JP4096293B2 - 人体検知装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、制御機器に組み込まれ、前記制御機器が備える各機能を駆動させたり、有効にさせたりするために利用される人体検知装置に関する技術であり、特に、送信した高周波の電波と物体により跳ね返ってきた反射波の干渉によって生じる定在波信号を用いて近距離(数メートル以内)における静止状態を含めた人体の検知に好適な人体検知装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、高周波の電波を利用した人体検知装置としては、送信波と受信波の周波数の差を検出して動きを検知するドップラー式や、パルス波を送信して受信時の遅れ時間をもとに距離や動きを検出するレーダー式のものが提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
高周波の電波を利用した人体検知装置は、従来多く用いられている赤外線を利用したものに比べ、利用される制御機器の外郭部材として多く用いられる樹脂等の材料を透過できるため、隠蔽が可能で、制御機器の意匠性の向上や人体検知装置の配置の自由度が高いというメリットがある。
また一方で、高周波の電波はその名の通り波であり、定在波と呼ばれる波長の1/2の距離を周期とした反射物との距離に応じた信号の強弱を伴いながら、距離が近いほど周期毎の極大値・極小値は大きくなる傾向がある。これを利用することで反射物との距離を検知することができる。
【0004】
しかしながら、従来多く利用されているドップラー式の場合には、送信波の周波数と受信波の周波数の差分により動きを検出する構成であり、人体以外の設置環境等による定在波の影響を不要なものとして打ち消すため、低周波成分をカットしてしまう構成とすることが多い。このため、何らか動作をしているときは、信号の強弱である位置の判別は可能であるが、静止状態においては、信号がほとんど得られないため、位置を含め存在そのものが不明確となってしまい、検知したい領域内で静止状態となる場合も含めた人体の検知にまでは十分に適用できていない。
また、レーダー式の場合には、パルス波を送信して受信波との重なり部分で動きを、遅れ時間で距離を検知可能であるが、高周波の電波の移動速度は光速(約3×108m/s)であるため、わずか数メートル以内の近距離においては数ナノ秒レベルの時間計測が必要となり、GHzレベルのCPUが必要になる等の制御上の問題点があり、近距離用に用いられることがなく、ましてや組み込まれる制御機器が備える各機能を駆動させたり、有効にさせたりするために利用されるようなものに用いられることはない。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、本発明の目的は、人体以外の反射物体による定在波の影響を検出して、補正可能な構成とすることにより、近距離(数メートル以内)内の複数の領域における静止状態を含めた人体の検知に好適な人体検知装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段および作用・効果】
上記目的を達成するために、送信波と人体によって跳ね返された反射波を受信して得られる受信波の干渉により生じる定在波を検波して得られる検波信号に基づき人体を検知する高周波の電波を利用した人体検知装置であり、少なくとも前記検波信号を入力信号として増幅する第1信号増幅部と、第1信号増幅部から出力される第1増幅信号を入力信号としてさらに増幅する第2信号増幅部と、を備え、前記検波信号を複数段で増幅するよう構成された人体検知装置において、前記第1増幅信号および第2信号増幅部から出力される第2増幅信号を各々取り込み記憶する増幅信号記憶部と、前記増幅信号記憶部に記憶された第2増幅信号に基づいて人体の有無を示す検知信号を生成する検知信号生成部と、を備えると共に、第2信号増幅部から出力される第2増幅信号の振幅の中心となる第2基準信号を、前記増幅信号記憶部に記憶された第1増幅信号に基づいて制御する基準信号制御部を備え、前記基準信号制御部は、前記増幅信号記憶部に記憶された第1増幅信号をもとに平均値を演算する平均値演算部と、前記平均値演算部で演算された平均値と前記第1信号増幅部から出力される第1増幅信号との差が大きく、且つ前記平均値演算部で演算される平均値の変動量が大きいときは、前記第2基準信号の調整が必要と判断し、前記平均値演算部で演算された平均値と前記第1信号増幅部から出力される第1増幅信号との差が小さいときは、前記第2基準信号の調整が必要でないと判断する判断部と、を備え、前記判断部の判断に基づいて、第2基準信号の調整の制御を行うよう構成されていることを特徴とする人体検知装置が提供される。
従って、検波信号を多段に増幅し、各々増幅信号を取り出す構成とし、さらに第2信号増幅部の第2基準信号に、入力信号と同じ第1増幅信号を利用しているため、設置環境の変化等の影響によって生じる定在波の変化に伴う検波信号の振幅中心の変化に対応して、第2基準信号を制御することが可能であり、検知したい人体以外で生じる検波信号分をキャンセルして増幅することが可能で、確実に人体による定在波の変化を検出でき、これに基づいて静止状態を含めた人体を検知することができる。
【0007】
また、平均値を演算することにより振幅中心を確実に検出でき、またその変動量で振幅中心のズレ量も検出することができるため、第2基準信号を適切に調整することが可能であり、また、もう一方で第1増幅信号と平均値およびその変動量に基づいて調整の必要性を判断することで、人体が静止した場合等で平均値のズレが生じた場合とを区別することができるため、第2基準信号の不要な調整を防止することができ、検知したい人体以外で生じる検波信号分のみをキャンセルして増幅することが可能で、より確実に静止状態を含めた人体を検知することができる。
【0009】
