JP4104249B2 - 鉄塔移動ロボット - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、鉄塔、例えば高圧送電線架空鉄塔での塗装作業や、碍子の点検作業、あるいは作業に使用する資・機材等の運搬などを目的として鉄塔を移動する鉄塔移動ロボットに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、鉄塔、例えば高圧送電線架空鉄塔の塗装や碍子の点検等の作業は、鉄塔に人が登って行なう、人手作業によって行われている。
ところが50万V規模の高圧送電線架空鉄塔の場合、高さは数十メートルにもおよび、その作業には非常な危険が伴う。
特に鉄塔の斜材又は水平材には足場が全く無いため、ここでの作業は作業する人が斜材又は水平材に抱き付いた状態で行なわなければならないが、電力需要の関係上夏場は作業することが出来ず、多くは冬場の作業となるため、その作業は非常に厳しく、そのため、危険であるばかりでなく、作業性も極めて悪い。
【0003】
そのため、作業や資・機材運搬等のために鉄塔を移動するロボットの開発が従来要望されている。
鉄塔を移動するロボットとしては、主柱材の昇降移動ばかりでなく、斜材又は水平材の移動も求められる。
ロボットの鉄塔昇降には、主柱材に設けられた墜落防止用のレールを利用することも考えられるが、主柱材に墜落防止用のレールが設けられていないものもあり、現在又は近い将来において、建設後30〜40年経過して塗装の塗り替え時期を迎える多くの鉄塔は上記レールを備えていないため、鉄塔移動用ロボットとしては、上記レールが設けられていないものにも対応できることが望ましい。
また、主柱材は、複数の柱材を連結して構成されているため、主柱材の昇降移動に際しては、フランジを回避しつつ昇降する必要がある。
また、主柱材の軸回りの振れ等が無く、昇降動作の安定性が求められる。
一方、斜材や水平材での移動に際しては、移動動作の安定性が求められるのは勿論、設置のし易さや、斜材又は水平材の管径の影響を受けないことが求められる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上述したような状況に鑑みてなされたもので、その第一の目的は、高所での作業や資・機材運搬等のために鉄塔を移動することが出来るロボットを提供することにある。
本発明は、また、鉄塔の主柱材のみならず、斜材又は水平材への移動も可能な鉄塔移動用ロボットを提供することを目的としている。
本発明の他の目的は、墜落防止用のレールが設けられていない鉄塔にも昇降移動が可能で、フランジの存在にも影響されること無く主柱材を昇降移動でき、しかも安定した昇降動作が得られる鉄塔移動用ロボットを提供することである。
本発明の更に他の目的は、安定した移動動作で斜材又は水平材上を移動することができ、斜材又は水平材への設置がし易く、斜材又は水平材の管径の影響も受けない鉄塔移動用ロボットを提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の鉄塔移動ロボットは、請求項1記載のように、トラス構造鉄塔の主柱材に取り付いて主柱材を昇降する第1のロボットと、第1のロボットを昇降作動させる昇降駆動装置と、鉄塔の斜材又は水平材に取り付いて斜材又は水平材上を移動する第2のロボットと、第1のロボットと第2のロボットとを着脱自在に連結する連結手段とからなり、上記連結手段が第2のロボットを第1のロボットから離脱させて鉄塔の斜材又は水平材上に移乗させ、また、この斜材又は水平材上から第2のロボットを再び第1のロボットに回収する離脱・回収機構を備えることを特徴とする。
【0006】
また、本発明は、請求項2記載のように、少なくとも前面と上下両面を開放し、鉄塔の主柱材に側方から嵌め込み状に取付け可能な機体と、機体にウインチを設置、ウインチから引き出したワイヤーの先端を鉄塔の上部に連結して、ウインチでワイヤーの巻き上げ、繰り出しを操作することにより機体を昇降作動させる昇降駆動装置と、同一水平面において鉄塔の主柱材をその横断面中心線を対称軸として少なくとも二方向から挟んで主柱材の軸方向に転動する複数の車輪を機体に上下複数組設けた移動手段と、機体内を上下方向に延びてその上下両端を開放するスリットを有し、当該スリットを主柱材に植設されているステップボルトに係合してこれを挟み込み、昇降時における主柱材軸回りの振れを防止する振れ止め機構と、移動手段に連係して設けられ車輪を上位又は下位のものから順次進退させて移動手段の主柱材フランジへの衝突を回避するフランジ回避機構とを備えることを特徴とする。
【0007】
