JP4100002B2 - 心身状態維持装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、心身状態維持装置に係り、特に運転者や作業者に適度な緊張感を維持させる心身状態維持装置に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来、運転中の眠気やストレスを抑制するため、人間の生理現象に合わせて運転環境を作用させる技術が提案されている。
【0003】
特開平8−40065号公報には、乗員の好み、時間帯及び喫煙の有無に応じて選択された香料を供給する車両用空気調和装置(以下「従来技術1」という。)が提案されている。従来技術1は、人間の生理現象に合わせて選択された香料を車室内に供給することにより、運転者の眠気やストレスを抑制し、車両の安全走行を目的とするものである。
【0004】
従来技術1は、深夜や早朝等の所定の時間帯になると自動的に覚醒用香料を車室内に供給したり、喫煙を検知した時も自動的に嫌煙用香料を車室内に供給する。したがって、従来技術1は、運転者が眠いか否かや、運転者が喫煙した時の心身状態を判断することなく所定の動作を行っているので、運転者に煩わしさを感じさせることがあり、運転者に最適な心身状態を維持させることがきないことがあった。
【0005】
一方、運転に限らず、例えば各種製造工程における作業や事務等の作業についても、作業者は、その作業に応じた心身状態になるのが好ましい。
【0006】
特開2001−41531号公報には、一般の居住環境において、居住者の心身状態に対して住宅設備機器を最適に制御する環境制御機器およびケア住宅(以下「従来技術2」という。)が提案されている。
【0007】
しかし、従来技術2は、急性ストレス反応を検出してこれを緩和するだけであり、適度な緊張を維持するようなものではなかった。
【0008】
本発明は、上述した課題を解決するために提案されたものであり、運転状況や作業状況に応じた最適な心身状態を維持させることができる心身状態維持装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、運転者の心身情報を検出する心身情報検出手段と、前記心身情報検出手段で検出された心身情報に基づいて、運転者の心身状態を推定する心身状態推定手段と、速度及び加減速の回数の少なくとも1つを前記運転者の運転環境情報として検出する環境情報検出手段と、速度が速くなるに従って大きくなるか、加減速の回数が多くなるに従って大きくなるか、または、速度が速くなるに従って大きくなり、かつ加減速の回数が多くなるに従って大きくなるように定められた基準心身状態に基づいて、前記環境情報検出手段で検出された現在の運転環境情報に対応する基準心身状態を推定する基準心身状態推定手段と、前記心身状態推定手段で推定された現在の心身状態を、前記基準心身状態推定手段で推定された基準心身状態に一致させるように車両内部の環境を調整する環境調整手段と、を備えている。
【0010】
心身情報は、運転者の身体状態を推測するのに使用可能な情報であれば特に限定されず、運転者の作業量、運転者の生理量、運転者又は物体に生じる物理量のいずれでもよい。運転者の作業量としては、例えば、アクセル量、ブレーキ量、操舵角が該当する。運転者の生理量としては、例えば、心拍、皮膚電位、皮膚電気抵抗、瞬目が該当する。運転者又は物体に生じる物理量としては、例えば、身体加速度、体圧(運転者とバックシート間の圧力)が該当する。なお、心身情報は、上述したパラメータのうちの1つに限らず、2つ以上でもよい。
【0011】
心身状態推定手段は、このような心身情報に基づいて運転者の心身状態を推定する。心身状態としては、例えば運転者の現在の緊張度が好ましいが、緊張度と表裏の関係にあるパラメータ、例えばリラックス度であってもよい。
【0012】
環境情報は、運転者の運転環境に関する情報であれば特に限定されず、外部環境、車両状態、時間情報のいずれでもよい。外部環境としては、例えば、道路種別、交通量、天候、照度が該当する。車両状態としては、例えば、車両の速度、加減速、ヨーレイト、車間距離(前方障害物との距離も含む。)、車室内温度、車室内湿度が該当する。時間情報としては、例えば、運転時間、装置作動持続時間、時刻が該当する。なお、環境情報は、上述したパラメータのうちの1つに限らず、2つ以上でもよい。
【0013】
基準心身状態推定手段は、このような環境情報に基づいて、現在の運転状況に対応する基準心身状態を推定する。基準心身状態は、例えば基準となる緊張度が好ましいが、緊張度と表裏の関係にあるパラメータ、例えば基準となるリラックス度であってもよい。また、基準心身状態は、運転者が運転するのに最適な心身状態であってもよいし、この最適な心身情報よりも少しリラックス又は少し緊張した心身状態であってもよい。さらに、基準心身状態は常に現在の運転状況に対応するので、環境情報の変化によって運転状況が変わった場合、基準心身状態も変化する。
【0014】
環境調整手段は、現在の心身状態と基準心身状態とに基づいて、運転者の環境を調整する。したがって、過度に緊張した場合には、緊張を緩和して運転による疲労を低減し、注意力が散漫になっている場合には、心身状態を活性化させて緊張感を高める。これにより、運転状況に応じた適度な緊張感を維持させることができ、運転を安全かつ円滑に遂行させることができる。
【0015】
請求項2記載の発明は、作業者の心身情報を検出する心身情報検出手段と、 前記心身情報検出手段で検出された心身情報に基づいて、作業者の心身状態を推定する心身状態推定手段と、作業内容を前記作業者の作業環境情報として検出する環境情報検出手段と、作業内容の難易度が高くなるに従って大きくなるように定められた基準心身状態に基づいて、前記環境情報検出手段で検出された現在の作業環境情報に対応する基準心身状態を推定する基準心身状態推定手段と、前記心身状態推定手段で推定された現在の心身状態を、前記基準心身状態推定手段で推定された基準心身状態に一致させるように作業室内の環境を調整する環境調整手段と、を備えている。
