JP4099985B2 - Inkjet recording sheet - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット記録シート及びその製造方法に関するものであり、特に、写真印画紙調の光沢を有し、高いインク吸収速度とインク吸収量を兼ね備え、ひび割れを発生することなく製造することが可能なインクジェット記録シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録方式は、簡易な装置で安価にカラー印刷ができるためパーソナルユースに適した記録方式であり、オフィスや家庭での印刷用途に急速に普及している。近年フルカラー化及び高解像度化が達成されたことにより、画質が急速に向上してきており、カラー画像の手軽な出力形式として注目され、銀塩写真の代替として最も有力な方式の一つと考えられている。そのため、銀塩写真に匹敵する高画質並びに高光沢を有するインクジェット記録シートに対する要望が高まっている。
【0003】
インクジェット方式で使用されるインクは多量の溶媒を含んでいるため、高い印字濃度を得るためには大量のインクを吐出する必要がある。そのため、インクジェット記録シート上に設けるインク受容層としては、吐出されるインクを十分に吸収できるような材料が要求される。また、インク液滴は連続的に吐出されるため、最初の液滴が吸収されないうちに次の液滴が吐出されるとにじみや濃度むらの原因となり、鮮明な画像が得られない。よって、インク受容層としては吸収量とともに、速い吸収速度を持つことが要求される。さらに、上記の画質面への要求だけでなく、インクの乾燥性、印字物の耐水性、長期保存する場合の画像の保存安定性などさまざまな性能が要求される。
【0004】
以上のような要求を満たすため、樹脂系または顔料系のインク受容層を設けたインクジェット記録シートが数多く提案され、市販されている。樹脂系受容層は一般に、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、水溶性セルロース誘導体、ゼラチンなどの水溶性樹脂の水溶液を基材シートに塗工し、乾燥して形成されるものである。樹脂系受容層においては、透明性が高いため印字濃度が高く、光沢も高いという長所がある反面、インクの吸収速度が遅いので画質が悪く、また、インクの乾燥速度が遅くて耐水性も悪いという欠点がある。そのため、近年要求されている銀塩写真と同等の印字品質を得るのは困難であり、最近では以下に述べる顔料系受容層が主流になってきた。
【0005】
顔料系受容層は、シリカ、アルミナ、擬ベーマイト、炭酸カルシウム、カオリンなどの顔料にポリビニルアルコール、セルロース誘導体などの水溶性樹脂をバインダー樹脂として添加することにより形成されるものである。上記顔料の形態としては、1次粒子が凝集して2次粒子を形成しているものが好ましく用いられる。このような顔料系受容層においては、顔料の1次粒子間及び2次粒子間の空隙に毛細管現象ですばやくインクが吸収されて画像を形成するため画質が良好であり、インク乾燥性も良い。
【0006】
特公昭63−22977号公報では、最上層のインク受容層の細孔分布曲線のピークが200nm〜10μmにあり、かつインク受容層全体の細孔分布曲線のピークが200nm〜10μm及び50nm以下の2ヶ所にあるインク受容層を提案している。ここでは、最上層の大きな空隙に瞬時に吸収されたインクを、細孔径50nm以下からなる空隙に取り込むことによって、速い吸収速度と高い画質を得ている。しかし、こうした細孔分布を持つ受容層を得るには、2次粒子径が1μmを越える大きな顔料を用いる必要があったため、受容層表面の平滑性が低下して光沢が低くなり、近年求められている銀塩写真並みの光沢を得ることはできなかった。また、2次粒子径の大きな顔料を用いると受容層の透明度が低くなるために、印字濃度が低いという欠点があった。
【0007】
また、特開昭61−47290号公報では、アルカリ金属の弱酸塩及び/又はその複塩を含有するインク受容層を提案している。ここでは、アルカリ金属の弱酸塩と平均2次粒子径が0.5〜30μmである顔料を併用することにより画像の耐水性及び耐光性を向上させている。しかし、ここでも2次粒子径が大きな顔料を用いる必要があったため、光沢や印字濃度は低かった。
【0008】
以上のような欠点を克服するため、粒子径が1μm以下の微細顔料を用いた顔料系インクジェット受容層を設けたインクジェット記録シートが数多く提案されている。特開平9−183267号公報では、最上層がコロイダルシリカを含有し、細孔分布曲線が細孔直径2nm〜100nmの範囲にピークを持つインク受容層を提案している。この範囲に細孔ピークが存在するとインク吸収速度は速くなり、また、粒子径の小さい単分散コロイダルシリカを用いているので光沢にすぐれ、透明性も良好であった。しかし、2次粒子を形成していないため受容層の細孔容積が低く、吐出される多量のインクを吸収させるために多くの塗工量が必要で、受容層を2層設けなければならないという欠点があった。
【0009】
特開2001−96897号公報では、気相法シリカ及び水溶性の金属化合物を含有し、膜面pHが3〜5であるインク受容層を有するインクジェット記録材料を提案している。気相法シリカは平均粒径3nm〜10nmの1次粒子が凝集して100nm〜500nmの2次粒子を形成している超微粒子であり、小粒径なため高い光沢を持たせることができる。2次粒子間の空隙があるためインク吸収性も高い。しかしこうした2次粒径が1μm以下の超微粒子を用いる場合、粒径が小さいために細孔径が小さくなり、強い毛細管収縮力のため乾燥工程においてひび割れやすくなるといった製造上の問題がある。毛細管収縮力を緩和させてひび割れを防止するためにバインダー樹脂の添加量を増加させることは、インク吸収性の極端な低下を招くので好ましくない。よって、バインダー樹脂の添加量を増加させること無くひび割れを防止する方法として、上記公報では水溶性金属化合物の添加を提案しているが、膜面pHを3〜5にする必要があった。また、気相法シリカは湿式法シリカに比べ乾燥過程において生じる毛細管収縮力が格段に強いため、十分にひび割れの無い受容層を製造するには上記方法に加え、ホウ酸によりバインダー樹脂を架橋させるという方法を用いなければならず、そのようにして形成された受容層は高温高湿下で強度的にもろくなり、剥がれてしまうという欠点を有していた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、前記従来の技術が抱えている諸問題を解決し、写真印画紙調の光沢を有し、インク吸収速度及びインク吸収量に優れ、なおかつ製造工程において乾燥時のひび割れによる成膜不良を生じることのないインクジェットプリンター用記録シートを提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
水銀ポロシメーターによる測定で得られる細孔分布曲線において細孔径6nm〜150nmの範囲にピークを持つ多孔質インク受容層では一般に、その強い毛細管力によりインクを素早く吸収して鮮明な画像を得ることができる。しかし、細孔径が上記の範囲の多孔質受容層で、図2のように幅の狭いシャープなピークが1つだけしかないものは、塗工液を塗工後の乾燥工程において強い毛細管収縮力が働いてひび割れによる成膜不良が生じている場合が多い。また、吐出される多量のインクを瞬時に吸収するにはインク吸収量が不十分な場合が多く、インクがあふれたり、ビーディングと呼ばれる印字濃度むらが生じる傾向がある。本発明者らが鋭意検討したところ、図1のように細孔径6nm〜150nmの範囲に2つのピーク、または肩を有する1つの幅広いピークを有する多孔質インク受容層が、乾燥工程におけるひび割れが発生せず、かつインク吸収速度が速く、インク吸収量も増加することを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0012】
[1]本発明のインクジェット記録シートは、基材上に、微細顔料とバインダー樹脂を含む少なくとも1層のインク受容層を設けたインクジェット記録シートにおいて、該インク受容層が、水銀ポロシメーターで測定した細孔分布曲線において細孔径6〜150nmの範囲に2つのピーク、または肩を有する1つの幅広いピークを有する多孔質インク受容層を少なくとも1層有し、該微細顔料が、湿式法シリカ、アルミナ、ベーマイト、擬ベーマイトからなる群より選ばれる少なくとも一種であり、かつその平均粒径が、1.0μm以下、窒素吸着法による細孔径100nm以下の範囲の細孔容積が0.4〜2.0ml/gであり、該多孔質インク受容層が、該微細顔料、該バインダー樹脂、及び水溶性塩類を含有し、かつ固形分濃度16%で測定した導電率が0.5〜10.0mS/cmである水性塗料を基材に塗工後、乾燥することによって形成されていることを特徴とする
本発明のインクジェット記録シートは、下記の態様を含む。
[2] 該細孔分布曲線におけるモード細孔径とメジアン細孔径との差の絶対値が10nm以上である[1]に記載のインクジェット記録シート。
[3] 該多孔質インク受容層の細孔径6nm〜1μmの範囲における細孔容積が0.5〜2.0ml/gである[1]または[2]に記載のインクジェット記録シート。
【0014】
[4] 窒素吸着法により測定した該微細顔料の細孔径d1(nm)と水銀ポロシメーターにより測定した該多孔性インクジェット受容層のモード細孔径d2(nm)との間に20<d2−d1<100の関係式が成り立つことを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載のインクジェット記録シート。
] 該微細顔料が湿式法シリカであり、該水性塗料がアンモニアを含有し、pHが7以上である[1]〜[4]のいずれかに記載のインクジェット記録シート。
] 該微細顔料が平均粒径3nm〜40nmの1次粒子が凝集してなる平均粒径8nm〜800nmの2次粒子である[1]〜[5]のいずれかに記載のインクジェット記録シート。
【0015】
] 該バインダー樹脂がポリビニルアルコールである[1]〜[]のいずれかに記載のインクジェット記録シート。
] 該水溶性塩類がアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩から選ばれる少なくとも一種である[1]〜[7]のいずれかに記載のインクジェット記録シート。
] 該水溶性塩類がアルカリ金属の強酸塩である[]に記載のインクジェット記録シート。
10] 微細顔料100質量部に対し水溶性塩類を0.001〜10重量部の割合で含有する[1]〜[9]のいずれかに記載のインクジェット記録シート。
【0016】
【発明の実施の形態】
まず、水銀ポロシメータによる細孔分布測定について説明する。細孔分布はマイクロメトリックス ポアサイザ9320((株)島津製作所製)を用い、水銀圧入法により求めた空隙量分布曲線から細孔分布を計算して求めた。水銀圧入法による細孔径の測定は細孔の断面を円形として仮定して導かれた下記の式を用いて計算した。
【0017】
D=−4γCOSθ/P
ただし、D:細孔直径、γ:水銀の表面張力、θ:接触角、P:圧力とする。
【0018】
水銀の表面張力は482.536dyn/cmとし、使用接触角は130°とし、高圧部測定(0〜30000psia、測定細孔径6μm〜6nm)を行った。インク受容層の平均細孔容積は予め測定したインク受容層の重量と空隙量分布曲線から計算される。本発明におけるインク受容層の細孔分布曲線においては、6nm〜150nmの範囲にピークを持ち、ピークの裾野が1μmまで及ぶため、6nm〜1μmの範囲での細孔容積を積算して求めた。
【0019】
次に、本発明のインク受容層について説明する。本発明における多孔質インク受容層は、上記の水銀ポロシメータによる測定で得られた細孔分布曲線が、図1のように細孔径6nm〜150nmの範囲に2つのピーク、または肩を有する1つの幅広いピークを持つものである。2つのピークのうちどちらかのピークが8nm〜25nmの範囲にあるか、または肩を有する1つの幅広いピークが8nm〜25nmの範囲にまでわたっていることが好ましい。この範囲の細孔は毛細管力が強いため、吐出されるインクを瞬時に吸収することができるという利点を持つが、インク受容層の乾燥工程においてひび割れによる成膜不良を生じやすいという欠点もある。しかし本発明のインク受容層においては、さらに細孔径6nm〜150nmの範囲にもう一つの細孔ピークを有するか、またはピークは1つであるが幅広いという特徴を有し、径の大きな細孔が多数存在することによって毛細管収縮力が緩和され、乾燥工程のひび割れを防止することができる。また、径の大きな細孔が多数存在することによってインク吸収に寄与する細孔容積が増え、8nm〜25nmの範囲にある細孔で一旦吸収した多量のインクを即座に取り込むことができ、次々とインクが吐出されてもあふれることなくインクを吸収することができる。
【0020】
特開平9−183267号公報の実施例の中にもこの範囲に2つのピークをもつ例が記載されているが、これはインク受容層を2層設けた場合にそれぞれの受容層中に1つずつ存在するピークが現れたものである。一方、本発明における多孔質インク受容層では、少なくとも1つの受容層中について細孔径6nm〜150nmの範囲に2つのピーク、または肩を有する1つの幅広いピークを持つものであり、受容層1層に2つのピークが存在する点が特開平9−183267号発明とは異なる。
【0021】
細孔径のピークが6nm未満の範囲のみに存在する場合は、十分なインク吸収速度が得られず、インクあふれやビーディングと呼ばれる印字濃度むらが生じる。また、細孔径のピークが150nmを越える範囲のみに存在する受容層は、インクが広がりやすく、鮮明な画像が得られない。また、透明性が低下して印字濃度が低下し、光沢感も失われるため不適である。
