JP4108332B2 - 圧電定数測定方法及び同方法を用いる圧電定数測定装置並びに同装置用サンプルセットユニット - Google Patents

圧電定数測定方法及び同方法を用いる圧電定数測定装置並びに同装置用サンプルセットユニット Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、圧電材料の圧電定数を正圧電効果を用いて測定する新規な方法及びその方法を用いる装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
強誘電体薄膜は、マイクロメカニクスへの応用が広がっているため、近年、その圧電特性に関する研究が盛んになされているが、このような研究はまだ十分になされていない。その理由は、薄膜の膜厚寸法上による制限及び基板による制約があって、測定に困難が伴うとともに、薄膜の圧電特性を評価する方法がまだ確立されていないからである。
【0003】
従来の圧電測定方法には、(a)共振・反共振法、(b)AFM(原子間力顕微鏡)による測定方法、(c)インターフェロメータ(interferometor)を用いる方法がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
セラミックスの圧電測定に一般的に使われている共振・反共振法は、サンプルに交流電界をかけて共振点・反共振点を見るものであるが、これはセラミックスの結晶構造に依存し、その測定値は420pC±20%とバラツキが大きくて測定精度が低く、どこにピーク値を取るかにより変動し、かつピーク値を決めるのが難しい。そのため、この方法を薄膜の圧電測定に使うのは現実には難しい。また、この方法で薄膜の圧電定数を測定する場合は、共振周波数あるいは反共振周波数がGHz帯となるので、非常に高価な測定装置が必要である。
【0005】
現在、薄膜の研究に最も良く用いられている方法は、逆圧電効果を利用して強誘電体薄膜の微小変位を測定する方法であり、その代表的なものは、AFM(原子間力顕微鏡)を用いる方法とインターフェロメータ(interferometor)を用いる方法である。
AFMは基板(ウエーハ)上に生成された薄膜に交流電圧をかけながらその薄膜の0.01−10nmの微小変位をチップを用いて測定するものであり、インターフェロメータは、基板に生成された薄膜に交流電界をかけてダブルレーザビームを当て、薄膜の微小変位量を測定するものであるが、これらの測定方法に共通な問題は、微小変位における基板の曲げ効果の評価が困難であることにある。すなわち、変位量は薄膜のみでなく、基板と薄膜の両者の変位量を測定せざるを得ないため、基板の影響を受けやすく、測定値の信頼度が低い。また、これらの測定方法は、測定装置が非常に高額であるという問題もある。
【0006】
さらに、AFMとインターフェロメータは、いずれも薄膜に交流電界を加えてダイナミックに変位量を検出するが、交流電界により結晶のドメイン(分域)の向きが交互に変わるため、瞬間的な測定は可能であるが、時間領域での測定ができない。従って、従来の測定方法では、圧電定数の緩和現象を観測することはできなかった。
【0007】
上記のように、従来は、薄膜の圧電定数を簡便に求める方法がなかった。また、従来の測定方法では使用可能なサンプルに制約があり、時間領域での測定ができなかった。
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、その第一の課題は、測定サンプルに制約がなく、測定サンプルに電界をかけずに、時間領域においても測定できる圧電測定方法を提供することにある。
第二の課題は、上記第一の課題を解決する圧電測定方法の実施を可能にする圧電定数測定装置を提供することにある。
第三の課題は、上記第二の課題を解決する圧電定数測定装置に使用するのに適した簡便なサンプルセットユニットを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記第一の課題を解決する圧電定数測定方法の発明は、圧電材料に重りを載せること(以下、負荷ということがある。)又はその重りを取除くこと(以下、除荷ということがある。)により前記圧電材料に生じる電流を積分回路により電圧に変換し、その変換された電圧値と前記重りの荷重変化量とを関数とする第一の計算式を演算して圧電定数を求め、その演算結果を圧電定数と時間とを座標軸とするグラフ上に点線状に表すことを特徴としている。