【0016】
作業者が行う作業は、特に限定されず、例えば工場における生産ラインの作業等、適度な緊張感が要求される作業であればよい。心身情報検出手段、心身状態推定手段については、請求項1と同様に構成されている。環境情報は、請求項1と同様のパラメータであってもよいし、作業状態(作業の難易度、進捗状況)であってもよい。また、環境情報は、上述したパラメータのうちの1つに限らず、2つ以上でもよい。
【0017】
基準心身状態推定手段は、このような環境情報に基づいて、現在の作業状況に対応する基準心身状態を推定する。基準心身状態は、請求項1と同様である。
【0018】
環境調整手段は、現在の心身状態と基準心身状態とに基づいて、作業者の環境を調整する。したがって、過度に緊張した場合には、緊張を緩和して作業による疲労を低減し、注意力が散漫になっている場合には、心身状態を活性化させて緊張感を高める。これにより、作業状況に応じた適度な緊張感を維持させることができ、作業を安全かつ円滑に遂行させることができる。
【0019】
請求項1または2記載の発明において、前記環境調整手段は、前記現在の心身状態と前記基準心身状態とが一致するように環境を調整することを特徴とする。
【0020】
これにより、運転者又は作業者の心身状態が基準心身状態に収束するので、心身状態が安定し、運転又は作業を安全かつ円滑に遂行させることができる。
【0021】
ここで、環境調整手段は、現在の心身状態と基準心身状態との比である心身状態比を演算し、心身状態比が所定範囲内になるように環境を調整するのが好ましい。
【0022】
請求項3記載の発明は、請求項1または請求項2記載の発明において、前記環境調整手段は、マイナスイオン、香り、音、振動、所定温度の空気、及び所定湿度の空気の少なくとも1つを出力して環境を調整することを特徴とする。
【0023】
マイナスイオンは緊張緩和効果があり、香りは心身活性効果がある。なお、香りの種類によって運転者の気分も変わるので、運転状況によって所定の香りを選択してもよい。また、マイナスイオンや香りだけでは不十分な場合、音、振動、温度や湿度を与えることで、さらに効果を上げることができる。
【0024】
そこで、環境調整手段は、マイナスイオン、香り、音、振動、温度、湿度を調整して、運転や作業に最適な環境を作ることで、疲労を低減すると共に注意力低下を防止して、運転や作業に最適な心身状態を維持させることができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0026】
[第1の実施の形態]
図1は、第1の実施の形態に係る心身状態維持装置の構成を示すブロック図である。
【0027】
心身状態維持装置は、運転者の心身情報を検出する心身情報検出部1と、運転者個人の心身に関する情報を記憶する心身データベース2と、運転者の心身状態を示す運転者緊張度Sd(t)を推定する心身状態推定部3と、運転環境を検出する運転環境検出部4と、運転環境に関する情報を記憶する環境データベース5と、運転状況に応じた最適な緊張度である最適緊張度So(t)を推定する運転状況推定部6と、運転者緊張度Sd(t)及び最適緊張度So(t)に基づいてマイナスイオン発生信号や香り発生信号を生成する環境制御部7と、マイナスイオン発生信号に従ってマイナスイオンを発生するマイナスイオン発生装置8と、香り発生信号に従ってレモンの香りを発生する香り発生装置9と、を備えている。
【0028】
心身情報検出部1は、運転者の心身を表す情報、例えば運転者の頭部振動を検出し、心身状態推定部3に供給する。心身データベース2は、頭部振動に対応する緊張度を表す頭部振動−緊張度マップを記憶している。
【0029】
図2は、頭部振動−緊張度マップの一例を示す図である。頭部振動−緊張度マップによると、頭部振動は「大」、「中」、「小」の3段階に分けわれ、各段階の振動に対して、緊張度は順に「小(0〜3)」、「中(3〜6)」、「大(6〜9)」の3段階が割り当てられている。なお、頭部振動−緊張度マップは、一般的な運転者モデルのマップでもよいし、運転者個人に対応して更新されるマップでもよい。
【0030】
心身状態推定部3は、心身データベース2に記憶された頭部振動−緊張度マップを参照して、心身情報検出部1で検出された運転者の頭部振動に対応する運転者緊張度Sd(t)を推定して、環境制御部7に供給する。
【0031】
運転環境検出部4は、本実施の形態では速度及び加減速を検出し、運転状況推定部6に供給する。環境データベース5は、速度、加減速及び最適緊張度So(t)の関係を表す車両状態マップを記憶している。
【0032】
図3は、車両状態マップの一例を示す図である。車両状態マップは、所定の「速度」で走行したときの「加減速」に基づいて最適緊張度So(t)(=1〜9)を推定するマップである。
【0033】
ここで、「速度」は、例えば30km/hまでの「低速」、30〜80km/hの「中速」、80km/h以上の「高速」がある。「加減速」は、例えば所定時間当たりの加減速がN回未満を示す「少」、上記加減速がN回以上M回未満を示す「中」、上記加減速がM回以上を示す「多」がある。車両状態マップによれば、最適緊張度So(t)は、速度が速くなるに従って大きくなり、また、加減速が多くなるに従って大きくなっている。
【0034】
運転状況推定部6は、環境データベース5に記憶された車両状態マップや、運転環境検出部4で検出された速度及び加減速に基づいて、現在の運転状況に対応する最適緊張度So(t)を推定して、環境制御部7に供給する。
【0035】
