JP4111379B2 - 運搬車両 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、運搬車両に関する。
【0002】
【従来の技術】
運搬車両は、フォークリフトで積み降ろしする荷物を荷台の上に積んで運搬したり、ホイールローダや油圧ショベルで積み込む土砂や岩石等を傾動可能な荷台に積載して運搬する作業車両である。運搬車両は、作業性の向上を図るために、大型化や走行性能の向上が求められる。走行性能を向上させる手段として、不整地や傾斜地での走破性に優れる4輪駆動の採用が考えられる。
【0003】
図7に示すように、4輪駆動のパワートレインは、エンジン31の出力をトランスミッション32で変速し、トランスミッション32からプロペラシャフト33F,33Rを介してエンジン31の出力を前車軸34F及び後車軸34Rにそれぞれ伝動することにより前後輪35F,35Rを駆動している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来技術においては、以下に述べるような問題点がある。
すなわち、パワートレインに1つのみのトランスミッション32を用いているので、トランスミッション32がエンジン31の出力に見合った比較的大型のものとなってしまうが、特に、運搬車両の大型化を進める場合、トランスミッション32は大出力に対応する大型で特殊なものとなってしまうため、生産設備や生産性が問題となり非常にコスト高となってしまう。
【0005】
本発明は、上記の問題に着目してなされたものであり、車両の大型化に伴うパワートレインがコスト高となるのを抑制できる運搬車両を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段、作用及び効果】
上記の目的を達成するために、運搬車両において、車両の前部に設けられ車輪を装着した前車軸と、車両の後部に設けられ車輪を装着した後車軸と、前車軸と後車軸との間に縦置きに配置され、前後両側から出力可能なエンジンと、該エンジンの前後にそれぞれ連設され、該エンジンの駆動力を前車軸及び後車軸にそれぞれ伝動する2つのトランスミッションと、エンジン及び2つのトランスミッションを固設する車体フレームとを備えた構成としている。
【0007】
上記構成によれば、前車軸用のトランスミッション及び後車軸用のトランスミッションを備えているので、運搬車両の大型化を行なっても、それぞれのトランスミッションはエンジンの最大出力の半分に対応する比較的小型のものとなる。このため、運搬車両が大型の場合であっても、トランスミッションは大出力に対応する大型で特殊なものとはならず、比較的小型で他機種で使用されている量産品で対応可能となり、パワートレインがコスト高となるのを大幅に抑制することができる。
図2に示すように、エンジンの前後両側から出力を取り出し、それぞれのトランスミッションに伝動するように構成したので、図7で示すようにエンジンの下方にプロペラシャフトを配設する必要がないため、エンジンを低い位置に配設することができる。これにより、車両の重心が低くなって走行安定性が向上すると共に、車高が低くなり運搬車両の重要性能の一つである積み込み高さを低くすることができ、作業性の優れた運搬車両が得られる。
【0008】
また、前記エンジン及び前記2つのトランスミッションは、車体幅の中央に配置した構成としている。
かかる構成によれば、車体フレームの幅が狭くなるので、車輪と車体フレームとの離間距離が大きくなる。これにより、操舵角度を大きくできるので最小回転半径の小さい運搬車両が得られる。
【0009】
さらに、前記前車軸及び前記後車軸は、それぞれ両側に車輪を装着すると共に車体フレームに対して操舵可能である構成としている。
かかる構成によれば、前後両車軸が操舵可能であるので、前後の同相操舵により回転半径を小さくでき、逆相操舵によりいわゆるカニ走行が可能となり、操舵バリエーションが増加し操舵性能を向上できる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下に、実施形態を図面を参照して説明する。
