JP4093787B2 - 機器における接合構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、圧力センサや圧力スイッチあるいはバルブなどのように、黄銅とステンレス材とを構成要素に使用した機器における接合構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、冷暖房空調装置、冷蔵庫などに使用される機器として、圧力センサ、圧力スイッチ、バルブなどがある。
このような機器では、耐久性や耐食性、切削性などを考慮して、銅、黄銅、ステンレスなどの材質を、それぞれの構成部材に使い分けている。
【0003】
例えば、図6に示したように、ステッピングモータを用いた電動切換弁200では、弁機構を内蔵した本体部202を黄銅で形成するとともに、本体部202に流体を流入するための第1のパイプ継手206と切換用(流出)の第2のパイプ継手204、並びに他の切換用(流出)の第3のパイプ継手207とを銅で形成し、さらにステッピングモータ208のロータ210やピン212などを収容する筒状の上蓋材214、リング状の下蓋材216などを、ステンレスから形成して、それぞれに適した材質を用いている。
【0004】
すなわち、本体部202などは、形状が複雑になることが多いため、製造の際の切削性、コストなどを考慮して、黄銅が用いられている。また、ピン212などを収納する上蓋材214あるいは下蓋材216などは、耐久性、気密接合(溶接)性、防錆性などを考慮して、ステンレス材が用いられている。さらに、流入、流出用のパイプ継手204,206,207などは、耐食性、気密接合(溶接)性を考慮して銅から形成されている。なお、上記流量制御弁200では、上記上蓋材214と下蓋体216とにより、本体部202を覆うための蓋部材を構成している。
【0005】
そして、これらの各部材同士を接合するには、気密性、接合強度などを考慮して、通常は、ロウ付けにより接合されている。
ここで、一般にロウ付けを行なう場合は、加熱時に金属が酸化して形成される酸化膜がロウ材をはじいてしまうという不具合を解消するために、接合部分にフラックスを塗布して、手作業でロウ付けを行なっているのが実状である。
【0006】
しかしながら、一般的に行なわれているフラックスを用いたロウ付けによる接合方法では、接合後に、酸化スケールを除去するために、酸洗い、研磨などの煩雑な作業を必要とする。この場合、処理の仕方によっては、表面の美観が損われる虞れがあるとともに、酸化スケールなどの異物が完全に除去できず、性能への影響を及ぼすおそれもある。
【0007】
一方、ロウ付け時の金属表面への酸化膜の形成を避けるために、還元雰囲気炉内でロウ付けを行うことも知られている(例えば、特開2000−266214号公報)。
還元雰囲気炉を用いて、例えば、上記流量制御弁の各構成要素をロウ付けする場合は、先ず、本体部202、下蓋材216、パイプ継手204,206,207などと各部のロウ材をジグを用いて仮に組み込んだ状態で還元炉内に収容するとともに、その状態から本体部202とパイプ継手204,206,207との間、ならびに本体部202と下蓋材216などとの間を、自動的にロウ付けしている。
【0008】
なお、黄銅製の本体部202と、ステンレス製の下蓋材216とのロウ付け部Dには、フラックスが使用され、黄銅製の本体部202と銅製のパイプ継手204,206,207との間のロウ付け部E,F,Gなどには、フラックスが使用されていない。また、このようなロウ付けを行なう際の還元雰囲気炉内の温度は、最低でも700℃以上に設定しなければならない。
【0009】
ところが、その場合に、本体部202を構成する黄銅中の亜鉛の融点は、約420℃であるため、炉内の温度を仮に700℃付近に設定すると、その亜鉛が液化して、一部蒸発してしまうことになる。一方、黄銅中の銅の融点は、約1085℃であり、ロウ付け温度よりも高い温度であるが、炉内が700℃付近であっても、その一部は亜鉛と結合して蒸発してしまうため、結局、このZn−Cu成分が還元雰囲気炉内で拡散し、この拡散したZn−Cu成分が、パイプ継手204,206,207、あるいは下蓋材216など他の部材の表面に蒸着してしまうという問題があった。このような蒸着が生じてしまうと、各部材の表面は、Zn−Cu成分によりメッキされたようになってしまう。
【0010】
