[第1の実施の形態]
図1に示すように、アンテナ装置100は、複数のアレイアンテナ20a,20bと、複数の給電装置30a,30bと、複数の給電線40とを備える。アレイアンテナ20a,20bは、複数のアンテナ素子を配列して形成されたアンテナ素子群である。具体的には、アレイアンテナ20aは、複数のアンテナ部10aを配列してアレイ化したものである。アレイアンテナ20bは、複数のアンテナ部10bを配列してアレイ化したものである。1つのアンテナ部10aは、図2に示すように、複数のアンテナ素子11,12,13を配列したものである。アンテナ部10bも同様に、複数のアンテナ素子を配列したものである。このように、複数のアンテナ素子11,12,13が配列されて1つのアンテナ部10aが形成され、そのアンテナ部10aが複数配列されて、アレイアンテナ20aが形成されている。アレイアンテナ20bも同様である。
複数のアンテナ部10a,10bは、図1に示すように、垂直方向(Z軸方向)に配列され、アレイ化される。尚、複数のアンテナ部10a,10bは、水平方向、例えば、X軸方向やY軸方向に配列され、アレイ化されてもよい。又、複数のアンテナ部10a,10bは、面、例えば、X軸及びY軸を含む面や、X軸及びZ軸を含む面、Y軸及びZ軸を含む面に配列され、面的にアレイ化されてもよい。
アレイアンテナ20aと、アレイアンテナ20bは、間隔をおいて配置される。これにより、空間ダイバーシチを行う一対のダイバーシチアンテナが形成される。ダイバーシチアンテナは、アンテナ素子が物理的に離間したアンテナである。アレイアンテナ20aとアレイアンテナ20bは、例えば、数十波長の間隔をおいて配置される。アンテナ装置100は、アレイアンテナ20aとアレイアンテナ20bの受信信号電力を選択合成や最大比合成する。アレイアンテナ20a,20bは、移動局から送信された電波を地物による多重波伝搬路を介して受信する。そのため、数十波長間隔離れたアレイアンテナ20aとアレイアンテナ20bでは、受信信号電力の瞬時変動が相互に独立になる。よって、アンテナ装置100は、アレイアンテナ20aとアレイアンテナ20bを間隔をおいて配置し、受信信号電力を合成する空間ダイバーシチを行うことにより受信信号品質を向上できる。
給電装置30aは、アレイアンテナ20aを形成する各アンテナ部10aに給電する。給電装置30bは、アレイアンテナ20bを形成する各アンテナ部10bに給電する。給電装置30a,30bは、各アンテナ部10a,10bへの給電位相をずらす。これにより、アンテナ装置100は、ビームチルティングを行う。アンテナ装置100は、基地局に設けられる。給電装置30a,30bは、給電線40を介してアンテナ部10a,10bに給電する。
次に、アンテナ部10aについて、図2〜図4を用いて詳細に説明する。アンテナ部10bも、アンテナ部10aと同様である。図2は、アンテナ部10aの側面図である。図2に示すように、アンテナ部10aは、複数のアンテナ素子11,12,13と、分配器14と、複数の給電線15とを備える。複数のアンテナ素子11,12,13は、垂直方向(Z軸方向)に間隔をおいて配列されている。尚、複数のアンテナ素子は、水平方向、例えば、X軸方向やY軸方向に配列されてもよい。又、複数のアンテナ素子は、面、例えば、X軸及びY軸を含む面や、X軸及びZ軸を含む面、Y軸及びZ軸を含む面に配列されてもよい。
アンテナ素子11,12,13は、垂直方向から40〜50度傾斜した偏波成分を持つ。アンテナ素子11,12,13は、垂直方向(Z軸方向)からの傾斜角度θが40〜50度になるように傾斜することにより、垂直方向から40〜50度傾斜した偏波成分を持つことができる。複数のアンテナ素子11,12,13は、分配器14により結合されている。分配器14は、複数のアンテナ素子11,12,13を結合し、各アンテナ素子11,12,13のビームを結合する。このように、分配器14は、各アンテナ素子のビームを結合する結合器として機能する。各アンテナ素子11,12,13にはそれぞれ、給電線15が接続され、給電線15を介して分配器14から電力の供給を受ける。分配器14は、給電線40を介して給電装置30aから供給される電力を、給電線15を介して複数のアンテナ素子11,12,13に分配する。
更に、アンテナ素子11,12,13は、図3に示すように、水平方向において異なる角度に向けて配置されている。図3は、アンテナ部10aのアンテナ素子11,12,13部分の上面図である。水平方向は、垂直方向(図2のZ軸方向)に対して垂直な方向である。アンテナ装置100では、アンテナ素子11,12,13は、水平方向において等間隔の角度に向けて配置されている。具体的には、水平方向におけるアンテナ素子間の角度α、即ち、アンテナ素子11とアンテナ素子12間の角度、アンテナ素子12とアンテナ素子13間の角度、アンテナ素子13とアンテナ素子11間の角度はそれぞれ120度である。アンテナ素子11,12,13の中心はZ軸と一致している。アンテナ素子11,12,13は、Z軸を中心にした円の半径方向であって、等間隔の角度(α=120度)の半径方向に向けて配置される。図3に示すように、水平方向における角度は、アンテナ装置100の正面を0度とし、時計回りに進行する。アンテナ素子11,12,13はそれぞれ、水平方向において0度、120度、240度の角度に向けて配置される。
