JP4110824B2 - 燃料噴射装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の排ガス温度上昇要求に応じて燃料噴射時期を遅角処理できる燃料噴射装置、時に、インジェクタの開弁時に圧力値が大小2段に分けられた燃料を切換え弁の作動により順次供給して噴射率を小より大に変化させて燃焼室に的確に噴射処理できる燃料噴射装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両は排ガス処理の上でその排気系に排ガス後処理装置を装備しているがこの排ガス後処理装置を有効に作動させる上で内蔵された触媒を活性化する必要がある。
そこで、車両の排気系は排ガスの早期昇温化を図るべく、燃料系におけるアフタ噴射や噴射時期の大幅な遅延化を図ることが知られている。
【0003】
ところで、従来の燃料噴射装置として、例えば、蓄圧室を成すコモンレールに燃料供給系からの高圧燃料を貯留し、このコモンレールの高圧燃料をインジェクタの電磁弁の開時に燃焼室に噴霧するコモンレール式燃料噴射装置が知られている。更に、コモンレールの高圧燃料を燃焼室に直接噴霧する低圧噴射と、コモンレールとインジェクタ電磁弁を結ぶ高圧燃料路の途中に増圧機構を有した分岐路を設け、低圧噴射の途中で切換え弁を駆動し、増圧機構により増圧された高圧燃料を燃焼室に高圧噴射して2段に噴射率を変化できる増圧型燃料噴射装置が知られている。
【0004】
ところで、例えばコモンレール式燃料噴射装置を用いて噴射時期の遅延化を行い、排ガス温度の上昇を図るとする。この場合、運転状態に応じて算出された目標燃料噴射量を確保する噴射処理にあたり、コモンレール圧と目標燃料噴射量とにより噴射期間を算出し、エンジン回転数相当の噴射開始時期を算出し、例えば図6に示すような噴射率モードで噴射処理を行っている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、この場合、インジェクタ電磁弁の噴射開始時期θoを同一時期としてコモンレール圧を(3)>(2)>(1)と順次変化させると、図6に示すようにコモンレール圧が(3)より(1)と低くなるほど噴射率が下がり、閉弁時期θcまでの噴射期間Im3、Im2、Im1が順次増大し、等容度の低下、即ち、出力に寄与する燃焼の度合の低下に起因し、図7(a)に示すように排気温度上昇効果が高いことが知られている。ここで、噴射開始時期θo(1)(コモンレール圧が比較的低い)の場合、噴射開始時期θo(3)(コモンレール圧が比較的高い)の場合より全体として排気温度が高くなり、特に、噴射開始時期θoの遅角量を増やすとその傾向が高くなっている。しかし、噴射開始時期θo(1)(コモンレール圧が比較的低い)の場合、噴射開始時期θoの遅角量を増やすと着火不安定状態に陥る上に、図7(b)に示すように、スモーク発生が急増し、噴射時期遅延限界が低いという問題がある。
【0006】
そこで、図6に2点鎖線eで示すように、2段に噴射率を変化できる増圧型燃料噴射装置を用いたとしても、従来のコモンレール圧、噴射開始時期θo、切換え弁を駆動する噴射率切換え作動時期の制御では排温の上昇と着火の安定性を確保し、スモークの発生防止を図ることはできない。
本発明は、以上のような課題に基づき、的確な燃料噴射制御が成され、十分に排温上昇、着火安定性を確保できスモーク発生を防止できる燃料噴射装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、インジェクタ駆動用電磁弁を駆動して低圧燃料供給路の燃料をインジェクタを介して燃焼室に噴射し、その低圧噴射の途中で切換え弁を駆動して高圧燃料供給路からの燃料をインジェクタを介して燃焼室に噴射する燃料噴射装置において、エンジンの排気通路に設けられた排ガス浄化装置と、上記排ガス浄化装置もしくは上記排気通路の排ガス温度を検出する温度検出手段と、上記温度検出手段の温度情報が上記排ガス浄化装置の活性化温度以下の場合に、上記インジェクタ駆動用電磁弁の噴射開始時期および上記切換え弁の作動時期をエンジンの給気状態である吸気圧及び吸気温度に応じて遅角側に補正する補正手段を設け、上記補正手段による上記作動時期がスモーク限界時期以前の範囲で最大限に遅角するような値として設定されることを特徴とする。
