JP4098470B2 - マザープレート用ホルダ - Google Patents
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Description
本発明は、マザープレートの引き剥がし工程時にマザープレートの下部エッジストリップが損傷することを防ぐために、銅、亜鉛、ニッケルなどの金属の電解精錬において使用するマザープレート用ホルダに関するものである。
【0002】
銅、亜鉛、ニッケルなどの多くの金属の精錬には、生産すべき金属から有害な不純物を分離する電解工程が含まれる。電解精錬で生産される金属は電流により陰極に集積される。通常、電解精錬は、硫酸を含む電解液で満たされたタンク内で実行され、その中には多数の板状の陽極および陰極であって、なんらかの電気伝導性材料で作られ、交互に配置されたものが浸される。陽極および陰極の上端には、それらをタンクの端部に懸架するとともに、それらを電力回路に接続するためのラグまたはバーがある。生産すべき金属は可溶性陽極、いわゆる活性陽極として、または先行する工程で電解液内に溶解されたもののいずれかとして電解工程にもたらされ、後者の場合では採用される陽極は不溶性の、いわゆる不活性陽極である。
【0003】
電解精錬に使用される陰極を、生産すべき所望の金属で製造することができ、この場合、析出物を元の陰極板から引き剥がす必要はない。しかし通常は、電解タンクに浸される陰極すなわちマザープレートは、生産すべき金属とは異なる金属で作られる。そうしたマザープレートの材料を、たとえばステンレススチール、アルミニウムまたはチタニウムとすることができる。その場合、生産すべき金属は析出物としてマザープレートの表面上に集められ、析出物は、定められた時間間隔ごとにマザープレートから引き剥がされる。
【0004】
電流により、電解精錬で生産される金属はマザープレートのすべての電気伝導性の表面上に析出物として蓄積される。すなわち、仮にマザープレートの全体が電気伝導性であれば、生産すべき金属はマザープレートを、電解液に浸されたすべての部分にわたり一様な析出物で覆う。ところで、マザープレートの2つの側面に蓄積された、生産すべき金属の析出物は、3つの側面上において互いに結びついており、マザープレートの狭小なエッジを越えて結びついている。したがってその生産すべき金属の析出物をマザープレートから除去することは非常に困難である。生産すべき金属析出物をマザープレートの表面から容易に除去するためには、生産すべき金属がマザープレートの狭小なエッジ上に析出物を蓄積することを防ぐ必要がある。すなわち、マザープレートのエッジを非導電性にしなければならない。マザープレートのエッジを非導電性とするための最もよく知られている方法は、プラスチックなどのなんらかの絶縁材料で作られたエッジストリップでエッジを覆うことである。一般的に、絶縁ストリップは溝形の断面をしたプラスチックの異形材であり、絶縁ストリップはマザープレートのエッジ上に押圧され、変形により生じる圧力や、マザープレートを貫通して挿入されたリベットや、またはそれらの組み合わせにより、適切な場所にとどまる。
【0005】
マザープレートの2つの側面に蓄積した析出物は、例えば米国特許第4,806,213号に記載された剥離装置を用いて剥がす。この特許では、剥離用ブレードはナイフ状のブレードであり、このブレードを、マザープレートの両方の側面で、金属析出物とマザープレートの間に突き入れる。剥離段階中、剥離すべき陰極は通常、支持用バーによって、電解中と同じ垂直位置に固定される。析出物の剥離は、支持用バーの近くにあって支持用バーに平行な、マザープレートのエッジから始める。析出物の剥離が、マザープレートの支持用バーに対向するエッジであって支持用バーに平行な陰極のエッジに向かって続けられるとき、剥離作業によって生じる力は、その間ずっと増大しており、この力の作用は、マザープレートの支持用バーから最も離れた析出物上の位置で最大になる。支持用バーに対向するこのエッジがエッジストリップにより保護されている場合、剥離作業が強すぎると、この底部エッジストリップは破壊される場合もあり、剥離した析出物が底部エッジストリップを運び去る場合さえもあり得る。
【0006】