【0022】
前記の方法にて測定された、該多孔質インク受容層の細孔分布曲線において、モード細孔径とメジアン細孔径との差の絶対値が10nm以上であることが好ましい。10nmより小さい場合には細孔分布曲線におけるピークは1つのシャープなピークとなり、細孔のサイズにばらつきがなく毛細管収縮力が緩和されにくいためインク受容層を塗布乾燥する際にひび割れが生じる恐れがある。差の値に上限はないが、100nm以下程度が好ましい。
【0023】
前記の方法で測定された該多孔質インク受容層の、細孔径6nm〜1μmの範囲での細孔容積は0.5〜2.0ml/gであることが好ましい。細孔径6nm〜1μmの細孔容積が0.5ml/gより大きいと、インク受容層は、吐出される多量のインクを十分に吸収することができ、インクあふれにより画像が乱れることがない。一方、細孔径6nm〜1μmの細孔容積が2.0ml/g以下であると、染料の定着性に優れ、インク受容層の強度にも優れる。
【0024】
以下に本発明のインク受容層の形成方法について説明する。本発明のインク受容層は顔料を樹脂バインダーで固めて製造されるものである。インク受容層の形成方法は、特に限定されるものではないが、本発明の特徴である、細孔径6nm〜150nmの範囲に2つのピーク、または肩を有する1つの幅広いピークを有する多孔質インク受容層を得るためには以下の方法が好適に用いられる。顔料100質量部に対して、樹脂バインダーを1〜100質量部、好ましくは3〜28質量部、より好ましくは5〜20質量部の割合で含有し、かつ水溶性塩類を好ましくは0.01〜10質量部、より好ましくは0.05〜5重量部の割合で含有する水性塗料を基材に塗布し、乾燥してインク受容層を形成する。
【0025】
本発明において好ましい顔料は粒子径が小さい微細顔料であり、上記水性塗料中では安定にコロイド状に分散している。乾燥過程において、水性塗料の濃度が上昇して乾燥されていくまでの間に、含有している水溶性塩類が顔料表面に吸着されて表面の電荷量が減少し、分散安定性が失われて大きな凝集構造を生成する。この凝集構造中に存在する空隙が6nm〜150nmの範囲に分布し、その結果本発明の特徴である細孔径6nm〜150nmの範囲に2つのピーク、または肩を有する1つの幅広いピークを有する多孔質インク受容層が形成される。このように水溶性塩類の影響で生成する凝集構造中に存在する空隙として生じる、径の大きな細孔が多数存在することによって毛細管収縮力が緩和され、インク受容層を塗布した後、乾燥工程でのひび割れを防止することができる。
【0026】
本発明で使用される顔料は湿式法シリカ、アルミナ、ベーマイト、擬ベーマイトからなる群より選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。これらの顔料を単独で用いても良いし、2種以上を混合して用いることもできる。ここで湿式法シリカは、湿式法により製造される無定型合成シリカを指し、沈降法によるシリカとゲル法によるシリカとに分類される。沈降法シリカはケイ酸アルカリ水溶液に鉱酸を段階的に加え、沈降したシリカをろ過して製造されるものであり、ゲル法シリカはケイ酸アルカリ溶液に鉱酸を混合し、ゲル化させたのち、洗浄及び粉砕して得られるものである。これらの顔料は細孔容積が大きく、インク吸収性に優れているので好適に用いられる。特に湿式法シリカは粒子径分布が比較的広く、凝集による大きな空隙を生じやすいので本発明において特に好適に用いられる。
【0027】
これらの微細顔料の製造方法は特に限定されないが、その手段の一つとして市販の顔料(粒径が数μmのもの)に機械的手段で強い力を与えることにより粉砕、分散して得る方法が挙げられる。つまり、breaking down法(塊状原料を細分化する方法)によって得られるものである。機械的手段としては、超音波ホモジナイザー、圧力式ホモジナイザー、ナノマイザー、高速回転ミル、ローラーミル、容器駆動媒体ミル、媒体攪拌ミル、ジェットミル、サンドグラインダー等の機械的手法が挙げられる。得られる微細顔料はコロイド状であっても、スラリー状であっても良い。その他の好ましい微細顔料の製造方法として、特開平5−32413号公報や特開平7−76161号公報などに開示されている金属アルコキシドの加水分解による方法が挙げられる。
【0028】
顔料の形態としては、高光沢、高透明性のインク受容層を得るために、平均粒子径が1μm以下の微細顔料が好ましい。さらに微細顔料が平均1次粒子径3nm〜100nm、好ましくは3nm〜40nmの1次粒子からなる2次粒子であると細孔容積が高いので好ましい。これら1次粒子が凝集した2次粒子の平均粒径は1μm以下、好ましくは8nm〜800nm、より好ましくは8nm〜600nm、最も好ましくは8nm〜450nmである。顔料の1次粒子径や2次粒子径が小さすぎるとインク吸収に寄与する空隙を形成し難くなり、受容層の細孔容積が低下してインク吸収性が低下する恐れがある。また、1次粒子径や2次粒子径が大きすぎると受容層の透明性が低下し、印字濃度や光沢が低下する恐れがある。なお、本発明でいう顔料の1次粒子径はすべて電子顕微鏡(SEM及びTEM)で観察した粒径(マーチン径)である。また、2次粒子径は動的光散乱法によって測定され、キュムラント法を用いた解析から算出される値である。
【0029】
インク吸収能の高いインク受容層を得るためには、微細顔料の細孔容積は高い方が好ましいが、本発明に好適に用いられる微細顔料の細孔容積は、0.4〜2.0ml/gが好ましく、より好ましくは0.5〜1.8ml/gであり、特に好ましくは0.6〜1.6ml/gである。なお、この細孔容積は窒素吸着法で測定した細孔径100nm以下の範囲の値である。
【0030】
本発明では、上記微細顔料を含有する水性塗料を基材に塗工し、乾燥させることによって比較的大きな空隙を生じさせ、毛細管収縮力を緩和させてインク受容層塗液を乾燥する際のひび割れを防止している。従って、該インク受容層の細孔径が該微細顔料自体の細孔径よりも大きな範囲に存在していることが特徴であり、窒素吸着法により測定した該微細顔料の細孔径d1(nm)と水銀ポロシメーターで測定した該多孔性インクジェット受容層のモード細孔径d2(nm)との間に20<d2−d1<100の関係式が成り立つことが好ましい。d2−d1≦20である場合は該受容層中に大きな空隙が形成されておらず、毛細管収縮力を十分に緩和できずインク受容層にひび割れを生じる恐れがある。また、d2−d1≧100であると該受容層中の空隙が大きすぎて受容層の透明性が低下し、印字濃度や光沢が低下する恐れがある。
【0031】
本発明における水性塗料の固形分濃度16質量%で測定した導電率は0.5〜10.0mS/cmが好ましく、より好ましくは1.0〜5.0mS/cmである。0.5mS/cmより低いと上述の乾燥過程における大きな凝集構造の生成が不十分となる恐れがあり、本発明の多孔質インク受容層を形成できず、ひび割れによる成膜不良を生じる恐れがある。10.0mS/cmより高いと乾燥過程での凝集が進みすぎて、受容層表面の平滑度が下がり、光沢が低下する恐れがある。
【0032】
本発明における水性塗料のpHは特に限定されるものではないが、湿式法シリカを用いた場合、アンモニアを加えてpHを7以上、好ましくは8以上に調節することは、乾燥過程における大きな凝集構造の生成を促進するため、本発明のインクジェット受容層を得るのに好適に用いられる。pHに上限は特にないが例えば10程度である。
【0033】
使用されるバインダー樹脂の例としては、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、ポリアルキレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、水溶性ポリビニルアセタール、ポリ−N−ビニルアセトアミド、ポリアクリルアミド、ポリアクリロイルモルホリン、ポリヒドロキシアルキルアクリレート、ポリアクリル酸、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ゼラチン、カゼイン等の水溶性樹脂及びこれらの水溶性誘導体が挙げられる。また、前記各樹脂または水溶性誘導体を含む共重合体でもよい。更にSBRラテックス、NBRラテックス等の水分散性樹脂も使用できるが、水溶性樹脂が好ましい。また、これら樹脂を単独で使用するだけでなく、二種類以上混合して用いることもできる。これらの中でも、ポリビニルアルコールはバインダー樹脂としての性能に優れ、もっとも好適に用いられる。
【0034】
使用される水溶性塩類の例としては、硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、硫酸水素ナトリウム、硝酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、ギ酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、塩化カリウム、硫酸水素カリウム、硝酸カリウム、酢酸カリウム、ギ酸カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸三カリウム、チオ硫酸カリウムなどのアルカリ金属塩、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、酢酸カルシウム、ギ酸カルシウム、リン酸二水素カルシウム、塩化バリウム、硝酸バリウム、酢酸バリウム、ギ酸バリウム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、硝酸マグネシウム、酢酸マグネシウムなどのアルカリ土類金属塩、塩化マンガン、酢酸マンガン、ギ酸マンガン、塩化第二銅、硫酸銅、塩化コバルト、硫酸ニッケル、塩化ニッケル、硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム、塩化アルミニウム、臭化第一鉄、塩化第一鉄、塩化第二鉄、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、臭化亜鉛、塩化亜鉛、硝酸亜鉛、硫酸亜鉛などが挙げられる。これら水溶性塩類を単独で使用するだけでなく、二種類以上混合して用いることもできる。
【0035】
特にこの中でも、アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩は容易に水性塗料に混合でき、かつ水性塗料を塗工後の乾燥過程において凝集を引き起こしやすく、本発明の多孔質インク受容層を容易に得ることができるため好適に用いられる。さらに、アルカリ金属の強酸塩、即ち塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩などは水性塗料中で最も安定に存在でき、アルカリ性においても沈降することがないため最も好適に用いられる。
【0036】
特開昭61−47290号発明にも、アルカリ金属の弱酸塩が用いられているが、弱酸塩に限られている点、及び使用されている顔料の2次粒子径が0.5〜30μmと大きい点が本発明と異なる。本発明においては乾燥工程において粒子の凝集を引き起こし、ひび割れを防止する目的で水溶性塩類が用いられ、特にアルカリ金属の弱酸塩に限られるものではない。使用される顔料の細孔容積も0.4〜2.0ml/gであり、特開昭61−47290号に例示されているコロイダルシリカのように低細孔容積のものとは異なる。
【0037】
特開2001−96897号発明では、気相法シリカ及び水溶性の金属化合物が使用されているが、用いる顔料が気相法シリカである点、及び膜面pHが3〜5の酸性領域である点が本発明と異なる。本発明では湿式法シリカ、アルミナ、ベーマイト、擬ベーマイトのいずれかの微細顔料と水溶性塩類が併用され、pHも酸性領域に限られない。また、水溶性塩類としてアルカリ金属塩も好ましく用いられる点において、多価金属塩が用いられる特開2001−96897号発明とは異なる。
【0038】
上記顔料、樹脂バインダー、水溶性塩類といった成分以外にも、目的に応じ各種添加物が用いられる。たとえば、インク定着剤としてのカチオン性樹脂が挙げられる。カチオン性樹脂の例としては、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート四級化物、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート四級化物、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド四級化物、ビニルイミダゾリウムメトクロライド、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド、モノアリルアミン塩酸塩、ジアリルアミン塩酸塩等のカチオン性を有する構造単位を含む樹脂が挙げられる。これらカチオン性樹脂をシリカなどのアニオン性顔料の分散液に混合して添加する際、両者の静電特性のため塗料は一時的にゲル化するが、ホモジナイザー等の機械的手段を用いて再分散させることによって使用可能となる。また、カチオン性物質として、無機塩やアルミナゾル等を配合することも可能である。
その他添加物として、一般的塗工紙製造に使用される分散剤、増粘剤、消泡剤、着色剤、帯電防止剤、濡れ剤などの助剤、また、印字画像の保存性向上のための紫外線吸収剤や光安定化剤を適宜添加することができる。
【0039】