また、前記基準信号制御部は、前記平均値演算部で演算された第1増幅信号の平均値の変動量をもとに、第2基準信号の補正値を演算する補正値演算部を備えると共に、前記判断部の判断に基づいて、第2基準信号に、演算された補正値を直接的に加算または減算することにより調整を行うよう制御する構成とすることができる。このようにすれば、第2基準信号の調整に際して、第1増幅信号の平均値の変動量をもとに、増幅信号の検出時の分解能と調整側の分解能の差や、調整側の減衰率等を用いて補正値を演算し、直接的に加算または減算するように構成しているため、段階的に調整する場合よりも、検波信号の振幅中心のズレに対する追従性が向上し、第2基準信号の調整時間の短縮が可能なため、調整中に起こりうる誤検知等の不具合を防止することができる。
【0010】
また、前記人体検知装置は、送信波と人体によって跳ね返された反射波を受信して得られる受信波を各々同数に分割し、位相差生成部を介して干渉させることによって得られる互いに位相の異なる定在波を、各々検波して得られる複数の検波信号に基づき人体を検知する高周波の電波を利用した人体検知装置であり、前記第1増幅信号部は前記複数の検波信号を各々入力信号として各々増幅するよう構成され、前記第2増幅信号部は第1信号増幅部から出力される各々の第1増幅信号を各々入力信号として各々増幅するよう構成されているものとすることができる。このようにすれば、定在波には波長の1/2の距離を周期とした節が発生するため、その近傍の距離においては検波信号の変位量が少なく、どの距離におけるものかの判別するのは難しく、このため、直前の極大値を利用して状態を予測する等の処理が必要である。これに対し、位相の異なる複数の検波信号を利用すれば、互いの節の部分を補うことができるため、単純な振幅判定だけでも十分に静止状態を含めた人体を検知することができる。
【0011】
また、前記基準信号制御部は、互いに位相の異なる各増幅信号の前記各増幅信号毎の平均値に対する振幅の変動による時間領域における位相の遅れ・進みをもとに、接近・離遠の人体の移動方向を判定するよう構成されているものとすることができる。定在波による検波信号は波長の1/2の距離を周期として振幅するため、位相の異なる検波信号間では1つの位置に対して各検波信号毎に振幅は異なり、その近傍における振幅の極大値の位置も異なる。これに対し、接近方向に移動している場合、時間領域で見た場合は距離による位相と逆位相となるが、離遠方向に移動していれば、時間領域で見た場合も同位相として現れるため、互いの時間領域における位相の遅れ・進みが逆転する。従って、この特徴を利用することで移動方向の判定が容易となる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例について、図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の第1実施例の人体検知装置1の構成を示すブロック図であり、図2は、人体検知装置1の基準信号制御部1fの構成を示すブロック図である。
本発明の第1実施例の人体検知装置1は、10.525GHz近傍の周波数を中心周波数とする高周波の電波を送信波S1として送信する送信部1a、前記送信波S1が人体等で反射して得られる反射波を受信波S2として受信する受信部1b、前記送信波S1の一部と前記受信波S2を干渉させて検波信号S3を得る検波部1c、半固定抵抗等で構成され第1基準信号S4を調整する第1調整部1g、前記第1調整部1gから供給される第1基準信号S4と前記検波信号S3との差分を増幅して第1増幅信号S5を得る第1増幅部1d、基準信号制御部1fから供給される第2基準信号S7と前記第1増幅信号S5との差分を増幅して第2増幅信号S6を得る第2増幅部1e、前記第1増幅信号S5と第2増幅信号S6を記憶しておく増幅信号記憶部1h、さらに前記増幅信号記憶部1hに記憶された増幅信号S8をもとに人体検知信号S9を生成し制御機器に向けて出力する検知信号生成部1kで構成されている。
また基準信号制御部1fは、前記増幅信号記憶1hに記憶された増幅信号S8をもとに両増幅信号の平均値S10を演算する平均値演算部1p、前記平均値S10と前記記憶された増幅信号S8をもとに前記第2基準信号S7を調整すべきかどうかを判断する判断部1n、そして前記判断部1nが出力する調整要否信号をもとに前記第2基準信号S7を調整して前記第2増幅部1eに出力する基準信号調整部1mで構成されている。
【0013】
図3には、前記判断部1nの基準信号の調整要否を判断するフローを示すフローチャート図を示す。
まずStep1で、第1増幅信号S5の現在値が平均値演算部1pで得られた平均値S10と比較して閾値以上ずれているかどうかを確認し、もしずれているならStep2へ、ずれていないならStep4へ進み基準信号調整不要として抜けるようにしている。Step2では、平均値演算部1pで得られた平均値S10の過去値を保持しておき、これと現在の平均値S10を比較して閾値以上のズレが生じていれば、Step3へ進み基準信号調整必要とし、ずれていないならStep4へ進み基準信号調整不要として抜けるようにしている。
【0014】
まずStep1の判断では、平均値と比較して現在値がズレが少ないということは検知対象物が非検知領域や遠方領域にいるため、信号が大きくなく安定状態にあると判断できるため、安定状態を基準に設定している第2基準信号S7を不用意に調整しないようにしている。次のStep2の判断では、人体の接近等でStep1を通過した場合は、人体の位置や動きによる振幅となり平均値の変動はあまりないのに対し、設定環境の変化が生じ定在波が変化してStep1を通過した場合は、振幅中心自身がずれてしまい平均値の変動が大きくなる点を利用し、人体の接近等による場合は、第2基準信号S7を不用意に調整しないようにしている。
【0015】
図4は、第1増幅部1dおよび第2増幅部1eの増幅のイメージを示す簡略図である。(a)と(c)は第1増幅部1dについてであり、(b)と(d)および(e)は第2増幅部1eについてである。
