JP4111563B2 - シリコーン樹脂コートシート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐汚染性に優れたシリコーン樹脂系コートシートに関し、更に詳述すればプリント合板用コート紙等に利用して有用なコートシートに関する。
【0002】
【従来の技術】
プリント合板等は建築用材料などに多用されているが、これら合板等の表面は常時種々の汚染に曝されている。この汚染を避ける為、従来合板の表面にフッ素樹脂を用いたコート紙を貼着することが行われているが、このコート紙は一度汚染されると、汚れが落ちにくいこと、更に製造コストが高いこと等の問題がある。
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、上記問題点を解決するために鋭意検討を重ねた結果、シリコーン系トップコート層の下層にウレタン樹脂層を設けると、その上に積層するシリコーン樹脂系トップコート層を安定化でき、このためトップコート層が均一、且つ平滑になり、ピンホールの発生がないこと、このため、従来用いることの困難なシリコーン樹脂系トップコート層を基材シートに積層できるようになること、さらに、シリコーン樹脂層を二層構造にすると耐汚染性を著しく向上できるようになり、これらにより低コストで、耐汚染性、耐薬品性に優れたコートシートを提供することができ、上記問題を解決できることを知得して本発明を完成するに到ったもので、その目的とするところは、耐汚染性、耐薬品性に優れ、しかも低コストで製造できるコートシートを提供することにある。
【0003】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明は、
基材シートの一面に、ウレタン樹脂層又はシリコーン樹脂層、及びシリコーン樹脂系トップコート層を順次積層してなることを特徴とするシリコーン樹脂コートシートを提案するもので、
基材シートと、ウレタン樹脂層又はシリコーン樹脂層との間に柄層を介装してなること、
基材シートが30〜140g/m2コート原紙であること、
ウレタン樹脂層が二液硬化型ウレタンプレポリマーの硬化物であること、
トップコート層又はシリコーン樹脂層が、ビニル基含有アルコキシシランとビニル基含有ポリシロキサンと水酸基を有するメタクリル酸エステル及び/又はアクリル酸エステルとメタクリル酸エステル及び/又はアクリル酸エステルとを共重合させたシリコーン変性アクリル共重合体と、ポリイソシアネートと、シリコーン系スリップ剤との硬化物からなること、
トップコート層又はシリコーン樹脂層が、シリコーン変性アクリル共重合体100重量部と、ポリイソシアネート10〜60重量部と、シリコーン系スリップ剤0.1〜10重量部とを主成分とし、これらを硬化させたものであることを含む。
【0004】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図1を参照しながら、詳細に説明する。
【0005】
図1は本発明のコートシートの一例を示す概略説明図である。図1中、1は基材で、この基材1上に順次インキ層2、3、次いでウレタン樹脂層4、シリコーン系トップコート層5を積層し,これにより本発明のコートシートを構成している。また、インキ層2、3は基材1上に柄を形成するもので、インキ層2、3の集合体により柄層6を構成するものであるので、柄に応じて必要な数のインキ層を積層でき、必ずしも本例の様に2層で柄を構成することに限定されないものである。更には、柄を形成する必要が無い場合には、上記インキ層2、3を省略することができる。
【0006】
更に、図1には記載していないが、ウレタン樹脂層4の代わりにシリコーン樹脂層を用いることも、本発明に含む。この構成にすることにより、より一層、耐汚染性が向上するものである。前記シリコーン樹脂層は、後述するシリコーン系トップコート層5と同様の形状、材料等で構成されることが好ましい。
【0007】
前記基材1は、紙や、塩化ビニルフィルム、オレフィンフィルム、エチレン酢酸ビニルフィルム、PETフィルム、アクリルフィルム等の合成樹脂フィルム及びシートなどを素材とするもので、特に30〜140g/m2コート紙が好ましい。コート紙はウレタン樹脂層4と親和性が強いので、柄層6を設けない場合は、特にウレタン樹脂層4を安定且つ均一に積重できるからである。
【0008】
上記基材の上面には、上述した様にインキを用いて任意の柄層6を形成するものである。従って、用いるインキは基材1の着色に適したものを適宜選択するものである。使用インキの具体例としては、大日精化工業製のTHインキ(硝化綿、アルキッド樹脂、DOP)、SPTインキ(特殊ウレタン樹脂)や、ザ・インクテック製のMAXインキ(硝化綿、アルキッド樹脂)、MFTインキ(アクリル樹脂、繊維素系樹脂)、MPC(硝化綿、アルキッド樹脂)等が挙げられる。
