JP4096170B2 - 超音波診断装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、超音波診断装置に係り、特に例えば生体等の被検体内の3次元画像を表示する超音波診断装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
超音波診断装置は、例えば生体等の被検体内に超音波信号を送信し、これに対する超音波エコー等を含む受信信号に基づいて、診断画像を生成したり、例えば血流速度等の診断に有用な情報を得るものである。
【0003】
例えば、被検体内への超音波の送信方向であるビームラインをずらしながら被検体の断面を走査(スキャン)し、各ビームラインに対応する受信信号を走査変換することによって被検体内の断層像を生成することが知られている。
【0004】
また、走査の対象となる断面である、いわゆるスライス面をずらしながら複数のスライス面について得られた断層像情報を蓄積してなる3次元データセットを投影変換して、3次元的に表示した投影画像またはいわゆる3次元画像を生成することが提案されている。
【0005】
例えば産婦人科の分野において、胎児の3次元画像を生成し、これに基づいて胎児の発育状況を診断することが提案されている(例えば非特許文献1参照。)。例えば、胎児の顔面等を観察することが提案されている。
【0006】
【非特許文献1】
馬場一憲・井尾裕子著「産婦人科3次元超音波」株式会社メジカルビュー刊 2000年4月10日 第46頁図2-15
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、例えば胎児は胎内においてどのような姿勢をとっているか、顔面がどの向きを向いているかは不定であり、従来は生成された投影画像を観察しながら投影画像の視線に対応する方向(以下、「視線方向」と称する。)を再度設定し、画像を回転等させる処理を行って所望の投影画像、例えば顔面を正面から見た像等を得ていた。
【0007】
また、例えば観察対象物が胎児の顔面である場合に、胎児の顔面近くに胎盤や胎児の腕等診断の妨げとなる物が存在する場合には、画像のカット処理を行なったうえで再度投影画像を構成していた。
【0008】
しかし、投影画像の生成には、解像度および装置の演算能力にもよるが、例えば数秒から十数秒程度の時間を要することから、投影画像をもとに回転、カット等の処理をして試行錯誤しながら所望の投影画像を得るには時間と手間がかかり、診断の迅速性を損なう原因となっていた。
【0009】
上述した問題に鑑み、本発明の課題は、診断に好適な投影画像を容易に得ることにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、3次元画像データが蓄積される記憶部と、画像を表示する表示部と、該表示部に表示された断層像に重ねて表示された直線状の表示面設定マークの直線の向きおよび位置を操作して視点位置となる面の向きおよび位置を指定し、並びに視線方向を指定するマークの向きを操作して視線方向を指定する入力部と、前記3次元画像データを用いて前記入力部により指定された前記視点位置となる面および前記視線方向からみた投影画像を生成して前記表示部に表示させる投影画像生成部とを有する超音波診断装置によって上述した課題を解決する。
【0011】
本発明によれば、表示に要する時間が短く略リアルタイムで表示が可能なBモード等の断層像上において、視点位置となる面の向きおよび位置、並びに視線方向を指定することにより、指定された視点から指定された視線方向で診断対象物をみた投影画像を得ることができ、診断に好適な投影画像が容易に得られ、迅速に診断することができる。例えば、胎児の顔面を観察する場合には、胎盤や胎児の腕等が診断の妨げとならない位置に視点位置を設定することにより、容易に診断に好適な画像を生成することができる。
【0012】
なお、ここで視点位置は点であり、視線方向はこの点を通り放射状に分布するものであってもよい。また、視点位置が面であり、視線方向はこの面に直交する方向に平行に分布するものであってもよい。
【0013】
また、投影方向は断層像の断層面に含まれる方向についてのみ、2次元的に指定するようにしてもよいが、投影方向を3次元的に設定するため、断層像の断層面に対する視線方向の傾きを設定する手段を設けてもよい。例えば、傾きを数値入力するようにしてもよい。また、マークを立体的に表示して、これを操作することによって傾きを設定できるようにしてもよい。
【0014】
