JP4109504B2 - 強誘電体膜の加工方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、KTa1−xNb(0≦x≦1、以下KTNと称する)および/またはK1−yLiTa1−xNb(0≦x≦1、0<y≦1、以下KLTNと称する)なる組成を有する結晶薄膜を用いたデバイス、例えば波長変換デバイスや光スイッチデバイス等を形成するための該結晶膜の加工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
KTNおよび/またはKLTN(以下、KTN/KLTNと称する)結晶をポーリング処理して、強誘電体結晶中に半永久的に非線形光学効果を誘起したデバイスが見出されていた。また、近年KTN/KLTN結晶に電界を印加することにより、電界を印加している間だけ非線形光学効果が誘起されることが見出され、KTN/KLTN結晶を光波長変換デバイスへ応用することが検討されてきている。
【0003】
KTN/KLTN結晶を光波長変換デバイス中に用いる場合、該結晶を導波路形状、好ましくは4μm以上の高さを有するリッジ導波路形状に加工することが望ましい。しかしながら、従来、KTN/KLTN結晶薄膜を用いて導波型デバイスを作製する場合、材料の物理的および化学的安定性および形成温度(〜1000℃)の高さにより導波路加工が著しく困難であった。
【0004】
まず、KTN/KLTNなる組成を有する結晶薄膜が化学的に安定であることから、石英系の導波路の加工に用いられている反応性イオンエッチングを利用しようとしても、KTN/KLTNを構成する元素を昇華させて除去しうるだけの昇華性を提供できる反応性ガスはない。一般に用いられているフルオロカーボン系のガスあるいは塩素を用いても格段の効果は認められない。
【0005】
溶液による化学的エッチングを用いる場合、KTN/KLTNを溶解しうるエッチャントとしては、フッ酸しか知られていない。フッ酸を用いればKTN/KLTNの加工は一応は可能であるが、フッ酸によるエッチングは等方エッチングであるために、大きなアスペクト比を有するパターンを形成することができない。しかも3μm以上深くエッチングしようとすると、形成するパターンの上部がフッ酸にさらされる時間が長くなるため、凸部の形状が丸みを帯びてきたり、格子欠陥から生じる窪み(いわゆるピット)が拡大しエッチング面の荒れが生じたりすることがあった。
【0006】
また、KTN/KLTN結晶の形成温度は〜1000℃と高温であるため、あらかじめパターニングを行うための有機または無機のレジストステンシルを形成しておいて、その後成長させ、最後にレジストステンシルを溶解して不要な箇所を取り去るという、いわゆるリフトオフ法を適用することはできない。
【0007】
そこで、従来はKTN/KLTNを用いた導波路デバイスを作製するために、アルゴンまたは塩素を用いたイオンビームエッチングを適用してきた。イオンビームエッチングは、イオン源によりアルゴンまたは塩素イオンを生成し、該イオンを加速して衝突させることにより、イオンが衝突した部分を構成する物質を物理的に叩き出す、いわゆるスパッタリングによりエッチングを行うものである。その際のマスク材として、通常のリソグラフィーに用いるフォトレジストを利用してきた。
【0008】
図3に、イオンビームエッチングを用いる従来方法の工程を模式的に示す。図3中、11は、例えばKTaOのような基板を示し;12は、例えば厚さ4μmのKTNのようなKTN/KLTN膜を示し;13は例えば約4μmの厚さのフォトレジストのようなマスク材を示す。
【0009】
図3(a)に示すように、基板11上に成長したKTN/KLTN結晶膜12の上に必要な部分を保護するためのマスク材13としてフォトレジストを1〜3μmの厚さに成膜する。続いて、図3(b)に示すようにイオンビームエッチング装置内に基板を配置し、アルゴンあるいは塩素イオンを基板に照射することにより、KTN/KLTN結晶膜12をエッチングする。このとき、KTN/KLTN結晶膜12が機械的硬度が高く、イオンビームに対するスパッタ効率(収量)が小さく、かつマスク材13の耐性が十分ではないため、KTN/KLTN結晶膜12のエッチング深さに比べてマスク材13がいち早く除去されてしまう。図3(c)に示すように、マスク材13が丁度完全に除去された状態でエッチングを停止した場合、KTN/KLTN結晶膜12のエッチング深さは、1μm程度に過ぎなかった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