ここで、図6に示した流量制御弁200のように、本体部202にロウ付けされたステンレス製の下蓋材216の上方に、さらにステンレス製の上蓋材214を接合するような場合は、還元雰囲気炉から本体部202と下蓋材216とのロウ付け後の結合ユニットが取り出された後、今度は、下蓋材216と上蓋材214との蓋部材を構成している2つの部材間を溶接しなければならない。その場合に、下蓋材216の表面に、上記のZn−Cu成分が付着されていると、ステンレス間の溶接を良好に行なうことができないとともに、溶接部位の強度が低下してしまい、溶接品質が確保できないという問題があった。
【0011】
そのため、このように、ロウ付け後のステンレス製の下蓋材216に、同じくステンレス製の上蓋材214を溶接する場合は、その前処理として、下蓋材216に、酸洗いや研磨などの特別な作業を行なって、表面のZn−Cu成分を除去しなければならないという問題があった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような実状に鑑み、例えば、圧力センサ、圧力スイッチあるいはバルブなどのように黄銅とステンレスとを構成要素に使用した機器において、黄銅から形成された部材とステンレスから形成された第1の部材とを還元雰囲気炉内でロウ付けし、その後、このステンレス製の第1の部材に同じくステンレス製の第2の部材を溶接する場合に、最初の工程である還元雰囲気炉内でのロウ付け時の加熱により黄銅から析出されたZn−Cu成分が、第1の部材の表面に付着してしまうことを可及的に防止し、これにより、これまで必要としていた溶接工程の前処理としての、酸洗いや研磨などの煩雑な工程を不要とすることができる機器における接合構造を提供することを目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明に係る機器における接合構造は、
黄銅から形成された部材に、ステンレスから形成された第1の部材をロウ付けし、この結合ユニットを構成している前記第1の部材に、さらにステンレスから形成された第2の部材を溶接するにあたり、
前記黄銅から形成された部材にロウ付けされる前記第1の部材に、予め固溶化熱処理を施しておくとともに、この固溶化熱処理が施された前記第1の部材と前記黄銅から形成された部材とを還元雰囲気炉内に収容し、この還元雰囲気炉内で前記第1の部材と前記黄銅から形成された部材とをロウ付けにより接合し、その後、前記還元雰囲気炉から取り出された当該結合ユニットの前記第1の部材に、前記第2の部材を溶接により接合したことを特徴としている。
【0014】
ここで、前記黄銅から形成された部材は、圧力センサの継手であるとともに、前記第1の部材は、前記圧力センサの継手に取り付けられる皿状の蓋体であり、前記第2の部材は、前記皿状の蓋体の端面に接続されるヘッダであっても良い。
また、前記黄銅から形成された部材は、圧力スイッチの継手であるとともに、前記第1の部材は、前記圧力スイッチの継手に取り付けられる皿状の蓋体であり、前記第2の部材は、当該皿状の蓋体に接続されるストッパであっても良い。
【0015】
さらに、前記黄銅から形成された部材は、バルブの本体部であり、前記第1の部材は、前記本体部の開口部に配置される下蓋材であり、前記第2の部材は、この下蓋材に接合される上蓋材であっても良い。
また、前記本体部は略筒状に形成されているとともに、
当該本体部には、少なくとも二つのパイプ継手が接続されていても良い。
【0016】
係る構成による本発明によれば、ステンレスから形成された第1の部材が予め固溶化熱処理されているため、この第1の部材と黄銅製の部材とを還元雰囲気炉内でロウ付けを行なった際に析出した黄銅中のZn−Cu成分が炉内に拡散されたとしても、このZn−Cu成分が第1の部材の表面に蒸着してしまうことが防止される。したがって、ロウ付けが終了したステンレス製の第1の部材にステンレス製の第2の部材を溶接する場合に障害となることはなく、良好に溶接が行なえるとともに、溶接強度が低下されることもないので、溶接品質を向上させることができる。また、酸洗いや研磨などの煩雑な作業を不要とすることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明の実施例について説明する。
図1は、本発明の一実施例による蓋部材の接合構造が採用されたバルブの要部を示したものである。
なお、本明細書の中でのバルブとは、流路を開閉する開閉弁、あるいは流路を切り換える切換弁、または流路を制御する流量制御弁などとして、所定の流体通路を形成するものであるが、図1のバルブ10は、例えば、冷暖房空調装置、冷蔵庫などの冷媒循環サイクルに配設されるものである。
【0018】
