JP4095683B2 - 希土類元素集積微生物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規な希土類元素集積微生物に関するものである。詳しく述べると、本発明は、特定の希土類元素を効率よく集積する能力を有する希土類元素集積微生物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
希土類元素は、周期表中では自然界に存在する最大の元素グループであり、原子番号57番のランタン(La)から71番のルテチウム(Lu)までの15元素(ランタノイド)にスカンジウム(Sc)とイットリウム(Y)を加えた17個の元素群の総称であり、イオンの不完全充填状態の4f電子の挙動に基づく磁気的性質及び色などの光学的性質、さらには希土類独特の化学的性質により様々な広範囲な分野において使用されている。具体的には、4f電子の性質を利用したものとしては、カラーテレビ受像機のブラウン管の赤色蛍光体(ユウロピウム)やクォーツの腕時計やウォークマン等の小型電子機器における磁石(サマリウムやネオジム)が、また、化学的性質を利用したものとしては、ガソリンの製造に使用される触媒(ランタンやセリウム)、酸化物高温超伝導体、水素吸蔵合金、セラミックスおよび原子炉の制御材等がそれぞれ挙げられる。
【0003】
また、これらの希土類元素は、モナザイト(monazite)、バストネサイト(bastnaesite) 、ゼノタイム(zenotime)、ユウクセナイト(euxenite)及びガドリナイト(gadolinite)等の鉱物中に含まれている。これらのうち、主に軽希土(ランタンからユウロピウム)の資源としてモナザイト及びバストネサイトを、また、重希土(ガドリニウムからルテチウムにイットリウムを加えたもの)の資源としてゼノタイムを工業的規模で分解精練することによって、それぞれの希土類元素が資源として得られるが、希土類元素は、物理的及び化学的性質が相互に非常に類似しており、鉱物中に共存する形で存在しているため、それらの相互分離が著しく困難であるという問題がある。このため、従来の希土類元素の分離方法である分別結晶法や分別沈澱法は、元素間の溶解度の差が小さいため操作を何回も繰り返さなければならず相互分離は非常に困難な作業であった。このため、この欠点を解消するために、イオン交換樹脂を充填したカラムに希土類を吸着させておき、そこに溶離液として錯化剤を用いたものを流すイオン交換法が開発されたが、この方法は、連続処理ができず一回の操作に時間がかかることや、樹脂の再生、交換などのコストが大きいため、大量処理の方法としては適さなかった。そこで、この方法に代わって出てきたのが、互いに混じり合わない溶媒へのイオンの溶解の仕方の違いを利用した溶媒抽出法である。しかしながら、この方法は、一回の操作で高純度品を得ることは困難であり、純度を高めるために操作を何度も繰り返えさなければならないという問題がある。このため、工業的には、操作を連続的に数十回行なうことのできる向流多段抽出装置が開発され用いられており、イオン交換法に比べ処理量が多い、操作時間が短い、操作が容易などの利点を持っており、現在の希土類元素の大量分離法の主流になっている。
【0004】
上記方法とは別に、特定の希土類元素を選択的に捕集することができる微生物を得、これから目的とする希土類元素を得る方法も開発され、提案されてきている。このような微生物としては、特開昭59−118,825号に記載されている微生物がある。しかしながら、上記公報は、活性汚泥を用いてイットリウムを選択的に捕集する方法を開示しているのみであり、具体的に微生物を特定するまでには至っていない。
【0005】
このように、希土類元素を効率的に集積する特定された微生物については依然として開発途中であり、実際に工業的に使用されているものは未だに存在せず、このような微生物の開発が望まれている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明は、希土類元素を効率的に集積することのできる微生物を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記諸目的は、希土類元素を集積しうるストレプトマイセス属に属する希土類元素集積微生物によって達成される。
【0008】
本発明は、上記微生物がストレプトマイセス エックスフォリアタスである希土類元素集積微生物を示すものである。本発明はまた、受託番号がFERM P−15212号である希土類元素集積微生物を示すものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明による微生物は、希土類元素を効率的に集積することができることを特徴とするストレプトマイセス属に属する希土類元素集積微生物であり、この微生物の具体例としては、ストレプトマイセス エックスフォリアタス(Streptomyces exfoliatus) 27−1株が挙げられ、この菌株は、以下のスクリーニング方法によって得られたものである。なお、以下のスクリーニング方法では、二価及び三価の原子価を有するイッテルビウム(Yb)をスクリーニングのための希土類元素として使用した。
