JP4110584B2 - 金属帯の連続熱処理装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば連続的に送給されるストリップ(鋼帯)を焼鈍する連続焼鈍炉等の金属帯の連続熱処理装置に関し、特に金属帯を高温に加熱する加熱帯の出側に、当該金属帯の加熱帯での達成温度を所定時間維持する均熱帯を備えた金属帯の連続熱処理装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ストリップを連続焼鈍する従来の連続焼鈍炉等の金属帯の連続熱処理装置では、当該ストリップ等の金属帯をA2 変態点以上といった高温に加熱するための加熱帯と呼ばれる炉構造を備え、当該加熱帯内に連続的に送給されるストリップの周囲には多数のラジアントチューブと称される加熱装置が配設されている。特に送給される金属帯がストリップであり、必要とする熱処理工程が仕上げ工程における焼鈍であるような場合には、当該ストリップの酸化を極力回避しなければならない。しかも、加熱温度が前述のような高温であるために、炉内雰囲気中のCO2 やH2 Oに含まれるO成分によってストリップの酸化が促進されてしまうことから、このストリップの連続焼鈍雰囲気は少なくとも無酸化雰囲気若しくは還元雰囲気である必要があり、従ってCO2 やH2 Oを含む燃焼排ガスを発生するバーナ装置で直接的に炉内,即ち雰囲気温度を昇温することはできない。そこで、このバーナ装置の高温燃焼排ガス若しくはそれによって昇温された気体を前記ラジアントチューブ内に送給し、当該ラジアントチューブ外壁から炉内への輻射熱によってストリップを加熱する。従って、炉内雰囲気を前記無酸化雰囲気若しくは還元雰囲気に維持しておくことで、ストリップの酸化を回避することができ、且つ比較的効率よくストリップの加熱を行うことができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、実際の連続焼鈍操業においては、生産効率を向上するためにストリップの送給速度(通板速度)には下限があり、願わくば設備効率の問題から加熱帯の大きさ,即ちストリップのパス長もできるだけ短くしたいという要望に応じて、炉内,即ちラジアントチューブの温度は所望するストリップの達成温度よりも比較的高く設定せざるを得ない。つまり、ラジアントチューブの温度を高くすることにより、炉内温度とストリップとの温度差を大きくして、当該ストリップが速やかに所定の高温まで加熱されるようにする必要がある。しかしながら、前述のように要求されるストリップの高温の加熱温度に加えて、更にラジアントチューブの温度を高くすることは、当該ラジアントチューブに相当の熱負荷がかけられることになり、特に熱応力や高温クリープによってラジアントチューブそのものが破断してしまう,所謂高温寿命が短くなってしまう。また、このようにラジアントチューブの設定温度を高く設定することは、その発熱源であるバーナ装置への燃料ガス等から算出される燃料原単位(単位加熱物重量当たりの熱量等)を大きくすることになるから、その分だけ,コスト高になってしまうという問題もある。
【0004】
これらの問題のうちの前者,即ちラジアントチューブの高温寿命に関しては、短くなるといっても凡そ数年といった程度であるのに対して、後者の燃料原単位の問題は直接的にコストに反映するため、従前においてはやや後者の問題が重視されてきた。その一つは、ラジアントチューブを加熱するためのバーナ装置の燃焼効率を上げることであり、ラジアントチューブを加熱し終えた燃焼排ガスの顕熱を対流式熱交換装置によって燃焼空気の顕熱に回収し、つまりバーナ装置に供給される燃焼空気の温度を上げて、当該バーナ装置内における燃焼効率を向上させるというものである。
【0005】
また、操業ラインでは予熱帯を設けてストリップの予熱を行う。この予熱帯では、前記バーナ装置の燃焼排ガスの顕熱を、前述と同様の対流式熱交換装置によって所定の気体の顕熱として回収し、これによりある程度まで加熱された気体を、前記加熱帯の入側,即ち予熱帯内でストリップに直接吹付けることにより当該ストリップの温度を直接的に昇温させることができる。
【0006】
しかしながら、前述した対流式熱交換装置は、例えばチューブ内に燃焼用の空気や蒸気等の気体を通しておき、その周囲に燃焼排ガスを流して、当該燃焼排ガスの顕熱を、チューブを介して気体に伝熱回収するものであることから、燃焼排ガスと回収する側の気体との間には十分な温度差と広い伝熱面積が必要となる。従って、燃焼排ガスから十分な熱回収を行うためには大きな熱交換器が必要となるが、十分な設置スペースがとれないという現状から熱回収率は低く、仮に十分な伝熱面積が確保できたとしても、前記チューブ内の気体を短時間で十分な高温まで加熱することは困難である。従って、この対流式熱交換装置を用いてバーナ装置の燃焼効率を向上するにしても、予熱帯でストリップを予熱するにしても、燃料原単位或いはラジアントチューブの高温寿命の向上効果は期待するほどのものではないというのが現状である。
【0007】
そこで、このような諸問題を解決するための手段として、例えば特開平6−288519号公報に記載される蓄熱式バーナ装置を用いた連続焼鈍度等の連続熱処理装置が挙げられる。この技術は、対をなす蓄熱式バーナ装置のうちの一方のバーナ装置で燃焼を行い、その燃焼排ガスの顕熱を他方の蓄熱式バーナ装置の蓄熱体に蓄熱し、やがて例えば前記他方の蓄熱式バーナの蓄熱体の温度が上限温度に達して、それまでの燃焼−蓄熱循環が限界に達したら、前記一方のバーナ装置の燃焼を停止し、他方の蓄熱式バーナ装置で燃焼を行うと共に、例えばその蓄熱式バーナ装置への燃焼空気を蓄熱体を通過させて燃焼に供することにより、前記燃焼排ガスの顕熱を当該燃焼空気の顕熱として高い効率で回収することが可能となる。従って、この蓄熱式バーナ装置を、前記連続焼鈍炉等の連続熱処理装置のバーナ装置として用いることにより熱回収効率が向上するため、少なくとも燃料原単位の低減効果は期待することができる。