なお、本明細書において、前後左右及び上下の各方向は、特に断らない限り、それぞれ本発明の運搬車両の前後左右及び上下の各方向を意味する。
図1は、運搬車両の平面図であり、図2は、運搬車両の側面図である。
【0011】
車両の前部には両側に車輪5F、5Fを装着した前車軸4Fが設けられ、車両の後部には両側に車輪5R、5Rを装着した後車軸4Rが設けられている。上部に荷台8を搭載する車体フレーム6の前後両端には、それぞれ前車軸4F及び後車軸4Rが連結されている。前車軸4Fの中央部の上下両端部には、舌状ブラケット4Fa,4Fbが後方に延設され、車体フレーム6の前端に設けられた連結ブラケット6a,6bに、ヒンジピン7,7を介して回動自在に連結されている。同様に、後車軸4Rの中央部の上下両端部には、舌状ブラケット4Ra,4Rbが前方に延設され、車体フレーム6の後端に設けられた連結ブラケット6a,6bに、ヒンジピン7,7を介して回動自在に連結されている。さらに、前車軸4F及び後車軸4Rはそれぞれ、図示しないステアリングシリンダ等の操舵機構により車体フレーム6に対して操舵可能に構成されている。
【0012】
車体フレーム6の中央部には、エンジン1が縦置きにて搭載されている。エンジン1は前後両側から出力可能な形式のものであり、エンジン1の前後にそれぞれトランスミッション2F,2Rが連設されている。すなわち、図1にも示すように、エンジン1及びトランスミッション2F,2Rは、エンジン1を真中にして車体幅の略中央に前後方向に沿って一列に配置されている。トランスミッション2F,2Rの出力側は、プロペラシャフト3F,3Rを介してそれぞれ前車軸4F及び後車軸4Rに連結されている。すなわち、エンジン1の出力の略半分がトランスミッション2F及びプロペラシャフト3Fを介して前車軸4Fに伝動され、エンジン1の出力の残り半分がトランスミッション2R及びプロペラシャフト3Rを介して後車軸4Rに伝動され、4輪駆動にて走行する。
【0013】
上記構成によれば、エンジン1の出力は、略半分ずつがそれぞれトランスミッション2F,2Rを介して前車軸4F及び後車軸4Rに伝動されるので、それぞれのトランスミッション2F,2Rはエンジン1の最大出力の略半分に対応する比較的小型のものとなる。このため、運搬車両が大型の場合であっても、トランスミッション2F,2Rは大出力に対応する大型で特殊なものとはならず、比較的小型で他機種で使用されている量産品で対応可能となり、パワートレインがコスト高となるのを大幅に抑制することができる。
【0014】
また、前車軸4F及び後車軸4Rはそれぞれ、車体フレーム6に対して操舵可能に構成されているので、図3(a)に示すように、前車軸4F及び後車軸4Rを同相操舵することにより小旋回が容易となり、また、回転半径が小旋回ほど小さい必要のない中旋回を行う場合には、図3(b)に示すように、前車軸4F及び後車軸4Rのいずれか一方のみを操舵すればよく、さらに、図3(c)に示すように、前車軸4F及び後車軸4Rを逆相操舵することによりいわゆるカニ走行(斜め走行)が可能となり、狭い現場への進入が容易となる。すなわち、操舵のバリエーションが増え操舵性能が向上する。
【0015】
また、エンジン1及びトランスミッション2F,2Rを、車体幅の略中央に前後方向に沿って一列に配置しているので、車体フレーム6の幅を狭くすることができる。これにより、車輪5F、5Rと車体フレーム6との離間距離が大きくなり、操舵角度を大きく設定できるので、車両の最小回転半径をより小さくすることができる。
【0016】
さらに、図7のように、プロペラシャフト33Rをエンジン31の下方に配設する必要がないので、エンジン1の配置位置を低くできる。このため、トランスミッション2F,2Rも小型で低位置にあるので、車両の重心が低くなり走行安定性が向上すると共に、車高が低くなり運搬車両の重要性能の一つである積み込み高さを低くすることができる。
【0017】
なお、本発明は上記実施形態に限定するものではなく、本発明の範囲内において変更や修正を加えることができるのは言うまでもない。