環境制御部7は、最適緊張度So(t)に対する運転者緊張度Sd(t)を示す心身状態指数F(t)(=Sd(t)/So(t))を算出する。心身状態指数F(t)は、現在の運転状況に応じた最適な緊張度を基準として、運転者緊張度Sd(t)が大きいか、小さいか、同じ程度かを示す指標であり、「1」の値に近いほど好ましい。ここで、心身状態指数F(t)の最適範囲を次のように設定する。
【0036】
F2≦F(t)≦F1
なお、F1及びF2は最適閾値であり、F1>F2である。
【0037】
そして、環境制御部7は、心身状態指数F(t)が最適閾値F1以上のときにマイナスイオン発生信号を生成し、マイナスイオン発生装置8に供給する。また、心身状態指数F(t)が最適閾値F2未満になっているときに香り発生信号を生成し、香り発生装置9に供給する。なお、環境制御部7は、心身状態指数F(t)が最適閾値F2以上であって最適閾値F1未満の場合には、マイナスイオン発生信号、香り発生信号のいずれも生成しない。
【0038】
マイナスイオン発生装置8は、環境制御部7からマイナスイオン発生信号が供給されているときは車両内部にマイナスイオンを発生し、マイナスイオン発生信号が供給されなくなるとマイナスイオンの発生を停止する。また、香り発生装置9は、環境制御部7から香り発生信号が供給されているときは車両内部にレモンの香りを発生し、香り発生信号が供給されなくなるとレモンの香りの発生を停止する。
【0039】
図4(A)は心身状態推定部3で推定された運転者緊張度Sd(t)の経時変化を示す図、(B)は運転状況推定部6で推定された最適緊張度So(t)の経時変化を示す図、(C)は環境制御部7で算出された心身状態指数F(t)の経時変化を示す図、(D)はマイナスイオン発生装置8の動作状態を示す図、(E)は香り発生装置9の動作状態を示す図である。
【0040】
運転者緊張度Sd(t)は同図(A)、最適緊張度So(t)は同図(B)に示すようになった。そして、心身状態指数F(t)は、同図(C)に示すように、時間t1〜t2、時間t3〜t4において、最適閾値F1以上になった。また、心身状態指数F(t)は、時間t2〜t3、時間t4〜t5、時間t6〜において、最適閾値F2以上かつ最適閾値F1未満になった。さらに、心身状態指数F(t)は、時間t5〜t6において、最適閾値F2未満になった。
【0041】
この結果、マイナスイオン発生装置8は、同図(D)に示すように、時間t1〜t2、時間t3〜t4にマイナスイオンを発生した。香り発生装置9は、同図(E)に示すように、時間t5〜t6にレモンの香りを発生した。
【0042】
以上のように、第1の実施の形態に係る心身状態維持装置は、最適緊張度So(t)に対する現在の運転者緊張度Sd(t)を示す心身状態指数F(t)を算出し、心身状態指数F(t)と最適閾値F1及び最適閾値F2とを比較することで、運転者が運転状況に応じた緊張度を有しているか否かを判定することができる。
【0043】
心身状態指数F(t)が最適閾値F1以上の場合は、車内にマイナスイオンを発生することによって、運転者の過度の緊張を緩和することができる。また、心身状態指数F(t)が最適閾値F2未満の場合は、車内にレモンの香りを発生することによって、運転者の心身を活性化して注意力散漫を防止することができる。
【0044】
そして、心身状態維持装置は、このような処理を繰り返すことで、心身状態指数F(t)を常に最適閾値F2以上かつ最適閾値F1未満にして、運転者に運転状況に応じた最適な緊張感を維持させることができる。
【0045】
なお、本実施の形態では、運転状況推定部6は運転状況に応じた最適緊張度So(t)を推定したが、これに限定されるものではない。例えば、最適緊張度So(t)よりも少しリラックスした状態又は少し緊張した状態を示す緊張度を推定してもよい。
【0046】
[第2の実施の形態]
つぎに、第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同一の部位については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0047】
図5は、第2の実施の形態に係る心身状態維持装置の構成を示すブロック図である。上記心身状態維持装置は、図1に示す構成部位に加えて、更に発生パターン制御部10を備えている。
【0048】
発生パターン制御部10は、マイナスイオンやレモンの香りの発生パターンを記憶している。発生パターンとしては、例えば、所定周期毎に断続的にマイナスイオンやレモンの香りを発生させるパターンや、徐々にマイナスイオンやレモンの香りを発生する時間を増やすパターン等があり、特に限定されない。なお、本実施の形態では、マイナスイオンとレモンの発生パターンは、発生周期も発生時間も異なるものとするが、同じにしてもよい。
【0049】
環境制御部17は、第1の実施の形態と同様に、最適緊張度So(t)に対する運転者緊張度Sd(t)を示す心身状態指数F(t)(=Sd(t)/So(t))を算出する。そして、心身状態指数F(t)が最適閾値F1以上のときには、発生パターン制御部10に記憶されているマイナスイオンの発生パターンに従ってマイナスイオン発生信号を生成し、心身状態指数F(t)が最適閾値F1未満になるとマイナスイオン発生信号の生成を停止する。
【0050】
また、環境制御部17は、心身状態指数F(t)が最適閾値F2未満になっているときには、発生パターン制御部10に記憶されているレモンの香りの発生パターンに従って香り発生信号を生成し、心身状態指数F(t)が最適閾値F2以上になると香り発生信号の生成を停止する。
【0051】
図6(A)は心身状態推定部3で推定された運転者緊張度Sd(t)の経時変化を示す図、(B)は運転状況推定部6で推定された最適緊張度So(t)の経時変化を示す図、(C)は環境制御部7で算出された心身状態指数F(t)の経時変化を示す図、(D)はマイナスイオン発生装置8の動作状態を示す図、(E)は香り発生装置9の動作状態を示す図である。
