JP4095921B2 - 電極接続具およびこれを備えた真空処理装置 - Google Patents

電極接続具およびこれを備えた真空処理装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラズマCVD装置、ドライエッチング装置、スパッタリング装置などの真空プラズマ処理装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、プラズマCVD装置等では、高周波電源用ケーブル(以下、RFケーブルという)を用いて高周波電力(たとえば10MHz〜100MHz)をプラズマ発生用のラダー電極に供給している。このRFケーブルの芯線(芯体)が、複数個(たとえば3個)の止めネジの先端で押さえ付けられることにより電極接続具に固定されていた。
また、このようなRFケーブルは、ラダー電極が形成する平面に対して垂直に接続されていた(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−105643号公報(図2から図5)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述した特許文献1の発明では、ラダー電極を形成する平面における電力の不均一性により生成されるプラズマの均一性が悪く、製膜品、表面処理品の品質を低下させるおそれがある。
すなわち、RFケーブルの芯線を、電極接続具に対して複数個の止めネジの先端で押さえ付けるようにして固定していたため、接触面積が少なく、電力の供給が不安定になってしまうというおそれがあった。
一方、RFケーブルの電力の流れは、RFケーブルの内部を通る間は、RFケーブルの外皮とRFケーブル芯線の間に電圧がかかり、電力が伝わっていく。しかし、ラダー電極との接続部ではRFケーブル外皮が切れアースが断たれるため、接続部以降の電圧は任意のアースとの間にかかることになり、電気力線が不安定となり易い。また、電気力線が不安定となることにより電気力線の分布が非対称となり、接続部でのインピーダンス変化が大きくなるために反射波が増加したり電力の供給が不安定になりやすいという問題点があるとともに、止めネジの先端で芯線を付傷し、場合によっては切断してしまうおそれがあった。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、ラダー電極への電力の供給を安定化させることができる電極接続具およびこれを備えた真空処理室を提供することを目的とする。
また、本発明の他の目的は、ラダー電極とRFケーブルとの接続部における高周波電力の反射を低減させるとともに、ラダー電極への高周波電力の入射を増大させることのできる電極接続具およびこれを備えた真空処理室を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用した。
すなわち、請求項1記載の電極接続具によれば、真空処理室内に配置された放電用の電極と、真空処理室外に配置された高周波電源とを、芯体および該芯体を被覆するシールドアースを有するとともに、防着板に設けられた開口部を通る高周波電源用ケーブルを用いて接続する際に使用される電極接続具において、前記電極が形成する平面の延長面上に、前記芯体の電極側先端部を位置させるため、前記芯体の電極側先端部と前記シールドアースの端面との間に位置する芯体をL字形に屈曲させるL形屈曲部と、前記電極に接続される取付部と、前記芯体の電極側先端部が接続される把持部とを具備していることを特徴とする。
【0007】
このような電極接続具によれば、電極が形成する平面に対して直交する軸線上に延在する高周波電源用ケーブルの電極側先端部の芯線が、L形屈曲部により電極が形成する平面の延長面上に位置するように曲げられ、電極に接続されている。
【0008】
請求項記載の電極接続具によれば、前記L形屈曲部は導体からなる本体部と、該本体部の内側に形成された中空部とを具備してなり、前記本体部の一端側に位置する前記本体部のフランジと前記防着板との間には、前記本体部と前記防着板とを電気的に接続する導電部材が設けられているとともに、前記本体部の他端側は前記シールドアースに接続されていることを特徴とすることを特徴とする。
【0009】
このような電極接続具によれば、防着板、導電部材、本体部、およびシールドアースは電気的に接続され、全体としてシールドアースを介して真空処理装置外にアース(接地)されている。
【0010】
請求項記載の電極接続具によれば、前記導電部材は板バネ状に構成されていることを特徴とする。
【0011】
このような電極接続具によれば、熱膨張に対して追従性を有するとともに、比較的大きな接触面積を有する板バネが導電部材として用いられている。
【0012】
請求項記載の電極接続具によれば、前記L形屈曲部には少なくとも一つの長穴が設けられているとともに、該L形屈曲部は、前記防着板に設けられた貫通孔と前記長穴とを貫通する締結手段を介して前記防着板に取り付けられていることを特徴とする。
【0013】
このような電極接続具によれば、防着板に設けられた貫通孔とL形屈曲部に設けられた長穴とを貫通する締結手段により、L形屈曲部が防着板に対して固定されるようになっている。
【0014】
請求項記載の電極接続具によれば、前記取付部と前記電極とは、角形テーパ部を介して接続されていることを特徴とする。
【0015】
このような電極接続具によれば、たとえば平面視台形を有するとともに、正面視略正方形を有し、正面側から電極の側に向かって縮径するブロック状の角形テーパ部を介して、接続部と電極とが接続されることとなる。
【0016】
請求項記載の電極接続具によれば、前記取付部と前記電極とは、円錐台形テーパ部を介して接続されていることを特徴とする。
【0017】
このような電極接続具によれば、たとえば平面視台形を有するとともに、正面視略円形を有し、正面側から電極の側に向かって縮径する円錐台状のテーパ部を介して、接続部と電極とが接続されることとなる。
【0018】
請求項記載の電極接続具によれば、前記把持部と前記シールドアースの端面近傍との間に位置する芯体は、交換可能に構成されていることを特徴とする。
【0019】
このような電極接続具によれば、芯線の先端部のみが交換可能に構成されている。
【0020】
請求項記載の電極接続具によれば、前記本体部の全部または一部は少なくとも二つに分割できるように構成されていることを特徴とする。