更に本発明は、請求項3記載のように、下面及び前後両面が開放されて鉄塔の斜材又は水平材に上方からサドル状に被せることが可能な機体と、機体に回転自在に設けられて斜材又は水平材上を転動する複数のローラーからなる移動手段と、機体に設けられて駆動力伝達機構を介して移動手段を回転駆動する駆動手段と、前記移動手段の複数のローラー間の機体の左右に夫々回動自在に設けられ、機体を前記斜材又は水平材に被せた状態で斜材又は水平材の両側に下向き垂直に延びて機体の重心を斜材又は水平材より低く且つ前記移動手段のローラーの軸を常時水平に保つバランサーと、機体を斜材又は水平材に被せた状態で斜材又は水平材の上面部に近接するように機体に設けられ、磁力を利用して垂直抗力を得る垂直抗力付与手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
前記請求項1の鉄塔移動ロボットにおいて、第1のロボットに請求項2記載の鉄塔移動ロボットを用いることが出来る。
また第2のロボットを、請求項3記載の鉄塔移動ロボットとすることが出来る。
更に、第1のロボットを請求項2記載の鉄塔移動ロボットで構成し、第2のロボットを請求項3記載の鉄塔移動ロボットで構成することが出来る。
【0009】
また、前記請求項1における第2のロボットと、請求項3の鉄塔移動ロボットには塗装装置を一体的に装備することができ、上記塗装装置は、回転自在なローラー本体を水平にして少なくとも左右一対設けられ、夫々が上下に円弧を描いて回動可能な塗装ローラーと、左右の塗装ローラーを上下逆方向に昇降作動させる昇降装置と、塗装ローラーに塗料を供給する塗料供給装置と、塗装ローラーを水平状態に維持するように付勢する付勢装置とを備え、上記左右の塗装ローラーは相互の高さレベルを斜材又は水平材の太さ以上に違えて配置し、かつ支点とローラー本体の回転軸線が水平になった状態においてローラー本体の回転軸線相互を相手ローラー側にずらした構造であることが望ましい。
【0010】
【発明の作用・効果】
以上のように構成した請求項1の鉄塔移動ロボットは、トラス構造鉄塔の主柱材に対しては第1のロボットが第2のロボットを連結して移動し、斜材又は水平材に対しては第2のロボットが第1のロボットから分離して移乗し、第2のロボットのみで斜材又は水平材上を移動することが出来る。
そして、作業終了後は、再び第1のロボットに第2のロボットを回収連結して、更に上部へ移動したり、鉄塔を下りてくることが出来る。
従って、第1のロボット又は第2のロボットのいずれか又は双方に必要な作業機器や資・機材の搬送ユニットなどを接続することにより、鉄塔高所での作業や、資・機材の運搬を人手作業によらずに行なうことが可能になる。
【0011】
また、請求項2の鉄塔移動ロボットは、ワイヤーをウインチで巻き上げることにより、ワイヤーの巻き上げに伴って車輪が主柱材上を転動し、ステップボルトにガイドされて主柱材を上昇移動する。また、上昇位置においてワイヤーを緩めることにより、主柱材を下降移動する。即ち、このロボットは鉄塔に墜落防止用のレール等が無くても、それを昇降移動することが出来る。
そして、ロボットがフランジ部分に達したら、先ず、最上位の車輪のみをフランジに当たらないように後退させ、フランジ通過後この車輪を前進させて再び主柱材に当接させるようにする。これを中位、下位の車輪へと順次行なうことによりフランジを乗り越えて移動することが可能になる。即ち、この鉄塔移動ロボットはフランジの存在にも影響されること無く主柱材を昇降移動できる。
また、振れ止め機構のスリットが主柱材のステップボルトに係合し、当該ステップボルトにガイドされて昇降移動するので機体の主柱材軸回りの振れが防止され、安定した昇降動作が得られる。
【0012】
また、請求項3記載の鉄塔移動ロボットは、鉄塔の斜材又は水平材上に置いて移動手段を回転駆動することにより、鉄塔の斜材又は水平材上を自走して移動することが出来る。しかも、機体を鉄塔の斜材又は水平材に上方からサドル状に被せて設置できるようにしたので、設置が容易であり、斜材又は水平材の管径に影響されることも無い。また、機体には機体を鉄塔の斜材又は水平材に上方からサドル状に被せて設置したときに斜材又は水平材の両側に下向き垂直に延びるバランサーを回動自在に設けて、機体の重心を斜材又は水平材より低く且つ前記移動手段のローラーの軸を常時水平に保つようにし、しかも磁力を利用して垂直抗力を得る垂直抗力付与手段を設けたので、斜材又は水平材上での平衡バランスが保たれ、斜材又は水平材から脱落することがなく、斜材移動に際し、下方へ滑り落ちてしまうようなこともない。
【0013】
請求項4の鉄塔移動ロボットは、請求項1の鉄塔移動ロボットの作用効果に加えて、第1のロボットが請求項2の作用効果を奏する。また、請求項5の鉄塔移動ロボットは、請求項1の鉄塔移動ロボットの作用効果に加えて、第2のロボットが請求項3の作用効果も奏する。更に、請求項6の鉄塔移動ロボットは、請求項1の鉄塔移動ロボットにおいて、第1のロボットが請求項2の、第2のロボットが請求項3の夫々効果を奏する。
【0014】
請求項6の鉄塔移動用ロボットは、トラス構造の鉄塔において、第1のロボットで主柱材の斜材又は水平材連結位置まで第2のロボットを運搬して、斜材又は水平材上に移乗させ、当該第2のロボットを斜材又は水平材上に自走移動させながら、塗装装置で斜材又は水平材を塗装し、塗装が終わったら第2のロボットを再び第1のロボットに回収して、更に次の斜材又は水平材まで移動運搬することが出来る。そしてこれを各斜材又は水平材で順次行なうことにより、鉄塔の全ての斜材又は水平材を、全く人手作業によらずに塗装することが出来る。