第1増幅部1dでは、検波信号S3と第1基準信号Ra(図1ではS4)との差分をA1の増幅率で増幅するようになっており、さらに、第1調整部1gで半固定抵抗で第1基準信号Raを調整して、第1増幅信号S5が1点鎖線で示す第2増幅部の安定状態の狙いの中心値近傍となるように調整されている。また第2増幅部1eでは、第1増幅信号S5と第2基準信号Rb(図2ではS7)との差分をA2の増幅率で増幅するようになっており、第2基準信号Rbは図2で示したように調整可能に構成され、1点鎖線で示す第2増幅部1eの安定状態の狙いの中心値近傍となるように調整されている。このため、検波信号S3の振幅範囲ΔW0に対して第1増幅信号S5の振幅範囲ΔWaはA1倍となっており、第1増幅信号S5の振幅範囲ΔWaに対して第2増幅信号S6の振幅範囲ΔWbはA2倍となっており、検波信号S3の振幅範囲ΔW0に対しては、A1×A2倍となっている。図示した構成においては、第1増幅部1dで反転し、第2増幅部1eで再度反転して非反転としている。
【0016】
設定環境が変化しなければ、(a)と(b)で示す状態が継続するため問題ないが、逆に設定環境が変化し定在波が変化した場合には、(c)で示す検波信号S3の振幅中心のズレ量Δx0に対して第1増幅信号S5の振幅中心のズレ量Δxaは逆方向にA1倍となり、このずれた位置を中心として振幅することになる。さらに(d)で示すように、第1増幅信号S5の振幅中心のズレ量Δxaに対して第2増幅信号S6の振幅中心のズレ量Δxbは逆方向にA2倍となり、検波信号S3の振幅中心のズレ量Δx0に対しては同方向にA1×A2倍となり、このずれた位置を中心として振幅することになる。このため、第2増幅信号S6が振り切れてしまい有効な信号を取り出せなくなってしまう。
【0017】
これに対して(e)で示すように、図3で示した判断フローで第2基準信号Rbの調整要否を判断し、検波信号S3の振幅中心のズレ量Δx0が発生しても、第2増幅信号S6の振幅中心が1点鎖線で示す第2増幅部1eの安定状態での狙いの中心値近傍となる適切な第2基準信号の補正量ΔRbだけ補正して、第2基準信号Rb’に変更することで、第2増幅信号S6が振り切れることなく有効な信号を取り出すことができるようになる。
【0018】
また、上記の適切な第2基準信号の補正量ΔRbは、第1増幅信号S5の振幅中心のズレ量Δxaから直接的に演算することが可能である。図5は、基準信号制御部1fを置き換えた図2の別例である基準信号制御部1f’の構成を示すブロック図である。
基準信号制御部1f’には、図2と比較して、平均値演算部1pで演算された平均値S10をもとに第2基準信号の補正量S30を演算する補正値演算部1qを備えている。前記補正値演算部1qにおいて適切な第2基準信号の補正量ΔRbは、第1増幅信号S5の振幅中心のズレ量Δxaに対してA2/(1+A2)倍とすればよく、これに各増幅信号の読み取り分解能と基準信号調整部の調整分解能との差を考慮した演算を行い、補正値を算出している。また基準信号調整部に減衰器を組み込んでいれば、さらに減衰率も考慮した演算を行うことで対応することができる。
【0019】
次に、本発明の第2実施例として2位相の人体検知装置について説明する。
図6は、本発明の第2実施例の人体検知装置2の構成を示すブロック図であり、図7は、人体検知装置2の基準信号制御部2hの構成を示すブロック図である。
本発明の第2実施例の人体検知装置2は、第1実施例の人体検知装置1とほぼ同様な構成で、10.525GHz近傍の周波数を中心周波数とする高周波の電波を送信波S12として送信する送信部2a、前記送信波S12が人体等で反射して得られる反射波を受信波S13として受信する受信部2b、前記送信波S12の一部と前記受信波S13をそれぞれ2つに分割して、前記送信波S12の分割した2つの送信波の位相を90度ずらす位相差生成部2v、位相差生成部2vで得られた位相の異なる2つの送信波S12’と分割された受信波S13’をそれぞれ干渉させて90度位相の異なる第1位相検波信号S14と第2位相検波信号15を得る検波部2c、前記第1位相検波信号S14と前記第2位相検波信号S15に対して、半固定抵抗等で構成され第1基準信号S22を調整する第1調整部2nおよび第2基準信号S23を調整する第1調整部2p、前記第1調整部2nから供給される第1基準信号S22と前記第1位相検波信号S14との差分を増幅して第1位相第1増幅信号S16を得る第1位相第1増幅部2dおよび前記第2調整部2pから供給される第2基準信号S23と前記第2位相検波信号S15との差分を増幅して第2位相第1増幅信号S17を得る第2位相第1増幅部2f、基準信号制御部2hから供給される第1位相第2基準信号S20と前記第1位相第1増幅信号S16との差分を増幅して第1位相第2増幅信号S18を得る第1位相第2増幅部2eおよび基準信号制御部2hから供給される第2位相第2基準信号S21と前記第2位相第1増幅信号S17との差分を増幅して第2位相第2増幅信号S19を得る第2位相第2増幅部2g、前記第1位相第1増幅信号S16と前記第1位相第2増幅信号S18と前記第2位相第1増幅信号S17と前記第2位相第2増幅信号S19を記憶しておく増幅信号記憶部2k、さらに前記増幅信号記憶部2kに記憶された増幅信号S24をもとに人体検知信号S25を生成し制御機器に向けて出力する検知信号生成部2mで構成されている。
【0020】
また基準信号制御部2hは、前記増幅信号記憶2kに記憶された増幅信号S24をもとにすべての増幅信号の平均値S27を演算する平均値演算部2s、前記記憶された増幅信号S24と前記平均値S27をもとに移動方向を判定し移動方向判定信号S26を出力する移動方向判定部2t、前記平均値S27と前記移動方向判定信号S26と前記記憶された増幅信号S24をもとに前記第1位相第2基準信号S20および第2位相第2基準信号S21を調整すべきかどうかを判断する判断部2r、そして前記判断部2rが出力する調整要否信号をもとに前記第1位相第2基準信号S20および第2位相第2基準信号S21を調整して前記第1位相第2増幅部2eおよび第2位相第2増幅部2gに出力する基準信号調整部2qで構成されている。
【0021】
