JP4106484B2 - 動圧軸受け付き磁気浮上ポンプ - Google Patents

動圧軸受け付き磁気浮上ポンプ Download PDF

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JP4106484B2 JP2002014882A JP2002014882A JP4106484B2 JP 4106484 B2 JP4106484 B2 JP 4106484B2 JP 2002014882 A JP2002014882 A JP 2002014882A JP 2002014882 A JP2002014882 A JP 2002014882A JP 4106484 B2 JP4106484 B2 JP 4106484B2
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隆志 山根
養二 岡田
徹 増澤
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は動圧軸受け付き磁気浮上ポンプに関し、さらに詳しくは、固定子と回転子とが軸方向に沿って配置され、回転子が磁気浮上状態で回転可能に、しかも小型に形成され、血液ポンプ例えば人工心臓ポンプとしても有用な動圧軸受け付き磁気浮上ポンプに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、血液ポンプとして使用されている軸流ポンプには、(1)軸方向から動力を伝達する装置構成、例えばモータの回転軸に結合されたワイヤーをポンプにおける回転体に結合する構成を有するポンプと、(2)ポンプにおける回転体の接線方向からこの回転体に動力を付与する装置構成、例えば軸流ポンプの外周にステータを配置する構成を有するポンプとがある。
【0003】
前記(1)の装置構成を有するポンプは軸流ポンプとモータとがワイヤーで結合されているので、この軸流ポンプを体内埋め込み型の人工心臓ポンプ用として使用することができないし、また装置構成が大型に成ると言う問題がある。
【0004】
前記(2)の装置構成を有するポンプは軸流ポンプ自体が直径方向に大きく成る、つまり装置が大型化すると言う問題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
この発明の目的は、装置構成が簡単で、しかも小型であり、人工心臓用ポンプとして使用した場合に機器の接触回転部分により発生する溶血等のない、動圧軸受け付き磁気浮上ポンプを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための手段として、請求項1は、
周側面に軸流羽根及び動圧軸受けを備え、両端それぞれに永久磁石を有してなる回転軸体と、前記回転軸体の両端それぞれに臨むように配置された磁気結合手段とを備え、二つの前記磁気結合手段の少なくともいずれかの磁気結合手段は、中央部を曲成してなるコアを有する電磁石から構成され、二つの前記磁気結合手段の少なくともいずれかの磁気結合手段により前記回転軸体を回転させるとともに、二つの磁気結合手段の協同により前記回転軸体を浮上状態に維持して、回転する回転軸体により回転軸方向の一方から他方へと流体を流通させることを特徴とする動圧軸受け付き磁気浮上ポンプであり、
請求項2は、
前記二つの磁気結合手段は、前記回転軸体の一方の端部に臨んで配置されたところの、回転磁界を発生させる前記電磁石と、前記回転軸体の他方の端部に臨んで配置されたところの、前記回転軸体をその軸線方向において非接触状態に維持する電磁石又は永久磁石とである前記請求項1に記載の動圧軸受け付き磁気浮上ポンプであり、
請求項3は、
前記二つの磁気結合手段は、前記回転軸体の一方の端部に臨んで回転可能に配置され、マグネットカップリングにより前記回転軸体に回転力を与える回転駆動永久磁石と、前記回転軸体の他方の端部に臨んで配置されたところの、前記回転軸体をその軸線方向において非接触状態に維持する前記電磁石とである前記請求項1に記載の動圧軸受け付き磁気浮上ポンプであり、
請求項4は、
前記動圧軸受けが、前記回転軸体の半径方向の外側に設けられた円筒体の外表面に、流通する流体によって、その円筒形の外周面と回転軸体を収容するケースの内壁面との間に動圧を発生させる溝を形成してなる前記請求項1〜3のいずれか1項に記載の動圧軸受け付き磁気浮上ポンプであり、
