JP4097082B2 - 補強板によって補強されたコンクリートの欠陥検出方法および装置 - Google Patents

補強板によって補強されたコンクリートの欠陥検出方法および装置 Download PDF

Info

Publication number
JP4097082B2
JP4097082B2 JP2004103117A JP2004103117A JP4097082B2 JP 4097082 B2 JP4097082 B2 JP 4097082B2 JP 2004103117 A JP2004103117 A JP 2004103117A JP 2004103117 A JP2004103117 A JP 2004103117A JP 4097082 B2 JP4097082 B2 JP 4097082B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
defect
phase difference
heating
concrete
waveform
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2004103117A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005291743A (ja
Inventor
士郎 中村
美生 内田
▲隆▼英 阪上
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Osaka Cement Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Osaka Cement Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Osaka Cement Co Ltd filed Critical Sumitomo Osaka Cement Co Ltd
Priority to JP2004103117A priority Critical patent/JP4097082B2/ja
Publication of JP2005291743A publication Critical patent/JP2005291743A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4097082B2 publication Critical patent/JP4097082B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Investigating Or Analyzing Materials Using Thermal Means (AREA)
  • Radiation Pyrometers (AREA)

Description

本発明は、補強板によって補強されたコンクリートの欠陥を検出する方法およびその装置に関するものである。
コンクリート構造物の維持管理の重要性が増加するとともに、既存構造物の延命化が望まれており、さまざまな補修、補強工法が施工されている。その中でも、鋼板や繊維補強材料シートなどとコンクリートを一体化させる接着工法は、部材の耐力および耐久性向上を図る上で有効な補強方法である。しかし、これらの工法では、補強剤とコンクリートが一体化して初めて十分な補強効果が得られる。このため、施工不良や繰り返し加重による疲労劣化などにより両者の一体化が損なわれていないかを確認することが不可欠である。
従来、補強材料とコンクリートの接着の良否を検査するために、作業者がハンマーなどで検査部分を叩き、その音によって良否を判断することが行われている。
また、特許文献1には、電波をコンクリートに向けて放射し、その反射波を受信することによって、コンクリート内の欠陥を検査する装置が開示されている。
特許文献2には、コンクリート構造物の被診断部位の表面にパルスレーザ光を照射して熱膨張による弾性波を発生させ、その挙動を測定することにより、内部欠陥等を検査する装置が開示されている。
特開2002−350365
特開2002−296244
しかしながら、作業者が叩いて行う検査方法では、作業者の熟練を必要とするばかりでなく、検査効率が悪いという問題があった。
また、特許文献1のものでは、電波をコンクリート内部に向けて放射しているので、鋼板など電波をシールドしてしまう材質の補強板がある場合には、検査を行うことができなかった。
さらに、特許文献2のものでも、コンクリートの表面にパルスレーザ光を照射する必要があるため、やはり補強板がある場合には、検査を行うことができなかった。
また、上記の各検査方法では、接着層の欠陥であるか、コンクリート内部の欠陥であるかを判断することができなかった。
この発明は、補強板の接着されたコンクリートであっても、その欠陥を検出することのできる検査方法・装置を提供することを目的とする。
さらに、接着層の欠陥であるか、コンクリート内部の欠陥であるかを検出可能な方法・装置を提供することを目的とする。
(1)この発明に係る欠陥検査方法は、接着層によって補強板が接着されたコンクリートの欠陥を検出する方法であって、補強板の計測対象表面の全面に対して加熱を行い、少なくとも前記加熱を停止した後の加熱停止期間において、計測対象表面の各単位領域における表面温度の時間的変化を計測し、各単位領域における表面温度の時間変化の相対的相違に基づいて、欠陥部を検出することを特徴としている。
したがって、ある時刻における表面温度分布だけでは検出することが困難であるような欠陥も、検出することができる。
(2)この発明に係る欠陥検査方法は、各単位領域における表面温度の時間変化の相対的相違は、各単位領域における表面温度波形の、第1の所定周期を有する参照波形に対する位相差に基づいて決定されるものであることを特徴としている。
したがって、表面温度の時間的変化の相違を、容易に把握することができる。
(1)この発明にかかる欠陥検出方法は、
接着層によって補強板が接着されたコンクリートの欠陥を検出する欠陥検出方法であって、
補強板の計測対象表面の全面に対して加熱を行い、
少なくとも前記加熱を停止した後の加熱停止期間において、計測対象表面の各単位領域における表面温度の時間的変化を計測し、
