JP4108531B2 - 部材位置検出装置 - Google Patents
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車の運転席等における車両用シート位置の検出の際に使用する部材位置検出装置に関する。
【０００２】
【従来の技術】
自動車等の車両には、衝突時の衝撃を感知することによってエアバッグを膨張させて、乗員の安全を確保するエアバッグ装置が運転席等に搭載されている。このエアバッグは衝撃を感知すると瞬時に膨張するため、運転者が車両用シート位置を最前位置にしていた場合、運転者への圧迫を生じるおそれがあった。
そこで、衝突事故等があった場合にエアバッグの作動をコントロールするために、運転者の車両用シート位置が最前位置にあるか否かを判別する検出装置が要望されている。
なお、このような検出装置を設ける法規制が米国で２００７年から適用されることになった（米国法規制ＦＭＶＳＳ２０８）。
これに伴い、例えば、磁気センサによるシート位置センサを利用した検出システムが提案されている（例えば、特許文献１参照。）。
このシステムでは、シートレールの外側に軟磁性体の遮蔽板を配設し、これをまたがせるように磁気センサを配設して遮蔽板の有無により車両用シート位置を検出している。
【０００３】
【特許文献１】
米国特許第６０５３５２９号明細書 （第２図）
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の技術では、シートレールの外側に遮蔽板が配設され、これをまたがせて磁気センサを配設させる必要があるため、構造が複雑でシートレールのレイアウト設計が制約されるという問題があった。また、帯磁部分がシートレールの外側であるため、磁性材のごみ等が付着しやすいという不都合があった。さらに、センサ近傍にスピーカ等の外部磁石がある場合、この外部磁石の磁界の影響を受けてしまい、センサが誤動作する可能性があった。
本発明は上記事情に鑑みて成されたものであり、シートレールレイアウトのデザイン自由度が高く、かつ、ごみ等の付着を抑え、外部磁界の影響を受けにくい部材位置検出装置を提供することを目的とする。
【０００５】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。
本発明の部材位置検出装置は、金属製の固定レールに案内されて該固定レールに沿って移動する金属製の移動部材が前記固定レールの所定位置に達したことを検出する部材位置検出装置であって、前記固定レールの前記所定位置に対応する位置に、磁石及び磁気センサの何れか一方が配設され、前記移動部材の前記固定レールに対向する位置に、前記磁石及び前記磁気センサの他方が配設され、前記磁石及び前記磁気センサが、前記固定レール及び前記移動部材の内側に配設され、前記磁石の前記磁気センサとの対向面が、前記磁気センサの真向かいに位置して前記磁気センサの移動方向に沿って配置された中央領域と該中央領域に対するレール幅方向の両側側方領域とで異なる磁極に着磁されていることを特徴とする。
【０００６】
この部材位置検出装置では、磁石及び磁気センサが、固定レール及び移動部材の内側にそれぞれ配設されているので、遮蔽板を設ける必要なく磁石及び磁気センサを配設でき、シートレールをコンパクトにすることができるとともにシートレールデザインの自由度を高めることができる。
また、この磁石以外の外部の磁界を遮蔽することができ、磁気センサが磁石以外のものによって誤作動することを抑えることができる。さらに、外部から磁性体のごみ等が侵入して磁石に付着することを抑えることができる。
さらに、レールの外側に出るのが、磁気センサのコネクタ部等のみとなるので、コンパクトにまとめることができる。
また、この部材位置検出装置では、磁石の中央領域において、磁力線の方向が対向面の鉛直方向に揃いやすくなるので、移動部材により移動した磁気センサが磁石の真向かい位置に達した際に、高い磁束密度の磁場を磁気センサに与えることができ、磁気センサの検出精度を高めることができる。
【０００８】
本発明は、前記部材位置検出装置であって、前記固定レール及び前記移動部材が、互いに開口部を対向させて端部を折返して係合させた形状のレールであることが好ましい。
