JP4098219B2 - 耐火断熱材 - Google Patents

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本発明は、段ボールや面板に板紙を用いたハニカムボードよりなる基材の内部に熱発泡性の無機質耐火層を備え、種々の器壁に耐火性を付与する内張り材や外張り材、壁、天井、間仕切り等に用いる耐火性構造材、耐火性内装材、耐火性建具材、耐火性面板、耐火性包装材、耐火性被覆シート等として有用な耐火断熱材に関する。
近年、都市におけるビルの高層化や地下街の大規模化が進み、これに伴って防災対策の必要性が高まっており、特に火災への備えが重要になっている。しかるに、各種構造材に対する耐火被覆として旧来汎用されていたアスベストは粉塵吸入による発癌性の問題で使用できなくなっており、またロックウールについても同様の健康被害の懸念があって嫌忌すべきものになっている上、これらは耐火性能面でも充分ではなかった。
また、建物等の耐火構造用パネルとして、石膏板、ALC(軽量発泡コンクリート)板、珪酸カルシウム板、石綿セメント板、硬質木片セメント板、パルプセメント板等が多用されつつある。しかるに、これら耐火構造用パネルは、窯業系材料を主体とするために概して耐火性は良好であるが、それ自体が構造材であるため、種々の器壁等に対する耐火被覆材や耐火性包装材等には利用できない上、注型による成形が必要であるから、規格サイズのものは安価に量産できるが、大きさや形状が種々異なるものを製作するには非常にコスト高になるという難点があった。
一方、本発明者らは先に、耐火性コーティング材や断熱耐火材組成物として、火災時の受熱によって溶融すると共に含有水分の蒸発による気泡を生じ、この気泡の膨張によって非常に優れた遮炎断熱機能を発揮する断熱発泡層を形成できる無機質の熱発泡性材料を開発した(特許文献1〜3)。しかして、この熱発泡性材料は、水ガラスの如き水溶性アルカリ珪酸塩水溶液に無機質粉末を主体とする配合成分を加えて混合することにより、一般的にクリーム状ないしパテ状を呈する水性ペーストとして得られるものであり、様々な基材の表面に塗着・硬化させて熱発泡性の耐火被覆層を形成できると共に、光ファイバーケーブルを始めとする種々の通信ケーブルや配管類に套嵌させる二重筒型の耐火性保護管の内外筒間に充填したり、中空パネルの中空部に充填して熱発泡性の耐火充填層を形成できる(特許文献4)。
特開2003−155426 特願20020198916 特願20020198917 特願20020121260
本発明は、種々の器壁に耐火性を付与する内張り材や外張り材、壁、天井、間仕切り等に用いる耐火性構造材、耐火性内装材、耐火性建具材、耐火性面板、耐火性包装材、耐火性被覆シート等に有用な耐火断熱材として、火災の高熱に長時間耐え得る優れた遮炎断熱性能を備え、且つ大きさや形状が種々異なるものを容易に製作できるものを提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、本発明者らは、まず包装材に多用されている段ボールや面板に板紙を用いたハニカムボードに着目し、これらを基材として利用する一方、遮炎断熱機能を担う耐火材として前記先行技術に係る熱発泡性材料を利用し、基材の内部に熱発泡性の耐火層を設けることを検討した。すなわち、段ボールや面板に板紙を用いたハニカムボードは、連続的製造装置による量産化が進んでいるために安価に入手できる上、サイズの大きい原版からの切断や打ち抜きによって様々な大きさや形状のものを容易に作製でき、しかも火災の高熱に晒された際に紙製の表面部が焼失するから、露呈した内部の耐火層が直ちに溶融発泡を開始すると共に、この溶融発泡による膨張が妨げられずに均一な断熱発泡層に転化し、もって該断熱発泡層による極めて高い遮炎断熱機能が発揮されることになる。
しかるに、前記の段ボールやハニカムボードを基材とした場合、耐火材に前記先行技術の熱発泡性材料を用いるには多くの問題かあることが判明した。その一つは、該熱発泡性材料の原料組成物である水性ペーストが既述のようにクリーム状ないしパテ状で流動性に乏しいため、狭い空間への注入充填が極めて困難であり、特に段ボールについては波形紙と両側ライナー紙との間の細い孔状の中空部に内奥まで注入することは実質的に不可能であり、何らかの特殊な機械的注入手段を開発したとしても、その注入作業に非常に手間を要する上、空気の巻き込みによる空洞部を生じ易く、中空部全体に均一な耐火層を形成できないことである。また、他の問題として、該原料組成物の硬化は水分の蒸発に伴って水溶性アルカリ珪酸塩がバインダーとして無機質粉末粒子を結着することによってなされるが、注入充填層は外部に露呈しないために水分の蒸発が進みにくく、完全硬化するのに10日以上といった長期間を要して生産効率が悪い上、段ボールの紙材やハニカムボードの板紙が該組成物の水分を吸収して膨潤軟化し、乾燥する過程で反りや歪み等の変形を生じて品質低下を招き易いことがある。なお、前記水性ペーストの水分量を多くして流動性を付与すれば、注入充填は容易になるが、充填後の硬化が更に著しく遅れることに加え、紙材の膨潤軟化・乾燥に伴う変形が更に生じ易くなる。
