JP4096966B2 - 波形信号生成方法、波形信号生成装置および記録媒体 - Google Patents
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Description
逐次供給されるデジタル音声信号に対して、各サンプリング周期毎に乗算等の処理を行う必要があるため、疑似低音を発生させるために多大な演算が必要になる。電子楽器等においては、疑似低音の発生以外にも様々な処理を行う必要があるため、疑似低音の発生のために割り当てられる処理能力には自ずと限界がある。
この発明は上述した事情に鑑みてなされたものであり、疑似低音の発生に必要な処理負荷を低減する波形信号生成方法、波形信号生成装置および記録媒体を提供することを目的としている。
請求項1記載の波形信号生成方法にあっては、電気音響変換器を介して楽音を発生するために、複数発音チャンネルの波形信号を生成する波形信号生成方法において、指定音高(NN)と、指定ベロシティ(VEL)とを伴う発音指示情報(ノートオンイベント)を受けとる過程(ステップSP2)と、該指定音高が、前記電気音響変換器に関連して予め定められた境界音高以下であるか否かを判定する判定過程(ステップSP8)と、前記発音指示情報に応じて、前記指定ベロシティに応じた第1音量エンベロープ変化特性を有する通常波形信号を生成する通常波形信号生成過程(ステップSP10,SP22〜SP26)と、該判定過程において前記指定音高が前記境界音高以下である旨が判定されたことを条件として、最大公約数が前記指定音高(NN)になる該指定音高(NN)の二の倍音を含み、等ラウドネス曲線に基づき前記第1音量エンベロープ変化特性による音量感と同一の音量感を与えるように決定された第2音量エンベロープ変化特性を有する疑似低音波形信号を生成する疑似低音波形信号生成過程(ステップSP12、SP32〜SP38)とを有することを特徴とする。
さらに、請求項2記載の構成にあっては、請求項1記載の波形信号生成方法において、さらに、前記通常波形信号と前記疑似低音波形信号とを混合する混合過程を有することを特徴とする。
さらに、請求項3記載の構成にあっては、請求項1記載の波形信号生成方法において、前記通常波形信号生成過程は、予め記憶された通常楽音の波形データ(通常楽音波形データ38)を読み出し、読み出された該通常楽音の波形データに基づいて前記通常波形信号を生成するものであり、前記疑似低音波形信号生成過程は、前記通常楽音の波形データ(通常楽音波形データ38)に対応して記憶された疑似低音の波形データ(疑似低音波形データ52)を読み出し、読み出された該疑似低音の波形データに基づいて前記疑似低音波形信号を生成するものであることを特徴とする。
さらに、請求項4記載の構成にあっては、請求項1記載の波形信号生成方法において、前記通常波形信号生成過程および前記疑似低音波形信号生成過程は、それぞれ、複数のオペレータを組み合わせたアルゴリズムによって、前記通常波形信号および前記疑似低音波形信号を発生させるものであることを特徴とする。
さらに、請求項5記載の構成にあっては、請求項4記載の波形信号生成方法において、前記通常波形信号生成過程に適用されるオペレータは第1の発音チャンネルに含まれるものであり、前記疑似低音波形信号生成過程に適用されるオペレータは前記第1の発音チャンネルとは異なる第2の発音チャンネルに含まれることを特徴とする。
さらに、請求項6記載の構成にあっては、請求項4記載の波形信号生成方法において、前記通常波形信号生成過程および前記疑似低音波形信号生成過程に適用されるオペレータは1つの発音チャンネルに含まれるものであり、これらオペレータの出力信号を加算することによって当該発音チャンネルを介して前記通常波形信号と前記疑似低音波形信号とを混合した波形信号を出力することを特徴とする。
