JP4098687B2 - 電力品質評価システム、電力品質評価方法及び電力品質評価用プログラム - Google Patents
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Description
第2の目的は、経済的な損失を考慮に入れて評価することができる電力品質評価システム、電力品質評価方法及び電力品質評価用プログラムを提供することにある。
第3の目的は、様々な電力需要家の要求レベルに応じて電力品質を評価することができる電力品質評価システム、電力品質評価方法及び電力品質評価用プログラムを提供することにある。
また、経済的な損失を考慮に入れて評価することができる電力品質評価システム、電力品質評価方法及び電力品質評価用プログラムを提供することができる。
さらに、様々な電力需要家の要求レベルに応じて電力品質を評価することができる電力品質評価システム、電力品質評価方法及び電力品質評価用プログラムを提供することができる。
(1−1)全体の構成
図1は、本実施形態の電力品質評価システムの全体構成を示したものであり、電力品質の評価対象となる電力系統から、種々の電力量を取得するデータ取得手段1と、取得された電力データを格納するデータ記憶手段2と、取得された各電力量の電力品質の程度を計算する電力品質計算手段3と、この電力品質計算手段3によって求められた電力品質の程度(以下、電力品質値という)を、電力品質値データベース4に保存する電力品質値保存手段5と、前記電力品質値データベース4に保存された電力品質値から、電力品質値の確率密度関数を作成する確率密度関数作成手段6と、電力品質の程度を判定する基準となる判定値を格納した判定値データベース7と、この判定値データベース7から、所望の判定値を選択して設定する判定値設定手段8と、前記電力品質値の確率密度関数と、設定された判定値とを用いて、電力品質の程度を評価する電力品質評価手段9とを備えている。
ここで、本発明に係る電力品質評価システムが評価対象とする種々の電力品質評価項目について説明する。図2は、高調波、電圧変動、電圧不平衡、瞬時電圧低下等の電力品質を表す代表的な項目と、その程度を表す代表的な指標、並びにその計算式を示したものである。
高調波の代表的な指標としては、高調波分のみの実効値を実効値で割った総合ひずみ率がある。計算式は式(1)で表される。高調波分が小さい程、総合ひずみ率は小さくなり、電力品質は良くなる。高調波分が全く無いと総合ひずみ率は零となる。反対に高調波分が大きくなれば総合ひずみ率は大きくなり、電力品質は悪くなる。
総合ひずみ率=高調波分のみの実効値÷実効値 …(1)
電圧変動の指標としては、基準電圧当たりの電圧変動の大きさを示した電圧変動率がある。計算式は式(2)で表される。電圧変動が小さい程、電圧変動率の絶対値は小さくなり、電力品質は良くなる。電圧変動が全く無いと、電圧変動率は零となる。逆に、電圧変動が大きければ電圧変動率の絶対値は大きくなり、電力品質は悪くなる。なお、電圧変動がプラス側であると、電圧変動率はプラスになり、電圧変動がマイナス側であると、電圧変動率はマイナスとなる。
電圧変動率=電圧変動(の大きさ)÷基準電圧 …(2)
電圧不平衡の指標としては、逆相電圧の絶対値を正相電圧の絶対値で割った電圧不平衡率があり、計算式は式(3)で表される。逆相電圧が小さい程、電圧不平衡率は小さくなり、電力品質は良くなる。逆相電圧が全く無ければ、電圧変動率は零となる。反対に、逆相電圧が大きければ電圧不平衡率も大きくなり、電力品質は悪くなる。
電圧不平衡率=|逆相電圧|÷|正相電圧| …(3)
瞬時電圧低下(瞬低とも言われる)の指標としては、電圧低下率や瞬時電圧低下の継続時間がある。ここでは基準電圧当たりの電圧低下率を考える。計算式は式(4)で表される。電圧低下量が小さい程、電圧低下率は小さく、電力品質は良くなる。電圧低下量が全く無いと、電圧低下率は零となる。反対に、電圧低下量が大きい程、電圧低下率は大きく、電力品質は悪くなる。
電圧低下率=電圧低下量÷基準電圧 …(4)
続いて、図1に示した電力品質計算手段3と電力品質値保存手段5について、より詳細に説明する。
まず、評価対象となる電力系統に設置されたCT、PT等の計器用変圧器によって、その電力系統の電圧、電流等の電力量がAD変換装置に入力される。AD変換装置に入力された電力量はアナログ量であるから、AD変換装置によってアナログ量からデジタル量に変換される。デジタル量に変換された電力量は、本システムのデータ取得手段1に入力されてデータ記憶手段2に蓄えられるか、あるいは、データ取得手段1を介して電力品質計算手段3に読み込まれる。