【0021】
このような電極接続具によれば、たとえば面対称となる二つの部材により本体部が形成される。
【0022】
請求項記載の電極接続具によれば、前記中空部には、前記芯体と前記本体部との電気的接続を遮断する絶縁体が配置されていることを特徴とする。
【0023】
このような電極接続具によれば、中空部内に位置する芯線と本体部との間には絶縁体が配置されており、芯線と本体部とは電気的に絶縁されている。
【0024】
請求項10記載の電極接続具によれば、前記絶縁体の全部または一部は少なくとも二つに分割できるように構成されていることを特徴とする。
【0025】
このような電極接続具によれば、たとえば面対称となる二つの部材により絶縁体が形成されている。
【0026】
請求項11記載の電極接続具によれば、前記把持部は、前記芯体の延在方向に沿って延設され、前記芯体の先端部外周面を少なくとも二方からつかむチャック部材と、これらチャック部材の内周面を前記芯体の先端部外周面に向かって押圧する押圧部材とを有してなることを特徴とする。
【0027】
このような電極接続具によれば、チャック部材の内周面で芯線(芯体)の外表面がつかまれ(把持され)、電極接続具と芯線との接触面積が増大する。また、押圧部材によりチャック部材の内周面が芯線の先端部外周面に向かって押し付けられるようになっている。
【0028】
請求項12記載の真空処理装置によれば、真空処理室内に配置された放電用の電極と、真空処理室外に配置された高周波電源と、芯体および該芯体を被覆するシールドアースを有した高周波電源用ケーブルと、請求項1から11のいずれか一項に記載の電極接続具とを具備してなることを特徴とする。
【0029】
このような真空処理装置によれば、電極を形成する平面に均一な電力を供給することのできる電極接続具が採用されることとなる。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による電極接続具の第1実施形態について、図面を参照しながら説明する。
本発明による電極接続具は、たとえば図12に示すようなクラスタ形真空処理装置801に用いられるものである。
図12に示すように、クラスタ形真空処理装置801は中央に台車回転室としての共通搬送室830を備え、その周囲を取り囲むようにロード室810、アンロード室820、5つの製膜室(真空処理室)870A〜870E、予備室880が配置されている。これら各室810,820,870A〜870E,880はゲート弁(図示せず)を介して台車移動接続室840A〜840Hにそれぞれ連通し、さらに各台車移動接続室840A〜840Hは共通搬送室830にそれぞれ連通している。
【0031】
ロード室810には2台の搬送装置806A,806Bが、アンロード室820にも2台の搬送装置806C,806Dが、共通搬送室830には2台の搬送装置806E,806Fがそれぞれ設けられ、装置全体では合計少なくとも6台の搬送装置806A〜806Fが各所に配置されている。
【0032】
図13に示すように、前述した製膜室870A〜870E内にはそれぞれ、固定された製膜ユニット912と、この製膜ユニット912の両側に固定して配置された基板加熱用ヒータ913,913が配置されている。また、製膜ユニット912と基板加熱用ヒータ913間には、後述する基板搬送台車により製膜室内の所定の位置に搬送されるガラス基板(被処理基板)914やヒータカバー915やラダー電極916等が配置されている。
【0033】
製膜ユニット912は、図14に示すような構成となっている。すなわち、製膜ユニット912は、中央部に立てかけて配置された製膜ユニット温度制御ヒータまたはクーラ(以下、温度制御ユニットと呼ぶ)917と、この温度制御ユニット917の両側に一体形製膜ユニットカバー(以下、防着板と呼ぶ)918を介して配置されたラダー電極916と、前記ラダー電極916の枠体部分に配置されたポジショナ(基板周囲枠)919と、前記ポジショナ919と連結されて前記温度制御ユニット917、ユニットカバー918およびラダー電極916の一部を囲むように配置された排気ガスカバー920と、前記ラダー電極916の背面側に配置された、前記ガラス基板914を支持するヒータカバー915と、前記排気ガスカバー920内を排気する排気管(排気手段)921とを有している。
【0034】
ガラス基板914は、たとえば上下に夫々2個づつボルト受け922を有したヒータカバー915に支持されている。ヒータカバー915は駆動モータ923によりボルト924が回動することにより、ポジショナ919に密着するようになっている。また、基板加熱用ヒータ913は、図13の矢印Aのように移動する。ラダー電極916はガス吹出し一体形であり、パイプ状の枠体(支持体)916aと、この枠体916aに梯子形に多数並列され、複数のガス吹出し穴を有するパイプ916bとから構成されたものである。
【0035】
図15は、立て方向の中心線Lより左側では基板の搬入状態にあり、中心線Lより右側ではガラス基板914をヒータカバー915へセットし、台車が移動済みの状態を示す。なお、製膜開始までは更にヒータカバー915を前進し、ガラス基板914をポジショナ919に密着させる。前記ガラス基板914は、図15に示すように基板搬送台車925により台車予備室(図示せず)から製膜室911に搬送されるようになっている。なお、図15中の付番926は、メンテナンス用の扉を示す。
【0036】
図1は本実施形態に係る電極接続具10を示す分解斜視図である。この電極接続具10は、ラダー電極916に接続される取付部11と、RFケーブル13の芯線(芯体)13aのラダー電極916側先端部が接続される把持部12とを主たる要素として構成されたものである。
RFケーブル13は、ラダー電極916と前述した製膜室870A〜870Eの外部に配置された高周波電源(図示せず)とを製膜室壁面に設置した電流導入端子(図示せず)などを用いて真空を破壊することなく、電気的に接続するものであり、中心部に配置された芯線13aと、この芯線13aを取り囲むように配置された絶縁ガイシ(図示せず)と、この絶縁ガイシの外側に配置されるとともに絶縁ガイシを被覆する外部導体(以下、シールドアースという)13bとを有するものである。なお、芯線13aとシールドアース13bとは、絶縁ガイシにより絶縁されている。
【0037】