そこで、本発明者らは、更に引き続いて綿密な実験研究を重ねた結果、前記先行技術のような熱発泡性材料の原料組成物を造粒し、この造粒物を充填して耐火層を形成した場合、火災の高熱に晒された際に該耐火層の個々の造粒物が良好に溶融発泡し、しかも溶融発泡物同士が融合して連続した均一な断熱発泡層に転化し、極めて優れた遮炎断熱機能を発揮し得ることを究明した。そして、この造粒物を用いれば、前記の段ボールやハニカムボードの狭い中空部に対し、重力で流し込む形で容易に且つ均一に充填できる上、平常時の断熱性と火災時の初期断熱性が共に高くなり、しかも軽量な耐火断熱材を提供できることを見出し、本発明をなすに至った。
すなわち、本発明の請求項1に係る耐火断熱材は、段ボールからなる基材の中空部に、水溶性アルカリ珪酸塩と他の無機質粉末を主成分とする熱発泡性材料の造粒物が充填されてなるものとしている。
また、この請求項1の耐火断熱材の好適態様として、請求項2の発明では基材の段ボールの波状紙とライナー紙との間に構成される中空部に、前記造粒物が充填されてなる構成、請求項3の発明では前記基材が波状紙とライナー紙とを複数層に積層した積層段ボールであり、その少なくとも片面側最外層の波状紙と両側ライナー紙との間の中空部に、前記造粒物が充填されてなる構成、請求項4の発明では前記基材が波状紙の両面に貼着したライナー紙の少なくとも一方が可撓性紙からなるフレキシブル段ボールであり、その波状紙と両側ライナー紙との間の中空部に前記造粒物が充填されてなる構成、、請求項5の発明では前記基材が段ボール製の表裏板を備えた中空パネルであり、その表裏板間の中空部に前記造粒物が充填されると共に、表裏板の各段ボールにおける波状紙と両側ライナー紙との間の中空部内に珪酸ナトリウムを主体とする粉末が充填されてなる構成、をそれぞれ採用している。
一方、本発明の請求項6に係る耐火断熱材は、両側面板の少なくとも一方が板紙からなるハニカムボードの中空部に、水溶性アルカリ珪酸塩と他の無機質粉末を主成分とする熱発泡性材料の造粒物が充填されてなるものとしている。
しかして、前記請求項1〜6の耐火断熱材における造粒物に関し、請求項7の発明は平均粒度が0.1〜3mmである構成、請求項8の発明は前記の他の無機質粉末として炭酸カルシウム又は/及びホルマイト系鉱物の粉末を含有する構成、請求項9の発明は、前記の他の無機質粉末としてベントナイトを含有する構成、請求項10の発明は造粒物中の水溶性アルカリ珪酸塩の含有量が30〜90重量%である構成、請求項11の発明は水溶性アルカリ珪酸塩として珪酸ナトリウム粉末を含有すると共に、珪酸カリウム水溶液をバインダーとして造粒されたものからなる構成、をそれぞれ採用している。
請求項1の発明によれば、段ボールを基材とする耐火断熱材として、その中空部に充填された耐火層の熱発泡性材料が火災時に溶融発泡して高度の遮炎断熱機能を発揮する一方、該熱発泡性材料が造粒物であることから、耐火層の形成に際して該造粒物を重力で流し込む形でハニカムコアの中空部に容易に且つ均一に充填でき、水性ペーストの熱発泡性材料のように硬化に長時間を要したり紙材の変形を乗じたりすることがなく、製造能率及び量産性に優れ、低コストで高品質なものを安定的に製作でき、また耐火層が造粒物の充填層として空隙を含むため、平常時の断熱性と火災時の初期断熱性が共に高く、しかも耐火層が低密度で軽いために全体としても軽量なものが提供される。しかして、この基材は段ボールからなるため、安価に入手できる上、サイズの大きい原版からの切断や打ち抜きによって様々な大きさや形状のものを容易に作製でき、しかも火災の高熱に晒された際に紙製の表面部が焼失するから、露呈した内部の耐火層が直ちに溶融発泡を開始すると共に、この溶融発泡による膨張が妨げられず、遮炎断熱性に優れた均一な断熱発泡層が形成されるという利点がある。
請求項2の発明によれば、保護対象の内外装材や包装材等に好適に使用できる耐火パネルとして、段ボール形態で且つ高い遮炎断熱機能を備え、安価で製造容易なものが提供される。
請求項3の発明によれば、積層段ボール形態の耐火断熱材として、高い遮炎断熱機能を備え、安価で製造容易なものが提供される。
請求項4の発明によれば、保護対象の管部や柱状部に巻装したり曲面等の非平坦面に沿って貼着することによって、優れた遮炎断熱機能を発揮する耐火被覆を構成できるフレキシブル段ボール形態の耐火断熱材が提供される。
請求項5の発明によれば、表裏板が段ボールにて構成された中空パネルの内部に前記造粒物が充填されると共に、表裏板の各段ボール自体の中空部内にも珪酸ナトリウムを主体とする粉末が充填されていることから、面板や壁材等の構造用耐火性パネルとしてより優れた遮炎断熱性を備えて且つ軽量で製造容易なものが提供される。
請求項6の発明によれば、ハニカムボード形態の耐火断熱材として、基材の面板が板紙からなるため、火災の高熱に晒された際に該板紙の焼失によって露呈した内部の耐火層が直ちに溶融発泡を開始すると共に、この溶融発泡による膨張が妨げられず、均一な断熱発泡層の形成によって極めて高い遮炎断熱機能を発揮できる上、耐火層に用いる熱発泡性材料が造粒物であることから、耐火層の形成に際して該造粒物を重力で流し込む形でハニカムコアの中空部に容易に且つ均一に充填でき、水性ペーストの熱発泡性材料のように硬化に長時間を要したり面板の板紙を膨潤軟化させたりすることがなく、低コストで高品質なものを安定的に能率よく製作でき、また耐火層が造粒物の充填層として空隙を含むため、平常時の断熱性と火災時の初期断熱性が共に高く、しかも耐火層が低密度で軽いために全体としても軽量なものが提供される。