図2、図3に示すように、垂直方向から40〜50度傾斜した偏波成分を持つアンテナ素子11,12,13を、水平方向において異なる角度に向けて配列した場合に、図4(a)に示す水平方向における様々な角度から見たアンテナ素子11,12,13の状態を図4(b)に示す。図4(a)は、アンテナ素子11,12,13部分の上面図であり、図4(b)は、アンテナ素子11,12,13部分の側面図である。図4(a)に示すように、アンテナ装置100の正面である0度方向(矢印A方向)から60度間隔で、アンテナ素子11,12,13を見る。即ち、0度方向(矢印A方向)、60度方向(矢印B方向)、120度方向(矢印C方向)、180度方向(矢印D方向)、240度方向(矢印E方向)、300度方向(矢印F方向)から、アンテナ素子11,12,13を見る。
図4(b)に示すように、0度方向(矢印A方向)から見た場合、アンテナ素子11が垂直方向(Z軸方向)から45度傾斜している。60度方向(矢印B方向)から見た場合にはアンテナ素子13が、120度方向(矢印C方向)から見た場合にはアンテナ素子12が、180度方向(矢印D方向)から見た場合にはアンテナ素子11が、240度方向(矢印E方向)から見た場合にはアンテナ素子13が、300度方向(矢印F方向)から見た場合にはアンテナ素子12が、それぞれ垂直方向(Z軸方向)から45度傾斜している。
このように、水平方向におけるどの角度からアンテナ素子11,12,13を見ても、少なくとも1本のアンテナ素子が垂直方向から45度傾斜するように、アンテナ素子11,12,13を水平方向において等間隔の角度(α=120度)に向けて配置し、垂直方向から傾斜させることが好ましい。又、アンテナ素子11,12,13は、例えば、180度方向(D方向)から見た場合のアンテナ素子11,12,13のように、垂直方向から時計回りに45度傾斜させてもよく、0度方向(A方向)から見た場合のアンテナ素子11,12,13のように、垂直方向から反時計回りに45度傾斜させてもよい。
次に、図1に示したアンテナ装置100と、図16に示した従来のアンテナ装置400の特性についてシミュレーションを行った結果を図5〜図7に示す。図5〜図7において、実線が従来のアンテナ装置400を、点線が本実施形態のアンテナ装置100を示している。又、所要送信電力は、受信SIRを一定とするために必要な送信電力で示している。
図5は、交差偏波識別度が12dBにおける所要送信電力と移動局アンテナの傾きの関係を示す。図5において、縦軸は所要送信電力の相対値、横軸は移動局アンテナの傾きの角度を示している。移動局アンテナの傾きの角度が0度では、移動局アンテナは垂直状態にあり、移動局アンテナの傾きの角度が90度では、移動局アンテナは水平状態にある。図5に示すように、アンテナ装置100は、垂直方向から40〜50度傾斜した偏波成分を持つアンテナ素子11,12,13を用いることにより、従来のアンテナ装置400とは異なり、移動局アンテナの傾きが大きくなっても、所要送信電力は増加せずに一定である。
図6は、移動局アンテナの傾きが0度(垂直状態)から90度(水平状態)まで一様に分布すると仮定した確率分布で平均化した場合の所要送信電力と交差偏波識別度の関係を示す。又、移動局がデータ通信や通話を行う携帯電話の場合、移動局は、移動局アンテナの傾きが垂直方向から傾斜した状態で使用されることが多い。そのため、図7には、移動局アンテナの傾きが0度(垂直状態)から45〜90度傾斜した範囲に一様に分布すると仮定した確率分布で平均化した場合の所要送信電力と交差偏波識別度の関係を示す。
図6、7において、縦軸は所要送信電力の平均値、横軸は交差偏波識別度(単位は[dB])を示している。図6、図7に示すように、移動局アンテナの傾きが一様に分布する場合、移動局アンテナの傾きが45〜90度の範囲に一様に分布する場合共に、本実施形態のアンテナ装置100は、従来のアンテナ装置400とは異なり、交差偏波識別度が増加しても所要送信電力はほとんど増加せず、所要送信電力はアンテナ装置400よりも常に小さい。
更に、空間ダイバーシチを行わない垂直偏波アンテナ410a単体を用いた場合の所要送信電力と、アンテナ装置400を用いた場合の所要送信電力との比、垂直偏波アンテナ単体410aを用いた場合の所要送信電力と、アンテナ装置100を用いた場合の所要送信電力との比を、それぞれダイバーシチ利得と考える。シミュレーションにより、交差偏波識別度が郊外地における典型的な値である12dBの場合に、移動局アンテナの傾きが一様に分布するとき、アンテナ装置100は、アンテナ装置400よりも1.9dBも高いダイバーシチ利得を得られることが分かった。又、移動局がデータ通信や通話を行う携帯電話の場合のように移動局アンテナの傾きが45〜90度の範囲に一様に分布するとき、アンテナ装置100は、アンテナ装置400よりも4.0dBも高いダイバーシチ利得を得られることが分かった。