【0015】
上記塗装装置は、左右の塗装ローラーの昇降により、ローラー本体が斜材又は水平材の周面をその周方向に転動して、左右の塗装ローラーで左右半周づつを塗装するようになり、夫々上昇作動により下1/4周、下降作動により上1/4周を塗装する。
左右の塗装ローラーは、支点とローラー本体の回転軸線が水平になっている状態で夫々ローラー本体の回転軸線が、相手ローラー側にずれているので、塗り残す部分が無い。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図に基づいて説明する。
図中Aは鉄塔の主柱材C等ほぼ垂直状の塔、柱材を昇降移動するための第1のロボット、Bはトラス構造鉄塔の斜材又は水平材D等を移動するための第2のロボットである。
【0017】
第1のロボットAは、その機体1に、それが鉄塔の主柱材C上を移動するための移動手段2、第1のロボットAを昇降作動させるための昇降駆動装置3、第1のロボットAの昇降時における主柱材C軸回りの振れを主柱材Cに設けられているステップボルトc2を利用して防止し、昇降動作を安定させる振れ止め機構4等を備え、第2のロボットBはその機体6に、それが鉄塔の斜材又は水平材Dを移動するための移動手段9、移動手段9を駆動する駆動手段10、斜材又は水平材D上での平衡バランスを保つためのバランサー7、垂直抗力付与手段8等を備えている。
【0018】
先ず、第1のロボットAについて説明する。
第1のロボットAの機体1は、フレーム材で構成された立体架構からなり、左右一対のサイドフレーム11がバックフレーム12で連結されて大略コ字型に形成されて、鉄塔の主柱材Cに側方から嵌め込むようにして設置することが出来るように構成されている。
【0019】
移動手段2は、同一水平面において鉄塔の主柱材Cをその横断面中心線を対称軸として少なくとも二方向から挟んで主柱材Cの軸方向に転動する複数の車輪21を機体1に上下複数組設けて構成されており、上記同一水平面に設けられる車輪21は2個を一組として二組設けられ、夫々機体1のサイドフレーム11から対向するサイドフレーム11側に向かって延びる棒軸22の先端に取付板23を介して取付けられている。即ち、移動手段2は上記2個を一組として同一水平面に二組設けられる車輪21が上下方向に3組又はそれ以上設けられている。
同一平面に設けられる二組の車輪21は、相互に対向する位置にあり、夫々の車輪21は交差方向に位置するもの同士が相互に向き合う方向に向いている。
上記移動手段2は、フランジ回避機構5を備えている。
【0020】
フランジ回避機構5は、移動手段2の車輪21を進退させて同一水平面にある二組の車輪21相互の間隔を大小可変するもので、図示実施例の場合、前記棒軸22にラック51を設けて、機体1に設けた支持部52で進退自在に支持するようにし、この棒軸22のラック51にモーター53により正逆回転する図示しないピニオンを噛み合わせて構成し、ピニオンの正回転で棒軸を前進、負回転で後退させるようになっている。
尚、上記フランジ回避機構5は、上記構造以外にもオイル圧やエアー圧で作動するシリンダー等、他の適当な手段を用いて車輪21を進退作動させるような構造とすることも任意である。
昇降駆動装置3は、ウインチ31からなり、機体1の上部に設置されている。
【0021】
振れ止め機構4は、機体1内にステー13等で取付け支持した2本のレール41により構成されており、上記2本のレール41は相互間に前記主柱材Cに設けられているステップボルトc2の太さにほぼ相当するスリット42を有して平行に配置されて上下方向に延び、前記ステップボルトc2をレール41間のスリット42に係合させて挟み込むことが出来るようになっている。
通常、ステップボルトc2は、主柱材Cの上下方向に千鳥状に配置されて縦二列に設けられているので、上記振れ止め機構4も二列のステップボルトc2に対応して二組設けられている。
【0022】
而して、斯かる第1のロボットAは、ウインチ31のワイヤー32を引き出して鉄塔の上端に連結すると共に機体1を鉄塔の主柱材Cに側方から嵌め込んで、振れ止め機構4のレール41が主柱材Cのステップボルトc2を挟み込み、車輪21が主柱材C表面に当接する状態になるように主柱材Cにセットして使用するものであり、このセット状態で上記ワイヤー32をウインチ31で巻き上げれば、ワイヤー32の巻き上げに伴って上記車輪21が主柱材C上を転動し、ステップボルトc2にガイドされて主柱材Cを上昇移動する。また、上昇位置においてワイヤー32を緩めれば、主柱材Cを下降移動する。
そして、この上昇・下降時、主柱材Cのフランジc1部分では、車輪21をそのフランジ回避機構5により順次後退、前進させることにより、フランジc1を乗り越えることが出来る。即ち、例えば上昇時ロボットAがフランジc1部分に達したら、先ず、最上位の車輪21のみをフランジc1に当たらないように後退させ、フランジc1通過後この車輪21を前進させて再び主柱材Cに当接させるようにする。これを中位、下位の車輪21へと順次行なうことによりフランジc1の乗り越えが可能になる。
