JP4095562B2 - 排水中に含まれる窒素・燐を除去する水路、および排水中に含まれる窒素・燐の除去方法 - Google Patents

排水中に含まれる窒素・燐を除去する水路、および排水中に含まれる窒素・燐の除去方法 Download PDF

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Description

本発明は、排水中に含まれる窒素・燐を除去する水路および排水中に含まれる窒素・燐の除去方法に関する。
湖沼や内湾等の閉鎖性水域では、外部から流入した燐や窒素といった栄養塩類により富栄養化したり、あるいは流入した汚染物質が閉鎖性水域の固定や海底に蓄積し、これらから有害物質が溶出したりすることにより、赤潮や青潮を引き起こし、水産資源や水辺の環境に大きな被害が生じていた。
そこで、下水道の整備や処理方式の改善等により、外部からの流入負荷を低減する方法が採られている。処理方式の改善例として、窒素については生物学的な硝化・脱窒法、燐については物理化学的方法として薬品凝集、吸着・イオン交換、晶石等の方法がある。
この中で窒素に関しては脱窒、燐については吸着・イオン交換による除去が今後増加することが見込まれる。高価な人工ゼオライトや石灰以外に燐の吸着イオン交換剤としては、例えば、次のような発明が知られている。
・鉄鋼製造プロセスで発生したスラグを主原料とする水質浄化用多孔質石材および水質浄化方法(例えば、特許文献1参照。)や水質浄化および水中成分の回収方法(例えば、特許文献2参照。)。
・水中に含まれる燐を安価に除去することのできる燐の除去方法(例えば、特許文献3参照。)、焼成火山灰土壌を用いた下水二次処理水からの燐酸の除去に関する長期的実証研究(例えば、非特許文献1参照。)。
・セメント100重量部に対して、水70〜150重量部およびシリカ分とアルミナ分を主成分とする粉状ないし粒状の鉱物材5〜50重量部からなるセメントスラリーを形成し、これを常圧高温養生と高圧高温養生とを順次行って硬化・多孔質構造にするとともに、シリカ分とアルミナ分を主成分とする粉状ないし粒状の鉱物材の水熱反応によってゼオライト類似物を生成して成る吸着材(例えば、特許文献4参照。)。
・複合金属酸化物99〜60重量%およびバインダーとしてポリアクリルアミドのアミノ化物1〜40重量%を配合して成る脱燐剤造粒物および排水処理方法(例えば、特許文献5参照。)
・高機能性セラミックボールであって、シリカおよびアルミナを骨格として、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の含有量の総和が12重量%以上であり、アルカリ金属あるいはアルカリ土類金属を骨格の隙間に保持する汚水処理用セラミックボールおよびその製造方法(例えば、特許文献6参照。)。
一方、これらの材料に替わり石炭焚き流動床式火力発電所から発生する石炭灰を用いた水処理方法として、次のような利用方法が知られている。
・微粉炭燃焼法および流動床燃焼法由来の石炭灰を簡易な物理的処理(造粒ペレット化)によって各種有害物質の吸着剤として有効利用する研究(例えば、非特許文献2参照。)。
なお、脱硫効果のある石灰石を流動媒体とする石炭焚き流動床式火力発電は、燃焼と同時に硫黄酸化物が除去でき、また窒素酸化物の発生が少なく、環境負荷が小さい発電方法である。石炭焚き流動床式火力発電によって生ずる流動床灰に水あるいは海水を加えて混練し、これをロールプレス機等により粒状に加圧成形して人工骨材を製造する発明が知られている(例えば、特許文献7参照。)。
特開2000−140874号公報 特開2003−53379号公報 特開2001−129562号公報 特許第3379924号公報 特許第3240442号公報 特許第3083294号公報 特開2000−169204号公報 特許第3298562号公報 水環境学会誌2003 Vol.26,No.6,pp393−396 「造粒処理石炭灰の吸着剤としての利用」(廃棄物学会論文誌Vol.10,No.6,pp.360−365,1999)
