JP4095193B2 - アルペジエータ - Google Patents

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JP4095193B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、入力信号を順次異なるピッチにピッチシフトさせて出力するアルペジエータに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、ギター等の楽器の演奏によって発生する音が入力される入力部を有し、その入力部から入力された音のピッチを一連の音程に従ってシフトすることにより、和音を構成する複数音が順次に1音ずつ演奏されてなる一連の音からなるアルペジオ音を自動的に生成するアルペジエータと呼ばれる装置が知られている。一般に、自然楽器等を用いて1音ずつ演奏することによりアルペジオ音を生成する操作は難しく、例えば、ギターでアルペジオ音を1音ずつ演奏する際には、何本もの弦を所定の順序で素速く弾くことが要求される。しかし、上述したようなアルペジエータを使用することにより、弦を1箇所押さえて1回弦を弾くだけで、アルペジオ音を構成する複数音が自動的に生成されるので、演奏者はアルペジオ音を含む楽曲を簡単な演奏操作によって演奏することができる。また、上述したように、このアルペジエータは、ギター等といった楽器の演奏によって発生する音が入力され、その入力された音を用いてアルペジオ音を生成するので、音質の良いアルペジオ音を生成することができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述の従来技術のアルペジエータでは、単に、入力された音のピッチを変えているだけであるため、このアルペジエータにより生成されるアルペジオ音は、ギター等といった楽器で実際に1音ずつ演奏されたアルペジオ音と比べて聴感上大きな違いがありリアリティに欠けるという問題がある。
【0004】
本発明は上記事情に鑑み、リアルなアルペジオ音を生成することができるアルペジエータを提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明のアルペジエータは、
(1)ピッチを有する入力音が入力される入力部
(2)入力部から入力された入力音のピッチをシフトし、所定のタイミングでそのシフトするシフト量が変化するピッチシフト処理部
(3)入力部から入力された入力音のエンベロープに上記所定のタイミングで所定の変形を加えるエンベロープ処理部
を備えたことを特徴とする。
【0006】
ここで「所定の変形」とは、上記タイミングで増大し始めピークを持ちその後減衰して尾を引くといった山状のエンベロープを付加する変形をいう。
【0007】
本発明のアルペジエータでは、上記(1)の入力部に入力された入力音のピッチが、上記(2)のピッチシフト処理部においてシフトされ、アルペジオ音を構成する各音の発音タイミングに相当するタイミングでそのシフトされるシフト量が変化する。そして、さらに、上記(3)のエンベロープ処理部において、上記タイミングと同じタイミングで、上記入力音のエンベロープに所定の変形を加える処理が施され、アルペジオ音の各音の出だしに相当する部分のエンベロープが、いわゆるアタックと呼ばれる、ギター等により実際に発生される音の出だしの、振幅が大きい部分を模したエンベロープとなる。そのため、本発明のアルペジエータにより生成されるアルペジオ音を構成する各音は、その音の出だしの部分が強く、各音が独立した音に聞こえ、リアルなアルペジオ音が生成される。
【0008】
本発明のアルペジエータは、ピッチシフト処理部が、入力部から入力された入力音のピッチを、その入力音のピッチに応じたシフト量だけシフトするものであることが好ましい。
【0009】
一般に、楽曲は、ある調の下で演奏され、その調により楽曲の印象が決まる。また、ある調の下で演奏された楽曲を構成する各楽音の各ピッチは所定の秩序に従っている。このため、入力された音のピッチに関わらず所定のシフト量だけピッチをシフトさせるアルペジエータを用いて楽曲を演奏すると、楽曲の楽音のピッチが従っている秩序が乱れて楽曲の印象が壊れることがある。
【0010】
上述した好ましい構成のアルペジエータは、上記(1)の入力音のピッチに応じたシフト量だけ入力音のピッチをシフトする。そのため、この好ましい構成のアルペジエータにより生成されるアルペジオ音は楽曲と調和している。
【0011】
さらに、本発明のアルペジエータは、
(4)調を設定する調設定部
を備えると共に、
上記(2)のピッチシフト処理部が、入力部から入力された入力音のピッチを、調設定部により設定された調と、その入力音のピッチとの双方に応じたシフト量だけシフトするものであることが好ましい。