上記のように、第2の実施例の人体検知装置2では、第1実施例の人体検知装置1と比較し、2つの90度位相の異なる検波信号を利用し、定在波の波長の1/2の距離を周期とした節に対して互いの節の部分を補うことができるような構成としている。またさらに、人体が近距離にある場合において、動きは少ないが検波信号の変動は大きいといった状態が発生することがあり、このような場合には平均値も大きな変動となるが、遠距離から近距離といった異なる領域間の移動を検出可能とすることで、人体による平均値の変動が大きくなる領域での不要意な調整を避けることができるようになっている。
【0022】
さらに図8は、基準信号制御部2hを置き換えた図7の別例である基準信号制御部2h’の構成を示すブロック図である。
基準信号制御部2h’には、図7と比較して、第1の実施例の人体検知装置1の図2と図4の関係と同様に、平均値演算部2sで演算された平均値S27をもとに第1位相第2基準信号S20および第2位相第2基準信号S21の補正量S29を演算する補正値演算部2uを備えている。前記補正値演算部2uにおける演算の内容は、図4で説明したものと同様である。またこの他に、判断部2rは検知信号生成部2mで出力された人体検知信号S25も判断に利用するようにしており、また逆に、移動方向判定部2tで得られた移動方向判定出力S26を検知信号生成部2mが利用するような構成としている。このような構成とすることで、より確実に人体検知が可能となっている。上記基準信号制御部2h’を備えた人体検知装置2を制御機器に組み込んだ実施例として、便器装置について図面に基づいて説明する。
【0023】
図9は、本発明の第2実施例の人体検知装置2を組み込んだ便器装置3をトイレに設置した状態を示す全体斜視図である。
便器装置3は大きく分けて、陶器で構成された土台となる便器部7、便器装置3の備える用便後の局部を温水で洗浄する局部洗浄や用便後に便器部7内に洗浄水を流す便器洗浄といった各機能を司る各機能生成手段と、前記各機能生成手段を制御する制御手段、および便器装置3の前記各機能の不用意な動作の防止や、使用者が適切に使用するための手段として組み込まれている使用者を検知する本発明の第2実施例の人体検知装置2を、内部に収納する本体部4、内部に加熱手段を備えて本体部4に回転自在に枢軸された便座部5、そして便座部5の開口部を閉止状態にて塞ぐ便座部5と同様に本体部4に回転自在に枢軸された便蓋部6から構成されている。また、高周波の電波は、本体部4の外郭部材であるABS樹脂や、便蓋部6の構成部材であるPPを透過することが可能であるため、フィルタ等の別部材を組み込むような切り欠き等を本体部4の外郭部材の人体検知方向には設けておらず、本体部4に被水等が起きても内部への浸水することがないようになっている。
【0024】
次に、人体検知装置2の配置について説明する。
図10は、便器装置3への人体検知装置2の配置を示す便蓋部6の開放状態における側面図であり、あり、(a)は全体図、(b)は部分拡大図である。また、図11は、便器装置3への人体検知装置2の配置を示す便蓋部6の閉止状態における側面図であり、(a)は全体図、(b)は部分拡大図である。さらに、図12は、便器装置3への人体検知装置2の配置を示す便座部5の開放状態における側面図であり、(a)は全体図、(b)は部分拡大図である。
【0025】
上記において、人体検知装置2は、便座部5と便蓋部6が回転自在に枢軸されている位置の後方で、左右方向において略中央に配置されており、高さ方向は、枢軸されている高さとほぼ同等としている。また本体部4内への組込状況は、本体部4の対向する外郭部材4aの内壁面と、アンテナ面2xは略平行に配置されている。一方、便蓋部6は開放状態において、枢軸部分近傍の後端部分の上面が、本体部4の前面に回り込むような構成となっており、便蓋部6の開放状態において、回り込んだ枢軸部分近傍の後端部分の上面6aと、これに対向する本体部4の外郭部材4aの前面形状が、略平行となるように構成している。この便蓋部6の枢軸部分近傍の後端部分の上面6aの左右方向の中央近傍は、構成している曲線の半径が大きく平面形状に近く、同様に略平行に構成されている本体部4の外郭部材4aの前面形状を構成している曲線の半径も大きく平面形状に近くなっている。これらの構成により、人体検知装置2のアンテナ面2xは、本体部4の対向する外郭部材4aの内壁面を介して、開放状態の便蓋部6の枢軸部分近傍の後端部分の上面6aと略平行となるように配置されている。一方、送信波の出力や受信波の感度はアンテナ面2xに対して、法線方向が最も強く、この方向を送信方向2zとすると、送信方向2zが、本体部4の対向する外郭部材4aの内壁面と共に、便蓋部6の枢軸部分近傍の後端部分の上面6aの対向する面に対しても、略垂直となっている。また同時に、便蓋部6は閉止状態からおよそ100度程度の回転で、開放状態となるため、送信方向2zがちょうど便器装置3を使用する人体に向けられ、人体検知に非常に適した方向でもある。
【0026】
このように配置しているのは、高周波の電波は本体部4や便蓋部6等の構成部材である樹脂を透過する一方で、誘電率の異なる境界面での反射や、構成部材内を透過する際の屈折が少なからず発生してしまためで、本体部4の外郭部材4aや開放状態の便蓋部6を透過する際において、入射角が垂直なので、垂直方向への反射は発生するが、屈折や反射による不要な方向への分散を抑えることができる。これにより、本体部4内に人体検知装置2を配置したことによる本来人体検知装置2が備えている検知感度の低下を抑えることができ、また、便蓋部6の閉止状態の検知感度に対する開放状態の検知感度の低下を抑えることもでき、便蓋部6の開閉姿勢による感度の調整を不要としている。
【0027】
また一方で、本体部4は便座装置3全体のデザイン上、側方への張り出し部分がなく、また高さも低い構成であるため、便座部5を完全に避けきれる構成を取ることが難しい。
