JP4105653B2 - ゴルフ道具用のポリ尿素及びポリウレタン組成物 - Google Patents

ゴルフ道具用のポリ尿素及びポリウレタン組成物 Download PDF

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Description

本出願は、2002年2月6日に出願された米国特許出願第10/066,637号(該出願は、1999年12月3日に出願され、現在米国特許第6,435,986号である米国特許出願第09/453,701号の継続出願である)の1部継続出願であり;さらにまた、2002年8月27日に出願され現在係属中の米国特許第10/228,311号(該出願は、1999年12月17日に出願され現在米国特許第6,476,176号である米国特許出願第09/466,434号の1部継続出願、および2001年9月13日に出願され現在係属中の米国特許出願第09/951,963号の1部継続出願である)の1部継続出願であり、また、2002年8月6日に出願された米国特許仮出願第60/401,047号の優先権を主張している。これらの出願の開示内容は、すべて参考として本明細書に組み込まれる。
本発明は、ポリ尿素組成物を含むゴルフ用具に関する。詳細には、本発明は、ポリ尿素プレポリマー、即ち、アミン末端化合物とイソシアネートから調製し、硬化剤で架橋させた組成物を含むゴルフ用具、および該ゴルフ用具の製造方法に関する。好ましくは、上記組成物の諸成分は、飽和されており、即ち、光安定組成物を調製するために、不飽和炭素-炭素結合または芳香族基を実質的に含まない。また、本発明は、耐水性ポリ尿素エラストマーによって形成したゴルフボール構成成分に関する。
ゴルフ用具、即ち、クラブおよびボール類は、種々の組成物から製造する。例えば、ゴルフボールカバーは、バラタおよびイオノマー樹脂のような種々の材料から形成されている。バラタは、天然または合成のトランス-ポリイソプレンゴムである。バラタ被覆ボールは、そのカバーの柔軟性によって、プレイヤーがボール方向と距離を、とりわけ短いショットにおいて、より正確にコントロールするのに十分なスピン速度を得るのを可能にするので、高熟練ゴルファーに好まれている。
しかしながら、バラタ被覆ボールは、容易に破損し、従って、アベレージゴルファーが必要とする耐久性に欠ける。従って、バラタ被覆ボールのそれに近いスピン速度と感触を有するボールを提供しなお且つ高耐久性と全体的距離を有するゴルフボールを提供する試みにおいて、別のカバー組成物が開発されてきている。
イオノマー樹脂は、かなりの程度、カバー材料としてバラタに置き換わってきている。化学的には、イオノマー樹脂は、米国特許第3,264,272号に開示されているように、オレフィンと金属イオンによって中和した10〜90%のカルボン酸基を有するα,β-エチレン系不飽和カルボン酸とのコポリマーである。商業的に入手可能なイオノマー樹脂としては、例えば、金属塩で中和したメタクリル酸またはアクリル酸とエチレンとのコポリマーがある。商業的に入手可能なイオノマー樹脂の例としては、限定するものではないが、DuPont de Nemours and Company社からのSURLYN(登録商標)、並びにExxon Corporation社からのESCOR(登録商標)およびIOTEK(登録商標)がある。これらのイオノマー樹脂は、金属イオンのタイプ、酸量および中和度によって区別される。
米国特許第3,454,280号、第3,819,768号、第4,323,247号、第4,526,375号、第4,884,814号および第4,911,451号は、いずれも、ゴルフボールカバーにおけるSURLYN(登録商標)タイプの組成物の使用に関する。しかしながら、これらの特許文献に記載されているようなSURLYN(登録商標)被覆ゴルフボールは、実質的に切断抵抗性のカバーを有するものの、スピンおよび感触は、バラタ被覆ボールに比較して劣っている。
ポリウレタンも、おおよそ1960年以来、ゴルフボールカバーに有用な材料として認識されている。米国特許第3,147,324号は、ポリウレタンカバーを有するゴルフボールの製造方法に関する。得られるゴルフボールは、耐久性であると同時にバラタボールの“感触”も維持している。
種々の企業がゴルフボールカバー材料としてのポリウレタンの有用性を研究している。米国特許第4,123,061号は、ポリオールまたはアミンタイプの硬化剤のいずれかによって硬化させる、ポリエーテルとジイソシアネートとから調製されるポリウレタンプレポリマーから製造したゴルフボールを教示している。米国特許第5,334,673号は、ゴルフボールカバー形成用の市場において入手し得る2つのカテゴリーのポリウレタン、即ち、熱硬化性および熱可塑性ポリウレタン、とりわけ、ポリウレタンプレポリマーおよび遅反応性アミン硬化剤、および/またはグリコールとの組成物から製造した熱硬化性ポリウレタン被覆ゴルフボールを開示している。
SURLYN(登録商標)被覆ゴルフボールと異なり、ポリウレタンゴルフボールカバーは、バラタ被覆ゴルフボールの軟質“感触”を有するように製造し得る。しかしながら、ポリウレタンから製造したゴルフボールカバーは、これまでのところ、ゴルフグラブによる衝撃後のゴルフボールの初期速度の関数であるゴルフボールカバーの弾力性と反発性に関してSURLYN(登録商標)ゴルフボールに十分に匹敵し得ていない。
さらにまた、そのようなゴルフボールのカバーを製造するのに使用するポリウレタン類は、芳香族成分、例えば、芳香族ジイソシアネート、ポリオールまたはポリアミンを一般に含有するので、光、とりわけ紫外線(UV)光への暴露時に変色を受けやすい。変色を遅らせるためには、光およびUV安定剤、例えば、TINUVIN(登録商標)770、765、および328をこれらの芳香族高分子材料に添加している。しかしながら、芳香族ポリウレタン類から形成されたカバーが変色しないことをさらに確実にするために、カバーを白色塗料で塗布し次いでクリアコートで被覆してゴルフボールの白色性を維持している。ゴルフボールのディンプル表面への均一な白着色コートの塗布は、ゴルフボールの製造に時間とコストを追加させる困難なプロセスである。
さらに、ポリエーテルポリオールから調製したポリウレタン類はポリエステルポリオールを使用して調製したポリウレタン類よりも耐湿性の点で安定であるけれども、ポリウレタン類は、水分の吸収によるその物性の変化に高度に感受性である。水分吸収を回避するために、製造業者は、コアとカバーの間に置いた水分バリヤー層の使用を試みている(例えば、米国特許第5,820,488号)。しかしながら、ゴルフボールコンポーネントを形成させるのに適する水分吸収に抵抗性のある材料が依然として求められている。
また、ポリ尿素もゴルフボールのカバー材料として提案されている。例えば、米国特許第5,484,870号は、各々が少なくとも2個の官能基を有する、有機イソシアネートと有機アミンの反応生成物を含むポリ尿素組成物を開示している。これらの2つの成分を混合すると直ぐに、ポリ尿素が形成され、従って、組成物の物理的性質を変化させる能力は制限される。ポリウレタン類と同様に、ポリ尿素類も、ゴルフボールカバーの弾力性または反発性または制動(damping)挙動に関してSURLYN(登録商標)ゴルフボールに完全には対抗し得ていない。
従って、ゴルフボールの全体的性能特性に悪影響を及ぼすことなしに、改良された弾力性、増大した切断、引掻きおよび磨耗抵抗性、耐湿性、並びに増強された接着性を付与する軟質成分を有するゴルフ用具が継続的に求められている。さらに、ゴルフボールコンポーネントおよび他のゴルフ関連用具の製造に適する、切断および引掻き抵抗性と改良された変色に対する抵抗性を組合せた組成物を提供することも有益である。
本発明は、一般に、ポリ尿素組成物から形成された部分を少なくとも有するゴルフ用具に関する。1つの実施態様においては、本発明は、ポリ尿素を含むワンピースゴルフボールに関する。もう1つの実施態様においては、本発明の組成物は、少なくとも1つのカバー層と1つのコアを含むツーピースおよび多コンポーネント、例えば、スリーピース、フォーピース等のゴルフボールにおいて使用し、少なくとも1つのカバー層が少なくとも1種のポリ尿素を含み、同様に、多コンポーネントゴルフボールが、2以上の層を有するコアおよび/またはカバーを含み、そのような層の少なくとも1つは少なくとも1種のポリ尿素から形成される。
例えば、本発明の1つの局面はコアとカバーを有するゴルフボールに関し、上記カバーは、イソシアネートと下記からなる群から選ばれたアミン末端化合物またはそれらの混合物を含む反応性生成組成物から形成される:
Figure 0004105653
(式中、n、x、yおよびzは、約1以上、好ましくは約1〜約20であり;Rは、約1〜約20個の炭素原子、好ましくは約1〜約12個の炭素原子を有するアルキル基、フェニル基、環状基、またはこれらの混合物であり;R1およびR2は、約1〜約20個の炭素原子、好ましくは約1〜約12個の炭素原子を有するアルキレン基、フェニレン基、環状基、またはこれらの混合物であり;R3は、水素、メチル基、またはこれらの混合物である)。
1つの実施態様においては、上記組成物は、下記の一般式を有する結合またはそれらの混合物を含む:
Figure 0004105653
(式中、xは、例えば、約1以上の鎖長であり;RおよびR1は、約1〜約20個の炭素を有する直鎖または枝分れ炭化水素鎖である)。
もう1つの実施態様においては、上記組成物は、下記の一般式を有する結合のみを含む:
Figure 0004105653
(式中、xは、例えば、約1以上の鎖長であり;RおよびR1は、約1〜約20個の炭素を有する直鎖または枝分れ炭化水素鎖である)。
上記組成物は、ヒドロキシ末端硬化剤、アミン末端硬化剤、およびこれらの混合物からなる群から選ばれた硬化剤をさらに含み得る。1つの実施態様においては、上記アミン末端硬化剤は第2級ジアミン硬化剤である。もう1つの実施態様においては、上記アミン末端硬化剤は、エチレンジアミン;ヘキサメチレンジアミン;1-メチル-2,6-シクロヘキシルジアミン;2,2,4-および2,4,4-トリメチル-1,6-ヘキサンジアミン;4,4'-ビス-(sec-ブチルアミノ)-ジシクロヘキシルメタン;N,N'-ジイソプロピル-イソホロンジアミン;1,4-ビス-(sec-ブチルアミノ)-シクロヘキサン;1,2-ビス-(sec-ブチルアミノ)-シクロヘキサン;4,4'-ビス-(sec-ブチルアミノ)-ジシクロヘキシルメタンの誘導体;4,4'-ジシクロヘキシルメタンジアミン;1,4-シクロヘキサン-ビス-(メチルアミン);1,3-シクロヘキサン-ビス-(メチルアミン);ジエチレングリコールビス-(アミノプロピル)エーテル;2-メチルペンタメチレン-ジアミン;ジアミノシクロヘキサン;ジエチレントリアミン;トリエチレンテトラミン;テトラエチレンペンタミン;プロピレンジアミン;1,3-ジアミノプロパン;ジメチルアミノプロピルアミン;ジエチルアミノプロピルアミン;イミド-ビス-(プロピルアミン);モノエタノールアミン;ジエタノールアミン;トリエタノールアミン;モノイソプロパノールアミン;ジイソプロパノールアミン;イソホロンジアミン;ポリオキシプロピレンジアミン;プロピレンオキサイド系トリアミン;3,3'-ジメチル-4,4'-ジアミノシクロヘキシルメタン;およびこれらの混合物からなる群から選ばれる。
上記カバーは、好ましくは紫外線光暴露の5日後に約12以下の黄色度指数差(ΔYI)を有する。さらに、上記カバーは、好ましくは、紫外線光暴露の5日後に約6以下のb色度範囲差を有する。
1つの実施態様においては、上記組成物は、少なくとも1種の密度調節用充填剤を含み得る。
また、本発明は、コア;該コアの周囲に置かれて内部ボールを形成する、少なくとも1種の熱可塑性または熱硬化性非イオノマー物質を含み得る層;および該内部ボール上のカバー注型物を含むゴルフボールにも関し、上記カバーは、少なくとも1種のイソシアネート、少なくとも1種のアミン末端化合物、並びにヒドロキシ末端硬化剤、アミン末端硬化剤またはこれらの混合物を含む少なくとも1種の硬化剤を含む光安定性ポリ尿素材料を含む。上記アミン末端化合物は、アミン末端炭化水素類、アミン末端ポリエーテル類、アミン末端ポリエステル類、アミン末端ポリカプロラクトン類、アミン末端ポリカーボネート類、アミン末端ポリアミド類、およびこれらの混合物からなる群から選ばれる。1つの実施態様においては、上記アミン末端化合物は、第1級アミン類、第2級アミン類、トリアミン類、またはこれらの組合せを含む。
もう1つの実施態様においては、上記カバーは、約0.02インチ〜約0.035インチ(約0.508mm〜約0.889mm)の厚さを有する。さらにもう1つの実施態様においては、上記層は、第1ショアD硬度を有し、上記カバーは第2ショアD硬度を有し、第1ショアD硬度に対する第2ショア硬度の比は約0.7以下である。さらにもう1つの実施態様においては、上記コアは、約1.55以上の直径を有する。
上記内部ボールは、耐湿性バリヤー層を含み得る。1つの実施態様においては、上記内部ボールは、表面処理される。
また、本発明は、コア、約60ショアD以上の硬度を有する中間層、および少なくとも1種のイソシアネートおよび少なくとも1種のアミン末端化合物を含むポリ尿素材料から形成されたカバーを含むゴルフボールにも関し、上記カバーは約30ショアD〜約ショア60の硬度を有し、上記ゴルフボールは約0.800以上のCORを有する。
上記アミン末端化合物は、アミン末端炭化水素類、アミン末端ポリエーテル類、アミン末端ポリエステル類、アミン末端ポリカプロラクトン類、アミン末端ポリカーボネート類、アミン末端ポリアミド類、およびこれらの混合物からなる群から選ばれる。さらに、上記ポリ尿素物質は、ヒドロキシ末端硬化剤、アミン末端硬化剤およびこれらの混合物からなる群から選ばれる硬化剤をさらに含み得る。
1つの実施態様においては、上記中間層の硬度に対する上記カバーの硬度の比は、約0.7以下である。もう1つの実施態様においては、上記カバーは、約0.2インチ〜約0.035インチ(約5.08mm〜約0.889mm)の厚さを有する。
さらにもう1つの実施態様においては、上記中間層は、イオノマー物質を含む。別の実施態様においては、上記中間層は、熱硬化性非イオノマー物質、熱可塑性非イオノマー物質、またはこれらの混合物を含む。
また、本発明は、少なくとも1つのカバーと少なくとも1つのコア層を含むゴルフボールにも関し、上記カバーは、ポリ尿素プレポリマー、即ち、イソシアネートとアミン末端化合物から調製した少なくとも1種のポリ尿素組成物を含み、硬化剤で硬化させた組成物から形成される。
さらに、本発明は、カバー、コアおよび該カバーと最外コア層との間に挿入された少なくとも1つの中間層を含むゴルフボールにも関し、上記中間層は、ポリ尿素プレポリマー、即ち、イソシアネートとアミン末端化合物を含み、硬化剤で硬化させた組成物から形成される。
さらにまた、本発明は、カバー、コア、および該カバーと該コアの間に挿入された少なくとも1つの中間層を含むゴルフボールにも関し、最外カバー層と少なくとも1つの中間層は、共に、ポリ尿素プレポリマー、即ち、イソシアネートとアミン末端化合物を含み、硬化剤で硬化させたポリ尿素組成物から形成される。
本発明のもう1つの実施態様においては、上記カバーは、好ましくは、約1〜約100質量%のポリ尿素を含み、該カバーの残余(存在する場合)は、当業者にとって公知の少なくとも1種の他のポリマーを含む。もう1つの実施態様においては、上記カバーは、好ましくは、約1〜約100質量%のポリ尿素を含み、該カバーの残余(存在する場合)は、当業者にとって公知であるような1種以上の相溶性の弾力性ポリマーを含む。
さらに、本発明は、ポリ尿素プレポリマーと硬化剤から調製した少なくとも1種のポリ尿素を含む組成物から形成させた少なくとも1つの光安定性カバー層を含むゴルフボールにも関する。1つの実施態様においては、上記ポリ尿素プレポリマーは、少なくとも1種のイソシアネートと少なくとも1種のアミン末端化合物を含む。
本発明のこの局面においては、上記イソシアネートは、飽和されており、エチレンジイソシアネート;プロピレン-1,2-ジイソシアネート;テトラメチレンジイソシアネート;テトラメチレン-1,4-ジイソシアネート;1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート;オクタメチレンジイソシアネート;デカメチレンジイソシアネート;2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート;2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート;ドデカン-1,12-ジイソシアネート;シクロブタン-1,3-ジイソシアネート;シクロヘキサン-1,2-ジイソシアネート;シクロヘキサン-1,3-ジイソシアネート;シクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート;メチルシクロヘキシレンジイソシアネート;2,4-メチルシクロヘキサンジイソシアネート;2,6-メチルシクロヘキサンジイソシアネート;4,4'-ジシクロヘキシルジイソシアネート;2,4'-ジシクロヘキシルジイソシアネート;1,3,5-シクロヘキサントリイソシアネート;イソシアネートメチルシクロヘキサンイソシアネート;1-イソシアネート-3,3,5-トリメチル-5-イソシアネートメチルシクロヘキサン;イソシアネートエチルシクロヘキサンイソシアネート;ビス(イソシアネートメチル)-シクロヘキサンジイソシアネート;4,4'-ビス(イソシアネートメチル)ジシクロヘキサン;2,4'-ビス(イソシアネートメチル)ジシクロヘキサン;イソホロンジイソシアネート;HDIのトリイソシアネート;2,2,4-トリメチル-1,6-ヘキサンジイソシアネートのトリイソシアネート;ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート;4,4'-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート; 2,4-ヘキサヒドロトルエンジイソシアネート;2,6-ヘキサヒドロトルエンジイソシアネート;およびこれらの混合物からなる群から選ばれる。飽和ジイソシアネートは、好ましくは、イソホロンジイソシアネート、4,4'-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、またはこれらの組合せからなる群から選ばれる。
もう1つの実施態様においては、上記イソシアネートは、メタ-テトラメチルキシレンジイソシアネート;パラ-テトラメチルキシレンジイソシアネート;ポリイソシアネートの三量体化イソシアヌレート;ポリイソシアネートの二量体化ウレトジオン(uretdione);変性ポリイソシアネート;およびこれらの混合物からなる群から選ばれる芳香族脂肪族イソシアネートである。
上記アミン末端化合物は、ポリテトラメチレンエーテルジアミン、ポリオキシプロピレンジアミン類、ポリ(エチレンオキサイドキャップ化オキシプロピレン)エーテルジアミン類、トリエチレングリコールジアミン類、プロピレンオキサイド系トリアミン類、トリメチロールプロパン系トリアミン類、グリセリン系トリアミン類、およびこれらの混合物からなる群から選ばれたポリエーテルアミンであり得る。1つの実施態様においては、上記ポリエーテルアミンは、約1000〜約3000の分子量を有する。
上記硬化剤は、ヒドロキシ末端硬化剤、アミン末端硬化剤、およびこれらの混合物からなる群から選択し得る。1つの実施態様においては、上記ヒドロキシ末端硬化剤は、エチレングリコール;ジエチレングリコール;ポリエチレングリコール;プロピレングリコール;2-メチル-1,3-プロパンジオール;2-メチル-1,4-ブタンジオール;ジプロピレングリコール;ポリプロピレングリコール;1,2-ブタンジオール;1,3-ブタンジオール;1,4-ブタンジオール;2,3-ブタンジオール;2,3-ジメチル-2,3-ブタンジオール;トリメチロールプロパン;シクロヘキシルジメチロール;トリイソプロパノールアミン;N,N,N',N'-テトラ-(2-ヒドロキシプロピル)-エチレンジアミン;ジエチレングリコールビス-(アミノプロピル)エーテル;1,5-ペンタンジオール;1,6-ヘキサンジオール;1,3-ビス-(2-ヒドロキシエトキシ)シクロヘキサン;1,4-シクロヘキシルジメチロール;1,3-ビス-[2-(2-ヒドロキシエトキシ)エトキシ]シクロヘキサン;1,3-ビス-{2-[2-(2-ヒドロキシエトキシ)エトキシ]エトキシ}シクロヘキサン;トリメチロールプロパン;好ましくは約250〜約3900の分子量を有するポリテトラメチレンエーテルグリコール;およびこれらの混合物からなる群から選ばれる。
上記アミン末端硬化剤は、エチレンジアミン;ヘキサメチレンジアミン;1-メチル-2,6-シクロヘキシルジアミン;2,2,4-および2,4,4-トリメチル-1,6-ヘキサンジアミン;4,4'-ビス-(sec-ブチルアミノ)-ジシクロヘキシルメタン;1,4-ビス-(sec-ブチルアミノ)-シクロヘキサン;1,2-ビス-(sec-ブチルアミノ)-シクロヘキサン;4,4'-ビス-(sec-ブチルアミノ)-ジシクロヘキシルメタンの誘導体;4,4'-ジシクロヘキシルメタンジアミン;1,4-シクロヘキサン-ビス-(メチルアミン);1,3-シクロヘキサン-ビス-(メチルアミン);ジエチレングリコールビス-(アミノプロピル)エーテル;2-メチルペンタメチレン-ジアミン;ジアミノシクロヘキサン;ジエチレントリアミン;トリエチレンテトラミン;テトラエチレンペンタミン;プロピレンジアミン;1,3-ジアミノプロパン;ジメチルアミノプロピルアミン;ジエチルアミノプロピルアミン;イミド-(ビス-プロピルアミン);モノエタノールアミン;ジエタノールアミン;トリエタノールアミン;モノイソプロパノールアミン;ジイソプロパノールアミン;イソホロンジアミン;およびこれらの混合物からなる群から選択し得る。
1つの実施態様においては、上記組成物は、ビスマス触媒、オクタン酸亜鉛、ビス-ブチル錫ジラウレート、ビス-ブチル錫ジアセテート、塩化錫(II)、塩化錫(IV)、ビス-ブチル錫ジメトキシド、ジメチル-ビス[1-オクソンデシル]オキシ]スタナン、ジ-n-オクチル錫ビス-イソオクチルメルカプトアセテート、トリエチレンジアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、オレイン酸、酢酸、遅延型触媒、およびこれらの混合物からなる群から選ばれた触媒をさらに含む。触媒は、組成物の約0.005質量%〜約1質量%で存在し得る。
もう1つの実施態様においては、上記カバー層は、紫外線光暴露5日後において約12以下の黄色度指数差(ΔYI)を有する。さらにもう1つの実施態様においては、上記カバー層は、紫外線光暴露5日後において約6以下のb*範囲の差を有する。
本発明のこの局面においては、上記カバー層は、注型、射出成型、圧縮成型、反応射出成型、およびこれらの混合方法、並びに当業者にとって公知の他のポリマープロセスによって形成させ得る。
また、本発明は、コア、該コアの周囲に置かれて中心を形成する層、および該中心上のカバー注型物を含むゴルフボールにも関し、上記カバーは、少なくとも1種のイソシアネートおよびアミン末端化合物、並びに少なくとも1種のヒドロキシ末端硬化剤、アミン末端硬化剤、またはこれらの混合物を含む光安定性ポリ尿素物質を含む。
1つの実施態様においては、上記層は、イオノマー類、ポリアミド類、高中和ポリマー類、ポリエステル類、ポリカーボネート類、ポリイミド類、ポリオレフィン類、酸コポリマー類、ポリウレタン類、ビニル樹脂類、アクリル樹脂類、ポリフェニレンオキサイド樹脂類、メタロセン触媒添加ポリマー類、およびこれらの混合物を含む。もう1つの実施態様においては、上記層は、水分バリヤー層である。
さらにもう1つの実施態様においては、上記カバーは、約0.02インチ〜約0.035インチ(約0.508mm〜約0.889mm)の厚さを有する。さらに、上記層は第1ショアD硬度を有し、上記カバーは第2ショアD硬度を有し、第1ショアD硬度に対する第2ショアD硬度の比は約0.7以下である。
上記コアは、ポリブタジエンを含み得、約1.55以上の直径を有し得る。1つの実施態様においては、上記コアは、シス-・トランス-変換触媒、弾力性ポリマー成分、およびフリーラジカル源を含む。シス-・トランス-変換触媒としては、好ましくは金属塩を含む有機イオウ成分、第VIA族成分、無機スルフィド成分、芳香族有機化合物、またはこれらの混合物があり得る。
1つの実施態様においては、上記コア、上記層、上記カバー、またはこれらの組合せの少なくとも1つは、密度調節用充填剤を含む。
また、本発明は、ゴルフボール中心を製造し;ポリ尿素プレポリマーと少なくとも1種の硬化剤を混合して注型可能な反応性ポリ尿素液体材料を調製し;モールドの第1半分の群を第1量の上記材料で満たし;上記中心を第1の所定時間後に上記モールドの第1半分の群中に下げ、上記中心を第2の所定時間真空により維持し、第2所定時間は上記第1量の材料の完全発熱反応に十分であり;上記中心を真空から解放して部分被覆中心を得;モールドの第2半分の群を第2量の上記材料で満たし、上記第1および第2量は実質的に同じであり、第2量の発熱反応が開始し;上記モールドの第2半分の群を上記部分被覆中心と合体させ、第2量の発熱反応が終了する各工程を含むゴルフボールの成形方法にも関する。
1つの実施態様においては、上記第1の所定時間は、約40秒〜約100秒である。もう1つの実施態様においては、上記第2の所定時間は、約4秒〜約12秒である。
上記ポリ尿素プレポリマーは、少なくとも1種のイソシアネートと少なくとも1種のアミン末端化合物を含み得る。1つの実施態様においては、ポリ尿素プレポリマーと少なくとも1種の硬化剤を混合する工程は、少なくとも1種のトリオールまたは少なくとも1種のテトラオール、またはこれらの混合物を混合することをさらに含む。もう1つの実施態様においては、ポリ尿素プレポリマーと少なくとも1種の硬化剤を混合する工程は、少なくとも1種の触媒、少なくとも1種の光安定剤、少なくとも1種の脱発泡剤、少なくとも1種の酸官能化成分、またはこれらの組合せを混合することをさらに含む。
さらにもう1つの実施態様においては、ゴルフボール中心を製造する工程は、ゴルフボールコアを製造し、該ゴルフボールコアの周囲に位置させた層を形成させる各工程を含む。さらにもう1つの実施態様においては、上記ゴルフボールコアは、ポリブタジエン反応生成物を含み、該コアは約1.55インチ(約3.937cm)以上の直径を有し、上記層は約0.02インチ〜約0.035インチ(約0.508mm〜約0.889mm)の厚さを有する。
また、本発明は、耐水性ポリ尿素またはポリウレタンエラストマーから形成された少なくとも1つの層を含むゴルフボールにも関する。とりわけ、本発明のこの局面は、少なくとも1つの層を有するゴルフボールに関し、そのような層(1層以上)は、耐水性ポリ尿素またはポリウレタンから形成される。1つの実施態様においては、ワンピースゴルフボールが耐水性エラストマーから形成される。他の実施態様においては、少なくとも1部が本発明の耐水性エラストマーを含む多層ボールが形成される。本発明のこの局面においては、上記中間層、カバー層(1層以上)、および/またはコアは、全体としてまたは部分的に上記耐水性エラストマー組成物によって形成され得る。
本発明の耐水性ポリウレタンエラストマーは、少なくとも1種のイソシアネート、少なくとも1種のポリオールおよび少なくとも1種の硬化剤の反応生成物であり、上記ポリオールおよび/または硬化剤は疎水性主鎖をベースとする。上記耐水性ポリ尿素エラストマーは、少なくとも1種のイソシアネートと少なくとも1種のアミン末端ポリオールとの反応生成物であり、該アミン末端ポリオールおよび/または上記硬化剤は疎水性主鎖をベースとする。
本発明の耐水性エラストマーは、ゴルフボールの任意の1部、ゴルフクラブの1部、靴、またはバック類の製造において使用し得る。ゴルフボールにおいて使用する場合、上記耐水性エラストマーは、好ましくは、層組成物の約1〜約100質量%で層組成物中に含ませる。
1つの実施態様においては、本発明のゴルフボールは、コアとカバーを含み、該ゴルフボールの少なくとも1部は、イソシアネート、疎水性主鎖を含むアミン末端化合物、および硬化剤を含む耐水性ポリ尿素組成物から形成される。上記アミン末端化合物は、不飽和アミン末端炭化水素、飽和アミン末端炭化水素、またはこれらの混合物の少なくとも1種を含み得る。さらに、上記硬化剤は、ヒドロキシ末端硬化剤、アミン末端硬化剤、およびこれらの混合物からなる群から選択し得る。もう1つの実施態様においては、上記硬化剤は、第1級ジアミン硬化剤、第2級ジアミン硬化剤、トリアミン類、およびこれらの組合せからなる群から選ばれ、好ましくは第2級ジアミン硬化剤である。本発明のこの局面においては、上記ゴルフボールは、好ましくは、72°F (22.2℃)で100%湿度中での7週間保存後に約0.15グラム以下の質量増加を有する。1つの実施態様においては、上記ゴルフボールは、72°F (22.2℃)で100%湿度中での7週間保存後に約0.09グラム以下の質量増加を有する。上記耐水性ポリ尿素組成物は、少なくとも1種の密度調節用充填剤も含み得る。さらに、1つの実施態様においては、上記耐水性ポリ尿素組成物は、尿素結合のみからなる。
本発明のこの局面の第2の実施態様においては、ゴルフボールは、約1.55以上の直径を有するコア、該コアの周囲に置かれて中心を形成する中間層、および該中心の周囲に置かれた約0.02インチ〜約0.035インチ(約0.508mm〜約0.889mm)の厚さを有するカバーを含み、該カバーは、疎水性主鎖を含む少なくとも1種のアミン末端化合物と少なくとも1種のイソシアネートとを含む耐水性ポリ尿素材料を含む。この実施態様においては、上記ゴルフボールは、好ましくは、72°F (22.2℃)で100%湿度中での7週間保存後に約0.05グラム以下の質量増加を有する。
1つの実施態様においては、上記アミン末端化合物は、少なくとも1種のアミン末端炭化水素を含む。もう1つの実施態様においては、上記カバーは第1の硬度を有し、上記中間層は第1硬度よりも大きい第2硬度を有する。例えば、第1硬度は約40ショアD〜約55ショアDであり得、第2硬度は約60ショアD以上であり得る。また、コアは、第一層および第2層を含み得る。1つの実施態様においては、コア硬度は、約60ショアD以下である。
本発明のこの局面の第3の実施態様においては、ゴルフボールは、少なくとも1つの疎水性主鎖を有する少なくとも1種のアミン末端化合物を含む耐水性ポリ尿素組成物を含み得、上記ゴルフボールは、72°F (22.2℃)で100%湿度中での7週間保存後に約0.15グラム以下の質量増加と約0.001インチ(約25.4ミクロン)以下のサイズ増加を有する。1つの実施態様においては、上記耐水性ポリ尿素組成物は、イソシアネートと硬化剤をさらに含む。もう1つの実施態様においては、上記硬化剤は、エチレンジアミン;ヘキサメチレンジアミン;1-メチル-2,6-シクロヘキシルジアミン;2,2,4-および2,4,4-トリメチル-1,6-ヘキサンジアミン;4,4'-ビス-(sec-ブチルアミノ)-ジシクロヘキシルメタンおよびその誘導体;1,4-ビス-(sec-ブチルアミノ)-シクロヘキサン;1,2-ビス-(sec-ブチルアミノ)-シクロヘキサン;4,4'-ジシクロヘキシルメタンジアミン;1,4-シクロヘキサン-ビス-(メチルアミン);1,3-シクロヘキサン-ビス-(メチルアミン);ジエチレングリコールビス-(アミノプロピル)エーテル;2-メチルペンタメチレン-ジアミン;ジアミノシクロヘキサン;ジエチレントリアミン;トリエチレンテトラミン;テトラエチレンペンタミン;プロピレンジアミン;1,3-ジアミノプロパン;ジメチルアミノプロピルアミン;ジエチルアミノプロピルアミン;イミド-ビス-(プロピルアミン);モノエタノールアミン;ジエタノールアミン;トリエタノールアミン;モノイソプロパノールアミン;ジイソプロパノールアミン;イソホロンジアミン;4,4'-メチレンビス-(2-クロロアニリン);3,5;ジメチルチオ-2,4-トルエンジアミン;3,5;ジメチルチオ-2,6-トルエンジアミン;3,5;ジエチルチオ-2,4-トルエンジアミン;3,5;ジエチルチオ-2,6-トルエンジアミン;4,4'-ビス-(sec-ブチルアミノ)-ジフェニルメタンおよびその誘導体;1,4-ビス-(sec-ブチルアミノ)-ベンゼン;1,2-ビス-(sec-ブチルアミノ)-ベンゼン;N,N'-ジアルキルアミノ-ジフェニルメタン;トリメチレングリコール-ジ-p-アミノベンゾエート;ポリテトラメチレンオキサイド-ジ-p-アミノベンゾエート;4,4'-メチレンビス-(3-クロロ-2,6-ジエチレンアニリン);4,4'-メチレンビス-(2,6-ジエチルアニリン);メタ-フェニレンジアミン;パラフェニレンジアミン;シクロヘキシルジメトール;N,N'-ジイソプロピル-イソホロンジアミン;ポリオキシプロピレンジアミン;プロピレンオキサイド系トリアミン;3,3'-ジメチル-4,4'-ジアミノシクロヘキシルメタン;およびこれらの混合物からなる群から選ばれる。本発明のこの局面においては、上記ゴルフボールは、ポリブタジエンコアを有し得る。
また、本発明のゴルフボールは、少なくとも1つのカバーと少なくとも1つのコア層を有するように形成させ得、少なくとも1種の耐水性ポリウレタンエラストマーを上記ゴルフボールのカバーに含ませる。もう1つの実施態様においては、上記ゴルフボールは、カバー、コア、および該カバーと最外コア層の間に挿入した少なくとも1つの中間層を有し、該中間層は、少なくとも1種の耐水性ポリウレタンエラストマーを含む組成物から形成される。さらにもう1つの実施態様においては、上記ゴルフボールは、カバー、コア、および該カバーと該コア層の間に挿入した少なくとも1つの中間層を有し、最外カバー層と少なくとも1つの中間層は、共に、少なくとも1種の耐水性ポリウレタンエラストマーを含む組成物から形成される。
本発明のゴルフボールを形成させるのに使用する耐水性ポリウレタンエラストマーは、米国特許第5,334,673号および第5,733,428号に記載された教示に従って調製し得、これらの米国特許の開示内容は、参考として全て本明細書に組み込まれる。
本発明のさらなる特徴および利点は、添付図面に沿ってなされる以下の詳細な説明から確認し得るであろう。
本発明は、ゴルフボールまたはゴルフクラブ等のようなゴルフ用具において使用する改良された光安定性で耐湿性の組成物を意図する。詳細には、本発明の組成物は、ポリ尿素系であり、各種ゴルフボール構築物、即ち、ワンピース、ツーピースまたは多層ボール、並びにゴルフクラブコンポーネント、例えば、クラブヘッド挿入物に含ませる。
本発明の光安定性組成物は、種々のゴルフ用具コンポーネント類、例えば、カバー類中に含ませた場合、光安定性ブレンドを含まないポリ尿素またはポリウレタン組成物を含むゴルフボールよりも良好かあるいはそれと同等の物理的および空気力学的特性を有するゴルフボールを形成する。
光安定性は、この応用の目的に対しての種々の方法において達成し得る。例えば、本発明の組成物は、飽和成分、即ち、不飽和炭素-炭素結合または芳香族基を実質的に含まない成分のみを含み得る。本明細書において使用する“飽和”なる用語は、飽和脂肪族および脂環式ポリマー主鎖を有する、即ち、炭素-炭素二重結合を含まない化合物を意味する。また、本発明の組成物は、芳香族成分を使用する場合、光安定性を改良するための光安定剤も使用し得るが、好ましくは飽和型である。これらの組成物は、本質的に熱可塑性または熱硬化性のいずれかである。
さらに、本発明の耐水性エラストマーのゴルフボールコンポーネントにおける使用は、その水分吸収に対する抵抗性に関して改良された安定性を示すゴルフボールをもたらす。通常のポリウレタンおよびポリ尿素エラストマーは、疎水性主鎖をベースとする本発明のエラストマーよりも水分を吸収し易い。即ち、本発明のゴルフボールの改良された性能特性は、広範囲の環境条件に亘って一貫した挙動を示すゴルフボールを提供することによって、ゴルファーに対する明確な利益を実証している。
ポリ尿素組成物
本発明の組成物は、ポリウレタン組成物とは明らかに異なるポリ尿素系であり得るが、ゴルフボールコンポーネントにおいて使用したときに望ましい空気力学的および審美的特性を与える。
通常の芳香族ポリウレタン/ウレタンエラストマーおよびポリウレタン/尿素エラストマーは、それぞれ、ジイソシアネートとポリオールとのプレポリマーを少なくとも1種のジオール硬化剤または少なくとも1種のジアミン硬化剤によって硬化させることによって一般に調製される。何ら特定の理論によって拘束するものではないが、現在のところ、ポリウレタンプレポリマー中の長鎖ポリオールセグメントを長鎖アミン末端化合物で置換してポリ尿素プレポリマーを調製することは、剪断、切断および弾性力、並びに他コンポーネントへの接着性を改良するものと信じられている。
即ち、本発明のポリ尿素組成物は、硬化剤で架橋させた、イソシアネートとアミン末端化合物とのプレポリマーの反応生成物から調製し得る。例えば、本発明のポリ尿素系組成物は、少なくとも1種のイソシアネート、少なくとも1種のアミン末端化合物、および少なくとも1種のジオール硬化剤または少なくとも1種のジアミン硬化剤から調製し得る。1つの実施態様においては、本発明のポリ尿素組成物は、少なくとも1種のイソシアネート、少なくとも1種のアミン末端化合物、および少なくとも1種のジアミン硬化剤から調製する。硬化剤は、好ましくは、第2級ジアミン硬化剤である。本発明のポリ尿素組成物の特定の構成成分を以下にさらに詳細に説明する。
ポリアミン成分
当業者に入手し得る任意のアミン末端化合物がポリ尿素プレポリマーにおける使用において適している。アミン末端化合物としては、アミン末端炭化水素類、アミン末端ポリエーテル類、アミン末端ポリエステル類、アミン末端ポリカーボネート類、アミン末端ポリカプロラクトン類、およびこれらの混合物があり得る。アミン末端セグメントは、第1級アミン(NH2)または第2級アミン(NHR)の形であり得る。
本発明において使用するアミン末端化合物の分子量は、約100〜約10,000の範囲であり得る。本明細書において使用するとき、1つ以上の数値または数値範囲に関連して使用する“約”なる用語は、範囲内のすべての数値を含むそのような数値のすべてを称するものと理解すべきである。1つの実施態様においては、アミン末端化合物は、約500以上、好ましくは約1000以上、より好ましくは約2000以上である。もう1つの実施態様においては、アミン末端化合物の分子量は、約8000以下、好ましくは約4,000以下、より好ましくは約3,000以下である。例えば、1つの実施態様においては、アミン末端化合物の分子量は、約1000〜約4000である。低分子量のポリエーテルアミンは固形ポリ尿素を生成する傾向を有し得るので、高分子量のオリゴマーを使用して固体形成を回避し得る。
1つの実施態様においては、アミン末端化合物としては、下記の一般構造を有するアミン末端炭化水素類がある:
Figure 0004105653
(式中、xは、鎖長、即ち、1以上であり;nは、好ましくは約1〜約12であり;Rは、約1〜約20個の炭素原子好ましくは約1〜約12個の炭素原子を有する任意のアルキル基、フェニル基、環状基、またはこれらの混合物である)。
また、アミン末端化合物としては、下記の一般構造を有するアミン末端ポリエーテル類もある:



