部101およびこれを搭載する基板100−2を設けたものである。基板100と基板100−2ないし発光部101とは、支持部材3の根本部分に設けた穴3Hを介して支持部材3に沿わせた配線部159−2によって接続されている。この例でも、図36と同様の効果を得ることができる。
なお、図35〜図37の構成において、フレキシブルプリントケーブル(FPC)を用いることで、基板100、配線部159−2および基板100−2を一体の部材とすることもできる。
以上の各実施形態は、インクの連続供給方式にあって、キャリッジ等に搭載されて往復移動(主走査)する記録ヘッドに分離可能に取り付けられる形態のインクタンクを用いる構成に本発明を適用した場合について説明した。この連続供給方式とは、吐出されたインク量に対応した量のインクが常に、プリントヘッドに対し言わば連続的に供給されるように供給系を構成した方式のものである。しかし本発明は、記録ヘッドに対して一体不可分に取り付けられたインクタンクを用いる構成に適用することもできる。そのような構成であっても、装着位置が異なれば異なる色のデータを受け取ったり、あるいは色の重なり順が設計とは異なることによって所望の記録品位が得られなくなることが考えられるからである。
また本発明は、キャリッジ上に搭載される記録ヘッドとは別体にインクタンクを記録装置の固定部位に取り付け、可撓性チューブを介してその固定インクタンクと記録ヘッドとを連結してインクを供給するチューブを用いる形態の連続供給方式にも適用できる。この形態において、インクタンクと記録ヘッドとの中間タンクとして機能するインクタンクが記録ヘッドないしキャリッジ上に搭載される構成であってもよい。
図38はかかる構成のインクジェット記録装置の一例を示す。
図において、710はカセット形態の給紙トレイである。この給紙トレイ710に積載された記録媒体は1枚ずつ分離・送給され、折り返し状の搬送経路に沿って搬送されてキャリッジ803に搭載された記録ヘッド(不図示)による記録領域を通過した後、排紙トレイ703に排出される。キャリッジ803はガイド軸807によって支持・案内され、図の左右方向に移動して記録ヘッドの記録走査を行わせる。
キャリッジ803には、各色インク用の記録ヘッドが搭載される。そして各色インク用の記録ヘッドには、それぞれ専用の中間タンク(例えば、ブラックインク用、シアンインク用、マゼンタインク用およびイエローインク用のインクタンク811K〜811Y)が搭載される。また、これらの中間タンクには、装置の固定部位に着脱可能に設けられた比較的大容量の固定タンク701K〜701Yからそれぞれのインクが供給される。また、850はキャリッジ803の移動に追従するフレキシブルな追従部であり、キャリッジに搭載される各記録ヘッド等に所要の電気信号を伝達する電気配線部のほか、各固定タンクから各中間タンクへのインク供給チューブ群をまとめて総括的に示すものである。また、供給チューブ群は、不図示の連通管を介して、固定タンクとインク連通している。
記録動作に関しては上述した実施形態と同様であるが、本例では、上述の発光部101と同様の機能を果たす発光部801を固定タンク701K〜701Yのそれぞれに設けてある。また、発光部801に対応して、主走査の過程でその発光状態を検出可能な受光部810をキャリッジ803に搭載している。すなわち、これらの機構により、固定タンク701K〜701Yに関して、そのインク残量の有無や、装着の有無ないしは装着状態の良否につき、上述したのと同様、各固定タンクの状態を認識して所要の制御を行うことが可能となる。また、ユーザは発光部801の発光状態を視認することで、各固定タンクに関する情報を認識することができる。なお、固定タンクは着脱可能なものだけでなく、インク残量に応じてインクを補充することが可能な、実質的に半恒久的に取り付けられているものであってもよい。
さらに、このような構成は、チューブを用いた連続供給方式によるものだけでなく、インクの間欠供給方式(所謂ピットイン供給方式など)を採るものに対しても適用が可能である。間欠供給方式では、記録ヘッドに比較的少量のインクを貯留する貯留部を備えるとともに、その貯留部に対し比較的大量のインクを貯留する供給源(上記と同様の固定タンク)から適切なタイミングで言わば間欠的にインクが供給されるように供給系が構成される。