【0010】
低栄養状態で積極的に増殖できる微生物群に希土類を集積する能力を備えた目的とする菌株が存在する可能性が高いとの推測に基づいて、スクリーニングを2段階に分けて、つまり、一次スクリーニングとして低栄養性細菌の探索を行った後、二次スクリーニングとしてこれらの菌からイッテルビウム(Yb)を集積する能力を有する即ち培養液中のYb濃度を減少させる菌株の選抜を行った。本発明において使用したスクリーニング方法を以下に具体的に記載する。
【0011】
岐阜大学の農場にある苔から採取した土壌系試料を滅菌水で10〜103 倍に適宜希釈したものを100μlずつコンラージ棒で、以下の方法で作製された一次スクリーニング用寒天培地(pH:7.2〜7.4)に塗布し、この寒天培地を30℃で3〜5日間培養した。次に、寒天培地上に形成されたコロニーを釣菌し、滅菌水10mlに懸濁してさらにこれを102 〜103 倍に希釈した後、同様の寒天培地に100μlずつ塗布し、さらにこの操作を数回繰り返して菌株を純化した。このような一次スクリーニングによって、栄養分の稀薄な状態においても増殖可能な細菌が得られた。
一次スクリーニング用寒天培地の作製方法 : 栄養分1/100の肉汁培地(ポリペプトン 0.01%、肉エキス 0.01%、NaCl 0.005%、pH 7.2〜7.4)(以下、希釈肉汁培地と称する)を調製し、これに寒天1.5%(wt/v)を添加して高圧滅菌したものを滅菌済のシャーレに約30mlずつ分注して平板培地(以下、希釈肉汁寒天培地と称する)とした。
【0012】
次に、以下の方法で作製された、滅菌処理済みの二次スクリーニング用液体培地を5mlずつシリコ栓をして予め高圧滅菌した試験管中に分注した。これに、上記一次スクリーニングで純化した各単離菌体を白金耳で一白金耳ずつ接種し、30℃で10日間振盪培養した。培養後、以下の方法に従って培養上清中に残存するイッテルビウム(Yb)濃度を測定し、目測で明かにYb濃度が減少していると判別できたものを選び、さらにこのサンプルについて吸光度測定を行ない、培養上清中のYb濃度が初濃度(5ppm)より50%以上減少した菌を候補菌として選別した。この際、選別された菌株は再度二次スクリーニング用培地に接種して同様の操作を繰り返し、Yb濃度減少に関する再現性を確認した。このようにして希土類元素を効率的に集積する菌株をスクリーニングした。
二次スクリーニング用培地の作製方法 : 肉汁(ポリペプトン 1%、肉エキス 1%、NaCl 0.5%、pH7.2〜7.4)を脱塩水で100倍希釈し、この希釈培地に5%(v/v)の硝酸イッテルビウム[Yb(NO3 )3 ]溶液(1モル/リットル)を中和するのに相当する量[0.1%(v/v)]の5N 水酸化ナトリウム溶液を予め加え、この溶液を攪拌しながらpHが約7.2になるように1,000ppmのYb(NO3 )3 溶液を徐々に滴下し、これを脱塩水で1リットルとし、孔径0.2μmのポリサルホン製滅菌済フィルターで濾過滅菌し、これを二次スクリーニング用培地(Yb濃度:5ppm)(以下、Yb含有培地と称する)とした。なお、このYb含有培地の組成を表1に示す。
【0013】
【表1】
【0014】
また、培養上清中に残存するイッテルビウム(Yb)濃度の測定方法を以下に記載する。
スクリーニングする菌株を接種、培養した後の培養液サンプル約1.4mlをエッペンドルフ遠心管に入れ、遠心分離(4℃、12,000rpm×10分間)することによって得られた培養上清1mlを新しい試験管に入れる。さらに、この試験管に、予め調製しておいた0.1%アルセナゾIII (Arsenazo III)溶液及び塩酸・塩化カリウム緩衝液(25ml 0.2M KCl、59ml 0.2M HCl及び16ml 脱塩水を混合して100mlに定容した溶液)を各々0.5mlずつ加えた後、最後に純水1mlを加え、ボルテクスにより良く撹拌した。この混合溶液を暗所で30〜60分間放置した後、サンプル溶液の655nmの吸光度を測定し、以下のようにして作成された標準直線に基づいて各サンプル中に含まれるイッテルビウム(Yb)の濃度を求めた。標準直線は、試験管に各々0、1、2、3、4、5μlずつYb(NO3 )3 溶液を加え、そこに純水1mlを加えたものをサンプルとしかつ遠心分離を行わない以外は上記と同様の比色操作方法を行うことによって、作成した。なお、この際、Yb(NO3 )3 溶液としては、原子吸光用の硝酸イッテルビウム溶液[1モル/リットルの硝酸溶液におけるYb(NO3 )3 濃度=1.0mgYb/ml](和光純薬製)を使用した。