例えば、上記実施形態においては、前後車軸4F、4Rは直接車体フレーム6に連結する構成で説明したが、図4に示すように、サブフレーム9を介して車体フレーム6に連結するように構成しても構わない。すなわち、車体フレーム6の連結ブラケット6a,6bにヒンジピン7,7を介してサブフレーム9を回動自在に連結し、このサブフレーム9に前車軸4Fを装着する。この際、図4に示すように、前車軸4Fのサブフレーム9への装着に緩衝機構10(サスペンションシリンダ及びロッドの組み合わせ)を用いることにより荷崩れの抑制に効果がある。後車軸4Rについても同様である。
【0018】
パワートレインのトランスミッションを、2つの小型のトランスミッションで構成する別態様として、図5に示すように、エンジン11の出力をエンジン11に連設したトランスファ13により前後に分離し、トランスファ13の前側に連設されたトランスミッション12Fと、トランスファ13の後側にプロペラシャフト3Cで連結されたトランスミッション12Rとを介して前車軸4F及び後車軸4Rに伝動するように構成しても構わない。この場合、例えば、トランスファ13にて一方の出力を逆方向に回転させることにより前後のトランスミッション12F,12Rの共通化が可能となり、さらにコスト高に対する抑制効果を得られる。
【0019】
また、両側に車輪5F,5Rを装着した車軸4F,4Rが、車体フレーム6に対して操舵可能に装着されている例にて説明したが、図6に示すように、例えば、前車軸14FL,14FRが左右にそれぞれ独立して設けられ、車体フレーム16にそれぞれ独立して支持されると共に、各車輪15FL,15FRが略接地位置を中心にそれぞれ操舵可能に構成してもよい。勿論、後車軸4Rも同様に左右独立するように構成しても構わない。
【0020】
運搬車両の荷台8としては、パレットやコンテナをフォークリフトで積み降ろしする平らな荷台でもよいし、ホイールローダや油圧ショベルで積み込む土砂を降ろすための傾動機構(例えば、油圧シリンダ)を備えた荷台(ダンプベッセル)を装着しても構わない。
本発明の運搬車両は、運転席を備えた有人車両にも適用できるし、無線又はプログラムにより走行する無人車両にも適用できる。
また、トランスミッションとしては、必要に応じてトルクコンバータ付きのものを使用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態に係る運搬車両の平面図である。
【図2】実施形態に係る運搬車両の側面図である。
【図3】実施形態に係る操舵パターンの説明図である。
【図4】別態様に係る車軸の連結方法の説明図である。
【図5】別態様に係るパワートレインの側面図である。
【図6】別態様に係る操舵機構の概略平面図である。
【図7】従来技術の運搬車両の側面図である。
【符号の説明】
1,11…エンジン、2F,2R,12F,12R…トランスミッション、3F,3C,3R…プロペラシャフト、4F…前車軸、4R…後車軸、5F,5R…車輪、6…車体フレーム、7…ヒンジピン、8…荷台、9…サブフレーム、10…緩衝機構、13…トランスファ。
Claims (3)
- 運搬車両において、
車両の前部に設けられ車輪(5F)を装着した前車軸(4F)と、
車両の後部に設けられ車輪(5R)を装着した後車軸(4R)と、
前車軸(4F)と後車軸(4R)との間に縦置きに配置され、前後両側から出力可能なエンジン(1) と、
該エンジン(1) の前後にそれぞれ連設され、該エンジン(1) の駆動力を前車軸(4F)及び後車軸(4R)にそれぞれ伝動する2つのトランスミッション(2F,2R) と、
エンジン(1) 及び2つのトランスミッション(2F,2R)を固設する車体フレーム(6) と
を備えたことを特徴とする運搬車両。 - 請求項1記載の運搬車両において、
前記エンジン(1) 及び前記2つのトランスミッション(2F,2R) は、車体幅の中央に配置した
ことを特徴とする運搬車両。 - 請求項1又は2記載の運搬車両において、
前記前車軸(4F)及び前記後車軸(4R)は、それぞれ両側に車輪(5F,5R) を装着すると共に車体フレーム(6) に対して操舵可能である
ことを特徴とする運搬車両。
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