又、図8に、移動局アンテナの傾きが0度(垂直状態)から360度(0度から1回転した状態)まで一様に分布すると仮定した確率分布で平均化した場合のアンテナ装置100において一定の受信電力を得るために必要な所要送信電力の比(以下「所要送信電力比」という)を示す。移動局4が、水平方向における角度がアンテナ装置100の正面である0度に位置する場合の所要送信電力を基準送信電力とする。所要送信電力比は、基準送信電力と、移動局4が水平方向における各角度に位置する場合の所要送信電力との比をいう。そのため、移動局4が0度に位置する場合の所要送信電力比は1.0となる。一定の受信電力は全ての移動局に等しい。所要送信電力比は、点線で示される円の中心で「0.0」であり、半径方向に沿って増加し、円周で「1.0」となる。所要送信電力比が1.0の場合、アンテナ装置100が一定の受信電力を得るために、移動局は送信電力を大きく増加させる必要はない。所要送信電力比が0.0に近づくほど、アンテナ装置100が一定の受信電力を得るために送信電力を大きく増加させる必要がある。
所要送信電力比1は、アンテナ素子11及びアンテナ素子11と同じ角度、即ち、水平方向における0度に向けて配置されたアンテナ素子における所要送信電力比である。所要送信電力比2は、アンテナ素子12及びアンテナ素子12と同じ角度、即ち、水平方向における120度に向けて配置されたアンテナ素子における所要送信電力比である。所要送信電力比3は、アンテナ素子13及びアンテナ素子13と同じ角度、即ち、水平方向における240度に向けて配置されたアンテナ素子における所要送信電力比である。尚、図3と同様に、アンテナ装置100の正面が水平方向における角度0度である。円の中心にアンテナ装置100が位置し、円周上に移動局4が位置する。
移動局4が、アンテナ素子11,12,13が向いている方向である0度、120度、240度と、アンテナ素子11,12,13が向いている方向の180度反対方向の180度、300度、60度の方向に位置するときは、所要送信電力比1,2,3のいずれかが1.0である。そのため、アンテナ装置100は、移動局4が送信電力を大きく増加させずに送信しても、一定の受信電力を得ることができる。又、移動局4が、0度と60度との間、60度と120度の間、120度と180度との間、180度と240度との間、240度と300度との間、300度と0度の間のように、アンテナ素子11,12,13が向いている方向と、アンテナ素子11,12,13が向いている方向の180度反対方向との間の方向に位置する場合であっても、所要送信電力比1,2,3のいずれかが1.0に近い値をとる。そのため、アンテナ装置100は、移動局4が送信電力をわずかに増加させるだけで、一定の受信電力を得ることができる。
例えば、アンテナ素子11及びアンテナ素子11と同じ角度のアンテナ素子だけの場合、所要送信電力比1は0度と180度の方向では1.0になるものの、60度と120度との間の方向や、240度と300度との間の方向では、所要送信電力比が0.0に近づき、送信電力を大幅に増加させなければアンテナ装置は一定の受信電力を得ることができない。しかし、アンテナ装置100では、60度と120度の間の方向や、240度と300度との間の方向であっても、所要送信電力比2,3が1.0に近い値をとるため、移動局4は送信電力をほとんど増加させる必要がない。
このようなアンテナ装置100によれば、水平方向におけるほぼ全ての角度に、垂直方向からほぼ45度に傾斜した偏波を放射する水平面内無指向性を実現できる。そのため、偏波面を垂直方向からほぼ45度に傾斜させることにより、移動局アンテナの傾きの変化に伴う所要送信電力の変動を防止する効果を、図8に示すようにアンテナ装置100と移動局4の位置関係に関わらず得ることができる。よって、アンテナ装置100によれば、移動局アンテナの傾きが大きくなっても、所要送信電力を大きく増加させる必要がないため、干渉量の増加を抑制できる。その結果、移動通信システムは移動局の収容容量の減少を防止でき、収容容量を一定に保持できる。
又、複数のアンテナ素子が配列された複数のアンテナ部10a,10bが配列されて、複数のアレイアンテナ20a,20bを形成し、そのアレイアンテナ20a,20bが間隔をおいて配置されている。そのため、アンテナ装置100は、空間ダイバーシチを行うことができる。即ち、水平面内無指向性のダイバーシチアンテナが実現できる。よって、アンテナ装置100は、移動局アンテナの傾きの変化に伴う所要送信電力の変動を防止することにより干渉量の増大を防止すると共に、空間ダイバーシチを行うことができる。その結果、アンテナ装置100は通信品質を向上させることができる。
従って、アンテナ装置100によれば、所要送信電力が移動局アンテナの傾きに依存しない空間ダイバーシチを実現できる。そのため、移動通信システム、特に、CDMAやW−CDMAを用いた移動通信システムにおいて、アンテナ装置におけるアンテナ素子の数を増加させる等、アンテナ装置の規模や処理量を増加させることなく、干渉量の増加を抑制し、移動通信システムにおける移動局の収容容量を効率的に向上させることができる。