本発明の目的は、従来技術の欠点を除去することであり、マザープレートの支持用バーが固定されているエッジに対向するエッジに取り付けられたエッジストリップに、マザープレートの剥離段階中に損傷が生じることを防ぐ改良された装置をもたらすことである。本発明の本質的な特徴は、添付する請求の範囲に示す。
【0007】
本発明によれば、マザープレートの支持用バーが固定されているエッジに対向するエッジに取り付けられたエッジストリップに、マザープレートの剥離段階中に損傷が生じることを防ぐために、マザープレートはホルダ内に支持され、ホルダ内には少なくと1つの押付部材があり、この押付部材は、剥離すべき析出物の下部をマザープレートに実質的にしっかりと押し付ける。したがって、押付部材の押し付け効果は、マザープレートの支持用バーが固定されているエッジに対向するエッジに取り付けられたエッジストリップに対して有害ではない。剥離段階中マザープレートは析出物とともに垂直に位置する。したがって、マザープレートの支持用バーが固定されているエッジに対向するエッジは、マザープレートの下部エッジであり、このエッジ上のエッジストリップは、さらに、底部エッジストリップと呼ぶ。同様に、例えば、析出物の下部エッジは、マザープレートの支持用バーが固定されているエッジに対向するエッジに近い析出物の部分を意味する。
【0008】
剥離すべき物体、例えば銅、亜鉛、もしくはニッケルの電解精錬からの陰極が剥離工程に来たとき、陰極はすでに剥離装置に固定されている。同時に、陰極の下部を少なくとも1つの押付手段により押し付け、好ましくは陰極の両側において押し付けるように、本発明に係わるホルダを配置する。押付部材は、押付部材と陰極とが、マザープレート上の析出物の下部で接触するように、向ける。押付部材と陰極とを接触させる位置は、底部エッジストリップの0.5〜1.5cm上である。
【0009】
マザープレートの大きさによっては、本発明に係わるホルダに、マザープレートの両側で2個以上の押付部材を取り付けることが好ましい。押付部材は、例えばホルダが使用される場所に応じて、液圧式、空圧式、電気式で動作することができる。本発明の1つの実施例では、マザープレートの同じ側にある押付部材を互いに、結合部材により結合することができる。その場合、マザープレート上の同じ側にある押付部材は同時に操作できることが好ましい。マザープレートの両側に同数の押付部材を設けることが好ましい。また、マザープレートの両側にある押付部材を互いに結合することが好ましく、これらの押付部材を同時に操作することが好ましい。その際に、押付手段は、傾けることができるように互いに取り付け、傾斜角は、垂直位置から計ったときに5度から10度の間である。その時に、マザープレートの両側での押付け作用が実質的に等しくなる。
【0010】
本発明の別の実施例によれば、押付部材の各々は、別個独立のそれ自身用のアクチュエータにより操作する。また、陰極の両側にある押付部材用の複数の結合部材が互いに独立に動作することができるように、空のホルダを操作することもできる。また、その際に、押付部材は、例えば本発明のホルダが使用される場所に応じて、液圧式、空圧式、電気式で動作することができる。
【0011】
本発明のホルダ内の押付部材を用いて陰極から剥離させるときに、最初に陰極を垂直な剥離姿勢に固定し、ホルダ内の押付部材に、マザープレートの両側にある析出物の下部を押し付けさせる。析出物の剥離は、支持バーに近い側のエッジから始める。剥離作業中、析出物の上部とマザープレートとの間の距離が大きくなるにつれて、析出物はマザープレートの表面に沿って、ホルダ内の押付部材によって底部エッジストリップから離れていく。析出物のこの動きのため、析出物と底部エッジストリップとの間の接触は次第に弱くなる。したがって、本発明のホルダ内の押付部材は、剥離によって生じる力が底部エッジストリップに作用することも弱める。
【0012】
本発明を、添付図面を参照してさらに詳細に説明する。
【0013】
