JP4110502B2 - 排気ガス浄化装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はディーゼルエンジンの排気ガス浄化装置に於て、主として粒子状物質を除去し、副次的には有毒気体成分を削減する為の装置の製造方法と除去方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の排気ガス中の粒子状物質の除去法に関しては、濾材を入れる容器を二個用意し、濾材としては、ビーズ状のセラミックを使用して、捕捉蓄積した、カーボンを主体とする粒子状物質は加熱することにより、燃焼を行い、濾材を再生使用する方式をとっている。 (例えば、(社) 日本機械学会誌 1992年、5月号 参照 )
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来の排気ガス浄化装置にあっては、装置が複雑であり、そのため価格も高額であるだけでなく、数か月も使用すると、加熱による再生過程を繰り返す事により、濾材を形成するビーズ状のセラミックは形状が崩れ、圧力損失が大きくなるので、高額の濾材を交換する必要が生じ、費用と手間がかかるという問題点があった。さらに又、有害なガス成分には全く、無効という問題点もあった。
【0004】
本発明は構造が簡単で、且つ、小型でありながら、有毒な粒子状物質を効果的に除去出来る排気ガス浄化装置を得る事を主目的にしており、特に加速時に大量に発生する粒子状物質を圧力損失もなしに、除去しようとするものである。濾材を使用していないので、圧力損失も極めて少なく、除去した粒子状物質による目づまりもない。そして、副次的には有害なガス成分も削減する。そのような、廉価でメインテナンスの容易な、排気ガス浄化装置の製造法を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するため手段】
上記目的を達成するため、本発明の排気ガス浄化装置に於ては、濾材を使用せず、その代わりに遠心力により粒子状物質を除去する方式を採っている。その為に、外筒1の内部に此の直径より小なる内筒3を装着し、粒子状物質を含む排気ガスは外筒1の側壁にほぼ接線をなす角度で取り付けた、排気ガス取り入れ口2から浄化装置に入り、サイクロンとなって外筒1と内筒3の隙間を降下し、内筒3の下部から上部に向かって同じ様にサイクロンをなして上昇し、処理済みの排気ガスは内筒3の上部にある排気ガス出口11から大気中に放出する。
【0006】
粒子状物質を含む上記排気ガスは装置の内部をサイクロンとなって降下と上昇する過程の中で、気体成分に較べ遥かに質量の大きな粒子状物質は遠心力の作用により、外筒1及び内筒3の内壁面に衝突して、一旦は気体成分と分離する。
【0007】
排気ガス中の粒子状物質の直径は10ミクロン以下と微細であり、且又ポーラスな形なので、前項に述べただけの装置では、再び排気ガスの持つ強いガス流によって持ち運ばれ、大気中に放散されてしまうから、外筒1及び内筒3の内壁面には粘度を大きくした液体、又は油を塗布し、衝突した粒子状物質が再び飛散しないようにする。
【0008】
5項に於て述べたように、本発明では排気ガス中の粒子状物質を除去するために濾材を使用せずに、遠心力を利用している。遠心力の大きさは質量と半径の大きさに比例し回転角速度の二乗に比例する。
【0009】
一般に車輌用のディゼルエンジンはアイドリング状態では毎分約500回転であるが、加速時には毎分2000回転以上にもなる。当然の事ながら、排気ガスの量とこの中に含まれる粒子状物質の量はこの比率で増加するから、加速時の粒子状物質の量はアイドリング時の4倍以上になる。しかし、遠心力は4倍ではなく二乗の16倍となり、除去効率は飛躍的に増加する。それ故除去効果は粒子状物質の増加率よりも、遥かに大きくなる。
【0010】
サイクロンによって飛沫或いは固形物質を除去する技術は古くから知られており、化学工学においては周知の事実である、(例えば、化学工学概論 八田四郎次著 共立出版株式会社 参照) しかし、此れ等はいずれも化学工場の固定装置として使用するものであって、本発明の如く、移動する車輌や、ディーゼルエンジンの排気ガス浄化用などにとりつけた実例はない。更に又、気体中の固形物質を粘度のある液体を使用して捕集するようなものは存在していない。そして本発明は粒子状物質が大量に発生する加速時には遠心力が二乗に近い値で強くなるので、増加量を上回る大きな除去効果で粒子状物質を除去できる。
【0011】
8項に於て述べたように、粒子状物質を除去しようとするための遠心力は質量と半径に比例し、回転角速度の二乗に比例するから、除去効果を大きくするためには、ベルヌイの定律により、円筒の直径を出来るだけ小さくした方が有効であり、そのことは又装置を出来るだけ小型化しようとする一般的な要求にも合致するものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
発明の実施の形態につき実施例にもとずき、図面を参照して説明する。
図1、図2は発電機、コンクリートポンプ車、ごみ収集車等に対応した浄化装置である。図1に於て説明すると、排気ガスの取り入れ口2は浄化装置の外筒1の上部側面に接線に近い浅い角度で取り付ける。この取り付け口2は出来得れば、外筒1の円周に沿って若干の弧を描いて装置に取り付ける、そして、装置に入った排気ガスがサイクロン流になり易いいように、予め慣性を与える。