各単位領域における表面温度の時間変化の相対的相違に基づいて、欠陥部を検出する欠陥検出方法であって、
前記各単位領域における表面温度の時間変化の相対的相違は、各単位領域における表面温度波形の、第1の所定周期を有する参照波形に対する位相差に基づいて決定されるものであり、
検出した欠陥部について、第2〜第nの周期の参照波形を用いて位相差を算出し、少なくとも第2〜第nの周期の参照波形における位相差に基づいて、接着層の欠陥であるか、コンクリートの内部の欠陥であるかを判断するものであり、
前記位相差は、前記加熱および前記計測を1回行って得られた、1つの時系列における計測データについて、複数の異なる参照波形を用いて算出されたものであること
を特徴としている。
したがって、欠陥が接着層にあるのか、コンクリートにあるのかを判断することができる。
(2)この発明にかかる欠陥検出方法は、
接着層によって補強板が接着されたコンクリートの欠陥を検出する欠陥検出方法であって、
補強板の計測対象表面の全面に対して加熱を行い、
少なくとも前記加熱を停止した後の加熱停止期間において、計測対象表面の各単位領域における表面温度の時間的変化を計測し、
各単位領域における表面温度の時間変化の相対的相違に基づいて、欠陥部を検出する欠陥検出方法であって、
前記各単位領域における表面温度の時間変化の相対的相違は、各単位領域における表面温度波形の、第1の所定周期を有する参照波形に対する位相差に基づいて決定されるものであり、
検出した欠陥部について、第2〜第nの周期の参照波形を用いて位相差を算出し、少なくとも第2〜第nの周期の参照波形における位相差に基づいて、接着層がコンクリートと補強板との間に殆ど存在せず空間となっている不良であるか、接着層がコンクリートと補強板との間に完全に充填されていない不良であるか、コンクリートの内部の欠陥であるかを判断するものであり、
前記位相差は、前記加熱および前記計測を1回行って得られた、1つの時系列における計測データについて、複数の異なる参照波形を用いて算出されたものであること
を特徴としている。
したがって、欠陥が接着層にあるのか、コンクリートにあるのかを判断できるだけでなく、接着層の欠陥が、部分的なものであるか否かを判断することができる。
(3)この発明に係る欠陥検出方法は、健全部の位相差と欠陥部の位相差との差を、少なくとも第2〜第nの周期の参照波形について算出し、これらの差に基づいて、欠陥の種類を判断することを特徴としている。(4)また、この発明に係る欠陥検出方法は、欠陥種類と、参照波形の周期を変化させたときに生じる前記「健全部の位相差と欠陥部の位相差との差」についての変化パターンとの関係を示したテーブルに基づいて欠陥種類を判定することを特徴としている。
したがって、健全部と欠陥部との相対的な相違に基づいて、欠陥の種類を判断することができる。
(5)この発明にかかる欠陥判断方法は、
接着層によって補強板が接着されたコンクリートの欠陥の種類を判断する方法であって、
補強板の計測対象表面の全面に対して加熱を行い、
少なくとも前記加熱を停止した後の加熱停止期間において、計測対象表面の各単位領域における表面温度の時間的変化を計測し、
欠陥部における表面温度の時間変化波形と第1〜第nの周期の参照波形のそれぞれとの位相差を算出し、当該位相差によって、欠陥の種類を判断する欠陥判断方法であって、
前記位相差は、前記加熱および前記計測を1回行って得られた、1つの時系列における計測データについて、複数の異なる参照波形を用いて算出されたものであることを特徴としている。
したがって、どのような種類の欠陥であるかを判断することができる。
(7)この発明に係る欠陥検査装置は、接着層によって補強板が接着されたコンクリートの欠陥を検出する欠陥検出装置であって、補強板の計測対象表面の全面に対して加熱を行う加熱制御装置に対して、加熱開始指令および加熱停止指令を行う加熱制御手段と、少なくとも前記加熱を停止した後の加熱停止期間において、計測対象表面の各単位領域における表面温度を計測する温度計測器からのデータを入力して記録するデータ記録手段と、各単位領域における表面温度の時間変化波形と、所定周期を有する参照波形との位相差を算出する波形比較手段と、波形比較手段によって算出された各単位領域における前記位相差を、各単位領域の位置に対応づけて出力する出力手段とを備えている。
したがって、出力された位相差に基づいて、欠陥部分の判定を行うことができる。
(6)この発明にかかる欠陥検出装置は、
接着層によって補強板が接着されたコンクリート欠陥を検出する欠陥検出装置であって、
補強板の計測対象表面の全面に対して加熱を行う加熱制御装置に対して、加熱開始指令および加熱停止指令を行う加熱制御手段と、
少なくとも前記加熱を停止した後の加熱停止期間において、計測対象表面の各単位領域における表面温度を計測する温度計測器からのデータを入力して記録するデータ記録手段と、
各単位領域における表面温度の時間変化波形と、所定周期を有する参照波形との位相差を、複数の所定周期の参照波形のそれぞれについて算出する波形比較手段と、
少なくとも1つの所定周期の参照波形についての位相差に基づいて、欠陥領域を検出する欠陥検出手段と、
欠陥検出手段によって検出された欠陥領域について、複数の所定周期の参照波形についての位相差に基づいて、接着層の欠陥であるか、コンクリートの内部の欠陥であるかを判断する欠陥種類判断手段とを備えており、
前記位相差は、前記加熱および前記計測を1回行って得られた、1つの時系列における計測データについて、複数の異なる参照波形を用いて算出されたものであること
を特徴としている。
したがって、欠陥の有無だけでなく、その欠陥が接着層にあるのかコンクリートにあるのかを判断することができる。
(9)この発明に係る欠陥検査装置は、欠陥種類判断手段は、接着層がコンクリートと補強板との間に殆ど存在せず空間となっている不良であるか、接着層がコンクリートと補強板との間に完全に充填されていない不良であるか、コンクリートの内部の欠陥であるかを判断することを特徴としている。
したがって、接着層における欠陥の種類を判断することができる。
この発明において、「加熱制御手段」とは、加熱装置を制御する手段をいい、実施形態では、図6や図16のステップS401がこれに対応する。
「データ記録手段」とは、計測対象の表面温度データを記録するものであり、実施形態では、ハードディスク35がこれに対応する。