さらに、請求項7記載の構成にあっては、請求項1記載の波形信号生成方法において、前記通常波形信号生成過程および前記疑似低音波形信号生成過程は、複数のオペレータを組み合わせたアルゴリズムによって、各々前記通常波形信号および前記疑似低音波形信号を生成するものであり、前記疑似低音波形信号生成過程においては、前記指定音高のピッチの波形データを発生させる第1のオペレータ(変形例(9)のモジュレータ側オペレータ)と、前記指定音高の2倍のピッチの波形データに対して、前記第1のオペレータの出力する波形データによる周波数変調を施す第2のオペレータ(同、キャリア側オペレータ)とによって前記疑似低音波形信号を発生させることを特徴とする。
また、請求項8記載の波形信号生成装置にあっては、請求項1ないし7の何れかに記載の方法を実行することを特徴とする。
また、請求項9記載の記録媒体にあっては、請求項1ないし7の何れかに記載の方法を処理装置に実行させるプログラムを記憶したことを特徴とする。
1.1.実施例の原理
1.1.1.波形の成分解析
本実施例においては、楽音波形は「周期成分」と「ノイズ成分」とに分離して記憶されるため、これらの詳細について説明しておく。自然楽器の楽音波形をFFT(高速フーリエ変換)解析すると、この楽音波形の周波数成分は時間軸上で連続した周波数成分と、時間軸上で断続した周波数成分とに分離できる。そして、前者の周波数成分に基づいて波形合成すると楽音波形の「周期成分」が得られ、後者の周波数成分に基づいて波形合成すると楽音波形の「ノイズ成分」が得られる。
人間の聴覚においては、たとえ音圧レベルが一定であったとしても、周波数が異なれば音量感が異なるように聞こえる。そこで、横軸を周波数とし、縦軸を音圧レベルとしたグラフ上で、音量感(ラウドネス)が等しくなるような音圧レベルのカーブを描くと、図5(a),(b)に示すような特性が得られる。これらの特性を「等ラウドネス曲線」と呼ぶ。同図(a)は「フレッチャー&マンソンの等ラウドネス曲線」と呼ばれており、若干古いものである。同図(b)は「ロビンソン&ダドソンの等ラウドネス曲線」と呼ばれており、比較的新しく、ISOにおいても採用されている。
次に、本発明の第1実施例による楽音合成システムのハードウエア構成を図1を参照し説明する。なお、本実施例のハードウエアは汎用のパーソナルコンピュータによって構成されている。図において2はハードディスクであり、オペレーティングシステム、楽音合成システムのアプリケーションプログラム、および波形データその他各種のデータを格納する。4は、CD−ROM、DVD−RAM等のリムーバルディスクであり、ハードディスク2と同様の情報を格納する。6は表示器であり、ユーザに対して各種情報を表示する。
1.3.1.波形データ作成処理
パーソナルコンピュータ上でオペレーティングシステムを立ち上げ、さらに波形分析/合成システムのアプリケーションプログラムを立ち上げた後、ユーザが所定の操作を行うと、波形データ作成処理が実行される。その処理の詳細を図3を参照し説明する。なお、同図はCPU20内で実行される処理プログラムの内容を機能ブロック図で示したものである。
以上のように波形データが作成された後、入力装置8またはMIDIインタフェース16を介してMIDIイベントが入力されると、これに基づいてサウンドボード10内の波形メモリ音源を制御することにより該音源において楽音波形が合成される。また、リムーバルディスク4等を介して供給されたSMF(スタンダードMIDIフォーマット)ファイルを再生する場合においても、そのイベント情報に基づいて楽音波形が合成される。この音源制御処理の内容を図2を参照し説明する。
まず、ノートオンイベントが発生すると、同図(a)に示すノートオンイベント処理ルーチンが起動される。図において処理がステップSP2に進むと、パート番号が変数PTに、ノート番号が変数NNに、ベロシティが変数VELに代入される。次に、処理がステップSP4に進むと、フラグPLEが“1”であるか否かが判定される。なお、フラグPLEとは、疑似低音効果のオン/オフ状態を示すフラグであり、“1”はオン、“0”はオフを示す。なお、フラグPLEの値は、ユーザが所定の操作を行うことによって随時切り換えることができる。