これに対応するため、便蓋部6の閉止状態においては、図11に示すように、人体検知装置2のアンテナ面2xの送信方向2zの2点鎖線で示す投影面の下方の一部が、便蓋部6の枢軸部分近傍の後端部分6aで覆われるように構成させている。またもう一方で、便座部5の左右の枢軸部分間には、ねじれ等に対する補強のために、着座面側にほぼ垂直に枢軸の中心高さ程度の壁面5aを設けており、便座部5の閉止状態においては、図11で示すように、人体検知装置2のアンテナ面2xの送信方向の投影面の下方の一部が、便座部5の枢軸部分間の壁面5aで覆われ、便座部5の開放状態においては、図12で示すように、人体検知装置2のアンテナ面2xの送信方向の投影面の上方の一部が、便座部5の左右の枢軸部分間の壁面5aおよび着座面の一部で覆われるように構成させている。
このように構成することで、便蓋部6の閉止状態と、便蓋部6は開放状態で便座部5は閉止状態と、便座部5の開放状態の3つの開閉姿勢に対して、一部を犠牲にしながら、いずれの状態においても人体検知に必要なアンテナ面積を確保できるようにし、便蓋部6および便座部5の開閉姿勢による感度の調整を不要としている。
【0028】
次に、垂直方向の反射で生じる定在波の影響分の補正について、信号波形の一例をもとに説明する。
図13は、便器装置3に組み込んだ人体検知装置2の第1位相第1増幅信号の信号波形の1例を示す図である。(a)は使用状況全体を示す図であり、(b)は便蓋部6の開放時近傍の拡大図であり、(c)は便座部5への着座動作近傍の拡大図である。
【0029】
図13において、大きめの振幅をともなった信号波形は、図6で示した第1位相第1増幅信号S16の離散時間領域での信号波形W1(z)であり、前記信号波形の振幅の略中心を通った振幅の少ない信号波形は、図8で示した平均値演算部2sで演算された平均値S27の1つである第1位相第1増幅信号平均値の離散時間領域での信号波形W1avg(z)である。また1点鎖線で示しているのは、人体検知の判定の際に利用する信号波形W1avg(z)が安定した状態で更新される第1位相第1増幅信号確定平均値W1Zである。なおこの第1位相第1増幅信号確定平均値W1Zは、信号波形W1avg(z)が安定した状態で更新されるため、図13(b)に示すように確定平均値更新点P2’でステップ状に変化する。
【0030】
(a)に示す信号波形をもとに便器装置3の使用状況を時間的流れで説明する。
まず左端は便蓋部6の閉止状態での待機状態である。その後トイレ内への入室点P1に達し、人体の遠方領域での動きによりW1(z)の振幅が若干大きくなる。次に便蓋部6の開放動作開始点P2に達し、この便蓋部6の動きによりW1(z)が振幅の中心も含めて大きく変動すると共に、W1avg(z)も大きく変動する。さらに脱衣動作等を行った後、着座に向けた接近動作開始点P3に達し、W1avg(z)は安定したままW1(z)の振幅が連続的に増加傾向となる。着座点P4に達すると、W1(z)の振幅はほとんどなくり、W1avg(z)も含め着座に向けた接近動作中のW1avg(z)からはずれた状態で安定する。用便終了後の離座動作開始点P5に達すると、W1(z)の振幅が連続的に減少傾向となり、W1avg(z)は着座に向けた接近動作中と同レベルに安定する。その後の着衣動作等では先の脱衣動作と同様な状態が続く。また図示していないが、便蓋部6の閉止動作が入れば、先述した便蓋部6の開放動作開始点P2以前と同様な状態となる。
この信号波形の特徴を生かして、第2基準信号制御部2h’は第1位相第2基準信号S20および第2位相第2基準信号S21を制御するようにしている。
【0031】
図14は、便器装置3に組み込んだ人体検知装置2が備える第2基準信号制御部2h’の判断部2sの基準信号調整要否を判断するフローを示すフローチャート図である。
図14について各ステップ毎に説明する。Step11では、着座領域に人体を検知しているかどうか、つまり着座中かどうか確認し、非検知中であればStep12へ進み、着座中であればStep19へ進んで基準信号調整不要として基準信号調整フラグをクリアして抜けるようにしている。図8で示すように、判断部2sは人体検知信号S25を利用するように構成しており、また図13(c)を見て分かるように、着座直前のW1avg(z)に対して、着座中のW1(z)とW1avg(z)はずれて安定してしているため、信号波形だけで判断すると基準信号調整必要と判断してしまい不要意な調整を行ってしまう恐れがあるのを防止している。Step12では、図15に示す接近判定フローにより設定された接近判定フラグを確認し、クリアされていればStep13へ進み、セットされていれば基準信号調整不要として基準信号調整フラグをクリアして抜けるようにしている。接近判定フラグを利用している理由は、前記着座領域よりは遠い領域ではあるが、図13(c)を見て分かるように、W1(z)とW1avg(z)の振幅は大きくなりつつある状態であるため、基準信号調整必要と判断してしまい不要意な調整を行ってしまう恐れがあるのを防止するためである。またもう一方で、図13(b)と(c)を比較して分かるように、単純に信号波形の振幅の大きさだけで着座を検出するようにしていると、便蓋部6の開放動作を着座と判断してしまう恐れがあるのに対して、W1(z)の振幅の連続的な増加傾向を接近動作と判断し、これを経由しない限り着座はないとしておけば、着座動作と便蓋部6の開閉動作を区別することができる。このため、図8に示すように、移動方向判定部2tで判定される移動方向判定信号S26を検知信号生成部2mにも出力するように構成している。Step13では、遠方領域に人体を検知しているかどうか、つまり便器装置3前に立っているかどうか確認し、非検知中であればStep14へ進み、第1増幅信号安定度閾値TH1に小さい値であるAを設定し、検知中であればStep15へ進み、第1増幅信号安定度閾値TH1に大きい値であるBを設定し、Step16へ進むようにしている。閾値を切り換えている理由は、本来は非検知時にすべき基準信号調整を、便蓋部6の開閉動作によるズレを補正するために、人体検知中であってもする必要があり、人体の動きにより生ずる振幅よりも大きい閾値としている。