ラダー電極916の下側の枠体916aには、この枠体916aの延在方向に沿って板状の横グリッドGが設けられている。この横グリッドGには、高さ方向の切り欠き部Caと、この切り欠き部Caの先端部から横グリッドGの延在方向に切り欠かれた切り欠き部Cbとが形成されている。各切り欠き部Ca,Cbの幅は後述する固定用ボルト11bの雄ねじ部11gが挿入可能な幅であり、固定用ボルト11bのヘッド部11fが反対側に通り抜けない程度の幅となっている。
【0038】
取付部11は、一端部の中心に雌ねじ部11h(図2参照)を有する本体11aと、この雌ねじ部11hと螺合する雄ねじ部11gを有する固定用ボルト11bと、横グリッドGと固定用ボルト11bとの間に配置されるスプリングワッシャ11cとから構成されている。
本体11aは、把持部12の側から横グリッドGの側に向かって拡径し、断面略台形を有する円錐台形状を呈するものである。また、本体11aの大径側端面11dの周縁部には、この大径側端面11dから横グリッドGの方に向かって、横グリッドGの上面に当接できるように突出する突起11eが設けられている。この突起11eは略立方体の形状を有するもので、取付部11を横グリッドGに取り付ける際に回り止めとして機能し、作業性を著しく向上するものである。
【0039】
把持部12は、前述した本体11aの小径側に一体に設けられた第二の雄ねじ部12fと、芯線13aの延在方向に沿って延設され、芯線13aの先端部外周面をたとえば四方からつかむ(把持する)とともに、第二の雄ねじ部12fと一体に設けられたチャック部材12aと、チャック部材12aの内周面を芯線13aの先端部外周面に向かって押圧する押圧部材12bとを有するものである。
チャック部材12aは、たとえば四本の爪部材12cから構成されており、隣接する爪部材12c間には切込溝12dが形成されている。また、これら爪部材12cの外表面は、その端面12g側から本体11aに向かって徐々に拡径するテーパ状に形成されている。
押圧部材12bはキャップ状の部材であり、その内周面には、前述した第二の雄ねじ部12fと螺合する雌ねじ部12h(図2参照)が設けられている。また、この押圧部材12bの頂部には四本の爪部材12cの外周面を受け入れることのできる貫通穴12eが設けられている。
【0040】
第二の雄ねじ部12fおよび/または第二の雌ねじ部12hには、真空焼き付き防止処理が施されている。真空焼き付き防止処理としては、たとえば酸化処理や窒化処理を挙げることができるが、製膜室内のフッ素プラズマクリーニングなどに用いるフッ素に対する耐久性を考慮する場合には、好ましくは窒化処理の一種であるタフトライド処理を選定する。
【0041】
つぎに、電極接続具10を介して、RFケーブル13をラダー電極916に取り付ける取付方法の一例について説明する。
まずはじめに、RFケーブル13の芯線13aを、貫通穴12eに通した後、チャック部材12aの中心部、すなわち四本の爪部材12cの内周面で形成される孔内へ挿入する。RFケーブル13のシールドアース13bの端面13cと爪部材12cの端面12gとの間の距離ができるだけ短くなるように、好ましくはシールドアース13bの端面13cと爪部材12cの端面12gとが当接する1〜2mm手前まで芯線13aをチャック部材12aの中心部に挿入する。これはシールドアース端面13cと爪部材12cの端面12gとが接触すると電気的に地絡状態となるためである。そしてこの状態で、押圧部材12bの第二の雌ねじ部12hを第二の雄ねじ部12fに螺合させるとともに、押圧部材12bを回して締め込んでいくと、テーパ状とされた爪部材12cの外表面に沿って押圧部材12bの貫通孔12eの内周面が移動していき、貫通穴12eからチャック部材12aの端面12gが徐々に突出してくる。このとき、爪部材12c間の切込溝12dの間隙が徐々に狭くなるとともに、爪部材12cの内周面で形成される孔の径が徐々に小さくなり、これら内周面が次第に芯線13aの外表面を押圧していくようになる。すなわち、芯線13aの外表面が爪部材12cの内周面により把持(保持)され、RFケーブル13の電極接続具10への取り付けが完了する。
【0042】
つぎに、RFケーブル13の取り付けが完了した電極接続具10の本体11aの雌ねじ部11hに、スプリングワッシャ11cを装着した固定用ボルト11bの雄ねじ部11gを軽くねじ込む。そして、固定用ボルト11bの雄ねじ部11gが、切り欠き部Ca,Cbを順次通過するように移動させ、電極接続具10を横グリッドGに対して仮留めする。本体11aの端面11dを横グリッドGの表面g1に当接させるとともに、突起11eの下端面を横グリッドGの上面g2に当接させながら、固定用ボルト11bの雄ねじ部11gを本体11aの雌ねじ部11hに回らなくなるまでねじ込んでいき、電極接続具10のラダー電極916への取付を完了する。
【0043】
このように、チャック部材12aの内周面、すなわち四本の爪部材12cの内周面で芯線13aの外表面がつかまれる(把持される)こととなるので、電極接続具10と芯線13aとの接触面積が増大して、芯線13aが電極接続具10から抜けてしまうことを防止することができるとともに、高周波電源から電極接続具10への電力の供給を安定化させることができ、ラダー電極916への電力の供給を安定化させることができる。
また、芯線13aの外表面がチャック部材12aの内周面により広範囲にわたって面接触で保持されることとなるので、芯線13aが傷ついて、場合によっては芯線13aが切断してしまうのを防止することができる。
さらに、シールドアース13b側からラダー電極916側にかけて、チャック部材12aの外径が徐々に拡径するようテーパ状に構成されているので、インピーダンスの不連続が緩和され、反射波が低減されて、電力の供給を増大させることができるとともに安定化させることができる。すなわち、ラダー電極916への電力の不均一性を減少し、プラズマの均一性が向上し、製膜品、表面処理品の品質を向上させることができる。
さらにまた、ラダー電極916への高周波電力の入射が増大し、製膜、表面処理の均一性と効率を向上させることができる。
さらにまた、第二の雄ねじ部12f、第二の雌ねじ部12hの少なくともいずれか一方には、真空焼き付き防止処理が施されているので、メンテナンス時の取り外し作業が容易となり、作業時間の短縮化を図ることができる。
【0044】