移動通信システムの利用形態が自動車電話主体であったころは、移動局アンテナの傾きが主に垂直方向に固定され、移動局アンテナの傾きを考慮する必要はなかった。しかし、近年、移動通信システムは、データ通信や通話を行う携帯電話のような利用形態が主体となり、移動局アンテナは様々な方向に傾斜して使用されるようになっている。アンテナ装置100によれば、このような近年の利用形態に適した空間ダイバーシチを行うことができ、通信品質の向上を図ることができる。
[第2の実施の形態]
次に、6セクタ構成のセルをカバーする基地局に適したアンテナ装置200について説明する。図9に示すように、アンテナ装置200は、複数のアレイアンテナ220a,220bと、複数の給電装置230a,230bと、複数の給電線240とを備える。アレイアンテナ220a,220bはそれぞれ、複数のアンテナ部210a,210bを配列してアレイ化したものである。1つのアンテナ部210aは、図10に示すように、6本のアンテナ素子211a,211b,212a,212b,213a,213bを配列したものである。アンテナ部210bも同様に、6本のアンテナ素子を配列したものである。6本のアンテナ素子はそれぞれ、1つのセクタをカバーする。複数のアンテナ部210a,210bは、図9に示すように、垂直方向(Z軸方向)に配列され、アレイ化される。尚、複数のアンテナ部210a,210bは、水平方向に配列されてアレイ化されてもよく、面的に配列されてアレイ化されてもよい。
アレイアンテナ220aと、アレイアンテナ220bは、間隔をおいて配置され、一対のダイバーシチアンテナを形成する。アレイアンテナ220aとアレイレアンテナ220bは、数十波長の間隔をおいて配置される。アンテナ装置200は、アレイアンテナ220aとアレイアンテナ220bの受信信号電力を選択合成や最大比合成する。給電装置230a,230bは、アレイアンテナ220a,220bを形成する各アンテナ部210a,210bに、給電線240を介してそれぞれ給電する。
次に、アンテナ部210aについて、図10〜図12を用いて詳細に説明する。アンテナ部210bも、アンテナ部210aと同様である。図10は、アンテナ部210aの側面図である。図11は、アンテナ部210aにおけるアンテナ素子211a,211bの部分を示す図である。図11(a)は、アンテナ素子211a,211bの部分の側面図、図11(b)は斜視図、図11(c)は上面図である。アンテナ素子212a,212bの部分、アンテナ素子213a,213bの部分も、アンテナ素子211a,211bの部分と同様である。
図10、図11(a)〜(c)に示すように、アンテナ部210aは、複数のアンテナ素子211a,211b,212a,212b,213a,213bと、複数の反射板214a,214b,214cと、複数の給電線240とを備える。図10に示すように、アンテナ素子は2本で一組になっており、アンテナ素子211aとアンテナ素子211b、アンテナ素子212aとアンテナ素子212b、アンテナ素子213aとアンテナ素子213bがそれぞれ対になっている。対になっているアンテナ素子211aとアンテナ素子211b、アンテナ素子212aとアンテナ素子212b、アンテナ素子213aとアンテナ素子213bは、垂直方向(Z軸方向)に間隔をおいて配列される。対になっているアンテナ素子211a,211b同士、アンテナ素子212a,212b同士、アンテナ素子213a,213b同士は、同じ高さに位置し、奥行き方向(Y軸方向)に並んでいる。アンテナ素子211a,212a,213aで列を形成し、アンテナ素子211b,212b,213bで列を形成する。又、対になっているアンテナ素子は、水平方向、例えば、X軸方向やY軸方向に配列されてもよい。更に、対になっているアンテナ素子が面的に配列されてもよい。尚、図10では、分かりやすくするために、アンテナ素子211b,212b,213bはアンテナ素子211a,212a,213aから少しずらし、見えるように図示している。又、反射板214a,214b,214cの記載を省略している。
アンテナ部210aに含まれるアンテナ素子211a,211b,212a,212b,213a,213bそれぞれに給電線240が接続され、アンテナ素子211a,211b,212a,212b,213a,213bは、給電線240を介して給電装置230aから電力の供給を受ける。6つの給電装置230aはそれぞれ、6つのアンテナ素子211a,211b,212a,212b,213a,213bに給電線240を介して給電する。同様に、6つの給電装置230bもそれぞれ、アンテナ部210bに含まれる6つのアンテナ素子に給電線240を介して給電する。このとき、給電装置230a,230bは、各アンテナ部210a,210bへの給電位相をずらす。これにより、アンテナ装置200は、6つのセクタ毎にビームチルティングを行う。
アンテナ素子211a,211b,212a,212b,213a,213bは、垂直方向から40〜50度傾斜した偏波成分を持つ。アンテナ素子211a,211b,212a,212b,213a,213bは、垂直方向(Z軸方向)からの傾斜角度θが40〜50度になるように傾斜することにより、垂直方向から40〜50度傾斜した偏波成分を持つことができる。対になっているアンテナ素子211a,211b同士、アンテナ素子212a,212b同士、アンテナ素子213a,213b同士は、垂直方向から同じ角度傾斜し、傾斜角度が等しい偏波成分を持つ。