【0009】
本発明においては、上記必要により設けた柄層6の上面にウレタン樹脂層4を積層するもので、このウレタン樹脂層4を介在させることにより、更にその上面に形成するトップコート層5の均一性を向上させることができ、これにより耐汚染性、耐薬品性に優れたコート紙を低コストで製造できるものである。
【0010】
ウレタン樹脂層4の厚さは1〜10μmとすることが好ましく、3〜5μmとすることがより好ましい。
【0011】
ウレタン樹脂層4は、水酸基を分子内に持つポリマーと、ポリイソシアネートとからなる二液硬化型ウレタンプレポリマーを硬化させたものが好ましい。
【0012】
水酸基を分子内に持つポリマーとしては、アクリルポリオール樹脂、アルキッド変性アクリルポリオール樹脂等が例示できる。具体的には、大日精化工業製のPCT−U−500メジウム、PCT−U−600メジウム、PCT−U−7メジウム、PCT−U−273メジウム、PCT−U−8マットメジウム、PCT−U−24マットメジウム、PCT−U−160マットメジウム、KKBキュアメジウムや、ザインテック製のFG−50ウレタンニス(アルキッド変性アクリルポリオール)、UM−200ウレタンニス、KR−92ウレタンニス(アルキッド変性アクリルポリオール)、KR−92ウレタンマットニス、UM−200ウレタンマットニス等が挙げられる。
【0013】
上記水酸基を分子内に持つポリマーは重量平均分子量が5000〜200000のものが好ましい。
【0014】
ポリイソシアネートとしては、脂肪族系のキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、若しくはこれらの多価アルコール付加タイプ、ビュレットタイプ、トリマータイプ、芳香族系のトリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート等が使用できる。具体的には、大日精化工業製のPCT−YU硬化剤、PCT−8硬化剤、PCT−RC−3硬化剤や、ザ・インクテック製のFG−700硬化剤や、武田薬品工業製のタケネートD−110N、D−140N、D−160N、D−165N90CX、D−170N、D−180N、D−102、D−202や、日本ポリウレタン工業製のコロネートEH、HL、L等が好ましい。
【0015】
前記水酸基を分子内に持つポリマー100重量部に対し、ポリイソシアネートとの配合割合は50〜150重量部とすることが好ましい。
【0016】
ポリイソシアネートの配合量が上記範囲を超える場合は、密着性が不良になる傾向が強くなり、また上記範囲未満の場合は耐溶剤性が不良になる傾向にあり、好ましくない。
【0017】
上記ウレタン樹脂層は、基材シート1上に直接、又は必要により柄層6を形成してある場合は、柄層6の上面に、上記水酸基を分子内に持つポリマーとイソシアネートとの配合物を塗布し、これを常温、もしくは加熱して硬化させることにより形成することができる。
【0018】
硬化に際しては、例えばジ−n−ブチル錫ジラウレート、オクテン酸亜鉛、ナフテン酸マグネシウム等の有機金属化合物、トリエチルアミン、エチレンジアミン、ジメチルアミノエタノール等のアミン化合物、p−トルエンスルホン酸、フタル酸、燐酸等の酸性化合物、またはそれらの有機アミンブロック化合物等の公知の硬化剤を添加してもよい。なお、添加量は水酸基を分子内に持つポリマーとイソシアネートとの配合物全重量に対して0.01〜5重量%とすることが好ましい。
【0019】
配合物の塗布方法は、カーテンフローコート、ロールコート、グラビヤコート、スプレー法等の公知の方法が採用できる。
【0020】
上記配合物を硬化させる温度は、常温〜180℃が好ましく、更に好ましい温度は60〜150℃である。
【0021】
本発明においては、上記ウレタン樹脂層4の上面に、更にトップコート層5を形成するものである。
【0022】
トップコート層5の厚さは1〜20μmとすることが好ましく、特に3〜10μmが好ましい。
【0023】
トップコート層5はシリコーン変性アクリル樹脂とポリイソシアネートとを反応させた硬化樹脂を主成分とし、更にこの硬化樹脂にはシリコーン系スリップ剤が混合されていることが好ましい。
【0024】
シリコーン変性アクリル樹脂は、下記(1)〜(4)で示される単量体をラジカル共重合させることにより得られるもので、その重量平均分子量は5000〜300000のものが好ましく、特に10000〜100000のものが望ましい。
【0025】