【0008】
しかしながら、この蓄熱式バーナ装置では、燃焼バーナ装置毎に蓄熱体を備えなければならず、その分だけ装置単体が複雑化及び大型化してしまう。ところが、実際の操業に用いられる連続焼鈍炉等の連続熱処理装置では、このようなバーナ装置を百本以上、大きなものでは数百本も備えていることから、それら全てに蓄熱式バーナ装置を用いようとすると構造が複雑化及び大型化するのみならず、その制御が非常に煩雑になってしまい、その分だけ保守や整備も困難になるという問題も併せ持つ。また、特に従来既存の設備で前記通常のバーナ装置をこれらの蓄熱式バーナ装置に改造することは、経済性に劣るばかりでなく、既に限られたスペース内に設けられている全てのバーナ装置に、更には蓄熱体を設けることができないという実情もある。
【0009】
本発明はこれらの諸問題に鑑みて開発されたものであり、加熱帯の出側端部に複数の対をなす蓄熱式加熱器を備えた蓄熱式加熱装置を配設して、所謂チャンスフリー帯を構成し、各蓄熱式加熱器で雰囲気ガスを高温に加熱して、それを安定して金属帯に吹付ける,つまり高温の雰囲気ガスによる対流熱伝達によって加熱帯出側での金属帯達成温度を急速に高めることを可能とし、結果的にそれまでの加熱帯で要求される金属帯の温度上昇分を小さくすることで炉内,即ちラジアントチューブに要求される設定温度を低くし、これにより燃料原単位を低減すると共にラジアントチューブの高温寿命を向上し、更にこのチャンスフリー帯で前記金属帯への雰囲気ガスの吹付け及びそれによる金属帯の温度を安定させることのできる金属帯の連続熱処理装置を提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記諸問題を解決するために、本発明のうち請求項1に係る金属帯の連続熱処理装置は、複数のバーナ装置の燃焼排ガスが夫々供給されるラジアントチューブを複数備え、所定の雰囲気ガスの中で、このラジアントチューブからの輻射熱によって連続的に送給される金属帯を所定の高温まで加熱するための加熱帯と、この加熱帯の出側で、当該加熱帯から送給される金属帯を、当該加熱帯で加熱された温度に所定時間維持する均熱帯とを備えた金属帯の連続熱処理装置において、前記加熱帯の出側端部に、前記雰囲気ガスを吸引して加熱したそれを金属帯に直接吹付ける複数の蓄熱式加熱器を備えた蓄熱式加熱装置を設け、この蓄熱式加熱装置は、対をなす蓄熱式加熱器のうちの一方で燃焼と雰囲気ガスの吸引とによって蓄熱体への蓄熱を行い、他方で蓄熱体の蓄熱を雰囲気ガスの顕熱に代えて金属帯に吹付けるように、各蓄熱式加熱器の切換え制御を順次行う制御手段を備え、前記蓄熱式加熱装置は、前記蓄熱式加熱器の対を、金属帯の送給方向に沿って少なくとも3対以上備え、前記制御手段は、前記3対以上の蓄熱式加熱器の対のうち、前記蓄熱体への蓄熱と雰囲気ガスの吹付けとを切換えている対を除き、前記何れか他方の蓄熱式加熱器から雰囲気ガスを金属帯の吹付けている対に対して、それらから吹付けられる雰囲気ガスの温度が金属帯の送給方向に常時平均化されるように、各蓄熱式加熱器の対の蓄熱体への蓄熱と雰囲気ガスの吹付けとの切換えをずらして行うことを特徴とするものである。
【0011】
この発明は、例えば前記従来のラジアントチューブ等の輻射による加熱方法の限界を考慮したものである。周知のように輻射による加熱方法では、高温域において被加熱物温度と雰囲気温度との差が小さくなると、被加熱物温度の上昇は,所謂飽和状態となって時間をかけても加熱できなくなってしまう。ところで、こうした輻射による加熱を行う場合に必要なガス輻射について考察すると、例えばCO2 やH2 O等はガス輻射を有するが、前記ストリップの連続焼鈍炉等で無酸化雰囲気又は還元雰囲気を達成するために必要なN2 やArにはガス輻射がなく、そのため前述のようにラジアントチューブ内に一旦、CO2 やH2 O等を含む燃焼排ガスを供給し、その輻射熱でストリップを加熱するしかないと考えられていた。ところが、前記無酸化雰囲気又は還元雰囲気を達成するために必要なN2 やArを相応の高温にまで加熱することができれば、それを金属帯に直接吹付けることによる,所謂対流熱伝達で当該金属帯を急速に加熱することができる。そして、一旦、所定温度まで金属帯を加熱できれば、その温度は均熱帯で所定時間維持されるから、とにかく加熱帯の出側までで金属帯を急速に加熱してでも所定温度に達成すればよい。ところが、このように雰囲気ガスを相当の高温まで加熱するためには、前述のような対流熱交換器等を用いてもとても及ばない。合わせて、CO2 やH2 O等のO成分を含む燃焼排ガスを、ストリップ等の金属帯に吹付けることはおろか、炉内雰囲気に混入させることも極力回避しなければならないという命題もある。
【0012】
そこで、一対の蓄熱式加熱器の何れか一方の加熱器ではバーナ装置を燃焼させるが、その加熱器では同時にバーナ装置の燃焼排ガスと(炉内)雰囲気ガスとを一緒に吸引して蓄熱体に通過させ、その間に燃焼排ガス及び雰囲気ガスの顕熱を蓄熱体に蓄熱し、他方の蓄熱式加熱器からは、当該加熱器内で既に十分加熱されている蓄熱体を通過させて不活性ガス等の雰囲気ガスの顕熱に回収し、これを炉内に直接送給する。この蓄熱式加熱器を複数備えた蓄熱式加熱装置を加熱帯の出側端部に設け、これによって送給される金属帯を当該加熱帯の出側近傍で急速に加熱することができれば、それまでの加熱帯に要求される金属帯の温度上昇分は小さくなり、その分だけ炉内温度,即ちラジアントチューブに要求される温度は低くてよい。ところで、前述のような高温域でのラジアントチューブの破断寿命は、温度の逆数の指数関数で与えられ、僅か十数℃から数十℃で二倍から数倍になることが分かっているから、これによりラジアントチューブの高温寿命を大幅に向上できると共に、バーナ装置に供給される燃料ガス等の燃料原単位を低減することができる。