【0052】
同図(C)に示すように、心身状態指数F(t)は、時間t1〜t2及び時間t3〜t4においては最適閾値F1以上になっており、時間t5〜t6においては最適閾値F2未満になった。
【0053】
マイナスイオン発生装置8は、同図(D)に示すように、時間t1〜t2及び時間t3〜t4において、所定周期毎に所定時間マイナスイオンを発生し、それ以外の時間ではマイナスイオンを発生しなかった。香り発生装置9は、同図(E)に示すように、時間t5〜t6において、所定周期毎に所定時間レモンの香りを発生し、それ以外の時間はレモンの香りを発生しなかった。
【0054】
以上のように、第2の実施の形態に係る心身情報検出部は、予め定めた発生パターンに従ってマイナスイオンを発生させることができるので、マイナスイオンの緊張緩和効果が慣れによって低下することを防止できる。また、予め定めた発生パターンに従ってレモンの香りを発生させるので、香りの心身活性効果が慣れによって低下することを防止できる。
【0055】
[第3の実施の形態]
つぎに、第3の実施の形態について説明する。なお、上述した実施の形態と同一の部位については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0056】
本実施の形態に係る心身状態維持装置は、第1の実施の形態とほぼ同様に構成されている。なお、心身情報検出部1は、ステアリングの操舵角を検出する操舵角センサであるものとする。また、心身データベース12は、運転者緊張度Sd(t)を推定するときに用いられる最適閾値F3及び最適閾値F4を記憶している。
【0057】
図7は、心身情報検出部1で検出された操舵角の経時変化を示す図である。心身情報検出部1は、同図に示すような操舵角を検出し、心身状態推定部3に供給する。
【0058】
図8は、操舵角のパワースペクトル密度を示す図である。心身状態推定部3は、操舵角パワースペクトルの0.15〜0.50[Hz]の範囲内で積分し、この積分値を帯域成分とする。
【0059】
そして、心身状態推定部3は、操舵角の上記帯域成分が平均値Xの±σの範囲内であるか判定する。ここで、平均値Xは、運転者が中程度の緊張度になっている場合における上記帯域成分の平均値である。また、平均値X及びσは予め設定された値である。
【0060】
図9は、操舵角の0.15〜0.50[Hz]における帯域成分の経時変化を示す図である。上記帯域成分が最適閾値F3(=X+σ)以上の場合は、操舵量が多く、運転者の緊張度は小さい。逆に、上記帯域成分が最適閾値F4(=X−σ)未満の場合は、操舵量が少なく、運転者の緊張度は大きい。
【0061】
そこで、心身状態推定部3は、上記帯域成分が最適閾値F3以上であると判定したときは運転者緊張度Sd(t)を小さな値にし、上記帯域成分が最適閾値F4未満になっていると判定したときは運転者緊張度Sd(t)を大きな値にする。また、上記帯域成分が最適閾値F4以上かつ最適閾値F3未満になっていると判定したときは、運転者緊張度Sd(t)を中程度の値にする。
【0062】
環境制御部7は、このように求められた運転者緊張度Sd(t)と、運転状況推定部6で推定された現在の最適緊張度So(t)とに基づいて、第1の実施の形態と同様に、マイナスイオン発生装置8にマイナスイオンを発生させたり、香り発生装置9にレモンの香りを発生させる。
【0063】
以上のように、第3の実施の形態に係る心身状態維持装置は、運転者の操舵量に基づいて運転者緊張度Sd(t)を推定し、第1の実施の形態と同様に、運転者が運転状況に応じた緊張度を有しているか否かを判定することができる。そして、運転者の過度の緊張を緩和したり、運転者の心身を活性化して注意力散漫を防止することで、運転者に運転状況に応じた最適な緊張感を維持させることができる。
【0064】
なお、本発明は、このような実施の形態に限定されるものではなく、例えば以下のようにすることができる。
【0065】
例えば、心身状態推定部3は、操舵角パワースペクトルの0.15〜0.50[Hz]の範囲内において帯域成分を演算したが、他の周波数で帯域成分を演算してもよい。また、最適閾値F3及び最適閾値F4は、固定値であってもよいし、運転者に応じて異なる値であってもよい。
【0066】
本実施の形態では、大・中・小の3段階で運転者緊張度Sd(t)を推定したが、多くの閾値を用いて4段階以上で運転者緊張度Sd(t)を推定することもできる。また、操舵角の所定帯域成分と所定の基準値(例えば、平均値X)との差に応じて運転者緊張度Sd(t)を推定してもよい。
【0067】
[第4の実施の形態]
つぎに、第4の実施の形態について説明する。なお、上述した実施の形態と同一の部位については同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0068】
本実施の形態に係る心身状態維持装置は、第1の実施の形態とほぼ同様に構成されている。なお、心身情報検出部1は、運転者の頭部の上下振動を検出する頭部振動センサ、座席の上下振動を検出する座席振動センサであるものとする。また、心身データベース12は、運転者緊張度Sd(t)を推定するときに用いられる最適閾値F5及び最適閾値F6を記憶している。
【0069】
最初に、心身状態推定部3は、心身情報検出部1で検出された頭部振動レベルのスペクトル解析を行い、パワースペクトル密度Head_zを求める。さらに、心身情報検出部1で検出された座席振動レベルのスペクトル解析を行い、パワースペクトル密度Seat_zを求める。
【0070】
図10(A)は心身情報検出部1で検出された頭部振動レベルの経時変化を示す図、(B)は頭部振動レベルのパワースペクトル密度Head_zを示す図である。
【0071】
図11(A)は心身情報検出部1で検出された座席振動レベルの経時変化を示す図、(B)は座席振動レベルのパワースペクトル密度Seat_zを示す図である。