本発明における基材シートとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリイミド、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの合成樹脂フィルムまたはポリエチレンラミネート紙などの合成樹脂ラミネート紙を用いると高光沢のインクジェット記録シートを得やすいので好ましい。ただし上質紙、塗工紙等の紙も使用でき、目的に応じて適宜用いられる。
【0040】
これらの基材はその表面に形成するインク受容層との接着力が不十分な場合には下塗り層を施したり、コロナ放電処理などの各種の易接着処理を施すことができる。基材の厚さは、プリンターの通紙性を考慮すると50〜500μmが好ましい。
【0041】
塗工方法としては公知の塗布手段、例えばバーコーティング法、ロールコーティング法、ブレードコーティング法、エアーナイフコーティング法、グラビアコーティング法、ダイコーティング法、カーテンコーティング法などを用いることができるが、これらに限らない。
【0042】
塗布量は乾燥後の重量として1〜50g/m程度が好ましく、さらに好ましくは3〜25g/m2である。ここで1g/m2より少ないとインクの吸収が不十分となりやすく、50g/m2より多くなるとカールが発生しやすくなる恐れがあり、コストもかさむ。
【0043】
また、インクジェット記録シートのカール抑制や、搬送性の向上のため、基材シートのインク受容層とは反対側に裏面層を設けることもできる。裏面層の構成及びそれに伴う基材シート裏面はその用途に応じて選択することができ、特に限定されるものではないが、塗工性及びコストを鑑みると親水性樹脂を主成分とする裏面層を設けることが好適である。また裏面に粘着剤層と剥離シートを設けてもよい。
【0044】
本発明では多孔質インク受容層が一層のみでも充分なインク吸収性が得られるが、2層以上とすることもでき、例えば前記顔料と樹脂バインダーを含有する下塗り層を設けることもできる。
【0045】
【実施例】
以下実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、もとより本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。なお、本実施例で表示する%、部はそれぞれ質量%、質量部を意味する。
【0046】
[顔料の細孔容積及び細孔径の測定方法]
顔料の水分散液を105℃で乾燥し、得られた粉体試料の細孔容積及び細孔径分布を、ガス吸着法比表面積・細孔分布測定装置(Coulter社製SA3100plus型)を用い、前処理として200℃で2時間真空脱気した後に測定した。吸着ガスとしては窒素を用いた。細孔容積は細孔径100nm以下の細孔の全細孔容積の値を使用した。細孔径は、脱着等温線のBJH法による解析から求められた細孔分布曲線における最大体積分率の細孔径とした。
【0047】
[顔料の平均粒径測定法]
動的光散乱法によるレーザー粒度計(大塚電子(株)製、LPA3000/3100)を用いて、顔料の水分散液を充分に蒸留水で希釈した状態で測定した。平均粒径はキュムラント法を用いた解析から算出される値を用いた。
【0048】
[塗料の導電率測定方法]
イオン交換水で塗料濃度を16.0%に調整し、温度を25℃に合わせた後、塗料の導電率を、導電率計(Eutech Instruments社製、CyberScan CON100)を用いて測定した。
【0049】
[シリカゾルA(分散液)の製造方法]
ゲル法によって製造された平均粒径13.1μmの合成無定型シリカ(グレースデビソン社製、商品名:サイロジェットP612、比表面積290m/g、一次粒径7nm)を濃度20%で水分散させ、アンモニア水を添加してpHを9.0に調整したスラリーを、横型ビーズミル(シンマルエンタープライゼス(株)製、ダイノーミルKDL−Pilot)により繰り返し粉砕分散し、平均二次粒径300nmのシリカの20%水分散液を製造した。このシリカ微細顔料の細孔容積は0.7ml/gであった。
【0050】
[シリカゾルB(分散液)の製造方法]
沈降法によって製造された平均粒径5.0μmの合成無定型シリカ((株)トクヤマ製、商品名:ファインシールE−50、比表面積170m/g、一次粒径15nm)を濃度20%で水分散させ、アンモニア水を添加してpHを9.0に調整したスラリーを、シリカゾルAの製造方法で用いた横型ビーズミルにより繰り返し粉砕分散し、平均二次粒径200nmのシリカの15%水分散液を製造した。このシリカ微細顔料の細孔容積は1.0ml/gであった。
【0051】
[シリカゾルC(分散液)の製造方法]
気相法によって製造された平均一次粒径7nmのシリカ(日本アエロジル(株)製、商品名:AEROSIL130)を濃度20%で水分散させ、塩酸でpHを2.5に調整したのち、油圧式超高圧ホモジナイザー(みづほ工業(株)製、マイクロフルイタイザーM110−E/H)にて3回分散して、平均二次粒径250nmのシリカの20%水分散液を製造した。このシリカ微細顔料の細孔容積は1.2ml/gであった。
【0052】
<実施例1>
シリカゾルA100部に、硫酸ナトリウムの10%水溶液を0.5部、及びけん化度が98.5%であるポリビニルアルコール((株)クラレ製、商品名:PVA−140)の10%水溶液を40部混合し、シリカ100部に対して硫酸ナトリウムが0.25部、ポリビニルアルコールが20部含まれる固形分濃度17.1%の塗料を調製し、イオン交換水を加えて濃度を16.0%とした。この塗料の主成分及び上記方法にて測定した導電率値を表1に示した。この塗料を基材である厚さ100μmの透明ポリエチレンテレフタラートフィルム((株)東レ製、商品名:ルミラー100−Q80D)上に乾燥重量で塗工量が20g/mになるようにバー塗工した。被膜を120℃で乾燥し、本発明のインクジェット記録シートを得た。このインクジェット記録シートにおけるインク受容層の細孔分布及び品質を以下の方法で評価し、表2に示した。
【0053】
[インク受容層の細孔分布の測定]
本発明の実施例及び比較例のインクジェット記録シートにおけるインク受容層の細孔分布の測定は以下のように行った。マイクロメトリックス ポアサイザ9320((株)島津製作所製)を用い、水銀圧入法により求めた空隙量分布曲線から細孔分布を計算して求め、ピーク位置及びモード細孔径を求めた。また、得られた細孔分布曲線より、6nm〜1μmの範囲での細孔容積を積算して求めた。各実施例及び比較例の受容層における、細孔径6〜150nmの範囲のピークの数、ピーク位置、モード細孔径及び細孔径6nm〜1μmの範囲の細孔容積を表2に示した。
【0054】
インクジェット記録シートの画質評価方法
[受容層のひび割れ]
本発明におけるインク受容層のひび割れについて目視にて評価を行い、10cm×10cmのシート内のひび割れ状況を次の3段階で評価した。
○:ひび割れ無し
△:1mm以上にわたるひび割れが数箇所以上あり
×:全面にひび割れあり
【0055】
[インク吸収速度]
インク受容層のインク吸収速度を以下の方法で評価した。インクジェット記録シートにインクジェットプリンター(EPSON製、PM−800C)のスーパーファイン専用紙推奨設定印刷モードで、シアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの各色ベタを印字した。印字部にPPC用紙を手で押し当て、インクが転写するかどうかを目視にて調べた。転写がなくなるまでの時間を測定し、次の3段階で評価した。
○:1秒未満
△:1秒以上30秒未満
×:30秒以上
【0056】
[インク吸収量]
本発明におけるインク受容層のインク吸収量を以下の方法で評価した。インクジェット記録シートに上記方法で赤、緑、青の混色べたを印字し、インクあふれの有無、印字濃度の均一性を以下の3段階で評価した。
○:インクあふれはなく、均一性もよい。
△:インクあふれはないが、濃度の均一性が悪い。
×:インクあふれが見られる。
【0057】
<実施例2>
硫酸ナトリウムの10%水溶液の添加量を1部に変え、シリカ100部に対する硫酸ナトリウムの量を0.5部とした以外は実施例1と同様の方法で本発明のインクジェット記録シートを得た。塗料の主成分及び導電率を表1、インクジェット記録シートの細孔分布及び品質を表2に示した。
【0058】
<実施例3>
シリカゾルA100部に、塩化ナトリウムの10%水溶液を0.5部、及び実施例1にて使用のポリビニルアルコールの10%水溶液を40部混合し、シリカ100部に対して塩化ナトリウムが0.25部、ポリビニルアルコールが20部含まれる固形分濃度17.1%の塗料を調製し、イオン交換水を加えて希釈した濃度16.0%の塗料を用いたこと以外は実施例1と同様の方法で本発明のインクジェット記録シートを得た。塗料の主成分及び導電率を表1、インクジェット記録シートの細孔分布及び品質を表2に示した。
【0059】
<実施例4>
シリカゾルA100部に、塩化カルシウムの10%水溶液を0.5部、及び実施例1にて使用のポリビニルアルコールの10%水溶液を40部混合し、シリカ100部に対して塩化カルシウムが0.25部、ポリビニルアルコールが20部含まれる固形分濃度17.1%の塗料を調製し、イオン交換水を加えて希釈した濃度16.0%の塗料を用いたこと以外は実施例1と同様の方法で本発明のインクジェット記録シートを得た。塗料の主成分及び導電率を表1、インクジェット記録シートの細孔分布及び品質を表2に示した。
【0060】
<実施例5>
シリカゾルA100部に、硫酸カルシウムの10%水溶液を0.5部、及び実施例1にて使用のポリビニルアルコールの10%水溶液を40部混合し、シリカ100部に対して硫酸カルシウムが0.25部、ポリビニルアルコールが20部含まれる固形分濃度17.1%の塗料を調製し、イオン交換水を加えて希釈した濃度16.0%の塗料を用いたこと以外は実施例1と同様の方法で本発明のインクジェット記録シートを得た。塗料の主成分及び導電率を表1、インクジェット記録シートの細孔分布及び品質を表2に示した。
【0061】
<実施例6>
シリカゾルA100部に、塩化ナトリウムの10%水溶液を1部、及びけん化度が88.0%であるポリビニルアルコール((株)クラレ製、商品名:PVA−235)の10%水溶液を40部混合し、シリカ100部に対して塩化ナトリウムが0.5部、ポリビニルアルコールが20部含まれる固形分濃度17.1%の塗料を調製し、イオン交換水を加えて希釈した濃度16.0%の塗料を用いたこと以外は実施例1と同様の方法で本発明のインクジェット記録シートを得た。塗料の主成分及び導電率を表1、インクジェット記録シートの細孔分布及び品質を表2に示した。
【0062】
<実施例7>
シリカゾルA100部に、塩化ナトリウムの10%水溶液を0.2部、及びけん化度が99.5%であるポリビニルアルコール((株)クラレ製、商品名:PVA−140H)の10%水溶液を40部混合し、シリカ100部に対して塩化ナトリウムが0.1部、ポリビニルアルコールが20部含まれる固形分濃度17.1%の塗料を調製し、イオン交換水を加えて希釈した濃度16.0%の塗料を用いたこと以外は実施例1と同様の方法で本発明のインクジェット記録シートを得た。塗料の主成分及び導電率を表1、インクジェット記録シートの細孔分布及び品質を表2に示した。
【0063】
<実施例8>
シリカゾルB100部に、硫酸ナトリウムの10%水溶液を5部、及び実施例1にて使用のポリビニルアルコールの10%水溶液を40部混合し、シリカ100部に対して硫酸ナトリウムが2.5部、ポリビニルアルコールが20部含まれる固形分濃度17.1%の塗料を調製し、イオン交換水を加えて希釈した濃度16.0%の塗料を用いたこと以外は実施例1と同様の方法で本発明のインクジェット記録シートを得た。塗料の主成分及び導電率を表1、インクジェット記録シートの細孔分布及び品質を表2に示した。
【0064】
<実施例9>
シリカゾルB100部に、塩化ナトリウムの10%水溶液を2.5部、及び実施例1にて使用のポリビニルアルコールの10%水溶液を40部混合し、シリカ100部に対して塩化ナトリウムが1.25部、ポリビニルアルコールが20部含まれる固形分濃度17.1%の塗料を調製し、イオン交換水を加えて希釈した濃度16.0%の塗料を用いたこと以外は実施例1と同様の方法で本発明のインクジェット記録シートを得た。塗料の主成分及び導電率を表1、インクジェット記録シートの細孔分布及び品質を表2に示した。
【0065】
<比較例1>
硫酸ナトリウムを添加しなかったこと以外は実施例1と同様の方法で本発明のインクジェット記録シートを得た。塗料の主成分及び導電率を表1、インクジェット記録シートの細孔分布及び品質を表2に示した。
【0066】
<比較例2>
硫酸ナトリウムの10%水溶液の添加量を0.01部に変え、シリカ100部に対する硫酸ナトリウムの量を0.005部とした以外は実施例1と同様の方法で本発明のインクジェット記録シートを得た。塗料の主成分及び導電率を表1、インクジェット記録シートの細孔分布及び品質を表2に示した。
【0067】
<比較例3>
塩化ナトリウムを添加しなかったこと以外は実施例6と同様の方法で本発明のインクジェット記録シートを得た。塗料の主成分及び導電率を表1、インクジェット記録シートの細孔分布及び品質を表2に示した。
【0068】
<比較例4>
硫酸ナトリウムを添加しなかったこと以外は実施例8と同様の方法で本発明のインクジェット記録シートを得た。塗料の主成分及び導電率を表1、インクジェット記録シートの細孔分布及び品質を表2に示した。
【0069】
<比較例5>
硫酸ナトリウムの10%水溶液の添加量を0.01部に変え、シリカ100部に対する硫酸ナトリウムの量を0.005部とした以外は実施例8と同様の方法で本発明のインクジェット記録シートを得た。塗料の主成分及び導電率を表1、インクジェット記録シートの細孔分布及び品質を表2に示した。