請求項5は、
前記動圧軸受け付き磁気浮上ポンプが人工心臓ポンプ用である前記請求項1〜4のいずれか1項に記載の動圧軸受け付き磁気浮上ポンプである。
【0007】
【発明の実施の形態】
図1に示されるように、この発明の一例である動圧軸受け付き磁気浮上ポンプ1は、回転軸体2と、二つの磁気結合手段3a,3bとを備える。
【0008】
回転軸体2は、ケーシング4内に収容される。この回転軸体2は、円筒形状をなす軸体本体と、その軸体本体の外周面に設けられた軸流羽根5と、前記軸体本体の両端部において支持体6を介して支持された動圧軸受け7と、軸体本体の両端面に埋め込まれた状態で装着された複数の永久磁石8a,8bとを備える。
【0009】
前記軸流羽根5は、この軸体本体がその軸線を中心として回転すると、軸体本体の軸線に沿って流体が一方から他方へと流通するように、軸体本体の外周面に複数枚設けられている。図1においては、向かって左側から右側へと流体が流通する。
【0010】
前記動圧軸受け7は、図1にも示されるように、軸体本体の両端部にそれぞれ配設された円筒体7aと、その円筒体7aの外周面に形成された複数の溝7b(図2を参照)とを有する。この円筒体7aは、軸体本体の端部外周に立脚する支持体6に支持され、前記軸体本体の端部を内装するようにして、前記軸体本体の半径方向の外側に設けられている。なお、前記支持体6は、例えば棒体に形成されている。したがって、前記円筒体7aの内部を流体が通過可能に成っている。
【0011】
この動圧軸受け7は、軸体本体がその軸線を中心にして回転すると前記軸流羽根5により流通する流体がケーシング4の内壁面と円筒体7aとの間隙を流通し、その間隙を流通する流体が前記溝7bに流通することにより動圧を圧制させ、その結果として前記円筒体7aの外周面とケーシング4の内壁面とが非接触状態となる。もっとも、この発明においては、一対の磁気結合手段3a,3bと軸体本体内の両端に装備された永久磁石8a,8bとの協同作用によって回転軸体2がそのスラスト方向で非接触状態ないし浮上状態となるのであるが、前記動圧軸受け7によって回転軸体2がケーシング4の内壁面との非接触状態、つまりラジアル方向での浮上状態を確保することができるように成る。
【0012】
前記溝7bの形状は、図2においては「く」の字状に形成されているが、ケーシング4の内周面とこの円筒体7aとの間に動圧が発生するような形状である限り、前記「く」の字状に限定されない。
【0013】
軸体本体の一方の端面、例えば流体流通方向の下流側に位置する端面には、永久磁石8aが少なくとも2個配設される。2個の永久磁石8aは軸体本体内部に設置された鉄片9に磁気的に吸着していて、軸体本体の端面においてN極とS極とが露出するように、着磁されている。
【0014】
これらの永久磁石8aに臨むように、換言すると、回転軸体2の一方の端面に臨むように配置された磁気結合手段3aは、例えば3個の電磁石10から構成される。図3に示されるように、3個の電磁石10それぞれは、一端部を永久磁石8aのN極に臨ませ他端部を永久磁石8aのS極に臨ませるように中央部を曲成してなるところの、複数の鋼板例えばケイ素鋼板を重ね合わせて形成されたコア11と、このコア11の中央部に巻き付けられたコイル12とを有し、このコイル12に通電することによりコア11の一端がS極及び他端がN極となるように形成される。3個の電磁石10は、図3に示されるように、3個のコア11の6個の両端面が環状に成るように配列される。3個のコイルには三相交流が通電され、それぞれのコイル12に生じる磁界の和が1つの回転磁界となる。この磁気結合手段3aにより発生する回転磁界に永久磁石8aが磁気的に結合することによって、回転軸体2が、その軸線を中心にして回転することになる。
【0015】
回転軸体2の他方の端面、換言すると流体の上流側の端面にも、永久磁石8bが鉄片9に吸着固定されている。
【0016】
軸体本体の他方の端面、例えば流体流通方向の上流側に位置する端面には、永久磁石8bが少なくとも2個配設される。2個の永久磁石8bは軸体本体内部に設置された鉄片9に磁気的に吸着していて、軸体本体の端面においてN極とS極とが露出するように、着磁されている。
【0017】