「画像化手段」とは、表面温度データを視覚的なデータに変換する手段をいい、図6のステップS406がこれに対応する。
「画像出力手段」とは、視覚的データを出力する手段をいう。ディスプレイ、プリンタなどの出力装置に出力するものだけでなく、他のソフトウエアに視覚的データを出力するものも含む概念である。実施形態では、図6のステップS407が画像出力手段に対応する。
「波形比較手段」とは、各単位領域の温度変化波形を参照波形と比較し、その違いを出力する手段をいう。位相差、周波数成分、波形の図形的形状差などを違いとすることができる。実施形態では、図6や図16のステップS405が波形比較手段に対応する。
「比較結果出力手段」とは、比較結果を出力する手段をいう。画像として比較結果を出力するものだけでなく、数値やデータとして出力するものを含む概念である。ディスプレイ、プリンタなどの出力装置に出力するものだけでなく、他のソフトウエアに視覚的データを出力するものも含む概念である。実施形態では、図6のステップS407や図18のステップS425がこれに対応する。
「表面温度の時間的変化を計測し」とは、各測定時点における測定開始時の温度との差を計測する場合だけでなく、各測定時点における温度を計測する場合も含む概念である。
「コンクリート」とは、いわゆる狭義のコンクリートだけでなく、モルタルなどを含む概念である。
「プログラム」とは、CPUによって直接実行可能なプログラムだけでなく、ソース形式のプログラム、圧縮されたプログラム、暗号化されたプログラムやハードディスク等によってインストールして動作可能となるプログラムなどを含む概念である。
1.欠陥検出の概念
コンクリート構造物などの熱伝導性の低い被検査体の表面に対して、一定量を超えるような大きな熱量が与えられた場合、被検査体の内部にいわゆる加熱層が発生し、表面温度が下降する冷却期間中にも内部への熱伝導が持続されることが予測される。
すなわち、低熱伝導性材料から構成された物体の表面に熱負荷を与えた場合、与えられた熱負荷による熱量が大きい程、加熱を停止した後の加熱停止期間においても内部への熱伝導が持続される。
したがって、持続された内部への熱伝導が検出対象となる欠陥の深さ地点にまで到達し、熱の到達によって生じた温度上昇に基づく表面温度の変化を測定することができれば、少なくとも当該地点までの深さに存在する欠陥の検出が可能となる。
図2のAに示す人工欠陥供試体1には、表面からの深さdが100mmおよび50mmの位置に、厚さ10mmのポリエチレンシートの模擬剥離2、5、厚さ5mmのポリエチレンシートの模擬剥離3、6、厚さ2mmのポリエチレンシートの模擬剥離4、7がそれぞれ埋設されている。
人工欠陥1に対して、(1)加熱距離(熱源から供試体までの距離)を2m、加熱時間を20分とした場合、および(2)加熱距離を0.5m、加熱時間を1分とした場合に、加熱を停止した後(25分経過後)に赤外線サーモグラフィ(検出波長8〜13μm、NETD値0.1℃)により表面温度分布を計測した。計測は、加熱停止後25分の時点にて行った。
図2のBは、(1)加熱距離を2m、加熱時間を20分とした場合の表面温度分布画像である。また、図2のCは、(2)加熱距離を0.5m、加熱時間を1分とした場合の表面温度分布画像である。
図2のBの温度分布画像においては、b1、b2およびb3付近が高温で表示されている。これは、模擬欠陥5〜7についての欠陥検出が可能であることを示している。また、図2のCの温度分布画像においては、c1、c2およびc3付近が高温で表示されている。これは、深さ50mmの模擬欠陥5〜7についての欠陥検出が可能であることを示している。上記のようにして、コンクリート構造物の内部欠陥を検出することができる。
図3Aに、補強板20を接着層21によって接着したコンクリート23の断面を示す。図3Bに接着層21の充填不良による欠陥21aが生じた状態を示す。図3Cにコンクリート23が剥離し、内部に欠陥23aが生じた状態を示す。
図3に示すような欠陥についても、基本的には、上記と同様の検出手法を用いることができる。
しかしながら、鋼板や繊維補強シートによる補強板20、エポキシによる接着層21が、コンクリート23の外側にあるため、この点を考慮に入れた検出方法を採用しなければならない。加熱停止後に、欠陥部分の表面と健全部の表面とにおいて温度差が生じるが、補強板20や接着層21の迅速な熱伝導によって、その温度差は急速に失われてしまう。よって、加熱停止後の温度分布だけで、欠陥を検出することは困難なことも多い。
そこで、ここでは、加熱停止後の表面温度の変化波形に基づいて、健全部と欠陥部を判断するようにしている。
2.第1の実施形態
(1)全体構成
図1に、本発明の一実施形態である欠陥検査システムの概略構成を機能ブロック図で示す。欠陥検査システムは、欠陥検査制御装置10、加熱装置17、温度計測器19を備えている。欠陥検査制御装置10は、加熱制御手段11、データ記録手段13、波形比較手段12、比較結果出力手段14を備えている。
加熱制御手段11は、補強板に対して加熱を行う加熱装置17を制御するものである。データ記録手段13は、少なくとも加熱終了後の、各単位領域における表面温度を連続的に記録する。波形比較手段12は、各単位領域における表面温度の時間的変化波形と、所定周期を有する参照波形との位相差を算出する。比較結果出力手段14は、当該位相差を画像などとして出力するものである。操作者は、出力結果に基づいて、欠陥を検出することができる。
図4に、欠陥検出システムの外観を示す。コンクリート23に、接着層21によって補強板20が接着されている。補強板20に対向して、この補強板20に熱負荷を与えるヒーター21を設置する。なお、ヒーター21は、補強板20に対して均質な熱負荷を与えるため、熱負荷の出力を調整することのできるリレー装置25に接続されている。リレー装置25を設けることにより、ヒーター21の中心部における照射量を調整し、補強板20の中心部が周辺部に比べて高温にならないようにしている。なお、補強板20は熱伝導性の良い鋼板や繊維補強材料から形成されているので、コンクリートを直接加熱する場合に比べて、加熱が均一になされやすいので、リレー装置25による均一化の処理は省略してもよい。
信号発生装置27は、リレー装置25およびコンピュータ装置29に接続されており、コンピュータ装置29から受けた加熱開始指令に基づいて、リレー装置25を制御するための信号を発生する。