(1)〜(3)の化合物の使用量のいずれか一以上が上記範囲外である場合は得られる塗膜の特性がやや低下し、(4)の化合物の使用量が上記範囲を超える場合も同様である。また、上記範囲未満の場合は、場合によっては(4)の化合物を用いる効果が充分発揮されないことがある。
【0026】
(1)のビニル基含有アルコキシシランは、下記一般式
【0027】
【化1】
R2−SiXa(R3)3-a
(式中、R3は炭素数1〜10のアルキル基、アリール基、およびアラルキル基から選ばれる1価の基;R2は重合性二重結合を有する有機残基;Xは加水分解性基;aは1〜3の整数を示す)で表されるシラン化合物である。
【0028】
R2の具体的な基としては、
【0029】
【化2】
(但、mは1〜6の整数である)等が挙げられる。
【0030】
Xの具体的な基としては、
【0031】
【化3】
等が挙げられる。
【0032】
R3の具体的な基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、フェニル基、トルイル基、ベンジル基、等が挙げられる。
【0033】
(1)のビニル基含有アルコキシシランの具体例としては、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0034】
(2)のビニル含有ポリシロキサンは、下記一般式、
【0035】
【化4】
(R2、R3は前記定義と同じ、 pは1〜3の整数、qは0〜1500の整数)で示される片末端ビニル基含有ポリシロキサン、または下記一般式、
【0036】
【化5】
(R2、qは前記の定義と同じ)で示される両末端ビニル基含有ポリシロキサンである。
【0037】
(2)のビニル基含有ポリシロキサンの具体例としては、両末端若しくは片末端ビニルジメチルポリシロキサンや、両末端若しくは片末端メタクリロキシプロピルジメチルポリシロキサン、トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピルメタクリレート等が挙げられる。これらのポリシロキサンの粘度範囲は3〜1000×10-3Pa・s程度が好ましい。重量平均分子量は200〜100000の範囲にあることが好ましい。
【0038】
(3)の水酸基を有するメタクリル酸エステル及び/又はアクリル酸エステルの具体例としては、アクリル酸2ーヒドロキシエチル、アクリル酸2ーヒドロキシプロピル、アクリル酸2ーヒドロキシブチル、アクリル酸ポリエチレングリコール、アクリル酸ポリプロピレングリコール、アクリル酸グリセロール、アクリル酸2ーヒドロキシー3ーフェニルオキシプロピル、
メタクリル酸2ーヒドロキシエチル、メタクリル酸2ーヒドロキシプロピル、メタクリル酸2ーヒドロキシブチル、メタクリル酸2ーヒドロキシペンチル、メタクリル酸ポリエチレングリコール、メタクリル酸ポリプロピレングリコール、メタクリル酸グリセロール等が挙げられる。
【0039】
(4)のメタクリル酸エステル及び/又はアクリル酸エステルのエステル基の炭素数は1〜12が好ましく、これらの化合物の具体例としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸アリル、アクリル酸フェニル、アクリル酸2ーエチルヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ラウリル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ペンチル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ビニル、メタクリル酸アリル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸2ーエチルヘキシル等が挙げられる。
【0040】
(1)〜(4)の各化合物(単量体)の共重合にあたっては、(5)ビニル基含有のカルボン酸を、(1)〜(4)の単量体及び(5)のビニル基含有のカルボン酸の合計重量に対して0.1〜5重量%使用することが好ましい。
【0041】
重合触媒は過酸化ベンゾイル、アゾビスイソブチロニトリル等のラジカル開始剤が好ましく、その配合量は前記合計重量に対して0.1〜3重量%、好ましくは0.2〜2重量%である。重合方法は、バルク重合、溶液重合等のいずれでも採用できるが、溶液重合を採用することが後のコーティング液を製造する工程において有利である。
【0042】
溶液重合に使用する有機溶剤は、得られる重合体にある程度親和性があり(反応時、希釈時、粘度調整時)、更にトップコート層形成の際にウレタン樹脂層の上面に塗布する上記シリコーン変性アクリル共重合体を含むコーティング液の乾燥時に乾燥性の良いものが好ましい。
【0043】