【0070】
<比較例6>
シリカゾルC100部に、硫酸ナトリウムの10%水溶液を22部、及び実施例1にて使用のポリビニルアルコールの10%水溶液を40部混合し、シリカ100部に対して硫酸ナトリウムが11.0部、ポリビニルアルコールが20部含まれる固形分濃度17.1%の塗料を調製し、イオン交換水を加えて希釈した濃度16.0%の塗料を用いたこと以外は実施例1と同様の方法で本発明のインクジェット記録シートを得た。塗料の主成分及び導電率を表1、インクジェット記録シートの細孔分布及び品質を表2に示した。
【0071】
【表1】

Figure 0004099985
【0072】
【表2】
Figure 0004099985
【0073】
表2の各実施例から明らかなように、細孔径6〜150nmの範囲に2つのピーク、または肩を有する1つの幅広いピークを有する多孔質インク受容層を有するインクジェット記録シートは、乾燥時のひび割れによる成膜不良を生じること無く製造でき、かつインク吸収速度が十分に速く、インク吸収量も大きい。これは、顔料の細孔径d1(nm)に比べて受容層のモード細孔径d2(nm)が大きく、d2−d1が表2の各実施例に示されるような値になっていることからも分かるように、水溶性塩類の効果により受容層中に大きな凝集構造が形成され、大きな空隙ができたためにインク吸収速度及び吸収量が高くなっているものである。特に、実施例2〜5では、2つのピークのうち大きな方のピークが60nm付近と、顔料が持つ細孔径13nmに比べて十分に大きなところに存在するためひび割れは全く生じること無く、インク吸収速度も速かった。また、受容層の細孔容積も0.80ml/g付近の大きな値になっているためインク吸収量も十分に大きかった。なお、各実施例においてモード細孔径とメジアン細孔径の差の絶対値の値は10nmを超えており、細孔分布曲線におけるピークが幅広く、大きな範囲の細孔も持つことを示している。
【0074】
一方、各比較例のように上記の細孔径範囲のピークが1つのみであるインクジェット記録シートでは、大きな凝集構造を生じていないために乾燥過程での強い毛細管収縮力を緩和することができず、受容層はひび割れを多数生じた。凝集構造を生じないために受容層の細孔径は大きくなっておらず、そのためにインク吸収速度は遅く、細孔容積も大きくなりにくいためにインク吸収量も不足していた。なお、比較例6では大きなひび割れが多数生じたためにインクジェットプリンターで印字することができず、インク吸収速度及びインク吸収量の評価ができなかった。
【0075】
【発明の効果】
インク受容層に細孔径6〜150nmの範囲に2つのピーク、または肩を有する1つの幅広いピークを持たせることで、乾燥工程においてひび割れを生じること無く製造でき、かつ高いインク吸収速度、インク吸収量をもつインクジェット記録シートを得ることができた。本発明のインクジェット記録シートは、インク吸収性と光沢性、インク乾燥性を兼ね備えたものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のインクジェット記録シートにおけるインク受容層の細孔分布曲線の図。Vはインク受容層の細孔容積を、Dはインク受容層の細孔径を示す。
【図2】細孔径6〜150nmの範囲にピークを1つしか持たないインク受容層の細孔分布曲線の図(本発明外)。[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to an ink jet recording sheet and a method for manufacturing the same, and in particular, has a gloss of photographic printing paper, has a high ink absorption speed and an ink absorption amount, and can be manufactured without cracking. The present invention relates to an ink jet recording sheet.
[0002]
[Prior art]
The ink jet recording method is a recording method suitable for personal use because color printing can be performed at a low cost with a simple apparatus, and is rapidly spreading in printing applications in offices and homes. In recent years, full color and high resolution have been achieved, and the image quality has improved rapidly. It has attracted attention as an easy-to-use output format for color images and is considered one of the most powerful alternatives to silver halide photography. Yes. Therefore, there is an increasing demand for an inkjet recording sheet having high image quality and high gloss comparable to silver salt photography.
[0003]
Since ink used in the ink jet system contains a large amount of solvent, it is necessary to eject a large amount of ink in order to obtain a high printing density. Therefore, the ink receiving layer provided on the ink jet recording sheet is required to be a material that can sufficiently absorb the ejected ink. In addition, since ink droplets are ejected continuously, if the next droplet is ejected before the first droplet is absorbed, bleeding or density unevenness is caused, and a clear image cannot be obtained. Therefore, the ink receiving layer is required to have a high absorption speed as well as an absorption amount. Furthermore, in addition to the above-mentioned requirements for image quality, various performances such as ink drying properties, water resistance of printed matter, and image storage stability in the case of long-term storage are required.
[0004]
In order to satisfy the above requirements, many inkjet recording sheets provided with a resin-based or pigment-based ink receiving layer have been proposed and are commercially available. In general, the resin-based receiving layer is formed by applying an aqueous solution of a water-soluble resin such as polyvinyl alcohol, polyvinyl pyrrolidone, a water-soluble cellulose derivative, or gelatin to a base sheet and drying it. The resin-based receptive layer has the advantages of high printing density and high gloss due to its high transparency. On the other hand, the ink absorption rate is slow, so the image quality is poor, and the ink drying rate is slow and the water resistance is poor. There is a drawback. For this reason, it is difficult to obtain a print quality equivalent to a silver salt photograph that has been required in recent years, and the pigment-based receiving layer described below has become mainstream recently.
[0005]
The pigment-based receiving layer is formed by adding a water-soluble resin such as polyvinyl alcohol or cellulose derivative as a binder resin to a pigment such as silica, alumina, pseudoboehmite, calcium carbonate, or kaolin. As the form of the pigment, those in which primary particles are aggregated to form secondary particles are preferably used. In such a pigment-based receiving layer, ink is quickly absorbed by capillarity between the primary particles and the secondary particles of the pigment to form an image, so that the image quality is good and the ink drying property is also good.
[0006]
In Japanese Examined Patent Publication No. 63-22977, the peak of the pore distribution curve of the uppermost ink receiving layer is 200 nm to 10 μm, and the peak of the pore distribution curve of the entire ink receiving layer is 200 nm to 10 μm and 50 nm or less. Proposes an ink-receiving layer at several locations. Here, the ink absorbed instantaneously in the large gap in the uppermost layer is taken into the gap having a pore diameter of 50 nm or less, thereby obtaining a high absorption speed and high image quality. However, in order to obtain a receiving layer having such a pore distribution, it is necessary to use a large pigment having a secondary particle diameter exceeding 1 μm, so that the smoothness of the surface of the receiving layer is lowered and the gloss is lowered. It was not possible to obtain the same glossiness as the silver halide photograph. In addition, when a pigment having a large secondary particle size is used, the transparency of the receiving layer is lowered, and thus there is a disadvantage that the printing density is low.