この部材位置検出装置では、固定レール及び移動部材が上記形状のレールなので、固定レール及び移動部材双方によって磁石及び磁気センサが遮蔽されているので、外部の磁界の影響や、外部から磁性体のごみ等の侵入をより抑えることができ、精度の高い位置検出をすることができる。
【０００９】
本発明は、前記部材位置検出装置であって、前記移動部材に、車両用シートが固定されていることを特徴とする。
この部材位置検出装置では、車両用シートの位置を高精度に検出することができるとともに、シートレールレイアウトの高いデザイン自由度を得ることができる。また、部材位置検出装置とともに車両用シートまわりのコンパクトな設計が可能となる。
【００１０】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施形態について、図１から図８を参照して説明する。
本実施形態に係る部材位置検出装置１は、図１に示すように、金属製の固定レール２に案内されて移動する金属製のシート側レール（移動部材）３が、固定レール２上の先端位置（所定位置）Ｐに達したことを検出するものである。
固定レール２は、図２及び図３に示すように、開口部２Ａを上方にむけて自動車Ａ内の床部上に車体の前後方向に延びて設けられている。この固定レール２には、中央の固定側基部２ａと、上方に向けて折り曲げられて固定レール２の側壁を構成する固定側折曲部２ｂ、２ｂとが形成されている。また、各固定側折曲部２ｂはさらにそれらの先端部２ｄが下向きにＬ字型に折返されて内側に固定側溝部２ｃが形成されている。
固定側基部２ａ上であって先端位置Ｐから数十ｍｍ、例えば３０ｍｍ程度内側までのところには、平板状の磁石５が配設されている。
【００１１】
シート側レール３は、図２及び図３に示すように、開口部３Ａを下方にむけて車両用シート６の下部に固定されている。このシート側レール３には、その幅方向中央の移動側基部３ａと、下方に折り曲げられた移動側折曲部３ｂとが形成されており、移動側折曲部３ｂはさらに先端部３ｄが上方に折返されて移動側折曲部３ｂの外側に移動側溝部３ｃが形成されている。
この移動側基部３ａの長さ方向先端部には、移動側基部３ａを貫通したＬ字型の取付部材４が、その先端部４ａがシート側レール３の開口部３Ａの中央側に位置されて配設されており、先端部４ａには、磁石５に対向可能な磁気センサ７が配設されている。
固定レール２とシート側レール３とは、固定側基部２ａと移動側基部３ａとが対向しており、固定側溝部２ｃと移動側溝部３ｃとで両者が係合されている。その結果、磁石５及び磁気センサ７共に、固定側折曲部２ｂ及び移動側折曲部３ｂの内部に取り囲まれた状態になっている。
シート側レール３は、移動側溝部３ｃの外側と固定側基部２ａとの間に配設された、例えばベアリング等の保持部材３Ｂによって移動可能に支持されている。なお、固定レール２は、Ｌ字型に形成された固定金具８を介して自動車Ａの床に固定されている。
【００１２】
図４に示すように、磁石５の磁気センサ７との対向面５Ａは、固定レール２の延在方向に対して磁気センサ７の真向かい位置（正面位置）となる中央領域５ａと、そのレール幅方向両側の側方領域５ｂとで異なる磁極に着磁されている。本実施形態では、中央領域５ａがＮ極、側方領域５ｂはＳ極に着磁されている。
このため、この対向面がＮ・Ｓ何れか一方のみの磁極で着磁されている場合に比べて、中央領域５ａのＮ極に係る磁力線Ｊが側方領域５ｂのＳ極の影響を受けてより鉛直上方に向けて出入する。
そこで、磁気センサ７は、中央領域５ａの鉛直上方となる位置の取付部材４上に配設されている。
なお、磁石５の固定レール２側の接着面の中央領域５ａはＳ極に着磁され、側方領域５ｂはＮ極に着磁されている。
磁気センサ７は、例えば、ホール素子のホール効果を利用した磁電変換センサであって、磁気変化を電気変化に変換するものであり、例えば、磁石上ではＯＦＦ信号を出力し、それ以外の場所ではＯＮ信号を出力する。
【００１３】
次に、以上の構成からなる本実施形態に係る部材位置検出装置１の操作方法について説明する。
