JP4094874B2 - 光触媒体及び窒素酸化物の処理方法 - Google Patents

光触媒体及び窒素酸化物の処理方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は光触媒体に関し、より詳細には大気中もしくは水中の臭気成分、排気ガス成分、不純物等を化学的に分解除去して浄化する光触媒体に関する。また、本発明はその光触媒体により窒素酸化物を処理する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
光触媒とは、光を吸収してそのエネルギーを光を吸収しない反応物に与え、反応を起こさせるものをいい、この原理を利用して、例えば有機化合物の酸化や不飽和化合物の水素化等の有機合成、廃液や排気ガス中の有害な化学物質の除去及び分解等の各種応用をもつ光触媒体の製造が試みられている。また、同様の作用を利用することにより、殺菌作用や汚れを分解する防汚作用への応用も試みられている。
【0003】
光触媒体としては、酸化チタン等の光触媒体を紫外線を良く受けることができるように薄膜化して用いたり、特開平10−151355公報に開示されたように、孔径2〜50nmの細孔をもつシリカからなる多孔体に光触媒をコーティング乃至は担持させたり、特開2000−51334号公報に開示されたように、メッシュ上又は孔開支持基材に光り触媒を担持させた光触媒シートとしたり、特開2000−157864号公報に開示されたように、シリカ繊維と補強用繊維の表面にチタニアを被膜したりした。また、光触媒と共に吸着剤を組み合わせて使用するものもあった。
【0004】
これらの光触媒体を用いることにより、環境中に拡散した比較的低濃度の環境汚染物質、例えば窒素酸化物を、光エネルギーを主たる駆動力として光触媒によって低コストで分解し除去することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の光触媒体は光触媒作用が充分であるとは言い難かった。
【0006】
そこで、本発明では、従来よりも光触媒作用く窒素酸化物を分解する能力が高い光触媒体を提供することを解決すべき課題とする。
【0007】
また、本発明ではその光触媒体を用いて窒素酸化物を処理する方法を提供することを解決すべき課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する目的で本発明者等は従来の光触媒体が充分な光触媒能を発揮できない理由について鋭意研究を行った結果、従来の光触媒体は、▲1▼表面の利用を主としており、表面の粗さ、凹凸、形状の工夫に限度があること、▲2▼吸着剤に活性炭などを使用しており、活性炭は光を透過しないのでその分、光触媒能が低下すること及び活性炭は酸化分解されて消費すること、▲3▼透明体の利用については表面への処理、ガラスビーズの利用に留まっていること、▲4▼多孔体の利用については酸化チタン等の光触媒の単なる担持体として用いていること、▲5▼細孔の利用については、シリカゲル、ゼオライト混合体の使用があるが、恒常的な反応物の吸着が生じ連続的な反応時間(接触時間)及び反応場を充分に確保することが困難であること等が判明した。
【0009】
そこで、本発明者等はこれらの知見に基づき、光触媒体の光触媒能を向上させるために、透明基材中に形成した所定方向に配向させた細孔内に光触媒を担持させ、その細孔に被処理流体を通過させる構造をもつ光触媒体を発明した。
【0010】
つまり、被処理流体が光触媒微粒子を担持した細孔内を通過する構造とすることで、細孔内でも吸着された被処理成分の酸化、分解反応が進行できる。また、被処理流体が細孔内を順次通過する構造であるので、酸化、分解反応途中での中間反応体の離脱が抑制でき、酸化、分解をより完全に進行させることができる。