赤外線カメラ23は、補強板20に対向して設置されるとともに、コンピュータ装置29に接続されており、補強板20の表面温度を時系列で計測し、この計測データをコンピュータ装置29に出力する。
計測データの出力を受けて、コンピュータ装置29は、計測データを記録し、当該データに基づいて、欠陥を判断するための画像出力を行う。
なお、図1における、欠陥検査制御装置10は、コンピュータ装置29および信号発生装置27によって実現される。加熱装置17は、ヒーター17およびリレー装置25によって実現される。温度計測器19は、赤外線カメラ23によって実現される。なお、信号発生装置27を設けずに、コンピュータ装置29から加熱装置17を直接制御するようにしてもよい。補強板20とヒーター21との距離を変えることにより、補強板20、接着層21、コンクリート23に与える熱を変えることができる。
(2)ハードウエア構成
図5に、コンピュータ装置29のハードウェア構成図を示す。この装置は、CPU30、メモリ31、ディスプレイ33、ハードディスク35(記憶装置)、キーボード/マウス37、通信回路39を備えている。
通信回路39は、信号発生装置27、赤外線カメラ23などとの接続を行うための回路である。ハードディスク35には、オペレーティングシステムや欠陥検査のためのプログラムが記録されている。欠陥検査のためのプログラムは、オペレーティングシステムと協働してその機能を達成している。
(3)フローチャート
図6に、欠陥検出プログラムのフローチャートを示す。まず、CPU30は、信号発生装置27に対し、通信回路39を介して加熱条件を出力する(ステップS401)。たとえば、加熱時間が1.5分、加熱強度が38.8kW(ヒーター出力)で一定となるような加熱条件を出力する。
前記加熱条件は、信号発生装置27に与えられ、波形信号に変換されてリレー装置25に出力される。リレー装置25は、入力した波形信号に基づいてヒーター21を作動させる。これにより、所定の加熱条件で補強板20、接着層21、コンクリート23に熱負荷を与える。
これにより、図7に示すように、所定の加熱時間の間、所定の加熱強度で一定となるような熱負荷が与えられることになる。
次に、CPU30は、加熱停止から(ステップS402)、通信回路39を介して、赤外線カメラ23の出力(表面温度データ)を取り込み、ハードディスク35に記録する(ステップS403)。CPU30は、この表面温度データの記録を、予め定められた測定終了時刻(加熱停止から3分などの所定時間)まで、連続して実行する(ステップS404)。
なお、加熱開始後からの表面温度データを連続的に取り込んで記録しておき、加熱停止からのデータのみを読み出すようにしてもよい。
赤外線カメラ23は、図8に示すように、計測対象の各単位領域P1,1〜Pk,jについての表面温度を出力する。つまり、計測対象表面を、縦k、横jのマトリクスとし、それぞれの単位領域の表面温度を計測するものである。したがって、ハードディスク35には、図9に示すように、各単位領域P1,1〜Pk,jについて、時刻t1(加熱終了時)から時刻tN(計測終了時)までの表面温度データ記録される。なお、この実施形態では、赤外線強度を記録するようにしている。
図11Aに、図10Aに示すような接着層21の充填不良による欠陥21aの上部の表面温度の変化と、健全部の表面温度との変化を、有限要素法によって算出したグラフを示す。解析モデルの斜視図は、図10Dのとおりである。鋼板、エポキシ、コンクリート、空気の熱物性値は、図12に示す数値を用いた。また、初期温度を20度、解析開始から3秒間外気温を80度、その後は20度一定とすることにより、強制加熱を模擬した温度解析を行った。図11Aに示すように、欠陥部のほうが温度の低下がゆっくりとしている。
図11Bに、図10Bに示すような接着層の一部充填不良による欠陥21bの上部の表面温度の変化と、健全部の表面温度の変化とを示す。さらに、図11Cに、図10Cに示すようなコンクリート23の内部欠陥23aの上部の表面温度の変化と、健全部の表面温度の変化とを示す。いずれのグラフにおいても、欠陥部のほうが温度の低下がゆっくりとしている。
CPU30は、この欠陥部と健全部の波形の違いが明瞭となるような画像を生成して出力する。この実施形態では、温度変化の波形と所定周期を有する参照波形との位相差を算出し、当該位相差に基づく画像を生成するようにしている。
CPU30は、ステップS405において、各単位領域P1,1〜Pk,jの表面温度の変化波形と、参照波形との位相差を算出する。図13に、位相差算出処理のフローチャートを示す。ここで、測定領域の各単位領域毎の表面温度データをKで表し、時刻t、単位領域x,yにおける温度をKt,x,yとする。CPU30は、このKt,x,yを各領域毎にハードディスク35から呼び出し、メモリ31に記憶する。
まず、CPU30は、ステップS501において、単位領域のインデックスx、yをそれぞれ「1」に設定する。次に、単位領域P1,1の表面温度データ波形と、周期240秒の参照波形(sin波)との位相差を算出する(ステップS502)。なお、参照波としては、図7に示すようなサイン波を用いる。
この実施形態では、下記に基づいて、位相差を算出するようにしている。まず、下式により、参照波形に同期する表面温度波形の変動振幅ΔKsinと参照波形と90度位相がずれたcos波に同期する表面温度波形の変動振幅ΔKcosを算出する。
Figure 0004097082
ここで、Nは、表面温度データの取り込みフレーム数である(図15のt1〜tNのN個)。K(t)は、時刻tにおけるP1,1の表面温度データ値を示している。Sin(t)は、時刻tにおける参照波形(sin波)の振幅値を示している。Cos(t)は、時刻tにおける参照波形と90度位相がずれた波形(cos波)の振幅値を示している。なお、参照波形の振幅値の最大値は、例えば「1」とすればよい。
次に、次式により温度変動振幅の絶対値ΔKおよび位相差θを算出する。
Figure 0004097082
CPU30は、このようにして算出した単位領域P1,1における位相差θ1,1を、上記参照波形の周期に対応付けてハードディスク35に記録する。