更に、アンテナ素子211a,211b,212a,212b,213a,213bは、水平方向において異なる角度に向けて配置されている。アンテナ装置200では、アンテナ素子211a,211b,212a,212b,213a,213bが水平方向において等間隔の角度に向けて配置されている。又、アンテナ装置200では、対になっているアンテナ素子211a,211b同士、対になっているアンテナ素子212a,212b同士、対になっているアンテナ素子213a,213b同士がそれぞれ、水平方向において180度反対方向の角度に向けて配置されている。更に、各列に含まれるアンテナ素子211a,212a,213a間と、アンテナ素子211b,212b,213b間はそれぞれ、水平方向において120度間隔の角度に向けて配置されている。そのため、アンテナ素子211aとアンテナ素子213b間の角度、アンテナ素子213bとアンテナ素子212a間の角度、アンテナ素子212aとアンテナ素子211b間の角度、アンテナ素子211bとアンテナ素子213a間の角度、アンテナ素子213aとアンテナ素子212b間の角度、アンテナ素子212bとアンテナ素子211a間の角度はそれぞれ60度である。
図3と同様に、水平方向における角度は、アンテナ装置200の正面を0度とし、時計回りに進行する。アンテナ素子211aは水平方向において0度の角度、アンテナ素子212aは水平方向において120度の角度、アンテナ素子213aは水平方向において240度の角度、アンテナ素子211bは水平方向において180度の角度、アンテナ素子212bは水平方向において300度の角度、アンテナ素子213bは水平方向において60度の角度に向けて配置される。
そして、複数のアンテナ部210aに含まれるアンテナ素子211a同士、アンテナ素子211b同士、アンテナ素子212a同士、アンテナ素子212b同士、アンテナ素子213a同士、アンテナ素子213b同士が配列されて、アレイ化される。即ち、複数のアンテナ部210aに含まれる水平方向において同じ角度に向けて配置されているアンテナ素子同士が配列されて、アレイ化される。
尚、水平方向におけるどの角度からアンテナ素子211a,212a,213a,211b,212b,213bを見ても、少なくとも1本のアンテナ素子が垂直方向から45度傾斜するように、アンテナ素子211a,212b,213a,211b,212a,213bを、水平方向において等間隔の角度(60度)に向けて配置し、垂直方向から傾斜させることが好ましい。
反射板214a,214b,214cは、アンテナ素子211a,211bによるビームを、セクタ毎の指向性ビームに区切る。反射板は、対になっているアンテナ素子毎に設けられる。そのため、対になっているアンテナ素子212a,212bと、アンテナ素子213a,213bにも、アンテナ素子211a,211bと同様に複数の反射板が設けられ、それらの反射板が、アンテナ素子212a,212b,213a,213bによるビームをセクタ毎の指向性ビームに分割する。
図11(c)に示すように、反射板214a,214b,214cは、アンテナ素子211a,211bそれぞれが放射するビームが、水平方向に60度のビーム幅βを持つ指向性ビームになるように配置される。反射板214a,214b,214cは、水平方向におけるアンテナ素子211a,211bを向けた角度を中心とした指向性ビームとなるように配置される。又、反射板214a,214b,214cは、アンテナ素子211a,211bそれぞれが片方向に指向性ビームを放射するように配置される。反射板214a,214b,214cは、アンテナ素子211aが放射する指向性ビームの方向と、アンテナ素子211bが放射する指向性ビームの方向が180度反対方向になるように配置される。そのため、反射板214a,214b,214cは、アンテナ素子211a,211bを向けた方向から水平方向に−30度(反時計回りに30度)、+30度(時計回りに30度)の合計60度のビーム幅を持ち、それぞれ180度反対方向に放射される指向性ビームとなるように配置される。
具体的には、図11(a)〜(c)に示すように、反射板214aは、対になっているアンテナ素子211aとアンテナ素子211bとの間に設けられる。反射板214aは、アンテナ素子211a,211bと平行に設けられる。図11(c)では、X軸と平行に、反射板214aと、アンテナ素子211a,211bが設けられる。これにより、アンテナ素子211a,211bがそれぞれ、180度反対方向に指向性ビームを放射するようにできる。
更に、平行な2つの反射板214b,214cが、対になっているアンテナ素子211a,211bを、アンテナ素子211a,211bの両側から挟むようにして設けられる。但し、反射板214b,214cは、反射板214aと直交するように設けられる。図11(a)、(c)では、反射板214b,214cは、Y軸(奥行き方向)と平行に、反射板214aを反射板214aのX軸方向(奥行き方向と直行する方向)の両側から挟むようにして設けられる。これにより、アンテナ素子211aが、アンテナ素子211a,211bを向けた方向からそれぞれ水平方向に、−30度、+30度の合計60度のビーム幅を持つ指向性ビームを放射するようにできる。尚、アンテナ素子211a,211bと、反射板214a,214b,214cとの間には、隙間が設けられている。又、反射板214a,214b,214cは、例えば、金属板等の導電性の板を用いることができる。