また、表示部は、表示されている断層像のスライス面に直交する平面の座標軸を表示する表示領域を有し、入力部は、表示領域に表示されるマークの向きを操作して視線方向と断層像との角度を操作する構成としてもよい。このようにしても、視線方向を直交3軸方向において任意かつ容易に設定することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を適用してなる超音波診断装置の一実施形態について説明する。図1は、本実施形態の超音波診断装置の構成を示すブロック図である。図1に示すように、超音波診断装置は、探触子1と、探触子1を介して図示しない被検体に超音波信号を送信するとともに、被検体からの超音波エコー等からなる受信信号を受信する受信部3と、受信信号に基づいていわゆるBモード断層像等の2次元画像を生成する2次元画像構築部5と、2次元画像等を表示するモニタである表示部7とを有する。そして、ビデオキャプチャー機能など表示部7に時々刻々表示される2次元画像に関するデータを連続的に取り込む機能を有する3次元画像データ取得部9と、3次元画像データ取得部が取得したデータを保持する3次元画像データ記憶部11とが設けられている。そして、3次元画像データ記憶部11から3次元画像データを読み出して投影変換し、投影画像またはいわゆる3次元画像を生成する3次元画像構築部13が設けられている。そして、3次元画像データ取得部9および3次元画像構築部13を制御するCPU15と、CPU15に接続された操作部17とが設けられている。また、CPU15からの信号に基づいて3次元画像構築部13に3次元画像の投影方向および表示断面を指示する表示面・方向設定部19とが設けられている。
【0016】
次に、本実施形態の超音波診断装置の動作方法について説明する。図2は、本実施形態の超音波診断装置の動作を示すフローチャートである。図2に示すように、この動作は、2次元画像を表示するステップS01と、3次元画像の視点位置に対応する表示面を設定するステップS02と、3次元画像の視線方向に対応する表示方向を設定するステップS03と、設定された表示面および表示方向に関する設定データを保存するステップS04とを有する。さらに、この動作は、3次元画像データを取得するステップS05と、3次元画像データを保存するステップS06と、3次元画像の表示断面または視線位置に該当する面を設定するステップS07と、3次元画像の投影方向または視線方向を設定するステップS08と、3次元画像を構築するステップS09と、3次元画像を表示するステップS10とを有して構成されている。以下、ステップ毎に説明する。
【0017】
(ステップS01)
先ず、送受信部3は、超音波パルスを含む送信信号を生成し、探触子1の図示しない複数の振動子に供給する。送信信号を受けた振動子はそれぞれ振動して超音波を発生する。そして、図示しない被検体内に各振動子からの超音波の波面が一致する方向に伝播する超音波ビームが形成される。超音波ビームは被検体内を伝播しながら、例えば胎児の表面と羊水との境目等、音響インピーダンスが変化する部位において一部が反射し、この超音波エコーの一部は探触子1に戻り、受信される。受信信号は、送受信部3に送られ、ここで増幅、A/D変換および整相または受信フォーカス処理を施されて2次元画像構築部5に送られる。送受信部3は、上述した超音波の送受信を、被検体内を予め定められた平面であるスライス面に沿って方向をずらしながら行い、これによって被検体を走査する。
【0018】
2次元画像構築部5は、得られた受信信号に対応する送信信号の送信方向および送信から受信までの時間間隔、つまり超音波の往復伝播時間に基づいて各受信信号に対応する被検体内の位置を求め、超音波エコー信号の強度と対応する受信信号の強度を対応する画素位置の輝度として走査変換し、スライス面上の2次元断層像データを生成する。そして、表示部7は、2次元画像構築部5が出力した2次元画像データに基づいて2次元画像、すなわちスライス面の断層像を表示する。
【0019】
図3は、表示部7に表示された2次元画像の一例を示す図である。図3に示すように、2次元画像21は表示部7の画面23内に表示される。そして、図3においては、胎児の頭部から肩部にかけての断層像25が画面の略中央部に表示される。そして、図3においては、胎児の周囲を取り囲んで、矩形の関心領域(ROI)27が設定されている。関心領域の設定は、操作部17が有するトラックボールやマウス等のポインティングデバイスを操作したり、あるいは数値入力によって行われる。そして、ROI27の上端部の辺に沿って、直線状の表示面設定マーク29が表示されている。表示面設定マーク29がROI27の外縁と接する端点31および33は、丸状のマークが付され強調して表示される。また、表示面設定マーク29と直交し、表示面設定マーク29の略中央部を指し示す矢印状の表示方向設定マーク35が表示されている。