つぎに、図2を用いて本発明による電極接続具の第2実施形態を説明する。図2は本実施形態による電極接続具20を介してRFケーブル13とラダー電極916とを接続した状態を示す図であって、(a)は側断面図、(b)は横断面図である。
本実施形態における電極接続具20は、被覆部材21および第二の被覆部材22が設けられているという点で第1実施形態のものと異なる。その他の構成要素については前述した第1実施形態と同じであるので、ここではそれら構成要素についての説明は省略し、被覆部材21および第二の被覆部材22についてのみ説明することにする。
なお、第1実施形態と同一の部材には同一の符号を付している。
【0045】
被覆部材21は、真空中で使用ができて絶縁性を有し、たとえばセラミックスなどから作られたものであり、シールドアース13の端面13cと把持部12の端面12gとの間に位置する芯線13a、およびシールドアース13の端部を覆うように構成されたものである。
また、被覆部材21の頂部21aには、芯線13aが軸線方向に貫通する貫通孔21bが設けられているとともに、この頂部21aの外周面には、たとえば3本の溝21cが設けられている。
【0046】
第二の被覆部材22は、真空中で使用ができて比誘電率の高い特性を有し、たとえばセラミックスなどから作られたものであり、被覆部材21と、前述した電極接続具10の横グリッドGの表面g1よりもRFケーブル13側に突出した部分とを覆うように構成されたものである。
【0047】
被覆部材21を設けることにより、シールドアース13の端面13cと把持部12の端面12gとの間に位置する芯線13aへの膜付きを防止することができるので、付着膜を介した地絡による絶縁不良トラブルや、芯線13aと爪部材12cとの接触不良を抑制することができる。
また、第二の被覆部材22を設けることにより、第二の被覆部材22の内外周辺部分におけるプラズマの発生が抑制されるので、シールドアース13の端面13cと把持部12の端面12gとの間に位置する芯線13aへの膜付きをさらに防止することができる。
さらに、被覆部材21の頂部21aの外周面に溝21cを設けることにより、被覆部材21の外周面と第二の被覆部材22の内周面との間に付着した膜が溝21c内で断ち切られるので、シールドアース13の端面13cと把持部12の端面12gとの間に位置する芯線13aとの膜付きを介した地絡による絶縁不良トラブルをより一層防止することができる。
【0048】
図3および図4を用いて本発明による電極接続具の第3実施形態を説明する。本実施形態における電極接続具30は、第二の雄ねじ部12fおよび本体11aに対してチャック部材が着脱自在に構成されているという点で第2実施形態のものと異なる。その他の構成要素については前述した第2実施形態と同じであるので、ここではそれら構成要素についての説明は省略し、異なる部分についてのみ説明することにする。
なお、第2実施形態と同一の部材には同一の符号を付している。
【0049】
図3に示すように、本実施形態におけるチャック部材32aは、たとえば四本の爪部材32cと、これら四本の爪部材32cの基端部を連結するベース部33とから構成されている。また、隣接する爪部材32c間には、爪部材32cの先端からベース部33にかけて切込溝32dが形成されている。また、これら爪部材32cの先端部外表面は、前述した第1実施形態および第2実施形態と同様、その端面32g側からベース部33に向かって徐々に拡径するテーパ状に形成されている。
【0050】
一方、第二の雄ねじ部12fおよび本体11aの、雌ねじ部11hと反対側に位置する部分には、図4に示すように、チャック部材32aのベース部33およびチャック部材32aの基端部(外表面がベース部33の外表面と同一平面となるように形成された部分)を受け入れる収容する凹所34が設けられている。凹所34の内壁面は、ベース部33およびチャック部材32aの基端部の外表面を隙間無く受け入れることができるように構成され、好ましくは若干のテーパ状となって、チャック部材32aが押し込まれると、この外表面と凹所34の内壁面がより良く合致するようにされている。
【0051】
チャック部材32aを第二の雄ねじ部12fおよび本体11aに対して着脱自在、すなわちチャック部材32aを第二の雄ねじ部12fおよび本体11aとは別体ものとして作製することにより、切込溝32dをベース部33の方まで長く(あるいは奥深く)形成させることができるので、電極接続具30と芯線13aとの接触性および保持性(把持性)を向上させることができ、電極接続具30からの芯線13aの抜けを確実に防止することができるとともに、高周波電源から電極接続具30への電力の供給をさらに安定化させることができて、ラダー電極916への電力の供給をさらに安定化させることができる。
また、チャック部材32aを第二の雄ねじ部12fおよび本体11aとは別体とすることにより、製作もし易くなり電極接続具の製造コストを低減させることができる。
さらに、ラダー電極916への高周波電力の入射がさらに増大し、製膜、表面処理の均一性と効率をさらに向上させることができる。
【0052】
図5を用いて本発明による電極接続具の第4実施形態を説明する。本実施形態における電極接続具40は、本体に対して第二の雄ねじ部がさらに着脱自在に構成されているという点で第3実施形態のものと異なる。その他の構成要素については前述した第3実施形態と同じであるので、ここではそれら構成要素についての説明は省略し、異なる部分についてのみ説明することにする。
なお、第3実施形態と同一の部材には同一の符号を付している。
【0053】
まず、第二の雄ねじ部に対してチャック部材32aが着脱自在に構成されている点は、前述した第3実施形態のものと同一である。すなわち、本実施形態による第二の雄ねじ部42fのチャック部材32aと対向する側には、チャック部材32aのベース部33(図3参照)およびチャック部材32aの基端部(外表面がベース部33の外表面と同一平面となるように形成された部分)を受け入れる凹所34が設けられている。
【0054】
一方、第二の雄ねじ部42fの凹所34と反対側に位置する部分には、前述した第1実施形態ないし第3実施形態の雌ねじ部11hと同様の雌ねじ部41hが設けられ、前述した固定用ボルト11bの雄ねじ部11gと螺合結合されるようになっているとともに、チャック部材32aの側から横グリッドGの側に向かってその外径が徐々に縮径していくように構成されている。