特に前記細孔としては、平均孔径が0.1〜50μmであり、平均長さが該孔径の10倍以上である態様とすることにより、高い窒素酸化物除去効果を発揮でき、窒素酸化物除去用に好適な光触媒体となる。
【0011】
たとえば、NOをNO3 -にまで光触媒体により酸化する場合に、中間生成物として好ましくないNO2が生成するが、従来の単純に表面での反応のみで酸化、分解を行う光触媒体では中間生成物のNO2が一部リークすることが観測されたが、細孔内で連続的に反応を生起する本発明の光触媒体では中間生成物のリークは最小限に抑制できる。
【0012】
さらに、細孔の後段付近では酸化生成物をある程度吸着する効果が期待でき、最終的な酸化生成物を系外に排出せず保持できるバッファー効果を果たすものと考えられる。
【0013】
ところで、従来の酸化チタン等を用いた光触媒体による窒素酸化物の除去は、常温環境下で適用されていると共に、窒素酸化物から硝酸への酸化反応が支配的であった。また、還元剤を添加しない場合に被処理流体を加温しても熱によっては窒素酸化物の処理反応は促進されず、紫外線等の光による光触媒反応が支配的であった。
【0014】
そこで上記課題を解決する目的で本発明者らは光触媒体による窒素酸化物の処理方法に関して鋭意研究を行った結果、以下の知見を得た。
【0015】
すなわち、本発明者らは窒素酸化物の分解促進を目的として種々の添加物を検討した結果、被処理流体に還元剤を添加することによって、常温での窒素酸化物の分解が促進されることを見出した。また、被処理流体に還元剤を添加した場合には被処理流体の温度を上昇させることで窒素酸化物の分解除去が促進できることを見出した。以上の知見に基づき以下の発明を完成した。
【0016】
本発明の窒素酸化物の処理方法は、光触媒体の前記一面側から窒素酸化物を含む被処理流体を導入して処理する窒素酸化物の処理方法である。本発明では、本窒素酸化物の処理方法において、光触媒体に導入される前の被処理流体に還元剤を添加することを特徴とする。
【0017】
【発明の実施の形態】
〔光触媒体〕
本発明の光触媒体は、透明基材と光触媒微粒子とからなる。
【0018】
透明基材は光触媒微粒子を構成する光触媒の光触媒作用を発揮できる波長の光に対して透明である素材で構成される。たとえば、紫外線を吸収する光触媒を用いる場合には石英ガラス、バイコールガラス、シリカのような二酸化ケイ素を主成分とする素材が例示できる。なお、透明であるといっても完全に必要な波長の光を全部透過するものである必要はなく、適正量(割合)の光を透過できるものであればよい。また、光触媒反応に関連のない波長の光の透過性については限定がないことはいうまでもない。ここで、透明基材の近傍には紫外線ランプ等の光源を配設し、必要に応じて光源からの光線を照射できるようにすることが好ましい。
【0019】
透明基材にはその一面側から他面側に向けて被処理流体を通過でき所定方向に配向する細孔をもつ。つまり、被処理流体は細孔内を透過して一面側から他面側へと到達する。ここで、透明基材の一面側とは本光触媒体によって、処理される被処理流体が供給される側の面であり、他面側とは被処理流体が一面側から細孔を通過して流出する側の面である。本光触媒体への被処理流体の供給は本発明では特に問題とするものではなく、任意の方法で行うことができる。透明基材の形状としては板状体であり、その表裏面がそれぞれ一面側と他面側とに対応する形状や、管状体でありその内外面がそれぞれ一面側と他面側とに対応する形状とする等任意の形状を採用できる。
【0020】
細孔は所定方向に配向させることで、効率よく細孔を透明基材に形成することができる。所定方向としてはどのような方向であっても良いが、透明基材の一面側と他面側とを連結する方向が好ましい。
【0021】