【0015】
これらの発明では、3対以上の蓄熱式加熱器を用い、このうちの少なくとも1対からは蓄熱された蓄熱体に雰囲気ガスを通過させて高温の雰囲気ガスとなし、これを金属帯に吹付け、残りの蓄熱式加熱器の蓄熱体に蓄熱するように、順次制御弁の開閉制御を行う。この種の蓄熱式加熱器では、例えば蓄熱体若しくはその近傍の温度が上限値を越えることはできないから、前記蓄熱体への蓄熱と雰囲気ガスの吹付けとは、前記対をなす加熱器同志で、適宜のタイミングで切換えられる必要がある。そこで、実際に、蓄熱式加熱器が2対だけである場合には、何れかの対の蓄熱式加熱器で切換えが行われているときには、残りの対の蓄熱式加熱器でのみ金属帯に高温の雰囲気ガスの吹付けが行われる状況が発生する。ここで、前記切換えそのものには、バルブの切換え時間程度のさほどの時間を要しないから、効率化のためにも当該切換えが終了したら、直ぐに雰囲気ガスの吹付けを行うことも可能である。しかしながら、そのようにすると、その間も金属帯は送給され続けているから、その金属帯を送給方向に観察すると、1対の蓄熱式加熱器のみから高温の雰囲気ガスが吹付けられた箇所と、2対の蓄熱式加熱器から高温の雰囲気ガスが吹付けられた箇所とが混在することになり、結果的に送給方向に温度のバラツキが生じることになる。また、このように蓄熱式加熱器の切換えタイミングを一致させたのでは、高温の雰囲気ガスが金属帯に吹付けられていない状況が発生することから、同じく金属帯の送給方向に温度のバラツキが生じ、また、何れか一方の対をなす蓄熱式加熱器の切換えが終了してから、他方の対の切換えが開始されるまで、当該一方の蓄熱式加熱器の運転を停止しておく,つまり常時1対の蓄熱式加熱器のみから高温の雰囲気ガスが金属帯に吹付けられるようにする方法では、金属帯の送給方向への温度バラツキは生じないが、極めて効率が悪い。更に、各蓄熱式加熱器で雰囲気ガスを加熱し、それを金属帯に吹付けている間は、前記蓄熱体の蓄熱は対流熱伝達によって雰囲気ガスの顕熱に変化しているため、蓄熱体の温度が下がると雰囲気ガスの温度も下がることになるから、1対の蓄熱式加熱器から雰囲気ガスを吹付け続けることは、雰囲気ガスの温度が次第に低下することを意味し、従ってその分だけでも金属帯の送給方向には温度のバラツキが生じる。従って、3対以上,望ましくは4対以上の蓄熱式加熱器を用い、それらの蓄熱体への蓄熱と雰囲気ガスの吹付けとを切換えるタイミングが互いに一致しないようにずらして切換えを行うことにより、その切換えている対を除く蓄熱式加熱器から金属帯に吹付けられる雰囲気ガスの温度を金属帯の送給方向に常時平均化することができ、これにより金属帯の送給方向への温度バラツキを抑制防止することが可能となる。
【0016】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の金属帯の連続熱処理装置を実施化したストリップ(冷延鋼板)の連続焼鈍炉の一実施形態を示すものであり、基本的には従来既存の設備に改造を加えて本発明の実施形態となしたものである。
【0017】
同図は、ストリップSを連続的に焼鈍する竪型連続焼鈍炉の構成を示すものであり、この連続焼鈍炉は順に、コイル巻戻し機,溶接機,洗浄機等を有する図示しない入側設備、予熱帯(PHS)、加熱帯(HS)、均熱帯(SS)、必要に応じて板温を調節する図示されない板温調節帯や熱処理帯、及び剪断機,巻取り機等の図示しない出側設備から構成される。これらの設備は設置面積の低減の要求から全てタワー状の竪型に構築されている。
【0018】
冷延鋼板は、板厚や材料等の諸元に関わらず長手方向に溶接されて一連のストリップSとなして入側設備から連続的に送給された後、予熱帯(PHS)、加熱帯(HS)、均熱帯(SS)、及び必要な板温調節帯や熱処理帯を順に通過して最終的には常温まで冷却される。
【0019】
このうち、前記加熱帯(HS)及び均熱帯(SS)は従来既存のものと同様又はほぼ同様であり、加熱帯(HS)は入側設備から連続的に送給され、予熱帯(PHS)で予熱された冷延鋼板を例えば、再結晶温度以上まで加熱するものであり、具体的には炉内温度が900〜950℃で、ストリップの温度が700〜800℃になるように当該鋼板を加熱する。そして加熱された冷延鋼板は均熱帯(SS)で必要な時間保持された後、板温調節帯に致る。従って、加熱帯(HS)内に通板されるストリップSの近傍,即ち各パスの周囲には、従来と同様に図示されない多数のラジアントチューブが配設され、各ラジアントチューブには通常のバーナ装置から高温の燃焼排ガスが送給され、当該ラジアントチューブを通過した燃焼排ガスは一括して、後述する対流式熱交換装置に送給される。
【0020】
また、前記予熱帯(PHS)には図示されない対流式熱交換器が設けられており、前記加熱帯(HS)のラジアントチューブから排出されてきた燃焼排ガスは、既設の排ガス入側配管を通って、予熱帯(PHS)の一側面に設けられている既設の対流式熱交換器に供給され、次いで既設の排ガス出側配管を通って図示されない排気ファン側に排気される。また、前記対流式熱交換器には、予熱帯(PHS)内の雰囲気ガス(この場合は空気)を吸入する既設の吸気ファンから、既設の空気入側配管を通って当該雰囲気ガスである空気が供給され、次いでこの対流式熱交換器で加熱された空気は、既設の空気出側配管を通って図示されないプレナムチャンバ等の拡散吹付け装置から当該予熱帯(PHS)内を通板するストリップSに吹付けられる。つまり、前述のように、この対流式熱交換器内には図示されない多数のチューブが配設され、このチューブ内に送給された空気は、その周囲に流れる高温の燃焼排ガスの対流熱伝達によって加熱され、プレナムチャンバからストリップSに吹付けられ、ストリップSを加熱する。