フランジc1の位置は、不図示のセンサーにより検知することが出来る。センサーとしては光センサー、超音波センサーなどの非接触センサーが好適であり、機体1の適当な部位、例えば上端部等に設置することが出来る。
また、当該第1のロボットAは、振れ止め機構4のレール41が主柱材Cのステップボルトc2を挟み込んで機体1の主柱材C軸回りの振れを防止するため、安定した昇降動作が得られる。
【0023】
この第1のロボットAは、CCDカメラ機構を搭載したり、上記カメラ機構を搭載した撮影ユニットを接続して、鉄塔の碍子の状態を監視するために使用することが出来る。また、自動塗装装置を搭載又は接続したり、資・機材を積載する積載ユニットを接続すれば、鉄塔主柱材Cの塗装や、高所への資・機材の運搬等の作業を人手作業によらずに行なうことを可能にすることが出来る。
【0024】
次に、第2のロボットBについて説明すると、この第2のロボットBは、鉄塔の斜材又は水平材Dに上方からサドル状に被せることが出来るように、機体6が所要の間隔を置いて平行に配された左右一対のサイドパネル61の上端縁を連結部材62で連結して大略下向きコ字型に形成されており、機体6には前述のようにバランサー7と垂直抗力付与手段8が取付けられ、更に移動手段を構成するローラー9と、このローラー9を回転駆動する駆動手段を構成するモーター10が取付けられており、当該モーター10の回転をローラー9に伝達する駆動力伝達機構90が上記両者10,9に亘って設けられている。
【0025】
上記ローラー9は、機体6の左右サイドパネル61間に回転自在に架設されて、前後2個設けられており、夫々大略鼓形で周面が斜材又は水平材Dの円弧状表面に沿い得るような曲面に形成されている。
モーター10は、ブラケット101を介して前記連結部材62に取付けられて上記両ローラー9,9の間に配置されている。
【0026】
駆動力伝達機構90は、一方のローラー9(図示例では前側ローラー)の軸に大小2個のプーリー91,92を設けて大径側のプーリー91をモーター10の軸に設けたプーリー93に、小径側のプーリー92を他方(後側プーリー)のローラー9の軸に設けたプーリー94に夫々ベルト95,96で連絡して、モーター10の回転を減速して上記ローラー9に伝達するように構成してある。
上記前側ローラー9の大径側プーリー91はモーター軸のプーリー93より大径であり、小径側プーリー92は後側ローラー9のプーリー94と同径である。
【0027】
バランサー7は、第2のロボットBの重心を斜材又は水平材より低くし且つ前後のローラー9間のバランサーの回動支点へはバランサーによる重力が常に垂直に作用するようにして斜材又は水平材D上での第2のロボットBの平衡バランスを保つために設けるもので、機体6の左右サイドパネル61に夫々取り付けられている。上記バランサー7は上半部を山形状に形成し、下半部を四角形に形成したプレート状のもので、上端部をサイドプレート61の前後方向ほぼ中心部に枢着して揺動自在に設けられており、機体6が水平な状態において機体6の下端縁よりも十分に下方に延びるような大きさを有している。このバランサー7には、適当な錘を取付けることが出来るようになっている。
【0028】
垂直抗力付与手段8は、磁石により構成されており、機体6の幅方向中央であって、機体6を鉄塔の斜材又は水平材Dに上方から嵌め込み状に被せて、ローラー9を斜材又は水平材D上に乗せた状態で斜材又は水平材Dの上面より僅か上方に位置する部分に設けられている。
上記磁石8は、斜材又は水平材Dに吸着し、第2ロボットBを斜材又は水平材D上に保持する。
【0029】
而して、斯かる第2のロボットBは、機体6を鉄塔の斜材又は水平材Dに上方からサドル状に被せて、ローラー9が斜材又は水平材D上に乗る状態になるように斜材又は水平材Dにセットして使用し、この斜材又は水平材Dへのセット状態においてモーター10をON作動させれば、ローラー9が回転駆動されて斜材又は水平材D上を自走することが出来、モーター10の回転を正逆切り替えることにより斜材又は水平材D上を前進、後退する。このときバランサー7により機体6の重心が斜材又は水平材Dより低くなっており、しかも前後のローラー間のバランサーの回動支点へはバランサーによる重力が常時垂直に作用するため斜材又は水平材D上での第2のロボットBの平衡バランスが保たれ、斜材又は水平材Dから脱落することがない。また、磁石8の磁力により斜材又は水平材Dに吸着して垂直抗力が付与されるため、斜材D移動に際し、下方へ滑り落ちてしまうようなこともない。
【0030】
この第2のロボットBは、自動塗装装置を搭載又は接続したり、資・機材を積載する積載ユニット等を接続することにより、足掛かり、手掛かりの無い鉄塔斜材又は水平材Dの塗装や、斜材又は水平材の任意の個所への資・機材の運搬等の作業を人手作業によらずに行なうことを可能にすることが出来る。
【0031】