【0055】
本実施形態における本体41aは横グリッドGと一体に設けられたもので、チャック部材32aの側から横グリッドGの側に向かってその外径が徐々に拡径していくように構成されたものである。また、本体41aの内部には、チャック部材32aの側から横グリッドGの側に向かってその内径が徐々に縮径していく第二の凹所41bが設けられているとともに、横グリッドGの板厚方向に貫通する第二の貫通穴41cが設けられている。
第二の雄ねじ部42fの横グリッドG側外表面は、本体41aの第二の凹所41bと合致する、先細テーパ状に形成されている。
【0056】
このように、第二の雄ねじ部42fと本体41aとが、テーパ面を介して接続されることとなるので、電極接続具40とラダー電極916との接触面積を増加させることができとともに、電力が通過する経路にあり、導通材どうしを極力隙間を少なく合致させたこれらテーパ面への電気的導通を阻害する膜の付着を抑制することができ、高周波電源からラダー電極916への電力の供給を安定化させることができる。
また、ラダー電極916への高周波電力の入射が増大し、製膜、表面処理の均一性と効率を向上させることができる。
【0057】
なお、今まで述べてきた第1実施形態ないし第4実施形態において、チャック部材の内周面、すなわち四本の爪部材の内周面により把持(保持)される芯線13aの外表面に、図6に示すようなスリーブ45が設けられているとさらに有利である。すなわち、爪部材の内周面と芯線13aの外周面との間にスリーブ45が設けられていればさらに有利である。このスリーブ45は中空円筒の部材で、その内部に設けられた中空部に芯線13aが通されることとなる。スリーブ45は、たとえば銅などの軟らかく導電率の高い材料から作られたものであるとともに、肉厚自体も薄いものである。図6は図1に示す第1実施形態のものにスリーブ45を適用した場合を示す分解斜視図である。
【0058】
このように、爪部材の内周面と芯線13aの外周面との間にスリーブ45を設けることにより、芯線13aの傷付きをさらに防止することができ、RFケーブル13の延命化を図ることができるとともに、メンテナンス間隔を延ばすことができて、メンテナンス費用を低減させることができる。
なお、今まで述べてきた第1実施形態ないし第4実施形態において、RFケーブル13はラダー電極916の下部との接続状態を説明してきたが、上部との接続状態も同様に接続されるものである。
【0059】
図7および図8を用いて本発明による電極接続具の第5実施形態を説明する。図7は本実施形態に係る電極接続具70を示す分解斜視図であり、図8は図7に示す電極接続具70を介してRFケーブル13とラダー電極916とを接続した状態を示す側断面図である。
本実施形態における電極接続具70は、ラダー電極916に接続される取付部71と、RFケーブル13の芯線(芯体)13aのラダー電極916側先端部が接続される把持部72と、L形屈曲部73とを主たる要素として構成されたものである。
RFケーブル13は、ラダー電極916と前述した製膜室870A〜870Eの外部に配置された高周波電源(図示せず)とを製膜室壁面に設置した電流導入端子(図示せず)などを用いて真空を破壊することなく、電気的に接続するものであり、中心部に配置された芯線13aと、この芯線13aを取り囲むように配置された絶縁ガイシ(図示せず)と、この絶縁ガイシの外側に配置されるとともに絶縁ガイシを被覆する外部導体(以下、シールドアースという)13bとを有するものである。なお、芯線13aとシールドアース13bとは、絶縁ガイシにより絶縁されている。
【0060】
図7に示すように、ラダー電極916の下側の枠体916aの下面916cには、この枠体916aの下面916cから下方に向かって延設された受入部916dが設けられている。この受入部916dには、後述する取付部71の本体71aを受け入れる凹部916eと、この凹部916eの底部に設けられるとともに板厚方向に貫通する貫通穴916fとが設けられている。貫通穴916f内には、後述する固定用ボルト71bに設けられた雄ねじ部71gと螺合する雌ねじ部が設けられている。
【0061】
取付部71は、その中心部を板厚方向に貫通する貫通穴71hを有する本体71aと、貫通穴71hを貫通して前述した受入部916dの雌ねじ部と螺合する雄ねじ部71gを有する固定用ボルト71bと、本体71aと固定用ボルト71bとの間に配置されるスプリングワッシャ71cとから構成されている。
本体71aは、平面視(図7の上側から見て)台形を有するとともに、正面視(図7の左側から見て)略正方形を有し、正面側からラダー電極916の側に向かって縮径するブロック状の部材である。この本体71aは、前述した凹部916e内にその全体が収容されるように構成されている。
【0062】
把持部72は、前述した本体71aの下端部に一体に設けられた第二の雄ねじ部72fと、芯線13aの延在方向に沿って延設され、芯線13aの先端部外周面をたとえば二方からつかむ(把持する)とともに、第二の雄ねじ部72fと一体に設けられたチャック部材72aと、チャック部材72aの内周面を芯線13aの先端部外周面に向かって押圧する押圧部材72bとを有するものである。
チャック部材72aは、たとえば二本の爪部材72cから構成されており、爪部材72cと爪部材72cとの間には切込溝72dが形成されている。また、これら爪部材72cの外表面は、その端面72g側から本体71aに向かって徐々に拡径するテーパ状に形成されている。
押圧部材72bはキャップ状の部材であり、その内周面には、前述した第二の雄ねじ部72fと螺合する雌ねじ部72hが設けられている。また、この押圧部材72bの頂部には二本の爪部材72cの外周面を受け入れることのできる貫通穴72e(図8参照)が設けられている。
【0063】
L形屈曲部73は、防着板918に接続される接続部(締結手段)80と、RFケーブル13の芯線13aのラダー電極916側先端部を屈曲させる本体部90とを主たる要素として構成されたものである。