この方法においては、圧電材料に重りを載せた時又はその重りを取除いた時に発生する電流が積分回路により電圧に変換され、その電圧値と荷重変化量から圧電定数が逐次演算され、その演算結果が圧電定数と時間とを座標軸とするグラフ上に点線状に表される。従って、圧電材料の正電圧効果によるスタティックな圧電定数の時間依存性が離散的に表示される。
【0009】
第一の課題を解決する圧電定数測定方法の発明は、第一の計算式の演算結果である圧電定数を、指数則に従う第二の計算式及び所定のパラメータを用いて演算し、その演算結果を圧電定数と時間を座標軸とするグラフ上に実線で表すようにしてもよい。
この方法によれば、圧電材料のスタティックな圧電定数の時間依存性が連続的に表示される。
【0010】
上記第二の課題を解決する圧電定数測定装置は、サンプルセットユニットと測定装置ユニットとからなること、前記サンプルセットユニットは、圧電材料のサンプルを載置するための絶縁性のサンプル載置台と、そのサンプル載置台に対して昇降自在に保持され、下面に前記サンプル載置台に載置されたサンプルに先端が密着されるチップを有するスライダと、前記スライダに載せられ又は取除かれる重りと、前記載置台に載せられたサンプルに前記重りの負荷又は除荷により発生する電荷を取り出すための電極とを有すること、前記測定装置ユニットは、前記サンプルセットユニットの電極から取り出された電流を電圧に変換する積分回路と、変換された電圧値を一定時間ごとにデジタル値に変換し、変換されたデジタル値と重りの荷重変化量を関数とする第一の計算式を用いて圧電定数を求め、前記重りを載せた時点又はその重りを取り除いた時点から時間の経過とともに得られる圧電定数に基づいて、圧電定数と時間を座標軸とするグラフ上の座標データを作成する演算処理装置とを有することを特徴としている。
上記構成により、サンプルセットユニットのサンプル載置台にサンプルを載置し、そのサンプルに重りを載せると又はその重りを取除くと、そのサンプルに生じる電荷が時間領域で測定され、その圧電定数が計算されて圧電定数と時間を座標軸とするグラフ上の座標データが作成される。
その座標データを用いて出力装置によりグラフを表示画面に表示し、又は印字媒体に出力するようにしても良い。
【0011】
上記第三の課題を解決するためのサンプルセットユニットは、筒状のシールドボックスと、そのシールドボックスの底部に設けられた圧電材料のサンプルを載置するための、絶縁材料で作られたサンプル載置台と、前記シールドボックスの内壁面に案内されて安定して昇降可能に滑合されたスライダと、前記スライダに載せられ又は取除かれる重りと、前記スライダの下面に突設され、前記重りの荷重をサンプル載置台に載置されたサンプルの上面に加えるためのチップと、前記重りを載せ又は取除く際に前記載置台に載置されたサンプルに発生する電荷をそのサンプルの上面と下面から取出すための上部電極及び下部電極と、両電極を測定装置ユニットの構成要素である積分回路の入力端子に接続するための導線とを有することを特徴としている。
上記構成により、サンプルセットユニットは、測定装置ユニットから分離して持ち運び可能である。サンプルセットユニットを測定装置ユニットに接続すれば、圧電材料の圧電定数の測定が可能であり、圧電定数と時間の関係を出力させることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。以下には、本発明による測定方法を用いる圧電測定装置について先に説明し、測定方法についてはその装置に関する説明の中で説明する。
図1は本発明の圧電測定装置の全体的構成を概略的に示すブロック図、図2は同装置の一部を構成するサンプルセットユニットの一例の構成を示す縦断面図、図3は演算処理装置の構成を示すブロック図である。
【0013】
本発明による圧電測定装置は、図1に示すように、サンプルセットユニットAと測定装置ユニットBとで構成される。