図3に示す、従来のKTN/KLTN結晶膜の加工方法では、マスク材の耐性が低く、導波路の構成を容易にするために期待されている4μm以上のエッチング深さを得ることは困難であった。
【0011】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、マスク材のイオンビームに対する耐性を著しく向上させることにより、KTN/KLTN結晶膜12をより深くエッチングする方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明を概説すれば、本発明は一般式KTa1−xNb(0≦x≦1)またはK1−yLiTa1−xNb(0≦x≦1、0<y≦1)で示される結晶膜の加工方法であって:レジストと、チタン、ジルコニウム、ニオブ、タンタル、モリブデン、バナジウム、タングステン、クロムの中から選択される一種以上の金属薄膜とを積層したマスク材を該結晶膜上に設ける工程であって、前記レジストは3〜15μmの厚さを有し、および前記金属薄膜は0.5〜3μmの厚さを有する工程と;窒素、アルゴン、酸素、塩素、塩化水素、三塩化ホウ素の中から選択される一種以上のガスのイオンを用いるイオンビームエッチングにより、該結晶膜を加工する工程とを備えたことを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明による、KTN/KLTN結晶膜の加工方法の1つの実施形態を図1に示す。図1中、1は基板を示し、2はKTN/KLTN膜を示し、3はレジストを示し、4は金属薄膜を示し、5は金属薄膜4を加工するためのフォトレジストを示す。
【0014】
最初に、図1(a)に示すように、基板1上に、KTN/KLTN膜2およびレジスト3を積層する。基板1は、KTN/KLTN膜2をエピタキシャル成長させる際のテンプレートとして機能し、かつ加工終了後のデバイスでは、KTN/KLTNコアのクラッドとしても機能する。基板1は約1000℃のKTN/KLTN結晶生成温度に耐えることも必要であり、好ましくはKTaOが用いられる。
【0015】
KTN/KLTN膜2は、液相エピタキシャル(LPE)法により、基板1の上に形成される。前述のようにKTN/KLTN膜2は加工困難な素材であるので、最終的に所望される導波路の高さと等しい厚さに形成することが好ましい。KTN/KLTN膜2の厚さは、好ましくは4〜10μmである。本発明で用いられるKTNおよびKLTNは、2次の光学非線形効果を有するものであり、1200〜8000pm/Vの光学非線形定数を有する。さらに、本発明で用いられるKTNおよびKLTNは、組成に依存する−250〜400℃のキュリー温度を有する。
【0016】
あるいはまた、組成の異なる2つの層のKTN/KLTN膜を、KTN/KLTN膜2として積層してもよい。この場合、第1層(下層)のKTN/KLTN膜の屈折率を第2層(上層)のものよりも小さくして、得られる導波路のクラッド層とすることが好ましい。第1層および第2層のKTN/KLTN膜の屈折率は、所望される用途に依存し、当業者であれば容易に決定することができるものである。
【0017】
レジスト3は、有機レジスト、無機レジスト、または有機レジストと無機レジストとの積層体である。有機レジストとしては、フォトレジスト、PMMA、ポリイミド、およびエポキシ樹脂からなる群から選択される一種以上を用いることができる。また、無機レジストとしては、酸化亜鉛、酸化シリコン、酸化アルミ、および窒化シリコンからなる群から選択される一種以上を用いることができる。レジスト3は、3〜15μm、好ましくは4〜12μmの厚さを有する。また、レジスト3として積層体を用いる場合には、積層体の全厚が、3〜15μm、好ましくは4〜12μmであるべきである。この範囲内の厚さを有することによって、イオンビームエッチングによりKTN/KLTN膜2を加工する間、所定の部位のKTN/KLTN膜2を保護することが可能となる。
【0018】
レジスト3は、当該技術において知られている任意の方法により形成することができる。例えば、有機レジストを用いる場合には、ディップコート、スピンコート、ロールコートおよびナイフコートなどを用いることができる。レジスト3そのものあるいはその一部として、有機レジストを用いる場合には、後述するイオンビームエッチングに対する抵抗性を高めるために完全に硬化させることが好ましい。例えば、光照射および/またはベーク(フォトレジストの場合)、乾燥(PMMAの場合)、乾燥およびイミド化(ポリイミドの場合)、あるいは架橋(エポキシ樹脂の場合)などの工程を用いることができる。また、無機レジストを用いる場合には、蒸着、スパッタ、CVDなどの方法を用いることができる。