請求項7の発明によれば、上記の耐火断熱材において、造粒物として特定粒度のものを用いることから、耐火層の形成に際して狭い中空部への充填が容易で且つ空洞部の生成を防止できると共に、熱発泡性材料による充分な耐火性を確保できる。
請求項8の発明によれば、上記の耐火断熱材において、熱発泡性材料に炭酸カルシウム又は/及びホルマイト系鉱物の粉末を含有することから、火災時の耐火層の溶融発泡状態が良好となり、より優れた遮炎断熱機能を発揮できる。
請求項9の発明によれば、上記の耐火断熱材において、熱発泡性材料にベントナイトを含むことから、該熱発泡性材料の造粒時の成形性が改善され、造粒物の歩留りが向上するという利点がある。
請求項10の発明によれば、上記の耐火断熱材において、造粒物中に水溶性アルカリ珪酸塩を特定比率で含むことから、火災時の熱発泡性を充分を確保して、且つ断熱性に優れた均一な発泡層を生成できる。
請求項11の発明によれば、上記の耐火断熱材において、前記他の熱発泡性材料の基本成分である水溶性アルカリ珪酸塩に粉末形態のものを用い、且つ珪酸カリウム水溶液をバインダーとして造粒することから、造粒物の耐圧潰強度が向上すると共に、造粒物の硬化が早まって生産性向上に繋がるという利点がある。
本発明に係る耐火断熱材は、既述のように、段ボール又は面板に板紙を用いたハニカムボードからなる基材の中空部に、水溶性アルカリ珪酸塩と他の無機質粉末を主成分とする熱発泡性材料の造粒物が充填されたものであり、この造粒物の充填層が耐火層として機能し、火災時の高熱に晒された際、該造粒物が溶融発泡して連続した断熱発泡層に転化し、優れた遮炎断熱機能を発揮する。
しかして、造粒物は流動性に富むから、前記の段ボールやハニカムボードからなる基材の狭い中空部に対して重力によって流し込む形で容易に充填できる上、空洞部を生じず、密度の高い均一な充填層を形成でき、しかも既述の先行技術における水性ペーストのように硬化させる必要がなく、該充填層がそのまま耐火層として機能し、加えて段ボールのライナー紙やハニカムボードの板紙には水性ペーストのような水分の吸収による膨潤軟化を生じる懸念がない。また、このような充填層では造粒物の粒子間に空隙が存在するから、平常時においては空隙の空気による高い断熱性が得られ、火災時にも該空気による初期断熱作用によって耐火性がより向上し、加えて耐火層が低密度で軽いために耐火断熱材全体としても軽量化することになる。
造粒物の熱発泡性材料に用いる水溶性アルカリ珪酸塩は、熱発泡性をもたらすための基本成分であり、火災時の受熱によって溶融状態となって気化した含有水分(造粒物中に湿気として含まれる水分と結晶水とに由来する)を気泡化させて溶融物中に留まらせ、もって断熱発泡層の形成を可能にするものである。しかして、造粒物中の水溶性アルカリ珪酸塩の含有量は、30〜90重量%の範囲が好ましく、少な過ぎては充分な熱発泡性が得られず、逆に多過ぎても熱発泡が不均一になって生成する発泡層の断熱性能が低下する。
このような水溶性アルカリ珪酸塩は、M2 O・nSiO2 (Mはアルカリ金属)の構造式で表され、化合物としての珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、珪酸リチウム等の他、アルカリ珪酸系ガラスの濃厚溶液である水ガラス、この水ガラスから水分を蒸発させるか、もしくは無水水ガラスと少量の水とを加熱して得られる粉末状の和水水ガラスが挙げられるが、化合物の種類や水ガラスのグレードによってM2 OとSiO2 のモル比に幅がある。しかして、水溶性アルカリ珪酸塩としては、熱発泡性の面より特に珪酸ナトリウムを主体とすることが推奨される。
一方、熱発泡性材料に用いる他の無機質粉末は、前記水溶性アルカリ珪酸塩と協働して受熱による発泡をコントロールし、その発泡のタイミングとスピードを適度にバランスさせて熱遮断性に優れた均一な発泡層の生成に寄与するものである。しかして、このような他の無機質粉末の造粒物中の含有量は、10〜70重量%の範囲が好ましく、少な過ぎては熱発泡が不均一になって生成する発泡層の断熱性能が低下し、逆に多過ぎても充分な熱発泡性が得られなくなる。
このような他の無機質粉末としては、従来より無機及び有機コーティング剤の骨材や充填剤に使用されている種々の無機化合物及び天然鉱物の粉末を使用でき、例えば、炭酸カルシウム粉末、セピオライトの如きホルマイト系鉱物粉末、ホワイトカーボンやコロイダルシリカの如き微粒子状シリカ、水酸化アルミニウム粉末、焼成クレー、酸化チタン粉末、バーミュキュライトの如き加水雲母類粉末、珪酸カルシウム粉末、天然ガラス粉末、パーライトの如き真珠岩類の粉末、ベントナイト,カオリン類,シリマナイトの如きクレー及びこれらの焼成クレー、シラスバルーン、中空セラミック粒子等が挙げられ、これらは2種以上を併用可能である。
上記の無機質粉末の内で特に好適なものは、炭酸カルシウム粉末と、ホルマイト系鉱物粉末である。すなわち、炭酸カルシウム粉末は、900℃程度で熱分解して炭酸ガスを発生し、これが受熱による発泡時に気泡となるため、発泡助剤として機能して断熱性により優れた発泡層を生成させることになる。また、セピオライトの如きホルマイト系鉱物粉末は、繊維状組織を有することから、呼吸作用によって造粒物中の水分含有量を発泡に必要な適度な範囲に維持させる共に、受熱による発泡時に気泡の合体による空洞生成や気泡の偏りを防止して均一な発泡層の生成に寄与する。そして、炭酸カルシウム粉末の配合量は、造粒物中の3〜15重量%を占める範囲が好適であり、少な過ぎては充分な使用効果が得られず、逆に多過ぎては造粒物が高硬度となって発泡性低下を招くという問題がある。一方、ホルマイト系鉱物粉末の配合量は、造粒物中の2〜8重量%を占める範囲が好適であり、少な過ぎては充分な使用効果が得られず、逆に多過ぎては造粒物の圧潰強度が不充分になるという問題がある。