運転者が車両用シート６に着座した直後のシート側レール３と固定レール２との位置関係として、例えば、図５及び図６（ａ）に示す位置にあるとする。この状態は、シート側レール３がまだ先端位置Ｐに至ってなく固定レール２内の磁石５とシート側レール３内の磁気センサ７とが対面していない状態となっている。
【００１４】
その後、運転者が車両用シート６を車体前方側に移動させて、図６（ｂ）に示すように磁気センサ７を磁石５上に移動させたとする。このとき、磁石５からは磁力線Ｊが図７に示すように中央領域５ａから鉛直外方に向かって出力されているので、磁気センサ７がこの磁力線Ｊを捉え、この磁界の変化を図８に示すように電流値の変化に変換して出力信号をＯＮ信号からＯＦＦ信号に変えて出力する。
この状態は図６（ｃ）に示すように、シート側レール３の先端部が先端位置Ｐに至るまでの間維持される。
こうして、車両用シート６が図６（ｂ）に示す位置から図６（ｃ）に示す固定レール２の先端位置Ｐまでの範囲内にあることを磁気センサ７の出力値から検出する。
【００１５】
この部材位置検出装置１によれば、磁石５からの磁界の有無を磁気センサ７によって検知して車両用シート６が先端位置Ｐの近くにあるか否かを識別できるので、接触式センサに比べて劣化が少なく、光式センサに比べて磁石５が磁気センサ７に多少の汚れが付着しても誤動作することがなく汚れに強いため、長時間の使用が可能になる。
また、磁石５及び磁気センサ７が断面略コ字状の固定レール２及びシート側レール３のそれぞれの内部に配設されているので、従来技術のように遮蔽板を設ける必要なく磁石及び磁気センサを配設でき、固定レール２及びシート側レール３をそれぞれコンパクトにすることができるとともにレールデザインの自由度を高めることができる。
さらに、例えば、車両用シート６の下側位置に図示しない車内用音響機器のスピーカー等の帯磁物が配設されていた場合でも、これらの磁界は、金属製の固定側折曲部２ｂ及び移動側折曲部３ｂによって遮蔽される。そのため、磁石５や磁気センサ７までこの磁界が及ばないので、誤作動が抑えられて安定した位置検出が可能となる。
【００１６】
また、磁性体のごみがレール外側の車両内にあっても、固定側折曲部２ｂ及び移動側折曲部３ｂが壁となるので、ごみが固定レール２及びシート側レール３の内部まで侵入するのを抑制することができ、磁石の磁気性能を安定して維持することができる。
また、磁石５の磁気センサ７対向面が、図７に示すように中央領域５ａと側方領域５ｂとで異なる磁極に着磁されているので、中央領域５ａにおいて、磁力線Ｊの方向が磁気センサ７の対向面の鉛直方向に揃いやすくなり、磁気センサ７が磁石５の真向かい位置に達した際に、高い磁束密度の磁場を磁気センサ７に与えることができ、磁気センサ７の検出精度を高めることができる。
【００１７】
なお、本発明の技術範囲は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記実施形態では、磁石５及び磁気センサ７を固定レール２の先端位置Ｐに配設しているが、シート側レール３が先端位置Ｐに有るか否かを識別できればよいので、磁石５及び磁気センサ７の配設位置は先端位置Ｐに限られない。また、磁石５の磁気センサ７と対向する面の中央領域５ａをＮ極に着磁させ、側方領域５ｂをＳ極に着磁させているが、これとは逆に中央領域５ａをＳ極に着磁させ、側方領域５ｂをＮ極に着磁させても構わない。
さらに、磁気センサ７の出力信号は電流値であっても電圧値であってもよく、また、磁石５と対向したときにＯＮ信号を出力するものでも構わない。
また、車両用シートは運転席に限らず、助手席用のシートでも構わない。
さらに、磁石は永久磁石であっても電磁石であっても構わず、磁気センサも磁気を検知できるものであれば構わない。
【００１８】
【発明の効果】
以上説明した本発明においては以下の効果を奏する。
本発明の部材位置検出装置によれば、固定レール及び移動部材の外部に突出する部分を少なくできるので、シートレールレイアウトのデザイン自由度を高くすることができ、車両用シートまわりをコンパクトにすることができる。
また、ごみ等の付着を抑え、外部磁界の影響を受けにくい安定した検出性能を得ることができ、車両用シート位置が所定位置にあるか否かを正確に検出することができる。そして、例えば、米国法規制ＦＭＶＳＳ２０８に十分対応することができる。