以上説明した第1のロボットA、第2のロボットBは夫々独立した鉄塔移動ロボットとして、それ単独で十分にその機能を発揮することが出来、上記第2のロボットBは、例えば人が担いで鉄塔に登り、斜材又は水平材Dに人力で下ろして使用することが出来るが、図に示す実施の形態では、第2のロボットBを第1のロボットAに着脱可能に連結一体化して、鉄塔の斜材又は水平材Dの位置まで、第1のロボットAにより運搬し、且つ自動的に第1のロボットAから斜材又は水平材D上に移乗させ、また、再び第1のロボットAに回収することが出来るように構成している。
そのため、第1、第2のロボットA,Bには、両ロボットA,Bを連結する連結手段80が設けられ、この連結手段80が必要に応じて両ロボットA,Bの連結を解いて、第2のロボットBを第1のロボットAから離脱させて鉄塔の斜材又は水平材D上に移乗させ、また、この斜材又は水平材D上から第2のロボットBを再び第1のロボットAに回収する離脱・回収機構89を備えている。
【0032】
即ち、第1のロボットAのサイドフレーム11には、そのフレーム面に沿ってバックフレーム12側から開放された前面側に水平に延びるガイドレール89aが設けられ、このガイドレール89aにスライド板89bがスライド自在に設けられており、このスライド板89bに設けたアーム89cの先端に電磁石89dが取付けられている。
上記アーム89cは、スライド板89b対して外向き直角方向に延び途中で直角に折れ曲がって下向きに延びており、その先端に前記電磁石89dを備えている。
【0033】
一方、第2のロボットBの上面、例えば左右サイドパネル61の上端縁相互を連結する連結部材62の上面には強磁性体の板89eが設けられている。
そして、第1のロボットAは上記電磁石89dで、強磁性体の板89eを吸着してアーム89cに第2のロボットBを吊持ち状に連結保持している。電磁石89dをOFFにすれば第2のロボットBはアーム89cから離脱する。
【0034】
スライド板89bは、スライドレール89aの最前端にスライドした状態で、第1のロボットAの機体1前縁から突出して前方に延びるようになっており、第1のロボットAを主柱材Cに対する斜材又は水平材Dの取付け部分の若干上方位置に配置して、スライド板89bをスライドさせたとき、アーム89cに連結保持した第2のロボットBが斜材又は水平材Dの真上に位置するように構成されている。
上記アーム89cと強磁性体の板89eは複数設けられており、第1のロボットAと第2のロボットBの連結固定個所を複数箇所とすることにより、第2のロボットBを所定の方向、具体的には主柱材Cに対する斜材又は水平材Dが延びる方向に向けて固定するようにしてある。
尚、第2のロボットBは用途に応じて塗装装置などの作業装置や資材を運搬するための搬送装置等を一体的に具備する。そのため好ましい態様としては、第2のロボットBに装備された装置側に上記強磁性体の板89eの一つを取付けるようにする。図示の実施形態でも、後述するように第2のロボットBが一体的に塗装装置Eを備えており、強磁性体の板89eの一つは、塗装装置Eに設けられている。
【0035】
また、第1のロボットAの機体1には、第2のウインチ89fが取付けられ、当該ウインチ89fのワイヤー89gの先端が、第2のロボットBに連結されている。
通常鉄塔の主柱材Cは傾斜している。そのため前記ガイドレール89aは、第1のロボットAが主柱材Cに取り付いた状態において、前方斜め下方に傾斜する。従って第2のウインチ89fからワイヤー89gを繰り出すことにより、ワイヤー89gの緩みに伴ってスライド板89bを自然に前方へスライドさせて機体1から突出させることが出来る(図4(a)参照)。
【0036】
第1のロボットAが、主柱材Cに対する斜材又は水平材D、例えば水平材の取付け部分の若干上方位置にあれば、上記スライド板89bのスライドによりアーム89cに連結保持した第2のロボットBは自動的に水平材Dの真上に、当該水平材Dが延びる方向を向いて位置する(図5(b)参照)。
この状態で第1のロボットAを若干下降させれば、第2のロボットBは水平材Dに対して上方から嵌め込まれて被さる状態で取り付く(図4(b)参照)。ここで電磁石89dをOFFにすれば、第2のロボットBは第1のロボットAから離脱して、水平材Dに移乗する。次いでモーター10を作動させると共に第2ウインチ89fのワイヤー89gを更に繰り出せば、前述のように第2のロボットBは第1のロボットAから離れて水平材D上を前進移動する(図4(c)、図5(c)参照)。
所要の位置まで前進した後モーター10を逆回転させれば、第2のロボットBは後退移動する。このとき、第2ウインチ89fでワイヤー89gを巻き取れば、第2のロボットBの後退を補助することができる。移乗した位置まで第2のロボットBが戻った状態で、アーム89cの電磁石89dをONにすれば、当該電磁石89dが第2のロボットBの強磁性体板89eを吸着し、第2のロボットBは再び第1のロボットAに連結固定される。
【0037】