【0015】
上記スクリーニングによって、Yb含有培地中のイッテルビウム濃度を他の菌株と比べて著しく減少させる1菌株が得られた。以下に、この菌株の菌学的性質を示す。
【0016】
(a)形態的性質
1) 気菌糸形成の有無: 白い気菌糸を形成する
2) 胞子の有無: 有り
3) 胞子嚢形成の有無: 有り
4) 胞子の特徴: 気菌糸に多数
(b)培養的性質
1) 肉汁寒天平板培養(30℃): コロニーは円形でクリーム色でかつ中央部がやや盛り上がっており、表面は粗く、気菌糸の形成は認められない。希釈肉汁寒天培地では、コロニーが寒天中に潜り込んでおり、基底菌糸の形成が観察され、表面は初め平滑であったものの後に白い気菌糸を生じ、フェルト状である。コロニーの大きさは、30℃で5日間培養した際、直径約4mmであり、希釈肉汁寒天培地では、30℃で5日間培養した際、直径約3mmである。
2) 肉汁寒天培地(37℃): +
肉汁寒天培地(41℃): −
肉汁寒天培地(45℃): −
(c)生理学的性質
1) グラム染色性: +
2) カタラーゼ: +
3) オキシダーゼ: −
4) O−Fテスト: −(酸化性)
5) メラニン様色素の生成: +
6) L−アラビノースの利用:
7) D−フラクトースの利用: +
8) D−グルコースの利用: +
9) イノシトールの利用: −
10) D−マンニトールの利用: −
11) ラフィノースの利用: +
12) L−ラムノースの利用: −
13) D−キシロースの利用: +
14) 色素の生成: 肉汁寒天培地でコロニーの周辺の培地の色が濃くなっており、色素生産能が認められる
(d) その他の生理学的性質
1) アドニトールの利用: −
2) セルビオースの利用: +
3) アジ化ナトリウム(0.01%): −
4) 塩化ナトリウム(7%)の耐性: +
5) フェノール(0.1%)の耐性: −
6) リファンピシン(RIFAMPICIN): −
7) ネオマイシン: −
8) アルブチン: +
9) キサンチン: −
10) アラントイン: −
11) アスペルギルス ニガー(A. Niger)の阻害: −
12) エス ムリナス(S. murinus)の阻害: +
13) No.3 赤: −
14) H2 Sの生成: −
15) レシチナーゼ: +
16) L−フドロキシプロウン(L-hudroxyproun): +
17) L−ヒスチジン: +
18) DL−アミノ−ブチル(DL-amino-butyr): −
19) フラグメント化(fragmentation) : −
20) バチルス サブチリス(B. subtilis) の阻害: +
21) 胞子の塊 灰色:−
22) 胞子の塊 赤色:−
23) イヌリン:−
本菌の同定は、バージーズ マニュアル オブ システマティック バクテリオロジー(Bergey´s Manual of Systematic Bacteriology 8th )を基とし、また、ザ ナショナル コレクションズ オブ インダストリアル アンド マリーン バクテリア リミテッド(NCIMB)(The National Collections of Industrial and Marine Bacteria Limited)に依頼(参照番号:ID 2660/NCID 4295、日付:1995年3月23日の報告書類における菌株27−1)したところ、長鎖の平滑な胞子を有し、赤色系の色素を生成するストレプトマイセス エックスフォリアタス(Streptomyces exfoliatus) に近似することが分かった[参考文献:ザ ジーナス ストレプトマイセス(The genus Streptomyces)、エスティ ウィリアムス(S.T. Williams) 、エム グッドフェロー(M. Goodfellow) 及びジー アルダーソン(G. Alderson) 、バージーズ マニュアルオブ システマティック バクテリオロジー(Bergey´s Manual of Systematic Bacteriology)、4巻、1989年、エスティ ウィリアムス(S.T. Williams) 、エムイー シャープ(M.E. Sharpe) 及びジェージー ホルト(J.G. Holt) 、著者 ウィリアムス(Williams)及びウィルキンズ(Wilkins) における]。
【0017】
従来まで、ストレプトマイセス エックスフォリアタス(Streptomyces exfoliatus) が希土類元素を集積するという報告はなく、本菌は明らかに公知の菌種と区別されるため、本発明の微生物を新規な微生物であると判断し、本菌株をストレプトマイセス エックスフォリアタス(Streptomyces exfoliatus) 27−1株(以下、単に27−1株と称する)と命名した。また、この27−1株は、平成7年9月29日付で工業技術院生命工学工業技術研究所に寄託され、その受託番号はFERM P−15212号である。