更に、磁石の磁気センサ対向面を中央領域と側方領域とで異なる磁極に着磁しているので、中央領域において、磁力線の方向が磁気センサの対向面の鉛直方向に揃いやすくなり、移動部材の移動とともに磁気センサが磁石の真向かい位置に達した際に、高い磁束密度の磁場を磁気センサに与えることができ、磁気センサの検出精度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の一実施形態に係る部材位置検出装置が所定位置にある状態を示す斜視図である。
【図２】 本発明の一実施形態に係る部材位置検出装置の自動車内部における取付場所を示す斜視図である。
【図３】 図１のIII−III断面を示す図である。
【図４】 本発明の一実施形態に係る部材位置検出装置の磁石を示す斜視図である。
【図５】 本発明の一実施形態に係る部材位置検出装置が所定位置にない状態を示す斜視図である。
【図６】 本発明の一実施形態に係る部材位置検出装置の移動時における固定レールとシート側レールとの位置関係を示す説明図である。
【図７】 本発明の一実施形態に係る部材位置検出装置の磁石からの磁力線の状態を示すイメージ図である。
【図８】 本発明の一実施形態に係る部材位置検出装置の車両用シート位置と磁気センサの出力との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
１ 部材位置検出装置
２ 固定レール
３ シート側レール（移動部材）
５ 磁石
５Ａ 対向面
６ 車両用シート
７ 磁気センサ
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車の運転席等における車両用シート位置の検出の際に使用する部材位置検出装置に関する。
【０００２】
【従来の技術】
自動車等の車両には、衝突時の衝撃を感知することによってエアバッグを膨張させて、乗員の安全を確保するエアバッグ装置が運転席等に搭載されている。このエアバッグは衝撃を感知すると瞬時に膨張するため、運転者が車両用シート位置を最前位置にしていた場合、運転者への圧迫を生じるおそれがあった。
そこで、衝突事故等があった場合にエアバッグの作動をコントロールするために、運転者の車両用シート位置が最前位置にあるか否かを判別する検出装置が要望されている。
なお、このような検出装置を設ける法規制が米国で２００７年から適用されることになった（米国法規制ＦＭＶＳＳ２０８）。
これに伴い、例えば、磁気センサによるシート位置センサを利用した検出システムが提案されている（例えば、特許文献１参照。）。
このシステムでは、シートレールの外側に軟磁性体の遮蔽板を配設し、これをまたがせるように磁気センサを配設して遮蔽板の有無により車両用シート位置を検出している。
【０００３】
【特許文献１】
米国特許第６０５３５２９号明細書 （第２図）
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の技術では、シートレールの外側に遮蔽板が配設され、これをまたがせて磁気センサを配設させる必要があるため、構造が複雑でシートレールのレイアウト設計が制約されるという問題があった。また、帯磁部分がシートレールの外側であるため、磁性材のごみ等が付着しやすいという不都合があった。さらに、センサ近傍にスピーカ等の外部磁石がある場合、この外部磁石の磁界の影響を受けてしまい、センサが誤動作する可能性があった。
本発明は上記事情に鑑みて成されたものであり、シートレールレイアウトのデザイン自由度が高く、かつ、ごみ等の付着を抑え、外部磁界の影響を受けにくい部材位置検出装置を提供することを目的とする。
【０００５】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。
本発明の部材位置検出装置は、金属製の固定レールに案内されて該固定レールに沿って移動する金属製の移動部材が前記固定レールの所定位置に達したことを検出する部材位置検出装置であって、前記固定レールの前記所定位置に対応する位置に、磁石及び磁気センサの何れか一方が配設され、前記移動部材の前記固定レールに対向する位置に、前記磁石及び前記磁気センサの他方が配設され、前記磁石及び前記磁気センサが、前記固定レール及び前記移動部材の内側に配設され、前記磁石の前記磁気センサとの対向面が、前記磁気センサの真向かいに位置して前記磁気センサの移動方向に沿って配置された中央領域と該中央領域に対するレール幅方向の両側側方領域とで異なる磁極に着磁されていることを特徴とする。