また、ベントナイトは、熱発泡性材料の造粒時の成形性をよくする機能があり、この配合によって未造粒粉を少なくし、もって造粒物の歩留り向上に貢献する。このベントナイトの配合量は、造粒物中の0.5〜10重量%を占める範囲が好適であり、少な過ぎては充分な使用効果が得られず、逆に多過ぎては造粒物が乾燥しにくくなるという問題がある。
他の無機質粉末として、酸化チタン粉末は、防黴作用を発揮するという利点がある。また、水酸化アルミニウム粉末は、200〜300℃程度で急激な脱水分解を生じ、その吸熱反応と水の蒸発による気化熱の吸収とで大きな冷却効果をもたらし、初期段階での昇温抑制に寄与するため、特に基材の構造的制約から耐火層の厚さを大きくできない場合の配合材として好適てある。その他、シラスバルーンや中空セラミック粒子は造粒物の軽量化に寄与する。焼成クレーは、熱伝導率が低いため、断熱作用を高める作用がある。微粒子状シリカは、SiO2 付与成分として水溶性アルカリ珪酸塩のSiO2 /M2 O(Mはアルカリ金属)のモル比を高め、溶融発泡時の垂れ防止に寄与する。バーミュキュライトの如き加水雲母類粉末は、層状粒子からなるために造粒物の保湿性を高める効果がある。
本発明で用いる熱発泡性材料は、既述のように、水溶性アルカリ珪酸塩と他の無機質粉末とを主成分とするものであるが、必要に応じて各種添加剤、例えば造粒物の割れ防止に効果がある短繊維物質、過度な乾燥による造粒物の水分喪失を防ぐ保湿剤、造粒用の結合剤、着色剤等を、本来の熱発泡性を損なわない少量の範囲で配合できる。上記の短繊維物質としては、合成樹脂繊維、ガラス繊維、カーボン繊維、金属繊維、セラミック繊維等を使用できる。なお、合成樹脂繊維は、火災時の受熱によって炭化し、炭化物として断熱作用を発揮するから、可燃性であっても差し支えない。
造粒物の平均粒度は0.1〜3mmの範囲が好適である。すなわち、粒度が小さ過ぎるものでは、流動しにくいために中空部への充填操作に困難をきたすことになる。また、粒度が大き過ぎるものでは、中空部への充填中に粒子同士が橋架け状態になって途中で引っ掛かり易く、これによって大きな空洞部を生じる懸念があると共に、充填後の粒子間の隙間が大きいため、耐火層の空隙過多によって耐火性が低下する。なお、造粒物は、篩等で分級して粒度を揃えてもよいが、極端に粗大なものがなければ、粒度が不揃いであっても差し支えないし、未造粒の粉末粒子が多少混ざり込んでいてもよい。
なお、本発明の耐火断熱材では、このような造粒物を前記の段ボールやハニカムボードからなる基材の中空部に充填して熱発泡性の耐火層を形成するが、熱発泡性材料の主成分である水溶性アルカリ珪酸塩の比重は1以下で、他の無機質粉末の比重も大きくて3〜4程度であるから、造粒物自体が低比重である上、充填した造粒物間には空隙ができるから、耐火層形成による全体重量の増加はさほど大きくはならない。
前記造粒物の造粒手段には制約はなく、例えば、粉末状の水溶性アルカリ珪酸塩(特に珪酸ナトリウム粉末)を用いた熱発泡性材料の粉末混合物を容器に入れ、水やバインダー溶液を添加しつつ該容器に回転や揺動を与えて粒子を成長させる方法、含湿状態の熱発泡性材料粉末を型押しして成形する方法、湿潤状態の熱発泡性材料の混練物を棒状等に押し出して切断する方法等、種々の方法を採用できる。また、造粒物の粒子形状についても特に制約はなく、球状、円柱状、ペレット状、タブレット状、塊状等、様々な形状のものを使用できるが、流動性及び充填性の観点より球状に近いものが好ましい。
なお、水溶性アルカリ珪酸塩として珪酸ナトリウム粉末を用いると共に、造粒時のバインダー溶液としてアルカリ珪酸塩である珪酸カリウムの水溶液を用いれば、水の減量によって造粒後の乾燥硬化が早くなると共に、耐圧潰強度の大きい造粒物が得られるという利点がある。
球状に近い造粒物を能率よく得る手段として、傾斜回転円盤式造粒機を用いた連続造粒方法がある。この造粒方法は、周縁に突縁を有する丸皿形容器を傾斜状態で回転させながら、該容器内に熱発泡性材料の粉末混合物を連続供給しつつ適量の水やバインダー溶液を噴霧し、もって熱発泡性材料粉末の粒子同士を結着させ、この結着粒子が回転する丸皿形容器の傾斜した底面を転動する過程で、更に相互の結着と表面への新たな粉末粒子の付加とによって成長すると共に、ある程度の粒度に達したものが下部位置で丸皿形容器の突縁を越えて放出されることから、比較的に粒度の揃った球状に近い造粒物が連続的に製出される。この場合、前記丸皿状容器の傾斜角度、その周縁の突縁高さ、回転速度、前記粉末混合物の供給量等の造粒条件の設定により、造粒物の粒度を任意に調整することが可能である。
図1は本発明に係る耐火断熱材の構成例である段ボール形態の耐火性パネルAを示す。この耐火性パネルAは、基材が剛性を有する波形紙11の両側に板紙からなるライナー紙12,12を貼着した段ボール1であり、その波形紙11と両側のライナー紙12,12との間に構成される多数の平行孔状の中空部10…に、それぞれ前記同様の水溶性アルカリ珪酸塩と他の無機質粉末を主体とする熱発泡性材料の造粒物2a…を充填して耐火層2を形成している。