通常楽音波形データ38は一般的にアタック部およびループ部から構成されるため、これらのスタートおよびエンドアドレスを設定する必要がある。但し、音色TC(PT)によっては、通常楽音波形データ38は、ループ部のみから構成される場合やワンショットの波形データのみから構成される場合がある。また、ベロシティVELの範囲毎に異なる波形データを適用させる場合もある。
通常楽音波形データ38には、各波形データ毎にオリジナルのピッチOPが定められている。ノート番号NNが指定されると、選択された波形データのオリジナルピッチOPとノート番号NNとの差分、及び、該波形データのサンプリング周波数に応じて、通常楽音波形データ38の読出アドレスの進行速度すなわちFナンバが決定される。
音色TC(PT)、ベロシティVELおよびノート番号NNが指定されると、それらに応じて音量エンベロープを指定するための音量エンベロープパラメータが決定される。
(4)その他のパラメータ
その他、音色TC(PT)、ノート番号NN、ベロシティVELに対応した音色フィルタパラメータ、ピッチ変調パラメータ、振幅変調パラメータ等が適宜設定される。
疑似低音効果がオンの場合(フラグPLE=1)にノートオンイベントが発生すると、上記ステップSP2,SP4を介して処理はステップSP6に進む。ここでは、音色TC(PT)とノート番号NNとに基づいて、疑似低音波形を発生すべきか否か、すなわちサウンドシステム12において再生できない低音域の周期成分が存在するか否かが判定される。なお、ノート番号NNが特定されたとしても、その基本周波数は音色によってオクターブ単位でずれている場合があるので、音色TC(PT)を加味して判定している。
(1)ステップSP34で選択された通常楽音波形データ38に対応する疑似低音波形データ52(選択された疑似低音波形データ)のアドレス情報。
(2)ノート番号NNに対応する疑似低音波形データ52のFナンバ。
この疑似低音波形データ52用のFナンバも、通常楽音波形データ38のFナンバと同様の手順で決定される。すなわち、疑似低音波形データのオリジナルピッチOPとノート番号との差分、及び、該疑似低音波形データのサンプリング周波数に応じて、疑似低音波形データのFナンバが決定される。ここで、疑似低音波形データのオリジナルピッチOPは、対応する通常楽音波形データ(チャンネル番号a1で再生される波形データ)のオリジナルピッチOPと同じ値を有する。従って、疑似低音波形データのFナンバは、通常楽音波形データのFナンバに対して所定の比例関係を有する(ただし、サンプリング周波数は相互に異なる)。これにより、チャンネル番号a2では、チャンネル番号a1で生成される楽音信号に対して、ピッチおよび時間軸が完全に同期した疑似低音が得られる。
図7において説明したように、疑似低音の音量エンベロープ(特性B)は、元の波形の音量エンベロープ(特性A)とは異なる。従って、チャンネル番号a1の音量エンベロープを変形して疑似低音用の音量エンベロープが設定される。
但し、通常楽音波形データ38、疑似低音波形データ52とも、それぞれアタック部とループ部のうちのアタック部には音量エンベロープの変化する波形データが記憶されている。従って、波形メモリ音源の各チャンネルでは、該アタック部分について音量の時間変化を付与する必要はなく、アタック部の平坦な音量エンベロープを指定する音量エンベロープパラメータが設定されている。図9に、チャンネル番号a1で付与される通常楽音波形データ38用の音量エンベロープ(特性A’)と、チャンネル番号a2で付与される疑似低音波形データ52用の音量エンベロープ(特性B’)との例を示しておく。
(4)その他のパラメータ
その他各種のパラメータの内容は、基本的にはチャンネル番号a1と同様に設定される。
次に、本発明の第2実施例について説明する。第2実施例のハードウエア構成は第1実施例と同様であるが、サウンドボード10の波形メモリに用意する波形データおよび制御のためのソフトウェア構成は第1実施例と比較して若干異なるため、相違点についてのみ説明する。
本実施例においては、図3および図4について説明したのと同様の波形データ作成処理が実行され、通常楽音波形データ38および疑似低音波形データ52が得られる。さらに、本実施例においては、図10に示す処理が実行される。