そして、電力品質計算手段3によって、読み込まれた電力量の電力品質の程度を示す電力品質値が算出される。算出された電力品質値は電力品質値保存手段5によって電力品質値データベース4に蓄えられる。
上述したように、確率密度関数作成手段6は、電力品質値集計部61及び確率密度関数適用部62とからなる。この電力品質値集計部61は、電力品質値データベース4に保存された電力品質値を集計し、その集計結果をヒストグラム等に表す。また、確率密度関数適用部62は、電力品質値の集計結果を用いて確率密度関数を作成する。
判定値設定手段8は、判定値データベース7から所望の判定値を読み込み、あるいは独自に判定値を設定する。この判定値の違いにより、電力品質評価値は大きく変動する。なお、この判定値と本実施形態で電力品質の評価に用いるσ値とは、以下のように関係している。
続いて、電力品質評価手段9について説明する。上述したように、電力品質評価手段9は、判定値と標準偏差σから式(8)に基づいてσ値を算出し(σ値計算部)、その大きさに基づいて電力品質を評価し(σ値評価部)、その電力品質評価値を出力する(品質評価値出力部)。
上記のような構成を有する本実施形態の電力品質評価システムにおける処理の流れを、図10に示すフローチャートを参照して説明する。
まず、データ取得手段1によって、評価対象となる電力系統の各種電力量が読み込まれる(S1001)。続いて、電力品質計算手段3により、各電力量における電力品質の程度が計算され、電力品質値が算出される(S1002)。
以上述べたように、第1実施形態では、確率密度関数作成手段6により、電力品質値から確率密度関数及び標準偏差σを求め、予め設定した判定値と標準偏差σからσ値を割り出し、その大きさに基づいて電力品質を評価している。すなわち、σ値が大きくなれば、電力品質は良好ということになり、反対にσ値が小さくなれば電力品質は悪化しているという評価になる。
本実施形態は、上記第1実施形態の変形例であって、高調波、電圧変動、電圧不平衡等の複数の電力品質評価項目の全ての項目、あるいは2以上の項目を総合的に評価することができるようにしたものである。
本実施形態の基本的な構成は、上記第1実施形態の図1と同様であるが、電力品質評価手段9において行う電力品質評価方法が上記第1実施形態とは異なっている。
P(x)=PA(x)×PB(x)×PC(x)×PD(x) …(10)
Pnot(x)=1−P(x)
=1−PA(x)×PB(x)×PC(x)×PD(x)…(11)
以上のような第2実施形態によれば、評価対象となる4つの電力品質A〜Dに関して、個別に電力品質を評価することができるだけでなく、2以上の電力品質評価を合わせて、電力系統全体としての電力品質を総合的に評価することもできる。
本実施形態は、電力需要家毎のニーズに応じて異なる判定値を設定し、それに基づいて電力品質を評価するようにしたものである。なお、図13は、異なる判定値を用いた場合の、確率密度関数と各判定値との関係を示した図であり、確率密度関数が同じであっても、判定値の大きさが異なると電力品質の評価が異なることを示すものである。
第3実施形態では、上記第1実施形態と同じく判定値データベース7及び判定値設定手段8を備えているが、これらの構成及びその機能が上記第1実施形態とは異なっている。
以上のような構成を有する第3実施形態の作用効果は次の通りである。すなわち、判定基準が厳しい判定値Haの場合は、σ値は2>σ値≧1であるから、図12から電力品質評価値は「2」となる。また、判定基準が緩やかな判定値Hbの場合は、σ値は4>σ値≧3であるから、図12から電力品質評価値は「4」となる。
第4実施形態は、経済的な観点を電力品質評価に取り入れたものである。
すなわち、従来技術の項で述べたように、電力品質が悪化すれば、当然ながら経済的な損失も生じてくる。本実施形態はこの点に着目し、図14に示したような損害曲線を用いて、電力品質の程度を評価するようにしたものである。
まず、図14を参照して損害曲線について説明する。損害曲線は、電力品質の程度を示す電力品質値と損害の関係を示すものであって、図14の上側の図に示すように、電力品質値が一定値を超えると急激に悪化する。従って、損害曲線が急激に悪化する値を判定値として設定することで、損害が最小となるような電力品質を維持することができる。例えば、図14の下側の図に示すように、σ値が“3”となり、電力品質評価値が“4”となる良好な電力品質であれば、損害がほとんど0となる確率は99.73%となる。
図15は、本実施形態の電力品質評価システムの全体構成を示したものであり、上記第1実施形態の電力品質評価システムの構成の一部を変更したものである。