【0020】
(ステップS02)
次に、医師、オペレータ等の操作者は、操作部17が有するポインティングデバイスを操作して、2次元画像状の表示面設定マーク29の端点31および33を移動し、任意の表示面に対応する位置に表示面設定マークが表示されるように入力する。図4は、操作後の2次元画像の一例を示す図である。図4において、表示面設定マーク29はROI27の左上部を三角形状にカットするように斜めに設定され、表示面設定マーク29はその略中央部において、胎児の顔面と認められる部分37に隣接している。
【0021】
(ステップS03)
次に、操作者は、ポインティングデバイスを操作して、表示方向設定マーク35が表示面設定マーク29のどちらの側に位置するかを設定する。図5は、表示方向を設定するときの2次元画像の一例を示す図である。図5に示す例においては、表示方向設定マーク35は、表示面設定マーク29の反対側に移動され、表示方向を示す矢印が胎児の方向を向くように設定されている。
【0022】
上述した表示面設定マーク29および表示方向設定マーク35の設定により、求めるべき3次元画像の視線方向および視点位置となる面、換言すれば投影画像の最前面に該当する面の位置が設定されたことになる。
【0023】
(ステップS04)
CPU15は、内蔵されたバッファメモリにステップS02およびS03で設定された表示面設定マーク29および表示方向設定マーク35に対応する3次元画像の視線方向および視線位置を設定データとして保存する。
【0024】
(ステップS05)
送受信部3は、ステップS01において述べたような被検体の走査を、スライス面を移動しながら行なうことによって被検体内を3次元的に走査する。具体的には、操作者が探触子をスライス面と交わる方向、例えば略直交する方向に移動しながら各移動上の位置に対応するスライス面の受信信号を得る。そして、この間2次元画像構築部5は、略リアルタイムに2次元断層像データを生成しつづけ、表示部7はこれを連続的に表示する。一方、3次元画像データ取得部9は、表示部7に表示される2次元画像に係るデータを連続的に取り込む。
【0025】
(ステップS06)
3次元データ取得部9は、上述したステップS05と平行して、取りこまれた2次元画像に係るデータを連続して3次元画像データ記憶部11に記憶させる。これによって、被検体内の複数のスライス面に対応する2次元画像データの集合であるレンダリング用の3次元画像データセットが構成される。
【0026】
(ステップS07)
表示面・方向設定部19は、ステップS04において保存された設定データに応じて3次元画像の表示断面、換言すれば視点位置に該当する面を求め、これを3次元画像構築部13に設定する。
【0027】
(ステップS08)
次に、表示面・方向設定部19は、ステップS04において保存された設定データに応じて、3次元画像の投影方向または視線方向を求め、これを3次元画像構築部13に設定する。
【0028】
(ステップS09)
3次元画像構築部13は、3次元画像データ記憶部11から3次元画像データを読出し、これをステップS07およびS08においてなされた設定に従って、平面に投影して3次元画像を構築する。具体的には3次元画像データを処理して、各位置に対応する画素値、換言すればBモードにおける輝度値またはその変化量を閾値処理して、この場合には胎児の表面に対応する画像各点を求める。換言すれば、この閾値は、胎児の表面を抽出するのに好適なよう設定される。そして、画像各点が視点位置に該当する面に対してなす傾斜角に応じて濃淡を与えるサーフェスレンダリング法、視点位置からみた診断対象物の奥行きに応じて濃淡を与えるボクセル法、若しくは視線方向の3次元画像データの輝度値を深さ方向に演算して濃淡を与えるボリュームレンダリング法またはこれらを併用して重畳表示する等して投影画像または3次元画像を構築する。
【0029】
(ステップS10)
3次元画像構築部13は、構築された3次元画像を表示部7に表示させる。図6は、このような3次元画像の一例を示す図である。図6に示すように、胎児39は、図4の表示面設定マーク29において設定された面に対し、図5の表示方向設定マーク35の矢印で示した方向からみた状態を示す3次元画像として表示される。