その態様としては、中間タンクへのインク充填を行う際にのみ固定タンクとのインク供給系が空間的に接続される形態のものとすることができる。あるいは、図38と同様な両タンクの接続構造を採りつつも、その接続構造に電磁弁等を介挿し、これを適宜開閉制御することによって、両タンク間を流体的に絶縁および接続するような構成を有するものであってもよい。また中間タンク部に気液分離膜(気体は通すが液体を通さない膜)を設け、その膜を介してタンク内のエアーを吸引することで中間タンク内にインク供給を行うピットイン方式にも適用可能である。
図39は本発明のさらに他の実施形態の制御部103などが設けられた基板100の詳細を示す回路図である。同図に示すように、制御部103は、入出力制御回路(I/O CTRL)103A、LEDドライバ103Cを有して構成される。
入出力制御回路103Aは、本体側の制御回路300からフレキシブルケーブル206を介して送られてくる制御データに応じて、LED101の表示駆動を制御する。
LEDドライバ103Cは、入出力制御回路103Aから出力される信号がオンのときLED101に電源電圧を印加するよう動作し、これにより、LED101を発光させる。従って、入出力制御回路103Aから出力される信号がオンの状態にあるとき、LED101は点灯状態となり、上記信号がオフの状態にあるとき、LED101は消灯状態となる。
本実施形態が図21に示す第一の実施形態と異なる点はメモリアレイ103Bが無いことである。メモリアレイ上に記憶されている個体情報(例えば色情報)が無い場合でもインクタンクを特定して、そのインクタンクのLED101の点灯、消灯を制御する方法を図40に示すタンミングチャートで以下に説明する。
本体側の制御回路300からインクタンク1の制御部103における入出力制御回路入出力制御回路103Aに対し、信号線DATA(図20)を介して「開始コード+色情報」、「制御コード」が、クロック信号CLKに同期して送られて来る。入出力制御回路入出力制御回路103Aは送られて来る「色情報」+「制御コード」を合わせて「コマンド」として識別し、LEDドライバ103Cへの出力信号のオン、オフを決定するコマンド識別部103Dを内部に有して構成される。1Kから1Yまでの各色のインクタンクにはそれぞれ異なるコマンド識別部103Dを有する制御部103が搭載されており、それぞれの色における点灯、消灯を制御するコマンドが図40に示すように構成されている。即ち、各色のコマンド識別部103D内には各色の個体情報(色情報)が含まれて構成されていることになり、これと入力された「コマンド」の「色情報」部分を比較、識別して各種の動作を制御する。これにより、例えばインクタンク1Kを点灯させる「K−ON」の色情報+制御コード「000100」を本体が開始コードと共に送信すると、インクタンク1Kのコマンド識別部103Dのみが識別し、インクタンク1Kのみが点灯する、という制御が可能になる。本実施形態では各色毎に制御部103を異ならせて構成する必要があるが、メモリアレイ103Bを搭載する必要が無い点で有利である。
また、コマンド識別部103Dは図40に示すように各色毎のLED101の点灯、消灯のコマンドを識別する機能だけを持つものに限られない。その他、例えば全色のLED101を点灯、消灯させるコマンド「ALL−ON」、「ALL−OFF」や、各色を指定して、制御部103からの応答信号を出力させる「CALL」コマンドなど、複数のコマンドを識別する機能を持っていても良い。
さらに別の例として、本体側の制御回路300からインクタンク1に対して送られてくる色情報+制御コードからなるコマンドをインクタンク内の色情報(個体情報)と直接比較しない場合も本発明として適用可能である。つまり上記入力されたコマンドを制御部103で変換(演算)し、その変換した結果の値とメモリアレイ103Bもしくはコマンド識別部103D内に保持する所定値とを比較して、その比較結果が所定の関係に対応した場合に点灯や消灯等の制御を行っても良い。
また上例とは別に、本体側から送られてくる信号を制御部103において変換(演算)し、さらにメモリアレイ103Bもしくはコマンド制御部103D内に保持する値も制御部103において変換(演算)することも可能である。そして、これら変換した値同士を比較して、その比較結果が所定の関係に対応した場合に、点灯もしくは消灯等の制御を行うものでも良いのである。