このように、インジェクタ駆動用電磁弁の噴射開始時期および切換え弁の作動時期をエンジンの給気状態である吸気圧及び吸気温度に応じて遅角側に補正するので、低圧初期噴射期間が増加して排気温度を容易に高めることができ、その後の後期噴射域での高圧噴射により安定燃焼を確保できる。
【0008】
特に、切換え弁の作動時期がスモーク限界時期以前の範囲で最大限に遅角するような値として設定されるので、確実にスモークを抑えた上で、排気温度を容易に高めることができる。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1記載の燃料噴射装置において、上記インジェクタ駆動用電磁弁を駆動して低圧蓄圧室に貯留された燃料を通して上記インジェクタより燃焼室に噴射し、その低圧噴射の途中で切換え弁を駆動して高圧蓄圧室に貯留された燃料を上記インジェクタより燃焼室に噴射することを特徴とする。
このように、低圧蓄圧室に貯留された燃料をインジェクタより燃焼室に噴射し、その途中で高圧蓄圧室に貯留された燃料をインジェクタより燃焼室に噴射する燃料噴射装置を用いるので、確実に2段噴射を行え、インジェクタの噴射開始時期および切換え弁の作動時期を遅角側に補正でき、排気温度を容易に高め、安定燃焼を確保できる。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1記載の燃料噴射装置において、上記インジェクタ駆動用電磁弁を駆動して蓄圧室に貯留された燃料を燃料供給路を通してインジェクタより燃焼室に噴射し、その低圧噴射の途中で燃料供給路に接続された増圧機構により増圧された燃料を切換え弁を駆動してインジェクタより燃焼室に噴射することを特徴とする。
このように、蓄圧室に貯留された燃料をインジェクタより燃焼室に噴射し、その途中で増圧機構により増圧された燃料をインジェクタより燃焼室に噴射する燃料噴射装置を用いるので、確実に2段噴射を行え、インジェクタの噴射開始時期および切換え弁の作動時期を遅角側に補正でき、排気温度を容易に高め、安定燃焼を確保できる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態としての燃料噴射装置を図1乃至図4を参照して説明する。
ここでの燃料噴射装置1は高圧と低圧の2つの蓄圧室を備えた燃料噴射装置であり、図示しない車両に搭載された多気筒ディーゼルエンジン(以後単にエンジンと記す)2に装着される。
エンジン2はエンジン本体3内に複数の燃焼室4(図1では1つのみ記載した)を備え、同燃焼室4内の図示しないピストンのリニア駆動をクランクシャフト5によって回転力に変換し、図示しない回転駆動系に伝達する。クランクシャフト5にはクランク角センサ6が対設され、クランク角センサ6によりクランク角情報Δθをコントローラ7に出力している。
【0012】
排気系は排気管8の排気通路Eの途中に触媒コンバータ9を装着する。触媒コンバータ9は内部に前後の触媒担体901、902を配備し、同担体にNOx触媒、酸化触媒を順次配備し、これにより、排気ガスのNOx、HC、COを無害化処理し、大気中に放出できる。なお、触媒コンバータ9には触媒温度(排ガス温度に相当する)Tcを検出する温度検出手段としての触媒温度センサ34が取付けられている。
【0013】
燃料噴射装置1は、各燃焼室4に燃料噴射を行う各インジェクタ11と、各インジェクタ11の流入路12に高圧燃料路13を介して高圧燃料を供給する高圧コモンレール14と、流入路12に低圧燃料路15を介して低圧燃料を供給する低圧コモンレール16と、高圧コモンレール14に高圧燃料を供給し、低圧コモンレール16の戻し燃料を燃料タンク17に戻す燃料供給装置18と、各インジェクタ11のインジェクタ電磁弁19及び低高切換え電磁弁である切換え弁21を駆動制御するエンジン制御装置としてのコントローラ7を備える。
【0014】