サンプルセットユニットAは、図2に示すように、少なくともサンプル載置台2と、シールドボックス1と、スライダ3と、重り4と、電極5a,5bと、導線6a,6bとを有している。続いて、これらについて詳述する。
【0014】
シールドボックス1は円筒又は角筒状に形成されている。この圧電測定装置は、圧電材料のサンプルが正圧電効果により発生する微小電流を測定するものであるので、シールドボックス1の役目の一つは、電圧測定精度に影響を与える外からの電気的ノイズ、例えば誘導電流や浮遊電流や磁場などを排除することである。そのために、シールドボックス1は、外からの影響を排除できる肉厚を有する金属で形成されている。
【0015】
サンプル載置台2は、負荷又は除荷によりサンプルに生じる電流がリークするのを防止するため絶縁材料で所要の厚さをもって作られ、上面にサンプルSを載置するための平坦な載置面を有する。その載置面には、載置されたサンプルSの下面に接触される白金などの薄い下部電極5aが設けられ、その下部電極5aには導線6aの一端が接続されている。サンプル載置台2は、シールドボックス1の底部上面中央に設置されている。
【0016】
スライダ3は、サンプル載置台2の上方においてシールドボックス1の中に昇降自在に滑合されている。シールドボックス1の中のスライダ3には、重り4を載せたり、取除いたりすることができる。スライダ3は重り4を載せた場合に、その荷重をサンプル載置台2に載置されたサンプルの上面の所定位置に加えるためのものである。
このスライダ3も、電流のリークを防止するため、サンプル載置台2と同様に絶縁材料で所要の厚さをもって作られており、スライダ3の下面中央から垂直下方に突出するチップ3aが設けられている。そして、スライダ3の下面にサンプル載置台2に載置されたサンプルの上面に接触する上部電極5bが設けられている。図示の例では、チップ3aを導電性を有する金属製とすることにより、チップ3aも上部電極の一部を構成している。上部電極5bには導線6bの一端が接続されている。
サンプルSがその表面にすでに金などの電極が付着されているものである場合は、導線6bをその既設電極に接続するようにしてもよい。
【0017】
それぞれの導線6a,6bは、シールドボックス1の外に延出され、その先端に後述される測定装置ユニットBの積分回路B1の入力端子に着脱自在に結合する手段、一例としてプラグ7a,7bが接続されている。
【0018】
スライダ3に重り4が載せられた時は、その荷重がチップ3aを介してサンプルSに加えられるが、シールドボックス1のもう一つの役目は、荷重がチップ3aからサンプル載置台2上のサンプルSの上面に偏ることなく加わるように、スライダ3をシールドボックス1の中を垂直を保ったまま下降するように案内することである。そのため、シールドボックス1の内壁面は滑らかに研磨され、スライダ3は適切な厚みを有して、シールドボックス1の内壁面とスライダの外周面との間のクリアランスを可及的に小さくしてある。
【0019】
好ましい実施の形態においては、スライダ3の上側に予め一定の重量の予備重り4aが備えられている。この予備重りを設ける場合の利点については、後述する。
【0020】
上記構成により、このサンプルセットユニットAを用いる時は、サンプル載置台2の上方を開放し、そのサンプル載置台2の上面にサンプルSを載置してセットする。すなわち、そのサンプルSを下部電極5aに接触した状態に保つ。次に、サンプル載置台2の上方からシールドボックス1内に、チップ3aを下方に向けた状態でスライダ3を滑合し下降させて、チップ3aの先端をサンプルSの上面に当接させる。
【0021】
この状態の時に、スライダ3に重り4を載せると、重りの荷重がチップ3aの先端からサンプルSに加わることになるが、その際、チップの先端面が完全に平坦な場合は、重りの荷重がその先端面の周辺に集中するため、サンプルにクラックを生じさせる恐れがある。これを防ぐため、チップの先端面の周辺には僅かな丸みを形成して、荷重がチップの先端面の全体から均等にサンプルに分散付与されるようにすることが望ましい。
【0022】