このように、反射板214a,214b,214cは、アンテナ素子211aが水平方向における0度方向を中心に、アンテナ素子211bが水平方向における180度方向を中心に、それぞれ水平方向に−30度、+30度の合計60度のビーム幅を持つ指向性ビームを放射するように配置される。同様に、アンテナ素子212aが水平方向における120度方向を中心に、アンテナ素子212bが水平方向における300度方向を中心に、それぞれ水平方向に−30度、+30度の合計60度のビーム幅を持つ指向性ビームを放射するように、反射板が配置される。更に、アンテナ素子213aが水平方向における240度方向を中心に、アンテナ素子213bが水平方向における60度方向を中心に、それぞれ水平方向に−30度、+30度の合計60度のビーム幅を持つ指向性ビームを放射するように、反射板が配置される。その結果、複数の反射板により、複数のアンテナ素子211a,211b,212a,212b,213a,213bによるビームが、6つの指向性ビームに区切られ、6セクタ構成におけるセクタ毎の指向性ビームに区切られる。
図12に、移動局アンテナの傾きが0度から360度まで一様に分布すると仮定した確率分布で平均化した場合のアンテナ装置200における所要送信電力比を示す。所要送信電力比201は、アンテナ素子211a及びアンテナ素子211aと同じ角度、即ち、水平方向における0度に向けて配置され、0度方向を中心とした60度のビーム幅を持つ指向性ビームを放射するように反射板が配置されたアンテナ素子における所要送信電力比である。所要送信電力比202は、アンテナ素子211b及びアンテナ素子211bと同じ角度、即ち、水平方向における180度方向に向けて配置され、180度方向を中心とした60度のビーム幅を持つ指向性ビームを放射するように反射板が配置されたアンテナ素子における所要送信電力比である。
所要送信電力比203は、アンテナ素子212a及びアンテナ素子212aと同じ角度、即ち、水平方向における120度に向けて配置され、120度方向を中心とした60度のビーム幅を持つ指向性ビームを放射するように反射板が配置されたアンテナ素子における所要送信電力比である。所要送信電力比204は、アンテナ素子212b及びアンテナ素子212bと同じ角度、即ち、水平方向における300度に向けて配置され、300度方向を中心とした60度のビーム幅を持つ指向性ビームを放射するように反射板が配置されたアンテナ素子における所要送信電力比である。
所要送信電力比205は、アンテナ素子213a及びアンテナ素子213aと同じ角度、即ち、水平方向における240度に向けて配置され、240度方向を中心とした60度のビーム幅を持つ指向性ビームを放射するように反射板が配置されたアンテナ素子における所要送信電力比である。所要送信電力比206は、アンテナ素子213b及びアンテナ素子213bと同じ角度、即ち、水平方向における60度に向けて配置され、60度方向を中心とした60度のビーム幅を持つ指向性ビームを放射するように反射板が配置されたアンテナ素子における所要送信電力比である。
所要送信電力比201〜206を持つ指向性ビームはそれぞれ、セクタ201a〜206aをカバーする。尚、図8と同様に、アンテナ装置200の正面が水平方向における角度0度である。円の中心にアンテナ装置200が位置し、円周上に移動局4が位置する。又、所要送信電力比は円の中心で「0.0」、円周で「1.0」である。
図12に示すように、水平方向において異なる角度に向けて配置されたアンテナ素子それぞれが放射する指向性ビームの所要送信電力比201〜206が6つに分離されている。このことから、複数の反射板を、複数のアンテナ素子211a,211b,212a,212b,213a,213bがそれぞれ60度のビーム幅を持つ指向性ビームを放射するように配置したことにより、6セクタ構成における各セクタの指向性ビームに区切られることが分かる。更に、どの所要送信電力比201〜206も、指向性ビームがカバーするセクタ201a〜206aにおいてほぼ1.0である。そのため、各セクタ内のどの位置に存在する移動局4であっても送信電力を大きく増加させることなく、アンテナ装置200が一定の受信電力を得るようにできる。
このようなアンテナ装置200によれば、複数のアンテナ素子によるビームを、セクタ毎の指向性ビームに区切る反射板を備えるため、セクタ毎に区切られた指向性ビームを得ることができる。そのため、アンテナ装置200が設けられる基地局が6セクタ構成のセルをカバーする場合に、アンテナ装置200は、移動局4が6つのセクタ内のどこにいても、移動局アンテナの傾きの変化に伴う所要送信電力の変動を防止できる。
[第3の実施の形態]