【0018】
本発明では27−1株を使用したが、この菌株に限られることなく、希土類元素を集積することが可能な放線菌であれば使用できる。
【0019】
本発明の菌株の培養に使用する培地は、固体または液体培地のいずれでもよく、また、使用する細菌が資化しうる炭素源、適量の窒素源、無機塩及びその他の栄養素を含有する培地であれば、合成培地または天然培地のいずれでもよい。
【0020】
本発明の菌株の培養において使用できる炭素源としては、使用する菌株が資化できる炭素源であれば特に制限されない。具体的には、微生物の資化性を考慮して、グルコース、フラクトース、セルビオース、ラフィノース、キシロース、マルトース、ガラクトース、デンプン、デンプン加水分解物、糖蜜、廃糖蜜などの糖類、肉エキス、ペプトン、麦、米などの天然物、グリセロール、メタノール、エタノール等のアルコール類、酢酸、グルコン酸、ピルピン酸、クエン酸等の脂肪酸類、グリシン、グルタミン酸、アスパラギン酸等のアミノ酸などを1種または2種以上選択して使用することができる。
【0021】
本発明の菌株の培養において使用できる窒素源としては、肉エキス、ペプトン、ポリペプトン、酵母エキス、大豆加水分解物、大豆粉末、ミルクカゼイン、カザミノ酸、各種アミノ酸、コーンスティープリカー、その他の動物、植物、微生物の加水分解物等の有機窒素化合物、アンモニア、硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウムなどのアンモニウム塩、硝酸ナトリウムなどの硝酸塩、尿素等の無機窒素化合物より使用する微生物の資化性を考慮して、1種または2種以上選択して使用する。
【0022】
本発明において使用できる無機塩としては、マグネシウム、マンガン、カルシウム、ナトリウム、カリウム、銅、鉄及び亜鉛などのリン酸塩、塩酸塩、硫酸塩及び酢酸塩等から選ばれた1種または2種以上を使用することができる。また、培地中に、必要に応じて、植物油、界面活性剤等を添加してもよい。
【0023】
本発明の微生物に効率よく希土類元素を集積させるためには、培地中に希土類元素を添加することが好ましい。添加される希土類元素の種類及び添加量は、使用する微生物が集積しやすい希土類源の種類によるが、例えば、27−1株を使用する場合には、イッテルビウム、スカンジウム、イットリウム、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム及びルテチウムを、1〜20ppm、より好ましくは2〜10ppmの濃度で、添加することが望ましい。この際、添加する希土類元素は2種以上の混合物または合金であってもよい。
【0024】
本発明において、培養は、本発明の細菌は好気性であるため、好気的条件下で行われ、その際の培養条件は、培地の組成や培養法によって適宜選択され、本菌株が増殖できる条件であれば特に制限されない。通常は、培養温度が、20〜70℃、好ましくは25〜40℃であり、また、培養に適当な培地のpHは、5〜9、好ましくは6〜8である。
【0025】
また、本発明において、希土類元素の微生物からの分離、精製方法としては、上記培養条件下で培養を行った後、菌体を瀘過あるいは遠心分離等によって集め、例えば、凍結融解処理、超音波処理、加圧処理、浸透圧差処理、磨砕処理等の物理的手段またはリゾチーム等の細胞壁溶解酵素処理若しくは界面活性剤との接触処理等の化学的処理を単独または組み合わせて行うことにより菌体を破砕し、破砕した菌体から目的とする希土類元素を、分別結晶法、分別沈殿法、イオン交換クロマトグラフィー法および溶媒抽出法等の既知の方法を単独若しくは組み合わせて用いて精製する方法が挙げられる。破砕した菌体からの希土類元素の精製法としては、手間、時間および費用の点から、溶媒抽出法、特に溶媒抽出操作を連続して行う向流多段抽出法が好ましく用いられる。
【0026】
本発明の微生物は、希土類元素を効率よく集積する特性を有するが、従来、放線菌、特にストレプトマイセス属(Streptomyces)に属し、上記特性を有する微生物に関する報告はなかった。
【0027】
【実施例】
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明する。
【0028】
実施例1
以下の実験を行うことにより、本発明の27−1株によるYb濃度の経時的な変化を観察した。
【0029】