具体的には、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、nーブタノール、イソブタノール、イソアミルアルコール等のアルコール類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類又はこれらの混合物が好ましい。
【0044】
重合条件は特に制限はないが、通常60〜150℃で、2〜10時間重合することが好ましい。
【0045】
シリコーン変性アクリル共重合体の重合度は、単量体量に対する重合触媒の種類、使用量、若しくは連鎖移動剤の添加によって調整できる。有機溶剤を使用した溶液重合においては、単量体合計量に対し、所定比率の溶剤を使用し、重合終了後の重合液がそのままコーティングに適した粘度範囲に入るように重合度を調節することが好ましい。
【0046】
スリップ剤としては、下記化合物が挙げられる。
【0047】
【化6】
具体的には、大日精化工業製のPTC−Nスリップ剤、PTC−U−7スリップ剤等が、またザ・インクテック製のUM200スリップ剤、FG−50スリップ剤等が例示できる。
【0048】
ウレタン樹脂層の上にトップコート層を形成する方法は、上記シリコーン変性アクリル共重合体と、ポリイソシアネートとシリコーン系スリップ剤との混合物を、ウレタン樹脂層上面に塗布し、次いで乾燥すれば良い。上記操作により、シリコーン変性アクリル共重合体とポリイソシアネートとが架橋して硬化するが、この硬化物はその中にスリップ剤を含浸させているものである。
【0049】
上記シリコーン変性アクリル共重合体とポリイソシアネートとの配合比は重量基準で100:10〜100:60とすることが好ましい。
【0050】
前記シリコーン系スリップ剤の配合量は硬化樹脂100重量部に対し、0.1〜10重量部とすることが好ましい。
【0051】
トップコート層を硬化させるための温度は常温〜180℃が好ましく、特に60〜150℃が好ましい。
【0052】
トップコート層、及びウレタン樹脂層の塗布方法としては、カーテンフローコート、ロールコート、グラビヤコート、スプレー法等の公知の方法が採用できる。ウレタン樹脂層、及びトップコート層の硬化方法は通常のウレタンプレポリマーの硬化条件にほぼ従うものである。
【0053】
【実施例】
以下、本発明を実施例、及び比較例により具体的に説明する。なお、本実施例は本発明をなんら限定するものではない。
【0054】
(実施例1)
61.5g/m2の名古屋パルプ製Vラップ60原紙の一面をベタ色インキ(KL−MAX ザ・インクテック製)で着色し、次いでその上に木目色インキ(KL−MAX ザ・インクテック製)で木目図柄を印刷した。その後、ザ・インクテック製 UM200ウレタンニス/ザ・インクテック製 硬化剤FG−700(100/80(重量部))からなる二液性ウレタンプレポリマーを乾燥厚さ3μmになるように塗布し、90℃に12秒間保つことにより、プレポリマーを硬化させ、これによりウレタン樹脂層を形成した。
【0055】
次に、下記組成のシリコーン変性アクリル共重合体組成物を前記ウレタン樹脂層の上に硬化厚さが5μmとなるように塗布した。
【0056】
【表1】
(但し、重量部は固形分換算)
その後、90℃で3秒間加熱してシリコーン変性アクリル共重合体組成物を硬化させることにより、トップコート層を形成し、刷了後50℃の恒温室内で72時間養生して各樹脂層を硬化させ、シリコーン樹脂コートシートを得た。
【0057】
(実施例2)
図1の構造のシリコーン樹脂コートシートを製造した。即ち、基材1として薄葉紙(厚さ45μm、坪量45.5g/m2のコート紙(名古屋パルプ株式会社製、NAPコート40))を使用し、その表面にインキ層2としてグラビア印刷によりベタ刷り印刷を施した。更に、インキ層3としてグラビア印刷により木目印刷を施した。次いで、インキ層3の上にウレタン樹脂層4として、グロスタイプのアクリルウレタンニス層をグラビアコーターを用いて乾燥厚さ3μmに形成した。次いで、トップコート層5としてシリコーン樹脂層をグラビアコーターを用いて乾燥厚さ5μmに形成し、これにより本発明のシリコーン樹脂コートシート(木目化粧シート)を得た。
【0058】
印刷インキは、ザ・インクテック製UM200ウレタンニスを使用し、シリコーン樹脂ニスはチッソ製サイラコートSCT−8101を使用した。なお、実施例1と同じシリコーンスリップ剤を同量使用した。
【0059】
(実施例3)