Figure 0004105653
(式中、xは、鎖長、即ち、1以上であり;nは、好ましくは約1〜約12であり;Rは、約1〜約20個の炭素原子好ましくは約1〜約12個の炭素原子を有する任意のアルキル基、フェニル基、環状基、またはこれらの混合物である)。アミン末端ポリエーテルの1つの例は、ポリエーテルアミンである。本明細書において使用するとき、“ポリエーテルアミン”とは、ポリエーテル主鎖の末端に結合した第1級アミノ基を含有するポリオキシアルキレンアミンを称する。しかしながら、イソシアネートとアミンとの急速な反応および多くの尿素生成物の非溶解故に、ジアミン類とポリエーテルアミン類の選択は、ポリ尿素プレポリマーの成功裏の生成を可能にするものに限られている。1つの実施態様においては、ポリエーテル主鎖は、テトラメチレン、プロピレン、エチレン、トリメチロールプロパン、グリセリンおよびこれらの混合物をベースとする。
1つの実施態様においては、ポリエーテルアミンは、下記の一般構造を有する:
Figure 0004105653
(式中、繰返し単位xは、約1〜約70範囲の値を有し;Rは、約1〜約20個の炭素原子、好ましくは約1〜約12個の炭素原子を有する任意のアルキル基、フェニル基、環状基、またはこれらの混合物であり;R3は、水素、メチル基、またはこれらの混合物である)。より好ましくは、上記繰返し単位は、約5〜約50、さらにより好ましくは約12〜約35であり得る。
もう1つの実施態様においては、ポリエーテルアミンは、下記の一般構造を有する:





Figure 0004105653
(式中、繰返し単位xおよびzは、約3.6〜約8の合計値を有し;繰返し単位yは、約9〜約50範囲の値を有し;Rは、約1〜約20個の炭素を有するアルキル基、フェニル基、環状基、またはこれらの混合物であり;R1は、-(CH2)a- (“a”は約1〜約10範囲の繰返し単位であり得る)、フェニレン基、環状基、またはこれらの混合物であり;R3は、水素、メチル基、またはこれらの混合物である)。
さらにもう1つの実施態様においては、ポリエーテルアミンは、下記の一般構造を有する:
Figure 0004105653
(式中、Rは、約1〜約20個の炭素を有するアルキル基、フェニル基、環状基、またはこれらの混合物であり;R1は、-(CH2)a- (“a”は約1〜約10範囲の繰返し単位であり得る)、フェニレン基、環状基、またはこれらの混合物である)。
適切なポリエーテルアミン類としては、限定するものではないが、メチルジエタノールアミン;ポリテトラメチレンエーテルジアミン類、ポリオキシプロピレントリアミン、ポリオキシエチレンジアミン類、およびポリオキシプロピレンジアミン類のようなポリオキシアルキレンジアミン類;ポリ(エチレンオキサイドキャップ化オキシプロピレン)エーテルジアミン類;プロピレンオキサイド系トリアミン類;トリエチレングリコールジアミン類;トリメチロールプロパン系トリアミン類;グリセリン系トリアミン類;およびこれらの混合物がある。1つの実施態様においては、当該プレポリマーを調製するのに使用するポリエーテルアミンは、Jeffamine(登録商標)D2000 (テキサス州オースチンのHuntsman Corporation社製)である。
本発明において使用するポリエーテルアミンの分子量は、約100〜約5000の範囲であり得る。1つの実施態様においては、ポリエーテルアミンの分子量は、約200以上、好ましくは約230以上である。もう1つの実施態様においては、ポリエーテルアミンの分子量は、約4000以下である。さらにもう1つの実施態様においては、ポリエーテルアミンの分子量は、約600以上である。さらにもう1つの実施態様においては、ポリエーテルアミンの分子量は、約3000以下である。さらにもう1つの実施態様においては、ポリエーテルアミンの分子量は、約1000〜約4000、好ましくは約1000〜約4000、より好ましくは約1500〜約2500である。低分子量のポリエーテルアミン類はプレポリマー調製中に固形ポリ尿素を生成する傾向を有し得るので、Jeffamine(登録商標)D2000のような高分子量のオリゴマーが好ましい。
さらに、アミン末端化合物としては、下記の一般構造を有するアミン末端ポリエステル類がある:
Figure 0004105653
(式中、xは、鎖長、即ち、1以上、好ましくは約1〜約20であり;Rは、約1〜約20個の炭素原子好ましくは約1〜約12個の炭素原子を有する任意のアルキル基、フェニル基、環状基、またはこれらの混合物であり;R1およびR2は、直鎖または枝分れ炭化水素鎖、例えば、アルキルまたはアリール鎖である)。
また、ポリカプロラクトンとポリアミン類のコポリマーも、本発明のポリ尿素プレポリマーを調製するのに使用し得る。これらのコポリマーとしては、限定するものではないが、ビス(2-アミノエチル)エーテル開始型ポリカプロラクトン;2-(2-アミノエチルアミノ)エタノール、2-2(アミノエチルアミノ)エタノール;ポリオキシエチレンジアミン開始型ポリカプロラクトン;プロピレンジアミン開始型ポリカプロラクトン;ポリオキシプロピレンジアミン開始型ポリカプロラクトン;1,4-ブタンジアミン開始型ポリカプロラクトン;トリメチロールプロパン系トリアミン開始型ポリカプロラクトン;ネオペンチルジアミン開始型ポリカプロラクトン;ヘキサンジアミン開始型ポリカプロラクトン;ポリテトラメチレンエーテルジアミン開始型ポリカプロラクトン;およびこれらの混合物がある。さらに、下記の構造を有するポリカプロラクトンポリアミン類も、本発明のポリ尿素プレポリマーを調製するのに有用であり得る:












Figure 0004105653
(式中、xは、鎖長、即ち、1以上、好ましくは約1〜約20であり;Rは、約1〜約20個の炭素好ましくは約1〜約12個の炭素を有するアルキル基、フェニル基、または環状基の1つであり;R1は、約1〜約20個の炭素を含む直鎖または枝分れ炭化水素鎖である)。
Figure 0004105653
(式中、xは、鎖長、即ち、1以上、好ましくは約1〜約20であり;Rは、約1〜約20個の炭素、好ましくは約1〜約12個の炭素を有するアルキル基、フェニル基、または環状基の1つであり;R1は、約1〜約20個の炭素を含む直鎖または枝分れ炭化水素鎖である)。
もう1つの実施態様においては、アミン末端化合物は、下記の一般構造の1つを有するアミン末端ポリカーボネートであり得る:







Figure 0004105653
(式中、xは、好ましくは約1〜約20範囲の鎖長であり;Rは、約1〜約20個の炭素、好ましくは約1〜約12個の炭素を有するアルキル基、フェニル基、または環状基の1つであり;R1は、直鎖炭化水素鎖または主としてビスフェノールA単位もしくはその誘導体である)。
アミン末端ポリアミド類も、イソシアネート成分と反応させて本発明のポリ尿素プレポリマー成分を生成させ得る。適切なアミン末端ポリアミド類としては、限定するものではないが、下記の構造を有するものがある:
Figure 0004105653
(式中、xは、鎖長、即ち、約1以上であり;Rは、約1〜約20個の炭素好ましくは約1〜約12個の炭素を有するアルキル基、フェニル基、または環状基の1つであり;R1は、約1〜約12個の炭素原子を有するアルキル基、フェニル基、または環状基であり;R2は、約1〜約12個の炭素原子を有するアルキル基(直鎖または枝分れの)、フェニル基、または環状基である)。
また、本発明のポリ尿素プレポリマーを調製するのに有用であるさらなるアミン末端化合物としては、限定するものではないが、ポリ(アクリロニトリル-コ-ブタジエン);液状またはワックス状固体形のポリ(1,4-ブタンジオール)ビス(4-アミノベンゾエート);線状および枝分れポリエチレンイミン;約500〜約30,000の平均分子量を有する低および高分子量ポリエチレンイミン;約200〜約5,000の平均分子量を有するポリ(プロピレングリコール)ビス(2-アミノプロピルエーテル);約200〜約2000の平均分子量を有するポリテトラヒドロフランビス(3-アミノプロピル)末端化物;およびこれらの混合物があり、これらのすべては、ウィスコンシン州ミルウォーキーのAldrich社から入手し得る。
このように、1つの実施態様においては、本発明のポリ尿素組成物は、下記の構造の1つを有するポリ(アクリロニトリル-コ-ブタジエン)を含む:
Figure 0004105653
(式中、xおよびyは、鎖長、即ち、約1よりも大きく;Rは、約1〜約20個の炭素原子好ましくは約1〜約12個の炭素原子を有する任意のアルキル基、フェニル基、環状基、またはこれらの混合物であり;R1は、水素、メチル基、シアノ基、フェニル基、またはこれらの混合物であり;R2は、水素、メチル基、塩素またはこれらの混合物である)。1つの実施態様においては、y:x比は、約82:18〜約90:10である。換言すれば、上記ポリ(アクリロニトリル-コ-ブタジエン)は、約10〜約18質量%のアクリロニトリルを含み得る。
もう1つの実施態様においては、本発明のポリ尿素組成物は、下記の構造の1つを有するポリ(1,4-ブタンジオール)ビス(4-アミノベンゾエート)を含む:


















Figure 0004105653
(式中、xおよびnは、鎖長、即ち、1以上であり、nは好ましくは約1〜約12であり;RおよびR1は、線状または枝分れ炭化水素鎖、約1〜約20個の炭素好ましくは約1〜約12個の炭素を有するアルキル基、フェニル基、環状基、またはこれらの混合物であり;R2は、水素、メチル基、またはこれらの混合物である)。1つの実施態様においては、R1はフェニルであり、R2は水素であり、nは約2である。
さらにもう1つの実施態様においては、本発明のポリ尿素組成物は、下記の構造の1つを有する少なくとも1種の線状または枝分れのポリエチレンイミンを含む:





