続いて、本発明の圧電定数測定装置の他の構成要素である測定装置ユニットBについて説明する。測定装置ユニットBは、図2に示すように、積分回路B1と、演算処理装置B2とから構成されている。好ましい実施の形態においては、さらに出力装置B3が含まれる。
【0023】
積分回路B1は、上記サンプルセットユニットAにおける重りの負荷又は除荷によりサンプルに生じる微小電流を、積分し好ましくはさらに増幅して、電圧に変換するものである。積分回路B1は、発生した微小電流を積分し電圧に変換する機能、好ましくはさらに増幅する機能があれぱ、既知のどのような積分回路を用いても良い。図示の例は、差動アンプ8の帰還回路9にコンデンサ10を挿入したミラー積分回路により構成されている。
そして、差動アンプ8の2つの入力端子には上記サンプルセットユニットAのプラグ7a,7bを差し込むことができるジャック11a,11bが設けられている。プラグ7a,7b及びジャック11a,11bを用いずに、導線6a,6bをアンプ8の入力端子に直接接続する構造を採用しても良い。
【0024】
積分回路B1のコンデンサ10の容量及び差動アンプ8の増幅率は、被測定圧電材料の種類により、すなわち、負荷時又は除荷時の発生電流の大小に応じて、その検出が可能なように設定される。圧電材料がPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)薄膜の場合は、積分コンデンサ容量は一例として約0.1μFが適当である。
【0025】
こうして、サンプルセットユニットAの導線6a,6bをプラグ7a,7b及びジャック11a,11bを介して積分回路B1に接続した状態でサンプルセットユニットAのスライダ3に重り4を載せ又は取除くことによってサンプルSに生じる微小電流は、積分回路B1により電圧に変換される。積分回路B1の出力端子には、荷重変化量をΔNとすると、次の式で表される電荷ΔQが得られる。
ΔQ=Vout *Zf (1)
ただし、Vout はアンプ8の出力、Zf は積分コンデンサ10の容量。
【0026】
上記積分回路B1より得られる電荷値ΔQは、逐次、次段の演算処理装置B2に入力される。演算処理装置B2は、マイクロコンピュータにより構成されており、図3に例示するように、CPU11と記憶部12とを有する。
CPU11は、積分回路B1より入力するアナログ値である電荷値ΔQをデジタル値に変換するAD変換手段11aを構成している。従って、積分回路B1により測定された電荷ΔQは、AD変換手段11aによりデジタル値に変換されるようになっている。
【0027】
また、CPU11は、基本クロックを分周して所定時間間隔、一例として1秒間隔のサンプリングパルスを発生するパルス生成手段11bを構成している。そのサンプリングパルスは、AD変換手段11aに出力条件として与えられる。従って、積分回路B1により測定された電荷ΔQはデジタル値に変換されて1秒ごとにAD変換手段11aから出力されて、CPU11により構成されている演算手段11cに入力されるようになっている。
【0028】
図4は、サンプルSにPZT薄膜を用いた場合の、負荷時及び除荷時の出力電流から変換された電圧を1秒ごとにサンプリングした場合のAD変換手段11aの出力値を示すグラフである。縦軸Vout は電圧(mV)、横軸Timeは時間(s)である。グラフ中の黒丸は負荷時電圧、白丸は除荷時電圧である。
なお、この測定に用いられたPZT薄膜は、Pt/Ti/SiO2 /Si基板にCSD(化学溶液析出法)によりスピンコートされ、各処理を経て膜厚1.06μmに形成され、最後に700℃で1時間加熱して焼結したものである。
【0029】
サンプルに発生した電流を積分することにより得られ、時間の経過とともに変化する電圧V33(t) は、(2)式により表すことができる。
【数1】
Figure 0004108332
Vt は、圧電材料に生じる電荷に比し微小であるので、図4の測定値は、圧電材料に生じる電荷を忠実に表していると理解することができる。
【0030】
一般的に、負荷時又は除荷時に圧電材料に発生する電荷ΔQと、荷重変化量ΔNを用いて、(3)式を演算すれば、圧電定数d33を得ることができる。
33=ΔQ/ΔN (3)
【0031】