次に、xを1増やして、ステップS502以下を繰り返す。つまり、単位領域P1,2について、上記と同じようにして位相差θ1,2を算出して記録する。xが1ラインの画素数Jを超えると、つまり、1ラインの画素全てについて位相差を算出すると(ステップS504)、yを1増やし、xを「1」として、ステップS502以下を繰り返す。つまり、単位領域P2,1について、上記と同じようにして位相差θ2,1を算出して記録する。以後、この処理を繰り返して、単位領域PJ,Kまでの全ての単位領域について、位相差θ1,1〜θJ,Kを算出する。そして、これらをハードディスク35に記録する。
このようにして、各単位流域ごとに、周期240秒の参照波形についての位相差を算出すると、図6のステップS406に戻る。ステップS406では、CPU30は、各単位領域P1,1〜PJ,Kにおける位相差θ1,1〜θJ,Kを濃度差として表した画像を生成する。さらに、これを、ディスプレイ33に表示する(ステップS407)。あるいは、プリンタ(図示せず)からプリントアウトする。操作者は、この画像を見て、充填不良部を判断することができる。
図14Cに、図10に示すモデルにおいて、欠陥の中心からの距離と、上記位相差(周期240秒の参照波との位相差)との関係を算出したグラフを示す。図中、model1と表示されているのが図10Aのケース、model2と表示されているのが図10Bのケース、model3と表示されているのが図10Cのケースである。いずれのケースにおいても、健全部(たとえば150mmの部位)に対して、位相差が異なっていることがわかる。したがって、この位相差に応じた濃淡を有する画像によって、図10A、B、Cのいずれの欠陥であっても検出可能である。
なお、上記では、1つの所定周期の参照波形に対する位相差を算出して画像化しているが、異なる周期の参照波形について位相差を算出し、複数の画像を出力するようにしてもよい。これにより、何れかの周期にて欠陥部を見いだすことが可能となる。
この実施形態では、所定周期の参照波形との位相差を算出し、これによって、温度変化波形の所定周期成分における違いを見いだして、欠陥部を検出するようにしている。しかし、各単位領域における波形形状の違いを直接的に比較して、欠陥部を検出するようにしてもよい。また、各単位領域における温度変化波形を、FFTなどによってフーリエ変換し、各周波数成分の強度や位相の違いに基づいて、欠陥部を検出するようにしてもよい。
3.第2の実施形態
(1)全体構成
図15に、この発明の他の実施形態による欠陥検出システムの全体構成を示す。この実施形態では、欠陥検査制御装置10は、加熱制御手段11、データ記録手段13、波形比較手段12、欠陥検出手段5、欠陥種類判断手段7、出力手段9を備えている。
波形比較手段12は、第1の位相差算出手段12aと第2の位相差算出手段12bとを備えている。第1の位相差算出手段12aは、各単位領域における表面温度の時間的変化波形と、第1の所定周期を有する参照波形との位相差を算出する。欠陥検出手段5は、第1の位相差検出手段12aの出力に基づいて、欠陥部位を特定する。
第2の位相差算出手段12bは、結果検出手段5によって欠陥であると判断された部位について、表面温度の時間的変化波形と、第2〜第nの所定周期を有する参照波形との位相差を算出する。欠陥種類判断手段7は、第1の位相差算出手段12a、第2の位相差算出手段12bの出力に基づいて、欠陥の種類を判断する。出力手段9は、欠陥の位置および種類を出力する。
外観やハードウエア構成は、第1の実施形態と同じである。ただし、ハードディスク33に記録された欠陥検出プログラムが、第1の実施形態と異なっている。
(2)フローチャート
図16〜図18に、欠陥検出プログラムのフローチャートを示す。まず、CPU30は、信号発生装置27に対し、通信回路39を介して加熱条件を出力する(ステップS401)。
前記加熱条件は、信号発生装置27に与えられ、波形信号に変換されてリレー装置25に出力される。リレー装置25は、入力した波形信号に基づいてヒーター21を作動させる。これにより、所定の加熱条件で被検査体20に熱負荷を与える。
これにより、図14に示すように、所定時間、所定の加熱強度によって熱負荷が与えられることになる。
次に、CPU30は、加熱停止から(ステップS402)、通信回路39を介して、赤外線カメラ23の出力(表面温度データ)を取り込み、ハードディスク35に記録する(ステップS403)。CPU30は、この表面温度データの記録を、予め定められた測定終了時刻(加熱停止から3分などの所定時間)まで、連続して実行する(ステップS404)。
なお、加熱開始後からの表面温度データを連続的に取り込んで記録しておき、加熱停止からのデータのみを読み出すようにしてもよい。
ハードディスク35には、図9に示すようなデータが記録されることになる。CPU30は、ステップS405において、各単位領域P1,1〜Pk,jの表面温度の変化波形と、240秒周期の参照波形との位相差θ1,1〜θk,jを算出する。CPU30は、算出した位相差θ1,1〜θk,jを単位領域の位置と対応づけて、図19に示すようにハードディスクに記録する。
このようにして、各単位領域ごとに、周期240秒の参照波形についての位相差θ1,1〜θk,jを算出すると、これに基づいて欠陥部の検出を行う(ステップS410)。CPU30は、全ての単位領域の位相差θ1,1〜θk,jの平均値を求める。次に、当該平均位相差と各単位領域の位相差との差を算出する。当該差が、所定のしきい値を越える領域を、欠陥であると判断する。CPU30は、欠陥であると判断した単位領域の座標(x,y)と、位相差θをハードディスク35に記録する。なお、この際、CPU30は、欠陥であると判断された連続する単位領域の数により、欠陥部の大きさを計数する。欠陥部の大きさが所定の値以下の場合には、検出誤りの可能性もあることから、当該微少な部分については、欠陥でないものとしてもよい。
次に、CPU30は、欠陥部が検出されたか否かを判断する(ステップS411)。欠陥部の検出がなければ、処理を終了する。
欠陥部の検出があれば、CPU30は、欠陥の種類を判断する処理を行う。なお、第1の実施形態と同じように、画像を出力して、操作者が欠陥の有無を判断するようにしてもよい。この場合には、操作者は、キーボードやマウス37などにより、欠陥であると判断した領域の中心付近の座標を入力する。
欠陥が検出されると、次に、欠陥の種類を判断する。この実施形態では、以下のようにして欠陥種類の判断を行っている。240秒周期の参照波形との位相差を算出し、健全部における位相差と欠陥部における位相差との差θ240を算出する。同様に、120秒、60秒周期の参照波形との位相差を算出し、健全部における位相差と欠陥部における位相差との差θ120、θ60を算出する。