本実施例においても、ノートオンイベントが発生すると、第1実施例と同様に、図2(a)に示すノートオンイベント処理ルーチンが起動される。疑似低音効果がオフの場合、ないし、疑似低音効果がオンでありかつ生成する楽音信号に再生できない低音域の周波数成分が存在しない場合に実行されるステップSP10の処理は、第1実施例と全く同じである。疑似低音効果がオンでありかつ生成する楽音信号に再生できない低音域の周波数成分が含まれる場合には、ステップS12において、図8の処理の代りに図11に示す疑似低音付き発音制御ルーチンが呼び出される。
次に、本発明の第3実施例について説明する。第3実施例のハードウェア構成は、サウンドボード10の音源が波形メモリ音源ではなく周波数変調音源(FM音源)である点を除いて第1実施例と同じである。ソフトウェア構成についても第1実施例と若干異なっているが、以下ではその相違点についてのみ説明を行なう。
本実施例においては、楽音信号はFM音源方式によって生成されるため、第1および第2実施例のような波形データ作成処理は実行されない。
本実施例においても、ノートオンイベントが発生すると、第1実施例と同様に、図2(a)に示すノートオンイベント処理ルーチンが起動される。但し、本実施例においては、疑似低音を生成すべきでない場合は、ステップSP10において図12(a)に示す通常発音制御サブルーチンが呼び出される。
本実施例において採用されるFM音源方式においては、音色TC(PT)に応じてアルゴリズム(n個のオペレータの接続状態)が選択される。また、各オペレータで使用される波形データの種類(正弦波、正弦波の半波整流波形、正弦波の全波整流波形等)、上記波形データを生成するための位相データの進行速度を制御するピッチデータ(波形データのピッチを制御する)、各オペレータ毎の該ピッチデータに対する乗数(各オペレータにおける位相データの進行速度は乗数とピッチデータの積により制御される)、低周波変調制御データ(ビブラート等を制御する)、各オペレータで生成される波形データに施されるエンベロープ波形を制御するエンベロープパラメータ等が、音色TC(PT)、ノート番号NN、ベロシティVELに応じて決定される。アルゴリズムの内容としてはアルゴリズムの内容としては種々のものが考えられるが、単純な例として、図13(a)に示すように「n=2」個のオペレータOP1,OP2を直列接続したものが考えられる。
FM音源から出力される楽音信号の音量エンベロープは、上記アルゴリズムの最終段のオペレータ(図示の例ではOP2)に付与されるエンベロープが対応する。上述したとおり、該エンベロープのエンベロープパラメータは、音色TC(PT)、ノート番号NN、ベロシティVELに応じて決定される。
アルゴリズムの出力に対してフィルタリング処理を施す場合においては、音色TC(PT)、ノート番号NN、ベロシティVELに対応した音色フィルタパラメータ等が設定される。更に、生成される楽音信号のピッチを変動させるためのピッチエンベロープを制御するピッチエンベロープパラメータが設定される場合もある。
ノートオンイベント処理ルーチン(図2(a))において処理がステップSP12に進むと、図12(b)に示す疑似低音付き発音制御ルーチンが呼び出される。図において処理が図において処理がステップSP62に進むと、サウンドボード10内の音源において2チャンネル分の発音チャンネルが割り当てられる。この割り当てられた発音チャンネルのチャンネル番号をa1,a2とする。
(1)アルゴリズム
疑似低音を発生するために、チャンネル番号2にはOP3,OP4の2オペレータを並列に接続した構成のアルゴリズム(図13(b)参照)を設定する。