Step16では、図8で示す入室時P1前や着座動作開始点P3前のように安定しているW1avg(z)の確定値である図13(b)(c)において1点鎖線で示す第1位相第1増幅信号確定平均値W1ZとW1(z)の差分である振幅が前記第1増幅信号安定度閾値TH1以上かどうか確認し、以上であればStep17へ進み、未満であれば当然安定状態が継続していることを意味しており、Step19へ進み、基準信号調整不要として基準信号調整フラグをクリアして抜けるようにしている。Step17では、Step16で利用した前記第1位相第1増幅信号確定平均値W1ZとW1avg(z)の差分である変動量が第1増幅信号平均値安定度閾値TH2を超えるかどうか確認し、超えていればStep18へ進み、基準信号調整必要として基準信号調整フラグをセットし、超えていなければStep19へ進み、基準信号調整不要として基準信号調整フラグをクリアして抜けるようにしている。図13(c)に示すように、接近動作中はW1(z)の振幅は増加傾向であるため、接近検知フラグセット前でStep17へ進んでくることがあっても、W1avg(z)の変動が少ないため、基準信号調整不要と判断し、不要意な調整を行うのを防止することができる。
【0032】
なお遠方領域や着座領域での人体の検知については、特にフローを示していないが、図13(b)(c)において1点鎖線で示す第1位相第1増幅信号確定平均値W1ZとW1(z)の差分である振幅が、遠方検知閾値THLや着座検知閾値THS以上かどうかで判定している。また、検知後の非検知への移行に関してはヒステリシスを持たせて前記閾値より小さい閾値とすることで安定させるようにしている。
【0033】
次に、移動方向判定部2tでの移動方向の判定フローについて説明する。
図15は、先述した移動方向判定部2tの接近判定のフローを示すフローチャート図である。Step21では、前記第1位相第1増幅信号確定平均値W1Zに対してW1(z)が大きいかどうか、つまり差分が正か負かを確認し、正ならStep22へ進み、それ以外はStep23へ進むようにしている。正であれば直近の極大値W1H1を書き換え中である可能性があるため、Step22以降で利用しないようにしている。逆に負であれば極小値W1L1を書き換え中である可能性があるため、Step23以降で利用しないようにしている。Step22〜Step27では、極大値と極小値の差分が増加傾向にあるかどうか確認し、Step22のルートであれStep23のルートであれ、3ステップ分通過すれば、Step28へ進み、それ以外ではStep29へ進み、W1(z)の振幅は増加傾向にないと判断し、接近判定フラグをクリアして抜けるようにしている。Step28では、W1(z)の一番古い極大値と極小値の差分が第1信号接近判定閾値TH3を超えているかどうか確認し、超えていれば接近判定フラグをセットし、超えていなければ十分に接近した距離ではないと判断し、接近判定フラグをクリアして抜けるようにしている。もちろん前記第1信号接近判定閾値TH3は、遠方領域での人体の動きにより生ずる振幅よりも大きい閾値としている。また図示はしていないが、離遠方向については、W1(z)の振幅は減少傾向かどうかと、W1(z)の極大値と極小値の差分の直近値が前記第1信号接近判定閾値TH3以下であるかで判断することができる。
また移動方向の判定方法としては、2つの90度位相の異なる検波信号の移動方向の違いによる時間領域での遅れと進みの関係も利用することが可能である。
【0034】
図16は、便器装置3に組み込んだ人体検知装置2の2つの第2増幅信号の位相の関係を示すグラフである。(a)は検知対象物との距離による出力レベルと位相の関係を示すグラフであり、(b)は接近時、(c)は離遠時の時間領域での出力レベルと位相の関係を示す図である。
2つの検波信号から得られる第1位相第2増幅信号W3および90度位相をずらした第2位相第2増幅信号W4は、互いに(a)に示すような関係にある。この状況において、2点差線で示す位置から左方向に動くことは接近を意味し、逆に右方向に動くことは離遠を意味している。これをそれぞれ時間軸で記載した図が(b)と(c)である。まず(b)で接近方向について説明すると、W4(z)が振幅中心に向かう時に、W3(z)は極大値に向かう動きをする。またW3(z)は位相の90度分遅れて振幅中心に向かう動きとなる。このため、接近方向への動きに対してはW4(z)がW3(z)に対して先行することになる。次に(c)で離遠方向について説明すると、、W3(z)が振幅中心に向かう時に、W4(z)は極大値に向かう動きをする。またW4(z)は位相の90度分遅れて振幅中心に向かう動きとなる。このため、接近方向への動きに対してはW3(z)がW4(z)に対して先行することになる。つまり、移動方向の違いで互いの時間領域での遅れと進みが逆転することになる。これを利用することで移動方向の判定は可能である。
【0035】
以下に、上記を利用した接近判定のフローを説明する。
図17は、便器装置3に組み込んだ人体検知装置2の移動方向判定部2tの別例の接近判定のフローを示すフローチャート図である。
まずStep31では、W4(z)の直前値W4(1)と現在値W4(0)の差分が第2増幅信号変動判定閾値TH4以上かどうか大小関係も含めて確認し、以上ならStep32へ進み、未満ならStep36へ進むようにしている。ここでは、図16(b)で示したW4(z)が振幅中心に向かう状態かどうかの確認をしており、また変動量が少ない場合は無視するようにしている。次にStep32では、現在値W4(0)と第2位相第2増幅信号確定平均値W4Zとの差分の絶対値が第2増幅信号振幅中心近傍閾値TH5以内かどうか確認し、以内ならStep33へ進み、超えるならStep36へ進むようにしている。ここでは、図16(b)で示したW4(z)が振幅中心に達したかどうかの確認をしており、きっちりその瞬間を検出できるか不明であるため、閾値を設けてある程度の範囲をカバーするようにしている。Step33では、現在値W3(0)と第1位相第2増幅信号確定平均値W3Zとの差分の絶対値が第1増幅信号接近判定閾値TH6以上かどうか確認し、以上ならStep34へ進み、未満ならStep36へ進むようにしている。