図14B、Cに120秒、60秒周期の参照波形と、表面温度の変化波形との位相差を、図10のモデルについて計算した結果を示す。縦軸が位相差、横軸が欠陥中心からの距離である。図10に示す欠陥の種類に応じて、位相差の特徴が異なる。つまり、欠陥の種別に応じて、図21に示すような特徴を有している。CPU30は、この特徴に基づき、欠陥種類の判断を行う。以下具体的処理を説明する。
CPU30は、まず、欠陥領域の重心座標を算出する(ステップS412)。CPU30は、算出した重心座標を、図20に示すようにハードディスク35に記録する。
次に、CPU30は、健全部(欠陥部でないと判断された部位)における位相差と各欠陥部における位相差との差θ240を算出する(ステップS413)。これを、図20に示すように、ハードディスク35に記録する。
続いて、CPU30は、最初の欠陥部(欠陥No.1)を対象欠陥部に設定する(ステップS414)。次に、当該欠陥部および健全部(いずれか1点でよい)の温度変化波形と120秒周期の参照波形との位相差を算出する(ステップS415)。さらに、CPU30は、健全部の位相差と欠陥部の位相差の差θ120を算出し、図20に示すようにハードディスク35に記録する(ステップS416)。
次に、CPU30は、差θ120が差θ240よりも大きいか否かを判断する(ステップS417)。大きければ、ケース1(図10A参照)であると判断し、図20に示すように、種類の欄に「1」を記録する。
小さければ、ステップS419に進み、対象欠陥部および健全部(いずれか1点でよい)の温度変化波形と60秒周期の参照波形との位相差を算出する。次に、CPU30は、健全部の位相差と欠陥部の位相差との差θ60を算出して、ハードディスク35に記録する(図20参照)。
さらに、この差θ60が所定のしきい値を越えているか否かを判断する(ステップS420)。つまり、このθ60単独で、当該欠陥を検出できるかどうかを判断する。しきい値を越えており検出可能であれば、ケース2(図10B参照)であると判断し、図20の種類の欄に「2」を記録する。しきい値を越えておらず検出可能でなければ、ケース3(図10C参照)であると判断し、図20の種類の欄に「3」を記録する。
上記のようにして、欠陥の種類を判別することができる。次に、CPU30は、全ての欠陥について上記の処理を行ったかどうかを判断する(ステップS423)。未処理の欠陥があれば、次の欠陥部を対象欠陥部として(ステップS424)、ステップS415以下を再び実行する。この処理を、全ての欠陥について行う。このようにして、各欠陥につきその種類を記録することができる。
次に、CPU30は、検出した欠陥の重心座標と欠陥の種類を、ディスプレイ33またはプリンタに出力する。なお、第1の実施形態のように、位相差画像を併せて出力するようにしてもよい。
上記実施形態では、各単位領域における温度変化波形と参照波形との位相差に基づいて欠陥部を検出しているが、各単位領域における加熱停止後の特定時刻における温度分布に基づいて欠陥部を検出するようにしてもよい。
上記実施形態では、欠陥部の1つの単位領域(重心点)についてのみθ120、θ60を算出して種類判定を行っている。しかし、当該欠陥部に含まれる複数の単位領域について種類判定を行うようにしてもよい。同一の欠陥部で異なる種類であるとの判断が得られた場合には、最も多く得られた種類を、当該欠陥部の欠陥種類とすればよい。
上記実施形態では、参照波形として240秒、120秒、60秒の3つを用いたが、4つ以上、2つ以下であってもよい。
上記実施形態では、図16〜図18の処理を行って欠陥の種類を判断している。しかし、図21に示すテーブルを記録しておき、θ240、θ120、θ60が、いずれのパターンに合致するかによって、欠陥種類を判断するようにしてもよい。
上記実施形態では、図10のA、B、Cの3種類の欠陥を判断しているが、接着層における欠陥(図10AまたはB)であるか、コンクリートの内部欠陥であるかを判断するようにしてもよい。
この実施形態では、複数の所定周期の参照波形との位相差を算出し、これによって、温度変化波形の所定周期成分における違いを見いだして、欠陥の種類を判断するようにしている。しかし、各単位領域における温度変化波形を、FFTなどによってフーリエ変換し、各周波数成分の強度や位相の違いに基づいて、欠陥の種類を検出するようにしても良い。
この発明の一実施形態における欠陥検出システムの機能ブロック図を示す図である。 図2Aは、人工欠陥供試体を示す図である。図2B、Cは、当該供試体を加熱した後に計測した表面温度分布である。 図3Aは、補強板を接着したコンクリートの断面図、図3Bは接着層21に生じた欠陥を示す断面図、図3Cはコンクリート内部に生じた欠陥を示す断面図である。 この発明の一実施形態による欠陥検出システムの外観構成図である。 図4のシステムを構成するコンピュータ装置のハードウエア構成である。 欠陥検出プログラムのフローチャートである。 加熱波形を示す図である。 赤外線カメラによって測定する単位領域を示す図である。 ハードディスク35に記録される表面温度を示す図である。 欠陥モデルを示す図である。 図10の各欠陥モデルについて、表面温度の変化をグラフにしたものである。 解析に用いた鋼板、エポキシ、コンクリート、空気の熱物性値を示す図である。 欠陥検出プログラムのフローチャートである。 位相差と欠陥中心からの距離との関係を示すグラフである。 この発明の他の実施形態における欠陥検出システムの機能ブロック図を示す図である。 欠陥検出プログラムのフローチャートである。 欠陥検出プログラムのフローチャートである。 欠陥検出プログラムのフローチャートである。 ハードディスク35に記録される各単位領域の位相差を示す図である。 ハードディスク35に記録される各欠陥についてのデータを示す図である。 欠陥の種類とθ240、θ120、θ60との関係を示す図である。
符号の説明
5・・・欠陥検出手段
7・・・欠陥種類判断手段
9・・・出力手段
10・・・欠陥検査制御装置
11・・・加熱制御手段
12・・・波形比較手段
13・・・データ記録手段
14・・・比較結果出力手段
17・・・加熱装置
19・・・温度計測器