【0021】
一方、前記加熱帯(HS)の出側端部に相当する最終パス(図1では第25パス)には、蓄熱式加熱装置1A〜1Dを、通板されるストリップSの両板面に対向して配設したチャンスフリー帯(CFS)が設けられている。このチャンスフリー帯の語源は、凡そ以下のようである。即ち、前述のようにラジアントチューブからの輻射熱によって高温に加熱される加熱帯(HS)内は、前記バーナ装置への燃料ガスの供給量等の制御因子を制御してから実際に炉温が変化するまでの応答時間が長く、実際に板厚の異なる鋼板を連続したストリップにおいて、当該板厚に応じた板温を確実に達成し且つ燃料原単位を可及的に低減するためには、その鋼板の諸元に応じた炉内温度制御を,長時間にわたって設定するプロセス制御と、更に実際の炉温変動を見ながら種々の制御因子を最適に操作する最適化制御とが必要となる。これに対して、同じ加熱処理にあって、板温を比較的短時間で調整可能な機能帯があれば、こうした最適化若しくはプロセス制御を行わずとも、板厚に応じた板温を即座に得ることができ、その分だけ板温の制御機会に自在性がある。そこで、このような短時間での板温調節帯をチャンスフリー帯と称する慣習はあるが、それが実際に構築されることは前述のように殆どなかった。
【0022】
さて、前記チャンスフリー帯(CFS)に配設された各蓄熱式加熱装置1A〜1Dは、夫々、例えば図2に示すような構成を有する。各蓄熱式加熱装置1A〜1Dは、夫々、前述のように対をなす2つの蓄熱式加熱器2AU〜2DU,2AL〜2DLを有し、図2aは図示上側の蓄熱式加熱器2AU〜2DUでチャンスフリー帯(CFS)内の雰囲気ガスを吸引すると共に蓄熱体への蓄熱を行い、図示下側の蓄熱式加熱器2AL〜2DLで雰囲気ガスであるHNガスを加熱し、それをチャンスフリー帯(CFS)内に通板されているストリップ板面に直接吹付けている状態であり(以下、この状態をMODE−Lとも示す)、図2bはその逆に図示上側の蓄熱式加熱器2AU〜2DUで雰囲気ガスであるHNガスを加熱してストリップ板面に直接吹付け、図示下側の蓄熱式加熱器2AL〜2DLで雰囲気ガスの吸引と蓄熱体への蓄熱を行っている状態を示す(以下、この状態をMODE−Uとも示す)。なお、図2では、ストリップの右側板面にしか蓄熱式加熱装置1A〜1Dを配設していないが、実際には図1に示すようにストリップの両側板面に加熱されたHNガスが吹付けられるように、ストリップの両板面側に蓄熱式加熱装置1A〜1Dを配設していることは言うまでもない。
【0023】
そして、各蓄熱式加熱装置1A〜1Dの各蓄熱式加熱器2AU〜2DU,2AL〜2DLの夫々は、例えば図2に示すように、蓄熱体10を内装する蓄熱体室11の上側及び下側に隣接し、且つ当該蓄熱体室11の蓄熱体10内に気体を通過させ得る上側室12及び下側室13を備え、このうち上側室12が、チャンスフリー帯(CFS)内に通板されるストリップの板面に対向して開口する開口部に連通されている。また、前記上側室12内には図示されないバーナ装置が内装されており、このバーナ装置に連通する燃焼空気配管に空気弁3が,また同じく燃料ガスであるMガス配管にMガス弁4が設けられている。また、前記下側室13に接続される排気配管には排気弁5が、同じく雰囲気ガスであるHNガス配管にはHNガス弁6が設けられている。なお、前記Mガスとは、前記バーナ装置で燃焼を行うための燃料ガスである。また、HNガスとは、チャンスフリー帯(CFS)内を無酸化及び還元雰囲気とするためのN2 とH2 との混合ガスであり、周知のようにN2 は主たる無酸化雰囲気を創成し、H2 は雰囲気ガス中のO成分と反応して積極的な還元雰囲気を導出する。
【0024】
なお、前記チャンスフリー帯(CFS)内のうち、送給されるストリップの通板方向手前,即ち図1の図示上方から順に、蓄熱式加熱装置1Aに接続される蓄熱式加熱器,配管及び弁構成をA系,蓄熱式加熱装置1Bに接続される蓄熱式加熱器,配管及び弁構成をB系,蓄熱式加熱装置1Cに接続される蓄熱式加熱器,配管及び弁構成をC系,蓄熱式加熱装置1Dに接続される蓄熱式加熱器,配管及び弁構成をD系と表す。また、各系の蓄熱式加熱装置1A〜1Dのうち、図2で図示上側の蓄熱式加熱器を上側蓄熱式加熱器2AU〜2DU,図示下側のものを下側蓄熱式加熱器2AL〜2DL(A〜Dは夫々,系に対応する)と表し、更に上側蓄熱式加熱器2AU〜2DUに接続される配管及び弁構造を上側系と表し、下側蓄熱式加熱器2AL〜2DLに接続される配管及び弁構造を下側系と表す。
【0025】
また、これらの弁構成は、図示されないプロセスコンピュータによって、その開閉が制御される。前述のように各系の蓄熱式加熱装置1A〜1Dでは、夫々独立して、前述のように上側蓄熱式加熱器2AU〜2DUと下側蓄熱式加熱器2AL〜2DLとで運転状態を切換えなければならないが、それらを全ての系で繰返し説明しても分かりにくいので、運転状態切換えのための弁の開閉順序を、ここで纏めて説明する。まず、前記図2aに示すMODE−Lから同図2bに示すMODE−Uに切換える場合には、それまで上側蓄熱式加熱器2AU〜2DUに接続されている上側空気弁3,上側Mガス弁4及び上側排気弁5が開かれ且つHNガス弁6が閉じられていると共に、下側蓄熱式加熱器2AL〜2DLに接続されている下側HNガス弁6が開かれ且つ上側空気弁3,上側Mガス弁4及び上側排気弁5が閉じられている。つまり、上側蓄熱式加熱器2AU〜2DUの上側室12内ではバーナ装置が燃焼され、その燃焼排ガスとチャンスフリー帯(CFS)内の雰囲気ガス(HNガス,約865℃)とが蓄熱体室11内を通過する間に蓄熱体10に蓄熱が行われ、上側排ガス弁5から排気される(約200℃以下)(以下、この工程を「燃焼+HNリサイクル」とも記す)。一方、下側蓄熱式加熱器2AL〜2DLでは、HNガスが蓄熱体を通る間に加熱され、その加熱されたHNガス(約1450℃)がストリップの板面に吹付けられて当該ストリップを加熱している(以下、この工程をHN吹付けとも記す。