図3は排気ガスの取り入れ口が下部側面にあるもので、他は図1と同じである。
【0013】
排気ガス取り入れ口2から入った排気ガスは外筒1と内筒3の隙間を渦巻状になって降下し、下部に至って内筒3の下部にある第二の入り口に入り、今度は内筒の内部を渦巻状になって上昇して、上部出口11から大気中に放出される。
【0014】
排気ガス中の粒子状物質はこの間に於て、外筒1及び内筒3の内壁に衝突して、壁面に塗布された粘着性のある塗膜に捕捉除去される。
【0015】
同様にして、排気ガス中の有毒物質の一部は化学反応により無害化される。例えば、水溶液中にアルカリを加えておけば、二酸化硫黄は亜硫酸ソーダとなる。
【0016】
外筒(1)及び内筒3の内壁面に液体を塗布する為の、ノズル6を使用して定期的に少量の液体を噴出する。
【0017】
液体は別に設けた液体タンク11からポンプ5または又はエジェクター4を使用してノズル6に液体を供給する。この場合エジェクターを使用すると、加速の増減に応じて自動的に液量を調節出来る利点がある。
【0018】
装置の上部円盤を留めている複数個のパチン錠を解除して上部蓋を外し、シロップ状又はヘドロ状になった粒子状物質を取り出し、廃棄する。
【0019】
図2はバス、貨物自動車、乗用車等に適応するようにした横型の排気ガス浄化装置である。 外筒1の一端、側面に取り付けた排気ガス取り入れ口2から入った排気ガスは、この外筒1より直径の小さな内筒3との隙間をサイクロンとなって通り、外筒1の他端に至り、内筒3の入り口から逆方向に進んで外筒1の排気ガス取り入れ口2そばにある排気ガス出口から大気中に放出される。他の作用は縦型と同じである。
【0020】
外筒1と内筒3の内壁には溝12を設けて、排気ガスの流れをより効果的にサイクロンにする助けとする。
【0021】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したように構成されているで、以下に記載されているような効果を奏する。
【0022】
構造が簡単で小型軽量なので、全てのディーゼルエンジンに取り付け可能であり、価格も低廉である。
【0023】
濾材を使用していないので、エンジンの出力も低下せず、捕捉した粒子状物質による目づまりもない。
【0024】
通常、エンジンは加速時に大量の黒煙即ち粒子状物質を発生するが、本発明品は加速時にはかえって除去効果が高くなるので、毎分3000回転にしても、浄化装置を通過した排気ガスは肉眼で黒煙が認められない。
【0025】
油又は、粘度の大きな液体を吹き付ける為にエジェクターを使用するならば、新たに電源、モーター、ポンプ等を必要とせず構造が簡単になる。
【0026】
エジェクター使用の今一つの利点は、エンジンの回転数の増減、即ち、粒子状物質の増減に応じて液体の吹き付け量も自動的に増減出来、更にエンジンが停止すれば液体の吹き付けも自動的に停止出来、極めて合理的である。
【0027】
粒子状物質の除去用として、使用済みの食用油を使うならば、薬品代を節約出来るだけでなく、これは産業廃棄物として有料で処理されているものなので、一石二鳥の効果がある。
【0028】
同様にして、粒子状物質除去用の溶液として、染色工場から産業廃棄物として、大量に出る使用済みのカルボキシメチルセルローズを使用するならば、薬品代を節約出来る。
【0029】
薬剤を選択することにより、粒子状物質の除去と同時に、気体状の有毒物質も同時に削減出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】縦型排気ガス浄化装置の縦断面図である。
【図2】横型排気ガス浄化装置の断面図である。
【図3】縦型排気ガス浄化装置の縦断面図である。
【図4】縦型排気ガス浄化装置に於ける、装置内の排気ガスのサイクロン流を示す、概念図である。
【図5】排気ガス浄化装置、液体タンク、ポンプ、ノズル、液体用フィルター等を示す概念図である。
【図6】排気ガスのサイクロン流を助成する為、内壁に溝を設けた排気ガス浄化装置の断面図である。
【符号の説明】
1 外筒
2 排気ガス取り入れ口
3 内筒
4 ポンプ
5 エジェクター
6 ノズル
7 ポンプ
8 液体用フィルター
9 液体タンク
10 パチン錠
11 処理済み排気ガス出口
12 渦巻き状の溝

Claims (1)

  1. 円筒形をなす外筒(1)の側壁に排気ガスを導入するための排気ガス取り入れ口(2)を取り付けた排気ガス浄化装置において、外筒(1)の内部には外筒(1)より直径の小なる内筒(3)を組み込み、粒子状物質を含む排気ガスは、サイクロンをなして外筒(1)と内筒(3)の間を降下し、さらに内筒(3)の下部から上部に向かってサイクロンをなして上昇することにより外筒(1)と内筒(3)夫々の内壁に衝突して、遠心力によって粒子状物質を除去するようにした排気ガス浄化装置であって、外筒(1)及び内筒(3)の夫々の内壁には、渦巻状の溝(12)を設け、かつ油又は粘度の大きな液体を塗布し、遠心力によって壁面に衝突した排気ガス中の粒子状物質をこの塗膜に付着させ、再び大気中に飛散しないように構成した、排気ガス浄化装置。
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