【0030】
以上のように、本実施形態によれば、略リアルタイムで表示可能なBモード断層像である2次元画像上において投影画像の表示方向または視線方向を指定することにより、診断に好適な投影画像を容易に得ることができるから、診断が迅速化される。
【0031】
さらに、表示面設定マークによって視線方向のみならず表示面または視点位置に該当する面も設定しているから、例えば観察の対象となる胎児の顔面を投影面に近づけて表示することができ、診断に不要な羊水や胎盤が胎児の前方に介在することによる画質の劣化を防ぐことができる。また、例えば胎児の任意の断層像を含む投影画像を得ることもできる。
【0032】
また、視線方向および視点位置の指定を、画面上の表示面設定マークおよび表示方向設定マークを操作することによって行っているから、操作を直感的に行なうことができ、視線方向等を指定する作業が簡単化される。
【0033】
なお、上述した実施形態においては、表示面および表示方向を設定してから3次元画像データを取得しているが、予め3次元画像データを取得しておき、その後この3次元画像データに基づいて2次元断層像を表示して表示面および表示方向を設定するようにしてもよい。これによれば、予め取得した3次元画像データを保存しておき、後から詳細な観察を行うことができる。
【0034】
また、上述した実施形態においては、予め取得された3次元画像データに対していわゆるオフラインで3次元画像を構築しているが、装置の処理能力等が十分にある場合には、時々刻々取得される3次元画像データに対し、設定された表示面および表示方向に基づいてオンラインで3次元画像を構築するようにしてもよい。
【0035】
さらに、上述した実施形態では表示方向の設定は2次元画像に対応する平面上に含まれる方向に限られるが、表示方向を3次元方向、換言すれば直交3軸方向において行えるようにしてもよい。例えば、視線方向設定時の2次元画像に対する視線方向の角度または傾きを数値入力して設定するようにしてもよい。また、直交する複数のスライス面に対応する複数の2次元画像を並べて表示し、各2次元画像上においてそれぞれ視点位置を設定するようにしてもよい。また、マークを立体的あるいは3次元的に表示し、これをトラックボール等のポインティングデバイスによって操作することにより、2次元画像に対応する平面から外れる方向、つまり2次元画像に対する視線方向の傾き等のパラメータをも設定できるようにしてもよい。
【0036】
また、上述した実施形態においては、2次元走査型の探触子を移動しながら3次元画像データを取得しているが、周知の3次元走査型の探触子を用いてもよい。
【0037】
【発明の効果】
本発明によれば、診断に好適な投影画像を容易に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用してなる超音波診断装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図1の超音波診断装置の動作を示すフローチャートである。
【図3】図1の超音波診断装置の画面表示の一例を示す図である。
【図4】図1の超音波診断装置において、表示面を設定した後の画面表示の一例を示す図である。
【図5】図1の超音波診断装置において、表示方向を設定した後の画面表示の一例を示す図である。
【図6】図1の超音波診断装置における3次元画像表示の一例を示す図である。
【符号の説明】
1 探触子
3 送受信部
5 2次元画像構築部
7 表示部
9 3次元画像データ取得部
11 3次元画像データ記憶部
13 3次元画像構築部
15 CPU
17 操作部
19 表示面・方向設定部
21 2次元画像
23 表示画面
25 胎児の断層像
27 関心領域の範囲表示
29 表示面設定マーク
31、33 表示面設定マークの端点
35 表示方向設定マーク
39 胎児の3次元画像

Claims (1)

  1. 3次元画像データが蓄積される記憶部と、画像を表示する表示部と、該表示部に表示された断層像に重ねて表示された直線状の表示面設定マークの直線の向きおよび位置を操作して視点位置となる面の向きおよび位置を指定し、並びに視線方向を指定するマークの向きを操作して視線方向を指定する入力部と、前記3次元画像データを用いて前記入力部により指定された前記視点位置となる面および前記視線方向からみた投影画像を生成して前記表示部に表示させる投影画像生成部とを有する超音波診断装置。
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