バルブ10は、弁機構が内部に収容され、一端に突出部12を備えた略筒状の本体部14と、本体部14に流体を流入、流出するためのパイプ継手18,20,24と、本体部14の突出部12の外方に装着されたリング状の下蓋材16とを有しており、この下蓋材16の外方に、図2に示したように、略円筒状の上蓋材22が装着される。なお、図1において、符号24は、流出用のパイプ継手18に切り換えて使用される他の流出用のパイプ継手を示したものである。
【0019】
このように切換弁としても機能するバルブ10において、上記本体部14は、切削性の観点から黄銅により形成され、下蓋材16は、強度、溶接性、防錆性の観点からステンレスにより形成され、さらに、上蓋材22も強度、溶接性、防錆性の観点からステンレスにより形成されている。また、パイプ継手18,20,24は、耐食性、ロウ付け性、溶接性の観点から銅により形成されている。
【0020】
ここで、本実施例では、これら各部材同士を組み付ける前に、ステンレス製の下蓋材16は、予め固溶化熱処理が施されている。ステンレスからなる下蓋材16を固溶化熱処理するための条件としては、先ず、水素などの還元雰囲気炉内で900℃から1150℃の温度で加熱し、その状態で1〜3時間保持し、その後急冷することにより常温に戻している。
【0021】
このような固溶化熱処理を、ステンレスの下蓋材16に対して行なえば、板材などから加工する時に生じてしまった内部応力を除去することができるとともに、加工組織が再結晶されるので、延性が回復され、さらにそれ自身の耐食性を増大させることができる。また、下蓋材からの合金金属の析出も阻害させることができる。
【0022】
このように、下蓋材16を予め固溶化熱処理した後、これらを互いに組み付けて一体化させるには、先ず、上記ステンレスからなる下蓋材16と黄銅からなる本体部14と、銅からなるパイプ継手18,20,24と各部のロウ材をジグを用いて互いに仮の状態で組み付けておく。そして、仮に組み付けられたユニットを還元雰囲気炉内に収容する。その後、この還元雰囲気炉内において、これらの各部材同士のロウ付けを自動的に行なうことができる。
【0023】
その場合に、ステンレス製の本体部14と銅製のパイプ継手18,20,24との間のロウ付け部E,F,Gには、フラックスは使用されず、本体部14と下蓋材16との間のロウ付け部Aには、フラックスが使用される。
ここで、黄銅からなる本体部14とステンレスからなる下蓋材16との間をロウ付けする場合は、ロウ付け時の加熱により、黄銅中のZn−Cu成分が下蓋材の表面に蒸着してしまう虞があるが、下蓋材16は、上記したように、予め固溶化熱処理が施され、それ自身の耐食性が増大されていることから、Zn−Cu成分の蒸着が防止される。したがって、ロウ付け後に、本体部14と下蓋材16との結合ユニットを炉内から取り出して、その後、図2に示したように、下蓋材16と上蓋材22とを溶接する場合は、そのままの状態、あるいは薬液洗浄などの簡単な処理を施した後に、これらを接合することができる。すなわち、これまでのように、酸洗いや研磨などの煩雑な作業を行なう必要がない。
【0024】
なお、以下に、このようなステンレス材の固溶化熱処理の有効性を示すために、下蓋材16に固溶化熱処理を施さない場合と、固溶化熱処理を施した場合のZn−Cu成分の下蓋材16への付着情況の違いをエネルギー分散型X線分光器を用いて分析する実験を行なった。
ここで、エネルギー分散型X線分光器は、図3に示したように、電子銃30から細く収束された電子ビームを試料32(下蓋材)の表面上に照射し、その部分から生じる特性X線の波長や強度、二次電子や反射電子の量などを検出器34で測定することによって、試料の形状の他、試料の構成元素の種類、含有量、分布状態などを調べることができる。
【0025】
結果は、以下の通りで、表1は、従来例、表2は本願実施例である。
また、実験条件として、加速電圧を20KVとし、130秒照射したうちの100秒を有効時間とした。表中の「計数」とは、100秒間に検出された各元素の数である。
また、測定箇所は、下蓋材16の溶接部位の外周端面である。また、固溶化熱処理を行なっていない従来例の場合は、ロウ付け後に酸洗いを行なった場合についても確認した。
【0026】
【表1】
Figure 0004093787
【0027】
【表2】
Figure 0004093787
【0028】
表1から明らかなように、固溶化熱処理を行なわない場合は、Zn−Cu成分の付着は、試料1,2とも高い値を示したが、これを酸洗いすることによって、例えば、Znであれば、100.84であったものが、3.95に、Cuであれば、82.42であったものが、13.33に減少された。