細孔は平均孔径が0.1〜50μmである。そして1〜50μmであることが好ましい。この範囲とすることで通気抵抗がそれほど大きくなく被処理流体が細孔内を充分に通過できると同時に、被処理流体と細孔(つまり光触媒微粒子)との接触面積を充分に確保できる。また、被処理流体と細孔内の光触媒微粒子との接触時間を充分に確保するために、平均長さその孔径の10倍以上である。そして50倍以上であることが好ましい。そして、細孔の体積は透明基材の見かけ体積に対して、35%以上とすることが光触媒能の観点から好ましい。
【0022】
細孔を形成した透明基材の製造方法は特に限定されず、公知の方法を適用できる。たとえば、細孔を有する透明基材としては、前述のバイコールガラスの製造工程で中間製品として現れる多孔質体を用いることができる。すなわち、ケイ砂と硼酸とソーダ灰とから通常の溶融プロセスによりNa2O−B23−SiO2系ガラスを作成し、これを成形した後に数百℃で熱処理を行うことでガラス内部にSiO2リッチ相とNa2O−B23リッチ相とに数nmのスケールでスピノーダル分解による分相が起こる。この分相は熱処理条件、組成条件等により制御可能である。たとえば、熱処理温度を高く、熱処理時間を長くすると細孔径が大きくでき、反対に熱処理温度を低く、熱処理時間を短くすると細孔径が小さくできる。この分相ガラスを酸溶液に浸漬すると、Na2O−B23相のみが酸で溶出されてSiO2骨格をもつ多孔質ガラスが得られる。
【0023】
また、透明基材は、複数の毛細管を束ねて構成することができる。これら複数の毛細管はそれぞれ被処理流体が通過する一面側から他面側に向けて配向させる。これら毛細管が有する孔の大きさがほぼそのまま透明基材の細孔径となる。更に、毛細管が有する孔の他に毛細管の外壁間の隙間も細孔として光触媒を担持させることもできる。
【0024】
透明基材を複数の毛細管を束ねて形成することで、長手方向に任意な長さを選択できる効果がある。その結果、光触媒作用に必要な光触媒微粒子担持面積を著しく拡大できる。
【0025】
複数の毛細管を束ねて透明基材とする方法は特に限定しない。例えば、毛細管を束ねたまま光触媒として用いてもよいし、適正に加温することで毛細管間を融着させてもよいし、適正な接着剤により毛細管間を接着することもできる。
【0026】
光触媒微粒子の素材については限定はしない。たとえば、酸化チタン、酸化亜鉛等の金属酸化物半導体や、化合物半導体等が例示でき、酸化チタンを用いることが好ましい。光触媒微粒子の粒子径は7〜20nm、さらには7〜10nmであることが好ましい。透明基材への光触媒微粒子の担持量としては透明基材の見かけ体積に対して、0.2mg/mL以上であることが好ましい。
【0027】
透明基材の細孔内に光触媒微粒子を担持乃至はコーティングする方法としては、たとえば、光触媒微粒子の懸濁液を調製し、内部を真空とした細孔内にその懸濁液を吸引させる方法、細孔の一面側から圧入する方法等がある。
【0028】
〔窒素酸化物の処理方法〕
本処理方法は、前述の光触媒体を用い、その光触媒体の光触媒微粒子を担持した透明基材の一面側から他面側に向けて被処理流体を導入する方法である。光触媒体に導入された被処理流体は光触媒体の透明基材の細孔内の光触媒微粒子上で分解除去される。光触媒体には光触媒が作用する波長の光線が照射される。
【0029】
光触媒体に導入される被処理流体は窒素酸化物が含まれており、導入される前に還元剤が添加される。添加される還元剤の種類は特に限定しないが、気体若しくは揮発性の高い物質とすることが被処理流体への混合性に優れるので好ましい。例えば還元剤としてはプロパン等の炭化水素化合物等が挙げられる。還元剤の添加量は特に限定しないが、被処理流体中の窒素酸化物の量に応じて適正に選択できる。例えば被処理流体中に含まれる窒素酸化物40に対して、還元剤を240程度添加することができる。
【0030】
被処理流体は光触媒体内に導入される前に加温することが好ましい。被処理流体を加温することで窒素酸化物の分解が促進できる。被処理流体の温度としては常温から300℃であり、より好ましくは200℃から250℃程度である。