チャンネル番号a1において生成される楽音信号の周波数成分には、サウンドシステム12によって再生されないノート番号NNに対応した周波数成分が含まれている。ここで、チャンネル番号a1の最終段のオペレータで、ピッチデータの乗数が1のオペレータが当該チャンネルの最低音を生成していると仮定する。その場合、チャンネル番号a2には、チャンネル番号a1と同じくノート番号NNに対応した周波数fのピッチデータを設定し、更に、チャンネル番号a2の各オペレータで乗数を適宜設定することにより該周波数fの倍音を倍音を発生する。各オペレータでは、生成する波形データのピッチが最低周波数より大きくなり、かつ、最大公約数が「1」になるような複数の乗数の組み合わせ(例えば「2,3」、「3,4」、……等)が設定され、実際に発生する信号のピッチ周波数は「2f,3f」、「3f,4f」、……のようになる。
音色TC(PT)、ベロシティVELおよびノート番号NNが指定されると、疑似低音用のオペレータ(図示の例ではOP3,OP4)に付与される音量エンベロープを指定するために、音量エンベロープパラメータが決定される。両チャンネル番号a1,a2における音量エンベロープの関係は、第1および第2実施例と同様である。すなわち、チャンネルa1で生成される楽音信号に含まれる再生されない低域成分の音量エンベロープと等ラウドネス関係にある音量エンベロープのエンベロープパラメータがチャンネル番号a2の2つのオペレータにそれぞれ設定される。ここで、各オペレータに設定されるエンベロープパラメータは、それぞれ生成する波形データのピッチに応じて相互に異なっている。
その他、ノート番号NN、ベロシティVELに対応した音色フィルタパラメータ等が設定される。チャンネル番号a1に前記ピッチエンベロープが設定されている場合には、チャンネル番号a2にも同じピッチエンベロープを設定することにより、チャンネル番号a2で生成される疑似低音のピッチを、チャンネル番号a1で生成される楽音信号のピッチ変動に追従させることができる。ここで、以上に説明した疑似低音用の楽音パラメータについても、楽音信号用の楽音パラメータと同様の方法で作成することができる。具体的には、まず、前記各音色TC毎に1セットずつ用意される音色データの中に疑似低音用のデータを含むようにする。そして、該音色データに含まれる疑似低音用の基本の楽音パラメータに対して、ノート番号NNおよびベロシティVELに応じた補正(スケーリング)を加えることにより、疑似低音用の楽音パラメータを作成する。
次に、本発明の第4実施例について説明する。第4実施例のハードウエア構成は第3実施例と同様であるが、ソフトウエア構成は第3実施例と比較して若干異なるため、相違点についてのみ説明する。
本実施例においては、ノートオンイベント処理ルーチン(図2(a))において処理がステップSP12に進むと、図12(c)に示す疑似低音付き発音制御ルーチンが呼び出される。図において処理が図において処理がステップSP72に進むと、サウンドボード10内の音源において1チャンネル分の発音チャンネルが割り当てられる。この割り当てられた発音チャンネルのチャンネル番号をa1とする。
本発明は上述した実施例に限定されるものではなく、例えば以下のように種々の変形が可能である。
(1)上記各実施例はパーソナルコンピュータ上で動作するソフトウエアによって楽音合成システムを実現したが、同様の機能を各種の電子楽器、携帯電話器、アミューズメント機器、その他楽音を発生する装置に使用してもよい。また、上記実施例に用いられるソフトウエアをCD−ROM、フレキシブルディスク等の記録媒体に格納して頒布し、あるいは伝送路を通じて頒布することもできる。
例えば、2つのオペレータを直列に接続したアルゴリズムを使用する場合、再生されない低域成分の周波数と同じピッチのピッチデータを設定し、モジュレータ側のオペレータでは乗数「1」により該周波数と同じピッチの波形データを発生させ、キャリア側のオペレータでは乗数「2」により該周波数の2倍のピッチの波形データを発生させるようにすればよい。前記2倍のピッチの波形データに対して前記同じピッチの波形データで周波数変調をかけることにより、前記2倍のピッチを中心として前記同じピッチに対応する周波数の間隔でサイドバンドの周波数成分が発生する。前記2倍のピッチのキャリア成分と、その1つ上のサイドバンド成分(再生されない低域成分の周波数の3倍のピッチを持つ)とを使用して疑似低音を生成することができる。