この知見に基づき、本発明では、演算手段11cにAD変換手段11aから順次入力する電荷値ΔQ、すなわち、サンプルSから発生する電流量と記憶部12に記憶されている荷重変化量ΔNとを用いて、(3)式を演算させ、その演算結果をCPUで構成されている座標データ作成手段11dに入力させるようになっている。
【0032】
座標データ作成手段11dは、入力した演算結果に基づいて、圧電定数と時間とを座標軸とするグラフの座標点(x,y)を決定し、その座標データを出力して、記憶制御手段11eに与えるようになっている。記憶制御手段11eは、座標データを入力する度に、これをその時の測定時刻データとともに記憶部12の座標データ格納領域に記憶するようになっている。
【0033】
CPU11はさらにグラフデータ作成手段11fを構成していて、座標データ作成手段11dが座標データを出力する度に、記憶部12の座標軸データ格納領域から圧電定数と時間とを座標軸とする所定の目盛りを有するグラフの座標軸データを読出すとともに前記座標データ格納領域から座標データを読出して、これらのデータを合成してグラフデータを作成して出力するように構成されている。
【0034】
一つの実施の形態として、グラフデータ作成手段11fが出力するグラフデータは、記憶制御手段11eによりこれを記憶部12のグラフデータ格納領域に保存し、必要時に可搬性を有する記録媒体に記録するなど、外部に出力するようにしても良い。
しかし、本発明の好ましい実施の形態においては、CPU11によりグラフ表示手段11gが構成され、グラフデータ作成手段11fが出力するグラフデータを、そのグラフ表示手段11gから次段の出力装置B3に出力するようになっている。出力装置B3は、CRT又はLEDなどの表示画面を有してグラフを表示可能なもの、又は印字媒体にグラフの印字が可能なものである。
【0035】
図5は、演算処理装置B2による第一の計算式(3)を用いての圧電定数の演算、演算により得られた圧電定数に対応する座標データの作成、座標軸データと座標データとの合成、合成により得られたグラフデータの出力に基づいて、出力装置B3が表示画面に表示した又は媒体に印字した圧電定数と時間とを座標軸とするグラフであり、測定された圧電定数d33が測定時間の経過との関係で点線状に表わされている。
【0036】
図5は、PZT薄膜の場合について、(3)式を演算して得られた圧電定数と時間の関係を示す。この場合のサンプルSの圧電定数d33は、負荷時が432pC、除荷時が417pCであった。同図の各測定値及びその測定値を示す点の軌跡に、サンプルSの圧電特性が良く表されている。
【0037】
本発明の他の実施の形態においては、演算手段11cは、上記第一の計算式の演算により圧電定数を得た後、(4)式を演算して、負荷時又は除荷時の時間領域の圧電定数d33(t) を測定するようになっている。
【数2】
Figure 0004108332
【0038】
この場合、パラメータτ及びnの値は、記憶部12に予め記憶されているものが用いられる。これらのパラメータτ及びnの値は、負荷時と除荷時のそれぞれについて、表1に示すように設定されている。
【表1】
Figure 0004108332
【0039】
PZT薄膜について、上記パラメータ値を用いて(4)式を演算して得られた結果を示すと、図5に実線で示す通りである。この実線によりサンプルSの圧電特性が良く表されている。
【0040】
図4から明らかなように、負荷あるいは除荷に要する時間は1秒以内と非常に短時間であるが、電流の積分値が安定するまでにはかなりの時間(圧電材料の種類、例えば薄膜の膜質などにより異なる。)を要した。この現象は圧電緩和によるものと考えられる。圧電緩和効果は、負荷あるいは除荷時の分域壁の運動によるものと考えられる。
さらに詳述すると、マルチドメイン構造の物質では、ゆっくりとした緩和は分域壁の動きに起因する。薄膜中には(001)配向粒子以外に(101)及び(111)配向した粒子が存在する。膜に垂直な力が加えられた時、180°分域はゆっくりとした緩和に影響しない。しかし、それぞれの粒子中の非180°分域は印加された力の向きに再配向する。これらの分域壁の動きが観察されたゆっくりとした圧電緩和現象として現れると考えられる。本発明は、圧電定数が真の効果と分域壁の動きからなり、それらを時間領域のテクニックを用いて容易に分離できることを示した。