【0019】
本発明のレジスト3は、2種以上の有機レジストの積層体であってもよいし、2種以上の無機レジストの積層体であってもよいし、あるいは1種以上の有機レジストと1種以上の無機レジストの積層体であってもよい。積層体をレジスト3として用いる場合、その積層順序は任意であり、当業者が容易に決定し得るものである。
【0020】
次に、図1(b)に示すように、レジスト3の上に金属薄膜4を形成する。用いることができる金属は、チタン、ジルコニウム、ニオブ、タンタル、モリブデン、バナジウム、タングステン、およびクロムからなる群から選択される。一種以上の金属を積層して、金属薄膜4を形成してもよい。金属薄膜4は、蒸着ないしスパッタ法により形成することができる。金属薄膜4の厚さは、0.5〜3μm、好ましくは1.0〜2.5μmである。
【0021】
次に、図1(c)に示すように、金属薄膜4を加工するためのフォトレジスト5を通常のフォトプロセスを用いて作製する。フォトレジスト5は、慣用のフォトレジストを用いて作製することができる。
【0022】
続いて、図1(d)に示すように、フォトレジスト5をマスクとして用いて、金属薄膜4を加工する。金属薄膜4の加工は、CFなどのフルオロカーボン系ガスまたは塩素を用いる反応性イオンエッチング、あるいはArなどの不活性ガスを用いるイオンビームエッチングにより実施することができる。
【0023】
次に、図1(e)に示すように、金属薄膜4をマスクとして用いて、レジスト3を加工する。レジスト3の加工は、酸素ガスプラズマを用いた反応性イオンエッチングにより実施することができる。酸素ガスプラズマを用いる反応性イオンエッチングにより、金属薄膜加工用のフォトレジスト5も同時に除去され、KTN/KLTN膜2を加工するための、レジスト3および金属薄膜4の積層体が形成される。
【0024】
引き続いて、図1(f)に示すように、レジスト3および金属薄膜4の積層体をマスクとして用いて、KTN/KLTN膜2を加工する。KTN/KLTN膜2の加工は、窒素、アルゴン、酸素、塩素、塩化水素および三塩化ホウ素からなる群から選択される一種以上のガスを用いるイオンビームエッチングにより実施される。本発明のレジスト3および金属薄膜4の積層体からなるマスク材はイオンビームに対する耐性が極めて高いため、従来の技術では加工が困難であった数μm以上の膜厚を有するKTN/KLTN膜の加工に対しても十分適用可能である。実際には、これらのガスを用いるイオンビームエッチングは非選択的であるが、マスク材の耐性が極めて高いので、数μm以上の膜厚のKTN/KLTN膜をエッチング除去した段階において、少なくともレジスト3の一部が残存して、所望されるリッジ形状を有し、エッチング面の荒れのないKTN/KLTN膜導波路を形成することができる。
【0025】
最後に、酸素ガスプラズマを用いた反応性イオンエッチングにより残存するレジスト3を除去し、図1(g)に示されるリッジ型のKTN/KLTN膜導波路を形成する。
【0026】
リフトオフ法によってマスク材を形成する、本発明によるKTN/KLTN結晶膜の加工方法の別の実施形態を図2に示す。
【0027】
最初に、図1(a)の工程と同様に、基板1上にKTN/KLTN膜2および第1レジスト3aを積層する(図2(a))。第1レジスト3aは、有機レジスト、無機レジストおよび有機レジストと無機レジストとの積層体からなる群から選択される1種以上のものから形成される。用いることができる有機レジストおよび無機レジストは前述と同様である。
【0028】
次に、図2(b)に示すように、第1レジスト3a上にリフトオフ用ステンシル6を形成する。リフトオフ用ステンシル6は、当該技術において知られているフォトレジストなどから形成することができる。
【0029】
次に、図2(c)に示すように、第2レジスト3bおよび金属薄膜4を積層する。第2レジスト3bは、任意選択の構成層であり、第1レジスト3aがKTN/KLTN膜2の加工に充分な厚さを有する場合には省略可能である。第2レジスト3bは、有機レジスト、無機レジストおよび有機レジストと無機レジストとの積層体からなる群から選択される1種以上のものから形成される。用いることができる有機レジストおよび無機レジストは前述と同様である。金属薄膜4として用いることができる金属は、前述と同様である。また、その形成は、蒸着ないしスパッタのような当該技術において知られている任意の手法を用いることができる。