これらの永久磁石8bに臨むように、換言すると、回転軸体2の一方の端面に臨むように配置された磁気結合手段3bは、例えば3個の電磁石10から構成される。この3個の電磁石からなる磁気結合手段3bは前記磁気結合手段3aと同じ構成を有する。ただし、3個の電磁石10における3個のコア11の環状に配置された6個の両端面に囲まれるようにしてギャップセンサー13が配置されている。このギャップセンサー13は、回転軸体2の端面に配置された永久磁石8bとコア11の端面とのギャップを検出し、ギャップの大きさを示す検出信号を出力する。この検出信号は、ギャップコントローラ(図示せず。)に出力され、ギャップコントローラより出力される操作信号により磁気結合手段3bの磁界が調整され、回転軸体2の端面と磁気結合手段3bの端面との間隔が調整される。
【0018】
磁気結合手段3aにおけるコイル12には三相アンプ(図示せず。)が結合される。三相アンプから磁気結合手段3aにおける三個のコイルそれぞれに三相交流における各相が通電され、三相交流の周期の増減により回転磁界における回転数が決定される。
【0019】
一方、他方の磁気結合手段3bにおけるコイル12には三相アンプ(図示せず。)が結合されると共に、ギャップセンサー13から出力されるところの、回転軸体の端面とコアの端面との間隙についての検出信号を入力するギャップコントローラから出力される操作信号により三相アンプから出力される三相交流が制御される。つまり、この三相交流によりこの磁気結合手段3bにより回転磁界が発生すると共に、コア11と回転軸体2とのギャップが制御される。したがって、磁気結合手段3a及び磁気結合手段3bにより回転磁界を発生させ、この回転磁界と永久磁石8a,8bとの磁気結合により回転軸体2を回転させる。そして、磁気結合手段3aによるコア11により永久磁石8aを吸引させる一方、磁気結合手段3bによるコア11により永久磁石8bを吸引する。その結果、回転軸体2は、その軸線方向の両側から磁気結合手段3a,3bにより吸引されるので、回転軸体2は磁気結合手段3a及び磁気結合手段3bに対する非接触状態を維持して回転可能になる。また、磁気結合手段3bと回転軸体2の相対向面とのギャップが増減すると、ギャップセンサー13により前記ギャップが検出されギャップが一定に成るように操作信号が三相コイルに出力される。
【0020】
回転角度については、コアの端面近傍に回転軸体における永久磁石の磁力を検出するためのホール素子を設け、又は、コアに発生する逆起電力を検出するセンサーを設けるかすることにより、位相検知を行うことができる。
【0021】
なお、図1において、15で示すのは、ケーシング4内に流体を導入する導入管であり、16で示すのは、ケーシング4内を流通する流体を導出する導出管であり、17で示すのは、前記導入管15を通じてケーシング4内に流入する流体の流れを案内する案内羽根であり、18で示すのは、ディフューザである。
【0022】
次に上記構成の動圧軸受け付き磁気浮上ポンプは、次のように作用する。
【0023】
図示しない三相アンプから二基の磁気結合手段3a,3bのコイル12に三相交流を通電する。三相交流の通電により二基の磁気結合手段3a,3bに回転磁界が発生する。磁気結合手段3a,3bと回転軸体2における永久磁石8a,8bとが磁気的に結合しているので、発生する回転磁界により回転軸体2が回転する。このとき、一方の磁気結合手段3aにより回転軸体2の一方の端面が磁気的に吸引され、また他方の磁気結合手段3bにより回転軸体2の他方の端面が磁気的に吸引される。その結果、回転軸体2は、二基の磁気結合手段3a,3bにおけるコア11に対して非接触状態を維持しつつ回転する。
【0024】
回転軸体2の回転により軸流羽根5が回転し、これによって、導入管15からケーシング4内に導入され案内羽根17で案内された流体が導出管16へと流通する。ケーシング4内を流通する流体の一部は、ケーシング4の内壁と動圧軸受け7の外周面との間隙を通過する。その際、図2に示されるように、溝7bに侵入する流体により動圧が発生し、円筒体7aの外周面とケーシング4の内壁面とが所定の間隙に保持される。
【0025】
前記二基の磁気結合手段3a,3bと回転軸体2における永久磁石8a,8bとの磁気的結合により回転軸体2は二基の磁気結合手段3a,3bとは非接触状態を維持し、また回転軸体2の回転に際してケーシング4の内周面に対しても非接触状態が維持されるのであるが、前記動圧軸受け7の作用により回転軸体2の回転中心が回転軸体2の軸線に一致するように回転軸体2が回転することとなり、回転のブレがなくなり、円滑な回転が実現される。