【０００６】
この部材位置検出装置では、磁石及び磁気センサが、固定レール及び移動部材の内側にそれぞれ配設されているので、遮蔽板を設ける必要なく磁石及び磁気センサを配設でき、シートレールをコンパクトにすることができるとともにシートレールデザインの自由度を高めることができる。
また、この磁石以外の外部の磁界を遮蔽することができ、磁気センサが磁石以外のものによって誤作動することを抑えることができる。さらに、外部から磁性体のごみ等が侵入して磁石に付着することを抑えることができる。
さらに、レールの外側に出るのが、磁気センサのコネクタ部等のみとなるので、コンパクトにまとめることができる。
また、この部材位置検出装置では、磁石の中央領域において、磁力線の方向が対向面の鉛直方向に揃いやすくなるので、移動部材により移動した磁気センサが磁石の真向かい位置に達した際に、高い磁束密度の磁場を磁気センサに与えることができ、磁気センサの検出精度を高めることができる。
【０００８】
本発明は、前記部材位置検出装置であって、前記固定レール及び前記移動部材が、互いに開口部を対向させて端部を折返して係合させた形状のレールであることが好ましい。
この部材位置検出装置では、固定レール及び移動部材が上記形状のレールなので、固定レール及び移動部材双方によって磁石及び磁気センサが遮蔽されているので、外部の磁界の影響や、外部から磁性体のごみ等の侵入をより抑えることができ、精度の高い位置検出をすることができる。
【０００９】
本発明は、前記部材位置検出装置であって、前記移動部材に、車両用シートが固定されていることを特徴とする。
この部材位置検出装置では、車両用シートの位置を高精度に検出することができるとともに、シートレールレイアウトの高いデザイン自由度を得ることができる。また、部材位置検出装置とともに車両用シートまわりのコンパクトな設計が可能となる。
【００１０】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施形態について、図１から図８を参照して説明する。
本実施形態に係る部材位置検出装置１は、図１に示すように、金属製の固定レール２に案内されて移動する金属製のシート側レール（移動部材）３が、固定レール２上の先端位置（所定位置）Ｐに達したことを検出するものである。
固定レール２は、図２及び図３に示すように、開口部２Ａを上方にむけて自動車Ａ内の床部上に車体の前後方向に延びて設けられている。この固定レール２には、中央の固定側基部２ａと、上方に向けて折り曲げられて固定レール２の側壁を構成する固定側折曲部２ｂ、２ｂとが形成されている。また、各固定側折曲部２ｂはさらにそれらの先端部２ｄが下向きにＬ字型に折返されて内側に固定側溝部２ｃが形成されている。
固定側基部２ａ上であって先端位置Ｐから数十ｍｍ、例えば３０ｍｍ程度内側までのところには、平板状の磁石５が配設されている。
【００１１】
シート側レール３は、図２及び図３に示すように、開口部３Ａを下方にむけて車両用シート６の下部に固定されている。このシート側レール３には、その幅方向中央の移動側基部３ａと、下方に折り曲げられた移動側折曲部３ｂとが形成されており、移動側折曲部３ｂはさらに先端部３ｄが上方に折返されて移動側折曲部３ｂの外側に移動側溝部３ｃが形成されている。
この移動側基部３ａの長さ方向先端部には、移動側基部３ａを貫通したＬ字型の取付部材４が、その先端部４ａがシート側レール３の開口部３Ａの中央側に位置されて配設されており、先端部４ａには、磁石５に対向可能な磁気センサ７が配設されている。
固定レール２とシート側レール３とは、固定側基部２ａと移動側基部３ａとが対向しており、固定側溝部２ｃと移動側溝部３ｃとで両者が係合されている。その結果、磁石５及び磁気センサ７共に、固定側折曲部２ｂ及び移動側折曲部３ｂの内部に取り囲まれた状態になっている。