燃料供給装置18は燃料タンク17と、同燃料タンク17の燃料を供給路26のフィルタ22を介し吸入し、高圧化して高圧コモンレール14に圧送する供給ポンプ23と、低圧コモンレール16側の低圧燃料を調圧弁24を介して燃料タンク17に導く低圧管25とを備える。なお、高圧コモンレール14の燃圧PHPCRは供給ポンプの作動制御によって目標とする圧力に設定され、低圧コモンレール16の燃圧PLPCRは調圧弁24で指定される設定値に保持される。
【0015】
高圧コモンレール14は、供給ポンプ23からの高圧燃料を貯蔵し、高圧燃料路13を介し各気筒のインジェクタ11に高圧燃料を供給可能に構成される。
【0016】
各インジェクタ11は同一構成であり、ノズル部111とインジェクタ電磁弁19とインジェクタ切換制御部30を備える。ノズル部111は燃焼室4に燃料噴射可能にエンジン本体3に支持される。インジェクタ電磁弁19はコントローラ7の駆動信号でオンオフ作動して高圧燃料路13或いは低圧燃料路15からの燃料をノズル部111を介し燃焼室4に噴射供給できる。
インジェクタ切換制御部30は流入路12より分岐する高圧燃料路13及び低圧燃料路15を形成される。高圧燃料路13は高圧コモンレール14と流入路12間に切換え弁21を配備し、これの開時(オン時)に高圧コモンレール14の高圧の燃料をインジェクタ11に導き、高圧噴射を行う。
【0017】
低圧燃料路15は低圧コモンレール16と流入路12間に分岐して並列路151、152を備え、並列路151に逆止弁27を、並列路152にオリフィス28を装着する。これにより、高圧燃料路13からの分岐流をオリフィス28を介して低圧コモンレール16に供給でき、低圧噴射時には低圧コモンレール16の低圧燃料を逆止弁27を介してインジェクタ11に導き、低圧噴射を可能としている。
【0018】
コントローラ7はその入出力回路に多数のポートを有し、エンジンの運転情報を検出するための各種センサを接続しており、特に、エンジン2のアクセルペダル開度θaを検出するアクセルペダル開度センサ32と、クランク角情報Δθを検出するクランク角センサ6と、水温wtを検出する水温センサ33と、触媒温度Tcを検出する触媒温度センサ34と、大気圧Paを検出する大気圧センサ35と、ブースト圧力Pbを検出するブースト圧力センサ36と、ブースト温度Tbを検出する大気温センサ37とが接続される。ここでクランク角情報Δθはコントローラ7においてエンジン回転数Neの導出に用いられる。
【0019】
このコントローラ7は周知のエンジン制御処理機能を有し、ここでは特に、燃料量算出手段A0と、噴射時期算出手段A1と、補正手段A2を備える。
燃料圧力制御手段A0は、エンジン回転数Neとアクセルペダル開度θaに応じた基本燃料噴射量INJbを求め、運転条件に応じた、たとえば水温wtや大気圧Paの各補正値dt,dpを加えて目標燃料噴射量qtarget(=INJb+dt+dp)を導出する。
【0020】
噴射時期算出手段A1は高低コモンレール圧PHPCR,PLPCRをエンジン回転数Neと目標燃料噴射量qtargetよりコモンレール圧マップm1、m2(図3参照)で導出する。特に、コモンレール圧マップm2では目標燃料噴射量qtargetの増加に応じてコモンレール圧PHPCRが低下し、コモンレール圧マップm1ではコモンレール圧PLPCRが増加するように設定される。更に、インジェクタ電磁弁19の噴射開始時期θLおよび切換え弁21の噴射率切換え作動時期である切換え時期θHをエンジン回転数Neに応じて噴射時期マップm3(図3参照)より算出する。ここではエンジン回転数Neの増加に応じて噴射開始時期θLおよび切換え時期θHが低下するように設定される。
【0021】
補正手段A2は、触媒温度Tcが所定の温度Tc1以下の場合に、インジェクタ電磁弁19の噴射開始時期θLおよび切換え時期θHをエンジンの給気状態であるブースト圧力Pb,ブースト温度Tbに応じてそれぞれ遅角マップm4、m5(図3参照)より算出する。
次に、図1の燃料噴射装置の作動をコントローラ7の制御処理に沿って説明する。
【0022】