すなわち、本実施形態の電力品質評価システムにおいては、評価対象となる種々の電力品質項目について、その電力品質の程度を示す電力品質値と損害の関係を示す損害曲線を格納した損害曲線データベース11と、この損害曲線データベース11から、評価対象となる電力品質項目に対応する損害曲線を選択して設定する損害曲線設定手段12と、電力品質値の確率密度関数と、設定された損害曲線と、設定された判定値とを用いて、電力品質の程度を評価する電力品質評価手段9とを備えている。
続いて、電力品質評価手段9の損害指標計算部94における電力品質損害指標の算出方法について説明する。
まず、損害曲線を式(12)で示す電力品質値の関数とする。なお、式(12)中のxは電力品質値である。
損害曲線=l(x) …(12)
電力品質確率・損害曲線=l(x)・f(x)…(13)
上記のような構成を有する本実施形態の電力品質評価システムにおける処理の流れを、図20に示すフローチャートを参照して説明する。
まず、データ取得手段1によって、評価対象となる電力系統の各種電力量が読み込まれる(S2001)。続いて、電力品質計算手段3により、各電力量における電力品質の程度が計算され、電力品質値が算出される(S2002)。
以上述べたように、本実施形態では、損害指標計算部94が確率密度関数、損害曲線及び判定値から電力品質損害指標を計算し、この損害指標に基づいて電力品質を評価している。このように、電力品質の評価に際して、電力品質悪化の確率とその時の損害を示す指標である電力品質損害指標を用いているので、電力品質の悪化の悪化の発生確率と経済的な損失の両方を考慮して電力品質を評価することができる電力品質評価システムを得ることができる。
本実施形態は、上記第4実施形態の変形例であって、高調波、電圧変動、電圧不平衡等の複数の電力品質評価項目の全ての項目、あるいは2以上の項目を総合的に評価することができるようにしたものである。
本実施形態の基本的な構成は、上記第4実施形態の図15と同様であるが、電力品質評価手段9において行う電力品質評価方法が上記第4実施形態とは異なっている。
そして、電力品質評価手段9では、電力品質A〜D毎の確率密度関数と判定値と損害曲線を用いて電力品質損害指標を求め、この電力品質損害指標に基づいて、各電力品質A〜D毎の電力品質を評価する。さらに、本実施形態の電力品質評価手段9においては、以下のようにして、電力品質A〜Dに対する評価のうち、少なくとも2つ以上の電力品質項目についての評価を組み合わせて、総合的に評価することができるように構成されている。
電力品質A、電力品質B、電力品質C、電力品質Dの電力品質確率・損害曲線を式(15)〜(18)で表す。下記の式で、la(x)、lb(x)、lc(x)、ld(x)は、それぞれ電力品質A、電力品質B、電力品質C、電力品質Dの損害曲線である。また、fa(x)、fb(x)、fc(x)、fd(x)は、それぞれ電力品質A、電力品質B、電力品質C、電力品質Dの確率密度関数である。
電力品質Aの電力品質確率・損害曲線=la(x)・fa(x)…(15)
電力品質Bの電力品質確率・損害曲線=lb(x)・fb(x)…(16)
電力品質Cの電力品質確率・損害曲線=lc(x)・fc(x)…(17)
電力品質Dの電力品質確率・損害曲線=ld(x)・fd(x)…(18)
laj:電力品質Aの判定値のマイナス側の値
lbj:電力品質Bの判定値のマイナス側の値
lcj:電力品質Cの判定値のマイナス側の値
ldj:電力品質Dの判定値のマイナス側の値
以上のような本実施形態によれば、上記第2及び第4実施形態と同様の作用効果を得ることができる。すなわち、4つの電力品質項目A〜Dに関して、電力品質悪化の確率とそのときの損害を判定要素として電力品質を評価できる。しかも、総合的あるいは選択的な電力品質評価が可能である。また、電力品質項目毎に損害曲線の設定を変更可能なので、電力品質項目毎に経済的な損害度が異なっている場合でも柔軟に対応することができる。したがって経済的な観点からも信頼性に優れた電力品質評価を行うことが可能となる。
第6実施形態は、上記第4実施形態の変形例であって、電力需要家毎のニーズに応じて判定値を設定し、それに基づいて電力品質を評価するようにしたものである。
本実施形態は、上記第1実施形態の変形例であり、確率密度関数の代わりに電力品質分布マップを用いたものである。
本実施形態においては、図22に示すように、上記各実施形態で用いた確率密度関数作成手段6の代わりに、電力品質分布マップ作成手段20を備えており、電力品質分布マップを出力するようになっている。