図1および図2によると、本発明のホルダ1は、部材2および3により支持された押付部材4を有する。押付部材4はフレーム7を有し、フレーム7は、支持部材2および3のうちの1つによって支持されており、押付部8はフレーム7に固定されている。支持部材2および3の各々は同数の押付部材4を含むように、押付部材4は配置する。支持部材2および3は互いに、結合部材5および6によって結合されている。結合部材5および6は、一方の端部において支持部材2および3に固定され、他方の端部において、傾けることができるように、互いに結合している。
【0014】
本発明のホルダ1の操作を開始するときは、結合部材5および6を、垂直方向から互いに外へ向かって約8度傾けて、別個独立の支持部材2および3によって支持される押付部8の間に、妨害物のない開口部があるようにする。剥離すべき析出物15を伴ったマザープレート9が剥離装置16内の剥離作業位置に来ると、押付部材4の押付部8を、底部エッジストリップ10の上部から約1cmの位置で、析出物15に押し付ける。マザープレート9上の析出物15の剥離は、マザープレート9の支持バー12に近いエッジ11から始める。剥離中、押付部8は析出物15の下部をマザープレート9に押し付ける。剥離が析出物15の下部に向かって進むにつれて析出物15とマザープレート9との間の距離が大きくなるため、析出物15の下部も離そうとする。押付部8が押し付けているため、析出物15の下部は押付部8を中心にして動き、同時に、底部エッジストリップ10と析出物15との間の接触はますます弱くなり、最終的に剥離の終わりには、剥離によって生じた底部エッジストリップ10に対する力の作用は実質的に、全体的になくなる。したがって、底部エッジストリップ10は、新たな電解精錬工程で使うことができる。
【0015】
図3では、マザープレート9の同じ側にある押付部材4が互いに、結合部材13および14によって結合している。結合部材は互いに独立に動作する。押付部材4を動作させるときは、結合部材13および14を実質的に水平方向に、剥離すべき析出物15の方へ移動させる。この結果、押付部材4の押付け作用が、底部エッジストリップ10に損傷を与えないために役立つ。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の好ましい実施例の平面図である。
【図2】 操作の準備ができたときの図1の実施例のA-A断面図である。
【図3】 本発明の他の好ましい実施例の側面図である。
Claims (8)
- 剥離中にマザープレートを支持するために該プレートの一方のエッジに固定される支持バーと、該支持バーが固定されているところに対向するエッジ上に少なくともあるエッジストリップとを前記マザープレートは有し、電解精錬において前記マザープレートの表面に生成される金属の析出物を剥離するときに使用するホルダにおいて、
前記ホルダは少なくとも1つの押付部材を有し、支持バーが固定されているところに対向するエッジに取り付けた前記エッジストリップに近いところにある前記金属の析出物と押付部材とを、剥離中に接触させて、エッジストリップの損傷を防ぐために、前記析出物は前記押付部材によって押し付けられることを特徴とするホルダ。 - 請求項1に記載のホルダにおいて、前記ホルダは前記マザープレートの両側に前記析出物のために少なくとも1つの押付部材を有することを特徴とするホルダ。
- 請求項2に記載のホルダにおいて、前記ホルダは、前記マザープレートの両側に同じ数の押付部材を有することを特徴とするホルダ。
- 請求項1から3までのいずれかに記載のホルダにおいて、前記マザープレートの同じ側にある前記ホルダの押付部材は、共通の支持部材を有することを特徴とするホルダ。
- 請求項4に記載のホルダにおいて、前記支持部材は、傾けることができるように、互いに結合部材によって結合されることを特徴とするホルダ。
- 請求項5に記載のホルダにおいて、前記各支持部材の傾斜角は、垂直位置から計ったときに5度から10度の間であることを特徴とするホルダ。
- 請求項4に記載のホルダにおいて、前記支持部材は独立に操作されることを特徴とするホルダ。
- 請求項1から7までのいずれかに記載のホルダにおいて、前記押付部材と前記析出物との接触は、前記マザープレートの支持バーが固定されているところのエッジに対向するエッジのエッジストリップの上O.5cmから1.5cmの間で起こることを特徴とするホルダ。
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