図示しない車両のエンジン2の駆動時において、コントローラ7は複数の制御系、例えば、燃料噴射系、燃料供給系で適宜駆動されている関連機器、センサ類の自己チェック結果を取込み、これが正常であったか否かを確認し、正常(OK)では図示しないエンジン制御処理ルーチンを実行し、その途中で図5に示す燃料噴射制御ルーチンを実行する。
【0023】
燃料噴射制御ルーチンのステップs1に達すると、最新のデータ、例えば、触媒温度Tc、クランク角度Δθ、エンジン回転数Ne、ブースト圧力Pb,ブースト温度Tb,水温wt、大気圧Pa等が取り込まれ、それぞれ記憶処理される。
ステップs2では触媒温度Tcが設定値Tc1、即ち、ここでは酸化触媒及びNOx触媒の両者が活性化する、例えば、300℃を閾値とし、それ未満か否か判断し、上回る場合はステップs3の通常制御処理に、低温ではステップs4に進む。
【0024】
ステップs3の通常制御処理では基本燃料噴射量INJb、目標燃料噴射量qtarget(=INJb+dt+dp)を順次算出する。更に、高低コモンレール圧PHPCR,PLPCRをNeとqtargetより図示しない通常時コモンレール圧マップ(図3のm1、m2に相当する通常時用マップ)で導出し、これら値を供給ポンプ23、調圧弁24の図示しないコモンレール圧ドライバーにセットする。更に、インジェクタ電磁弁19の通常時噴射開始時期θLおよび切換え弁21の通常時切換え時期θHをエンジン回転数Neに応じて通常時噴射時期マップ(図3のm3に相当する通常時用マップ)で導出する。
【0025】
更に、導出されたθHとθLより低圧噴射期間Δtinjを求め、低圧コモンレール圧PLPCRと低圧噴射期間Δtinjとより、低圧噴射期間に噴射される低圧燃料噴射量を算出する。そして、目標燃料噴射量qtargetから低圧燃料噴射量を差し引いた高圧燃料噴射量を求めて、目標高圧燃料噴射量と高圧コモンレールの圧力よりインジェクタ電磁弁19及び切換弁21の閉弁時期θcを導出する。
その上で、図2に示すように、噴射開始時期θL、切換え時期θH、今回の低圧噴射期間Δtinj(=θH−θL)、及び閉弁時期θcに相当する情報を含む出力が燃料噴射用ドライバ(図示せず)にセットされ、この回の制御を終了させ、リターンする。
【0026】
これに応じて燃料噴射用ドライバは、クランク角Δθ信号に基き、各インジェクタ電磁弁19及び切換え弁21に噴射開始時期θL、切換え時期θHに弁切換え出力を発し、閉弁時期θcに閉じ、図2のブーツ型噴射率噴射モードM1でインジェクタ5が噴射駆動する。
一方、ステップs2よりステップs4に達すると、排気温上昇制御に入る。
ここでは、エンジン回転数Neとアクセルペダル開度θaに応じた基本燃料噴射量INJb、水温wtや大気圧paの各補正値dt(低温域で比較的大きな補正値となる),dpより目標燃料噴射量qtarget(=INJb+dt+dp)を導出する。
【0027】
ステップs5では高低コモンレール圧PHPCR,PLPCRをエンジン回転数Neと目標燃料噴射量qtargetより図3のコモンレール圧マップm1、m2で導出し、これら値を供給ポンプ23、調圧弁24用の図示しないコモンレール圧ドライバーにセットする。
ステップs6ではインジェクタ電磁弁19の噴射開始時期θLおよび切換え弁21の切換え時期θHをエンジン回転数Neに応じて図3の噴射時期マップm3で導出する。
【0028】
更に、導出されたθHとθLより低圧噴射期間Δtinjを求め、低圧コモンレール圧PLPCRと低圧噴射期間Δtinjとより、低圧噴射期間に噴射される低圧燃料噴射量を算出する。そして、目標燃料噴射量qtargetから低圧燃料噴射量を差し引いた高圧燃料噴射量を求めて、目標高圧燃料噴射量と高圧コモンレールの圧力よりインジェクタ電磁弁19及び切換弁21の閉弁時期θcを導出する。
ステップs7では噴射開始時期θL、切換え時期θHを補正すべく、ブースト圧力Pb,ブースト温度Tb相当の噴射遅角量Δθを図3の遅角量マップm4、m5で演算する。
【0029】
各遅角量マップm4、m5はブースト圧力Pbが大きいほど、ブースト温度Tbが高いほど噴射開始時期θL、切換え時期θHの遅角量ΔθH,ΔθLが増すように予め設定され、特に、これらの遅角量ΔθH,ΔθLが、スモーク限界時期以前の範囲で最大限に遅角するような値としてマップ化されている。