Figure 0004105653
(式中、xおよびyは、鎖長、即ち、約1よりも大きく;Rは、約1〜約20個の炭素原子好ましくは約1〜約12個の炭素原子を有する任意のアルキル基、フェニル基、環状基、またはこれらの混合物であり;R1は、水素、メチル基、またはこれらの混合物である)。1つの実施態様においては、R1は水素である。もう1つの実施態様においては、上記ポリ尿素組成物は、線状および枝分れポリエチレンイミンの混合物を含む。
さらにもう1つの実施態様においては、本発明のポリ尿素組成物は、下記の構造の1つを有するポリテトラヒドロフランビス(3-アミノプロピル)末端化化合物を含む:
Figure 0004105653
(式中、mおよびnは、鎖長、即ち、1以上であり、nは、好ましくは約1〜約12であり、mは、好ましくは約1〜約6であり;Rは、約1〜約20個の炭素好ましくは約1〜約12個の炭素を有するアルキル基、フェニル基、環状基、またはこれらの混合物であり;R1およびR2は、水素、メチル基、またはこれらの混合物である)。1つの実施態様においては、R1およびR2は双方とも水素であり、mおよびnは双方とも約2である。
さらにジアミン類およびトリアミン類をイソシアネートと一緒に使用して本発明のポリ尿素プレポリマーを調製し得る。1つの実施態様においては、芳香族ジアミン類も、紫外線安定剤または白色化剤を後加工において混入させることを意図する場合には使用し得る。米国特許第5,484,870号は、本発明において使用するのに適する芳香族ジアミン類を提供しており、該米国特許の記載は、すべて参考として本明細書に組み込まれる。例えば、有用な芳香族ポリアミン類としては、ポリメチレン-ジ-p-アミノベンゾエート、ポリエチレングリコール-ビス(4-アミノベンゾエート)、ポリテトラメチレンエーテルグリコール-ジ-p-アミノベンゾエート、ポリプロピレングリコール-ジ-p-アミノベンゾエート、およびこれらの混合物がある。さらに、本発明のプレポリマーを調製するのに使用し得るトリアミン類としては、N,N,N',N'-テトラメチル-エチレンジアミン、1,4-ジアゾビシクロ(2,2,2)-オクタン、N-メチル-N'-ジメチルアミノエチルピペラジン、N,N-ジメチルベンジルアミン、ビス-(N,N-ジエチルアミノエチル)-アジペート、N,N-ジエチルベンジルアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N,N',N'-テトラメチル-1,3-ブタンジアミン、N,N-ジメチル-β-フェニルエチルアミン、1,2-ジメチルイミダゾール、および2-メチルイミダゾールがある。
疎水性セグメントをベースとするアミン末端化成分を使用することにより、本発明のポリ尿素組成物は、アミン末端化親水性セグメントによって調製したポリ尿素組成物よりも耐水性であり得る。即ち、1つの実施態様においては、上記アミン末端化合物は、疎水性主鎖、例えば、不飽和または飽和の炭化水素系アミン末端化合物を含む。アミン末端炭化水素の1つの例は、アミン末端化ポリブタジエンである。
また、上記アミン末端化合物は、本発明のポリウレタン組成物に関連して後述するようなさらなるポリオールと混合して、過剰のイソシアネートとの反応によりポリ尿素プレポリマーを生成するコポリマーを調製することもできる。しかしながら、ポリオールを使用すると直ぐに、ポリ尿素プレポリマー中の過剰のイソシアネートがポリオール中のヒドロキシル基と反応してウレタン結合を形成し、もはや純粋なポリ尿素でない組成物を生ずる(代りに、ポリ尿素/ウレタン組成物)。そのような組成物は、イソシアネート、アミン末端化合物、および硬化剤のみを含むポリ尿素組成物とは異なる。
イソシアネート成分
当業者に入手し得る任意のイソシアネートが本発明に従う使用に適している。本発明において使用するイソシアネート類としては、分子当り2個以上のイソシアネート(NCO)基を有する脂肪族、脂環式、芳香族脂肪族、芳香族化合物;これらの任意の誘導体;およびこれら化合物の組合せがある。本明細書において使用するとき、芳香族脂肪族化合物は、イソシアネート基が芳香環に直接結合していない芳香環を含有する化合物として理解すべきである。芳香族脂肪族化合物の1つの例としては、テトラメチレンジイソシアネート(TMXDI)である。
イソシアネート類は、有機ポリイソシアネート末端プレポリマー、低遊離イソシアネートプレポリマー、およびこれらの混合物であり得る。また、イソシアネート含有反応性成分としては、任意のイソシアネート官能性モノマー、ダイマー、トリマーもしくはこれらの高分子アダクト、プレポリマー、クワシ-プレポリマー、またはこれらの混合物もあり得る。イソシアネート官能性化合物としては、モノイソシアネート類または2個以上の任意のイソシアネート官能性を含むポリイソシアネート類があり得る。
適切なイソシアネート含有成分としては、一般構造:O=C=N-R-N=C=Oを有するジイソシアネート類があり、上記式中、Rは、好ましくは、約1〜約20個の炭素原子を含有する環状、芳香族、または線状もしくは枝分れの炭化水素成分である。イソシアネートは、1個以上の環状基または1個以上のフェニル基も含有し得る。複数の環状基または芳香族基が存在する場合、約1〜約10個の炭素原子を含有する線状および/または枝分れの炭化水素が環状基または芳香族基の間のスペーサーとして存在し得る。幾つかの場合、環状基または芳香族基は、それぞれ、2-、3-および/または4-位、またはオルソ-、メタ-および/またはパラ-位において置換し得る。置換基としては、限定するものではないが、ハロゲン類;第1級、第2級または第3級炭化水素基;またはこれらの混合物があり得る。
本発明において使用し得るイソシアネート類の例としては、限定するものではないが、2,2'-、2,4'-および4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)を含む置換および異性体混合物;3,3'-ジメチル-4,4'-ビフェニレンジイソシアネート(TODI);トルエンジイソシアネート(TDI);高分子MDI;カルボジイミド変性液体4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート;パラ-フェニレンジイソシアネート(PPDI);メタ-フェニレンジイソシアネート(MPDI);トリフェニルメタン-4,4'-およびトリフェニルメタン-4,4”-トリイソシアネート;ナフチレン-1,5-ジイソシアネート;2,4'-、4,4'-および2,2-ビフェニルジイソシアネート;ポリフェニレンポリメチレンポリイソシアネート(PMDI) (高分子PMDIとしても知られている);MDIとPMDIの混合物;PMDIとTDIの混合物;エチレンジイソシアネート;プロピレン-1,2-ジイソシアネート;テトラメチレン-1,2-ジイソシアネート;テトラメチレン-1,3 -ジイソシアネート;テトラメチレン-1,4-ジイソシアネート;1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI);オクタメチレンジイソシアネート;デカメチレンジイソシアネート;2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート;2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート;ドデカン-1,12-ジイソシアネート;ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート;シクロブタン-1,3-ジイソシアネート;シクロヘキサン-1,2-ジイソシアネート;シクロヘキサン-1,3-ジイソシアネート;シクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート;メチルシクロヘキシレンジイソシアネート(HTDI);2,4-メチルシクロヘキサンジイソシアネート;2,6-メチルシクロヘキサンジイソシアネート;4,4'-ジシクロヘキシルジイソシアネート;2,4'-ジシクロヘキシルジイソシアネート;1,3,5-シクロヘキサントリイソシアネート;イソシアネートメチルシクロヘキサンイソシアネート;1-イソシアネート-3,3,5-トリメチル-5-イソシアネートメチルシクロヘキサン;イソシアネートエチルシクロヘキサンイソシアネート;ビス(イソシアネートメチル)-シクロヘキサンジイソシアネート;4,4'-ビス(イソシアネートメチル)ジシクロヘキサン;2,4'-ビス(イソシアネートメチル)ジシクロヘキサン;イソホロンジイソシアネート(IPDI);HDIのトリイソシアネート;2,2,4-トリメチル-1,6-ヘキサンジイソシアネート(TMDI)のトリイソシアネート;4,4'-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI);2,4-ヘキサヒドロトルエンジイソシアネート;2,6-ヘキサヒドロトルエンジイソシアネート;1,2-、1,3-および1,4-フェニレンジイソシアネート;1,2-、1,3-および1,4-キシレンジイソシアネートのような芳香族脂肪族イソシアネート;メタ-テトラメチルキシレンジイソシアネート(m-TMXDI);パラ-テトラメチルキシレンジイソシアネート(p-TMXDI);トルエンジイソシアネートのイソシアヌレート、ジフェニルメタンジイソシアネートのトリマー、テトラメチルキシレンジイソシアネートのトリマー、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレートおよびこれらの混合物のような任意のポリイソシアネートの三量体化イソシアヌレート;トルエンジイソシアネートのウレトジオン、ヘキサメチレンジイソシアネートのウレトジオンおよびこれらの混合物のような任意のポリイソシアネートの二量体化ウレトジオン;上記イソシアネート類およびポリイソシアネート類に由来する変性ポリイソシアネート;並びにこれらの混合物がある。
飽和ポリ尿素プレポリマーを調製する場合には、以下の飽和イソシアネート類を好ましく使用する:エチレンジイソシアネート;プロピレン-1,2-ジイソシアネート;テトラメチレンジイソシアネート;テトラメチレン-1,4-ジイソシアネート;1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI);オクタメチレンジイソシアネート;デカメチレンジイソシアネート;2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート;2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート;ドデカン-1,12-ジイソシアネート;ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート;シクロブタン-1,3-ジイソシアネート;シクロヘキサン-1,2-ジイソシアネート;シクロヘキサン-1,3-ジイソシアネート;シクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート;メチルシクロヘキシレンジイソシアネート(HTDI);2,4-メチルシクロヘキサンジイソシアネート;2,6-メチルシクロヘキサンジイソシアネート;4,4'-ジシクロヘキシルジイソシアネート;2,4'-ジシクロヘキシルジイソシアネート;1,3,5-シクロヘキサントリイソシアネート;イソシアネートメチルシクロヘキサンイソシアネート;1-イソシアネート-3,3,5-トリメチル-5-イソシアネートメチルシクロヘキサン;イソシアネートエチルシクロヘキサンイソシアネート;ビス(イソシアネートメチル)-シクロヘキサンジイソシアネート;4,4'-ビス(イソシアネートメチル)ジシクロヘキサン;2,4'-ビス(イソシアネートメチル)ジシクロヘキサン;イソホロンジイソシアネート(IPDI);HDIのトリイソシアネート;2,2,4-トリメチル-1,6-ヘキサンジイソシアネート(TMDI)のトリイソシアネート;4,4'-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI);2,4-ヘキサヒドロトルエンジイソシアネート;2,6-ヘキサヒドロトルエンジイソシアネート;およびこれらの混合物。芳香族脂肪族イソシアネート類も、光安定性材料を調製するのに使用し得る。そのようなイソシアネート類の例は、1,2-、1,3-および1,4-キシレンジイソシアネート;メタ-テトラメチルキシレンジイソシアネート(m-TMXDI);パラ-テトラメチルキシレンジイソシアネート(p-TMXDI);トルエンジイソシアネートのイソシアヌレート、ジフェニルメタンジイソシアネートのトリマー、テトラメチルキシレンジイソシアネートのトリマー、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート、およびこれらの混合物のような任意のポリイソシアネートの三量体化イソシアヌレート;トルエンジイソシアネートのウレトジオン、ヘキサメチレンジイソシアネートのウレトジオンおよびこれらの混合物のような任意のポリイソシアネートの二量体化ウレトジオン;上記イソシアネート類およびポリイソシアネート類に由来する変性ポリイソシアネート;およびこれらの混合物である。さらに、芳香族脂肪族イソシアネート類は、本発明の目的において上記で列挙した飽和イソシアネート類のいずれかと混合してもよい。
イソシアネートとポリエーテルアミンとのポリ尿素プレポリマー中の未反応NCO基の数を変化させて、反応速度、得られる組成物硬度等のような要因を調整することが可能である。例えば、未反応イソシアネート基の質量パーセントが増大するにつれて、硬度も幾分か直線状に増大する。即ち、NCO含有量が約10.5質量%である場合、硬度は約55ショアA未満であり得るのに対し、NCOが約15質量%に増大すると、硬度は約80ショアAよりも高くなる。
1つの実施態様においては、イソシアネートとポリエーテルアミンとのポリ尿素プレポリマー中の未反応NCO基の数は約14%未満であり得る。1つの実施態様においては、ポリ尿素プレポリマーは、約5%〜約11%の未反応NCO基、より好ましくは約6〜約9.5%の未反応NCO基を有する。1つの実施態様においては、未反応NCO基の割合は約3%〜約9%である。また、未反応NCO基の割合は、約7.5%以下、好ましくは約7%以下であり得る。もう1つの実施態様においては、未反応NCO含有量は、約2.5%〜約7.5%、より好ましくは約4%〜約6.5%である。
硬化剤
上記ポリ尿素組成物は、上記ポリ尿素プレポリマーを単一の硬化剤または硬化剤混合物で架橋させることよって生成させ得る。本発明の組成物は、注型可能な熱硬化性および熱可塑性材料の双方の中から選択でき、これらの材料はプレポリマー対硬化剤の比によって決定される。例えば、本発明の注型可能な熱可塑性組成物は、線状ポリマーを含み、プレポリマーをジオールまたは第2級ジアミンで水分の不存在下に1:1の化学量論的に硬化させて典型的に形成させる。一方、本発明の熱硬化性組成物は、架橋型ポリマーであり、第1級ジアミンまたは多官能性グリコールで硬化させたジイソシアネートとポリオールとの反応から典型的に生成させる。
本発明の硬化剤は、好ましくは、アミン末端硬化剤、より好ましくは第2級ジアミン硬化剤であり、組成物が尿素結合のみを含有するようにする。適切なアミン末端硬化剤としては、限定するものではないが、エチレンジアミン;ヘキサメチレンジアミン;1-メチル-2,6-シクロヘキシルジアミン;2,2,4-および2,4,4-トリメチル-1,6-ヘキサンジアミン;4,4'-ビス-(sec-ブチルアミノ)-ジシクロヘキシルメタンおよびその誘導体;1,4-ビス-(sec-ブチルアミノ)-シクロヘキサン;1,2-ビス-(sec-ブチルアミノ)-シクロヘキサン;4,4'-ジシクロヘキシルメタンジアミン;1,4-シクロヘキサン-ビス-(メチルアミン);1,3-シクロヘキサン-ビス-(メチルアミン);ジエチレングリコールビス-(アミノプロピル)エーテル;2-メチルペンタメチレン-ジアミン;ジアミノシクロヘキサン;ジエチレントリアミン;トリエチレンテトラミン;テトラエチレンペンタミン;プロピレンジアミン;1,3-ジアミノプロパン;ジメチルアミノプロピルアミン;ジエチルアミノプロピルアミン;イミド-ビス-(プロピルアミン);モノエタノールアミン;ジエタノールアミン;トリエタノールアミン;モノイソプロパノールアミン;ジイソプロパノールアミン;イソホロンジアミン;4,4'-メチレンビス-(2-クロロアニリン);3,5-ジメチルチオ-2,4-トルエンジアミン;3,5-ジメチルチオ-2,6-トルエンジアミン;3,5-ジエチルチオ-2,4-トルエンジアミン;3,5-ジエチルチオ-2,6-トルエンジアミン;4,4'-ビス-(sec-ブチルアミノ)-ジフェニルメタンおよびその誘導体;1,4-ビス-(sec-ブチルアミノ)-ベンゼン;1,2-ビス-(sec-ブチルアミノ)-ベンゼン;N,N'-ジアルキルアミノ-ジフェニルメタン;トリメチレングリコール-ジ-p-アミノベンゾエート;ポリテトラメチレンオキサイド-ジ-p-アミノベンゾエート;4,4'-メチレンビス-(3-クロロ-2,6-ジエチレンアニリン);4,4'-メチレンビス-(2,6-ジエチルアニリン);メタ-フェニレンジアミン;パラフェニレンジアミン;N,N'-ジイソプロピル-イソホロンジアミン;ポリオキシプロピレンジアミン;プロピレンオキサイド系トリアミン;3,3'-ジメチル-4,4'-ジアミノシクロヘキシルメタン;およびこれらの混合物がある。1つの実施態様においては、アミン末端硬化剤は、4,4'-ビス-(sec-ブチルアミノ)-ジシクロヘキシルメタンである。1つの実施態様においては、アミン末端硬化剤は、約64以上の分子量を有し得る。もう1つの実施態様においては、アミン硬化剤の分子量は、約2000以下である。さらに、上記で列挙した任意のアミン末端成分を硬化剤として使用して、ポリ尿素プレポリマーと反応させ得る。
上記列挙したもののうちで、本発明において使用するのに適する飽和アミン末端硬化剤としては、限定するものではないが、エチレンジアミン;ヘキサメチレンジアミン;1-メチル-2,6-シクロヘキシルジアミン;2,2,4-および2,4,4-トリメチル-1,6-ヘキサンジアミン;4,4'-ビス-(sec-ブチルアミノ)-ジシクロヘキシルメタン;1,4-ビス-(sec-ブチルアミノ)-シクロヘキサン;1,2-ビス-(sec-ブチルアミノ)-シクロヘキサン;4,4'-ビス-(sec-ブチルアミノ)-ジシクロヘキシルメタンの誘導体;4,4'-ジシクロヘキシルメタンジアミン;1.4-シクロヘキサン-ビス-(メチルアミン);1,3-シクロヘキサン-ビス-(メチルアミン);ジエチレングリコールビス-(アミノプロピル)エーテル;2-メチルペンタメチレン-ジアミン;ジアミノシクロヘキサン;ジエチレントリアミン;トリエチレンテトラミン;テトラエチレンペンタミン;プロピレンジアミン;1,3-ジアミノプロパン;ジメチルアミノプロピルアミン;ジエチルアミノプロピルアミン;イミド-ビス-(プロピルアミン);モノエタノールアミン;ジエタノールアミン;トリエタノールアミン;モノイソプロパノールアミン;ジイソプロパノールアミン;イソホロンジアミン;およびこれらの混合物がある。
前記で簡単に述べたように、多くのアミン類は、イソシアネートとの反応においては、これら2つの成分間での急速な反応故に不適切であり得る。一般に、アンヒンダード(unhindered)第1級ジアミン類は、急速反応性である。しかしながら、1つの実施態様においては、ヒンダード第2級ジアミンは、上記プレポリマーにおける使用に適している。何ら特定の理論によって拘束するものではないが、高レベルのステアリン酸ヒンドランス、例えば、窒素原子上にターシャリーブチル基を有するアミンは、ヒンドランスなしのまたは低レベルのヒンドランスを有するアミンよりも遅い反応速度を有するものと信じられている。例えば、4,4'-ビス-(sec-ブチルアミノ)-ジシクロヘキシルメタン(Clearlink 1000)は、イソシアネートと組合せてポリ尿素プレポリマーを調製するのに適している。さらに、Huntsman Corporation社から商品名Jefflinkとして入手できるN,N'-ジイソプロピル-イソホロンジアミンも、第2級ジアミン硬化剤として使用し得る。
さらに、上記ポリ尿素プレポリマーは、1種のヒドロキシ末端硬化剤またはヒドロキシ末端硬化剤混合物によっても硬化させ得る。しかしながら、ヒドロキシ末端硬化剤を使用すると、ポリ尿素プレポリマー中の過剰のイソシアネートが硬化剤中のヒドロキシル基と反応してウレタン結合を形成し、もはや純粋なポリ尿素でない組成物を生ずる(代りに、ポリ尿素/ウレタン組成物)。
本発明の目的においては、純粋ポリ尿素組成物、即ち、ポリ尿素/尿素は、下記の一般構造を有する尿素結合のみを含有する:
Figure 0004105653
(式中、xは、鎖長、即ち、約1以上であり;RおよびR1は、約1〜約20個の炭素を有する直鎖または枝分れの炭化水素鎖である)。一方、ポリ尿素/ウレタン組成物は、尿素結合とウレタン結合の双方を含有し、ウレタン結合は、下記の一般構造を有する:
Figure 0004105653
(式中、xは、鎖長、即ち、約1以上であり;RおよびR1は、約1〜約20個の炭素を有する直鎖または枝分れの炭化水素鎖である)。
適切なヒドロキシ末端硬化剤としては、限定するものではないが、エチレングリコール;ジエチレングリコール;ポリエチレングリコール;プロピレングリコール;2-メチル-1,3-プロパンジオール;2-メチル-1,4-ブタンジオール;ジプロピレングリコール;ポリプロピレングリコール;1,2-ブタンジオール;1,3-ブタンジオール;1,4-ブタンジオール;2,3-ブタンジオール;2,3-ジメチル-2,3-ブタンジオール;トリメチロールプロパン;シクロヘキシルジメチロール;トリイソプロパノールアミン;N,N,N',N'-テトラ-(2-ヒドロキシプロピル)-エチレンジアミン;ジエチレングリコールビス-(アミノプロピル)エーテル;1,5-ペンタンジオール;1,6-ヘキサンジオール;1,3-ビス-(2-ヒドロキシエトキシ)シクロヘキサン;1,4-シクロヘキシルジメチロール;1,3-ビス-[2-(2-ヒドロキシエトキシ)エトキシ]シクロヘキサン;1,3-ビス-{2-[2-(2-ヒドロキシエトキシ)エトキシ]エトキシ}シクロヘキサン;好ましくは約250〜約3900範囲の分子量を有するポリテトラメチレンエーテルグリコール;レゾルシノール-ジ-(β-ヒドロキシエチル)エーテルおよびその誘導体;ヒドロキノン-ジ-(β-ヒドロキシエチル)エーテルおよびその誘導体;1,3-ビス-(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼン;1,3-ビス-[2-(2-ヒドロキシエトキシ)エトキシ]ベンゼン;N,N'-ビス(β-ヒドロキシプロピル)アニリン;2-プロパノール1,1'-フェニルアミノビス;およびこれらの混合物がある。ヒドロキシ末端硬化剤は、少なくとも約50の分子量を有し得る。1つの実施態様においては、ヒドロキシ末端硬化剤の分子量は、約2000以下である。
光安定性組成物を調製する場合には、上記の列挙に含まれる飽和ヒドロキシ末端硬化剤が好ましい。飽和ヒドロキシ末端硬化剤としては、限定するものではないが、エチレングリコール;ジエチレングリコール;ポリエチレングリコール;プロピレングリコール;2-メチル-1,3-プロパンジオール;2-メチル-1,4-ブタンジオール;ジプロピレングリコール;ポリプロピレングリコール;1,2-ブタンジオール;1,3-ブタンジオール;1,4-ブタンジオール;2,3-ブタンジオール;2,3-ジメチル-2,3-ブタンジオール;トリメチロールプロパン;シクロヘキシルジメチロール;トリイソプロパノールアミン;N,N,N',N'-テトラ-(2-ヒドロキシプロピル)-エチレンジアミン;ジエチレングリコールビス-(アミノプロピル)エーテル;1,5-ペンタンジオール;1,6-ヘキサンジオール;1,3-ビス-(2-ヒドロキシエトキシ)シクロヘキサン;1,4-シクロヘキシルジメチロール;1,3-ビス-[2-(2-ヒドロキシエトキシ)エトキシ]シクロヘキサン;1,3-ビス-{2-[2-(2-ヒドロキシエトキシ)エトキシ]エトキシ}シクロヘキサン;約250〜約3900範囲の分子量を有するポリテトラメチレンエーテルグリコール;およびこれらの混合物がある。
上記のように、両タイプの硬化剤、即ち、ヒドロキシ末端硬化剤およびアミン硬化剤は、1個以上の飽和、不飽和、芳香族、および環状基を含み得る。さらに、ヒドロキシ末端硬化剤およびアミン硬化剤は、1個以上のハロゲン基も含み得る。得られるポリ尿素エラストマーの剪断抵抗性をさらに改良するためには、三官能性硬化剤を使用して架橋の改良を助長し得る。例えば、ヒドロキシ末端硬化剤を使用し得る。好ましくは、トリメチロールプロパンのようなトリオールまたはN,N,N',N'-テトラキス(2-ヒドロキシプロピル)エチレンジアミンのようなテトラオールを配合物に添加し得る。
熟練技術者であれば、ゴルフボールまたはゴルフボールコンポーネントの種々の特性、例えば、プレポリマーのNCO含有量と硬化剤の分子量との関数である硬度を、プレポリマー対硬化剤比を調整することによって制御し得ることは認識していることである。例えば、1,4-ブタンジオールで硬化させた6%未反応NCO基を含むポリ尿素プレポリマーの上記比が15.6:1であるのに対し、4,4'-ビス-(sec-ブチルアミノ)-ジシクロヘキシルメタン(Clearlink 1000)で硬化させた同じプレポリマーの上記比は4.36:1である。本発明の目的におけるプレポリマー対硬化剤の比は、好ましくは約0.5:1〜約16:1である。
硬化剤の選択は本発明の組成物が熱可塑性であるかあるいは熱硬化性であるかを決定するので、ボール上への本発明の組成物の成形方法は、組成物のタイプによって変る。例えば、本発明の熱可塑性ポリ尿素組成物は、射出成型または圧縮成型によってボール上に成形させ得る熱可塑性ペレットを製造するのに使用し得る。熱硬化性ポリ尿素組成物は、ボール上に注型し得る。さらに、本発明の熱可塑性および熱硬化性ポリ尿素組成物の両方を、反応射出成型(RIM)および液体射出成型(LIM)法を使用して、コアの周囲に成形させることもできる。
1つの実施態様においては、硬化剤は、2003年1月10日に出願され、“Polyurethane Compositions for Golf Balls”と題した係属中の米国特許出願第10/339,603号に開示されているような変性硬化剤混合物であり、該米国特許出願はその全てが参考として本明細書に組み込まれる。例えば、本発明の硬化剤は、凝固点降下剤によって変性して、より遅い固化開始性と貯蔵安定な顔料分散性を有する硬化剤混合物を製造し得る。多くのアミン末端硬化剤は、比較的高い凝固点を有し、例えば、ヘキサメチレンジアミン(105.8°F(41℃))、ジエタノールアミン(82.4°F(28℃))、トリエタノールアミン(69.8°F(21℃))、ジイソプロパノールアミン(73.4°F(23℃))、そしてトリイソプロパノールアミン(111.2°F(44℃))である。そのようなアミン末端硬化剤は、アミン末端凝固点降下剤またはアミン末端凝固点降下剤混合物によって変性し得る。適切なアミン末端凝固点降下剤としては、限定するものではないが、エチレンジアミン、1,3-ジアミノプロパン、ジメチルアミノプロピルアミン、テトラエチレンペンタミン、1,2-プロピレンジアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、2,2,4-トリメチル-1,6-ヘキサンジアミン、2,4,4-トリメチル-1,6-ヘキサンジアミン、およびこれらの混合物がある。
上記凝固点降下剤は、好ましくは、顔料分散性の損失は防止するがゴルフボールの物理的特性に影響を与えない適切な量によって、硬化剤の凝固点を低下させるに十分な量で添加する。1つの実施態様においては、凝固点降下剤は、硬化剤に、硬化剤ブレンド、即ち、硬化剤(1種以上)+凝固点降下剤の約5質量%以上の量で添加する。もう1つの実施態様においては、上記凝固点降下剤は、硬化剤ブレンドの約8質量%以上の量で存在する。さらにもう1つの実施態様においては、上記凝固点降下剤は、約10質量%以上の量で存在する。さらにもう1つの実施態様においては、上記硬化剤ブレンドは、硬化剤ブレンドの約12質量%以上の量で上記凝固点硬化剤を含む。また、上記硬化剤ブレンドは、硬化剤ブレンドの約14質量%以上もの量での上記凝固点降下剤を含み得る。
さらに、凝固しその後溶融した後、本発明の変性硬化剤混合物は、好ましくはヘグマン尺度(Hegman scale)で0よりも大きい、好ましくは約1以上、より好ましくは約2以上の顔料分散性を有する。1つの実施態様においては、凝固/溶融サイクル後の変性硬化剤混合物は、ヘグマン尺度で約3以上の顔料分散性を有する。もう1つの実施態様においては、凝固および溶融後の変性硬化剤混合物は、ヘグマン尺度で約4以上、好ましくは約5以上である。さらにもう1つの実施態様においては、凝固および溶融後の変性硬化剤混合物は、ヘグマン尺度で約6以上である。さらにもう1つの実施態様においては、凝固および溶融後の変性硬化剤混合物は、ヘグマン尺度で約7以上である。
尿素エラストマーを加工するのに使用する2つの基本的な方法、即ち、ワンショット法とプレポリマー法が存在する。ワンショット法が、イソシアネート、アミン末端化合物、および硬化剤を1工程で反応させるのに対し、プレポリマー法は、アミン末端化合物とイソシアネート間のポリ尿素プレポリマーを生成させるための最初の反応、およびその後のプレポリマーと硬化剤間の反応を必要とする。いずれの方法を使用しても本発明のポリ尿素組成物を生成させ得るが、プレポリマー法の方が、化学反応のより良好な制御を提供し、結果として、エラストマーにとってより均一な特性を生ずるので好ましい。
ポリウレタン組成物
本発明の組成物は、ポリウレタン系でもあり得、上述のポリ尿素組成物と明らかに異なるが、ゴルフボールコンポーネントにおいて使用する場合、望ましい空気力学的および審美的特性を生ずる。即ち、本発明の組成物は、少なくとも1種のポリウレタンプレポリマーと硬化剤間の反応生成物であり得、そのポリウレタンプレポリマーは、少なくとも1種のポリオールと少なくとも1種のジイソシアネート間の反応によって形成される生成物である。本発明のポリウレタン系組成物は、好ましくは飽和であり、従って、1つの実施態様においては、本発明の組成物は、少なくとも1種の飽和ジイソシアネートと少なくとも1種の飽和ポリオールとから形成された少なくとも1種の飽和ポリウレタンプレポリマーと、少なくとも1種の飽和硬化剤との間の反応生成物である。
イソシアネート成分
上記ポリウレタンプレポリマーにおいて使用するイソシアネート類としては、分子当り2個以上のイソシアネート(NCO)基を有する脂肪族、脂環式、芳香族脂肪族化合物;これらの誘導体;およびこれら化合物の組合せがある。これらのイソシアネート類は、有機、変性有機、有機ポリイソシアネート末端プレポリマー、およびこれらの混合物であり得る。また、イソシアネート含有反応性成分としては、任意のイソシアネート官能性モノマー、ダイマー、トリマーもしくはこれらの多重合アダクト、プレポリマー、クワシ-プレポリマー、またはこれらの混合物もあり得る。イソシアネート官能性化合物としては、モノイソシアネート類または2個以上の任意のイソシアネート官能性を含むポリイソシアネート類があり得る。
適切なイソシアネート含有成分としては、一般構造:O=C=N-R-N=C=Oを有するジイソシアネート類があり、上記式中、Rは、好ましくは、約1〜約20個の炭素原子を含有する環状、または線状もしくは枝分れの炭化水素成分である。ジイソシアネートは、1個以上の環状基も含有し得る。複数の環状基が存在する場合、約1〜約10個の炭素原子を含有する線状および/または枝分れの炭化水素が環状基の間のスペーサーとして存在し得る。幾つかの場合、環状基(1個以上)は、それぞれ、2-、3-および/または4-位において置換し得る。置換基としては、限定するものではないが、ハロゲン類;第1級、第2級または第3級炭化水素基;またはこれらの混合物があり得る。
上記ポリウレタンプレポリマーにおいて使用し得る飽和ジイソシアネート類の例としては、限定するものではないが、エチレンジイソシアネート;プロピレン-1,2-ジイソシアネート;テトラメチレンジイソシアネート;テトラメチレン-1,4-ジイソシアネート;1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI);オクタメチレンジイソシアネート;デカメチレンジイソシアネート;2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート;2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート;ドデカン-1,12-ジイソシアネート;シクロブタン-1,3-ジイソシアネート;シクロヘキサン-1,2-ジイソシアネート;シクロヘキサン-1,3-ジイソシアネート;シクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート;メチルシクロヘキシレンジイソシアネート(HTDI);2,4-メチルシクロヘキサンジイソシアネート;2,6-メチルシクロヘキサンジイソシアネート;4,4'-ジシクロヘキシルジイソシアネート;2,4'-ジシクロヘキシルジイソシアネート;1,3,5-シクロヘキサントリイソシアネート;イソシアネートメチルシクロヘキサンイソシアネート;1-イソシアネート-3,3,5-トリメチル-5-イソシアネートメチルシクロヘキサン;イソシアネートエチルシクロヘキサンイソシアネート;ビス(イソシアネートメチル)-シクロヘキサンジイソシアネート;4,4'-ビス(イソシアネートメチル)ジシクロヘキサン;2,4'-ビス(イソシアネートメチル)ジシクロヘキサン;イソホロンジイソシアネート(IPDI);HDIのトリイソシアネート;2,2,4-トリメチル-1,6-ヘキサンジイソシアネート(TMDI)のトリイソシアネート;4,4'-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI);2,4-ヘキサヒドロトルエンジイソシアネート;2,6-ヘキサヒドロトルエンジイソシアネート;1,2-、1,3-および1,4-キシレンジイソシアネートのような芳香族脂肪族イソシアネート;メタ-テトラメチルキシレンジイソシアネート(m-TMXDI);パラ-テトラメチルキシレンジイソシアネート(p-TMXDI);トルエンジイソシアネートのイソシアヌレート、ジフェニルメタンジイソシアネートのトリマー、テトラメチルキシレンジイソシアネートのトリマー、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート、イソホロンジイソシアネートのイソシアヌレートおよびこれらの混合物のような任意のポリイソシアネートの三量体化イソシアヌレート;トルエンジイソシアネートのウレトジオン、ヘキサメチレンジイソシアネートのウレトジオンおよびこれらの混合物のような任意のポリイソシアネートの二量体化ウレトジオン;上記イソシアネート類およびポリイソシアネート類に由来する変性ポリイソシアネート;並びにこれらの混合物がある。1つの実施態様においては、上記飽和ジイソシアネート類としては、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、4,4'-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、またはこれらの組合せがある。