[0007]
Japanese Patent Application Laid-Open No. 61-47290 proposes an ink receiving layer containing a weak acid salt of alkali metal and / or a double salt thereof. Here, the water resistance and light resistance of the image are improved by using a weak acid salt of an alkali metal and a pigment having an average secondary particle diameter of 0.5 to 30 μm in combination. However, since it was necessary to use a pigment having a large secondary particle size, the gloss and print density were low.
[0008]
In order to overcome the drawbacks as described above, many ink jet recording sheets having a pigment-based ink jet receiving layer using a fine pigment having a particle diameter of 1 μm or less have been proposed. Japanese Patent Laid-Open No. 9-183267 proposes an ink receiving layer in which the uppermost layer contains colloidal silica and the pore distribution curve has a peak in the range of pore diameters of 2 nm to 100 nm. When pore peaks exist in this range, the ink absorption rate is increased, and since monodispersed colloidal silica having a small particle diameter is used, the gloss is excellent and the transparency is also good. However, since the secondary particles are not formed, the pore volume of the receiving layer is low, a large amount of coating is required to absorb a large amount of ejected ink, and two receiving layers must be provided. There were drawbacks.
[0009]
Japanese Patent Application Laid-Open No. 2001-96897 proposes an ink jet recording material having an ink receiving layer containing gas phase method silica and a water-soluble metal compound and having a film surface pH of 3 to 5. Vapor phase silica is an ultrafine particle in which primary particles having an average particle size of 3 nm to 10 nm are aggregated to form secondary particles of 100 nm to 500 nm, and since it has a small particle size, it can have high gloss. Ink absorbability is high due to the space between the secondary particles. However, when such ultrafine particles having a secondary particle size of 1 μm or less are used, there is a manufacturing problem that the pore size is small because the particle size is small, and cracking is likely to occur in the drying process due to the strong capillary contraction force. Increasing the amount of binder resin added to reduce the capillary contraction force and prevent cracking is not preferable because it causes an extreme decrease in ink absorbability. Therefore, as a method for preventing cracking without increasing the amount of binder resin added, the above publication proposes the addition of a water-soluble metal compound, but the film surface pH needs to be 3-5. In addition, gas phase method silica has a much stronger capillary shrinkage force in the drying process than wet method silica, so in addition to the above method, a binder resin is crosslinked with boric acid in order to produce a sufficiently crack-free receiving layer. The receiving layer thus formed has the disadvantage that it becomes brittle in strength and peels off under high temperature and high humidity.
[0010]
[Problems to be solved by the invention]
The object of the present invention is to solve the problems of the prior art, have a photographic paper-like gloss, excellent ink absorption speed and ink absorption, and achieve the effects of cracking during drying in the manufacturing process. It is an object to provide a recording sheet for an ink jet printer that does not cause film defects.
[0011]
[Means for Solving the Problems]
In general, a porous ink receiving layer having a peak in a pore diameter range of 6 nm to 150 nm in a pore distribution curve obtained by measurement with a mercury porosimeter can quickly absorb ink by its strong capillary force to obtain a clear image. . However, a porous receiving layer having a pore diameter in the above range and having only one narrow peak as shown in FIG. 2 has a strong capillary contraction force in the drying process after coating the coating liquid. Often causes film formation defects due to cracks. In addition, the amount of ink absorbed is often insufficient to absorb a large amount of ejected ink instantaneously, and there is a tendency that ink overflows or print density unevenness called beading occurs. As a result of intensive studies by the present inventors, the porous ink receiving layer having two peaks in the pore diameter range of 6 nm to 150 nm or one broad peak having a shoulder as shown in FIG. 1 is cracked in the drying process. In addition, the present inventors have found that the ink absorption speed is high and the ink absorption amount is increased, and the present invention has been completed.
[0012]
[1]The inkjet recording sheet of the present invention isOn the substrateIncludes fine pigment and binder resinIn an inkjet recording sheet provided with at least one ink receiving layer, the ink receiving layer is,waterPore diameter in pore distribution curve measured with silver porosimeter6 ~Porous ink-receiving layer with two peaks in the 150 nm range or one broad peak with shouldersLessThere is at least one layerThe fine pigment is at least one selected from the group consisting of wet process silica, alumina, boehmite, and pseudoboehmite, and the average particle diameter is 1.0 μm or less, and the pore diameter is 100 nm or less by the nitrogen adsorption method. The porous ink receiving layer contained the fine pigment, the binder resin, and water-soluble salts, and was measured at a solid content concentration of 16%. It is formed by applying a water-based paint having an electrical conductivity of 0.5 to 10.0 mS / cm to a substrate and then drying it.It is characterized by.
The inkjet recording sheet of the present invention includes the following aspects.
[2] The ink jet recording sheet according to [1], wherein an absolute value of a difference between a mode pore diameter and a median pore diameter in the pore distribution curve is 10 nm or more.
[3] The ink jet recording sheet according to [1] or [2], wherein the porous ink receiving layer has a pore volume of 0.5 to 2.0 ml / g in a pore diameter range of 6 nm to 1 μm.
[0014]
[4] Between the pore diameter d1 (nm) of the fine pigment measured by the nitrogen adsorption method and the mode pore diameter d2 (nm) of the porous inkjet receiving layer measured by a mercury porosimeter, 20 <d2-d1 <100 The inkjet recording sheet according to any one of [1] to [3], wherein:
[5The inkjet recording sheet according to any one of [1] to [4], wherein the fine pigment is a wet process silica, the aqueous coating material contains ammonia, and the pH is 7 or more.
[6The inkjet recording sheet according to any one of [1] to [5], wherein the fine pigment is a secondary particle having an average particle diameter of 8 nm to 800 nm formed by agglomerating primary particles having an average particle diameter of 3 nm to 40 nm.
[0015]
[7The binder resin is polyvinyl alcohol [1] to [6] The inkjet recording sheet in any one of.
[8The water-soluble salt is at least one selected from alkali metal salts or alkaline earth metal salts [1] to [7] The inkjet recording sheet in any one of.
[9The water-soluble salts are strong alkali metal salts [8] The inkjet recording sheet of description.
[10The water-soluble salts are contained in a proportion of 0.001 to 10 parts by weight with respect to 100 parts by weight of the fine pigment [1] to [9] The inkjet recording sheet in any one of.
[0016]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
First, pore distribution measurement using a mercury porosimeter will be described. The pore distribution was obtained by calculating the pore distribution from a void amount distribution curve obtained by a mercury intrusion method using a micrometric pore sizer 9320 (manufactured by Shimadzu Corporation). The measurement of the pore diameter by the mercury intrusion method was calculated using the following formula derived assuming that the cross section of the pore was circular.
[0017]
D = -4γCOSθ / P
However, D: pore diameter, γ: mercury surface tension, θ: contact angle, P: pressure.
[0018]
The surface tension of mercury was 482.536 dyn / cm, the contact angle used was 130 °, and high-pressure part measurement (0 to 30000 psia, measurement pore diameter of 6 μm to 6 nm) was performed. The average pore volume of the ink receiving layer is calculated from the weight of the ink receiving layer measured in advance and the void amount distribution curve. The pore distribution curve of the ink receiving layer in the present invention has a peak in the range of 6 nm to 150 nm and the base of the peak extends to 1 μm. Therefore, the pore volume in the range of 6 nm to 1 μm was obtained by integration.
[0019]
Next, the ink receiving layer of the present invention will be described. In the porous ink receiving layer in the present invention, the pore distribution curve obtained by the above-described measurement using the mercury porosimeter has one broad peak having two peaks or shoulders in the pore diameter range of 6 nm to 150 nm as shown in FIG. It has a peak. Preferably, one of the two peaks is in the range of 8 nm to 25 nm, or one broad peak having a shoulder extends to the range of 8 nm to 25 nm. The pores in this range have the advantage of being able to absorb the ejected ink instantly because the capillary force is strong, but there is also the disadvantage that film formation failure due to cracking is likely to occur in the drying process of the ink receiving layer. However, the ink receiving layer of the present invention further has another pore peak in the pore diameter range of 6 nm to 150 nm, or has one peak but a wide range. The presence of a large number reduces the capillary contraction force and prevents cracking in the drying process. In addition, the presence of many large-diameter pores increases the pore volume that contributes to ink absorption, so that a large amount of ink once absorbed by the pores in the range of 8 nm to 25 nm can be taken in immediately. The ink can be absorbed without overflowing even if the ink is ejected.
[0020]
An example having two peaks in this range is also described in the example of Japanese Patent Laid-Open No. 9-183267. This is because one ink in each receiving layer is provided when two ink receiving layers are provided. Each existing peak appears. On the other hand, in the porous ink receiving layer in the present invention, at least one receiving layer has two peaks in the pore diameter range of 6 nm to 150 nm, or one broad peak having a shoulder. The point that two peaks exist is different from that of JP-A-9-183267.
[0021]
When the peak of the pore diameter exists only in the range of less than 6 nm, a sufficient ink absorption speed cannot be obtained, and print density unevenness called ink overflow or beading occurs. In addition, in the receiving layer that exists only in the range where the peak of the pore diameter exceeds 150 nm, the ink tends to spread, and a clear image cannot be obtained. Further, the transparency is lowered, the printing density is lowered, and the glossiness is lost.
[0022]
In the pore distribution curve of the porous ink receiving layer measured by the above method, the absolute value of the difference between the mode pore diameter and the median pore diameter is preferably 10 nm or more. If it is smaller than 10 nm, the peak in the pore distribution curve becomes one sharp peak, and there is a possibility that cracking may occur when the ink receiving layer is applied and dried because there is no variation in pore size and the capillary contraction force is difficult to relax. is there. There is no upper limit to the difference value, but it is preferably about 100 nm or less.
[0023]
The pore volume of the porous ink receiving layer measured by the above method is preferably 0.5 to 2.0 ml / g in the pore diameter range of 6 nm to 1 μm. When the pore volume having a pore diameter of 6 nm to 1 μm is larger than 0.5 ml / g, the ink receiving layer can sufficiently absorb a large amount of ejected ink, and the image is not disturbed due to ink overflow. On the other hand, when the pore volume having a pore diameter of 6 nm to 1 μm is 2.0 ml / g or less, the dye fixing property is excellent and the strength of the ink receiving layer is also excellent.
[0024]
The method for forming the ink receiving layer of the present invention will be described below. The ink receiving layer of the present invention is produced by solidifying a pigment with a resin binder. The method for forming the ink receiving layer is not particularly limited, but is a feature of the present invention, and is a porous ink receiving having two peaks in the pore diameter range of 6 nm to 150 nm or one broad peak having a shoulder. In order to obtain the layer, the following method is preferably used. The resin binder is contained in an amount of 1 to 100 parts by weight, preferably 3 to 28 parts by weight, more preferably 5 to 20 parts by weight, and water-soluble salts are preferably 0.01 to 100 parts by weight of the pigment. An aqueous paint containing 10 parts by mass, more preferably 0.05 to 5 parts by weight is applied to the substrate and dried to form an ink receiving layer.