【0026】
上記構成の動圧軸受け付き磁気浮上ポンプによると、一対の磁気結合手段と回転軸体における永久磁石との磁気結合により、回転軸体が非接触状態つまり磁気浮上状態を維持しつつ高速回転可能であり、動圧軸受けが装備されていることにより回転軸体の回転が回転軸体の中心軸を中心にして回転することとなり、ブレのない円滑な回転が実現される。この動圧軸受け付き磁気浮上ポンプを人工心臓用ポンプとして使用すると、回転軸体が非接触状態で回転することにより、溶血や血液の凝集を防止した円滑な血流を実現することができる。しかも、この動圧軸受け付き磁気浮上ポンプは、回転軸体を回転子としてその外側にコイルを倦回してなる固定子を配置すると言った構成を採用することがなく、また、回転軸体を回転させる駆動源としてモータ及びその回転軸の動力を伝達するワイヤー等からなる装備を必要としないので、それだけ小型のポンプに形成することができる。したがって、この動圧軸受け付き磁気浮上ポンプを埋め込み型の人工心臓用ポンプとして好適に採用することもできる。
【0027】
以上、この発明に係る動圧軸受け付き磁気浮上ポンプの一実施例について説明したが、この発明は前記実施例に限定されるものではないことは、言うまでもなく、この発明の要旨の範囲内で様々の設計変更を行うことができる。
【0028】
例えば、図2に示される動圧軸受けの代わりに図4に示す動圧軸受けを有する回転軸体を採用してなる動圧軸受け付き磁気浮上ポンプを例示することができる。
【0029】
図4に示される回転軸体2は、軸体本体の両端面近傍に動圧軸受け7を設ける代わりに、軸体本体の外周面中央部を覆蓋する円筒体7cとこの円筒体7cを軸体本体の外周面に対して支持する支持部(図示せず。)と前記円筒体7cの外周面に形成された溝7bとを有する動圧軸受け7を有する外は、前記図2に示される回転軸体2と同じ構成を有する。
【0030】
図2に示される回転軸体2は、軸体本体の両端部近傍それぞれに動圧軸受け7を設けているので、回転軸体2における軸の傾きを抑制することができ、この制御を容易に行うことができると言った利点があり、図4に示される回転軸体2は、軸体本体の外周面中央部に外周面を囲繞するように動圧軸受け7を備えているので、回転軸体自体の軸長を短くすることができ、しかも軸流羽根部分で流体が流入及び流出するに際して動圧軸受けが外乱の原因になることがないと言った利点がある。
【0031】
図5に、この発明に係る動圧軸受け付き磁気浮上ポンプの他の例を示す。
【0032】
図5に示す動圧軸受け付き磁気浮上ポンプ1aにおける回転軸体2は、その一方の端面に少なくとも2個の永久磁石8aを備え、回転軸体2の他方の端面に少なくとも1個の永久磁石8bを備える。
【0033】
回転軸体2における永久磁石8aを有する端面に臨んで磁気結合手段3Aが配置される。この磁気結合手段3Aは、図1に示される磁気結合手段3aと同様に、コア11及びコイル12を備えた3組の電磁石10を備え、コア11の6個の端面が軸線方向から見て環状に配置される。コア11の6個の端面は、回転軸体2の端面に配置された少なくとも2個の永久磁石8aに臨むように配置される。コイル12には、図示しない三相アンプが接続され、この三相アンプから3組のコイルに三相交流を通電することにより、回転磁界が発生するように成っている。
【0034】
また、前記コア11における環状に配置された6個の端面に囲まれてギャップセンサー(図示せず。)が、回転軸体2の端面に臨んで配置されている。このギャップセンサーは、前記コア11における環状配置の端面と回転軸体の端面とのギャップの大きさを測定し、ギャップの大きさに対応する検出信号を、ギャップコントローラ(図示せず。)に出力する。ギャップコントローラは、前記三相アンプに操作信号を出力して、ギャップが常に一定に保持されるようにする。
【0035】
回転軸体2の他方の面に臨んで配置される磁気結合手段3Bは、永久磁石3Cを含んで形成される。
【0036】
二つの磁気結合手段3A,3Bにより回転軸体2は相互に吸引され、磁気結合手段3Aにより回転磁界を与えられるので、回転軸体2は二つの磁気結合手段3A,3Bに対して非接触状態で回転する。回転軸体2の回転により、図1に示す動圧軸受け付き磁気浮上ポンプ1と同様に、導入管15からケーシング4内に導入された流体が導出管16へと流通することができるようになる。回転軸体2が軸線方向に移動して回転軸体2の端面と磁気結合手段3Aにおけるコア11の端面とのギャップが増減すると、ギャップセンサーがそのギャップの増減を検知し、ギャップコントローラにより三相アンプから出力される三相交流電流量が増減し、前記ギャップが適正に維持される。