上記ポリウレタンプレポリマー中の未反応NCO基の数を変化させて、反応速度、得られる組成物硬度等のような要因を調整することが可能である。例えば、イソシアネートとポリオールとのポリウレタンプレポリマー中の未反応NCO基の数は約14%未満であり得る。1つの実施態様においては、ポリウレタンプレポリマーは、約5%〜約11%の未反応NCO基、より好ましくは約6〜約9.5%の未反応NCO基を有する。1つの実施態様においては、未反応NCO基の割合は約3%〜約9%である。また、ポリウレタンポリマー中の未反応NCO基の割合は、約7.5%以下、好ましくは約7%以下であり得る。もう1つの実施態様においては、未反応NCO含有量は、約2.5%〜約7.5%、より好ましくは約4%〜約6.5%である。
また、不飽和ジイソシアネート、即ち、芳香族化合物も本発明において使用し得るが、上記プレポリマーにおける不飽和化合物の使用は、好ましくは、後述するような光安定剤または顔料の使用と組合せる。不飽和ジイソシアネート類の例としては、限定するものではないが、2,2'-、2,4'-および4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)を含む置換および異性体混合物;3,3'-ジメチル-4,4'-ビフェニルジイソシアネート(TODI);トルエンジイソシアネート(TDI);高分子MDI;カルボジイミド変性液体4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート;パラ-フェニレンジイソシアネート(PPDI);メタ-フェニレンジイソシアネート(MPDI);トリフェニルメタン-4,4'-およびトリフェニルメタン-4,4'-トリイソシアネート;ナフチレン-1,5-ジイソシアネート;2,4'-、4,4'-および2,2'-ビフェニルジイソシアネート;ポリフェニレンポリメチレンポリイソシアネート(PMDI) (高分子PMDIとしても知られている);およびこれらの混合物がある。
生成させた場合、ポリウレタンプレポリマーは、該プレポリマーの約10質量%〜約20質量%の遊離イソシアネートモノマーを含有し得る。即ち、1つの実施態様においては、上記ポリウレタンプレポリマーは、遊離イソシアネートモノマーをストリッピングし得る。例えば、ストリッピング後、上記プレポリマーは、約1%以下の遊離イソシアネートモノマーを含有し得る。もう1つの実施態様においては、上記プレポリマーは、約0.5質量%以下の遊離イソシアネートモノマーを含有する。
ポリオール成分
当業者に入手可能な任意のポリオールが上記ポリウレタンプレポリマーにおける使用に適している。ポリオール類の例としては、限定するものではないが、ポリエーテルポリオール類、ポリカプロラクトンポリオール類、ポリエステルポリオール類、ポリカーボネートポリオール類、炭化水素ポリオール類、およびこれらの混合物がある。飽和および不飽和双方のポリオール類が本発明における使用に適している。
本発明における使用において適切なポリエーテルポリオール類としては、限定するものではないが、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMEG);ポリテトラメチレンエーテルグリコールと2-メチル-1,4-ブタンジオール(PTG-L)とのコポリマー;ポリ(オキシエチレン)グリコール;ポリ(オキシプロピレン)グリコール;エチレンオキサイドキャップ化(ポリオキシプロピレン)グリコール;ポリ(オキシプロピレンオキシエチレン)グリコール;およびこれらの混合物がある。
適切なポリカプロラクトンポリオール類としては、限定するものではないが、ジエチレングリコール開始型ポリカプロラクトン;プロピレングリコール開始型ポリカプロラクトン;1,4-ブタンジオール開始型ポリカプロラクトン;トリメチロールプロパン開始型ポリカプロラクトン;ネオペンチルグリコール開始型ポリカプロラクトン;1,6-ヘキサンジオール開始型ポリカプロラクトン;ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMEG)開始型ポリカプロラクトン;エチレングリコール開始型ポリカプロラクトン;ジプロピレングリコール開始型ポリカプロラクトン;およびこれらの混合物がある。
適切なポリエステルポリオール類としては、限定するものではないが、ポリエチレンアジペートグリコール;ポリエチレンプロピレンアジペートグリコール;ポリブチレンアジペートグリコール;ポリエチレンブチレンアジペートグリコール;ポリヘキサメチレンアジペートグリコール;ポリヘキサメチレンブチレンアジペートグリコール;オルト-フタレート-1,6-ヘキサンジオールポリエステルポリオール;ポリエチレンテレフタレートポリエステルポリオール;およびこれらの混合物がある。
本発明において使用し得るポリカーボネートポリオール類の例は、限定するものではないが、ポリ(フタレートカーボネート)グリコール、ポリ(ヘキサメチレンカーボネート)グリコール、ビスフェノールAを含有するポリカーボネートポリオール類、およびこれらの混合物である。
炭化水素ポリオール類としては、限定するものではないが、ヒドロキシ末端化液体イソプレンゴム(LIR)、ヒドロキシ末端化ポリブタジエンポリオール、ヒドロキシ末端化ポリオレフィンポリオール類、ヒドロキシ末端化炭化水素ポリオール類、およびこれらの混合物がある。
本発明のプレポリマーを調製するのに使用し得る他のポリオール類としては、限定するものではないが、グリセロール類;ヒマシ油およびその誘導体;Polytail H;Polytail HA;Kratonポリオール類;アクリル系ポリオール類;カルボン酸、スルホン酸またはリン酸基をベースとする酸官能化ポリオール類;飽和二量体化脂肪酸から転化させたダイマーアルコール類;およびこれらの混合物がある。
疎水性主鎖をベースとするポリオール類を使用することにより、本発明のポリウレタン組成物は、疎水性主鎖を有しないポリオール類を含むポリウレタン組成物よりも耐水性であり得る。疎水性主鎖をベースとするポリオール類の幾つかの非限定的な例としては、炭化水素ポリオール類、ヒドロキシ末端ポリブタジエンポリオール類、ポリエーテル類、ポリカプロラクトン類、およびポリエステル類がある。
硬化剤
上記ポリウレタンプレポリマーは、単一の硬化剤または硬化剤ブレンドもしくは混合物によって硬化させ得る。本発明の硬化剤は、前述したような凝固点降下剤によって変性し得る。
本発明において使用する硬化剤としては、限定するものではないが、ヒドロキシ末端硬化剤、アミン末端硬化剤、およびこれらの混合物がある。プレポリマー対硬化剤比次第で、注型可能なポリウレタン組成物は、本質的に熱可塑性かあるいは熱硬化性であり得る。例えば、1:1の化学量論比のジオールまたは第2級ジアミンで硬化させたポリウレタンプレポリマーは、本質的に熱可塑性である。一方、熱硬化性ポリウレタンは、第1級ジアミンまたは多官能性グリコールで硬化させたプレポリマーから一般的に生成させる。別の実施態様においては、熱硬化性ポリウレタンは、第2級ジアミンを使用した場合、プレポリマー対硬化剤比が約1未満であるときに生成させ得る。例えば、本発明の組成物は、プレポリマー対第2級ジアミン硬化剤が1:0.95であるときに、熱硬化性ポリウレタンであり得る。硬化剤は、飽和または不飽和であり得る。
さらに、使用する硬化剤のタイプが、上記ポリウレタン組成物がポリウレタン/ウレタンであるかあるいはポリウレタン/尿素であるかどうかを決定する。例えば、ヒドロキシ末端硬化剤で硬化させたポリウレタンプレポリマーは、存在し得る過剰のイソシアネート基が硬化剤のヒドロキシル基と反応してさらなるウレタン結合を形成するので、ポリウレタン/ウレタンである。対照的に、アミン末端硬化剤をポリウレタンプレポリマーと一緒に使用する場合、過剰のイソシアネート基は、アミン末端硬化剤のアミン基と反応して尿素結合を形成してポリウレタン/尿素組成物を生ずる。
即ち、本発明の目的においては、ポリウレタン/ウレタンは、下記の一般構造において示すようなウレタン結合のみを含有する:
Figure 0004105653
(式中、xは、鎖長、即ち、約1以上であり;RおよびR1は、約1〜約20個の炭素を有する直鎖または枝分れの炭化水素鎖である)。一方、ポリウレタン/尿素は、上記の構造式において示すウレタン結合と下記の尿素結合の双方を含有する:
Figure 0004105653
(式中、xは、鎖長、即ち、約1以上であり;RおよびR1は、約1〜約20個の炭素を有する直鎖または枝分れの炭化水素鎖である)。
適切な硬化剤としては、限定するものではないが、1,4-ブタンジオール;1,3-ブタンジオール;2,3-ブタンジオール;2,3-ジメチル-2,3-ブタンジオール;プロピレングリコール、ジプロピレングリコール;ポリプロピレングリコール;エチレングリコール;ジエチレングリコール;ポリエチレングリコール;レゾルシノール-ジ(β-ヒドロキシエチル)エーテルおよびその誘導体;ヒドロキノン-ジ(β-ヒドロキシエチル)エーテルおよびその誘導体;2-プロパノール-1,1'-フェニルアミノビス;トリメチロールプロパン;4,4'-メチレンビス(2-クロロアニリン);3,5-ジメチルチオ-2,4-トルエンジアミン;3,5-ジメチルチオ-2,6-トルエンジアミン;4,4'-メチレンビス(2-エチルアニリン);4,4'-ビス-(sec-ブチルアミノ)-ジフェニルメタン;1,3-ビス-(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼン;1,3-ビス-[2-(2-ヒドロキシエトキシ)エトキシ]ベンゼン;1,3-ビス-{2-[2-(2-ヒドロキシエトキシ)エトキシ]エトキシ}ベンゼン;1,4-ビス-(sec-ブチルアミノ)ベンゼン;1,2-ビス-(sec-ブチルアミノ)ベンゼン;3,5-ジエチルトルエン-2,4-ジアミン;3,5-ジエチルトルエン-2,6-ジアミン;テトラ-(2-ヒドロキシプロピル)-エチレンジアミン;N,N'-ジアルキルジアミノジフェニルメタン;トリメチレングリコール-ジ-p-アミノベンゾエート;ポリテトラメチレンオキサイド-ジ-p-アミノベンゾエート;4,4'-メチレンビス-(3-クロロ-2,6-ジエチルアニリン);1,4-シクロヘキシルジメチロール;2-メチルペンタメチレンジアミン;ジアミノシクロヘキサンの異性体類および混合物;シクロヘキサンビス(メチルアミン)の異性体類および混合物;ポリテトラメチレンエーテルグリコール;シクロヘキシルジメチロールの異性体類および混合物;トリイソプロパノールアミン;ジエチレントリアミン;トリエチレンテトラミン;テトラエチレンペンタミン;プロピレンジアミン;1,3-ジアミノプロパン;ジメチルアミノプロピルアミン;ジエチルアミノプロピルアミン;イミド-ビス-(プロピルアミン);モノエタノールアミン;ジエタノールアミン;トリエタノールアミン;モノイソプロパノールアミン;ジイソプロパノールアミン;N,N'-ジイソプロピル-イソホロンジアミン;ポリオキシプロピレンジアミン、プロピレンオキサイド系トリアミン;およびこれらの混合物がある。1つの実施態様においては、上記プレポリマーと一緒に使用する硬化剤としては、3,5-ジメチルチオ-2,4-トルエンジアミン;3,5-ジメチル-チオ-2,6-トルエンジアミン;4,4'-ビス-(sec-ブチルアミノ)-ジフェニルメタン;N,N'-ジイソプロピル-イソホロンジアミン;ポリオキシプロピレンジアミン;プロピレンオキサイド系トリアミン;3,3'-ジメチル-4,4'-ジアミノシクロヘキシルメタン;およびこれらの混合物がある。
適切な飽和ヒドロキシ末端硬化剤としては、限定するものではないが、エチレングリコール;ジエチレングリコール;ポリエチレングリコール;プロピレングリコール;2-メチル-1,3-プロパンジオール;2-メチル-1,4-ブタンジオール;ジプロピレングリコール;ポリプロピレングリコール;1,2-ブタンジオール;1,3-ブタンジオール;1,4-ブタンジオール;2,3-ブタンジオール;2,3-ジメチル-2,3-ブタンジオール;トリメチロールプロパン;トリイソプロパノールアミン;ジエチレングリコールビス-(アミノプロピル)エーテル;1,5-ペンタンジオール;1,6-ヘキサンジオール;1,3-ビス-(2-ヒドロキシエトキシ)シクロヘキサン;1,4-シクロヘキシルジメチロール;1,3-ビス-[2-(2-ヒドロキシエトキシ)エトキシ]シクロヘキサン;1,3-ビス-{2-[2-(2-ヒドロキシエトキシ)エトキシ]エトキシ}シクロヘキサン;N,N,N',N'-テトラ-(2-ヒドロキシプロピル-エチレン)ジアミン;約250〜約3900範囲の分子量を有するポリテトラメチレンエーテルグリコール;およびこれらの混合物がある。1つの実施態様においては、上記ヒドロキシ末端硬化剤は、少なくとも50の分子量を有する。もう1つの実施態様においては、上記ヒドロキシ末端硬化剤の分子量は、約2000以下である。さらにもう1つの実施態様においては、上記ヒドロキシ末端硬化剤は、約250〜約3900の分子量を有する。本明細書において使用するとき、分子量とは、絶対質量平均分子量であると理解すべきであり、当業者であれば、そのように理解しいることであろう。
適切な飽和アミン末端硬化剤としては、限定するものではないが、エチレンジアミン;ヘキサメチレンジアミン;1-メチル-2,6-シクロヘキシルジアミン;2,2,4-および2,4,4-トリメチル-1,6-ヘキサンジアミン;4,4'-ビス-(sec-ブチルアミノ)-ジシクロヘキシルメタン;1,4-ビス-(sec-ブチルアミノ)-シクロヘキサン;1,2-ビス-(sec-ブチルアミノ)-シクロヘキサン;4,4'-ビス-(sec-ブチルアミノ)-ジシクロヘキシルメタンの誘導体;4,4'-ジシクロヘキシルメタンジアミン;1.4-シクロヘキサン-ビス-(メチルアミン);1,3-シクロヘキサン-ビス-(メチルアミン);ジエチレングリコールビス-(アミノプロピル)エーテル;2-メチルペンタメチレン-ジアミン;N,N'-ジイソプロピルイソホロンジアミン;ジアミノシクロヘキサン;ジエチレントリアミン;トリエチレンテトラミン;テトラエチレンペンタミン;プロピレンジアミン;ジプロピレントリアミン;1,3-ジアミノプロパン;ジメチルアミノプロピルアミン;ジエチルアミノプロピルアミン;イミド-ビス-(プロピルアミン);モノエタノールアミン;ジエタノールアミン;トリエタノールアミン;モノイソプロパノールアミン;ジイソプロパノールアミン;トリイソプロパノールアミン;イソホロンジアミン;およびこれらの混合物がある。1つの実施態様においては、上記アミン硬化剤は、約64以上の分子量を有する。もう1つの実施態様においては、上記アミン硬化剤の分子量は、約2000以下である。
組成物添加剤
ポリウレタンおよびポリ尿素組成物中に通常含ませるさらなる物質を、本発明のポリウレタンおよびポリ尿素プレポリマー、変性硬化剤ブレンド、または複合組成物に添加することができる。これらのさらなる物質としては、限定するものではないが、触媒、湿潤剤、着色剤、蛍光増白剤、架橋剤、TiO2およびZnOのような白色化剤、UV吸収剤、ヒンダードアミン光安定剤、消泡剤、加工助剤、界面活性剤、および他の通常の添加剤がある。例えば、湿潤添加剤を本発明の変性硬化剤混合物に添加して、顔料(1種以上)をより効率的に分散させることができる。適切な湿潤剤は、数ある中で、Byk-Chemle and Crompton Corporation社から入手し得る。
また、酸化防止剤、安定剤、軟化剤、内部および外部可塑剤のような可塑剤、衝撃改良剤、発泡剤、密度調節用充填剤、補強材、および相溶化剤も、本発明のいずれの組成物にも添加できる。当業者であれば、これら添加剤の目的およびそれらの目的を満たすのに使用する量については承知していることである。
触媒
また、触媒は、ポリウレタンおよびポリ尿素組成物双方におけるプレポリマーと硬化剤間の反応を促進させるのに使用し得る。適切な触媒としては、限定するものではないが、ビスマス触媒;オクタン酸亜鉛;オクタン酸錫;ビス-ブチル錫ジラウレート(Air Products and Chemicals社製のDABCO(登録商標)T-12)、ビス-ブチル錫ジアセテート(DABCO(登録商標)T-1)のような錫触媒;オクタン酸錫(DABCO(登録商標)T-9);塩化錫(II)、塩化錫(IV);ビス-ブチル錫ジメトキシド(FASCAT(登録商標)-4211);ジメチル-ビス[1-(オクソンデシル)オキシ]スタナン(FORMEZ(登録商標)UL-28);ジ-n-オクチル錫ビス-イソオクチルメルカプトアセテート(FASCAT(登録商標)UL-29);トリエチレンジアミン(DABCO(登録商標)33-LV)、トリエチルアミンおよびトリブチルアミンのようなアミン触媒;オレイン酸および酢酸のような有機酸;POLYCAT(商標)SA-1、POLYCAT(商標)SA-2、POLYCAT(商標)のような遅延型触媒等;およびこれらの混合物がある。1つの実施態様においては、触媒は、ビス-ブチル錫ジラウレートである。触媒は、好ましくは、反応性混合物中の成分の反応を触媒作用するのに十分な量で添加する。1つの実施態様においては、触媒は、組成物の約0.001質量%〜約5質量%の量で存在する。例えば、ビス-ブチル錫ジラウレートのような錫触媒を使用する場合、該触媒は、好ましくは約0.005質量%〜約1質量%の量で存在する。もう1つの実施態様においては、該触媒は、約0.05質量%以上の量で存在する。もう1つの実施態様においては、該触媒は、約0.5質量%以上の量で存在する。
組成物全体の典型的には約0〜約0.04質量%の低量の錫触媒の使用は、適切な反応速度を達成するのに、プレポリマーの分解を生じ得る高温度を必要とする。触媒量を通常でない高レベルに増大させることによって、匹敵し得る硬化段階を保持しながらプロセス温度の低下を可能にする。高めの触媒量の使用は、混合速度を遅らせることも可能とする。即ち、1つの実施態様においては、錫触媒は、組成物の約0.01質量%〜約0.55質量%の量で存在する。もう1つの実施態様においては、約0.05%〜約0.4%の錫触媒が組成物中に存在する。さらにもう1つの実施態様においては、錫触媒は、約0.1%〜約0.25%の量で存在する。
密度調節用充填剤
充填剤は、本発明のポリウレタンおよびポリ尿素組成物に、流動および混合特性、比重(即ち、密度改良充填剤)、モジュラス、引裂き強度、補強等に作用するように添加し得る。充填剤は、一般に無機物であり、適切な充填剤としては、多くの金属類;酸化亜鉛および酸化錫、並びに硫酸バリウム、硫酸亜鉛、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、炭酸バリウムのような金属酸化物および塩類;クレー;タングステン;炭化タングステン;シリカ類のアレー;リグリンド(regrind;典型的には約30メッシュ粒子まで粉砕したリサイクル芯材)、高ムーニー粘度ゴムリグリンド;およびこれらの混合物がある。
例えば、本発明の組成物は、当業者にとって公知であるような、広範囲の密度調節用充填剤、例えば、セラミック類;ガラス球体(固形体または中空体、充填または非充填型)および繊維;無機粒子;および金属フレーク、金属粉、酸化物のような金属粒子;並びにこれらの誘導体と混合することによって補強し得る。そのような充填剤(1種以上)の選定は、以下でより十分に詳述するような所望するゴルフボールのタイプ、即ち、ワンピース、ツーピース、多コンポーネントまたは巻き付け型に依存する。一般に、充填剤は、4g/ccよりも大きい密度を有する無機物であり、該当層(1層以上)に含ませたポリマー成分の総質量基準で、約5〜約65質量%の量で存在する。有用な充填剤の例としては、酸化亜鉛、硫酸バリウム、酸化カルシウム、炭酸カルシウム、およびシリカ、並びに他の公知の相応する塩類および酸化物類がある。
また、充填剤は、特製ボールにおけるコアまたは少なくとも1つの追加層の質量を改変するのにも使用し得、例えば、低めの質量のボールは、低スウィング速度を有するプレーヤーに好まれる。
発泡剤または起泡剤
本発明の組成物は、少なくとも1種の物理的または化学的発泡剤または起泡剤を添加することによって発泡させ得る。発泡ポリマーの使用は、ゴルフボールの設計者がボールの密度または質量分布を調節して慣性の角モーメントひいてはボールのスピン速度と性能を調整するのを可能とする。また、発泡材料は、高分子材料の使用減による潜在的コスト節減も提供する。
有用な発泡または起泡剤としては、限定するものではないが、アゾビスホルムアミド;アゾビスイソブチロニトリル;ジアゾアミノベンゼン;N,N-ジメチル-N,N-ジニトロソテレフタルアミド;N,N-ジニトロソペンタメチレン-テトラミン;ベンゼンスルホニル-ヒドラジド;ベンゼン-1,3-ジスルホニルヒドラジド;ジフェニルスルホン3-3,ジスルホニルヒドラジド;4,4'-オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド;p-トルエンスルホニルセミカルビジド;バリウムアゾジカルボキシレート;ブチルアミンニトリル;ニトロ尿素類;トリヒドラジノトリアジン;フェニル-メチル-ウランタン;p-スルホンヒドラジド;パーオキサイド類のような有機発泡剤;並びに重炭酸アンモニウムまたは重炭酸ナトリウムのような無機発泡剤がある。空気、窒素、二酸化炭素等のような気体も、射出成型過程において組成物中に注入し得る。
さらに、本発明の発泡組成物は、ミクロスフェアを成型加工中または前のいずれかで組成物と混合することによっても形成させ得る。高分子、セラミック、金属およびガラスミクロスフェアが本発明において有用であり、固体または中空体、充填または非充填型であり得る。とりわけ、直径で約1000マイクロメートルまでのミクロスフェアが有用である。さらにまた、米国特許第6,386,992号(該米国特許は参考として本明細書に組み込まれる)に開示されているような、発泡のための液体窒素の使用によっても、本発明において使用する高度に均一な発泡組成物が生成し得る。
射出成型または圧縮成型のいずれかを使用して、発泡高分子材料を含む層またはコアを形成させ得る。例えば、本発明の組成物は、熱成形させ得、従って、圧縮成型させ得る。圧縮成型グラフト化メタロセン触媒添加ポリマーブレンド層においては、ハーフシェルを、グラフト化メタロセン触媒添加ポリマーブレンドを通常のハーフシェルモールド内で射出成型するかあるいは発泡グラフト化メタロセン触媒添加ポリマーのシートを圧縮成型することによって製造し得る。ハーフシェルを前以って形成させた中心またはコア、カバー、またはマントル層の周囲に置き、そのアッセンブリを圧縮成型機内に導入し、約250°F〜400°F(約121.1℃〜204.4℃)で圧縮成型する。その後、成型したボールをまだモールド内で冷却し、最後に、グラフト化メタロセン触媒添加ポリマーブレンドの層が変形することなく取扱いするのに十分に硬くなったときに取出す。その後、追加のコア、マントル、およびカバーを上記前以って成型させた層上に、必要に応じて、完全なボールが形成されるまで成型させる。
光安定剤
本発明の組成物は、その中に含有させた不飽和成分からの有意の黄変化を防止するための少なくとも1種の光安定剤成分を含有し得る。光安定剤の使用は、例えば、約15以上の黄色度差(ΔY)を有する組成物において好ましいが、約12〜約15の黄色度差を有する組成物にも添加し得る。本明細書において使用するとき、光安定剤は、ヒンダードアミン光安定剤、紫外線(UV)吸収剤、および酸化防止剤を包含するものと理解し得る。
適切な光安定剤としては、限定するものではないが、TINUVIN(登録商標)292、TINUVIN(登録商標)328、TINUVIN(登録商標)213、TINUVIN(登録商標)765、TINUVIN(登録商標)770およびTINUVIN(登録商標)622がある。TINUVIN(登録商標)製品は、ニューヨーク州タリータウンのCiba Specialty Chemicals社から入手し得る。1つの実施態様においては、光安定剤は、UV吸収剤TINUVIN(登録商標)328であり、芳香族化合物において有用である。もう1つの実施態様においては、ヒンダードアミン光安定剤TINUVIN(登録商標)765を芳香族または脂肪族化合物において使用する。さらに、TINUVIN(登録商標)292も、本発明の芳香族または脂肪族化合物において使用し得る。
前述したように、染料、並びに蛍光増白剤および蛍光顔料も、本発明に従って調整したポリマーにより製造したゴルフボールカバー中に含ませ得る。そのような追加の成分は、その所望の目的を達成する任意の量で添加し得る。
本発明の組成物は、不飽和成分が時間経過につれて黄変することから、好ましくは飽和成分のみを含む。しかしながら、飽和組成物は、変色に対して耐性であるものの、風化時の機械的特性の劣化に対しては免疫ではない。上記組成物のいずれへのUV吸収剤および光安定剤の添加は、引張り強度、伸びおよび色合安定性の維持を助長する。また、光安定化成分の使用は、光分解によるカバー表面破損の防止も助長する。即ち、上記で列挙したような適切なUV吸収剤および光安定剤は、本発明の飽和組成物においても含ませ得る。
得られるポリ尿素エラストマーの剪断抵抗性と耐熱性をさらに改良するためには、多官能性硬化剤を使用して架橋性の改良を助長することができる。本発明の1つの実施態様においては、上記多官能性硬化剤を、上記で詳述したような相溶性凝固点降下剤によって変性する。例えば、トリメチロールプロパンのようなトリオールまたはN,N,N',N'-テトラキス(2-ヒドロキシプロピル)エチレンジアミンのようなテトラオールを組成物に添加し得る。1つの実施態様においては、3,3'-ジメチル-4,4'-ジアミノジシクロヘキシルメタンまたは4,4'-ジアミノジシクロヘキシルメタンのような第1級ジアミンをポリ尿素組成物に添加する。ポリ尿素エラストマーの架橋性を改良するための有用なトリアミン硬化剤としては、限定するものではないが、プロピレンオキサイド系トリアミン類;トリメチロールプロパン系トリアミン類;グリセリン系トリアミン類;N,N-ビス{2-[(アミノカルボニル)アミノ]エチル}-尿素;N,N',N”-トリス(2-アミノエチル)-メタントリアミン;N1-(5-アミノペンチル)-1,2,6-ヘキサントリアミン;1,1,2-エタントリアミン;N,N',N”-トリス(3-アミノプロピル)-メタントリアミン;N1-(2-アミノエチル)-1,2,6-ヘキサントリアミン;N1-(10-アミノデシル)-1,2,6-ヘキサントリアミン;1,9,18-オクタデカントリアミン;4,10,16,22-テトラアザペンタコサン-1,13,25-トリアミン;N1-{3-[[4-[(3-アミノプロピル)アミノ]ブチル]アミノ]プロピル}-1,2,6-ヘキサントリアミン;ジ-9-オクタデセニル-(Z,Z)-1,2,3-プロパントリアミン;1,4,8-オクタントリアミン;1,5,9-ノナントリアミン;1,9,10-オクタデカントリアミン;1,4,7-ヘプタントリアミン;1,5,10-デカントリアミン、1,8,17-ヘプタデカントリアミン;1,2,4-ブタントリアミン;プロパントリアミン;1,3,5-ペンタントリアミン;N1-{3-[[4-[(3-アミノプロピル)アミノ]ブチル]アミノ]プロピル}-1,2,6-ヘキサントリアミン;N1-{4-[(3-アミノプロピル)アミノ]ブチル}-1,2,6-ヘキサントリアミン;2,5-ジメチル-1,4,7-ヘプタントリアミン;N1-(6-アミノヘキシル)-1,2,6-ヘキサントリアミン;6-エチル-3,9-ジメチル-3,6,9-ウンデカントリアミン;1,5,11-ウンデカントリアミン;1,6,11-ウンデカントリアミン;N,N-ビス(アミノメチル)-メタンジアミン;N,N-ビス(2-アミノエチル)-1,3-プロパンジアミン;メタントリアミン;N1-(2-アミノエチル)-N2-(3-アミノプロピル)-1,2,5-ペンタントリアミン;N1-(2-アミノエチル)-1,2,6-ヘキサントリアミン;2,6,11-トリメチル-2,6,11-ドデカントリアミン;1,1,3-プロパントリアミン;6-(アミノメチル)-1,4,9-ノナントリアミン;1,2,6-ヘキサントリアミン;N2-(2-アミノエチル)-1,1,2-エタントリアミン;1,3,6-ヘキサントリアミン;N,N-ビス(2-アミノエチル)-1,2-エタンジアミン;3-(アミノメチル)-1,2,4-ブタントリアミン;1,1,1-エタントリアミン;N1,N1-ビス(2-アミノエチル)-1,2-プロパンジアミン;1,2,3-プロパントリアミン;2-メチル-1,2,3-プロパントリアミン;およびこれらの混合物がある。
芳香成分
本発明のポリ尿素またはポリウレタン組成物中で使用する幾つかの物質は、本質的に臭気性であるかあるいは他の物質または酸素との反応中に臭い発生させる。例えば、硬化剤Ethacure 300の臭いは、該製品が酸素と反応した直後のジメチルジスルフィド(DMDS)に起因している。本明細書で使用するとき、物質または成分は、臭い閾値が空気中で0.029 mg/m3の閾値を上回る場合に臭気性である。芳香またはマスキング成分を本発明の組成物に添加して臭いを排除することができる。芳香成分は、好ましくは、組成物の約0.01質量%〜約1.5質量%の量で添加する。1つの実施態様においては、芳香成分は、組成物に、組成物の約0.03質量%以上の量で添加する。もう1つの実施態様においては、芳香成分は、組成物に、組成物の約1.2質量%以下の量で添加する。さらにもう1つの実施態様においては、芳香成分は、組成物の約0.5質量%〜約1質量%の量で添加する。例えば、芳香成分の最適添加量は組成物の約0.08質量%であり得るが、必要な場合、より多くの添加が効果を高め得る。
適切な芳香成分としては、限定するものではないが、Long Lasting Fragrance Mask #59672、Long Lasting Fragrance Mask #46064、Long Lasting Fragrance Mask #55248、Non-Descript Fragrance Mask #97779、Fresh and Clean Fragrance Mask #88177、およびGarden Fresh Fragrance Mask #87473があり、これらはすべてニュージャージー州モーウォーのFlavor and Fragrance Specialties社により製造されている。本発明の組成物に添加し得る芳香成分の他の非限定的な例としては、ベンズアルデヒド、安息香酸ベンジル、プロピオン酸ベンジル、サリチル酸ベンジル、ベンジルアルコール、ケイ皮酸アルデヒド、植物源由来の天然および芳香油、およびこれらの混合物がある。
組成物ブレンド
本発明の組成物は、好ましくは、組成物がポリウレタン系であるかあるいはポリ尿素系であるどうかによって約1%〜約100%のポリ尿素またはポリウレタンを含むが、他の材料とブレンドすることができる。1つの実施態様においては、本発明の組成物は、約10%〜約90%のポリ尿素またはポリウレタン、好ましくは約10%〜約75%のポリ尿素またはポリウレタンを含有し、約90%〜約10%、好ましくは約90%〜約25%の後述するような他のポリマーおよび/または他の材料を含有する。特に断らない限り、すべてのパーセントは、該当ゴルフボール層の組成物全体の質量パーセントによって示す。
本発明の組成物とブレンドするのに適する他の高分子材料としては、注型可能な熱可塑性物類、カチオンおよびアニオン性ウレタンイオノマーおよびウレタンエポキシ類、ポリウレタンイオノマー類、ポリ尿素イオノマー類、エポキシ樹脂、ポリエチレン類、ポリアミドおよびポリエステル類、ポリカーボネート類、ポリアクリリン、シロキサン類およびエポキシ樹脂類またはそれらのブレンド、およびこれらの混合物がある。当業者であれば、高分子材料を本発明の組成物とブレンドする方法については熟知しているであろう。
適切なウレタンイオノマー類の例は、米国特許第5,692,974号に開示されており、該米国特許の開示は、参考として、その全体が本明細書に組み込まれる。適切なポリウレタンの他の例は、米国特許第5,334,673号に開示されており、該米国特許の開示は、参考として、本明細書に組み込まれる。上述したポリ尿素イオノマーを調製するのに使用する適切なポリ尿素の例は、米国特許第5,484,870号に開示されている。詳細には、米国特許第5,484,870号のポリ尿素は、ポリイソシアネートとポリアミン硬化剤とを反応させてポリ尿素を得ることによって調製されており、ポリ尿素プレポリマーと硬化剤とから調製される本発明のポリ尿素とは異なる。エポキシ基含有硬化剤で硬化させた適切なポリウレタン類の例は、米国特許第5,908,358号に開示されている。これらの特許の開示は、参考として、その全体が本明細書に組み込まれる。
組成物の酸官能化
また、本発明は、2002年2月5日に出願され、“Golf Ball Compositions Comprising a Novel Acid Functional Polyurethane, Polyurea, or Copolymer Thereof”と題した米国特許出願第10/072,395号に開示されているように、本発明のポリウレタンおよびポリ尿素組成物の酸官能化も意図し、該米国特許出願は、参考としてその全体が本明細書に組み込まれる。何ら特定の理論によって拘束するものではないが、酸官能性成分または基を含むポリウレタンおよびポリ尿素は他のコンポーネントまたは層に対して改良された接着性を有するものと信じられている。酸官能基は、好ましくは、スルホン基(HSO3)、カルボキシル基(HCO2)、リン酸基(H2PO3)、またはこれらの組合せに基づく。1タイプ以上の酸官能基を、ポリ尿素またはポリウレタン中に導入し得る。
1つの実施態様においては、酸官能性ポリ尿素またはポリウレタンは、酸官能性成分を有するプレポリマーから調製する。酸基(1個以上)は、ポリウレタン組成物を調製する場合、イソシアネート成分またはポリオール成分上に導入し得る。本発明のポリ尿素組成物を調製する場合、酸基(1個以上)は、イソシアネートまたはポリエーテルアミン成分上に導入し得る。