【0026】
そして、この状態から、まず前記上側Mガス弁4を閉動作させ、当該Mガス弁4が閉状態となってから所定時間後に前記上側空気弁3を閉動作させる。次に、この上側空気弁3が閉状態に移行してから、最適化された排ガスパージ時間から求めた所定時間後に前記上側排ガス弁5を閉動作させる。この一連のHN吹付け/「燃焼+HNリサイクル」の切換えシーケンスの中で、前記上側系の排気流量や下側HNガス弁6の開度を適切に設定することにより、前記Mガスと空気との燃焼排ガスがチャンスフリー帯(CFS)内に流入することはなく、また燃料ガスであるMガスが排ガス内に直接流入することもなくなる。
【0027】
一方、前記上側排ガス弁5が閉状態となってから所定時間後に、同じく上側HNガス弁6を開動作させ、それから所定時間後に下側HNガス弁6を閉動作させる。このとき、重要なのは二つのHNガス弁6が同時に閉状態となってチャンスフリー帯(CFS)内部が負圧になり、その結果、燃焼排ガスや外部空気等に含まれるO成分がチャンスフリー帯(CFS)内に流入しないようにすることであり、従って前記上側HNガス弁6が開状態になるまでの所要時間が、同じく下側HNガス弁6が閉状態になるまでの所要時間より短くなるように、前記上側HNガス弁6の開動作から下側HNガス弁6の閉動作までの所定時間を設定する必要がある。そして、その後、前記下側HNガス弁6が閉状態となってから所定時間後に下側排ガス弁5を開動作させ、この下側排ガス弁5が開状態となってから所定時間後に同じく下側空気弁3を開動作させ、この下側空気弁3が開状態となってから所定時間後に同じく下側Mガス弁4を開動作させ、これにより下側蓄熱式加熱器2AL〜2DLのバーナ装置が燃焼を開始するために、当該下側蓄熱式加熱器2AL〜2DLが「燃焼+HNリサイクル」状態となり、既に上側蓄熱式加熱器2AU〜2DUはHN吹付け状態,つまり図2bのMODE−Uになっているために、以上でHN吹付け/「燃焼+HNリサイクル」の切換えシーケンスが終了する。
【0028】
また、このMODE−Uから前記MODE−Lに切換える場合には、まず前記下側Mガス弁4を閉動作させ、当該Mガス弁4が閉状態となってから所定時間後に前記下側空気弁3を閉動作させ、この下側空気弁3が閉状態に移行してから、前記排ガスパージ時間から求めた所定時間後に前記下側排ガス弁5を閉動作させる。この一連のHN吹付け/「燃焼+HNリサイクル」の切換えシーケンスの中でも、前記上側系の排気流量や下側HNガス弁6の開度を適切に設定することにより、前記Mガスと空気との燃焼排ガスがチャンスフリー帯(CFS)内に流入することはなく、また燃料ガスであるMガスが排ガス内に直接流入することもなくなる。
【0029】
一方、前記下側排ガス弁5が閉状態となってから所定時間後に、同じく下側HNガス弁6を開動作させ、それから前述した所定時間後に下側HNガス弁6を閉動作させる。このときも、燃焼排ガスや外部空気等に含まれるO成分がチャンスフリー帯(CFS)内に流入しないように、前記下側HNガス弁6の開動作から上側HNガス弁6の閉動作までの所定時間を設定する必要がある。そして、その後、前記上側HNガス弁6が閉状態となってから所定時間後に上側排ガス弁5を開動作させ、この上側排ガス弁5が開状態となってから所定時間後に同じく上側空気弁3を開動作させ、この上側空気弁3が開状態となってから所定時間後に同じく上側Mガス弁4を開動作させ、これにより上側蓄熱式加熱器2AU〜2DUのバーナ装置が燃焼を開始するために当該上側蓄熱式加熱器2AU〜2DUが「燃焼+HNリサイクル」状態となり、既に下側蓄熱式加熱器2AL〜2DLはHN吹付け状態,つまり図2aのMODE−Lになっているために、以上でHN吹付け/「燃焼+HNリサイクル」の切換えシーケンスが終了する。
【0030】
次に、前述したプロセスコンピュータによって実行される前記A系〜D系の全ての蓄熱式加熱装置1A〜1D及びそれらの各蓄熱式加熱器2AU〜2DU,2AL〜2DLの制御内容について説明する。この制御内容をシーケンスチャートとして表したのが図3である。この図3のシーケンスチャートによれば、例えば前記A系の蓄熱式加熱装置1Aにおいて、前記上側蓄熱式加熱器2AUと下側蓄熱式加熱器2ALとのHN吹付け/「燃焼+HNリサイクル」の切換えシーケンスが終了してから、B系の蓄熱式加熱装置1Bの上側蓄熱式加熱器2BUと下側蓄熱式加熱器2BLとの切換えシーケンスが開始されるようにし、このB系の蓄熱式加熱装置1Bの切換えシーケンスが終了してから、C系の蓄熱式加熱装置1Cの切換えシーケンスが開始されるようにし、このC系の蓄熱式加熱装置1Cの切換えシーケンスが終了してから、D系の蓄熱式加熱装置1Dの切換えシーケンスが開始されるようにし、このD系の蓄熱式加熱装置1Dの切換えシーケンスが終了してから、前記A系の蓄熱式加熱装置1Aにおいて、前記と逆の切換えシーケンスが開始されるようにしてある。
【0031】
次に、本実施形態の連続焼鈍炉の作用について説明する。