シート側レール３は、移動側溝部３ｃの外側と固定側基部２ａとの間に配設された、例えばベアリング等の保持部材３Ｂによって移動可能に支持されている。なお、固定レール２は、Ｌ字型に形成された固定金具８を介して自動車Ａの床に固定されている。
【００１２】
図４に示すように、磁石５の磁気センサ７との対向面５Ａは、固定レール２の延在方向に対して磁気センサ７の真向かい位置（正面位置）となる中央領域５ａと、そのレール幅方向両側の側方領域５ｂとで異なる磁極に着磁されている。本実施形態では、中央領域５ａがＮ極、側方領域５ｂはＳ極に着磁されている。
このため、この対向面がＮ・Ｓ何れか一方のみの磁極で着磁されている場合に比べて、中央領域５ａのＮ極に係る磁力線Ｊが側方領域５ｂのＳ極の影響を受けてより鉛直上方に向けて出入する。
そこで、磁気センサ７は、中央領域５ａの鉛直上方となる位置の取付部材４上に配設されている。
なお、磁石５の固定レール２側の接着面の中央領域５ａはＳ極に着磁され、側方領域５ｂはＮ極に着磁されている。
磁気センサ７は、例えば、ホール素子のホール効果を利用した磁電変換センサであって、磁気変化を電気変化に変換するものであり、例えば、磁石上ではＯＦＦ信号を出力し、それ以外の場所ではＯＮ信号を出力する。
【００１３】
次に、以上の構成からなる本実施形態に係る部材位置検出装置１の操作方法について説明する。
運転者が車両用シート６に着座した直後のシート側レール３と固定レール２との位置関係として、例えば、図５及び図６（ａ）に示す位置にあるとする。この状態は、シート側レール３がまだ先端位置Ｐに至ってなく固定レール２内の磁石５とシート側レール３内の磁気センサ７とが対面していない状態となっている。
【００１４】
その後、運転者が車両用シート６を車体前方側に移動させて、図６（ｂ）に示すように磁気センサ７を磁石５上に移動させたとする。このとき、磁石５からは磁力線Ｊが図７に示すように中央領域５ａから鉛直外方に向かって出力されているので、磁気センサ７がこの磁力線Ｊを捉え、この磁界の変化を図８に示すように電流値の変化に変換して出力信号をＯＮ信号からＯＦＦ信号に変えて出力する。
この状態は図６（ｃ）に示すように、シート側レール３の先端部が先端位置Ｐに至るまでの間維持される。
こうして、車両用シート６が図６（ｂ）に示す位置から図６（ｃ）に示す固定レール２の先端位置Ｐまでの範囲内にあることを磁気センサ７の出力値から検出する。
【００１５】
この部材位置検出装置１によれば、磁石５からの磁界の有無を磁気センサ７によって検知して車両用シート６が先端位置Ｐの近くにあるか否かを識別できるので、接触式センサに比べて劣化が少なく、光式センサに比べて磁石５が磁気センサ７に多少の汚れが付着しても誤動作することがなく汚れに強いため、長時間の使用が可能になる。
また、磁石５及び磁気センサ７が断面略コ字状の固定レール２及びシート側レール３のそれぞれの内部に配設されているので、従来技術のように遮蔽板を設ける必要なく磁石及び磁気センサを配設でき、固定レール２及びシート側レール３をそれぞれコンパクトにすることができるとともにレールデザインの自由度を高めることができる。
さらに、例えば、車両用シート６の下側位置に図示しない車内用音響機器のスピーカー等の帯磁物が配設されていた場合でも、これらの磁界は、金属製の固定側折曲部２ｂ及び移動側折曲部３ｂによって遮蔽される。そのため、磁石５や磁気センサ７までこの磁界が及ばないので、誤作動が抑えられて安定した位置検出が可能となる。
【００１６】
また、磁性体のごみがレール外側の車両内にあっても、固定側折曲部２ｂ及び移動側折曲部３ｂが壁となるので、ごみが固定レール２及びシート側レール３の内部まで侵入するのを抑制することができ、磁石の磁気性能を安定して維持することができる。
また、磁石５の磁気センサ７対向面が、図７に示すように中央領域５ａと側方領域５ｂとで異なる磁極に着磁されているので、中央領域５ａにおいて、磁力線Ｊの方向が磁気センサ７の対向面の鉛直方向に揃いやすくなり、磁気センサ７が磁石５の真向かい位置に達した際に、高い磁束密度の磁場を磁気センサ７に与えることができ、磁気センサ７の検出精度を高めることができる。
【００１７】