【0031】
【実施例】
(試験1)
(実施例1)
・光触媒体の製造
光触媒微粒子としての市販のアナターゼ型チタニアゾル(粒子径7nm)と、透明基材(細孔径10μm、気孔率40%、外径10mm、厚さ0.5mmで長さ50mmの円筒状の透光性バイコールガラス)とをステンレス製真空容器に入れた後に、減圧下で保持した。ステンレス製真空容器を常圧に戻し、圧力により細孔内にチタニアゾルを吸引させた。チタニアゾルを吸引させた透明基材を110℃、1時間の条件で乾燥した。この操作を3回繰り返し、担持された酸化チタン微粒子の量を質量増加の値から算出すると、透明基材に対して0.35質量%担持されていることが判明した。また、調製した光触媒体の細孔の観察結果から酸化チタン微粒子は細孔内に均一に分散されていることが明らかとなった。
【0032】
・光触媒体特性の測定
図1に示す装置を用いて実施例1の光触媒体1を室温で評価した。本実施例の光触媒体1の一端部をシールドゴム5で封止し、他端部にガス排出用の内筒管2(石英ガラス製、外径9.6mm、厚み1.0mm)を接続した。光触媒体1と内筒管2とは反応カラム3(石英ガラス製、内径10.5mm)でその周囲を覆った。反応カラム3の一端部から被処理流体としての被処理ガスを流入し(A)、流入した被処理ガスは光触媒体1の細孔を通過して内筒管2に流入し内筒管2の端部から外部に排出される(B)。
【0033】
被処理ガスはNOを40ppm含む。被処理ガスの通過流量は200mL/分に設定した。反応カラム3の外側から市販のブラックライト(100W)により紫外線を照射した。その結果、図2に示すように、Bから流出してくる被処理ガス中のNO濃度は紫外線照射後8分で22ppmにまで低下した後、透過ガス中のNO濃度は上昇して27ppm程度で定常化した。被処理ガスを通過させた光触媒体1を調べたところ、細孔内には触媒反応で生成した硝酸(HNO3)が保持されていることが明らかとなった。なお、NO濃度はオゾンガス混合による化学発光を測定する方式の堀場汎用ガス分析計CLA−510SSにより測定した。
【0034】
(実施例2及び3)
図1に示す装置を用いて実施例1で説明した光触媒体1を評価した。実施例1の光触媒体1の一端部をシールドセラミックス5で封止し、他端部にガス排出用の内筒管2(石英ガラス製、外径9.6mm、厚み1.0mm)を接続した。光触媒体1と内筒管2とは反応カラム3(石英ガラス製、内径10.5mm)でその周囲を覆った。反応カラム3の一端部から被処理流体としての被処理ガスを流入し(A)、流入した被処理ガスは光触媒体1の細孔を通過して内筒管2に流入し内筒管2の端部から外部に排出される(B)。
【0035】
被処理ガスはNOを40ppm含むと共に、還元剤としてのプロパンを240ppm含む。被処理ガスの通過流量は200mL/分に設定した。反応カラム3の外側から市販のブラックライト(100W)により紫外線を照射した。被処理ガスの温度を常温とした試験(実施例2)及び250℃まで加温した試験(実施例3)を行った。
【0036】
その結果、図2に示すように、Bから流出してくる被処理ガス中のNO濃度は実施例2の試験で紫外線照射後8分で19ppmにまで低下した後、透過ガス中のNO濃度は上昇して25ppm程度で定常化した。また、実施例3の試験では紫外線照射後8分で16ppmにまで低下した後、透過ガス中のNO濃度は15ppm程度で定常化した。
【0037】
被処理ガスを通過させた実施例2及び3の各光触媒体1を調べたところ、細孔内には触媒反応で生成した硝酸の保持状態は実施例1と大差ないことが明らかとなった。
【0038】