しかし、特許文献1,2は、実用化されつつあるが、付着物質による生態系への影響について不明瞭な部分が多い。また、吸着効果が終了した後の浄化材について、使用法が明らかにされていない。
特許文献3では、フライアッシュを原料として使用しているため、比重が小さく、設置や回収が困難である。
特許文献4では、流動床ボイラー灰を主成分とする水処理材に関する優れた発明であるが、燐吸着を目的としたものでなく微生物の働きを利用するものである。また。使用後に発生する担体については考慮されていない。
特許文献5では、燐吸着後の再生に430〜600℃で焼成する必要があり、莫大な費用がかかる。
特許文献6では、高性能セラミックは塩素水に接触させることを条件としており、汎用性に欠けるものである。
特許文献7は、人工骨材を製造する発明であり、排水中の燐や窒素を除去するものではない。
特許文献8では、水中あるいは土中の窒素除去法としては非常に優れた発明であるが、燐の除去に関しては効果がない。また、使用後の燐吸着剤の回収・再生については考慮していない。
非特許文献1では、その製造に硫酸第一鉄を混和して500℃で焼成する必要があり、莫大な費用がかかる。
非特許文献2では、その組成成分から燐吸着剤として使用できることは容易に推測できるが、従来の吸着剤は何らかの構造物に担持させないと、流下するため、処理槽内に充填するなどの方法によらなければならないが、これでは、限られた効果しかなく、装置が大掛かりとなる。
燐吸着剤は、その性質上、いずれは効果がなくなる。そのため吸着効果のなくなった燐吸着剤を回収する必要があるが、通常のカラムやカゴでは固定装置と回収装置とがほぼ同一形状となり非常に大規模な設備を必要とする。
そこで、本発明者は、保持手段として脱窒機能を有する有機炭素系水質浄化剤とカルシウムを多く含む燐吸着剤とを組み合わせることによって、従来の問題点を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は斯かる発明者の知見に基づいて為されたもので、その目的は、流路や閉鎖性水域において窒素・燐の同時浄化(除去)を図り、燐吸着剤の燐吸着能力を持続させ、燐吸着剤の回収を容易とするとともに水路の閉塞を防止することにある。
請求項1に係る発明は、排水中の燐との接触により水酸化アパタイトを生成する燐吸着剤を、加温により粘性を低下させた、被処理排水の水温より高い温度の融点を有し、微生物により分解されて水素と有機酸あるいは微生物が利用可能な有機物とを生成し脱窒を促進する有機炭素系水質浄化剤を介して、水路本体の内面に配された前記燐吸着剤の流失防止と回収を兼ねる網状体とともに前記水路本体に固定して成ることを特徴とする。
請求項2に係る発明は、請求項1記載の排水中に含まれる窒素・燐を除去する水路において、前記燐吸着剤は、カルシウム分を多く含んだ石炭灰、火山灰あるいは高炉溶融スラグ、廃棄物溶融スラグ、あるいは石炭灰由来の人工ゼオライトから成る粒状物であり、排水中の燐との接触により、不溶性の水酸化アパタイトを生成することを特徴とする。
請求項3に係る発明は、請求項1記載の排水中に含まれる窒素・燐を除去する水路において、前記燐吸着剤は、石炭焚き流動床炉より発生する燃焼灰から成る流動床灰粒状物であり、排水中の燐との接触により、不溶性の水酸化アパタイトを生成することを特徴とする。
請求項4に係る発明は、請求項記載の排水中に含まれる窒素・燐を除去する水路において、前記流動床灰粒状物は、前記焼却灰原粉に、水または海水を加えて練り混ぜた後、ロールプレス機にて加圧成形して得られた粒状物または粒状物を破砕して得られる破砕物であることを特徴とする。
請求項5に係る発明は、請求項1ないし請求項4の何れか記載の排水中に含まれる窒素・燐を除去する水路において、前記有機炭素系水質浄化剤は、炭素数が10〜24、融点が30℃〜90℃で被処理排水の水温より高く、温度上昇によりその粘性が低下し、常温で長期間に渡って周囲に水素イオンを放出し、水中の有機炭素濃度を0.1〜100mg/lの範囲で上昇する性質を有することを特徴とする。