【0012】
このような構成のアルペジエータは、上記(2)のピッチシフト処理部が上記(4)の調設定部で設定された調に応じて上記(1)の入力部に入力された入力音のピッチをシフトする。そのため、このような構成のアルペジエータによって複数のアルペジオ音を生成すると、それらのアルペジオ音は、上記(4)の調設定部で設定された調の下で調和する。
【0013】
本発明のアルペジエータは、
(5)上記入力部から入力された入力音を保持するホールド部
を備えることが好ましい。
【0014】
このような構成のアルペジエータでは、上記(1)の入力部に時間的に減衰する減衰音が入力された場合に、その時間的に減衰する入力音を上記(5)のホールド部が保持する。これにより、入力音は、一定の振幅を持つ音、もしくは上記入力音よりも減衰が小さい音となる。そのため、上記(1)の入力部に入力された入力音が、ギター音のように時間とともに減衰する音であっても、アルペジオ音を構成する最後の音まで、充分に大きな音で生成することができる。
【0015】
【発明の実施形態】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0016】
図1は、本発明のアルペジエータの一実施形態を示すブロック図である。
【0017】
このアルペジエータ1は、いわゆるエレキギター等により演奏される楽曲の各楽音を表す入力信号のピッチに、以下に説明するように最終的に生成されるアルペジオ音を構成する各音の音程に基づいてピッチシフトを行い、さらにその入力信号のエンベロープに山状のエンベロープの付加を伴う変形を行い、そのようにピッチシフトとエンベロープの変形とが行われた信号を出力信号として出力するものである。
【0018】
図2は、図1に示すアルペジエータに入力される入力信号の一例(A)と、その入力信号のピッチがシフトされた信号(B)と、その入力信号に応じてアルペジエータから出力される出力信号(C)を示すグラフである。
【0019】
以下、図1の説明を、適宜図2を参照しながら行う。
【0020】
上記入力信号は、詳しくは、弦が1本1本弾かれることにより順次生成される複数の音のうちの、減衰する1音を表す。その1音を表す入力信号の様子が図2(A)に示される。図2(A)の上側のグラフにはこの入力信号の振幅のエンベロープが示されており、図2(A)の下側のグラフには入力信号のピッチが示されている。なお、入力信号は弦振動信号であるため、実際には、音高変化として認識するまでには至らない多少のピッチ変動を有しているが、この図面ではそのようなピッチ変動については無視して表している。各グラフの横軸は時間を表し、図2(A)の上側のグラフの縦軸は信号のレベルを表し、図2(A)の下側のグラフの縦軸は信号のピッチを表す。図2(A)の上側のグラフに示されるように、この入力信号は、時刻0で信号のレベルが増大し始め、時刻tpでピークに達し、その後減少する。また、ここでは入力信号の1音を表す部分が考えられているので、図2(A)の下側のグラフに示されるように、入力信号のピッチは時間を経ても変化しない。なお、図2(A)の時刻t1,t2,t3,t4,t5は、アルペジエータ1によりアルペジオ音を構成する各音が生成されるタイミングを示す。
【0021】
このアルペジエータ1には入力端子10が設けられており、上述した入力信号が入力端子10に入力される。つまり、入力端子10は本発明にいう入力部に相当する。また、アルペジエータ1にはホールド回路20が設けられており、上記入力端子10に入力された入力信号はホールド回路20に入力される。ホールド回路20は回路のオンオフを切り替えるスイッチを備えており、このスイッチがオンのとき、ホールド回路20は、減衰する入力信号を、振幅が持続する信号に変換して出力する。この変換の詳細については後に述べる。また、以後、説明の便宜のためホールド回路20のスイッチがオフの場合について説明する。この場合、上記入力信号はホールド回路20を素通りする。
【0022】
このホールド回路20から出力された信号はピッチシフト処理部31に入力される。ピッチシフト処理部31は、絶対的なピッチシフト量を表す制御信号を受けて、ピッチシフト処理部31に入力された信号のピッチをその絶対的なピッチシフト量だけシフトさせる。このシフト量は、制御信号を受ける度に順次変化し、このようにシフトされて生成された信号が上記アルペジオ音を表す。
【0023】