このような耐火性パネルAにあっては、火災時の高熱に晒された際、その外面側のライナー紙12とこれに接する波形紙11の一部が焼けるが、生成した炭化層と波形紙11の残部による断熱作用と耐火層2…及び内面側のライナー紙12による断熱作用により、内面側は低温に保たれる。そして、更に火炎の継続によって該炭化層が焼失すると、加熱された耐火層2…の造粒物2a…がある程度まで昇温した段階で溶融し、この溶融に伴って造粒物2a…の含有水分が気化して発泡し、その気泡の成長によって該耐火層2…の接炎部全体が厚い発泡層に転化し、この過程で気化熱を奪って温度上昇を抑制されると共に、生成した発泡層によって優れた耐火・断熱作用が発揮され、内面側のライナー紙12の紙層による断熱作用も相俟って内面側が長時間にわたって低温に維持される。
従って、この耐火性パネルAは、紙製の段ボール形態であるにも関わらず、これに包まれた内側部を火災の高熱から長時間にわたって守ることができ、例えば光ファイバー通信網における光ファイバーケーブルの分岐接続を行う中継ボックスの外張りを始め、各種収納ボックス、収納庫、収納室等の保護対象の壁面部に張設して高耐火性を付与する内外装材や、通常の段ボールと同様に各種物品の収納ケース等に供する高耐火性の包装材として好適に利用できる。また、基材自体は段ボール1であるために安価に量産できると共に、耐火層2の形成に造粒物2a…を用いることから、中空部10…が平行配置した細い孔状であるにも関わらず、その開口端から流し込む方法によって各中空部10の全長にわたって均一な耐火層2を容易に形成できるから、パネル全体としても効率よく低コストで製作可能である。
図2は本発明に係る耐火断熱材の構成例である片面耐火性積層段ボール材B,図3は同様構成例の両面耐火性積層段ボール材Cを示す。これら耐火性積層段ボール材B,Cの基材は、剛性を有する波形紙11と板紙からなるライナー紙12とを交互に積層貼着した積層段ボール3,4より構成されている。しかして、片面耐火性積層段ボール材Bでは複層(図では3層)構造の片面側最外層のみが、両面耐火性積層段ボール材Cでは複層(図では4層)構造の両面側最外層のみが、それぞれ波形紙11と両側のライナー紙12,12との間に構成される多数の平行孔状の中空部10a…に前記同様の熱発泡性材料の造粒物2a…を充填した耐火層2…を備えている。
これら耐火性積層段ボール材B,Cは、耐火層2…を設けた表面側が火災の高熱に晒された際、前記同様に耐火層3の熱発泡性材料が溶融発泡して優れた遮炎断熱機能を発揮する断熱発泡層に転化することから、それ自体で壁材や天井材等の内装材、面板、間仕切り、建具、収納ボックス構成材等として利用できると共に、平常時においては耐火層2…を設けていない層の中空部10b…の空気層による断熱保温作用及び遮音作用を発揮できるから、高耐火性を兼ね備えた保温材や防音材としても利用できる。また、これら段ボール材B,Cでは、耐火層2…を有する最外層の剛性によって通常の積層段ボールよりも高強度である一方、耐火層2…のない積層部の存在によって全体として比較的軽量であるから、通常の段ボールと殆ど同様に取り扱える。しかして、耐火性積層段ボール材Bについては、その使用形態では、火災が発生した場合に高熱に晒される側に、耐火層2…を有する側の面を位置させることは言うまでもない。
なお、上記の耐火性積層段ボール材B,Cは片面側又は両面側の最外層のみに耐火層2…を設けているが、片側又は両側の最外層を含む複数層に耐火層2…を設けたり、全ての層に耐火層2…を設けることも可能である。しかして、耐火層2…を設ける層を多くするほど全体重量は増すが、それだけ遮炎断熱性及び剛性が大きくなるため、耐火性積層段ボール材としての用途によっては好適な場合がある。
図4は本発明に係る耐火断熱材の構成例であるフレキシブル段ボール形態の耐火性被覆材Dを示す。この耐火性被覆材Dは、基材が波形紙51の両側に可撓性のライナー紙52,52を貼着したフレキシブル段ボール5であり、その波形紙51と両側のライナー紙52,52との間に構成される多数の平行孔状の中空部50…に、それぞれ前記同様の水溶性アルカリ珪酸塩と他の無機質粉末を主体とする熱発泡性材料の造粒物2a…を充填して耐火層2を形成している。
このような耐火性被覆材Dは、前記の通常の段ボールを用いた耐火性パネルAと同様に、火災の高熱に晒された際に耐火層3の熱発泡性材料が溶融発泡して断熱発泡層を形成するものであるが、全体が曲げ可能であるため、保護対象の管部や柱状部に巻装したり、曲面等の非平坦面に沿って貼着することによって、優れた遮炎断熱機能を発揮する耐火被覆を構成できる。
なお、上記基材のフレキシブル段ボール70は両側のライナー紙72,72を共に可撓性紙材より構成しているが、耐火性被覆材7の使用形態が常に片面側を凹面とする場合は、片側(凹面となる側)のライナー紙72のみを可撓性紙材にて構成してもよい。
前記の耐火性パネルA、耐火性積層段ボール材B,C、耐火性被覆材Dのように段ボールの波形紙とライナー紙との間の中空部に熱発泡性材料の造粒物2a…を充填して耐火層2を形成する場合、充填後の中空部の開口部は、造粒物2a…の流出を防ぐために接着テープ等で塞ぐか、あるいは水やバインダーを付与して開口部に臨む造粒物2a…を結着させるのがよい。