【0072】
次に、心身状態推定部3は、頭部振動のパワースペクトル密度Head_z及び座席振動のパワースペクトル密度Seat_zに基づいて、座席の振動がどの程度運転手の頭部に伝達されたかを示す振動伝達率(=Head_z/Seat_z)を演算する。
【0073】
図12は、振動伝達率を示す図である。心身状態推定部3は、振動伝達率を所定周波数(例えば、5.0〜5.5Hz)で積分し、積分値を帯域成分とする。そして、心身状態推定部3は、振動伝達率の上記帯域成分が平均値Yの±σの範囲内であるか判定する。ここで、平均値Yは、運転者が中程度の緊張度になっている場合における上記帯域成分の平均値である。また、平均値Y及びσは予め設定された値である。
【0074】
図13は、振動伝達率の5.0〜5.5[Hz]における帯域成分の経時変化を示す図である。上記帯域成分が最適閾値F5(=Y+σ)以上の場合は、座席から頭部への振動伝達率が大きく、運転者の緊張度は小さい。逆に、上記帯域成分が最適閾値F6(=Y−σ)未満の場合は、座席から頭部への振動伝達率が小さく、運転者の緊張度は大きい。
【0075】
そこで、心身状態推定部3は、上記帯域成分が最適閾値F5以上であると判定したときは運転者緊張度Sd(t)を小さな値にし、上記帯域成分が最適閾値F6未満になっていると判定したときは運転者緊張度Sd(t)を大きな値にする。また、上記帯域成分が最適閾値F6以上であって最適閾値F5未満になっていると判定したときは、運転者緊張度Sd(t)を中程度の値にする。
【0076】
そして、環境制御部7は、このように求められた運転者緊張度Sd(t)と、運転状況推定部6で推定された現在の最適緊張度So(t)とに基づいて、マイナスイオン発生装置8にマイナスイオンを発生させたり、香り発生装置9にレモンの香りを発生させる。
【0077】
以上のように、第4の実施の形態に係る心身状態維持装置は、座席から運転者の頭部への振動伝達率に基づいて運転者緊張度Sd(t)を推定し、第1の実施の形態と同様に、運転者が運転状況に応じた緊張度を有しているか否かを判定することができる。そして、運転者の過度の緊張を緩和したり、運転者の心身を活性化して注意力散漫を防止することで、運転者に運転状況に応じた最適な緊張感を維持させることができる。
【0078】
なお、本発明は、このような実施の形態に限定されるものではなく、例えば以下のようにすることができる。
【0079】
例えば、心身状態推定部3は、振動伝達率の5.0〜5.5[Hz]における帯域成分を演算したが、他の周波数において帯域成分を演算してもよい。また、最適閾値F5及び最適閾値F6は、固定値であってもよいし、運転者に応じて異なる値であってもよい。
【0080】
本実施の形態では、大・中・小の3段階で運転者緊張度Sd(t)を推定したが、多くの閾値を用いて4段階以上で運転者緊張度Sd(t)を推定することもできる。また、振動伝達率の所定周波数成分と所定の基準値(例えば、平均値Y)との差に応じて運転者緊張度Sd(t)を推定してもよい。
【0081】
[第5の実施の形態]
つぎに、第5の実施の形態について説明する。第5の実施の形態に係る心身状態維持装置は、工場の生産ラインにおける作業、その他の作業において、作業者の心身状態を最適な状態に維持するものである。
【0082】
図14は、第5の実施の形態に係る心身状態維持装置の構成を示すブロック図である。
【0083】
心身状態維持装置は、作業者の心身情報を検出する心身情報検出部11と、作業者個人の心身に関する情報を記憶する心身データベース12と、作業者の心身状態を示す作業者緊張度Sd(t)を推定する心身状態推定部13と、作業環境を検出する作業環境検出部14と、作業環境に関する情報を記憶する環境データベース15と、作業状況に応じた最適緊張度So(t)を推定する作業状況推定部16と、作業者緊張度Sd(t)及び最適緊張度So(t)に基づいてマイナスイオン発生信号や香り発生信号を生成する環境制御部17と、マイナスイオン発生信号に従ってマイナスイオンを発生するマイナスイオン発生装置18と、香り発生信号に従ってレモンの香りを発生する香り発生装置19と、を備えている。
【0084】
心身情報検出部11は、作業者の心身を表す情報、例えば作業者の心拍を検出し、心身状態推定部13に供給する。心身データベース12は、心拍変動に対応する緊張度を表す心拍変動−緊張度マップを記憶している。
【0085】
図15は、心拍変動−緊張度マップの一例を示す図である。心拍変動−緊張度マップによると、心拍変動は「大」、「中」、「小」の3段階に分けわれ、各段階の心拍変動に対して、緊張度は順に「小(0〜2)」、「中(2〜4)」、「大(4〜6)」の3段階が割り当てられている。なお、心拍変動−緊張度マップは、一般的な作業者モデルのマップでもよいし、作業者個人に対応して更新されるマップでもよい。
【0086】
心身状態推定部13は、心身データベース12に記憶された心拍変動−緊張度マップを参照して、心身情報検出部11で検出された作業者の心拍変動に対応する作業者緊張度Sd(t)を推定して、環境制御部17に供給する。
【0087】
作業環境検出部14は、作業内容を検出する。環境データベース15は、作業内容の難易度に対応する緊張度を表す難易度−緊張度マップを記憶している。
【0088】
図16は、難易度−緊張度マップの一例を示す図である。難易度−緊張度マップによると、作業内容の難易度は「低」、「中」、「高」の3段階に分けわれ、各段階の難易度に対して、緊張度は順に「小(0〜2)」、「中(2〜4)」、「大(4〜6)」の3段階が割り当てられている。
【0089】
作業状況推定部16は、環境データベース15に記憶された難易度−緊張度マップと、作業環境検出部14で検出された作業内容とに基づいて、現在の作業状況に対応する最適緊張度So(t)を推定して、環境制御部17に供給する。