実施例2と同様にして、艶消し木目化粧シートを製造した。即ち、基材1として薄葉紙(厚さ70μm、秤量61.5g/m2のコート紙(名古屋パルプ株式会社製、Vラップ60))を使用し、その表面にインキ層2としてグラビア印刷によりベタ刷り印刷を施した。更に、インキ層3としてグラビア印刷により木目印刷を施した。次いで、インキ層3の上にウレタン樹脂層4として、マットタイプのアクリルウレタンニス層をグラビアコーターを用いて乾燥厚さ3μmに形成した。次いで、トップコート層5としてシリコーン樹脂層をグラビアコーターを用いて乾燥厚さ5μmに形成し、これにより本発明のシリコーン樹脂コートシート(艶消し木目化粧シート)を得た。
【0060】
印刷インキは、インキ層2にザ・インクテック製KL−MFT、インキ層3はザ・インクテック製KL−MAX、アクリルウレタンニスはザ・インクテック製UM200ウレタンマットニス、シリコーン樹脂ニスはチッソ製サイラコートSCT−8101を使用した。なお、実施例1と同じシリコーンスリップ剤を同量使用した。
(比較例1)
基材1として薄葉紙(厚さ45μm、坪量45.5g/m2のコート紙(名古屋パルプ株式会社製、NAPコート40))を使用し、その表面にインキ層2としてグラビア印刷によりベタ刷り印刷を施した。更に、インキ層3としてグラビア印刷により木目印刷を施した。次いで、インキ層3の上にウレタン樹脂層4として、アクリルウレタンニス層をグラビアコーターを用いて乾燥厚さ3μmに形成した。次いで、トップコート層としてアクリルウレタンニス層をグラビアコーターを用いて乾燥厚さ5μmに形成した。これにより、木目化粧シートを得た。
【0061】
ベタ刷り印刷、木目印刷は、ザ・インクテック製KL−MAXインキを使用し、アクリルウレタンニス層はザ・インクテック製リコート用OPニス(N−3)、トップコート層としてザ・インクテック製UM200ウレタンニスを使用した。
なお、実施例1と同じシリコーンスリップ剤を同量使用した。
【0062】
上記実施例1〜3、及び比較例1で得られたコートシートを下記の試験により評価した。
【0063】
(耐汚染性試験)
耐汚染性試験方法は、JIS K−6902に準拠した。洗浄にはエチルアルコールを用いた。試料の化粧面の評価は、次の基準による。
【0064】
○:変化無し、表面の色調及び組織の変化が認められない。
【0065】
△:軽微な変化、表面に汚染が残るが、これはクレンザー又はこれと同等の洗剤で化粧面を傷つけることなく容易に除去できる。
【0066】
×:強い変化、表面が除去できない状態に汚染されるか、または侵食されている。
【0067】
(セロテープ剥離試験)
ニチバン製セロハンテープを塗膜上に貼り付け、ゴムロールで圧着したものを50℃の恒温槽中に2時間入れる。その後、セロハンテープの貼着面に対して45度上方向に迅速に剥離し、次いで剥離面を観察する。
【0068】
○:剥離なし
×:部分的に剥離あり
評価結果を表2に示した。
【0069】
【表2】
【0070】
【発明の効果】
本発明においては、基材シートにウレタン樹脂層を積層したので、その上に積層するシリコーン樹脂系トップコート層を安定化でき、このためトップコート層が均一、且つ平滑になり、ピンホールの発生がない。このため、従来、用いることのできなかったシリコーン樹脂系トップコート層を基材シートに積層できるようになり、これにより低コストで、耐汚染性、耐薬品性に優れたコートシートを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のシリコーン樹脂コートシートの構成の一例を示す概略側面図である。
【符号の説明】
1 基材
2 インキ層
3 インキ層
4 ウレタン樹脂層
5 トップコート層
Claims (5)
- 基材シートの一面に、ウレタン樹脂層、シリコーン樹脂系トップコート層を順次積層してなるシリコーン樹脂コートシートであって、トップコート層が、ビニル基含有アルコキシシランとビニル基含有ポリシロキサンと水酸基を有するメタクリル酸エステル及び/又はアクリル酸エステルとメタクリル酸エステル及び/又はアクリル酸エステルとを共重合させたシリコーン変性アクリル共重合体と、ポリイソシアネートと、シリコーン系スリップ剤との硬化物からなることを特徴とするシリコーン樹脂コートシート。
- 基材シートと、ウレタン樹脂層との間に柄層を介装してなる請求項1に記載のコートシート。
- 基材シートが30〜140g/m2コート原紙である請求項1又は2に記載のコートシート。
- ウレタン樹脂層が二液硬化型ウレタンプレポリマーを硬化させたものである請求項1乃至3のいずれかに記載のコートシート。
- トップコート層が、シリコーン変性アクリル共重合体100重量部と、ポリイソシアネート10〜60重量部と、シリコーン系スリップ剤0.1〜10重量部とを主成分とし、これらを硬化させたものである請求項1乃至4のいずれかに記載のコートシート。
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