ここでは、図16(b)で示したW3(z)が極大値に向かう状態となっているかどうかの確認と十分に大きな振幅が発生しているかの確認をしており、振幅が小さければ無視するようにしている。Step34では、接近検知カウンタCCNTの値を1増やし、また接近判定継続タイマーCTIMに所定時間T1を設定してStep35へ進み、Step35では、接近検知カウンタCCNTの値が所定値N1以上かどうか確認し、以上ならStep38へ進み、接近判定フラグをセットし、未満ならStep39へ進み、接近判定フラグをクリアして抜けるようにしている。一方Step36では、前記接近判定継続タイマーCTIMが0かどうかを確認し、まだ時間が残っているならそのままStep39へ進み、また0となっているなら前記接近検知カウンタCCNTと前記接近判定継続タイマーCTIMをともに0としてStep39へ進み、接近判定フラグをクリアして抜けるようにしている。ここでは、単発の動作ではなく連続的な動作を検知するようにしており、複数回の検知とまた所定時間の継続を考慮させている。もちろん継続性がなければ、無視することができる。また図示していないが、離遠判定についてはW4(z)とW3(z)を互いに置き換えることで判定することができる。
【0036】
上記実施例では、時間領域において先行する側が振幅中心に向かうポイントを移動方向の判定に利用しているが、逆に遅れ側が振幅中心に向かうポイントや、極大値や極小値近傍の上昇方向と下降方向との切り替わりポイントを利用することも可能である。
【0037】
また、本発明の実施例では、人体検知装置は10.525GHz近傍の周波数を送信波の中心周波数とする電波で検知するもので記載したが、マイクロ波やミリ波と称される高周波の電波であれば、特に使用する周波数を限定するものではない。
【0038】
また、本発明の人体検知装置を組み込んだ制御機器に、便器部と一体となった便器装置を例として記載したが、便器装置としては便器部と別体となったものでも良く、また、可動部等を備えた人体以外の定在波の影響を受けるような他の制御機器にも好適であり、特に制御機器を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例の人体検知装置1の構成を示すブロック図である。
【図2】第1実施例の人体検知装置1の基準信号制御部1fの構成を示すブロック図である。
【図3】第1実施例の人体検知装置1の判断部1nの基準信号調整要否を判断するフローを示すフローチャート図である。
【図4】第1実施例の人体検知装置1の第1増幅部1dおよび第2増幅部1eの増幅のイメージを示す簡略図である。(a)と(c)は第1増幅部1dについてであり、(b)と(d)と(e)は第2増幅部1eについてである。
【図5】第1実施例の人体検知装置1の基準信号制御部1fを置き換えた図2の別例である基準信号制御部1f’の構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の第2実施例の人体検知装置2の構成を示すブロック図である。
【図7】第2実施例の人体検知装置2の基準信号制御部2hの構成を示すブロック図である。
【図8】第2実施例の人体検知装置2の基準信号制御部2hを置き換えた図4の別例である基準信号制御部2h’の構成を示すブロック図である。
【図9】第2実施例の人体検知装置2を組み込んだ便器装置3をトイレに設置した状態を示す全体斜視図である。
【図10】便器装置3への人体検知装置2の配置を示す便蓋部6閉止状態における側面図であり、(a)は全体図、(b)は部分拡大図である。
【図11】便器装置3への人体検知装置2の配置を示す便蓋部6開放状態における側面図であり、(a)は全体図、(b)は部分拡大図である。
【図12】便器装置3への人体検知装置2の配置を示す便座部5開放状態における側面図であり、(a)は全体図、(b)は部分拡大図である。
【図13】便器装置3に組み込んだ人体検知装置2の第1位相第1増幅信号の信号波形の1例を示す図である。(a)は使用状況全体を示す図であり、(b)は便蓋部6の開放時近傍の拡大図であり、(c)は便座部5への着座動作近傍の拡大図である。
【図14】便器装置3に組み込んだ人体検知装置2が備える第2基準信号制御部2h’の判断部2sの基準信号調整要否を判断するフローを示すフローチャート図である。
【図15】便器装置3に組み込んだ人体検知装置2が備える第2基準信号制御部2h’の移動方向判定部2tの接近判定のフローを示すフローチャート図である。
【図16】便器装置3に組み込んだ人体検知装置2の2つの第2増幅信号の位相の関係を示すグラフである。(a)は検知対象物との距離による出力レベルと位相の関係を示すグラフであり、(b)は接近時、(c)は離遠時の時間領域での出力レベルと位相の関係を示す図である。
【図17】便器装置3に組み込んだ人体検知装置2の移動方向判定部2tの別例の接近判定のフローを示すフローチャート図である。
【符号の説明】
1、2 … 人体検知装置, 1a、2a …送信部,
1b、2b … 受信部, 1c、2c … 受信部,
1d … 第1増幅部, 1e … 第2増幅部,
1f、1f’、2h、2h’ … 基準信号制御部,
1g、2n … 第1調整部, 1h、2k … 増幅信号記憶部,
1k、2m … 検知信号生成部, 1m、2q … 基準信号調整部,
1n、2r … 判断部, 1p、2s … 平均値演算部,
1q、2u … 補正値演算部, 2d … 第1位相第1増幅部,
2e … 第1位相第2増幅部, 2f … 第2位相第1増幅部,
2g … 第2位相第2増幅部, 2p … 第2調整部,
2t … 移動方向判定部, 2x … アンテナ面,
2v … 位相差生成部, 2z … 送信方向
3 … 便器装置, 4 … 本体部, 4a … 外郭部材
5 … 便座部, 5a … 壁面, 6 … 便蓋部,
6a … 枢軸部分近傍の後端部分の上面, 7 … 便器部,
S1、S12 … 送信波, S2、S13 … 受信波,
S3 … 検波信号, S4 … 第1基準信号, S5 … 第1増幅信号,
S6 … 第2増幅信号, S7 … 第2基準信号,