請求項6に係る発明は、請求項1ないし請求項5の何れか記載の排水中に含まれる窒素・燐を除去する水路において、前記水路本体は、移動した前記燐吸着剤を回収する回収管を途中に設けていることを特徴とする。
請求項7に係る発明は、請求項1ないし請求項6の何れか記載の排水中に含まれる窒素・燐を除去する水路に、窒素や燐を含んだ排水を流通することを特徴とする
本発明によれば、燐吸着能を長期間保持し、閉鎖性水域に流入する前に窒素や燐を除去することで、周辺水域の富栄養化を防止することができる。汚染水域の現状に応じた対策が容易に行え、長期的に燐を吸着することで良好な水環境を形成する。燐の回収・再利用に関するあらたな事業展開の可能性がある。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る排水中に含まれる窒素・燐を除去する水路を示す。
本実施形態に係る水路1は、排水を流通させるための各種の排水管、排水路を意味する。
そして、その水路本体2の内面には、燐吸着剤3が、被処理排水の水温より高い温度の融点を有し、微生物により分解されて水素と有機酸あるいは微生物が利用可能な有機物とを生成し脱窒を促進する有機炭素系水質浄化剤(以下、有機炭素系水質浄化剤と称する)4によって固定されている。
燐吸着剤3は、例えばカルシウム分を多く含んだ高炉溶融スラグ、石炭灰由来の人工ゼオライト、廃棄物溶融スラグ、微粉炭燃焼法および流動床燃焼法由来の石炭灰原粉に水または海水あるいはセメントおよび粘土物質を加えて練り混ぜたものなどが挙げられる。燐吸着剤3は、その性質上、石炭焚き流動床炉より発生する焼却灰原粉に水または海水を加えて練り混ぜた後、ロールプレス機にて加圧成形して得られた粒状物または粒状物を破砕して得られる平均粒径が5.5mm程度(95%以上が1mm〜40mmの範囲に入る)の破砕物であることが望ましい。
流動床灰は、以下に示すような特徴を有している。
普通灰よりもCaO、SO3が著しく多く、自硬性を有する。
普通灰よりもSiO2、Al23が少ない。
普通灰よりも塩基度が大きい。
pHが10〜12程度である。
普通灰よりも密度が大きい。
このように流動床灰は、普通灰とは異なった性質を有するので、普通灰とは異なる利用が可能である。カルシウム分が多く、自硬性があるという流動床灰の特徴に着目し、これを加圧成形して得られる高強度の粒状物を燐吸着剤3として使用する。流動床灰は加圧成形し、これを養生することで高強度の流動床灰粒状物が得られ、流動床灰に含まれる重金属類の溶出を防止することができる。燐吸着剤3は以下のような機能をもつ。
下の反応により、燐を水酸化アパタイト(Ca5(OH)(PO43)として不溶化させる。
3HPO4 2-+5Ca2++4OH-→Ca5(OH)(PO43+3H2
加圧成形と水和反応で高強度になっているものの、微視的に見ると多くの空隙(細孔)を有している。このため脱窒菌や硝化細菌の一部が生息可能である。一般的な砂の吸水率(3.5%)の6〜10倍の吸水率を持つ。
一方、有機炭素系水質浄化剤4としては、例えば「脱窒素促進剤およびこの脱窒素促進剤を用いた水処理方法」(例えば、特許文献8参照。)で用いられる脱窒素促進剤が挙げられる。
有機炭素系水質浄化剤4は水素供与体であり、嫌気条件下、微生物によって分解されて気体状水素と有機酸あるいは微生物が利用可能な有機物とを生成し得る有機化合物である。水素供与体は、有機酸、有機酸塩、アルコールおよびタンパク質・バイオサーファクタントより成る群から選ばれる1種または2種以上で構成されている。また、有機炭素系水質浄化剤4は、炭素数が10〜24、融点が30℃〜90℃で被処理排水の水温より高く、温度上昇によりその粘性が低下し、常温で長期間に渡って周囲に水素イオンを放出し、水中の有機炭素濃度を0.1〜100mg/lの範囲で上昇する性質を有する。