図5は本発明に係る耐火断熱材の構成例である中空段ボールパネル形態の耐火性パネルEを示す。この耐火性パネルEは、基材が表裏の面板61,61に段ボールを用いた中空段ボールパネル6であり、両面板61,61間の中空部60aに前記同様の水溶性アルカリ珪酸塩と他の無機質粉末を主体とする熱発泡性材料の造粒物2a…を充填した耐火層2が形成されると共に、各面板61の段ボールにおける波形紙61aと両側のライナー紙61bとの間の中空部60b…内に珪酸ナトリウムを主体とする粉末の充填層63が形成されている。
この中空段ボールパネル形態の耐火性パネルEにおいては、火災の高熱に晒された際、両面板61,61間の耐火層2の熱発泡性材料が溶融発泡して優れた遮炎断熱機能を発揮する断熱発泡層に転化するが、これに先立って火災側の面板61の充填層63も珪酸ナトリウムの溶融に伴って発泡層に転化する。しかして、充填層63から転化した発泡層は、該充填層63が珪酸ナトリウムを主体とする粉末からなるために発泡状態は良くないが、ある程度の遮炎断熱性を発揮することから、耐火層2による遮炎断熱機能を補ってパネル全体としての耐火性を高める機能を果たす。なお、充填層63には、珪酸ナトリウム粉末を単独で用いてもよいし、珪酸ナトリウム粉末と既述の他の無機質粉末として例示したものとの粉末混合物を用いてもよい。
この耐火性パネルEでは、パネルとしての剛性を高めるために表裏の面板61,61に段ボールを用いているが、該段ボールの中空部60b…は孔径が小さく、面板61,61間の中空部60の耐火層2に用いる造粒物2a…の粒度では充填困難であるため、この造粒物2a…の代わりに珪酸ナトリウムを主体とする粉末を充填して耐火性を補うようにしている。なお、面板61,61の段ボールの中空部60b…が空所のままであると、該面板61の面方向への燃え広がりを生じるため、耐火パネルとして機能しない。また、該中空部60b…に熱発泡性のない無機質粉末を充填した場合は、当然に遮炎断熱性が不充分になる。更に、両面板61,61に板紙を用いると、パネルとしての剛性が低下する。
なお、図示を省略しているが、耐火性パネルEの周縁部は、面板61,61間に適当な枠状スペーサを介在させ、接着テープや接着剤によって固着するか、用途に応じた適当な周枠材を嵌装して全体を一体化する。しかして、これら枠状スペーサや周枠材の材質については特に制約はない。
図6(A)(B)は本発明に係る耐火断熱材の構成例であるハニカムボード形態の耐火性パネルFを示す。この耐火性パネルFは、基材が表裏の面板71,71間にハニカムコア72を介在させたハニカムボード7からなり、そのハニカムコア72にて区割された各中空部70に前記同様の水溶性アルカリ珪酸塩と他の無機質粉末を主体とする熱発泡性材料の造粒物2a…を充填した耐火層2が形成されている。しかして、面板71,71は板紙からなると共に、ハニカムコア72は直線帯状板紙72aと波形帯状板紙72bとが交互に配置した構造になっている。
このような耐火性パネルFでも、火災の高熱に晒された際、外面側の面板71が焼けて生成した炭化層と耐火層2…及び内面側の面板71による断熱作用が発揮され、更に火炎の継続によって該炭化層が焼失すると、加熱された耐火層2…の造粒物2a…の含有水分が気化して発泡し、その気泡の成長によって該耐火層2…の接炎部全体が厚い発泡層に転化し、この過程で気化熱を奪って温度上昇が抑制されると共に、生成した発泡層によって優れた耐火・断熱作用が発揮され、もって内面側は長時間にわたって低温に維持される。また、耐火層2が造粒物2a…の充填層として空隙を含むため、平常時の断熱性と火災時の初期断熱性が共に高く、しかも耐火層が低密度で軽いためにパネル全体として軽量なものとなる。従って、この耐火性パネルFは、それ自体で壁材や天井材等の内装材、面板、間仕切り、建具、収納ボックス構成材等として好適に利用できる。
そして、この耐火性パネルFの製作においては、片側の面板71にハニカムコア72を固着した状態で、該ハニカムコア72側を上に向け、その中空部70…に造粒物2a…を充填して耐火層2…を形成したのち、その上に反対側の面板71を貼着すればよい。また、パネル周縁部については、用途に応じた適当な周枠材が嵌装される。しかして、造粒物2a…の充填操作は重力で流し込む形で容易に行えると共に、水性ペーストの熱発泡性材料のような硬化時間が不要であり、また面板71の板紙が膨潤軟化することもないから、該耐火性パネルFとして低コストで高品質なものを安定的に能率よく製作できる。
なお、上記基材のハニカムボード70におけるハニカムコア52は紙製であるが、金属や木等の他の材質を使用できると共に、その中空部5a…も矩形、三角形、六角形等の種々の形状に設定できる。また、片面側のみが火災に晒される可能性のある用途では、その片面側のみを板紙や木板として反対面側を金属等で構成してもよい。
本発明の耐火断熱材においては、表面の紙材に、難燃剤を含有させたり、耐水、化粧、防汚、表面保護等の目的で種々のコーティングを施したり、同様目的で合成樹脂フィルムを貼着することが可能である。
次に、本発明の耐火断熱材の実施例を示すが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、以下において部及び%とあるは重量部及び重量%を意味する。
実施例1
JIS3号珪酸ナトリウム粉末(SiO2 …56〜65%、
Na2 O…18〜22%) ・・・80部
炭酸カルシウム粉末(日東粉化工業社製SS−30) ・・・8部
セピオライト粉末(日成共益社製LFC−1) ・・・4部