本発明のポリウレタン組成物において使用する適切な酸官能性ポリオール類は、そのような酸官能性ポリオール類を誘導するのに使用する試薬および方法と一緒に、米国特許第5,661,207号および第6,103,822号に詳細に開示されており、これら米国特許の開示は、参考としてその全体が本明細書に組み込まれる。1つの実施態様においては、ポリウレタンプレポリマーにおいて使用する酸官能性ポリオール類は、ポリエステルポリオール類のカルボキシル化、スルホン化またはリン酸化誘導体を含む。適切な酸官能性ポリオール類は、少なくとも約10、好ましくは約20〜約420、より好ましくは約25〜約150、最も好ましくは約30〜約75の酸価(酸当量を56,100に対して割ることによって算出)を有する。さらに、上記ポリオール類のヒドロキシル価(ヒドロキシル基当量数を56,100に対して割ることによって算出)は、少なくとも約10、好ましくは約20〜約840、より好ましくは約20〜約175、最も好ましくは約50〜約150であり得る。また、ポリオール類は、少なくとも約1.8、好ましくは約2〜約4のヒドロキシル官能性(ポリオール分子当りのヒドロキシル基の平均数)も有し得る。
適切な酸官能性イソシアネートとしては、イソシアネートと酸官能性基含有化合物を、米国特許第4,956,438号および第5,071,578号に記載されているようにして反応させることによって調製し得る酸官能基を有する通常のイソシアネート類があり、これら米国特許の開示は、参考としてその全体が本明細書に組み込まれる。また、酸基(1個以上)は、後重合反応中にも導入でき、その反応において、酸官能基(1個以上)をポリ尿素またはポリウレタンに導入または結合させる。さらにまた、上述したような共重合法により調製した酸官能性ポリ尿素またはポリウレタンには、そのような後重合反応により追加の酸官能性基をさらに導入することができる。ポリ尿素またはポリウレタン上に酸官能基を導入するための適切な薬剤および調製方法は、米国特許第6,207,784号に記載されており、該米国特許の開示全体は参考として本明細書に組み込まれる。当業者であれば、酸官能性ポリ尿素またはポリウレタンを調製する他の方法については承知していることであろう。例えば、上述の各実施態様の組合せを、米国特許第5,661,207号に記載されているようにして使用でき、該米国特許の開示は、参考としてその全体が本明細書に組み込まれる。
上記酸官能性ポリウレタンまたはポリ尿素は、有機もしくは無機金属塩基および/または第3級アミンで部分的にまたは完全的に中和させて、アニオン性ポリウレタン/ポリ尿素イオノマー類を生成させることができる。塩基は、プレポリマーの調製中にまたはすでに重合させた酸官能性ポリウレタンおよびポリ尿素上での別の中和工程として加え得る。これらの局面が同時に起る場合、塩基は、好ましくはすべての段階において存在する。
部分または完全中和において使用する適切な金属塩基としては、金属酸化物、金属水酸化物、金属炭酸塩、金属重炭酸塩および金属酢酸塩のような化合物があり得る。金属イオンとしては、限定するものではないが、第IA、IB、IIA、IIB、IIIA、IIIB、IVA、IVB、VA、VB、VIA、VIB、VIIBおよびVIIIB族の金属イオンがあり得る。そのような塩基の好ましい金属イオンとしては、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、亜鉛、カルシウム、マンガン、アルミニウム、タングステン、ジルコニウム、チタンおよびハフニウムがある。上記アミン類は、好ましくは、トリブチルアミン、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、ジメチルセチルアミンおよび同様な化合物のようなヒンダード第3級アミン類である。第1級または第2級アミン類は、そのアミン水素がイソシアネート基と容易に反応しそれによってポリ尿素またはポリウレタン重合を干渉することから、ポリマーが形成された後の中和工程が起る場合にのみ好ましく使用し得る。当業者であれば、中和用のさらなる適切な薬品については承知していることである。
ゴルフボールコア層
本発明に従って形成させるゴルフボールのコアは、固形、半固形、中空形、流体充填型または粉末充填型、ワンピースまたは多コンポーネントコアであり得る。本明細書において使用するときの用語“半固形”とは、ペースト、ゲル等を称する。当業者に公知の任意のコア材料が本発明のゴルフボールにおいて使用するのに適している。適切なコア材料としては、ゴム、スチレンブタジエン、ポリブタジエン、イソプレン、ポリイソプレン、トランス-イソプレンのような熱硬化性材料;イオノマー樹脂、ポリアミド類またはポリエステル類のような熱可塑性材料;並びに熱可塑性および熱硬化性ポリウレタンエラストマーがある。前述したように、本発明のポリウレタンまたはポリ尿素組成物は、コアを含む任意のゴルフボールコンポーネントに混入させ得る。例えば、コア層は、本発明のポリ尿素/尿素組成物、ポリ尿素/ウレタン組成物、ポリウレタン/ウレタン組成物、またはポリウレタン/尿素組成物の少なくとも1種を含有し得る。
1つの実施態様においては、ゴルフボールコアは、ベースゴム(天然、合成またはその組合せ)、架橋剤および充填剤を含む組成物から形成させる。もう1つの実施態様においては、ゴルフボールコアは、シス-・トランス-変換触媒、ポリブタジエンを含む弾力性ポリマー成分、フリーラジカル源、および任意構成成分としての架橋剤、充填剤またはその両方を含む反応生成物から形成させる。2,002年7月9日に出願され、“Low Compression, Resilient Golf Balls With Rubber Core”と題する係属中で且つ同時譲渡された米国特許出願第10/190,705号(該出願の開示はその全体が参考として本明細書に組み込まれる)に開示されているもののような、ポリマー類、シス-・トランス-変換触媒、充填剤、架橋剤、およびフリーラジカル源の種々の組合せを使用して上記反応生成物を調製し得る。このポリブタジエン反応生成物はコア組成物に関する項において説明されているけれども、本発明は、任意のゴルフボールコンポーネントの少なくとも1部を構成させる該反応生成物の使用も意図する。
本明細書において使用するとき、用語コアおよび中心は、一般に、ボールの最内部コンポーネントを表すのに互換的使用する。しかしながら、幾つかの実施態様においては、用語“中心”は、複数のコア層、即ち、中心と外側コア層が存在する場合に使用する。
ポリブタジエン成分
高めの弾力性および低めの圧縮性を得るためには、好ましくは約40%よりも多いシス-異性体含有量を有する高分子量ポリブタジエンを転換させて、ゴルフボールまたはその1部中で任意の時点でトランス-異性体含有量の割合を増大させる。1つの実施態様においては、シス-異性体は、総ポリブタジエン含有量の約70%よりも多い、好ましくは約80%よりも多い、より好ましくは約90%よりも多い量で存在する。さらにもう1つの実施態様においては、シス-異性体は、総ポリブタジエン含有量の約95%よりも多い、より好ましくは約96%よりも多い量で存在する。
低量の1,2-ポリブタジエン異性体(“ビニル-ポリブタジエン”)が初期ポリブタジエンおよび反応生成物中で所望される。1つの実施態様においては、ビニルポリブタジエン異性体含有量は、約7%未満、好ましくは約4%未満、より好ましくは約2%未満である。
上記ポリブタジエン材料は、約200,000よりも大きい絶対分子量を有し得る。1つの実施態様においては、上記ポリブタジエン分子量は、約250,000よりも大きく、好ましくは約300,000〜500,000である。もう1つの実施態様においては、上記ポリブタジエン分子量は、約400,000以上である。該材料の多分散性は約2よりも高くなく、より好ましくは1.8よりも高くなく、さらにより好ましくは1.6よりも高くないのが好ましい。
1つの実施態様においては、上記ポリブタジエンは、約20よりも高い、好ましくは約30よりも高い、より好ましくは約40よりも高いムーニー粘度を有する。ムーニー粘度は、ASTM D-1646に従って典型的に測定する。もう1つの実施態様においては、上記ポリブタジエンのムーニー粘度は、約35よりも高く、好ましくは約50よりも高い。さらにもう1つの実施態様においては、上記ムーニー粘度は、約120以下である。例えば、未加硫ポリブタジエンのムーニー粘度は、約40〜約120であり得る。1つの実施態様においては、上記ムーニー粘度は、約40〜約80である。もう1つの実施態様においては、上記ムーニー粘度は、約45〜約60、より好ましくは約45〜約55である。
1つの実施態様においては、上記中心組成物は、少なくとも約40の弾力性指数を有する少なくとも1種のゴム材料を含む。もう1つの実施態様においては、上記少なくとも1種のゴム材料の弾力性指数は、少なくとも約50である。
望ましいポリブタジエンゴムの例としては、オハイオ州アクロンのBayer社から商業的に入手し得るBUNA(登録商標)CB22およびBUNA(登録商標)CB23;日本東京のUbe Industries社から商業的に入手し得るUBEPOL(登録商標)360LおよびUBEPOL(登録商標)150L;テキサス州ヒューストンのShell社から商業的に入手し得るCARIFLEX(登録商標)BCP820、CARIFLEX(登録商標)BCP824、CARIFLEX(登録商標)BR1220;オハイオ州アクロンのGoodyear社から商業的に入手し得るKINEX(登録商標)7245およびKINEX(登録商標)7665がある。所望であれば、上記ポリブタジエンは、天然ゴム、ポリイソプレンゴムおよび/またはスチレン-ブタジエンゴムのような当該技術において公知の他のエラストマーと混合して、コアの特性を改変させることもできる。
触媒
何ら理論によって拘束するものではないが、シス-・トランス-変換触媒は、フリーラジカル源と一緒に、ポリブタジエンポリマー成分のある割合をシス-からトランス-形へ転換させるように作用するものと信じられている。即ち、シス-・トランス-変換は、好ましくは、有機イオウまたは金属含有有機イオウ化合物、イオウまたは金属を含有しない置換または非置換芳香族有機化合物、無機スルフィド化合物、芳香族有機金属化合物、またはこれらの混合物のようなシス-・トランス-変換触媒の存在を含む。
本明細書において使用するとき、“シス-・トランス-変換触媒”とは、シス-異性体の少なくとも1部を一定の温度でトランス-異性体に変換させる任意の成分またはその組合せを意味する。シス-・トランス-変換触媒成分は、本明細書において記載する1種以上のシス-・トランス-変換触媒を含み得るが、典型的には、少なくとも1種の有機イオウ成分、第VIA族成分、無機硫化物、またはこれらの組合せを含む。1つの実施態様においては、シス-・トランス-変換触媒は、有機イオウ化合物と無機硫化物成分または第VIA族成分とのブレンドである。
本発明に関連して本明細書において使用するとき、用語“有機イオウ化合物”または“有機イオウ成分”とは、炭素、水素およびイオウを含有する任意の化合物を称する。本明細書において使用するとき、用語“イオウ成分”とは、元素状イオウ、高分子イオウ、またはこれらの組合せである成分を意味する。さらに、“元素状イオウ”とはS8の環構造体を称し、“高分子イオウ”とは元素状イオウに対して少なくとも1個の追加のイオウを含む構造体であることも理解すべきである。
シス-・トランス-変換触媒は、トランス-ポリブタジエン異性体含有量を総弾力性ポリマー成分基準で約5%〜70%のトランス-異性体ポリブタジエンを含有するように増大させるような反応生成物を生成させるのに十分な量で典型的に存在する。好ましいのは、シス-・トランス-変換触媒は、トランス-ポリブタジエン異性体含有量を少なくとも約15%、より好ましくは少なくとも約20%、さらにより好ましくは少なくとも約25%増大させるのに十分な量で存在する。
従って、シス-・トランス-変換触媒は、総弾力性ポリマー成分100部当り約0.1〜約25部の量で存在する。本明細書において使用するとき、“pph”としても知られている“100部当りの部”とは、総ポリマー成分の100質量部に対しての混合物中に存在するある特定成分の質量部数として定義する。数学的には、この数値は、1つの成分の質量をポリマーの総質量で割り100の係数を掛けたものとして表し得る。1つの実施態様においては、シス-・トランス-変換触媒は、総弾力性ポリマー成分の約0.1〜約12pphの量で存在する。もう1つの実施態様においては、シス-・トランス-変換触媒は、総弾力性ポリマー成分の約0.1〜約10pphの量で存在する。さらにもう1つの実施態様においては、シス-・トランス-変換触媒は、総弾力性ポリマー成分の約0.1〜約8pphの量で存在する。さらにもう1つの実施態様においては、シス-・トランス-変換触媒は、総弾力性ポリマー成分の約0.1〜約5pphの量で存在する。また、上記範囲の下限値は、0.1pphは所望量の転換を与えないと判断された場合には増大させ得る。例えば、存在するシス-・トランス-変換触媒の量は、約0.5以上、0.75以上、1.0以上、または1.5以上であり得る。
本発明において使用する適切な有機イオウ成分としては、限定するものではないが、ジフェニルジスルフィド;4,4'-ジトリルジスルフィド;2,2'-ベンズアミドジフェニルジスルフィド;ビス(2-アミノフェニル)ジスルフィド;ビス(4-アミノフェニル)ジスルフィド;ビス(3-アミノフェニル) ジスルフィド;2,2'-ビス(4-アミノナフチル)ジスルフィド;2,2'-ビス(3-アミノナフチル)ジスルフィド;2,2'-ビス(4-アミノナフチル)ジスルフィド;2,2'-ビス(5-アミノナフチル)ジスルフィド;2,2'-ビス(6-アミノナフチル)ジスルフィド;2,2'-ビス(7-アミノナフチル)ジスルフィド;2,2'-ビス(8-アミノナフチル)ジスルフィド;1,1'-ビス(2-アミノナフチル)ジスルフィド;1,1'-ビス(3-アミノナフチル)ジスルフィド;1,1'-ビス(3-アミノナフチル)ジスルフィド;1,1'-ビス(4-アミノナフチル)ジスルフィド;1,1'-ビス(5-アミノナフチル)ジスルフィド;1,1'-ビス(6-アミノナフチル)ジスルフィド;1,1'-ビス(7-アミノナフチル)ジスルフィド;1,1'-ビス(8-アミノナフチル)ジスルフィド;1,2'-ジアミノ-1,2'-ジチオジナフタレン;2,3'-ジアミノ-1,2'-ジチオジナフタレン;ビス(4-クロロフェニル)ジスルフィド;ビス(2-クロロフェニル)ジスルフィド;ビス(3-クロロフェニル)ジスルフィド;ビス(4-ブロモフェニル)ジスルフィド;ビス(2-ブロモフェニル)ジスルフィド;ビス(3-ブロモフェニル)ジスルフィド;ビス(4-フルオロフェニル)ジスルフィド;ビス(4-イオドフェニル)ジスルフィド;ビス(2,5-ジクロロフェニル)ジスルフィド;ビス(3,5-ジクロロフェニル)ジスルフィド;ビス(2,4-ジクロロフェニル)ジスルフィド;ビス(2,6-ジクロロフェニル)ジスルフィド;ビス(2,5-ジブロモフェニル)ジスルフィド;ビス(3,5-ジブロモフェニル)ジスルフィド;ビス(2-クロロ-5-ブロモフェニル)ジスルフィド;ビス(2,4,6-トリクロロフェニル)ジスルフィド;ビス(2,3,4,5,6-ペンタクロロフェニル)ジスルフィド;ビス(4-シアノフェニル)ジスルフィド;ビス(2-シアノフェニル)ジスルフィド;ビス(4-ニトロフェニル)ジスルフィド;ビス(2-ニトロフェニル)ジスルフィド;2,2'-ジチオベンゾイックエチル;2,2'-ジチオベンゾイックメチル;2,2'-ジチオ安息香酸;4,4'-ジチオベンゾイックエチル;ビス(4-アセチルフェニル)ジスルフィド;ビス(2-アセチルフェニル)ジスルフィド;ビス(4-ホルミルフェニル)ジスルフィド;ビス(4-カルバモイルフェニル)ジスルフィド;1,1'-ジナフチルジスルフィド;2,2'-ジナフチルジスルフィド;1,2'-ジナフチルジスルフィド;2,2'-ビス(1-クロロジナフチル)ジスルフィド;2,2'-ビス(1-ブロモナフチル)ジスルフィド;1,1'-ビス(2-クロロナフチル)ジスルフィド;2,2'-ビス(1-シアノナフチル)ジスルフィド;2,2'-ビス(1-アセチルナフチル)ジスルフィド等の少なくとも1種、またはこれらの混合物がある。最も好ましい有機イオウ成分は、ジフェニルジスルフィド、4,4'-ジトリルジスルフィドまたはこれらの混合物、とりわけ4,4'-ジトリルジスルフィドを含む。1つの実施態様においては、上記少なくとも1種の有機イオウ成分は、金属を実質的に含まない。本明細書において使用するとき、用語“金属を実質的に含まない”とは、約10質量%未満、好ましくは約5質量%未満、より好ましくは約3質量%未満、さらにより好ましくは約1質量%未満、最も好ましくは約0.01質量%未満を意味する。イオウまたは金属を含まない適切な置換または非置換芳香族有機化合物としては、限定するものではないが、ジフェニルアセチレン、アゾベンゼン、またはこれらの混合物がある。その芳香族有機基は、好ましくはC6〜C20、より好ましくはC6〜C10のサイズ範囲にある。
1つの実施態様においては、上記有機イオウシス-・トランス-変換触媒は、反応生成物中に約0.5pph以上の量で存在する。もう1つの実施態様においては、有機イオウ成分を含む上記シス-・トランス-変換触媒は、反応生成物中に約0.6pph以上の量で存在する。さらにもう1つの実施態様においては、有機イオウ成分を含む上記シス-・トランス-変換触媒は、反応生成物中に約1.0pph以上の量で存在する。さらにもう1つの実施態様においては、有機イオウ成分を含む上記シス-・トランス-変換触媒は、反応生成物中に約2.0pph以上の量で存在する。
適切な金属含有有機イオウ成分としては、限定するものではないが、ジエチルジチオカーボネート、ジアミルジチオカーボネートおよびジメチルジチオカーボネートのカドミウム、銅、鉛およびテルルアナログ類、およびこれらの混合物がある。1つの実施態様においては、上記金属含有有機イオウシス-・トランス-変換触媒は、反応生成物中に約1.0pph以上の量で存在する。もう1つの実施態様においては、第VIA族成分を含む上記シス-・トランス-変換触媒は、反応生成物中に約2.0pph以上の量で存在する。さらにもう1つの実施態様においては、第VIA族成分を含む上記シス-・トランス-変換触媒は、反応生成物中に約2.5pph以上の量で存在する。さらにもう1つの実施態様においては、第VIA族成分を含む上記シス-・トランス-変換触媒は、反応生成物中に約3.0pph以上の量で存在する。また、上記有機イオウ成分は、ハロゲン化有機イオウ化合物でもあり得る。ハロゲン化有機イオウ化合物としては、限定するものではないが、下記の一般式を有する化合物:
Figure 0004105653
(式中、R1〜R5は、任意の順序でのC1〜C8アルキル基;ハロゲン基;チオール基(-SH);カルボキシル化基;スルホン化基;および水素であり得る);
さらにまた、ペンタフルオロチオフェノール;2-フルオロチオフェノール;3-フルオロチオフェノール;4-フルオロチオフェノール;2,3-フルオロチオフェノール;2,4-フルオロチオフェノール;3,4-フルオロチオフェノール;3,5-フルオロチオフェノール;2,3,4-フルオロチオフェノール;3,4,5-フルオロチオフェノール;2,3,4,5-テトラフルオロチオフェノール;2,3,5,6-テトラフルオロチオフェノール;4-クロロテトラフルオロチオフェノール;ペンタクロロチオフェノール;2-クロロチオフェノール;3-クロロチオフェノール;4-クロロチオフェノール;2,3-クロロチオフェノール;2,4-クロロチオフェノール;3,4-クロロチオフェノール;3,5-クロロチオフェノール;2,3,4-クロロチオフェノール;3,4,5-クロロチオフェノール;2,3,4,5-テトラクロロチオフェノール;2,3,5,6-テトラクロロチオフェノール;ペンタブロモチオフェノール;2-ブロモチオフェノール;3-ブロモチオフェノール;4-ブロモチオフェノール;2,3-ブロモチオフェノール;2,4-ブロモチオフェノール;3,4-ブロモチオフェノール;3,5-ブロモチオフェノール;2,3,4-ブロモチオフェノール;3,4,5-ブロモチオフェノール;2,3,4,5-テトラブロモチオフェノール;2,3,5,6-テトラブロモチオフェノール;ペンタイオドチオフェノール;2-イオドチオフェノール;3-イオドチオフェノール;4-イオドチオフェノール;2,3-イオドチオフェノール;2,4-イオドチオフェノール;3,4-イオドチオフェノール;3,5-イオドチオフェノール;2,3,4-イオドチオフェノール;3,4,5-イオドチオフェノール;2,3,4,5-テトライオドチオフェノール;2,3,5,6-テトライオドチオフェノール;並びにこれらの金属塩、例えば、亜鉛、マグネシウム、リチウム、カルシウム、カリウム、マンガン、ニッケル等の塩がある。好ましくは、上記ハロゲン化有機イオウ化合物は、ペンタクロロチオフェノールであり、純粋形でまたは商品名STRUKTOL(登録商標)即ち、45%(2.4部のPCTPに相当)担持させた該イオウ化合物ペンタクロロチオフェノール含有クレー系担体として商業的に入手可能である。STRUKTOL(登録商標)、オハイオ州ストーのStruktol Company of America社から商業的に入手可能である。PCTPは、純粋形でカリフォルニア州サンフランシスコのeChinachem社から、塩形でカリフォルニア州サンフランシスコのeChinachem社から商業的に入手可能である。最も好ましくは、上記ハロゲン化有機イオウ化合物は、ペンタクロロチオフェノールの亜鉛塩であり、カリフォルニア州サンフランシスコのeChinachem社から商業的に入手可能である。本発明のハロゲン化有機イオウ化合物は、好ましくは約2.2pphよりも多い、より好ましくは約2.3pph〜約5pph、最も好ましくは約2.3〜約4pphの量で存在する。
上記シス-・トランス-変換触媒は、第VIA族成分も含み得る。本明細書において使用するとき、用語“第VIA族成分”または“第VIA族元素”は、イオウ成分、セレニウム、テルル、またはこれらの組合せを含む成分を意味する。元素状イオウおよび高分子イオウは、例えば、オハイオ州チャードンのElastochem社から商業的に入手可能である。イオウ触媒化合物の例としては、PB(RM-S)-80元素状イオウおよびPB(CRST)-65高分子イオウがあり、各々、Elastochem社から入手し得る。1例としての商品名TELLOYのテルル触媒および1例としての商品名VANDEXのセレニウム触媒は、各々、コネチカット州ノーウォークのRT Vanderbilt社から商業的に入手可能である。
1つの実施態様においては、第VIA族成分を含むシス-・トランス-変換触媒は、反応生成物中に約0.25pph以上の量で存在する。もう1つの実施態様においては、第VIA族成分を含むシス-・トランス-変換触媒は、反応生成物中に約0.5pph以上の量で存在する。さらにもう1つの実施態様においては、第VIA族成分を含むシス-・トランス-変換触媒は、反応生成物中に約1.0pph以上の量で存在する。
適切な無機硫化物成分としては、限定するものではないが、硫化チタン、硫化マグネシウム、並びに鉄、カルシウム、コバルト、モリブデン、タングステン、銅、セレニウム、イットリウム、亜鉛、錫およびビスマスの硫化物アナログ類がある。1つの実施態様においては、無機硫化物成分を含むシス-・トランス-変換触媒は、反応生成物中に約0.5pph以上の量で存在する。もう1つの実施態様においては、第VIA族成分を含むシス-・トランス-変換触媒は、反応生成物中に約0.75pph以上の量で存在する。さらにもう1つの実施態様においては、第VIA族成分を含むシス-・トランス-変換触媒は、反応生成物中に約1.0pph以上の量で存在する。反応生成物が有機イオウ成分と無機硫化物成分を含むシス-・トランス-変換触媒の混合物を含む場合、有機イオウ成分は、好ましくは約0.5以上、好ましくは1.0以上、より好ましくは約1.5以上の量で存在し、無機硫化物成分は、好ましくは約0.5pph以上、好ましくは0.75pph以上、より好ましくは約1.0pph以上の量で存在する。
また、置換または非置換芳香族有機化合物も上記シス-・トランス-変換触媒中に含ませ得る。1つの実施態様においては、芳香族有機化合物は、金属を実質的に含まない。適切な置換または非置換芳香族有機化合物としては、限定するものではないが、式(R1)x-R3-M-R4-(R2)yを有する成分があり、式中、R1およびR2は、各々、水素、または置換または非置換のC1〜C20線状、枝分れまたは環状のアルキル、アルコキシまたはアルキルチオ基、または単環、多環または縮合環のC6〜C24芳香族基であり;xおよびyは、各々、0〜5の整数であり;R3およびR4は、各々、単環、多環または縮合環のC6〜C24芳香族基から選ばれ;Mは、アゾ基または金属成分である。R3およびR4は、各々、好ましくはC6〜C10芳香族基から選ばれ、より好ましくはフェニル、ベンジル、ナフチル、ベンズアミドおよびベンゾチアジルから選ばれる。R1およびR2は、各々、好ましくは、置換または非置換のC1〜C10線状、枝分れまたは環状のアルキル、アルコキシまたはアルキルチオ基、またはC6〜C10芳香族基から選ばれる。R1、R2、R3またはR4が置換されている場合、その置換基としては、1種以上の以下の置換基があり得る:ヒドロキシおよびその金属塩;メルカプトおよびその金属塩;ハロゲン;アミノ、ニトロ、シアノおよびアミド;エステル類、酸類およびその金属塩を含むカルボキシル;シリル;アクリレート類およびその金属塩;スルホニルまたはスルホンアミド;およびホスフェート類およびホスファイト類。Mが金属成分である場合、Mは、当業者に入手し得る任意の適切な元素状金属であり得る。典型的には、金属は、遷移金属であるが、好ましくは、テルルまたはセレニウムである。
フリーラジカル源
多くの場合フリーラジカル開始剤とも称されるフリーラジカル源は、本発明の組成物および方法において好ましい。フリーラジカル源は、典型的にはパーオキサイド、好ましくは有機パーオキサイドであり、硬化サイクル中に分解する。適切なフリーラジカル源としては、ジ-t-アミルパーオキサイド、ジ(2-t-ブチル-パーオキシイソプロピル)ベンゼンパーオキサイドまたは-ビス(t-ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサンまたは1,1-ジ(t-ブチルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、ジクミルパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド、2,5-ジ-(t-ブチルパーオキシ)-2,5-ジメチルヘキサン、n-ブチル-4,4-ビス(t-ブチルパーオキシ)バレート、ラウリルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t-ブチルヒドロパーオキサイド等のような有機パーオキサイド化合物、およびこれらの任意の混合物がある。
他の例としては、限定するものではないが、ペンシルベニア州フィラデルフィアのElf Atochem社から商業的に入手可能であるVAROX(登録商標)231 XLおよびVarox(登録商標)DCP-R;イリノイ州シカゴのAkzo Nobel社から商業的に入手可能であるPERKADOX(登録商標)BCおよびPERKADOX(登録商標)14;およびニュージャージー州トレントンのRhein Chemie社から商業的に入手可能であるELASTOCHEM(登録商標)DCP-70がある。パーオキサイド類が異なる活性を有する種々の形で入手し得ることは周知である。その活性は、“活性酸素含有量”として典型的に定義される。例えば、PERKADOX(登録商標)BCパーオキサイドは、98%活性であり、5.8%の活性酸素含有量を有し、一方、PERKADOX(登録商標)DCP-70は、70%活性であり、4.18%の活性酸素含有量を有する。パーオキサイドは、総弾力性ポリマー成分100部当り約0.1部よりも多い、好ましくは総弾力性ポリマー成分100部当り約0.1〜15部、より好ましくは総弾力性ポリマー成分100部当り約0.2〜5部の量で存在し得る。パーオキサイドが純粋形で存在する場合、パーオキサイドは、好ましくは少なくとも約0.25pph、より好ましくは約0.35pph〜約2.5pph、最も好ましくは約0.5pph〜約2pphの量で存在する。
また、パーオキサイド類は、上述のように、種々の活性を有することが良く知られている濃縮形でも入手し得る。この場合、濃縮物パーオキサイドを本発明において使用するならば、当業者であれば、純粋パーオキサイドとしての適切な濃度を濃縮物パーオキサイドにおいて上記の活性で割ることによって容易に調整し得ることを承知している。例えば、純粋パーオキサイドの2pphは、50%活性である濃縮物パーオキサイドの4pphと等価である(即ち、2÷0.5 = 4)。
1つの実施態様においては、フリーラジカル源の量は、約5pph以下であるが、約3pph以下であってもよい。もう1つの実施態様においては、フリーラジカル源の量は、約2.5pph以下である。さらにもう1つの実施態様においては、フリーラジカル源の量は、約2pph以下である。さらにもう1つの実施態様においては、フリーラジカル源の量は、約1pph以下、好ましくは約0.75pph以下である。
当業者であれば、本発明に従うある種のシス-・トランス-変換触媒の存在が、通常の架橋反応に比較して、上述の量のような大量のフリーラジカル源にとってより適していることを理解すべきである。フリーラジカル源は、代替的にまたは追加的に、電子ビーム、UVまたはガンマ線、x線、またはフリーラジカルを発生させ得る任意の他の高エネルギー放射線源の1つ以上であり得る。熟練技術者であれば、加熱がフリーラジカル発生の開始を多くの場合容易にすることを承知している。
1つの実施態様においては、上記フリーラジカル源対上記シス-・トランス-変換触媒の比は、約10以下であるが、約5以下でもよい。さらに、上記フリーラジカル源対上記シス-・トランス-変換触媒の比は、約4以下であり得が、約2以下でも、約1以下でもよい。もう1つの実施態様においては、上記フリーラジカル源対上記シス-・トランス-変換触媒の比は、約0.5以下、好ましくは約0.4以下である。さらにもう1つの実施態様においては、上記フリーラジカル源対上記シス-・トランス-変換触媒の比は、約1.0よりも大きい。さらにもう1つの実施態様においては、上記フリーラジカル源対上記シス-・トランス-変換触媒の比は、約1.5以上、好ましくは約1.75以上である。
架橋剤
架橋剤を含ませて反応生成物の硬度を増大させ得る。適切な架橋剤としては、亜鉛、カルシウムまたはマグネシウムのアクリル酸塩等、およびこれらの混合物のような、アクリル酸、メタクリル酸またはモノカルボン酸のような3〜8個の炭素原子を有する不飽和脂肪酸の1種以上の塩類がある。例としては、限定するものではないが、1種以上の金属のジアクリル酸塩、ジメタクリル酸塩およびモノメタクリル酸塩類があり、金属は、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、アルミニウム、ナトリウム、リチウムまたはニッケルである。好ましいアクリル酸塩類としては、アクリル酸亜鉛、ジアクリル酸亜鉛、メタクリル酸亜鉛、ジメタクリル酸亜鉛、およびこれらの混合物がある。1つの実施態様においては、メタクリル酸亜鉛をペンタクロロチオフェノールの亜鉛塩と組合せて使用する。架橋剤は、弾力性ポリマー成分中のポリマー鎖の部分を架橋させるのに十分な量で存在しなければならない。例えば、所望の圧縮性は、架橋剤の量を調整することによって得られ得る。これは、例えば、当業者にとって周知の方法で架橋剤のタイプと量を変えることによって達成し得る。架橋剤は、典型的にはポリマー成分の約0.1%よりも多い、好ましくはポリマー成分の約10〜50%、より好ましくはポリマー成分の約10〜40%の量で存在する。
1つの実施態様においては、上記架橋剤は、ベースポリマー100部当り約10部(“pph”)よりも多い、好ましくはベースポリマーの約20〜約40pph、より好ましくはベースポリマーの約25〜約35pphの量で存在する。有機イオウをシス-・トランス-変換触媒として選定した場合には、ジアクリル酸亜鉛を架橋剤として選択でき、約25pph未満の量で存在させる。
促進剤
元素状イオウまたは高分子イオウを上記シス-・トランス-変換触媒中に含ませる場合、促進剤を使用してシス-・トランス-変換触媒の性能を改善させ得ることを理解すべきである。適切な促進剤としては、限定するものではないが、N-オキシジエチレン-2-ベンゾチアゾール-スルフェンアミドのようなスルフェンアミド、ベンゾチアジルジスルフィドのようなチアゾール、ビスマスジメチルジチオカルバメートのようなジチオカルバメート、テトラベンジルチウラムジスルフィドのようなチウラム、亜鉛イソプロピルキサンテートのようなキサンテート、チアジアジン、トリメチルチオ尿素のようなチオ尿素、N,N'-ジ-オルソ-トリルグアナジンのようなグアナジン、またはブチルアルデヒド-アニリン縮合生成物のようなアルデヒド-アミン、あるいはこれらの混合物がある。
酸化防止剤
典型的には、酸化防止剤は、酸化防止剤がゴルフボールコアにおいて使用するコンパウンド類の製造業者によって供給される材料中に含まれていることから、通常のゴルフボールコア組成物中には含まれている。何ら特定の理論によって拘束するものではないが、反応生成物中の高量の酸化防止剤は、酸化防止剤がフリーラジカル源の少なくとも1部を消費するので、少な目のトランス-異性体含有量を生じ得る。このように、例えば、約3pphのような前述した反応生成物における高量のフリーラジカル源においてさえも、約0.3pphよりも多い酸化防止剤の量は、シス-・トランス-変換を助長させるのに実際に利用できるフリーラジカルの有効量を有意に減少させ得る。
組成物中の酸化防止剤の存在はフリーラジカルがシス-・トランス-変換を適切に助長する能力を抑制し得ると信じられているので、上記変換において使用するフリーラジカルの十分な量を確保する1つの方法は、組成物中に存在するフリーラジカルの初期量を増大させて、フリーラジカルの十分な量を酸化防止剤との相互作用後に組成物中に残存させるようにすることである。即ち、組成物中で使用するフリーラジカルの初期量は、少なくとも約10%増大させ得、より好ましくは少なくとも約25%増大させて所望のシス-・トランス-変換を適切に行うのに十分な有効量のフリーラジカルを残存させることである。組成物中に存在する酸化防止剤の量によるが、フリーラジカルの初期量は、少なくとも50%、100%、或いは必要に応じてそれ以上の量さえも増大させ得る。後述するように、組成物中のフリーラジカル量の選択は、フリーラジカル対酸化防止剤の所望比に基づいて決定し得る。