而して、前記スライドレール89a、スライド板89b、アーム89c、アーム89cに設けた電磁石89d、第2のロボットB側に設けた強磁性体の板89e、それに第1のロボットA側に設けた第2ウインチ89f、当該ウインチ89fから引き出され先端を第2のロボットBに連結したワイヤー89gとは、第2のロボットBを第1のロボットAから離脱させて鉄塔の斜材又は水平材D上に移乗させ、また、この斜材又は水平材D上から第2のロボットBを再び第1のロボットAに回収する離脱・回収機構89を構成する。
上記第2ウインチ89fのワイヤー89gは、万一、第2のロボットBが斜材又は水平材Dから脱落した場合の安全索の機能も有する。
尚、斜材又は水平材Dの位置を確認するために、例えば機体1の適当な部位に不図示のセンサーが設けられる。センサーとしては、前述のフランジ検知用のセンサー同様、非接触性のセンサーが好適である。
【0038】
上記第2のロボットBは、この実施形態の場合、前述のように塗装装置Eを一体的に備えて塗装用のロボットとして特化されている。
塗装装置Eは、第2のロボット同様、鉄塔の斜材又は水平材Dに上方から嵌め込み状に被せることが出来るように、所要の間隔を置いて平行に配された左右一対のサイドフレーム79aの上端縁を連結部材79bで連結して大略下向きコ字型に形成した機体79を有し、これが第2のロボットBの前部に第2のロボットBと同軸直列状に連結されている。
上記塗装装置Eの機体79は、第2のロボットBの機体6よりも上下の高さが大きく、その上端及び下端は第2のロボットBの上端及び下端のレベルより夫々上方、下方に延在している。
【0039】
機体79の左右サイドフレーム79aには、垂直方向に延びるガイドレール78が相互対向状に設けられている。このガイドレール78には、これを案内として上下にスライドするスライダー77が取付けられて、これら左右のスライダー77が機体79の上部中央部に設けたモーター76に、当該モーター76の回転をスライダー77の上下運動に変換し、且つ左右のスライダー77に反対方向駆動力として伝達する駆動力伝達機構75を介して連絡している。
上記スライダー77相互は、当初少なくとも斜材又は水平材の太さより大きな適当な間隔を置いて一方が上方、他方が下方に位置する関係にあり、モーター76の駆動によりスライドしてその位置関係が交互逆転するようになっている。
【0040】
上記上下二つのスライダー77には、各々塗装ローラー74が取付けられている。従って、上記ガイドレール78、スライダー77、モーター76、駆動力伝達機構75は、塗装ローラー74を昇降させる昇降装置70を構成することになる。
塗装ローラー74は、スポンジ製のローラー本体74aと、このローラー本体74aの軸を片持ち式に回転自在に支持するクランク状の支持アーム74bとからなり、支持アーム74bの基端がスライダー77に設けた軸受け77aに上下回動自在に軸承されている。従って、この塗装ローラー74は支持アーム74bの軸承部を支点にしてローラー本体74aが円弧を描いて上下回動することが出来る。
上記塗装ローラー74は、支持アーム74bを付勢してローラー本体74aを支持アーム74bの軸承部と水平位置に保持するための付勢手段を構成するばね機構69を備えている。
このばね機構69は、支持アームを上方へ付勢するばねと、下方へ付勢するばねからなり、前者の付勢力を後者のそれより塗装ローラー74の重力分強く構成してある。
【0041】
また、塗装ローラー74は、ローラー本体74aが支持アーム軸承部と水平位置にある状態で、ローラー軸が機体79の中心線に対して支持アーム軸承部とは反対側に若干入り込んだ位置にあるように構成されている。
即ち上下二つの塗装ローラー74は、夫々のローラー本体74aの回転軸線が支持アーム軸承部と水平位置にある状態で、ローラー本体74aの回転軸心相互が相手ローラー側にずれて投影面が一部重なるようになっている。
【0042】
上記ローラー本体74aへは塗料タンク73から取出した塗料供給ライン72を連絡すると共に塗料タンク73には不図示の小型高圧ボンベを接続して、塗料タンク73内に圧送される高圧空気の圧力を利用して塗料をローラー本体74aへ供給するようになっている。ローラー本体74aはその内部に塗料を受け入れ、ローラー本体74a自身に存する気孔を介してローラー本体74a表面に塗料を送り出すように構成されている。
上記塗料タンク73は、第2のロボットBの左右のバランサー7に夫々取付けられる。塗料タンク73はこのようにバランサー7に取付けられることにより錘の役目を果たしている。
【0043】
而して、この塗装装置Eは、第2のロボットBが第1のロボットAから分離して前述のように斜材又は水平材D、例えば水平材上に移乗すると、第2のロボットBと一緒に水平材D上に移り、水平材Dに上方からこれを跨いで被さる状態になるが、前述のように塗装装置Eの機体79はその上・下端が第2のロボットBの機体6の上・下端レベルより上方及び下方に延在しているので、水平材Dに対して浮き上がった状態となり、左右の塗装ローラー74が水平材Dの上方と下方に別れて位置するようになっている。