このため、噴射開始時期θL、切換え時期θHがスモーク限界時期以前の範囲で最大限に遅角するような値として設定されるので、確実にスモークを抑えた上で、排気温度を容易に高めることができる。
【0030】
ステップs8では噴射開始時期θLを演算した遅角量ΔθLで遅角補正し、更に、切換え時期θHを遅角量ΔθHで遅角補正して設定し、今回の低圧噴射期間Δtinj(=θH−θL)を算出することとなる。
ステップs9はインジェクタ電磁弁19の噴射開始時期θL、切換え弁21の切換え時期θH、今回の低圧噴射期間Δtinj及びインジェクタ電磁弁19及び切換え弁21の閉弁時期θcに相当する情報を含む出力が燃料噴射用ドライバ(図示せず)にセットされ、この回の制御を終了させ、リターンする。
【0031】
これに応じて燃料噴射用ドライバはクランク角Δθ信号に基き、各インジェクタ電磁弁19及び切換え弁21に対し、噴射開始時期θL、切換え時期θH及び閉弁時期θcに切換え出力を発して、2段噴射であるブーツ型2段噴射モードM1(図2参照)でインジェクタ11が噴射駆動する。
このように、燃料噴射装置1は、触媒温度Tcが設定値Tc1を下回る低排温時に、インジェクタ電磁弁19の噴射開始時期θLおよび切換え弁21の切換え時期θHをエンジン2の給気状態であるブースト圧力Pb、ブースト温度Tbに応じて遅角量ΔθL、ΔθHで補正するので、前期噴射域f1の低圧噴射期間Δtinjが増加して排気温度を容易に高めることができ、その後の後期噴射域f2での高圧噴射により安定燃焼を確保でき、スモークの発生を抑制できる。
【0032】
しかも、切換え弁21の切換え時期θHがブースト圧力Pb、ブースト温度Tbに応じて遅角量ΔθL、ΔθHで補正するにあたり、スモーク限界時期以前の範囲で最大限に遅角するような値として遅角量ΔθL、ΔθHがステップs7で設定されるので、スモークを抑えた上で、排気温度を容易に高めることができる。
図1の燃料噴射装置1は、低圧コモンレール16に貯留された燃料をインジェクタ11より燃焼室4に噴射し、その途中で高圧コモンレール14に貯留された燃料を燃焼室4に噴射することで、確実にブーツ型2段噴射を行うものであるが、図5のような増圧機構付きの燃料噴射装置1aを用いても良い。なお、ここでの構成部材は図1の構成部材と同一のものに同一符号を付け重複説明を略す。
【0033】
ここではインジェクタ電磁弁19を駆動してコモンレール16aに貯留された燃料を燃料供給路15aを通してインジェクタ11より燃焼室4に噴射し、その低圧噴射の途中で燃料供給路15aに接続された増圧機構50により増圧された燃料を切換え弁21aを駆動してインジェクタ11より燃焼室4に噴射する。ここで増圧機構50は燃料供給路15aの途中の分岐路13aに配設される。
増圧機構50は大小の内径のシリンダ室51、52を備え、ここに大小の外径で一体化した増圧ピストン53、54を収容する。シリンダ室51は燃料供給路15aの上流分岐部(コモンレール側)b1にシリンダ室52は燃料供給路15aの下流分岐部(インジェクタ側)b2に連通する。大径シリンダ室51の側壁には切換え弁21aを備えた開放路55と、燃料供給路15aの中間分岐部b3に絞り56を介し連通する調圧路57とが接続される。更に、燃料供給路15aの下流分岐部b1と中間分岐部b3の間には逆止弁58が配設される。
【0034】
ここでは燃料供給路15aが低圧燃料供給路を構成し、増圧機構50より燃料供給路15aの下流分岐部(インジェクタ側)b2に達する部位が高圧燃料供給路を構成することとなる。
ここでのコモンレール圧P’LPCRは供給ポンプ23’で調整され、増圧機構50の増圧機構圧P’HPCRはコモンレール圧P’LPCRに比例した値として調整されることとなる。この燃料噴射装置においてもインジェクタ電磁弁19および切換え弁21aの開弁時期を給気状態に応じて遅角させることにより前述の実施形態と同様の効果が得られる。
【0035】
上述のところにおいて、図1の燃料噴射装置が暖機促進を図ったのは酸化触媒及びNOx触媒であったが、これ以外の排ガス浄化装置である三元触媒を内蔵した排ガス浄化装置や、排ガス中のディーゼルパティキュレートを酸化触媒担持のフィルタに捕集して適時に焼却除去するパティキュレート除去装置等にも同様に適用でき、同様の作用効果が得られる。