もう1つの方法は、組成物中の酸化防止剤量を減少または削減させることである。例えば、本発明の反応生成物は、実質的に酸化防止剤を含まず、それによってシス-・トランス-変換に向けてのフリーラジカルのより多量の利用を達成する。本明細書において使用するとき、用語“実質的に含まず”は、ポリブタジエン反応生成物が約0.3phh未満の酸化防止剤、好ましくは約0.1phh未満の酸化防止剤、より好ましくは約0.05phh未満の酸化防止剤、最も好ましくは約0.01phh未満の酸化防止剤しか含まないことを一般に意味する。
酸化防止剤の量は、変換後のトランス-異性体含有量と相関を有することが本発明において示されている。例えば、335°F(168.3℃)で11分間硬化させた0.5pphの酸化防止剤を含むポリブタジエン反応生成物は、変換後、中心の外表面において約15%、内部位置において約13.4%のトランス-異性体含有量を生じている。対照的に、酸化防止剤を実質的に含まない同じポリブタジエン反応生成物は、変換反応後、外表面において約32%、内部位置において約21.4%のトランス-異性体含有量を生ずる。
1つの実施態様においては、フリーラジカル源対酸化防止剤の比は、約10よりも大きい。もう1つの実施態様においては、フリーラジカル源対酸化防止剤の比は、約25よりも大きく、好ましくは約50よりも大きい。さらにもう1つの実施態様においては、フリーラジカル源対酸化防止剤の比は、約100以上である。さらにもう1つの実施態様においては、フリーラジカル源対酸化防止剤の比は、約200以上、好ましくは250以上、より好ましくは約300以上である。
反応生成物が酸化防止剤を実質的に含まない場合、フリーラジカル源の量は、好ましくは約3pph以下である。1つの実施態様においては、フリーラジカル源は、約2.5pph以下、好ましくは約2pph以下の量で存在する。さらにもう1つの実施態様においては、反応生成物中のフリーラジカル源の量は、約1.5pph以下、好ましくは約1pph以下である。さらにもう1つの実施態様においては、フリーラジカル源は、約0.75pph以下の量で存在する。
反応生成物が約0.1pph以上の酸化防止剤を含有する場合、フリーラジカル源は、好ましくは約1pph以上の量で存在する。もう1つの実施態様においては、反応生成物が約0.1pph以上の酸化防止剤を含有する場合、フリーラジカル源は、約2pphの量以上で存在する。もう1つの実施態様においては、 フリーラジカル源は、酸化防止剤が約0.1pph以上の量で存在する場合、約2.5pph以上の量で存在する。
1つの実施態様においては、反応生成物が約0.05pphよりも多い酸化防止剤を含有する場合、フリーラジカル源は、好ましくは約0.5pph以上の量で存在する。もう1つの実施態様においては、反応生成物が約0.05pphよりも多い酸化防止剤を含む場合、フリーラジカル源は、約2pph以上の量で存在する。もう1つの実施態様においては、 フリーラジカル源は、酸化防止剤が約0.05pph以上の量で存在する場合、約2.5pph以上の量で存在する。
他の添加剤
ゴルフボール組成物中に通常含ませるさらなる物質を本発明のポリブタジエン反応生成物に添加することができる。これらのさらなる物質としては、限定するものではないが、密度調節用充填剤、着色剤、反応促進剤、架橋剤、白色化剤、UV吸収剤、ヒンダードアミン光安定剤、消泡剤、加工助剤、および他の通常の添加剤がある。安定剤、軟化剤、内部および外部可塑剤を含む可塑剤、衝撃改良剤、発泡剤、賦形剤、補強材および相溶化剤も、本発明のいずれの組成物にも添加し得る。これらの物質は、すべて当該技術において周知であり、それらの通常の目的において典型的な量で添加する。
例えば、本発明のポリウレタンおよびポリ尿素組成物に関連して前述した充填剤を上記ポリブタジエン反応生成物に添加して、流動および混合特性、比重(即ち、密度改良用充填剤)、モジュラス、引裂き強度、補強等に作用させ得る。充填剤は、コアの質量を改変するのにも使用でき、例えば、低めの質量のボールは、低スウィング速度を有するプレーヤーに好まれる。
トランス-異性体変換
前述したように、ポリブタジエンコア材料中でシス-異性体をトランス-異性体に変換することは好ましくあり得る。即ち、1つの実施態様においては、変換後のトランス-異性体の含有量は、少なくとも約10%以上、さらには、約12%以上である。もう1つの実施態様においては、トランス-異性体含有量は、変換後約15%以上である。さらにもう1つの実施態様においては、変換後のトランス-異性体含有量は、約20%以上、好ましくは約25%以上である。さらにもう1つの実施態様においては、変換後のトランス-異性体含有量は、約30%以上、好ましくは約32%以上である。また、変換後のトランス-異性体量は、約35%以上、約38%以上、あるいは約40%以上でさえもあり得る。さらにもう1つの実施態様においては、変換後のトランス-異性体量は、約42%以上、あるいは約45%以上でさえもあり得る。
本発明の反応生成物を含むコンポーネントの硬化部分は、内部位置での第1量のトランス-異性体ポリブタジエンと外表面位置での第2量のトランス-異性体ポリブタジエンを含み得る。1つの実施態様においては、外表面位置のトランス-異性体量は、内部位置のトランス-異性体量よりも多い。以下の実施例においてさらに例示するように、変換後の外表面および内部位置間でのトランス-異性体含有量の差異は、変換反応において使用する硬化サイクルおよび物質比によって異なり得る。例えば、これらの差異が外部部分よりも内部部分において多量のトランス-異性体を有する中心を表すことも可能である。
中心の外部部分は、上述した約45%以上の量までおよびそれらの量を含む約10%以上、約12%以上、約15%以上等の量のようなすでに上述した量で、変換後のトランス-異性体量を有する。例えば、本発明の1つの実施態様においては、ポリブタジエン反応生成物は、中心部分の外表面において約35%〜60%のトランス-異性体を含有し得る。もう1つの実施態様は、中心部分の外表面において約40%〜50%のトランス-異性体を含む。1つの実施態様においては、上記反応生成物は、中心部分の外表面において約45%のトランス-異性体ポリブタジエンを含有する。1つの実施態様においては、固形中心部分の中心における反応生成物は、その場合、外表面に存在するよりも少なくとも約20%低いトランス-異性体、好ましくは少なくとも約30%低いトランス-異性体、または少なくとも約40%低いトランス-異性体を含有し得る。もう1つの実施態様においては、内部位置におけるトランス-異性体の量は、外表面に存在するよりも少なくとも約6%低く、好ましくは該第2量よりも少なくとも約10%低い。
中心の内部部分と中心の外部部分間の勾配は、変化し得る。1つの実施態様においては、外部および内部間の変換後のトランス-異性体含有量の差異は約3%以上であり、一方、もう1つの実施態様においては、その差異は約5%以上であり得る。もう1つの実施態様においては、外表面および内部位置間の変換後のその差異は、約10%以上であり、好ましくは約20%以上である。さらにもう1つの実施態様においては、外表面および内部位置間の変換後のトランス-異性体含有量における差異は、約5%以下、約4%以下、約3%以下でさえもあり得る。さらにもう1つの実施態様においては、外表面および内部位置間の変換後のその差異は、約1%未満である。
反応生成物の特性
上記ポリブタジエン反応生成物材料は、好ましくは少なくとも約15ショアA、より好ましくは約30ショアA〜80ショアD、さらに好ましくは約50ショアA〜60ショアDの硬度を有する。さらに、比重は、該ゴルフボールポリブタジエン材料において、典型的には約0.7よりも大きく、好ましくは約1よりも大きい。さらにまた、約500psi〜300,000psi (約3.45×103kPa〜2.07×106kPa)、好ましくは約2,000psi〜約200,000psi (約1.38×104〜約1.38×106kPa)の曲げ弾性率を有する。
上記ポリブタジエン反応生成物における所望の正接損失(loss tangent)は、1Hzの周波数および1%歪みで測定したとき、−60℃で約0.15未満、30℃で約0.05未満であるべきである。1つの実施態様においては、上記ポリブタジエン反応生成物材料は、好ましくは−50℃で約0.1よりも低い、より好ましくは−50℃で約0.07よりも低い正接損失を有する。
望ましい圧縮剛性を有するゴルフボールを製造するためには、上記ポリブタジエン反応生成物材料の動剛性は、−50℃において約50,000N/m未満であるべきである。好ましくは、上記動剛性は−50℃において約10,000〜40,000N/mであるべきであり、より好ましくは、上記動剛性は−50℃において約20,000〜30,000N/mであるべきである。
1つの実施態様においては、上記反応生成物は、0℃で測定した第2動剛性の約130%よりも低い、−50℃で測定した第1動剛性を有する。もう1つの実施態様においては、上記第1動剛性は、上記第2動剛性の約125%よりも低い。さらにもう1つの実施態様においては、上記第1動剛性は、上記第2動剛性の約110%よりも低い。
ゴルフボール中間層
本発明のゴルフボールが内部カバー層または外側コア層のような中間層、即ち、ゴルフボールの内部コアと外側カバーの間に置いた任意の層を含む場合、この層は、熱可塑性および熱硬化性材料のような当業者にとって公知の任意の材料を含み得る。1つの実施態様においては、上記中間層は、少なくとも1部、前述した任意のポリ尿素、ポリウレタン、およびポリブタジエンから形成させる。1つの実施態様においては、上記中間層は、本発明のポリ尿素/尿素組成物、ポリ尿素/ウレタン組成物、ポリウレタン/ウレタン組成物、またはポリウレタン/尿素組成物の少なくとも1つから形成させる。もう1つの実施態様においては、上記中間層は、前述のポリブタジエン反応生成物から形成させる。
また、同様に、上記中間層は、下記のような1種以上のホモ重合体または共重合体材料を含み得る:
(1) 塩化ビニルの重合によって、あるいは塩化ビニルと酢酸ビニル、アクリルエステル類または塩化ビニリデンとの共重合によって調製したビニル樹脂類;
(2) ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレンのようなポリオレフィン類;エチレンメチルアクリレート、エチレンエチルアクリレート、エチレン酢酸ビニル、エチレンメタクリル酸またはエチレンアクリル酸、またはプロピレンアクリル酸のようなコポリマー類;並びに、単一部位触媒またはメタロセン触媒を使用して調製したコポリマーおよびホモポリマー類;
(3) ポリオール類とジイソシアネートまたはポリイソシアネート類とから調製したポリウレタン類および米国特許第5,334,673号に開示されているポリウレタン類のような、ポリウレタン類;
(4) 米国特許第5,484,870号に開示されているポリ尿素類のようなポリ尿素類;
(5) ポリ(ヘキサメチレンアジパミド)、ジアミン類と二塩基酸類とから調製した他のポリアミド類、およびポリ(カプロラクタム)のようなアミノ酸類からのポリアミド類のようなポリアミド類;並びに、ポリアミド類とSURLYN、ポリエチレン、エチレンコポリマー類、エチル-プロピレン-非共役ジエンターポリマー等とのブレンド類。
(6) アクリル樹脂類、およびこれらの樹脂とポリ塩化ビニル、エラストマー類等とのブレンド類;
(7) ウレタン類のような熱可塑性材料;ポリオレフィン類とエチレン-プロピレン-非共役ジエンターポリマーとのブレンド類のようなオレフィン系熱可塑性ゴム類;スチレンとブタジエン、イソプレンまたはエチレン-ブチレンゴムとのブロックコポリマー類;または、ペンシルベニア州フィラデルフィアのAtofina Chemicals社から市販されているPEBAXのようなコポリ(エーテル-アミド);
(8) ポリフェニレンオキサイド樹脂類、またはマサチューセッツ州ピッツフィールドのGeneral Electric社から商品名NORYLとして市販されているようなポリフェニレンオキサイドと高衝撃ポリスチレンとのブレンド類;
(9) ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート/グリコール変性のような、熱可塑性ポリエステル類;デラウェア州ウィルミントンのE.I. DuPont de Nemours & Co.社から商品名HYTRELとして市販されているエラストマー類;およびマサチューセッツ州ピッツフィールドのGeneral Electric社からのLOMOD;
(10) ポリカーボネートとアクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、スチレン無水マレイン酸、ポリエチレン、エラストマー類等との、およびポリ塩化ビニルとアクリロニトリルブタジエンスチレン、エチレン酢酸ビニルまたは他のエラストマー類とのブレンド類またはアロイ類;および、
(11) 熱可塑性ゴム類とポリエチレン、プロピレン、ポリアセタール、ナイロン、ポリエステル類、セルロースエステル類等とのブレンド類。
1つの実施態様においては、上記中間層は、アクリル酸またはメタクリル酸のような官能性モノマーおよび完全または部分中和イオノマー樹脂を含むエチレン、プロピレン、ブテン-1、またはヘキセン-1系のホモポリマーまたはコポリマー類、およびそれらのブレンド類;メチルアクリレート、メチルメタクリレートのホモポリマーおよびコポリマー類;イミド化したアミノ基含有ポリマー類;ポリカーボネート、補強ポリアミド類、ポリフェニレンオキサイド、高衝撃ポリスチレン、ポリエーテルケトン、ポリスルホン、ポリ(フェニレンスルフィド)、アクリロニトリル-ブタジエン、アクリル-スチレン-アクリロニトリル、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(ブチレンテレフタレート)、ポリ(エチレンビニルアルコール)、ポリ(フルオロエチレン)、およびこれらの官能性コモノマーを含むコポリマー類;およびこれらのブレンド類のようなポリマー類を含む。
イオノマー類
上記で簡単に述べたように、上記中間層は、エチレンと不飽和モノカルボン酸とのイオン性コポリマー類のようなイオノマー材料を含み得、これらの材料は、デラウェア州ウィルミントンのE.I. DuPont de Nemours & Co.社から商品名SURLYN(登録商標)、またはExxon社のIOTEK(登録商標)もしくはESCOR(登録商標)として入手し得る。これらは、亜鉛、ナトリウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、カルシウム、マンガンまたはニッケル等の塩類で完全にまたは部分的に、即ち、約1〜約100%中和させたエチレンとメタクリル酸またはアクリル酸のコポリマーまたはターポリマーである。1つの実施態様においては、上記カルボン酸基は、約10%〜約100%中和させる。また、上記カルボン酸基としては、メタクリル酸、コロトン酸、マレイン酸、フマル酸またはイタコン酸もあり得る。上記塩類は、2〜10個の炭素原子を有するオレフィンと3〜8個の炭素原子を有する不飽和モノカルボン酸との反応生成物である。
また、上記中間層は、E/X/Yターポリマー(Eはエチレンであり、Xは約0〜50質量%で存在するアクリレートまたはメタクリレート系の軟化性コモノマーであり、Yは約5〜35質量%で存在するアクリル酸またはメタクリル酸である)を含む酸含有エチレンコポリマーイオノマー類のような、少なくとも1種のイオノマーを含み得る。もう1つの実施態様においては、上記アクリル酸またはメタクリル酸は、約8〜35質量%、より好ましくは8〜25質量%、最も好ましくは8〜20質量%で存在する。
上記イオノマーは、いわゆる“低酸”および“高酸”イオノマー類、およびこれらの混合物を含み得る。一般に、約15%までの酸を含むイオン性コポリマー類は、“低酸”イオノマーとみなされ、約15%よりも多い酸を含むコポリマー類は、“高酸”イオノマーとみなされる。例えば、米国特許第6,506,130号および第6,503,156号は、低酸イオノマーを16質量%以下の酸含有量を含むものと定義し、一方、高酸イオノマーは約16質量%よりも多い酸を含有するものと定義している。
低酸イオノマーは、高スピンを与えるものと信じられている。即ち、1つの実施態様においては、上記中間層は、酸が約10〜15質量%で存在し且つ任意成分として軟質化用コモノマー、例えば、イソ-またはn-ブチルアクリレートを含んでより軟質のターポリマーを生成する低酸イオノマーを含む。上記軟質化用コモノマーは、酸が2〜10個の炭素原子を有する脂肪族カルボン酸のビニルエステル類、アルキル基が1〜10個の炭素原子を含有するビニルエーテル類、およびアルキル基が1〜10個の炭素原子を含有するアルキルアクリレートまたはメタクリレートからなる群から選択し得る。適切な軟質化用コモノマーとしては、酢酸ビニル、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、ブチルアクリレートまたはブチルメタクリレート等がある。
もう1つの実施態様においては、上記中間層は、低スピン速度および最高距離のための少なくとも1種の高酸イオノマーを含む。この局面においては、アクリル酸またはメタクリル酸は、約15〜約35質量%で存在して、そのイオノマーを高モジュラスイオノマーとする。1つの実施態様においては、該高モジュラスイオノマーは、約16質量%のカルボン酸、好ましくは約17質量%〜約25質量%のカルボン酸、より好ましくは約18.5質量%〜約21.5質量%のカルボン酸を含む。ある状況においては、アクリレートエステル(即ち、イソ-またはn-ブチルアクリレート等)のような追加のコモノマーも含ませて、より軟質のターポリマーを調製し得る。追加のコモノマーは、酸が2〜10個の炭素原子を有する脂肪族カルボン酸のビニルエステル類、アルキル基が1〜10個の炭素原子を含有するビニルエーテル類、およびアルキル基が1〜10個の炭素原子を含有するアルキルアクリレートまたはメタクリレートからなる群から選択し得る。適切な軟質化用コモノマーとしては、酢酸ビニル、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、ブチルアクリレートまたはブチルメタクリレート等がある。
従って、高モジュラスイオノマー類を調製するために使用する適切な多くのコポリマー類の例としては、限定するものではないが、エチレン/アクリル酸コポリマー、エチレン/メタクリル酸コポリマー、エチレン/イタコン酸コポリマー、エチレン/マレイン酸コポリマー、エチレン/メタクリル酸/酢酸ビニルコポリマー、エチレン/アクリル酸/ビニルアルコールコポリマー等の高酸実施態様物がある。
1つの実施態様においては、上記中間層は、α,β-不飽和カルボン酸基を含有する少なくとも1種のポリマー、または有機脂肪酸で100%中和したその塩から形成させ得る。上記有機酸は、脂肪族のモノ官能性(飽和、不飽和または多不飽和)有機酸である。これらの有機酸の塩類も使用し得る。本発明の有機酸の塩類としては、バリウム、リチウム、ナトリウム、亜鉛、ビスマス、クロム、コバルト、銅、カリウム、ストロンチウム、チタン、タングステン、マグネシウム、セシウム、鉄、ニッケル、銀、アルミニウム、錫またはカルシウムの塩類;脂肪酸、とりわけステアリン酸、ベヘン酸、エルカ酸、オレイン酸、リノール酸またはこれらの二量体化誘導体の塩類がある。本発明の有機酸および塩類は、比較的非移行性(ポリマー表面に周囲温度でブルームしない)で且つ不揮発性(溶融混合において要求される温度で揮発しない)であるのが好ましい。
上記高中和ポリマー(“HNP”)類、典型的にはエチレン系イオノマー類の酸成分は、好ましくは約70%よりも多く、より好ましくは約90%よりも多く、最も好ましくは少なくとも約100%中和させる。また、HNP類は、第2ポリマー成分とブレンドし得、この第2ポリマー成分は、酸基を含有する場合、通常の方法で、有機脂肪酸、または双方により中和させ得る。第2ポリマー成分は、部分的にまたは完全に中和させ得、好ましくは、イオノマーコポリマーおよびターポリマー、イオノマープレカーサー、熱可塑性物類、ポリアミド類、ポリカーボネート類、ポリエステル類、ポリウレタン類、ポリ尿素類、熱可塑性エラストマー類、ポリブタジエンゴム、バラタ、メタロセン触媒添加ポリマー(グラフト型および非グラフト型)、単一部位ポリマー類、高結晶性酸ポリマー類、カチオン性イオノマー類等を含む。
この実施態様においては、上記酸コポリマー類は、E/X/Yコポリマーとして説明し得、Eはエチレンであり、Xはα,β-エチレン系不飽和カルボン酸であり、Yは軟質化用コモノマーである。好ましい実施態様においては、Xはアクリル酸またはメタクリル酸であり、YはC1〜C18アルキルアクリレートまたはメタクリレートエステルである。Xは、好ましくは上記ポリマーの約1〜約35質量%、より好ましくは上記ポリマーの約5〜約30質量%、最も好ましくは上記ポリマーの約10〜約20質量%の量で存在する。Yは、好ましくは上記ポリマーの約0〜約50質量%、より好ましくは上記ポリマーの約5〜約25質量%、最も好ましくは上記ポリマーの約10〜約20質量%の量で存在する。
上記有機酸は、脂肪族のモノ官能性(飽和、不飽和または多不飽和)有機酸である。これらの有機酸の塩類も使用し得る。本発明の有機酸の塩類としては、バリウム、リチウム、ナトリウム、亜鉛、ビスマス、クロム、コバルト、銅、カリウム、ストロンチウム、チタン、タングステン、マグネシウム、セシウム、鉄、ニッケル、銀、アルミニウム、錫またはカルシウムの塩類;脂肪酸、とりわけステアリン酸、ベヘン酸、エルカ酸、オレイン酸、リノール酸またはこれらの二量体化誘導体の塩類がある。本発明の有機酸および塩類は、比較的非移行性(ポリマー表面に周囲温度でブルームしない)で且つ不揮発性(溶融混合において要求される温度で揮発しない)であるのが好ましい。
コポリエーテルエステル類、コポリエステルエステル類、コポリエーテルアミド類、弾性ポリオレフィン類、スチレンジエンブロックコポリマー類およびそれらの水素化誘導体、コポリエステルアミド類;コポリエーテルウレタン類、コポリエステルウレタン類、コポリ尿素ウレタン類、エポキシ系ポリウレタン類、ポリカーボネート系ポリウレタン類のような熱可塑性ポリウレタン類;ポリ尿素類;およびポリカーボネート系ポリウレタン充填剤のような熱可塑性ポリマー成分、および含ませる場合の他の成分を、上記酸成分を中和させる前、中または後のいずれかにおいてブレンドし得る。
これらの材料の例は、米国特許出願広報2001/0018375号および第2001/0019971号に開示されており、これらの米国特許出願は、本明細書にその全体が参考として組み込まれる。
また、上記イオノマー組成物は、少なくとも1種のグラフト化メタロセン触媒添加ポリマーも含み得る。この実施態様のブレンドは、約1pph〜約100pphの少なくとも1種のグラフト化メタロセン触媒添加ポリマーと約99pph〜0pphの少なくとも1種のイオノマーを、好ましくは約5pph〜約90pphの少なくとも1種のグラフト化メタロセン触媒添加ポリマーと約95pph〜約10pphの少なくとも1種のイオノマーを、より好ましくは約10pph〜約75pphの少なくとも1種のグラフト化メタロセン触媒添加ポリマーと約90pph〜約25pphの少なくとも1種のイオノマーを、最も好ましくは約10pph〜約50pphの少なくとも1種のグラフト化メタロセン触媒添加ポリマーと約90pph〜約50pphの少なくとも1種のイオノマーを含み得る。層を形成させる場合、上記グラフト化メタロセン触媒添加ポリマーブレンドは、任意の通常の起泡剤または発泡剤によって成型中に発泡させ得る。
さらに、より詳細に後述するポリアミド類も、イオノマー類とブレンドさせ得る。
非イオノマー熱可塑性材料
もう1つの実施態様においては、上記中間層は、少なくとも1種の主としてまたは十分に非イオノマーである熱可塑性材料を含む。適切な非イオノマー材料としては、ポリアミド類およびポリアミドブレンド類、グラフト化および非グラフト化メタロセン触媒添加ポリオレフィンまたはポリアミド類、ポリアミド/イオノマーブレンド類、ポリアミド/非イオノマーブレンド類、ポリフェニレンエーテル/イオノマーブレンド類、およびこれらの混合物がある。グラフト化および非グラフト化メタロセン触媒添加ポリオレフィンまたはポリアミド類、ポリアミド/イオノマーブレンド類、ポリアミド/非イオノマーブレンド類の例は、2002年5月6日に出願され、“Golf Ball Incorporating Grafted Metallocene Catalyzed Polymer Blends”と題した係属中の米国特許出願第10/138,304号に開示されており、該米国特許出願は、その全体が参考として本明細書に組み込まれる。
1つの実施態様においては、ポリアミド6,18およびポリアミド6,36のようなポリアミドホモポリマー類を単独または他のポリアミドホモポリマーと組合せて使用する。もう1つの実施態様においては、ポリアミド6,10/6,36のようなポリアミドコポリマー類を単独または他のポリアミドコポリマーと組合せて使用する。適切なポリアミドホモポリマーおよびコポリマーの他の例としては、ポリアミド4、ポリアミド6、ポリアミド7、ポリアミド11、ポリアミド12(ペンシルベニア州フィラデルフィアのAtofina ChemicalsがRilsan AMNOとして製造)、ポリアミド13、ポリアミド4,6、ポリアミド6,6、ポリアミド6,9、ポリアミド6,10、ポリアミド6,12、ポリアミド6,36、ポリアミド12,12、ポリアミド13,13、ポリアミド6/6,6、ポリアミド6,6/6,10、ポリアミド6/6,T (Tはテレフタル酸を示す)、ポリアミド6/6,6/6,10、ポリアミド6,10/6,36、ポリアミド66,6,18、ポリアミド66,6,36、ポリアミド6/6,18、ポリアミド6/6,36、ポリアミド6/6,10/6,18、ポリアミド6/6,10/6,36、ポリアミド6,10/6,18、ポリアミド6,12/6,18、ポリアミド6,12/6,36、ポリアミド6/66/6,18、ポリアミド6/66/6,36、ポリアミド66/6,10/6,18、ポリアミド66/6,10/6,36、ポリアミド6/6,12/6,18、ポリアミド6/6,12/6 ,36、およびこれらの混合物がある。
上述したように、上記のポリアミドホモポリマー、コポリマーおよびホモポリマー/コポリマーブレンド類のいずれかを、非イオノマー熱可塑性ポリマー類、非イオノマー熱可塑性コポリマー類、非イオノマーTPE類、およびこれらの混合物のような非イオノマーポリマー類と必要に応じてブレンドし得る。
ポリアミド-非イオノマーブレンドの1つの特定の例は、ポリアミド-メタロセン触媒添加ポリマーブレンドである。該ブレンド組成物は、グラフト化および/または非グラフト化メタロセン触媒添加ポリマー類を含む。無水マレイン酸等のようなペンダント基で官能化したグラフト化メタロセン触媒添加ポリマー類は、DuPont社から実験的量で入手可能である。また、グラフト化メタロセン触媒添加ポリマー類は、商業的に入手し得る非グラフト化メタロセン触媒添加ポリマーをモノマーと有機パーオキサイドを含む後重合反応に供して所望の1個以上のペンダント基を有するグラフト化メタロセン触媒添加ポリマーを調製することによっても取得し得る。
ポリアミド-非イオノマーブレンドのもう1つの例は、ポリアミドと非メタロセン単一部位触媒を使用して調製した非イオン性ポリマーである。本明細書において使用するとき、用語“非メタロセン触媒”または“非メタロセン単一部位触媒”は、メタロセン触媒以外の単一部位触媒を称する。適切な単一部位触媒添加ポリマー類の例は、係属中の米国特許出願第09/677,871号に開示されており、該米国特許の開示全体が参考として本明細書に組み込まれる。
ポリアミドとブレンドするのに適する非イオノマーとしては、限定するものではないが、ブロックコポリ(エステル)コポリマー類、ブロックコポリ(アミド)コポリマー類、ブロックコポリ(ウレタン)コポリマー類、スチレン系ブロックコポリマー類、熱可塑性樹脂とエラストマーとのブレンド類(エラストマーが加硫されていない) (TEB)、および熱可塑性樹脂とエラストマーまたはゴムとのブレンド類(エラストマーが動的に加硫されている) (TED)がある。ポリアミドとブレンドして中間層組成物を調製するのに適する他の非イオノマーとしては、限定するものではないが、ポリカーボネート、ポリフェニレンオキサイド、イミド化アミノ基含有ポリマー類、高衝撃ポリスチレン(HIPS)、ポリエーテルケトン、ポリスルホン、ポリ(フェニレンスルフィド)、補強加工プラスチック類、アクリル酸-スチレン-アクリロニトリル、ポリ(テトラフルオロエチレン)、ポリ(ブチルアクリレート)、ポリ(4-シアノブチルアクリレート)、ポリ(2-エチルブチルアクリレート)、ポリ(ヘプチルアクリレート)、ポリ(2-メチルブチルアクリレート)、ポリ(3-メチルブチルアクリレート)、ポリ(N-オクタデシルアクリルアミド)、ポリ(オクタデシルメタクリレート)、ポリ(4-ドデシルスチレン)、ポリ(4-テトラデシルスチレン)、ポリ(エチレンオキサイド)、ポリ(オキシメチレン)、ポリ(シラザン)、ポリ(フランテトラカルボン酸ジイミド)、ポリ(アクリロニトリル)、ポリ(メチルスチレン)、シリコーン類;および、これらのポリマー類が属する群のポリマー類およびそれらの官能性コモノマーを含むコポリマー類;並びにこれらの混合物がある。
1つの実施態様においては、上記非イオノマー材料は、約60ショアD以上の硬度と約30,000psi (約2.07×105kPa)以上の曲げ弾性率を有する。
弾力性ポリマー・補強用ポリマーブレンド
上記中間層は、弾力性ポリマー成分(該成分は、好ましくは中間層中で大割合のポリマーとして使用して硬化状態において弾力性を与える)と補強用ポリマー成分をブレンドとして含む。
上記中間層において使用するのに適する弾力性ポリマー類としては、好ましくは少なくとも約50,000〜約1,000,000の高分子量を有するポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン-ブタジエン、スチレン-プロピレン-ジエンゴム、エチレン-プロピレン-ジエン(EPDM)、これらの混合物等がある。1つの実施態様においては、上記分子量は、約250,000〜約750,000、より好ましくは約200,000〜約400,000である。
上記補強用ポリマー成分は、架橋を開始することなく混合を可能にする十分に低い、好ましくは約−35℃〜120℃の結晶溶融温度(Tg)を有する。さらに、上記補強用ポリマー成分は、上記弾力性ポリマー成分と混合するときの混合温度において十分に低い粘度を有して、上記2つのポリマー成分の適切な混合を可能にする。上記中間層を形成させるための組成物全体に対する上記補強用ポリマーの量は、一般に約5〜25質量%、好ましくは約10〜20質量%である。
上記補強用ポリマー成分において使用するのに適するポリマー類の例としては、以下のものがある:トランス-ポリイソプレン、ブロックコポリマーエーテル/エステル、アクリルポリオール、ポリエチレン、ポリエチレンコポリマー、1,2-ポリブタジエン(シンジオタクチック)、エチレン-酢酸ビニルコポリマー、トランス-ポリシクロオクテンナーマー(trans-polycyclooctenenamer)、トランス-異性体ポリブタジエン、およびこれらの混合物。とりわけ適切な補強用ポリマー類としては、デラウェア州ウィルミントンのDuPont社から商業的に入手可能なブロックコポリマーエーテル/エステルであるHYTREL 3078;日本の川崎市川崎区夜光のAsahi Chemicals社から商品名FUREN 88として得られるもののようなトランス-異性体ポリブタジエン;KURRARAY社から商品名KURRARAY TP251として商業的に入手可能であるトランス-ポリイソプレン;オハイオ州アクロンのBayer-Rubber Divisionから商品名LEVAPREN 700HVとして商業的に入手可能であるエチレン-酢酸ビニルコポリマー;およびオハイオ州タルメッジのHuls America社から商品名VESTENAMER 8012として商業的に入手可能であるトランス-ポリシクロオクテンナーマーがある。幾つかの適切な補強用ポリマー成分を以下の表1にTcおよびガラス転移温度(Tg)と一緒に示している。
Figure 0004105653
上記補強用ポリマー成分において使用するのにとりわけ適するもう1つのポリマーは硬質化用ポリブタジエン成分であり、該成分は、少なくとも約80%のトランス-異性体含有量を典型的に含み、残余がシス-異性体1,4-ポリブタジエンとビニル-異性体1,2-ポリブタジエンである。即ち、該成分は、本発明のゴルフボールコアを形成させるのに使用するシス-異性体ポリブタジエンまたは低い、即ち、典型的に80%未満のトランス-異性体含有量を有するポリブタジエンと区別するために、“高トランス-異性体ポリブタジエン”または“硬質化用ポリブタジエン”と称し得る。上記硬質化用成分のビニル含有量は、好ましくはポリブタジエン異性体のうちの約15%よりも多くはなく、好ましくは約10%未満、より好ましくは約5%未満、最も好ましくは約3%未満である。
上記硬質化用ポリブタジエン成分は、本発明のゴルフボールにおいて使用する場合、約4よりも高くない、好ましくは約3よりも高くない、より好ましくは約2.5よりも高くない多分散性を有する。多分散性(Pd)は、ポリマーの数平均分子量(Mn)に対する質量平均分子量(Mw)の比である。
さらに、上記硬質化用成分は、本発明のゴルフボールにおいて使用する場合、典型的には少なくとも約100,000、好ましくは約200,000〜1,000,000として定義される高Mwを有する。1つの実施態様においては、絶対平均分子量は、約230,000〜750,000である。もう1つの実施態様においては、上記分子量は、約275,000〜700,000である。ビニル含有量が約10%よりも多く存在する実施態様においては、絶対平均分子量は、好ましくは約200,000よりも高い。
トランス-ポリイソプレンまたは高トランス-異性体ポリブタジエンは、上記補強用ポリマーに含ませる場合、ポリマーブレンド、即ち、弾力性および補強用ポリマー成分の約10〜40質量%、好ましくは約15〜30質量%、より好ましくは約15〜25質量%未満の量で存在する。
コアに関連して説明した同じ架橋剤をこの実施態様においても使用して、弾力性ポリマー(補強用ポリマーブレンド)において所望の弾性率を達成し得る。1つの実施態様においては、架橋剤は、上記ポリマーブレンドの100部当り約1〜約50部、好ましくは上記ポリマーブレンドの100部当り約20〜約45部、より好ましくは100部当り約30〜約40部の量で添加する。
上記弾力性ポリマー成分、補強用ポリマー成分、フリーラジカル開始剤、および本発明に従うゴルフボールコアの中間層を形成させるのに使用する任意の他の成分は、当業者にとって公知の任意のタイプの混合法によって混合し得る。
また、上記中間層は、米国特許第5,688,191号に開示された組成物からも形成させることができ、これらの組成物を下記の表2に列挙する(該米国特許の記載は、その全体が参考として本明細書に組み込まれる)。





