【0030】
そして、図2(d)に示すように、リフトオフ用ステンシル6上に形成された第2レジスト3bおよび金属薄膜4とともにリフトオフ用ステンシル6を除去する。このリフトオフは、当該技術において知られている方法にて実施することができ、例えばアセトン中で超音波を照射することにより実施できる。
【0031】
その後、図1(e)と同様に第1レジスト3aを酸素ガスプラズマによる反応性イオンエッチングにより除去する(図2(e))。そして、図1(f)と同様に、第1レジスト3a、第2レジスト3b、金属薄膜4の積層体をマスクとして、窒素、アルゴン、酸素、塩素、塩化水素および三塩化ホウ素からなる群から選択される一種以上のガスを用いるイオンビームエッチングを行い、KTN/KLTN膜2を加工する(図2(f))。最後に、残存するレジストを当該技術において知られている任意の方法により除去して、リッジ形状のKTN/KLTN膜導波路を形成する(図2(g))。なお、図2(f)には、第1レジスト3aのみが残存する場合を示したが、第2レジスト3bないし金属薄膜4が残存してもよいことは当業者には明白である。
【0032】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0033】
(実施例1)
最初に、液相エピタキシャル成長法(LPE法)により、KTaO板上に約4.5μmの厚さのKTN膜を形成し、次いで約4μm厚のフォトレジストをスピンコートした。次に、フォトレジストを約200℃でハードベークした後、蒸着法により基板上全面に約1μmの厚さのチタン薄膜を形成した。
【0034】
然る後、チタン薄膜を加工するためのフォトレジストのマスクを通常のフォトリソグラフィー技術を用いて形成した。続いて、チタン薄膜をアルゴンイオンビームエッチングにより加工した。さらに、酸素ガスプラズマを用いた反応性イオンエッチングによりチタン薄膜下部のフォトレジストを加工して、チタン薄膜とポリイミドからなる幅5μm、高さ5μmの2層の積層型マスク材のパターンを得た。
【0035】
その後、再びアルゴンイオンビームエッチングによるKTN膜の加工を行った。積層型マスク材に覆われていないKTN膜を完全に除去した状態で、約1.5μmの厚さのマスク材のフォトレジストがなお残存した。最後に、酸素ガスプラズマを用いた反応性イオンエッチングにより残存するフォトレジストを除去して、幅5μm、高さ4.5μmのリッジ型のKTN膜導波路を形成した。
【0036】
その後、導波損失を調べたところ、〜2dB/cmの低損失導波路が形成できることがわかった。さらに、屈折率を前記リッジ型のKTN導波路より低く調節したKTNをLPE法により上部クラッド層として形成して導波損失を調べたところ、〜1dB/cmの低損失導波路が形成できることがわかった。このことから、エッチングしてリッジ型としたKTN膜の側壁は十分滑らかであることが明らかとなった。
【0037】
(実施例2〜4)
実施例1で示したKTN/KLTN膜の加工方法に対し、有機レジストとしてPMMA、ポリイミドおよびエポキシ樹脂を適用して、その効果を調べた。
【0038】
KTaO基板上に厚さ7μmのKLTN膜をLPE法により成長した3枚の基板を用意した。第1の基板には、PMMA溶液をスピンコートし、溶媒を揮発させてPMMAからなる膜厚10μmのレジストを成膜した。第2の基板には、ポリアミド酸溶液をスピンコートし、続いて溶媒の揮発およびイミド化を行いポリイミドからなる膜厚10μmのレジストを成膜した。第3の基板には、エポキシ樹脂溶液をスピンコートし、続いて架橋を行うことにより、エポキシ樹脂からなる膜厚10μmのレジストを成膜した。
【0039】
3枚の基板をイオンビームスパッタ装置に導入しタンタルターゲットを用いてアルゴンイオンビームスパッタによりタンタル薄膜を1.2μmの厚さに堆積した。その後、タンタル薄膜を加工するためのレジストマスクを通常のフォトリソグラフィー技術により形成し、アルゴンイオンビームエッチングを用いてタンタル薄膜を加工した。
【0040】