接続部80は、雄ねじ部81が設けられた固定用ボルト82、固定用ボルト82の雄ねじ部81と螺合する雌ねじ部83を有するナット84、およびこれら固定用ボルト82とナット84との間に配置されるワッシャ85、スプリング86をそれぞれ二つずつ有するものである。また、防着板918の下側周縁部には、板厚方向に貫通するとともに、固定用ボルト82の雄ねじ部81のみを通過させる貫通穴918aが設けられており、かつ後述する絶縁部材96の上端部を受け入れる凹所(開口部)918bが設けられている。さらに、後述する本体部90の上部フランジ91には、板厚方向に貫通するとともに、固定用ボルト82の雄ねじ部81のみを通過させる長穴92が設けられている。これら長穴92はラダー電極916の下側の枠体916aが延在する方向と直交する方向に形成されている。
【0064】
本体部90は側面視(図7の右下側から見て)L字形を有する屈曲部93と、この屈曲部93の上端部に設けられた上部フランジ91とを有するものである。上部フランジ91は平面視矩形状を有する板状部材である。また、屈曲部93はその内部に中空部94を有する筒状部材である。これら上部フランジ91および屈曲部93はそれぞれ、導体(導電性のある物質)から作られている。
【0065】
上部フランジ91の上面91a側には導体から作られた二つの板バネ(導電部材)95が設けられている。これら板バネ95は防着板918の下面との間に、上部フランジ91の上面91aおよび防着板918の下面と接触して配置されるものである。
【0066】
図8に示すように、中空部94には、たとえばセラミックスなどからなるとともに、中央部に芯線13aを収容する溝96a,97aが形成された絶縁部材(絶縁体)96,97が設けられている。なお、芯線13aと上部フランジ91および屈曲部93とは、絶縁部材96,97により絶縁されている。
絶縁部材96の上面、すなわち前述した把持部72と対向する側の面には、同心円状の二本の溝96bが設けられている。
また、絶縁部材97の自由端側には、シールドアース13の端部を収容する凹所97bが設けられている。
【0067】
図8において符号98は、屈曲部93とシールドアース13bとを電気的に接続する接続部材である。また、符号99はシールドアース13bの外側に配置されるとともにシールドアース13bを被覆して保護する保護管であり、たとえばSUS304などによる非磁性金属のフレキシブル管からなるものである。符号121は、真空中でも使用できる比誘電率の高い材料であり、たとえばセラミックスなどから作られたものであり、絶縁部材96の自由端側の端面96cと把持部72の端面72gとの間に位置する芯線13a、および把持部72の全体を覆うように構成された被覆部材である。
【0068】
第二の雄ねじ部72fおよび/または雌ねじ部72h、固定用ボルト71bの雄ねじ部71gおよび/または貫通穴916f内に設けられた雌ねじ部には、真空焼き付き防止処理が施されている。真空焼き付き防止処理としては、たとえば酸化処理や窒化処理を挙げることができるが、製膜室内のプラズマクリーニング処理などに用いるフッ素に対する耐久性を考慮する場合には、好ましくは窒化処理の一種であるタフトライド処理を選択する。
なお、ラダー電極916の上側も下側と同様に枠体916aとの間で電極接続具100を設けるものである。
【0069】
上述したように、ラダー電極916が形成する平面と略同一平面上に、芯線13aの先端部を配置させるとともに、この芯線13aの先端部をラダー電極916に接続することにより、電極接続具(接続部)以降の電圧のかかり方がラダー電極916の形成する面に対して対称となって電気力線の分布が対称となり、接続部でのインピーダンスの変化が低減し、電極接続具での高周波電力の反射が減じ、電極への高周波電力の入射が増加するので、製膜、表面処理の効率を向上させることができる。
また、上部フランジ91の上面91aと防着板918の下面との間に導体からなる板バネ95が設けられているので、ラダー電極916と防着板918との位置関係が熱膨張などで変化したとしても、本体部90と防着板918との電気的接続を常に維持することができ、安定した給電を行うことができる。
さらに、固定用ボルト82が通る穴を長穴92とすることにより、本体部90の取付位置を自由に設定することができるので、防着板918とラダー電極916との位置調整を容易に行うことができる。また、本体部90を防着板918に対して数度回転させて取り付けることができるので、RFケーブル13の防着板918の背面側での取り回しを容易にすることができる。
さらにまた、被覆部材121を設けることにより、被覆部材121の内外周辺部分にあるプラズマ発生が抑制されて、絶縁部材96の自由端側の端面96cと把持部72の端面72gとの間に位置する芯線13aへの膜付きを防止することができるので、付着膜を介した芯線13aと上部フランジの上面91aとの地絡による絶縁不良トラブルや、芯線13aと爪部材72cとの接触不良を抑制することができる。
さらにまた、絶縁部材96の上面に溝96cを設けることにより、防着板918の内壁面と被覆部材121の下端面との間に付着した膜が溝96内で断ち切られるので、絶縁部材96の自由端側の端面96cと把持部72の端面72gとの間に位置する芯線13aとの膜付きを介した地絡による絶縁トラブルをより一層防止することができる。
さらにまた、本体71aと凹部916eとの接触面を平面視台形となるテーパ状とすることにより接触面積が増大して、電極接続具70からラダー電極916への電力の供給を安定化させることができて、ラダー電極916への電力の供給を安定化させることができる。
【0070】
図9を用いて本発明による電極接続具の第6実施形態を説明する。本実施形態における電極接続具100は、取付部の本体およびそれを受け入れる凹部の形状のみが第5実施形態のものと異なる。その他の構成要素については前述した第5実施形態と同じであるので、ここではそれら構成要素についての説明は省略し、異なる部分についてのみ説明することにする。
なお、第5実施形態と同一の部材には同一の符号を付している。
【0071】
取付部171の本体171aは、平面視(図7の上側から見て)台形を有するとともに、正面視(図7の左側から見て)略円形を有し、正面側からラダー電極916の側に向かって縮径する円錐台状の部材である。
また、枠体916aの下面916cから下方に向かって延設された受入部916dには、本体171aを収容する凹所916gが設けられている。
【0072】
本体171aと凹部916gとの接触面を円錐台形形状とすることにより接触面積を第5実施形態のものよりも増大させることができるので、電極接続具100からラダー電極916への電力の供給をさらに安定化させることができて、ラダー電極916への電力の供給をさらに安定化させることができる。