水酸化アルミニウム粉末(日本軽金属社製B−53) ・・・6部
酸化チタン粉末(古川機械金属社製FA−55W) ・・・2部
ベントナイト(クニミネ工業社製クニゲルV1) ・・・3部
上記組成の熱発泡性材料をヘンシェルミキサーにて均一に混合し、得られた粉末混合物を定量送りフィーダーにより、傾斜回転円盤式造粒機の回転する丸皿形容器(内径1500mm、周縁の突縁高さ140mm、傾斜角度45°、回転速度40〜50Hz)内に傾斜の上位側から3600g/分の割合で連続的に供給すると共に、噴霧器にて1.2%濃度の珪酸カリウム水溶液(大阪珪酸曹達社製2号珪酸カリ)を1350ml/分の割合(造粒物における珪酸カリウムとしての配合量1.5部に相当)で上方から該容器内に噴霧することにより、平均粒度約0.5mmの造粒物を製出させた。そして、この造粒物を70℃で20分間乾燥処理したのち、縦横各55cm、厚さ10mmの段ボール(波形紙の厚さ200μm、波形ピッチ8mm、ライナー紙の厚さ400μm)の孔状の中空部に、充填用ロートを介して流入充填し、耐火層を形成することにより、段ボール形態の耐火性パネルを作製した。
実施例2
縦横55cm、全厚30mmの3層構造の積層段ボール(波形紙の厚さ200μm、波形ピッチ14mm、ライナー紙の厚さ400μm)を基材とし、その片面側最外層の波形紙と両側のライナー紙との間の孔状の中空部に、実施例1と同じ造粒物を同様に流入充填し、耐火層を形成することにより、耐火性積層段ボール材を作製した。
〔耐火性試験1〕
実施例1の段ボール形態の耐火性パネルと実施例2の耐火性積層段ボール材を、後者の積層段ボール材では耐火層形成側を下にして、それぞれ水平に固定し、下方に配置した火炎温度840℃のガスバーナーの炎を直火で当てて継続的に加熱したところ、両者共に加熱開始から約1分後に下面側のライナー紙が接炎位置を中心として直径約150mmの円形に焼け焦げて焼失し、次いで約2分後に内部の耐火層の造粒物が熱発泡を開始した。しかるに、加熱開始から30分後でも、下面側の焼失領域の拡大がない上、耐火性パネルの上面側のライナー紙ならびに積層段ボール材の次層は焼けることなく元の状態を保持していた。また、試験後の耐火層は接炎部を中心に直径200mm程度の拡がりで連続した発泡層に転化していた。
実施例3
JIS3号珪酸ナトリウム粉末(実施例1と同じ) ・・・80部
炭酸カルシウム粉末(実施例1と同じ) ・・・10部
セピオライト粉末(実施例1と同じ) ・・・5部
酸化チタン粉末(日成共益社製KD) ・・・3部
ベントナイト(実施例1と同じ) ・・・3部
上記組成の熱発泡性材料をヘンシェルミキサーにて均一に混合し、得られた粉末混合物を定量送りフィーダーにより、実施例1と同じ傾斜回転円盤式造粒機の回転する丸皿形容器(傾斜角度及び回転速度も実施例と同じ)内に傾斜の上位側から3600g/分の割合で連続的に供給すると共に、噴霧器にて1.2%濃度の珪酸カリウム水溶液(大阪珪酸曹達社製2号珪酸カリ)を2160ml/分の割合(造粒物における珪酸カリウムとしての配合量2.4部に相当)で上方から該容器内に噴霧することにより、平均粒度約0.5mmの造粒物を製出させ、これを実施例1と同様にして乾燥処理した。そして、図6(A)(B)で示す構造で縦横55cm、全厚30mmのハニカムボード(表裏面板の板紙の厚さ500μm、ハニカムコアの直線帯状板紙及び波形帯状板紙の厚さ200μm、直線帯状板紙の配置間隔7.8mm、波形帯状板紙の波形ピッチ12.8mm)を片側(上側)の面板が未貼着の状態で水平に置き、そのハニカムコアの区切られた空間部全体に、上記の造粒物を充填して耐火層を形成したのち、その上に面板を貼着してハニカムボード形態の耐火性パネルを作製した。
実施例4
JIS3号珪酸ナトリウム粉末(実施例1と同じ) ・・・72部
シラスバルーン(シラックスウ社製シラックスPB−03) ・・・13部
炭酸カルシウム粉末(実施例1と同じ) ・・・10部
セピオライト粉末(実施例1と同じ) ・・・3部
酸化チタン粉末(実施例1と同じ) ・・・2部
ベントナイト(実施例1と同じ) ・・・3部
熱発泡性材料を上記組成とした以外は実施例1と同様にして造粒を行い、平均粒度約0.5mmの造粒物を製出させた。そして、縦横各55cm、厚さ3mmの2枚の段ボール(波形紙の厚さ200μm、波形ピッチ6mm、ライナー紙の厚さ400μm)を用い、それぞれの孔状の中空部に、珪酸ナトリウム粉末(実施例1と同じ)を充填用ロートを介して充填し、その孔開口側の両側縁を粘着紙テープで封止した。そして、該段ボールの一方を同サイズの正方形木枠の片面に貼着し、これを段ボールを下にして水平に置き、その木枠の内側全体に上記造粒直後の含湿状態の造粒物を充填して耐火層を形成したのち、この木枠上に他方の段ボールを貼着することにより、図5で示す構成で全厚30mmの中空段ボールパネル形態の耐火性パネルを作製した。
実施例5
JIS3号珪酸ナトリウム粉末(実施例1と同じ) ・・・70部
中空セラミックス粒子(太平洋セメント社製SL−350) ・・・14部
炭酸カルシウム粉末(実施例1と同じ) ・・・10部
セピオライト粉末(実施例1と同じ) ・・・4部
酸化チタン粉末(実施例1と同じ) ・・・2部
ベントナイト(実施例1と同じ) ・・・3部