次に、タンタル薄膜をマスクにしてガス種として酸素を用いたイオンビームエッチングによりレジストを加工して、KLTN膜をエッチングするための2層のマスク材のパターニングを終えた。その後、ガス種を窒素に切り替えて窒素イオンビームエッチングにより、KLTN膜のエッチングを行った。マスク剤に覆われていない厚さ7μmのKLTN膜を完全に除去した時点で、残存するマスク材の厚さを測定した。結果を以下の表に示す。
【0041】
【表1】
Figure 0004109504
【0042】
このことから、PMMA、ポリイミドおよびエポキシと、タンタル薄膜とを積層したマスクを用いれば窒素イオンビームに対する耐性が十分であり、KTN/KLTN膜の加工が容易に行えることがわかった。
【0043】
(実施例5〜8)
マスク材として有機レジスト、無機レジストおよび金属薄膜からなる3層の多層膜を用いる、アルゴンと酸素およびアルゴンと塩素の混合ガスイオンビームによるKTN/KLTN膜の加工を行った。
【0044】
まず、KTaO基板上に厚さ7μmのKTN膜をLPE法により成長した4枚の基板を用意した。次に、有機レジストとして8μm厚のフォトレジストをスピンコートし、約200℃でハードベークした。次に、ハードベークした有機レジスト上に、通常のフォトリソグラフィー技術を用いて、無機レジストおよび金属薄膜の2層膜をパターニングするための厚さ5μmのフォトレジストからなるリフトオフ用ステンシルを形成した。
【0045】
以上の4枚の基板について、焼結体のターゲットを用いるRFマグネトロンスパッタ法により、厚さ約2.5μmの酸化亜鉛、酸化シリコン、酸化アルミ、窒化シリコン膜をそれぞれ形成した。然る後、その上にDCマグネトロンスパッタ法により、厚さ約0.8μmのニオブ薄膜を堆積した。次に、アセトン中で超音波をかけてリフトオフ用ステンシルをその上の不要な膜ごと除去して、幅5μmの無機レジストと金属薄膜の2層積層体を形成した。
【0046】
次に、反応性イオンエッチング(RIE)装置を用いて、無機レジストおよび金属薄膜をマスクとして、酸素イオンにより下部のハードベークしたフォトレジストを除去した。以上により、有機レジスト、無機レジストおよび金属薄膜よりなる3層の積層マスク材のパターンが得られた。
【0047】
酸化亜鉛および酸化シリコンを無機レジストに選んだ2枚の基板は、アルゴンと酸素の混合ガスを用いたイオンビームエッチングにより、KTN膜のエッチングを行った。また、酸化アルミニウムおよび窒化シリコンを無機レジストに選んだ2枚の基板はアルゴンと塩素の混合ガスを用いたイオンビームエッチングにより、KTN膜のエッチングを行った。これら4枚の基板について、積層マスク材に覆われていない厚さ7μmのKTN膜を完全に除去した状態で、導波路となるKTN膜上の残存しているレジストの膜厚を測定した。結果を以下の表に示した。最後に、残存する有機レジストの積層体を、酸素ガスプラズマを用いる反応性イオンエッチングにより除去して、幅5μm、高さ7μmのリッジ型のKTN膜導波路を形成した。
【0048】
【表2】
Figure 0004109504
【0049】
その後、導波損失を調べたところ、〜2.5dB/cmの低損失導波路が形成できることがわかった。さらに、屈折率を前記リッジ型のKTN膜より低く調節したKTN膜をLPE法により上部クラッド層として形成して導波損失を調べたところ、〜1.2dB/cmの低損失導波路が形成できることがわかった。このことから、エッチングしてリッジ型としたKTN膜の側壁は十分滑らかであることが明らかとなった。
【0050】
以上のように、有機レジストにフォトレジストを、無機レジストに酸化亜鉛、酸化シリコン、酸化アルミ、窒化シリコンのいずれか、金属薄膜にニオブを使用して、アルゴンと酸素あるいは塩素の混合ガスによりイオンビームエッチングすれば容易にKTN/KLTN膜の加工が可能であり、導波路作製工程に適用可能であることがわかった。
【0051】
(実施例9〜13)
マスク材として有機レジストおよび金属薄膜からなる2層の多層膜を用いる、アルゴン、酸素、窒素および塩素の混合ガスイオンビームによるKTN/KLTN膜の加工を行った。金属薄膜として、ジルコニウム、モリブデン、バナジウム、タングステンおよびクロムを用いた。
【0052】
まず、5枚のKTaO基板上にクラッド層となる厚さ4μmのKLTN膜をLPE法により成長させた。次に、該クラッド層よりも大きな屈折率を有し、導波路層となるKTN膜を、LPE法により6μmの厚さに成長させた。これら5枚の基板上にまず7μm厚のフォトレジストをスピンコートし、約200℃でハードベークした。次に、ハードベークまで施したこれら5枚の基板に金属薄膜をパターニングするためのリフトオフ用レジストステンシルを実施例3と同様の手法で形成した。