【0037】
なお、この図5に示される動圧軸受け付き磁気浮上ポンプ1aにおける動圧軸受け7は、図1に示される動圧軸受けと同様の作用を発揮する。
【0038】
図6にこの発明の他の例である動圧軸受け付き磁気浮上ポンプを示す。
【0039】
図6に示す動圧軸受け付き磁気浮上ポンプ1bが図5に示す動圧軸受け付き磁気浮上ポンプ1aと相違するところは、磁気結合手段3Dである。すなわち、この磁気結合手段3Dは、内部に電磁石3Eが装備され、電磁石3Eにおける鉄心3Fの端面が、回転軸体2における永久磁石8bの磁極と磁気的に結合する。つまり、永久磁石8bがN極であると電磁石3Eにおける鉄心3Fの端面がS極となる。これによって、電磁石3Eにおけるコイル3Gに通電すると鉄心3Fの端面のS極と永久磁石8BにおけるN極とが吸引しあう。このとき、磁気結合手段3Aにより回転軸体2が磁気結合により磁気結合手段3A側に吸引される。したがって、この例においても、回転軸体2が、磁気結合手段3A及び磁気結合手段3Dにより非接触状態に維持され、磁気結合手段3Aによる回転磁界により回転する。なお、図6において、3Hは、電磁石3Eにおけるコイル3Gに通電する電線を示す。
【0040】
この発明の動圧軸受け付き磁気浮上ポンプのさらに他の例として、図5又は図6に示される動圧軸受け付き磁気浮上ポンプにおいて磁気結合手段3Aの代わりに、駆動源例えばモータの駆動力により回転する永久磁石を備えた磁気結合手段を有する動圧軸受け付き磁気浮上ポンプを挙げることができる。この永久磁石を備えた磁気結合手段においては、前記永久磁石が回転軸体における一方の端面に配置された永久磁石と磁気結合するように、回転軸体の端面に相対向して配置される。この動圧軸受け付き磁気浮上ポンプにおいては、磁気結合手段における駆動源を小型化すると動圧軸受け付き磁気浮上ポンプ自体を小型に形成することができる。
【0041】
図7にこの発明の他の例である動圧軸受け付き磁気浮上ポンプを示す。図8は、図7に示される動圧軸受け付き磁気浮上ポンプに装填されている回転軸体を示す外観説明図である。
【0042】
図7に示されるように、この動圧軸受け付き磁気浮上ポンプは、回転軸体2と、二つの磁気結合手段3a,3bとを備える。
【0043】
回転軸体2は、略円筒形の中央部と、その両側に円錐台形状に形成された端部とを有する軸体本体と、その軸体本体の中央部に設けられた軸流羽根5と、その軸流羽根の外側に形成された動圧軸受け7とを有する。回転軸体2の両端部がそれぞれ円錐台形状をなすのは、この動圧軸受け付き磁気浮上ポンプの軸長が短く設計されることにより導入管15と導出管16との間隔が短く成ったことによる。
【0044】
軸流羽根5は、図1に示される軸流羽根と同様である。軸流羽根5の外側には、図示しない支持体により、円筒体をなす動圧軸受け7が配置される。この動圧軸受け7においては、その円筒体の外周面に、図8に示されるように、「く」の字状の溝7bが刻設されている。
【0045】
回転軸体2の両端部には、図1に示される回転軸体と同様に、永久磁石8a,8bが取り付けられる。この永久磁石8a,8bは、図1に示される回転軸体と同様に、回転軸体の内部に設けられた鉄片9に磁気的に吸着されている。
【0046】
前記回転軸体2は、ケーシング4内に装填される。図1に示される動圧軸受け付き磁気浮上ポンプとは異なり、このケーシング4の前記回転軸体2を装填する内部に面する内周面には、案内羽根(ディフューザ)17が設けられる。
【0047】
その他の構造は、図1に示される動圧軸受け付き磁気浮上ポンプにおける構造と同様であるから、その詳細な説明を省略する。
【0048】
この図7及び図8に示される動圧軸受け付き磁気浮上ポンプにおいては、案内羽根17が回転軸体2の半径方向外側に設けられているので、動圧軸受け付き磁気浮上ポンプ全体の軸長を短くすることができ、動圧軸受け付き磁気浮上ポンプの小型化を更に達成することができている。
【0049】
【発明の効果】