次に、3セクタ構成のセルをカバーする基地局に適したアンテナ装置300について説明する。図13に示すように、アンテナ装置300は、複数のアレイアンテナ320a,320bと、複数の給電装置330a,330bと、複数の給電線340とを備える。アレイアンテナ320a,320bはそれぞれ、複数のアンテナ部310a,310bを配列してアレイ化したものである。1つのアンテナ部310aは、図14に示すように、3本のアンテナ素子311,312,313を配列したものである。アンテナ部310bも同様に、3本のアンテナ素子を配列したものである。3本のアンテナ素子はそれぞれ、1つのセクタをカバーする。複数のアンテナ部310a,310bは、図13に示すように、垂直方向(Z軸方向)に配列され、アレイ化される。尚、複数のアンテナ部310a,310bは、水平方向に配列されてアレイ化されてもよく、面的に配列されてアレイ化されてもよい。
アレイアンテナ320aと、アレイアンテナ320bは、間隔をおいて配置され、一対のダイバーシチアンテナを形成する。アレイアンテナ320aとアレイアンテナ320bは、数十波長の間隔をおいて配置される。アンテナ装置300は、アレイアンテナ320aとアレイアンテナ320bの受信信号電力を選択合成や最大比合成する。給電装置330a,330bは、アレイアンテナ320a,320bを形成する各アンテナ部310a,310bに、給電線340を介してそれぞれ給電する。
次に、アンテナ部310aについて、図14,15(a)〜(c)を用いて詳細に説明する。アンテナ部310bも、アンテナ部310aと同様である。図14は、アンテナ部310aの側面図である。図15は、アンテナ部310aにおけるアンテナ素子311の部分を示す図である。図15(a)は、アンテナ素子311の部分の側面図、図15(b)は斜視図、図15(c)は上面図である。アンテナ素子312の部分、アンテナ素子313の部分も、アンテナ素子311の部分と同様である。
図14、図15(a)〜(c)に示すように、アンテナ部310aは、複数のアンテナ素子311,312,313と、複数の反射板314a,314bと、複数の給電線340とを備える。アンテナ素子311,312,313は、垂直方向(Z軸方向)に間隔をおいて配列される。アンテナ素子311,312,313は、水平方向に配列されたり、面的に配列されたりしてもよい。尚、図14では、分かりやすくするために、反射板314a,314bの記載を省略している。
アンテナ部310aに含まれるアンテナ素子311,312,313それぞれに、給電線340が接続され、アンテナ素子311,312,313は、給電線340を介して給電装置330aから電力の供給を受ける。3つの給電装置330aはそれぞれ、3つのアンテナ素子311,312,313に給電線340を介して給電する。同様に、3つの給電装置330bもそれぞれ、アンテナ部310bに含まれる3つのアンテナ素子に給電線340を介して給電する。このとき、給電装置330a,330bは、各アンテナ部310a,310bへの給電位相をずらす。これにより、アンテナ装置300は、3つのセクタ毎にビームチルティングを行う。
アンテナ素子311,312,313は、垂直方向から40〜50度傾斜した偏波成分を持つ。アンテナ素子311,312,313は、垂直方向(Z軸方向)からの傾斜角度θが40〜50度になるように傾斜することにより、垂直方向から40〜50度傾斜した偏波成分を持つことができる。更に、アンテナ素子311,312,313は、水平方向において異なる角度に向けて配置されている。アンテナ装置300では、アンテナ素子311,312,313が、図3に示したアンテナ素子11,12,13と同様に、水平方向において等間隔の角度に向けて配置されている。即ち、アンテナ素子311とアンテナ素子312間の角度、アンテナ素子312とアンテナ素子313間の角度、アンテナ素子313とアンテナ素子311間の角度はそれぞれ120度である。図3と同様に、水平方向における角度は、アンテナ装置300の正面を0度とし、時計回りに進行する。アンテナ素子311は水平方向において0度の角度、アンテナ素子312は水平方向において120度の角度、アンテナ素子313は水平方向において240度の角度の角度に向けて配置される。
そして、複数のアンテナ部310aに含まれるアンテナ素子311同士、アンテナ素子312同士、アンテナ素子313同士が配列されて、アレイ化される。即ち、複数のアンテナ部310aに含まれる水平方向において同じ角度に向けて配置されているアンテナ素子同士が配列されて、アレイ化される。尚、水平方向におけるどの角度からアンテナ素子311,312,313を見ても、少なくとも1本のアンテナ素子が垂直方向から45度傾斜するように、アンテナ素子311,312,313を、水平方向において等間隔の角度(120度)に向けて配置し、垂直方向から傾斜させることが好ましい。
反射板314a,314bは、アンテナ素子311によるビームを、セクタ毎の指向性ビームに区切る。反射板は、アンテナ素子毎に設けられる。そのため、アンテナ素子312,313にも、アンテナ素子311と同様に複数の反射板が設けられ、それらの反射板が、アンテナ素子312,313によるビームをセクタ毎の指向性ビームに区切る。