上述したように、この絶対的なピッチシフト量の情報を表す制御信号に基づいて、ピッチシフト処理部31により、ホールド回路20を素通りした入力信号のピッチがシフトされて出力される。この出力された信号の様子は図2(B)に示される。図2(B)の上側のグラフにはこの信号の振幅のエンベロープが示されており、図2(B)の下側のグラフにはこの信号のピッチが示されている。図2(B)のグラフの横軸は時間を表す。また、図2(B)の上側のグラフの縦軸は信号のレベルを表し、図2(B)の下側のグラフの縦軸は信号のピッチを表す。ピッチシフト処理部31は、入力信号のエンベロープには何の処理も行わない。そのため、図2(B)の上側のグラフに示されたエンベロープは、図2(A)の上側のグラフに示された、入力信号のエンベロープと全く同じである。一方、図2(B)の下側のグラフに示されるように、ピッチシフト音信号のピッチは、時刻t1,t2,t3,t4,t5において変化している。この変化した各ピッチは、ピッチシフト処理部31が受けた制御信号が表す絶対的なピッチシフト量に対応しており、このようにピッチシフトされた信号はアルペジオ音を表している。また、時刻t1,t2,t3,t4,t5は、ピッチシフト処理部31が制御信号を受けた時刻である。
【0024】
上記ピッチシフト処理部31に入力される制御信号はピッチシフト制御部32により生成される。なお、本実施形態のピッチシフト制御部32とピッチシフト処理部31との両方で本発明にいうピッチシフト処理部が構成されている。
【0025】
ピッチシフト制御部32は、アルペジオ音を構成する各音に対応するピッチシフト量が度数単位で定義されたアルペジエータ・フレーズ・テーブルを有しており、このアルペジエータ・フレーズ・テーブルから、度数単位で表されるピッチシフト量を読み込む。ここで度数とは、音の高さの差を人間の感覚に基づいて表すための単位である。また、アルペジエータ1は調設定部33とピッチ検出部34とを備えており、調設定部33では楽器の演奏者によって調が設定され、ピッチ検出部34では入力信号のピッチを検出される。ピッチシフト制御部は調設定部33からは設定された調を取り込み、ピッチ検出部34からは検出された入力信号のピッチの検出値を取り込む。また、ピッチシフト制御部32は、後述するインテリジェント・ピッチシフト・テーブルを有しており、度数単位で表されるピッチシフト量等を基にインテリジェント・ピッチシフト・テーブルを参照して、絶対的なピッチシフト量を決定する。この絶対的なピッチシフト量の決定の詳細については後に述べる。
【0026】
この絶対的なピッチシフト量をピッチシフト処理部31に伝える制御信号がピッチシフト制御部32から出力されるタイミングは、タイミング管理部40により管理される。タイミング管理部40は楽音の1音を表す入力信号の始まりを検出し、この始まりの時刻を基準にして、図1では示されていないつまみなどにより指示された時間間隔毎のタイミングで、アルペジオ音を構成する各音の発音開始を示す信号用のトリガーを出力する。そして、ピッチシフト制御部32は、このトリガーが入力される度に、上記絶対的なピッチシフト量を表す制御信号を出力する。
【0027】
このようにピッチシフト処理部31から出力された信号は、エンベロープ処理部51に入力される。エンベロープ処理部51は、ギターの音のアタックを模した付加エンベロープを表す制御信号を受けて、ピッチシフト処理部31により出力された信号のエンベロープに付加エンベロープを付加して出力信号を出力する。
【0028】
エンベロープ処理部51に入力される制御信号は、エンベロープ制御部52により出力される。なお、エンベロープ制御部52とエンベロープ処理部51との両方で本発明にいうエンベロープ処理部が構成されている。エンベロープ制御部52は上記付加エンベロープの形状を記憶しており、タイミング管理部40からトリガーを受けて、付加エンベロープを表す制御信号を出力する。
【0029】
エンベロープ処理部51から出力された出力信号の様子が図2(C)に示される。図2(C)の上側のグラフにはこの出力信号の振幅のエンベロープが示されており、図2(C)の下側のグラフには出力信号のピッチが示されている。図2(C)のグラフの横軸は時間を表す。また、図2(C)の上側のグラフの縦軸は信号のレベルを表し、図2(C)の下側のグラフの縦軸は信号のピッチを表す。
【0030】
図2(C)の上側のグラフに示されるように、この出力信号には、アルペジオ音を構成する各音の出だしに相当する時刻t1,t2,t3,t4,t5それぞれから始まる山状のエンベロープp1,p2,p3,p4,p5が存在し、これらの山状のエンベロープp1,p2,p3,p4,p5が、エンベロープ処理部51によって付加された付加エンベロープを表す。また、エンベロープ処理部51は、エンベロープ処理部51に入力された信号のピッチに関しては何の処理も行わないので、図2(C)の下側のグラフに示される、エンベロープ処理部51により出力された出力信号のピッチは、図2(B)の下側のグラフに示される、ピッチシフト処理部31により出力された信号におけるピッチと同じである。この図2(C)に示す出力信号が最終的にアルペジエータ1から出力される。