Claims (8)

  1. 接着層によって補強板が接着されたコンクリートの欠陥を検出する欠陥検出方法であって、
    補強板の計測対象表面の全面に対して加熱を行い、
    少なくとも前記加熱を停止した後の加熱停止期間において、計測対象表面の各単位領域における表面温度の時間的変化を計測し、
    各単位領域における表面温度の時間変化の相対的相違に基づいて、欠陥部を検出する欠陥検出方法であって、
    前記各単位領域における表面温度の時間変化の相対的相違は、各単位領域における表面温度波形の、第1の所定周期を有する参照波形に対する位相差に基づいて決定されるものであり、
    検出した欠陥部について、第2〜第nの周期の参照波形を用いて位相差を算出し、少なくとも第2〜第nの周期の参照波形における位相差に基づいて、接着層の欠陥であるか、コンクリートの内部の欠陥であるかを判断するものであり、
    前記位相差は、前記加熱および前記計測を1回行って得られた、1つの時系列における計測データについて、複数の異なる参照波形を用いて算出されたものであること
    を特徴とする欠陥検出方法。
  2. 接着層によって補強板が接着されたコンクリートの欠陥を検出する欠陥検出方法であって、
    補強板の計測対象表面の全面に対して加熱を行い、
    少なくとも前記加熱を停止した後の加熱停止期間において、計測対象表面の各単位領域における表面温度の時間的変化を計測し、
    各単位領域における表面温度の時間変化の相対的相違に基づいて、欠陥部を検出する欠陥検出方法であって、
    前記各単位領域における表面温度の時間変化の相対的相違は、各単位領域における表面温度波形の、第1の所定周期を有する参照波形に対する位相差に基づいて決定されるものであり、
    検出した欠陥部について、第2〜第nの周期の参照波形を用いて位相差を算出し、少なくとも第2〜第nの周期の参照波形における位相差に基づいて、接着層がコンクリートと補強板との間に殆ど存在せず空間となっている不良であるか、接着層がコンクリートと補強板との間に完全に充填されていない不良であるか、コンクリートの内部の欠陥であるかを判断するものであり、
    前記位相差は、前記加熱および前記計測を1回行って得られた、1つの時系列における計測データについて、複数の異なる参照波形を用いて算出されたものであること
    を特徴とする欠陥検出方法。
  3. 請求項1または請求項2の欠陥検出方法において、
    健全部の位相差と欠陥部の位相差との差を、少なくとも第2〜第nの周期の参照波形について算出し、これらの差に基づいて、欠陥の種類を判断することを特徴とする欠陥検出方法。
  4. 請求項3の欠陥検出方法において、
    欠陥種類と、参照波形の周期を変化させたときに生じる前記「健全部の位相差と欠陥部の位相差との差」についての変化パターンとの関係を示したテーブルに基づいて欠陥種類を判定することを特徴とする欠陥検出方法。
  5. 接着層によって補強板が接着されたコンクリートの欠陥の種類を判断する方法であって、
    補強板の計測対象表面の全面に対して加熱を行い、
    少なくとも前記加熱を停止した後の加熱停止期間において、計測対象表面の各単位領域における表面温度の時間的変化を計測し、
    欠陥部における表面温度の時間変化波形と第1〜第nの周期の参照波形のそれぞれとの位相差を算出し、当該位相差によって、欠陥の種類を判断する欠陥判断方法であって、
    前記位相差は、前記加熱および前記計測を1回行って得られた、1つの時系列における計測データについて、複数の異なる参照波形を用いて算出されたものであること
    を特徴とする欠陥判断方法。
  6. 接着層によって補強板が接着されたコンクリート欠陥を検出する欠陥検出装置であって、
    補強板の計測対象表面の全面に対して加熱を行う加熱制御装置に対して、加熱開始指令および加熱停止指令を行う加熱制御手段と、
    少なくとも前記加熱を停止した後の加熱停止期間において、計測対象表面の各単位領域における表面温度を計測する温度計測器からのデータを入力して記録するデータ記録手段と、
    各単位領域における表面温度の時間変化波形と、所定周期を有する参照波形との位相差を、複数の所定周期の参照波形のそれぞれについて算出する波形比較手段と、
    少なくとも1つの所定周期の参照波形についての位相差に基づいて、欠陥領域を検出する欠陥検出手段と、
    欠陥検出手段によって検出された欠陥領域について、複数の所定周期の参照波形についての位相差に基づいて、接着層の欠陥であるか、コンクリートの内部の欠陥であるかを判断する欠陥種類判断手段とを備えており、
    前記位相差は、前記加熱および前記計測を1回行って得られた、1つの時系列における計測データについて、複数の異なる参照波形を用いて算出されたものであること
    を特徴とする欠陥検出装置。
  7. 請求項の欠陥検出装置において、
    前記欠陥種類判断手段は、接着層がコンクリートと補強板との間に殆ど存在せず空間となっている不良であるか、接着層がコンクリートと補強板との間に完全に充填されていない不良であるか、コンクリートの内部の欠陥であるかを判断することを特徴とする欠陥検出装置
  8. 接着層によって補強板が接着されたコンクリートのの欠陥を検出する欠陥検出装置をコンピュータによって実演するためのプログラムであって、
    補強板の計測対象表面の全面に対して加熱を行う加熱制御装置に対して、加熱開始指令および加熱停止指令を行う加熱制御手段と、
    少なくとも前記加熱を停止した後の加熱停止期間において、計測対象表面の各単位領域における表面温度を計測する温度計測器からのデータを入力して記録するデータ記録手段と、
    各単位領域における表面温度の時間変化波形と、所定周期を有する参照波形との位相差を、複数の所定周期の参照波形のそれぞれについて算出する波形比較手段と、
    少なくとも1つの所定周期の参照波形についての位相差に基づいて、欠陥領域を検出する欠陥検出手段と、
    欠陥検出手段によって検出された欠陥領域について、複数の所定周期の参照波形についての位相差に基づいて、接着層の欠陥であるか、コンクリートの内部の欠陥であるかを判断する欠陥種類判断手段とを備え、
    前記位相差は、前記加熱および前記計測を1回行って得られた、1つの時系列における計測データについて、複数の異なる参照波形を用いて算出されたものであることを特徴とするプログラム。
JP2004103117A 2004-03-31 2004-03-31 補強板によって補強されたコンクリートの欠陥検出方法および装置 Expired - Fee Related JP4097082B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004103117A JP4097082B2 (ja) 2004-03-31 2004-03-31 補強板によって補強されたコンクリートの欠陥検出方法および装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004103117A JP4097082B2 (ja) 2004-03-31 2004-03-31 補強板によって補強されたコンクリートの欠陥検出方法および装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005291743A JP2005291743A (ja) 2005-10-20
JP4097082B2 true JP4097082B2 (ja) 2008-06-04