【0090】
環境制御部17は、第1の実施の形態と同様に、最適緊張度So(t)に対する作業者緊張度Sd(t)を示す心身状態指数F(t)(=Sd(t)/So(t))を算出する。心身状態指数F(t)は、現在の作業状況に応じた最適な緊張度を基準として、作業者緊張度Sd(t)が大きいか、小さいか、同じ程度かを示す指標である。ここで、心身状態指数F(t)の最適範囲を次のように設定する。
【0091】
F8≦F(t)≦F7
なお、F7及びF8は最適閾値であり、F7>F8である。
【0092】
そして、環境制御部17は、心身状態指数F(t)が最適閾値F7以上のときにマイナスイオン発生信号を生成し、マイナスイオン発生装置18に供給する。また、心身状態指数F(t)が最適閾値F8未満になっているときに香り発生信号を生成し、香り発生装置19に供給する。なお、環境制御部17は、心身状態指数F(t)が最適閾値F8以上であって最適閾値F7未満の場合には、マイナスイオン発生信号、香り発生信号のいずれも生成しない。
【0093】
マイナスイオン発生装置18は、環境制御部17からマイナスイオン発生信号が供給されているときは車両内部にマイナスイオンを発生し、マイナスイオン発生信号が供給されなくなるとマイナスイオンの発生を停止する。また、香り発生装置19は、環境制御部17から香り発生信号が供給されているときは車両内部にレモンの香りを発生し、香り発生信号が供給されなくなるとレモンの香りの発生を停止する。
【0094】
図17(A)は心身状態推定部13で推定された作業者緊張度Sd(t)の経時変化を示す図、(B)は作業状況推定部16で推定された最適緊張度So(t)の経時変化を示す図、(C)は環境制御部17で算出された心身状態指数F(t)の経時変化を示す図、(D)はマイナスイオン発生装置18の動作状態を示す図、(E)は香り発生装置19の動作状態を示す図である。
【0095】
作業者緊張度Sd(t)は同図(A)、最適緊張度So(t)は同図(B)に示すようになった。そして、心身状態指数F(t)は、同図(C)に示すように、時間t1〜t2において、最適閾値F7以上になった。また、心身状態指数F(t)は、時間t2〜t3において、最適閾値F8以上かつ最適閾値F7未満になった。さらに、心身状態指数F(t)は、時間t3〜t4において、最適閾値F8未満になった。
【0096】
この結果、マイナスイオン発生装置8は、同図(D)に示すように、時間t1〜t2においてマイナスイオンを発生した。香り発生装置9は、同図(E)に示すように、時間t3〜t4においてレモンの香りを発生した。
【0097】
以上のように、第5の実施の形態に係る心身状態維持装置は、最適緊張度So(t)に対する現在の作業者緊張度Sd(t)を示す心身状態指数F(t)を算出し、心身状態指数F(t)と最適閾値F7及び最適閾値F8とを比較することで、作業者が作業状況に応じた緊張度を有しているか否かを判定することができる。
【0098】
心身状態指数F(t)が最適閾値F7を超えている場合は、マイナスイオンを発生することによって、作業者の過度の緊張を緩和することができる。また、心身状態指数F(t)が最適閾値F8未満の場合は、レモンの香りを発生することによって、作業者の心身を活性化して注意力散漫を防止することができる。
【0099】
そして、心身状態維持装置は、このような処理を繰り返すことで、心身状態指数F(t)を常に最適閾値F8以上かつ最適閾値F7以下にして、作業者に作業状況に応じた最適な緊張感を維持させることができる。
【0100】
なお、本実施の形態では、作業状況推定部16は作業状況に応じた最適緊張度So(t)を推定したが、これに限定されるものではない。例えば、最適緊張度So(t)よりも少しリラックスした状態又は少し緊張した状態を示す緊張度を推定してもよい。
【0101】
[第6の実施の形態]
つぎに、第6の実施の形態について説明する。なお、第5の実施の形態と同一の部位については同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0102】
本実施の形態に係る心身状態維持装置は、第5の実施の形態とほぼ同様に構成されている。なお、心身データベース12は、作業者緊張度Sd(t)を推定するときに用いられる最適閾値F9及び最適閾値F10を記憶している。
【0103】
図18は、一般的な心電図である。同図に示すように、心電図にはQ波、R波、S波、T波があり、ここではR波が用いられる。心身状態推定部13は、心身情報検出部11で検出された心拍(R波)から逐次R−R間隔を求め、R−R間隔のスペクトル解析を行う。
【0104】
図19(A)はR−R間隔の経時変化を示す図、(B)はR−R間隔のパワースペクトル密度を示す図である。同図(B)に示すように、R−R間隔のスペクトル解析によって、低周波帯域LF(0.07〜0.15Hz)及び高周波帯域HF(0.15〜0.40Hz)が現れる。そして、心身状態推定部13は、高周波帯域HFを積分して、心拍変動高周波成分を求める。
【0105】
次に、心身状態推定部13は、心拍変動高周波成分が平均値Zの±σの範囲内であるか判定する。ここで、平均値Zは、作業者が中程度の緊張度になっている場合における心拍変動高周波成分の平均値である。また、平均値Z及びσは予め設定された値である。
【0106】
図20は、心拍変動高周波成分の経時変化を示す図である。心拍変動高周波成分が最適閾値F9(=Z+σ)以上の場合は、心拍変動が大きく、作業者の緊張度は小さい。逆に、心拍変動高周波成分が最適閾値F10(=Z−σ)未満の場合は、心拍変動が小さく、作業者の緊張度は大きい。
【0107】
そこで、心身状態推定部13は、心拍変動高周波成分が最適閾値F9以上であると判定したときは作業者緊張度Sd(t)を小さな値にし、心拍変動高周波成分が最適閾値F10未満になっていると判定したときは作業者緊張度Sd(t)を大きな値にする。また、心拍変動高周波成分が最適閾値F10以上であって最適閾値F9未満になっていると判定したときは、作業者緊張度Sd(t)を中程度の値にする。