つまり、被処理ガスに予め還元剤を添加することで窒素酸化物の濃度が同じ常温での処理である実施例2において実施例1の結果に対してNO濃度が2ppm低下した。更に被処理ガスを250℃にまで加温した実施例3では実施例2と比較して更にNO濃度が10ppm低下した。この低下分は被処理ガス中のNOがN2に還元されたためである。なお、上記実施例1の試験では詳細は示していないが実施例1に記載した試験条件で被処理ガスを加温してもNO濃度に有意な差が認められず、熱による影響は見いだせなかった。
【0039】
(実施例4)
毛細管(透明ガラス製、孔径50μm、外形60μm、長さ50mm)を6300本を束ねて、内径10mm、外径12mmの透明石英ガラス管内に挿入、接着固定して透明基材(空隙率35%)とした。
【0040】
この透明基材と、光触媒微粒子としての市販のアナターゼ型チタニアゾル(粒子径7nm)とをステンレス製真空容器に入れた後に、減圧下で保持した。ステンレス製真空容器を常圧に戻し、圧力により細孔内にチタニアゾルを吸引させた。チタニアゾルを吸引させた透明基材を110℃、1時間の条件で乾燥した。この操作を3回繰り返し実施例4の光触媒体とした。担持された酸化チタン微粒子の量を質量増加の値から算出すると、透明基材に対して0.06質量%担持されていることが判明した。また、調製した光触媒体の細孔の観察結果から酸化チタン微粒子は細孔内に均一に分散されていることが明らかとなった。
【0041】
実施例4の光触媒体について実施例2で示した試験に供した。結果を図2に併せて示す。Bから流出してくる被処理ガス中のNO濃度は実施例2の試験で紫外線照射後8分で14ppmにまで低下した後、透過ガス中のNO濃度は上昇して22ppm程度で定常化した。被処理ガスを通過させた実施例4の光触媒体1を調べたところ、細孔内には触媒反応で生成した硝酸が保持されていることが明らかとなった。
【0042】
本実施例4の光触媒体で処理した被処理ガス中のNO濃度が実施例1及び2の光触媒体で処理した被処理ガス中のNO濃度より低くできたのは毛細管を用いることで光触媒微粒子を担持する面積を増加できたためと考えられる。
【0043】
(比較例1)
光触媒微粒子としての実施例1と同じ市販のチタニアゾル(粒子径7nm)と、アルミナ基材(細孔径12μm、気孔率40%、外径10mm、厚さ1.6mm、長さ50mm)とを用いて実施例1と同様の方法でアルミナ基材の細孔内に酸化チタン微粒子を担持させた。光触媒微粒子としての酸化チタン微粒子の担持量はアルミナ基材に対して0.1質量%であった。
【0044】
この光触媒体について実施例1と同様の装置及び方法で光触媒能を評価した。実施例1と同じ被処理ガスの供給条件で被処理ガスの通過量は220mL/分となった。結果を図2に併せて示す。通過ガス中のNO濃度は紫外線照射後、8分で一旦30ppmにまで低下し、その後、35ppmで定常化した。
【0045】
(比較例2)
実施例1で用いた透明基材を酸化チタン微粒子を担持させることなくそのまま実施例1に示した試験に供した。結果を図2に併せて示す。紫外線照射にかかわらず通過ガス中のNO濃度は一定であった。
【0046】
(試験2)
(試料1〜4)
試験用の光触媒体として細孔径10μmで、基材厚さ(細孔の長さに相当する)/細孔径が表1に示す値とした以外は実施例1の光触媒体と同様の方法で試料1〜4を製造した。
【0047】
各試料について実施例1に示した試験と同様の試験を行い、通過ガス中のNO濃度からNO除去率{(被処理ガス中のNO濃度−通過ガス中のNO濃度)/被処理ガス中のNO濃度×100(%)}、さらにNO2濃度を測定し理論的に生成したNO2に対しての残存率とを求めた。結果を表1に併せて示す。なお、NO2濃度はオゾンガス混合による化学発光を測定する方式の堀場汎用ガス分析計CLA−510SSにより測定した。
【0048】
【表1】
Figure 0004094874
【0049】