[0025]
In the present invention, a preferable pigment is a fine pigment having a small particle diameter, and is stably dispersed in a colloidal form in the aqueous paint. In the drying process, the water-soluble salts contained are adsorbed on the pigment surface until the concentration of the water-based paint rises and is dried, reducing the amount of charge on the surface and losing dispersion stability. Generate large aggregated structures. The voids present in this aggregated structure are distributed in the range of 6 nm to 150 nm, and as a result, a porous material having two broad peaks in the pore diameter range of 6 nm to 150 nm, which is a feature of the present invention, or one broad peak having a shoulder. An ink receiving layer is formed. In this way, the capillary contraction force is alleviated due to the presence of many large-diameter pores that are generated as voids in the aggregated structure generated by the influence of water-soluble salts, and after applying the ink receiving layer, the drying process is performed. Can prevent cracking.
[0026]
The pigment used in the present invention is preferably at least one selected from the group consisting of wet process silica, alumina, boehmite, and pseudoboehmite. These pigments may be used alone or in combination of two or more. Here, the wet method silica refers to amorphous synthetic silica produced by a wet method, and is classified into silica by a precipitation method and silica by a gel method. Precipitated silica is produced by adding a mineral acid stepwise to an alkali silicate aqueous solution and filtering the precipitated silica. Gel method silica is obtained by mixing a mineral acid with an alkali silicate solution and gelling. After that, it is obtained by washing and grinding. These pigments are preferably used because of their large pore volume and excellent ink absorbability. In particular, the wet process silica is particularly preferably used in the present invention because it has a relatively wide particle size distribution and tends to generate large voids due to aggregation.
[0027]
The production method of these fine pigments is not particularly limited, but as one of the means, there is a method of pulverizing and dispersing a commercially available pigment (having a particle size of several μm) by applying a strong force by mechanical means. Can be mentioned. That is, it can be obtained by the breaking down method (a method of subdividing the bulk material). Examples of the mechanical means include mechanical methods such as an ultrasonic homogenizer, a pressure homogenizer, a nanomizer, a high-speed rotary mill, a roller mill, a container driving medium mill, a medium stirring mill, a jet mill, and a sand grinder. The fine pigment obtained may be colloidal or slurry. Other preferable methods for producing fine pigments include hydrolysis by metal alkoxides disclosed in JP-A-5-32413 and JP-A-7-76161.
[0028]
As a form of the pigment, in order to obtain a highly glossy and highly transparent ink receiving layer, a fine pigment having an average particle diameter of 1 μm or less is preferable. Furthermore, it is preferable that the fine pigment is secondary particles composed of primary particles having an average primary particle diameter of 3 nm to 100 nm, preferably 3 nm to 40 nm, because the pore volume is high. The average particle diameter of the secondary particles in which these primary particles are aggregated is 1 μm or less, preferably 8 nm to 800 nm, more preferably 8 nm to 600 nm, and most preferably 8 nm to 450 nm. If the primary particle size or the secondary particle size of the pigment is too small, it becomes difficult to form voids that contribute to ink absorption, and the pore volume of the receiving layer may decrease, leading to a decrease in ink absorbability. On the other hand, if the primary particle size or the secondary particle size is too large, the transparency of the receiving layer is lowered, and the print density and gloss may be lowered. In addition, all the primary particle diameters of the pigment as used in the field of this invention are the particle diameters (Martin diameter) observed with the electron microscope (SEM and TEM). The secondary particle size is a value calculated from an analysis using a cumulant method, measured by a dynamic light scattering method.
[0029]
In order to obtain an ink-receiving layer having a high ink absorption capacity, the fine pigment preferably has a high pore volume. However, the fine pigment suitably used in the present invention has a pore volume of 0.4 to 2.0 ml / min. g is preferable, more preferably 0.5 to 1.8 ml / g, and particularly preferably 0.6 to 1.6 ml / g. The pore volume is a value in the range of pore diameter of 100 nm or less measured by the nitrogen adsorption method.
[0030]
In the present invention, the water-based paint containing the fine pigment is applied to a substrate and dried to produce relatively large voids, and the cracking when drying the ink-receiving layer coating liquid by reducing capillary contraction force. Is preventing. Therefore, the pore diameter of the ink receiving layer is in a range larger than the pore diameter of the fine pigment itself, and the pore diameter d1 (nm) of the fine pigment measured by a nitrogen adsorption method and mercury. It is preferable that a relational expression of 20 <d2-d1 <100 holds between the mode pore diameter d2 (nm) of the porous inkjet receiving layer measured by a porosimeter. When d2−d1 ≦ 20, a large gap is not formed in the receiving layer, and the capillary contraction force cannot be sufficiently relaxed, which may cause cracking in the ink receiving layer. Further, if d2−d1 ≧ 100, the voids in the receiving layer are too large, and the transparency of the receiving layer is lowered, and the print density and gloss may be lowered.
[0031]
The electrical conductivity measured at a solid content concentration of 16% by mass in the present invention is preferably 0.5 to 10.0 mS / cm, more preferably 1.0 to 5.0 mS / cm. If it is lower than 0.5 mS / cm, there is a risk that the formation of a large aggregated structure in the drying process described above may be insufficient, and the porous ink receiving layer of the present invention cannot be formed, which may cause film formation failure due to cracks. . If it is higher than 10.0 mS / cm, aggregation in the drying process proceeds too much, and the smoothness of the surface of the receiving layer is lowered, and the gloss may be lowered.
[0032]
The pH of the water-based paint in the present invention is not particularly limited. However, when wet method silica is used, adjusting the pH to 7 or more, preferably 8 or more by adding ammonia is a large aggregation structure in the drying process. Is preferably used to obtain the ink jet receiving layer of the present invention. There is no particular upper limit to the pH, but it is about 10, for example.
[0033]
Examples of the binder resin used include polyvinyl alcohol, polyethylene oxide, polyalkylene oxide, polyvinyl pyrrolidone, water-soluble polyvinyl acetal, poly-N-vinylacetamide, polyacrylamide, polyacryloylmorpholine, polyhydroxyalkyl acrylate, polyacrylic acid And water-soluble resins such as hydroxyethyl cellulose, methyl cellulose, hydroxypropyl methyl cellulose, hydroxypropyl cellulose, gelatin and casein, and water-soluble derivatives thereof. Moreover, the copolymer containing each said resin or a water-soluble derivative may be sufficient. Furthermore, water-dispersible resins such as SBR latex and NBR latex can be used, but water-soluble resins are preferred. Moreover, these resins can be used not only alone but also in combination of two or more. Among these, polyvinyl alcohol is excellent in performance as a binder resin and is most preferably used.
[0034]
  Examples of water-soluble salts used include sodium sulfate, sodium chloride, sodium hydrogen sulfate, sodium nitrate, sodium acetate, sodium formate, sodium carbonate, sodium bicarbonate, sodium dihydrogen phosphate, disodium hydrogen phosphate, phosphorus Trisodium acid, sodium thiosulfate, potassium sulfate, potassium chloride, potassium hydrogen sulfate, potassium nitrate, potassium acetate, potassium formate, potassium carbonate, potassium bicarbonate, potassium dihydrogen phosphate, dipotassium hydrogen phosphate, tripotassium phosphate, Alkali metal salts such as potassium thiosulfate,saltCalcium fluoride, calcium nitrate, calcium acetate, calcium formate,Calcium dihydrogen oxide,saltBarium fluoride, barium nitrate, barium acetate, barium formate, SulfurMagnesium oxide, magnesium chloride, magnesium nitrate, magnesium acetateNoAny alkaline earth metal salt, manganese chloride, manganese acetate, manganese formate, cupric chloride, copper sulfate, cobalt chloride, nickel sulfate, nickel chloride, aluminum sulfateTheAluminum rechloride, aluminum nitrate, aluminum chloride, ferrous bromide, ferrous chloride, ferric chloride, ferrous sulfate, ferric sulfate, zinc bromide, zinc chloride, zinc nitrate, zinc sulfate, etc. Can be mentioned. These water-soluble salts can be used alone or in combination of two or more.
[0035]
Among these, alkali metal salts and alkaline earth metal salts can be easily mixed with water-based paints, and easily cause aggregation in the drying process after the water-based paint is applied, so that the porous ink receiving layer of the present invention can be easily obtained. Therefore, it is preferably used. Further, strong alkali metal salts, that is, hydrochlorides, sulfates, nitrates, and the like can be most preferably used because they can exist most stably in water-based paints and do not settle even in alkaline.
[0036]
In the invention of Japanese Patent Application Laid-Open No. Sho 61-47290, a weak acid salt of an alkali metal is used, but it is limited to the weak acid salt, and the secondary particle size of the pigment used is 0.5 to 30 μm. The big point is different from the present invention. In the present invention, water-soluble salts are used for the purpose of causing particle aggregation and preventing cracking in the drying step, and are not limited to weak alkali metal salts. The pore volume of the pigment used is 0.4 to 2.0 ml / g, which is different from that of the low pore volume such as colloidal silica exemplified in JP-A-61-47290.
[0037]
In Japanese Patent Application Laid-Open No. 2001-96897, gas phase method silica and a water-soluble metal compound are used. However, the pigment used is gas phase method silica, and the film surface pH is an acidic region of 3-5. The point is different from the present invention. In the present invention, a fine pigment of any one of wet method silica, alumina, boehmite, and pseudoboehmite and a water-soluble salt are used in combination, and the pH is not limited to an acidic region. Moreover, it differs from the Unexamined-Japanese-Patent No. 2001-96897 invention in which a polyvalent metal salt is used in that an alkali metal salt is also preferably used as the water-soluble salt.
[0038]
In addition to the above components such as pigments, resin binders, and water-soluble salts, various additives are used depending on the purpose. For example, a cationic resin as an ink fixing agent can be used. Examples of the cationic resin include N, N-dimethylaminoethyl acrylate quaternized product, N, N-dimethylaminoethyl methacrylate quaternized product, N, N-dimethylaminopropyl acrylamide quaternized product, vinyl imidazolium methochloride, Examples of the resin include cationic structural units such as diallyldimethylammonium chloride, monoallylamine hydrochloride, and diallylamine hydrochloride. When these cationic resins are added to a dispersion of an anionic pigment such as silica and added, the paint temporarily gels due to the electrostatic properties of both, but is redispersed using mechanical means such as a homogenizer. Can be used. In addition, an inorganic salt, alumina sol, or the like can be blended as the cationic substance.
Other additives such as dispersants, thickeners, antifoaming agents, colorants, antistatic agents, wetting agents used in the production of general coated papers, and for improving the storage stability of printed images UV absorbers and light stabilizers can be added as appropriate.
[0039]
As the base sheet in the present invention, high gloss is obtained by using a synthetic resin film such as polyethylene terephthalate, polyvinyl chloride, polycarbonate, polyimide, cellulose triacetate, cellulose diacetate, polyethylene, polypropylene, or a synthetic resin laminated paper such as polyethylene laminated paper. This is preferable because it is easy to obtain an inkjet recording sheet. However, paper such as high-quality paper and coated paper can also be used, and is appropriately used according to the purpose.
[0040]
These substrates can be coated with an undercoat layer or subjected to various easy adhesion treatments such as corona discharge treatment when the adhesive force with the ink receiving layer formed on the surface is insufficient. The thickness of the substrate is preferably 50 to 500 μm in consideration of the paper passing property of the printer.