次に、有機炭素系水質浄化剤4による燐吸着剤3の固定化方法について説明する。
先ず、加温により粘性が低下した有機炭素系水質浄化剤4を水路本体2の内面に拡散後、固形化する前に燐吸着剤3を散布する。散布後、温度が低下するとともに、両者が水路本体2の内面に固定化される。周辺の温度は通常5〜40℃の範囲であり、有機炭素系水質浄化剤4は徐々に冷却され、融点以下となった時点で固形化する。このとき混在している燐吸着剤3の一部に含浸し、同時に固定される。
なお、作業手順としては、燐吸着剤3の散布を先に行い、その後に粘性の低下した有機炭素系水質浄化剤4を流し込む方法も可能である。
また、一層目を固定化した後に、二度目、三度目の散布、固定を行い、何層にも重ねて施工することが可能である。
有機炭素系水質浄化剤4の散布方法としては、液状にした有機炭素系水質浄化剤4を圧送ポンプ(注入ポンプ)等で注入する。その他のコンプレッサー等を用いて強制的に散布することも可能である。
有機炭素系水質浄化剤4の加熱方法としては、温水の利用やマイクロウェーブ、ヒーター等を使用する。また、有機炭素系水質浄化剤4の製造時に分留等の作業がある場合は燐吸着剤とともに直接、流路に吹き付けることも可能である。
次に、斯くして構成された本実施形態に係る水路1の作用を図2に基づいて説明する。
例えば、窒素や燐を含む排水の水路として、本実施形態に係る水路1を敷設する。そして、排水を流す。
ここで、有機炭素系水質浄化剤4は、通常の地下水温度では水への溶解度は低く、かつ固体であるため移動性が低い。固形化した有機炭素系水質浄化剤4は排水5と接触することで徐々に溶解する。または、有機炭素系水質浄化剤4の一部が微生物分解を受けその分解生成物が水中に放出されることにより、長期間に渡って有機炭素系水質浄化剤4の周囲に水素イオンを放出し、同時に地下水の有機性炭素濃度を0.1〜100mg/lの範囲で上昇させることができる。
有機炭素濃度の上昇により、排水中(特に、有機炭素系水質浄化剤4周辺)の微生物活性が向上し、硝酸還元菌の増殖に伴い、排水中の硝酸性窒素が消費され、脱窒機能が促進される。
一方、燐吸着剤3では、表面に燐を吸着し、カルシウムと反応して水酸化アパタイトに変化する。
そして、時間が経過するとともに燐吸着能の小さくなった燐吸着剤3は、図2において点線で囲んで示すように、有機炭素系水質浄化剤4の消失に伴い、排水5とともに流れる。これに伴い下層の新たな燐吸着剤3が排水5と接触し新たに燐を吸着する。
以上の作用を繰り返し、排水5中の窒素と燐とを除去することができる。
また、本実施形態によれば、燐吸着剤3は、有機炭素系水質浄化剤4により固定されているので、例えば、燐吸着剤3の一部しか排水5に接触しておらず、燐吸着剤3の延命化が図れる。また、燐吸着剤3の細孔中に有機炭素系水質浄化剤4が一部含浸し、脱窒菌や硝化菌の増殖が容易である。燐吸着剤3の細孔中に有機炭素系水質浄化剤4が一部含浸し、窒素浄化剤4と排水5との接触面積が大きくなる。
ここで、有機炭素系水質浄化剤4による燐吸着剤3の支持力について説明する。
流路の底に置かれた1個の物体に働く流体の力Fは、下式で表される。
F=Cd×A×1/2×ρ×(Vr)2
ただし、A=α1×d2、Cd:物体の抵抗係数、A:断面積、ρ:流体の密度、Vr:速度差(流体の速度)、α1:物体の形状係数、d:粒径で示される。
また、流路の底に働く摩擦応力τ0は、下式で表される。
τ0=ρ×g×R×i
ただし、g:重力加速度、R:径深、I:底の勾配
この摩擦応力τ0に断面積CSをかけたものが燐吸着剤3に働く力となる。この断面積
CSについては図3に示すように一様ではなく、有機炭素系水質浄化剤4の消失に伴い、増加する。有機炭素系水質浄化剤4が固形化に伴って、燐吸着剤3を担持する保持力はこの摩擦応力に耐えうる力である。
幅3mの流路に0.1m3/sの流量の水を流した際、底に働く掃流力は2.5〜3.