一方、固溶化熱処理を行なった本実施例の場合は、酸洗いを行なわない状態でも、Znは0であり、Cuの場合も、0であった。このように、固溶化熱処理を行なった場合は、従来例の酸洗い処理後の状態と同レベル又は以下であり、固溶化熱処理が非常に有効であることが確認された。
【0029】
この実験から明らかなように、予め固溶化熱処理を行なった場合の下蓋材16の表面には、Zn−Cu成分の付着は検出されないレベルとなった。
したがって、本実施例によれば、ロウ付け後の、研磨や酸洗いなどの煩雑な工程が不要であることが確認された。
以上、本発明の一実施例について説明したが、本発明は、電磁弁あるいは電動弁などのいずれのバルブであっても有効である。また、勿論、パイプ継手18,20、24が存在しないものにも適用可能である。さらに、下蓋材16、上蓋材22などの形状は、実施例に何ら限定されない。
【0030】
また、本体部14に対し、下蓋材16の他に、他のステンレス製の部材をロウ付けする場合は、その部材に固溶化熱処理を施しておけば、この部材に後にステンレス製の部材を溶接することができる。
また、上記実施例では、各種の産業装置に使用される機器として、バルブを例にして本発明を説明したが、バルブに限定されず、黄銅およびステンレスを構成要素に使用した機器であれば、いかなる機器にも適用可能である。例えば、圧力センサ、圧力スイッチなどに本発明を適用することができる。
【0031】
図4は本発明の接合構造が具備された圧力センサ40を示したものである。
この圧力センサ40は、中央に検出圧力流体の導入通路31を設けた継手33の先端に蓋体37が接続されている。また、この蓋体37には、中央に空所35を備え、中央の空所35に圧力検知ユニット48を備え、この空所35を覆うように固定されたダイヤフラム44を設けたヘッダ42が接続されている。そして、このような圧力センサ40では、ダイヤフラム44に作用する圧力が、封入液体を介してダイヤフラム44に対向配置されたステム46上に固定された圧力検知ユニット48の圧力検知部に伝達され、ステム46を貫通して延びるリード端子50から検出出力を得るようにされている。
【0032】
このような圧力センサ40では、略円筒状の継手33が黄銅から形成され、皿状の蓋体37とヘッダ42とがそれぞれステンレスから形成されている。これらを組み付けるには、先ず、黄銅製の継手33とステンレス製の蓋体37とが還元雰囲気炉内でロウ付けにより接合される。そして、還元雰囲気炉内から取り出された継手33と蓋体37との結合ユニットのうちの蓋体37に、ヘッダ42が溶接により接合される。
【0033】
このような組み付けが行われる圧力センサ40では、蓋体37に予め固溶化熱処理が施されていれば、蓋体37に上記実施例のように、黄銅中のZn−Cu成分が付着されることはない。したがって、上記実施例と同様に、ステンレス同士の溶接に先立って、酸洗いなどの工程を省くことができる。
図5は、本発明の接合構造が具備された他の機器として、圧力スイッチ60を示したものである。
【0034】
この圧力スイッチ60は、冷凍システム内の冷媒流体圧力が異常になったとき、冷凍システムを保護するためのもので、流体圧力を検知して所定の圧力より高いときに、例えば、圧縮器の電源をOFFにするものである。
この圧力スイッチ60では、金属薄膜からなる金属ダイヤフラム62が使用され、該金属ダイヤフラム62の周辺部を溶接することにより、冷媒ガスの透過を完全に遮断することができる。この圧力スイッチ60では、金属ダイヤフラム62の一方の側に感圧室64を画定する皿状の蓋体88と、この皿状の蓋体88に気密接続されて感圧室64に高圧ガス、油などの圧力を導く継手68と、金属ダイヤフラム62の変位に応じて切換動作する接点部70とを保護するケーシング組立体72と、を有している。
【0035】
ケーシング組立体72は、金属製のホルダ部材74および中間プレート部材76と、樹脂製のケース部材78の3部品のカシメ結合体により構成され、ケース部材78内に接点部70を有し、ケース部材78に接続端子片80,82が取り付けられている。
また、金属ダイヤフラム62は、ホルダ部材74と中間プレート部材76に挟まれた形態で、ストッパ90に固定されている。
【0036】
このような圧力スイッチ60では、継手68が黄銅から形成され、皿状の蓋体88と、金属ダイヤフラム62のストッパ90とがステンレスから形成されている。
そして、これらの組み付けに際しては、先ず継手68と皿状の蓋体88とが還元雰囲気炉内で、ロウ付けにより接合される。その後、還元雰囲気炉から取り出されたこれらの結合ユニットのうち、蓋体88の上にステンレス製の金属ダイヤフラム62が配置され、さらに、その上にステンレス製のストッパ90が配置され、その状態から、ストッパ90、金属ダイヤフラム62、蓋体88の各外周部が溶接により一体に接合される。