【0031】
以上が本実施形態における構成と本実施形態における信号処理の様子である。最終的にアルペジエータ1から出力される信号に基づいて、スピーカ等により各音の出だしの部分が強く、1音1音演奏されているかのようなリアルなアルペジオ音が発音される。
【0032】
次に、先に省略した、ピッチシフト制御部32における絶対的なピッチシフト量の決定の詳細について、この決定の過程で使用される、インテリジェント・ピッチシフト・テーブルおよびアルペジエータ・フレーズ・テーブルそれぞれの一例を参照しながら説明する。
【0033】
表1はインテリジェント・ピッチシフト・テーブルの一例を示す。
【0034】
表2はアルペジエータ・フレーズ・テーブルの一例を示す。
【0035】
【表1】
Figure 0004095193
【0036】
【表2】
Figure 0004095193
【0037】
ピッチシフト制御部32は上述した絶対的なピッチシフト量の決定に際して、インテリジェント・ピッチシフト・テーブルを参照する。このテーブルは、それぞれが主音にC,C#,D,D#,E,F,F#,G,G#,A,A#,Bを持つ全部で12種類の調の1種類毎に用意されている。調設定部33から、演奏者によって設定された、演奏される楽曲の調が得られ、その調に応じたテーブルが選択される。ここでは、調設定部33でCを主音に持つハ長調が設定されている場合について説明する。このとき、上記12種類のテーブルの中から、表1に示される、Cを主音に持つハ長調用のテーブルが選択される。このテーブルの最上段のC,C#,D,D#,E,F,F#,G,G#,A,A#,Bという記号は、ピッチ検出部34により検出された入力信号のピッチを表す。このテーブルの最左欄の−8から8までの数字は、度数単位で指定されたアルペジオ音のピッチシフト量を表す。そして、このテーブルの残りの部分に示される−12から12までの数字が絶対的ピッチシフト量を表す。これらの絶対的なピッチシフト量の単位は100centである。この100centは半音に相当し、1200centが1オクターブに相当する。
【0038】
また、ピッチシフト制御部32は、アルペジエータ・フレーズ・テーブルから、アルペジオ音を構成する各音に対応する度数で表されるピッチシフト量を読み込む。表2にはアルペジエータ・フレーズ・テーブルの一例が示されている。表2の上段には、アルペジオ音を構成する各音に相当する各ステップの番号が示されており、例えば番号「3」のステップは、図2における時刻t2から時刻t3までの時間帯に相当している。また表2の下段には、上段の各ステップにおける、度数で表されるピッチシフト量が示されている。ここに示されている各ピッチシフト量は、図2(B)又は図2(C)に示される各時刻t1〜t6における各ピッチシフト量に相当する。
【0039】
例えば、時刻t2から時刻t3の間では、ピッチシフト量は3度である。この3度のピッチシフト量に相当する絶対的ピッチシフト量は、上記入力信号のピッチに応じて決まるべきものであり、300centが適切である場合もあれば、400centが適切である場合もある。ピッチ検出部34により、入力端子10に入力された入力信号のピッチが、例えば音「F」に相当するピッチであることが検出されると、ピッチシフト制御部32は、表1のテーブルにおける、最上段に「F」が示された列と、最左欄に「3」が示された行とが交わる位置に存在する欄に示されている、絶対的ピッチシフト量を示す値「4」を得る。これによりピッチシフト制御部32は絶対的なピッチシフト量を400centと決定する。
【0040】
このようにして、度数で定義されたどんなピッチシフト量に対しても、設定された調と入力信号のピッチとの双方に応じた絶対的なピッチシフト量を決定することができる。この絶対的なピッチシフト量に基づいてピッチシフト処理部31により、ホールド回路20から出力された信号のピッチがシフトされる。そして、上述した絶対的なピッチシフト量だけそのピッチをシフトされた信号が表す音も、その音が属する楽曲と調和している。
【0041】
最後に、先に省略したホールド回路20の説明を行う。上述したようにこのホールド回路20は減衰する入力信号を保持し、持続する信号を出力するものである。
【0042】
図3は、ホールド回路に入力される入力信号と、ホールド回路により出力される信号を示すグラフである。
【0043】