5Nであった。また、1m3/sの流量を流した際、底に働く掃流力は10〜18Nであ
った。何れの場合でも燐吸着剤3が有機炭素系水質浄化剤4から流水中に出ている部分の体積が1/5以下では、燐吸着剤3の移動は認められなかった。形状に大きく左右されるが、体積として約1/2を超えると何れの場合でも移動するものが見られた。
なお、本実施形態に係る水路1による窒素、燐の除去効率を高めるためには、排水との接触時間を長くすることが望ましい。そのために、例えば、水路1を循環水路にしたり、流路の距離を長くするなどにより対応することができる。
また、本実施形態に係る水路1では、移動した燐吸着剤3を下流側で回収することを示唆したが、その具体的な手段として、例えば、図4に示すように、水路1の途中に回収用管6を設け、この回収用管6にて移動した燐吸着剤3を回収することができる。この場合、燐吸着剤3は密度が高いため、水の移動に伴い移動可能となった燐吸着剤3が集まりやすい水路を構成することができる。
また、本実施形態に係る水路1では、水路本体2の内面に燐吸着剤3を有機炭素系水質浄化剤4によって直接固定した場合について説明したが、本発明はこれに限らず、例えば、図5に示すように、流失防止と回収を兼ねた金網8を骨組み材としてこれに燐吸着剤3を有機炭素系水質浄化剤4によって固定した部材7を成形し、その後に水路本体2の内面に任意の接着剤などの固定手段を介して取り付けるようにしても良い。この場合、時間の経過とともに有機炭素系水質浄化剤4は減量して行き、水の流れに伴って燐吸着剤3が移動するが、金網8の中に止まり、後の回収が容易になる。また、部材7を構成するものとしては、他に、植生マット、ポット、コンクリート製の側溝、プラスチック製のプレート、筒状のカラムなどがある。そして、これらの部材7は、図1の実施形態に用いた水路本体2に固定して用いることもできるが、単独でも使用可能である。
また、上記実施形態では、新たに水路1を敷設する場合について説明したが、本発明はこれに限らず、例えば、既設の排水管や排水路などの流路の流れを一次止めた状態で、既設の排水管や排水路の流路あるいはこれらを構成する部材の内面に燐吸着剤3を有機炭素系水質浄化剤4によって固定しても良い。
また、回収した燐吸着剤の再生方法としては、農業分野や工業分野等で広く一般的に使用することができる。また、公知の処理法によることも可能である。
次に、排水中の窒素や燐の除去について、水路1に燐吸着剤3を有機炭素系水質浄化剤4によって固定したことによる効果を確認するために実験を行った結果を示す。
先ず、二次処理水を用いた試験結果を示す。
実験条件:下水の二次処理水に燐酸を添加
固定方法:300ml容三角フラスコに窒素浄化剤10gを添加した後(有機炭素系水質浄化剤添加系)、80℃に加熱する。有機炭素系水質浄化剤が液状になっていることを確認し、燐吸着剤を所定量添加し、10℃で冷却する。12時間冷却した後、100mlの二次処理水を添加する。100rpm、25℃で往復振盪し、72時間後の全窒素濃度と燐酸態燐濃度を測定する。試験系列は以下の通り。
使用物質:有機炭素系水質浄化剤(炭素数が14でありアルコールを主成分とする脱窒 素促進剤)
燐吸着剤(石炭焚き流動床炉より発生する燃焼灰からなる粒径2cmの流動 床灰粒状物)
〈結果〉
図6に示すように、有機炭素系水質浄化剤により、72時間で水中の全窒素濃度が約70%低減された。また、燐についても約70%低減された。また、燐吸着剤の使用により、100%近い燐の除去が確認された。ただし、単なる吸着による影響が無視できないため、カラムを用いた試験を行った。
次に、下水の二次処理水を用いた浄化試験を以下に示す。
実験条件:下水の二次処理水
固定方法:カラム内に燐吸着剤(粒径3cm)を詰めた後、60℃に加熱し液状となった窒素浄化剤を流し込み、攪拌後、10℃で冷却する。礫(粒径3cm)を充填したカラムを比較対象として用いた。