【0108】
環境制御部17は、このように求められた作業者緊張度Sd(t)と、作業状況推定部16で推定された現在の最適緊張度So(t)とに基づいて、マイナスイオン発生装置18にマイナスイオンを発生させたり、香り発生装置19にレモンの香りを発生させる。
【0109】
以上のように、第6の実施の形態に係る心身状態維持装置は、心拍変動高周波成分に基づいて作業者緊張度Sd(t)を推定し、第1の実施の形態と同様に、作業者が作業状況に応じた緊張度を有しているか否かを判定することができる。そして、作業者の過度の緊張を緩和したり、作業者の心身を活性化して注意力散漫を防止することで、作業者に作業状況に応じた最適な緊張感を維持させることができる。
【0110】
なお、上述実施の形態に限定されるものではなく、例えば以下のようにすることができる。例えば、最適閾値F9及び最適閾値F10は、固定値であってもよいし、作業者に応じて異なる値であってもよい。
【0111】
本実施の形態では、大・中・小の3段階で作業者緊張度Sd(t)を推定したが、多くの閾値を用いて4段階以上で作業者緊張度Sd(t)を推定することもできる。また、振動伝達率の所定周波数成分と所定の基準値(例えば、平均値Z)との差に応じて作業者緊張度Sd(t)を推定してもよい。
【0112】
[その他の実施の形態]
本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内で以下のように種々の設計上の変更を行うことが可能である。
【0113】
(心身情報検出部1,11の他の構成)
心身情報検出部は、上述したものの他に、アクセル量、ブレーキ量、皮膚電位、皮膚電気抵抗、瞬目、身体加速度、体圧(運転者とバックシート間の圧力)の少なくとも1つを検出してもよい。このとき、心身状態推定部3,13は、運転者緊張度Sd(t)を次のようにする。
【0114】
皮膚電位及び皮膚電気抵抗は、運転者又は作業者の覚醒の程度を示す。したがって、皮膚電位や皮膚電気抵抗に基づいて、運転者又は作業者が覚醒している時は緊張度Sd(t)を大きく、あまり覚醒していない時は緊張度Sd(t)を小さく。
【0115】
瞬目は運転者又は作業者の眠気の程度を示し、その頻度が高いほど眠くなっている。したがって、瞬目の頻度が高くなるに従って、運転者緊張度Sd(t)を小さくする。
【0116】
身体加速度は、運転者又は作業者の体の固さの程度を示す。例えば、身体加速度が大きくなるに従って体は柔らかくなっており、身体加速度が小さくなるに従って体は固くなっている。また、通常、体が固いほど緊張している。したがって、身体加速度が大きくなるに従って、運転者緊張度Sd(t)を小さくする。
【0117】
体圧は、運転者又は作業者によってバックシートにかけられる圧力であり、緊張するに従って高くなる。したがって、体圧が高くなるに従って、運転者緊張度Sd(t)を大きくする。
【0118】
(運転環境検出部4の他の構成)
運転環境検出部4は、上述したものの他に、外部環境(道路種別、交通量、天候、照度)、車両状態(操舵角速度、車間距離、車室内温度、車室内湿度)、時間情報(運転時間、装置作動持続時間、時刻)のうち少なくとも1つを検出してもよい。このとき、運転状況推定部6は、最適緊張度So(t)を次のようにする。
【0119】
例えば外部環境については、道路の種別が高速道路、国道、県道等になるに従って、最適緊張度So(t)を小さくする。また、交通量が多くなるに従って、最適緊張度So(t)を大きくする。晴れ、曇り、雨、雪、台風、吹雪等のように天気が悪くなるに従って、最適緊張度So(t)を大きくする。照度が低くなるに従って、最適緊張度So(t)を大きくする。
【0120】
車両状態については、操舵角速度が大きくなるに従って、最適緊張度So(t)を大きくする。車間距離が短くなるに従って、最適緊張度So(t)を大きくする。車室内温度や車室内湿度と所定の基準値(例えば、25℃、50%)との差が大きくなるに従って最適緊張度So(t)を大きくする。
【0121】
時間情報については、運転時間や装置作動時間が長くなるに従って、最適緊張度So(t)を小さくする。所定の時刻(例えば、昼食直後の午後1時)になると、最適緊張度So(t)を小さくする。
【0122】
(作業環境検出部14の他の構成)
作業環境検出部14は、上述したものの他に、作業環境(天候、照度、室内温度、室内湿度)、作業状態(難易度、進捗状況)、時間情報(作業時間、装置作動持続時間、時刻)のうち少なくとも1つを検出してもよい。このとき、作業状況推定部16は、最適緊張度So(t)を次のようにする。
【0123】
例えば外部環境については、晴れ、曇り、雨、雪、台風、吹雪等のように天気が悪くなるに従って、最適緊張度So(t)を大きくする。照度が低くなるに従って、最適緊張度So(t)を大きくする。車室内温度や車室内湿度と所定の基準値(例えば、25℃、50%)との差が大きくなるに従って最適緊張度So(t)を大きくする。
【0124】
作業状態については、作業の難易度が高くなるに従って、最適緊張度So(t)を大きくする。作業の進捗状況が悪くなるに従って、最適緊張度So(t)を大きくする。
【0125】
時間情報については、作業時間や装置作動時間が長くなるに従って、最適緊張度So(t)を小さくする。所定の時刻(例えば、昼食直後の午後1時)になると、最適緊張度So(t)を小さくする。
【0126】
(運転環境・作業環境)
第1乃至第6の実施の形態では、心身状態維持装置は、運転者や作業者の環境を変えるためにマイナスイオンを発生したり、レモンの香りを発生したが、これに限定されるものではない。マイナスイオンやレモンの香りの発生では効果が薄い場合には、音を鳴らしたり、運転者又は作業者や所定の部材を振動させたり、その他の香りを発生したりして、運転者又は作業者に更に刺激を与えてもよい。