表1から明らかなように、基材厚さ/細孔径の値が10以上となると、NO除去率が30以上となり、それ以上は基材厚さ/細孔径の値を大きくしてもNO除去率に大きな変化はなかった。また、基材厚さ/細孔径の値が5である試料1ではNO2残存量も6%と比較的高い値を示しており、NO2残存量の値からも基材厚さ/細孔径の値としては10以上であることが好ましいことが明らかとなった。
【0050】
細孔径を一定にし、基材厚さ/細孔径の値を制御した上述の試験の結果、分解すべき成分を含む被処理ガスに対して効率的に光化学反応が行われるためには、細孔の面積を増加させて光触媒微粒子の担持面積を増加させると共に、細孔の長さを充分に長くして通過する被処理ガスと光触媒微粒子とが接触する時間を充分に確保することが必要であること示していると思われる。
【0051】
(試験3)
(試料5〜10)
基材厚さ/細孔径の値を50に固定し、平均細孔径を表2に示す値とした以外は実施例1と同様の光触媒体を製造した。そして、試験2と同様の評価を各試料について行った。
【0052】
【表2】
Figure 0004094874
【0053】
表2から明らかなように、細孔径が小さい試料5(細孔径0.05μm)ではNO除去率が8%と低く、試料6(細孔径0.1μm)〜試料10(細孔径60μm)ではNO除去率が比較的高い15%以上となった。特に細孔径が1〜50μmである試料7〜9ではNO除去率が30%以上とさらに優れた値を示した。また、NO2残存率の値も併せて考慮すると、試料6〜9の細孔径0.1〜50μmが好ましいと考えられる。
【0054】
細孔径があまりに小さい場合には細孔内に充分に酸化チタン微粒子を担持することができないほか、通気抵抗の値が増加するために充分に光触媒能を発揮できないものと考えられる。また、細孔径が大きすぎる場合には被処理ガスと酸化チタン微粒子との接触が充分でなくなり、NO除去率及びNO2残存量の値が悪化したものと考えられる。
【0055】
(試験3)
透明基材に形成する細孔の体積密度を原料成分SiO2の比率を調整することで、表3に示す気孔率の値となるように、試料11〜15の光触媒体を製造した。製造した試料11〜15について、NO除去率、及び通気抵抗の値をそれぞれ測定した。通気抵抗の値は反応カラム3入り口及び内筒管2の出口端の流体流路の差圧を水柱マノメーターにより測定した。
【0056】
【表3】
Figure 0004094874
【0057】
表3から明らかなように、気孔率を35%以上とした試料12〜15はNO除去率が15%以上と高除去率を示すと共に、通気抵抗も10mmAq以下と低い値をとり気孔率が35%以上であることが好ましいことが明らかとなった。
【0058】
透明基材の細孔密度は気孔率に関係し、気孔率が小さいと細孔密度が低くなり触媒面積も低下する。そのために気孔率が35%以上で酸化チタン微粒子の光触媒能が充分に発揮できるものと考えられる。また、通気抵抗は気孔率の2乗に比例しする。したがって、通気抵抗の値からも気孔率は35%以上の通気抵抗10mmAq以下が好ましい値である。さらに、気孔率が増加すれば酸化チタン微粒子を担持できる表面積も増加するのでその点においても好ましい。
【0059】
(試験4)
光触媒微粒子としての酸化チタン微粒子について、酸化チタン微粒子の平均粒子径を7、20、30、180nmとして、光触媒能に関連する特性である光照射により誘起される電位の値を測定した。電位は、半透膜を介して配置されるKCl溶液と各粒子径の酸化チタン微粒子を懸濁したKCl溶液との間での紫外線照射時の起電力を測定することで行った。結果を表4に示す。
【0060】
【表4】
Figure 0004094874
【0061】
表4から明らかなように、酸化チタン微粒子の粒子径が7〜20nmであるときには電位が−160〜−150mVと優れた値を示すのに対して、粒子径が20nmを越えると、電位が−50mV程度に減退することが判明した。したがって、酸化チタン微粒子の粒子径としては7〜20nmが適正である。
【0062】