Family

ID=35324854

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004103117A Expired - Fee Related JP4097082B2 (ja) 2004-03-31 2004-03-31 補強板によって補強されたコンクリートの欠陥検出方法および装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4097082B2 (ja)

Families Citing this family (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5070635B2 (ja) * 2009-02-03 2012-11-14 西日本高速道路エンジニアリング四国株式会社 構造物の赤外線調査方法及び赤外線調査用の試験体
WO2010089845A1 (ja) 2009-02-03 2010-08-12 西日本高速道路エンジニアリング四国株式会社 構造物の赤外線調査方法及び赤外線調査用の試験体
JP5108869B2 (ja) * 2009-12-25 2012-12-26 神鋼検査サービス株式会社 熱流束導出方法、この導出方法を含む傷部検出方法、及びこの検出方法を用いた傷部検出装置
JP5574261B2 (ja) * 2010-05-26 2014-08-20 独立行政法人 宇宙航空研究開発機構 探傷方法及び探傷装置
JP5950539B2 (ja) * 2011-10-28 2016-07-13 阿部 秀幸 建造物の補強方法
KR20160031630A (ko) * 2014-09-12 2016-03-23 현대중공업 주식회사 Lng선의 트리플렉스 접착부 결함 감지 장치 및 방법
WO2023012890A1 (ja) * 2021-08-03 2023-02-09 日本電信電話株式会社 観察装置
CN115306157B (zh) * 2022-08-30 2024-01-26 同济大学 一种混凝土结构5d打印方法及打印系统
CN117607200A (zh) * 2023-11-09 2024-02-27 南京大学 基于主动加热光纤传感的土钉缺陷参数检测装置及方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2005291743A (ja) 2005-10-20

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US11633918B2 (en) Method and device for additive manufacturing utilizing simulation test results of a workpiece
JP7156782B2 (ja) 複合材料構造物のためのリンクル特性評価及び性能予測
Pieczonka et al. Damage imaging in composites using nonlinear vibro‐acoustic wave modulations
Meola et al. Nondestructive evaluation of carbon fibre reinforced composites with infrared thermography and ultrasonics
De Angelis et al. A new technique to detect defect size and depth in composite structures using digital shearography and unconstrained optimization
CA2671741C (en) Improved laser-ultrasound inspection using infrared thermography
JP5491692B2 (ja) 負荷がかかっているサンプルにおける故障事象を位置特定するためのシステムおよび方法
RU2019104572A (ru) Лазерное ультразвуковое сканирование для визуализации повреждений или неровностей
JP4097082B2 (ja) 補強板によって補強されたコンクリートの欠陥検出方法および装置
Zagrai∗ et al. Micro-and macroscale damage detection using the nonlinear acoustic vibro-modulation technique
US8467069B2 (en) Method and device for inspecting the quality of a formed thermoplastic fiber-reinforced plastic component
Montanini et al. Investigation of heat generation sources in sonic infrared thermography using laser Doppler vibrometry
Zhu et al. Study on probability of detection for fatigue cracks in sonic infrared imaging
JP4097083B2 (ja) コンクリートの充填不良検査方法および装置
Castellini et al. Laser vibration measurements and data processing for structural diagnostic on composite material
WO2022148827A1 (en) Improved additive manufacturing monitoring method and system
JP4699242B2 (ja) 超音波探触子のカップリングチェック方法、及びコンピュータプログラム
JP4097079B2 (ja) 欠陥検査方法およびその装置
JP2013072669A (ja) 検査装置、及び検査方法
JP4517044B2 (ja) 欠陥検査方法およびその装置
JP2005274202A (ja) 欠陥検査方法およびその装置
RU2662849C2 (ru) Способ обнаружения дефектов в объектах
JP2003083923A6 (ja) 欠陥検査方法およびその装置
Center Engineering Directorate Structural Engineering Division
Thatcher Infrared thermography for test machine control and material characterisation

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060703

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20070815

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070827

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20071026

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20080225

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20080305

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110321

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120321

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120321

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130321

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130321

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140321

Year of fee payment: 6

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees