JP4111412B2 - 金属の電解加工方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、廃棄物の発生量を減少させた金属の電解加工方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
金属の電解研磨、電解バリ取り等の電解加工には、電解加工能力の大きい硝酸ナトリウムを主成分とする電解液が用いられているが、電解によって生ずる金属の溶解物質が金属水酸化物として電解液中に蓄積されていくので、次第に電解液が老化する。
【0003】
そこで従来は、図4に示すようにクリーンタンク1から電解液を電解工程2に供給して電解加工を行い、ダーティタンク3に戻された使用後の電解液を分離機4にかけて、電解液中に含まれている金属の溶解物質を分離してスラリーとして廃棄する一方、ろ液をクリーンタンク1に戻していた。しかしこの方法では電解加工が進むにつれてpH値が上昇するため、加工仕上がりを安定させることが困難であった。しかも、スラリーとともに多くの電解液が系外に廃棄されてしまうという問題もあった。
【0004】
また従来から図4に示すように、洗浄工程5からの洗浄排水を大気濃縮装置6で蒸発させることにより濃縮して排水をなくするとともに、電解工程2で発生する反応ガスを大気濃縮装置6で洗浄排水と気液接触させて浄化し、クリーンガスとして大気中に放出している。しかし大気濃縮装置6は水分を減少させるだけであるため、濃縮液タンク7内で次第に金属の溶解物質や電解液の成分が濃縮されて行き、一定期間ごとに廃液として処理する必要があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記した従来の問題点を解決して、系外への電解液の放出量を最小限に抑制するとともに、廃液処理の必要をなくし、しかも加工仕上がりを安定させることができる金属の電解加工方法を提供するためになされたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するためになされた本発明は、金属の電解加工に使用した硝酸ナトリウムを主成分とする電解液をpH調整したうえ分離機にかけ、金属の溶解物質をスラリーとして分離するとともにろ液は電解工程に戻し、分離されたスラリーは大気濃縮装置で濃縮された洗浄排水と混合してフィルタープレスに送り、固形分をスラッジとして廃棄する一方、ろ液は電解工程に戻すことを特徴とするものである。なお、pH調整は硝酸を用いて行うことが好ましい。
【0007】
本発明では、電解液をpH調整したうえ分離機にかけて金属の溶解物質を分離するとともにろ液を電解工程に戻すようにしたので、電解液のpH値の上昇を招くこともなく、加工仕上がりを安定させることができる。また分離されたスラリーは大気濃縮装置で濃縮された洗浄排水と混合してフィルタープレスで固液分離し、ろ液を電解槽に戻すようにしたので、洗浄工程からの排水を廃液として処理する必要もなくなり、系外にはフィルタープレスで分離されたスラッジのみを放出するだけでよい。以下に本発明の実施形態を説明する。
【0008】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)図1は本発明の第1の実施形態を示すフローシートであり、クリーンタンク1から電解液を電解工程2に供給して電解加工を行い、使用後の電解液はダーティタンク兼pH調整タンク10に戻される。この使用後の電解液には金属の溶解物質が蓄積されているので、硝酸または水酸化ナトリウムを添加してpH調整を行い、硝酸ナトリウム電解液と同等の中性付近として金属水酸化物とする。このpH調整された電解液は分離機4にかけられ、金属の溶解物質をスラリーとして分離するとともにろ液は電解工程2のクリーンタンク1に戻されるが、ろ液のpHは硝酸ナトリウム電解液と同等であるから電解液のpH変動はなく、加工仕上がりの安定化を図ることができる。スラリーは混合タンク11に導かれる。なお分離機4のろ液はダーティタンク兼pH調整タンク10を介してクリーンタンク1に戻してもよい。
【0009】
一般にpH調整には硫酸が用いられるのであるが、硝酸を用いることにより中和生成物を硝酸ナトリウムとすることができる。これは電解液組成と同一であるから、クリーンタンク1に戻しても電解液の変質を招くことはない。またpH調整のためのセンサとしては、pH計を用いるのが一般的であるが、pH電極の汚損によりpH調整に不安のある場合には、電解加工に要した電流量(例えばアンペア秒)に対応した量の硝酸を加えてもよい。加工される金属が鉄鋼の場合、電流量1000アンペア秒当たり0.2〜0.3mL程度の硝酸を加えればよい。
【0010】
従来と同様に、この実施形態でも洗浄工程5からの洗浄排水を大気濃縮装置6で蒸発させることにより濃縮するとともに、電解工程2で発生する反応ガスを大気濃縮装置6で洗浄排水と気液接触させて浄化し、クリーンガスとして大気中に放出している。しかしこの実施形態では濃縮液タンク7内から洗浄排水の一部が混合タンク11に取り出され、スラリーと混合される。この混合液はフィルタープレス12に送られ、固液分離されて金属水酸化物を主体とする固形分はスラッジとして廃棄される。このスラッジはスラリーよりも固形分が多く電解液はわずかであるから、系外への電解液の放出量は従来よりも大幅に減少する。