まず、本実施形態の連続焼鈍炉の全体的な作用と目的とを説明する。前記図2に示すように、各系の蓄熱式加熱装置1A〜1Dの何れかの蓄熱式加熱器を通ってストリップに吹付けられるHNガス(雰囲気ガス)は、所望するストリップ設定温度800℃より遙に高い約1450℃程度であるため、これを直接ストリップの両板面に吹付ければ、前記チャンスフリー帯(CFS)が、例え1パスであっても当該ストリップを急速に加熱することができる。これは、十分に温度の高い気体を吹付けて被加熱物を加熱する対流熱伝達において、被加熱物との伝熱面積,即ちストリップの板面が十分に広いこと、またストリップが十分に薄いことにも起因している。この温度傾向を、図4の時間−板温変化曲線に示すと、加熱帯(HS)の最も出側端部に設けられたチャンスフリー帯(CFS)で十分な加熱が得られるということは、それ以前のストリップの板温上昇量を小さくすることができ、その分だけ炉内温度,即ちラジアントチューブに要求される設定温度を低くすることができることを意味する。また、図4には、ラジアントチューブからの輻射熱によってのみ800℃のストリップ板温を達成する従来の場合と、最終工程のチャンスフリー帯で蓄熱式加熱装置1A〜1Dからの雰囲気ガスの対流熱伝達を併用する本実施形態の場合とを同時に示しているが、両曲線より下方部分の面積差が、両方式による凡そのエネルギ差を表していることは容易に推察されよう。このような差が発生するのは、前述のように輻射による加熱方法では、被加熱物と雰囲気温度との差が小さくなると、それ以上被加熱物を加熱できなくなって被加熱物温度が飽和してしまうことに起因している。
【0032】
次に、前述のような炉温,即ちラジアントチューブへの設定温度低減効果を説明する前に、理解を容易化するために現行,即ち従来の連続焼鈍炉について説明する。この従来の連続焼鈍炉における炉温,ラジアントチューブの設定温度低減は、図11に示すように、前記加熱帯のラジアントチューブから得られた燃焼排ガスを対流式熱交換器に供給すると共に、当該対流式熱交換器内に配設されたチューブ内には空気を供給し、このチューブ内の空気を燃焼排ガスの顕熱からの対流伝熱によって加熱し、これを予熱帯内でストリップに吹付けて当該ストリップを加熱(予熱)することのみである。なお、加熱帯から送給されるストリップの設定温度は800℃である。
【0033】
前述した加熱帯では、図12に示すように、例えばMガス(高炉ガスとコークス炉ガスの混合ガス)と称する燃料ガスの燃焼熱が前記バーナ装置及びラジアントチューブから供給されるが、実質的には炉体からの放散熱やHNガスの排出に伴う損失熱,及びハースロールを冷却するためのロール室冷却熱等の損失熱があるものの、これらの放散熱や損失熱はさほど大きなものではなく、最も大きいのは、やはりストリップ顕熱と燃焼排ガスの損失熱であり、このうちのストリップ顕熱は被加熱物の目標温度が達成されるために必要なものであるから度外視する。この従来の連続焼鈍炉では、燃焼排ガス流量は約63000Nm3 /Hであり、そのときの燃焼排ガスはダクト(配管)を通るうちに当該ダクトからの放散熱によって、対流式熱交換器に到達する時点では640℃まで低下する。そして、対流式熱交換器では、この燃焼排ガスの顕熱から298℃の空気顕熱しか回収することができないから、これを予熱帯に送給してストリップに吹付けることによって、当該予熱帯の入側では40℃のストリップ顕熱を、予熱帯の出側,即ち加熱帯の入側では、120℃までしか高めることができない。そのため、加熱帯内の炉温941℃に設定しなければならず、この加熱帯での燃料原単位は238Mcal/tと高い数値になってしまう。
【0034】
一方、前述のように本実施形態のチャンスフリー帯での蓄熱式加熱装置では、雰囲気ガス(HNガス)を1450℃といった非常に高温に加熱することができるので、これを当該チャンスフリー帯でストリップに直接吹付けることによってストリップ顕熱を一気に高めて800℃を達成させ、逆にそれまでの加熱帯内,つまりラジアントチューブの温度を下げて当該ラジアントチューブの高温寿命を長じると共に、加熱帯内での燃料原単位を低減してコストの低廉化を図る。この実施形態では、図5に示すように加熱帯内の温度(図では炉温),つまりラジアントチューブの温度を、現行より20℃低い921℃にすることを目標とする。なお、加熱帯(チャンスフリー帯)から送給されるストリップの設定温度は現行と同じ800℃とする。
この実施形態では、全系の蓄熱式加熱装置からストリップに吹付けられるHNガスの顕熱を1450℃で計算する。ここで、前記加熱帯内の温度を921℃にしたことにより、チャンスフリー帯に送給されるストリップ顕熱は782℃に相当し、このストリップをチャンスフリー帯の出側で800℃にするためには、前述のようなHNガスをストリップに吹付けて対流熱伝達によりストリップを加熱する場合、HNガス流量は、HNガスとストリップとの温度差,つまり図6に示すようにHNガスの温度に反比例するから、HNガスの温度が1450℃であるときには約3500Nm3 /HのHNガス流量を必要とする。ここでも、HNガスを高温に加熱して投入できる蓄熱式加熱装置は、必要とされるHNガス流量を低減できることからもエネルギ効率の高いことが分かる。そして、このようにチャンスフリー帯に投入されたHNガスのうち、前記Mガス及び空気の燃焼排ガスを確実に排気するために蓄熱式加熱装置にリサイクルされるHNガス流量は約700Nm3 /Hとなり、残りの約2500Nm3 /Hは連通する加熱帯へのHNガス顕熱として流れ込み、更に残りの約300Nm3 /Hが排ガス顕熱に付加される。
【0035】
以上により、前記炉温921℃を達成すると共に、加熱帯での燃料原単位を、従来より5.5Mcal/t低い232.5Mcal/tに低減することができた。