使用物質:有機炭素系水質浄化剤(炭素数が14でありアルコールを主成分とする脱窒 素促進剤)
燐吸着剤(石炭焚き流動床炉より発生する燃焼灰からなる粒径2cmの流動床
灰粒状物)
水温:15℃
カラム容量:1.6l
全水量:10l
流量:90ml/min
〈結果〉
加熱後、液状となった有機炭素系水質浄化剤により燐吸着剤を固定化したカラムに下水二次処理水を循環させたところ、5日後に全窒素、硝酸性窒素ならびに燐酸態燐のすみやかな除去が認められた。図7に示すように、礫充填カラムと比較して、窒素および燐の除去能が高いことを確認できた。
本発明によれば、燐吸着剤として期待できる石炭焚き火力発電所から大量に排出され、従来は廃棄される産業廃棄物である流動床灰を有効利用することを可能とした。
本発明の一実施形態に係る水路を示す図である。 図1の水路による作用を説明する図である。 図1の水路における有機炭素系水質浄化剤による燐吸着剤の支持について示す図である。 図1の水路に回収用管路を設けた例を示す図である。 予め成形した部材を水路本体に固定した例を示す図である。 二次処理水を用いた試験結果を示す図である。 下水の二次処理水を用いた浄化試験を示す図である。
符号の説明
1 水路
2 水路本体
3 燐吸着剤
有機炭素系水質浄化剤
5 排水
6 回収用管
7 部材
8 金網

Claims (7)

  1. 排水中の燐との接触により水酸化アパタイトを生成する燐吸着剤を、加温により粘性を低下させた、被処理排水の水温より高い温度の融点を有し、微生物により分解されて水素と有機酸あるいは微生物が利用可能な有機物とを生成し脱窒を促進する有機炭素系水質浄化剤を介して、水路本体の内面に配された前記燐吸着剤の流失防止と回収を兼ねる網状体とともに前記水路本体に固定して成ることを特徴とする排水中に含まれる窒素・燐を除去する水路。
  2. 請求項1記載の排水中に含まれる窒素・燐を除去する水路において、前記燐吸着剤は、カルシウム分を多く含んだ石炭灰、火山灰あるいは高炉溶融スラグ、廃棄物溶融スラグ、あるいは石炭灰由来の人工ゼオライトから成る粒状物であり、排水中の燐との接触により、不溶性の水酸化アパタイトを生成することを特徴とする排水中に含まれる窒素・燐を除去する水路。
  3. 請求項1記載の排水中に含まれる窒素・燐を除去する水路において、前記燐吸着剤は、石炭焚き流動床炉より発生する燃焼灰から成る流動床灰粒状物であり、排水中の燐との接触により、不溶性の水酸化アパタイトを生成することを特徴とする排水中に含まれる窒素・燐を除去する水路。
  4. 請求項記載の排水中に含まれる窒素・燐を除去する水路において、前記流動床灰粒状物は、前記焼却灰原粉に、水または海水を加えて練り混ぜた後、ロールプレス機にて加圧成形して得られた粒状物または粒状物を破砕して得られる破砕物であることを特徴とする排水中に含まれる窒素・燐を除去する水路。
  5. 請求項1ないし請求項4の何れか記載の排水中に含まれる窒素・燐を除去する水路において、前記有機炭素系水質浄化剤は、炭素数が10〜24、融点が30℃〜90℃で被処理排水の水温より高く、温度上昇によりその粘性が低下し、常温で長期間に渡って周囲に水素イオンを放出し、水中の有機炭素濃度を0.1〜100mg/lの範囲で上昇する性質を有することを特徴とする排水中に含まれる窒素・燐を除去する水路。
  6. 請求項1ないし請求項5の何れか記載の排水中に含まれる窒素・燐を除去する水路において、前記水路本体は、移動した前記燐吸着剤を回収する回収管を途中に設けていることを特徴とする排水中に含まれる窒素・燐を除去する水路。
  7. 請求項1ないし請求項6の何れか記載の排水中に含まれる窒素・燐を除去する水路に、窒素や燐を含んだ排水を流通することを特徴とする排水中に含まれる窒素・燐の除去方法。
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