[0041]
As the coating method, known coating means such as a bar coating method, a roll coating method, a blade coating method, an air knife coating method, a gravure coating method, a die coating method, a curtain coating method, and the like can be used. Absent.
[0042]
The coating amount is 1 to 50 g / m as the weight after drying.2The degree is preferable, more preferably 3 to 25 g / m.2It is. 1 g / m here2If it is less, ink absorption tends to be insufficient, and 50 g / m.2If it is increased, curling may occur easily and the cost will be increased.
[0043]
In addition, a back layer can be provided on the side of the base sheet opposite to the ink receiving layer in order to suppress curling of the ink jet recording sheet and to improve transportability. The configuration of the back surface layer and the back surface of the base sheet accompanying it can be selected according to its use and are not particularly limited. However, in view of coating properties and cost, the back surface layer mainly composed of a hydrophilic resin. Is preferably provided. Moreover, you may provide an adhesive layer and a peeling sheet in a back surface.
[0044]
In the present invention, sufficient ink absorptivity can be obtained even if only one porous ink receiving layer is used, but it is also possible to provide two or more layers. For example, an undercoat layer containing the pigment and the resin binder can be provided.
[0045]
【Example】
EXAMPLES Hereinafter, the present invention will be specifically described with reference to examples. However, the present invention is not limited to these examples. In addition,% and a part displayed by a present Example mean the mass% and a mass part, respectively.
[0046]
[Measurement method of pore volume and pore diameter of pigment]
The aqueous dispersion of the pigment was dried at 105 ° C., and the pore volume and pore diameter distribution of the obtained powder sample were measured using a gas adsorption method specific surface area / pore distribution measuring device (SA3100plus type manufactured by Coulter). The measurement was carried out after vacuum degassing at 200 ° C. for 2 hours. Nitrogen was used as the adsorption gas. As the pore volume, the value of the total pore volume of pores having a pore diameter of 100 nm or less was used. The pore diameter was defined as the pore diameter of the maximum volume fraction in the pore distribution curve obtained from the analysis of the desorption isotherm by the BJH method.
[0047]
[Method for measuring average particle size of pigment]
Measurement was performed using a laser particle size meter (manufactured by Otsuka Electronics Co., Ltd., LPA3000 / 3100) by a dynamic light scattering method in a state where the aqueous dispersion of the pigment was sufficiently diluted with distilled water. The average particle size used was a value calculated from analysis using the cumulant method.
[0048]
[Measurement method of paint conductivity]
The paint concentration was adjusted to 16.0% with ion-exchanged water, and the temperature was adjusted to 25 ° C., and then the conductivity of the paint was measured using a conductivity meter (Eutech Instruments, CyberScan CON100).
[0049]
[Method for producing silica sol A (dispersion)]
Synthetic amorphous silica produced by the gel method and having an average particle size of 13.1 μm (produced by Grace Devison, trade name: Silojet P612, specific surface area 290 m)2/ G, primary particle size 7 nm) in a water dispersion at a concentration of 20%, a slurry prepared by adding aqueous ammonia and adjusting the pH to 9.0 was obtained by using a horizontal bead mill (Dynomill KDL-Pilot, manufactured by Shinmaru Enterprises Co., Ltd.). ) Were repeatedly pulverized and dispersed to produce a 20% aqueous dispersion of silica having an average secondary particle size of 300 nm. The fine pore volume of this silica fine pigment was 0.7 ml / g.
[0050]
[Method for producing silica sol B (dispersion)]
Synthetic amorphous silica (manufactured by Tokuyama Co., Ltd., trade name: Fine Seal E-50, specific surface area 170 m) produced by a sedimentation method and having an average particle diameter of 5.0 μm2/ G, primary particle size 15 nm) was dispersed in water at a concentration of 20%, and a slurry prepared by adding ammonia water to adjust the pH to 9.0 was repeatedly pulverized and dispersed by a horizontal bead mill used in the method for producing silica sol A. A 15% aqueous dispersion of silica with an average secondary particle size of 200 nm was produced. The pore volume of this silica fine pigment was 1.0 ml / g.
[0051]
[Method for producing silica sol C (dispersion)]
Silica (Nippon Aerosil Co., Ltd., trade name: AEROSIL130) produced by the gas phase method is dispersed in water at a concentration of 20%, adjusted to pH 2.5 with hydrochloric acid, and then hydraulically operated. A 20% aqueous dispersion of silica having an average secondary particle size of 250 nm was prepared by dispersing the mixture three times with an ultra-high pressure homogenizer (manufactured by Mizuho Kogyo Co., Ltd., Microfluidizer M110-E / H). The fine pore volume of this silica fine pigment was 1.2 ml / g.
[0052]
<Example 1>
To 100 parts of silica sol A, 0.5 part of a 10% aqueous solution of sodium sulfate and 40 parts of a 10% aqueous solution of polyvinyl alcohol having a saponification degree of 98.5% (manufactured by Kuraray Co., Ltd., trade name: PVA-140) Mix and prepare a paint having a solid content concentration of 17.1% containing 0.25 parts of sodium sulfate and 20 parts of polyvinyl alcohol with respect to 100 parts of silica, and adding ion-exchanged water to a concentration of 16.0%. did. Table 1 shows the main components of the paint and the conductivity values measured by the above method. The coating amount is 20 g / m by dry weight on a transparent polyethylene terephthalate film (trade name: Lumirror 100-Q80D, manufactured by Toray Industries, Inc.) having a thickness of 100 μm as a base material.2Bar coating was applied so that The coating was dried at 120 ° C. to obtain an ink jet recording sheet of the present invention. The pore distribution and quality of the ink receiving layer in this ink jet recording sheet were evaluated by the following methods and are shown in Table 2.
[0053]
[Measurement of pore distribution in ink receiving layer]
The pore distribution of the ink receiving layer in the ink jet recording sheets of the examples of the present invention and the comparative examples was measured as follows. Using a micrometric pore sizer 9320 (manufactured by Shimadzu Corporation), the pore distribution was calculated from the void amount distribution curve obtained by the mercury intrusion method, and the peak position and the mode pore diameter were obtained. Moreover, it calculated | required by integrating | accumulating the pore volume in the range of 6 nm-1 micrometer from the obtained pore distribution curve. Table 2 shows the number of peaks in the pore diameter range of 6 to 150 nm, the peak position, the mode pore diameter, and the pore volume in the pore diameter range of 6 nm to 1 μm in the receiving layers of the examples and comparative examples.
[0054]
Image quality evaluation method for ink jet recording sheet
[Receiving layer cracks]
The ink receiving layer according to the present invention was visually evaluated for cracks, and the cracks in a 10 cm × 10 cm sheet were evaluated in the following three stages.
○: No crack
△: There are more than several cracks over 1mm
×: Cracks on the entire surface
[0055]
[Ink absorption speed]
The ink absorption rate of the ink receiving layer was evaluated by the following method. Solid images of cyan, magenta, yellow, and black were printed on the ink jet recording sheet in the super fine dedicated paper recommended setting print mode of an ink jet printer (manufactured by EPSON, PM-800C). The PPC paper was pressed against the printing part by hand, and it was visually checked whether or not the ink was transferred. The time until the transfer disappeared was measured and evaluated in the following three stages.
○: Less than 1 second
Δ: More than 1 second and less than 30 seconds
×: 30 seconds or more
[0056]
[Ink absorption]
The ink absorption amount of the ink receiving layer in the present invention was evaluated by the following method. Red, green and blue mixed solids were printed on the ink jet recording sheet by the above method, and the presence or absence of ink overflow and the uniformity of the printing density were evaluated in the following three stages.
○: No ink overflow and good uniformity.
Δ: There is no ink overflow, but the density uniformity is poor.
X: Ink overflow is observed.
[0057]
<Example 2>
An ink jet recording sheet of the present invention was obtained in the same manner as in Example 1 except that the addition amount of a 10% aqueous solution of sodium sulfate was changed to 1 part and the amount of sodium sulfate relative to 100 parts of silica was changed to 0.5 part. Table 1 shows the main components and electrical conductivity of the paint, and Table 2 shows the pore distribution and quality of the ink jet recording sheet.
[0058]
<Example 3>
To 100 parts of silica sol A, 0.5 part of a 10% aqueous solution of sodium chloride and 40 parts of a 10% aqueous solution of polyvinyl alcohol used in Example 1 are mixed, and 0.25 part of sodium chloride is added to 100 parts of silica. In the same manner as in Example 1 except that a paint having a solid content concentration of 17.1% containing 20 parts of polyvinyl alcohol was prepared, and a paint having a concentration of 16.0% diluted by adding ion-exchanged water was used. An ink jet recording sheet of the present invention was obtained. Table 1 shows the main components and electrical conductivity of the paint, and Table 2 shows the pore distribution and quality of the ink jet recording sheet.
[0059]
<Example 4>
To 100 parts of silica sol A, 0.5 part of a 10% aqueous solution of calcium chloride and 40 parts of a 10% aqueous solution of polyvinyl alcohol used in Example 1 are mixed, and 0.25 part of calcium chloride is added to 100 parts of silica. In the same manner as in Example 1 except that a paint having a solid content concentration of 17.1% containing 20 parts of polyvinyl alcohol was prepared, and a paint having a concentration of 16.0% diluted by adding ion-exchanged water was used. An ink jet recording sheet of the present invention was obtained. Table 1 shows the main components and electrical conductivity of the paint, and Table 2 shows the pore distribution and quality of the ink jet recording sheet.
[0060]
<Example 5>
To 100 parts of silica sol A, 0.5 part of a 10% aqueous solution of calcium sulfate and 40 parts of a 10% aqueous solution of polyvinyl alcohol used in Example 1 are mixed, and 0.25 part of calcium sulfate is added to 100 parts of silica. In the same manner as in Example 1 except that a paint having a solid content concentration of 17.1% containing 20 parts of polyvinyl alcohol was prepared, and a paint having a concentration of 16.0% diluted by adding ion-exchanged water was used. An ink jet recording sheet of the present invention was obtained. Table 1 shows the main components and electrical conductivity of the paint, and Table 2 shows the pore distribution and quality of the ink jet recording sheet.
[0061]
<Example 6>
To 100 parts of silica sol A, 1 part of a 10% aqueous solution of sodium chloride and 40 parts of a 10% aqueous solution of polyvinyl alcohol having a saponification degree of 88.0% (manufactured by Kuraray Co., Ltd., trade name: PVA-235) are mixed. A coating material having a solid content of 17.1% containing 0.5 part of sodium chloride and 20 parts of polyvinyl alcohol with respect to 100 parts of silica and diluted by adding ion-exchanged water to a concentration of 16.0% An inkjet recording sheet of the present invention was obtained in the same manner as in Example 1 except that was used. Table 1 shows the main components and electrical conductivity of the paint, and Table 2 shows the pore distribution and quality of the ink jet recording sheet.
[0062]
<Example 7>
To 100 parts of silica sol A, 0.2 part of a 10% aqueous solution of sodium chloride and 40 parts of a 10% aqueous solution of polyvinyl alcohol (trade name: PVA-140H, manufactured by Kuraray Co., Ltd.) having a saponification degree of 99.5% Mixing, preparing a paint having a solid content concentration of 17.1% containing 0.1 part of sodium chloride and 20 parts of polyvinyl alcohol with respect to 100 parts of silica, and adding ion-exchanged water to dilute the concentration 16.0% An ink jet recording sheet of the present invention was obtained in the same manner as in Example 1 except that the above coating material was used. Table 1 shows the main components and electrical conductivity of the paint, and Table 2 shows the pore distribution and quality of the ink jet recording sheet.