本発明の圧電測定方法は、正圧電効果を一定時間に渡ってスタティックに測定するので、すなわち、ドメインの動きを時間領域で測定するので、圧電緩和現象を観測することが可能になったものである。緩和時間τは約数十秒(s)であったが、このことはオシロスコープでも確認された。緩和が長時間観測されたのは、nが若干大きいからである。
この緩和は、通常の誘電緩和で観測されるデバイ(Debye) 緩和と異なり、(4)式のような指数(streched-exponential)則に従うことがわかった。図5から明らかなように、負荷時、除荷時ともに(4)式に良く一致した。上記表1のパラメータτ及びnの値は、(4)式を用いて図5の実線を与えるように決定されたものである。
【0041】
圧電材料の種類によっては、結晶軸の方向の違いにより緩和現象が見られない場合がある。この場合は、図4の座標点の軌跡、図5の点線及び実線は、直線状に現れる。しかし、(4)式の演算は、このような圧電材料の圧電定数の測定にも有効である。
【0042】
サンプルに加える荷重の上限は、図1のサンプル載置台2に重り4を載せた場合にチップ3aがサンプルSにクラックを生じさせない値であり、下限は、サンプル載置台に重りを載せた場合にサンプルに生じる電荷が不安定にならない値である。
従って、圧電測定の際は、上限と下限の間の重りを載せ又は取除けば良いのであるが、図1のチップ3aとサンプルとの安定な接触を図るために必要な最小限の重りを予備重り4aとして備えておくことが望ましい。
【0043】
使用したミラー積分回路のアンプのバイアス電流は0.1pA以下と非常に小さいので、測定サンプルの直流抵抗が充分に大きければ、原理的に0.1pCの電荷量の変化が測定可能である。
【0044】
上記の実施の形態においては、サンプルセットユニットAは、これを測定装置ユニットBに対して分離・接続可能な構成として、可搬性を備えてある。測定装置ユニットBは、積分回路B1に広く普及しているパーソナルコンピュータにより構成される既知の演算処理装置B2を接続し、その演算処理装置に、AD変換機能、所定の計算式の演算機能、座標データ作成機能、グラフ表示機能を実現するためのソフトウェアをインストールするだけで構成可能であるので、サンプルセットユニットAのみを圧電測定が必要な研究所などに持ち運んで、簡単に測定を行うことができる利点がある。
【0045】
上記実施の形態においては、積分回路の出力をコンピュータを用いてデジタル値に変換し、かつ第一の計算式又は第一の計算式と第二の計算式を演算処理し、自動的にグラフ表示するようにしたが、これに代えて、積分回路の出力値を電圧計に表示させ、読み取った出力値を用いて(3)式を演算することにより圧電定数を得、グラフを作成するようにしてもよい。
【0046】
【発明の効果】
本発明の測定方法によれば、正圧電効果により圧電材料に生じる10−1000pCの電荷を測定するための装置は、逆圧電効果による0.01−10nmの微小変位を測定するための従来の装置に比し、構成が簡単である。そして、サンプルに電界をかけずに測定することが可能である。また、圧電定数の測定が連続して行えるため、従来方法では不可能であった、圧電緩和の定量的な測定が可能である。さらに、本発明による測定方法によれば、測定対象である圧電材料は、その厚み及び形状に制限を受けない。測定値は基板による影響も受けない。
【0047】
本発明の測定装置によれば、上記本発明による測定方法を簡単な構成により実施することができる。
【0048】
請求項6の発明によれば、サンプルセットユニットは可搬性を有し、測定装置ユニットに対して接続・分離が可能であるので、普及型の演算処理装置に所要のソフトウェアをインストールするだけで、そのサンプルセットユニットを用いて任意の位置で圧電材料の圧電定数の測定を行うことができる。
【0049】
請求項7の発明によれば、サンプルセットユニットの構成が一層簡単になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の圧電測定装置の一部を構成するサンプルセットユニットの一例の構成を示す縦断面図。