【0127】
また、マイナスイオン発生装置8,18及び香り発生装置9,19の両方を備えている場合に限らず、いずれか一方だけを備えてもよい。
【0128】
以上のように、心身状態維持装置は、運転者の心身状態と運転状況とを推定し、運転状況に応じた心身状態になるように運転者の環境を調整することにより、過度に緊張した場合には緊張を緩和し、注意力が散漫になった場合には活性化させる。この結果、運転状況に応じた適度な緊張感を運転者に維持させることができ、運転を安全かつ円滑に遂行させることができる。また、作業者が所定の作業を行う場合にも同様の効果を得ることができる。
【0129】
【発明の効果】
本発明に係る心身状態維持装置は、環境情報に基づいて現在の運転状況又は作業状況に対応する基準心身状態を推定し、現在の心身状態と基準心身状態とに基づいて環境を調整することにより、過度に緊張した場合には緊張を緩和して運転による疲労を低減し、注意力が散漫になっている場合には心身状態を活性化させて緊張感を高めて、適度な緊張感を維持させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態に係る心身状態維持装置の構成を示すブロック図である。
【図2】頭部振動−緊張度マップの一例を示す図である。
【図3】車両状態マップの一例を示す図である。
【図4】(A)は運転者緊張度Sd(t)の経時変化を示す図、(B)は最適緊張度So(t)の経時変化を示す図、(C)は心身状態指数F(t)の経時変化を示す図、(D)はマイナスイオン発生装置の動作状態を示す図、(E)は香り発生装置の動作状態を示す図である。
【図5】第2の実施の形態に係る心身状態維持装置の構成を示すブロック図である。
【図6】(A)は運転者緊張度Sd(t)の経時変化を示す図、(B)は最適緊張度So(t)の経時変化を示す図、(C)は心身状態指数F(t)の経時変化を示す図、(D)はマイナスイオン発生装置の動作状態を示す図、(E)は香り発生装置の動作状態を示す図である。
【図7】第3の実施の形態において心身情報検出部で検出された操舵角の経時変化を示す図である。
【図8】操舵角のパワースペクトル密度を示す図である。
【図9】操舵角の0.15〜0.50[Hz]における帯域成分の経時変化を示す図である。
【図10】(A)は頭部振動レベルの経時変化を示す図、(B)は頭部振動レベルのパワースペクトル密度Head_zを示す図である。
【図11】(A)は座席振動レベルの経時変化を示す図、(B)は座席振動レベルのパワースペクトル密度Seat_zを示す図である。
【図12】振動伝達率を示す図である。
【図13】振動伝達率の5.0〜5.5[Hz]における帯域成分の経時変化を示す図である。
【図14】第5の実施の形態に係る心身状態維持装置の構成を示すブロック図である。
【図15】心拍変動−緊張度マップの一例を示す図である。
【図16】難易度−緊張度マップの一例を示す図である。
【図17】(A)は作業者緊張度Sd(t)の経時変化を示す図、(B)は最適緊張度So(t)の経時変化を示す図、(C)は心身状態指数F(t)の経時変化を示す図、(D)はマイナスイオン発生装置の動作状態を示す図、(E)は香り発生装置の動作状態を示す図である。
【図18】一般的な心電図である。
【図19】(A)はR−R間隔の経時変化を示す図、(B)はR−R間隔のパワースペクトル密度を示す図である。
【図20】心拍変動高周波成分の経時変化を示す図である。
【符号の説明】
1,11 心身情報検出部
2,12 心身データベース
3,13 心身状態推定部
4 運転環境検出部
5,15 環境データベース
6 運転状況推定部
7,17 環境制御部
8,18 マイナスイオン発生装置
9,19 香り発生装置
10 発生パターン制御部
14 作業環境検出部
16 作業状況推定部
Claims (3)
- 運転者の心身情報を検出する心身情報検出手段と、
前記心身情報検出手段で検出された心身情報に基づいて、運転者の心身状態を推定する心身状態推定手段と、
速度及び加減速の回数の少なくとも1つを前記運転者の運転環境情報として検出する環境情報検出手段と、
速度が速くなるに従って大きくなるか、加減速の回数が多くなるに従って大きくなるか、または、速度が速くなるに従って大きくなり、かつ加減速の回数が多くなるに従って大きくなるように定められた基準心身状態に基づいて、前記環境情報検出手段で検出された現在の運転環境情報に対応する基準心身状態を推定する基準心身状態推定手段と、
前記心身状態推定手段で推定された現在の心身状態を、前記基準心身状態推定手段で推定された基準心身状態に一致させるように車両内部の環境を調整する環境調整手段と、
を備えた心身状態維持装置。 - 作業者の心身情報を検出する心身情報検出手段と、
前記心身情報検出手段で検出された心身情報に基づいて、作業者の心身状態を推定する心身状態推定手段と、
作業内容を前記作業者の作業環境情報として検出する環境情報検出手段と、
作業内容の難易度が高くなるに従って大きくなるように定められた基準心身状態に基づいて、前記環境情報検出手段で検出された現在の作業環境情報に対応する基準心身状態を推定する基準心身状態推定手段と、
前記心身状態推定手段で推定された現在の心身状態を、前記基準心身状態推定手段で推定された基準心身状態に一致させるように作業室内の環境を調整する環境調整手段と、
を備えた心身状態維持装置。 - 前記環境調整手段は、マイナスイオン、香り、音、振動、所定温度の空気、及び所定湿度の空気の少なくとも1つを出力して環境を調整すること
を特徴とする請求項1または請求項2記載の心身状態維持装置。
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