この発明によると、回転軸体を非接触状態で回転させることができ、コンパクトな形状にまとめることのできる小型の動圧軸受け付き磁気浮上ポンプを提供することができる。また、この動圧軸受け付き磁気浮上ポンプは、軸方向における制御及び動圧軸受けにより回転子である回転軸体を磁気浮上させることができる。回転軸体に動圧軸受けを装着しているので、回転軸体を内装するケーシングの内壁に対してより一層確実に非接触状態を実現した回転軸体の回転を実現することができる。この発明によると、溶血、血液の凝集等の発生のおそれの小さな血液ポンプに好適な動圧軸受け付き磁気浮上ポンプを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1はこの発明に係る動圧軸受け付き磁気浮上ポンプの一例を示す断面図である。
【図2】図2は図1に示す動圧軸受け付き磁気浮上ポンプにおける回転軸体を示す平面図である。
【図3】図3は図1に示す動圧軸受け付き磁気浮上ポンプにおける磁気結合手段を示す説明図であり、軸線方向から見た図と軸線方向に直交する方向から見た図とを並列してある。
【図4】図4は回転軸体の変形例を示す平面図である。
【図5】図5はこの発明に係る他の例としての動圧軸受け付き磁気浮上ポンプを示す断面図である。
【図6】図6はこの発明に係るさらに他の例としての動圧軸受け付き磁気浮上ポンプを示す断面図である。
【図7】図7はこの発明に係るさらにその他の例としての動圧軸受け付き磁気浮上ポンプを示す断面図である。
【図8】図8は図7に示される動圧軸受け付き磁気浮上ポンプに装填されている回転軸体を示す外観説明図である。
【符号の説明】
1・・・動圧軸受け付き磁気浮上ポンプ、
1a・・・動圧軸受け付き磁気浮上ポンプ、
1b・・・動圧軸受け付き磁気浮上ポンプ、
2・・・回転軸体、
3a,3b・・・磁気結合手段、
3A・・・磁気結合手段、
3B・・・磁気結合手段、
3C・・・永久磁石、
3D・・・磁気結合手段、
3E・・・電磁石、
3F・・・鉄心、
3G・・・コイル、
3H・・・電線
4・・・ケーシング、
5・・・軸流羽根、
6・・・支持体、
7・・・動圧軸受け、
7a・・・円筒体、
7b・・・溝、
7c・・・円筒体、
7d・・・溝、
8a,8b・・・永久磁石、
9・・・鉄片、
10・・・電磁石、
11・・・コア、
12・・・コイル、
13・・・ギャップセンサー、
15・・・導入管、
16・・・導出管、
17・・・案内羽根、
18・・・ディフューザ

Claims (5)

  1. 周側面に軸流羽根及び動圧軸受けを備え、両端それぞれに永久磁石を有してなる回転軸体と、前記回転軸体の両端それぞれに臨むように配置された磁気結合手段とを備え、
    二つの前記磁気結合手段の少なくともいずれかの磁気結合手段は、中央部を曲成してなるコアを有する電磁石から構成され、
    二つの前記磁気結合手段の少なくともいずれかの磁気結合手段により前記回転軸体を回転させるとともに、二つの磁気結合手段の協同により前記回転軸体を浮上状態に維持して、回転する回転軸体により回転軸方向の一方から他方へと流体を流通させること
    を特徴とする動圧軸受け付き磁気浮上ポンプ。
  2. 前記二つの磁気結合手段は、前記回転軸体の一方の端部に臨んで配置されたところの、回転磁界を発生させる前記電磁石と、前記回転軸体の他方の端部に臨んで配置されたところの、前記回転軸体をその軸線方向において非接触状態に維持する電磁石又は永久磁石とである前記請求項1に記載の動圧軸受け付き磁気浮上ポンプ。
  3. 前記二つの磁気結合手段は、前記回転軸体の一方の端部に臨んで回転可能に配置され、マグネットカップリングにより前記回転軸体に回転力を与える回転駆動永久磁石と、前記回転軸体の他方の端部に臨んで配置されたところの、前記回転軸体をその軸線方向において非接触状態に維持する前記電磁石とである前記請求項1に記載の動圧軸受け付き磁気浮上ポンプ。
  4. 前記動圧軸受けが、前記回転軸体の半径方向の外側に設けられた円筒体の外表面に、流通する流体によって、その円筒形の外周面と回転軸体を収容するケースの内壁面との間に動圧を発生させる溝を形成してなる前記請求項1〜3のいずれか1項に記載の動圧軸受け付き磁気浮上ポンプ。
  5. 前記動圧軸受け付き磁気浮上ポンプが人工心臓ポンプ用である前記請求項1〜4のいずれか1項に記載の動圧軸受け付き磁気浮上ポンプ。
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