S8、S24 … 記憶された増幅信号, S9、S25 … 人体検知信号,
S10、S27 … 平均値, S11、S28 … 調整要否信号,
S12’ … 位相の異なる2つの送信波, S13’ … 分割された受信波,
S14 … 第1検波信号, S15 … 第2検波信号,
S16 … 第1位相第1増幅信号, S17 … 第2位相第1増幅信号,
S18 … 第1位相第2増幅信号, S19 … 第2位相第2増幅信号,
S20 … 第1位相第2基準信号, S21 … 第2位相第2基準信号,
S22 … 第1位相第1基準信号, S23 … 第2位相第1基準信号,
S26 … 移動方向判定信号, S29、S30 … 補正量,
ΔW0 … 検波信号の振幅, ΔWa … 第1増幅信号の振幅,
ΔWb … 第2増幅信号の振幅, A1 … 第1増幅部の増幅率,
A2 … 第2増幅部の増幅率, Ra … 第1基準信号,
Rb … 第2基準信号, Δx0 … 検波信号の振幅中心のズレ量,
Δxa … 第1増幅信号の振幅中心のズレ量,
Δxb … 第2増幅信号の振幅中心のズレ量,
ΔWa’ … 状態変化後の第1増幅信号の振幅,
ΔWb’、ΔWb” … 補正後の第2増幅信号の振幅,
Rb’、Rb” … 補正後の第2基準信号,
ΔRb、ΔRb’… 第2基準信号の補正量,
W1(z) … 第1位相第1増幅信号の離散時間領域での信号波形,
W1avg(z) … 第1位相第1増幅信号平均値の離散時間領域での信号波形,
※[W1(0)他のz=0は現在値を示す]
W1Z … 第1位相第1増幅信号確定平均値,
W1H1、W1H2、W1H3 … 第1位相第1増幅信号極大値[末尾1が直近],
W1L1、W1L2、W1L3 … 第1位相第1増幅信号極小値[末尾1が直近],
W3(z) … 第1位相第2増幅信号[W3(0)は現在値],
W4(z) … 第2位相第2増幅信号[W4(0)は現在値],
W3Z … 第1位相第2増幅信号確定平均値,
W4Z … 第2位相第2増幅信号確定平均値,
P1 … 入室点, P2 … 便蓋部開放動作開始点,
P2’ … 確定平均値更新点, P3 … 着座動作開始点,
P4 … 着座点, P5 … 離座動作開始点,
TH1 … 第1増幅信号安定度判定閾値,
TH2 … 第1増幅信号平均値安定度判定閾値,
TH3 … 第1増幅信号接近判定閾値,
TH4 … 第2増幅信号変動判定閾値,
TH5 … 第2増幅信号振幅中心近傍閾値,
TH6 … 第2増幅信号接近判定閾値,
THL … 着座検知閾値, TH6 … 遠方検知閾値,
CCNT … 接近検知カウンタ, CTIM … 接近判定継続タイマー,
Step1〜Step39 … 制御ステップ
Claims (4)
- 送信波と人体によって跳ね返された反射波を受信して得られる受信波の干渉により生じる定在波を検波して得られる検波信号に基づき人体を検知する高周波の電波を利用した人体検知装置であり、
少なくとも前記検波信号を入力信号として増幅する第1信号増幅部と、
第1信号増幅部から出力される第1増幅信号を入力信号としてさらに増幅する第2信号増幅部と、
を備え、前記検波信号を複数段で増幅するよう構成された人体検知装置において、
前記第1増幅信号および第2信号増幅部から出力される第2増幅信号を各々取り込み記憶する増幅信号記憶部と、
前記増幅信号記憶部に記憶された第2増幅信号に基づいて人体の有無を示す検知信号を生成する検知信号生成部と、
を備えると共に、
第2信号増幅部から出力される第2増幅信号の振幅の中心となる第2基準信号を、前記増幅信号記憶部に記憶された第1増幅信号に基づいて制御する基準信号制御部を備え、
前記基準信号制御部は、
前記増幅信号記憶部に記憶された第1増幅信号をもとに平均値を演算する平均値演算部と、
前記平均値演算部で演算された平均値と前記第1信号増幅部から出力される第1増幅信号との差が大きく、且つ前記平均値演算部で演算される平均値の変動量が大きいときは、前記第2基準信号の調整が必要と判断し、前記平均値演算部で演算された平均値と前記第1信号増幅部から出力される第1増幅信号との差が小さいときは、前記第2基準信号の調整が必要でないと判断する判断部と、
を備え、前記判断部の判断に基づいて、第2基準信号の調整の制御を行うよう構成されていることを特徴とする人体検知装置。 - 前記基準信号制御部は、前記平均値演算部で演算された第1増幅信号の平均値の変動量をもとに、第2基準信号の補正値を演算する補正値演算部を備えると共に、前記判断部の判断に基づいて、第2基準信号に、演算された補正値を直接的に加算または減算することにより調整を行うよう制御する構成とされていることを特徴とする請求項1記載の人体検知装置。
- 前記人体検知装置は、送信波と人体によって跳ね返された反射波を受信して得られる受信波を各々同数に分割し、位相差生成部を介して干渉させることによって得られる互いに位相の異なる定在波を、各々検波して得られる複数の検波信号に基づき人体を検知する高周波の電波を利用した人体検知装置であり、前記第1増幅信号部は前記複数の検波信号を各々入力信号として各々増幅するよう構成され、前記第2増幅信号部は第1信号増幅部から出力される各々の第1増幅信号を各々入力信号として各々増幅するよう構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の人体検知装置。
- 前記基準信号制御部は、互いに位相の異なる各増幅信号の前記各増幅信号毎の平均値に対する振幅の変動による時間領域における位相の遅れ・進みをもとに、接近・離遠の人体の移動方向を判定するよう構成されていることを特徴とする請求項3記載の人体検知装置。
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KR101974383B1 (ko) * | 2018-08-02 | 2019-08-23 | 대림통상 주식회사 | 마이크로파센서를 사용한 소변감지장치 |
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