図3の上のグラフには入力信号のエンベロープが示されており、このエンベロープは、図2で示される入力信号の波形のエンベロープと同じものである。図3の下のグラフにはホールド回路20により出力される信号のエンベロープが示されている。また、図3の横軸は時間を示し、縦軸は音量のレベルを示す。入力信号のエンベロープは、時刻tpでピークを持ち、その後、時間と共に減衰しているのに対して、ホールド回路20により出力される信号の波形が示すエンベロープは、時刻tpでピークを持った後ある大きさまで減衰すると、その後はその大きさで維持されている。このようにエンベロープの大きさが維持されることで、アルペジオ音がしりすぼみになることを防止することができる。
【0044】
この変換の基本的なアイディアは、入力信号を所定時間tの間サンプリングし、そのサンプリングされた信号を繰り返すというものである。ただし、このように単に繰り返されただけの信号には音量の不連続が生ずるので、この信号を三角波を用いて変調すること等と併せてその不連続を回避する。以下で、ホールド回路20の構成と併せて、上記変換の様子について詳しく説明する。
【0045】
図4はホールド回路の回路図である。
【0046】
ホールド回路20は、第1のホールドスイッチ211、第2のホールドスイッチ212、ディレイライン220、クロスフェード波形発生部230、第1の乗算部241、第2の乗算部242、加算部250によって構成されている。このディレイライン220は、2つの読み出し点TAP1,TAP2を備え、また、クロスフェード波形発生部230は、2つの出力端子w1,w2を備える。以下これらの構成部分について説明し、これらの構成部分によって処理される信号については適宜図5を参照して説明する。
【0047】
図5はホールド回路に備わるディレイラインにより出力された信号(A),(B)と、その信号を振幅変調する3角波の信号(C),(D)を示す図である。
【0048】
まず、図4の第1のホールドスイッチ311がオフの場合について説明する。この場合、入力信号はホールド回路20に入力される。この入力信号の波形のエンベロープは図3の上のグラフで示されたものである。
【0049】
このホールド回路20では、第1のホールドスイッチ211と第2のホールドスイッチ212は連動している。そのため、入力信号は第1の乗算部241に入力されるとともに、第2の乗算部242にも入力される。
【0050】
一方、図4のクロスフェード信号発生部230は、三角波WAVE1と三角波WAVE2を発生させる。図5(C)に、三角波WAVE1の一例が示され、図5(D)に、三角波WAVE2の一例が示される。この図5(C)、図5(D)において、横軸は時間、縦軸は信号の大きさを示す。この2つの三角波は、時間t/2ごとに交互にピークを持ち、互いに足し合わされると大きさ1の一定振幅を持つ信号となる。
【0051】
第1の乗算部241と、第2の乗算部241に入力された入力信号は、第1の乗算部241により三角波WAVE1の振幅変調を受け、第2の乗算部242により三角波WAVE2の振幅変調を受け、これらの振幅変調を受けた2つの信号は、加算器250によって互いに加算される。この結果、元の入力信号と全く同じ信号が出力される。
【0052】
次に、図4の第1のホールドスイッチ211がオンの場合について説明する。この場合には、入力信号はホールド回路20に入力されない。そして、ホールド回路20にディレイライン220を通るループができ、ディレイライン220により時間tに渡ってサンプリングされた信号がこのループを回り続ける。このループを回り続ける信号は、ディレイライン220の読み出し点TAP1において読み出されて信号TAP1−OUTが出力されるとともに、読み出し点TAP2において読み出されて信号TAP2−OUTが出力される。
【0053】
図5(A)に信号TAP1−OUTの一例が示され、図5(B)に信号TAP2−OUTの一例が示されている。この図5(A)、図5(B)の横軸は時間、縦軸は信号の大きさを示す。信号TAP1−OUT、信号TAP2−OUTは、ともにディレイライン220により時間間隔tでサンプリングされて切り取られた信号が読み出されたものであるので、時間tの周期を持つ信号であり振幅に不連続が生じている。
【0054】
一方、クロスフェード信号発生部230は、ホールドスイッチがオンの場合にも、オフの場合と同様に三角波WAVE1と三角波WAVE2を発生させる。
【0055】
この信号TAP1−OUT,TAP2−OUTは乗算部241,242に入力される。また、三角波WAVE1,WAVE2は、乗算部241,242に入力され、信号TAP1−OUT,TAP2−OUTは、乗算部241,242により振幅変調を受けて、そのエンベロープが、三角波となる。その際、この振幅変調をうけた信号は、信号TAP1−OUT,TAP2−OUTにおいて振幅の不連続点が生じる時点で振幅がゼロなので、不連続を生じない。この振幅変調を受けた信号は、乗算部により出力される。