次に、ラジアントチューブの温度低減による寿命向上効果について説明する。図7は縦軸にラジアントチューブにかかる発生応力を、横軸に下記1式で表れる材質固有の定数P値をとり、平均破断応力(図ではAverage Rupture Strength)と最小破断応力(図ではMinimum Rupture Strength)とで両者の相関を表したものである。なお、平均破断応力とは統計論的にラジアントチューブが破断してしまう確率が最も高い発生応力と定数P値との関係を示し、最小破断応力とは95%の確率で破断を回避できる発生応力と定数P値との関係を示すものである。また、前記ラジアントチューブにかかる発生応力とは、例えばチューブ自重による曲げ応力,軸方向への熱応力,断面方向への熱応力及び円周方向への熱応力等の総和から与えられ、曲げ応力を除く何れもがラジアントチューブの発生温度の関数として与えられる。本実施形態におけるラジアントチューブの発生応力の総和は約0.852kgf/mm2 であった。従って、前記図6の最小破断応力曲線に従った定数P値は約36.5になる。
【0036】
P=T・(23+log(t))exp(−3) ……… (1)
但し、Tはラジアントチューブ温度,即ち炉温、tは寿命時間である。
次に、この定数P値を固定し、炉温(ラジアントチューブ温度)Tによる寿命時間tの関数を求め、これをラジアントチューブ推定寿命年数として表したのが図8である。前記1式からも明らかなように、寿命時間(寿命年数)tは、ラジアントチューブ温度(炉温)Tの逆数の指数関数で表されるから、前述のような高温での使用に際しては、僅かな温度低減が大幅な寿命年数向上効果となり、例えば現状炉温941℃では僅か5.5年の推定寿命が、僅か20℃炉温を下げた921℃で3倍程度の16年まで延長される。前述したように、一体の炉内に百乃至数百本のラジアントチューブを有する連続焼鈍炉の加熱帯では、この効果は非常に大きく、単純なラジアントチューブの材料コストのみならず、破断したラジアントチューブを交換するなどの保守・整備に要するの人的なコストメリットも大きい。
【0037】
次に、前記図3のシーケンスチャートに従った各蓄熱式加熱器の切換え制御の作用について説明する。
まず、特定の系の上側及び下側蓄熱式加熱器の蓄熱体の温度,つまりHNガスの温度を時系列で表すと、図9のように表れる。このうち実線で示されるのが、実際にストリップに吹付けられるHNガス温度であり、破線部分は、ほぼ蓄熱体の温度であると考えられたい。つまり、この実線部分に相当するHNガス温度は、或る系の蓄熱式加熱装置の切換えから次の切換えまでの間で次第に低下してしまうから、単一の系の蓄熱式加熱装置でのみストリップの加熱を行うと、当該ストリップの送給方向に温度差が生じることになる。
【0038】
そこで、本実施形態では、ストリップに吹付けられる前記HNガスの平均温度が常時安定するように、前記HNガスがストリップに吹付けられる時間帯を3等分し、この3等分した時間帯と或る系が必要な切換え時間との夫々に、前述した4対の蓄熱式加熱器,つまりA系〜D系の蓄熱式加熱装置の切換え時間をずらして配設し、これにより何れか3つの系の蓄熱式加熱装置から前記3等分された前期,中期及び後期に相当するHNガスが常時吹付けられるようにした。この図9に示すHNガス温度変化を、前記図3のシーケンスチャートに対応させてみると、全系の蓄熱式加熱装置の蓄熱式加熱器2AU〜2DU,2AL〜2DLからのHNガス温度は図10で示すようになる。ここで、例えば時間帯T1 について見ると、A系の蓄熱式加熱器は何れも切換え中であり、B系の上側蓄熱式加熱器2BUから後期,つまり低温のHNガスがストリップに吹付けられ、以下同様にC系の上側蓄熱式加熱器2CUから中期,つまり中温のHNガスが吹付けられ、D系の上側蓄熱式加熱器2DUから前期,つまり高温のHNガスが吹付けられ、全体で平均化されるようになっている。勿論、前述したHNガスの対流熱伝達で最も支配的なのは、これらのうちの最も高い温度のHNガスであるが、連続焼鈍炉等のようにストリップの通板速度が速い場合には、平均化されたHNガス温度でストリップの加熱効率を評価してもよい。
【0039】
そして、同様に時間帯T2 では、B系の蓄熱式加熱器が切換え中であり、A系の下側蓄熱式加熱器2ALからは高温の,C系の上側蓄熱式加熱器2CUから低温の,D系の上側蓄熱式加熱器2DUから中温のHNガスがストリップに吹付けられることになり、次の時間帯T3 では、C系の蓄熱式加熱器が切換え中であり、A系の下側蓄熱式加熱器2ALからは中温の,B系の下側蓄熱式加熱器2BLから高温の,D系の上側蓄熱式加熱器2DUから低温のHNガスがストリップに吹付けられることになり、次の時間帯T4 では、D系の蓄熱式加熱器が切換え中であり、A系の下側蓄熱式加熱器2ALからは低温の,B系の下側蓄熱式加熱器2BLから中温の,C系の下側蓄熱式加熱器2CLから高温のHNガスがストリップに吹付けられることになり、次の時間帯T5 では、A系の蓄熱式加熱器が切換え中であり、B系の下側蓄熱式加熱器2BLからは低温の,C系の下側蓄熱式加熱器2CLから中温の,D系の下側蓄熱式加熱器2DLから高温のHNガスがストリップに吹付けられることになり、次の時間帯T6 では、B系の蓄熱式加熱器が切換え中であり、A系の上側蓄熱式加熱器2AUからは高温の,C系の下側蓄熱式加熱器2CLから低温の,D系の下側蓄熱式加熱器2DLから中温のHNガスがストリップに吹付けられることになり、次の時間帯T7 では、C系の蓄熱式加熱器が切換え中であり、A系の上側蓄熱式加熱器2AUからは中温の,B系の上側蓄熱式加熱器2BUから高温の,D系の下側蓄熱式加熱器2DLから低温のHNガスがストリップに吹付けられることになり、次の時間帯T8 では、D系の蓄熱式加熱器が切換え中であり、A系の上側蓄熱式加熱器2AUからは低温の,B系の上側蓄熱式加熱器2BUから中温の,C系の上側蓄熱式加熱器2CUから高温のHNガスがストリップに吹付けられることになり、次の時間帯T1 で前記時間帯T1 に戻る。