【0073】
なお、今まで述べてきた第5実施形態または第6実施形態において、芯線13aの先端部に、図10に示すような第二の芯線113aが接続コネクタ114,115を介して着脱自在に設けられているとさらに有利である。すなわち、芯線13aの先端部のみが交換可能に構成されていればさらに有利である。
【0074】
このように、芯線13aの先端部のみを交換可能に構成することにより、第二の芯線113aおよびこの第二の芯線113aに取り付けられた接続コネクタ114だけを交換することができるようになるので、RFケーブル13全体を交換する必要がなくなり、メンテナンス費用を大幅に低減させることができる。
【0075】
また、図11に示すように、第5実施形態または第6実施形態における絶縁部材96,97、および本体部90の全体または一部が、二分割構造とされていればさらに有利である。なお、本体部90はたとえばバンドやタイラップなどの帯状の部材により結合されるようになっている。
【0076】
このように、二分割構造とされていることにより、組立・分解を容易に行うことができ、芯線13aの破損を防止することができ、芯線13aの延命化を図ることができるとともに、電極接続具100からラダー電極916への電力の供給を安定化させることができて、ラダー電極916への電力の供給を安定化させることができる。
【0077】
なお、RF供給周波数が約10MHz〜40MHzの場合には、第1実施形態ないし第4実施形態のように、ラダー電極が形成する平面に対してRFケーブルが垂直に接続しても良いが、RF供給周波数が40MHz〜100MHz以上の場合には、ラダー電極916への電気力線の分布の対称性が改善し、電極接続具での高周波電力の反射が低減することから、第5実施形態および第6実施形態のように、ラダー電極が形成する平面に対してRFケーブルが平行に接続されることが望ましい。
【0078】
【発明の効果】
本発明の電極接続具およびこれを備えた真空処理装置によれば、以下の効果を奏する。
請求項記載の電極接続具によれば、ラダー電極が形成する平面に対して直交する軸線上に延在する高周波電源用ケーブルのラダー電極側先端部の芯線が、L形屈曲部によりラダー電極が形成する平面の延長面上に位置するように曲げられ、ラダー電極に接続されているので、電極接続具(接続部)以降の電圧のかかり方をラダー電極の形成する面に対して対称とすることができて電気力線の分布を対称とすることができ、接続部でのインピーダンスの変化を低減させることができ、電極接続具での高周波電力の反射をなくすことができて、電極への高周波電力の入射を増加させることができるとともに、製膜、表面処理の均一性と効率を向上させることができる。
【0079】
請求項記載の電極接続具によれば、防着板、導電部材、本体部、およびシールドアースは電気的に接続され、全体としてシールドアースを介して真空処理装置外にアース(接地)されているので、高周波電源から電極接続具への電力の供給を安定化させることができ、ラダー電極への電力の供給を安定化させることができる。
【0080】
請求項記載の電極接続具によれば、熱膨張に対して追従性を有するとともに、比較的大きな接触面積を有する板バネが導電部材として用いられているので、部材間に熱膨張差などを生じた場合でも防着板、導電部材、本体部、およびシールドアースの電気的接続を常に維持することができ、高周波電源から電極接続具への電力の供給を常に安定化させることができて、ラダー電極への電力の供給を常に安定化させることができる。
【0081】
請求項記載の電極接続具によれば、防着板に設けられた貫通孔とL形屈曲部に設けられた長穴とを貫通する締結手段により、L形屈曲部が防着板に対して固定されるようになっているので、防着板に対するL形屈曲部の取付位置(たとえば前後位置や角度)を調整することができ、取り付け作業時における取り回しを容易にし、作業効率を向上させることができる。
【0082】
請求項記載の電極接続具によれば、たとえば平面視台形を有するとともに、正面視略正方形を有し、正面側からラダー電極の側に向かって縮径するブロック状の角形テーパ部を介して、接続部とラダー電極とが接続されることとなるので、接続部とラダー電極との接触面積を増大させることができ、電極接続具からラダー電極への電力の供給を安定化させることができて、ラダー電極への電力の供給を安定化させることができる。
【0083】
請求項記載の電極接続具によれば、たとえば平面視台形を有するとともに、正面視略円形を有し、正面側からラダー電極の側に向かって縮径する円錐台状のテーパ部を介して、接続部とラダー電極とが接続されることとなるので、接続部とラダー電極との接触面積を増大させることができ、電極接続具からラダー電極への電力の供給を安定化させることができて、ラダー電極への電力の供給を安定化させることができる。
【0084】
請求項記載の電極接続具によれば、芯線の先端部のみが交換可能に構成されているので、RFケーブル全体を交換する必要がなくなり、メンテナンス費用を大幅に低減させることができる。
【0085】
請求項記載の電極接続具によれば、たとえば面対称となる二つの部材により本体部が形成されるので、組み立て作業を容易にすることができ、メンテナンス時の芯線の破損を防止することができて、芯線の延命化を図ることができる。
【0086】
請求項記載の電極接続具によれば、中空部内に位置する芯線と本体部との間には絶縁体が配置されており、芯線と本体部とが電気的に完全に絶縁されることとなるので、防着板、導電部材、本体部、およびシールドアース間のアースを常に安定的に保つことができ、高周波電源から電極接続具への電力の供給を安定化させることができて、ラダー電極への電力の供給を安定化させることができる。
【0087】
請求項10記載の電極接続具によれば、たとえば面対称となる二つの部材により絶縁体が形成されているので、組み立て作業を容易にすることができ、メンテナンス時の芯線の破損を防止することができて、芯線の延命化を図ることができる。
【0088】
請求項11記載の電極接続具によれば、チャック部材の内周面で芯線(芯体)の外表面がつかまれ(把持され)、電極接続具と芯線との接触面積が増大するので、高周波電源から電極接続具への電力の供給を安定化させることができ、ラダー電極への電力の供給を安定化させることができるとともに、芯線が傷ついてしまうのを防止することができる。