Figure 0004105653









Figure 0004105653
ゴルフボールカバー
該カバーは、ボールとクラブの界面を提供する。カバーにおける望ましい特性は、なかんずく、良好な成型性、高耐摩耗性、高耐衝撃性、高引裂強度、高弾力性、および良好なモールド剥離性である。
カバー層は、本発明のポリ尿素/尿素組成物、ポリ尿素/ウレタン組成物、ポリウレタン/ウレタン組成物またはポリウレタン/尿素組成物から少なくとも1部形成させ得る。例えば、1つの実施態様においては、少なくとも1つのカバー層は、約1質量%〜約100質量%の本発明のポリ尿素/尿素組成物を含む。もう1つの実施態様においては、少なくとも1つのカバー層は、約1質量%〜約100質量%の本発明のポリ尿素/ウレタン組成物を含む。とりわけ、上記カバーは、ヒドロキシ末端硬化剤またはアミン末端硬化剤で硬化させる、イソシアネートとアミン末端化合物との反応生成物から形成させ得る。硬化剤は、凝固点降下剤を含む変性硬化剤ブレンド中に混入し得る。
もう1つの実施態様においては、本発明のポリウレタン組成物を使用して、本発明のゴルフボールの少なくとも1つのカバー層を形成させ得る。例えば、このカバー層は、ヒドロキシ末端硬化剤から調製した硬化剤または変性硬化剤ブレンド、アミン末端硬化剤、またはこれらの混合物で硬化させ得る、イソシアネートとポリオールとの反応生成物によって形成させ得る。1つの実施態様においては、上記カバー層は、ポリウレタン/ウレタン組成物から形成させる。もう1つの実施態様においては、上記カバー層は、ポリウレタン/尿素組成物から形成させる。さらにもう1つの実施態様においては、硬化剤は、凝固点降下剤を含むブレンドである。
また、上記カバー層(1層以上)は、前述したような組成物のブレンドからも形成させ得る。例えば、1つの実施態様においては、少なくとも1つのカバー層は、約10%〜約90%の好ましくは飽和のポリ尿素と約90%〜約10の他のポリマー類および/または他の材料との組成物ブレンドから形成させる。もう1つの実施態様においては、少なくとも1つのカバー層は、約10%〜約90%の好ましくは飽和のポリウレタンと約90%〜約10の他のポリマー類および/または他の材料との組成物ブレンドから形成させる。さらにもう1つの実施態様においては、上記カバー組成物は、約10%〜約75%のポリ尿素またはポリウレタンと約90%〜約25%の以下に列挙するもののような他のポリマー類および/または他の材料を含む。
本発明のポリ尿素またはポリウレタン組成物による実施態様においては、上記カバー組成物は、コアまたは中間/内部カバー層と同様に、下記のような1種以上のホモ重合体または共重合体材料を含み得る:
(1) 塩化ビニルの重合によって、あるいは塩化ビニルと酢酸ビニル、アクリルエステル類または塩化ビニリデンとの共重合によって調製したビニル樹脂類;
(2) ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレンのようなポリオレフィン類;エチレンメチルアクリレート、エチレンエチルアクリレート、エチレン酢酸ビニル、エチレンメタクリル酸またはエチレンアクリル酸、またはプロピレンアクリル酸のようなコポリマー類;並びに、単一部位触媒使用して調製したコポリマーおよびホモポリマー類;
(3) ポリオールまたはアミン類とジイソシアネートまたはポリイソシアネート類とから調製したポリウレタン類および米国特許第5,334,673号および米国特許出願第10/072,395号に開示されているポリウレタン類のような、熱可塑性または熱硬化性で飽和または不飽和の脂肪族または芳香族酸官能化ポリウレタン類;
(4) 米国特許第5,484,870号米国特許出願第10/072,395号に開示されているポリ尿素類のような、熱可塑性または熱硬化性で飽和または不飽和の脂肪族または芳香族酸官能化ポリ尿素類;
(5) ポリ(ヘキサメチレンアジパミド)、ジアミン類と二塩基酸類とから調製した他のポリアミド類、およびポリ(カプロラクタム)のようなアミノ酸類からのポリアミド類、補強ポリアミド類のようなポリアミド類;並びに、ポリアミド類とイオノマー類、ポリエチレン、エチレンコポリマー類、エチル-プロピレン-非共役ジエンターポリマー等とのブレンド類。
(6) アクリル樹脂類、およびこれらの樹脂とポリ塩化ビニル、エラストマー類等とのブレンド類;
(7) ウレタン類のような熱可塑性材料;ポリオレフィン類とエチレン-プロピレン-非共役ジエンターポリマーとのブレンド類のようなオレフィン系熱可塑性ゴム類;スチレンとブタジエン、イソプレンまたはエチレン-ブチレンゴムとのブロックコポリマー類;または、ペンシルベニア州フィラデルフィアのAtofina Chemicals社から市販されているPEBAXのようなコポリ(エーテル-アミド);
(8) ポリフェニレンオキサイド樹脂類、またはマサチューセッツ州ピッツフィールドのGeneral Electric社から商品名NORYLとして市販されているようなポリフェニレンオキサイドと高衝撃ポリスチレンとのブレンド類。
(9) ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート/グリコール変性のような、熱可塑性ポリエステル類;デラウェア州ウィルミントンのE.I. DuPont de Nemours & Co.社から商品名HYTRELとして市販されているエラストマー類;およびマサチューセッツ州ピッツフィールドのGeneral Electric社からのLOMOD;
(10) エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン系ホモポリマー;アクリル酸もしくはメタクリル酸のような官能性モノマーまたは完全もしくは部分中和イオノマー樹脂を含むコポリマー類、およびそれらのブレンド類;メチルアクリレート、メチルメタクリレートホモポリマーまたはコポリマー類;低酸イオノマー類;高酸イオノマー類;およびこれらのブレンド類;
(11) ポリカーボネートとアクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、スチレン無水マレイン酸、ポリエチレン、エラストマー類等との、およびポリ塩化ビニルとアクリロニトリルブタジエンスチレン、エチレン酢酸ビニルまたは他のエラストマー類とのブレンド類またはアロイ類;および、
(12) 熱可塑性ゴム類とポリエチレン、プロピレン、ポリアセタール、ナイロン、ポリエステル類、セルロースエステル類等とのブレンド類。
また、上記カバーは、コアに関連して前述したポリブタジエン反応生成物からも少なくとも部分的に形成させ得る。
本明細書のどこかで説明しているように、上記組成物は、注型、圧縮成型、射出成型または反応射出成型等によるような任意の公知の方法において、ゴルフボール上に成形させ得る。当業者であれば、使用する成型方法を、少なくとも1部は、上記組成物の特性によって決定でき得ることは承知していることであろう。例えば、注型は材料が熱硬化性である場合に好ましいのに対し、圧縮成型または射出成型は熱可塑性組成物において好まれ得る。
ゴルフボールの構造
本発明の組成物は、限定するものではないが、ワンピース、ツーピース、スリーピースおよびフォーピースデザインのような任意のタイプのボール構造において使用し得、二重コア、二重カバー、中間層(1層以上)、多層コア、および/または多層カバーは、ボールの所望性能のタイプによる。即ち、本発明の組成物は、ゴルフボールのコア、中間層、および/またはカバーにおいて使用することができ、その各々が、単層または複数層を有し得る。本明細書において使用するとき、用語“多層”は、少なくとも2層を意味する。
コアの項で説明したように、コアは、ワンピースコアまたは多層コアであり得、両者とも、固形、半固形、中空、流体充填型または粉末充填型であり得る。多層コアは、1つのさらなるコア層または複数のさらなるコア層をその上に配置した最深コンポーネントを有するコアである。例えば、図1は、コア2とカバー3を有するゴルフボール1を示す。1つの実施態様においては、図1のゴルフボールは、ポリブタジエン反応材料または多の通常の材料のコア2と本発明のポリ尿素組成物を含むカバー3を示している。もう1つの実施態様においては、図1のゴルフボールは、ポリブタジエン反応材料から形成させたコア2と本発明の飽和ポリ尿素組成物を含むカバー3を示している。さらにもう1つの実施態様においては、ゴルフボール1は、通常の材料のコア2と少なくとも1種の耐水性ポリ尿素またはポリウレタン組成物から形成させたカバー3を含み得る。
さらに、本発明のゴルフボールが中間層を含む場合、この層は、単層または多層カバー、単または多要素コア、単層カバーとコアの双方、または多層カバーと多層コアの双方と合体させ得る。中間層は、内側カバー層もしくは外側コア層、またはゴルフボールの内部コアと外側カバーの間に配置させた任意の他の層(1層以上)であり得る。コアにおけるように、中間層もまた複数層を含み得る。任意の数またはタイプの中間層を所望に応じて使用し得ることを理解されたい。
図2は、カバー13、少なくとも1つの中間層14およびコア12を含む多層ゴルフボール12を例示している。1つの実施態様においては、図2のゴルフボール11は、ポリブタジエン反応材料のコア12、中間層14、および好ましくはポリ尿素が飽和である本発明のポリ尿素組成物から形成されたカバー13を含み得る。さらに、図3のゴルフボール21は、ポリブタジエン反応材料または他の通常のコア材料のコア22、少なくとも1つのイオノマー中間層24、および少なくとも1種の講和ポリ尿素を含むカバー23を有する。
もう1つの実施態様においては、多層ゴルフボール11は、カバー13、コア12、および中間層14を含み得、この中間層が本発明の少なくとも1種の耐水性ポリ尿素またはポリウレタン組成物から形成されている。さらにもう1つの実施態様においては、中間層14とカバー13の双方が耐水性ポリ尿素またはポリウレタン組成物から形成されている。さらにもう1つの実施態様においては、中間層14はイオノマー材料から形成され、コア12はポリブタジエン反応生成物から形成され、カバー13は耐水性ポリ尿素またはポリウレタン組成物から形成されている。
また、中間層は、固形、半固形、中空、流体充填、または粉末充填中心の周囲に巻付けた張力型エラストマー材料でもあり得る。本明細書において使用するとき、用語“流体”は液体またはガスを称し、用語“半固形”は、ペースト、ゲル等を称する。巻付け層は、本発明の目的においては、コア層または中間層として説明し得る。例えば、図4のゴルフボール31は、コア層32、その上に巻付けた張力型エラストマー層34、およびカバー層33を含み得る。とりわけ、図4のゴルフボール31は、ポリブタジエン反応生成物から形成させたコア32、張力型エラストマー材料を含む中間層34および少なくとも1種の飽和ポリ尿素またはポリウレタンを含むカバー33を有し得る。本発明のこの局面においては、飽和ポリ尿素またはポリウレタン組成物は、それぞれ、疎水性主鎖を有するアミン末端化合物または疎水性主鎖を有するポリオールを使用して調製されていて、より耐水性のゴルフボールを形成し得る。張力型エラストマー材料は、当業者にとって公知の任意の適切な材料から形成させ得る。
さらにもう1つの実施態様においては、図5の巻付け型液体中心ゴルフボール41は、液体43を充填した中空内部を有する中空球状コアシェル42、張力型エラストマー材料を含むスレッドゴム44層および少なくとも1種の飽和ポリ尿素またはポリウレタン組成物を含むカバー45を有する。また、飽和ポリ尿素またはポリウレタン組成物は、上述のような耐水性エラストマー類でもあり得る。
1つの実施態様においては、張力型エラストマー材料は、上述のポリブタジエン反応生成物を含み得る。また、張力型エラストマー材料は、通常のポリイソプレンから調製し得る。もう1つの実施態様においては、本発明のポリ尿素組成物を使用して張力型エラストマー材料を形成させ得る。さらにもう1つの実施態様においては、米国特許第6,149,535号(該米国特許はその全体が参考として本明細書に組み込まれる)に開示されているような、溶媒紡糸ポリエーテル尿素を使用して張力型エラストマー材料を形成させて多ストランドによるより小断面積を達成せしめる。
また、上記巻付け層は、2001年4月27日に出願され、“All Rubber Golf Ball with Hoop-Stress Layer”と題する係属中の米国特許出願第09/842,829号に開示されているような、約10,000 kpsi (約6.90×107 kPa)以上の引張り弾性率を有する高張力フィラメントでもあり得え、該米国特許出願は、その内容全体が参考として本明細書に組み込まれる。もう1つの実施態様においては、上記張力型エラストマー層を、活性化させたときにコアおよびそれ自体に接着する結合用物質でコーティーングして、張力型エラストマー層のストランドを膨潤させ層の断面積を少なくとも約5%増大させる。そのようなゴルフボール構造の例は、係属中の米国特許出願第09/841,910号に提示されており、その開示全体が参考として本明細書に組み込まれる。
また、上記中間層は、結合材料および該結合材料中に分布させた間隙材からも形成させ得、この中間層の有効な材料特性は、ボール表面に正接して加わった力からボール表面に垂直に加わった力において特異的に異なる。このタイプの中間層の例は、2001年12月28日に出願され、“Golf Ball with a Radially Oriented Transversely Isotropic Layer and Manufacture of Same”と題した米国特許出願第10/028,826号に開示されており、該米国特許出願の開示全体が参考として本明細書に組み込まれる。本発明の1つの実施態様においては、上記間隙材は、中間層からコア中に達し得る。別の実施態様においては、上記間隙材は、カバー中に埋め込むことも、カバー内表面に接触させることも、あるいはカバー内のみに埋め込むことも可能である。
少なくとも1つの中間層は、米国特許第5,820,488号に記載されているもののような水分バリヤー層でもあり得、該米国特許は、参考として本明細書に組み込まれる。他の層よりも低い水蒸気透過率を有する任意の適切なフィルム形成性材料を、コアとボールの外側表面、即ち、カバー、プライマーおよびクリアコートとの間に挿入し得る。例としては、限定するものではないが、ポリ塩化ビニリデン、蛭石、およびフッ素ガスを含むポリブタジエン反応生成物が挙げられる。1つの実施態様においては、上記水分バリヤー層は、ゴルフボールを100°F(37.8℃)および70%相対湿度で6週間保存した場合に、上記水分バリヤーを含まず、同じタイプのコアとカバーを有し且つ実質的に同一条件で保存したゴルフボールのCORの損失に比較したとき、ゴルフボールのCORの損失を少なくとも5%減少させるのに十分に低い水蒸気透過率を有する。
カバー層を形成させる前に、内部ボール、即ち、コアとその上に位置させた任意の中間層は、表面処理して内部ボールの外側表面とカバー間の接着性を増大させ得る。そのような表面処理の例としては、上記サブアッセンブリ外側表面を機械的または化学的に削ることを含む。さらに、内部ボールを、その周囲にカバーを形成させるまえに、コロナ放電、プラズマ処理、シランディッピング、または当業者に公知の他の化学処理に供することもできる。ボールの他の層、例えば、コアおよび各カバー層も表面処理し得る。これらおよび他の表面処理方法の例は、米国特許第6,315,915号において見出すことができ、該米国特許は、参考として本明細書に組み込まれる。
同様に、カバーも、複数の層、例えば、ゴール中心の周りに配置した内部カバー層とその上に配置した外側カバー層を含み得る。例えば、図6は、コア52、薄い内部カバー層54およびその上に配置した薄い外側カバー層53を有するゴルフボール51を示す。とりわけ、コア51はポリブタジエン反応物質から、内部カバー層54はイオノマーブレンドから、外側カバー層53はポリ尿素組成物から形成させ得る。さらに、図7は、コア62、外側コア層65、薄い内部カバー層64、およびその上に配置した薄い外側カバー層63を有するゴルフボール61を示し得る。1つの実施態様においては、コア62と外側コア層65はポリブタジエン反応物質から形成させているが硬度において異なり、内部カバー層64はイオノマーブレンドから形成させ、外側カバー層63はポリ尿素組成物から形成させている。さらにまた、本発明の組成物を使用して、図8に示す大コア72と薄い外側カバー層73を有するゴルフボール71を形成させ得る。1つの実施態様においては、大コア72はポリブタジエン反応物質から形成され、薄い外側カバー層73は、好ましくは酸官能化され、その酸基が少なくとも部分中和されているポリ尿素組成物から形成されている。
ゴルフボールにおいてはある種の特性を得るために硬度勾配を典型的に使用しているが、本発明は、本発明の組成物を本質的に同じ硬度を有し、これらの層の少なくとも1つがゴルフボールの性能に影響する特性を変えるある方法で改変されている複数のカバー層を有するゴルフボールにおいて使用することも意図する。そのようなゴルフボール構造は、2002年6月13日に出願され、“Golf Ball with Multiple Cover Layers”と題する係属中の米国特許出願第10/167,744号に開示されており、該米国特許出願の開示は、すべて参考として本明細書に組み込まれる。
1つのそのような実施態様においては、各カバー層が共に同じ材料で形成され本質的に同じ硬度を有し得るが、各層は、異なる摩擦係数値を有するように設計される。もう1つの実施態様においては、本発明の組成物は、本質的に同じ硬度を有するが高変形下においては異なる流動特性を有する複数のカバー層を有するゴルフボールにおいて使用する。本発明のもう1つの局面は、本質的に同じ硬度を有するが異なる厚さを有して硬質内部カバーボール上で軟質外側カバーを擬態する複数のカバー層を有するゴルフボールに関する。
この概念のもう1つの局面においては、ゴルフボールの各カバー層は、本質的に同じ硬度を有するが、周囲温度と比較して高温または低温ではことなる特性を有する。詳細には、本発明のこの局面は、外側カバー層組成物が内部カバー層よりも低下温度で低い曲げ弾性率を有し、その間、各層は周囲温度および低下温度で同じ硬度を保持し、それによって硬質内部カバー層感触上に擬態軟質外側カバー層を生ずる複数のカバー層を有するというゴルフボールに関する。ある種のポリ尿素は、イオノマー樹脂類よりも異なる温度においてはるかに安定な曲げ弾性率を有し、従って、周囲温度または昇温下におけるよりも低い温度において効果的な“より軟質”の層を形成するのに使用し得る。
この概念のさらにもう1つの局面は、本質的に同じ硬度を有するが、乾燥条件と比較したときに、湿潤条件において異なる特性を有する複数のカバー層を有するゴルフボールに関する。ゴルフボール層の湿潤性は、なかんずく、表面粗さ、科学的異質性、分子配向、膨潤性、および界面張力によって影響を受け得る。即ち、ゴルフボール層の非破壊的表面処理は層の親水性の増大を助長し得るが、一方、ゴルフボール層表面の高度の研磨または平滑化は湿潤性を低下させ得る。米国特許第5,403,453号および第5,456,972号は、ポリマー材料を表面処理してその湿潤性を改変する方法を開示しており、これら米国特許の開示は、その全体が参考として本明細書に組み込まれる。さらに、プラズマエッチング、コロナ処理および火炎処理も、湿潤性を所望状態に改変させる有用な表面処理である。また、湿潤剤をゴルフボール層組成物に添加して層の表面張力を改変することもできる。
かくして、本発明に従う各カバー層の湿潤性の違いは、接触角の差異によって測定し得る。層に対する接触角は、約1°(低湿潤性)〜約180°(極めて高い湿潤性)であり得る。1つの実施態様においては、各カバー層は、約1°以上変化する接触角を有する。もう1つの実施態様においては、カバー層の上記接触角は、約3°以上変化する。さらにもう1つの実施態様においては、各カバー層の上記接触角は、約5°以上変化する。
本発明において使用し得る適切なタイプのボール構造の他の非限定的な例としては、米国特許第6,056,842号、第5,688,191号、第5,713,801号、第5,803,831号、第5,803,831号、第5,885,172号、第5,919,100号、第5,965,669号、第5,981,654号、第5,981,658号、および第6,149,535号、並びに広告 US2001/0009310 A1号、US2002/0025862号、およびUS2002/0028885号に記載されているものがある。これらの特許および公告特許出願の開示は、すべて参考として本明細書に組み込まれる。
各層の形成方法
本発明のゴルフボールは、圧縮成型、フリップ成型、射出成型、伸縮性ピン射出成型、反応射出成型(RIM)、液体射出成型(LIM)、注型、真空成形、粉末コーティーング、流動コーティーング、スピンコーティーング、ディッピング、スプレー法等のような種々の適用方法を使用して形成させることができる。分割出口ピン(split vent pin)を使用する射出成型法は、2000年12月22日に出願され、“Split Vent Pin for Injection Molding”と題する係属中の米国特許出願第09/742,435号において見出され得る。伸縮性ピン(retractable pin)射出成型の例は、米国特許第6,129,881号、第6,235,230号および第6,379,138号において見出され得る。これらの成型参照例は、その全体が参考として本明細書に組み込まれる。さらに、2000年11月22日に出願され、“Method of Making Golf Balls”と題する米国特許出願第09/717,136号に開示されているもののような、冷却チャンバー、即ち、冷却用ジャケットは、注型したときの本発明の組成物を冷却するのに使用し得、また、系中への触媒のより高量の添加を可能にする。
通常、圧縮成型および射出成型は熱可塑性材料に対して応用し、一方、RIM、液体射出成型、および注型は、熱硬化性材料において使用する。これらおよび他の製造方法は、米国特許第6,207,784号および第5,484,870号に開示されており、これら米国特許の開示は、その全体が参考として本明細書に組み込まれる。
本発明のコア類は、当業者に公知の任意の適切な方法によって形成させ得る。コア類を熱硬化性材料から形成させる場合、圧縮成型は、コアを形成させるとりわけ適切な方法である。一方、熱可塑性コア実施態様においては、コア類は、射出成型であり得る。
例えば、ポリブタジエン弾力性ポリマーコア成分のシス-異性体を成型サイクル中にトランス-異性体に変換する方法は、当業者にとって公知である。適切な方法は、1回通過混合(各成分を連続添加する)、複数回通過混合等を含む。架橋剤、およびゴルフボールの中心または追加層(1層以上)の特性を改変させるのに使用する任意の他の添加剤も、任意のタイプの混合法によって同様に混合し得る。適切な混合装置は、当業者にとって周知であり、そのような装置としては、バンバリーミキサー、2本ロールミルまたはツインスクリュー押出機がある。適切な混合速度および温度は、当業者にとって周知であり、過度の実験なしで容易に決定し得る。
混合物は、例えば、圧縮または射出成型過程に供し得、その成型サイクルは、一定時間において単一温度で混合物を成型する単一工程を有し得る。1つの実施態様においては、単一工程硬化サイクルを使用する。硬化時間は選定した各種材料に依存するが、適切な硬化時間は、約5〜約18分、好ましくは約8〜約15分、より好ましくは約10〜約12分である。単一工程成型サイクルの例は、ジクミルパーオキサイドを含有する混合物において、ポリマー混合物を15分間171℃(340°F)に保持することである。2工程成型サイクルの例は、モールドを40分間143℃(290°F)に保持し、次いで、モールドを171℃(340°F)に上げ、そこで20分間保持することである。当業者であれば、硬化時間は、使用する特定の材料および本明細書の説明に基づき容易に調整し得るであろう。
さらにまた、米国特許第6,180,040号および第6,180,722号は、二重コアゴルフボールの製造方法を開示している。これらの米国特許の開示は、その全体が参考として本明細書に組み込まれる。
また、中間層も、当業者に公知の任意の適切な方法を使用して形成させ得る。例えば、中間層は、吹込成型によって形成させ、そして、射出成型、圧縮成型、注型、真空成形、粉末コーティーング等によって形成させたディンプル化カバー層で被覆し得る。
本発明の注型可能な反応性液体ポリ尿素材料は、当該技術において周知のスプレー、圧縮成型、ディッピング、スピンコーティーング、注型、または流動コーティーング法のような種々の適用方法を使用して、内部ボール上に適用し得る。1つの実施態様においては、上記注型可能な反応性ポリ尿素材料は、注型と圧縮成型を併用してコア上に形成させる。通常、圧縮成型と射出成型が熱可塑性カバー材料に応用され、一方、RIM、液体射出成型および注型は、熱硬化性カバー材料において使用する。
米国特許第5,733,428号は、ゴルフボールコア上へのポリウレタンカバーの形成方法を開示している(該米国特許の開示は、その全体が参考として本明細書に組み込まれる)。この方法は、ゴルフボールカバーとして熱硬化性および熱可塑性材料双方の注型の使用に関し、カバーを、上記材料をモールド半部に混合導入することによってコアの周りに形成させているので、本発明のポリ尿素組成物も同じ注型方法を用いて使用することができる。
例えば、上記ポリ尿素組成物を混合すると直ぐに、発熱反応が始まり、材料がコアの周りで固化するまで続く。粘度を経時的に測定して、各モールド半分を充填し、コアを1つの半分分に導入し、モールドを閉じるその後の各工程を適切にタイミングして、コア・カバー半分融合のセンタリングを達成し全体的な均一性を得ることができるようにするのが重要である。コアをモールド半分に導入するための硬化中の尿素混合物の適切な粘度範囲は、おおよそ、約2,000cP〜約30,000cPであると判断されるが、約8,000cP〜約15,000cPの範囲が好ましい。
カバーの形成を始めるには、プレポリマーと硬化剤の混合を、混合ヘッド内側の動力ミキサー内で、硬化剤とプレポリマーの量を供給ラインにより計量することによって実施する。予熱した上部モールド半分を充填し、各モールド内の開口中に動くセンタリングピンを使用して、固定装置内に置く。その後、下部モールド半分の空洞、または1連の下部モールド半分の各空洞を上部モールド半分において使用したのと同様な混合物量で充填する。反応中の材料を上部モールド半分内で約40〜約100秒間、好ましくは約70〜約80秒間保持した後、コアを調整した速度でゲル化反応中の混合物中に低下させる。
ボールカップは、減圧(即ち、部分的真空)によってボールコアを保持している。約4〜約12秒のゲル化後モールドの各半分中のコアの位置上で、真空を解除してコアを放出させる。1つの実施態様においては、真空を解除して約5〜10秒後にコアを放出させる。コアおよびその上の固化カバー半分を含むモールド半分をセンタリング固定装置から取出し、反転させ、早めの適切な時間で、選定量の反応中でゲル化を始めている導入ポリ尿素プレポリマーと硬化剤を含む第2のモールド半分と一体化させる。
同様に、米国特許第5,006,297号および第5,334,673号の2つも、本発明において使用する注型可能な反応性液体を適用するのに使用し得る適切な成型方法を開示している。しかしながら、本発明の方法は、これらの方法の使用に限定されるものではなく;当業者に公知の他の方法もまた使用し得る。例えば、ボールコアを保持するのに、部分真空の代りに他の方法を使用してもよい。
ディンプル
種々のディンプルパターンおよび形状の使用は、ゴルフボールの空気力学特性を改変させる比較的有効な方法である。従って、ディンプルをボール表面上に配列させる方法は、任意の利用し得る方法であり得る。例えば、ボールは、米国特許第4,560,168号に記載されているような20面体系パターンまたは米国特許第4,960,281号に記載されているような8面体系ディンプルパターンを有し得る。
本発明の1つの実施態様においては、ゴルフボールは、約362個のディンプルから形成された20個の三角形を含み、恐らくはモールド分離腺を除いて、いずれのディンプルとも交差しない大きい円は有さない20面体ディンプルパターンを有する。大三角形の各々は、好ましくは各辺に沿って奇数のディンプル(7個)を有し、小三角形は各辺に沿って偶数のディンプル(4個)を有する。ディンプルを適切に詰め込むためには、大三角形は、小三角形より9個多いディンプルを有する。もう1つの実施態様においては、ボールは、全体で5種の異なるディンプルサイズを有する。大三角形の各辺は4種のディンプルサイズを有し、小三角形は2種のディンプルサイズを有する。
本発明のもう1つの実施態様においては、ゴルフボールは、3つの異なるディンプルを含む1つの大三角形と1つの直径のみのディンプルを有する複数の小三角形を有する20面体ディンプルパターンを有する。好ましい実施態様においては、392個のディンプルといずれのディンプルとも交差しない1個の大きい円とが存在する。もう1つの実施態様においては、5種よりも多い交互のディンプル直径を使用する。
本発明の1つの実施態様においては、ゴルフボールは、約440個のディンプルから形成された8個の三角形といずれのディンプルとも交差していない3個の大きい円を含む8面体ディンプルパターンを有する。8面体パターンにおいては、該パターンは、小三角形の内にそれに隣接した最小三角形内に形成された第3群のディンプルを含む。ディンプルを適切に詰め込むためには、大三角形は小三角形よりも9個多いディンプルを有し、小三角形は最小三角形よりも9個多いディンプルを有する。この実施態様においては、ボールは、ボール表面に亘って分布した6種の異なるディンプル直系を有する。大三角形5種の異なるディンプル直系を有し、小三角形は3種の異なるディンプル直系を有し、最小三角形は2種の異なるディンプル直系を有する。
また、ディンプルパターンは、米国特許第6,338,684号に記載されているような葉序(phyllotactic)パターンに従って配列し得、該米国特許は、その全体が参考として本明細書に組み込まれる。
ディンプルパターンは、また、米国特許出願第10/078,417号に開示されているように、切頭8面体、大斜方20・12面体、切頭12面体および大斜立方8面体のようなアルキメデスパターンに基づき得、該パターンは非直線状分離線を有する(該米国特許出願は、その全体が参考として本明細書に組み込まれる)。
本発明のゴルフボールは、また、米国特許第6,409,615号に開示されているように、非円型ディンプル、即ち、無定形ディンプルによってもカバーし得る(該米国特許は、その全体が参考として本明細書に組み込まれる)。
高割合の表面被覆率を与えるディンプルパターンが好ましく、当該技術において周知である。例えば、米国特許第5,562,552号、第5,575,477号、第5,957,787号、第5,249,804号および第4,925,193号は、ゴルフボール上にディンプルを位置付けるための幾何学模様を開示している。1つの実施態様においては、本発明のゴルフボールは、カバー表面積の少なくとも約60%、好ましくは少なくとも約65%、より好ましくは少なくとも70%以上のディンプル被覆率を有する。上記より幾分高めのディンプル被覆率値を有するディンプルパターンも本発明において使用し得る。即ち、本発明のゴルフボールは、少なくとも約75%以上、約80%以上、または約85%以上でさえのディンプル被覆率を有し得る。
さらに、米国特許第6,290,615号に開示されているもののような管状格子模様も、本発明のゴルフボールにおいて使用し得る(該米国特許は、その全体が参考として本明細書に組み込まれる)。また、本発明のゴルフボールは、米国特許第6,383,092号に開示されているように、ボールの中間層上に配置した多数のピラミッド状突起も有し得る(該米国特許は、その全体が参考として本明細書に組み込まれる)。ゴルフボール上の多数のピラミッド状突起は、約20%〜約80%の中間層表面をカバーする。
別の実施態様においては、ゴルフボールは、上記多数のピラミッド状突起の幾分かを赤道の周りに配置可能にする非平面分離線を有し得る。そのようなゴルフボールは、1999年11月18日に出願され、“Mold For A Golf Ball”と題する係属中の米国特許出願第09/442,845号に開示されているようなモールドを使用して製造し得、該米国特許出願は、その全体が参考として本明細書に組み込まれる。この実施態様は、ピラミッド状突起のより高い均一性を与える。
変化するディンプルサイズを有するディンプルパターンの幾つかのさらなる非限定的な例も、1999年9月27日に出願され、“Golf Ball Dimple Patterns”と題する米国特許出願第09/404,164号および米国特許第6,213,898号に提示されている(該米国特許出願および米国特許の開示は、その全体が参考として本明細書に組み込まれる)。
ボール上のディンプルの総数、即ち、ディンプル数は、選定するディンプルサイズおよびパターンのような要因によって変動する。一般に、ボール上のディンプルの総数は、好ましくは、約100〜約1000個のディンプル数であるが、当業者であれば、この範囲内でディンプル数を違えることにより、ボールの飛行性能を有意に変え得ることを認識しているであろう。1つの実施態様においては、ディンプル数は約380個以上のディンプル数であるが、より好ましくは約400個以上のディンプル数であり、さらにより好ましくは約420個以上のディンプル数である。1つの実施態様においては、ボール上のディンプル数は、約422個のディンプル数である。ある場合においては、ボール上で上記より少なめのディンプル数を有することが望ましくあり得る。即ち、本発明の1つの実施態様は、約380個以下のディンプル数、より好ましくは約350個頤下のディンプル数を有する。
対称軸の周りで懸垂曲線を回転させるディンプル形状は、空気力学効率を増大させ、ディンプル数を変えてディンプルパターンを変えることなくボール性能を調整する便利な方法を提供し、すべてのスウィング速度を有するゴルファーにおいて均一に増大した飛行距離を生じ得る。即ち、2001年11月21日に出願され、“Golf Ball Dimples with a Catenary Curve Profile”と題した米国特許出願第09/989,191号に開示されているような懸垂曲線ディンプル形状が、本発明のゴルフボールでの使用に意図される(該米国特許出願は、その全体が参考として本明細書に組み込まれる)。
ゴルフボールの後処理
本発明のゴルフボールは、さらなる利点のために、ペイント塗布し、コーティーングし、あるいは表面処理することができる。
例えば、ゴルフボールカバーは、所望のカラー特性を得るために、蛍光物質および/または染料もしくは顔料を頻繁に含有する。本発明のゴルフボールも、ベース樹脂ペイント組成物により処理し得る。さらに、ゴルフボールは、白色化剤を含む組成物によって処理し得る。例えば、米国特許公報第2002/0082358号は、7-トリアジニルアミノ-3-フェニルコウマリンの誘導体を蛍光白色化剤として使用して改良された耐候性と光沢を与えている(該米国特許公報の開示は、その全体が参考として本明細書に組み込まれる)。
1つの実施態様においては、本発明のゴルフボールは、UV硬化させ得る。適切なUV硬化方法は、米国特許第6,500,495号、第6,248,804号および第6,099,415号に開示されており、これら米国特許の開示は、その全体が参考として本明細書に組み込まれる。1つの実施態様においては、トップコートがUV硬化性である。もう1つの実施態様においては、インクがUV硬化性であり、ペイント層としてあるいは別個のロゴまたは証印用のマーキング手段として使用し得る。
さらに、トレードマーク類または他の証印も、ボールカバーの外表面上に、スタンプ、即ち、パッドプリントし得、その後、スタンプした外表面を少なくとも1種のコリアコートで処理してボールに光沢仕上げを与え、カバー上のスタンプ証印を保護する。
また、本発明のゴルフボールは、染料昇華に供し得、少なくとも1つのゴルフボールコンポーネントを、外表面の深部に移行し証印を形成する少なくとも1種の昇華性インクに供する。少なくとも1種の昇華性インクは、好ましくは、アゾ染料、ニトロアリールアミン染料またはアントラキノン染料の少なくとも1種を含む。2001年12月12日に出願され、“Method of Forming Indicia on a Golf Ball”と題した米国特許出願第10/012,538号はその全体が参考として本明細書に組み込まれる。
レーザー光照射部分に色変化を生じさせるゴルフボールの選定した表面部分のレーザーマーキングも、本発明における使用を意図する。米国特許第5,248,878号および第6,075,223号は、そのような方法を一般的に開示しており、これら米国特許の開示は、全体が参考として本明細書に組み込まれる。さらに、ゴルフボールは、アブレーションに供し得、即ち、レーザー照射ビームをカバーの1部に向け、そのカバー部分を照射し、照射カバー部分が融蝕されて検知可能なマークを形成するが、そのカバー部分の有意の変色は生じない。アブレーションは、2002年12月18日に出願され、“Laser Marking of Golf Balls”と題した米国特許出願第09/739,469号に説明されており、該米国特許出願は、その全体が参考として本明細書に組み込まれる。
保護および装飾コーティーング材料、並びにそのような材料のゴルフボールカバー表面への塗布方法は、ゴルフボール技術において周知である。一般に、そのようなコーティーング材料は、ウレタン類、ウレタンハイブリッド類、エポキシ類、ポリエステル類およびアクリル類を含む。所望であれば、2層以上のコーティーング層も使用し得る。コーティーング層(1層以上)は、当業者に公知の任意の適切な方法によって適用し得る。1つの実施態様においては、コーティーング層(1層以上)は、ゴルフボールカバー上に、米国特許第5,849,168号に記載されているようなモールド内コーティーング法よって適用する(該米国特許はその全体が参考として本明細書に組み込まれる)。
ゴルフ用具における本発明の飽和ポリ尿素およびポリウレタン組成物の使用は、典型的な後処理、例えば、ボールにクリアトップコートを塗布する前の顔料着色コーティーングによるゴルフボールのコーティーングの必要性を排除する。光安定特性を有しない組成物と異なり、本発明のゴルフ用具を形成させるのに使用する組成物は、光への暴露時(とりわけ長期の暴露の場合)に変色しない。また、少なくとも1つのコーティーング工程を削減することにより、製造業者は、加工時間の短縮および結果としての改良された労働効率の点で経済的利益を実感する。さらに、典型的なペイントの構成成分である揮発性有機化合物類(“VOC類”)の有意の減量も本発明の使用によって実現し得、有意の環境的利益を提供する。
このように、上記飽和組成物によって形成させたときの本発明のゴルフボール上への顔料着色コーティーングの使用は必要でないものの、本発明のゴルフボールは、さらなる利益のためには、ペイント塗布、コーティーング、または表面処理することができる。例えば、本発明に従って製造しペイント塗装したゴルフボールの対価として、表面ペイントの劣化が通常のプレイ途中で生ずるときに、増強された色安定性がもたらされる。白色性を増強するのに現在使用されている主流の技術は、二酸化チタンで白色調にしたカバーを形成させ、このカバーをコロナ処理、プラズマ処理、UV処理、火炎処理または電子ビーム処理のような表面処理に供し、蛍光白色化剤を含有し得る1層以上のクリアペイントを塗布することである。この方法は、保護性であり、コスト効率的である。
ゴルフボール特性
本発明のゴルフボールの硬度、モジュラス、コア直径、中間層厚およびカバー層厚のような特性は、本発明のゴルフボールのスピン、初期速度および感触のようなプレイ特性に有効であることが判明している。例えば、中間層の曲げおよび/または引張り弾性率は、本発明のゴルフボールの“感触”に対して効果を有するものと信じている。本明細書における各範囲は互いに入り混んでいること、即ち、ある範囲の下限値が他の範囲の上限値と重複し得ることを理解すべきである。
コンポーネント寸法
ゴルフボールの各コンポーネントの寸法、即ち、厚さおよび直径は、所望する特性によって変動し得る。本発明の目的においては、任意の層厚を使用し得る。上記で概略した各種実施態様の非限定的な例を、以下、層寸法について提示する。
本発明は、任意のサイズのゴルフボールに関する。USGA規格は競技用ゴルフボールのサイズを直径1.68インチ(4.267cm)以上に規定しているが、余暇ゴルフプレイには、任意のサイズのゴルフボールを使用できる。ゴルフボールの好ましい直径は、約1.68インチ〜約1.8インチ(約4.267cm〜約4.572cm)である。より好ましい直径は、約1.68インチ〜約1.76インチ(約4.267cm〜約4.470cm)である。約1.68インチ〜約1.74インチ(約4.267cm〜約4.420cm)の直径が最も好ましいが、1.7〜約1.95インチ(4.318〜4.953cm)範囲のいずれの直径も使用し得る。好ましくは、コアとすべての中間層の全体直径は、最終ボールの全体直径の約80%〜約98%である。
コアは、約0.09インチ〜約1.65インチ(約0.229cm〜約4.191cm)範囲の直径を有する。1つの実施態様においては、本発明のコアの直径は、約1.2インチ〜約1.630インチ(約3.048cm〜約4.140cm)である。もう1つの実施態様においては、コアの直径は、約1.3インチ〜約1.6インチ(約3.302cm〜約4.064cm)、好ましくは約1.39インチ〜約1.6インチ(約3.531cm〜約4.064cm)、より好ましくは約1.5インチ〜約1.6インチ(約3.810cm〜約4.064cm)である。さらにもう1つの実施態様においては、コアは、約1.55インチ〜約1.65インチ(約3.937cm〜約4.191cm)の直径を有する。
また、ゴルフボールのコアは、ボールの残余に対して極めて大きくあり得る。例えば、1つの実施態様においては、コアは、ボールの約90%〜約98%、好ましくはボールの約94%〜約96%を構成する。この実施態様においては、コアの直径は、好ましくは約1.54インチ(約3.912cm)以上、より好ましくは約1.55インチ(約3.937cm)以上である。1つの実施態様においては、コア直径は、約1.59インチ(約4.039cm)以上である。もう1つの実施態様においては、コア直径は、約1.64インチ(約4.166cm)以上である。
コアが内側コア層と外側コア層を含む場合、内側コア層は、好ましくは約0.9インチ(約2.286cm)以上であり、外側コア層は、好ましくは約0.1インチ(約0.254cm)以上の厚さを有する。1つの実施態様においては、内側コア層は約0.09インチ〜約1.2インチ(0.229cm〜約3.048cm)の直径を有し、外側コア層は約0.1インチ〜約0.8インチ(約0.254cm〜約2.032cm)の厚さを有する。さらにもう1つの実施態様においては、内部コア層直径は約0.095インチ〜約1.1インチ(約0.241cm〜約2.794cm)であり、外側コア層は約0.20インチ〜約0.03インチ(約0.508cm〜約0.076cm)の厚さを有する。
カバーは、十分な強度、良好な性能特性および耐久性を与える厚さを有する。1つの実施態様においては、カバー厚は、約0.02インチ〜約0.35インチ(約0.051cm〜約0.889cm)である。カバーは、好ましくは約0.02インチ〜約0.12インチ(約0.051cm〜約0.305cm)、より好ましくは約0.1インチ(約0.254cm)未満の厚さを有する。本発明の組成物をゴルフボールの外側カバーを形成させるのに使用する場合、カバーは、約0.1インチ(約0.254cm)以下、好ましくは約0.07インチ(約0.178cm)以下の厚さを有し得る。1つの実施態様においては、外側カバーは、約0.02インチ〜約0.07インチ(約0.051cm〜約0.178cm)の厚さを有し得る。もう1つの実施態様においては、カバー厚は、約0.05インチ(約0.127cm)以下、好ましくは約0.02インチ〜約0.05インチ(約0.051cm〜約0.127cm)である。さらにもう1つの実施態様においては、そのようなゴルフボールの外側カバー層は、約0.02インチ〜約0.045インチ(約0.051cm〜約0.114cm)である。さらに1つの実施態様においては、外側カバー層は、約0.025インチ〜約0.04インチ(約0.064cm〜約0.102cm)厚である。もう1つの実施態様においては、外側カバー層は、約0.03インチ(約0.076cm)厚である。
ゴルフボールの中間層における厚さ範囲は、中間層を使用する場合の、即ち、外側コア層、内部カバー層、巻付け層、水分/蒸気バリヤー層としての大きい可能性故に、大きい。本発明のゴルフボールにおいて使用する場合、中間層または内部カバー層は、約0.3インチ(約0.762cm)以下の厚さを有し得る。1つの実施態様においては、中間層の厚さは、約0.002インチ〜約0.1インチ(約0.051mm〜約0.254cm)、好ましくは約0.01インチ(約0.254mm)以上である。1つの実施態様においては、中間層の厚さは、約0.09インチ(約0.229cm)以下、好ましくは約0.06インチ(約0.152cm)以下である。もう1つの実施態様においては、中間層厚は、約0.05インチ(約0.127cm)以下、より好ましくは約0.01インチ〜約0.045インチ(約0.254mm〜約1.143mm)である。1つの実施態様においては、中間層厚は、約0.02インチ〜約0.04インチ(約0.508mm〜約1.016mm)である。もう1つの実施態様においては、中間層厚は、約0.025インチ〜約0.035インチ(約0.635mm〜約0.889mm)である。さらにもう1つの実施態様においては、中間層の厚さは約0.035インチ(約0.889mm)厚である。さらにもう1つの実施態様においては、内部カバー層は、約0.03インチ〜約0.035インチ(約0.762mm〜約0.889mm)厚である。中間層および外側カバー層厚におけるこれらの範囲の種々の組合せを他の実施態様においても使用し得る。
中間層対外側カバー層の厚さの比は、好ましくは約10以下、より好ましくは約3以下である。もう1つの実施態様においては、中間層対外側カバー層の厚さの比は、約1以下である。コアと中間層(1層以上)は、一緒になって、1.68インチ(4.267cm)ボール用の好ましくは約1.48インチ(約3.759cm)以上の直径を有する内部ボールを形成する。1つの実施態様においては、1.68インチ(4.267cm)ボールの内部ボールは、約1.52インチ(約3.861cm)以上の直径を有する。もう1つの実施態様においては、1.68インチ(4.267cm)ボールの内部ボールは、約1.66インチ(約4.216cm)以下の直径を有する。さらにもう1つの実施態様においては、1.72インチ(4.369cm) (またはそれ以上)のボールは、約1.50インチ(約3.81cm)以上の内部ボール直径を有する。さらにもう1つの実施態様においては、1.72インチ(4.369cm)ボール用の内部ボールの直径は、約1.70インチ(約4.318cm)以下である。
硬度
殆どのゴルフボールは、異なる硬度、例えば、硬度勾配を有する各層からなり、所望の性能特性を達成している。本発明は、各層間で硬度勾配を有するゴルフボール、並びに同じ硬度を有する各層を有するゴルフボールを意図する。
とりわけ当業者においては、“素材硬度”と“ゴルフボールにおいて直接測定したときの硬度”間には、基本的な相違が存在することを理解すべきである。素材硬度は、ASTM-D2240に記載された手順によって定義されており、一般に、硬度を測定すべき素材から形成させた平坦な“スラブ”または“ボタン”の硬度を測定することを含む。ゴルフボール(または、他の球体表面)上で直接測定するときの硬度は、完全に異なる測定であり、従って、異なる硬度値を生ずる。この相違は、限定するものではないが、ボール構造(即ち、コアのタイプ、コアおよび/またはカバー層の数等)、ボール(または球体)直径、および隣接各層の素材組成のような多くの要因に由来する。また、2つの測定方法は直線的には相関せず、従って、一方の硬度値が他方の硬度値と容易に相関し得ないことも理解すべきである。
本発明のコアは、特定のゴルフボール構造に依存して、種々の硬度を有し得る。1つの実施態様においては、コア硬度は、形成させた球体において測定したとき、少なくとも約15ショアA、好ましくは約30ショアAである。もう1つの実施態様においては、コアは、約50ショアA〜約90ショアDの硬度を有する。さらにもう1つの実施態様においては、コアの硬度は、約80ショアD以下である。好ましくは、コアは約30〜約65ショアDの硬度を有し、より好ましくは、コアは約35〜約60ショアDの硬度を有する。
また、本発明の中間層(1層以上)も、ボールの特定の構造に依存して硬度において変化する。1つの実施態様においては、中間層の硬度は、約30ショアD以上である。もう1つの実施態様においては、中間層の硬度は、約90ショアD以下、好ましくは約80ショアD以下、より好ましくは約70ショアD以下である。さらにもう1つの実施態様においては、中間層の硬度は、約50ショアD以上、好ましくは約55ショアD以上である。1つの実施態様においては、中間層硬度は、約55ショアD〜約65ショアDである。また、中間層は、約65ショアD以上でもあり得る。
中間層がコア層よりも硬質であるようにしたい場合、中間層硬度対コア硬度の比は、好ましくは約2以下である。1つの実施態様においては、上記比は約1.8以下である。さらにもう1つの実施態様においては、上記比は約1.3以下である。
コアおよび中間層と同様に、カバー硬度も、ゴルフボールの構造および所望特性によって変化し得る。カバー硬度対内部ボール硬度の比は、ボールの空気力学、とりわけボールのスピンを調整するための基本的な可変要因である。一般に、内部ボールが硬質であるほど、ドライバースピンは大きく、また、カバーが軟質であるほど、ドライバースピンは大きい。
例えば、中間層をボール内の最硬質点、例えば約50ショアD〜約75ショアDにすることを意図する場合、カバー材料は、スラブ上で測定したとき、約20ショアD以上、好ましくは約25ショアD以上、より好ましくは約30ショアD以上の硬度を有する。もう1つの実施態様においては、カバー自体が約30ショアD以上の硬度を有する。とりわけ、カバーは、約30ショアD〜約70ショアDであり得る。1つの実施態様においては、カバーは約40ショアD〜約65ショアDの硬度を有し、もう1つの実施態様においては、約40ショアD〜約55ショアDである。本発明のもう1つの局面においては、カバーは、約45ショアD未満、好ましくは約40ショアD未満、より好ましくは約25ショアD〜約40ショアDの硬度を有する。1つの実施態様においては、カバーは、約30ショアD〜約40ショアDの硬度を有する。
この実施態様においては、外側カバー層が中間層または内部カバー層よりも軟質である場合、外側カバー材料対中間層材料のショアD硬度の比は、約0.8以下、好ましくは約0.75以下、より好ましくは約0.7以下である。もう1つの実施態様においては、この比は、約0.5以下、好ましくは約0.45以下である。
さらにもう1つの実施態様においては、上記比は、カバーと中間層材料が実質的に同じである硬度を有する場合、約0.1以下である。カバー層と中間層間で異なる硬度が有意であるほどまで意図されない場合には、カバーは、約55ショアD〜約65ショアDの硬度を有し得る。この実施態様においては、外側カバー対中間層のショアD硬度の比は、約1.0以下、好ましくは約0.9以下である。
また、カバー硬度は、ショアCの点からも定義し得る。例えば、カバーは、約70ショアC以上、好ましくは約80ショアC以上の硬度を有する。もう1つの実施態様においては、カバーは、約95ショアC以下、好ましくは約90ショアC以下の硬度を有する。
もう1つの実施態様においては、カバー層は、中間層よりも硬質である。この設計においては、カバー層対中間層のショアD硬度の比は、約1.33以下、好ましくは約1.14以下である。
ツーピースボールを構築する場合、コアは、外側カバーよりも軟質であり得る。例えば、コア硬度は約30ショアD〜約50ショアDの範囲であり得、カバー硬度は約50ショアD〜約80ショアDであり得る。このタイプの構造においては、カバー硬度とコア硬度間の比は、好ましくは約1.75以下である。もう1つの実施態様においては、この比は約1.55以下である。材料によるが、例えば、本発明の組成物が酸官能化され、その酸基が少なくとも部分的に中和されている場合、カバー対コアの硬度比は、好ましくは約1.25以下である。
圧縮
圧縮値は、測定するコンポーネントの直径に依存する。本発明に従って製造したゴルフボールのコアまたはコアの1部のAtti圧縮は、好ましくは約80未満、より好ましくは約75未満である。本明細書において使用するとき、用語“Atti圧縮”または“圧縮”は、ニュージャージー州ユニオンシティのAtti Engineering社から商業的に入手可能であるAtti Compression Gaugeにより測定したときの、較正スプリングの撓みに対比した対象物または材料の撓みとして定義される。Atti圧縮は、ゴルフボールの圧縮を測定するのに典型的に使用される。もう1つの実施態様においては、コア圧縮は、約40〜約80、好ましくは約50〜約70である。さらにもう1つの実施態様においては、コア圧縮は、好ましくは約50未満、より好ましくは約25未満である。
別の低圧縮実施態様においては、コアは、約20未満、より好ましくは約10未満、最も好ましくは0の圧縮を有する。しかしながら、当業者にとっては既知であるように、本発明に従って形成させたコアは、Atti Compression Gaugeの測定以下であり得る。
また、本発明のコアは、約160未満、好ましくは約40〜約160、最も好ましくは約60〜約120の軟質中心撓み指数(Soft Center Deflection Index;SCDI)圧縮も有する。
1つの実施態様においては、本発明のゴルフボールは、約55以上、好ましくは約60〜約120のAtti圧縮を有する。もう1つの実施態様においては、本発明のゴルフボールのAtti圧縮は、少なくとも約40、好ましくは約50〜120、より好ましくは約60〜100である。さらにもう1つの実施態様においては、本発明のゴルフボールの圧縮は、約75以上で約95以下である。例えば、本発明の好ましいゴルフボールは、約80〜約95の圧縮を有し得る。
初期速度およびCOR
ゴルフボールのCORについてのUSGAの規制は現在のところ存在しないが、ゴルフボールの初期速度は250±5フィート/秒(ft/s) (76.2±1.524 m/秒)を越えることはできない。即ち、1つの実施態様においては、初期速度は、約245 ft/s (約74.7 m/秒)以上、約255 ft/s (77.7 m/秒)以上である。もう1つの実施態様においては、初期速度は、約250 ft/s (約76.2 m/秒)以上である。1つの実施態様においては、初期速度は、約253 ft/s (約77.1 m/秒)〜約254 ft/s (約77.4 m/秒)である。さらにもう1つの実施態様においては、初期速度は、約255 ft/s (約77.7 m/秒)である。初期速度についての現行の規約がゴルフボール製造業者が上記規制内に留まることを要求しているものの、当業者であれば、本発明のゴルフボールが上記範囲外の初期速度を有するゴルフボールに容易に代り得ることを認識するであろう。
USGAによって示された初期速度規制の結果として、目的は、上記255 ft/s (約77.7 m/秒)制限に違反することなくCORを最小化することである。ボールのCORは、アウトバウンドまたリバウンド速度対インカムまたはインバウンド速度の比を取ることによって測定する。ワンピース固形ゴルフボールにおいては、CORは、組成および硬度のようなボールの各種特性に依存する。一定の組成においては、CORは、高度を増大させるにつれて、一般に増大する。ツーピース固形ゴルフボール、例えば、コアとカバーにおいては、カバーの目的の1つは、コアのCORの獲得に勝るCORの獲得を生じさせることである。コアの高CORに対する寄与が実質的である場合、カバーからは少ない寄与しか求められない。同様に、カバーがボールの高CORに実質的に寄与する場合、コアからは少ない寄与しか求められない。
本発明は、約125 ft/s (約38.1 m/秒)のインバウンド速度において約0.700〜約0.850のCORを有するゴルフボールを意図する。1つの実施態様においては、上記CORは、約0.750以上、好ましくは約0.780以上である。もう1つの実施態様においては、ボールは、約0.800以上のCORを有する。さらにもう1つの実施態様においては、本発明のボールのCORは、約0.800〜約0.815である。
さらに、内部ボールも、好ましくは約0.780以上のCORを有する。1つの実施態様においては、CORは、約0.790以上である。
スピン速度
当業者にとっては既知のとおり、ゴルフボールのスピン速度は、ゴルフボール構造に依存して変化する。カバーが本発明のポリ尿素またはポリウレタン組成物から形成されている多層ボール、例えば、コア、中間層およびカバーにおいては、ドライバーから離れたボールのスピン速度(“ドライバースピン速度”)は、好ましくは約2700 rpm以上である。1つの実施態様においては、ドライバースピン速度は、約2800 rpm〜約3500 rpmである。もう1つの実施態様においては、ドライバースピン速度は、約2900 rpm〜約3400 rpmである。さらにもう1つの実施態様においては、ドライバースピン速度は、約2700 rpm未満である。
また、本発明に従って製造したツーピースボールも2700 rpm以上のドライバースピン速度を有し得る。1つの実施態様においては、ドライバースピン速度は、約2700 rpm〜約3300 rpmである。本発明に従って製造した巻付け型ボールも同様なスピン速度を有し得る。
スピン速度を測定する方法は、当業者であれば、よく理解すべきである。スピン速度の測定方法の例は、米国特許第6,500,073号、第6,488,591号、第6,286,364号および第6,241,622号に開示されており、これらの米国特許は、その全体が参考として本明細書に組み込まれる。
曲げ弾性率
従って、本発明のゴルフボールは、約500psi〜約500,000psi (約3.447×103 kPa〜約3.447×106 kPa)の曲げ弾性率を有する中間層を有するのが好ましい。さらに好ましくは、中間層の曲げ弾性率は、約1,000psi〜約250,000psi (約6.895×103 kPa〜約1.724×106 kPa)である。最も好ましくは、中間層の曲げ弾性率は、約2,000psi〜約200,000psi (約1.379×104 kPa〜約1.379×106 kPa)である。
カバー層の曲げ弾性率は、好ましくは約2,000psi (約1.379×104 kPa)以上、より好ましくは約5,000psi (約3.447×104 kPa)以上である。1つの実施態様においては、カバーの曲げ弾性率は、約10,000psi〜約150,000psi (約6.895×104 kPa〜約1.034×106 kPa)である。より好ましくは、カバー層の曲げ弾性率は、約15,000psi〜約120,000psi (約1.034×105 kPa〜約8.274×105 kPa)である。最も好ましくは、カバー層の曲げ弾性率は、約18,000psi〜約110,000psi (約1.241×105 kPa〜約7.584×105 kPa)である。もう1つの実施態様においては、カバー層の曲げ弾性率は、約100,000psi (約6.895×105 kPa)以下、好ましくは約80,000psi (約5.516×105 kPa)以下、より好ましくは約70,000psi (約4.826×105 kPa)以下である。例えば、カバー層の曲げ弾性率は、約10,000psi〜約70,000psi (約6.895×104 kPa〜約4.826×105 kPa)、約12,000psi〜約60,000psi (約8.274×104 kPa〜約4.137×105 kPa)、または約14,000psi〜約50,000psi (約9.653×104 kPa〜約3.447×105 kPa)であり得る。
1つの実施態様においては、カバー層が約50ショアD〜約60ショアDの硬度を有する場合、カバー層は、好ましくは約55,000psi〜約65,000psi (約3.792×105 kPa〜約4.482×105 kPa)の曲げ弾性率を有する。
1つの実施態様においては、中間層対カバー層の曲げ弾性率の比は、約0.003〜約50である。もう1つの実施態様においては、中間層対カバー層の曲げ弾性率の比は、約0.006〜約4.5である。さらにもう1つの実施態様においては、中間層対カバー層の曲げ弾性率の比は、約0.11〜約4.5である。
1つの実施態様においては、本発明の組成物は、本質的に同じ硬度を有するが曲げ弾性率において異なる複数カバー層を有するゴルフボールにおいて使用する。本発明のこの局面においては、2つのカバー層の曲げ弾性率間の差は、好ましくは約5,000psi (約3.447×104 kPa)以下である。もう1つの実施態様においては、曲げ弾性率の差は、約500psi (約3.447×103 kPa)以上である。さらにもう1つの実施態様においては、少なくとも1つの層が補強されている2つの層間の曲げ弾性率の差は、約500psi〜約10,000psi (約3.447×103 kPa〜約6.895×104 kPa)、好ましくは約500psi〜約5,000psi (約3.447×103 kPa〜約3.447×104 kPa)である。1つの実施態様においては、未補強または未変性材料から形成された2つのカバー層間の曲げ弾性率の差は、約1,000〜約2,500 (約6.894×103 kPa〜約1.724×104 kPa)である。
比重
カバーまたは中間層の比重は、好ましくは少なくとも約0.7である。1つの実施態様においては、中間層またはカバーの比重は、約0.8以上、好ましくは約0.9以上である。例えば、1つの実施態様においては、ゴルフボールは、約0.9以上の比重を有する中間層と約0.95以上の比重を有するカバーとを有する。もう1つの実施態様においては、中間層またはカバーは、約1.00以上の比重を有する。さらにもう1つの実施態様においては、中間層またはカバーの比重は、約1.05、好ましくは約1.10以上である。
カバーは、約1.00以上、好ましくは1.05以上の比重を有し得る。例えば、本発明のゴルフボールは、約1.10以上の比重を有するコアと約0.95以上の比重を有するカバーとを有し得る。
接着強度
本発明のポリウレタンおよびポリ尿素組成物の接着即ち剥離強度は、好ましくは約5 lbf/in (約0.565 N/m)以上である。1つの実施態様においては、上記接着強度は約25 lbf/in (約2.825 N/m)以下である。例えば、上記接着強度は、好ましくは約10 lbf/in(約1.130 N/m)以上で約20 lbf/in(約2.260 N/m)以下である。もう1つの実施態様においては、上記接着強度は、約20 lbf/in(約2.260 N/m)以上、好ましくは約24 lbf/in(約2.712 N/m)以上である。さらにもう1つの実施態様においては、上記接着強度は、約26 lbf/in(約2.938 N/m)以上である。さらにもう1つの実施態様においては、上記接着強度は、約20 lbf/in〜約30 lbf/in(約2.260 N/m〜約3.390 N/m)である。
熟練技術者であれば、接着強度を測定する方法については承知していることである。例えば、クロスハッチ試験および繰返しボールインパクト試験は、ゴルフボールの特定層の接着強度を測定するのに有用である。クロスハッチ試験は、材料を互いに垂直方向に切断して小片とし、材料上に接着セロファンテープ片を貼付け、テープを急速に引き剥がし、取除かれた小片数を計数することからなる。繰返しインパクト試験は、最終ゴルフボールを繰返しの衝撃に供し、ゴルフボールからの剥れについてコーティーングフィルムを目視検査することからなる。これらの方法の例は、米国特許第5,316,730号に提示されており、該米国特許は参考として本明細書に組み込まれる。
耐水性
本発明の組成物から形成したゴルフボール部分の耐水性は、時間経過での質量増加に関連して表現し得る。例えば、100%相対湿度および72°F(22.2℃)で7週間に亘ってモニターしたゴルフボール部分の質量変化は、どのボールが良好な耐水性を有するかを実証する助けになる。1つの実施態様においては、本発明のゴルフボール部分は、7週間後約0.15グラム以下の質量増加を有する。もう1つの実施態様においては、本発明のゴルフボールは、7週間の保存期間後約0.13グラム以下の質量増加を有する。さらにもう1つの実施態様においては、本発明のゴルフボールの質量増加は、7週間後約0.09グラム以下である。さらにもう1つの実施態様においては、質量増加は、7週間後約0.06グラム以下である。本発明のゴルフボールは、好ましくは、7週間の保存期間に亘って約0.03グラム以下の質量増加を有する。
サイズ増加も耐水性の指標として使用し得る。即ち、ゴルフボールが水分を多く取り込むほど、ゴルフボールは、ゴルフボール部分の最外層の下に囲い込まれた水分のために大きくなる。かくして、本発明のゴルフボールは、好ましくは認識し得るサイズ増加を有さない。1つの実施態様においては、本発明の7週間後のゴルフボールのサイズ増加は、約0.001インチ(25.4ミクロン)以下である。
剪断/切断抵抗性
ゴルフボールカバーの切断抵抗性は、破損と外観を評価する1〜9の尺度を有する剪断試験を使用して測定し得る。1つの実施態様においては、上記破損等級は、好ましくは約3以下、より好ましくは約2以下である。もう1つの実施態様においては、上記劣化等級は、約1以下である。本発明のゴルフボールの外観等級は、好ましくは約3以下である。1つの実施態様においては、外観等級は、約2以下、好ましくは約1以下である。
光安定性
カバーの光安定性は、黄色度指数差(ΔYI)、即ち、所定暴露時間後に測定した黄色度−暴光前の黄色度によって定量し得る。1つの実施態様においては、ΔYIは、5日間(120時間)の暴露後で約10以下、好ましくは5日間の暴露後で約6以下、より好ましくは5日間の暴露後に約4以下である。1つの実施態様においては、ΔYIは、5日間の暴露後で約2以下、好ましくは5日間の暴露後で約1以下である。b色度範囲の差(Δb*、イエロー〜ブルー)もカバーの光安定性を定量する1つの方法である。1つの実施態様においては、Δb*は、5日間(120時間)の暴露後で約4以下、好ましくは5日間の暴露後で約3以下、より好ましくは5日間の暴露後で約2以下である。1つの実施態様においては、Δb*は、5日間の暴露後約1以下である。
以下の非限定的な実施例は、本発明の好ましい実施態様の単なる例示であり、本発明および特許請求の範囲で定義した範囲を限定するものと解釈すべきではない。部は、特に断らない限り、質量による。
飽和ポリウレタンゴルフボールカバー
表3は、飽和ポリウレタンゴルフボールカバー組成物を調整するのに使用した成分を例示する。
Figure 0004105653
*プレポリマーは、4,4'-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートとポリテトラメチレンエーテルグリコールとの反応生成物である。
** HCC-19584は、PolyOne Corporation社(前Harwick Chemical Corporation社)製の白色-青色カラー分散物。
上記組成物から形成させたカバーを有するゴルフボールを、米国特許第5,733,428号の教示に従い製造した。物性およびボール性能を表4に示す。
Figure 0004105653
表4に示す上記組成物からの成型ボールを下記に述べるようなQUV試験にさらに供した。
方法
ASTM G53-88 “Standard Practice for Operating Light and Water-Exposure Apparatus (Fluorescent UV-Condensation Type) for Exposure of Nonmetallic Materials”を、以下のある種の修正により追試した:
評価のための各種6個のボールを特注ゴルフボールホルダー内に置き、オハイオ州クリーブランドのQ-Panel Lab Productd社製のQ-PanelモデルOUV/SER促進耐候性テスターのサンプルラック中に挿入した。各サンプルホルダーは、各ボールがその最接点でUVA-340バルブから約1.75インチ(4.445cm)であるように構築した。その後、耐候性テスターを、下記の2群の条件間で4時間毎にサイクルさせた(24時間、48時間および120時間の特定時間長):
条件#1:オンにセットし1.00 W/m2/nmの照射出力に調整したUVランプ
による約50℃の水浴温度。
条件#2:UVランプオフによる約40℃の水浴温度。
色は、耐候処理前および各時間サイクル後に、25-mmポートを備えたBYK-Gardner Model TCS IIの球体タイプのスペクトロフォトメーターを使用して測定した。D65/10°照度を正反射含有モードで使用した。
UB暴露24時間後の成型ボールについての試験結果を表5に示しており、表中、ΔL*はL範囲の差(明〜暗)に等しく;Δa*は、a色度範囲差(レッド〜グリーン)に等しく;Δb*は、b色度範囲差(イエロー〜ブルー)に等しく;ΔC*は合せた色度差(a*およびb*スケール)、色相および彩度に等しく;ΔH*は、彩度およびルミネセンスの作用を除外した総色相差に等しく;ΔE*は、総色合差に等しく;ΔWIは、白色度指数差に等しく;ΔYIは、黄色度指数差である。
Figure 0004105653
UV暴露48時間後の成型ボールについての試験結果を表6に示す。
Figure 0004105653
UV暴露120時間後の成型ボールについての試験結果を表7に示す。