なお、本発明の技術範囲は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記実施形態では、磁石５及び磁気センサ７を固定レール２の先端位置Ｐに配設しているが、シート側レール３が先端位置Ｐに有るか否かを識別できればよいので、磁石５及び磁気センサ７の配設位置は先端位置Ｐに限られない。また、磁石５の磁気センサ７と対向する面の中央領域５ａをＮ極に着磁させ、側方領域５ｂをＳ極に着磁させているが、これとは逆に中央領域５ａをＳ極に着磁させ、側方領域５ｂをＮ極に着磁させても構わない。
さらに、磁気センサ７の出力信号は電流値であっても電圧値であってもよく、また、磁石５と対向したときにＯＮ信号を出力するものでも構わない。
また、車両用シートは運転席に限らず、助手席用のシートでも構わない。
さらに、磁石は永久磁石であっても電磁石であっても構わず、磁気センサも磁気を検知できるものであれば構わない。
【００１８】
【発明の効果】
以上説明した本発明においては以下の効果を奏する。
本発明の部材位置検出装置によれば、固定レール及び移動部材の外部に突出する部分を少なくできるので、シートレールレイアウトのデザイン自由度を高くすることができ、車両用シートまわりをコンパクトにすることができる。
また、ごみ等の付着を抑え、外部磁界の影響を受けにくい安定した検出性能を得ることができ、車両用シート位置が所定位置にあるか否かを正確に検出することができる。そして、例えば、米国法規制ＦＭＶＳＳ２０８に十分対応することができる。
更に、磁石の磁気センサ対向面を中央領域と側方領域とで異なる磁極に着磁しているので、中央領域において、磁力線の方向が磁気センサの対向面の鉛直方向に揃いやすくなり、移動部材の移動とともに磁気センサが磁石の真向かい位置に達した際に、高い磁束密度の磁場を磁気センサに与えることができ、磁気センサの検出精度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の一実施形態に係る部材位置検出装置が所定位置にある状態を示す斜視図である。
【図２】 本発明の一実施形態に係る部材位置検出装置の自動車内部における取付場所を示す斜視図である。
【図３】 図１のIII−III断面を示す図である。
【図４】 本発明の一実施形態に係る部材位置検出装置の磁石を示す斜視図である。
【図５】 本発明の一実施形態に係る部材位置検出装置が所定位置にない状態を示す斜視図である。
【図６】 本発明の一実施形態に係る部材位置検出装置の移動時における固定レールとシート側レールとの位置関係を示す説明図である。
【図７】 本発明の一実施形態に係る部材位置検出装置の磁石からの磁力線の状態を示すイメージ図である。
【図８】 本発明の一実施形態に係る部材位置検出装置の車両用シート位置と磁気センサの出力との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
１ 部材位置検出装置
２ 固定レール
３ シート側レール（移動部材）
５ 磁石
５Ａ 対向面
６ 車両用シート
７ 磁気センサ
Claims (3)
- 金属製の固定レールに案内されて該固定レールに沿って移動する金属製の移動部材が前記固定レールの所定位置に達したことを検出する部材位置検出装置であって、前記固定レールの前記所定位置に対応する位置に、磁石及び磁気センサの何れか一方が配設され、前記移動部材の前記固定レールに対向する位置に、前記磁石及び前記磁気センサの他方が配設され、前記磁石及び前記磁気センサが、前記固定レール及び前記移動部材の内側に配設され、前記磁石の前記磁気センサとの対向面が、前記磁気センサの真向かいに位置して前記磁気センサの移動方向に沿って配置された中央領域と該中央領域に対するレール幅方向の両側側方領域とで異なる磁極に着磁されていることを特徴とする部材位置検出装置。
- 前記固定レール及び前記移動部材が、互いに開口部を対向させて端部を折返して係合させた形状のレールであり、各前記開口部の内側に前記磁石又は前記磁気センサが設けられていることを特徴とする請求項１記載の部材位置検出装置。
- 前記移動部材に、車両用シートが固定されていることを特徴とする請求項１または２に記載の部材位置検出装置。
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