【0037】
このようにして組み付けられる圧力スイッチ60であっても、予め皿状の蓋体88に固溶化熱処理を施しておけば、後に金属ダイヤフラム62とストッパ90とを蓋体88に溶接する場合に、蓋体88に黄銅中に含まれるZn−Cu成分が付着されることはない。よって、上記実施例の場合と同様に、酸洗いなどの煩雑な工程を省略することができる。
【0038】
このように、本発明は、バルブのみに限定されず、黄銅とステンレスとを用いた様々な機器に採用することができるものである。
【0039】
【発明の効果】
以上、説明したように、本発明に係る機器における接合構造によれば、黄銅から形成された部材とステンレスから形成された第1の部材とを還元雰囲気炉内でロウ付けし、その後、これらの結合ユニットを還元雰囲気炉から取り出して、前記第1の部材に、さらにステンレスから形成された第2の部材を溶接する場合に、前記第1の部材が予め固溶化熱処理が施されているため、ロウ付け時の熱によるZn−Cu成分がこれまでのように、第1の部材の表面に蒸着してしまうことが可及的に少なくなる。
【0040】
したがって、ロウ付け後の酸洗いや研磨などのこれまで必要であった煩雑な工程を不要とし、行なうとしても単に薬液で洗浄する程度で良くなる。
よって、黄銅およびステンレスなどの部材を構成要素とする圧力センサや圧力スイッチ並びにバルブなどの機器を製造するための作業工数を少なくすることができるので、これらの機器をコスト的にも安価に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の一実施例による蓋部材の取り付け構造が実施されるバルブの上蓋材を取り外した状態の正面図である。
【図2】図2は、図1のバルブに上蓋材を組み付けたときの正面図である。
【図3】図3は、本発明の有効性を検知する実験で使用したエネルギー分散型X線分光器の原理図である。
【図4】図4は本発明の接合構造が採用された圧力センサの断面図である。
【図5】図5は本発明の接合構造が採用された圧力スイッチの断面図である。
【図6】図6は、従来の接合構造が実施されたバルブの断面図である。
【符号の説明】
10 バルブ
12 突出部
14 バルブの本体部
16 下蓋材(第1の部材)
18 パイプ継手
20 パイプ継手
22 上蓋材(第2の部材)
24 パイプ継手
33 圧力センサの継手
37 皿状の蓋体(第1の部材)
40 圧力センサ
42 ヘッダ(第2の部材)
60 圧力スイッチ
68 圧力スイッチの継手
88 皿状の蓋体(第1の部材)
90 ストッパ(第2の部材)

Claims (5)

  1. 黄銅から形成された部材に、ステンレスから形成された第1の部材をロウ付けし、この結合ユニットを構成している前記第1の部材に、さらにステンレスから形成された第2の部材を溶接するにあたり、
    前記黄銅から形成された部材にロウ付けされる前記第1の部材に、予め固溶化熱処理を施しておくとともに、この固溶化熱処理が施された前記第1の部材と前記黄銅から形成された部材とを還元雰囲気炉内に収容し、この還元雰囲気炉内で前記第1の部材と前記黄銅から形成された部材とをロウ付けにより接合し、その後、前記還元雰囲気炉から取り出された当該結合ユニットの前記第1の部材に、前記第2の部材を溶接により接合したことを特徴する機器における接合構造。
  2. 前記黄銅から形成された部材は、圧力センサの継手であるとともに、前記第1の部材は、前記圧力センサの継手に取り付けられる皿状の蓋体であり、前記第2の部材は、前記皿状の蓋体の端面に接続されるヘッダであることを特徴とする請求項1に記載の機器における接合構造。
  3. 前記黄銅から形成された部材は、圧力スイッチの継手であるとともに、前記第1の部材は、前記圧力スイッチの継手に取り付けられる皿状の蓋体であり、前記第2の部材は、当該皿状の蓋体に接続されるストッパであることを特徴とする請求項1に記載の機器における接合構造。
  4. 前記黄銅から形成された部材は、バルブの本体部であり、前記第1の部材は、前記本体部の開口部に配置される下蓋材であり、前記第2の部材は、この下蓋材に接合される上蓋材であることを特徴とする請求項1に記載の機器における接合構造。
  5. 前記本体部は略筒状に形成されているとともに、
    当該本体部には、少なくとも二つのパイプ継手が接続されていることを特徴とする請求項4に記載の機器における接合構造。
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