アナターゼ型酸化チタンの光触媒能は紫外線を受光する表面光電化学反応である。そのために酸化チタン微粒子の粒子径が小さいほど、単位面積当たりの表面積が増加する。また、表面積が増加することにより、光触媒能の活性点となる欠陥も同時に増加する。したがって、酸化チタン微粒子としては粒子径が小さい(20nm以下)ことが好ましいものと考えられる。ただし、あまりに小さくすることは加工が困難であるのでコスト的な要因も含めると、実用上は7nm以上が好ましいものと考えれる。
【0063】
(試験5)
実施例1の光触媒体と、酸化チタン微粒子の担持量を変化させた以外はほぼ同様に試料16〜18の試料を製造した。担持量の変化はチタニアゾルの吸引回数を変化させることで調整した。各試料について、NO除去率の測定結果を表5に示す。
【0064】
【表5】
Figure 0004094874
【0065】
表5から明らかなように、酸化チタン微粒子の担持量が多くなるほど、NO除去率も向上している。特に担持量を0.20mg/mL以上とした試料17、18がNO除去率が15%以上となり好ましく、さらには担持量を0.35mg/mL以上とすることでNO除去率が32%となって、優れた値を示す。
【0066】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の光触媒体は、被処理流体を通過でき所定方向に配向する細孔をもつ透明基材と、その細孔内に担持された光触媒微粒子とを有することで、充分に被処理流体と光触媒微粒子との接触時間を確保することが可能となり、高い光触媒能を発揮することができる。
【0067】
更に本発明の窒素酸化物の処理方法によると、被処理ガス中に還元剤を添加することで、より効率よく窒素酸化物を分解除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例で用いた試験装置を示した概略図である。
【図2】試験1の結果を示したグラフである。
【符号の説明】
1…光触媒体
2…内筒管
3…反応カラム
4…ブラックライト
5…シールドゴム

Claims (10)

  1. 一面側から他面側に向けて被処理流体を通過でき所定方向に配向する細孔をもつ透明基材と、該細孔内に担持された光触媒微粒子とを有し、
    前記細孔は、平均孔径が0.1〜50μmであり、平均長さが該孔径の10倍以上であることを特徴とする窒素酸化物用の光触媒体。
  2. 前記所定方向は、一面側と他面側とを連絡する方向である請求項1に記載の光触媒体。
  3. 前記透明基材の見かけ体積に対して前記細孔の体積が35%以上である請求項1又は2に記載の光触媒体。
  4. 前記光触媒微粒子の平均粒子径は7〜20nmである請求項1〜のいずれかに記載の光触媒体。
  5. 前記光触媒微粒子の担持量は透明基材の見かけ体積に対して、0.2mg/mL以上である請求項1〜のいずれかに記載の光触媒体。
  6. 前記透明基材は板状体であり、前記一面側及び前記他面側は該板状体の表裏面である請求項1〜のいずれかに記載の光触媒体。
  7. 前記透明基材は管状体であり、前記一面側及び前記他面側は該管状体の表裏面である請求項1〜のいずれかに記載の光触媒体。
  8. 前記透明基材は、複数の毛細管を束ねて構成されており、該毛細管はそれぞれ前記一面側から前記他面側に向けて配向する請求項1〜のいずれかに記載の光触媒体。
  9. 請求項1〜のいずれかに記載の光触媒体の前記一面側から窒素酸化物を含む被処理流体を導入して処理する窒素酸化物の処理方法であって、該光触媒体に導入される前の該被処理流体に還元剤を添加し、
    処理温度が常温から300℃であることを特徴とする窒素酸化物の処理方法。
  10. 前記被処理流体は加温される請求項に記載の窒素酸化物の処理方法。
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