電力品質分布マップ作成手段20の電力品質値集計部21により、電力品質値データベース4に保存された電力品質値を集計し、その結果を電力品質値の集計結果とする。この集計結果を集計結果規格化部22が規格化し、規格化したものを電力品質値の集計結果規格とする。そして、分布マップ作成部23により、電力品質値の集計結果規格または集計結果を電力品質分布マップとする。
以上述べたように、本実施形態では、電力品質分布マップ作成手段20が電力品質値から電力品質分布マップを求め、電力品質評価手段9が、プラス側とマイナス側の判定値の範囲に収まる規格化度数に基づいて電力品質評価値を出力する。このように、本実施形態によれば、電力品質悪化現象の発生確率を考慮して電力品質を評価することができる電力品質評価システムを提供することができる。
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、例えば第2〜第6実施形態において、確率密度関数作成手段6に代えて電力品質分布マップ作成手段20を用いても良い。但し、損害指標計算部94を有する第4〜第6実施形態において、電力品質損害指標を導く際に利用する電力品質確率・損害曲線に関しては、確率密度関数に損害曲線を乗じるのではなく、規格化度数に損害曲線を乗じた量を用いる。
2…データ記憶手段
3…電力品質計算手段
4…電力品質値データベース
5…電力品質値保存手段
6…確率密度関数作成手段
61…電力品質値集計部
62…確率密度関数適用部
7…判定値データベース
8…判定値設定手段
9…電力品質評価手段
91…σ値計算部
92…σ値評価部
93…品質評価値出力部
94…損害指標計算部
95…損害指標評価部
96…品質評価値出力部
97…規格化度数計算部
98…規格化度数評価部
99…品質評価値出力部
11…損害曲線データベース
12…損害曲線設定手段
20…電力品質分布マップ作成手段
21…電力品質値集計部
22…集計結果規格部
23…分布マップ作成部
Claims (7)
- 評価対象となる電力量の電力品質の程度を計算する電力品質計算手段と、
この電力品質計算手段によって求められた電力品質値から、電力品質値の確率密度関数を作成する確率密度関数作成手段と、
電力品質の程度を判定する基準となる判定値を設定する判定値設定手段と、
前記電力品質値と損害の関係を示す損害曲線を設定する損害曲線設定手段と、
前記電力品質値の確率密度関数と、設定された判定値及び損害曲線とを用いて、電力品質の程度を評価する電力品質評価手段とを備えたことを特徴とする電力品質評価システム。 - 前記電力品質評価手段は、電力品質悪化の確率とその時の損害を示す損害指標に基づいて電力品質を評価するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の電力品質評価システム。
- 複数の電力品質評価項目毎に電力品質悪化の確率とその時の損害を示す損害指標を求め、総合的な評価の対象となる2以上の評価項目について得られた前記損害指標の和の値に基づいて電力品質を評価するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の電力品質評価システム。
- 評価対象となる電力量の電力品質の程度を示す電力品質値を計算し、
求められた電力品質値から、電力品質値の確率密度関数を作成し、
電力品質の程度を判定する基準となる判定値を設定すると共に、
前記電力品質値と損害の関係を示す損害曲線を設定し、
前記電力品質値の確率密度関数と、設定された判定値及び損害曲線とを用いて、電力品質の程度を評価することを特徴とする電力品質評価方法。 - 電力品質悪化の確率とその時の損害を示す損害指標に基づいて電力品質を評価することを特徴とする請求項4に記載の電力品質評価方法。
- 複数の電力品質評価項目毎に電力品質悪化の確率とその時の損害を示す損害指標を求め、
総合的な評価の対象となる2以上の評価項目について得られた前記損害指標の和の値に基づいて電力品質を評価することを特徴とする請求項4に記載の電力品質評価方法。 - コンピュータを制御することにより、電力品質を評価する電力品質評価用プログラムであって、
そのプログラムは前記コンピュータに、
評価対象となる電力量の電力品質の程度を示す電力品質値を計算するステップと、
求められた電力品質値から、電力品質値の確率密度関数を作成するステップと、
電力品質の程度を判定する基準となる判定値を設定するステップと、
前記電力品質値と損害の関係を示す損害曲線を設定するステップと、
前記電力品質値の確率密度関数と、設定された判定値及び損害曲線とを用いて、電力品質の程度を評価するステップと、
を実行させるものであることを特徴とする電力品質評価用プログラム。
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