【0036】
【発明の効果】
以上のように、本発明は、排ガス浄化装置が活性化温度以下の場合に、インジェクタ駆動用電磁弁の噴射開始時期および切換え弁の作動時期をエンジンの給気状態に応じて遅角側に補正するので、低圧初期噴射期間が増加して排気温度を容易に高めることができ、その後の後期噴射域での高圧噴射により安定燃焼を確保できると共に、スモークの発生を抑えられる。
【0037】
特に、切換え弁の作動時期がスモーク限界時期以前の範囲で最大限に遅角するような値として設定されるので、確実にスモークを抑えた上で、排気温度を容易に高めることができる。
【0038】
請求項2の発明は、低圧蓄圧室に貯留された燃料をインジェクタより燃焼室に噴射し、その途中で高圧蓄圧室に貯留された燃料をインジェクタより燃焼室に噴射する燃料噴射装置を用いるので、確実に2段噴射を行え、インジェクタの噴射開始時期および切換え弁の作動時期を遅角側に補正でき、排気温度を容易に高め、安定燃焼を確保できる。
【0039】
請求項3の発明は、蓄圧室に貯留された燃料をインジェクタより燃焼室に噴射し、その途中で増圧機構により増圧された燃料をインジェクタより燃焼室に噴射する燃料噴射装置を用いるので、確実に2段噴射を行え、インジェクタの噴射開始時期および切換え弁の作動時期を遅角側に補正でき、排気温度を容易に高め、安定燃焼を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態としての燃料噴射装置と同装置を装着するエンジンの概略構成図である。
【図2】図1の燃料噴射装置の作動モード説明図である。
【図3】図1の燃料噴射装置の機能ブロック図である。
【図4】図1の燃料噴射装置の燃料噴射制御ルーチンのフローチャートである。
【図5】図1の燃料噴射装置に代えて採用可能な燃料噴射装置の概略構成図である。
【図6】燃料噴射装置の噴射率説明図である。
【図7】燃料噴射装置の開弁時期と噴射率の大小に応じた特性説明図で、(a)は排気温度説明図、(b)はスモーク濃度説明図である。
【符号の説明】
1 燃料噴射装置
2 エンジン
4 燃焼室
9 排ガス浄化装置
11 インジェクタ
13 高圧燃料路
15 低圧燃料路
19 インジェクタ電磁弁
21 切換え弁
34 触媒温度センサ
Tc 排ガス温度
Tc1 所定の温度
θL 噴射開始時期
θH 切換え時期
A2 補正手段
E 排気通路
Claims (3)
- インジェクタ駆動用電磁弁を駆動して低圧燃料供給路の燃料をインジェクタを介して燃焼室に噴射し、その低圧噴射の途中で切換え弁を駆動して高圧燃料供給路からの燃料を上記インジェクタを介して燃焼室に噴射する燃料噴射装置において、エンジンの排気通路に設けられた排ガス浄化装置と、上記排ガス浄化装置もしくは上記排気通路の排ガス温度を検出する温度検出手段と、上記温度検出手段の温度情報が上記排ガス浄化装置の活性化温度以下の場合に、上記インジェクタ駆動用電磁弁の噴射開始時期および上記切換え弁の作動時期をエンジンの給気状態である吸気圧及び吸気温度に応じて遅角側に補正する補正手段を設け、
上記補正手段による上記作動時期がスモーク限界時期以前の範囲で最大限に遅角するような値として設定されることを特徴とする燃料噴射装置。 - 上記インジェクタ駆動用電磁弁を駆動して低圧蓄圧室に貯留された燃料を上記インジェクタより燃焼室に噴射し、その低圧噴射の途中で切換え弁を駆動して高圧蓄圧室に貯留された燃料を上記インジェクタより燃焼室に噴射することを特徴とする請求項1記載の燃料噴射装置。
- 上記インジェクタ駆動用電磁弁を駆動して蓄圧室に貯留された燃料を燃料供給路を通してインジェクタより燃焼室に噴射し、その低圧噴射の途中で燃料供給路に接続された増圧機構により増圧された燃料を切換え弁を駆動してインジェクタより燃焼室に噴射することを特徴とする請求項1記載の燃料噴射装置。
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