尚、この塗装装置Eの水平材Dへの移乗に際して、機体79のサイドフレーム79a間を上昇する水平材Dは、下位側塗装ローラー74に衝突するが、当該塗装ローラー74を上方に跳ね上げて当該部分を通過することが出来、下位側塗装ローラー74は水平材Dが通過後、ばね機構69の作用により当初の水平位置に復帰する。
【0044】
この状態で塗装ローラー74への塗料の供給を開始し、モーター76を作動させれば、左右の塗装ローラー74は一方、例えば図8の(a)において右側の塗装ローラー74が下方へ移動し、他方、例えば左側の塗装ローラー74が上方へ移動する(図8(a)参照)。
右側の塗装ローラー74はその下降に伴いローラー本体74aが、先ず水平材Dの上面部に当接し、左側の塗装ローラー74は上昇に伴いローラー本体74aが、水平材Dの下面部に当接するが、前述のように塗装ローラー74は、ローラー本体74aが支持アーム軸承部と水平位置にある状態で、ローラー軸が機体79の中心線に対して支持アーム軸承部とは反対側に若干偏位しているため、右側の塗装ローラー74のローラー本体74aは、水平材Dの垂直中心線(回転軸心)より若干左側位置に当り、左側の塗装ローラー74のローラー本体74aは、水平材Dの垂直中心線より若干右側位置に当るようになる(図8(b)参照)。
【0045】
塗装ローラー74の更なる上昇・下降により、ローラー本体74aは水平部材Dに押し付けられ、水平部材Dに付勢されてスライダー77の移動方向とは反対方向に回動するが、スライダー77の移動に伴って、水平材Dの周面を当該材Dの水平中心線位置まで移動する。
この状態で、水平材Dの上部右半分が右側の塗装ローラー74により、下部左半分が左側の塗装ローラー74により塗装される。(図8(c)参照)
ローラー本体74aが、上記水平中心線位置を過ぎると塗装ローラー74にかかる水平材Dの付勢力が消滅するので、ローラー74はばね機構69により撥ね返って、当初の水平状態に復帰し、右側の塗装ローラー74は水平材Dの下方に位置し、左側の塗装装置74は水平材Dの上方に位置するようになる。
【0046】
ここでモーター76を逆転させると、今度は右側の塗装ローラー74が上昇し、左側の塗装ローラー74が下降して、上記と同じようにして水平材Dの上部左半分が左側の塗装ローラー74により、下部右半分が右側の塗装ローラー74により塗装され、水平材Dはローラー本体74aの幅相当分が全周に亘って塗装されることになる。
従って、ローラー本体74aの幅相当分の塗装が終わったら第2のロボットBをローラー本体74aの幅相当分だけ移動させて再び塗装を行ない、以後これを繰り返すことにより、第2のロボットBの移動に伴って塗装部分を水平材Dの軸方向に広げていくことが出来る。
【0047】
塗装装置Eによる上記のような塗装作業は、第1のロボットAから第2のロボットBを分離して斜材又は水平材D上に移乗させ、鉄塔中央の継ぎ手まで移動させた後、第2のロボットBを後退させながら行なうようにする。
【0048】
従って、本実施形態によれば、トラス構造の鉄塔において、第1のロボットAで主柱材Cの斜材又は水平材D連結位置まで第2のロボットBを運搬して、これを斜材又は水平材D上に移乗させ、当該第2のロボットBを斜材又は水平材D上に自走移動させながら、塗装装置Eで斜材又は水平材Dを塗装し、塗装が終わったら第2のロボットBを再び第1のロボットAに回収して、更に次の斜材又は水平材Dまで移動運搬することが出来る。そしてこれを各斜材又は水平材Dで順次行なうことにより、鉄塔の全ての斜材又は水平材Dを、全く人手作業によらずに塗装することが出来る。
また、第1ロボットAにも塗装装置を接続若しくは搭載しておけば、同時に主柱材Cの塗装も人手を要さずに行なうことが可能になる。
【0049】
尚、以上説明した実施の形態では、第2のロボットの用途を塗装用に特化させてあるが、塗装装置以外の任意の作業装置を搭載又は連結して他の作業に利用することも勿論任意である。
又、上記実施の形態では、第1のロボットと第2のロボットとを1セットにした鉄塔移動ロボットについて説明したが、本発明は第1のロボット又は第2のロボットのみからなるものであっても良い。その場合には相互を連結する連結手段を設ける必要がないことは言うまでもない。
さらに、説明した実施の形態のように第1のロボットと第2のロボットとを1セットにした鉄塔移動ロボットであっても、両ロボットを切り離して、夫々を独立したロボットとして使用することは勿論可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す鉄塔移動ロボットの側面図で、鉄塔の主柱材に設置した状態を一部切欠して示している。
【図2】背面図。
【図3】主柱材のフランジを回避する状態を示す説明図で、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【図4】第2のロボットを第1のロボットから離脱して鉄塔の水平材に移乗させる状態を説明する側面図で、経過順に示している。
【図5】同平面図で、経過順に示している。
【図6】第2のロボットの平面図で、一部切欠して示す。
【図7】第2のロボットの一部切欠側面図で、鉄塔の水平材上に設置した状態を示す。