熱発泡性材料を上記組成とした以外は実施例1と同様にして造粒を行い、平均粒度約0.5mmの造粒物を製出させ、これを実施例1と同様にして乾燥処理した。そして、縦横各55cm、厚さ10mmの3層貼り合わせフレキシブル段ボール(片面ライナー紙の厚さ180μm、片面クレープライナー紙の厚さ900μm、波形紙の厚さ172μm、波形ピッチ13mm)を用い、その孔状の中空部に、上記の乾燥処理した造粒物を充填して耐火層を形成し、その孔開口側の両側縁を粘着紙テープで封止することにより、フレキシブル段ボール形態の耐火被覆材を作製した。
〔耐火性試験2〕
実施例3のハニカムボード形態の耐火性パネル、実施例4の中空段ボールパネル形態の耐火性パネル、実施例5のフレキシブル段ボール形態の耐火被覆材の各々について、それぞれを水平に固定し、その下面側の接炎位置に対応した上面側位置に熱電対を取り付け、下方に配置した火炎温度840℃のガスバーナーの炎を直火で当てて継続的に加熱し、上面側の温度を測定した。その結果、両耐火性パネル及び耐火被覆材のいずれにおいても、加熱開始から30分後でも上面温度は60℃未満であり、優れた断熱耐火性能を備えることが判明した。なお、この耐火性試験では、ハニカムボード形態の耐火性パネルとフレキシブル段ボール形態の耐火被覆材は、加熱開始から約1分後に下面側の紙層(面板、ライナー紙)が接炎位置を中心として直径約150mmの大きさで焼け焦げて焼失し、次いで約2分後に内部の耐火層の造粒物が熱発泡を開始し、試験後の耐火層は接炎部を中心に直径200mm程度の拡がりで連続した発泡層に転化していた。また、中空段ボールパネル形態の耐火性パネルでは、下面段ボールの外側ライナー紙の焼失に伴って当該段ボール内の粉末充填層が溶融発泡して該焼失域全体に僅かに膨らみを生じ、次いで約2分後に中空部の耐火層が熱発泡を開始し、試験後の耐火層は接炎部を中心に直径20cm程度の拡がりで膨らみを増して連続した発泡層に転化していた。
本発明の耐火断熱材の構成例である段ボール形態の耐火性パネル要部の厚み方向の断面図である。 本発明の耐火断熱材の構成例である片面耐火性積層段ボール材要部の厚み方向の断面図である。 本発明の耐火断熱材の構成例である両面耐火性積層段ボール材要部の厚み方向の断面図である。 本発明の耐火断熱材の構成例であるフレキシブル段ボール形態の耐火性被覆材要部の厚み方向の断面図である。 本発明の耐火断熱材の構成例である中空段ボールパネル形態の耐火性パネル要部の厚み方向の断面図である。 本発明の耐火断熱材の構成例であるハニカムボード形態の耐火性パネルを示し、(A)は一部切欠平面図、(B)は(A)のB−B線の断面矢視図である。
符号の説明
A 耐火性パネル(耐火断熱材)
B 片面耐火性積層段ボール材(耐火断熱材)
C 両面耐火性積層段ボール材(耐火断熱材)
D フレキシブル段ボール形態の耐火性被覆材(耐火断熱材)
E 中空段ボールパネル形態の耐火性パネル(耐火断熱材)
F ハニカムボード形態の耐火性パネル(耐火断熱材)
1 段ボール
10 中空部
11 波形紙
12 ライナー紙
2 耐火層
2a 造粒物
3,4 積層段ボール
5 フレキシブル段ボール
6 中空段ボールパネル
60a パネルの中空部
60b 面板の中空部
61 面板
61a 波形紙
61b ライナー紙
63 充填層
7 ハニカムボード
70 中空部
71 面板
72 ハニカムコア

Claims (11)

  1. 段ボールからなる基材の中空部に、水溶性アルカリ珪酸塩と他の無機質粉末を主成分とする熱発泡性材料の造粒物が充填されてなる耐火断熱材。
  2. 基材の段ボールの波状紙とライナー紙との間に構成される中空部に、前記造粒物が充填されてなる請求項1記載の耐火断熱材。
  3. 前記基材が波状紙とライナー紙とを複数層に積層した積層段ボールであり、その少なくとも片面側最外層の波状紙と両側ライナー紙との間の中空部に、前記造粒物が充填されてなる請求項1記載の耐火断熱材。
  4. 前記基材が波状紙の両面に貼着したライナー紙の少なくとも一方が可撓性紙からなるフレキシブル段ボールであり、その波状紙と両側ライナー紙との間の中空部に前記造粒物が充填されてなる請求項1記載の耐火断熱材。
  5. 前記基材が段ボール製の表裏板を備えた中空パネルであり、その表裏板間の中空部に前記造粒物が充填されると共に、表裏板の各段ボールにおける波状紙と両側ライナー紙との間の中空部内に珪酸ナトリウムを主体とする粉末が充填されてなる請求項1記載の耐火断熱材。
  6. 両側面板の少なくとも一方が板紙からなるハニカムボードの中空部に、水溶性アルカリ珪酸塩と他の無機質粉末を主成分とする熱発泡性材料の造粒物が充填されてなる耐火断熱材。
  7. 前記造粒物の平均粒度が0.1〜3mmである請求項1〜6のいずれかに記載の耐火断熱材。
  8. 前記造粒物は、前記の他の無機質粉末として炭酸カルシウム又は/及びホルマイト系鉱物の粉末を含有する請求項1〜7のいずれかに記載の耐火断熱材。
  9. 前記造粒物は、前記の他の無機質粉末としてベントナイトを含有する請求項1〜8のいずれかに記載の耐火断熱材。
  10. 前記造粒物中の水溶性アルカリ珪酸塩の含有量が30〜90重量%である請求項1〜9のいずれかに記載の耐火断熱材。
  11. 前記造粒物は、水溶性アルカリ珪酸塩として珪酸ナトリウム粉末を含有すると共に、珪酸カリウム水溶液をバインダーとして造粒されたものからなる請求項1〜10のいずれかに記載の耐火断熱材。
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