【0056】
これらの、第1の乗算部241により出力される信号と、第2の乗算部242により出力される信号は、加算部250により加算される。上述した両乗算部により出力される信号は交互にピークを持つので、この加算された信号は振幅がほぼ一定な値を持つ信号となる。この信号がホールド回路20から出力される。また、この信号は、入力信号と同じ周波数を持つ2つの信号を加算部250により加算された信号であるので、周波数も入力信号の周波数に等しい。
【0057】
ただし、ディレイライン220によりサンプリングされる時間、及び読み出し点TAP1,TAP2が固定されている場合、入力信号の周波数によっては、第1の乗算部241から出力される信号と、第2の乗算部242から出力される信号が加算部250により加算された際に互いに打ち消し合って、不自然な振幅変調がかかった信号になることがある。このような不自然な振幅変調を避けるため、ディレイライン220には、ライン長tを調整する手段が備えられており、ディレイライン220に入力された信号のピッチに応じて、ライン長が調整され、場合によっては読み出し点TAP1,TAP2も調整される。
【0058】
なお、上記実施形態では入力信号がピッチシフト処理を施された後、そのピッチシフト処理を施された信号にエンベロープ処理が行われたが、本発明においては、入力信号がエンベロープ処理を施された後、そのエンベロープ処理を施された信号にピッチシフト処理が行われてもよい。
【0059】
なお、本発明においては、入力信号としてデジタル信号が入力されてその入力信号にデジタル信号処理が行われてもよい。
【0060】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のアルペジエータによれば、リアルなアルペジオ音が生成される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のアルペジエータの一実施形態を示すブロック図である。
【図2】図1に示すアルペジエータに入力される入力信号の一例(A)と、その入力信号のピッチがシフトされた信号の(B)と、その入力信号に応じてアルペジエータから出力される出力信号(C)を示すグラフである。
【図3】ホールド回路に入力される入力信号と、ホールド回路により出力される信号を示すグラフである。
【図4】ホールド回路の回路図である。
【図5】ホールド回路に備わるディレイラインにより出力された信号の一例(A),(B)と、その信号を振幅変調するための3角波の信号の一例(C),(D)を示す図である。
【符号の説明】
1 アルペジエータ
10 入力端子
20 ホールド回路
31 ピッチシフト処理部
32 ピッチシフト制御部
33 調設定部
34 ピッチ検出部
40 タイミング管理部
51 エンベロープ処理部
52 エンベロープ制御部
211 第1のホールドスイッチ
212 第2のホールドスイッチ
220 ディレイライン
230 クロスフェード波形発生部
241 第1の乗算部
242 第2の乗算部
250 加算部

Claims (3)

  1. ピッチを有する入力音が入力される入力部と、
    前記入力部から入力された入力音のピッチをシフトし、所定のタイミングで該シフトするシフト量が変化するピッチシフト処理部と、
    前記入力部から入力された入力音のエンベロープに前記所定のタイミングで所定の変形を加えるエンベロープ処理部と、
    前記入力部から入力された入力音を略一定の振幅に保持するホールド部とを備えたことを特徴とするアルペジエータ。
  2. 前記所定のタイミングにおけるピッチシフト量を前記入力音のピッチに対する度数で指定する度数指定手段をさらに備え、
    前記ピッチシフト処理部が、前記入力部から入力された入力音のピッチを、該入力音のピッチと前記度数指定手段により指定された度数とに応じて定まるシフト量だけシフトするものであることを特徴とする請求項1記載のアルペジエータ。
  3. 前記所定のタイミングにおけるピッチシフト量を前記入力音のピッチに対する度数で指定する度数指定手段と、
    調を設定する調設定部とをさらに備え、
    前記ピッチシフト処理部が、前記入力部から入力された入力音のピッチを、前記調設定部により設定された調と該入力音のピッチと前記度数指定手段により指定された度数とに応じて定まるシフト量だけシフトするものであることを特徴とする請求項1記載のアルペジエータ。
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