そして、キャリア側のオペレータのエンベロープについては、再生されない低域成分の音量と等ラウドネスの関係を保ったまま時間変化するようエンベロープパラメータを設定すればよい。
(12)上記実施例では最低周波数をユーザが設定するようになっていたが、複数のサウンドシステムの個々の最低周波数を示すデータを記憶するようにしてもよい。使用するサウンドシステムを選択するだけで対応する最低周波数が自動的に決まり、該最低周波数に対応する疑似低音効果を自動設定することができる。
Claims (9)
- 電気音響変換器を介して楽音を発生するために、複数発音チャンネルの波形信号を生成する波形信号生成方法において、
指定音高と、指定ベロシティとを伴う発音指示情報を受けとる過程と、
該指定音高が、前記電気音響変換器に関連して予め定められた境界音高以下であるか否かを判定する判定過程と、
前記発音指示情報に応じて、前記指定ベロシティに応じた第1音量エンベロープ変化特性を有する通常波形信号を生成する通常波形信号生成過程と、
該判定過程において前記指定音高が前記境界音高以下である旨が判定されたことを条件として、最大公約数が前記指定音高になる該指定音高の二の倍音を含み、等ラウドネス曲線に基づき前記第1音量エンベロープ変化特性による音量感と同一の音量感を与えるように決定された第2音量エンベロープ変化特性を有する疑似低音波形信号を生成する疑似低音波形信号生成過程と
を有することを特徴とする波形信号生成方法。 - さらに、前記通常波形信号と前記疑似低音波形信号とを混合する混合過程を有する
ことを特徴とする請求項1記載の波形信号生成方法。 - 前記通常波形信号生成過程は、予め記憶された通常楽音の波形データを読み出し、読み出された該通常楽音の波形データに基づいて前記通常波形信号を生成するものであり、
前記疑似低音波形信号生成過程は、前記通常楽音の波形データに対応して記憶された疑似低音の波形データを読み出し、読み出された該疑似低音の波形データに基づいて前記疑似低音波形信号を生成するものである
ことを特徴とする請求項1記載の波形信号生成方法。 - 前記通常波形信号生成過程および前記疑似低音波形信号生成過程は、それぞれ、複数のオペレータを組み合わせたアルゴリズムによって、前記通常波形信号および前記疑似低音波形信号を発生させるものである
ことを特徴とする請求項1記載の波形信号生成方法。 - 前記通常波形信号生成過程に適用されるオペレータは第1の発音チャンネルに含まれるものであり、
前記疑似低音波形信号生成過程に適用されるオペレータは前記第1の発音チャンネルとは異なる第2の発音チャンネルに含まれる
ことを特徴とする請求項4記載の波形信号生成方法。 - 前記通常波形信号生成過程および前記疑似低音波形信号生成過程に適用されるオペレータは1つの発音チャンネルに含まれるものであり、これらオペレータの出力信号を加算することによって当該発音チャンネルを介して前記通常波形信号と前記疑似低音波形信号とを混合した波形信号を出力する
ことを特徴とする請求項4記載の波形信号生成方法。 - 前記通常波形信号生成過程および前記疑似低音波形信号生成過程は、複数のオペレータを組み合わせたアルゴリズムによって、各々前記通常波形信号および前記疑似低音波形信号を生成するものであり、
前記疑似低音波形信号生成過程においては、前記指定音高のピッチの波形データを発生させる第1のオペレータと、前記指定音高の2倍のピッチの波形データに対して、前記第1のオペレータの出力する波形データによる周波数変調を施す第2のオペレータとによって前記疑似低音波形信号を発生させる
ことを特徴とする請求項1記載の波形信号生成方法。 - 請求項1ないし7の何れかに記載の方法を実行することを特徴とする波形信号生成装置。
- 請求項1ないし7の何れかに記載の方法を処理装置に実行させるプログラムを記憶したことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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