【図2】圧電測定装置の全体的構成をを概略的に示すブロック図。
【図3】演算処理装置の構成を示すブロック図。
【図4】測定装置により測定された電圧の時間依存性を示すグラフ。
【図5】測定装置により測定された圧電定数の時間依存性を示すグラフ。
【符号の説明】
A サンプルセットユニット
1 シールドボックス
2 サンプル載置台
3 スライダ
3a チップ
4 重り
4a 予備重り
5a,5b 電極
6a,6b 導線
7a,7b プラグ
B 測定装置ユニット
B1 積分回路
8 オペアンプ
9 帰還回路
10 コンデンサ
B2 演算処理装置
B3 出力装置

Claims (7)

  1. 圧電材料に重りを載せ又はその重りを取除くことにより前記圧電材料に生じる電流を積分回路により電圧に変換し、その電圧値と前記重りの荷重変化量とを関数とする第一の計算式を演算して圧電定数を求め、その演算結果を圧電定数と時間とを座標軸とするグラフ上に点線状に表すことを特徴とする圧電定数測定方法。
  2. 圧電材料に重りを載せ又はその重りを取除くことにより前記圧電材料に生じる電流を積分回路により電圧に変換し、その電圧値と前記重りの荷重変化量とを関数とする第一の計算式を演算して圧電定数を求め、第一の計算式の演算結果である圧電定数を、指数則に従う第二の計算式及び所定のパラメータを用いて演算し、その演算結果を圧電定数と時間を座標軸とするグラフ上に実線で表すことを特徴とする圧電定数測定方法。
  3. サンプルセットユニットと測定装置ユニットとを含み、
    前記サンプルセットユニットは、圧電材料のサンプルを載置するための絶縁性のサンプル載置台と、そのサンプル載置台に対して昇降自在に保持され、下面に前記サンプル載置台に載置されたサンプルに先端が密着されるチップを有するスライダと、前記スライダに載せられ又は取除かれる重りと、前記載置台に載せられたサンプルに前記重りを載せ又は取除くことにより発生する電流を取り出すための電極とを有し、
    前記測定装置ユニットは、前記サンプルセットユニットの電極から取り出された電流を電圧に変換する積分回路と、前記積算回路の出力を一定時間ごとにデジタル値に変換し、変換されたデジタル値と重りの荷重変化量を関数とする第一の計算式を演算して圧電定数を求め、前記重りを載せた時点又はその重りを取り除いた時点から時間の経過とともに得られる圧電定数に基づいて、圧電定数と時間を座標軸とするグラフ上の座標データを作成する演算処理装置とを有すること、
    を特徴とする圧電定数測定装置。
  4. 請求項3において、演算処理装置は、第一の計算式の演算により得られた圧電定数を指数則に従う第二の計算式及び所定のパラメータを用いて演算し、その演算結果を圧電定数と時間を座標軸とするグラフ上に実線で表すものであることを特徴とする圧電定数測定装置。
  5. 請求項3又は4において、測定装置ユニットは、演算処理装置が作成した座標データを圧電定数と時間を座標軸とするグラフ上に表示又は印字する出力装置を含むことを特徴とする圧電定数測定装置。
  6. 筒状のシールドボックスと、そのシールドボックスの底部に設けられた圧電材料のサンプルを載置するための、絶縁材料で作られたサンプル載置台と、前記シールドボックスの内壁面に案内されて安定して昇降可能に滑合されたスライダと、前記スライダに載せられ又は取除かれる重りと、前記スライダの下面に突設され、前記重りの荷重をサンプル載置台に載置されたサンプルの上面に加えるためのチップと、前記重りを載せ又は取除く際に前記載置台に載置されたサンプルに発生する電荷をそのサンプルの上面と下面から取出すための上部電極及び下部電極と、両電極を測定装置ユニットの構成要素である積分回路の入力端子に接続するための導線とを有することを特徴とする圧電定数測定装置用のサンプルセットユニット。
  7. 請求項6において、チップは導電性材料で作られ、上部電極又はその一部を兼ねることを特徴とするサンプルセットユニット。
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