0.2μmのポリサルホン製滅菌済フィルターで濾過滅菌したYb含有培地 (Yb濃度:5ppm)5mlに斜面培地より27−1株を一白金耳接種して、30℃で24時間振盪培養することによって前培養を行った。このようにして得られた前培養液5mlを、同様にして瀘過滅菌したYb含有培地95mlの入った500mlの枝付き坂口フラスコに入れ、30℃で10日間本培養を行った。この培養期間中、24時間おきに培養液を3mlずつ採取し、採取した培養液について、作用において記載した測定方法に従ってYb濃度を測定すると同時に、菌の生育を660nmの波長における濁度(OD660 )として求め、さらに、培養液のpHの変化をpHメーターにて測定した。なお、濁度については、フラスコの側面にある試験管状部分に培養液を流し込み、ここに測定器を差し込んで計測を行った。
【0030】
このようして得られた培養時間に対する27−1株の培養液のYb濃度の変化およびpHの変化を図1に示す。なお、27−1株は放線菌であるため、液体培地中に直径1mm程度の菌塊を作り、正確な濁度の測定が困難であったため、培養液の濁度を図1にプロットしなかった。図1より、27−1株は、初日から急激なYb濃度の減少とpHの上昇を示し、その後は、pHが若干変動するもののYb濃度はほとんど変化せず2ppmに維持されたことが確認された。また、データとしては載せていないが、27−1株は2日目に培地中の菌数が最大になっていた。これらの結果から、27−1株は菌体内に迅速にイッテルビウムを蓄積することができるのではないかと考えられる。
【0031】
実施例2
以下の実験を行うことにより、本発明の27−1株の各種希土類元素に対する選択性を調べた。
【0032】
図2に記載の各種希土類元素[プロメチウム(Pm)を除くランタノイド(La〜Lu)及びイットリウム (Y)]の硝酸溶液を硝酸イッテルビウム溶液の代わりに用いる以外は表1と同様の培地組成を有する液体培地を孔径0.2μmのポリサルホン製滅菌済フィルターで瀘過滅菌し、希土類元素含有液体培地を作製した。
【0033】
0.2μmのポリサルホン製滅菌済フィルターで濾過滅菌した希土類元素を含まない希釈肉汁培地5mlに斜面培地より27−1株を一白金耳接種して、30℃で24時間振盪培養することによって前培養を行った。このようにして得られた前培養液100μlを、上記したように予め別に調製しておいた各希土類元素含有液体培地5mlに入れ、30℃で10日間振盪培養することによって本培養を行い、所定時間培養した後の培養液中に含まれる各希土類元素濃度を測定し、初濃度に対する減少率を算出した。なお、各希土類元素の濃度の測定方法は、使用する希土類元素が異なる以外は作用において記載されたイッテルビウム濃度の測定方法と同様であるが、655nmの波長における感度が元素ごとに異なるため、標準曲線を各元素ごとに作成した。
【0034】
また、比較対照として、大腸菌(E. coli) JM109株を各種希土類元素含有培地で培養して、各希土類元素濃度の減少率を求めた。
【0035】
本発明の27−1株を用いた結果を図2に示し、比較として大腸菌(E. coli) JM109株を用いた結果を図3に示す。その結果、図2に示されるように、27−1株は、重希土、軽希土に関わらず、ほとんどすべての希土類元素を高い割合で減少させる能力を有する(即ち、高い選択性を有する)ことが示され、これらの減少率はすべて、図3に示される比較例の結果と比較してかなり高い値であることが分かる。特に、使用した希土類元素のうち、サマリウムが93%という最大の割合で減少し、最低の減少率でも61%(ユウロピウム)という高い減少率を示した。また、図2から、27−1株は、重希土の最後の3種(ツリウム、イッテルビウム及びルテチウム)の減少率が他の希土類元素に比べて若干低いことが分かる。
【0036】
これらの結果から、本発明の27−1株は、ほとんどすべての希土類元素を高い割合で集積できる有用な微生物であることが示唆される。
【0037】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の微生物は、希土類元素を効率よく集積できる新規な微生物である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の微生物による希土類元素集積能を説明するための培養時間に対する培養液中のイッテルビウム(Yb)濃度の変化、および培養液の濁度及びpHの変化を示すものである。
【図2】図2は、本発明の微生物の各種希土類元素に対する選択性を示す図である。
【図3】図3は、大腸菌 JM109株の各種希土類元素に対する選択性を示す図である。
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- 受託番号がFERM P−15212号である、希土類元素を集積しうるストレプトマイセス エックスフォリアタス。
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