【0011】
また、フィルタープレス12のろ液は電解液成分を含むため、クリーンタンク1に戻されて再び電解工程2の電解液として使用される。この結果、洗浄排水中の水分の大部分は大気濃縮装置6で蒸発されるとともに、残部は電解液成分(硝酸ナトリウム)とともに電解工程2に戻されるため、従来のような濃縮液タンク7の廃液処理は不要となる。
【0012】
(第2の実施形態)図2は本発明の第2の実施形態を示すフローシートである。
前記した第1の実施形態では、装置の小型化を図るためにダーティタンク兼pH調整タンク10を用いたが、第2の実施形態はダーティタンク3とpH調整タンク13とを分離したものである。第2の実施形態では、大気濃縮装置6で濃縮された洗浄排水もこのpH調整タンク13でpH調整されたうえ、フィルタープレス12で固液分離されてろ液はクリーンタンク1またはダーティタンク3に戻される。このろ液はpH調整済みの液であるから、第1の実施形態よりも電解液の安定化を図ることができる。
【0013】
(第3の実施形態)図3は本発明の第3の実施形態を示すフローシートである。
この第3の実施形態は、スラッジ中に含まれる電解液成分(硝酸ナトリウム)の量を更に少なくすることを狙ったものである。この実施形態では、pH調整タンク13内の液(電解工程2からのスラリーと、大気濃縮装置6で濃縮された洗浄排水との混合液をpH調整した液)を第2の分離機14で固液分離し、ろ液はクリーンタンク1に戻すとともに、スラリーはスラリータンク15において水を添加され希釈される。その後、フィルタープレス12で固液分離されてろ液は濃縮液タンク7に戻され、スラッジは廃棄される。
【0014】
このように、第3の実施形態ではスラリーを水で希釈したうえフィルタープレス12で固液分離が行われるので、スラッジ中に含まれる電解液成分を他の実施形態の場合よりも減少させることができ、硝酸ナトリウムの系外への持ち出しロスを少なくすることができる。なお、本発明を実施するための装置構成は上記の実施形態に限定されるものではなく、細部の構成は様々に変更することが可能である。
【0015】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明の金属の電解加工方法によれば、スラッジとともに系外へ持ち出される電解液の量を最小限に抑制することができるとともに、濃縮された洗浄排水を廃液処理する必要もなくすることができる。しかも電解工程の電解液のpHは一定に保たれるので、加工仕上がりを安定させることができる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態を示すフローシートである。
【図2】第2の実施形態を示すフローシートである。
【図3】第3の実施形態を示すフローシートである。
【図4】従来例を示すフローシートである。
【符号の説明】
1 クリーンタンク
2 電解工程
3 ダーティタンク
4 分離機
5 洗浄工程
6 大気濃縮装置
7 濃縮液タンク
10 ダーティタンク兼pH調整タンク
11 混合タンク
12 フィルタープレス
13 pH調整タンク
14 第2の分離機
15 スラリータンク
Claims (2)
- 金属の電解加工に使用した硝酸ナトリウムを主成分とする電解液をpH調整したうえ分離機にかけ、金属の溶解物質をスラリーとして分離するとともにろ液は電解工程に戻し、分離されたスラリーは大気濃縮装置で濃縮された洗浄排水と混合してフィルタープレスに送り、固形分をスラッジとして廃棄する一方、ろ液は電解工程に戻すことを特徴とする金属の電解加工方法。
- 硝酸を用いてpH調整を行う請求項1に記載の金属の電解加工方法。
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JP35449599A JP4111412B2 (ja) | 1999-12-14 | 1999-12-14 | 金属の電解加工方法 |
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JP2001172800A JP2001172800A (ja) | 2001-06-26 |
JP4111412B2 true JP4111412B2 (ja) | 2008-07-02 |
Family
ID=18437958
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP35449599A Expired - Fee Related JP4111412B2 (ja) | 1999-12-14 | 1999-12-14 | 金属の電解加工方法 |
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1999
- 1999-12-14 JP JP35449599A patent/JP4111412B2/ja not_active Expired - Fee Related
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