【図8】塗装装置が水平材を塗装する状態を説明する正面図。
【符号の説明】
A:第1のロボット(鉄塔移動ロボット)
B:第2のロボット(鉄塔移動ロボット)
C:鉄塔の主柱材 D:鉄塔の斜材又は水平材 E:塗装装置
1:第1ロボットの機体 2:第1ロボットの移動手段
3:昇降駆動装置 4:振れ止め機構 5:フランジ回避機構
6:第2ロボットの機体 7:バランサー
8:垂直抗力付与手段(磁石) 9:第2ロボットの移動手段
10:第2ロボットの駆動手段(モーター)
21:車輪 31:ウインチ 32:ワイヤー 42:スリット
69:塗装ローラーの付勢手段(ばね機構) 70:塗装ローラーの昇降装置
72:塗料供給ライン 73:塗料タンク 74:塗装ローラー
74a:ローラー本体 80:第1ロボットと第2ロボットの連結手段
89:離脱・回収機構 90:第2ロボットの駆動力伝達機構

Claims (8)

  1. トラス構造鉄塔の主柱材に取り付いて主柱材を昇降する第1のロボットと、第1のロボットを昇降作動させる昇降駆動装置と、鉄塔の斜材又は水平材に取り付いて斜材又は水平材上を移動する第2のロボットと、第1のロボットと第2のロボットとを着脱自在に連結する連結手段とからなり、上記連結手段が第2のロボットを第1のロボットから離脱させて鉄塔の斜材又は水平材上に移乗させ、また、この斜材又は水平材上から第2のロボットを再び第1のロボットに回収する離脱・回収機構を備えることを特徴とする鉄塔移動ロボット。
  2. 少なくとも前面と上下両面を開放し、鉄塔の主柱材に側方から嵌め込み状に取付け可能な機体と、機体にウインチを設置、ウインチから引き出したワイヤーの先端を鉄塔の上部に連結して、ウインチでワイヤーの巻き上げ、繰り出しを操作することにより機体を昇降作動させる昇降駆動装置と、同一水平面において鉄塔の主柱材をその横断面中心線を対称軸として少なくとも二方向から挟んで主柱材の軸方向に転動する複数の車輪を機体に上下複数組設けた移動手段と、機体内を上下方向に延びてその上下両端を開放するスリットを有し、当該スリットを主柱材に植設されているステップボルトに係合してこれを挟み込み、昇降時における主柱材軸回りの振れを防止する振れ止め機構と、移動手段に連係して設けられ、車輪を上位又は下位のものから順次進退させて移動手段の主柱材フランジへの衝突を回避するフランジ回避機構とを備えることを特徴とする鉄塔移動ロボット。
  3. 下面及び前後両面が開放されて鉄塔の斜材又は水平材に上方からサドル状に被せることが可能な機体と、機体に回転自在に設けられて斜材又は水平材上を転動する複数のローラーからなる移動手段と、機体に設けられて駆動力伝達機構を介して移動手段を回転駆動する駆動手段と、前記移動手段の複数のローラー間の機体の左右に夫々回動自在に設けられ、機体を前記斜材又は水平材に被せた状態で斜材又は水平材の両側に下向き垂直に延びて機体の重心を斜材又は水平材より低く且つ前記移動手段のローラーの軸を常時水平に保つバランサーと、機体を斜材又は水平材に被せた状態で斜材又は水平材の上面部に近接するように機体に設けられ、磁力を利用して垂直抗力を得る垂直抗力付与手段とを備えることを特徴とする鉄塔移動ロボット。
  4. 第1のロボットが請求項2記載の鉄塔移動ロボットであることを特徴とする請求項1記載の鉄塔移動ロボット。
  5. 第2のロボットが請求項3記載の鉄塔移動ロボットであることを特徴とする請求項1記載の鉄塔移動ロボット。
  6. 第1のロボットが請求項2記載の鉄塔移動ロボットであり、第2のロボットが請求項3記載の鉄塔移動ロボットであることを特徴とする請求項1記載の鉄塔移動ロボット。
  7. 第2のロボットが塗装装置を具備し、当該塗装装置は、回転自在なローラー本体を水平にして少なくとも左右一対設けられ、夫々が上下に円弧を描いて回動可能な塗装ローラーと、左右の塗装ローラーを上下逆方向に昇降作動させる昇降装置と、塗装ローラーに塗料を供給する塗料供給装置と、塗装ローラーを水平状態に維持するように付勢する付勢装置とを備え、上記左右の塗装ローラーは相互の高さレベルを斜材又は水平材の太さ以上に違えて配置し、かつ支点とローラー本体の回転軸線が水平になった状態においてローラー本体の回転軸線相互を相手ローラー側にずらしてあることを特徴とする請求項1記載の鉄塔移動ロボット。
  8. 回転自在なローラー本体を水平にして少なくとも左右一対設けられ、夫々が上下に円弧を描いて回動可能な塗装ローラーと、左右の塗装ローラーを上下逆方向に昇降作動させる昇降装置と、塗装ローラーに塗料を供給する塗料供給装置と、塗装ローラーを水平状態に維持するように付勢する付勢装置とを備え、上記左右の塗装ローラーは相互の高さレベルを斜材又は水平材の太さ以上に違えて配置し、かつ支点とローラー本体の回転軸線が水平になった状態においてローラー本体の回転軸線相互を相手ローラー側にずらした塗装装置を一体的に具備することを特徴とする請求項3記載の鉄塔移動ロボット。
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