【0040】
このように本実施形態の4対の蓄熱式加熱器,つまりA系〜D系の蓄熱式加熱装置切換えシーケンスによれば、各系の蓄熱式加熱装置,即ち各対の蓄熱式加熱器の切換え時間をずらすことにより、時間と共に低下する各蓄熱式加熱装置からのHNガス温度を適切に組合せてストリップの温度を安定化させることができる。
【0041】
なお、前記実施形態では、チャンスフリー帯でストリップに吹付けられる気体を、H2 とN2 との混合ガスからなづHNガスとした場合についてのみ詳述したが、このチャンスフリー帯でストリップに吹付けられる気体は、雰囲気を維持可能な如何なる雰囲気ガスであってもよい。また、連続熱処理される金属帯もストリップに限定されるものではない。
【0042】
また、前記実施形態では、蓄熱式加熱装置によって金属帯を加熱するチャンスフリー帯を加熱帯内の出側端部に並設した場合についてのみ詳述したが、このチャンスフリー帯は、必ずしも加熱帯内部である必要はないし、また加熱帯内に並設した場合には、これを特にチャンスフリー帯と称さずともよい。
【0043】
また、前記実施形態では、ストリップを連続焼鈍する連続焼鈍炉についてのみ詳述したが、本発明の連続熱処理装置は、少なくとも加熱帯と均熱帯とを有する連続熱処理装置であれば如何なるものにでも同様に転用することができる。
【0044】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の金属帯の連続熱処理装置によれば、送給される金属帯を当該加熱帯の出側近傍で急速に加熱することができるので、それまでの加熱帯に要求される金属帯の温度上昇分は小さくなり、その分だけ炉内温度,即ちラジアントチューブに要求される温度は低くてよいことから、このような高温域でのラジアントチューブの破断寿命を大幅に向上できると共に、バーナ装置に供給される燃料ガス等の燃料原単位を低減することができる。
【0045】
また、3対以上,望ましくは4対以上の蓄熱式加熱器を用い、それらの蓄熱体への蓄熱と雰囲気ガスの吹付けとを切換えるタイミングが互いに一致しないようにずらして切換えを行うことにより、その切換えている対を除く蓄熱式加熱器から金属帯に吹付けられる雰囲気ガスの温度を金属帯の送給方向に常時平均化することができ、これにより金属帯の送給方向への温度バラツキを抑制防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の金属帯の連続熱処理装置を連続焼鈍炉に展開した一実施形態を示す概略構成図である。
【図2】図1に示す連続焼鈍炉における蓄熱式加熱装置の概略構成図である。
【図3】図2に示す蓄熱式加熱装置のシーケンスチャートである。
【図4】図1に示す連続焼鈍炉の加熱帯における板温経時変化の説明図である。
【図5】図1に示す連続焼鈍炉の熱フローの説明図である。
【図6】図1に示す蓄熱式加熱装置に必要な雰囲気ガス流量と温度との関係の説明図である。
【図7】ラジアントチューブの寿命評価特性図である。
【図8】図7に示すラジアントチューブの寿命評価特性図を炉温との関係に置換した説明図である。
【図9】図1に示す1つの系の蓄熱式加熱装置から吹出される雰囲気ガス温度の経時変化の説明図である。
【図10】図3のシーケンスチャートにより全ての系の蓄熱式加熱装置から吹出される雰囲気ガス温度の経時変化の説明図である。
【図11】従来の連続焼鈍炉における予熱帯の概略説明図である。
【図12】図11に示す連続焼鈍炉の熱フローの説明図である。
【符号の説明】
1A〜1Dは蓄熱式加熱装置
2AU〜2DUは上側蓄熱式加熱器
2AL〜2DLは下側蓄熱式加熱器
3は空気弁
4はMガス弁(燃料ガス弁)
5は排ガス弁
6はHNガス弁(雰囲気ガス弁)
Sはストリップ
PHSは予熱帯
HSは加熱帯
SSは均熱帯

Claims (1)

  1. 複数のバーナ装置の燃焼排ガスが夫々供給されるラジアントチューブを複数備え、所定の雰囲気ガスの中で、このラジアントチューブからの輻射熱によって連続的に送給される金属帯を所定の高温まで加熱するための加熱帯と、この加熱帯の出側で、当該加熱帯から送給される金属帯を、当該加熱帯で加熱された温度に所定時間維持する均熱帯とを備えた金属帯の連続熱処理装置において、前記加熱帯の出側端部に、前記雰囲気ガスを吸引して加熱したそれを金属帯に直接吹付ける複数の蓄熱式加熱器を備えた蓄熱式加熱装置を設け、この蓄熱式加熱装置は、対をなす蓄熱式加熱器のうちの一方で燃焼と雰囲気ガスの吸引とによって蓄熱体への蓄熱を行い、他方で蓄熱体の蓄熱を雰囲気ガスの顕熱に代えて金属帯に吹付けるように、各蓄熱式加熱器の切換え制御を順次行う制御手段を備え、前記蓄熱式加熱装置は、前記蓄熱式加熱器の対を、金属帯の送給方向に沿って少なくとも3対以上備え、前記制御手段は、前記3対以上の蓄熱式加熱器の対のうち、前記蓄熱体への蓄熱と雰囲気ガスの吹付けとを切換えている対を除き、前記何れか他方の蓄熱式加熱器から雰囲気ガスを金属帯の吹付けている対に対して、それらから吹付けられる雰囲気ガスの温度が金属帯の送給方向に常時平均化されるように、各蓄熱式加熱器の対の蓄熱体への蓄熱と雰囲気ガスの吹付けとの切換えをずらして行うことを特徴とする金属帯の連続熱処理装置。
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