また、押圧部材によりチャック部材の内周面が芯線の先端部外周面に向かって押し付けられるようになっているので、芯線が電極接続具から抜けてしまうことを確実に防止することができる。
【0089】
請求項12記載の真空処理装置によれば、ラダー電極を形成する平面に均一な電力を供給することのできる電極接続具が採用されることとなるので、ラダー電極への電力の均一化を図ることができ、プラズマの均一性が向上し、製膜品、表面処理品の品質と均一性を向上させることができる。
また、ラダー電極への高周波電力の入射が増大し、製膜、表面処理の均一性と効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による電極接続具の第1実施形態を示す分解斜視図である。
【図2】 本発明による電極接続具の第2実施形態を示す図であって、(a)は側断面図、(b)は横断面図である。
【図3】 本発明による電極接続具の第3実施形態を示す図であって、チャック部材の全体斜視図である。
【図4】 本発明による電極接続具の第3実施形態を示す図であって、(a)は側断面図、(b)は横断面図である。
【図5】 本発明による電極接続具の第4実施形態を示す図であって、(a)は側断面図、(b)は横断面図である。
【図6】 芯線にスリーブを装着した状態を説明するための分解斜視図である。
【図7】 本発明による電極接続具の第5実施形態を示す分解斜視図である。
【図8】 図7に示す電極接続具を介してRFケーブルとラダー電極とを接続した状態を示す側断面図である。
【図9】 本発明による電極接続具の第6実施形態を示す分解斜視図である。
【図10】 芯線の先端部のみが交換可能に構成された実施形態を説明するための側断面図である。
【図11】 本体部および絶縁部材が二分割構造とされた実施形態を説明するための分解斜視図である。
【図12】 本発明の実施形態に係るクラスタ形真空処理装置の全体斜視図である。
【図13】 本発明の実施形態に係る真空処理装置の製膜室の概略構成図である。
【図14】 図13の製膜室内に配置された製膜ユニットの全体構成図である。
【図15】 図13に示す製膜室の側断面図である。
【符号の説明】
10 電極接続具
11 取付部
12 把持部
12a チャック部材
12b 押圧部材
12g 端面
13 高周波電源用ケーブル
13a 芯線(芯体)
13b シールドアース
13c 端面
20 電極接続具
21 被覆部材
21c 溝
22 第二の被覆部材
30 電極接続具
32a チャック部材
32g 端面
40 電極接続具
45 スリーブ部材
70 電極接続具
71 取付部
72 把持部
72a チャック部材
72b 押圧部材
73 L形屈曲部
80 接続部(締結手段)
90 本体部
91a 上面
92 長穴
94 中空部
95 板バネ(導電部材)
96 絶縁部材(絶縁体)
97 絶縁部材(絶縁体)
100 電極接続具
171 取付部
870A 製膜室(真空処理室)
870B 製膜室(真空処理室)
870C 製膜室(真空処理室)
870D 製膜室(真空処理室)
870E 製膜室(真空処理室)
916 ラダー電極
918 防着板
918a 貫通孔
918b 凹所(開口部)

Claims (12)

  1. 真空処理室内に配置された放電用の電極と、真空処理室外に配置された高周波電源とを、芯体および該芯体を被覆するシールドアースを有するとともに、防着板に設けられた開口部を通る高周波電源用ケーブルを用いて接続する際に使用される電極接続具において、
    前記電極が形成する平面の延長面上に、前記芯体の電極側先端部を位置させるため、前記芯体の電極側先端部と前記シールドアースの端面との間に位置する芯体をL字形に屈曲させるL形屈曲部と、前記電極に接続される取付部と、前記芯体の電極側先端部が接続される把持部とを具備していることを特徴とする電極接続具。
  2. 前記L形屈曲部は導体からなる本体部と、該本体部の内側に形成された中空部とを具備してなり、前記本体部の一端側に位置する前記本体部のフランジと前記防着板との間には、前記本体部と前記防着板とを電気的に接続する導電部材が設けられているとともに、前記本体部の他端側は前記シールドアースに接続されていることを特徴とすることを特徴とする請求項に記載の電極接続具。
  3. 前記導電部材は板バネ状に構成されていることを特徴とする請求項に記載の電極接続具。
  4. 前記L形屈曲部には少なくとも一つの長穴が設けられているとともに、該L形屈曲部は、前記防着板に設けられた貫通孔と前記長穴とを貫通する締結手段を介して前記防着板に取り付けられていることを特徴とする請求項からのいずれか一項に記載の電極接続具。
  5. 前記取付部と前記電極とは、角形テーパ部を介して接続されていることを特徴とする請求項からのいずれか一項に記載の電極接続具。
  6. 前記取付部と前記電極とは、円錐台形テーパ部を介して接続されていることを特徴とする請求項からのいずれか一項に記載の電極接続具。
  7. 前記把持部と前記シールドアースの端面近傍との間に位置する芯体は、交換可能に構成されていることを特徴とする請求項からのいずれか一項に記載の電極接続具。
  8. 前記本体部の全部または一部は少なくとも二つに分割できるように構成されていることを特徴とする請求項からのいずれか一項に記載の電極接続具。
  9. 前記中空部には、前記芯体と前記本体部との電気的接続を遮断する絶縁体が配置されていることを特徴とする請求項からのいずれか一項に記載の電極接続具。
  10. 前記絶縁体の全部または一部は少なくとも二つに分割できるように構成されていることを特徴とする請求項に記載の電極接続具。
  11. 前記把持部は、前記芯体の延在方向に沿って延設され、前記芯体の先端部外周面を少なくとも二方からつかむチャック部材と、これらチャック部材の内周面を前記芯体の先端部外周面に向かって押圧する押圧部材とを有してなることを特徴とする請求項から10のいずれか一項に記載の電極接続具。
  12. 真空処理室内に配置された放電用の電極と、真空処理室外に配置された高周波電源と、芯体および該芯体を被覆するシールドアースを有した高周波電源用ケーブルと、請求項1から11のいずれか一項に記載の電極接続具とを具備してなることを特徴とする真空処理装置。
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