図15(c)に示すように、反射板314a,314bは、アンテナ素子311が放射するビームが、水平方向に60度のビーム幅βを持つ指向性ビームになるように配置される。反射板314a,314bは、水平方向におけるアンテナ素子311を向けた角度を中心としたビーム幅と、アンテナ素子311を向けた角度と180度反対方向の角度を中心としたビーム幅を持つ指向性ビームとなるように配置される。そのため、反射板314a,314bは、水平方向におけるアンテナ素子311を向けた方向から、水平方向に−30度(反時計回りに30度)、+30度(時計回りに30度)の合計60度のビーム幅と、そのビーム幅と180度反対方向のビーム幅を持つ指向性ビームとなるように配置される。
具体的には、図15(a)〜(c)に示すように、平行な2つの反射板314a,314bが、アンテナ素子311を、アンテナ素子311の両側から挟むようにして設けられる。但し、反射板314a,314bは、図15(a)、(c)に示すように、Y軸(奥行き方向)と平行に、アンテナ素子311をアンテナ素子311のX軸方向(奥行き方向と直行する方向)の両側から挟むようにして設けられる。これにより、アンテナ素子311が、水平方向におけるアンテナ素子311を向けた方向から、水平方向に−30度、+30度の合計60度のビーム幅と、アンテナ素子311を向けた方向の180度反対方向から水平方向に−30度、+30度の合計60度のビーム幅を持つ指向性ビームを放射するようにできる。尚、アンテナ素子311と、反射板314a,314bとの間には、隙間が設けられている。
このように、反射板314a,314bは、アンテナ素子311が水平方向における0度方向を中心に水平方向に−30度、+30度の合計60度のビーム幅と、180度方向を中心に水平方向に−30度、+30度の合計60度のビーム幅を持つ指向性ビームを放射するように配置される。同様に、アンテナ素子312が水平方向における120度方向を中心に水平方向に−30度、+30度の合計60度のビーム幅と、300度方向を中心に水平方向に−30度、+30度の合計60度のビーム幅を持つ指向性ビームを放射するように、反射板が配置される。更に、アンテナ素子313が水平方向における240度方向を中心に水平方向に−30度、+30度の合計60度のビーム幅と、60度方向を中心に水平方向に−30度、+30度の合計60度のビーム幅を持つ指向性ビームを放射するように、反射板が配置される。その結果、複数の反射板により、複数のアンテナ素子311,312,313によるビームが、3つの指向性ビームに区切られ、3セクタ構成におけるセクタ毎の指向性ビームに区切られる。
その結果、アンテナ素子311のように水平方向における0度方向に向けて配置されるアンテナ素子の所要送信電力比は、図12に示す所要送信電力比201及び所要送信電力比202のようになる。アンテナ素子312のように水平方向における120度方向に向けて配置されるアンテナ素子の所要送信電力比は、図12に示す所要送信電力比203及び所要送信電力比204のようになる。アンテナ素子312のように水平方向における240度方向に向けて配置されるアンテナ素子の所要送信電力比は、図12に示す所要送信電力比205及び所要送信電力比206のようになる。そして、図12に示した所要送信電力比201及び所要送信電力比202を持つ指向性ビームが1つのセクタをカバーし、所要送信電力比203及び所要送信電力比204を持つ指向性ビームが1つのセクタをカバーし、所要送信電力比205及び所要送信電力比206を持つ指向性ビームが1つのセクタをカバーする。
よって、水平方向において異なる角度に向けて配置したアンテナ素子それぞれが放射する指向性ビームの所要送信電力比が3つに区切られている。このことから、複数の反射板を、複数のアンテナ素子311,312,313がそれぞれ60度のビーム幅を両方向に持つ指向性ビームを放射するように配置したことにより、3セクタ構成における各セクタの指向性ビームに分割できることが分かる。更に、どのセクタにおける所要送信電力比も、指向性ビームがカバーするセクタにおいてほぼ1.0である。そのため、各セクタ内のどの位置に存在する移動局であっても送信電力を大きく増加させることなく、アンテナ装置300が一定の受信電力を得るようにできる。
このようなアンテナ装置300によれば、アンテナ装置300が設けられる基地局が3セクタ構成のセルをカバーする場合に、アンテナ装置300は、移動局が3つのセクタ内のどこにいても、移動局アンテナの傾きの変化に伴う所要送信電力の変動を防止できる。
尚、本発明は、上記第1〜第3の実施の形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。上記実施の形態では、基地局が移動局から受信するときに空間ダイバーシチを適用する場合について説明したが、空間ダイバーシチは、基地局、移動局における受信、送信のいずれに適用しても通信品質を向上できる。又、図2では、アンテナ素子11,12,13を分配器14により結合したが、アンテナ素子11,12,13を結合できれば、分配器14に限定されない。又、図11(b)、(c)では、複数の反射板214a,214b,214cを用いたが、反射板は一体型であっても構わない。更に、各アンテナ部10a,10b,210a,210b,310a,310bに含まれるアンテナ素子の数も限定されない。