Figure 0004105653
ジオールで硬化させたH 12 MDIポリエーテル尿素
H12MDIと約2000の分子量を有するポリオキシアルキレンとから調製したプレポリマーを含み、1,4-ブタンジオールで硬化させた組成物から形成させたカバーを有するゴルフボールを製造した。物性およびボール性能結果を表8に示す。実施例1と同様な光安定性脂肪族ポリウレタンゴルフボールを比較目的で使用した。
Figure 0004105653
*剪断試験の格付け:1〜9の尺度による、1が最良、9が最悪
ジアミンで硬化させたH 12 MDIポリエーテル尿素
H12MDIと約2000の分子量を有するポリオキシアルキレンとから調製したプレポリマーを含み、4,4'-ビス-(sec-ブチルアミノ)-ジシクロヘキシルメタン(Clearlink 1000)で硬化させた組成物から形成させたカバーを有するゴルフボールを製造した。物性およびボール性能結果を表9に示す。実施例1と同様な光安定性脂肪族ポリウレタンゴルフボールを比較目的で使用した。
Figure 0004105653
*剪断試験の格付け:1〜9の尺度による、1が最良、9が最悪
ジアミンで硬化させたH 12 MDIアミン末端化合物尿素
H12MDIとアミン末端ポリブタジエンのようなアミン末端化合物とから調製したプレポリマーを含み、N,N'-ジイソプロピル-イソホロンジアミン(Huntsman Corporation社から入手し得るJEFFLINK(登録商標)754)で硬化させた組成物から形成させたカバーを有する本発明に従うゴルフボールを製造できる。物性およびボール性能結果を表9に示す。実施例1と同様な光安定性脂肪族ポリウレタン参照ゴルフボールを比較目的で使用できる。本発明のゴルフボールは、対照ボールと比較したとき、良好な破損等級および外観等級、並びに5日間QUV試験後の改良された光安定性を、高CORを依然として維持しながら好ましくは有している。
本発明ゴルフボールの耐湿性
本発明のゴルフボールの耐湿性を、対照ゴルフボールと比較して測定した。本発明ゴルフボールのカバーは、MDIとヒドロキシ末端ポリブタジエンプレポリマーとのプレポリマーを含み、4,4-ビス-(sec-ブチルアミノ)ジフェニルメタン(Huntsman Corporation社から入手し得るUNILINK(登録商標)4200)で硬化させた組成物から形成させた。
上記カバーを1.580インチ(4.0132cm)巻付け型ボール上に成型させ、通常のコーティーングにより仕上げ加工した。各ボールを50%相対湿度および72°F(22.2℃)の環境室内で1週間インキュベートし、その後、秤量し測定した。その後、これらの状態調節した本発明ゴルフボールを100%相対湿度および72°F(22.2℃)の環境室に供した。質量およびサイズ変化を7週間に亘ってモニターした。試験結果を下記に表で示し(表10および11)、図9および10でグラフにより示している。



Figure 0004105653
Figure 0004105653
耐水性ポリ尿素カバーゴルフボール
ゴルフボールは、固形コア、中間層、および耐水性ポリ尿素組成物から形成されたカバーを使用して、本発明に従い製造できる。とりわけ、カバーは、ポリ尿素プレポリマーと硬化剤との反応生成物から形成させ得る。
上記ポリ尿素プレポリマーは、イソシアネート、例えば、H12MDIと疎水性主鎖を有するアミン末端化合物、例えば、アミン末端ポリブタジエンとから調製し得る。硬化剤は、4,4'-ビス-(sec-ブチルアミノ)ジシクロヘキシルメタン(Huntsman Corporation社から入手し得るUNILINK(登録商標)4200)、N,N'-ジイソプロピル-イソホロンジアミン(Huntsman Corporation社から入手し得るJEFFLINK(登録商標)754)、またはこれらの混合物のような第2級ジアミンであり得る。
対照ボールは、好ましくは同じコアと中間層材料を使用するが、疎水性主鎖を有していないポリオールを含むポリウレタン組成物を使用する。本発明ゴルフボールと対照ゴルフボールの双方を、50%相対湿度および72°F(22.2℃)の環境室内で1週間インキュベートし、その後、秤量し測定し得る。その後、これらのボールを100%相対湿度および72°F(22.2℃)の環境室に供し得る。質量およびサイズ変化を7週間に亘ってモニターし得る。
上記耐水性ポリ尿素カバーゴルフボールは、対照ボールと比較したとき、良好な耐水性を有する。例えば、本発明のゴルフボールは、7週間後、対照ゴルフボールよりも約75%少ない、好ましくは対照ボールよりも約80%少ない質量増加を有し得る。同様に、本発明のゴルフボールは、好ましくは、7週間後サイズ増加を示さないのに対し、対照ゴルフボールは、実施例5、表11に示すような、0.001インチ(25.4μm)サイズ増加を有する。
本明細書において説明し特許請求する本発明は、本明細書において開示した特定の実施態様によってその範囲が限定されるものではない。何故ならば、これらの実施態様は、本発明の幾つかの局面の例示として意図しているからである。任意の等価の実施態様が本発明の範囲内において意図され得る。例えば、本発明の組成物は、パター挿入物、ゴルフグラブヘッドおよびその部品、ゴルフ靴部品、およびゴルフバッグ部品のようなゴルフ用具においても使用し得る。事実、本明細書において示し説明した態様以外に、本発明の種々の修正が、当業者であれば、上記の説明から明らかであろう。そのような修正も特許請求する範囲内に属する。上記において引用したすべての特許および特許出願は、説明上、参考として本明細書に組み込まれる。
カバーが少なくとも1種のポリ尿素を含む組成物から形成されている、ツーピースゴルフボールの断面図である。 少なくとも1つのカバーが少なくとも1種のポリ尿素を含む組成物から形成されている、多コンポーネントゴルフボールの断面図である。 カバーが少なくとも1種のポリ尿素を含む組成物から形成されており、中間層が少なくとも1種のイオノマー樹脂を含む組成物から形成されている、多コンポーネントゴルフボールの断面図である。 コアが張力型エラストマー材料によって取巻かれており、カバーが少なくとも1種のポリ尿素を含む組成物から形成されている、コアとカバーを含む多コンポーネントゴルフボールの断面図である。 液体コアが張力型エラストマー材料によって取巻かれており、カバーが少なくとも1種のポリ尿素を含む組成物から形成されている、液体中心ゴルフボールの断面図である。 コア、薄内部カバー層、および該内部カバー層上に置かれた薄外側カバー層を含み、該カバーが少なくとも1種のポリ尿素を含む組成物から形成されている、多コンポーネントゴルフボールの断面図である。 コア、外側コア層、薄内部カバー層、および該内部カバー層上に置かれた薄外側カバー層を含み、該カバーが少なくとも1種のポリ尿素を含む組成物から形成されている、多コンポーネントゴルフボールの断面図である。 大コアおよびその上に置かれた薄外側カバー層を含み、該カバーが少なくとも1種のポリ尿素を含む組成物から形成されている、多コンポーネントゴルフボールの断面図である。 特定の時間量に亘って制御された温度と湿度に供したゴルフボールの質量変化を示すグラフである。 特定の時間量に亘って制御された温度と湿度に供したゴルフボールのサイズ変化を示すグラフである。
符号の説明
1 ゴルフボール
2 コア
3 カバー
11 ゴルフボール
12 コア
13 カバー
14 中間層
21 ゴルフボール
22 コア
23 カバー
24 中間層
31 ゴルフボール
32 コア層
33 カバー
34 中間層
41 液体中心ゴルフボール
42 中空球状コアシェル
43 液体
44 スレッドゴム
45 カバー
51 ゴルフボール
52 コア
53 外側カバー層
54 内部カバー層
61 ゴルフボール
62 コア
63 外側カバー層
64 内部カバー層
65 外側コア層
71 ゴルフボール
72 大コア
72 外側カバー層

Claims (25)

  1. コアとカバーを含むゴルフボールであって、該カバーが、イソシアネート及び下記からなる群から選ばれたアミン末端化合物またはそれらの混合物を含む反応性生成物から形成されるポリ尿素プレポリマーと、硬化剤とを含むポリ尿素組成物から形成されていることを特徴とするゴルフボール:
    Figure 0004105653
    (各式中、n及びxは、1以上であり;Rは、1〜20個の炭素原子を有するアルキル基、フェニル基、環状基、またはこれらの混合物を含む)。
  2. 前記組成物が下記の一般式を有する結合またはこれらの混合物を含む、請求項1記載のゴルフボール:
    Figure 0004105653
    (式中、xは、1以上であり;RおよびR1は、1〜20個の炭素を有する直鎖または枝分れ炭化水素鎖である)。
  3. 前記硬化剤が、ヒドロキシ末端硬化剤、アミン末端硬化剤、およびこれら混合物からなる群から選ばれる、請求項1記載のゴルフボール。
  4. 前記アミン末端硬化剤が、エチレンジアミン;ヘキサメチレンジアミン;1-メチル-2,6-シクロヘキシルジアミン;2,2,4-および2,4,4-トリメチル-1,6-ヘキサンジアミン;4,4'-ビス-(sec-ブチルアミノ)-ジシクロヘキシルメタン;N,N'-ジイソプロピル-イソホロンジアミン;1,4-ビス-(sec-ブチルアミノ)-シクロヘキサン;1,2-ビス-(sec-ブチルアミノ)-シクロヘキサン;4,4'-ビス-(sec-ブチルアミノ)-ジシクロヘキシルメタンの誘導体;4,4'-ジシクロヘキシルメタンジアミン;1,4-シクロヘキサン-ビス-(メチルアミン);1,3-シクロヘキサン-ビス-(メチルアミン);ジエチレングリコールビス-(アミノプロピル)エーテル;2-メチルペンタメチレン-ジアミン;ジアミノシクロヘキサン;ジエチレントリアミン;トリエチレンテトラミン;テトラエチレンペンタミン;プロピレンジアミン;1,3-ジアミノプロパン;ジメチルアミノプロピルアミン;ジエチルアミノプロピルアミン;イミド-ビス-(プロピルアミン);モノエタノールアミン;ジエタノールアミン;トリエタノールアミン;モノイソプロパノールアミン;ジイソプロパノールアミン;イソホロンジアミン;ポリオキシプロピレンジアミン;プロピレンオキサイド系トリアミン;3,3'-ジメチル-4,4'-ジアミノシクロヘキシルメタン;およびこれらの混合物からなる群から選ばれる、請求項記載のゴルフボール。
  5. 前記アミン末端硬化剤が第2級ジアミン硬化剤である、請求項記載のゴルフボール。
  6. 前記カバーが、紫外線光暴露の5日後で12以下の黄色度指数差を有する、請求項1記載のゴルフボール。
  7. 前記カバーが、紫外線光暴露の5日後で6以下のb色度範囲差を有する、請求項1記載のゴルフボール。
  8. 前記組成物が、少なくとも1種の密度調節用充填剤をさらに含む、請求項1記載のゴルフボール。
  9. コア;
    該コアの周囲に位置して内部ボールを形成する層;および
    該内部ボール上のカバー注型物を含み、前記カバーが、少なくとも1種のイソシアネート及びアミン末端ポリブタジエンを含む少なくとも1種のアミン末端化合物を含むポリ尿素プレポリマーと、ヒドロキシ末端硬化剤、アミン末端硬化剤またはこれらの混合物を含む少なくとも1種の硬化剤を含む光安定性ポリ尿素材料を含む
    ことを特徴とするゴルフボール。
  10. 前記アミン末端硬化剤が、アミン末端炭化水素類、アミン末端ポリエーテル類、アミン末端ポリエステル類、アミン末端ポリカプロラクトン類、アミン末端ポリカーボネート類、アミン末端ポリアミド類、およびこれらの混合物からなる群から選ばれる、請求項記載のゴルフボール。
  11. 前記アミン末端硬化剤が、第1級アミン類、第2級アミン類、トリアミン類、またはそれら混合物を含む、請求項1記載のゴルフボール。
  12. 前記カバーが0.02インチ〜0.035インチ(0.508mm〜0.889mm)の厚さを有する、請求項記載のゴルフボール。
  13. 前記層が第1ショアD硬度を有し、前記カバーが第2ショアD硬度を有し、第1ショアD硬度に対する第2ショアD硬度の比が0.7以下である、請求項記載のゴルフボール。
  14. 前記コアが1.55インチ(3.937cm)以上の直径を有する、請求項記載のゴルフボール。
  15. 前記層が少なくとも1種の熱可塑性あるいは熱硬化性非イオノマー材料を含む、請求項9記載のゴルフボール。
  16. 前記内部ボールが水分バリヤー層をさらに含む、請求項9記載のゴルフボール。
  17. 前記内部ボールが表面処理されている、請求項9記載のゴルフボール。
  18. コア;
    60ショアD以上の硬度を有する1つの中間層;および
    少なくとも1種のイソシアネートと少なくとも1種のアミン末端ポリブタジエンとを含むポリ尿素組成物から形成されたカバーを含むゴルフボールであって、該カバーが、30ショアD〜ショア60の硬度を有し、さらに該ゴルフボールが0.800以上のCORを有していることを特徴とするゴルフボール。
  19. 前記ポリ尿素組成物が、ヒドロキシ末端硬化剤、アミン末端硬化剤およびこれら混合物からなる群から選ばれる硬化剤をさらに含む、請求項1記載のゴルフボール。
  20. 前記中間層硬度に対する前記カバーの硬度比が0.7以下である、請求項1記載のゴルフボール。
  21. 前記カバーが0.2インチ〜0.035インチ(5.08mm〜0.889mm)の厚さを有する、請求項1記載のゴルフボール。
  22. 前記中間層がイオノマー材料を含む、請求項1記載のゴルフボール。
  23. 前記中間層が熱硬化性非イオノマー材料、熱可塑性非イオノマー材料、またはこれら混合物を含む、請求項1記載のゴルフボール。
  24. ポリ尿素プレポリマーが、下記の一般式を有する結合からなる、請求項1又は9記載のゴルフボール:
    Figure 0004105653
    (各式中、xは、1以上であり;RおよびR 1 は、1〜20個の炭素を有する直鎖または枝分れ炭化水素鎖である)。
  25. ポリ尿素組成物が、下記の一般式を有する結合からなる、請求項18、19又は24記載のゴルフボール:





    Figure 0004105653
    (各式中、xは、1以上であり;RおよびR 1 は、1〜20個の炭素を有する直鎖または枝分れ炭化水素鎖である)。
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