【0053】
有機レジスト上に、金属薄膜をパターニングするためのリフトオフ用ステンシルを通常のフォトリソグラフィー技術を用いて、厚さ5μmのフォトレジストにより形成した。DCマグネトロンスパッタ法を用いて、この5枚の基板にそれぞれジルコニウム、モリブデン、バナジウム、タングステン、クロムの薄膜を約0.8μmの厚さに堆積した。続いてアセトン中でステンシルをリフトオフして、金属薄膜のマスクパターンを形成した。
【0054】
金属薄膜をマスクにして、酸素プラズマによる反応性イオンエッチングにより7μmのハードベークしたレジストを加工した。この際、金属薄膜は、酸素プラズマではほとんど損傷を受けず、2層のマスク材のパターニング終了時点で金属薄膜の膜厚は変化していない。次に、2層マスク材のパターニングまで終了した5枚の基板に対して、アルゴン、酸素、窒素、塩素の混合ガスでのイオンビームエッチングにより、導波路層となる6μm厚のKTN膜を加工した。2層マスク剤に覆われていない部分の導波路膜を完全に除去した時点で、残存するマスク剤の厚さを測定した。結果を以下の表に示す。
【0055】
【表3】
Figure 0004109504
【0056】
最後に、導波路膜上のレジストを酸素プラズマによりアッシングして除去し、さらにパターン形成された導波路層を覆うように、KLTN膜からなるクラッド層をLPE法により形成して導波路を作製した。これら導波路の損失を調べたところ、すべて1.5dB/cm以下で低損失であった。
【0057】
以上のように、有機レジストにフォトレジストを、金属薄膜にジルコニウム、モリブデン、バナジウム、タングステン、クロムのいずれかを使用して、アルゴン、酸素、窒素、塩素の混合ガスによりイオンビームエッチングすれば容易にKLTN膜の加工が可能であり、導波路作製工程に適用可能であることがわかった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるKTN/KLTN膜の加工方法の一例を示す工程図である。
【図2】本発明によるKTN/KLTN膜の加工方法の別の一例を示す工程図である。
【図3】従来のフォトレジストマスクを用いたイオンビームエッチングによるKTN/KLTN膜の加工方法を模式的に示す工程図である。
【符号の説明】
1 基板
2 KTN/KLTN膜
3 レジスト
4 金属薄膜
5 金属薄膜加工用のフォトレジスト
6 リフトオフ用ステンシル
11 基板
12 KTN/KLTN膜
13 マスク材

Claims (5)

  1. 一般式KTa1−xNb(0≦x≦1)またはK1−yLiTa1−xNb(0≦x≦1、0<y≦1)で示される結晶膜の加工方法であって、
    レジストと、チタン、ジルコニウム、ニオブ、タンタル、モリブデン、バナジウム、タングステンおよびクロムからなる群から選択される一種以上の金属薄膜とを積層したマスク材を該結晶膜上に設ける工程であって、前記レジストは3〜15μmの厚さを有し、および前記金属薄膜は0.5〜3μmの厚さを有する工程と、
    窒素、アルゴン、酸素、塩素、塩化水素、三塩化ホウ素からなる群から選択される一種以上のガスのイオンを用いるイオンビームエッチングにより、該結晶膜を加工する工程と
    を備えたことを特徴とする加工方法。
  2. 前記レジストは、有機レジスト、無機レジスト、および有機レジストと無機レジストとの積層体からなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の加工方法。
  3. 前記有機レジストは、フォトレジスト、PMMA、ポリイミド、およびエポキシ樹脂からなる群から選択される一種以上のものであることを特徴とする請求項2に記載の加工方法。
  4. 前記無機レジストは、酸化亜鉛、酸化シリコン、酸化アルミニウム、窒化シリコンからなる群から選択される一種以上のものであることを特徴とする請求項2に記載の加工方法。
  5. 前記結晶膜は、4μm以上の高さを有するリッジ導波路形状に加工されることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の加工方法。
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