[0063]
<Example 8>
To 100 parts of silica sol B, 5 parts of a 10% aqueous solution of sodium sulfate and 40 parts of a 10% aqueous solution of polyvinyl alcohol used in Example 1 are mixed. The present invention was prepared in the same manner as in Example 1 except that a paint having a solid content of 17.1% containing 20 parts of alcohol was prepared, and a paint having a concentration of 16.0% diluted by adding ion-exchanged water was used. An ink jet recording sheet was obtained. Table 1 shows the main components and electrical conductivity of the paint, and Table 2 shows the pore distribution and quality of the ink jet recording sheet.
[0064]
<Example 9>
To 100 parts of silica sol B, 2.5 parts of a 10% aqueous solution of sodium chloride and 40 parts of a 10% aqueous solution of polyvinyl alcohol used in Example 1 are mixed, and 1.25 parts of sodium chloride are added to 100 parts of silica. In the same manner as in Example 1 except that a paint having a solid content concentration of 17.1% containing 20 parts of polyvinyl alcohol was prepared, and a paint having a concentration of 16.0% diluted by adding ion-exchanged water was used. An ink jet recording sheet of the present invention was obtained. Table 1 shows the main components and electrical conductivity of the paint, and Table 2 shows the pore distribution and quality of the ink jet recording sheet.
[0065]
<Comparative Example 1>
An ink jet recording sheet of the present invention was obtained in the same manner as in Example 1 except that sodium sulfate was not added. Table 1 shows the main components and electrical conductivity of the paint, and Table 2 shows the pore distribution and quality of the ink jet recording sheet.
[0066]
<Comparative example 2>
An ink jet recording sheet of the present invention was obtained in the same manner as in Example 1 except that the addition amount of a 10% aqueous solution of sodium sulfate was changed to 0.01 part and the amount of sodium sulfate relative to 100 parts of silica was changed to 0.005 part. It was. Table 1 shows the main components and electrical conductivity of the paint, and Table 2 shows the pore distribution and quality of the ink jet recording sheet.
[0067]
<Comparative Example 3>
An ink jet recording sheet of the present invention was obtained in the same manner as in Example 6 except that sodium chloride was not added. Table 1 shows the main components and electrical conductivity of the paint, and Table 2 shows the pore distribution and quality of the ink jet recording sheet.
[0068]
<Comparative example 4>
An ink jet recording sheet of the present invention was obtained in the same manner as in Example 8 except that sodium sulfate was not added. Table 1 shows the main components and electrical conductivity of the paint, and Table 2 shows the pore distribution and quality of the ink jet recording sheet.
[0069]
<Comparative Example 5>
An ink jet recording sheet of the present invention was obtained in the same manner as in Example 8, except that the amount of sodium sulfate 10% aqueous solution was changed to 0.01 part and the amount of sodium sulfate relative to 100 parts of silica was 0.005 part. It was. Table 1 shows the main components and electrical conductivity of the paint, and Table 2 shows the pore distribution and quality of the ink jet recording sheet.
[0070]
<Comparative Example 6>
To 100 parts of silica sol, 22 parts of 10% aqueous solution of sodium sulfate and 40 parts of 10% aqueous solution of polyvinyl alcohol used in Example 1 were mixed. The present invention was prepared in the same manner as in Example 1 except that a paint having a solid content of 17.1% containing 20 parts of alcohol was prepared, and a paint having a concentration of 16.0% diluted by adding ion-exchanged water was used. An ink jet recording sheet was obtained. Table 1 shows the main components and electrical conductivity of the paint, and Table 2 shows the pore distribution and quality of the ink jet recording sheet.
[0071]
[Table 1]
Figure 0004099985
[0072]
[Table 2]
Figure 0004099985
[0073]
As is clear from the examples in Table 2, the inkjet recording sheet having a porous ink-receiving layer having two peaks in the pore diameter range of 6 to 150 nm or one broad peak having a shoulder is cracked when dried. The film can be manufactured without causing film formation failure due to the ink, the ink absorption speed is sufficiently high, and the ink absorption amount is large. This is because the mode pore diameter d2 (nm) of the receiving layer is larger than the pore diameter d1 (nm) of the pigment, and d2-d1 is a value as shown in each example of Table 2. As can be seen, a large aggregate structure is formed in the receiving layer due to the effect of the water-soluble salts, and a large void is formed, so that the ink absorption rate and the absorption amount are high. In particular, in Examples 2 to 5, the larger one of the two peaks is in the vicinity of 60 nm, which is sufficiently larger than the pore diameter 13 nm of the pigment. It was also fast. Further, since the pore volume of the receiving layer was a large value around 0.80 ml / g, the ink absorption amount was sufficiently large. In each example, the absolute value of the difference between the mode pore diameter and the median pore diameter exceeds 10 nm, indicating that the peak in the pore distribution curve is wide and has a large range of pores.
[0074]
On the other hand, in the inkjet recording sheet having only one peak in the pore diameter range as in each comparative example, a strong aggregate contraction force during the drying process cannot be relaxed because a large aggregate structure is not generated. The receiving layer produced many cracks. The pore diameter of the receiving layer was not increased because no agglomeration structure was formed, so that the ink absorption rate was slow and the pore volume was difficult to increase, so that the ink absorption amount was insufficient. In Comparative Example 6, since many large cracks occurred, printing with an ink jet printer could not be performed, and the ink absorption speed and ink absorption amount could not be evaluated.
[0075]
【The invention's effect】
By providing the ink receiving layer with two peaks in the pore diameter range of 6 to 150 nm or one broad peak having shoulders, the ink receiving layer can be manufactured without causing cracks in the drying process, and has a high ink absorption rate and ink absorption amount. An ink jet recording sheet having the following characteristics was obtained. The ink jet recording sheet of the present invention has both ink absorptivity, gloss and ink drying properties.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a pore distribution curve of an ink receiving layer in an ink jet recording sheet of the present invention. V represents the pore volume of the ink receiving layer, and D represents the pore diameter of the ink receiving layer.
FIG. 2 is a diagram of a pore distribution curve of an ink receiving layer having only one peak in the pore diameter range of 6 to 150 nm (outside the present invention).

Claims (10)

基材上に、微細顔料とバインダー樹脂を含む少なくとも1層のインク受容層を設けたインクジェット記録シートにおいて、
該インク受容層が、水銀ポロシメーターで測定した細孔分布曲線において細孔径6〜150nmの範囲に2つのピーク、または肩を有する1つの幅広いピークを有する多孔質インク受容層を少なくとも1層有し、
該微細顔料が、湿式法シリカ、アルミナ、ベーマイト、擬ベーマイトからなる群より選ばれる少なくとも一種であり、かつその平均粒径が、1.0μm以下、窒素吸着法による細孔径100nm以下の範囲の細孔容積が0.4〜2.0ml/gであり、
該多孔質インク受容層が、該微細顔料、該バインダー樹脂、及び水溶性塩類を含有し、かつ固形分濃度16%で測定した導電率が0.5〜10.0mS/cmである水性塗料を基材に塗工後、乾燥することによって形成されている、
ことを特徴とするインクジェット記録シート。
In an inkjet recording sheet provided with at least one ink receiving layer containing a fine pigment and a binder resin on a substrate,
The ink-receiving layer, one layer even a porous ink-receiving layer small without having one broad peak having two peaks or shoulders, the pore diameter of from. 6 to 150 nm in a pore distribution curve measured by mercury porosimeter Yes, and
The fine pigment is at least one selected from the group consisting of wet process silica, alumina, boehmite, and pseudoboehmite, and has an average particle diameter of 1.0 μm or less and a pore diameter of 100 nm or less by a nitrogen adsorption method. The pore volume is 0.4-2.0 ml / g,
An aqueous paint in which the porous ink receiving layer contains the fine pigment, the binder resin, and a water-soluble salt, and the conductivity measured at a solid content concentration of 16% is 0.5 to 10.0 mS / cm. It is formed by drying after coating on the base material,
An ink jet recording sheet.
該細孔分布曲線におけるモード細孔径とメジアン細孔径との差の絶対値が10nm以上である請求項1に記載のインクジェット記録シート。The inkjet recording sheet according to claim 1, wherein the absolute value of the difference between the mode pore diameter and the median pore diameter in the pore distribution curve is 10 nm or more. 該多孔質インク受容層の細孔径6nm〜1μmの範囲における細孔容積が0.5〜2.0ml/gである請求項1または2に記載のインクジェット記録シート。3. The ink jet recording sheet according to claim 1, wherein the porous ink receiving layer has a pore volume of 0.5 to 2.0 ml / g in a pore diameter range of 6 nm to 1 μm. 窒素吸着法により測定した該微細顔料の細孔径d1(nm)と水銀ポロシメーターにより測定した該多孔性インクジェット受容層のモード細孔径d2(nm)との間に20<d2−d1<100の関係式が成り立つことを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のインクジェット記録シート。A relational expression of 20 <d2-d1 <100 between the pore diameter d1 (nm) of the fine pigment measured by the nitrogen adsorption method and the mode pore diameter d2 (nm) of the porous inkjet receiving layer measured by a mercury porosimeter. ink-jet recording sheet according to any one of claims 1 to 3, characterized in that hold. 該微細顔料が湿式法シリカであり、該水性塗料がアンモニアを含有し、pHが7以上である請求項1〜のいずれかに記載のインクジェット記録シート。The ink jet recording sheet according to any one of claims 1 to 4 , wherein the fine pigment is a wet process silica, the aqueous paint contains ammonia, and has a pH of 7 or more. 該微細顔料が平均粒径3〜40nmの1次粒子が凝集してなる平均粒径8nm〜800nmの2次粒子である請求項1〜のいずれかに記載のインクジェット記録シート。The inkjet recording sheet according to any one of claims 1 to 5 , wherein the fine pigment is a secondary particle having an average particle diameter of 8 nm to 800 nm formed by agglomerating primary particles having an average particle diameter of 3 to 40 nm. 該バインダー樹脂がポリビニルアルコールである請求項1〜のいずれかに記載のインクジェット記録シート。The inkjet recording sheet according to any one of claims 1 to 6 , wherein the binder resin is polyvinyl alcohol. 該水溶性塩類がアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩から選ばれる少なくとも一種である請求項1〜7のいずれかに記載のインクジェット記録シート。The inkjet recording sheet according to any one of claims 1 to 7 , wherein the water-soluble salt is at least one selected from an alkali metal salt or an alkaline earth metal salt. 該水溶性塩類がアルカリ金属の強酸塩である請求項に記載のインクジェット記録シート。The ink jet recording sheet according to claim 8 , wherein the water-soluble salt is a strong acid salt of an alkali metal. 微細顔料100質量部に対し水溶性塩類を0.01〜10重量部の割合で含有する請求項1〜9のいずれかに記載のインクジェット記録シート。The ink jet recording sheet according to any one of claims 1 to 9 , comprising water-soluble salts in a proportion of 0.01 to 10 parts by weight with respect to 100 parts by weight of the fine pigment.
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